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乗客コンベアの省エネ運転システム及び省エネ運転方法
説明

乗客コンベアの省エネ運転システム及び省エネ運転方法

【課題】エネルギ消費態様を把握し、サービス効率と省エネルギ効率との両立を図ることができる乗客コンベアの省エネ運転システム等の提供。
【解決手段】省エネ運転システム21は、電力量記録部23と、パラメータ記憶部25と、切り替えポイント計算部27と、運転制御部29とを備える。電力量記録部は、その乗客コンベア固有の上昇運転時消費電力量データ及び下降運転時消費電力量データの少なくも一方を保持している。パラメータ記憶部は、その乗客コンベア固有の電力量の目標値を保持している。切り替えポイント計算部は、電力量記録部の消費電力量データと、電力量の目標値とを用いて、上昇運転と下降運転との切り替えポイントを算出する。そして、運転制御部は、切り替えポイント計算部の算出結果に従って、その乗客コンベアの上昇運転及び下降運転の間の運転方向を切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客コンベアの省エネ運転システム及び省エネ運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、様々な施設でエスカレータ等の乗客コンベアが利用されている。また、特許文献1に例示されるように、利用ニーズに合せて効率よくサービスを提供できるよう一台の乗客コンベアを上昇運転と下降運転との双方に使用する態様もある。この態様では、特許文献1に開示されているように、運転方向の反転時刻を予め決めておき、その時刻の到来によって、運転方向を例えば上昇から下降へと切り替えている。
また、近年のエネルギ消費を抑えるニーズにより、乗客コンベアにおいても、消費エネルギの抑制が望まれているところである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−272684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、エネルギ消費態様を把握し、サービス効率と省エネルギ効率との両立を図ることができる、乗客コンベアの省エネ運転システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するため、本発明の乗客コンベアの省エネ運転システムは、電力量記録部と、パラメータ記憶部と、切り替えポイント計算部と、運転制御部とを備え、前記電力量記録部は、その乗客コンベア固有の上昇運転時消費電力量データ及び下降運転時消費電力量データの少なくも一方を保持しており、前記パラメータ記憶部は、その乗客コンベア固有の電力量の目標値を保持しており、前記切り替えポイント計算部は、前記電力量記録部の消費電力量データと、前記電力量の目標値とを用いて、上昇運転と下降運転との切り替えポイントを算出し、前記運転制御部は、前記切り替えポイント計算部の算出結果に従って、その乗客コンベアの上昇運転及び下降運転の間の運転方向を切り替える。
さらに、同目的を達成するための本発明に係る乗客コンベアの省エネ運転方法は、複数の曜日に関して所定時間、実際に、対象の乗客コンベアを運転し、その乗客コンベア固有の上昇運転時消費電力量データ及び下降運転時消費電力量データの少なくとも一方を用意し、設定されたその乗客コンベア固有の電力量の目標値に対して、対応する曜日に関する前記消費電力量データを用いて、上昇運転と下降運転との切り替えポイントを算出し、算出した前記切り替えポイントに対応するタイミングでその乗客コンベアの運転方向を切り替える。
【発明の効果】
【0006】
本発明の乗客コンベアの省エネ運転システム及び省エネ運転方法によれば、エネルギ消費態様を把握し、サービス効率と省エネルギ効率との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の形態に係る省エネ運転システム等を適用するエスカレータを示す図である。
【図2】本実施の形態に係る省エネ運転システムの構成を示す図である。
【図3】駅のエスカレータに関し、平日における、あるエスカレータの上昇運転時消費電力量データ及び下降運転時消費電力量データの例を示すグラフである。
