説明

乗客誘導システム、乗客誘導方法、およびICカード型乗車券

【課題】指定席へ乗客を適切に誘導できる乗客誘導システムを提供する。
【解決手段】乗客誘導システムは、ICカード型乗車券100を携行して車両に乗車した乗客を指定席まで誘導する乗客誘導システムであって、車両に設けられた複数の座席または該複数の座席の近傍にそれぞれ設けられた各座席の座席情報を発信する赤外線通信部144を備え、ICカード型乗車券100は、指定席の指定席情報が記録された乗車券情報記憶部120と、赤外線通信部144から発信された座席情報を受信する座席情報受信部122と、乗車券情報記憶部120に記録された指定席情報と座席情報受信部122が受信した座席情報とが一致するか否かを判定する判定部124と、判定部124により、指定席情報と座席情報が一致すると判定された場合、乗客に指定席近傍であることを報知する報知部126と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客誘導システム、乗客誘導方法、およびICカード型乗車券に関し、特に、座席指定された指定席へ乗客を誘導する乗客誘導システム、乗客誘導方法、および乗客が携行するICカード型乗車券に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の乗客誘導システムとしては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された乗客誘導システムでは、IC切符により、降車駅および乗換駅、並びに乗換間違いを乗客に、音声や振動により報知するものである。また、特許文献2に記載された車両内情報通知方法は、交通機関の利用客が有する電子乗車券の利用区間情報に基づき、車両内通信装置から利用客が有する携帯端末に対して目的駅の手前で段階的に通知するものである。
【0003】
また、特許文献3に記載された航空機座席着席確認システムは、ICチップ付搭乗券を利用し、チェックイン時、搭乗時、および着席時に搭乗券番号と座席番号を読取り登録し、出発直前に、座席の搭乗および着席状況を確認し、着席、未搭乗、未着席、不正着席、および誤着席等の状況を乗務員室の機内表示装置に表示するものである。
【特許文献1】特開2002−108994号公報
【特許文献2】特開2002−271251号公報
【特許文献3】特開2005−50243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、乗車券には乗車する電車の出発日時、電車名、行き先、指定座席が記載されており、乗客はそれを見て乗車し、自分の指定された席に着座する。その時に指定の座席が不明な場合、乗客は車両乗務員や他の乗客に確認するしか方法が無かった。また、間違った席に座っていたり、不正に着席している場合でも、乗務員や他の乗客が調べなければ分からなかった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、指定席へ乗客を適切に誘導できる乗客誘導システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、ICカード型乗車券を携行して車両に乗車した乗客を指定席まで誘導する乗客誘導システムであって、
前記車両に設けられた複数の座席または該複数の座席の近傍にそれぞれ設けられた各座席の座席情報を発信する座席情報発信手段を備え、
前記ICカード型乗車券は、
前記指定席の指定席情報が記録された記録手段と、
前記座席情報発信手段から発信された前記座席情報を受信する座席情報受信手段と、
前記記録手段に記録された前記指定席情報と前記座席情報受信手段が受信した前記座席情報とが一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により、前記指定席情報と前記座席情報が一致すると判定された場合、前記乗客に前記指定席近傍であることを報知する報知手段と、を備える乗客誘導システムが提供される。
【0007】
発信手段は、たとえば、赤外線通信装置など、所定の範囲内や方向にだけ届く電波で無線通信可能な手段である。ICカード型乗車券を携行した乗客が近づいたり、乗客がICカード型乗車券をかざすことで発信手段とICカード型乗車券が通信することができる。
【0008】
座席情報は、座席番号、座席位置を含む。また、報知手段は、表示器(LED、液晶、有機EL等)、音声出力部、および振動部を含んでもよい。座席近傍に近づいた時に表示器を点滅させたり、色替えしたり、メッセージを表示させたりする。あるいは、音声やメロディーや振動で乗客に報知する。
【0009】
この発明によれば、指定席近傍に乗客が近づいたとき、その旨を乗客に知らせるので、座席を探すのが楽になるとともに、座り間違いを防ぐことができる。
【0010】
上記乗客誘導システムにおいて、前記車両の複数の所定の場所の位置情報を発信する位置情報発信手段を備えることができ、前記ICカード型乗車券は、前記指定席情報と前記位置情報の関係に対応付けられた前記乗客を誘導するメッセージを記憶するメッセージ記憶手段と、前記位置情報発信手段から発信された前記位置情報を受信する位置情報受信手段と、前記位置情報受信手段が受信した前記位置情報と前記記録手段に記録された前記指定席情報に基づいて、前記メッセージ記憶手段から該当するメッセージを取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記メッセージを出力する出力手段と、を備えることができる。
【0011】
出力手段は、たとえば、メッセージを表示する表示器や音声出力部などを含むことができる。指定席情報と位置情報の関係に従って、たとえば、「指定席は進行方向隣の車両です。」などのメッセージを出力することができる。
【0012】
この構成によれば、乗客を指定席までメッセージで誘導することができるので、乗客は苦労せず安心して指定席を探すことができる。
【0013】
上記乗客誘導システムにおいて、前記車両の車両識別情報を発信する車両情報発信手段を備えることができ、前記ICカード型乗車券は、前記車両情報発信手段から発信された前記車両識別情報を受信する車両情報受信手段と、前記車両情報受信手段が受信した前記車両識別情報と前記記録手段に記録された前記車両情報が一致するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記車両情報が一致しないと判定された場合、乗り間違えを報知する手段と、を備えることができる。
【0014】
この構成によれば、乗客に車両の乗り間違えを報知するので、車両の乗り間違えを防ぐことができる。
【0015】
