説明

乗客コンベアにおける手すりベルトの保護膜形成方法

【課題】ベルトの表面に形成された保護膜の端部の継ぎ目が目立たなく且つ保護膜全体を均一な厚さに形成する。
【解決手段】一側部のベルト2aの露出部分の表面に、露出部分の一端側から他端側へ向かって表面保護用コーティング剤を塗布して一側第一保護膜層6を形成し、一側第一保護膜層の上に、一側第一保護膜層の両端部6a,6bより内側に表面保護用コーティング剤を塗布して一側第n保護膜層を形成してn層からなる一側の保護膜を形成し、その後、手すりベルト2を回転移動させ、露出した他側部のベルト2bの表面に、一側第一保護膜層の両端部間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第一保護膜層を、この他側第一保護膜層の両端部一側第一保護膜層の両端部と重なるように形成し、一側第n保護膜層の両端部間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第n保護膜層を、この他側第n保護膜層の両端部が一側第n保護膜層の両端部と重なるよう形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータ、動く歩道等の乗客コンベアの手すりベルト表面を保護し美感を維持するための乗客コンベアにおける手すりベルトの保護膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、百貨店やホームセンター、公共施設や駅舎など多くの場所に設置されているエスカレータや動く歩道等の乗客コンベアの手すりベルトは、綿帆布やスチールコード等の強度部材とクロロスルホン化ポリエチレン等の表面部材から構成されている。前記手すりベルトは、長期間の使用により、利用者の手垢、手汗、手脂や空気中の塵埃が付着し、次第に光沢を失ってしまう。また、かかる手すりベルトは、送りローラにより狭圧されて駆動するため、送りローラの摩擦熱や圧力により付着した汚れが表面に蓄積し、細かな土砂が付着して送りローラにより擦られることで光沢を失いその美感が損なわれてしまう。
【0003】
そこで、手すりベルト表面を保護し美感を維持するため、手すりベルトに表面保護用コーティング剤を塗布して手すりベルトの表面に保護膜を形成し、定期的に或いは手すりベルトの表面に形成されている保護膜に汚れが生じてきたとき、手すりベルトの表面に形成されている保護膜を除去し、表面保護用コーティング剤を塗布して新たな保護膜を形成するといった保護膜形成作業が行われている。
【0004】
この保護膜形成作業は、手すりベルトの表面を研磨して保護膜を除去し、表面保護用コーティング剤を塗布して新たな保護膜を形成するが、手すりベルトの表面に望ましい光沢及び耐久性を得るため、表面保護用コーティング剤を重ね塗して複数層の保護膜を形成している。
【0005】
従来、かかる手すりベルトの表面の保護膜形成作業において、手すりベルトの表面に複数層の保護膜を形成する方法として、ベルトガイドレールの表側に位置して露出した状態にある一側部のベルトの露出部分の表面に塗布開始位置及び塗布終了位置を示すマークとしてマスキングテープを貼付し、前記塗布開始位置から前記塗布終了位置の間の前記ベルトの表面にコーティング剤を複数回重ね塗りして複数層の一側の保護膜を形成し、次いで前記一側の保護膜層の両端からマスキングテープを取り除くとともにベルトを回転移動させて、ベルトガイドレールの裏側に位置して隠れた状態にあった他側部のベルトをベルトガイドレールの表側に露出させ、前記一側の保護膜層の両端部間のベルトの表面に、表面保護用コーティング剤を複数回重ね塗りして前記一側の保護膜層と同数層の他方の保護膜を形成する方法や、ベルトガイドレールの表側に位置して露出した状態にある一側部のベルトの表面に塗布開始位置及び塗布終了位置を示すマークとしてマスキングテープを貼付し、前記塗布開始位置から前記塗布終了位置の間の前記ベルトの表面に表面保護用コーティング剤を塗布して一側の第一保護膜層を形成し、前記一方の第一保護膜層の上に、一側の第二保護膜層の塗布開始位置及び塗布終了位置を示すマスキングテープを貼付し、該塗布開始位置から前記塗布終了位置までの間の一側の第一保護膜層の上に表面保護用コーティング剤を塗布して一側の第二保護膜層を形成し、このようにして複数層の一側の保護膜を形成し、次いで前記複数層の一側の保護膜層の両端からマスキングテープを取り除くとともにベルトを回転移動させて、ベルトガイドレールの裏側に位置して隠れた状態にあった他側部のベルトをベルトガイドレールの表側に露出させ、前記一側の第一保護膜層の両端間のベルトの表面に表面保護用コーティング剤を塗布して他方の第一保護膜層を形成し、前記一側の第二保護膜層の両端部間の一側の第一保護膜層の上に表面保護用コーティング剤を塗布して他側の第二保護膜層を形成し、このようにして複数層の他側の保護膜を形成する方法(例えば、特許文献1参照。)が知られている。
【特許文献1】特開平10−182049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような従来の乗客コンベアの手すりベルトに複数層の保護膜を形成する方法によれば、ベルトの表面に塗布開始位置と塗布終了位置を示すマークとしてマスキングテープを貼付し、前記塗布開始位置から前記塗布終了位置の間のベルトの表面に表面保護用コーティング剤を塗布して一側の保護膜を形成するので、前記マスキングテープを取り除いた後の一側の保護膜の両端部、即ち塗布開始位置及び塗布終了位置に形成された保護膜の端部は、ベルトの表面に対して直角面を持つ段状部となってしまう。そのため、一側の保護膜の両端部に塗り継ぎした他側の保護膜との継ぎ目が目立ってしまい見苦しくなり、また、一側の保護膜の端部に他側の保護膜の端部を塗り継ぎしたとき、一側の保護膜の端部に他側の保護膜の端部が乗り上がってしまい、盛り上がって見苦しくなるといった問題があった。
【0007】
