乗物シート用の能動換気システム
本発明は、エアディフューザ、好ましくは区画を有するものを有するシート換気装置を有する。前記エアディフューザは、その着席者側にスペーサ材料と換気口を有する。温度調節装置(TEDなど)を有する温度調節器とブロワが、温度調整された空気を供給する。導管の一方が前記ディフューザを前記ブロワの入口に接続しており、もう一方の導管が前記ディフューザと前記TEDの出口を接続している。前記ブロワは、その入口用に空気をTEDに移動させ、次に、前記TEDの出口から前記ディフューザに移動させる。また、本発明は、車両シート内のディフューザから少なくとも1つの導管を通して空気を吸い込み、温度調整された空気を、少なくとも1本の別の導管を通して前記ディフューザに吹き込むことによって、車両シートの温度を制御するための方法を有する。また、本発明は、換気された車両シートの組立方法も含み、この方法は、ディフューザのノズルをクッションのソケットに受容されたプラグに挿入すること、あるいは1本以上の導管を前記温度調節器に流体的に接続するために前記温度調節器のマニホルドにテザーを通すことを含む。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の表示】
【0001】
本出願は、2005年2月17日出願の米国仮出願第60/654,032号、2005年6月28日出願の米国仮出願第第60/694,476号、および2005年11月10日出願の米国仮出願第60/735,325号の利益を請求し、これらのすべてを参照のうえ、ここに援用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、乗物シート用の換気装置、システム、その使用方法およびその製造方法に関し、より詳細には、本発明は、温度調整された空気および換気を乗物シートに提供することに関する。
【背景技術】
【0003】
市場実勢により、運搬用乗物(特に車両の客室)の暖房、冷房または換気のための、コスト効率が高く、エネルギー効率の高いシステムが求められてきた。公知のシステムには、乗物の操縦者と乗客に対して、より直接的に温度制御または換気を提供する、客室全体にわたるシステムのほか局所的システムがある。代表的な局所的システムは、乗物のシートの一部を加温、冷却または換気する快適システムを備える。シート快適システムは、乗物のHVACシステムと連動されていても、加熱、冷却または換気が、HVACシステムに接続されておらず、主にシートやその周りにある部品によって提供されるという点で、自己完結型のものであってもよい。しかし、公知のシステムは、コスト効率の良い方法で確実に取り付けるのが困難である。
【0004】
本発明は、これらの問題の1つ以上を解決する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、エアディフューザ、好ましくは区画を有するものを有するシート換気装置を含む。前記エアディフューザは、その着席者側にスペーサ材料と換気口を有する。温度調節装置(TEDなど)を有する温度調節器とブロワが、温度調整された空気を供給する。導管の一方が前記ディフューザを前記ブロワの入口に接続しており、もう一方の導管が前記ディフューザと前記TEDの出口を接続している。前記ブロワは、その入口用の空気をTEDに移動させ、次に、前記TEDの出口から前記ディフューザに移動させる。また、本発明は、車両シート内のディフューザから少なくとも1つの導管を通して空気を吸い込み、温度調整された空気を、少なくとも1本の別の導管を通して前記ディフューザに吹き込むことによって、車両シートの温度を制御するための方法を有する。また、本発明は、換気された車両シートの組立方法も有し、この方法は、ディフューザのノズルをクッションのソケットに受容されたプラグに挿入すること、あるいは1本以上の導管を前記温度調節器に流体的に接続するために前記温度調節器のマニホルドにテザーを通すことを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の乗物シートは、クッションの表面に置かれたエアディフューザを備える。特定の実施の形態では、ディフューザは、整えられたカバーの下、クッションの上に確保される。ディフューザは、少なくとも2本の導管(すなわち、少なくとも第1導管と第2導管)によって温度調節器に流体的に接続されている。温度調節された(加熱、冷却、除湿など)空気をエアディフューザに吹き込むために、ブロワと温度調節装置が、温度調節器の一部として協調動作する。特定の実施の形態では、ブロワは、エアディフューザに空気を吸い込みもする。
【0007】
説明は主として、乗物シートの着席者の臀部および大腿部にあたる領域(すなわちシート部分)に関して行うが、本システムおよび方法は、乗物シートの背もたれ部にも適用できることも意図される。
【0008】
「下面」および「着席者側」との文言は、便宜的に用いられており、これらの文言が相対的に用いられていることを理解すべきである。
【0009】
図1から3に模式的に示す実施形態に示すように、いくつかの装置が、エアディフューザへの空気の吹き込みと、ディフューザからの空気の吸い込みの両方に使用されうる。図1において、第1導管10と第2導管12がエアディフューザ(図示せず)に接続されている。温度調節器は、ブロワ14と熱電装置(TED)16を備える。本実施形態のブロワは、2つのインペラが空気を同じ方向に移動させるデュアルインペラタイプでありうる。シングルインペラ装置を用いても、2を超えるインペラを有する装置を用いてもよい。望ましくは、インペラによって生成される2つの気流は互いに独立している。これは、例えば、インペラが集まる位置にほぼ位置を合わせて隔壁18を設けることによって行うことができる。第1導管は、エアディフューザから空気を吸い込むために、ブロワの取入口20に接続している。ブロワは、この気流をTEDの廃棄側22まで移動させ、着席者から離れた場所などに気流を排気するか、システムのほかの場所で気流を再循環させる。また、ブロワは、第2の気流のための少なくとも別の取入口24も有する。ブロワは、第2の気流を、TEDの能動側26を通して、エアディフューザに接続された第2導管まで移動させる。このようにして、(デュアルインペラブロワなどの)ブロワは、エアディフューザから空気を吸い込むと共に、温度調整された空気をエアディフューザに供給している。
【0010】
図2において、第1導管10と第2導管12はエアディフューザに接続されており、温度調節器はブロワ14とTED16を有する。ここでは、1つの気流を最初に発生させるのに、ブロワ14に必要なのはシングルインペラのみである。気流の一部分はTEDの廃棄側22に行き、別の部分はTEDの能動側26に行く。第1導管は、エアディフューザから空気を吸い込み、任意選択でエアディフューザから独立した導管にある吸気ベント28を通して空気を吸い込むために、ブロワの取入口20に接続している。任意選択のベント(またはバルブ)は、ディフューザからの暖気を、おそらく温度の低い外気によって薄めるために使用することができ、TEDの効率を向上させる。ブロワは、この気流を、TEDの能動側26および廃棄側22の一方または両方まで移動させ、好ましくは気流を分ける。廃棄側の気流は、排気され(またはシステムのほかの場所で再循環され)うるが、能動面の気流は、通常、第2導管とエアディフューザを通る。
【0011】
別の実施形態である図3において、第1導管10と第2導管12がエアディフューザに接続されており、温度調節器はブロワ14とTED16を有する。ここで、ブロワは、隔壁18を使用することによって、別々の気流を発生させるデュアルインペラを有する。図では、複数の方向に空気を移動させるように図示されている(すなわち、インペラが対向している)が、(図1のように)インペラが空気を同じ方向に移動させてもよい。第1導管は、エアディフューザから空気を吸い込むためにブロワの取入口20に接続しており、この気流は、出口30を通って排気または再循環される。ブロワは、第2の気流のための別の取入口32も有する。ブロワは、第2の気流を、TEDの能動側26と廃棄側22の両方まで移動させる。能動側からの気流の少なくとも一部は、第2導管とエアディフューザを通るが、廃棄気流は排気される(またはシステムのほかの場所で再循環される)。
【0012】
エアディフューザは、シートの着席者に暖房、冷房、換気またはこれらの組み合わせを提供するように、シートの中またはその上に置かれるように構成されている。エアディフューザは、気流が開放空間を通るが、シートの着席者を支えるための方策を提供する構造、材料、材料の組み合わせ、および/または構造の組み合わせであれば、どのようなものであってもよい。このタイプの例は、例えば、米国特許第6,629,724号、第6,840,576号、第6,869,140号、第6,976,734号、第6,893,086号、第6,857,697号、ならびに米国特許出願公開第2002−0096931号に開示されており、これらを参照してここに援用する。一般に、ディフューザは、第1の面、第2の面、およびその間にあるスペーサ構造を有する。望ましくは、ディフューザは、その周囲の端の一部またはすべてがシールされた袋である。
【0013】
エアディフューザは少なくとも1層を有するが、好ましくは複数の層(3層など)を有し、各層は単層または複数の層(積層体など)でありうる。複数の層は、必須ではないが、互いに付着されていることが好ましい。層は縫い止め、無頭釘またはスナップフィットファスナーによって機械的に付着されてもよいが、少なくとも多少の接着剤(ホットメルト接着剤など)を使用することが好ましい。赤外線、高周波、超音波またはその他の接合またはウェルディング法も同様に使用することができる。
【0014】
接着剤は、使用される場合、網(テープなど)として提供されるか、あるいは、連続的または非連続的に提供される(例えば、噴霧などのしずくとして提供されるか、あるいは塗布(dab)によって適用されるなど)。接着剤は、ポリアミド、ポリエステル、エラストマ、ウレタン、オレフィンポリマー、ビニル、酢酸ビニル、(メタ)アクリル、シリコーン、エポキシまたはこれらの組み合わせを含みうる。更に、接着剤は、特定の製造パラメータまたは条件に望ましいように調製されうる。好ましくは、接着剤には、接着性能に干渉する可能性のあるブロッキング防止液、発泡添加物、工程の異物などがほとんど含まれていない。例えば、好適なホットメルト接着剤の1つは、米国オハイオ州44223クヤホガフォールズ、マフィンレーン175にあるスパンファブ・リミテッドから商標SPUNF ABとして販売されている不織網(non-woven web)である。
【0015】
機械式取り付け機構および接着剤の代わりに、あるいはこれらに加えて、1つ以上の層を付着させるためにウェルディング法を使用してもよく、ウェルディング法単独で、あるいはほかの付着法(縫い止めおよび/または接着剤など)と併用して使用される。例示的なウェルディング法には、赤外線、高周波、および超音波のウェルディングがある。これらの方法は、連続的に(例えば、ビーズを形成するなど)、あるいはスポットウェルドとして使用されうる。
【0016】
エアディフューザの各層は、縁部が密封された袋を形成するために、少なくともその縁が互いに付着されている。別の実施形態では、ディフューザは縁部が開いた積層体であってもよく、これは、例えば米国特許番号6,869,139号および第6,857,697号の教示と整合している。これらは、参照によりここに援用される。ディフューザの各層は一般に同じような広がりをもつが、一部の層が他の層とは同じようには広がっていない場合も適している。例えば、スペーサ材料の複数のブロックが共通の基材に担持されてもよい。
【0017】
一実施形態では、ディフューザの開放空間は、1つ以上のプレナムである。空気プレナムの例は、Hauptに付与された米国特許第6,786,541号に記載されており、これを参照してここに援用する。
【0018】
別の実施形態では、ディフューザの開放空間がスペーサ材料内にあり、この第2実施形態が好ましい。一実施形態では、エアディフューザはクッションの着席者側に置かれており、ディフューザがシートの着席者の重量を受けて完全に潰れてはならないが、若干の弾性圧縮は想定すべきである。別の実施形態では、エアディフューザは、シートクッションの下面に置かれる。この場合、ディフューザは着席者の重量を支える必要がないため、さほど頑丈でなくてもよい。
【0019】
スペーサ材料は、ゴム、プラスチック、天然繊維などか、あるいはこれらの組合せから形成できる。一態様では、スペーサ材料は網状のフォームを含みうる。
【0020】
また、スペーサ材料は、好ましくは、その間に開放空間が形成されるように、互いに離間されている一方、クッション性と支持を提供するために充分接近している複数の部材または繊維を有していてもよい。1つの好ましいスペーサは、対向するハニカム構造(布帛パネルなど)を提供するために相互に織られたポリマー(ポリエステルなど)のより糸材料から形成され、これらは、構造間に開放空間が形成される一方、クッション性と支持を提供するために、何本かの追加のポリマーのより糸材料によって相互に接続されている。例えば、1つの好適な材料は、商標名3MESHで販売され、ドイツのミュラーテキスタイルGmbHまたは米国ロードアイランド、ミュラーテキスタイルインクから商業的に入手可能である。
【0021】
その他の好適なスペーサは、2つの材料シートの間に保持された、螺旋状のポリマー材料から形成される。好ましくは、この螺旋は、シート状の材料に螺旋を取り付けるために、螺旋の面積が大きくなるように長円形であるのが望ましいが、円形の螺旋も適している。螺旋は、螺旋の隣り合う巻き線同士が接触するように、きつく巻くこともできるし、螺旋の隣り合う巻き線同士が接触しないように、ゆるく巻くこともできる。一般に、スペーサを形成するために、複数の螺旋を互いに隣接させて(接するかそれ以外の程度に)配置する。例示的な螺旋材料は2004年3月17日に出願された、国際特許出願PCT/DE04/000540およびPCT/DE04/000541に説明されており、これらを参照のため、ここに援用する。螺旋材料は、エアディフューザ内の流れの経路を比較的妨害しないように、単独で用いられても、他の材料と組み合わせて用いられてもよい。
【0022】
他の適切なスペーサ材料は、本システムに適合されうる溝付材料である。溝付材料は、複数の山と谷を有し、山が貫通穴を有する。溝付材料は、モールドされるかまたは成形されたフォームまたはプラスチックなどの任意の適切な材料を含みうる。貫通穴は、山と谷の形成の前、これと同時に、あるいはその後に形成されうる。スペーサ材料に向かう気流、あるいはスペーサ材料からの気流は貫通穴に送られるが、谷は空気が流れる貫通穴とほぼ直交する通路を提供している。これによって、ディフューザを通る空気(温度調整された空気など)の流通が上がると共に、フォームによって着席者が所望のように支えられる。例えば、米国特許出願公開第2005−0067862号を参照されたい(これは参照によりここに援用される)。
【0023】
別の適切なスペーサ材料には、クッションの着席者面と平行に置かれた金属またはプラスチック製のスプリングを使用することがある。
【0024】
上で説明した材料を組み合せることで、エアディフューザの開放空間を形成することができる。一実施形態では、複数の螺旋材料が互いに隣接して配置され、ディフューザの残りの部分では、ポリマーのより糸材料が使用される。別の実施形態では、エアディフューザの部分によって、使用されるスペーサ材料が変わる。例えば、ディフューザの吹き込み部はフォーム(網状フォームなど)を有するが、ディフューザの吸い込み部はポリマーのより糸材料を有していてもよい。
【0025】
ディフューザのスペーサ材料は、一般にクッションの着席者の接触面と同じような広がりをもつが、これは必須ではなく、スペーサが、クッションの着席者の接触面の一部のみをカバーするか、またはクッションの端の上に突き出していてもよい。
【0026】
空気プレナムまたはスペーサ材料(またはこれらの組合せ)に加えて、1つ以上のバリア層を使用してもよい。バリア層は、通常、ディフューザの1つ以上の他の層に付着しやすくなるように、熱に曝されると軟化または融解するプラスチックまたはポリマー材料から形成される。他の実施形態としては、バリア層は、布帛、織物状または非織物状材料(ゴアテックス(登録商標)、マイクロファイバーなど)、ナイロン、独立気泡発泡体、その他の材料で形成してもよい。好ましくは、バリア層には少なくとも部分的に空気を通さないが、例外は換気用の複数の穴およびポートである。バリア層は、スペーサ材料の上下に配置され、スペーサ材料を通る空気の流れの方向(例えばポートを通って換気孔へ、またはその逆の方向)を円滑化する。一実施形態では、バリア層は、縁が密封された整えられた袋を形成するために、互いにシールされうる。
【0027】
バリア層の寸法は、フィルムの厚さが約0.1mmから約2.0mmであることが好ましく、約0.7mmから約1.0mmの厚さであることが更に好ましい。当然、バリア層はさまざまな厚さであってもよく、上記の範囲外の厚さであってもよい。
【0028】
バリア層の換気孔は、ディフューザ(またはディフューザの区画)と着席者の間で流体を連通させており、通常は、ディフューザの着席者側に設けられる。換気孔は、好ましくは、ディフューザにわたって気流の勾配を形成するように、サイズが可変でありうる。通常、ディフューザのポートの近くの換気孔は、ポートから離れた換気孔よりも小さいが、これは必須ではない。孔のサイズに勾配を設定することによって、ディフューザを通る気流を、さまざまな位置で選択的に制御することができる。また、これにより、ポートからの距離に関わらず、ディフューザ全体にわたり、気流をほぼ均一にすることができる。
【0029】
別の好ましい配置では、換気孔が、着席者がシートと接触するシート部分とほぼ対応している。クッションの下面に設けられるディフューザの場合、ディフューザの各換気孔は、着席者への気流と着席者からの気流を供給するために、シートクッションにある1つ以上の貫通チャネルを有する。別の実施形態では、ディフューザは換気孔を有さず、ディフューザの着席者側が、その上の材料(クッション、追加のスペーサ材料(例えばポリマーのより糸材料または網状フォーム)、整えられたカバーなど)に対して開放されている。このため、スペーサ材料、整えられたカバーなどのためにバリア層が省かれる。下面にある実施形態の場合、ディフューザは、ディフューザと着席者間で適切な気流が得られるように、シートクッションにシールされる必要がありうる。
【0030】
エアディフューザは、温度制御システムとディフューザ間で流体を連通させ、通常はディフューザの横、下面またはこの両方にある複数のポートを有する。第1導管と第2導管がこのポートを介してディフューザに取り付けられており、温度調節器とディフューザの間で流体を連通させる。
【0031】
エアディフューザは、複数の区画に分けられてもよい。各区画は、他の区画の開放空間から独立した開放空間を形成しうる。一実施形態では、各区画がディフューザ全体よりもサイズの小さなディフューザとなるように、各区画は他の区画と物理的に独立していてもよい。例えば、2〜3つの縁が密封されたディフューザが、クッションの着席者面に使用されうる。このため、実際には1つの共通の基材が、複数の縁が密封されたディフューザを担持している。整えられた袋の各々は、換気孔と少なくとも1つのポートを有する。別の実施形態では、エアディフューザの開放空間が分割されて、区画が形成されている。ディフューザの分割は、区画の間に空気を通さないバリアを配置または形成することによって行うことができる。例えば、図4に示すように、ディフューザ50が、3つの区画52、54、56に分けられる。各区画は、バリア58によって互いに分離された区画を有するスペーサ材料(図示せず)を有する。この実施形態では、これらのバリアは、スペーサ材料の上下のバリア層をシールすることによって形成される。