上記乗客誘導システムにおいて、前記各座席は、前記乗客が当該座席に着座するとき、前記乗客の前記ICカード型乗車券を認識させる乗車券認識手段と、前記乗車券認識手段が、前記ICカード型乗車券を認識したとき、前記乗客が前記座席に着座したことを検知する検知手段と、前記検知手段が前記乗客が前記座席に着座したことを検知したとき、前記乗車券認識手段が認識した前記ICカード型乗車券から取得した前記指定席情報が前記記録手段に記録された前記座席情報と一致するか否かを判定する着座判定手段と、前記着座判定手段により、前記指定席情報と前記座席情報が一致しないと判定された場合、前記乗客に座り間違いを報知する手段と、を備えることができる。
【0016】
乗車券認識手段は、ICカード型乗車券を挿入する挿入部に設けられた読取部や、ICカード型乗車券を接触または非接触で近づけて読み取らせる読取部を含むことができる。
この構成によれば、乗客に座席の座り間違いを報知するので、座り間違いを防ぐことができる。
【0017】
上記乗客誘導システムにおいて、列車の指定席を予約した前記ICカード型乗車券を発券機が発券したとき、前記指定席の発券情報を送信する発券用端末と、前記ICカード型乗車券が自動改札機で改札したとき、前記ICカード型乗車券から前記指定席情報を取得して、該当する指定席の改札情報を送信する改札情報端末と、前記発券用端末から送信された前記指定席の前記発券情報、および前記改札情報端末から送信された前記指定席の前記改札情報を受信し、前記指定席毎に格納するデータベースと、をさらに備えることができ、前記各座席は、前記データベースから前記指定席の前記発券情報を受信する手段と、前記データベースから前記指定席の前記改札情報を受信する手段と、受信した前記発券情報に基づいて、予約状況を報知する手段と、受信した前記改札情報に基づいて、改札状況を報知する手段と、前記乗車券認識手段で前記ICカード型乗車券が認識されたか否かに基づいて、着座状況を報知する手段と、を含むことができる。
【0018】
表示手段は、たとえば、未発券の場合には「空席」、発券機により指定席が予約され、発券された場合には「予約済み」、発券後、自動改札機を通過した場合には「着座待ち」、改札後、乗車券が認識された場合には「着座中」などの各座席の状況を表示することができる。表示手段は、液晶表示器、LED表示器、ランプ、有機EL表示器などとすることができる。
【0019】
この構成によれば、各座席の指定および乗車状況が分かり、乗客は指定席の表示手段で乗車状況を目視確認できるので、より安心感が増す。
【0020】
上記乗客誘導システムにおいて、前記予約状況を報知する手段、改札状況を報知する手段、および着座状況を報知する手段は、前記各座席の背もたれ上部に設けられた表示器とすることができる。
【0021】
この構成によれば、乗客は指定席の乗車および着席状況を各座席に設けられた表示器の状態で目視確認できるので、誤着席を防ぐことができる。また、座席に設けられた表示器により、各車両で乗務員が座席状況を一目で目視確認できるので、検札を効率よく行うことができる。
【0022】
報知手段は、ランプ、LED表示器、液晶表示器、有機EL表示器などによる表示(点灯、点滅、メッセージ表示など)、音声や警告音などの音声出力などで乗客に間違いを報知することができる。
この構成によれば、乗車券の表示を見落とした乗客にも座席の間違いを報知することができ、座席の間違いを防ぐことができる。
【0023】
本発明によれば、ICカード型乗車券を携行して車両に乗車した乗客を指定席まで誘導する乗客誘導方法であって、
前記車両に設けられた複数の座席またはその近傍に、各座席の座席情報を発信する座席情報発信部を設け、
前記ICカード型乗車券は、前記指定席の指定席情報が記録された記録手段と、前記座席情報発信部と無線通信する通信手段と、制御手段と、報知手段と、を備え、
前記ICカード型乗車券の前記通信手段が、前記座席情報発信部から発信された前記座席情報を受信し、
前記ICカード型乗車券の前記制御手段が、前記記録手段に記録された前記指定席情報と前記通信手段が前記座席情報発信部から受信した前記座席情報とが一致するか否かを判定し、
前記ICカード型乗車券の前記報知手段が、前記指定席情報と前記座席情報が一致すると判定された場合、前記乗客に前記指定席近傍であることを報知する乗客誘導方法が提供される。
【0024】
本発明によれば、予め指定席を予約した乗客が携行して車両に乗車するICカード型乗車券であって、
前記車両に設けられた複数の座席またはその近傍に、各座席の座席情報を発信する座席情報発信部と無線通信し、前記座席情報を受信する受信手段と、
前記指定席の指定席情報が記録された記録手段と、
前記記録手段に記録された前記指定席情報と前記受信手段が受信した前記座席情報とが一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により、前記指定席情報と前記座席情報が一致すると判定された場合、前記乗客に前記指定席近傍であることを報知する報知手段と、を備えるICカード型乗車券が提供される。
【0025】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、指定席へ乗客を適切に誘導できる乗客誘導システムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0028】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る乗客誘導システム1の全体構成を示すブロック図である。本実施形態の乗客誘導システム1は、発券用端末10と、発券用端末10に接続された発券機5と、改札情報端末30と、改札情報端末30に接続された自動改札機9と、データベース200を含む管理サーバ40と、車両用端末51および座席群52を含む電車車両50と、を備えている。発券用端末10、改札情報端末30、管理サーバ40、および車両用端末51は、ネットワーク3に接続されている。
【0029】
ネットワーク3は、たとえば、インターネットあるいはLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)である。本実施形態の乗客誘導システム1は、発券機5で発券されたICカード型乗車券100を乗客が携行して自動改札機9を通過し、電車車両50に乗り込んだ時、乗客を指定席に適切に誘導するものである。なお、以下の各図において、本発明の本質に関わらない部分の構成については省略してある。
【0030】
また、乗客誘導システム1の各構成要素は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶ユニット、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。以下説明する各図は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0031】