本発明の目的とするところは、ベルトの表面に形成された一側の保護膜の端部と他側の保護膜の端部との継ぎ目が目立たなく且つ保護膜全体を均一な厚さに形成できるようにした乗客コンベアの手すりベルトの保護膜形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、ベルトガイドレールに装着された1本の無端ベルトからなり、半分がベルトガイドレールの表側に位置して露出した状態にあり、他の半分がベルトガイドレールの裏側に位置して隠れた状態にある手すりベルトの表面に表面保護用コーティング剤を複数回重ね塗りして複数層の保護膜を形成する乗客コンベアにおける手すりベルトの保護膜形成方法であって、ベルトガイドレールの表側に位置して露出した状態にある一側部のベルトの露出部分の表面に、露出部分の一端側から他端側へ向かって表面保護用コーティング剤を塗布して一側第一保護膜層を形成し、一側第一保護膜層の上に、一側第一保護膜層の両端部より内側に表面保護用コーティング剤を塗布して一側第n保護膜層を形成してn層からなる一側の保護膜を形成し、前記一側の保護膜を形成した後、前記手すりベルトを回転移動させ、ベルトガイドレールの裏側に位置して隠れた状態にあった他側部のベルトを前記一側の保護膜の両端部が露出するようにベルトガイドレールの表側に露出させ、露出した前記他側部のベルトの表面に、一側第一保護膜層の両端部間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第一保護膜層を、この他側第一保護膜層の両端部が一側第一保護膜層の両端部と重なるように形成し、一側第n保護膜層の両端部間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第n保護膜層を、この他側第n保護膜層の両端部が一側第n保護膜層の両端部と重なるように形成してn層からなる他側の保護膜を形成することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、ベルトガイドレールに装着された1本の無端ベルトからなり、半分がベルトガイドレールの表側に位置して露出した状態にあり、他の半分がベルトガイドレールの裏側に位置して隠れた状態にある手すりベルトの表面に表面保護用コーティング剤を複数回重ね塗りして複数層の保護膜を形成する乗客コンベアにおける手すりベルトの保護膜形成方法であって、ベルトガイドレールの表側に位置して露出した状態にある一側部のベルトの露出部分の表面に、露出部分の一端側から他端側へ向かって表面保護用コーティング剤を塗布して一側第一保護膜層を形成し、一側第一保護膜層の上に、一方の端部を一側第一保護膜層の一方の端部より内側に、他方の端部を一側第一保護膜層の他方の端部より外側に位置するように表面保護用コーティング剤を塗布して一側第n保護膜層を形成してn層からなる一側の保護膜を形成し、前記一側の保護膜を形成した後、前記手すりベルトを回転移動させ、ベルトガイドレールの裏側に位置して隠れた状態にあった他側部のベルトを前記一側の保護膜の両端部が露出するようにベルトガイドレールの表側に露出させ、露出した前記他側部のベルトの表面に、一側第一保護膜層の露出している端部と一側第n保護膜層の露出している端部間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第一保護膜層を、この他側第一保護膜層の一方の端部が一側第一保護膜層の露出している端部と、他方の端部が一側第n保護膜層の露出している端部とに重なるように形成し、一側第n保護膜層の露出している端部と一側第n保護膜層の下層に位置する一側第一保護膜層の端部間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第n保護膜層を、この他側第n保護膜層の一方の端部が一側第n保護膜層の露出している端部と、他方の端部が一側第n保護膜層の下層に位置する一側第一保護膜層の端部とに重なるように形成してn層からなる他側の保護膜を形成することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、ベルトガイドレールに装着された1本の無端ベルトからなり、半分がベルトガイドレールの表側に位置して露出した状態にあり、他の半分がベルトガイドレールの裏側に位置して隠れた状態にある手すりベルトの表面に表面保護用コーティング剤を複数回重ね塗りして複数層の保護膜を形成する乗客コンベアにおける手すりベルトの保護膜形成方法であって、ベルトガイドレールの表側に位置して露出した状態にある一側部のベルトの露出部分の表面に、露出部分の一端側から他端側へ向かって表面保護用コーティング剤を塗布して一側第一保護膜層を形成し、一側第一保護膜層の上に、両端部が一側第一保護膜層の両端部より外側に位置するように表面保護用コーティング剤を塗布して一側第n保護膜層を形成してn層からなる一側の保護膜を形成し、前記一側の保護膜を形成した後、前記手すりベルトを回転移動させ、ベルトガイドレールの裏側に位置して隠れた状態にあった他側部のベルトを前記一側の保護膜の両端部が露出するようにベルトガイドレールの表側に露出させ、露出した前記他側部のベルトの表面に、一側第n保護膜層の両端部間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第一保護膜層を、この他側第一保護膜層の端部が一側第n保護膜層の両端部と重なるように形成し、一側第n保護膜層の下層に位置する一側第一保護膜層の両端部間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第二保護膜層を、この他側第二保護膜層の両端部が一側第n保護膜層の下層に位置する一側第一保護膜層の両端部とに重なるように形成してn層からなる他側の保護膜を形成することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1,2又は3に記載の、前記ベルトガイドレールの表側に位置して露出した状態にある一側部のベルトの露出部分の表面に、表面保護用コーティング剤を塗布して一側第一保護膜層、一側第n保護膜層を形成してn層からなる一側の保護膜を形成し、前記手すりベルトを回転移動させ、前記一側の保護膜の両端部が露出するようにベルトガイドレールの裏側に位置して隠れた状態にあった他側部のベルトをベルトガイドレールの表側に露出させた後、前記一側の保護膜の両端部における一側第一保護膜層、一側第n保護膜層の端部を検出して同端部位置における手すりベルト近傍のベルトガイドレールに、一側第一保護膜層、一側第n保護膜層の端部を指示する指示マークを着脱可能に設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の乗客コンベアの手すりベルトの保護膜形成方法によれば、ベルトガイドレールの表側