説明

乗り物の窓を取り付けるための接着剤として有用な組成物

一実施形態においては、本発明は:a)1つ又はそれ以上のイソシアネート官能性ポリエーテルポリウレタンプレポリマーと;b)1つ又はそれ以上のポリイソシアネートと1つ又はそれ以上のポリエステルとの1つ又はそれ以上のプレポリマーであって、ポリエステルポリオールポリウレタンプレポリマー上の末端基が単官能性ポリアルキレングリコールの残基であるプレポリマー(以降キャップされたポリエステルポリウレタンプレポリマー)、或いは1つ又はそれ以上の単官能性イソシアネートの残基でキャップされた1つ又はそれ以上のポリエステルポリオール(以降、イソシアネートキャップされたポリエステル)とを含む組成物であって;約40から約80℃の温度において低粘稠ペーストとなり、約400C又はそれ以下の温度において高粘稠ペーストとなる組成物に関する。好ましい一実施形態においては、本発明の組成物は、c)イソシアネート部分とヒドロキシル基との反応のための1つ又はそれ以上の触媒をさらに含む。別の一実施形態においては、本発明は、2つ又はそれ以上の基材を互いに接合する方法であって、基材が接触する領域の少なくとも一部に沿って配置された本発明による組成物と2つ又はそれ以上の基材を互いに接触させることを含み、本発明の組成物が低粘稠ペーストである方法に関する。好ましい一実施形態においては、本発明の組成物は、1つ又はそれ以上の基材と接触させる前に、約40℃から約80℃に加熱して、低粘稠ペーストに変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスを乗り物や建築物に接合するのに有用な接着剤として有用な組成物に関する。別の一実施形態においては、本発明は2つ又はそれ以上の基材を互いに接合する方法に関し、このような基材は、ガラス、建築物、及び乗り物を含むことができる。
【背景技術】
【0002】
ガラス(窓)を建築物や乗り物に固定(接合)するために接着剤組成物が使用されており、Rizkの米国特許第4,780,520号明細書、Bhatの米国特許第5,976,305号明細書、Hsiehらの米国特許第6,015,475号明細書、及びZhouの米国特許第6,709,539号明細書が参照され、これらは参照として本明細書に援用される。自動車工場では、ロボット及びコンピューター制御された処理を使用して窓が取り付けられる。このような工場では、種々の自動車に対して使用される種々の高性能接着剤、例えば、非導電性接着剤及び高弾性率接着剤が使用される。垂れが起こらない、すなわち乗り物やガラスに適用された接着剤ビーズの形状が損なわれない高性能接着剤を配合することも困難である。従って、窓を乗り物に接合するために接着剤が使用される多くの工業的プロセスでは、窓を所定位置に維持するのに十分な強度を接着剤が有するようになるまで、ガラスを所定位置に固定するなんらかの手段を使用する必要がある。接着剤が硬化するまで窓を所定位置に固定する手段のためにコストが増加する。従って、ガラスを所定位置に接合するために使用される接着剤によって、接着剤の適用後にガラスを所定位置に維持できることが望ましい。
【0003】
ガラスを所定位置に維持するための追加の固定具を使用せずに接着剤によってガラスを所定位置に維持することが可能となる良好な初期グリーン強度が得られる接着剤が開発されている。結晶性熱可塑性ポリマー、例えばポリエステルを接着剤中に含めることによってこれが実現される。これらの接着剤は、接着剤が溶融し高温状態で適用されることが必要なホットメルト特性を有する。接着剤が冷却されると熱可塑性部分が結晶化し、ガラスを所定位置に維持する初期グリーン強度が得られ、Proebsterの米国特許第5,747,581号明細書を参照することができ、これは参照として本明細書に援用される。これらの接着剤の問題は、接着剤の硬化が遅すぎ、ガラスの動きを防止するのに十分なグリーン強度が得られないことである。また上記参考文献に開示される配合物は、比較的多量の熱可塑性成分を必要とする。多量の熱可塑性材料は、硬化した接着剤の物理的性質に悪影響を及ぼしうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,780,520号明細書
【特許文献2】米国特許第5,976,305号明細書
【特許文献3】米国特許第6,015,475号明細書
【特許文献4】米国特許第6,709,539号明細書
【特許文献5】米国特許第5,747,581号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガラスを構造の中に接合するための接着剤として有用であり、迅速に強度が増加し、良好な長期特性を示し、適用時に垂れが生じない組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態においては、本発明は:
a)1つ又はそれ以上のイソシアネート官能性ポリエーテルポリウレタンプレポリマーと;
b)1つ又はそれ以上のポリイソシアネートと1つ又はそれ以上のポリエステルポリオールとの1つ又はそれ以上のプレポリマーであって、ポリエステルポリオールポリウレタンプレポリマー上の末端基が単官能性ポリアルキレングリコールの残基であるプレポリマー(以降、キャップされたポリエステルポリウレタンプレポリマー)、或いは1つ又はそれ以上の単官能性イソシアネートの残基でキャップされた1つ又はそれ以上のポリエステルポリオール(以降、イソシアネートキャップされたポリエステル)とを含む組成物であって;約40から約80℃の温度において低粘稠ペーストとなり、約40℃又はそれ以下の温度において高粘稠ペーストとなる組成物に関する。好ましい一実施形態においては、本発明の組成物は、c)イソシアネート部分とヒドロキシル基との反応のための1つ又はそれ以上の触媒をさらに含む。好ましい一実施形態においては、本発明の組成物は、約45から約70℃の温度において低粘稠ペーストとなり、約35℃又はそれ以下の温度において高粘稠ペーストとなる。
【0007】
別の一実施形態においては、本発明は、2つ又はそれ以上の基材を互いに接合する方法であって、2つ又はそれ以上の基材を、基材が接触する領域の少なくとも一部に沿って配置された本発明による組成物と接触させる工程を含み、この組成物が適用時に低粘稠ペーストである、方法に関する。好ましい一実施形態においては、本発明の組成物を約40℃から約80℃に加熱して低粘稠ペーストに変化させた後で、それを1つ又はそれ以上の基材と接触させる。
【0008】
