乗用型作業機の操縦部構造
【課題】乗用型作業機のエンジンの上部を容易に解放してメンテナンスを行い易くする。
【解決手段】機体(A)の内側の部位に第一支持アーム(6)の一端側を第一縦軸(9)で軸着し、第一支持アーム(6)の他端側を操縦部(20)に第ニ縦軸(10)で軸着し、機体(A)の外側の部位に第二支持アーム(7)の一端側を第三縦軸(11)で軸着し、第ニ支持アーム(7)の他端側を操縦部(20)の前記第二縦軸(10)よりも外側の部位に第四縦軸(12)で軸着し、第二支持アーム(7)に操縦部(20)の下部を支持するローラ(26)を設ける。
【解決手段】機体(A)の内側の部位に第一支持アーム(6)の一端側を第一縦軸(9)で軸着し、第一支持アーム(6)の他端側を操縦部(20)に第ニ縦軸(10)で軸着し、機体(A)の外側の部位に第二支持アーム(7)の一端側を第三縦軸(11)で軸着し、第ニ支持アーム(7)の他端側を操縦部(20)の前記第二縦軸(10)よりも外側の部位に第四縦軸(12)で軸着し、第二支持アーム(7)に操縦部(20)の下部を支持するローラ(26)を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインや各種収穫機などの乗用型作業機の操縦部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗用型作業機であるコンバインは、機体の右前部にオペレータが搭乗する乗用ステップを設け、この乗用ステップの前側に操縦部を設け、乗用ステップの後方に配置するエンジンの上部をエンジンカバーで覆い、エンジンカバー上に操縦座席を設ける配置構成となっている。
【0003】
そして、エンジンのメンテナンスを行い易くするために、乗用ステップと操縦部とエンジンカバーを一体的に組み付けた操縦部フレームを前側の軸着軸を中心に前方へ引き起こしたり操縦部フレームの右後部に設ける縦軸を中心に右側方へ回動したりしてエンジンの上部を開放するようにしている。
【0004】
例えば、特開2007−37460号公報には、乗用ステップと操縦部とエンジンカバー等を一体にした操縦部フレームを、エンジンよりもコンバイン機体横方向でのコンバイン機体外方側に配置した上下向きの軸芯まわりに側方へ回動してエンジンの上部を開放できるようにした構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−37460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のエンジン上部の開放構成は、乗用ステップと操縦部とエンジンカバー等を一体にした操縦部フレームを機体フレームに設けた一本の上下向きの軸着軸で支持する構成のために、一点支持となる操縦部フレームを強度のある構成にしなければならず重量物となる。また、コンバインはエンジンの後方に収穫穀粒を一時的に貯留するグレンタンクを設けているために、このグレンタンクを避けてエンジン上方を開放するためには軸着軸を機体フレームのかなり外側に設ける必要があり、このために機体幅が広くなる。
【0007】
そこで、本発明では、乗用ステップの前方に操縦部を立設すると共に乗用ステップの後方にエンジンを配置した乗用型作業機で、エンジンの上部を開放してメンテナンス作業が行い易くする構成を比較的簡単な構成で楽に開放操作できるようにすることが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題は次の構成によって達成される。
すなわち、機体(A)の内側の部位に第一支持アーム(6)の一端側を第一縦軸(9)で軸着し、該第一支持アーム(6)の他端側を操縦部(20)に第ニ縦軸(10)で軸着し、機体(A)の外側の部位に第二支持アーム(7)の一端側を第三縦軸(11)で軸着し、該第ニ支持アーム(7)の他端側を操縦部(20)の前記第二縦軸(10)よりも外側の部位に第四縦軸(12)で軸着し、前記第二支持アーム(7)に操縦部(20)の下部を支持するローラ(26)を設け、前記操縦部(20)を、機体(A)に搭載したエンジン(25)の上側の位置から機体(A)の外側方へ移動自在に支持したことを特徴とする乗用型作業機の操縦部構造とした。