に位置して露出した状態にある一側部のベルトの露出部分の表面に形成された一側第一保護膜層と、一側第一保護膜層の上に形成された一側第n保護膜層の両端部は、いずれも塗布直後に未塗装側へ流れて緩やかな傾斜面となり、そして、他側部のベルトの表面に、一側第一保護膜層の両端部間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第一保護膜層を、この他側第一保護膜層の両端部が一側第一保護膜層の両端部と重なるように形成し、一側第n保護膜層の両端部間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第n保護膜層を、この他側第n保護膜層の両端部が一側第n保護膜層の両端部と重なるように形成するので、前記他側第一保護膜層の端部及び他側第n保護膜層の端部が、緩やかな傾斜面となっている一側第一保護膜層の端部及び一側第n保護膜層の端部と重なって継がれることになることから、それぞれ継ぎ目が目立たなく、また、継ぎ目も盛り上がらず、保護膜全体を均一な厚さに形成できる。
【0013】
請求項2に記載の乗客コンベアの手すりベルトの保護膜形成方法によれば、ベルトガイドレールの表側に位置して露出した状態にある一側部のベルトの露出部分の表面に形成された一側第一保護膜層と、一側第一保護膜層の上に形成された一側第n保護膜層の両端部は、いずれも塗布直後に未塗装側へ流れて緩やかな傾斜面となり、そして、他側部のベルトの表面に、一側第一保護膜層の露出している端部と一側第n保護膜層の露出している端部間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第一保護膜層を、この他側第一保護膜層の一方の端部が一側第一保護膜層の露出している端部と、他方の端部が一側第n保護膜層の露出している端部とに重なるように形成し、一側第n保護膜層の露出している端部と一側第n保護膜層の下層に位置する一側第一保護膜層の端部間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第n保護膜層を、この他側第n保護膜層の一方の端部が一側第n保護膜層の露出している端部と、他方の端部が一側第n保護膜層の下層に位置する一側第一保護膜層の端部とに重なるように形成するので、前記他側第一保護膜層の端部及び他側第n保護膜層の端部が、緩やかな傾斜面となっている一側第一保護膜層の端部及び一側第n保護膜層の端部と重なって継がれることになることから、それぞれ継ぎ目が目立たなく、また、継ぎ目も盛り上がらず、保護膜全体を均一な厚さに形成できる。
【0014】
請求項3に記載の乗客コンベアの手すりベルトの保護膜形成方法によれば、ベルトガイドレールの表側に位置して露出した状態にある一側部のベルトの露出部分の表面に形成された一側第一保護膜層と、一側第一保護膜層の上に形成された一側第n保護膜層の両端部は、いずれも塗布直後に未塗装側へ流れて緩やかな傾斜面となり、そして、他側部のベルトの表面に、一側第n保護膜層の両端部間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第一保護膜層を、この他側第一保護膜層の端部が一側第n保護膜層の端部と重なるように形成し、一側第n保護膜層の下層に位置する一側第一保護膜層の両端部間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第二保護膜層を、この他側第二保護膜層の両端部が一側第n保護膜層の下層に位置する一側第一保護膜層の端部とに重なるように形成するので、前記他側第一保護膜層の端部及び他側第n保護膜層の端部が、緩やかな傾斜面となっている一側第一保護膜層の端部及び一側第n保護膜層の端部と重なって継がれることになることから、それぞれ継ぎ目が目立たなく、また、継ぎ目も盛り上がらず、保護膜全体を均一な厚さに形成できる。
【0015】
請求項4に記載の乗客コンベアの手すりベルトの保護膜形成方法によれば、請求項1,2又は3に記載の、前記ベルトガイドレールの表側に位置して露出した状態にある一側部のベルトの露出部分の表面に、表面保護用コーティング剤を塗布して一側第一保護膜層、一側第n保護膜層を形成してn層からなる一側の保護膜を形成し、前記ベルトを回転移動させ、前記一側の保護膜の両端部が露出するようにベルトガイドレールの裏側に位置して隠れた状態にあった他側部のベルトをベルトガイドレールの表側に露出させた後、前記一側の保護膜の両端部における一側第一保護膜層、一側第n保護膜層の端部を検出して同端部位置における手すりベルト近傍のベルトガイドレールに、一側第一保護膜層、一側第n保護膜層の端部を指示する指示マークを着脱可能に設けるようにしたので、露出した前記他側部のベルトの表面に、一側第一保護膜層の端部及び一側第n保護膜層の端部の間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第一保護膜層及び他側第n保護膜層を形成する際に、指示マークにより一側第一保護膜層の端部及び一側第n保護膜層の端部が容易に確認でき、一側部のベルトの表面に形成した一側の保護膜の両端部間の未塗装状態にある他側部のベルトの表面に表面保護用コーティング剤を塗布して他側の保護膜を形成する作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る乗客コンベアの手すりベルトの保護膜形成方法を実施するための最良の形態を説明する。
【0017】
図1乃至図3は、本発明に係る手すりベルトの積層膜形成方法の第1実施例を示したものであり、図1は本発明に係る手すりベルトの積層膜形成方法を実施するための乗客コンベアの全体を示す側面図、図2はベルトガイドレールの表側に位置して露出した状態にある一側部のベルトの露出部分の表面に3層からなる一側の保護膜を形成した状態を示す説明図、図3は図2に示す一側の保護膜の両端部における他側部のベルトの表面に他側の保護膜を形成した状態を示す説明図である。
【0018】
本例は、乗客コンベアがエスカレータ1である場合の実施例であって、手すりベルト2はベルトガイドレール3に装着された1本の無端ベルトからなり、半分、即ち一側部がベルトガイドレール3の表側に位置して露出した状態にあり、他の半分、即ち他側部がベルトガイドレール3の裏側に位置して隠れた状態にある。
【0019】
