説明

乗物の位置発見器

【課題】特定の位置を登録し、そこに戻るための、軽量かつ使用が簡単な装置を提供する。
【解決手段】ユーザーをある位置に案内するための位置発見装置であって:電波信号を使って現在位置を決定するよう構成されたシステム・ユニットと;表示領域およびボタンをもつユーザー・インターフェース・ユニットと;メモリ・ユニットと;乗物から該乗物のエンジンがオフであることを示す信号を受信するのに応答して前記メモリ・ユニットに第一の位置を記憶するよう構成されたプロセッサと;前記ボタンと対話するよう構成された計算ユニットとを含んでおり、前記計算ユニットは、ユーザーが第二のボタンを選択すると、前記システム・ユニットから第二の位置を取得し、前記第二の位置から前記第一の位置までの相対的な三次元的方向を計算し、前記相対的な三次元的方向は前記ユーザー・インターフェース・ユニットの表示領域にグラフィック表現される、装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】

〈発明の分野〉
本発明は、概括的には、乗物の位置を登録する、乗物の電子鍵(electronic key)に、より詳細には、電波ベースの技術を使って位置を登録し、後刻ユーザーが登録された位置に戻れるよう方向指示する位置発見(location)システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、共通の待ち合わせ場所または乗物を駐車した場所といった特定の位置への戻り方を覚えるのに苦労する人は多い。この問題は、高齢化が進み、高齢世代が物忘れにまつわる問題に直面するにつれて悪化する一方である可能性が高い。乗物をどこに止めたかを忘れることは、モールやショッピング・センター、空港、遊園地などの大きな駐車場では深刻な問題になることがある。
【0003】
全地球測位システム(GPS)は、軌道を回る宇宙衛星を使って地球ベースの位置を提供するために使われる電波ベースの技術の例である。当技術分野においてよく知られているように、現在、GPSコンステレーションをなす24基のGPS宇宙衛星が地球上空20,200キロメートルのところを24時間の軌道を描いて回っており、地球上のどの点からも6ないし11基のGPS衛星が視界にはいるようにされている。GPS衛星は、GPS受信機が処理できる特殊な符号化信号を放送している。これらのGPS宇宙衛星は、L1およびL2と称される一次電波周波数および二次電波周波数で送信する。L1の周波数は1575.42MHz(原子時計の154倍)で、L2の周波数は1227.6MHz(原子時計の120倍)である。典型的なGPS受信機は、少なくとも3基の軌道を回るGPS宇宙衛星からGPS信号を取得する。次いで地球ベースの位置、一般には緯度および経度の座標を計算する。緯度、経度および高度のような三次元的な地球ベースの位置を計算するには、少なくとも4基の軌道を回るGPS宇宙衛星からのGPS信号が必要である。GPS受信機は、GPS宇宙衛星からの信号遅延を相関付け、その結果を衛星から送られる軌道補正データと組み合わせることによって自分の位置を計算する。つまり、GPS受信機の空間上の座標(x,y,z)および時刻tの4つの変数が未知で、各GPS衛星からの時刻差が与えられることで、この方程式を解くことによって、x,y,z,tの値を決めることができる。これにより、緯度、経度のみならず、高さ方向の位置を特定することが可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在のところ、さまざまな機能をもつ多くの異なる型のGPS受信機が存在しており、個人使用にも政府使用にも普通に手にはいる。典型的には、これらのGPS受信機はナビゲーション用途を意図されており、現在の計算された緯度および経度位置が何らかの形の地理的または地勢的な地図の上に表示される。これらのシステムは、時にかさばり、ユーザーが、目的地の番地を入力するなど、手動で目的地等を入力することを必要とすることもある。
【0005】
駐車した自動車の場所までの戻り方をユーザーが思い出すのを助けることを意図された装置の典型的なユーザーは、装置の複雑さを気にする可能性が高いので、装置は操作が簡単であるべきである。よって、位置発見装置は、ユーザーによるプログラミングを必要とすることなく、操作が簡単な、単純なユーザー・インターフェースを有するべきである。この目的に向け、位置発見装置は、その現在の位置を自動的に決定するために電波ベースの技術を利用することができるべきである。
