説明

乗客コンベア

【課題】解決しようとする課題は、欄干のガラスパネルの破損を精度良く検出することができる乗客コンベアを提供することである。
【解決手段】本発明の実施形態に係る乗客コンベア(エスカレータ)は、複数のガラスパネルが直列に連設された欄干を有する乗客コンベアにおいて、検知手段(圧力センサ)を備える。この検知手段は、複数のガラスパネルの間に設けられた隙間のいずれかが縮小したことを検知することができることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗客コンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレータなどの乗客コンベアにおいて欄干のガラスパネルの破損を検出する技術として、例えば、ガラスパネルへ破損に至る大きな外力が作用することにより、ガラスパネルが傾いたことを検出する手法、ガラスパネルに使用される強化ガラスが破損し全面に細かい網目状のひびが入っている状態で外力が作用し、ガラスパネルが崩れ落ちた後の状態を検出する手法などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−89796号公報
【特許文献2】特開2006−176327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、乗客コンベアの欄干のガラスパネルの破損検出に係る従来技術では、ガラスパネルが傾くことや崩落したことなど、破損に至る外力がガラスパネルに作用した後に発生しうる状態を検出している。
【0005】
しかしながら、昨今、強化ガラスの破損には、その製造工程で混ざった不純物が原因となり、外力が全く作用していない状態でも破損を発生させる現象(以後、「自然破壊」という)が存在することが明らかとなっている。乗客コンベアの欄干を構成するガラスパネルにも強化ガラスが使用されるため、外力が作用することにより発生する破損は非常に限定され、大部分の破損は自然破壊が原因であると考えられる。強化ガラスが自然破壊した場合には、ガラスパネル全面に細かい網目状のひびが入るだけで、別途外力が作用しない限りガラスパネルは崩落しない。
【0006】
さらに、破片の落下対策として、ガラスパネル全面に飛散防止フィルムを貼り付ける事例も増えてきている。この場合も、ガラスパネルが破損して外力が作用してもガラスパネルは崩落しない。
【0007】
このように、従来技術では、特に外力が作用しない自然破壊の場合や、ガラス破損後に崩落しない場合など、乗客コンベアの欄干のガラスパネルの破損を十分に検出することができない虞がある。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、欄干のガラスパネルの破損を精度良く検出することができる乗客コンベアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の実施形態に係る乗客コンベアは、複数のガラスパネルが直列に連設された欄干を有する乗客コンベアにおいて、検出手段を備える。この検出手段は、前記複数のガラスパネルの間に設けられた隙間のいずれかが縮小したことを検知する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係るエスカレータ(乗客コンベア)の構成を示す概略図である。
【図2】図1に示す欄干のII−II断面図である。
【図3】欄干のガラスパネル間に設けられる隙間のうち圧力センサが設置される位置を拡大視した図である。
【図4】ガラスパネル破損信号が送受信される構成要素を示すブロック図である。
【図5】ガラスパネル破損時にエスカレータが実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、実施形態に係る乗客コンベアを図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0012】