そして、ベルトガイドレール3の表側に位置して露出した状態にある手すりベルト2の、半分、即ち一側部と他側部の境界A、Bは乗り口4側と降り口5側に設定される(上がり用と仮定)(図1)。
【0020】
先ず、ベルトガイドレール3の表側に位置して露出した状態にある一側部のベルト2aの露出部分の表面に、境界Aから境界Bへ向かって表面保護用コーティング剤を塗布して一側第一保護膜層6を形成し、一側第一保護膜層6の上に、一側第一保護膜層6の両端部6a,6bより若干内側に表面保護用コーティング剤を塗布して一側第2保護膜層7を形成し、一側第二保護膜層7の上に、一側第二保護膜層7の両端部7a,7bより若干内側に表面保護用コーティング剤を塗布して一側第三保護膜層8を形成して3層からなる一側の保護膜9を形成する(図2)。
【0021】
前記一側の保護膜9が乾燥したら、手すりベルト2を回転移動させ、ベルトガイドレール3の裏側に位置して隠れた状態にあった他側部のベルト2bを前記一側の保護膜9の両端部9a,9bが露出するようにベルトガイドレール3の表側に露出させる。
【0022】
そして、露出した前記一側の保護膜9の両端部9a,9bを構成する一側第一保護膜層6の両端部6a,6b、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b及び一側第三保護膜層8の両端部8a,8bの確認にあっては、手すりベルト2の未塗装面と一側第一保護膜層6の面と一側第二保護膜層7の面と一側第三保護膜層8の面の光沢の違いを目視で検出し、或いは光度計を用いて検出することにより確認する。
【0023】
このとき、前記手段により検出した一側第一保護膜層6の両端部6a,6b、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b及び一側第三保護膜層8の両端部8a,8bの位置における手すりベルト2の近傍のガイドレール上に、一側第一保護膜層6の両端部6a,6b、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b及び一側第三保護膜層8の両端部8a,8bを指示する指示マーク14a,14b,14c,14d,14e,14fを着脱可能に設けておくとよい(図3)。
【0024】
一側第一保護膜層6の両端部6a,6b、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b及び一側第三保護膜層8の両端部8a,8bを確認したら、露出した他側部のベルト2bの表面に、一側第一保護膜層6の両端部6a,6b間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第一保護膜層10を、この他側第一保護膜層10の両端部10a,10bが一側第一保護膜層6の両端部6a,6bと重なるように形成し、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第二保護膜層11を、この他側第二保護膜層11の両端部11a,11bが一側第二保護膜層7の両端部7a,7bと重なるように形成し、一側第三保護膜層8の両端部8a,8b間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第三保護膜層12を、この他側第三保護膜層12の両端部12a,12bが一側第三保護膜層8の両端部8a,8bと重なるように形成して3層からなる他側の保護膜13を形成する(図3)。このようにして、手すりベルト2の表面に複数層の保護膜を形成する。
【0025】
本例によれば、ベルトガイドレール3の表側に位置して露出した状態にある一側部のベルト2aの露出部分の表面に形成された一側第一保護膜層6の両端部6a,6b、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b及び一側第三保護膜層8の両端部8a,8bはいずれも塗布直後に未塗装側へ流れて緩やかな傾斜面となり、そして、他側部のベルト2bの表面に、一側第一保護膜層6の両端部6a,6b間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第一保護膜層10を、この他側第一保護膜層10の両端部10a,10bが一側第一保護膜層6の両端部6a,6bと重なるように形成し、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第二保護膜層11を、この他側第二保護膜層11の両端部11a,11bが一側第二保護膜層7の両端部7a,7bと重なるように形成し、一側第三保護膜層8の両端部8a,8b間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第三保護膜層12を、この他側第三保護膜層12の両端部12a,12bが一側第三保護膜層8の両端部8a,8bと重なるように形成するので、他側第一保護膜層10の両端部10a,10b、他側第二保護膜層11の両端部11a,11b及び他側第三保護膜層12の両端部12a,12bが、緩やかな傾斜面となっている一側第一保護膜層6の両端部6a,6b、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b及び一側第三保護膜層8の両端部8a,8bと重なって継がれることになることから、それぞれ継ぎ目、即ち一側の保護膜9の両端部9a,9bと他側の保護膜13の両端部13a,13bの継ぎ目が目立たなく、また、継ぎ目も盛り上がらず、保護膜全体を均一な厚さに形成できる。
【0026】
また、他側部のベルト2bの表面に他側の保護膜13を形成する際に検出した一側第一保護膜層6の両端部6a,6b、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b及び一側第三保護膜層8の両端部8a,8bの位置における手すりベルト2の近傍のガイドレール上に、一側第一保護膜層6の両端部6a,6b、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b及び一側第三保護膜層8の両端部8a,8bを指示する指示マーク14a,14b,14c,14d,14e,14fを着脱可能に設けておくことにより、一側第一保護膜層6の両端部6a,6b、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b及び一側第三保護膜層8の両端部8a,8bの位置が容易に確認でき、手すりベルト2の一側部のベルト2aの表面に形成した一側の保護膜9の両端部9a,6b間の未塗装状態にある他側部のベルト2bの表面に表面保護用コーティング剤を塗布して他側の保護膜13を形成する作業を容易に行うことができる。