【0032】
ディフューザの任意選択の層は、ヒーターを有する。さまざまな種類のヒーターが車両のシートに組み込むのに適しており、どのようなヒーターでもディフューザに組み込むことができると考えられる。そのようなヒーターは、一般に、可撓性の電気的加熱素子を含み、好ましくは薄く、平らで、出っ張りがないか、またはそれらを組み合わせた特徴を持つ。例としては、敷線(lay wire)ヒーター、カーボンファイバーヒーター、プリントされたヒーター(能動的熱制御(PTC)ヒーターなど)、熱電ヒーターなどが、ディフューザ内またはその上で使用可能であり、それは一般に裏当て(例えば、布、フィルム、または布帛タイプの基材)によって支持される。好ましい実施形態では、ヒーターは、裏当て(不繊層など)を持つカーボンファイバータイプのヒーターである。好ましいヒーターの一例は、商標名CARBOTEXで、ドイツのW.E.Tオートモーティブ・システムズ・インクから販売されている。このようなヒーターの例は、2000年5月16日に発行された米国特許第6,064,037号に開示されており、同特許は、あらゆる目的のために、参照により明示的にここに援用される。他の例示的なヒーターには、個々に絶縁されたより糸を有するワイヤ、およびワイヤに熱活性化可能な接着剤を有するものがあり、これは、例えば米国特許出願公開第2004−0094534号およびその関連出願に記載されている。これらは、参照によりここに援用される。可撓性シートのTEDの形のヒーターとクーラーの組み合わせも、適切な層の選択肢でありうる。可撓性シートのTEDの例は米国特許第6,700,052に説明されており、これが参照によりここに援用される。別の実施形態では、ヒーターは、ディフューザに組み込まれず、ディフューザと整えられたカバーとの間に設けられる。一実施形態では、ヒーターは、空気を通さず、換気孔を有する基材を有する。このようにして、バリア層の代わりにヒーターが使用される。
【0033】
ディフューザは、シートクッションと整えられたカバーの間の空間で組み立てられる独立したユニットであっても、クッションと一体的に形成されるものであっても、整えられたカバーに一体的に形成されるものであっても、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。好ましくは、ディフューザは、両面テープ、フックおよびループファスナー、接着剤、機械式ファスナー、ウェルディングまたはこれらの任意の組み合わせを用いてクッションに取り付けられる。
【0034】
クッションは、ディフューザと同様に、乗物シートの着席者を主に支持する、形成されたフォームバンを有する。クッションは、フォームに切り込みを施したか形成された谷、頂部が開放されたチャネル、溝、通路、副通路、導管等を有しうる。これらのチャネル等は、エアディフューザ、第1導管および第2導管、温度調節器などを含む、システムの他の部品を受け容れるために使用されうる。例えば、第1導管および/または第2導管は、クッションのチャネルに配置されうる。更に、これらのチャネル等は、第1導管および/または第2導管またはその一部として動作しうる。例えば、第1導管がクッションの下面に接続しており、クッションを通るチャネルが、クッションの着席者側でエアディフューザに接続してもよく、貫通チャネルと導管は、エアディフューザを温度調節器に流体的に接続するための第1導管の部分を一緒に形成している。
【0035】
一実施形態では、クッションのフォームは、その表面の一部または全部が処理され、フォームの空気に対する透過性を低下させて、空気不透性のバリアを形成するか、または何らかの方法によってフォームを通る空気の損失を最小化するのを支援する。別の実施形態では、フォームおよび/またはシステムの必要な流動特性を得るために、フォームのチャネルと共に、空気不透性のライニングまたは導管が配置されうる。
【0036】
また、車両シートは、好ましくは、1つ以上の整えられたカバーを有し、これは、ディフューザの一部であるか、またはディフューザとは別であるが、一般に、インサートと着席者とを分離している。整えられたカバーは、どのような材料でもよく、合成材料、自然材料(例えば、ウール、革など)またはこれらの組み合わせのうちの1つを含むが、それに限定されない。一実施形態では、整えられたカバーは、着座面の少なくとも一部にわたってせん孔が施され、このせん孔を通って空気が通過できる。例えば、せん孔を施した革を用いて、着席者とインサートとを分離できる。整えられたカバーは、追加のスペーサ材料(網状のフォームなど)を有してもよい。追加のスペーサと整えられたカバーは、ディフューザと同じような広がりをもつ面積を有しても、ディフューザよりも面積が大きくても小さくてもよい。
【0037】
ディフューザに加えて、本発明は、温度調整器も有する。温度調節器は、空気を加熱または冷却するどのような装置であってもよい。温度調節装置は、加熱を行う装置と、冷却を行う別の装置の組み合わせであってもよい。好ましくは、1つの装置またはシステムが加熱と冷却を行うのがよく、車両のHVACシステムのような外部装置などである。別の実施形態では内部温度調節装置を使用してもよく、これは、シートが設置されている車両のためのHVACシステムとは独立したものである。温度調整に加えて、温度調整装置は空気の除湿を行ってもよい。
【0038】
好ましくは、温度調整装置は、冷却と加熱の両方を行う、独立型の装置、または半導体素子を用いた装置、またはこの両方である。最も好ましい装置は、ペルチェとも呼ばれる熱電装置(TED)である。TEDは、装置に電気を流すことによって、固体素子の加熱および冷却を行う。TEDは廃棄(waste)面と、活性(active)面とを有し、それらは、加熱された空気または冷却された空気のどちらが望ましいかに応じて、相対的に指定される。TEDは任意の有用な熱放散装置、例えばヒートシンク、熱交換器、ファン、ヒートパイプなどと組み合わせることができる。
【0039】
TEDに加えて、吸収冷凍システムも温度調整装置として使用することが可能である。適切な吸収冷凍システムは、2005年9月21日出願の米国特許出願番号第11/232,172号に記載されており、これは参照によりここに援用される。このようなシステムは、換気システム全体のエネルギー消費を削減する利点を有する。
【0040】
温度調整器は、図1から3に模式的に示すように、エアディフューザを通して空気を動かす(温度調整されているか、周囲空気であるか、押し出し、吸い込み、またはこれらの組み合わせを問わず)ための原動力を提供するブロワを更に有する。ブロワは、1つ以上の羽根の組を有し、この羽根はファンブレード、インペラのいずれであってもよいが、インペラが好ましい。図2に示す実施形態では1枚のインペラのみを必要とするが、図1および3に示す実施形態では、2つのインペラを使用する。図1の各インペラの羽根は、空気を同じ方向に移動させるように互いに調和している。図3の各インペラの羽根は、空気を逆方向に移動させるように互いに対向している。個別のシングルインペラブロワに代えて、デュアルインペラを使用することもできる。このような実施形態では、1つのモーターが2つのインペラ(図5に示す)を駆動するが、別の実施形態では、各インペラが各々のモーターを使用する。当然、1つのモーターが複数のデュアルインペラブロワによって使用されてもよい。デュアルインペラを使用する実施形態では、デュアルインペラのほうが、パッケージのサイズを小型化できるため、個別のシングルインペラよりも好ましい。個別のシングルインペラと1つのモーターを用いるほうが、部品点数が少なくて済み、パッケージのサイズを小型化できるため、個別のシングルインペラと個々のモーターを用いるよりも好ましい。
【0041】
温度調節器の部品は、1つのハウジング内に一体的に形成されていても、または個別のハウジングに格納されていてもよい。いずれの場合も、温度調節装置は、ブロワの下流にあり、このため、ブロワは、通常、接続導管を通して温度調節装置に空気を移動させるが、ブロワの出口が、温度調節装置の入口に実質的に隣接していてもよい。温度調節装置にブロワを流体的に接続するために、接続導管が使用される。一実施形態では、接続導管は、2つの部品が互いに独立に空間内を移動することができるように、フレキシブル導管である。別の実施形態では、比較的硬質の導管および/またはハウジングが使用される。この実施形態の場合、例えば図6に示し、下記で説明するように、接続導管に枢支点が組み込まれていてもよい。枢支点によって、温度調節装置とブロワが多少なりとも互いに独立に移動できるようになる。独立して移動できるようになることで、温度調節器の取り付けが容易になり、部品間を伝わる振動が低減するため、騒音を低減することもできる。
【0042】
本発明の導管は、温度調節器とディフューザの間を流体的に連通させる。導管は、着席者に熱的快適性を提供するのに十分な空気を移動できるのに十分な断面積を有する、内部が中空の部品の形をとりうる。
【0043】
一実施形態では、導管は、ディフューザのポートに接続しているホース、管またはベローズである。導管は、通常可撓性を有するが、取り付け時と動作中に、ねじれないように十分頑丈である。別の実施形態では、シートクッションのチャネル等が、導管の一部として使用されうる。フォームクッションを使用するこの実施形態では、フォームが、空気を実質的に通さなくなるように処理されうる。
【0044】
導管は、シートパンまたはクッション等の車両シートの他の部品の内部において、孔を通されるか、または孔の中に保持されうる。別法として、あるいはこれに加えて、導管が、シートクッションのチャンネルまたは溝内に配置されてもよい。一実施形態では、ある導管が、別の導管の一部を、少なくとも部分的に通されている。また、導管は、導管がディフューザに入るかまたはそこから出る箇所から離れたディフューザ内の所定の位置に気流を供給するか、その位置から気流を供給するために、ディフューザの開放空間に延びていてもよい。
【0045】
一実施形態では、本発明のアセンブリは、少なくとも2本の導管を有する。第1導管は、温度調節器の取入口、より好ましくはブロワの取入口に、エアディフューザを流体的に接続している。ブロワは、第1導管を通してエアディフューザから空気を吸い込む。第2導管は、温度調節器の排出口、より好ましくは温度調節装置(TEDなど)の排出口に、エアディフューザを流体的に接続している。ブロワは、温度調整された空気を、第2導管を通してエアディフューザに吹き込む。
【0046】
本発明の各種部品間を接続するために、いくつかの実施形態が存在する。特に懸念されるのが、部品の組立が容易であることと、車両への取り付けが容易であることである。取り付けは、サイクルタイムが短くなければならない一方で、設置者が、取り付け(取り付けの特定の工程)が完了したことを確信できなければならない。取り付けは、作業者によって手動で行われも、ロボット装置によって行われても、この両方で行われてもよい。
【0047】
図7、8に示す一実施形態では、プラグ70を使用して、クッション74にディフューザ72を接続している。プラグは、恒久的または一時的にソケットに挿入されるコルクと似ている。プラグは、追加の導管、温度状態調節アセンブリまたはシートのシートパン76にも接続しうる。ディフューザ72は、その下面にノズル78を有する。ノズルは、第1導管および第2導管の一部として機能する貫通穴80(2つ以上など)を有する。区画を有するディフューザでは、好ましくは、各貫通穴を通って個々の区画にアクセスすることができる。プラグ72は、クッション74の下面84に相補的に成形されたソケット82に挿入可能である。ディフューザのノズル78は、クッションのまわりにディフューザとプラグを取り付けるために、プラグ72に受容される。プラグとノズルの接続を保持するために、スナップフィット、インターフェレンスフィット、摩擦嵌合、インターロック機械式ファスナーまたはこれらの任意の組み合わせが好ましい。ノズルまたはプラグに接着剤を使用することもできるが、これは好ましくはない。更に、取り付け後にディフューザが移動しないように、接着剤、両面テープ、フックおよびループファスナーを、ディフューザおよび/またはクッションに使用してもよい。また、プラグは、追加の導管または温度調節器をプラグに取り付け、つまりこれらをシステムの残りに取り付けるコネクタ85も有する。シートパンが、追加の導管または温度調節器からプラグを分離するように、プラグの下面に示されるコネクタは、シートパン76に孔またはコネクタ87を通して受容される。
【0048】
別の実施形態では、図9のクッションの下面に示すように、クッションの下面はプラグを含んでおり、これが、導管の1本以上に取り付けられたソケットに受容される。
【0049】
プラグは、適切な材料であれば、どのような材料から形成されていてもよい。1つのアプローチでは、プラグは、着席者が不快を感じないように、周囲のクッションと同じ剛性を有する材料である。例示的な材料には、コルク、プラスチックフォームなどがある。好ましくは、プラグは、追加の接着剤が不要となるように、クッションの孔にぴったりと嵌るように、サイズが定められ成形されている。例えば、着席者側の外周が下面よりも小さくなるように、プラグは錐体状であってもよい。プラグは平坦面を有しうるが、円形または楕円形が好ましい。別の実施形態では、プラグをクッションおよび/またはシートパンに固定するために、スナップフィットファスナーを使用してもよい。
【0050】
通常は、1つのシートに1つのプラグが使用されるが、特にシートパンが2つの貫通穴を有するシステムでは、複数のプラグも考えられる。更に、プラグは、換気シートに使用されるどのようなタイプのディフューザまたはインサートと併用することができる。
【0051】
別の実施形態では、図10に示すように、シートパンにクッションを接続するために、コネクタ90が膜92に取り付けられており、この膜は、クッションを通る導管の一部を有するクッション96のスロット94内に摺動可能に保持されている。スロットは、下面からクッションの着席者側まで通っている。一実施形態では、導管は、クッションの材料によって完全には形成されておらず、ある導管を別の導管から分離している膜を壁の一部として使用されうる。スロット内で、導管壁の一部として膜を使用することは、膜によって、クッションの空気不透性が上がり、このため、導管間のクロスフローの量が低下するため、有利である。取り付け中は、スナップフィットファスナーによって、コネクタをシートパンに取り付ける。次に、設置者が膜を引張るかクッションを押し付けて、シートをその下面でコネクタに強制的に接触させる。膜をクッションの上面に取り付けると、クッションとコネクタ間のしっかりとした接続が保証される。次に、クッションの着席者面、およびシートパンの下に取り付けられた温度条件システムに、エアディフューザが配置されうる。
【0052】
図11に示す別の実施形態では、導管をシートの別の導管に取り付けるのにテザーが使用される。設置者は、テザーを引張ることによって、クッションおよび/またはシートパンにディフューザをしっかりと固定することができる一方、導管と温度調節器に必要な程度の接続を形成することができる。3つの区画102、104、106を有するディフューザ100が、貫通穴110と溝112を有するクッション108の上に配置される。この実施形態では、貫通穴110は、ディフューザから空気を吸い込む導管として機能する。溝内には、ディフューザに空気を吹き出す分岐導管114が存在している。「導管」という名称は、空気が貫通穴によってディフューザに吹き込まれ、溝の導管を通って吸い込まれうるという点で、相対的なものである。一実施形態では、温度調節器がクッションとシートパンの下に存在し、クッションとシートパン内で1つの通路のみが必要となるように、両方の導管を収納しているマニホルド116(または他のチャンバ)を有する。マニホルドは、壁122によって分けられた上部導管118と下部導管120を有する。これは図12にも示されている。
【0053】
例えば、テザーは、長く延びた可撓性材料であり、これにより、設置者は、クッションの下面とシートパンから分岐導管を引張ることができるようになる。テザー124は、マニホルドの導管間の壁122の第1の開口部126を通され、下部導管の外壁120の第2の開口部128を通されている。分岐導管は、上部導管と下部導管を相互に分離するために、第1の開口部のまわりで、壁と比較的気密のシールを形成する。また、分岐導管は、下部導管からの漏れを防止するために、第2の開口部のまわりで、壁と比較的気密のシールを形成する。分岐導管は、下部導管の流路の1つ以上に開口部130を有する。このようにして、分岐導管は、下部導管とエアディフューザ間に流体連通を提供している。
【0054】
1つの特定の実施形態では、テザーは、設置者が分岐導管を引張り過ぎるのを防ぐために、任意選択で止め(厚くした箇所または摩擦抵抗を大きくした箇所など)を有しうる。止めは、分岐導管が開口部から出ることも防ぎ、このため、開口部が下部導管内に保たれることを保証する。また、テザーは、テザーおよび/または分岐導管が適切に取り付けられたことを設置者に知らせる標識も有する。一実施形態では、テザーの止めと標識は1つの同じものであるが、別の実施形態では、止めと標識に別々の構造が使用される。
【0055】
図12から17に示すように、止めは、係止装置と共に第2の開口部内で止まっているくさび132を有し、係止装置は、導管が開口部から出るのを阻止する。係止装置は適切な形状であればどのような形状であってもよく、例えば、下部導管の壁の下にあるくさび134(図12、13に図示)、下部導管の壁の下にあるフィンガー136(図14に図示)、または上部導管と下部導管間の壁に接続しているスナップフィット特徴138(図15に図示)などがある。標識は、それぞれ図16、15に示すように、変色部140またはマニホルドの下面から目視可能な肩部142であっても、図11〜13に図示するように、係止装置自体であってもよい。取り付け後、係止装置または標識の下のテザーは切断されるか、分離されるか、ほかの方法で切り離される。一実施形態では、テザーは、テザー破壊または金属片では磁石による分離など、所定の負荷がテザーに加わると分離するように設計されている。別の実施形態では、テザーは、(図17に示すように)設置された導管の終端で、ループから解放されてもよい。その後に行う分解(必要な場合)は、(例えば図14に示すような)係止装置を切断することによって容易に行うことができる。
【0056】
分岐導管について採り上げて記載したが、テザーが分岐なしの導管と共に使用されてもよい。
【0057】
本発明の一実施形態が図4に示される。車両シート150は、3つの区画52、54、56に分割されたエアディフューザ50を有する。ディフューザの各区画は、複数の換気孔152を有する。ディフューザは、成形フォームから形成されたクッション154によって支持されている。クッションは、シートパン156によって支持され、温度調節器158がシートパンの下に存在している。温度調節器は、ブロワ(図示せず)とTED(図示せず)を有する。
