説明

乗用型農作業機

【課題】リアアクスルケースで支持されたリア支柱でシャーシ後部を支持すると共に、苗植装置を昇降させるリンクがリア支柱に連結されている乗用型田植機において、リンクの連結強度とリアアクスルケースの堅牢性とを向上させる。
【解決手段】車体カバー等を支持するシャーシはその後端を構成する左右横長のリアフレーム13を有する。リアフレーム13の下方には、後輪を支持するリアアクスルケース34が配置されている。リアアクスルケース34は左右の後ろ向き張り出し部34bを有する平面視コの字形の形態を成しており、左右の後ろ向き張り出し部34bにステー35を固定し、ステー35でリア支柱14を支持している。リンク77,78はリア支柱14に連結されている。左右リア支柱14の位置はリンク77,78に応じて任意に設定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用型田植機のような乗用型農作業機に関するものであり、特に、シャーシ(各種部材・装置類を支持するための枠組み)の支持構造に特徴を有する。
【背景技術】
【0002】
乗用型農作業機の一例として乗用型田植機がある。乗用型田植機は前輪及び後輪で支持された走行機体を有しており、走行機体の後方に苗植装置が高さ調節可能に配置されている。そして、走行機体には座席と操縦ハンドルとが配置されていると共にエンジンが搭載されており、エンジンからの動力によって走行と苗植作業が行われる。エンジンの動力はミッションケースを有するミッション(変速装置)に伝えられ、ミッションで回転が適宜調節される。
【0003】
乗用型田植機は一般に前輪と後輪とが駆動される4輪駆動方式になっており、このため前輪を駆動するフロントアクスルと後輪を駆動するリアアクスルとを備えており、フロントアクスルとリアアクスルとにミッションから動力が伝達されている。
【0004】
走行機体の骨組みを見ると、フレーム材から成るシャーシにエンジンやミッションケース等を搭載したタイプもあるが、例えば特許文献1のように、ミッションケースとリアアクスルケースとを連結体で連結することにより、ミッションケースとリアアクスルケースとを走行機体の構造材(強度メンバー)に兼用しているタイプもある。特許文献1では、シャーシの後端部はリア支柱を介してリアアクスルケースで支持されている。
【0005】
乗用型田植機において、一般に、苗植装置はトップリンクとロアリンクとから成るリンク装置を介して走行機体に昇降自在に連結されており、特許文献1では、トップリンクはシャーシの後端部を構成する左右横長の部分にブラケットを介して連結されており、ロアリンクは、左右リア支柱に装架した左右横長の軸に連結されている。
【0006】
ミッションケースやリアアクスルケースはギアを回転自在に支持するという機能からして頑丈な構造になっており、そこで、特許文献1のように構成すると、頑丈な構造のミッションケースやリアアクスルケースを走行機体の構造材に兼用できるため、フレーム材からなるシャーシを簡素化できる利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3804926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
さて、苗植装置を昇降自在に支持するリンク装置を走行機体に連結するにおいて、トップリンク及びロアリンクともリア支柱に連結する構成を採用すると、連結構造が簡単になる利点があるが、左右リア支柱の間隔が広過ぎるとリンクを支持する軸を長くせねばならずに連結構造が大型化する問題や、リンクを連結する軸の曲げ強度が低くなる等の問題が生じる。
【0009】
近年、田植機は作業能率向上のため大型化が進んでいるが、走行機体が大型化するとリアアクスルケースも大きくなり、すると特許文献1のようにリアアクスルケースでリア支柱を支持すると左右のリア支柱の間隔もいきおい広がることになるため、田植機が大型化すると、リア支柱にリンクを連結した場合の連結構造の大型化等の問題はより顕著に顕われると言える。
【0010】
他方、圃場も路上も凹凸があるのが普通であり、このため、苗植え作業にしても路上走行にしても各車輪の接地抵抗はアンバランスになるのが普通である。極端なアンバランス状態としては、1つの車輪が浮いて三輪で走行する状態が挙げられる。このように各車輪の接地抵抗にアンバランスが生じると、走行機体には、その自重により、前後方向に延びる軸心回りにねじるような外力が作用し、リアアクスルケースにも負担がかかる。
【0011】
そして、上記したとおり、近年、田植機は大型化が進んでいるが、大型化すると重量も大きくなるため、アンバランス状態で走行するに際して走行機体に作用するねじり力も大きくなり、リアアクスルケースにかかる負担がより大きくなると言える。
【0012】