【0027】
図4、図5は、本発明に係る手すりベルトの積層膜形成方法の第2実施例を示したものであり、図4はベルトガイドレールの表側に位置して露出した状態にある一側部のベルトの露出部分の表面に3層からなる一側の保護膜を形成した状態を示す説明図、図5は図4に示す一側の保護膜の両端部における他側部のベルトの表面に他側の保護膜を形成した状態を示す説明図である。
【0028】
本例も第1実施例と同様に乗客コンベアがエスカレータ1である場合の実施例であって、第1実施例の図1の説明を援用する。
【0029】
先ず、ベルトガイドレール3の表側に位置して露出した状態にある一側部のベルト2aの露出部分の表面に、境界Aから境界Bへ向かって表面保護用コーティング剤を塗布して一側第一保護膜層6を形成し、一側第一保護膜層6の上に、一方の端部7aを一側第一保護膜層6の一方の端部6aより内側に、他方の端部7bを一側第一保護膜層6の他方の端部6bより外側に位置するように表面保護用コーティング剤を塗布して一側第二保護膜層7を形成し、一側第二保護膜層7の上に、一方の端部8aを一側第二保護膜層7の一方の端部7aより内側に、他方の端部8bを一側第二保護膜層7の他方の端部7bより外側に位置するように表面保護用コーティング剤を塗布して一側第三保護膜層8を形成しして3層からなる一側の保護膜9を形成する(図4)。
【0030】
前記一側の保護膜9が乾燥したら、手すりベルト2を回転移動させ、ベルトガイドレール3の裏側に位置して隠れた状態にあった他側部のベルト2bを前記一側の保護膜9の両端部9a,9bが露出するようにベルトガイドレール3の表側に露出させる。
【0031】
そして、露出した前記一側の保護膜9の両端部9a,9bを構成する一側第一保護膜層6の両端部6a,6b、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b及び一側第三保護膜層8の両端部8a,8bの確認にあっては、第1実施例と同様に、手すりベルト2の未塗装面と一側第一保護膜層6の面と一側第二保護膜層7の面と一側第三保護膜層8の面の光沢の違いを目視で検出し、或いは光度計を用いて検出することにより確認する。
【0032】
このとき、前記手段により検出した一側第一保護膜層6の両端部6a,6b、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b及び一側第三保護膜層8の両端部8a,8bの位置における手すりベルト2の近傍のガイドレール上に、一側第一保護膜層6の両端部6a,6b、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b及び一側第三保護膜層8の両端部8a,8bを指示する指示マーク14a,14b,14c,14d,14e,14fを着脱可能に設けておくとよい(図5)。
【0033】
一側第一保護膜層6の両端部6a,6b、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b及び一側第三保護膜層8の両端部8a,8bを確認したら、露出した他側部のベルト2bの表面に、一側第一保護膜層6の露出している端部6aと一側第三保護膜層8の露出している端部8b間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第一保護膜層10を、この他側第一保護膜層10の一方の端部10aが一側第一保護膜層6の露出している端部6aと、他方の端部10bが一側第三保護膜層8の露出している端部8bとに重なるように形成し、一側第二保護膜層7の露出している端部7aと一側第三保護膜層8の下層に位置する一側第二保護膜層7の端部7b間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第二保護膜層11を、この他側第二保護膜層11の一方の端部11aが一側第二保護膜層7の露出している端部7aと、他方の端部11bが一側第三保護膜層8の下層に位置する一側第二保護膜層7の端部7bとに重なるように形成し、一側第三保護膜層8の露出している端部8aと一側第二保護膜層7の下層に位置する一側第一保護膜層6の端部6b間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第三保護膜層12を、この他側第三保護膜層12の一方の端部12aが一側第三保護膜層8の露出している端部8aと、他方の端部12bが一側第二保護膜層7の下層に位置する一側第一保護膜層6の端部6bとに重なるように形成して3層からなる他側の保護膜13を形成する(図5)。このようにして、手すりベルト2の表面に3層の保護膜を形成する。
【0034】
第2実施例によれば、ベルトガイドレール3の表側に位置して露出した状態にある一側部のベルト2aの露出部分の表面に形成された一側第一保護膜層6の両端部6a,6b、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b及び一側第三保護膜層8の両端部8a,8bはいずれも塗布直後に未塗装側へ流れて緩やかな傾斜面となり、そして、他側部のベルト2bの表面に、一側第一保護膜層6の露出している端部6aと一側第三保護膜層8の露出している端部8b間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第一保護膜層10を、この他側第一保護膜層10の一方の端部10aが一側第一保護膜層6の露出している端部6aと、他方の端部10bが一側第三保護膜層8の露出している端部8bとに重なるように形成し、一側第二保護膜層7の露出している端部7aと一側第三保護膜層8の下層に位置する一側第二保護膜層7の端部7b間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第二保護膜層11を、この他側第二保護膜層11の一方の端部11aが一側第二保護膜層7の露出している端部7aと、他方の端部11bが一側第三保護膜層8の下層に位置する一側第二保護膜層7の端部7bとに重なるように形成し、一側第三保護膜層8の露出している端部8aと一側第二保護膜層7の下層に位置する一