【0006】
こうして、当技術分野においては、特定の位置を登録し、そこに戻るための、軽量かつ使用が簡単な装置に対する、いまだ満たされぬ必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある側面では、ユーザーをある位置に案内するための位置発見装置は:電波信号を使って現在位置を決定するよう構成されたシステム・ユニットと;表示領域およびボタンをもつユーザー・インターフェース・ユニットと;メモリ・ユニットと;乗物から該乗物のエンジンがオフであることを示す信号を受信するのに応答して前記メモリ・ユニットに第一の位置を記憶するよう構成されたプロセッサと;前記ボタンと対話するよう構成された計算ユニットとを含んでおり、前記計算ユニットは、ユーザーが第二のボタンを選択すると、前記システム・ユニットから第二の位置を取得し、前記第二の位置から前記第一の位置までの相対的な三次元的方向を計算し、相対的な三次元的方向が前記ユーザー・インターフェース・ユニットの表示領域にグラフィック表現される。
【0008】
本発明のもう一つの側面は、ユーザーをある位置に案内する方法であって:乗物から該乗物のエンジンがオフであることを示す信号を受信するのに応答してメモリ・ユニットに第一の位置を記憶し;第二の位置を判別し;前記第二の位置から前記第一の位置までの相対的な三次元的方向を計算し;相対的な三次元的方向を表示装置上にグラフィック表現することを含む方法に関わる。
【0009】
本発明のもう一つの側面は、命令をエンコードされたコンピュータ可読記憶媒体に関わる。該命令は、コンピュータによって実行されると、該コンピュータをして、ユーザーをある位置に案内する方法であって:乗物から該乗物のエンジンがオフであることを示す信号を受信するのに応答してメモリ・ユニットに第一の位置を記憶し;第二の位置を判別し;前記第二の位置から前記第一の位置までの相対的な三次元的方向を計算し;相対的な三次元的方向を表示装置上にグラフィック表現することを含む方法を実行させる。
【0010】
本発明およびその付随的な利点の多くのより完全な理解は、以下の詳細な記述を付属の図面との関連で考慮して参照することによってこれがよりよく理解されるようになると、容易にできるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
ここで図面を参照する。いくつかの図を通じて同様の参照符号は同一または対応する部分を示す。
【0012】
図1を参照すると、人物12は、GPS機能をもつ電子鍵20を使うことによって、駐車場で自分の乗物の一例である自動車13を位置発見し(locate)ようと試みている。電子鍵20は、従来式のぎざぎざのある金属の鍵ではない。本願で使われるところでは、電子鍵とは、乗物を遠隔で始動させるために使われる、あるいは部分的には、従来式の金属鍵をイグニッションに挿入することなく乗物を始動させるために使われる電子的な鍵を指す。例えば、キー(鍵)をシリンダーに差し込み、捻る必要はなく、所定の位置にキーを差込み又は差し込むことをすることなく、始動のボタンを押すだけのものがある。乗物としては、自動車、オートバイ、自転車、船舶、飛行機等が考えられる。
【0013】
図2を参照すると、本発明のある実施形態に基づく位置発見装置のブロック図が示されている。位置発見装置100は、七つの主要なサブユニット(102、104、106、108、110、112および120)を含んでいる。位置発見装置100は、図1に示されている電子鍵20の、限定的意味のない一例である。GPSシステム・ユニット102は電波受信機を、記述しないシステム・バス・インターフェースおよびコンピュータ・ソフトウェアとともに含んでいる。電波受信機は、電波ベースの送信機(たとえばGPS衛星または地上局)からの電波信号を受信する。これらの電波信号を使って、前記コンピュータ・ソフトウェアが当該位置発見装置の現在の三次元的な位置を計算する。メモリ・ユニット104は、前記位置発見装置およびその付随のソフトウェアを動作させるために必要とされる不揮発性および揮発性メモリを含む。メモリ・ユニット104は、ROMとともに、動的RAMおよびフラッシュ・メモリを含んでいてもよい。計算ユニット106はCPUを含んでいる。該CPUは、インテル、AMD、モトローラ、日立およびNECといった会社からの市販のマイクロプロセッサを含め、いかなる型のプロセッサとして実装されてもよい。