【0058】
第1導管160が、ディフューザの中間の区画54の下面に付着している。この実施形態では、第1導管は、形状がほぼ楕円形であり、クッションフォーム内に保持されている。矢印で示すように、ブロワへの入口162が、ディフューザから空気を吸い込む。第2導管164が、TEDの排出口とディフューザの下面に付着している。第2導管は、ディフューザの残りの2つの区画52、56に接続点168を提供するために分岐している。第2導管の一部170は第1導管160内に収容されており、一部172はクッションの溝174内に収容されている。
【0059】
この実施形態では、2本の導管が同じ場所でクッションを通るため、クッションには1つの貫通穴のみが必要であり、この実施形態と共に使用するのにテザー接続が好適であることを意味する。更に、導管を温度調節器に接続するプラグの使用が用いられてもよい。更に、この部品配置は、図1から3に示す3つの方式のいずれにも使用することができるという点で、この実施形態は汎用性がある。
【0060】
この実施形態に示すように、第1導管内に保持される第2導管の一部170は、孤状(例えばS字状またはC字状)の部分を有し、この部分は、重量がかかると撓曲できるため、第2導管が着席者の重量によって潰れる可能性を低下させる。更に、入口162が導管の接続点の後にくるように、入口の位置と、第2導管が温度調節器に付着する位置を入れ替えてもよい。導管の一部または全てにわたって、更なるベローズまたはひだ付き部分が含まれていてもよい。
【0061】
導管と温度調節器の間、導管とディフューザの間などに、比較的空気を通さない接続が得られるように、いくつかのガスケット176が使用されてもよい。更に、ディフューザとプラグの間、ディフューザと導管の間、シートクッションと下面の導管の間などに、比較的気密な接続が得られるように、導管およびコネクタにフランジが使用されてもよい。
【0062】
本発明の別の一実施形態が図6に示される。車両シートは、クッションの着席者側に取り付けられるエアディフューザを有する。温度調節器がよく見えるように、ディフューザとクッションは図面に示されていない。ブロワ、より詳細にはデュアルインペラブロワ182は、クッションの中あるいはその上に取り付けられ、任意選択でシートパン、シートフレーム184、腰部ガイドワイヤなどに取り付けられる。ブロワの一方のインペラは、第1導管として機能するベローズ186を通してディフューザから空気を吸い込み、出口188を通して気流を排気する。ブロワのもう一方のインペラは、その下面にある空気取入口190を通して空気を吸い込む。この気流は、TED191に行き、そこで分割される。気流の一部分はTEDの能動面を通り、第2導管として機能するベローズ192を通される。気流の他の部分は、TEDの廃棄側を通り、出口194を通して排気される。温度調節器のTED部品は、支持ワイヤ196によって支持されうる。この実施形態は、支持ワイヤが、シートパンを必要とせずに温度調節器を安定させるのを支援することができるため、第2導管が、第1導管よりも背もたれの比較的高い位置に存在する車両シートの背もたれに非常に適している。
【0063】
また、この実施形態は、枢支点198においてブロワ182に枢着されたTED191を使用する。この枢支点は、部品間で流体連通が維持されるように、撓曲し、温度調節器の2つの部品が独立して移動できるようにする。枢支点は、完全な可動域を提供する玉継手であってもよい。更に、枢支点は、システムの取り付け中に部品を接続可能な位置となることができ、このため取り付けの複雑さを減らす。
【0064】
上に述べた部品に加えて、本発明は、センサ、およびコントロールユニット等のさまざまな他の部品と共に使用されてもよい。温度センサ、湿度センサ、流量センサ、着座検出センサ、重量センサなどのさまざまなセンサがシステムに含まれてもよい。センサはシステムのいたるところに配置することができる。例えば、温度センサは、ディフューザ内、ディフューザと整えられたカバー間、導管内、温度調整器内、またはこれらの組み合わせにおいて配置することが可能である。
【0065】
1つ以上のコントロールユニットを用いて、センサまたはユーザ制御装置からの入力を受信し、温度調整装置に命令を送り、および/またはほかの方法でシステムの動作を調整することができる。
【0066】
コントロールユニットは、センサ入力に基づいてシステムの自動操作を行うことができる。例えば、システムは、着席者がシートに着座したときに自動的に(例えば、加熱、冷却、またはこの両方を)オンにする。自動操作は、車両の始動時、または車両の内部または外側の周囲温度が特定のしきい値になったときに行われる(例えば、低い温度が検出された場合、暖房が入る)。
【0067】
着席者が所望の設定温度、ディフューザに供給されるかディフューザから吸い込まれる空気の量を選択するシステムの手動動作も考えられる。更に、手動および自動制御の組み合わせも考えられる。例えば、着席者が温度を選択し、コントロールユニットが選択された温度に達するのに必要な命令、更には選択された温度を維持するのに必要な後の命令を発行する。これは、例えば、温度調節器、ブロワ、ヒーター層、およびこれらの組合せの動作を繰り返すことによって行なうことができる。
【0068】
一実施形態では、システムは、整えられたカバーの下にあり、コントロールユニットと信号を通信している温度センサを有する。有利なことに、センサが、温度が1つ以上の所定のしきい値を超えていることを検出すると、コントロールユニットは、システムに供給する熱を減らし、場合によっては冷却を行うように指示するようにプログラムされている。動作時に、センサが、温度が1つ以上の所定のしきい値を下回っていることを検出すると、コントロールユニットは、システムに供給する冷房を減らし、場合によっては暖房を行うように指示するようにプログラムされていてもよい。好ましい動作モードでは、ブロワが、ディフューザから空気を吸い込んでいるかディフューザに冷気を吹き込みているときに、センサによって第1の望ましくない低い所定の温度が検出された場合に、コントロールユニットは、ヒーター層をオンにして、熱を供給する一方、ブロワをオンのままにするように指示するようにプログラムされる。次に、第1の所定の温度を下回る第2の所定の温度が検出された場合、コントロールユニットは、ブロワをオフにする一方、ヒーター層が熱の供給を続けるように指示する。これらの状況のいずれについても、ヒーター層は、通常、センサによって検出される温度が、第1の所定の温度以上になるまで、コントロールユニットによって、熱の供給を続け、場合によっては、第1の所定の温度より高い第3の所定の温度が検出されるまで、熱の供給を続けるように指示される。
【0069】
別の好ましい動作モードでは、ヒーター層が熱に供給しているときに、センサによって第1の望ましくない高い所定の温度が検出されると、コントロールユニットは、ブロワをオンにして、空気(温度調整された空気か調整されていない空気)を吸い込むかまたは吹き出す一方、ヒーター層をオンのままにするプログラムされる。次に、第1の所定の温度を超える第2の所定の温度が検出された場合、コントロールユニットは、ヒーター層をオフにする一方、ブロワが空気の吸い込みまたは吹き込みを続けるように指示する。これらの状況のいずれについても、ブロワは、通常、センサによって検出される温度が、第1の所定の温度以下になるまで、コントロールユニットによって、空気の吸い込みまたは吹き込みを続け、場合によっては、第1の所定の温度より低い第3の所定の温度が検出されるまで、空気の吹き込みを続けるように指示される。
【0070】
シートのシートと背もたれが温度制御されるかまたは換気される実施形態では、コントロールユニットは、好ましくは、一方が熱を供給する一方、もう一方が換気または冷却を供給できるように、この2つのシステムの動作を互いに独立に制御するようにプログラムされる。独立動作と同様に、シートの同じ部分で暖房と冷房が同時に行われる2つのシステムの同期動作も有用である。例えば、ヒーター層を動作させる一方、TEDが冷却された空気をディフューザに供給することができる。
【0071】
更に、流体中の未使用のエネルギー(空気が周囲空気よりも温度が高い熱い場合)、またはエネルギー容量(空気が周囲空気よりも温度が低い場合)を利用するため、システムを通る空気の流れを切りかえるために、1つ以上のバルブを使用してもよい。例えば、このバルブを使用して、空気中に蓄えられた不必要なエネルギーを廃棄するために、空気を周囲空気に対して排気することができる。また、バルブは、空気をシステムの部品(温度調整装置など)に導いて、その部品を暖めるか、または冷やすためにも用いることができる。また、バルブは、システム内で空気を選択的に循環させて、任意選択で閉鎖または部分閉鎖システムを構築するために使用することもできる。ディフューザからの導管でバルブを使用すると、冷たい周囲空気によって、ディフューザから吸い込まれた暖気を薄めることによって、TEDの効率を向上させることができる。更に、ディフューザからの気流が妨げられた場合には、このようなバルブにより、TEDの廃棄側を連続的に廃棄することができるようになると考えられる。上で述べた所望の気流パターンを得るために、バルブの動作を、コントロールユニットによって制御することができる。
【0072】
更に、システムは、温度調節器からの排気を導く1つ以上のベントを有しうる。これらのベントは、着席者が気流の向きを選択することができるように、コントロールユニットまたは動作可能なマニュアルによって制御されうる。
【0073】
取り付け部品は、好ましくは、ファン、流体調節装置、導管または他の部品をディフューザに取り付けるための位置を規定するフレーム部材である。フレーム部材は、さまざまな形態(例えば、環状、長方形、正方形、多角形など)でよく、さまざまな好適な硬質または半硬質の材料(例えば、金属、プラスティックなど)から形成することができると考察される。一部の態様では、取り付け部品はポートを規定するためにも用いられる。好ましい一実施形態では、取り付け部品は、ファン、流体調整装置、その他の部品上の構造および/または材料(例えば、スナップフィットファスナー)と協働して、装置または部品を取り付け部品に接続する。
【0074】
上記に開示した実施形態と併せて、温度調節器、導管またはさまざまな他の部品、および下位部品は、シートのシートフレーム、シートパンまたは背もたれ部分(腰部アセンブリなど)に、シートとその部品の1つが連動して移動するように、恒久的または着脱自在に取り付けられるか固定されうる。温度調節器は、シートトラック(これに沿ってシートが第1位置から第2位置まで移動することができる)等の下にあるシート構造と接続されていてもよい。別の実施形態では、温度調節器は、シートクッション、ディフューザ、シートウォーマ、シートカバーなどのシートの他の部品、アセンブリおよび付加物に取り付けられるか固定されてもよい。温度調節器は、シートに対して離れて置かれてもよい。任意の適切な固定または取り付け用の機構または装置(例えば接着剤、スナップフィット機械式ファスナーなど)を使用して、温度調節器の部品を組み立てるか、または温度調節器を周囲の構造に取り付けることができる。
【0075】
本発明は、暖房、冷房、換気またはこれらの組み合わせを供給する方法にも関する。この方法は、エアディフューザから空気を吸い込むステップと、エアディフューザに温度調節された空気を吹き出すステップを有する。一実施形態では、これらのステップは、インペラの羽根が調和しているデュアルインペラブロワを動作させることを含む。吸い込みステップは、一方のインペラによって吸い込まれた空気を、温度調節装置を通過させて、過剰のエネルギーまたは熱を潜在的に放散させる(例えば、TEDの廃棄側に空気を通させ、吸い込んだ空気を排気するなど)ことを更に含む。吹き込みステップは、ブロワのもう一方のインペラによって装置に通された周囲空気の温度を調節する(例えば、周囲空気をTEDの能動面に移動させるなど)ことと、温度調整された空気をエアディフューザに吹き込むことを含む。この実施形態では、吹き込みステップは、ディフューザからブロワまで導管のバルブを通して周囲空気を吸い込むことを有してもよい。
【0076】
別の実施形態では、吹き込みステップと吸い込みステップは、シングルインペラブロワを動作させることを有する。吸い込みステップは、ディフューザから吸い込まれた空気を温度調節装置に通すことを含む。温度調節装置では、この方法は、温度調節装置の過剰熱を放散させることと、空気を温度調節することの両方を含む。一例では、放散ステップは空気をTEDの廃棄側を通すことを含み、温度調節ステップは空気をTEDの能動面に通すことを含む。更に、この方法は、放散させた空気を排気することと、温度調節された空気をディフューザに吹き込むことをそれぞれ含む。この実施形態では、吹き込みステップは、ディフューザからブロワまで導管のバルブを通して周囲空気を吸い込むことを有してもよい。
【0077】
別の実施形態では、吹き込みステップと吸い込みステップは、インペラの羽根が対向しているデュアルインペラブロワを動作させることを含む。吸い込みステップは、温度調節装置を通さずに、吸い込まれた空気を排気することを含む。吹き込みステップは、周囲空気を温度調節装置に通すことと、温度調節装置の過剰エネルギーを放散させ、通過された空気を温度調節することの両方を含む。更に、この方法は、放散させた空気を排気することと、温度調節された空気をディフューザに吹き込むことをそれぞれ含む。
【0078】
この方法では、吹き込みステップと吸い込みステップは、ディフューザの同じ区画または別の区画に空気を通すことを含みうる。
【0079】
好ましい実施形態において、本発明は、約80℃を超える温度から冷却を供給する。また、本発明は、約37℃以下、より好ましくは約27℃以下、最も好ましくは約25℃以下への冷却を供給する。これらの温度は、システムのどの部分のディフューザの空気温度、または座面の上またはその近くの温度を指すことができる。好ましい一実施形態では、本発明は、着席者が冷房をすぐに感じることができるように、冷却の初期バーストを供給する。初期バーストは、最低気温で安定するまで、好ましくは約5℃/分、約10℃/分、約15℃/分、約20℃/分、約25℃/分、および約35℃/分を超える割合である。
【0080】
別の実施形態では、この方法は、周囲空気に、ディフューザから吸い込み中の空気を混合することを有する。吸い込んだ空気を周囲空気と混合することによって、空気の温度を下げることができる。その時、混合した気流は、ディフューザから吸い込んだばかりの空気と比べて熱容量が高い。その後、混合空気は、TEDの廃棄側で、そこで発生する何らかの熱を放散させるために使用することができる。周囲空気と吸い込んだ空気の混合は、特に、吸い込んだ空気がTEDの廃棄側に供給される図1、2に示される方式に有用である。
【0081】
また、本発明は、車両シートを製造する方法も有する。一方法は、エアディフューザの下面にあるノズルを、クッションの貫通穴に打ち込まれたプラグの着席者側に挿入することによって、ディフューザを温度調節装置に接続することを有する。温度調節装置に案内する1本以上の導管に、プラグの下面にあるコネクタを接続することも更に有する。このようにして、複数の導管が、クッションおよび/またはシートパンの1つの孔を通って、ディフューザに接続されうる。
【0082】
別の方法は、ディフューザの下面に導管を取り付けることを有する。次に、この方法は、導管を配置することを有し、これは、クッションおよびシートパンの孔(存在する場合)にある通路内のテザーを含む。テザーと導管を温度調節装置のマニホルドに通すことで、ディフューザに温度調節装置が流体的に接続される。好ましくは、この方法は、導管が適切に配置されたことを、視覚的指標または他の指標が示すまで、テザーを引張ることを有する。また、この方法は、好ましくは、導管またはテザーにある係止装置を用いることにより、導管がマニホルドから出ることを防止するために、導管を適所に係止することを有する。この方法は、ある導管から別の導管への空気漏れを低減する、マニホルドから周囲への漏れを低減するか、この両方を行うために、マニホルドの1つ以上の壁に導管をシールすることを更に有しうる。このようにして、複数の導管が、クッションおよび/またはシートパンの1つの孔を通して、ディフューザに接続されうる。
【0083】
別の方法は、コネクタまたはプラグに取り付けられており、クッションのスロット内で摺動可能に保持された膜を引張ることを有する。引張ることで、コネクタまたはプラグがクッションの下面に対して押し付けられて、このためコネクタまたはプラグがシールされる。引張り前、引張り中、またはその後に、温度調節装置からの導管が、コネクタまたはプラグに取り付けられうる。
【0084】
別の方法は、互いに独立したベローズを用いることにより、吹き込み用の導管と吸い込み用の導管をディフューザの下面に取り付けることを有する。
【0085】
各製造方法は、ディフューザに導管を、整えられたカバーにディフューザを、クッションにディフューザを、シートパンにクッションを、温度調節装置に導管を、および/またはクッション、シートパン、シートフレーム等に温度調節装置を、それぞれ取り付けることを更に有しうる。適切な方法には、縫い止め、接着剤、両面テープ、フックおよびループファスナー、スナップフィットファスナー、位置決めピンなど、およびこれらの組合せがある。例えば、ディフューザが、整えられたカバー(例えばせん孔を施した革のカバー)などのシートの一部、またはシートのクッション(フォームなど)に固定されうる(例えば、縫い込まれるか、接着されるかほかの方法で取り付けられる)。一実施形態では、ディフューザはまず、整えられたカバーに固定され、次に、整えられたカバーとディフューザを併せたものがシートに固定される。別の実施形態では、整えられたカバーは、ディフューザが挿入されるポケットを有するように構成されていてもよい。別の実施形態では、シートの他の部分(カバー、フレームまたはクッションなど)にディフューザを取り付けるために、フックおよびループファスナーが使用されてもよいと考えられる。シートにディフューザを組立てるために、縫い止め、接着剤、スナップフィットファスナーまたは位置決めピン等の他の方法を使用してもよい。
【0086】
一般に、ディフューザを形成するために、上で説明したさまざまな層のディフューザを、さまざまな方式や方法に従って、さまざまな順序で組み合わせることができる。このため、さまざまな層と下位層を組み合わせる順序および組み合わせの方法は、このような順序または方法が具体的に請求されていない限り、本発明をいかなる形であれ限定してはならない。更に、層の数が上下しても、各層に含まれる下位層の数が上下してもよい。
【0087】
一般に、ディフューザの層の2つ以上を組立てるためには、積層工程が好ましい。2003年5月9日に提出された米国特許出願第10/434,890号(現在米国特許第6,893,086号として発行されている)には、本発明に従ってディフューザの層を組立てるための1つの好適な方法の説明が記載されており、これらは参照によりここに援用される。更に、ウェルディングを有する方法が特に好ましい。
【0088】