本発明の組成物は、複数の基材を互いに接合する接着剤として有用である。多種多様の基材が、本発明の組成物を使用して互いに接合することができ、そのようなものとしてはプラスチック、ガラス、木材、セラミック、金属、コーティングされた基材などが挙げられる。本発明の組成物は、類似及び異種の基材を互いに接合するために使用することができる。本発明の組成物は、ガラスを他の基材、例えば乗り物や建築物に接合する場合に特に有用となる。本発明の組成物は、モジュール構成要素、例えば乗り物モジュール構成要素の部品を互いに接合する場合にも有用である。ガラスは、乗り物のコーティングされた部分及びコーティングされていない部分に接合することができる。本発明の接着剤は急速な強度増加を示す。本発明による接着剤組成物は、冷却すると、キャップされたポリイソシアネート−ポリエステル系ポリウレタンプレポリマー又はイソシアネートキャップされたポリエステルポリウレタンが結晶化するために、優れた垂れ抵抗性を示す。最先端の同等の接着剤組成物と比較すると、本発明の組成物中のポリエステルポリウレタンプレポリマーは、溶融状態でポリエーテルポリウレタンプレポリマーと混和性であり、冷却されるとポリエーテルポリウレタン液体マトリックス内の凝集性固体網目のために結晶化する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において使用される場合、1つ又はそれ以上は、少なくとも1つの、或いは1つを超える記載の構成要素を開示されたものとして使用できることを意味する。官能価に関して使用される公称は、理論的官能価を意味し、一般にこれは使用される成分の化学量論から計算することができる。一般に、実際の官能価は、原材料の不完全性、反応物質の不完全な変換、及び副生成物の形成のために異なる値になる。本明細書において使用される場合、高粘稠ペーストは、レオメーターのボーリン(Bohlin)CSをひずみモードで制御し、コーン−プレートシステムCP 4/20を1.075(s−1)の剪断速度で使用して測定される粘度が50,000Pasを超える(>50,000Pas)、好ましくは100,000Pasを超える(>100,000Pas)生成物を意味する。本明細書において使用される場合、低粘稠ペーストは、上述のように測定される粘度が10,000Pas未満(<10,000Pas)、好ましくは8000Pas未満(<8000Pas)である生成物を意味する。
【0010】
1つ又はそれ以上のイソシアネート官能性ポリエーテルポリオールポリウレタンプレポリマーは、本発明の組成物に接着特性を付与するのに十分な量で存在する。イソシアネート官能性ポリエーテルポリオールポリウレタンプレポリマーは、液体状態であり、接着剤の液体マトリックスとなる。このようなプレポリマーの平均イソシアネート官能価は、硬化することによって架橋ポリウレタンを調製できるのに十分であるが、そのポリマーが不安定となるほど高くはない。この状況における安定性とは、プレポリマー、又はそのプレポリマーから調製された接着剤が、周囲温度において少なくとも6か月の貯蔵寿命を有し、そのような期間中その適用又は使用を妨げる粘度増加を示さないことを意味する。好ましいポリエーテルポリウレタンプレポリマーは、Zhouの米国特許出願公開第2005/0054764号明細書の段落12から20に開示されており、これは参照として本明細書に援用される。
【0011】
本発明のイソシアネート官能性ポリエーテルポリオールポリウレタンプレポリマーは、1つ又はそれ以上のポリイソシアネートと、1つ又はそれ以上のポリエーテルジオール及び1つ又はそれ以上のポリエーテルトリオールの混合物との反応生成物であり、当量を基準にして過剰のポリイソシアネートが存在する。本発明において使用されるプレポリマーの調製への使用が好ましいポリイソシアネートとしては、米国特許第5,922,809号明細書の3欄32行から4欄24行に開示されるものが挙げられ、これは参照として本明細書に援用される。好ましくは、ポリイソシアネートは、芳香族又は脂環式のポリイソシアネート、例えばジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートであり、最も好ましくはジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートである。ジオール及びトリオールは総称してポリオールと呼ばれる。本発明において有用なポリオールは、米国特許第5,922,809号明細書の4欄60行から5欄50行に記載のポリオールに対応するジオール及びトリオールであり、この文献は参照として本明細書に援用される。好ましくは、ポリオール(ジオール及びトリオール)はポリエーテルポリオール、より好ましくはポリオキシアルキレンオキシドポリオールである。最も好ましいトリオールは、グリセリンをプロピレンオキシドと反応させた後、その生成物をエチレンオキシドと反応させることによって調製されるエチレンオキシドでキャップされたポリオールである。一実施形態においては、本発明のプレポリマーは、有機系ポリマーの粒子を中に分散させた分散体トリオールも含む。好ましい分散体トリオールは、Zhouの米国特許第6,709,539号明細書の4欄13行から6欄18行に開示されており、これは参照として本明細書に援用される。
【0012】
イソシアネートの大部分のイソシアネート基と反応し、プレポリマーの所望の遊離イソシアネート含有率に対応した十分なイソシアネート基が残留するのに十分な量で、ポリオールは存在する。好ましくは、ポリオールは、プレポリマーを基準にして約50重量部又はそれ以上、より好ましくは約65重量部又はそれ以上、最も好ましくは約80重量部又はそれ以上の量で存在する。好ましくは、ポリオールは、プレポリマーを基準にして約90重量部又はそれ以下、最も好ましくは約85重量部又はそれ以下の量で存在する。
【0013】
本発明のイソシアネート官能性ポリエーテルポリオールポリウレタンプレポリマーは、可塑剤をさらに含むことができる。プレポリマー中に有用となる可塑剤は、ポリウレタン接着剤用途に有用である一般的な可塑剤であり、当業者には周知である。可塑剤は、最終接着剤組成物中にプレポリマーを分散させるのに十分な量で存在する。可塑剤は、プレポリマーの調製中、又は接着剤組成物の配合中のいずれかにおいて接着剤に加えることができる。好ましくは、可塑剤は、プレポリマー配合物(プレポリマー+可塑剤)の約1重量部又はそれ以上、より好ましくは約5重量部又はそれ以上、最も好ましくは約10重量部又はそれ以上で存在する。好ましくは、可塑剤は、プレポリマー配合物の約50重量部又はそれ以下、より好ましくは約40重量部又はそれ以下で存在する。
【0014】
本発明のイソシアネート官能性ポリエーテルポリオールポリウレタンプレポリマーは、あらゆる好適な方法によって、例えばポリオールを、化学量論を超える過剰の1つ又はそれ以上のポリイソシアネートと、イソシアネート官能性を有するプレポリマーを形成するのに十分な反応条件下で反応させることによって調製することができる。一方法がHsiehの米国特許第5,852,137号明細書の4欄65行から5欄12行に開示されており、これは参照として本明細書に援用される。