【0009】
この構成で、操縦部(20)が第一支持アーム(6)と第二支持アーム(7)の二本の支持アーム、及び第二支持アーム(7)に設けたローラ(26)で強固に機体(A)側に支持され、該操縦部(20)を機体(A)の外側へ大きく移動出来てエンジン(25)の上部が広く開放される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、操縦部(20)が第一支持アーム(6)と第二支持アーム(7)及び第二支持アーム(7)に設けたローラ(26)で強固に支持され、エンジン(25)の上側に配置された操縦部(20)が機体(A)の外側方へ大きく移動してエンジン(25)周りを広く開放出来るので、エンジン(25)とその周りの動力伝動機構のメンテナンスを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明実施例のコンバイン全体を示す平面図である。
【図2】一部の拡大平面図である。
【図3】操縦部フレームを移動した拡大平面図である。
【図4】一部の拡大左側面図である。
【図5】一部の拡大正面図である。
【図6】一部の拡大右側面図である。
【図7】一部の拡大正断面図である。
【図8】一部の拡大左側断面図である。
【図9】一部の平断面図である。
【図10】一部の拡大正断面図である。
【図11】一部の拡大右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
本明細書では、左側及び右側とはコンバインが前進する方向に向いたときの方向を言う。
【0013】
図1は、コンバインの平面図で、機体の最前部に刈取装置15を設け、この刈取装置15で刈り取った穀稈を機体の左側に設ける脱穀装置16へ搬送する穀稈搬送装置17を設け、機体の右側にオペレータが搭乗する乗用ステップ1と操向レバー18を立設するフロント操作パネル2や変速レバー19を立設するサイド操作パネル4と操縦席24を設けたエンジンカバー3からなる操縦部20を設け、操縦部20を覆うキャビン27を設けて、機体Aを構成している。この操縦部20の後側に収穫穀粒を貯留するグレンタンク21を設け、グレンタンク21の後部から立ち上げた揚穀筒22に連接して起伏可能に穀粒排出オーガ23を設けている。操縦部20の下部にエンジン25を搭載している。
【0014】
図2と図3に示す如く、乗用ステップ1とフロント操作パネル2とサイド操作パネル4とエンジンカバー3からなる操縦部20は、四角形に組んだ操縦部フレーム5上に設けている。また、乗用ステップ1に乗り上がる際に使用する補助ステップ36を操縦部フレーム5に取り付け、操縦部フレーム5を側方へ引き出した際にもこの補助ステップ36を使って乗り上がることが出来るようにしている。この補助ステップ36は側方へ張り出した状態と上方へ折り畳んだ状態に出来るようにしている。
【0015】
操縦部フレーム5は、操縦部20の前側の左右略中央位置に第四縦軸12を設け、この第四縦軸12と機体フレーム8の右側端部に設ける第三縦軸11とをL字状の第二支持アーム7で連結し、操縦部フレーム5の左側部前寄りの部位に第二縦軸10を設け、この第二縦軸10と機体フレーム8の前記第三縦軸11よりも機体内側の位置に設ける第一縦軸9とをL字状の第一支持アーム6で連結している。第二支持アーム7には操縦部フレーム5の下面を受けるローラ26を設けている。このローラ26は、操縦部フレーム5を外側方へ引き出す際に該操縦部フレーム5の下面を支持し、第二支持アーム7の先端部の第四縦軸12に掛かる負荷を軽減するためのものである。
【0016】
操縦部フレーム5を機体フレーム8上の正規位置に固定してコンバインを使用するのであるが、エンジンやその周りをメンテナンスする際には、操縦部フレーム5の固定を解除して右側方へ横移動する。この操縦部フレーム5の横移動は、グレンタンク21に当接しない位置で一旦移動を停止し、グレンタンク21を側方へ回動した後にさらに外方へ移動可能にしている。
【0017】