好ましくは、本発明のシステムは、輸送機械に使用されるシート(自動車の車両シートなど)に包含することができるが、このシステムは、机用の椅子、寝椅子などのさまざまな他のシートに使用することができる。他の適切な輸送機械には、クラス1〜8の自動車両、電車、海洋船舶(プレジャーボートなど)潜航艇、地下車両、固定翼および回転翼の航空機および/または何らかの軍用車両がある。本システムは、操作者(パイロットなど)、他の乗員または乗客のためのシートに使用することができる。
【0089】
下記に記載するディフューザおよびシステムの各種実施形態は、ディフューザおよび/またはシステムを通して連通された、温度調節された流体として、空気を利用する。しかし、これらの実施形態において、他の気体および/または液体を利用することができることを理解すべきである。更に、システムまたはシステムの部品に空気または流体を供給するために、ろ過装置および/または精製装置を使用することもできる。
【0090】
ここで説明した実施形態のほとんどが、冷却された空気をディフューザに供給するためにTEDを使用することを示したが、TEDまたは他の温度調節器を使用して、ディフューザまたはシートに温めた空気を供給してもよいことを理解すべきである。
【0091】
複数の部品またはステップの機能または構造を単一の部品またはステップにまとめることができ、また単一のステップまたは部品の機能または構造を複数のステップまたは部品に分けることが可能であることを更に理解されたい。特段の断りのない限り、ここに記載した各種実施形態の寸法および外形は本発明を限定することを意図したものではなく、ほかの寸法または外形も可能である。更に、本発明の特徴を、図示した実施形態のうちの1つのみにより記載した場合もあるが、任意の用途のために、このような特徴を別の実施形態のほかの特徴の1つ以上と組み合わせることができる。また、ここに記載した独自の構造の製造およびその操作も、本発明に係る方法を構成していることが、上記から理解されよう。本発明は更に、本発明の方法の実行から得られる中間製品および最終製品をも包含する。「有する(comprising)」または「含む(including)」との用語は、これらの用語が用いられた特徴が、「本質的にそれのみからなる(consist essentially of)」、または「それのみからなる(consist of)」実施形態を考慮している。
【0092】
「第1」および「第2」との文言の使用は、第1の項目と第2の項目のみからなる組合せに限定するように意図するものではない。これらが使用された場合であっても、本発明の主題が第3、第4またはそれ以上の項目を適切に含んでもよい。更に、「(メタ)アクリレート」との文言は、アクリレートとメタクリレートの両方を指す。更に、「1つ(a)」または、「1つ(one)」の要素またはステップの開示は、追加の要素またはステップを排除するものではない。範囲の前に「約」または「該」を使用した場合、下端と上端の両方を指しており、範囲が指定する量に境界制限されることを意図していない(例えば、「約1から3」は、「約1から約3」を含むものと意図される)。特に明記しない限り、または使用する文脈によって要求されない限り、ポリマーの「混合物」または「組合せ」は、このようなポリマーのアロイ、混合物または更にコポリマーを意図している。「有する(comprising)」、「持つ(having)」および「含む(including)」およびこれらの派生語は、より限定的な用語である「本質的にそれのみからなる(consist essentially of)」、または「それのみからなる(consist of)」も考慮している。
【0093】
上記の説明は説明を目的としたものであって、本発明を限定しようとするものでもない。当業者であれば、上記の説明を読み、記載された例のほかに、本発明をさまざまな形態に適合させ、応用することが可能である。したがって、本発明の範囲は、上記の説明を参照して決定されるものではなく、添付の特許請求の範囲を参照して、請求項が与える均等物の全ての範囲に沿って、解釈されるべきである。特許出願および公報を含む、全ての文献および参考資料の開示内容は、あらゆる目的のために、ここに援用される。ここに開示された主題の任意の態様を添付の特許請求の範囲から省略することは、このような主題の権利を放棄するものでも、本発明者がこのような主題が、開示された発明の主題の一部であると考慮しなかったものとみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第1実施形態を模式的に示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態を模式的に示す図である。
【図3】本発明の第3実施形態を模式的に示す図である。
【図4】シート内での本発明の一実施形態を示す図である。
【図5】本発明で有用なブロワの一実施形態を示す図である。
【図6】シートにおける本発明の別の一実施形態を示す図である。
【図7】本発明のプラグの実施形態を示す図である。
【図8】本発明のプラグの実施形態を示す図である。
【図9】本発明のプラグの実施形態を示す図である。
【図10】本発明の膜の実施形態を示す図である。
【図11】座席に取り付けられた本発明のテザーの実施形態を示す図である。
【図12】座席に取り付けられたテザーの実施形態の接近図である。
【図13】本発明のテザーの実施形態の各種態様を示す図である。
【図14】本発明のテザーの実施形態の各種態様を示す図である。
【図15】本発明のテザーの実施形態の各種態様を示す図である。
【図16】本発明のテザーの実施形態の各種態様を示す図である。
【図17】本発明のテザーの実施形態の各種態様を示す図である。
【関連出願の表示】
【0001】
本出願は、2005年2月17日出願の米国仮出願第60/654,032号、2005年6月28日出願の米国仮出願第第60/694,476号、および2005年11月10日出願の米国仮出願第60/735,325号の利益を請求し、これらのすべてを参照のうえ、ここに援用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、乗物シート用の換気装置、システム、その使用方法およびその製造方法に関し、より詳細には、本発明は、温度調整された空気および換気を乗物シートに提供することに関する。
【背景技術】
【0003】
市場実勢により、運搬用乗物(特に車両の客室)の暖房、冷房または換気のための、コスト効率が高く、エネルギー効率の高いシステムが求められてきた。公知のシステムには、乗物の操縦者と乗客に対して、より直接的に温度制御または換気を提供する、客室全体にわたるシステムのほか局所的システムがある。代表的な局所的システムは、乗物のシートの一部を加温、冷却または換気する快適システムを備える。シート快適システムは、乗物のHVACシステムと連動されていても、加熱、冷却または換気が、HVACシステムに接続されておらず、主にシートやその周りにある部品によって提供されるという点で、自己完結型のものであってもよい。しかし、公知のシステムは、コスト効率の良い方法で確実に取り付けるのが困難である。
【0004】
本発明は、これらの問題の1つ以上を解決する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、エアディフューザ、好ましくは区画を有するものを有するシート換気装置を含む。前記エアディフューザは、その着席者側にスペーサ材料と換気口を有する。温度調節装置(TEDなど)を有する温度調節器とブロワが、温度調整された空気を供給する。導管の一方が前記ディフューザを前記ブロワの入口に接続しており、もう一方の導管が前記ディフューザと前記TEDの出口を接続している。前記ブロワは、その入口用の空気をTEDに移動させ、次に、前記TEDの出口から前記ディフューザに移動させる。また、本発明は、車両シート内のディフューザから少なくとも1つの導管を通して空気を吸い込み、温度調整された空気を、少なくとも1本の別の導管を通して前記ディフューザに吹き込むことによって、車両シートの温度を制御するための方法を有する。また、本発明は、換気された車両シートの組立方法も有し、この方法は、ディフューザのノズルをクッションのソケットに受容されたプラグに挿入すること、あるいは1本以上の導管を前記温度調節器に流体的に接続するために前記温度調節器のマニホルドにテザーを通すことを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の乗物シートは、クッションの表面に置かれたエアディフューザを備える。特定の実施の形態では、ディフューザは、整えられたカバーの下、クッションの上に確保される。ディフューザは、少なくとも2本の導管(すなわち、少なくとも第1導管と第2導管)によって温度調節器に流体的に接続されている。温度調節された(加熱、冷却、除湿など)空気をエアディフューザに吹き込むために、ブロワと温度調節装置が、温度調節器の一部として協調動作する。特定の実施の形態では、ブロワは、エアディフューザに空気を吸い込みもする。
【0007】
説明は主として、乗物シートの着席者の臀部および大腿部にあたる領域(すなわちシート部分)に関して行うが、本システムおよび方法は、乗物シートの背もたれ部にも適用できることも意図される。
【0008】
「下面」および「着席者側」との文言は、便宜的に用いられており、これらの文言が相対的に用いられていることを理解すべきである。
【0009】
図1から3に模式的に示す実施形態に示すように、いくつかの装置が、エアディフューザへの空気の吹き込みと、ディフューザからの空気の吸い込みの両方に使用されうる。図1において、第1導管10と第2導管12がエアディフューザ(図示せず)に接続されている。温度調節器は、ブロワ14と熱電装置(TED)16を備える。本実施形態のブロワは、2つのインペラが空気を同じ方向に移動させるデュアルインペラタイプでありうる。シングルインペラ装置を用いても、2を超えるインペラを有する装置を用いてもよい。望ましくは、インペラによって生成される2つの気流は互いに独立している。これは、例えば、インペラが集まる位置にほぼ位置を合わせて隔壁18を設けることによって行うことができる。第1導管は、エアディフューザから空気を吸い込むために、ブロワの取入口20に接続している。ブロワは、この気流をTEDの廃棄側22まで移動させ、着席者から離れた場所などに気流を排気するか、システムのほかの場所で気流を再循環させる。また、ブロワは、第2の気流のための少なくとも別の取入口24も有する。ブロワは、第2の気流を、TEDの能動側26を通して、エアディフューザに接続された第2導管まで移動させる。このようにして、(デュアルインペラブロワなどの)ブロワは、エアディフューザから空気を吸い込むと共に、温度調整された空気をエアディフューザに供給している。
【0010】
図2において、第1導管10と第2導管12はエアディフューザに接続されており、温度調節器はブロワ14とTED16を有する。ここでは、1つの気流を最初に発生させるのに、ブロワ14に必要なのはシングルインペラのみである。気流の一部分はTEDの廃棄側22に行き、別の部分はTEDの能動側26に行く。第1導管は、エアディフューザから空気を吸い込み、任意選択でエアディフューザから独立した導管にある吸気ベント28を通して空気を吸い込むために、ブロワの取入口20に接続している。任意選択のベント(またはバルブ)は、ディフューザからの暖気を、おそらく温度の低い外気によって薄めるために使用することができ、TEDの効率を向上させる。ブロワは、この気流を、TEDの能動側26および廃棄側22の一方または両方まで移動させ、好ましくは気流を分ける。廃棄側の気流は、排気され(またはシステムのほかの場所で再循環され)うるが、能動面の気流は、通常、第2導管とエアディフューザを通る。
【0011】
別の実施形態である図3において、第1導管10と第2導管12がエアディフューザに接続されており、温度調節器はブロワ14とTED16を有する。ここで、ブロワは、隔壁18を使用することによって、別々の気流を発生させるデュアルインペラを有する。図では、複数の方向に空気を移動させるように図示されている(すなわち、インペラが対向している)が、(図1のように)インペラが空気を同じ方向に移動させてもよい。第1導管は、エアディフューザから空気を吸い込むためにブロワの取入口20に接続しており、この気流は、出口30を通って排気または再循環される。ブロワは、第2の気流のための別の取入口32も有する。ブロワは、第2の気流を、TEDの能動側26と廃棄側22の両方まで移動させる。能動側からの気流の少なくとも一部は、第2導管とエアディフューザを通るが、廃棄気流は排気される(またはシステムのほかの場所で再循環される)。
【0012】
エアディフューザは、シートの着席者に暖房、冷房、換気またはこれらの組み合わせを提供するように、シートの中またはその上に置かれるように構成されている。エアディフューザは、気流が開放空間を通るが、シートの着席者を支えるための方策を提供する構造、材料、材料の組み合わせ、および/または構造の組み合わせであれば、どのようなものであってもよい。このタイプの例は、例えば、米国特許第6,629,724号、第6,840,576号、第6,869,140号、第6,976,734号、第6,893,086号、第6,857,697号、ならびに米国特許出願公開第2002−0096931号に開示されており、これらを参照してここに援用する。一般に、ディフューザは、第1の面、第2の面、およびその間にあるスペーサ構造を有する。望ましくは、ディフューザは、その周囲の端の一部またはすべてがシールされた袋である。
【0013】
エアディフューザは少なくとも1層を有するが、好ましくは複数の層(3層など)を有し、各層は単層または複数の層(積層体など)でありうる。複数の層は、必須ではないが、互いに付着されていることが好ましい。層は縫い止め、無頭釘またはスナップフィットファスナーによって機械的に付着されてもよいが、少なくとも多少の接着剤(ホットメルト接着剤など)を使用することが好ましい。赤外線、高周波、超音波またはその他の接合またはウェルディング法も同様に使用することができる。
【0014】
接着剤は、使用される場合、網(テープなど)として提供されるか、あるいは、連続的または非連続的に提供される(例えば、噴霧などのしずくとして提供されるか、あるいは塗布(dab)によって適用されるなど)。接着剤は、ポリアミド、ポリエステル、エラストマ、ウレタン、オレフィンポリマー、ビニル、酢酸ビニル、(メタ)アクリル、シリコーン、エポキシまたはこれらの組み合わせを含みうる。更に、接着剤は、特定の製造パラメータまたは条件に望ましいように調製されうる。好ましくは、接着剤には、接着性能に干渉する可能性のあるブロッキング防止液、発泡添加物、工程の異物などがほとんど含まれていない。例えば、好適なホットメルト接着剤の1つは、米国オハイオ州44223クヤホガフォールズ、マフィンレーン175にあるスパンファブ・リミテッドから商標SPUNF ABとして販売されている不織網(non-woven web)である。
【0015】
機械式取り付け機構および接着剤の代わりに、あるいはこれらに加えて、1つ以上の層を付着させるためにウェルディング法を使用してもよく、ウェルディング法単独で、あるいはほかの付着法(縫い止めおよび/または接着剤など)と併用して使用される。例示的なウェルディング法には、赤外線、高周波、および超音波のウェルディングがある。これらの方法は、連続的に(例えば、ビーズを形成するなど)、あるいはスポットウェルドとして使用されうる。
【0016】
エアディフューザの各層は、縁部が密封された袋を形成するために、少なくともその縁が互いに付着されている。別の実施形態では、ディフューザは縁部が開いた積層体であってもよく、これは、例えば米国特許番号6,869,139号および第6,857,697号の教示と整合している。これらは、参照によりここに援用される。ディフューザの各層は一般に同じような広がりをもつが、一部の層が他の層とは同じようには広がっていない場合も適している。例えば、スペーサ材料の複数のブロックが共通の基材に担持されてもよい。
【0017】
一実施形態では、ディフューザの開放空間は、1つ以上のプレナムである。空気プレナムの例は、Hauptに付与された米国特許第6,786,541号に記載されており、これを参照してここに援用する。
【0018】
別の実施形態では、ディフューザの開放空間がスペーサ材料内にあり、この第2実施形態が好ましい。一実施形態では、エアディフューザはクッションの着席者側に置かれており、ディフューザがシートの着席者の重量を受けて完全に潰れてはならないが、若干の弾性圧縮は想定すべきである。別の実施形態では、エアディフューザは、シートクッションの下面に置かれる。この場合、ディフューザは着席者の重量を支える必要がないため、さほど頑丈でなくてもよい。
【0019】
スペーサ材料は、ゴム、プラスチック、天然繊維などか、あるいはこれらの組合せから形成できる。一態様では、スペーサ材料は網状のフォームを含みうる。
【0020】
また、スペーサ材料は、好ましくは、その間に開放空間が形成されるように、互いに離間されている一方、クッション性と支持を提供するために充分接近している複数の部材または繊維を有していてもよい。1つの好ましいスペーサは、対向するハニカム構造(布帛パネルなど)を提供するために相互に織られたポリマー(ポリエステルなど)のより糸材料から形成され、これらは、構造間に開放空間が形成される一方、クッション性と支持を提供するために、何本かの追加のポリマーのより糸材料によって相互に接続されている。例えば、1つの好適な材料は、商標名3MESHで販売され、ドイツのミュラーテキスタイルGmbHまたは米国ロードアイランド、ミュラーテキスタイルインクから商業的に入手可能である。
【0021】
その他の好適なスペーサは、2つの材料シートの間に保持された、螺旋状のポリマー材料から形成される。好ましくは、この螺旋は、シート状の材料に螺旋を取り付けるために、螺旋の面積が大きくなるように長円形であるのが望ましいが、円形の螺旋も適している。螺旋は、螺旋の隣り合う巻き線同士が接触するように、きつく巻くこともできるし、螺旋の隣り合う巻き線同士が接触しないように、ゆるく巻くこともできる。一般に、スペーサを形成するために、複数の螺旋を互いに隣接させて(接するかそれ以外の程度に)配置する。例示的な螺旋材料は2004年3月17日に出願された、国際特許出願PCT/DE04/000540およびPCT/DE04/000541に説明されており、これらを参照のため、ここに援用する。螺旋材料は、エアディフューザ内の流れの経路を比較的妨害しないように、単独で用いられても、他の材料と組み合わせて用いられてもよい。
【0022】
他の適切なスペーサ材料は、本システムに適合されうる溝付材料である。溝付材料は、複数の山と谷を有し、山が貫通穴を有する。溝付材料は、モールドされるかまたは成形されたフォームまたはプラスチックなどの任意の適切な材料を含みうる。貫通穴は、山と谷の形成の前、これと同時に、あるいはその後に形成されうる。スペーサ材料に向かう気流、あるいはスペーサ材料からの気流は貫通穴に送られるが、谷は空気が流れる貫通穴とほぼ直交する通路を提供している。これによって、ディフューザを通る空気(温度調整された空気など)の流通が上がると共に、フォームによって着席者が所望のように支えられる。例えば、米国特許出願公開第2005−0067862号を参照されたい(これは参照によりここに援用される)。
【0023】
別の適切なスペーサ材料には、クッションの着席者面と平行に置かれた金属またはプラスチック製のスプリングを使用することがある。
【0024】