本発明はこのような現状に鑑み成されたものであり、特に走行機体の大型化への対応性に優れた乗用型農作業機を提供すること等を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、複数のフレーム材で構成されたシャーシの後部下方に、駆動源からの動力を後輪に伝達するためのリアアクスルケースが配置されており、前記シャーシの後部がリア支柱を介して前記リアアクスルケースで支持されている、という走行機体を備えた乗用型農作業機において、前記リアアクスルケースは、基部と左右の後ろ向き張り出し部とを有して平面視略コの字状の形態を成しており、前記左右の後ろ向き張り出し部で後輪が支持されていると共に、前記後ろ向き張り出し部には左右横長のステーが掛け渡して固定されており、前記ステーで前記リア支柱を支持している。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1において、前記リアアクスルケースの前方には、走行変速機構を内蔵すると共に左右のフロントアクスルを設けたミッションケースが配置されており、前記フロントアクスルには前輪が取付けられて、前記ミッションケースと前記リアアクスルケースとは連結体で連結されており、前記ミッションケース及びリアアクスルケースが走行機体の構造体として機能している。請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記ステーは、前記左右後ろ向き張り出し部の上面にボルトで固定されている。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1〜3のうちのいずれかにおいて、前記リアアクスルケースは、平面視コの字形のメインケースとこれに左右外側から重なったサイドケースとで構成されており、このため前記左右のサイドケースはそれぞれ前記基部の一部と後ろ向き張り出し部の一部とを構成しており、かつ、前記ステーは前記サイドケースに固定されている。
【発明の効果】
【0016】
本願発明では、リア支柱はステーで支持されているため、リアアクスルケースの大きさに関係なくリア支柱の位置を設定することができる。従って、例えばリア支柱を左右2本配置してこれに苗植装置等の作業装置をリンクで連結する場合、左右リア支柱をリンクの大きさ等に応じて最適の位置に配置することができ、その結果、リンクの連結構造を簡素化して軽量化等に貢献し得る。また、リアアクスルケースにおける左右の後ろ向き張り出し部がステーで連結されるため、リアアクスルケースは全体として堅牢な構造となり、後輪の支持強度も格段にアップする。
【0017】
請求項2の発明によると、ミッションケースやリアアクスルケースを走行機体の構造材(強度メンバー)に兼用できるため、特許文献1と同様に走行機体全体として構造の簡素化に貢献できる。
【0018】
請求項3のようにステーをリアアクスルケースにおける後ろ向き張り出し部の上面に固定すると、例えばをステーを後ろ向き張り出し部の内側面に固定する場合に比べてステーの高さが位置が高くなるため、リア支柱の上下長さをそれだけ短かくすることができるのであり、その結果、リア支柱の耐曲げ強度を向上させることができる。また、リアアクスルケースの上面はオープン状態であるため、ステーをボルトで締結するにおいて締結作業も容易に行える(後ろ向き張り出し部の内側面にステーを固定すると、ボルトの回転操作を行いにくい場合が有り得る。)。
【0019】
また、ステーを後ろ向き張り出し部の内側面に左右横長のボルトで固定すると、リアアクスルケースの加工寸法又はステーの加工寸法に誤差がある場合、左右の後ろ向き張り出し部がステーで押し広げられたり逆に引っ張られたりする現象が生じてリアアクスルケースに応力が作用して強度低下の原因になる可能性があるが、請求項3のように後ろ向き張り出し部の上面にステーをボルトで固定すると、リアアクスルケースの加工誤差やステーの加工誤差はをボルトとボルト穴とのクリアランスによって吸収できるので、リアアクスルケースに応力が発生することはなくて強度低下を防止できる。この点も請求項3の利点である。
【0020】
さて、リアアクスルケースは中空構造なので複数の部材で構成する必要がある。そして、複数の部材で中空構造と成す構成は様々な態様が考えられるが、請求項4のように平面視コの字形のメインケースとこれに左右外側から重なるサイドケースとで構成すると、メインケースによってリアアクスルケースの大まかな形態が構成されるため強度に優れている利点がある。また、後ろ車軸は左右横長なので、ギア群を取り付けるギア軸も左右横長の姿勢になり、従って、ギア軸の軸受けをメインケースとサイドケースとに設けることで、ギアを簡単に取り付けることができる。この面でも、リアアクスルケースをメインケースとサイドケースとで構成すると合理的である。
【0021】
