説明

乗客コンベアの踏段鎖異常検出装置

【課題】容易に設置することが可能な乗客コンベアの踏段鎖異常検出装置を得ることを目的とする。
【解決手段】引っ張り軸2の移動に連動するカム27と、プランジャ14の初期位置からの変位量が第1距離以上となったときに動作するリミットスイッチ10と、レバー軸26の軸回りに回動自在に配設された回動レバー25と、を備え、リミットスイッチ10は、初期位置に位置するプランジャ14が、プランジャ14の出没方向を回動レバー25の長さ方向及びレバー軸26の軸方向と直交させ、かつ回動レバー25の一端側に接するように配設され、カム27は、初期位置に位置する時に回動レバー25の他端側に接し、かつ引っ張り軸2の移動に連動して回動レバー25を回動させるように配設され、カム27の移動量が第1移動量となったときに回動レバー25の一端側がプランジャ14を第1距離だけ変位させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は踏段鎖が異常に伸びた、又は破断したことを検出する乗客コンベアの踏段鎖異常検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下、従来の乗客コンベアの踏段鎖破断検出装置について、図面を参照しつつ説明する。
図6は例えば、特許文献1に記載された従来の踏段鎖破断検出装置を備えるエスカレータの模式図、図7は例えば、特許文献1に記載された従来の踏段鎖破断検出装置の拡大図である。
【0003】
図6及び図7において、乗客コンベアとしてのエスカレータ1は、乗り口から降り口に至るように架設されたトラス78と、トラス78内部の上階側端部78a(上部トラスエンド78a)付近に配設された上鎖車73と、トラス78内部の下階側端部78b(下部トラスエンド78b)付近に配設された下鎖車74と、駆動機75の出力を上鎖車73に伝達する駆動鎖76と、無端状をなし、上鎖車73と下鎖車74とに巻き掛けられて、駆動機75の出力が駆動鎖76を介して伝達されて回転駆動する上鎖車73により循環移動する踏段鎖72と、踏段鎖72に連結された多数の踏段71と、駆動機75の制御など、エスカレータ1の運転全般を制御するエスカレータ制御盤70と、従来の踏段鎖破断検出装置80と、を備えている。
【0004】
そして、従来の踏段鎖破断検出装置80は、引っ張り軸2、ブラケット3、圧縮コイルばね5、ダブルナット7、バネ座8、検出器81及び作動片87a,87bを有している。引っ張り軸2は、その一端が下鎖車74に連結されて、他端が下部トラスエンド78bに向かって上鎖車73から離反する方向に延設され、圧縮コイルばね5が引っ張り軸2を介して下鎖車74を上鎖車73から離反する方向に付勢するように配設されている。
【0005】
また、ブラケット3は、断面L字状に形成され、L字の一辺3aがトラス78の床部78cにボルト・ナットにより固定されている。そして、ブラケット3の断面L字の他辺を構成するバネ取付辺3bが、床部78cから引っ張り軸2の軸方向に垂直に突出している。このとき、引っ張り軸2がバネ取付辺3bを遊嵌状態に貫通している。また、引っ張り軸2の他端側には、ねじ山が形成されている。
【0006】
さらに、バネ座8が、バネ取付辺3bの下部トラスエンド78b側に所定の距離をあけて配置され、引っ張り軸2が遊嵌状態にバネ座8を貫通している。
そして、ダブルナット7の一端面がバネ座8の下部トラスエンド78b側の壁面に接触するように、引っ張り軸2に螺着されている。
【0007】
さらに、圧縮コイルばね5が、引っ張り軸2に外嵌状態に装着されて、バネ取付辺3bとバネ座8との間に縮設されている。このとき、圧縮コイルばね5の弾性力は、バネ座8を介してダブルナット7を下部トラスエンド78b側に押圧するように働いている。即ち、圧縮コイルばね5は、下鎖車74が引っ張り軸2を介して上鎖車73から離反する方向に付勢している。これにより、踏段鎖72のたるみが除かれている。
【0008】
また、一対のナット86a,86bがバネ座8の下部トラスエンド78b側に螺着されている。そして、作動片87aが、一対のナット86a,86bによって挟持されて引っ張り軸2に固定されている。
さらに、一対のナット86c,86dが一対のナット86a,86bの下部トラスエンド78b側に螺着されている。そして、作動片87bが、一対のナット86c,86dによって挟持されて引っ張り軸2に固定されている。このとき、作動片87a,87bは引っ張り軸2の軸方向に所定の間隔を有し、また、作動片87a,87bの上端は引っ張り軸2の上方で所定の高さ位置に配置されている。
そして、検出器81は、作動片87a,87bが踏段鎖72の伸びに起因して引っ張り軸2とともに所定量を超えて移動したときに、作動片87aに当接して作動するように配設されている。そして、検出器81が作動すると同時に、踏段鎖72の走行を停止させるようになっていた。
【0009】
特許文献1には、検出器81について具体的に記載されていないが、一般的に、検出器81は、ケース82に出没自在に配置された軸部83aと、軸部83aの延出端に固定された球状のプランジャローラ83bとからなるプランジャ83と、を有し、プランジャ83が初期位置から所定量変位したきに動作するリミットスイッチが用いられる。そして、検出器81は、軸部83aの出没方向を高さ方向に合わせ、かつ、引っ張り軸2の軸方向に関し、プランジャローラ83bが作動片87a,87bの間に位置するように配設されている。