上で説明した材料を組み合せることで、エアディフューザの開放空間を形成することができる。一実施形態では、複数の螺旋材料が互いに隣接して配置され、ディフューザの残りの部分では、ポリマーのより糸材料が使用される。別の実施形態では、エアディフューザの部分によって、使用されるスペーサ材料が変わる。例えば、ディフューザの吹き込み部はフォーム(網状フォームなど)を有するが、ディフューザの吸い込み部はポリマーのより糸材料を有していてもよい。
【0025】
ディフューザのスペーサ材料は、一般にクッションの着席者の接触面と同じような広がりをもつが、これは必須ではなく、スペーサが、クッションの着席者の接触面の一部のみをカバーするか、またはクッションの端の上に突き出していてもよい。
【0026】
空気プレナムまたはスペーサ材料(またはこれらの組合せ)に加えて、1つ以上のバリア層を使用してもよい。バリア層は、通常、ディフューザの1つ以上の他の層に付着しやすくなるように、熱に曝されると軟化または融解するプラスチックまたはポリマー材料から形成される。他の実施形態としては、バリア層は、布帛、織物状または非織物状材料(ゴアテックス(登録商標)、マイクロファイバーなど)、ナイロン、独立気泡発泡体、その他の材料で形成してもよい。好ましくは、バリア層には少なくとも部分的に空気を通さないが、例外は換気用の複数の穴およびポートである。バリア層は、スペーサ材料の上下に配置され、スペーサ材料を通る空気の流れの方向(例えばポートを通って換気孔へ、またはその逆の方向)を円滑化する。一実施形態では、バリア層は、縁が密封された整えられた袋を形成するために、互いにシールされうる。
【0027】
バリア層の寸法は、フィルムの厚さが約0.1mmから約2.0mmであることが好ましく、約0.7mmから約1.0mmの厚さであることが更に好ましい。当然、バリア層はさまざまな厚さであってもよく、上記の範囲外の厚さであってもよい。
【0028】
バリア層の換気孔は、ディフューザ(またはディフューザの区画)と着席者の間で流体を連通させており、通常は、ディフューザの着席者側に設けられる。換気孔は、好ましくは、ディフューザにわたって気流の勾配を形成するように、サイズが可変でありうる。通常、ディフューザのポートの近くの換気孔は、ポートから離れた換気孔よりも小さいが、これは必須ではない。孔のサイズに勾配を設定することによって、ディフューザを通る気流を、さまざまな位置で選択的に制御することができる。また、これにより、ポートからの距離に関わらず、ディフューザ全体にわたり、気流をほぼ均一にすることができる。
【0029】
別の好ましい配置では、換気孔が、着席者がシートと接触するシート部分とほぼ対応している。クッションの下面に設けられるディフューザの場合、ディフューザの各換気孔は、着席者への気流と着席者からの気流を供給するために、シートクッションにある1つ以上の貫通チャネルを有する。別の実施形態では、ディフューザは換気孔を有さず、ディフューザの着席者側が、その上の材料(クッション、追加のスペーサ材料(例えばポリマーのより糸材料または網状フォーム)、整えられたカバーなど)に対して開放されている。このため、スペーサ材料、整えられたカバーなどのためにバリア層が省かれる。下面にある実施形態の場合、ディフューザは、ディフューザと着席者間で適切な気流が得られるように、シートクッションにシールされる必要がありうる。
【0030】
エアディフューザは、温度制御システムとディフューザ間で流体を連通させ、通常はディフューザの横、下面またはこの両方にある複数のポートを有する。第1導管と第2導管がこのポートを介してディフューザに取り付けられており、温度調節器とディフューザの間で流体を連通させる。
【0031】
エアディフューザは、複数の区画に分けられてもよい。各区画は、他の区画の開放空間から独立した開放空間を形成しうる。一実施形態では、各区画がディフューザ全体よりもサイズの小さなディフューザとなるように、各区画は他の区画と物理的に独立していてもよい。例えば、2〜3つの縁が密封されたディフューザが、クッションの着席者面に使用されうる。このため、実際には1つの共通の基材が、複数の縁が密封されたディフューザを担持している。整えられた袋の各々は、換気孔と少なくとも1つのポートを有する。別の実施形態では、エアディフューザの開放空間が分割されて、区画が形成されている。ディフューザの分割は、区画の間に空気を通さないバリアを配置または形成することによって行うことができる。例えば、図4に示すように、ディフューザ50が、3つの区画52、54、56に分けられる。各区画は、バリア58によって互いに分離された区画を有するスペーサ材料(図示せず)を有する。この実施形態では、これらのバリアは、スペーサ材料の上下のバリア層をシールすることによって形成される。
【0032】
ディフューザの任意選択の層は、ヒーターを有する。さまざまな種類のヒーターが車両のシートに組み込むのに適しており、どのようなヒーターでもディフューザに組み込むことができると考えられる。そのようなヒーターは、一般に、可撓性の電気的加熱素子を含み、好ましくは薄く、平らで、出っ張りがないか、またはそれらを組み合わせた特徴を持つ。例としては、敷線(lay wire)ヒーター、カーボンファイバーヒーター、プリントされたヒーター(能動的熱制御(PTC)ヒーターなど)、熱電ヒーターなどが、ディフューザ内またはその上で使用可能であり、それは一般に裏当て(例えば、布、フィルム、または布帛タイプの基材)によって支持される。好ましい実施形態では、ヒーターは、裏当て(不繊層など)を持つカーボンファイバータイプのヒーターである。好ましいヒーターの一例は、商標名CARBOTEXで、ドイツのW.E.Tオートモーティブ・システムズ・インクから販売されている。このようなヒーターの例は、2000年5月16日に発行された米国特許第6,064,037号に開示されており、同特許は、あらゆる目的のために、参照により明示的にここに援用される。他の例示的なヒーターには、個々に絶縁されたより糸を有するワイヤ、およびワイヤに熱活性化可能な接着剤を有するものがあり、これは、例えば米国特許出願公開第2004−0094534号およびその関連出願に記載されている。これらは、参照によりここに援用される。可撓性シートのTEDの形のヒーターとクーラーの組み合わせも、適切な層の選択肢でありうる。可撓性シートのTEDの例は米国特許第6,700,052に説明されており、これが参照によりここに援用される。別の実施形態では、ヒーターは、ディフューザに組み込まれず、ディフューザと整えられたカバーとの間に設けられる。一実施形態では、ヒーターは、空気を通さず、換気孔を有する基材を有する。このようにして、バリア層の代わりにヒーターが使用される。
【0033】
ディフューザは、シートクッションと整えられたカバーの間の空間で組み立てられる独立したユニットであっても、クッションと一体的に形成されるものであっても、整えられたカバーに一体的に形成されるものであっても、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。好ましくは、ディフューザは、両面テープ、フックおよびループファスナー、接着剤、機械式ファスナー、ウェルディングまたはこれらの任意の組み合わせを用いてクッションに取り付けられる。
【0034】
クッションは、ディフューザと同様に、乗物シートの着席者を主に支持する、形成されたフォームバンを有する。クッションは、フォームに切り込みを施したか形成された谷、頂部が開放されたチャネル、溝、通路、副通路、導管等を有しうる。これらのチャネル等は、エアディフューザ、第1導管および第2導管、温度調節器などを含む、システムの他の部品を受け容れるために使用されうる。例えば、第1導管および/または第2導管は、クッションのチャネルに配置されうる。更に、これらのチャネル等は、第1導管および/または第2導管またはその一部として動作しうる。例えば、第1導管がクッションの下面に接続しており、クッションを通るチャネルが、クッションの着席者側でエアディフューザに接続してもよく、貫通チャネルと導管は、エアディフューザを温度調節器に流体的に接続するための第1導管の部分を一緒に形成している。
【0035】
一実施形態では、クッションのフォームは、その表面の一部または全部が処理され、フォームの空気に対する透過性を低下させて、空気不透性のバリアを形成するか、または何らかの方法によってフォームを通る空気の損失を最小化するのを支援する。別の実施形態では、フォームおよび/またはシステムの必要な流動特性を得るために、フォームのチャネルと共に、空気不透性のライニングまたは導管が配置されうる。
【0036】
また、車両シートは、好ましくは、1つ以上の整えられたカバーを有し、これは、ディフューザの一部であるか、またはディフューザとは別であるが、一般に、インサートと着席者とを分離している。整えられたカバーは、どのような材料でもよく、合成材料、自然材料(例えば、ウール、革など)またはこれらの組み合わせのうちの1つを含むが、それに限定されない。一実施形態では、整えられたカバーは、着座面の少なくとも一部にわたってせん孔が施され、このせん孔を通って空気が通過できる。例えば、せん孔を施した革を用いて、着席者とインサートとを分離できる。整えられたカバーは、追加のスペーサ材料(網状のフォームなど)を有してもよい。追加のスペーサと整えられたカバーは、ディフューザと同じような広がりをもつ面積を有しても、ディフューザよりも面積が大きくても小さくてもよい。
【0037】
ディフューザに加えて、本発明は、温度調整器も有する。温度調節器は、空気を加熱または冷却するどのような装置であってもよい。温度調節装置は、加熱を行う装置と、冷却を行う別の装置の組み合わせであってもよい。好ましくは、1つの装置またはシステムが加熱と冷却を行うのがよく、車両のHVACシステムのような外部装置などである。別の実施形態では内部温度調節装置を使用してもよく、これは、シートが設置されている車両のためのHVACシステムとは独立したものである。温度調整に加えて、温度調整装置は空気の除湿を行ってもよい。
【0038】
好ましくは、温度調整装置は、冷却と加熱の両方を行う、独立型の装置、または半導体素子を用いた装置、またはこの両方である。最も好ましい装置は、ペルチェとも呼ばれる熱電装置(TED)である。TEDは、装置に電気を流すことによって、固体素子の加熱および冷却を行う。TEDは廃棄(waste)面と、活性(active)面とを有し、それらは、加熱された空気または冷却された空気のどちらが望ましいかに応じて、相対的に指定される。TEDは任意の有用な熱放散装置、例えばヒートシンク、熱交換器、ファン、ヒートパイプなどと組み合わせることができる。
【0039】
TEDに加えて、吸収冷凍システムも温度調整装置として使用することが可能である。適切な吸収冷凍システムは、2005年9月21日出願の米国特許出願番号第11/232,172号に記載されており、これは参照によりここに援用される。このようなシステムは、換気システム全体のエネルギー消費を削減する利点を有する。
【0040】
温度調整器は、図1から3に模式的に示すように、エアディフューザを通して空気を動かす(温度調整されているか、周囲空気であるか、押し出し、吸い込み、またはこれらの組み合わせを問わず)ための原動力を提供するブロワを更に有する。ブロワは、1つ以上の羽根の組を有し、この羽根はファンブレード、インペラのいずれであってもよいが、インペラが好ましい。図2に示す実施形態では1枚のインペラのみを必要とするが、図1および3に示す実施形態では、2つのインペラを使用する。図1の各インペラの羽根は、空気を同じ方向に移動させるように互いに調和している。図3の各インペラの羽根は、空気を逆方向に移動させるように互いに対向している。個別のシングルインペラブロワに代えて、デュアルインペラを使用することもできる。このような実施形態では、1つのモーターが2つのインペラ(図5に示す)を駆動するが、別の実施形態では、各インペラが各々のモーターを使用する。当然、1つのモーターが複数のデュアルインペラブロワによって使用されてもよい。デュアルインペラを使用する実施形態では、デュアルインペラのほうが、パッケージのサイズを小型化できるため、個別のシングルインペラよりも好ましい。個別のシングルインペラと1つのモーターを用いるほうが、部品点数が少なくて済み、パッケージのサイズを小型化できるため、個別のシングルインペラと個々のモーターを用いるよりも好ましい。
【0041】
温度調節器の部品は、1つのハウジング内に一体的に形成されていても、または個別のハウジングに格納されていてもよい。いずれの場合も、温度調節装置は、ブロワの下流にあり、このため、ブロワは、通常、接続導管を通して温度調節装置に空気を移動させるが、ブロワの出口が、温度調節装置の入口に実質的に隣接していてもよい。温度調節装置にブロワを流体的に接続するために、接続導管が使用される。一実施形態では、接続導管は、2つの部品が互いに独立に空間内を移動することができるように、フレキシブル導管である。別の実施形態では、比較的硬質の導管および/またはハウジングが使用される。この実施形態の場合、例えば図6に示し、下記で説明するように、接続導管に枢支点が組み込まれていてもよい。枢支点によって、温度調節装置とブロワが多少なりとも互いに独立に移動できるようになる。独立して移動できるようになることで、温度調節器の取り付けが容易になり、部品間を伝わる振動が低減するため、騒音を低減することもできる。
【0042】
本発明の導管は、温度調節器とディフューザの間を流体的に連通させる。導管は、着席者に熱的快適性を提供するのに十分な空気を移動できるのに十分な断面積を有する、内部が中空の部品の形をとりうる。
【0043】
一実施形態では、導管は、ディフューザのポートに接続しているホース、管またはベローズである。導管は、通常可撓性を有するが、取り付け時と動作中に、ねじれないように十分頑丈である。別の実施形態では、シートクッションのチャネル等が、導管の一部として使用されうる。フォームクッションを使用するこの実施形態では、フォームが、空気を実質的に通さなくなるように処理されうる。
【0044】
導管は、シートパンまたはクッション等の車両シートの他の部品の内部において、孔を通されるか、または孔の中に保持されうる。別法として、あるいはこれに加えて、導管が、シートクッションのチャンネルまたは溝内に配置されてもよい。一実施形態では、ある導管が、別の導管の一部を、少なくとも部分的に通されている。また、導管は、導管がディフューザに入るかまたはそこから出る箇所から離れたディフューザ内の所定の位置に気流を供給するか、その位置から気流を供給するために、ディフューザの開放空間に延びていてもよい。
【0045】
一実施形態では、本発明のアセンブリは、少なくとも2本の導管を有する。第1導管は、温度調節器の取入口、より好ましくはブロワの取入口に、エアディフューザを流体的に接続している。ブロワは、第1導管を通してエアディフューザから空気を吸い込む。第2導管は、温度調節器の排出口、より好ましくは温度調節装置(TEDなど)の排出口に、エアディフューザを流体的に接続している。ブロワは、温度調整された空気を、第2導管を通してエアディフューザに吹き込む。
【0046】
本発明の各種部品間を接続するために、いくつかの実施形態が存在する。特に懸念されるのが、部品の組立が容易であることと、車両への取り付けが容易であることである。取り付けは、サイクルタイムが短くなければならない一方で、設置者が、取り付け(取り付けの特定の工程)が完了したことを確信できなければならない。取り付けは、作業者によって手動で行われも、ロボット装置によって行われても、この両方で行われてもよい。
【0047】
図7、8に示す一実施形態では、プラグ70を使用して、クッション74にディフューザ72を接続している。プラグは、恒久的または一時的にソケットに挿入されるコルクと似ている。プラグは、追加の導管、温度状態調節アセンブリまたはシートのシートパン76にも接続しうる。ディフューザ72は、その下面にノズル78を有する。ノズルは、第1導管および第2導管の一部として機能する貫通穴80(2つ以上など)を有する。区画を有するディフューザでは、好ましくは、各貫通穴を通って個々の区画にアクセスすることができる。プラグ72は、クッション74の下面84に相補的に成形されたソケット82に挿入可能である。ディフューザのノズル78は、クッションのまわりにディフューザとプラグを取り付けるために、プラグ72に受容される。プラグとノズルの接続を保持するために、スナップフィット、インターフェレンスフィット、摩擦嵌合、インターロック機械式ファスナーまたはこれらの任意の組み合わせが好ましい。ノズルまたはプラグに接着剤を使用することもできるが、これは好ましくはない。更に、取り付け後にディフューザが移動しないように、接着剤、両面テープ、フックおよびループファスナーを、ディフューザおよび/またはクッションに使用してもよい。また、プラグは、追加の導管または温度調節器をプラグに取り付け、つまりこれらをシステムの残りに取り付けるコネクタ85も有する。シートパンが、追加の導管または温度調節器からプラグを分離するように、プラグの下面に示されるコネクタは、シートパン76に孔またはコネクタ87を通して受容される。
【0048】
別の実施形態では、図9のクッションの下面に示すように、クッションの下面はプラグを含んでおり、これが、導管の1本以上に取り付けられたソケットに受容される。
【0049】
プラグは、適切な材料であれば、どのような材料から形成されていてもよい。1つのアプローチでは、プラグは、着席者が不快を感じないように、周囲のクッションと同じ剛性を有する材料である。例示的な材料には、コルク、プラスチックフォームなどがある。好ましくは、プラグは、追加の接着剤が不要となるように、クッションの孔にぴったりと嵌るように、サイズが定められ成形されている。例えば、着席者側の外周が下面よりも小さくなるように、プラグは錐体状であってもよい。プラグは平坦面を有しうるが、円形または楕円形が好ましい。別の実施形態では、プラグをクッションおよび/またはシートパンに固定するために、スナップフィットファスナーを使用してもよい。
【0050】
通常は、1つのシートに1つのプラグが使用されるが、特にシートパンが2つの貫通穴を有するシステムでは、複数のプラグも考えられる。更に、プラグは、換気シートに使用されるどのようなタイプのディフューザまたはインサートと併用することができる。
【0051】
別の実施形態では、図10に示すように、シートパンにクッションを接続するために、コネクタ90が膜92に取り付けられており、この膜は、クッションを通る導管の一部を有するクッション96のスロット94内に摺動可能に保持されている。スロットは、下面からクッションの着席者側まで通っている。一実施形態では、導管は、クッションの材料によって完全には形成されておらず、ある導管を別の導管から分離している膜を壁の一部として使用されうる。スロット内で、導管壁の一部として膜を使用することは、膜によって、クッションの空気不透性が上がり、このため、導管間のクロスフローの量が低下するため、有利である。取り付け中は、スナップフィットファスナーによって、コネクタをシートパンに取り付ける。次に、設置者が膜を引張るかクッションを押し付けて、シートをその下面でコネクタに強制的に接触させる。膜をクッションの上面に取り付けると、クッションとコネクタ間のしっかりとした接続が保証される。次に、クッションの着席者面、およびシートパンの下に取り付けられた温度条件システムに、エアディフューザが配置されうる。
