説明

乗物玩具

【課題】 乗物本体の感触の良さと、台車として必要な強度の両方を確保できる乗物玩具を提供する。
【解決手段】 乗物玩具1は、乗物本体2を中空の軟質樹脂で成形するとともに、台車3、4を硬質樹脂で成形して乗物本体2の前後部に着脱自在に取り付けてある。前後の台車3、4には乗物連結具7を設けてある。乗物本体2の底面に一対の孔5,5を設け、これら孔5、5に台車3、4の爪13、14を係合させてある。また、台車3は、一対の車輪6、6と、一対の車輪を連結するシャフト61と、シャフト61の中央付近に設けられ、シャフト61の中心付近の移動を規制する第1規制部23と、シャフト61の端部付近に設けられ、シャフト61の端部付近の移動を許容する第2規制部24、25と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乗物玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から様々な車両などの乗物玩具が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1の乗物玩具は、曲げ加工される一つ以上の係止片が設けられた金属製の第一部材と、係止片が係止する係止部が設けられた第二部材とを備え、第二部材には、玩具組立て時において係止片の露出を防ぐ保護凸部が係止部の周縁に設け、使用時に、玩具を構成する部材の連結部に衣服の繊維が引っ掛ってしまったり、部材の鋭利な切断面で手を傷つけてしまったりすることを防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−33670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の乗物玩具は、通常、子供が乗物を握って移動させるため、金属等の硬いもので形成すると、触ったときの感触が悪く、場合によっては危険を伴う。このため、乗物を柔らかい材料で作ることも考えられるが、車輪等を含む台車部分を感触が良い柔らかい材料で作った場合、台車部分の強度が不足してしまう。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑み、乗物本体の感触の良さと、台車として必要な強度を確保できる乗物玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の乗物玩具は、軟質樹脂で成形された乗物本体と、乗物本体の底面に形成された開口と、乗物本体の開口に着脱自在に取り付けられ、乗物本体より硬質な硬質樹脂で成形された台車と、を有する。
【0007】
本発明の乗物玩具において、乗物本体は、少なくとも2つの開口を有し、台車は、少なくとも2つの開口にそれぞれ嵌合する少なくとも2つの爪部を有し、爪部の少なくとも1つは、台車に対し移動可能に取り付けられていることが好ましい。また、本発明の乗物玩具において、台車は、一対の車輪と、一対の車輪を連結するシャフトと、シャフトの中央付近に設けられ、シャフトの中心付近の移動を規制する第1規制部と、シャフトの端部付近に設けられ、シャフトの端部付近の所定範囲の移動を許容する第2規制部と、を有することが好ましい。
【0008】
本発明の乗物玩具において、台車は、他の乗物玩具と連結する乗物連結具を有し、乗物連結具は、一端にテーパー部が設けられており、台車に回動自在に支持されていることが好ましい。また、本発明の乗物玩具において、乗物連結具は、前後方向に移動させて乗物本体の下方に格納可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、乗物本体が軟質樹脂で成形される一方、台車は乗物本体より硬質な硬質樹脂で成形されるので、乗物本体の感触の良さと、台車として必要な強度の両方を確保することができる。また、乗物本体から台車を取り外して遊ぶことができ、玩具としての多様性がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の乗物玩具の側面図である。
【図2】図1の乗物本体から台車を取り外して示す底面図である。
【図3】図1の乗物本体から取り外した前側の台車の平面図である。
【図4】図3の側面図である。
【図5】図3の台車から分離した上部アッセンブリを示す平面図である。
【図6】図3の台車から分離した下部アッセンブリを示す平面図である。
【図7】図3のB−B線断面図である。
【図8】図1のA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本実施の形態における乗物玩具の側面図である。図1に示すように、乗物玩具1は、乗物本体2と、前後一対の台車3、4とを備え、これら台車3、4を乗物本体2に着脱自在に取り付けてある。乗物本体2は、ソフトビニール等の軟質樹脂で中空形状に形成されている。本実施の形態において、台車3、4は、乗物本体2よりも硬い硬質樹脂で形成されている。硬質樹脂としては、例えばABS樹脂(アクリロニトリル (Acrylonitrile)、ブタジエン (Butadiene)、スチレン (Styrene)共重合合成樹脂)を使用することができる。なお、乗物本体は必ずしも中空形状でなくとも、台車を取り付け可能な開口が設けられていれば限定されるものではないが、ソフトビニールで作成した場合、中空形状のほうがさわり心地の良さや軽さの面で好ましい。