【0015】
本発明のイソシアネート官能性ポリエーテルポリオールポリウレタンプレポリマーは、結果として得られる接着剤が硬化したときに基材が互いに接合されるのに十分な量で接着剤組成物中に存在する。好ましくは、イソシアネート官能性ポリエーテルポリオールポリウレタンプレポリマーは、接着剤組成物の約30重量部又はそれ以上、より好ましくは約35重量部又はそれ以上、最も好ましくは約40重量部又はそれ以上の量で存在する。好ましくは、イソシアネート官能性ポリオールポリウレタンプレポリマーは、接着剤組成物の約60重量部又はそれ以下、より好ましくは約55重量部又はそれ以下、さらにより好ましくは約50重量部又はそれ以下の量で存在する。
【0016】
一実施形態においては、本発明の組成物は、1つ又はそれ以上のポリイソシアネートと1つ又はそれ以上のポリエステルポリオールとの反応生成物を含み、その反応生成物が、1つ又はそれ以上の単官能性ポリアルキレングリコールでさらにキャップされているポリエステルポリオールポリウレタンプレポリマー(本明細書では以降、キャップされたポリイソシアネート−ポリエステル系プレポリマーと記載)(b)をさらに含む。この状況で使用されるキャップされたとは、ポリイソシアネート−ポリエステル系プレポリマーの反応性基の実質的にすべてが単官能性ポリアルキレングリコールと反応していることを意味する。キャップされる前のポリイソシアネート−ポリエステルポリオールポリウレタンプレポリマーは、1つ又はそれ以上のポリイソシアネートから誘導される末端イソシアネート部分を含有する。キャップされたポリイソシアネート−ポリエステル系プレポリマーは、1つ又はそれ以上のポリエステルポリオールを使用して調製することができるし、1つ又はそれ以上のポリエステルポリオールと1つ又はそれ以上の他のポリオールとの組み合わせを使用して調製することもできる。好ましくは、ポリエステルポリオールはキャップされたポリイソシアネート−ポリエステル系プレポリマー中に、キャップされたプレポリマーの重量を基準にして約30重量パーセント又はそれ以上、より好ましくは約50重量パーセント又はそれ以上の量で存在する。好ましくは、ポリエステルポリオールは、キャップされたポリイソシアネート−ポリエステル系プレポリマー中に、プレポリマーの重量を基準にして約90重量パーセント又はそれ以下、より好ましくは約80重量パーセント又はそれ以下、最も好ましくは約75重量パーセント又はそれ以下の量で存在する。本発明のキャップされたポリイソシアネート−ポリエステル系ポリウレタンプレポリマーは、本明細書に記載されるように機能するのに適切な融点及び結晶点を有するような数平均分子量を有する。好ましくは、この数平均分子量は約2,000ダルトン又はそれ以上、より好ましくは約3,500ダルトン又はそれ以上、最も好ましくは約5,000ダルトン又はそれ以上である。好ましくは、数平均分子量は約15,000ダルトン又はそれ以下、より好ましくは約10,000ダルトン又はそれ以下、最も好ましくは約9,000ダルトン又はそれ以下である。
【0017】
本発明のポリエステルポリオールは、周囲温度において結晶であり所望の温度範囲で溶融する画定された性質の要求に適合しているあらゆるポリエステルポリオール組成物であってよい。好ましいポリエステルポリオールは線状二酸と線状ジオールとから調製される。より好ましい二酸は、飽和線状C−C12二酸である。より好ましいジオールはC2−6ジオールであり、ブタンジオール、ペンタンジオール、及びヘキサンジオールが最も好ましい。好ましいポリエステルポリオールはデグサ(Degussa)より商品名ダイナコール(Dynacoll)及び名称7360、7380、及び7381で入手可能であり、7381がより好ましい。
【0018】
本発明の単官能性ポリアルキレングリコールは、その鎖の一端に活性水素、他端に不活性非反応性部分を有する。活性水素部分は、好ましくは第1級又は第2級アミン、或いはヒドロキシルであり、より好ましくはヒドロキシルである。不活性部分は、活性水素部分及びイソシアネートと反応しないあらゆる部分、例えばヒドロカルビルオキシ、好ましくはアルコキシ、アリールオキシ、アルキルアリールオキシなどであってよい。好ましくは、不活性部分はアルコキシである。より好ましくはC1−12アルコキシ、さらにより好ましくはC1−6アルコキシ、最も好ましくはC1−4アルコキシである。一実施形態においては、ポリアルキレングリコールは、単官能性ヒドロキシル置換炭化水素で開始した(initiate)ポリアルキレングリコールであり、その一端にヒドロカルビルオキシ部分、他端に活性水素基を含む。両末端基の間には複数のアルキレンオキシド部分が存在する。或いはこの化合物は単官能性ヒドロカルビルオキシポリアルキレンオキシグリコールと呼ばれる場合もある。アルキレンオキシド部分は、好ましくはエチレンオキシド部分、プロピレンオキシド部分、ブチレンオキシド部分、又はそれらの混合物を含み、エチレンオキシド部分、プロピレンオキシド部分、又はそれらの混合物が好ましい。キャップされたポリイソシアネートポリエステルポリオールポリウレタンプレポリマーが低粘稠状態(液体状態又は溶融状態)にあるときに、キャップされたポリイソシアネート−ポリエステルポリオールポリウレタンプレポリマーがイソシアネート官能性ポリエーテルプレポリマーに対して混和性となるような数平均分子量を単官能性ポリアルキレングリコールが有する。好ましくは、ポリアルキレングリコールの数平均分子量は約200又はそれ以上、より好ましくは約500又はそれ以上である。好ましくは、ポリアルキレングリコールの数平均分子量は約2,000又はそれ以下、より好ましくは約1,000又はそれ以下である。
【0019】