計算ユニット106は、GPSシステム・ユニット102から突き止められた三次元的な位置をメモリ・ユニット104に記憶し、第二の位置に対する当該装置の現在位置の相対的な三次元的方向を計算し、この方向情報をユーザー・インターフェース・ユニット108に通信するよう構成される。ユーザー・インターフェース・ユニット108は、表示ユニットおよびボタンの制御論理を含む。ユーザー・インターフェース108は、位置発見装置100上のボタンの押下を検出し、ユーザーによって要求されている、制御ユニット110が実行すべき機能を識別する。さらに、ユーザー・インターフェース・ユニット108は、方向情報を受信し、図3(後述)のディスプレイ208を使って自動車への方向を指示するようディスプレイを制御する。
【0014】
当該位置発見装置の、限定的意味のない諸実施形態は、所要電力が低いように構成される。当該位置発見装置の、限定的意味のないいくつかの実施形態では、ディスプレイは、LED型ディスプレイ、あるいはPDAやラップトップ・コンピュータ・ディスプレイで使われる大型のLCDディスプレイなどではない、時計で使われる小型LCDディスプレイのような、低電力ディスプレイである。しかしながら、本発明は、いかなる大きさのディスプレイとでも等しく使用可能である。
【0015】
位置発見装置100はまた、乗物または自動車インターフェース・ユニット120をも含む。乗物インターフェース・ユニット120は、乗物とのインターフェースとなり、信号を送受信する。たとえば、乗物インターフェース・ユニット120は、ドアのロックおよびオープン信号を乗物に送る。さらに、乗物インターフェース・ユニット120は、現在位置をメモリ・ユニット104に記録するための信号を受信する。たとえば、乗物インターフェース120は、乗物内の停止ボタンまたはスイッチを押下することによってエンジンが停止させられたときに、GPSシステムからのその乗物の位置を自動的に記録するために、信号を受信することができる。乗物と通信し、エンジン停止信号を受信し、駐車位置を取得するためには、ブルートゥースまたは無線USBのような無線通信モジュールを使うことができる。この実施形態は、乗物の位置を自動的に保存してくれるので、乗物の位置を忘れずに保存しなければならないことからユーザーを解放する。なお、この乗物の位置に関する情報の取得は、乗物が備えるGPSシステムを利用して計算した位置に関する情報を位置発見装置100に送信する場合が考えられる。さらに別の実施形態では、乗物から所定のコマンドを位置発見装置100に送信し、そのコマンドに含まれる位置取得コマンドと取得した位置情報を所定のメモリ・ユニットに記憶するコマンドを利用して、位置発見装置100が自身が備えるGPSシステムを利用して位置情報を取得し、所定のメモリ・ユニットに記憶するようにしても良い。なお、エンジンの停止を感知しているが、エンジンの停止を感知した後、ドアのロックがなされた後に位置情報を保存すると言うことであっても良い。方向指示ユニット112は、ディスプレイ210(後述)が前、後、左および右に関する矢印を表示するようにして、装置100から乗物13への方向を示すために使われる。その際、図3のボタン202が前の方向を定義する。
【0016】
図3を参照すると、本発明のある実施形態に基づく電子乗物鍵において実装される位置発見装置の例が示されている。この実施形態では、乗物鍵は、本発明の位置発見機能に加えて通常の乗物鍵の機能も実行する。たとえば、ドアロック・ボタン202は乗物ドアをロックし、アンロック・ボタン204は乗物ドアのロックを解除する。当業者には既知なように、追加的な機能ボタンを含めることもできる。ボタン206は、ユーザーの乗物を位置発見するために使われる。ボタン206が押下されるのに応答して、自動車への方向が、インジケータ208および212とともにディスプレイ210上に示される。ディスプレイ210上の矢印A〜Dの一つが光って、ユーザーの乗物が前方、後方、左方または右方に位置されていることを示す。矢印208が光ると、ユーザーの自動車がユーザーより上に位置されていることが示される。たとえば、ユーザーの乗物が多層駐車場の、より上のレベルに位置されているときに矢印208が光る。矢印212が光ると、ユーザーの自動車がユーザーより下に位置されていることが示される。たとえば、ユーザーの乗物が多層駐車場の、より下のレベルに位置されているときに矢印212が光る。本発明のさらなる諸実施形態では、ボタン206は位置の登録を開始するためにも使われる(すなわち、ボタン206を押すと、現在の三次元的な位置が記憶される)。しかしながら、当業者は理解することであろうが、登録は、機能固有ボタンで行ってもよい。