図2は、本実施形態の発券用端末10の構成を示す図である。発券用端末10は、PC(Personal Computer)やワークステーションなどであり、乗客の乗車に関する発券情報、たとえば、車両発着駅、車両番号、発車時刻、座席番号などの入力を受け付け、発券機5からICカード型乗車券100を発券させる。
【0032】
発券用端末10は、上記入力を受け付けた発券情報を、発券機5によってICカード型乗車券100内のICチップのメモリ(後述)に書き込む書込部(不図示)と、ICカード型乗車券100に登録した発券情報をネットワーク3を介して改札情報端末30(図1)および管理サーバ40(図1)へネットワーク3を介して送信する送信部(不図示)と、を備える。
【0033】
ICカード型乗車券100は、図3に示すように、CPU101と、メモリ103と、読取書込部104と、アンテナ105と、赤外線通信部107と、表示制御部109と、表示部111と、を備え、CPU101、メモリ103、読取書込部104、赤外線通信部107、および表示制御部109はバス113を介して互いに接続されている。
【0034】
CPU101は、ICカード型乗車券100の各要素とともにICカード型乗車券100全体を制御する。メモリ103は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Erasable Programmable ROM)などを含み、CPU101が実行可能なプログラムの格納領域やプログラムを実行する際にCPU101が使用する作業領域、各種情報を記録する記録領域を含む。読取書込部104は、外部装置(不図示)からメモリ103にアクセス可能にする外部インタフェース機能を有し、メモリ103内の情報を読み取り外部装置へ出力するとともに、外部装置から入力された情報をメモリ103に書き込む。ICカード型乗車券100のメモリ103内の情報は、外部装置から接触または非接触の何れかで読み書きできる構成であればよい。
【0035】
赤外線通信部107は、外部装置(後述)とアンテナ105を介して赤外線通信を行う。表示制御部109は、表示部111への表示を制御する。表示部111は、たとえば、液晶表示器、EL(ElectroLuminescence)ディスプレイなどである。
【0036】
図4は、本発明の実施の形態の改札情報端末30の構成を示す図である。改札情報端末30は、PCやワークステーションなどであり、ICカード型乗車券100を発券機5(図1)が乗車券を発券したときの発券情報と、改札口に設置される自動改札機9でICカード型乗車券100が読み取られたときの改札情報と、を収集し管理する。
【0037】
改札情報端末30は、発券用端末10(図1)から発券情報を受信する受信部(不図示)と、自動改札機9で読み取られたICカード型乗車券100のメモリ103(図3)内の改札情報31を受け付ける受付部(不図示)と、受け付けた情報から改札情報31を記憶する記憶部(不図示)と、改札情報31を集約して管理サーバ40(図1)へネットワーク3を介して送信する送信部(不図示)と、を含む。
【0038】
図5は、本実施形態の発券情報の構造の一例を示す図である。発券情報220は、予約番号、乗車列車名、発車駅、到着駅、乗車日、発車時間、および座席(号車および座席番号)を含む。図6は、本実施形態の改札情報の構造の一例を示す図である。改札情報230は、予約番号、改札入日時、および改札出日時を含む。
【0039】
発券情報220および改札情報230は、それぞれ図1の発券用端末10および改札情報端末30からネットワーク3を介して管理サーバ40に送信され、データベース200に蓄積される。
【0040】
図7は、本実施形態の電車車両50の車両用端末51および座席群52の構成を示す図である。電車車両50は、乗客を運搬する車両であり、車両用端末51と、座席群52と、を備えている。
【0041】
車両用端末51は、PCやワークステーションなどであり、座席群52の各座席54に関する情報の収集および制御を行う。車両用端末51は、各座席54から着座情報を受信する受信部(不図示)と、ネットワーク3を介して管理サーバ40(図1)と情報を送受信する送受信部(不図示)と、を含む。
【0042】
座席群52は、複数の座席54を含む。各座席54は、背もたれ上部に座席情報発信部80を備えている。
【0043】
図8は、本実施形態の乗客誘導システム1のICカード型乗車券100の要部構成を示す機能ブロック図である。
【0044】
本実施形態の乗客誘導システム1は、ICカード型乗車券100を携行して車両(図1の電車車両50)に乗車した乗客7を指定席(図7の座席54)まで誘導する乗客誘導システムであって、車両50に設けられた複数の座席54または該複数の座席54の近傍にそれぞれ設けられた各座席54の座席情報を発信する座席情報発信部(座席情報発信部80の赤外線通信部144)を備え、ICカード型乗車券100は、指定席の指定席情報(乗車券情報)が記録された記録部(乗車券情報記憶部120)と、座席情報発信部(赤外線通信部144)から発信された座席情報を受信する座席情報受信122と、記録部(乗車券情報記憶部120)に記録された指定席情報(乗車券情報)と座席情報受信122が受信した座席情報とが一致するか否かを判定する判定部124と、判定部124により、指定席情報(乗車券情報)と座席情報が一致すると判定された場合、乗客7に指定席近傍であることを報知する報知部126と、を備える。
【0045】
具体的には、座席情報発信部80は、座席情報記憶部142と、赤外線通信部144と、を含み、ICカード型乗車券100は、乗車券情報記憶部120と、座席情報受信部122と、判定部124と、報知部126と、を含む。
【0046】
座席情報発信部80において、座席情報記憶部142は、座席番号(号車および座席番号)を記憶する。赤外線通信部144は、赤外線通信によりICカード型乗車券100と通信を行う。赤外線通信部144は、座席情報記憶部142に記憶された座席番号を赤外線通信によりICカード型乗車券100に発信する。
【0047】
赤外線通信部144は、図7に示すように、乗客7がICカード型乗車券100を持って通行する場所、たとえば座席横通路の該当座席真横の全体(H)および前後1m程度(W)を網羅した範囲に赤外線を発信する。その範囲内に乗客7がICカード型乗車券100を持って通過すると、ICカード型乗車券100と赤外線通信を行うことが可能となる。
【0048】