【0012】
図2は図1の乗物本体から台車を取り外した際の底面図である。図2に示すように、乗物本体2の底面には、矩形の開口5を2個1組で前後に2組形成してある。この開口5に台車3、4が着脱可能に固定される。
【0013】
図3は、図1の乗物本体から取り外した前側の台車の平面図、図4は図3の側面図である。図1、図3及び図4に示すように、前後の台車3、4は、車輪6と乗物連結具7を備えている。前側の台車3の乗物連結具7は、先端部に切欠孔8を設けてあるのに対し、後側の台車4の乗物連結具7は先端部に突起9を設けてある。本実施の形態における前後の台車3、4において、乗物連結具7の構造以外はほぼ同様であるので、以下、前側の台車3の構造について説明する。
【0014】
図5は、図3の前側の台車3から分離した上部アッセンブリを示し、図6は、同下部アッセンブリを示している。図7は、図3のB−B線断面図である。図3〜図7に示すように、台車3は、上部ハウジング10aと下部ハウジング10bを3本のビス11で結合してハウジング10を構成し、その内部に左右の車輪6を軸61で連結してなる車輪アセンブリ12を収容してある。本実施の形態において、上部ハウジング10aの上面には前後一対の爪13、14を設けてある(図3参照)。このうち、前側の爪13は上部ハウジング10aに固設してあるのに対し、後側の爪14は上部ハウジング10aに対し前後方向に移動可能に組み付けてある。
【0015】
後側の爪14は、上部ハウジング10aのガイド部10c内に移動可能に配設された摺動部材15と一体成形してある。この摺動部材15はスプリング17により付勢されて常時はガイド部10cの後端に押し付けられ、その後端に設けた操作ボタン16を上部ハウジング10aの孔10fから突出させている(図5参照)。操作ボタン16を押し込むと、摺動部材15がスプリング17の付勢力に抗して前方へ移動する。
【0016】
これにより、後側の爪14が前方へ移動し、前後の爪13、14が乗物本体2の一組の孔5、5に挿入可能な状態になる。本実施の形態では、この状態でまず爪13を開口5に挿入し、その後、爪14を開口5に挿入し(爪14は前方へ移動することにより挿入する際には開口5に接触しないような位置にある)、操作ボタン16を放すと、摺動部材15がスプリング17により付勢されて後方へ移動するので、爪13、14の先端が孔5、5の周縁に係合し、台車3が乗物本体2に固定される。台車3を乗物本体2から取り外す場合は、操作ボタン16を押し込み、爪14の孔5に対する係合を解除すればよい。
【0017】
このように、台車3の爪部の一方を移動可能にすることで、対向側の乗物本体へのダメージを低減することができる。すなわち、本実施の形態において、乗物本体2は軟質樹脂で形成されているため、台車3の爪部が台車3に固定されている(移動可能でない)場合でも、乗物本体に押し込むことで、台車3を乗物本体2に固定することは可能である。しかし、その場合、台車3の爪部を乗物本体2の開口5に無理やり押し込むことになるので、開口5が広がり台車3の保持力が低下するおそれや、破壊されてしまう可能性がある。しかしながら、本実施の形態のように、台車3の爪部の一方を移動し、乗物本体2に台車3を取り付ける際、一方の爪部が開口5に当たらないようすることで、台車3の保持力の低下や、乗物本体2が破壊されるおそれを低減することができる。なお、本実施の形態では、台車3の爪部を2つ設ける場合を説明したが、必ずしもこれに限定されることはなく、爪部は3つ以上であってもよい。爪部が3つであった場合は、そのうちの少なくとも1つの爪部が台車に対して移動可能とすればよい。
【0018】
図6に示すように、下部ハウジング10bには、一対の車輪6、6が移動可能な開口21、22が形成されている。開口21、22は、各車輪6、6に対応してそれぞれ円弧状に下部ハウジング10bに形成されている。一対の車輪6、6は、シャフト61によって連結されており、車輪6、6が回転することでシャフト61も回転するようになっている。下部ハウジング10bには、シャフト61の中央付近に対応して設けられ、シャフト61の中心付近の移動を所定の範囲に規制する第1規制部23と、シャフト61の端部付近に設けられ、端部付近におけるシャフト61の所定範囲の移動を許容する第2規制部24、25が形成されている。
【0019】
第1規制部23と第2規制部24、25は、ともに下部ハウジング10bを切り欠いて形成されており、第1規制部23は、小さく切り欠かれているのに対して、第2規制部24、25は、第1規制部23よりも大きく切りかかれている。このため、シャフト61の中心付近の移動は、第1規制部23によって規制され、シャフト61は第1規制部23付近を中心に回転し、シャフト61の端部は、第2規制部24、25によって切り欠きの範囲内を移動可能となる。これにより車輪6、6は、開口21、22内を自由に移動することができる。これにより、乗物玩具は、直進方向への移動だけではなく、カーブや右左折の移動もスムーズに行うことが可能である。なお、本実施の形態において、第1の規制部23と第2の規制部24、25は、下部ハウジング10bを切り欠いて形成しているがこれに限られることはなく、シャフト61の移動範囲を規制可能なものであり、第1の規制部付近におけるシャフト61の移動可能範囲より、第2の規制部付近におけるシャフト61の移動可能範囲を大きくするものであれば特に限定されない。