【0017】
ユーザーがボタン206を押下するとき、当該位置発見装置の現在の三次元的な位置が電波ベースのシステム・ユニット102から突き止められ、メモリ・ユニット104に記憶される。ユーザーがボタン206を押下するとき、方向インジケータの作動も開始される。当該位置発見装置の現在の三次元的な位置が再び電波ベースのシステム・ユニット102から突き止められる。次に、現在の位置から以前に登録された位置への相対的な三次元的方向が計算される。相対的な三次元的方向は次いで方向インジケータ(208、210および212)を使って表示される。ユーザーは、前210a、左210b、右210c、後210d、上208および下212のLEDインジケータを使って登録された位置に向けて方向指示される。上208および下212のインジケータは、当該位置発見装置の現在の高度に対する登録された位置の高度を示すために使われる。よって、登録された位置が当該位置発見装置の現在の高度より高いまたは低い場合、この違いはそれぞれ上208および下212インジケータによって示される。ボタン206が押下されるたびに、現在位置から登録された位置への相対的な三次元的方向の再計算および表示が行われる。
【0018】
任意的に、当該位置発見装置は、ボタン206を押したのち何らかの所定の時間期間にわたって定期的に、現在位置から登録された位置への相対的な三次元的方向を計算し、表示するよう構成されていてもよい。さらに、インジケータ208、210および212は任意的に、その機能を示すラベルをもつよう構成されていてもよい。
【0019】
図3は、本位置発見装置の数多くの可能な実施形態のほんの一つを示していること、そして本発明の範囲から外れることなく数多くの変形が可能であることは理解しておくべきである。図3は、電子乗物鍵に組み込まれた位置発見装置の例であることも理解される。また、より細かな方向指示のために、5つ以上のインジケータによって方向を表示することもできる。あるいはまた、連続的な仕方で回転できる矢印を示すデジタル・ディスプレイを使ってもよい。
【0020】
図4を参照すると、本発明のある実施形態に基づく位置を登録するための諸ステップのフローチャートが示されている。ステップ400では、エンジンが停止されたときに、電子鍵の乗物インターフェース・ユニットが乗物からエンジン停止信号を受信する。この際には、ブルートゥースのような通信による電気的な電波によりエンジン停止信号と共に、位置に関する情報を電子鍵は受け取る。なお、エンジンの停止信号は、一般的には乗物を制御している制御コンピュータが認識し、そのエンジンの停止信号にしたがって、乗物内のGPSシステムを利用して制御コンピュータが電子鍵側に通知する仕組みが考えら得る。なお、エンジンを搭載せず、制御コンピュータが備えられていない自転車等では、鍵を掛けたりした際に、その鍵を掛けたことを示す信号を電子鍵自身が発生されても良い。ステップ402では、乗物インターフェース・ユニットは、エンジン停止信号と位置情報を、乗物鍵(電子鍵)のシステム制御ユニット110に送る。ステップ404では、システム制御ユニットは三次元的な現在位置をGPSシステム・ユニット102から取得する。なお、位置情報を受け取らない場合には、乗物側から位置情報を取得するように要請するコマンドを受け取り、そのコマンドにしたがってGPSシステム・ユニット102が電波ベースのシステム・ユニット102から現在の三次元的な位置を突き止めるのは、電波ベースの送信機(たとえば、少なくとも4基の軌道を回るGPS宇宙衛星または地上局)と通信する内蔵電波受信機を使ってでもよい。この動作は、前記電波受信機によって現在の三次元的な位置が突き止められるまで、所定の試行回数、続く。ステップ406では、システム制御ユニット110は、便利なフォーマットでの記憶のために位置データを変換する。ステップ408では、システム制御ユニット110は現在の位置情報をメモリ・ユニット104に上書きする。
【0021】
こうして、図4に示される実施形態では、ユーザーは乗物の位置を記録するためにボタンを押す必要はない。むしろ、乗物のエンジンが切られたことを示す信号に応答して、電子鍵が自動的に乗物の位置を記憶する。
【0022】