【0010】
例えば、経時的に踏段鎖72が伸びると圧縮コイルばね5が伸長し、引っ張り軸2は下部トラスエンド78b側にスライド移動する。このとき、作動片87a,87baも、引っ張り軸2とともに下部トラスエンド78b側にスライド移動する。そして、作動片87aがプランジャローラ83bを押圧してプランジャ83を初期位置から所定量変位させると検出器81が動作するようになっている。
【0011】
【特許文献1】特開2004−10325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来の踏段鎖破断検出装置80において、検出器81に一般的に用いられるリミットスイッチを動作させるためのプランジャ83の変位量は小さなものである。よって、初期状態において、検出器81は、プランジャ83を作動片87a,87bの上端に対して適切な位置に精度よく配置させつつ位置決めを行わなければならない。検出器81を動作させるためのプランジャ83の変位量が小さいため、検出器81を所定の基準位置に配置させるための調整においては、許容誤差は大変小さいものとなっている。従って、検出器81を基準位置に精度よく配置させるのは容易ではなく、検出器81の設置に時間がかかるという問題がある。
【0013】
この発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、容易に設置することが可能な乗客コンベアの踏段鎖異常検出装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明による乗客コンベアの踏段鎖異常検出装置は、複数の踏段がトラスの乗り口側と降り口側とに設置された一対の鎖車に掛け渡された無端状の踏段鎖に連結され、引っ張り軸がその一端を一対の鎖車の一方の鎖車に連結されて他方の鎖車から離反する方向に延設され、圧縮コイルばねが引っ張り軸を介して一方の鎖車を他方の鎖車から離反する方向に付勢するように配設され、駆動機が他方の鎖車を回転駆動することにより踏段鎖を循環移動させるように構成され、引っ張り軸の移動に連動して引っ張り軸の軸方向に移動可能に配設されたカムと、ケースに出没自在に配設されたプランジャを有し、プランジャの初期位置からの変位量が第1距離以上となったときに動作して駆動機への通電経路を遮断するように構成されたリミットスイッチと、軸方向が引っ張り軸の軸方向に対して垂直な方向に一致するレバー軸の軸回りに回動自在に配設された回動レバーと、を備え、レバー軸は回動レバーの長さ中心より一端側の部位に配置され、リミットスイッチは、初期位置に位置するプランジャが、プランジャの出没方向を回動レバーの長さ方向及びレバー軸の軸方向と直交させ、かつ回動レバーの一端側に接するように配設され、カムは、初期位置に位置する時に回動レバーの他端側に接し、かつ引っ張り軸の移動に連動して回動レバーを回動させるように配設され、カムの移動量が第1移動量となったときに回動レバーの一端側がプランジャを第1距離だけ変位させるように構成されている。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、リミットスイッチ及びカムの位置調整が、リミットスイッチのプランジャの先端を回動レバーの一端に接するように、また、カムを引っ張り軸の移動に連動して回動レバーを回動させるように該回動レバーの他端側に接するように配設するだけであるので踏段鎖以上検出装置の設置に要する時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
図1はこの発明に係る乗客コンベアの踏段鎖異常検出装置の拡大図、図2はこの発明に係る乗客コンベアの踏段鎖異常検出装置のリミットスイッチにおけるa接点及びb接点の動作を説明するための断面図であり、図2の(a)はb接点が開成し、a接点が閉成した状態を示し、図2の(b)はa接点及びb接点が共に閉成した状態を示し、図2の(c)はb接点が閉成し、a接点が開成した状態を示している。図3はこの発明に係る乗客コンベアの踏段鎖異常検出装置のリミットスイッチにおけるa接点及びb接点の状態を示す図、図4はこの発明に係る乗客コンベアの踏段鎖異常検出装置のシステム構成図、図5はこの発明に係る乗客コンベアの踏段鎖異常検出装置のリミットスイッチにおけるa接点接続端子及びb接点接続端子の出力電圧の特性図である。
なお、上記従来技術と同一部分または相当部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0017】
図1において、乗客コンベアとしてのエスカレータ1の踏段鎖異常検出装置9は、引っ張り軸2、ブラケット3、圧縮コイルばね5、ダブルナット7、バネ座8、リミットスイッチ10、回動レバー25、レバー軸26、カム27、ナット28a,28b、スイッチ取付金具29、及び監視制御盤30を有している。
以下に詳細を説明するリミットスイッチ10は、軸部14a、及び軸部14aの一端に固定されたプランジャローラ14bからなるプランジャ14を有し、プランジャ14は、ケース11に出没可能に配設されている。