なお、座席情報発信部80の赤外線通信部144は、通路側の座席54に設けられ、窓際および中央(不図示)の座席54の座席情報を座席情報記憶部142に記憶し、赤外線通信部144は同じ列の複数の座席54の座席情報を発信することができる。
【0049】
なお、他の実施形態において、座席情報発信部80はRFIDタグとし、ICカード型乗車券100と無線通信を行い、座席情報を発信することもできる。後述するICカード型乗車券100も、RFIDタグを含み、座席情報発信部80と無線通信を行い、乗車券情報を発信することもできる。
【0050】
また、他の実施形態において、座席情報発信部80は、座席54の通路の天井部や座席54の通路側側面部、あるいは床面に設けてもよい。座席情報発信部は、指定席に該当する座席54の通路を乗客7が通過したとき、ICカード型乗車券100と赤外線通信部144が通信し、座席情報の判別が可能なようにその通信可能範囲(W×H)が設定されるように配置される。
【0051】
ICカード型乗車券100において、乗車券情報記憶部120は、図9に示すように、予約番号、乗車列車名、発車駅、到着駅、乗車日時、および座席番号を記憶している。なお、乗車券情報記憶部120は、図3のメモリ103に含まれる。
【0052】
図8に戻り、座席情報受信部122は、座席情報発信部80と図3の赤外線通信部107により赤外線通信を行う。座席情報受信部122は、座席情報発信部80から送信された座席情報を受信し、判定部124に受け渡す。
【0053】
判定部124は、座席情報受信部122が座席情報発信部80から受信した複数の座席情報に、乗車券情報記憶部120に記憶されている乗車券情報の座席番号と一致する座席情報が含まれるか否かを判定する。判定部124が一致する座席情報が含まれると判定した場合、報知部126は、乗客7に指定席近傍であることを報知する。報知部126は、図3の表示制御部109に表示部111の液晶表示器のバックライトを点滅させるよう指示する。あるいは、表示部111にメッセージ、たとえば、「指定席付近です。」などを表示させてもよいし、背景を色替えしてもよい。その他、報知部126は、音声出力部(不図示)または振動部(不図示)を含むことができ、指定席近傍になったときに、音声やメロディー、警告音、や振動で乗客7に報知することができる。
【0054】
図10は、本実施形態のICカード型乗車券100の平面図である。ICカード型乗車券100は、表示部111に、予約番号、乗車列車名、発車駅、到着駅、発車日時、座席番号が表示されている。
【0055】
このように構成された本実施形態の乗客誘導システム1の動作について、以下に説明する。図11は、本実施形態の乗客誘導システム1における乗客誘導処理手順の一例を示すフローチャートである。以下、図1、図2、図4、図8、図10、および図11を用いて説明する。
【0056】
本実施形態の乗客誘導方法は、ICカード型乗車券100(図1)を携行して車両(図1の電車車両50)に乗車した乗客を指定席まで誘導する乗客誘導方法であって、車両50に設けられた複数の座席54またはその近傍に、各座席54の座席情報を発信する座席情報発信部(図8の赤外線通信部144)を設け、ICカード型乗車券100は、指定席の指定席情報(乗車券情報)が記録された記録部(図8の乗車券情報記憶部120)と、座席情報発信部(図8の赤外線通信部144)と無線通信する通信部(図8の座席情報受信部122)と、制御部(図8の判定部124)と、報知部126(図8)と、を備え、ICカード型乗車券100の通信部(座席情報受信部122)が、座席情報発信部(赤外線通信部144)から発信された座席情報を受信し(S13)、ICカード型乗車券100の制御部(判定部124)が、記録部(乗車券情報記憶部120)に記録された指定席情報(乗車券情報)と通信部(座席情報受信部122)が座席情報発信部(赤外線通信部144)から受信した座席情報とが一致するか否かを判定し(S15)、ICカード型乗車券100の報知部126が、指定席情報(乗車券情報)と座席情報が一致すると判定された場合(S15のYES)、乗客に指定席近傍であることを報知する(S17)。
【0057】
具体的には、はじめに、図2の発券機5により、発券用端末10で入力された乗車券情報が、図8のICカード型乗車券100の乗車券情報記憶部120に記録される(S11)。乗客7にICカード型乗車券100が渡され、乗客7はICカード型乗車券100を持って、図4の自動改札機9を通過した後、図7の電車車両50に乗車する。そして、指定席に向かって通路を歩いているとき、座席情報発信部80(図8)とICカード型乗車券100(図8)が赤外線通信を行い、座席情報発信部80の赤外線通信部144(図8)から発信された座席情報を、ICカード型乗車券100の座席情報受信部122(図8)が受信する(S13)。
【0058】
そして、判定部124(図8)が、座席情報受信部122(図8)が受信した複数の座席情報に、乗車券情報記憶部120(図8)に記憶されている乗車券情報の座席番号と一致する座席情報が含まれるか否かを判定する(S15)。一致する座席情報が含まれると判定した場合(S15のYES)、報知部126が指定席近傍であることを、たとえば、表示部111(図10)のバックライトを点滅させて報知する(S17)。一方、一致する座席情報が含まれないと判定した場合(S15のNO)、ステップS13に戻る。
【0059】
以上説明したように、本実施形態の乗客誘導システム1によれば、指定席近傍に乗客が近づいたとき、その旨を乗客に知らせるので、座席を探すのが楽になるとともに、座り間違いを防ぐことができる。
【0060】
(第2の実施の形態)
図12は、本発明の実施の形態に係る乗客誘導システムの電車車両50を示す模式図である。本実施形態の電車車両50は、図7の上記実施形態の電車車両50とは、各座席54に、座席状況を乗客7に報知する手段を設けた点で相違する。
【0061】
図12に示すように、各座席54は、アーム部などに設けられた乗車券挿入口56と、背もたれに設けられた背面体感センサ58と、座面に設けられた座面体感センサ60と、背もたれ上部に設けられた座席状況報知部82と、を含む。背面体感センサ58および座面体感センサ60は、座席54に乗客7が着座したことを検知するものであるが、各座席54の背面および座面にそれぞれ設けることにより、荷物を座面に載せたときに着座と誤って検知するのを防止している。
【0062】
図13は、本実施形態の乗客誘導システム1の座席状況報知部82の構成を示す図である。
【0063】
座席状況報知部82は、上述した座席情報発信部80と、空席ランプ84と、予約済みランプ86と、着座待ちランプ88と、着座中ランプ90と、を含む。座席状況報知部82は、上記実施形態の図7の座席54の背もたれ上部の座席情報発信部80の替わりに設けられる。
