説明

乗客コンベア

【課題】欄干の内側板がガラス板より形成された乗客コンベアに、センサを安全で、かつ、見栄えよく固定できる乗客コンベアを提供することを目的とする。
【解決手段】欄干12の内側板がガラス板14より形成されたエスカレータ10において、手すりベルト18の折り返し部分におけるガラス板14に切欠き20を設け、利用者を検出するセンサ34をガラス板14の板厚部分と重なるように切欠き20内部に配する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗客コンベアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアにおいて、その利用者を検出するためのセンサは、欄干がステンレスパネルの場合には、そのステンレスパネルの中に設置し(例えば、特許文献1参照)、欄干の内側板がガラス板の場合には、外側デッキに支柱を設置し、その支柱の中に設置している(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献3においては、手すりベルトが折り返される乗降口付近のガラス板にセンサを取り付けることが開示されているが、具体的にどのような構造でセンサをガラス板に取り付けるかの記載がない。
【0004】
また、従来より、エスカレータ100の欄干104の内側板がガラス板106の場合に、センサ108を設置する構造としては、例えば図4及び図5に示すものがある。すなわち、手すりベルト102が折り返される乗降口付近のガラス板106の内側表面に、センサ固定部材110が取り付けられている。このセンサ固定部材110は、センサ108を収納するケース112、蓋114とより構成され、蓋114にはセンサ108からの光が通る開口部116が開口している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭54−116387号公報
【特許文献2】特開平6−9258号公報
【特許文献3】特開2004−83277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記センサ108の取り付け構造においては、図5に示すように、センサ固定部材110の幅方向の寸法t4が、手すりベルト102を支持する手すりデッキ118の下部の幅方向の寸法t3より大きく、センサ固定部材110が手すりデッキ118より突出する。そのため、センサ固定部材110に利用者の体がぶつかったり、衣類を引っ掛けたりするなどの可能性があった。
【0007】
また、図4に示すように、手すりデッキ118によって、手すりベルト102とセンサ固定部材110との間に隙間120が生じる。そのため、この隙間120に、利用者の指や手などが挟まれる可能性があった。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、欄干の内側板がガラス板より形成された乗客コンベアに、センサを安全で、かつ、見栄えよく固定できる乗客コンベアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態は、欄干の内側板がガラス板より形成された乗客コンベアにおいて、手すりベルトの折り返し部分における前記ガラス板に切欠き又は開口部を設け、前記乗客コンベアの利用者を検出するセンサを、前記ガラス板の板厚部分と重なるように、前記切欠き又は前記開口部内部に配する、ことを特徴とする乗客コンベアである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例を示すエスカレータの側面図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】図2におけるB−B線断面図である。
【図4】従来のエスカレータの側面図である。
【図5】図4におけるC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施例の乗客コンベアであるエスカレータ10を図1〜図3に基づいて説明する。
【0012】
図1は、エスカレータ10における乗降口付近を内側から見た側面図である。図1に示すように、欄干12の内側板がガラス板14より形成され、このガラス板14の乗降口側は半円形に形成され、その外周部分に手すりデッキ16が取り付けられている。また、この手すりデッキ16には、手すりベルト18が移動可能となっている。
【0013】
欄干12におけるガラス板14の乗降口側には、U字状の切欠き20が水平方向に設けられている。切欠き20を設ける位置は、利用者が身体が検知できる高さであり、例えば、欄干12の高さ方向における中央部分に設ける。
【0014】
切欠き20には、センサ固定部材22が取り付けられている。センサ固定部材22は、ステンレス製のケース24とステンレス製の蓋26とより構成され、ケース24は、ガラス板14の外側から切欠き20に嵌め込まれ、蓋26とケース24によってガラス板14を挟み込むように、蓋26とケース24がねじ止めされている。なお、ケース24と蓋26との間には、ゴム板25が介されている。
【0015】
ケース24内部にはボス28が突出し、図3に示すようにL字型に曲げられた金属板30の一方の板が、このボス28にネジ32でネジ止めされている。
【0016】
金属板30の他方の板には、利用者の有無を検出する光電型のセンサ34がネジ36で固定されている。また、この光電型のセンサ34から光が出るように円形の開口部38が蓋26とゴム板25に開口している。
【0017】
センサ固定部材22でセンサ34を固定した場合に、センサ34は、ガラス板14の内部、すなわち、ガラス板14の板厚と重なり合うような位置に固定される。図2に示すように、蓋26の厚みt1は、手すりデッキ16の下部の幅方向の寸法t3よりも小さく、かつ、ケース24のガラス板14から突出した寸法t2は、同じく手すりデッキ16の下部の幅方向の寸法t3よりも小さく形成されている。また、蓋26の厚みt1は、ケース24のガラス板14から突出した寸法t2よりも小さい。
【0018】
本実施例のエスカレータ10であると、蓋26、ケース24がガラス板14から突出した寸法t1、t2が、手すりデッキ16の下部の幅方向の寸法t3よりも小さいため、センサ固定部材22が手すりデッキ16の下部よりも突出しない。そのため、手すりベルト18とセンサ固定部材22との間に従来のように隙間が生じず、利用者の指や手が挟まれることがない。また、利用者が接触し易いガラス板14の内側には蓋26があり、この蓋26の厚みt1はケース24の突出寸法t2より小さいため、利用者の体がぶつかったり、衣類を引っ掛けたりすることがない。
【0019】
また、センサ34はセンサ固定部材22に固定され、このセンサ固定部材22はガラス板14に固定されているため、センサ34の位置がずれたりすることがなく、また、見栄えがよい。
【0020】
上記実施例のエスカレータ10では、ガラス板14の内側に蓋26を設け、外側にケース24を設けたが、これに代えて内側にケース24を設け、外側に蓋26を設けてもよい。この場合においても、内側に配置したケース24の突出寸法を小さくすることにより、利用者の体がぶつかったり衣類を引っ掛けたりすることがない。
【0021】
また、上記実施例では、エスカレータで説明したが、これに代えて動く歩道においても本実施例を適応できる。
【0022】
また、上記実施例では、ガラス板14に切欠き20を設けたが、開口部を設け、この開口部にセンサ固定部材22を固定してもよい。
【0023】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0024】
10・・・エスカレータ、12・・・欄干、14・・・ガラス板、16・・・手すりデッキ、18・・・手すりベルト、20・・・切欠き、22・・・センサ固定部材、24・・・ケース、26・・・蓋、34・・・センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
欄干の内側板がガラス板より形成された乗客コンベアにおいて、
手すりベルトの折り返し部分における前記ガラス板に切欠き又は開口部を設け、
前記乗客コンベアの利用者を検出するセンサを、前記ガラス板の板厚部分と重なるように、前記切欠き又は前記開口部内部に配する、
ことを特徴とする乗客コンベア。
【請求項2】
前記切欠き又は前記開口部の外周部分にあるガラス板を外側と内側から挟み込んで、前記ガラス板に固定されるセンサ固定部材を有し、
前記センサが前記センサ固定部材に固定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項3】
前記センサ固定部材における前記ガラス板から突出した内側部分の寸法と外側部分の寸法が、前記手すりベルトを支持する手すりデッキの下部の幅方向の寸法よりそれぞれ小さい、
ことを特徴とする請求項2に記載の乗客コンベア。
【請求項4】
前記センサ固定部材における前記ガラス板から突出した内側部分の寸法が、外側部分の寸法より小さい、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の乗客コンベア。
【請求項5】
前記センサ固定部材が、ステンレス製である、
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の乗客コンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−176824(P2012−176824A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40451(P2011−40451)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】