キャップされたポリイソシアネート−ポリエステル系ポリウレタンプレポリマーは、本明細書で前述した方法及びイソシアネートを使用して調製することができる。より具体的には、1つ又はそれ以上のポリエステルポリオールを過剰の1つ又はそれ以上のポリイソシアネートと反応させて、イソシアネート末端ポリエステル系プレポリマーを調製する。この工程は、好ましくは不活性雰囲気中、すなわち窒素又はアルゴン下、或いは真空中で行われる。これらの成分の反応は約60℃から約100℃、好ましくは約70℃から約80℃の温度で行われる。この反応は、イソシアネート部分と活性水素含有化合物との反応を触媒する典型的な触媒の存在下で行うことができるが、触媒が必須ではない。このような触媒は、本出願の他の箇所で説明している。この工程は、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの反応が完了するのに十分な時間で行われる。好ましくは、この反応は約15分から約150分、より好ましくは約20分から約60分で進行させることができる。その後、イソシアネート官能性ポリエステルポリオールポリウレタンプレポリマーの実質的にすべてのイソシアネート部分がポリアルキレングリコールでキャップされる条件下で、イソシアネート官能性ポリエステルポリオールポリウレタンプレポリマーを単官能性ポリアルキレングリコールと反応させる。実質的にすべてのイソシアネート部分がキャップされるのを保証するために、存在するイソシアネート部分の数に対して1当量のポリアルキレングリコールが好ましくは使用される。好ましくは、ほとんど又は全く単官能性ポリアルキレングリコールが残留しない。この工程は、好ましくは不活性雰囲気中、すなわち窒素又はアルゴン下、或いは真空中で行われる。これらの成分の反応は約60℃から約100℃、好ましくは約70℃から約80℃の温度で行われる。この反応は、イソシアネート部分と活性水素含有化合物との反応を触媒する典型的な触媒の存在下で行うことができるが、触媒が必須ではない。この工程は、ポリアルキレングリコールとイソシアネート部分との反応が完了するのに十分な時間で行われる。好ましくは、この反応は約15分から約150分、より好ましくは約20分から約60分で進行させることができる。
【0020】
別の一実施形態においては、本発明の組成物は、1つ又はそれ以上の単官能性イソシアネートの残基でキャップされた1つ又はそれ以上のポリエステルポリオール(以降、イソシアネートキャップされたポリエステル)を含む。この状況におけるキャップされたとは、1つ又はそれ以上のポリエステルポリオールの活性水素含有官能基を1つ又はそれ以上の単官能性イソシアネートと反応させることを意味する。この状況においては、活性水素含有官能性部分の実質的にすべてが、1つ又はそれ以上の単官能性イソシアネートと反応する。この状況における残基とは、成分の反応後にポリエステルポリオールに結合している単官能性イソシアネートの部分を意味する。有用なポリエステルポイオール(polyester poyol)は本明細書において既に説明している。本発明において有用な単官能性ポリイソシアネートとしては、ポリエステルポリオールと反応し、イソシアネートキャップされたポリエステルが液体状態にある(すなわち溶融している)温度でポリエステルポリオールのイソシアネート官能性ポリエーテルポリオールポリウレタンプレポリマーに対する混和性を改善する単官能性ポリイソシアネートが挙げられる。好ましい単官能性イソシアネートとしては、イソシアナトシラン、及びヒドロカルビルスルホニルイソシアネートが挙げられる。好ましいヒドロカルビルスルホニルイソシアネートとしては、アリールスルホニルイソシアネート及びアルキルアリールスルホニルイソシアネートが挙げられ、より好ましくはトルオールスルホニルイソシアネートが挙げられる。イソシアナトシランは、1つのイソシアネート部分と1つ又はそれ以上のシラン部分とを含む。好ましくは、イソシアネート部分とシラン部分とが、ヒドロカルビレン主鎖、より好ましくはアルキレン部分に結合している。好ましいイソシアナトシランとしては、イソシアナトヒドロカルビルシランが挙げられる。より好ましいイソシアナトシランとしては、イソシアネート部分とシラン部分との間にC1−3アルキレン基を有するイソシアナトアルキルシランが挙げられる。
【0021】
イソシアネートキャップされたポリエステルは、ポリエステルポリオールを、1当量又は過剰の1つ又はそれ以上の単官能性イソシアネートと反応させてイソシアネートキャップされたポリエステルポリオールを形成することによって調製することができる。この工程は、好ましくは不活性雰囲気、すなわち窒素又はアルゴン下、或いは真空中で行われる。成分の反応は約60℃から約100℃、好ましくは約70℃から約80℃の温度で行われる。この反応は、イソシアネート部分と活性水素含有化合物との反応を触媒する典型的な触媒の存在下で行うことができるが、触媒が必須ではない。このような触媒は、本出願の他の箇所で説明している。この工程は、ポリエステルポリオールと単官能性イソシアネートとの反応が完了するのに十分な時間で行われる。好ましくは、この反応は約10分から約90分、より好ましくは約20分から約60分で進行させることができる。
【0022】
本発明のキャップされたポリエステルポリオールポリウレタンプレポリマー又はイソシアネートキャップされたポリエステルポリオールは、重力により基材が互いに移動するのを防止するのに十分なグリーン強度を本発明による接着剤組成物に付与するような融点を有する。乗り物又は建築物の窓の取り付けに関して、本発明の接着剤組成物は、取り付け後に窓がスライドするのを防止する。キャップされたポリエステルポリオールポリウレタンプレポリマー又はイソシアネートキャップされたポリエステルポリオールは、必要なグリーン強度を付与するのに十分な融点を有する。好ましくは、これらは約40℃又はそれ以上、さらにより好ましくは約50℃又はそれ以上、最も好ましくは約60℃又はそれ以上の融点を有する。好ましくは、これらは約90℃又はそれ以下、最も好ましくは約70℃又はそれ以下の融点を示す。好ましくは、キャップされたポリエステルポリオールポリウレタンプレポリマー又はイソシアネートキャップされたポリエステルポリオールは、必要なグリーン強度を付与するのに十分な量で本発明の接着剤組成物中に存在する。キャップされたポリエステルポリオールポリウレタンプレポリマー又はイソシアネートキャップされたポリエステルポリオールの量は、それらが低粘稠(液体状態)となる温度、すなわち約40℃から約80℃、好ましくは約60℃から約70℃において混合物が存在する場合に、イソシアネート官能性プレポリマーに対して混和性となるのに十分少なくなるようにも選択される。本明細書において使用される場合、混和性とは、キャップされたポリイソシアネート−ポリエステルポリオール−ポリウレタンプレポリマー又はイソシアネートキャップされたポリエステルポリオールが低粘稠(液体状態)となる温度において、混合物が単相を形成することを意味する。好ましくは、キャップされたポリエステルポリウレタンポリオールポリウレタンプレポリマー又はイソシアネートキャップされたポリエステルポリオールは、接着剤組成物中に、接着剤組成物の重量を基準にして約0.1重量部又はそれ以上、最も好ましくは約0.7重量部又はそれ以上の量で存在する。好ましくは、ポリエステルポリオールポリウレタンプレポリマー又はイソシアネートキャップされたポリエステルポリオールは、接着剤中に、接着剤組成物の重量を基準にして約10重量部又はそれ以下、より好ましくは約3.7重量部又はそれ以下の量で存在する。