図6と図7に示す如く、サイド操作パネル4に設ける走行用変速レバー19は、その基部を湿式オイルディスク37の回動プレート42に前後回動するように取り付けている。そして、回動プレート42の動きを第一ポテンショメータ38と第二ポテンショメータ39で検出し、その検出信号をコントローラに送って油圧変速装置を変速作動させる。湿式オイルディスク37は、走行用変速レバー19に回動抵抗を変更出来るようにしたもので、操縦席24側からオイル孔45へ注油し、調整ナット44を絞め込むことによって回動抵抗を強く出来る。また、湿式オイルディスク37を取り付けた取付ブラケット40は、取付上面に回動プレート42を突出させるスリットを設けただけでサイド操作パネル4の下側取付面41にボルト43で取り付けているので、外部への開口部が少なく、湿式オイルディスク37や第一ポテンショメータ38と第二ポテンショメータ39に塵埃が侵入することが無い。また、第一ポテンショメータ38と第二ポテンショメータ39は、湿式オイルディスク37と共に取付ブラケット40に取り付けた後にサイド操作パネル4に取り付けるので、サイド操作パネル4に取り付ける前にセンサー調整やシグナルチェックが行えて楽である。
【0018】
このように、サイド操作パネル4に設ける走行用変速レバー19等の操縦操作具を操作対象と通信ケーブルで連結していることによって、サイド操作パネル4を操縦部フレーム5に取り付けたままで操縦部フレーム5を支障なく側方へ引き出せるようになる。
【0019】
図8は、駐車ブレーキペダル48の取付構成を示している。
機体フレーム8側に取り付けた補助ステップ47に駐車ブレーキペダル48を駐車ペダル軸49で軸着し、この駐車ブレーキペダル48の後端をブレーキロッド50と引張ばね55でミッションケース57のブレーキドラム46のブレーキアーム56と連結し、駐車ブレーキペダル48の前側を踏み込むと駐車ブレーキが作用するようにしている。
【0020】
駐車ブレーキペダル48の前後中間部に下方へ向けてフック53を設け、このフック53と駐車ブレーキペダル48の先端に軸着したロック解除片51を解除ロッド52で連結し、駐車ブレーキペダル48を踏み込むとフック53が補助ステップ47のピン54に係合して踏み込み状態を保持して駐車ブレーキ作用を保持する。そして、ロック解除片51を踏むとフック53がピン54から外れて駐車ブレーキペダル48が元に戻って駐車ブレーキ解除となる。この駐車ブレーキペダル48は、機体フレーム8側に取り付けているので、操縦部フレーム5を外方に移動してもそのままの位置に残ることになる。
【0021】
そして、操縦部フレーム5は通常図2に示す位置に固定して使用するが、メンテナンス作業時には、図3の如く、操縦部フレーム5の前側が大きく後側が小さく回動して側方へ引き出して機体フレーム8の上部を開放する。この操縦部フレーム5を側方へ引き出した状態で、第二支持アーム7が操縦部フレーム5の下部に収まり、側方へ張り出さないので、メンテナンス作業の邪魔にならない。
【0022】
操縦部フレーム5の側方引出位置は、通常位置のグレンタンク21に当接しない第一引出位置で一旦開きを停止し、グレンタンク21を側方へ逃がしてさらに大きく側方へ引き出す第二引出位置で固定できるようにしている。
【0023】
この開放された機体フレーム8側にはエンジン25を搭載し、ラジエータ14の上方も開放される。エンジン25を機体フレーム8から降ろす場合には、操縦部フレーム5を別に用意する支持台に載せて支持し、第一支持アーム6を取り外した後にエンジン25をクレーンで吊り下げることになる。
【0024】
また、機体フレーム8の右前方における油圧ブロック28を取り付けた補助フレーム29を取り外し可能にしているので、エンジン25周りのメンテナンス時に取り外すと作業が容易になる。この補助フレーム29の前方で機体フレーム8に燃料フィルタ32とサクションフィルタ33とHSTサクションフィルタ34とHSTラインフィルタ35を集中的に配置しているので、これらのメンテナンスも操縦部フレーム5を側方へ引き出すと容易に出来る。
【0025】
また、操縦部フレーム5を側方へ引き出すと、エンジン25の上部に在るエアークリナー30とその前側に設ける電装品収納室31が露出されるので、エンジンやその他の自動制御用コントローラ等の点検・修理が容易になる。この電装品収納室31は、広い空間が確保されているので、電装品を集中的に配置すること可能で、操縦部フレーム5を所定位置に固定した状態で、エンジンカバー3に設ける操縦席24後部の点検窓から点検できる。