【図4】上昇運転と下降運転との切り替えタイミングを示すグラフである。
【図5】本実施の形態の省エネ運転方法に関するフローチャートである。
【図6】省エネ運転プランの一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る乗客コンベアの省エネ運転システム等の実施の形態について添付図面に基づいて説明する。なお、図中、同一符号は同一又は対応部分を示すものとする。
【0009】
図1は、本実施の形態の省エネ運転システム等を適用するエスカレータを示す図である。なお、本実施の形態は、乗客コンベアとして、エスカレータを例示するが、本発明は、これに限定されず、人や荷物等を異なる高さに搬送する装置に広く適用することができる。よって、例えば、階段状の踏段が現れないベルト状の搬送装置に適用することもできる。
【0010】
エスカレータ1は、周知の構成を備えており、すなわち、上下斜めに延びる長手方向に沿ってトラスを備えており、そのトラスには、無端状に連結された複数の踏段が搬送部として設けられている。踏段は、通常はトラス内に設けられる駆動機の駆動力によって、上部乗降口及び下部乗降口の間を循環移動される。駆動機は、実際には、踏段の駆動に加えて、手摺の駆動も行っている。
【0011】
エスカレータ1には、電力計3が設けられており、この電力計3は、主に上述の駆動機の消費電力を計測している。また、電力計3は、本実施の形態に係る省エネ運転システム21に接続されている。
【0012】
図2は、本実施の形態に係る省エネ運転システムの構成を示す図である。省エネ運転システム21は、電力量記録部23と、パラメータ記憶部25と、切り替えポイント計算部27と、運転制御部29とを備えている。
【0013】
電力量記録部23は、そのエスカレータ固有の上昇運転時消費電力量データ及び下降運転時消費電力量データを保持している。このデータは、予め、複数の曜日に関して所定時間、実際に、その対象のエスカレータを上昇運転及び下降運転し、そのエスカレータ固有の上昇運転時消費電力量データ及び下降運転時消費電力量データとして用意される。駅のエスカレータに関し例を示すと、月曜日に、実際に、そのエスカレータをサービス時間中(例えば始発電車運転時刻から最終電車運転時刻まで)、上昇運転だけを連続して行い、実際の消費電力を計測して、月曜日における上昇運転時消費電力量データとして保存される。また、異なる月曜日に今度はエスカレータを実際に下降運転させ、同様に、月曜日における下降運転時消費電力量データを得る。勿論、上昇運転時消費電力量データ及び下降運転時消費電力量データは、同じ曜日のものを複数回分・多数回分得て、解析し、データの普遍性や信頼性を高めておいてもよい。同様に、火曜日以降も、各曜日について上昇運転時消費電力量データ及び下降運転時消費電力量データを得る。あるいは、駅のエスカレータであれば、各曜日の区分けではなく、平日データと休日データとの区分けで用意するようにしてもよいし、その他の区分けて用意することも排除されるものではない。いずれにしても、本発明では、実際に、その対象の乗客コンベアそのものを利用者に利用させて運転することが肝要であり、それにより、施設内の設置場所、曜日、時間等のニーズを含む特有の消費電力量データを得ておく。なお、電力量記録部23は、必ずしも上昇運転時消費電力量データ及び下降運転時消費電力量データの両方を保有していることには限定されず、必要に応じて少なくとも一方を保有している態様であってもよい。
【0014】
パラメータ記憶部25は、その乗客コンベア固有の電力量の目標値を保持している。この目標値は、通常、省エネ運転システム21に対してPC等の保守用端末31を接続し、その保守用端末31から使用電力量の目標値を打ち込み入力する。
【0015】
切り替えポイント計算部27は、上昇運転時消費電力量データと、下降運転時消費電力量データと、電力量の目標値とから、上昇運転と下降運転との切り替えポイントを算出する。これにつき、その概要を図3及び図4をもとに説明する。図3は、駅のエスカレータに関し、平日における、あるエスカレータの上昇運転時消費電力量データ及び下降運転時消費電力量データの例を示すグラフである。図3における縦軸は、電力量を示し、横軸は、時刻を示す。また、図4は、上昇運転と下降運転との切り替えタイミングを示すグラフである。