側第一保護膜層6の端部6b間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第三保護膜層12を、この他側第三保護膜層12の一方の端部12aが一側第三保護膜層8の露出している端部8aと、他方の端部12bが一側第二保護膜層7の下層に位置する一側第一保護膜層6の端部6bとに重なるように形成するので、他側第一保護膜層10の両端部10a,10b、他側第二保護膜層11の両端部11a,11b及び他側第三保護膜層12の両端部12a,12bが、緩やかな傾斜面となっている一側第一保護膜層6の両端部6a,6b、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b及び一側第三保護膜層8の両端部8a,8bと重なって継がれることになることから、それぞれ継ぎ目、即ち一側の保護膜9の両端部9a,9bと他側の保護膜13の両端部13a,13bの継ぎ目が目立たなく、また、継ぎ目も盛り上がらず、保護膜全体を均一な厚さに形成できる。
【0035】
また、他側部のベルト2bの表面に他側の保護膜13を形成する際に検出した一側第一保護膜層6の両端部6a,6b、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b及び一側第三保護膜層8の両端部8a,8bの位置における手すりベルト2の近傍のガイドレール上に、一側第一保護膜層6の両端部6a,6b、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b及び一側第三保護膜層8の両端部8a,8bを指示する指示マーク14a,14b,14c,14d,14e,14fを着脱可能に設けておくことにより、第1実施例と同様に、一側第一保護膜層6の両端部6a,6b、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b及び一側第三保護膜層8の両端部8a,8bの位置が容易に確認でき、手すりベルト2の一側部のベルト2aの表面に形成した一側の保護膜9の両端部9a,6b間の未塗装状態にある他側部のベルト2bの表面に表面保護用コーティング剤を塗布して他側の保護膜13を形成する作業を容易に行うことができる。
【0036】
図6、図7は、本発明に係る手すりベルトの積層膜形成方法の第3実施例を示したものであり、図6はベルトガイドレールの表側に位置して露出した状態にある一側部のベルトの露出部分の表面に3層からなる一側の保護膜を形成した状態を示す説明図、図7は図6に示す一側の保護膜の両端部における他側部のベルトの表面に他側の保護膜を形成した状態を示す説明図である。
【0037】
本例も第1実施例と同様に乗客コンベアがエスカレータ1である場合の実施例であって、第1実施例の図1の説明を援用する。
【0038】
先ず、ベルトガイドレール3の表側に位置して露出した状態にある一側部のベルト2aの露出部分の表面に、境界Aから境界Bへ向かって表面保護用コーティング剤を塗布して一側第一保護膜層6を形成し、一側第一保護膜層6の上に、両端部7a,7bが、一側第一保護膜層6の両端部6a,6bより外側に位置するように表面保護用コーティング剤を塗布して一側第2保護膜層7を形成し、一側第二保護膜層7の上に、両端部8a,8bが一側第二保護膜層7の両端部7a,7bより外側に位置するように表面保護用コーティング剤を塗布して一側第三保護膜層8を形成して3層からなる一側の保護膜9を形成する(図6)。
【0039】
前記一側の保護膜9が乾燥したら、手すりベルト2を回転移動させ、ベルトガイドレール3の裏側に位置して隠れた状態にあった他側部のベルト2bを前記一側の保護膜9の両端部9a,9bが露出するようにベルトガイドレール3の表側に露出させる。
【0040】
そして、露出した前記一側の保護膜9の両端部9a,9bを構成する一側第一保護膜層6の両端部6a,6b、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b及び一側第三保護膜層8の両端部8a,8bの確認にあっては、第1実施例と同様に、手すりベルト2の未塗装面と一側第一保護膜層6の面と一側第二保護膜層7の面と一側第三保護膜層8の面の光沢の違いを目視で検出し、或いは光度計を用いて検出することにより確認する。
【0041】
このとき、前記手段により検出した一側第一保護膜層6の両端部6a,6b、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b及び一側第三保護膜層8の両端部8a,8bの位置における手すりベルト2の近傍のガイドレール上に、一側第一保護膜層6の両端部6a,6b、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b及び一側第三保護膜層8の両端部8a,8bを指示する指示マーク14a,14b,14c,14d,14e,14fを着脱可能に設けておくとよい(図7)。
【0042】
一側第一保護膜層6の両端部6a,6b、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b及び一側第三保護膜層8の両端部8a,8bを確認したら、露出した他側部のベルト2bの表面に、一側第三保護膜層8の両端部8a,8b間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第一保護膜層10を、この他側第一保護膜層10の両端部10a,10bが一側第三保護膜層8の両端部8a,8bと重なるように形成し、一側第三保護膜層8の下層に位置する一側第二保護膜層7の両端部7a,4b間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第二保護膜層11を、この他側第二保護膜層11の両端部11a,11bが一側第三保護膜層8の下層に位置する一側第二保護膜層7の両端部7a,7bとに重なるように形成し、一側第二保護膜層7の下層に位置する一側第一保護膜層6の両端部6a,6b間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第三保護膜層12を、この他側第三保護膜層12の両端部12a,12bが一側第二保護膜層7の下層に位置する一側第一保護膜層6の両端部6a,6bとに重なるように形成する(図7)。このようにして、手すりベルト2の表面に3層の保護膜を形成する。