本実施形態では、欄干を有する乗客コンベアの一例としてエスカレータを挙げて説明する。図1は、実施形態に係るエスカレータ(乗客コンベア)1の構成を示す概略図であり、図2は、図1に示す欄干27のII−II断面図であり、図3は、欄干27のガラスパネル3間に設けられる隙間23のうち圧力センサ11が設置される位置13を拡大視した図であり、図4は、ガラスパネル破損信号25が送受信される構成要素を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、エスカレータ1は、構造フレーム2の内部に、駆動輪6と従動輪7との間を無端状に連結された複数の踏段5を備え、駆動輪6に減速機21及び駆動チェーン9を介して電動機8から供給される動力により、複数の踏段5が駆動輪6と従動輪7との間を周回移動するよう構成される。また、エスカレータ1は、踏段5の進行方向の両脇に欄干27を備える。欄干27は、複数枚のガラスパネル3を連ねて構成される欄干パネル28と、欄干パネル28の外周に沿って環状に取り付けられた移動手すり4とを有する。ガラスパネル3には強化ガラスが用いられる。エスカレータ1は、上記の踏段5の移動に合わせて欄干27の移動手すり4も踏段5と同方向に周回移動するよう構成されている。
【0014】
欄干27の複数のガラスパネル3のそれぞれは、据付調整上及び構造上、隣接するガラスパネル3との間には数ミリメートルの隙間23を設ける必要がある。そこで、ガラスパネル3は、図3に示すように、デッキ10の上面24より下方に位置しデッキ10内に収納されるガラスパネル3の下端において、押さえ部材14により下方から支持され、隣接するガラスパネル3と所定量の隙間23(たとえば4ミリ)が設けられると共に、図2に示すように鉛直な姿勢で支持されている。
【0015】
特に本実施形態では、エスカレータ1は、複数のガラスパネル3の間に設けられた隙間23のいずれかが縮小したことを検知する圧力センサ11(検知手段)を備える。より詳細には、図1〜3に示すように、複数のガラスパネル3の間に設けられた隙間23のうち一箇所置きの位置13に、ガラスパネル3による押圧を感知する圧力センサ11が設置され、これらの圧力センサ11が、隙間23の縮小を検知する検知手段として機能する。
【0016】
圧力センサ11は、図2に示すように、ブラケット12の一端に連結されガラスパネル3の間に配置されるよう支持されている。ブラケット12の他端は、例えば、デッキ10の内壁に固定させる。また、圧力センサ11は、図3に示すように、デッキ10の上面24より下方のデッキ10内に配置されることが好ましい。
【0017】
圧力センサ11がガラスパネル3からの押圧を感知した場合には、この圧力センサ11の配置される隙間23が縮小し、隙間23の両脇のガラスパネル3のいずれかが破損しているものとみなして、図4に示すように、圧力センサ11は、ガラスパネル3が破損したことを示すガラスパネル破損信号25を制御装置に送信する。
【0018】
ここで、圧力センサ11により隙間23の縮小を検知する原理について説明する。
【0019】
図3に示すように、1枚のガラスパネル3が破損した場合、ガラスパネル3の全面にわたり微細な網目状のひびが入り、ガラスパネル3に作用していた張力が開放されるため、ガラスパネル3は細かいひびが入った状態を維持したまま膨張し、表面積が増加する。ここで、ガラスパネル3は図2,3に示すように移動手すり4や押さえ部材14により上下方から挟持されているため、図3の矢印で示すように主に横方向に膨張する。したがって、破損したガラスパネル3の両側方の2つの隙間23は、このガラスパネル3の膨張により均等に縮小される。
【0020】
圧力センサ11は、複数のガラスパネル3の間に設けられた隙間23の一箇所置きの位置13に配置されているので、1枚のガラスパネル3の両側方の2つの隙間23の一方に配置されることになる。破損したガラスパネル3が膨張してこのガラスパネル3の両側方の隙間23が縮小されると、ガラスパネルが圧力センサ11と接触して押圧する。圧力センサ11は、このとき破損したガラスパネル3から受ける押圧力を感知することで、隙間23が縮小していることを検知し、ガラスパネルが破損したことを認識することができる。
【0021】
また、1つの圧力センサ11が設置される隙間23には、隣接する2つのガラスパネル3が両側方から面しているため、圧力センサ11は、圧力センサ11が配置される隙間23が縮小していることを検知することで、これらの2つのガラスパネル3のいずれかが破損し膨張したことを感知することができる。このように、1個の圧力センサ11により両側方の2枚のガラスパネル3の破損膨張による隙間23の縮小を感知できるので、隙間23の一箇所おきに圧力センサ11を配置すれば、欄干27の全てのガラスパネル3が圧力センサ11の配置された隙間23に面するよう構成でき、圧力センサ11による隙間23の縮小検知によって、欄干27を構成する全てのガラスパネル3の破損の発生を認識することができる。