そして、この請求項4のようにリアアクスルケースをメインケースとサイドケースとで構成すると、サイドケースには後輪を支持する軸受けを設けることになり、従って、サイドケースに大きな荷重が作用するが、請求項4では大きな荷重が掛かる左右のサイドケースをステーで連結しているため、リアアクスルケースの全体としての堅牢性が格段にアップしており、その結果、大型の農作業機てあってもねじりに対する強度を向上させることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】車体カバーを取り外した状態での田植機の全体的な側面図である。
【図2】(A)は車体カバーを取り付けた状態での田植機の全体的な平面図、(B)は走行機体のみの一部破断側面図である。
【図3】走行機体の分離斜視図である。
【図4】走行機体の大まかな平面図である。
【図5】走行機体の一部破断側面図である。
【図6】シャーシと下部構造体を示す斜視図である。
【図7】(A)は下部連結体とミッションケースとの連結状態を示す斜視図、(B)は下部連結体とリアアクスルケースとの連結状態を示す斜視図、(C)下部連結体と補強フレーム体との連結状態を示す分離斜視図である。
【図8】燃料タンクを横にずらした状態での平面図である。
【図9】下部構造体の部分側面図である。
【図10】要部の後方斜視図である。
【図11】要部の分離斜視図である。
【図12】リンク装置の連結構造を示す一部破断側面図である。
【図13】リンク装置の連結構造を示す分離斜視図である。
【図14】変形例を示す図で、(A)は分離斜視図、(B)は分離側面図、(C)は組み立てた状態で(B)のC−C視方向から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本願発明を乗用型田植機(以下、単に「田植機」と称す)に適用した実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において方向を特定するために「前後」「左右」との文言を使用するが、これらの文言は、特に断らない限り、前進方向を向いて着座した運転手の向きを基準にして表示している。
【0024】
(1).田植機の概要
まず、田植機の概要を説明する。図1、2から容易に理解できるように、田植機は基本要素として走行機体1と苗植装置2とを有しており、苗植装置2はリンク機構3を介して走行機体1の後部に昇降自在に連結されている。苗植装置2は、苗マットの縦送り機構及び横送り機構や植付けユニットを有してるが、本願発明との関連は薄いので説明は省略する。なお、本実施形態の田植機は8条植えタイプである。
【0025】
走行機体1は左右の前輪4と後輪5とを備えており、前輪4と後輪5とは動力で駆動される(なお、後輪5は補助輪を付けてダブル方式又はトリプル方式にすることがある。)。走行機体1は、運転者が腰掛ける座席6とその前方に配置された操縦ハンドル7とを有している。座席6と操縦ハンドル7は走行機体1の左右中間部に配置されている。図2のみに表示しているが、座席6の前方でかつ左右両側の部分には予備苗台8を配置している。
【0026】
例えば図4や図6から理解できるように、走行機体1は、前後方向に延びる左右の前部サイドフレーム9及び後部サイドフレーム10を備えている。左右の後部サイドフレーム10は前部サイドフレーム9よりも間隔が狭くなっており、前後サイドフレーム9,10は左右横長のミッドフレーム11を介して連結されている。左右の前サイドフレーム9はその前端部においてフロントフレーム12で連結されている。
【0027】
後部サイドフレーム10は後ろに行くに従って高さが高くなるように側面視で後傾しており、左右の後部サイドフレーム10の後端に左右横長のリアフレーム13が連結されている。リアフレーム13には、これを支持する左右のリア支柱14が固着されている。リア支柱14は後部サイドフレーム10よりも内側に配置されている。各フレームのうちミッドフレーム11とリアフレーム13とは丸パイプを使用しており、他のフレームは角パイプを使用している。
【0028】
前部サイドフレーム9と後部サイドフレーム10とをミッドフレーム11で連結したことにより、前部サイドフレーム9と後部サイドフレーム10との大きさ(太さ)や位置・姿勢を簡単に変えることができる。
【0029】
図3に示すように、リアフレーム13のやや手前には後部横長ステー17が配置されており、この後部横長ステー17は、後部サイドフレーム10に溶接された上向き開口コの字形のハンガーブラケット18に固着されている。左右の後部サイドフレーム10の前端部には下向き開口の門型フレーム19が固着されており、図5に示すように、門型フレーム19にシート支持ユニット20の前端部を固着している。シート支持ユニット20の後部は図示しないステーに固定されている。座席6はその前端部を中心にして前倒しできるようにシート支持ユニット20に連結されている。