【0026】
図9は、機体フレーム8の後部を示し、機体フレーム8の左右サイドフレーム60,61を連結して第一後部フレーム62と第二後部フレーム63を設け、この第一後部フレーム62と第二後部フレーム63の間に燃料タンク64と補助燃料タンク65を設け、さらに、第一後部フレーム62と第二後部フレーム63を連結フレーム67で連結し、揚穀筒22のオーガメタル66を取り付けている。
【0027】
第二後部フレーム63は、燃料タンク64と補助燃料タンク65の底面よりも下側に位置しているために、燃料タンク64と補助燃料タンク65の後部が直接衝突するのを防いだり地面に衝突するのを防いだりする。
【0028】
図10と図11は、機体フレーム8とクローラ走行装置69のクローラフレーム70をピッチングメタル71で連結した部分の補強構成を示している。
機体フレーム8の左右サイドフレーム60,61を横フレーム72で連結し、左右サイドフレーム60,61の下面に位置するメタル取付プレート74を左右サイドフレーム60,61の内側で横フレーム72と左右サイドフレーム60,61に一体的に連結する補強部材73で連結している。
【0029】
この構成で、左右サイドフレーム60,61と横フレーム72とメタル取付プレート74が補強部材73で強固に連結され、旋回時の横方向荷重に対しても強くなる。
【符号の説明】
【0030】
6 第一支持アーム
7 第二支持アーム
9 第一縦軸
10 第二縦軸
11 第三縦軸
12 第四縦軸
20 操縦部
25 エンジン
26 ローラ
A 機体
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインや各種収穫機などの乗用型作業機の操縦部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗用型作業機であるコンバインは、機体の右前部にオペレータが搭乗する乗用ステップを設け、この乗用ステップの前側に操縦部を設け、乗用ステップの後方に配置するエンジンの上部をエンジンカバーで覆い、エンジンカバー上に操縦座席を設ける配置構成となっている。
【0003】
そして、エンジンのメンテナンスを行い易くするために、乗用ステップと操縦部とエンジンカバーを一体的に組み付けた操縦部フレームを前側の軸着軸を中心に前方へ引き起こしたり操縦部フレームの右後部に設ける縦軸を中心に右側方へ回動したりしてエンジンの上部を開放するようにしている。
【0004】
例えば、特開2007−37460号公報には、乗用ステップと操縦部とエンジンカバー等を一体にした操縦部フレームを、エンジンよりもコンバイン機体横方向でのコンバイン機体外方側に配置した上下向きの軸芯まわりに側方へ回動してエンジンの上部を開放できるようにした構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−37460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のエンジン上部の開放構成は、乗用ステップと操縦部とエンジンカバー等を一体にした操縦部フレームを機体フレームに設けた一本の上下向きの軸着軸で支持する構成のために、一点支持となる操縦部フレームを強度のある構成にしなければならず重量物となる。また、コンバインはエンジンの後方に収穫穀粒を一時的に貯留するグレンタンクを設けているために、このグレンタンクを避けてエンジン上方を開放するためには軸着軸を機体フレームのかなり外側に設ける必要があり、このために機体幅が広くなる。
【0007】
そこで、本発明では、乗用ステップの前方に操縦部を立設すると共に乗用ステップの後方にエンジンを配置した乗用型作業機で、エンジンの上部を開放してメンテナンス作業が行い易くする構成を比較的簡単な構成で楽に開放操作できるようにすることが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題は次の構成によって達成される。