【0022】
なお、破損したガラスパネル3が膨張する現象は、ガラスパネル3に飛散防止用フィルムを貼り付けた場合にも発生するので、この場合にも本実施形態によりガラスパネル3の破損の検出が可能である。
【0023】
また、本実施形態では、圧力センサ11により複数のガラスパネル3の間に設けられた隙間23のいずれかが縮小したことが検知されたのに応じて、破損したガラスパネル3に利用者を近づかないようにエスカレータ1を制御するための構成要素を備えている。具体的には、図1,4に示すように、制御装置15と、警報装置16と、監視盤17と、インバータ装置18と、オートアナウンス装置19と、運行表示器20と、スピーカ22とを備えている。
【0024】
制御装置15は、構造フレーム2内に設置され、インバータ装置18及び電動機8を制御してエスカレータ1の動作を制御する。本実施形態では、制御装置15は、圧力センサ11からガラスパネル破損信号25を受信すると、インバータ装置18に減速指令信号26を送信すると共に、警報装置16、監視盤17、オートアナウンス装置19及び運行表示器20にガラスパネル破損信号25を転送する。
【0025】
インバータ装置18は、構造フレーム2内に設置され、制御装置15からの制御指令に応じて電動機8の駆動を制御する。本実施形態では、インバータ装置18は、電動機8を所定速度で駆動させているときに制御装置15から減速指令信号26を受信すると、電動機8を緩やかに減速させ停止させる。
【0026】
つまり、本実施形態では、制御装置15とインバータ装置18が、圧力センサ11により複数のガラスパネル3の間に設けられた隙間23のいずれかが縮小したことが検知されたのに応じて、エスカレータ1の運転を停止させる、より詳細には、エスカレータ1の運転速度を緩やかに低減させてエスカレータ1の運転を緩停止させる運転停止手段として機能する。
【0027】
オートアナウンス装置19は、制御装置15からの指令に応じて、スピーカ22から利用者に各種情報を提示する。本実施形態では、オートアナウンス装置19は、制御装置15を介してガラスパネル破損信号25を受信すると、エスカレータ1の乗降部に設置されているスピーカ22から、エスカレータ1が停止するため移動手すり4につかまる必要のあることを利用者に注意喚起するメッセージを流す。
【0028】
つまり、本実施形態では、制御装置15、オートアナウンス装置19及びスピーカ22が、エスカレータ1が運転停止することを乗客に注意喚起する注意喚起手段として機能する。
【0029】
運行表示器(表示手段)20は、エスカレータ1の乗降口に設置され、通常運転時には、乗り口ではエスカレータ1の運転方向を表示し、降り口では逆進入を防止するための進入禁止マークを表示し、利用者にエスカレータの運転状況を提示するよう構成される。本実施形態では、運行表示器20は、制御装置15を介してガラスパネル破損信号25を受信するのに応じて、乗り口、降り口ともに進入禁止マークを表示し、エスカレータ1への進入禁止を利用者に表示する。
【0030】
警報装置(警報手段)16は、制御装置15を介してガラスパネル破損信号25を受信するのに応じて、エスカレータ1に近づかないよう周囲に注意喚起する警報を流す。警報の内容は、例えば、破損したガラスパネル3に外力が作用した場合に、エスカレータ周囲へのガラスパネルの破片の飛散や落下が発生する危険性について伝えるものであり、ブザーや音声によって作成される。
【0031】
監視盤17は、管理下にある多数のエスカレータ1を監視する監視センタ内に設置され、エスカレータ1の運転状況を監視する。監視盤17は、制御装置15を介してガラスパネル破損信号25を受信するのに応じて、監視センタのエスカレータ管理者にエスカレータ1の欄干27のガラスパネル3の破損を報知する。
【0032】
つまり、本実施形態では、制御装置15及び監視盤17が、圧力センサ11により複数のガラスパネル3の間に設けられた隙間23のいずれかが縮小したことが検知されたのに応じて、ガラスパネル3が破損した旨の情報を監視センタに報知する報知手段として機能する。
【0033】