図5Aを参照すると、単純な経路追跡機構を組み込んでいる位置発見装置の代替的な実施形態が示されている。この実施形態によれば、ユーザーは複数位置を登録してもよい。登録された各位置は、位置番号ディスプレイ502に視覚的に表現される一意的な位置番号と関連付けられる。開始位置とも称される最初の登録された位置は、位置番号0によって特定される。記憶ボタン504は、位置番号、現在位置およびユーザーが現在向いている方向を記憶させる。次いで位置番号は自動的にインクリメントされる。戻るボタン506は位置番号をデクリメントし、その関連する登録された位置および方向を取得する。繰り返して戻るボタン506を押すことによって、ユーザーは記憶された各位置をめぐることができる。表示ボタン514は、相対的な三次元的な方向インジケータ(508、510および512)を作動させる。それらの方向インジケータはその後は、ユーザーに登録された位置に向けて方向指示するために、必要に応じて点灯する。登録された位置のほうにユーザーが方向指示されている間、必要なら、主要方位(primary heading)を示すために方向インジケータ(508、510および512)の光強度に変化がつけられる。たとえば、北を向いているユーザーが北北東に方向指示される場合、前510aおよび右510cの方向インジケータが同時に光り、前510aが右510cよりも高い光強度となり、それによりユーザーに、主として北寄りの方位の視覚的な標示を与えるのである。ユーザーが登録された位置に到着したとき、方向インジケータ510(前510a、左510b、右510c、後510d)は同時に点灯する。登録された位置は数フィート程度以上の範囲内でしか精確たり得ないので、記憶ボタン504が押されたときにユーザーが向いていたもとの方向が、厳密な位置を位置発見する助けとなることがありうる。こうして、登録された位置に到着した際、ユーザーが、記憶ボタン504が押されたときに登録されたもとの方向に面しているときには、対面方向インジケータ518が光る。ユーザーが同じ登録された方向に面しているかどうかの判定は、図示しない磁北に対する方向を決定するよう構成された通常の内蔵コンパスを使って実装されてもよい。あるいはまた、図5Bに示されるように、方向インジケータ510(前510a、左510b、右510c、後510d)は、ユーザーが登録された位置に到着したときに一回または複数回点滅し、必要に応じて、記憶ボタン504が押されたときに登録されたもとの方向を示すためにさらに点灯する。全消去ボタン516は、ユーザーが以前に記憶された位置をすべてクリアできるようにするもので、リセットとして作用する。ユーザーが任意的な全消去ボタン516を2秒など何らかの所定の時間より長く押すと、以前に記憶されたすべての位置がクリアされ、位置番号は0にセットされる。さらに、ユーザーが戻るボタン506を使って開始位置に戻ってから記憶ボタン504を押すと、リセットが実行され、それにより全消去ボタン516の必要性はなくなる。さらに、図5Cに示されるように、位置発見装置は、登録された位置までの距離を表示するための距離ディスプレイ520をもつよう構成されてもよい。この構成では、ユーザーが登録された位置に到着したときには距離ディスプレイ520が0を示す。さらに、自動車のエンジンが停止されるのに応答して自動的に位置が登録されてもよい。この位置は、図5Aに示される装置の位置となる。図5Aの位置発見装置は、該位置を、エンジンが停止されると信号を送信するようプログラムされている自動車から受信してもよい。この送信は、ブルートゥースまたは他の無線通信プロトコルを使うことによってなされてもよい。こうして、ある実施形態では、自動車の位置(すなわち、自動車のエンジンが停止されたときの位置発見装置の位置)は、当該装置中に登録/記憶された最初の位置である。別の実施形態では、自動車の位置は最初ではない。ユーザーはその後に自動車の位置を位置発見装置に追加してもよい。
【0023】
前記のインターフェースはボタンを使って記載してきたが、その機能は音声コマンドを使って行うこともできる。また、応答は矢印ではなく音声応答であることもできる。したがって、位置を登録できるのみならず、位置を記憶するときに短いメッセージを登録して、位置番号と音声が関連付けられるようにできる。
【0024】