【0018】
まず、リミットスイッチ10の詳細構成について説明する。
図2において、リミットスイッチ10は、ケース11、補強部材13、プランジャ14、摺接片15、常開式のa接点19、常閉式のb接点20、付勢ばね21、a接点接続端子22、b接点接続端子23、及び共通接点接続端子24を有している。
【0019】
ケース11は、中空の直方体状に形成されている。
また、プランジャ14は、断面円の軸部14a及び球状のプランジャローラ14bで構成され、プランジャローラ14bが軸部14aの一端に固定されている。そして、軸部14aは、ケース11の壁を遊嵌状態に挿通しており、その他端側がケース11内部に配置されている。
また、補強部材13が、ケース11の外方に延在する軸部14aの中間部位を外嵌状態に覆うようにケース11に固定され、軸部14aは、その長さ方向にスライド移動可能に補強部材13に支持されている。これにより、プランジャ14はケース11に出没自在となっている。
【0020】
摺接片15は、導電性部材により直方体状に形成され、長手方向を軸部14aの長さ方向に一致させて軸部14aの他端に連結されている。このとき、摺接片15の長手方向に垂直な一端面の中央部が軸部14aの他端に連結されている。
【0021】
a接点19は第1導電片16と共通導電片18とで構成され、b接点20は第2導電片17と共通導電片18とで構成されている。
第1導電片16及び第2導電片17は軸部14aの長さ方向に所定の距離をあけてケース11内に配置されている。このとき、第2導電片17が、プランジャ14のケース11への挿通部位側に配置されている。さらに、共通導電片18は軸部14aの軸心を含む直線を挟んで第1導電片16及び第2導電片17と対向するように配置されている。なお、図示しないが、第1導電片16、第2導電片17及び共通導電片18はケース11の内壁に支持固定されている。
【0022】
また、第1ストッパ18a及び第2ストッパ18bのそれぞれが、共通導電片18の軸部14aの長さ方向の両端のそれぞれから、第1導電片16及び第2導電片17側に向かって突出するように形成されている。そして、摺接片15は、第1ストッパ18aと第2ストッパ18bとの間を、第1導電片16及び第2導電片17の少なくとも一方と共通導電片18とに摺接しながら往復移動することが可能になっている。
【0023】
さらに、付勢ばね21が、その弾性力が摺接片15を軸部14aのケース11への挿通部側に押圧する方向に働くように、摺接片15の長手方向に垂直な他端面とケース11の内壁との間に縮設されている。
これにより、初期状態では、摺接片15は図2の(c)に示されるように、付勢ばね21の弾性力によりプランジャ14のケース11への挿通部側にプランジャ14とともに移動して、第2ストッパ18bに当接した状態で安定保持されている。このときのプランジャ14の位置を初期位置とする。即ち、プランジャ14の初期位置とは、プランジャ14がケース11の外部からプランジャ14を出没方向に変位させる力が働いていない状態で保持されているときのプランジャ14の位置である。
【0024】
そして、a接点19及びb接点20は、摺接片15を介した導通状態が、初期位置からのプランジャ14の変位量に応じて変化するようになっている。
【0025】
初期位置からのプランジャ14の変位量が第1距離以上であるときは、図2の(a)に示されるように、摺接片15は第2導電片17から離反した状態で、第1導電片16及び共通導電片18に接するようになっている。即ち、b接点20は開成され、a接点19は閉成された状態となる。
【0026】
そして、初期位置からのプランジャ14の変位量が、第1距離より小さな第2距離以上第1距離未満であるときは、図2の(b)に示されるように、摺接片15は第1導電片16、第2導電片17及び共通導電片18のそれぞれに接するようになっている。即ち、a接点19及びb接点20が共に閉成された状態となる。
【0027】
また、初期位置からのプランジャ14の変位量が、0以上第2距離未満である場合、図2の(c)に示されるように、摺接片15は、第1導電片16から離反した状態で、第2導電片17及び共通導電片18に接するようになっている。即ち、b接点20は閉成され、a接点19は開成された状態となる。
【0028】
なお、初期位置からのプランジャ14の変位量が、第1距離より大きな第3距離以上となったときに、摺接片15が第1ストッパ18aに当接して、摺接片15の移動が規制されるようになっている。
【0029】
ここでは、リミットスイッチ10は、第1距離、第2距離及び第3距離のそれぞれが、2.5mm、1mm及び6mmのそれぞれとなるものが用いられている。以上をまとめると、図3に示されるように、初期位置からのプランジャ14の変位量が0mm以上1mm未満のときは、a接点19及びb接点20はそれぞれ開成及び閉成状態となり、初期位置からのプランジャ14の変位量が1mm以上2.5mm未満のときは、a接点19及びb接点20は共に閉成状態となり、初期位置からのプランジャ14の変位量が2.5mm以上6mm以下のときは、a接点19及びb接点20はそれぞれ閉成及び開成状態となる。
【0030】
また、a接点接続端子22、b接点接続端子23、及び共通接点接続端子24のそれぞれが、ケース11の外部に露出するように配設されている。