【0023】
本発明の接着剤の任意選択成分として、補強用フィラーが挙げられる。このようなフィラーは当業者には周知であり、カーボンブラック、二酸化チタン、炭酸カルシウム、表面処理シリカ、酸化チタン、ヒュームシリカ、タルクなどが挙げられる。好ましい補強用フィラーは、本明細書で前述したカーボンブラックを含む。一実施形態においては、2種類又はそれ以上の補強用フィラーを使用することができ、その中の1つがカーボンブラックであり、接着剤に所望の黒色を付与するのに十分な量のカーボンブラックが使用される。補強用フィラーは、接着剤の強度を増加させ、接着剤にチキソトロピー性を付与するのに十分な量で使用される。本発明の組成物は、好ましくは組成物に所望の黒色、レオロジー、及び垂れ抵抗性を付与するためにもカーボンブラックを含む。組成物中のカーボンブラックの量は、所望の色、レオロジー、及び垂れ抵抗性を付与する量である。カーボンブラックは、組成物の重量を基準にして好ましくは約10重量部又はそれ以上、より好ましくは約15重量部又はそれ以上、最も好ましくは約20重量部又はそれ以上の量で使用される。カーボンブラックは、組成物の重量を基準にして好ましくは約35重量部又はそれ以下、より好ましくは約30重量部又はそれ以下、最も好ましくは約25重量部又はそれ以下の量で存在する。
【0024】
本発明の接着剤は、イソシアネート部分と水又は活性水素含有化合物との反応を触媒する触媒も含有する。触媒は、イソシアネート部分と水又は活性水素含有化合物との反応のための当業者に公知のあらゆる触媒であってもよい。特に好ましい触媒は有機スズ化合物、金属アルカノエート、及び第3級アミンである。有用な有機スズ触媒としては、化合物、例えばアルキルスズオキシド、第一スズアルカノエート、ジアルキルスズカルボキシレート、及びスズメルカプチドが挙げられる。第一スズアルカノエートとしては、第一スズオクタノエートが挙げられる。アルキルスズオキシドとしては、ジアルキルスズオキシド、例えばジブチルスズオキシド及びその誘導体が挙げられる。有機スズ触媒は、好ましくはジアルキルスズジカルボキシレート又はジアルキルスズジメルカプチドである。ジアルキルスズジカルボキシレートは、好ましくは式(ROC(O))−Sn−(Rに対応し、式中のRは、出現ごとに独立にC1−10アルキル、好ましくはC1−3アルキル、最も好ましくはメチルである。総炭素原子数の少ないジアルキルスズジカルボキシレートが、本発明において使用される組成物に対してより活性の高い触媒となるため好ましい。好ましいジアルキルジカルボキシレートとしては、1,1−ジメチルスズジラウレート、1,1−ジブチルスズジアセテート、及び1,1−ジメチルジマレエートが挙げられる。好ましい金属アルカノエートとしては、ビスマスオクトエート又はビスマスネオデカノエートが挙げられる。有機スズ又は金属アルカノエート触媒は、接着剤の重量を基準にして約60ppm又はそれ以上、より好ましくは120ppm又はそれ以上の量で存在する。有機スズ又は金属アルカノエート触媒は、接着剤の重量を基準にして約1.0重量部又はそれ以下、より好ましくは約0.5重量部又はそれ以下、最も好ましくは約0.1重量部又はそれ以下の量で存在する。
【0025】
特に好ましい第3級アミンは、ジモルホリノジアルキルエーテル、ジ((ジアルキルモルホリノ)アルキル)エーテル、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルピペラジン 4−メトキシエチルモルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、及びそれらの混合物である。より好ましい第3級アミンとしては、ジモルホリノジエチルエーテル又は(ジ−(2−(3,5−ジメチル−モルホリノ)エチル)エーテル)が挙げられる。第3級アミンは、好ましくは、接着剤の重量を基準にして、接着剤を基準にして約0.01重量部又はそれ以上、より好ましくは約0.05重量部又はそれ以上、さらにより好ましくは約0.1重量部又はそれ以上、最も好ましくは約0.2重量部又はそれ以上、及び約2.0重量部又はそれ以下、より好ましくは約1.75重量部又はそれ以下、さらにより好ましくは約1.0重量部又はそれ以下、最も好ましくは約0.4重量部又はそれ以下の量で使用される。
【0026】
本発明の接着剤は、接着剤組成物中での使用が先行技術において公知であるフィラー及び添加剤とともに配合することができる。このような材料を加えることによって、物理的性質、例えばレオロジー、流量などを調整することができる。しかし、プレポリマーの湿気に敏感な基の早期加水分解を防止するために、フィラーをそれと混合する前に十分乾燥させるべきである。
【0027】
接着剤組成物中の任意選択の材料として特にクレーが挙げられる。本発明における使用に好ましいクレーとしては、カオリン、表面処理カオリン、焼成カオリン、アルミニウムシリケート、及び表面処理無水アルミニウムシリケートが挙げられる。クレーは、圧送可能な接着剤の配合を促進するあらゆる形態で使用することができる。好ましくは、クレーは、粉砕粉、噴霧乾燥ビーズ、又は微粉砕粒子の形態である。クレーは接着剤組成物の約0重量部又はそれ以上、より好ましくは約5重量部又はそれ以上、さらにより好ましくは約10重量部又はそれ以上の量で使用することができる。好ましくは、クレーは接着剤組成物の約35重量部又はそれ以下、より好ましくは約20重量部又はそれ以下の量で使用される。
【0028】
本発明の接着剤組成物は、レオロジー特性を所望のコンシステンシーまで調整するために可塑剤をさらに含むことができる。このような材料は、水を含有せず、イソシアネート基に対して不活性であり、ポリマーに対して相溶性であるべきである。好適な可塑剤は当分野において周知であり、好ましい可塑剤としては、アルキルフタレート、例えばジイソノニルフタレート又はジイソデシルフタレート、部分水素化テルペン、トリオクチルホスフェート、トルエン−スルファミド、アルキルスルホン酸のエステル、アジピン酸エステル、ヒマシ油、トルエン、並びにアルキルナフタレンが挙げられる。接着剤組成物中の可塑剤の量は、所望のレオロジー特性が得られる量である。本明細書において開示される量は、プレポリマーの調製中、及び接着剤の配合中に加えられる量を含んでいる。好ましくは、可塑剤は、接着剤組成物中に、接着剤組成物の重量を基準にして約0重量部又はそれ以上、より好ましくは約5重量部又はそれ以上、最も好ましくは約10重量部又はそれ以上の量で使用される。可塑剤は、好ましくは接着剤組成物の総量を基準にして約45重量部又はそれ以下、より好ましくは約40重量部又はそれ以下の量で使用される。
【0029】