ここで、制御装置15は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などを有するコンピュータである。上述した制御装置15の各機能は、ROMに保持されるアプリケーションプログラムをRAMにロードしてCPUで実行することによって、CPUの制御のもとでエスカレータ1内の各種装置を動作させるとともに、RAMやROMにおけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0034】
次に、図5を参照して、本実施形態に係るエスカレータ1の動作について説明する。図5は、ガラスパネル破損時にエスカレータ1が実行する処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、エスカレータ1の運転開始時に開始され、運転中に実施される。
【0035】
まず、ガラスパネル3の隙間23に配置された圧力センサ11によって、ガラスパネル3間の隙間23のいずれかが縮小したか否かが確認される(S11)。圧力センサ11は、欄干27の複数のガラスパネル3の間に設けられる隙間23の一箇所置きの位置13に設置される。圧力センサ11は、所定値以上の圧力を検出したときに、この圧力センサ11の設置される隙間23に面する2つのガラスパネル3の少なくとも一方が破損膨張し、ガラスパネル3から押圧されており、この隙間23が縮小していることを検知することができる。ガラスパネル3間の隙間23の縮小が検知されるまではステップS11のNOに移行し、ステップS11の処理が繰り返される。
【0036】
ステップS11において、ガラスパネル3間の隙間23が縮小したことが検知された場合には、ステップS11のYESに移行し、隙間縮小を感知した圧力センサ11により、ガラスパネル3のいずれかが破損したことを示すガラスパネル破損信号25が制御装置15に送信される(S12)。ガラスパネル破損信号25は、制御装置15により受信されると、警報装置16、監視盤17、オートアナウンス装置19、及び運行表示器20へ転送される。
【0037】
次に、オートアナウンス装置19により、ガラスパネル破損信号25の受信に応じて、エスカレータ1が運転停止することが利用者に注意喚起され、エスカレータ1が運転停止するため移動手すり4につかまる必要のあることを利用者に注意喚起するメッセージがスピーカ22から流される(S13)。この注意喚起のメッセージが流された後に、制御装置15により、エスカレータ1を緩停止させるための減速指令信号26がインバータ装置18に送信され、インバータ装置18により電動機8が緩やかに減速され停止され、エスカレータ1が緩停止される(S14)。
【0038】
また、運行表示器20により、ガラスパネル破損信号25の受信に応じて、エスカレータ1の乗り口、降り口の両方の運行表示器20に進入禁止マークが表示される(S15)。
【0039】
また、警報装置16により、ガラスパネル破損信号25の受信に応じて、エスカレータ1の周囲にいる人に対し、破損したガラスパネル3に外力が作用した場合に、ガラスパネル3の破片の飛散や落下が発生する危険性について、ブザーや音声によって注意喚起のための警報が流される(S16)。
【0040】
さらに、監視センタ内の監視盤17により、ガラスパネル破損信号25の受信に応じて、エスカレータの欄干のガラスパネルが破損した旨の情報が、監視センタのエスカレータ管理者に報知される(S17)。
【0041】
なお、上記の処理において、ステップS13の注意喚起処理、ステップS15の表示処理、ステップS16の警報処理、ステップS17の報知処理は、処理の順序を入れ替えてもよいし、一部のみを実行するよう構成してもよい。
【0042】
次に、本実施形態に係るエスカレータ1の効果について説明する。
【0043】
一般に、複数のガラスパネル3が直列に連設された欄干27を有するエスカレータ1において、ガラスパネル3が破損し、ガラスパネル3にひびが入った場合、このガラスパネル3が膨張し、隣接するガラスパネル3との隙間23が小さくなる現象がおきる。本実施形態のエスカレータ1では、圧力センサ11が、欄干27を構成する複数のガラスパネル3の間に設けられた隙間23のいずれかが縮小したことを検知することができるので、圧力センサ11の検知結果に基づき、複数のガラスパネル3のいずれかが破損したことを感知することができる。これにより、外力が作用しない自然破壊によってガラスパネル3が破損した場合や、破損後に崩落しない場合であっても、欄干27のガラスパネル3の破損を検知することが可能となる。この結果、本実施形態のエスカレータ1は、欄干27のガラスパネル3の破損を精度良く検出することができる。また、ガラスパネル3が崩落する前に破損を検出することができるため、エスカレータ1の安全性を格段に向上させることができる。