そして、a接点接続端子22、b接点接続端子23、及び共通接点接続端子24のそれぞれと第1導電片16、第2導電片17及び共通導電片18のそれぞれとの間は、電気配線などを用いて電気的に接続されている。
【0031】
このように構成されたリミットスイッチ10は、図1に示されるようにプランジャ14のケース11に対する出没方向(以降、単に出没方向と記載する)を引っ張り軸2の軸方向に一致させ、さらに、プランジャローラ14bを前述の下部トラスエンド78b側に向けて配置されている。そして、リミットスイッチ10は、トラス78に固定されたスイッチ取付金具29に固定されている。
【0032】
このとき、長孔29aが、その長軸方向が引っ張り軸2の軸方向に一致するように、引っ張り軸2の上方のスイッチ取付金具29の部位に形成されている。そして、リミットスイッチ10は、長孔29aに挿通されたビスなどを用いてスイッチ取付金具29に締着固定されている。また、リミットスイッチ10は、ビスを緩めることにより、ビスを長孔29aに挿通させたまま長軸方向に移動することができ、リミットスイッチ10は長孔29aの長軸方向の位置を容易に調整することができる。
【0033】
また、カム27は、軸固定辺27a及び軸固定辺27aの一端から垂直に延出するレバー押圧辺27bを有する断面L字状に形成されている。軸固定辺27aはブラケット3から下鎖車74側に所定距離だけ離間した引っ張り軸2の部位に一対のナット28a,28bにより固定されて、引っ張り軸2の上方に突出している。レバー押圧辺27bは、軸固定辺27aの上端から下部トラスエンド78bに向けて引っ張り軸2の軸方向に沿って水平に延在している。これにより、カム27は、引っ張り軸2の移動に連動して引っ張り軸2の軸方向に移動可能となっている。また、レバー押圧辺27bの先端位置は、引っ張り軸2の軸方向に関し、プランジャローラ14bの下部トラスエンド78b側端部(プランジャ14の先端)の位置と略同じとなっている。
【0034】
さらに、レバー軸26は、その一端がレバー押圧辺27bの上方に所定の高さ位置でスイッチ取付金具29に固定され、他端がスイッチ取付金具29から突出されている。このとき、レバー軸26の軸方向は、引っ張り軸2の軸方向に垂直な方向、かつ水平方向に一致している。
【0035】
また、回動レバー25は棒状に形成されている。そして、レバー軸26が、回動レバー25の一端から所定の距離の部位を遊嵌状態に挿通しており、回動レバー25はレバー軸26の軸周りに回動自在となっている。
【0036】
また、カム27のレバー押圧辺27bの先端が該回動レバー25の他端側に接するように配設され、カム27は引っ張り軸2が移動したときに、引っ張り軸2の移動に連動して回動レバー25を回動させるようになっている。上述したように、レバー押圧辺27bの先端位置とプランジャ14の先端の位置とが、引っ張り軸2の軸方向に関して同じになっている。従って、カム27が初期位置にあるとき、初期位置にあるプランジャ14の先端が、回動レバー25の一端側に接する。また、回動レバー25の長さ方向は、引っ張り軸2の軸方向に垂直であり、レバー軸2も上述したように引っ張り軸2に垂直である。即ち、引っ張り軸2の軸方向に一致するプランジャ14の出没方向は、回動レバー25の長さ方向及びレバー軸26の軸方向に対して垂直となっている。
【0037】
また、レバー軸26と回動レバー25の一端との距離をL1とし、レバー軸26と回動レバー25の他端との距離をL2としたときに、L1対L2は1対3となっている。従って、回動レバー25が回動したとき、その一端の変位量は、他端の変位量に対して1/3となる。
【0038】
以下、L1対L2の決定方法について説明する。
前述したように、踏段鎖72に経時的な伸びが発生すると、圧縮コイルばね5は伸長し、引っ張り軸2は圧縮コイルばね5の引っ張り方向(下部トラスエンド側)に移動する。これにより、踏段鎖72に付与される張力は初期状態に対し略一定に保たれる。なお、圧縮コイルばね5の引っ張り方向とは、引っ張り軸2が圧縮コイルばね5によって引っ張られる方向であり、引っ張り軸2の軸方向に一致している。
【0039】
そして、踏段鎖72の伸び量に対して、引っ張り軸2の移動量は一義的に決まる。即ち、引っ張り軸2は、圧縮コイルばね5により下部トラスエンド78b側に引っ張られているので、踏段鎖72が伸びたときには、その伸び量に応じて圧縮コイルばね5の引っ張り方向に所定量だけスライド移動する。このとき、引っ張り軸2に固定されたカム27も圧縮コイルばね5の引っ張り方向に移動するので、回動レバー25は、その他端がカム27の移動量と同じ値だけ変位するように回動する。ここで、踏段鎖72が伸び、カム27が引っ張り軸2とともに圧縮コイルばね5の引っ張り方向に移動する前のカム27の位置を初期位置とする。
【0040】
ここで、詳細は後述するが、本発明の乗客コンベアの踏段鎖異常検出装置9は、初期位置からのカム27の圧縮コイルばね5の引っ張り方向への移動量(引っ張り軸2の軸方向への移動量)が、第1移動量以上となったときに、踏段鎖72の走行を強制的に停止し、第1移動量に達する前の第2移動量以上となったときに情報センタ38に警告を発するものである。以降、カム27の引っ張り軸2の軸方向への移動量を単にカム27の移動量と記載する。