【0064】
空席ランプ84、予約済みランプ86、着座待ちランプ88、着座中ランプ90は、座席状況報知部82が設けられている座席54の状況を報知するものである。他の実施形態において、液晶表示器に、「空席」、「予約済み」、「着座待ち」、「着座中」などの座席状況を文字で表示することもできる。また、ランプの形状や色、配置は様々な態様が考えられる。また、ランプ中には「空席」の文字を表示させずに、ランプ横に「空席」の文字を記載したプレートを設けてもよい。
【0065】
空席ランプ84は、座席54の指定席券が発券される前に点灯する。予約済みランプ86は、座席54の指定席のICカード型乗車券100が発券された後に点灯する。着座待ちランプ88は、座席54の指定席のICカード型乗車券100を持つ乗客7が自動改札機9を通過した後に点灯する。着座中ランプ90は、座席54の指定席のICカード型乗車券100を持つ乗客7が着座したときに点灯する。
【0066】
図14は、本実施形態の座席装置の構成を示す機能ブロック図である。
本実施形態の乗客誘導システム1は、列車の指定席を予約したICカード型乗車券100を発券機5(図1)が発券したとき、指定席の発券情報を送信する発券用端末10(図1)と、ICカード型乗車券100が自動改札機9(図1)で改札したとき、ICカード型乗車券100から指定席情報を取得して、該当する指定席の改札情報を送信する改札情報端末30(図1)と、発券用端末10から送信された指定席の発券情報、および改札情報端末30から送信された指定席の改札情報を受信し、指定席毎に格納するデータベース200(図1)と、をさらに備え、各座席54(図12)は、データベース200から指定席の発券情報を受信する発券情報受信部303と、データベース200から指定席の改札情報を受信する改札情報受信部307と、受信した発券情報に基づいて、予約状況を報知する空席ランプ84および予約済みランプ86と、受信した改札情報に基づいて、改札状況を報知する着座待ちランプ88と、乗車券認識部309でICカード型乗車券100が認識されたか否かに基づいて、着座状況を報知する着座中ランプ90と、を含む。
【0067】
本実施形態の乗客誘導システム1において、各座席54は、座席装置300を含む。座席装置300は、座席54のどの部分に設けられてもよいし、複数の座席54の座席装置300をまとめて設けてもよいし、座席装置300を複数箇所に分散させて設けてもよい。座席装置300は、インタフェース部(I/F)301と、発券情報受信部303と、表示制御部305と、改札情報受信部307と、乗車券認識部309と、着座判定部311と、着席情報送信部313と、を含む。
【0068】
インタフェース部301は、車両用端末51と通信を行う。発券情報受信部303は、インタフェース部301を介して車両用端末51から発券情報を受信する。改札情報受信部307は、インタフェース部301を介して車両用端末51から改札情報を受信する。なお、車両用端末51は、ネットワーク3を介して管理サーバ40(図1)に接続し、データベース200(図1)から発券情報および改札情報を受信することができる。車両用端末51は、データベース200から各座席の発券情報および改札情報を受信し、該当する座席54の座席装置300に発券情報および改札情報を送信する。あるいは、車両用端末51は、各座席54の座席装置300に、発券情報または改札情報を受信したことを通知する。
【0069】
乗車券認識部309は、乗車券挿入口56にICカード型乗車券100が挿入されたとき、ICカード型乗車券100を認識し、ICカード型乗車券100の読取書込部104(図3)を介してメモリ103(図3)に記憶されている座席番号を読み出し、着座判定部311に通知する。
【0070】
本実施形態の乗客誘導システム1において、各座席は、乗客が当該座席に着座するとき、乗客のICカード型乗車券100を認識させる乗車券認識部309と、乗車券認識部309が、ICカード型乗車券100を認識したとき、乗客が座席に着座したことを検知する背面体感センサ58および座面体感センサ60と、背面体感センサ58および座面体感センサ60が乗客が座席に着座したことを検知したとき、乗車券認識部309が認識したICカード型乗車券100から取得した指定席情報が座席情報記憶部142に記録された座席情報と一致するか否かを判定する着座判定部311と、着座判定部311により、指定席情報と座席情報が一致しないと判定された場合、乗客に座り間違いを報知する着座中ランプ90(点滅)と、を備える。
【0071】
着座判定部311は、背面体感センサ58および座面体感センサ60から着座検知信号を受信する。着座判定部311は、乗車券認識部309から通知された座席番号と、座席情報記憶部142(図8)に記憶された座席番号が一致するか否かを判定する。さらに、着座判定部311は、背面体感センサ58および座面体感センサ60から受信した着座検知信号に基づいて、乗客7の着座状況を判定する。着座判定部311で判定した結果は表示制御部305および着席情報送信部313に受け渡される。
【0072】
表示制御部305は、空席ランプ84、予約済みランプ86、着座待ちランプ88、および着座中ランプ90の表示を制御する。着席情報送信部313は、着座判定部311から受信した判定結果をインタフェース部301を介して車両用端末51に送信する。
【0073】
このように構成された本実施形態の乗客誘導システム1における座席状況報知時の動作について、以下に説明する。図15は、本実施形態の乗客誘導システム1における座席状況報知時の動作の一例を示すフローチャートである。以下、図14、図15を用いて説明する。
【0074】
はじめに、発券情報受信部303が発券情報を受信するまで(S21のNO)、表示制御部305が、空席ランプ84を点灯させる(S23)。発券情報受信部303が発券情報を受信したとき(S21のYES)、表示制御部305が、空席ランプ84を消灯し、予約済みランプ86を点灯させる(S25)。
【0075】
次ぎに、改札情報受信部307が改札情報を受信するまでは(S27のNO)、ステップS25に戻る。改札情報受信部307が改札情報を受信したとき(S27のYES)、表示制御部305が、予約済みランプ86を消灯し、着座待ちランプ88を点灯させる(S29)。そして、乗車券認識部309がICカード型乗車券100を認識し、座席番号を読み取ると(S31のYES)、着座判定部311が、座席情報記憶部142(図8)に記憶された座席番号と一致するか否かを判定する(S33)。座席番号が一致する場合(S33のYES)、表示制御部305が、着座待ちランプ88を消灯し、着座中ランプ90を点灯させる(S35)。そして、着席情報送信部313が着席情報をインタフェース部301を介して車両用端末51に送信する(S37)。