【0044】
また、圧力センサ11は、複数のガラスパネル3の間に設けられた隙間23のうち一箇所置きに設置され、ガラスパネル3の膨張に伴うガラスパネル3による押圧力を検知する。この構成により、圧力センサ11が設置された隙間23の両側のガラスパネル3のいずれかが破損すると、破損したガラスパネル3が膨張するため、この隙間23が小さくなり、これによりガラスパネル3が圧力センサ11に押圧されるので、1つの圧力センサ11で両側の2つのガラスパネル3の破損を検知することができ、欄干27のすべてのガラスパネル3の破損を検知することが可能となる。また、複数設置される圧力センサ11のうち押圧を検出した圧力センサ11を特定すれば、この圧力センサ11の両側のガラスパネル3のどちらかに破損したガラスパネル3を特定することができるので、ガラスパネル3の破損位置の特定を精度良く行うことができる。
【0045】
また、圧力センサ11により複数のガラスパネル3の間に設けられた隙間23のいずれかが縮小したことが検知されたのに応じて、制御装置15及びインバータ装置18がエスカレータ1の運転を停止させる。この構成により、ガラスパネル3の破損が発生したためにエスカレータ1の運転を停止させ、乗客を破損箇所に近づけるのを回避することができ、エスカレータ1の安全性が向上する。また、ガラスパネルの破損検出時に直ちに利用者の乗り込みを禁止できるので、破損箇所を利用者が触るなど、破損したガラスパネル3に外力が作用する可能性がなくなるため、破損したガラスの破片の飛散や落下を防止することができ、飛散防止フィルムの貼り付けが不要となる。これにより、飛散防止フィルムの貼り付けや貼り換えなどの作業をなくすことができる。
【0046】
また、制御装置15及びインバータ装置18は、エスカレータ1の運転を停止させる際に、エスカレータ1の運転速度を緩やかに低減させてエスカレータ1の運転を緩停止させるので、エスカレータ1を利用中の乗客が転倒しないようにすることができ、エスカレータ1の安全性が向上する。
【0047】
また、エスカレータ1の運転停止動作が開始される前に、オートアナウンス装置19が、エスカレータ1が運転停止することを乗客に注意喚起するので、乗客がエスカレータの運転停止を事前に把握することができ、エスカレータ1の安全性が向上する。
【0048】
また、圧力センサ11により複数のガラスパネル3の間に設けられた隙間23のいずれかが縮小したことが検知されたのに応じて、運行表示器20が、エスカレータ1への進入禁止を利用者に表示する。この構成により、利用客がエスカレータ1へ新規に乗り込むのを防止することができ、利用客がガラスパネル3の破損箇所に近づくのを防止することができ、エスカレータの安全性が向上する。
【0049】
また、圧力センサ11により複数のガラスパネル3の間に設けられた隙間23のいずれかが縮小したことが検知されたのに応じて、警報装置16が、エスカレータ1に近づかないよう周囲に注意喚起するので、周囲の人にガラスパネル3の破損を知らせ、破損したガラスパネル3の破片の飛散や落下の危険から回避させることができ、エスカレータの安全性が向上する。
【0050】
また、圧力センサ11により複数のガラスパネル3の間に設けられた隙間23のいずれかが縮小したことが検知されたのに応じて、監視センタの監視盤17が、ガラスパネル3が破損した旨の情報を監視センタに報知するので、監視センタのエスカレータ管理者が迅速にガラスパネル3の破損の発生を把握することができ、迅速な対応をとることができる。
【0051】
なお、上記実施形態では、圧力センサ11が、複数のガラスパネル3の間に設けられた隙間23のうち一箇所置きに設置されたが、圧力センサ11は少なくとも隙間23の一箇所おきに設置されればよく、例えば全ての隙間23に設置してもよい。
【0052】