【0041】
そして、L1対L2は、第1移動量と、リミットスイッチ10のb接点20を開成するために必要なプランジャ14の初期位置からの変位量である第1距離と、により決定している。なお、第1移動量は、一義的に決まるものではないが、踏段71の走行に支障をきたす恐れのある踏段鎖72の伸び量より小さい値で適宜決定される。
【0042】
ここでは、例えば、第1移動量は7.5mmとする。そして、引っ張り軸2が圧縮コイルばね5の引っ張り方向に7.5mm移動したときに、プランジャ14が第1距離(2.5mm)変位するようにL1対L2を設定する。つまり、回動レバー25の一端に押されて変位するプランジャ14の初期位置からの変位量が2.5mmとなるようにL1対L2を設定する。この条件を満足するL1対L2は1対3のみであり一義的にL1対L2が決定される。
【0043】
また、図示しないが、リミットスイッチ10の保護を目的として、引っ張り軸2の下部トラスエンド78b側への移動量が12mmとなったときに、即ち、プランジャ14が4mm変位したときに、それ以上、引っ張り軸2が下部トラスエンド78b側に移動するのを規制する軸変位ストッパが配設されている。
【0044】
次いで、監視制御盤30の詳細構成について図4を参照しつつ説明する。
監視制御盤30は、演算制御手段としてのCPU31、外部から入力される各種信号に基づいて、CPU31に所定の演算制御を行わせるためのプログラムが書き込まれたROM32、及びCPU31が行う各種演算のワーキングエリアに用いられるRAM33などを有している。
【0045】
次いで、踏段鎖異常検出装置9を備えるエスカレータ1のシステム構成について図4を参照しつつ説明する。
リミットスイッチ10のb接点接続端子23及び共通接点接続端子24が、駆動機75への通電経路にシリーズに組み込まれている。このとき、共通接点接続端子24が図示しない電源の高圧側端子37aに接続されている。
【0046】
前述したように、a接点接続端子22、b接点接続端子23、及び共通接点接続端子24は第1導電片16、第2導電片17、及び共通導電片18のそれぞれに電気的に接続されている。そして、摺接片15が、共通導電片18と第1導電片16及び第2導電片17の少なくとも一方との間を電気的に接続するようになっている。
【0047】
さらに、a接点接続端子22及びb接点接続端子23は、監視制御盤30に電気配線35a,35bを用いて接続されている。このとき、電気配線35a,35bのそれぞれは、高抵抗36a,36bのそれぞれを介して接地されている。そして、監視制御盤30のCPU31はa接点接続端子22及びb接点接続端子23の電圧を読み取り可能になっている。そして、駆動機75の電源入出力端子(図示せず)のそれぞれが、b接点接続端子23と電源の低圧側端子37bとに接続されている。
【0048】
また、監視制御盤30は、エスカレータ1の管理者が駐在する情報センタ38に通信ケーブルなどで接続されている。
【0049】
次いで、上記のように構成された踏段鎖異常検出装置9のa接点接続端子22及びb接点接続端子23の電圧について図5を参照しつつ説明する。
上述のように、回動レバー25の一端側の変位量は、他端側の変位量の1/3になっている。つまり、回動レバー25の他端の変位量が0mm以上3mm未満のときには、回動レバーは、0mm以上1mm未満である。言い換えれば、初期位置からのカム27の移動量が0mm以上3mm未満のときには、プランジャ14の変位量が0mm以上1mm未満であるので、a接点19は開状態、b接点20は閉状態にあり、a接点接続端子22の電圧は接地電圧(L)となり、b接点接続端子23の電圧は所定の大きさを有する電圧値(H)となる。
【0050】
また、初期位置からのカム27の移動量が3mm以上7.5mm未満のときには回動レバー25の一端の変位量は、1mm以上2.5mm未満であるので、a接点19及びb接点20ともに閉状態にあり、a接点接続端子22及びb接点接続端子23の電圧はHとなる。
【0051】
さらに、初期位置からのカム27の移動量が7.5mm以上となると、回動レバー25の一端の変位量は、2.5mm以上となるので、a接点19は閉状態のままb接点20が開成し、a接点接続端子22の電圧はH、b接点接続端子23の電圧はLとなる。
【0052】
上記のように構成された踏段鎖異常検出装置9の配設手順について説明する。
予め、カム27の軸固定辺27aを引っ張り軸2にナット28a,28bで固定させたのち、ブラケット3、圧縮コイルばね5、バネ座8、ダブルナット7を取り付ける。
そして、初期状態では、圧縮コイルばね5が規定の収縮量となるように、ダブルナット7の螺着位置を調整している。これにより、引っ張り軸2が所定の張力で下部トラスエンド78b側に引っ張られるので、下鎖車74も下部トラスエンド78b側に所定の張力で引っ張られて、踏段鎖72のたるみが除かれる。ここで、カム27の引っ張り軸2の軸方向位置は一対のナット28a,28bの螺着位置を移動させることにより調整可能になっている。
【0053】
また、リミットスイッチ10、回動レバー25、レバー軸26が予め取り付けられた
スイッチ取付金具29を所定の位置に取り付ける。