【0052】
図11に示す別の実施形態では、導管をシートの別の導管に取り付けるのにテザーが使用される。設置者は、テザーを引張ることによって、クッションおよび/またはシートパンにディフューザをしっかりと固定することができる一方、導管と温度調節器に必要な程度の接続を形成することができる。3つの区画102、104、106を有するディフューザ100が、貫通穴110と溝112を有するクッション108の上に配置される。この実施形態では、貫通穴110は、ディフューザから空気を吸い込む導管として機能する。溝内には、ディフューザに空気を吹き出す分岐導管114が存在している。「導管」という名称は、空気が貫通穴によってディフューザに吹き込まれ、溝の導管を通って吸い込まれうるという点で、相対的なものである。一実施形態では、温度調節器がクッションとシートパンの下に存在し、クッションとシートパン内で1つの通路のみが必要となるように、両方の導管を収納しているマニホルド116(または他のチャンバ)を有する。マニホルドは、壁122によって分けられた上部導管118と下部導管120を有する。これは図12にも示されている。
【0053】
例えば、テザーは、長く延びた可撓性材料であり、これにより、設置者は、クッションの下面とシートパンから分岐導管を引張ることができるようになる。テザー124は、マニホルドの導管間の壁122の第1の開口部126を通され、下部導管の外壁120の第2の開口部128を通されている。分岐導管は、上部導管と下部導管を相互に分離するために、第1の開口部のまわりで、壁と比較的気密のシールを形成する。また、分岐導管は、下部導管からの漏れを防止するために、第2の開口部のまわりで、壁と比較的気密のシールを形成する。分岐導管は、下部導管の流路の1つ以上に開口部130を有する。このようにして、分岐導管は、下部導管とエアディフューザ間に流体連通を提供している。
【0054】
1つの特定の実施形態では、テザーは、設置者が分岐導管を引張り過ぎるのを防ぐために、任意選択で止め(厚くした箇所または摩擦抵抗を大きくした箇所など)を有しうる。止めは、分岐導管が開口部から出ることも防ぎ、このため、開口部が下部導管内に保たれることを保証する。また、テザーは、テザーおよび/または分岐導管が適切に取り付けられたことを設置者に知らせる標識も有する。一実施形態では、テザーの止めと標識は1つの同じものであるが、別の実施形態では、止めと標識に別々の構造が使用される。
【0055】
図12から17に示すように、止めは、係止装置と共に第2の開口部内で止まっているくさび132を有し、係止装置は、導管が開口部から出るのを阻止する。係止装置は適切な形状であればどのような形状であってもよく、例えば、下部導管の壁の下にあるくさび134(図12、13に図示)、下部導管の壁の下にあるフィンガー136(図14に図示)、または上部導管と下部導管間の壁に接続しているスナップフィット特徴138(図15に図示)などがある。標識は、それぞれ図16、15に示すように、変色部140またはマニホルドの下面から目視可能な肩部142であっても、図11〜13に図示するように、係止装置自体であってもよい。取り付け後、係止装置または標識の下のテザーは切断されるか、分離されるか、ほかの方法で切り離される。一実施形態では、テザーは、テザー破壊または金属片では磁石による分離など、所定の負荷がテザーに加わると分離するように設計されている。別の実施形態では、テザーは、(図17に示すように)設置された導管の終端で、ループから解放されてもよい。その後に行う分解(必要な場合)は、(例えば図14に示すような)係止装置を切断することによって容易に行うことができる。
【0056】
分岐導管について採り上げて記載したが、テザーが分岐なしの導管と共に使用されてもよい。
【0057】
本発明の一実施形態が図4に示される。車両シート150は、3つの区画52、54、56に分割されたエアディフューザ50を有する。ディフューザの各区画は、複数の換気孔152を有する。ディフューザは、成形フォームから形成されたクッション154によって支持されている。クッションは、シートパン156によって支持され、温度調節器158がシートパンの下に存在している。温度調節器は、ブロワ(図示せず)とTED(図示せず)を有する。
【0058】
第1導管160が、ディフューザの中間の区画54の下面に付着している。この実施形態では、第1導管は、形状がほぼ楕円形であり、クッションフォーム内に保持されている。矢印で示すように、ブロワへの入口162が、ディフューザから空気を吸い込む。第2導管164が、TEDの排出口とディフューザの下面に付着している。第2導管は、ディフューザの残りの2つの区画52、56に接続点168を提供するために分岐している。第2導管の一部170は第1導管160内に収容されており、一部172はクッションの溝174内に収容されている。
【0059】
この実施形態では、2本の導管が同じ場所でクッションを通るため、クッションには1つの貫通穴のみが必要であり、この実施形態と共に使用するのにテザー接続が好適であることを意味する。更に、導管を温度調節器に接続するプラグの使用が用いられてもよい。更に、この部品配置は、図1から3に示す3つの方式のいずれにも使用することができるという点で、この実施形態は汎用性がある。
【0060】
この実施形態に示すように、第1導管内に保持される第2導管の一部170は、孤状(例えばS字状またはC字状)の部分を有し、この部分は、重量がかかると撓曲できるため、第2導管が着席者の重量によって潰れる可能性を低下させる。更に、入口162が導管の接続点の後にくるように、入口の位置と、第2導管が温度調節器に付着する位置を入れ替えてもよい。導管の一部または全てにわたって、更なるベローズまたはひだ付き部分が含まれていてもよい。
【0061】
導管と温度調節器の間、導管とディフューザの間などに、比較的空気を通さない接続が得られるように、いくつかのガスケット176が使用されてもよい。更に、ディフューザとプラグの間、ディフューザと導管の間、シートクッションと下面の導管の間などに、比較的気密な接続が得られるように、導管およびコネクタにフランジが使用されてもよい。
【0062】
本発明の別の一実施形態が図6に示される。車両シートは、クッションの着席者側に取り付けられるエアディフューザを有する。温度調節器がよく見えるように、ディフューザとクッションは図面に示されていない。ブロワ、より詳細にはデュアルインペラブロワ182は、クッションの中あるいはその上に取り付けられ、任意選択でシートパン、シートフレーム184、腰部ガイドワイヤなどに取り付けられる。ブロワの一方のインペラは、第1導管として機能するベローズ186を通してディフューザから空気を吸い込み、出口188を通して気流を排気する。ブロワのもう一方のインペラは、その下面にある空気取入口190を通して空気を吸い込む。この気流は、TED191に行き、そこで分割される。気流の一部分はTEDの能動面を通り、第2導管として機能するベローズ192を通される。気流の他の部分は、TEDの廃棄側を通り、出口194を通して排気される。温度調節器のTED部品は、支持ワイヤ196によって支持されうる。この実施形態は、支持ワイヤが、シートパンを必要とせずに温度調節器を安定させるのを支援することができるため、第2導管が、第1導管よりも背もたれの比較的高い位置に存在する車両シートの背もたれに非常に適している。
【0063】
また、この実施形態は、枢支点198においてブロワ182に枢着されたTED191を使用する。この枢支点は、部品間で流体連通が維持されるように、撓曲し、温度調節器の2つの部品が独立して移動できるようにする。枢支点は、完全な可動域を提供する玉継手であってもよい。更に、枢支点は、システムの取り付け中に部品を接続可能な位置となることができ、このため取り付けの複雑さを減らす。
【0064】
上に述べた部品に加えて、本発明は、センサ、およびコントロールユニット等のさまざまな他の部品と共に使用されてもよい。温度センサ、湿度センサ、流量センサ、着座検出センサ、重量センサなどのさまざまなセンサがシステムに含まれてもよい。センサはシステムのいたるところに配置することができる。例えば、温度センサは、ディフューザ内、ディフューザと整えられたカバー間、導管内、温度調整器内、またはこれらの組み合わせにおいて配置することが可能である。
【0065】
1つ以上のコントロールユニットを用いて、センサまたはユーザ制御装置からの入力を受信し、温度調整装置に命令を送り、および/またはほかの方法でシステムの動作を調整することができる。
【0066】
コントロールユニットは、センサ入力に基づいてシステムの自動操作を行うことができる。例えば、システムは、着席者がシートに着座したときに自動的に(例えば、加熱、冷却、またはこの両方を)オンにする。自動操作は、車両の始動時、または車両の内部または外側の周囲温度が特定のしきい値になったときに行われる(例えば、低い温度が検出された場合、暖房が入る)。
【0067】
着席者が所望の設定温度、ディフューザに供給されるかディフューザから吸い込まれる空気の量を選択するシステムの手動動作も考えられる。更に、手動および自動制御の組み合わせも考えられる。例えば、着席者が温度を選択し、コントロールユニットが選択された温度に達するのに必要な命令、更には選択された温度を維持するのに必要な後の命令を発行する。これは、例えば、温度調節器、ブロワ、ヒーター層、およびこれらの組合せの動作を繰り返すことによって行なうことができる。
【0068】
一実施形態では、システムは、整えられたカバーの下にあり、コントロールユニットと信号を通信している温度センサを有する。有利なことに、センサが、温度が1つ以上の所定のしきい値を超えていることを検出すると、コントロールユニットは、システムに供給する熱を減らし、場合によっては冷却を行うように指示するようにプログラムされている。動作時に、センサが、温度が1つ以上の所定のしきい値を下回っていることを検出すると、コントロールユニットは、システムに供給する冷房を減らし、場合によっては暖房を行うように指示するようにプログラムされていてもよい。好ましい動作モードでは、ブロワが、ディフューザから空気を吸い込んでいるかディフューザに冷気を吹き込みているときに、センサによって第1の望ましくない低い所定の温度が検出された場合に、コントロールユニットは、ヒーター層をオンにして、熱を供給する一方、ブロワをオンのままにするように指示するようにプログラムされる。次に、第1の所定の温度を下回る第2の所定の温度が検出された場合、コントロールユニットは、ブロワをオフにする一方、ヒーター層が熱の供給を続けるように指示する。これらの状況のいずれについても、ヒーター層は、通常、センサによって検出される温度が、第1の所定の温度以上になるまで、コントロールユニットによって、熱の供給を続け、場合によっては、第1の所定の温度より高い第3の所定の温度が検出されるまで、熱の供給を続けるように指示される。
【0069】
別の好ましい動作モードでは、ヒーター層が熱に供給しているときに、センサによって第1の望ましくない高い所定の温度が検出されると、コントロールユニットは、ブロワをオンにして、空気(温度調整された空気か調整されていない空気)を吸い込むかまたは吹き出す一方、ヒーター層をオンのままにするプログラムされる。次に、第1の所定の温度を超える第2の所定の温度が検出された場合、コントロールユニットは、ヒーター層をオフにする一方、ブロワが空気の吸い込みまたは吹き込みを続けるように指示する。これらの状況のいずれについても、ブロワは、通常、センサによって検出される温度が、第1の所定の温度以下になるまで、コントロールユニットによって、空気の吸い込みまたは吹き込みを続け、場合によっては、第1の所定の温度より低い第3の所定の温度が検出されるまで、空気の吹き込みを続けるように指示される。
【0070】
シートのシートと背もたれが温度制御されるかまたは換気される実施形態では、コントロールユニットは、好ましくは、一方が熱を供給する一方、もう一方が換気または冷却を供給できるように、この2つのシステムの動作を互いに独立に制御するようにプログラムされる。独立動作と同様に、シートの同じ部分で暖房と冷房が同時に行われる2つのシステムの同期動作も有用である。例えば、ヒーター層を動作させる一方、TEDが冷却された空気をディフューザに供給することができる。
【0071】
更に、流体中の未使用のエネルギー(空気が周囲空気よりも温度が高い熱い場合)、またはエネルギー容量(空気が周囲空気よりも温度が低い場合)を利用するため、システムを通る空気の流れを切りかえるために、1つ以上のバルブを使用してもよい。例えば、このバルブを使用して、空気中に蓄えられた不必要なエネルギーを廃棄するために、空気を周囲空気に対して排気することができる。また、バルブは、空気をシステムの部品(温度調整装置など)に導いて、その部品を暖めるか、または冷やすためにも用いることができる。また、バルブは、システム内で空気を選択的に循環させて、任意選択で閉鎖または部分閉鎖システムを構築するために使用することもできる。ディフューザからの導管でバルブを使用すると、冷たい周囲空気によって、ディフューザから吸い込まれた暖気を薄めることによって、TEDの効率を向上させることができる。更に、ディフューザからの気流が妨げられた場合には、このようなバルブにより、TEDの廃棄側を連続的に廃棄することができるようになると考えられる。上で述べた所望の気流パターンを得るために、バルブの動作を、コントロールユニットによって制御することができる。
【0072】
更に、システムは、温度調節器からの排気を導く1つ以上のベントを有しうる。これらのベントは、着席者が気流の向きを選択することができるように、コントロールユニットまたは動作可能なマニュアルによって制御されうる。
【0073】
取り付け部品は、好ましくは、ファン、流体調節装置、導管または他の部品をディフューザに取り付けるための位置を規定するフレーム部材である。フレーム部材は、さまざまな形態(例えば、環状、長方形、正方形、多角形など)でよく、さまざまな好適な硬質または半硬質の材料(例えば、金属、プラスティックなど)から形成することができると考察される。一部の態様では、取り付け部品はポートを規定するためにも用いられる。好ましい一実施形態では、取り付け部品は、ファン、流体調整装置、その他の部品上の構造および/または材料(例えば、スナップフィットファスナー)と協働して、装置または部品を取り付け部品に接続する。
【0074】
上記に開示した実施形態と併せて、温度調節器、導管またはさまざまな他の部品、および下位部品は、シートのシートフレーム、シートパンまたは背もたれ部分(腰部アセンブリなど)に、シートとその部品の1つが連動して移動するように、恒久的または着脱自在に取り付けられるか固定されうる。温度調節器は、シートトラック(これに沿ってシートが第1位置から第2位置まで移動することができる)等の下にあるシート構造と接続されていてもよい。別の実施形態では、温度調節器は、シートクッション、ディフューザ、シートウォーマ、シートカバーなどのシートの他の部品、アセンブリおよび付加物に取り付けられるか固定されてもよい。温度調節器は、シートに対して離れて置かれてもよい。任意の適切な固定または取り付け用の機構または装置(例えば接着剤、スナップフィット機械式ファスナーなど)を使用して、温度調節器の部品を組み立てるか、または温度調節器を周囲の構造に取り付けることができる。
【0075】
本発明は、暖房、冷房、換気またはこれらの組み合わせを供給する方法にも関する。この方法は、エアディフューザから空気を吸い込むステップと、エアディフューザに温度調節された空気を吹き出すステップを有する。一実施形態では、これらのステップは、インペラの羽根が調和しているデュアルインペラブロワを動作させることを含む。吸い込みステップは、一方のインペラによって吸い込まれた空気を、温度調節装置を通過させて、過剰のエネルギーまたは熱を潜在的に放散させる(例えば、TEDの廃棄側に空気を通させ、吸い込んだ空気を排気するなど)ことを更に含む。吹き込みステップは、ブロワのもう一方のインペラによって装置に通された周囲空気の温度を調節する(例えば、周囲空気をTEDの能動面に移動させるなど)ことと、温度調整された空気をエアディフューザに吹き込むことを含む。この実施形態では、吹き込みステップは、ディフューザからブロワまで導管のバルブを通して周囲空気を吸い込むことを有してもよい。
【0076】
別の実施形態では、吹き込みステップと吸い込みステップは、シングルインペラブロワを動作させることを有する。吸い込みステップは、ディフューザから吸い込まれた空気を温度調節装置に通すことを含む。温度調節装置では、この方法は、温度調節装置の過剰熱を放散させることと、空気を温度調節することの両方を含む。一例では、放散ステップは空気をTEDの廃棄側を通すことを含み、温度調節ステップは空気をTEDの能動面に通すことを含む。更に、この方法は、放散させた空気を排気することと、温度調節された空気をディフューザに吹き込むことをそれぞれ含む。この実施形態では、吹き込みステップは、ディフューザからブロワまで導管のバルブを通して周囲空気を吸い込むことを有してもよい。
【0077】
別の実施形態では、吹き込みステップと吸い込みステップは、インペラの羽根が対向しているデュアルインペラブロワを動作させることを含む。吸い込みステップは、温度調節装置を通さずに、吸い込まれた空気を排気することを含む。吹き込みステップは、周囲空気を温度調節装置に通すことと、温度調節装置の過剰エネルギーを放散させ、通過された空気を温度調節することの両方を含む。更に、この方法は、放散させた空気を排気することと、温度調節された空気をディフューザに吹き込むことをそれぞれ含む。
【0078】
この方法では、吹き込みステップと吸い込みステップは、ディフューザの同じ区画または別の区画に空気を通すことを含みうる。
【0079】
好ましい実施形態において、本発明は、約80℃を超える温度から冷却を供給する。また、本発明は、約37℃以下、より好ましくは約27℃以下、最も好ましくは約25℃以下への冷却を供給する。これらの温度は、システムのどの部分のディフューザの空気温度、または座面の上またはその近くの温度を指すことができる。好ましい一実施形態では、本発明は、着席者が冷房をすぐに感じることができるように、冷却の初期バーストを供給する。初期バーストは、最低気温で安定するまで、好ましくは約5℃/分、約10℃/分、約15℃/分、約20℃/分、約25℃/分、および約35℃/分を超える割合である。
【0080】
別の実施形態では、この方法は、周囲空気に、ディフューザから吸い込み中の空気を混合することを有する。吸い込んだ空気を周囲空気と混合することによって、空気の温度を下げることができる。その時、混合した気流は、ディフューザから吸い込んだばかりの空気と比べて熱容量が高い。その後、混合空気は、TEDの廃棄側で、そこで発生する何らかの熱を放散させるために使用することができる。周囲空気と吸い込んだ空気の混合は、特に、吸い込んだ空気がTEDの廃棄側に供給される図1、2に示される方式に有用である。
【0081】
また、本発明は、車両シートを製造する方法も有する。一方法は、エアディフューザの下面にあるノズルを、クッションの貫通穴に打ち込まれたプラグの着席者側に挿入することによって、ディフューザを温度調節装置に接続することを有する。温度調節装置に案内する1本以上の導管に、プラグの下面にあるコネクタを接続することも更に有する。このようにして、複数の導管が、クッションおよび/またはシートパンの1つの孔を通って、ディフューザに接続されうる。