すなわち、機体(A)の内側の部位に第一支持アーム(6)の一端側を第一縦軸(9)で軸着し、該第一支持アーム(6)の他端側を操縦部(20)に第ニ縦軸(10)で軸着し、機体(A)の外側の部位に第二支持アーム(7)の一端側を第三縦軸(11)で軸着し、該第ニ支持アーム(7)の他端側を操縦部(20)の前記第二縦軸(10)よりも外側の部位に第四縦軸(12)で軸着し、前記第二支持アーム(7)に操縦部(20)の下部を支持するローラ(26)を設け、前記操縦部(20)を、機体(A)に搭載したエンジン(25)の上側の位置から機体(A)の外側方へ移動自在に支持したことを特徴とする乗用型作業機の操縦部構造とした。
【0009】
この構成で、操縦部(20)が第一支持アーム(6)と第二支持アーム(7)の二本の支持アーム、及び第二支持アーム(7)に設けたローラ(26)で強固に機体(A)側に支持され、該操縦部(20)を機体(A)の外側へ大きく移動出来てエンジン(25)の上部が広く開放される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、操縦部(20)が第一支持アーム(6)と第二支持アーム(7)及び第二支持アーム(7)に設けたローラ(26)で強固に支持され、エンジン(25)の上側に配置された操縦部(20)が機体(A)の外側方へ大きく移動してエンジン(25)周りを広く開放出来るので、エンジン(25)とその周りの動力伝動機構のメンテナンスを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明実施例のコンバイン全体を示す平面図である。
【図2】一部の拡大平面図である。
【図3】操縦部フレームを移動した拡大平面図である。
【図4】一部の拡大左側面図である。
【図5】一部の拡大正面図である。
【図6】一部の拡大右側面図である。
【図7】一部の拡大正断面図である。
【図8】一部の拡大左側断面図である。
【図9】一部の平断面図である。
【図10】一部の拡大正断面図である。
【図11】一部の拡大右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
本明細書では、左側及び右側とはコンバインが前進する方向に向いたときの方向を言う。
【0013】
図1は、コンバインの平面図で、機体の最前部に刈取装置15を設け、この刈取装置15で刈り取った穀稈を機体の左側に設ける脱穀装置16へ搬送する穀稈搬送装置17を設け、機体の右側にオペレータが搭乗する乗用ステップ1と操向レバー18を立設するフロント操作パネル2や変速レバー19を立設するサイド操作パネル4と操縦席24を設けたエンジンカバー3からなる操縦部20を設け、操縦部20を覆うキャビン27を設けて、機体Aを構成している。この操縦部20の後側に収穫穀粒を貯留するグレンタンク21を設け、グレンタンク21の後部から立ち上げた揚穀筒22に連接して起伏可能に穀粒排出オーガ23を設けている。操縦部20の下部にエンジン25を搭載している。
【0014】
図2と図3に示す如く、乗用ステップ1とフロント操作パネル2とサイド操作パネル4とエンジンカバー3からなる操縦部20は、四角形に組んだ操縦部フレーム5上に設けている。また、乗用ステップ1に乗り上がる際に使用する補助ステップ36を操縦部フレーム5に取り付け、操縦部フレーム5を側方へ引き出した際にもこの補助ステップ36を使って乗り上がることが出来るようにしている。この補助ステップ36は側方へ張り出した状態と上方へ折り畳んだ状態に出来るようにしている。
【0015】
操縦部フレーム5は、操縦部20の前側の左右略中央位置に第四縦軸12を設け、この第四縦軸12と機体フレーム8の右側端部に設ける第三縦軸11とをL字状の第二支持アーム7で連結し、操縦部フレーム5の左側部前寄りの部位に第二縦軸10を設け、この第二縦軸10と機体フレーム8の前記第三縦軸11よりも機体内側の位置に設ける第一縦軸9とをL字状の第一支持アーム6で連結している。第二支持アーム7には操縦部フレーム5の下面を受けるローラ26を設けている。このローラ26は、操縦部フレーム5を外側方へ引き出す際に該操縦部フレーム5の下面を支持し、第二支持アーム7の先端部の第四縦軸12に掛かる負荷を軽減するためのものである。
【0016】
