説明

乗客コンベア

【課題】乗客の乗り込みを確実に検出できると共に、意匠的にも向上した乗客コンベアを提供することを目的とする。
【解決手段】左右一対のデッキ14内部に第1投光器26と第1受光器32をそれぞれ設け、欄干16の反転部22の外側に第1反射装置28と第2反射装置30とをそれぞれ設け、第1投光器26から投光された第1光線を第1反射装置28、第2反射装置30を経て第1受光器32で受光させ、この第1光線が遮断されたときに乗客が乗降したと判断部34が判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗客コンベアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、エスカレータや動く歩道において、乗客の乗り込みを検出するために、欄干の先端、すなわち乗降口付近に光センサを設けたり、乗降口付近に左右一対の支柱を立て、この支柱内部に光センサを設けていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−83277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、欄干の内側板がガラス板の場合に、光センサを設置すると、その配線構造が見えるため、意匠的に良くないという問題点があった。
【0005】
また、支柱を立てる場合にも、意匠的に良いものとならず、さらに、特別な部品が必要となりコストが上がるという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、乗客の乗り込みを確実に検出できると共に、意匠的にも向上した乗客コンベアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、複数の踏段と、前記踏段の両側に設けられた左右一対のデッキと、前記左右一対のデッキからそれぞれ立設された欄干と、前記左右一対の欄干の上部をそれぞれ走行する移動手すりと、一方の前記欄干の外側に位置する一方の前記デッキに設けられ、第1光線を投光する第1投光器と、一方の前記欄干の外側に設けられ、前記第1投光器からの第1光線を、前記踏段の上方を横切って他方の前記欄干に向けて反射する第1反射体と、他方の前記欄干の外側に設けられ、前記第1反射体からの前記第1光線を他方の前記デッキに向けて反射する第2反射体と、他方の前記欄干の外側に位置する他方の前記デッキに設けられ、前記第2反射体で反射された前記第1光線を受光する第1受光器と、前記第1受光器で受光されている前記第1光線が遮断されたときに、前記第1反射体と前記第2反射体の間を乗客が通過したと判断する判断部と、を有することを特徴とする乗客コンベアである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例1のエスカレータの乗り込み口付近の斜視図である。
【図2】同じく乗り込み口付近の平面図である。
【図3】実施例2のエスカレータの乗り込み口付近の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態の乗客コンベアについて図面に基づいて説明する。本実施例では、乗客コンベアとして、エスカレータ10を用いて説明する。
【実施例1】
【0010】
以下、本発明の実施例1のエスカレータ10について図1と図2に基づいて説明する。
【0011】
(1)エスカレータ10の構造
エスカレータ10の構造について説明する。
【0012】
エスカレータ10は、無端の循環式踏段12が設けられ、この踏段12の左右両側部に左右一対のデッキ14が配されている。
【0013】
左右一対のデッキ14,14の上部から欄干16,16がそれぞれ立設されている。これら欄干16,16は、内側板18と手すりデッキ20とを有し、内側板18はガラス板であって、乗降口21付近で半円形に形成された反転部22を有している。
【0014】
手すりデッキ20は、内側板18の上部から半円形の反転部22を経て欄干16の下部にあるインレット部23に至るように設置されている。
【0015】
手すりデッキ20には、移動手すり24が移動自在に配されている。この移動手すり24は、踏段12と同期して移動する。
【0016】
(2)乗客検出装置25の構成
次に、乗客検出装置25の構成について図1及び図2に基づいて説明する。
【0017】
一方の欄干(例えば、左側の欄干)16の外側に位置するデッキ(以下、「外側デッキ」という)14には、光センサの一つである第1投光器26が内蔵されている。この第1投光器26は、第1光線を照射する投光面のみがデッキ14の上面に露出し、その他の部分は外側デッキ14に内蔵されている。
【0018】
第1投光器26の上方に位置する内側板18における反転部22の外側には、第1反射装置28が設けられている。第1反射装置28の反射面は、鏡などの光を反射する部材より形成され、下方に位置する第1投光器26から照射された第1光線を図1及び図2に示すように、エスカレータ10の走行方向と直交するように、すなわち踏段12の幅方向に沿って、他方の欄干(例えば、右側の欄干)16の内側板18に反射させる。
【0019】
他方の内側板18の反転部22の外側には、第2反射装置30が設けられている。この第2反射装置30は、第1反射装置28から反射された第1光線を他方の欄干16の外側に位置する他方のデッキ14に反射させる。
【0020】
他方の外側デッキ14には、第1受光器32が内蔵されている。第1受光器32の受光面のみ露出し、他の部分は他方の外側デッキ14に内蔵されている。この第1受光器32は、第2反射装置30から反射された第1光線を受光する。
【0021】
第1投光器26と第2投光器36は、コンピュータよりなる判断部34に接続されている。
【0022】
(3)乗客検出装置25の動作
本実施例のエスカレータ10における乗客検出装置25の動作について説明する。
【0023】