本発明の組成物は、安定剤をさらに含むことができ、これは、接着剤組成物を湿気から保護する機能を果たし、それによって接着剤配合物中のイソシアネートの早期架橋の進行が防止され予防される。当業者に公知の湿気硬化型接着剤用安定剤を、好ましくは本発明において使用することができる。このような安定剤としては特に、ジエチルマロネート、アルキルフェノールアルキレート、パラトルエンスルホン酸イソシアネート、ベンゾイルクロライド、及びオルトアルキルホルメートが挙げられる。このような安定剤は、接着剤組成物の全重量を基準にして好ましくは約0.1重量部又はそれ以上、好ましくは約0.5重量部又はそれ以上、より好ましくは約0.8重量部又はそれ以上の量で使用される。このような安定剤は、接着剤組成物の重量を基準にして約5.0重量部又はそれ以下、より好ましくは約2.0重量部又はそれ以下、最も好ましくは約1.4重量部又はそれ以下の量で使用される。
【0030】
本発明の組成物は、接着促進剤、例えばMahdiの米国特許出願公開第2002/0100550号明細書の段落0055から0065及びHsiehの米国特許第6,015,475号明細書の5欄27行から6欄41行に開示される接着促進剤をさらに含むことができ、これらの文献は参照として本明細書に援用される。このような接着促進剤の有用な量もこれらの参考文献に開示されており、それらも参照として本明細書に援用される。
【0031】
本発明の接着剤組成物は、大気中の水分を組成物中に引き込む機能を果たす親水性材料をさらに含むことができる。この材料は、大気中の水分を組成物に引き込むことによって配合物の硬化速度を増加させる。好ましくは、この親水性材料は液体である。特に好ましい吸湿性材料としては、ピロリドン類、例えば1メチル−2−ピロリドン(又はN−メチルピロリドン)が挙げられる。親水性材料は、好ましくは約0.1重量部又はそれ以上、より好ましくは約0.3重量部又はそれ以上、及び好ましくは約1.0重量部又はそれ以下、最も好ましくは約0.6重量部又はそれ以下の量で存在する 場合により、本発明の接着剤組成物は、チキソトロープ(レオロジー添加剤)をさらに含むことができる。このようなチキソトロープは当業者には周知であり、アルミナ、石灰石、タルク、ヒュームドシリカ、炭酸カルシウム、パーライト、シクロデキストリンなどが挙げられる。チキソトロープは、所望のレオロジー特性を得るのに十分な量で組成物の接着剤に加えることができる。好ましくは、チキソトロープは、接着剤組成物の重量を基準にして約0重量部又はそれ以上、好ましくは約1重量部又はそれ以上の量で存在する。好ましくは、任意選択のチキソトロープは、接着剤組成物の重量を基準にして約10重量部又はそれ以下、より好ましくは約2重量部又はそれ以下の量で存在する。
【0032】
接着剤組成物中に一般的に使用される他の成分を本発明の接着剤組成物中に使用することができる。このような材料は当業者には周知であり、紫外線安定剤及び酸化防止剤などを挙げることができる。本明細書において使用される場合、接着剤組成物の成分に関するすべての重量部は、接着剤組成物の100総重量部を基準にしている。
【0033】
本発明の接着剤組成物は、当分野において周知の手段を使用して成分を互いにブレンドすることによって配合することができる。一般に、成分は好適なミキサー中でブレンドされる。このようなブレンドは好ましくは、早期反応を防止するために酸素及び大気中の水分が存在しない不活性雰囲気中で行われる。イソシアネート官能性ポリエーテルポリウレタンプレポリマー、キャップされたポリエステルポリオールポリウレタンプレポリマー、及びイソシアネートキャップされたポリエステルポリオールを調製するために反応混合物に可塑剤を加えることが好都合となる場合があり、それによってそのような混合物は混合及び取り扱いが容易になる場合がある。或いは、可塑剤はすべての成分のブレンド中に加えることもできる。成分は、ポリエステルポリオールポリウレタンプレポリマー及びイソシアネートキャップされたポリエステルポリオールが液体(低粘稠状態)となる温度でブレンドされる。好ましくは、成分は、約50℃から約90℃、より好ましくは約60℃から約80℃の温度でブレンドされる。好ましくは、材料は、真空下、或いは不活性ガス下、例えば窒素又はアルゴン下でブレンドされる。成分は、十分にブレンドされた混合物を調製するのに十分な時間、好ましくは約10から約60分ブレンドされる。接着剤組成物は、配合された後、大気中の水分及び酸素から保護されるように好適な容器中に包装される。大気中の水分及び酸素と接触すると、イソシアネート基を含有するポリウレタンプレポリマーの早期架橋が発生することがある。
【0034】
本発明の接着剤組成物は、本明細書において前述したように種々の基材を互いに接合するために使用される。本発明の組成物多孔質及び非多孔質の基材を互いに接合するために使用することができる。本発明の接着剤組成物を、基材に適用し、次にその第1の基材上の接着剤を第2の基材と接触させる。好ましい実施形態においては、接着剤が適用される表面は、清浄にされ、場合により適用前に活性化及び/又はプライマー処理が行われ、例えば米国特許第4,525,511号明細書、第3,707,521号明細書、及び第3,779,794号明細書が参照され、これらすべての関連部分が参照として本明細書に援用される。一般に本発明の接着剤は、組成物が圧送可能である温度、及び組成物中のプレポリマーが低粘稠ペースト(液体状態)である温度で適用される。好ましくは、本発明の接着剤組成物は、適用のために約50℃又はそれ以上の温度、より好ましくは約60℃又はそれ以上の温度に加熱される。好ましくは、本発明の接着剤組成物は、適用のために約90℃又はそれ以下の温度、より好ましくは約70℃又はそれ以下の温度に加熱される。本発明の接着剤組成物は、大気中の水分の存在下で硬化する。接着剤を硬化させるためには大気中の水分への曝露で十分である。硬化は、追加の水の添加によって、又は対流熱、マイクロ波加熱などによって硬化性接着剤に熱を与えることによって加速させることができる。好ましくは、本発明の接着剤は、少なくとも約3分又はそれ以上、より好ましくは約5分又はそれ以上のオープンタイムが得られるように配合される。「オープンタイム」は、接着剤を第1の基材に適用してから、高粘稠ペーストとなり始め、組立中に第2の基材の形状に適合してそれに接着する変形が起こらなくなるまでの時間を意味するものと理解されたい。
【0035】