そして、回動レバー25をその長さ方向が、引っ張り軸2の軸方向に垂直になるように一端側を上方に向けて回動させる。
【0054】
この状態で、レバー押圧辺27bの延出端が回動レバー25の他端に接する(ジャストタッチする)ようにカム27の引っ張り軸2の軸方向の位置調整を行って、カム27の初期位置とし、さらに、初期位置にあるプランジャローラ14bの先端が回動レバー25の一端に接するようにリミットスイッチ10の位置調整を行う。そして、リミットスイッチ10及びカム27をそれぞれスイッチ取付金具29及び引っ張り軸2に固定する。これにより、踏段鎖異常検出装置9の配設が終了する。
このとき、初期位置からのプランジャ14の変位量14は0であるので、プランジャ14は、カム27が初期位置から第1移動量だけ移動して回動レバー25が所定角度回動したときに回動レバー25の一端によって第1距離だけ変位させられる。このように動作するリミットスイッチ10の配置位置を基準位置とする。
【0055】
そして、リミットスイッチ10のa接点19及びb接点20の動作を以下のように確認する。
回動レバー25とレバー押圧辺27bとの間にテーパゲージ(図示せず)を挿入し、テーパゲージをレバー押圧辺27bにあてがいながら押し込んで、回動レバー25の他端を下部トラスエンド78b側に変位させる。なお、テーパゲージを用いて回動レバー25を回動させることは、回動レバー25がカム27のレバー押圧辺27bに押圧されて回動することを模擬するものである。
また、前述したように、レバー軸26と回動レバー25の一端側の距離L1と、レバー軸26と回動レバー25の他端側の距離L2との比は、1:3となっている。従って、プランジャ14の変位量1mmが回動レバー25の他端の変位量3mmに相当する。
【0056】
例えば、リミットスイッチ10の仕様において、プランジャ14の変位量が1mmのときに動作するa接点19の動作確認をする場合、回動レバー25の他端が3mm変位したときにa接点19が動作することを確認すればよい。
【0057】
同様に、リミットスイッチ10の仕様において、プランジャ14が2.5mm変位したときに動作するb接点20の動作確認をする場合、回動レバー25の他端が7.5mm変位したときにb接点20が動作することを確認すればよい。
【0058】
次いで、踏段鎖異常検出装置9を備えるエスカレータ1の全体動作について説明する。
踏段鎖72に経年的な伸びに起因する初期位置からのカム27の移動量が0〜3mm未満であるとき、即ち、a接点接続端子22の出力がLであり、b接点接続端子23の出力がHであるときには、監視制御盤30のCPU31は、踏段鎖72の伸び量は少なく、踏段鎖72は正常な状態で走行しているものと判断し、エスカレータ1の運転をそのまま継続させる。即ち、踏段鎖72の保守の必要性は無いものと判断する。
【0059】
初期位置からのカム27の移動量が3mmに達するとa接点19が動作(閉成)するので、a接点接続端子22の出力がLからHに切り替わる。このとき、監視制御盤30のCPU31は、踏段鎖72に異常な伸びが発生したと判断し、警告信号を情報センタ38に発信するようになっている。これにより、エスカレータ1の管理者は、踏段鎖72に、その伸び量の比較的小さい初期異常が発生したことを認識し、踏段鎖72の保守点検時期が到来したと判断する。そして、エスカレータ1の管理者は、保守作業員を派遣し、踏段鎖72に適切な張力を与えるように圧縮コイルばね5の収縮量を再調整するとともに、カム27、及びリミットスイッチ10の位置を再調整するなどの対応をとらせる。
【0060】
また、何等かの原因で急激に踏段鎖72が伸びたり、踏段鎖72が破断したりして、初期位置からのカム27の移動量が7.5mm以上となったときは、b接点20が動作(開成)するので、駆動機75への通電が遮断されて踏段鎖72の走行が強制的に停止される。そして、CPU31は、b接点20が動作したと判断すると、情報センタ38にカム27を第1移動量以上移動させる踏段鎖72の異常伸びが発生したことを知らせる信号を送信するようになっている。
【0061】
この発明の効果を明確にするため、従来の踏段鎖破断検出装置80の作動片87aに対する検出器81の位置調整と、踏段鎖異常検出装置9の回動レバー25に対するリミットスイッチ10及びカム27の位置調整を対比して説明する。
【0062】
図7において、従来の踏段鎖破断検出装置80の検出器81は、作動片87aが所定量を超えて引っ張りコイルばね5の引っ張り方向に移動すると同時に、プランジャローラ83bが作動片87aに押し上げられてプランジャ83が所定量変位することにより動作するように配設されている。
【0063】
例えば、作動片87aが所定量を超えて引っ張りコイルばね5の引っ張り方向に移動すると同時に、プランジャローラ83bの突出端と当接した位置で、プランジャローラ83bを所定量押し上げて、プランジャ83を所定量変位させるように配置されるものとする。即ち、プランジャローラ83bの突出端と作動片87aの上端との間の距離が、検出器81を動作させるためのプランジャ83の変位量となっている。
【0064】