第1投光器26が、第1反射装置28に向かって第1光線を投光し、第1反射装置28は第2反射装置30に第1光線を反射させる。このとき第1光線は左右一対の欄干16,16の間を横切っているため、エスカレータ10に乗客が乗り込もうとすると、この第1光線を遮断されることとなる。第2反射装置30は、第1反射装置28から反射された第1光線を第1受光器32に反射させる。これによって第1受光器32は、第1投光器26から投光された第1光線を受光できる。
【0024】
判断部34は、第1受光器32が受光する第1光線が遮断された場合に、エスカレータ10に乗客が乗り込んだと判断し、例えばその乗客数をカウントしたりする。
【0025】
(4)効果
本実施例のエスカレータ10によれば、エスカレータ10に乗り込む人数を確実に検出できる。
【0026】
また、ガラス板製の内側板18の外側には、第1反射装置28と第2反射装置30とが設けられているだけであるため、これら第1反射装置及び第2反射装置30を小さく形成することにより、左右一対の欄干16,16の意匠を向上させることができる。
【0027】
また、第1投光器26と第1受光器32から延びている配線などは、デッキ14内部に隠れるため、乗客の目に触れることなく、意匠が向上する。
【実施例2】
【0028】
本発明の実施例2のエスカレータ10について、図3に基づいて説明する。
【0029】
本実施例と実施例1の異なる点は、投光器と受光器を二組有する点にある。すなわち、本実施例では、第1投光器26と第1受光器32に加えて、第2投光器36と第2受光器38とを有している。
【0030】
第2投光器36は、第1投光器26とは反対側のデッキ14、すなわち他方の外側デッキ14に配置され、第2受光器38は一方の外側デッキ14に配されている。第2投光器36から投光された第2光線は、第2反射装置30に投光され、第2反射装置30は乗降口を横切るように第1反射装置28に反射される。第1反射装置28から反射された第2光線は第2受光器38反射される。第2受光器38は、第1反射装置28から反射された第2光線を受光する。
【0031】
判断部34は、第1光線と第2光線の両方が遮断された場合にエスカレータ10に乗客が乗り込んだと判断する。
【0032】
本実施例によれば2組の投光器と受光器を用い、2つの光線が遮断されたときのみ判断部34が乗客の乗り込みを検出するため、検出精度を上げることができる。
【0033】
また、第1光線と第2光線の光路が反対であるため、光の緩衝が生じたりすることがない。
【0034】
また、2組の受光器と投光器を設けても、欄干16に設ける反射装置は、1組の第1反射装置28と第2反射装置30であるため、欄干16の外観が悪くなることがない。また、第2投光器36と第2受光器38もデッキ14内部に設けられているため、外観を悪くすることがない。
【変更例】
【0035】
上記実施例では、乗客コンベアとしてエスカレータ10で説明したが、これに限らず動く歩道に本実施例を適用してもよい。
【0036】
また、内側板18としてガラス板を設けたが、これに代えてステンレス製の内側板18であってもよい。
【0037】
また、実施例2では2組の受光器と投光器を設けたが、これに限らず3組以上の投光器と受光器を設けてもよい。
【0038】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
10・・・エスカレータ、12・・・踏段、14・・・デッキ、16・・・欄干、18・・・内側板、20・・・手すりデッキ、21・・・乗降口、24・移動手すり、25・・・乗客検出装置、26・・・第1投光器、28・・・第1反射装置、30・・・第2反射装置、32・・・第1受光器、34・・・判断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の踏段と、
前記踏段の両側に設けられた左右一対のデッキと、
前記左右一対のデッキからそれぞれ立設された欄干と、
前記左右一対の欄干の上部をそれぞれ走行する移動手すりと、
一方の前記欄干の外側に位置する一方の前記デッキに設けられ、第1光線を投光する第1投光器と、
一方の前記欄干の外側に設けられ、前記第1投光器からの第1光線を、前記踏段の上方を横切って他方の前記欄干に向けて反射する第1反射体と、
他方の前記欄干の外側に設けられ、前記第1反射体からの前記第1光線を他方の前記デッキに向けて反射する第2反射体と、
他方の前記欄干の外側に位置する他方の前記デッキに設けられ、前記第2反射体で反射された前記第1光線を受光する第1受光器と、
前記第1受光器で受光されている前記第1光線が遮断されたときに、前記第1反射体と前記第2反射体の間を乗客が通過したと判断する判断部と、
を有することを特徴とする乗客コンベア。
【請求項2】
他方の前記欄干の外側に位置する他方の前記デッキに設けられ、前記第2反射体に向かって第2光線を投光する第2投光器と、
一方の前記欄干の外側に位置する一方の前記デッキに設けられ、前記第2反射体を経て前記第1反射体で反射された前記第2光線を受光する第2受光器と、
前記判断部は、前記第1受光器で受光されている前記第1光線、及び、前記第2受光器で受光されている前記第2光線の両方が遮断されたときに、前記第1反射体と前記第2反射体の間を前記乗客が通過したと判断する、
ことを特徴とする請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項3】
前記欄干の内側板がガラス板である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の乗客コンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−180186(P2012−180186A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44345(P2011−44345)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】