本発明の接着剤組成物は、好ましくはガラスを別の基材、例えば金属又はプラスチックに接合するために使用される。好ましい一実施形態においては、第1の基材がガラス窓であり、第2の基材が窓枠である。別の好ましい一実施形態においては、第1の基材がガラス窓であり、第2の基材が自動車の窓枠である。好ましくは、ガラス窓は清浄され、接着剤が接合される領域にガラスワイプ(glass wipe)又はプライマーを適用することができる。窓フランジは、ペイントプライマーを下塗りすることができる。本発明の接着剤は、乗り物中に取り付けられたときに窓フランジに接触するように配置された窓の周辺部にビーズとして適用される。接着剤を上に有する窓は、窓とフランジとの間に接着剤が配置するようにフランジ内に取り付けられる。接着剤のビーズは、窓と窓フランジとの間の接合部を封止する機能を果たす連続ビーズとなる。接着剤の連続ビーズは、窓とフランジとの間に連続シールを形成するように、接触したときにビーズが各末端部で接触するように配置されたビーズである。続いて、接着剤を硬化させることができる。本発明の接着剤は、組立後1分未満、より好ましくは20秒未満で、窓の動きを防止するのに十分なグリーン強度を有する。
【0036】
別の一実施形態においては、本発明の組成物は、モジュール構成要素を車体と、又は互いに接合するために使用することができる。モジュール構成要素の例としては、乗り物のモジュール、例えばドア、窓、又は車体が挙げられる。
【0037】
本明細書に記載される分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(SECとも呼ばれる)によって測定することができる数平均分子量である。ポリウレタンプレポリマーの場合、当業者には公知のように反応するイソシアネート化合物の当量比及びポリオール化合物の当量比から近似的な数平均分子量を計算することもできる。
【0038】
本発明の説明的実施形態
以下の実施例は、本発明の説明のために提供するものであり、本発明の範囲の限定を意図したものではない。特に明記しない限り、すべての部数及びパーセント値は重量を基準としている
【実施例1】
【0039】
ポリエーテル系プレポリマー(a)の調製
100gの溶融した純粋4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを50℃の温度の実験用反応器に量り取り、250gのポリオキシプロピレンエーテルジオールMW2000と310gのエチレンオキシドキャップされたポリオキシプロピレンエーテルトリオールMW4500とを加え、ジ−イソノニルフタレート中0.5%スズ−オクトエート溶液4gで触媒する。反応器を70℃で1時間維持した後、340gジ−イソノニルフタレートを加える。
【実施例2】
【0040】
アダクト1(b1)の調製
81gの溶融した純粋4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを50℃の温度の実験用反応器に量り取り、次に131gジ−イソノニルフタレート(50℃)と、デグサより入手可能な538gの溶融したダイナコール(DYNACOLL)(商標)7381線状コポリエステルジオール(70℃)とを加える。反応器を70℃で1時間維持する。ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー(The Dow Chemical Company)より商標及び名称サイナロックス(Synalox)100−20Bで入手可能な250gのポリプロピレングリコールn−ブチルエーテルを加え、反応器を70℃で1時間維持する。4%アダクト1と96%プレポリマー(a)とのブレンドは23℃において非流動性の固体蝋状ペーストである。70℃において、最高10%アダクト1がプレポリマー(a)に対して混和性となる。
【実施例3】
【0041】
アダクト2(b2)の調製
秤量した742.5gの溶融したダイナコール(DYNACOLL)(商標)7381線状コポリエステルジオールを温度70℃の実験用反応器に入れ、次に175gのジ−イソノニルフタレート(60℃)と82.5gのp−トルオールスルホニルイソシアネートとを加える。反応器を70℃で1時間維持する。3%アダクト2と97%プレポリマー(a)とのブレンドは23℃において非流動性の固体蝋状ペーストである。70℃において、20%を超える(>20%)アダクト2がプレポリマー(a)に対して混和性となる。
【実施例4】
【0042】
接着剤1の調製(比較例)
2270gのプレポリマー(a)、875gのカーボンブラック、350gの焼成チャイナクレー、及び5.3gのトリエチレンジアミンと1,1−ジブチルスズジアセテートとのグリコール酸塩(エア・プロダクツ(Air products)より商標及び商品名ダブコ(Dabco)DC 2で入手可能)を遊星ブレンダー中、真空下60℃において1時間ブレンドする。得られた垂れ抵抗性ペーストを、耐水蒸気性カートリッジ中に充填する。この接着剤の性質を以下の表に示す。
【実施例5】
【0043】
接着剤2の調製
2172gのプレポリマー(a)、875gのカーボンブラック、350gの焼成チャイナクレー、98gのアダクト1、及び5.3gのトリエチレンジアミンと1,1−ジブチルスズジアセテートとのグリコール酸塩(エア・プロダクツ(Air Products)より商標及び商品名ダブコ(Dabco)DC 2で入手可能)を遊星ブレンダー中、真空下70℃において1時間ブレンドする。得られた垂れ抵抗性ペーストを、耐水蒸気性カートリッジ中に充填する。接着剤中のダイナコール(DYNACOLL)(商標)7381線状コポリエステルジオール含有率は1.5%である。この接着剤の性質を以下の表に示す。
【実施例6】
【0044】
接着剤3の調製
2196gのプレポリマー(a)、875gのカーボンブラック、350gの焼成チャイナクレー、73.5gのアダクト2、及び5.3gのトリエチレンジアミンと1,1−ジブチルスズジアセテートとのグリコール酸塩(エア・プロダクツ(Air Products)より商標及び商品名ダブコ(Dabco)DC 2で入手可能)を遊星ブレンダー中、真空下70℃において1時間ブレンドする。得られた垂れ抵抗性ペーストを、耐水蒸気性カートリッジ中に充填する。接着剤中のダイナコール(DYNACOLL)(商標)7381線状コポリエステルジオール含有率は1.5%である。この接着剤の性質を以下の表に示す。
【0045】
静荷重を使用した垂れ試験
一方の側部に6mmの孔を有する100×20×5mmの2枚のアルミニウム試験片を使用して、ラップ剪断(lap shear)サンプルを作成する。試験片の重なり合う領域20×20mm上に、プライマーを適用する。接着剤を使用して20×20×5mmで重なり合う実験用剪断(lab shear)サンプルを作成する。適用開始から1分後及び5分後、サンプルを実験スタンドにひっかけ、サンプルの反対側の端部に500gの重りを取り付ける。12時間後、サンプル全体の長さを測定し元の長さを減算することによって垂れを求める。この静荷重は0.0125N/mm2の応力に相当し、これは大型車のフロントスクリーンに作用する応力の約5倍である。