【0082】
別の方法は、ディフューザの下面に導管を取り付けることを有する。次に、この方法は、導管を配置することを有し、これは、クッションおよびシートパンの孔(存在する場合)にある通路内のテザーを含む。テザーと導管を温度調節装置のマニホルドに通すことで、ディフューザに温度調節装置が流体的に接続される。好ましくは、この方法は、導管が適切に配置されたことを、視覚的指標または他の指標が示すまで、テザーを引張ることを有する。また、この方法は、好ましくは、導管またはテザーにある係止装置を用いることにより、導管がマニホルドから出ることを防止するために、導管を適所に係止することを有する。この方法は、ある導管から別の導管への空気漏れを低減する、マニホルドから周囲への漏れを低減するか、この両方を行うために、マニホルドの1つ以上の壁に導管をシールすることを更に有しうる。このようにして、複数の導管が、クッションおよび/またはシートパンの1つの孔を通して、ディフューザに接続されうる。
【0083】
別の方法は、コネクタまたはプラグに取り付けられており、クッションのスロット内で摺動可能に保持された膜を引張ることを有する。引張ることで、コネクタまたはプラグがクッションの下面に対して押し付けられて、このためコネクタまたはプラグがシールされる。引張り前、引張り中、またはその後に、温度調節装置からの導管が、コネクタまたはプラグに取り付けられうる。
【0084】
別の方法は、互いに独立したベローズを用いることにより、吹き込み用の導管と吸い込み用の導管をディフューザの下面に取り付けることを有する。
【0085】
各製造方法は、ディフューザに導管を、整えられたカバーにディフューザを、クッションにディフューザを、シートパンにクッションを、温度調節装置に導管を、および/またはクッション、シートパン、シートフレーム等に温度調節装置を、それぞれ取り付けることを更に有しうる。適切な方法には、縫い止め、接着剤、両面テープ、フックおよびループファスナー、スナップフィットファスナー、位置決めピンなど、およびこれらの組合せがある。例えば、ディフューザが、整えられたカバー(例えばせん孔を施した革のカバー)などのシートの一部、またはシートのクッション(フォームなど)に固定されうる(例えば、縫い込まれるか、接着されるかほかの方法で取り付けられる)。一実施形態では、ディフューザはまず、整えられたカバーに固定され、次に、整えられたカバーとディフューザを併せたものがシートに固定される。別の実施形態では、整えられたカバーは、ディフューザが挿入されるポケットを有するように構成されていてもよい。別の実施形態では、シートの他の部分(カバー、フレームまたはクッションなど)にディフューザを取り付けるために、フックおよびループファスナーが使用されてもよいと考えられる。シートにディフューザを組立てるために、縫い止め、接着剤、スナップフィットファスナーまたは位置決めピン等の他の方法を使用してもよい。
【0086】
一般に、ディフューザを形成するために、上で説明したさまざまな層のディフューザを、さまざまな方式や方法に従って、さまざまな順序で組み合わせることができる。このため、さまざまな層と下位層を組み合わせる順序および組み合わせの方法は、このような順序または方法が具体的に請求されていない限り、本発明をいかなる形であれ限定してはならない。更に、層の数が上下しても、各層に含まれる下位層の数が上下してもよい。
【0087】
一般に、ディフューザの層の2つ以上を組立てるためには、積層工程が好ましい。2003年5月9日に提出された米国特許出願第10/434,890号(現在米国特許第6,893,086号として発行されている)には、本発明に従ってディフューザの層を組立てるための1つの好適な方法の説明が記載されており、これらは参照によりここに援用される。更に、ウェルディングを有する方法が特に好ましい。
【0088】
好ましくは、本発明のシステムは、輸送機械に使用されるシート(自動車の車両シートなど)に包含することができるが、このシステムは、机用の椅子、寝椅子などのさまざまな他のシートに使用することができる。他の適切な輸送機械には、クラス1〜8の自動車両、電車、海洋船舶(プレジャーボートなど)潜航艇、地下車両、固定翼および回転翼の航空機および/または何らかの軍用車両がある。本システムは、操作者(パイロットなど)、他の乗員または乗客のためのシートに使用することができる。
【0089】
下記に記載するディフューザおよびシステムの各種実施形態は、ディフューザおよび/またはシステムを通して連通された、温度調節された流体として、空気を利用する。しかし、これらの実施形態において、他の気体および/または液体を利用することができることを理解すべきである。更に、システムまたはシステムの部品に空気または流体を供給するために、ろ過装置および/または精製装置を使用することもできる。
【0090】
ここで説明した実施形態のほとんどが、冷却された空気をディフューザに供給するためにTEDを使用することを示したが、TEDまたは他の温度調節器を使用して、ディフューザまたはシートに温めた空気を供給してもよいことを理解すべきである。
【0091】
複数の部品またはステップの機能または構造を単一の部品またはステップにまとめることができ、また単一のステップまたは部品の機能または構造を複数のステップまたは部品に分けることが可能であることを更に理解されたい。特段の断りのない限り、ここに記載した各種実施形態の寸法および外形は本発明を限定することを意図したものではなく、ほかの寸法または外形も可能である。更に、本発明の特徴を、図示した実施形態のうちの1つのみにより記載した場合もあるが、任意の用途のために、このような特徴を別の実施形態のほかの特徴の1つ以上と組み合わせることができる。また、ここに記載した独自の構造の製造およびその操作も、本発明に係る方法を構成していることが、上記から理解されよう。本発明は更に、本発明の方法の実行から得られる中間製品および最終製品をも包含する。「有する(comprising)」または「含む(including)」との用語は、これらの用語が用いられた特徴が、「本質的にそれのみからなる(consist essentially of)」、または「それのみからなる(consist of)」実施形態を考慮している。
【0092】
「第1」および「第2」との文言の使用は、第1の項目と第2の項目のみからなる組合せに限定するように意図するものではない。これらが使用された場合であっても、本発明の主題が第3、第4またはそれ以上の項目を適切に含んでもよい。更に、「(メタ)アクリレート」との文言は、アクリレートとメタクリレートの両方を指す。更に、「1つ(a)」または、「1つ(one)」の要素またはステップの開示は、追加の要素またはステップを排除するものではない。範囲の前に「約」または「該」を使用した場合、下端と上端の両方を指しており、範囲が指定する量に境界制限されることを意図していない(例えば、「約1から3」は、「約1から約3」を含むものと意図される)。特に明記しない限り、または使用する文脈によって要求されない限り、ポリマーの「混合物」または「組合せ」は、このようなポリマーのアロイ、混合物または更にコポリマーを意図している。「有する(comprising)」、「持つ(having)」および「含む(including)」およびこれらの派生語は、より限定的な用語である「本質的にそれのみからなる(consist essentially of)」、または「それのみからなる(consist of)」も考慮している。
【0093】
上記の説明は説明を目的としたものであって、本発明を限定しようとするものでもない。当業者であれば、上記の説明を読み、記載された例のほかに、本発明をさまざまな形態に適合させ、応用することが可能である。したがって、本発明の範囲は、上記の説明を参照して決定されるものではなく、添付の特許請求の範囲を参照して、請求項が与える均等物の全ての範囲に沿って、解釈されるべきである。特許出願および公報を含む、全ての文献および参考資料の開示内容は、あらゆる目的のために、ここに援用される。ここに開示された主題の任意の態様を添付の特許請求の範囲から省略することは、このような主題の権利を放棄するものでも、本発明者がこのような主題が、開示された発明の主題の一部であると考慮しなかったものとみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第1実施形態を模式的に示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態を模式的に示す図である。
【図3】本発明の第3実施形態を模式的に示す図である。
【図4】シート内での本発明の一実施形態を示す図である。
【図5】本発明で有用なブロワの一実施形態を示す図である。
【図6】シートにおける本発明の別の一実施形態を示す図である。
【図7】本発明のプラグの実施形態を示す図である。
【図8】本発明のプラグの実施形態を示す図である。
【図9】本発明のプラグの実施形態を示す図である。
【図10】本発明の膜の実施形態を示す図である。
【図11】座席に取り付けられた本発明のテザーの実施形態を示す図である。
【図12】座席に取り付けられたテザーの実施形態の接近図である。
【図13】本発明のテザーの実施形態の各種態様を示す図である。
【図14】本発明のテザーの実施形態の各種態様を示す図である。
【図15】本発明のテザーの実施形態の各種態様を示す図である。
【図16】本発明のテザーの実施形態の各種態様を示す図である。
【図17】本発明のテザーの実施形態の各種態様を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物シートの温度を制御する方法であって、
乗物シート内のディフューザから少なくとも1つの第1導管を通して空気を吸い込むステップと、
熱電装置(TED)によって温度調整された空気を、少なくとも1つの第2導管を通して前記ディフューザに吹き込むステップとを含む方法。
【請求項2】
整えられたカバーを通して前記ディフューザに空気を吸い込むステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記整えられたカバーを通して着席者に空気を吹き出すステップを更に含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記TEDの能動側から前記ディフューザに空気を吹き出すステップを更に含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
冷却された空気を前記ディフューザに吹き込むステップを更に含む請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記吸い込みステップは、前記ディフューザと周囲空気入口とから空気を吸い込むステップを含む請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記周囲空気入口は、前記ディフューザから延びた前記少なくとも1つの第1導管に置かれる請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記周囲空気入口は、前記ブロワのハウジングに置かれる請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記吹き込みステップは、前記TEDの能動側および廃棄側に空気を排気するステップを含む請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記吹き込みステップは、前記TEDの前記廃棄側に、前記ブロアーハウジングの排気出口を通して空気を排気するステップを含む請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記吹き込みステップと吸い込みステップとは、ブロワのシングルインペラを作動させるステップを含む請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記吹き込みステップと吸い込みステップとは、空気をほぼ同じ方向に吹き込むために少なくとも2つのインペラを作動させるステップを含む請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記吹き込みステップと吸い込みステップとは、空気をほぼ異なる方向に吹き込むために少なくとも2つのインペラを作動させるステップを含む請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
スペーサ材料と、複数の換気口を有する上面とを有する開放端エアディフューザを有するエアディフューザを提供するステップを更に含む請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
スペーサ材料と、複数の換気口を有する上面とを有する密封端エアディフューザを有するエアディフューザを提供するステップを更に含む請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
吸い込みステップと前記吹き込みステップとは、空気の吹き込み先の区画とは流体的に接続されていない区画を通して空気を吸い込むステップを含む請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの第1導管に流体的に接続された少なくとも1つの区画から空気を吸い込んで、前記少なくとも1つの第2導管に流体的に接続された少なくとも1つの区画に空気を吹き出すステップを含む請求項1乃至16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記吹き込みステップまたは吸い込みステップは、少なくとも1つの分岐点を有する導管を通して空気を移動させるステップを更に含む請求項1乃至17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記ディフューザ内に電気加熱要素を設けるステップと、前記要素に電気信号を印加するステップとを更に含む請求項1乃至18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
シート換気装置であって、
スペーサ材料と、複数の換気口を有する着席者側とを有するエアディフューザと、
温度調節装置およびブロワを有する温度調節装置と、
前記ディフューザと前記ブロワの入口とに流体的に接続された第1導管と、
前記ディフューザと前記温度調節装置の出口とに流体的に接続された第2導管と、を有し、
前記ブロワは空気をその入口用に前記温度調節装置に移動させ、次に、前記温度調節装置の前記出口から前記ディフューザに移動させるシート換気装置。
【請求項21】
前記第2導管は、前記ディフューザに接続される少なくとも2本の副導管を提供するために、少なくとも1つの位置で分岐している請求項20に記載のシート換気装置。
【請求項22】
前記副導管が受容されるチャネルが画定されているシートクッションを更に有する請求項20または21に記載のシート換気装置。
【請求項23】
前記温度調節装置は、熱電装置(TED)である請求項20乃至22のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項24】
前記第2導管の少なくとも一部は、前記第1導管内に保持されている請求項20乃至23のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項25】
前記温度調節装置の前記出口と第1の分岐点との間における前記第2導管は可撓性部分を有する請求項20乃至24のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項26】
前記第1導管および前記第2導管の各々はベローズを有する請求項20乃至25のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項27】
前記ブロワと前記TEDとは互いに枢着されている請求項20乃至26のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項28】
前記ブロワと前記TEDとの間にある配管は可撓性を有する請求項20乃至27のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項29】
前記温度調節装置は前記シートのシートパンの下にある請求項20乃至28のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項30】
前記温度調節装置はスナップフィット接続によって前記シートパンに接続される請求項20乃至29のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項31】
前記シートパンは、その中を通って、前記シートの前記第1導管および前記第2導管の両方が前記シートパンを貫通する1つの孔を有する請求項20乃至30のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項32】
前記シートパンは、その中を通って、前記シートの前記第1導管および前記第2導管が前記シートパンを貫通する複数の孔を有する請求項20乃至31のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項33】
前記ブロワは1つの軸上にシングルインペラを有する請求項20乃至32のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項34】
前記ブロワは1つの軸上にディアルインペラを有する請求項20乃至33のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項35】
前記第1導管または前記第2導管はテザーを有する請求項20乃至34のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項36】
前記テザーは、前記導管の過度の取り付けを防止する止めを有する請求項20乃至35のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項37】
前記テザーは、前記第1導管または前記第2導管が適切に取り付けられていることを示す、前記クッションまたはシートパンの前記下面から目視可能な視覚的指標を有する請求項20乃至36のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項38】
前記テザーは係止装置を有する請求項20乃至37のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項39】
前記シートパンは、前記温度調節装置のマニホルドが取り付けられる開口部を有する請求項20乃至38のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項40】
前記テザーは、前記マニホルドの上部導管と下部導管を分離している壁の開口部を通され、前記下部導管の外壁を通される請求項20乃至39のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項41】