図6は、乗物を位置発見する例示的なプロセスのフローチャートである。ステップ600では、ユーザー・インターフェース・ユニット108が、自動車位置発見ボタンが押されることを検出する。次いでユーザー・インターフェース・ユニット108は、ステップ601で、乗物を位置発見する要求をシステム制御ユニット110に通知する。次いでシステム制御ユニット110は、ステップ602で、ステップ404と同様にして、三次元的な現在位置をGPSシステム・ユニット102から取得する。ステップ604では、システム制御ユニット110は取得された位置データを計算のために変換する。ステップ606では、システム制御ユニットは、メモリ・ユニット104から記憶された位置データを取り出す。次いでシステム制御ユニット110は、ステップ608で、取り出されたデータを、乗物への方向を見出すために計算のために変換する。ステップ610では、システム制御ユニット110は、計算ユニット106を使って乗物への方向を取得する。システム制御ユニット110は、ステップ612で、方向指示ユニット112から、当該装置100が面している相対的な方向を取得する。その情報は、装置100の上部に対して北を指すベクトルであることができる。次いで、システム制御ユニットは、乗物位置情報、方向情報とともに表示メッセージを送り、ステップ614で、ユーザー・インターフェース・ユニットが乗物への方向を表示する。方向情報は、ユーザーが方向を見ることを許容するために所定の時間(すなわち2秒または3秒)、表示されてよい。ステップ616では、システム制御ユニットは乗物に信号を送るよう乗物インターフェース・ユニットにコマンドを送る。その信号は、乗物がその信号を受信する範囲内にあれば、乗物にクラクションを鳴らしたり、ランプをフラッシュさせたりさせる。
【0025】
図7は、自動車のエンジン停止手順の例示的なプロセスのフローチャートである。エンジン停止が始動/停止ボタンまたはスイッチを押すことによって要求されるとき、乗物は図7に示されるステップを経ていく。ステップ700では、乗物に備えられている制御コンピュータがエンジン停止要求を検出する。ステップ702では、乗物のコンピュータがエンジンを停止させても安全だと判断する場合、該乗物のコンピュータがエンジン停止ルーチンを呼び出す。ステップ704では、現在位置を記録するために、エンジンが停止されたという信号が電子鍵またはリモート・アクセス・デバイスに送られる。
【0026】
図8は、手首装着装置または腕時計における本発明の代替的な実施形態の例を示している。手首装着装置では、方向インジケータとしてLEDが使用できる。腕時計では、突き出ているボタンの一つはカシオの腕時計と同様な制御ボタンである。ボタンの一つは、時計モードから戻り位置発見モードに切り換え、ディスプレイ802を示すためのモード切換ボタンである。領域804は太陽電池パネルである。他のボタンは、図5A〜図5Cとの関連で記載した種々の機能を制御できる。夜間使用のためにディスプレイの照明を制御するためにもう一つのボタンが追加されてもよい。
【0027】
図9は、ブレスレットにおける本発明の代替的な実施形態のもう一つの例である。デバイス902は太陽電池パネルである。ボタン904は複数ボタンのうちの二つである。ブレスレットにおける実装は、太陽電池パネルの使用を許容することを注意しておく。さらに、代替的な設計は、ボタンおよびディスプレイを何らかの装飾的な要素の中に隠してもよい。
【0028】
本発明は、本発明の教示に従ってプログラムされた命令を保持し、データ構造、テーブル、レコードまたは本稿記載のその他のデータを含むコンピュータ可読記憶媒体またはメモリとして具現されてもよい。コンピュータ可読媒体の例は、コンパクト・ディスク、DVD、ハードディスク、フロッピー(登録商標)・ディスク、テープ、光磁気ディスク、PROM(EPROM、EEPROM、フラッシュEPROM)、DRAM、SRAM、SDRAMまたは他の任意の磁気媒体、コンパクト・ディスク(たとえばCD-ROM)または他の任意の光学式媒体、パンチカード、紙テープまたは穿孔パターンをもつ他の物理的媒体、搬送波(後述)または他の任意のコンピュータが読むことのできる媒体である。
【0029】
コンピュータ可読媒体の任意の一つまたは組み合わせに記憶される本発明は、装置100を制御し、本発明を実装するために装置100の構成要素を駆動し、装置100が人間のユーザーと対話することを可能にするためのソフトウェアを含む。そのようなソフトウェアは、これに限られないが、デバイス・ドライバ、オペレーティング・システム、開発ツールおよびアプリケーション・ソフトウェアを含んでいてもよい。そのようなコンピュータ可読媒体はさらに、本発明を実装する際に実行される処理の全部または一部(処理が分散される場合)を実行するための本発明のコンピュータ・プログラム製品を含む。