【0046】
ガラススクリーン滑り試験
この試験装置は、a)合計重量を4200gにするための追加の金属製重りを有するガラス板と、b)上端にデッドストップを有する350×350mmのアルミニウム板とからなる。この板は垂直位置でスタンドに固定することができる。底辺10mm及び高さ10mmの1つの接着剤ビーズをガラス上に端部から25mm適用し、それによってこの全長は1200mmとなる このガラス板をアルミニウム板に対して水平位置に移動させ、残りの高さが5mmになるまで押し付ける(4つのスペーサーを使用)。この組立体を垂直位置にして、観察される垂れを測定する。この荷重は0.0035N/mm2に相当し、これは大型車のフロントスクリーンに作用する応力の約2倍である。
【0047】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1つ又はそれ以上のイソシアネート官能性ポリエーテルポリウレタンプレポリマーと;
b)1つ又はそれ以上のポリイソシアネートと1つ又はそれ以上のポリエステルポリオールとの1つ又はそれ以上のプレポリマーであって、前記ポリイソシアネート−ポリエステルポリオール系ポリウレタンプレポリマーの末端基が単官能性ポリアルキレングリコールの残基であるプレポリマー、及び/又は、1つ又はそれ以上の単官能性イソシアネートの残基でキャップされた1つ又はそれ以上のポリエステルポリオールとを含む組成物であって;
約40から約80℃の温度において低粘稠ペーストとなり、約40℃未満の温度において高粘稠ペーストとなる、組成物。
【請求項2】
c)イソシアネート部分とヒドロキシル基との反応のための1つ又はそれ以上の触媒をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分b)が、1つ又はそれ以上の単官能性イソシアネートの残基でキャップされた1つ又はそれ以上のポリエステルポリオールを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記1つ又はそれ以上の単官能性イソシアネートの残基が、1つ又はそれ以上のイソシアントヒドロカルビルシラン(isocyanto hydrocarbyl silanes)、或いはアリール又はアルカリール(alkaryl)スルホニルイソシアネートの残基を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記1つ又はそれ以上の単官能性イソシアネートの残基が、1つ又はそれ以上のアリール又はアルカリールスルホニルイソシアネートの残基を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
成分b)が、1つ又はそれ以上のポリイソシアネートと1つ又はそれ以上のポリエステルポリオールとの1つ又はそれ以上のプレポリマーを含み、前記ポリイソシアネート−ポリエステルポリオールポリウレタンプレポリマー上の末端基が単官能性ポリアルキレングリコールの残基である、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリアルキレングリコールがC1−12単官能性アルコールで開始したポリアルキレンオキシド鎖であり、前記ポリアルキレンオキシド鎖が、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、ブチレンオキシ、又はそれらの混合物の単位を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項8】
前記単官能性ポリアルキレンオキシドが約500から約2,000の分子量を有する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記1つ又はそれ以上の単官能性ポリアルキレングリコールを末端に有するポリイソシアネート−ポリエステルポリオールポリウレタンプレポリマーが、100部の接着剤組成物当たり約0.1から約10重量部の量で組成物中に存在する、請求項1、2、6、7、及び8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
a)前記1つ又はそれ以上のイソシアネート官能性ポリエーテル系ポリウレタンプレポリマーが約40から約70重量部の量で存在し;
b)前記1つ又はそれ以上の単官能性ポリアルキレングリコールを末端に有するポリイソシアネート−ポリエステル系プレポリマー又はイソシアント(isocyante)キャップされたポリエステルが約0.5から約10重量部の量で存在し;
c)イソシアネート部分とヒドロキシル基との反応のための1つ又はそれ以上の触媒が約0.005から約2重量部の量で存在し;
d)1つ又はそれ以上の種類のカーボンブラックが約5から約35重量部の量で存在し;
組成物の総重量部が100である、請求項1から9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
約45から約70℃の温度において低粘稠ペーストとなり、約35℃又はそれ以下の温度において高粘稠ペーストとなる、請求項1から10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
2つ又はそれ以上の基材を互いに接合する方法であって、前記基材が接触する領域の少なくとも一部に沿って配置された請求項1から11のいずれか1項に記載の組成物と、前記2つ又はそれ以上の基材を互いに接触させることを含み、前記組成物が低粘稠状態にある、方法。
【請求項13】
前記1つ又はそれ以上の基材と接触させる前に前記組成物が約50から約90℃に加熱される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記基材の少なくとも1つが窓ガラスである、請求項15に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの他の基材が建築物又は乗り物である、請求項14に記載の方法。

【公表番号】特表2010−513660(P2010−513660A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542752(P2009−542752)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/013200
【国際公開番号】WO2008/076146
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】