【0076】
一方、ステップS33で座席番号が一致しない場合(S33のNO)、表示制御部305が、着座待ちランプ88を消灯し、着座中ランプ90を点滅させる(S39)。そして、着席情報送信部313が誤着席情報をインタフェース部301を介して車両用端末51に送信する(S41)。
【0077】
また、ステップS31でICカード型乗車券100を認識していないとき(S31のNO)、着座判定部311は背面体感センサ58および座面体感センサ60からの着座検知信号の有無を判定する(S43)。着座検知信号を検知していない間は、そのままステップS31に戻る。着座検知信号が検知されたとき(S43のYES)、ICカード型乗車券100を乗車券挿入口56に挿入せずに乗客7が着席した可能性があるので、着座中ランプ90を点滅させる(S45)。そして、着席情報送信部313が未承認情報をインタフェース部301を介して車両用端末51に送信する(S47)。
【0078】
図16は、本実施形態の乗客誘導システム1全体の動作の一例を示すフローチャートである。以下、図1乃至図16を用いて説明する。
【0079】
はじめに、座席状況報知部82は、空席ランプ84を点灯している(S191)。乗客7が発券売場へ行き、乗車券を購入する(S101)。このとき、発券用端末10は、発券情報の入力を受け付け(S121)、発券機5に、ICカード型乗車券100の乗車券情報記憶部120に乗車券情報を記録させて発券させる(S123)。乗客7はICカード型乗車券100を携帯して改札口へと向かう(S103)。発券用端末10では、発券されたICカード型乗車券100の発券情報をネットワーク3を介して改札情報端末30および管理サーバ40に送信する(S125)。管理サーバ40では、受信した発券情報をデータベース200に格納する(S151)。
【0080】
そして、管理サーバ40は、データベース200に格納した発券情報を車両用端末51にネットワーク3を介して送信する(S153)。車両用端末51は、管理サーバ40から受信した発券情報をさらに座席装置300に送信する(S161)。座席装置300は、発券情報を受信すると、座席状況報知部82の空席ランプ84を消灯し、予約済みランプ86を点灯させる(S171、S193)。
【0081】
その後、乗客7が自動改札機9を通過すると(S105)、ICカード型乗車券100の改札が実施される(S131)。改札情報端末30は、自動改札機9がICカード型乗車券100から読み取った乗車券情報を取得し(S141)、その情報から改札情報を生成し、管理サーバ40にネットワーク3を介して送信する(S143)。
【0082】
管理サーバ40は、受信した改札情報をデータベース200に格納する(S155)。そして、管理サーバ40は、データベース200に格納した改札情報をネットワーク3を介して車両用端末51に送信する(S157)。車両用端末51は、管理サーバ40から受信した改札情報をさらに座席装置300に送信する(S163)。座席装置300は、改札情報を受信すると、座席状況報知部82の予約済みランプ86を消灯し、着座待ちランプ88を点灯させる(S173、S195)。
【0083】
その後、乗客7は電車車両50に乗車する(S107)。このとき、ICカード型乗車券100は、座席情報発信部80からの座席情報受信待ち状態にある(S133)。乗客7が指定席の近傍に近づいたとき、座席情報発信部80から発信された座席情報をICカード型乗車券100が受信する(S175)。そして、ICカード型乗車券100の判定部124が座席情報発信部80から発信された座席情報と、乗車券情報記憶部120に記憶されている乗車券情報の座席番号が一致すると判定し、報知部126がICカード型乗車券100の表示部111のバックライトを点滅させて乗客7に指定席の近傍であることを報知する(S135)。
【0084】
乗客7が座席54の乗車券挿入口56にICカード型乗車券100を挿入すると(S109、S137)、座席装置300の乗車券認識部309がICカード型乗車券100を認識する(S177)。そして、乗客7が座席54に着席すると(S111)、座席装置300において、背面体感センサ58および座面体感センサ60が着座を検知する(S179)。そして、座席装置300において、着座判定部311が乗客7の座席番号が正しいことを確認すると、表示制御部305が座席状況報知部82の着座待ちランプ88を消灯し、着座中ランプ90を点灯させる(S181、S197)。
【0085】
そして、座席装置300は、車両用端末51に着座情報を送信する(S183)。車両用端末51は、座席装置300から受信した着座情報をネットワーク3を介して管理サーバ40に送信する(S165)。そして、管理サーバ40は、受信した着座情報をデータベース200に格納する(S159)。
【0086】
以上説明したように、本実施形態の乗客誘導システム1によれば、各座席の予約、改札、および着席状況を各座席54に設けられた座席状況報知部82で報知するので、乗客は指定席の乗車および着席状況を目視確認できるので、誤着席を防ぐことができる。また、着席時に確信を持って着席することができ、安心感が増す。また、各座席54に設けられた座席状況報知部82により、各車両で乗務員が座席状況を一目で目視確認できるので、検札を効率よく行うことができる。
【0087】
(第3の実施の形態)
図17は、本発明の実施形態の乗客誘導システム1のICカード型乗車券100の要部構成を示すブロック図である。本実施形態のICカード型乗車券100は、上記実施形態のICカード型乗車券100とは、乗客7をメッセージで乗車時点から指定席まで誘導する点で相違する。
【0088】
本実施形態の乗客誘導システム1において、車両の複数の所定の場所の位置情報を発信する位置情報発信部(図8の座席情報発信部80)を備え、ICカード型乗車券100は、指定席情報と位置情報の関係に対応付けられた乗客を誘導するメッセージを記憶するメッセージ記憶部160と、位置情報発信部(図8の座席情報発信部80)から発信された位置情報を受信する位置情報受信部(座席情報受信部122)と、位置情報受信部(座席情報受信部122)が受信した位置情報と記録部(乗車券情報記憶部120)に記録された指定席情報に基づいて、メッセージ記憶部160から該当するメッセージを取得する取得部(メッセージ選択部162)と、取得部(メッセージ選択部162)が取得したメッセージを出力する出力部(メッセージ報知部164)と、を備える。
【0089】
具体的には、ICカード型乗車券100は、メッセージ記憶部160と、メッセージ選択部162と、メッセージ報知部164と、を含む。メッセージ記憶部160は、図18(a)に示すような第1メッセージテーブル170および図18(b)に示すような第2メッセージテーブル172を含む。