そして、検出器81は、リミットスイッチ10と同等に構成されていており、例えば、b接点が動作したことを持って検出器81が動作したものとする。この場合、プランジャローラ83bは、その突出端と作動片87aの上端との間が第1距離(例えば2.5mm)になるように配置させなくてはならない。作動片87aから離れた位置にあるプランジャローラ83bの突出端の高さ位置を、作動片87aの上端に対し、僅か2.5mmの下方に所定の許容誤差範囲内に精度よく配置するのは難しいものとなる。従って、従来の踏段鎖破断検出装置80の設置にかかる時間が増大してしまっていた。
【0065】
一方、踏段鎖異常検出装置9のリミットスイッチ10の位置調整は、出没方向が回動レバー25の長さ方向及びレバー軸26の軸方向に直交し、かつ初期位置にあるプランジャ14が回動レバー25の一端側に接するように直接目視しながら行うことが可能である。これにより、容易にリミットスイッチ10を基準位置に配置させることができる。また、カム27の配置位置の調整についても、レバー押圧辺27bの先端を回動レバー25の他端に接するように直接目視しながら行うことができ、回動レバー25に接した位置が自動的にカム27の初期位置となる。
以上により、踏段鎖異常検出装置9の設置にかかる時間を短縮することができる。
【0066】
さらに、初期位置からのカム27の移動量が0であるときに、引っ張り軸2に対して回動レバー25を直交させて配置すれば、引っ張り軸2に対して容易に回動レバー25の初期状態の長さ方向の位置を決定でき、踏段鎖異常検出装置9の設置に要する時間をさらに短縮することができる。
【0067】
また、リミットスイッチ10のa接点19及びb接点20のそれぞれが、カム27が第2移動量及び第1移動量だけ移動したときにそれぞれ動作することを確認するのに、プランジャ14の変位量に対して3倍変位する回動レバー25の他端側の変位寸法を直接測定しながら確認することができるので、メンテナンス時のリミットスイッチ10の動作確認が容易となる。
【0068】
ここで、従来の踏段鎖破断検出装置80の検出器81は、踏段鎖72の伸びに対応する作動片87aの移動量が所定量を超えたり、破断したりしたときに、踏段鎖72の走行を停止させていた。これにより、破断したり、張力が不足したりした踏段鎖72が走行を続けることが防止されるので、二次災害の発生が抑制されていた。
【0069】
一方、踏段鎖異常検出装置9は、引っ張り軸2の移動に連動するカム27の初期位置からの移動量が3mm(第2移動量)に達したときにa接点19が動作し、カム27の初期位置からの移動量が7.5mm(第1移動量)に達したときにb接点20が動作するように構成されたリミットスイッチ10を利用している。そして、踏段鎖異常検出装置9は、初期位置からのカム27の移動量が第2移動量に達してa接点19が動作すると、監視制御盤30が情報センタ38に警告信号を発し、また、初期位置からのカム27の移動量が第1移動量に達すると、b接点20が動作して駆動機75への通電が遮断され、踏段鎖72の走行を強制的に停止する構成となっている。
【0070】
このとき、保守点検の必要性が発生する踏段鎖72の伸び量に対応する初期位置からのカム27の移動量を第2移動量として設定し、踏段鎖72の所定の張力が保てなくなる前の踏段鎖72の伸び量に対応する初期位置からのカム27の移動量を第1移動量として適宜設定している。これにより、カム27の移動量が第2移動量に達した時点で、エスカレータ1の管理者に、踏段鎖72の保守点検時期が到来したことを速やかに認識させ、踏段鎖72の伸びをタイムリーに再調整できることから、カム27の移動量が第1移動量に達してエスカレータ1が不測に停止することを防止できる。
【0071】
なお、上記実施の形態では、乗客コンベアとしてのエスカレータ1に適用するものとして説明しているが、本発明は、動く歩道などの乗客コンベアに対しても適用できる。
【0072】
また、リミットスイッチは、図2に示されるリミットスイッチ10の構成に限定されるものではなく、初期位置からのプランジャ14の変位量が第2距離以上になるとa接点19が閉成し、初期位置からのプランジャ14の変位量が第1距離以上になるとb接点20が開成するように構成されていればよい。
【0073】
また、引っ張り軸2が、その一端を上下一対の鎖車のうちの下鎖車74に連結されて上鎖車73から離反する方向に延設され、圧縮コイルばね5が引っ張り軸2を介して下鎖車74を上鎖車73から離反する方向に付勢するように配設されるものとして説明したが、引っ張り軸2は上鎖車73に連結されて下鎖車74から離反する方向に延設され、圧縮コイルばね5が引っ張り軸2を介して上鎖車73を下鎖車74から離反する方向に付勢するように配設されているものでもよい。
【0074】
また、カム27は断面L字状に形成されるものとして説明したが、引っ張り軸2の移動に連動して回動レバー25を回動させるように回動レバー25の他端側に接するように配設されていれば、形状は限定されない。
【0075】
また、レバー軸26の軸方向は、引っ張り軸2の軸方向に直交し、かつ水平方向に一致するものとして説明したが、レバー軸26の軸方向は引っ張り軸2の軸方向に直交するものであれば水平方向に一致させる必要はない。
【0076】