【0020】
乗物連結具7は、一端に切欠孔8を有するロッド部7aと、ロッド部7aの他端に設けたハブ部7bとを備えている(図5、図7参照)。ハブ部7bはロッド部7aの長手方向に沿って形成してあり、その内部の長孔7cには、ビス11を挿通するためのボス部18を挿入してある(図5、図7参照)。乗物連結具7は上部ハウジング10aに対し前後に移動可能に組み付けてあり、ハブ部7bの後端部を上部ハウジング10aの回動規制部10dに収容させた状態で台車3に格納される。
【0021】
乗物連結具7の格納時には、ハブ部7bが上部ハウジング10aの回動規制部10dに係合し、乗物連結具7の回動は阻止される(図5参照)。ここで乗物連結具7を前方へ引き出すと、ハブ部7bが回動規制部10dから外れ、乗物連結具7はボス部18を支点として回動可能になる。また、長孔7cの周面には縊れ部7dを形成してあるので、乗物連結具7の出し入れに際し、縊れ部7dがボス部18に摺接し、そのクリック感に似た感触が手に伝わるので、操作に爽快感をもたせることができる。
【0022】
また、図7に示すように、ハブ部7bは上端面に上部ハウジング10aに対して離れる方向に傾斜するテーパー部7eが形成され、乗物連結具7に上下方向の遊びを持たせてある。このため、ロッド部7aの先端が乗物本体2からあまり前方に突出していなくても、図7に2点鎖線で示すように、ロッド部7aの先端を下方へ揺動させると、ロッド部7aの先端を摘まみ易くなり、乗物連結具7のセットが楽になる。一方、乗物連結具7を引き出してセット状態にすると、ハブ部7bが下部ハウジング10bの舌片10eから前方に突出し、乗物連結具7の大きな揺動が可能になる。このため、他の乗物を連結して走行する際の、段差の乗り越えが容易になる。なお、本実施の形態では、ハブ部7bは上端面にテーパー部を設けているがこれに限られるものではなく、ハブ部7bの下端側に設けてもよいし、上端および下端側に設けてもよい。
【0023】
この乗物玩具1は、乗物本体2を中空の軟質樹脂で成形する一方、台車3、4は、乗物本体2より硬質な硬質樹脂で成形してあるので、乗物本体2の感触の良さと、台車3、4として必要な強度の両方を確保することができる。さらに、乗物本体2から台車3、4を取り外して遊ぶことができ、玩具としての多様性がある。
【0024】
また、乗物本体2に台車3、4を固定するロック機構は、中空成形された乗物本体2に孔5を一対設け、これら孔5に間隔可変の爪13、14を係合させるだけの簡単な構造であるので、部品点数が少なくて済み、コスト的に有利である。
【0025】
また、乗物連結具7により他の乗物を連結することができるので、玩具としての多様性がある。また、ハブ部7bの端面にテーパー部7eを形成して乗物連結具7に遊びを持たせてあるため、格納状態の乗物連結具7の先端が摘まみ易く、操作性が良い。一方、乗物連結具7を引き出してセット状態にすると、乗物連結具7が大きく上下に揺動できる状態なるため、他の乗物を連結して走行する際の、段差の乗り越えが容易になる。
【0026】
以上、本発明の一実施形態例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、乗物玩具の例として鉄道車両を例に説明した本発明の乗物玩具はこれには限定されない。また、乗物本体2の前後部に台車3、4を設けてあるが、これらの台車3、4は一体にしてもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 乗物玩具
2 乗物本体
3 台車
4 台車
5 開口
6 車輪
7 乗物連結具
13 爪
14 爪
16 操作ボタン
17 スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質樹脂で成形された乗物本体と、
前記乗物本体の底面に形成された開口と、
前記乗物本体の開口に着脱可能に取り付けられ、前記乗物本体より硬質な硬質樹脂で成形された台車と、
を有する乗物玩具。
【請求項2】
請求項1において、
前記乗物本体は、少なくとも2つの前記開口を有し、
前記台車は、少なくとも2つの前記開口にそれぞれ嵌合する少なくとも2つの爪部を有し、前記爪部の少なくとも1つは、前記台車に対し移動可能に取り付けられている乗物玩具。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記台車は、
一対の車輪と、
前記一対の車輪を連結するシャフトと、
前記シャフトの中央付近に設けられ、前記シャフトの中心付近の移動を規制する第1規制部と、
前記シャフトの端部付近に設けられ、前記シャフトの端部付近の所定範囲内の移動を許容する第2規制部と、
を有する乗物玩具。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
前記台車は、他の乗物玩具と連結する乗物連結具を有し、
前記乗物連結具は、一端の上面または下面にテーパー部が形成されており、前記台車に回動可能に支持されている乗物玩具。
【請求項5】
請求項4において、
前記乗物連結具は、前後方向に移動させて前記乗物本体の下方に格納可能である乗物玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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