圧力センサ11をガラスパネル3の全ての隙間23に設置した場合、1枚のガラスパネル3が破損したときにはこのガラスパネル3の両側方の隙間23に設置された2つの圧力センサ11が接触を検知することができる。この場合、ガラスパネル3の押圧を検知した2つの圧力センサ11の間に配置されているガラスパネル3が破損したものと判断することができ、ガラスパネル3の破損位置を精度良く認識することが可能となる。
【0053】
また、上記実施形態では、複数のガラスパネル3の間に設けられた隙間23のいずれかが縮小したことを検知する検知手段として圧力センサ11を例示したが、隙間23の縮小を検知することができれば圧力センサ11以外のものを用いてもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、欄干27を有する乗客コンベアとしてエスカレータ1を例示して説明したが、本実施形態は、エスカレータ1に限らず、動く歩道など他のタイプの乗客コンベアにも同様に適用することができる。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0056】
1…エスカレータ(乗客コンベア)、3…ガラスパネル、11…圧力センサ(検知手段)、15…制御装置(運転停止手段、注意喚起手段、報知手段)、16…警報装置(警報手段)、17…監視盤(報知手段)、18…インバータ装置(運転停止手段)、19…オートアナウンス装置(注意喚起手段)、20…運行表示器(表示手段)、22…スピーカ(注意喚起手段)、23…隙間、25…ガラスパネル破損信号、26…減速指令信号、27…欄干。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のガラスパネルが直列に連設された欄干を有する乗客コンベアにおいて、
前記複数のガラスパネルの間に設けられた隙間のいずれかが縮小したことを検知する検知手段を備えることを特徴とする乗客コンベア。
【請求項2】
前記検知手段は、前記複数のガラスパネルの間に設けられた前記隙間のうち少なくとも一箇所置きに設置され、前記ガラスパネルの膨張に伴う前記ガラスパネルによる押圧を検知する圧力センサであることを特徴とする、請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項3】
前記検知手段により前記複数のガラスパネルの間に設けられた隙間のいずれかが縮小したことが検知されたのに応じて、前記乗客コンベアの運転を停止させる運転停止手段を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の乗客コンベア。
【請求項4】
前記運転停止手段は、乗客コンベアの運転速度を緩やかに低減させて前記乗客コンベアの運転を緩停止させることを特徴とする、請求項3に記載の乗客コンベア。
【請求項5】
前記運転停止手段により前記乗客コンベアの運転停止動作が開始される前に、前記乗客コンベアが運転停止することを乗客に注意喚起する注意喚起手段を備えることを特徴とする、請求項3または4に記載の乗客コンベア。
【請求項6】
前記検知手段により前記複数のガラスパネルの間に設けられた隙間のいずれかが縮小したことが検知されたのに応じて、前記乗客コンベアへの進入禁止を利用者に表示する表示手段を備えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の乗客コンベア。
【請求項7】
前記検知手段により前記複数のガラスパネルの間に設けられた隙間のいずれかが縮小したことが検知されたのに応じて、乗客コンベアに近づかないよう周囲に注意喚起する警報手段を備えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の乗客コンベア。
【請求項8】
前記検知手段により前記複数のガラスパネルの間に設けられた隙間のいずれかが縮小したことが検知されたのに応じて、ガラスパネルが破損した旨の情報を監視センタに報知する報知手段を備えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の乗客コンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−206803(P2012−206803A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72271(P2011−72271)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】