【0090】
第1メッセージテーブル170は、ICカード型乗車券100から読み取った車両番号(号車)と座席54の車両番号の差に応じたメッセージが格納されている。たとえば、車両番号の差が−1の場合、「指定席は、列車の進行方向反対の1つ隣の車両です。」というメッセージが対応付けられている。
【0091】
第2メッセージテーブル172は、ICカード型乗車券100から読み取った座席番号と、座席54の座席番号の差に応じたメッセージが格納されている。たとえば、座席番号の差が10の場合、「列車の進行方向に向かって10列お進み下さい。」というメッセージが対応付けられている。
【0092】
図17に戻り、メッセージ選択部162は、座席情報受信部122がICカード型乗車券100から読み取った車両番号および座席番号を受け取るとともに、乗車券情報記憶部120から座席54の車両番号および座席番号を読み取る。メッセージ選択部162は、ICカード型乗車券100から読み取った車両番号と座席54の車両番号の差を求め、その差に該当するメッセージを、第1メッセージテーブル170から読み出し、メッセージ報知部164に通知する。
【0093】
メッセージ選択部162は、車両番号の差が0のとき、すなわち、乗客7が正しい車両に乗車した後、さらに、ICカード型乗車券100から読み取った座席番号と座席54の座席番号の差を求め、その差に該当するメッセージを第2メッセージテーブル172から読み出し、メッセージ報知部164に通知する。
【0094】
メッセージ報知部164は、メッセージ選択部162から通知されたメッセージを報知する。ここでは、表示制御部109に表示部111への表示を指示している。他の実施形態において、メッセージ報知部164は、音声出力部にメッセージを音声出力させてもよい。
【0095】
以上説明したように、本実施形態の乗客誘導システム1によれば、乗客を指定席までメッセージで誘導することができるので、乗客は苦労せず安心して指定席を探すことができる。
【0096】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0097】
たとえば、他の実施形態の乗客誘導システム1において、車両の車両識別情報を発信する車両情報発信部(図8の赤外線通信部144)を備えてもよい。ICカード型乗車券100は、車両情報発信部(赤外線通信部144)から発信された車両識別情報を受信する車両情報受信部(図8の座席情報受信部122)と、車両情報受信部(座席情報受信部122)が受信した車両識別情報と乗車券情報記憶部120(図8)に記録された車両情報が一致するか否かを判定する判定部124と、判定部124により車両情報が一致しないと判定された場合、乗り間違えを報知する報知部126と、を備えることができる。
この構成によれば、乗客に車両の乗り間違えを報知するので、車両の乗り間違えを防ぐことができる。
【0098】
さらに、図8の座席情報発信部80を、たとえば、列車の乗車口付近に設け、座席情報記憶部142に列車の列車識別情報を記憶し、赤外線通信部144に列車識別情報を発信させてもよい。ICカード型乗車券100は、赤外線通信部144から発信された列車識別情報を受信する列車情報受信部(図8の座席情報受信部122)と、列車情報受信部(座席情報受信部122)が受信した列車識別情報と乗車券情報記憶部120(図8)に記録された列車情報が一致するか否かを判定する判定部124と、判定部124により列車情報が一致しないと判定された場合、乗り間違えを報知する報知部126と、を備えることができる。
この構成によれば、乗客に列車の乗り間違えを報知するので、列車の乗り間違えを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施の形態に係る乗客誘導システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1の発券用端末の構成を示す図である。
【図3】図1のICカード型乗車券の構成を示すブロック図である。
【図4】図1の改札情報端末の構成を示す図である。
【図5】本実施形態の発券情報の構造の一例を示す図である。
【図6】本実施形態の改札情報の構造の一例を示す図である。
【図7】図1の電車車両の車両用端末および座席群の構成を示す図である。
【図8】本実施形態のICカード型乗車券の要部構成を示す機能ブロック図である。
【図9】図8のICカード型乗車券の乗車券情報記憶部の構造の一例を示す図である。
【図10】本実施形態のICカード型乗車券の平面図である。
【図11】本実施形態の乗客誘導システムにおける乗客誘導処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態に係る乗客誘導システムの電車車両を示す模式図である。
【図13】図12の座席状況報知部の構成を示す図である。
【図14】本実施形態の乗客誘導システムの座席装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図15】本実施形態の乗客誘導システムにおける座席状況報知時の動作の一例を示すフローチャートである。
【図16】本実施形態の乗客誘導システム全体の動作の一例を示すフローチャートである。
【図17】本実施形態の乗客誘導システムのICカード型乗車券の要部構成を示すブロック図である。
【図18】図17のICカード型乗車券のメッセージ記憶部の構造の例を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
1 乗客誘導システム
3 ネットワーク
5 発券機
7 乗客
9 自動改札機
10 発券用端末
30 改札情報端末
40 管理サーバ
50 電車車両
51 車両用端末
52 座席群
54 座席
56 乗車券挿入口
58 背面体感センサ
60 座面体感センサ
80 座席情報発信部
82 座席状況報知部
84 空席ランプ
86 予約済みランプ
88 着座待ちランプ
90 着座中ランプ
100 カード型乗車券
103 メモリ
104 読取書込部
105 アンテナ
107 赤外線通信部
109 表示制御部
111 表示部
113 バス
120 乗車券情報記憶部
122 座席情報受信部
124 判定部
126 報知部
142 座席情報記憶部
144 赤外線通信部
160 メッセージ記憶部
162 メッセージ選択部
164 メッセージ報知部
170 第1メッセージテーブル
172 第2メッセージテーブル
200 データベース
220 発券情報
230 改札情報
300 座席装置
301 インタフェース部
303 発券情報受信部