【0030】
本発明のコンピュータ・コード装置は、いかなる解釈可能または実行可能なコード機構であってもよい。それは、これに限られないが、解釈可能なプログラム、動的リンク・ライブラリ(DLL)、Java(登録商標)クラスおよび完全な実行可能なプログラムを含む。さらに、本発明の処理の諸部分がよりよいパフォーマンス、信頼性および/またはコストのために分散されてもよい。
【0031】
明らかに、上記の教示に照らして本発明の数多くの修正および変形が可能である。したがって、付属の特許請求の範囲内で、本発明は本稿で個別的に記載されているのとは別の仕方で実施されることもできる。

【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】駐車場内での自分の自動車を探す人物を示す図である。
【図2】本発明のある実施形態に基づく位置発見装置のブロック図である。
【図3】本発明のある実施形態に基づく、電子乗物鍵において実装される位置発見装置の例を示す図である。
【図4】本発明のある実施形態に基づく、位置を登録する諸ステップを例示するフローチャートである。
【図5A】本発明の代替的な実施形態に基づく、簡単な経路追跡機構を組み込んでいる位置発見装置の例を示す図である。
【図5B】本発明の代替的な実施形態に基づく、簡単な経路追跡機構を組み込んでいる位置発見装置の例を示す図である。
【図5C】本発明の代替的な実施形態に基づく、簡単な経路追跡機構を組み込んでいる位置発見装置の例を示す図である。
【図6】本発明のある実施形態を使った乗物の位置発見をするステップを例示するフローチャートである。
【図7】乗物のエンジン停止手順のステップを例示するフローチャートである。
【図8】本発明の別の実装の例である。
【図9】本発明の別の実装の例である。
【符号の説明】
【0033】
12 人物
20 電子鍵
13 自動車
100 位置発見装置
102 GPSシステム・ユニット
104 メモリ・ユニット
106 計算ユニット
108 ユーザー・インターフェース・ユニット
110 システム制御ユニット
112 方向指示ユニット
120 自動車インターフェース・ユニット
200 位置発見装置
202 ドアロック・ボタン
204 アンロック・ボタン
206 ボタン
208 方向インジケータ
210 方向インジケータ
212 方向インジケータ
400 自動車インターフェース・ユニットで、自動車からエンジン停止信号を受信
402 自動車インターフェース・ユニットが、エンジン停止の検出をシステム制御ユニットに通知
404 三次元的な現在位置をGPSシステム・ユニットから取得
406 生の位置データを記憶のために変換
408 現在の位置をメモリ・ユニットに保存
500 位置発見装置
502 位置番号
504 記憶
506 戻る
508 上
510a 前
510b 左
510c 右
510d 後
512 下
514 表示
516 全消去
518 対面方向
520 距離
600 ユーザー・インターフェース・ユニットで、自動車位置発見ボタンの押下を検出
601 ユーザー・インターフェース・ユニットが自動車位置発見ボタンの押下をシステム制御ユニットに通知
602 三次元的な現在位置をGPSシステム・ユニットから取得
604 位置データを計算のために変換
606 メモリ・ユニットから記憶された位置を取り出す
608 取り出されたデータを計算のために変換
610 現在位置とメモリにある位置との差を計算
612 方向指示ユニットからデータを取得して当該装置に面している方向を見出す
614 ユーザー・インターフェース・ユニットを通じて差のデータおよび方向のデータを使って自動車位置を表示
616 自動車インターフェース・ユニットを通じて識別すべき自動車に信号を送る
700 エンジン停止要求検出
702 エンジンを止めても安全なら、エンジン停止ルーチンを呼び出す
704 エンジン停止信号を鍵デバイスに送信
802 ディスプレイ
804 太陽電池パネル
902 太陽電池パネル
904 ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーをある位置に案内するための位置発見装置であって:
電波信号を使って現在位置を決定するよう構成されたシステム・ユニットと;
表示領域およびボタンをもつユーザー・インターフェース・ユニットと;
メモリ・ユニットと;
乗物から該乗物のエンジンがオフであることを示す信号を受信するのに応答して前記メモリ・ユニットに第一の位置を記憶するよう構成されたプロセッサと;