【0016】
図3に示されるように、上昇運転時消費電力量データ及び下降運転時消費電力量データを示す傾きは、単純な一直線ではない。例えば、図示例の上昇運転時消費電力量データを示す傾きは、大まかにみても参照符号U1、U2、U3で示される複数パターンがあり、上昇運転するエスカレータの最も利用率の高い時間帯は、行きの通勤時間に対応して、符号U3で示す太線実線の午前7時から午前9時の時間帯である。その前後の符号U2で示す太線一点鎖線の時間帯(午前6時から午前7時、及び、午前9時から午前10時)では、若干、利用率は低下する。さらに、その外側の符号U1で示す太線二点鎖線の時間帯(午前6時前、及び、午前10時後)では、上昇運転するエスカレータを利用する者自体が大きく減少している。そして、上昇運転時は、利用者が多いほど、消費電力も大きくなる傾向がある。
【0017】
一方、図示例の下降運転時消費電力量データを示す傾きに関しては、帰りの通勤時間に対応して、下降運転するエスカレータの最も利用率の高い時間帯は、符号D3で示す細線実線の17時から20時の時間帯である。その前後の符号D2で示す細線一点鎖線の時間帯(16時から17時、及び、20時から22時)では、やはり利用率は低下する。さらに、その外側の符号D1で示す細線二点鎖線の時間帯(16時前、及び、22時後)では、下降運転するエスカレータを利用する者自体が大きく減少している。下降運転時は、利用者の体重による駆動力の補助が得られるので、利用者が多いほど、逆に消費電力は少なくなる傾向となる。
【0018】
図4は、当初、上昇運転していたエスカレータを、下降運転に切り替える場合の例であり、説明の理解を容易にすることを優先し、上昇運転及び下降運転の電力量のデータを符号U、Dで示す簡略化した一直線で示している。切り替えポイント計算部27は、図4に示すように、当初、上昇運転し、符号Uで示すようにそのままでは、目標の電力量を超えてしまう状態に対し、上昇運転から下降運転に切り替え、その後、符号Rで示すように下降運転(符号Dと同じ傾き)しても目標の電力量を超えないことが期待できる、切り替えポイントPを算出する。
【0019】
運転制御部29は、切り替えポイント計算部27の算出結果、すなわち切り替えポイントPに従って、その乗客コンベアの上昇運転及び下降運転の間の運転方向を切り替えるものである。
【0020】
次に、このように構成された本実施の形態に係る省エネ運転システムによる省エネ運転方法について説明する。図5は、本実施の形態の省エネ運転方法に関するフローチャートである。まず、ステップS1として、複数の曜日に関して所定時間、実際に、対象のエスカレータ1をサービス運転させ、そのエスカレータ固有の消費電力量データを用意する。消費電力量データは、電力量記録部23に記録、保持される。
【0021】
次に、ステップS2として、PC等の保守用端末31から、所定期間の目標の電力量を入力・設定する。次に、エスカレータ1の運転を始め、設定された電力量の目標値に対して、対応する曜日に関する消費電力量データから、上昇運転と下降運転との切り替えポイントを算出する。図5では、エスカレータを上昇運転させた場合を例に説明する。ステップS3として、エスカレータ1の上昇運転を開始する。
【0022】
続いて、ステップS4として、切り替えポイント計算部27において、目標の電力量となるまでに使用できる残りの電力量と、その後の下降運転時に使用されるであろう電力量との比較を行う。この目標の電力量となるまでに使用できる残りの電力量については、電力量記録部23内に保持されている上昇運転時消費電力量データからこれまでに消費した電力量を決定し、目標の電力量から差し引いて求めてもよいし、あるいは、電力計3を用いて実際にそれまで消費した電力量を計測しておき、目標の電力量から差し引いて求めてもよい。一方、その後の下降運転時に使用されるであろう電力量については、下降運転時消費電力量データを厳密に用いることが好適であるが、電力量データ次第では、一直線の傾きに近似し、下降運転時の時間当たりの電力量×残りのサービス運転時間という計算式によって求めることもできる。
【0023】