【0043】
第3実施例によれば、ベルトガイドレール3の表側に位置して露出した状態にある一側部のベルト2aの露出部分の表面に形成された一側第一保護膜層6の両端部6a,6b、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b及び一側第三保護膜層8の両端部8a,8bはいずれも塗布直後に未塗装側へ流れて緩やかな傾斜面となり、そして、他側部のベルト2bの表面に、一側第三保護膜層8の両端部8a,8b間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第一保護膜層10を、この他側第一保護膜層10の両端部10a,10bが一側第三保護膜層8の両端部8a,8bと重なるように形成し、一側第三保護膜層8の下層に位置する一側第二保護膜層7の両端部7a,4b間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第二保護膜層11を、この他側第二保護膜層11の両端部11a,11bが一側第三保護膜層8の下層に位置する一側第二保護膜層7の両端部7a,7bとに重なるように形成し、一側第二保護膜層7の下層に位置する一側第一保護膜層6の両端部6a,6b間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第三保護膜層12を、この他側第三保護膜層12の両端部12a,12bが一側第二保護膜層7の下層に位置する一側第一保護膜層6の両端部6a,6bとに重なるように形成するので、他側第一保護膜層10の両端部10a,10b、他側第二保護膜層11の両端部11a,11b及び他側第三保護膜層12の両端部12a,12bが、緩やかな傾斜面となっている一側第一保護膜層6の両端部6a,6b、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b及び一側第三保護膜層8の両端部8a,8bと重なって継がれることになることから、それぞれ継ぎ目、即ち一側の保護膜9の両端部9a,9bと他側の保護膜13の両端部13a,13bの継ぎ目が目立たなく、また、継ぎ目も盛り上がらず、保護膜全体を均一な厚さに形成できる。
【0044】
また、他側部のベルト2bの表面に他側の保護膜13を形成する際に検出した一側第一保護膜層6の両端部6a,6b、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b及び一側第三保護膜層8の両端部8a,8bの位置における手すりベルト2の近傍のガイドレール上に、一側第一保護膜層6の両端部6a,6b、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b及び一側第三保護膜層8の両端部8a,8bを指示する指示マーク14a,14b,14c,14d,14e,14fを着脱可能に設けておくことにより、一側第一保護膜層6の両端部6a,6b、一側第二保護膜層7の両端部7a,7b及び一側第三保護膜層8の両端部8a,8bの位置が容易に確認でき、手すりベルト2の一側部のベルト2aの表面に形成した一側の保護膜9の両端部9a,6b間の未塗装状態にある他側部のベルト2bの表面に表面保護用コーティング剤を塗布して他側の保護膜13を形成する作業を容易に行うことができる。
【0045】
なお、第1実施例、第2実施例、第3実施例は、いずれも手すりベルト2の表面に3層の保護膜を形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1実施例、第2実施例、第3実施例に示す保護膜層の積層工程を繰り返すことにより、2層、或いは3層以上の保護膜を形成することも含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る手すりベルトの積層膜形成方法を実施するための乗客コンベアの全体を示す側面図。
【図2】本発明に係る手すりベルトの積層膜形成方法の第1実施例で、ベルトガイドレールの表側に位置して露出した状態にある一側部のベルトの露出部分の表面に3層からなる一側の保護膜を形成した状態を示す説明図。
【図3】図2に示す一側の保護膜の両端部における他側部のベルトの表面に他側の保護膜を形成した状態を示す説明図。
【図4】本発明に係る手すりベルトの積層膜形成方法の第2実施例で、ベルトガイドレールの表側に位置して露出した状態にある一側部のベルトの露出部分の表面に3層からなる一側の保護膜を形成した状態を示す説明図。
【図5】図4に示す一側の保護膜の両端部における他側部のベルトの表面に他側の保護膜を形成した状態を示す説明図。
【図6】本発明に係る手すりベルトの積層膜形成方法の第3実施例で、ベルトガイドレールの表側に位置して露出した状態にある一側部のベルトの露出部分の表面に3層からなる一側の保護膜を形成した状態を示す説明図。
【図7】図6に示す一側の保護膜の両端部における他側部のベルトの表面に他側の保護膜を形成した状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0047】
1 エスカレータ
2 手すりベルト
2a 一側のベルト
2b 他側のベルト
3 ベルトガイドレール
4 乗り口
5 降り口
6 一側第一保護膜層
6a、6b 一側第一保護膜層の端部
7 一側第二保護膜層
7a、7b 一側第二保護膜層の端部
8 一側第三保護膜層
8a、8b 一側第三保護膜層の端部
9 一側の保護膜
9a、9b 一側の保護膜の端部
10 他側第一保護膜層
10a、10b 他側第一保護膜層の端部
11 他側第二保護膜層
11a、11b 他側第二保護膜層の端部
12 他側第三保護膜層
12a、12b 他側第三保護膜層の端部
13 他側の保護膜
13a、13b 他側の保護膜の端部
14a、14b、14c、14d、15e、14f 指示マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトガイドレールに装着された1本の無端ベルトからなり、半分がベルトガイドレールの表側に位置して露出した状態にあり、他の半分がベルトガイドレールの裏側に位置して隠れた状態にある手すりベルトの表面に表面保護用コーティング剤を複数回重ね塗りして複数層の保護膜を形成する乗客コンベアにおける手すりベルトの保護膜形成方法であって、