前記ボタンと対話するよう構成された計算ユニットとを含んでおり、前記計算ユニットは、ユーザーが第二のボタンを選択すると、前記システム・ユニットから第二の位置を取得し、前記第二の位置から前記第一の位置までの相対的な三次元的方向を計算し、
前記相対的な三次元的方向は前記ユーザー・インターフェース・ユニットの表示領域にグラフィック表現される、
位置発見装置。
【請求項2】
前記電波信号が、全地球測位システム(GPS)の軌道を回る宇宙衛星からの信号を含む、請求項1記載の位置発見装置。
【請求項3】
前記ユーザー・インターフェース・ユニットの前記表示領域が、前記相対的な三次元的方向を表現するために左、右、前、後、上および下のインジケータを含む、請求項2記載の位置発見装置。
【請求項4】
ユーザーがボタンを選択すると、前記計算ユニットが所定の期間にわたって反復して、前記システム・ユニットから現在位置を取得し、前記現在位置から前記第一の位置までの相対的な三次元的方向を計算し、前記三次元的方向を前記ユーザー・インターフェース・ユニットの前記表示領域にグラフィック表現する、請求項2記載の位置発見装置。
【請求項5】
ハンドヘルド型である、請求項2記載の位置発見装置。
【請求項6】
電子乗物鍵、リモート・アクセス・デバイス、腕時計またはブレスレットに組み込まれる、請求項5記載の位置発見装置。
【請求項7】
携帯電話に組み込まれる、請求項5記載の位置発見装置。
【請求項8】
ユーザーをある位置に案内する方法であって:
乗物から該乗物のエンジンがオフであることを示す信号を受信するのに応答してメモリ・ユニットに第一の位置を記憶するステップと;
第二の位置を判別するステップと;
前記第二の位置から前記第一の位置までの相対的な三次元的方向を計算するステップと;
相対的な三次元的方向を表示装置上にグラフィック表現するステップとを含む、
方法。
【請求項9】
前記乗物にクラクションを鳴らすかランプをフラッシュさせるかさせるために前記乗物に信号を送信するステップをさらに含む、
請求項9記載の方法。
【請求項10】
前記グラフィック表現するステップが、前記相対的な三次元的方向を表現するために左、右、前、後、上および下のインジケータのうちの一つまたは二つ以上を表示するステップを含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
現在位置を判別するステップと;
現在位置から前記第一の位置までの相対的な三次元的方向を計算するステップとをさらに含む、
請求項9記載の方法。
【請求項12】
命令をエンコードされたコンピュータ可読記憶媒体であって、該命令は、コンピュータによって実行されると、該コンピュータをして、ユーザーをある位置に案内する方法であって:
乗物から該乗物のエンジンがオフであることを示す信号を受信するのに応答してメモリ・ユニットに第一の位置を記憶するステップと;
第二の位置を判別するステップと;
前記第二の位置から前記第一の位置までの相対的な三次元的方向を計算するステップと;
相対的な三次元的方向を表示装置上にグラフィック表現するステップとを含む方法を実行させる、
記憶媒体。
【請求項13】
前記方法が、前記乗物にクラクションを鳴らすかランプをフラッシュさせるかさせるために前記乗物に信号を送信するステップをさらに含む、
請求項12記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記グラフィック表現するステップが、前記相対的な三次元的方向を表現するために左、右、前、後、上および下のインジケータのうちの一つまたは二つ以上を表示するステップを含む、請求項12記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記方法が:
現在位置を判別するステップと;
現在位置から前記第一の位置までの相対的な三次元的方向を計算するステップとをさらに含む、
請求項12記載のコンピュータ可読媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−80116(P2009−80116A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246861(P2008−246861)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】