何れにしても、ステップS4において算出または監視していた、「目標の電力量となるまでに使用できる残りの電力量=下降運転時に使用されるであろう電力量」となる切り替えポイントを目指して、ステップS5として、エスカレータ1の運転方向を切り替える準備を実施する。具体例を示すと、光電センサ等によってエスカレータ内が無人状態であることを確認しながら、搭乗側に用意したシャッターを閉める等により人が乗り込まないような措置を実施する。あるいは、他の例を示すと、音声により、人が乗り込まないようにする趣旨のメッセージを案内したり、画像処理によってエスカレータ内が無人状態であることを確認したりする処理を適宜用いることができる。何れにしても、エスカレータ内を無人状態となるように仕向け且つその無人状態を確認する処理を行う。そのうえで、ステップS6として、運転制御部29は、切り替えポイント計算部27において算出した切り替えポイントに対応するタイミングで、エスカレータの運転方向を切り替える。すなわち、まず、エスカレータ1の上昇運転を停止させ、続いて、下降運転を開始させる。
【0024】
図6に、上述した本実施の形態に係る省エネ運転方法を実施した、省エネ運転プランの一例を示す。このプランは、図6に示されるように、上昇運転の利用率が小さいときには、エスカレータの運転自体を停止させ、また、下降運転の利用率が大きいときのみ下降運転に切り替えるものである。16時〜22時までの下降運転時は、利用者にとって下降運転のニーズが大変大きく、利用率が大きい。その一方で、前述したように、下降運転時は、利用者の体重による駆動力の補助が得られるので、利用者が多いほど、逆に消費電力は少なくて済む。このように、本プランでは、利用者のニーズに極めて適切に応えておりながら、尚且つ、消費電力を大幅に抑えた運転を行うことが可能である。
【0025】
以上説明したように、本実施の形態の乗客コンベアの省エネ運転システム及び省エネ運転方法によれば、エネルギ消費態様を把握し、サービス効率と省エネルギ効率との両立を図ることができる。また、運転方向の切り替えにおいては、乗客コンベアの施設の係員(例えば駅の係員等)の判断によらないため、係員の操作を必要とせず、人の手を介さずに自動的に実施することができ、作業の省力化や効率化といった利点も得られることとなる。
【0026】
以上、好ましい実施の形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の改変態様を採り得ることは自明である。
【符号の説明】
【0027】
1 エスカレータ(乗客コンベア)、3 電力計、21 省エネ運転システム、23 電力量記録部、25 パラメータ記憶部、27 切り替えポイント計算部、29 運転制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力量記録部と、パラメータ記憶部と、切り替えポイント計算部と、運転制御部とを備え、
前記電力量記録部は、その乗客コンベア固有の上昇運転時消費電力量データ及び下降運転時消費電力量データの少なくも一方を保持しており、
前記パラメータ記憶部は、その乗客コンベア固有の電力量の目標値を保持しており、
前記切り替えポイント計算部は、前記電力量記録部の消費電力量データと、前記電力量の目標値とを用いて、上昇運転と下降運転との切り替えポイントを算出し、
前記運転制御部は、前記切り替えポイント計算部の算出結果に従って、その乗客コンベアの上昇運転及び下降運転の間の運転方向を切り替える
乗客コンベアの省エネ運転システム。
【請求項2】
複数の曜日に関して所定時間、実際に、対象の乗客コンベアを運転し、その乗客コンベア固有の上昇運転時消費電力量データ及び下降運転時消費電力量データの少なくとも一方を用意し、
設定されたその乗客コンベア固有の電力量の目標値に対して、対応する曜日に関する前記消費電力量データを用いて、上昇運転と下降運転との切り替えポイントを算出し、
算出した前記切り替えポイントに対応するタイミングでその乗客コンベアの運転方向を切り替える
乗客コンベアの省エネ運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−23381(P2013−23381A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163217(P2011−163217)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】