305 表示制御部
307 改札情報受信部
309 乗車券認識部
311 着座判定部
313 着席情報送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICカード型乗車券を携行して車両に乗車した乗客を指定席まで誘導する乗客誘導システムであって、
前記車両に設けられた複数の座席または該複数の座席の近傍にそれぞれ設けられた各座席の座席情報を発信する座席情報発信手段を備え、
前記ICカード型乗車券は、
前記指定席の指定席情報が記録された記録手段と、
前記座席情報発信手段から発信された前記座席情報を受信する座席情報受信手段と、
前記記録手段に記録された前記指定席情報と前記座席情報受信手段が受信した前記座席情報とが一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により、前記指定席情報と前記座席情報が一致すると判定された場合、前記乗客に前記指定席近傍であることを報知する報知手段と、を備える乗客誘導システム。
【請求項2】
請求項1に記載の乗客誘導システムにおいて、
前記車両の複数の所定の場所の位置情報を発信する位置情報発信手段を備え、
前記ICカード型乗車券は、
前記指定席情報と前記位置情報の関係に対応付けられた前記乗客を誘導するメッセージを記憶するメッセージ記憶手段と、
前記位置情報発信手段から発信された前記位置情報を受信する位置情報受信手段と、
前記位置情報受信手段が受信した前記位置情報と前記記録手段に記録された前記指定席情報に基づいて、前記メッセージ記憶手段から該当するメッセージを取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記メッセージを出力する出力手段と、を備える乗客誘導システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の乗客誘導システムにおいて、
前記車両の車両識別情報を発信する車両情報発信手段を備え、
前記ICカード型乗車券は、
前記車両情報発信手段から発信された前記車両識別情報を受信する車両情報受信手段と、
前記車両情報受信手段が受信した前記車両識別情報と前記記録手段に記録された前記車両情報が一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記車両情報が一致しないと判定された場合、乗り間違えを報知する手段と、を備える乗客誘導システム。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかに記載の乗客誘導システムにおいて、
前記各座席は、
前記乗客が当該座席に着座するとき、前記乗客の前記ICカード型乗車券を認識させる乗車券認識手段と、
前記乗車券認識手段が、前記ICカード型乗車券を認識したとき、前記乗客が前記座席に着座したことを検知する検知手段と、
前記検知手段が前記乗客が前記座席に着座したことを検知したとき、前記乗車券認識手段が認識した前記ICカード型乗車券から取得した前記指定席情報が前記記録手段に記録された前記座席情報と一致するか否かを判定する着座判定手段と、
前記着座判定手段により、前記指定席情報と前記座席情報が一致しないと判定された場合、前記乗客に座り間違いを報知する手段と、を備える乗客誘導システム。
【請求項5】
請求項4に記載の乗客誘導システムにおいて、
列車の指定席を予約した前記ICカード型乗車券を発券機が発券したとき、前記指定席の発券情報を送信する発券用端末と、
前記ICカード型乗車券が自動改札機で改札したとき、前記ICカード型乗車券から前記指定席情報を取得して、該当する指定席の改札情報を送信する改札情報端末と、
前記発券用端末から送信された前記指定席の前記発券情報、および前記改札情報端末から送信された前記指定席の前記改札情報を受信し、前記指定席毎に格納するデータベースと、をさらに備え、
前記各座席は、
前記データベースから前記指定席の前記発券情報を受信する手段と、
前記データベースから前記指定席の前記改札情報を受信する手段と、
受信した前記発券情報に基づいて、予約状況を報知する手段と、
受信した前記改札情報に基づいて、改札状況を報知する手段と、
前記乗車券認識手段で前記ICカード型乗車券が認識されたか否かに基づいて、着座状況を報知する手段と、を含む乗客誘導システム。
【請求項6】
請求項5に記載の乗客誘導システムにおいて、
前記座り間違いを報知する手段、前記予約状況を報知する手段、改札状況を報知する手段、および着座状況を報知する手段は、前記各座席の背もたれ上部に設けられた表示器である乗客誘導システム。
【請求項7】
ICカード型乗車券を携行して車両に乗車した乗客を指定席まで誘導する乗客誘導方法であって、
前記車両に設けられた複数の座席またはその近傍に、各座席の座席情報を発信する座席情報発信部を設け、
前記ICカード型乗車券は、前記指定席の指定席情報が記録された記録手段と、前記座席情報発信部と無線通信する通信手段と、制御手段と、報知手段と、を備え、
前記ICカード型乗車券の前記通信手段が、前記座席情報発信部から発信された前記座席情報を受信し、
前記ICカード型乗車券の前記制御手段が、前記記録手段に記録された前記指定席情報と前記通信手段が前記座席情報発信部から受信した前記座席情報とが一致するか否かを判定し、
前記ICカード型乗車券の前記報知手段が、前記指定席情報と前記座席情報が一致すると判定された場合、前記乗客に前記指定席近傍であることを報知する乗客誘導方法。
【請求項8】
予め指定席を予約した乗客が携行して車両に乗車するICカード型乗車券であって、
前記車両に設けられた複数の座席またはその近傍に、各座席の座席情報を発信する座席情報発信部と無線通信し、前記座席情報を受信する受信手段と、
前記指定席の指定席情報が記録された記録手段と、
前記記録手段に記録された前記指定席情報と前記受信手段が受信した前記座席情報とが一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により、前記指定席情報と前記座席情報が一致すると判定された場合、前記乗客に前記指定席近傍であることを報知する報知手段と、を備えるICカード型乗車券。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−129215(P2009−129215A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−303891(P2007−303891)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(000232140)NECフィールディング株式会社 (373)