前記テザーを有する前記導管は、前記導管の取り付け後は、前記マニホルドの前記下部導管に1つ以上の開口部を有する請求項20乃至40のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項42】
前記ディフューザの下面に取り付けられたプラグを更に有する請求項20乃至34のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項43】
前記プラグは、前記クッションのまわりに前記ディフューザを取り付けるために、前記クッションの貫通穴に打ち込まれている請求項20乃至34または42のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項44】
前記プラグは、前記シートクッションのフォームとほぼ同じ密度のフォームを有する請求項20乃至34、42または43のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項45】
前記プラグは、前記第1導管または前記第2導管の1つ以上の少なくとも一部を形成する少なくとも1つの貫通穴を有する請求項20乃至34または42乃至44のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項46】
前記プラグは一方の導管の一部を形成する1つの貫通穴を有し、もう一方の導管が前記一方の導管に受容される請求項20乃至34または42乃至45のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項47】
前記プラグは2つの貫通穴を有し、その各々は、前記第1導管および前記第2導管の一部を形成している請求項20乃至34または42乃至46のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項48】
前記プラグは3つの貫通穴を有し、そのうちの2つは前記第1導管および前記第2導管の一部を形成しており、残りの貫通穴は残りの導管の一部を有する請求項20乃至34または42乃至47のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項49】
前記プラグは、前記プラグを、前記シートパン、前記シートクッション、導管またはこれらのうちの複数に接続しているプラグ取り付け装置を有する請求項20乃至34または42乃至48のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項50】
膜に取り付けられたコネクタを更に有し、前記膜は、前記クッションのスロット内に摺動可能に受容されている20乃至34のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項51】
前記膜は、前記クッションの着席者側から利用可能である20乃至34または50のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項52】
前記ディフューザは加熱要素を更に有する請求項20乃至51のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項53】
前記加熱要素はワイヤ加熱要素を有する請求項20乃至52のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項54】
前記加熱要素は、正温度係数加熱素子等の印刷された加熱素子を有する請求項20乃至53のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項55】
前記ディフューザは、接着剤によって層が付着された複数積層体を有する請求項20乃至54のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項56】
前記ディフューザは、赤外線、高周波、および/または超音波のウェルディングなどのウェルディングによって層が付着された複数積層体を有する請求項20乃至55のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項1】
乗物シートの温度を制御する方法であって、
乗物シート内のディフューザから少なくとも1つの第1導管を通して空気を吸い込むステップと、
熱電装置(TED)によって温度調整された空気を、少なくとも1つの第2導管を通して前記ディフューザに吹き込むステップとを含む方法。
【請求項2】
整えられたカバーを通して前記ディフューザに空気を吸い込むステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記整えられたカバーを通して着席者に空気を吹き出すステップを更に含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記TEDの能動側から前記ディフューザに空気を吹き出すステップを更に含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
冷却された空気を前記ディフューザに吹き込むステップを更に含む請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記吸い込みステップは、前記ディフューザと周囲空気入口とから空気を吸い込むステップを含む請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記周囲空気入口は、前記ディフューザから延びた前記少なくとも1つの第1導管に置かれる請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記周囲空気入口は、前記ブロワのハウジングに置かれる請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記吹き込みステップは、前記TEDの能動側および廃棄側に空気を排気するステップを含む請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記吹き込みステップは、前記TEDの前記廃棄側に、前記ブロアーハウジングの排気出口を通して空気を排気するステップを含む請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記吹き込みステップと吸い込みステップとは、ブロワのシングルインペラを作動させるステップを含む請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記吹き込みステップと吸い込みステップとは、空気をほぼ同じ方向に吹き込むために少なくとも2つのインペラを作動させるステップを含む請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記吹き込みステップと吸い込みステップとは、空気をほぼ異なる方向に吹き込むために少なくとも2つのインペラを作動させるステップを含む請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
スペーサ材料と、複数の換気口を有する上面とを有する開放端エアディフューザを有するエアディフューザを提供するステップを更に含む請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
スペーサ材料と、複数の換気口を有する上面とを有する密封端エアディフューザを有するエアディフューザを提供するステップを更に含む請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
吸い込みステップと前記吹き込みステップとは、空気の吹き込み先の区画とは流体的に接続されていない区画を通して空気を吸い込むステップを含む請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの第1導管に流体的に接続された少なくとも1つの区画から空気を吸い込んで、前記少なくとも1つの第2導管に流体的に接続された少なくとも1つの区画に空気を吹き出すステップを含む請求項1乃至16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記吹き込みステップまたは吸い込みステップは、少なくとも1つの分岐点を有する導管を通して空気を移動させるステップを更に含む請求項1乃至17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記ディフューザ内に電気加熱要素を設けるステップと、前記要素に電気信号を印加するステップとを更に含む請求項1乃至18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
シート換気装置であって、
スペーサ材料と、複数の換気口を有する着席者側とを有するエアディフューザと、
温度調節装置およびブロワを有する温度調節装置と、
前記ディフューザと前記ブロワの入口とに流体的に接続された第1導管と、
前記ディフューザと前記温度調節装置の出口とに流体的に接続された第2導管と、を有し、
前記ブロワは空気をその入口用に前記温度調節装置に移動させ、次に、前記温度調節装置の前記出口から前記ディフューザに移動させるシート換気装置。
【請求項21】
前記第2導管は、前記ディフューザに接続される少なくとも2本の副導管を提供するために、少なくとも1つの位置で分岐している請求項20に記載のシート換気装置。
【請求項22】
前記副導管が受容されるチャネルが画定されているシートクッションを更に有する請求項20または21に記載のシート換気装置。
【請求項23】
前記温度調節装置は、熱電装置(TED)である請求項20乃至22のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項24】
前記第2導管の少なくとも一部は、前記第1導管内に保持されている請求項20乃至23のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項25】
前記温度調節装置の前記出口と第1の分岐点との間における前記第2導管は可撓性部分を有する請求項20乃至24のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項26】
前記第1導管および前記第2導管の各々はベローズを有する請求項20乃至25のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項27】
前記ブロワと前記TEDとは互いに枢着されている請求項20乃至26のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項28】
前記ブロワと前記TEDとの間にある配管は可撓性を有する請求項20乃至27のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項29】
前記温度調節装置は前記シートのシートパンの下にある請求項20乃至28のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項30】
前記温度調節装置はスナップフィット接続によって前記シートパンに接続される請求項20乃至29のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項31】
前記シートパンは、その中を通って、前記シートの前記第1導管および前記第2導管の両方が前記シートパンを貫通する1つの孔を有する請求項20乃至30のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項32】
前記シートパンは、その中を通って、前記シートの前記第1導管および前記第2導管が前記シートパンを貫通する複数の孔を有する請求項20乃至31のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項33】
前記ブロワは1つの軸上にシングルインペラを有する請求項20乃至32のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項34】
前記ブロワは1つの軸上にディアルインペラを有する請求項20乃至33のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項35】
前記第1導管または前記第2導管はテザーを有する請求項20乃至34のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項36】
前記テザーは、前記導管の過度の取り付けを防止する止めを有する請求項20乃至35のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項37】
前記テザーは、前記第1導管または前記第2導管が適切に取り付けられていることを示す、前記クッションまたはシートパンの前記下面から目視可能な視覚的指標を有する請求項20乃至36のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項38】
前記テザーは係止装置を有する請求項20乃至37のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項39】
前記シートパンは、前記温度調節装置のマニホルドが取り付けられる開口部を有する請求項20乃至38のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項40】
前記テザーは、前記マニホルドの上部導管と下部導管を分離している壁の開口部を通され、前記下部導管の外壁を通される請求項20乃至39のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項41】
前記テザーを有する前記導管は、前記導管の取り付け後は、前記マニホルドの前記下部導管に1つ以上の開口部を有する請求項20乃至40のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項42】
前記ディフューザの下面に取り付けられたプラグを更に有する請求項20乃至34のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項43】
前記プラグは、前記クッションのまわりに前記ディフューザを取り付けるために、前記クッションの貫通穴に打ち込まれている請求項20乃至34または42のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項44】
前記プラグは、前記シートクッションのフォームとほぼ同じ密度のフォームを有する請求項20乃至34、42または43のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項45】
前記プラグは、前記第1導管または前記第2導管の1つ以上の少なくとも一部を形成する少なくとも1つの貫通穴を有する請求項20乃至34または42乃至44のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項46】
前記プラグは一方の導管の一部を形成する1つの貫通穴を有し、もう一方の導管が前記一方の導管に受容される請求項20乃至34または42乃至45のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項47】
前記プラグは2つの貫通穴を有し、その各々は、前記第1導管および前記第2導管の一部を形成している請求項20乃至34または42乃至46のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項48】
前記プラグは3つの貫通穴を有し、そのうちの2つは前記第1導管および前記第2導管の一部を形成しており、残りの貫通穴は残りの導管の一部を有する請求項20乃至34または42乃至47のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項49】
前記プラグは、前記プラグを、前記シートパン、前記シートクッション、導管またはこれらのうちの複数に接続しているプラグ取り付け装置を有する請求項20乃至34または42乃至48のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項50】
膜に取り付けられたコネクタを更に有し、前記膜は、前記クッションのスロット内に摺動可能に受容されている20乃至34のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項51】
前記膜は、前記クッションの着席者側から利用可能である20乃至34または50のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項52】
前記ディフューザは加熱要素を更に有する請求項20乃至51のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項53】
前記加熱要素はワイヤ加熱要素を有する請求項20乃至52のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項54】
前記加熱要素は、正温度係数加熱素子等の印刷された加熱素子を有する請求項20乃至53のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項55】
前記ディフューザは、接着剤によって層が付着された複数積層体を有する請求項20乃至54のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【請求項56】
前記ディフューザは、赤外線、高周波、および/または超音波のウェルディングなどのウェルディングによって層が付着された複数積層体を有する請求項20乃至55のいずれか一項に記載のシート換気装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2008−529894(P2008−529894A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555731(P2007−555731)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【国際出願番号】PCT/IB2006/001671
【国際公開番号】WO2006/117690
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(504135893)べー.エー.テー. オートモーティブ システムズ アーゲー (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【国際出願番号】PCT/IB2006/001671
【国際公開番号】WO2006/117690
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(504135893)べー.エー.テー. オートモーティブ システムズ アーゲー (10)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]