操縦部フレーム5を機体フレーム8上の正規位置に固定してコンバインを使用するのであるが、エンジンやその周りをメンテナンスする際には、操縦部フレーム5の固定を解除して右側方へ横移動する。この操縦部フレーム5の横移動は、グレンタンク21に当接しない位置で一旦移動を停止し、グレンタンク21を側方へ回動した後にさらに外方へ移動可能にしている。
【0017】
図6と図7に示す如く、サイド操作パネル4に設ける走行用変速レバー19は、その基部を湿式オイルディスク37の回動プレート42に前後回動するように取り付けている。そして、回動プレート42の動きを第一ポテンショメータ38と第二ポテンショメータ39で検出し、その検出信号をコントローラに送って油圧変速装置を変速作動させる。湿式オイルディスク37は、走行用変速レバー19に回動抵抗を変更出来るようにしたもので、操縦席24側からオイル孔45へ注油し、調整ナット44を絞め込むことによって回動抵抗を強く出来る。また、湿式オイルディスク37を取り付けた取付ブラケット40は、取付上面に回動プレート42を突出させるスリットを設けただけでサイド操作パネル4の下側取付面41にボルト43で取り付けているので、外部への開口部が少なく、湿式オイルディスク37や第一ポテンショメータ38と第二ポテンショメータ39に塵埃が侵入することが無い。また、第一ポテンショメータ38と第二ポテンショメータ39は、湿式オイルディスク37と共に取付ブラケット40に取り付けた後にサイド操作パネル4に取り付けるので、サイド操作パネル4に取り付ける前にセンサー調整やシグナルチェックが行えて楽である。
【0018】
このように、サイド操作パネル4に設ける走行用変速レバー19等の操縦操作具を操作対象と通信ケーブルで連結していることによって、サイド操作パネル4を操縦部フレーム5に取り付けたままで操縦部フレーム5を支障なく側方へ引き出せるようになる。
【0019】
図8は、駐車ブレーキペダル48の取付構成を示している。
機体フレーム8側に取り付けた補助ステップ47に駐車ブレーキペダル48を駐車ペダル軸49で軸着し、この駐車ブレーキペダル48の後端をブレーキロッド50と引張ばね55でミッションケース57のブレーキドラム46のブレーキアーム56と連結し、駐車ブレーキペダル48の前側を踏み込むと駐車ブレーキが作用するようにしている。
【0020】
駐車ブレーキペダル48の前後中間部に下方へ向けてフック53を設け、このフック53と駐車ブレーキペダル48の先端に軸着したロック解除片51を解除ロッド52で連結し、駐車ブレーキペダル48を踏み込むとフック53が補助ステップ47のピン54に係合して踏み込み状態を保持して駐車ブレーキ作用を保持する。そして、ロック解除片51を踏むとフック53がピン54から外れて駐車ブレーキペダル48が元に戻って駐車ブレーキ解除となる。この駐車ブレーキペダル48は、機体フレーム8側に取り付けているので、操縦部フレーム5を外方に移動してもそのままの位置に残ることになる。
【0021】
そして、操縦部フレーム5は通常図2に示す位置に固定して使用するが、メンテナンス作業時には、図3の如く、操縦部フレーム5の前側が大きく後側が小さく回動して側方へ引き出して機体フレーム8の上部を開放する。この操縦部フレーム5を側方へ引き出した状態で、第二支持アーム7が操縦部フレーム5の下部に収まり、側方へ張り出さないので、メンテナンス作業の邪魔にならない。
【0022】
操縦部フレーム5の側方引出位置は、通常位置のグレンタンク21に当接しない第一引出位置で一旦開きを停止し、グレンタンク21を側方へ逃がしてさらに大きく側方へ引き出す第二引出位置で固定できるようにしている。
【0023】
この開放された機体フレーム8側にはエンジン25を搭載し、ラジエータ14の上方も開放される。エンジン25を機体フレーム8から降ろす場合には、操縦部フレーム5を別に用意する支持台に載せて支持し、第一支持アーム6を取り外した後にエンジン25をクレーンで吊り下げることになる。
【0024】
また、機体フレーム8の右前方における油圧ブロック28を取り付けた補助フレーム29を取り外し可能にしているので、エンジン25周りのメンテナンス時に取り外すと作業が容易になる。この補助フレーム29の前方で機体フレーム8に燃料フィルタ32とサクションフィルタ33とHSTサクションフィルタ34とHSTラインフィルタ35を集中的に配置しているので、これらのメンテナンスも操縦部フレーム5を側方へ引き出すと容易に出来る。