ベルトガイドレールの表側に位置して露出した状態にある一側部のベルトの露出部分の表面に、露出部分の一端側から他端側へ向かって表面保護用コーティング剤を塗布して一側第一保護膜層を形成し、一側第一保護膜層の上に、一側第一保護膜層の両端部より内側に表面保護用コーティング剤を塗布して一側第n保護膜層を形成してn層からなる一側の保護膜を形成し、
前記一側の保護膜を形成した後、前記手すりベルトを回転移動させ、ベルトガイドレールの裏側に位置して隠れた状態にあった他側部のベルトを前記一側の保護膜の両端部が露出するようにベルトガイドレールの表側に露出させ、
露出した前記他側部のベルトの表面に、一側第一保護膜層の両端部間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第一保護膜層を、この他側第一保護膜層の両端部が一側第一保護膜層の両端部と重なるように形成し、一側第n保護膜層の両端部間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第n保護膜層を、この他側第n保護膜層の両端部が一側第n保護膜層の両端部と重なるように形成してn層からなる他側の保護膜を形成することを特徴とする乗客コンベアにおける手すりベルトの保護膜形成方法。
【請求項2】
ベルトガイドレールに装着された1本の無端ベルトからなり、半分がベルトガイドレールの表側に位置して露出した状態にあり、他の半分がベルトガイドレールの裏側に位置して隠れた状態にある手すりベルトの表面に表面保護用コーティング剤を複数回重ね塗りして複数層の保護膜を形成する乗客コンベアにおける手すりベルトの保護膜形成方法であって、
ベルトガイドレールの表側に位置して露出した状態にある一側部のベルトの露出部分の表面に、露出部分の一端側から他端側へ向かって表面保護用コーティング剤を塗布して一側第一保護膜層を形成し、
一側第一保護膜層の上に、一方の端部を一側第一保護膜層の一方の端部より内側に、他方の端部を一側第一保護膜層の他方の端部より外側に位置するように表面保護用コーティング剤を塗布して一側第n保護膜層を形成してn層からなる一側の保護膜を形成し、
前記一側の保護膜を形成した後、前記手すりベルトを回転移動させ、ベルトガイドレールの裏側に位置して隠れた状態にあった他側部のベルトを前記一側の保護膜の両端部が露出するようにベルトガイドレールの表側に露出させ、
露出した前記他側部のベルトの表面に、一側第一保護膜層の露出している端部と一側第n保護膜層の露出している端部間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第一保護膜層を、この他側第一保護膜層の一方の端部が一側第一保護膜層の露出している端部と、他方の端部が一側第n保護膜層の露出している端部とに重なるように形成し、
一側第n保護膜層の露出している端部と一側第n保護膜層の下層に位置する一側第一保護膜層の端部間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第n保護膜層を、この他側第n保護膜層の一方の端部が一側第n保護膜層の露出している端部と、他方の端部が一側第n保護膜層の下層に位置する一側第一保護膜層の端部とに重なるように形成してn層からなる他側の保護膜を形成することを特徴とする乗客コンベアにおける手すりベルトの保護膜形成方法。
【請求項3】
ベルトガイドレールに装着された1本の無端ベルトからなり、半分がベルトガイドレールの表側に位置して露出した状態にあり、他の半分がベルトガイドレールの裏側に位置して隠れた状態にある手すりベルトの表面に表面保護用コーティング剤を複数回重ね塗りして複数層の保護膜を形成する乗客コンベアにおける手すりベルトの保護膜形成方法であって、
ベルトガイドレールの表側に位置して露出した状態にある一側部のベルトの露出部分の表面に、露出部分の一端側から他端側へ向かって表面保護用コーティング剤を塗布して一側第一保護膜層を形成し、一側第一保護膜層の上に、両端部が一側第一保護膜層の両端部より外側に位置するように表面保護用コーティング剤を塗布して一側第n保護膜層を形成してn層からなる一側の保護膜を形成し、
前記一側の保護膜を形成した後、前記手すりベルトを回転移動させ、ベルトガイドレールの裏側に位置して隠れた状態にあった他側部のベルトを前記一側の保護膜の両端部が露出するようにベルトガイドレールの表側に露出させ、
露出した前記他側部のベルトの表面に、一側第n保護膜層の両端部間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第一保護膜層を、この他側第一保護膜層の端部が一側第n保護膜層の両端部と重なるように形成し、
一側第n保護膜層の下層に位置する一側第一保護膜層の両端部間に表面保護用コーティング剤を塗布して他側第二保護膜層を、この他側第二保護膜層の両端部が一側第n保護膜層の下層に位置する一側第一保護膜層の両端部とに重なるように形成してn層からなる他側の保護膜を形成することを特徴とする乗客コンベアにおける手すりベルトの保護膜形成方法。
【請求項4】
前記ベルトガイドレールの表側に位置して露出した状態にある一側部のベルトの露出部分の表面に、表面保護用コーティング剤を塗布して一側第一保護膜層、一側第n保護膜層を形成してn層からなる一側の保護膜を形成し、前記手すりベルトを回転移動させ、前記一側の保護膜の両端部が露出するようにベルトガイドレールの裏側に位置して隠れた状態にあった他側部のベルトをベルトガイドレールの表側に露出させた後、
前記一側の保護膜の両端部における一側第一保護膜層、一側第n保護膜層の端部を検出して同端部位置における手すりベルト近傍のベルトガイドレールに、一側第一保護膜層、一側第n保護膜層の端部を指示する指示マークを着脱可能に設けることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の乗客コンベアにおける手すりベルトの保護膜形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−220977(P2009−220977A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−69348(P2008−69348)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(390039712)株式会社リンレイ (18)
【Fターム(参考)】