また、回動レバー25を、その長さ方向が引っ張り軸2の軸方向に直交するように配置させた後、初期位置にあるプランジャ14及びカム27が接するように、リミットスイッチ10及びカム27の位置調整を行うものとして説明したが、リミットスイッチ10及びカム27の初期位置の調整は、引っ張り軸2の軸方向に垂直な方向に対し長さ方向を傾斜させた回動レバー25に対して行ってもよい。この場合、リミットスイッチ10の位置調整は、プランジャ14の出没方向を、引っ張り軸2の軸方向に垂直な方向から傾斜した回動レバー25の長さ方向、及びレバー軸26の軸方向に対して垂直にした状態で行えばよい。
【0077】
また、レバー軸26と回動レバー25の一端との距離をL1とし、レバー軸26と回動レバー25の他端との距離をL2としたときに、L1対L2は1対3とするものとして説明したが、L1対L2は1対3になるものに限定されるものではなく、L2がL1より大きくなるように、回動レバー25の長さ方向に対してレバー軸26の配置位置を決定すればよい。即ち、レバー軸26は回動レバー25の長さ中心より一端側の部位に配置されていればよい。これにより、リミットスイッチ10の動作が、プランジャ14の変位量に対して大きな変位量となる回動レバー25の他端側の変位寸法を直接測定しながら確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】この発明に係る乗客コンベアの踏段鎖異常検出装置の拡大図である。
【図2】この発明に係る乗客コンベアの踏段鎖異常検出装置のリミットスイッチにおけるa接点及びb接点の動作を説明するための断面図である。
【図3】この発明に係る乗客コンベアの踏段鎖異常検出装置のリミットスイッチにおけるa接点及びb接点の状態を示す図である。
【図4】この発明に係る乗客コンベアの踏段鎖異常検出装置のシステム構成図である。
【図5】この発明に係る乗客コンベアの踏段鎖異常検出装置のリミットスイッチにおけるa接点接続端子及びb接点接続端子の出力電圧の特性図である。
【図6】従来の踏段鎖破断検出装置を備えるエスカレータの模式図である。
【図7】従来の踏段鎖破断検出装置の拡大図である。
【符号の説明】
【0079】
1 エスカレータ(乗客コンベア)、2 引っ張り軸、5 圧縮コイルばね、9 踏段鎖異常検出装置、10 リミットスイッチ、11 ケース、14 プランジャ、19 a接点、20 b接点、25 回動レバー、26 レバー軸、27 カム、30 監視制御盤、71 踏段、72 踏段鎖、78 トラス、73 上鎖車(鎖車)、74 下鎖車(鎖車)、75 駆動機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の踏段がトラスの乗り口側と降り口側とに設置された一対の鎖車に掛け渡された無端状の踏段鎖に連結され、引っ張り軸がその一端を上記一対の鎖車の一方の鎖車に連結されて他方の鎖車から離反する方向に延設され、圧縮コイルばねが上記引っ張り軸を介して上記一方の鎖車を上記他方の鎖車から離反する方向に付勢するように配設され、駆動機が上記他方の鎖車を回転駆動することにより上記踏段鎖を循環移動させるように構成された乗客コンベアの踏段鎖異常検出装置であって、
上記引っ張り軸の移動に連動して上記引っ張り軸の軸方向に移動可能に配設されたカムと、
ケースに出没自在に配設されたプランジャを有し、該プランジャの初期位置からの変位量が第1距離以上となったときに動作して上記駆動機への通電経路を遮断するように構成されたリミットスイッチと、
軸方向が上記引っ張り軸の軸方向に対して垂直な方向に一致するレバー軸の軸回りに回動自在に配設された回動レバーと、を備え、
上記レバー軸は上記回動レバーの長さ中心より一端側の部位に配置され、
上記リミットスイッチは、初期位置に位置する上記プランジャが、該プランジャの出没方向を上記回動レバーの長さ方向及び上記レバー軸の軸方向と直交させ、かつ上記回動レバーの一端側に接するように配設され、
上記カムは、初期位置に位置する時に上記回動レバーの他端側に接し、かつ上記引っ張り軸の移動に連動して該回動レバーを回動させるように配設され、
上記カムの移動量が第1移動量となったときに上記回動レバーの一端側が上記プランジャを上記第1距離だけ変位させるように構成されていることを特徴とする乗客コンベアの踏段鎖異常検出装置。
【請求項2】
上記リミットスイッチは、上記プランジャの変位量が上記第1距離以上で開成して上記駆動機への通電経路を遮断するように構成されたb接点と、上記第1距離より小さな第2距離以上で閉成するa接点と、を有し、
上記a接点が閉成したときに上記踏段鎖の異常伸びを報知する監視制御盤を備えることを特徴とする請求項1記載の乗客コンベアの踏段鎖異常検出装置。
【請求項3】
上記回動レバーは上記プランジャ及び上記カムが初期位置に位置しているときに、その長さ方向が上記引っ張り軸の軸方向と直交するように配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の乗客コンベアの踏段鎖異常検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−83981(P2009−83981A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−254734(P2007−254734)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】