【0025】
また、操縦部フレーム5を側方へ引き出すと、エンジン25の上部に在るエアークリナー30とその前側に設ける電装品収納室31が露出されるので、エンジンやその他の自動制御用コントローラ等の点検・修理が容易になる。この電装品収納室31は、広い空間が確保されているので、電装品を集中的に配置すること可能で、操縦部フレーム5を所定位置に固定した状態で、エンジンカバー3に設ける操縦席24後部の点検窓から点検できる。
【0026】
図9は、機体フレーム8の後部を示し、機体フレーム8の左右サイドフレーム60,61を連結して第一後部フレーム62と第二後部フレーム63を設け、この第一後部フレーム62と第二後部フレーム63の間に燃料タンク64と補助燃料タンク65を設け、さらに、第一後部フレーム62と第二後部フレーム63を連結フレーム67で連結し、揚穀筒22のオーガメタル66を取り付けている。
【0027】
第二後部フレーム63は、燃料タンク64と補助燃料タンク65の底面よりも下側に位置しているために、燃料タンク64と補助燃料タンク65の後部が直接衝突するのを防いだり地面に衝突するのを防いだりする。
【0028】
図10と図11は、機体フレーム8とクローラ走行装置69のクローラフレーム70をピッチングメタル71で連結した部分の補強構成を示している。
機体フレーム8の左右サイドフレーム60,61を横フレーム72で連結し、左右サイドフレーム60,61の下面に位置するメタル取付プレート74を左右サイドフレーム60,61の内側で横フレーム72と左右サイドフレーム60,61に一体的に連結する補強部材73で連結している。
【0029】
この構成で、左右サイドフレーム60,61と横フレーム72とメタル取付プレート74が補強部材73で強固に連結され、旋回時の横方向荷重に対しても強くなる。
【符号の説明】
【0030】
6 第一支持アーム
7 第二支持アーム
9 第一縦軸
10 第二縦軸
11 第三縦軸
12 第四縦軸
20 操縦部
25 エンジン
26 ローラ
A 機体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体(A)の内側の部位に第一支持アーム(6)の一端側を第一縦軸(9)で軸着し、該第一支持アーム(6)の他端側を操縦部(20)に第ニ縦軸(10)で軸着し、機体(A)の外側の部位に第二支持アーム(7)の一端側を第三縦軸(11)で軸着し、該第ニ支持アーム(7)の他端側を操縦部(20)の前記第二縦軸(10)よりも外側の部位に第四縦軸(12)で軸着し、前記第二支持アーム(7)に操縦部(20)の下部を支持するローラ(26)を設け、前記操縦部(20)を、機体(A)に搭載したエンジン(25)の上側の位置から機体(A)の外側方へ移動自在に支持したことを特徴とする乗用型作業機の操縦部構造。
【請求項1】
機体(A)の内側の部位に第一支持アーム(6)の一端側を第一縦軸(9)で軸着し、該第一支持アーム(6)の他端側を操縦部(20)に第ニ縦軸(10)で軸着し、機体(A)の外側の部位に第二支持アーム(7)の一端側を第三縦軸(11)で軸着し、該第ニ支持アーム(7)の他端側を操縦部(20)の前記第二縦軸(10)よりも外側の部位に第四縦軸(12)で軸着し、前記第二支持アーム(7)に操縦部(20)の下部を支持するローラ(26)を設け、前記操縦部(20)を、機体(A)に搭載したエンジン(25)の上側の位置から機体(A)の外側方へ移動自在に支持したことを特徴とする乗用型作業機の操縦部構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−172286(P2010−172286A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19662(P2009−19662)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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