【0030】
図3や図4に示すように、前部サイドフレーム9には左右外側に突出した複数本の外向き枝フレーム15が固着されており、枝フレーム15で予備苗台8(図2参照)を支持している。また、サイドフレーム9,10の外側には前後長手の補助フレーム21が配置されており、補助フレーム21は枝フレーム15や後部横長ステー17、リアフレーム13等に固着されている。
【0031】
本実施形態では、前後サイドフレーム9,10、ミッドフレーム11、フロントフレーム12、リアフレーム13でシャーシ(フレーム構造体)22(図3,4,6参照)の主要部部が構成されている。図2に示すように、走行機体1のうち人が載る部分は車体カバー23で覆われており、車体カバー23は前部サイドフレーム9や枝フレーム15、補助フレーム21、後部横長ステー17、リアフレーム13等で支持されている。
【0032】
着座したオペレータが足を載せる操縦フロアーは車体カバー23で構成されており、これを図2(A)で符号23aで示している。また、図2(A)に示すように、車体カバー23は座席6の左右両側と後ろとに広がる肩部23bも備えている。図示していないが、肩部23bに施肥装置を配置することもある。なお、車体カバー23は複数のパーツで構成されている。操縦フロア23aにはマットを配置することが多い。
【0033】
操縦ハンドル7はハンドルポスト24に内蔵したハンドル軸に取り付けられている。例えば図3に示すように、本実施形態では、駆動源としてのエンジン25は走行機体1の前部(操縦フロアー23aの前)に配置されており、エンジン25は、エンジンサポート26で支持されている。
【0034】
エンジンサポート26は、上向き開口した正面視コの字形又はU字形の前サポートフレーム26aと、後サポートフレーム26bと、この前後サポートフレーム26a,26bを連結する下サポートフレーム26cとで構成されており、前後サポートフレーム26a,26bは前部サイドフレーム9に固着されている。エンジンサポート26に、エンジンブラケット27,28及び防振ゴム29を介してエンジン25が取り付けられている。
【0035】
エンジン25は、前部サイドフレーム9の下方に沈ませた状態で配置されている。エンジン25はクランク軸が左右横長となるように配置されており、出力プーリはクランクケースの左側に配置している。なお、本実施形態のエンジン25は水冷のディーゼルエンジンである。
【0036】
エンジン25の後ろには、ギア群を内蔵したミッションケース31が配置されている。ミッションケース31の左側面には無段変速機の一例としてのHST(静油圧式無段変速機)32が取り付けられており、エンジン25の動力は一次的にはHST32にベルトで伝達され、それからギア群に伝達される。ミッションケース31にはギア群の他にもクラッチやブレーキなどが内蔵されているが、本願発明との直接の関連はないので説明は省略する。
【0037】
例えば図6に示すように、ミッションケース31の左右側面にはフロントアクスル装置33が取り付けられており、フロントアクスル装置33に前輪4を取り付けている。フロントアクスル装置33は、ミッションケース31に固定された上部ケース33aと、これに緩衝機構を介して昇降可能に取り付けられた車軸ケース33bとを有している。上部ケース33aは前部サイドフレーム9にも固定されている。
【0038】
後輪5はリアアクスルケース34に取り付けられている。リアアクスルケース34は、左右長手の基部34aとこの基部34aから後ろ向き突出した左右の後ろ向き張り出し部34bとを有していて全体として平面視コの字形の形態を成している。後ろ向き張り出し部34bから後ろ車軸34cが左右外向きに突出しており、後ろ車軸に後輪5を固定している。また、左右の後ろ向き張り出し部34bに左右横長のステー35を差し渡して固定し、ステー35にリア支柱14を固定している。
【0039】
図3から理解できるように、ミッションケース31の後端とリアアクスルケース34の前端とは中空丸形の下部連結体36で連結されており、下部連結体36とミッドフレーム11とが正面視U型の補強フレーム体(補強体)37で連結されている。そして、下部連結体36と座席6との間に燃料タンク38を配置している。例えば図2(B)に明示するように、燃料タンク38はおおよそ下半分程度が操縦フロアー23aよりも下方に位置しており、このため高さを高くして大容量化することが可能になっている。
【0040】
ミッションケース31の前端と後サポートフレーム26bとはフロントブラケット39を介して連結されている。従って、ミッションケース31と下部連結体36とリアアクスルケース34とで走行機体1の下部構造体が構成されており、ミッションケース31等から成る下部構造体により、前後サイドフレーム9,10等からなるシャーシ22を支持している。下部構造体は前後車輪4,5で支持されており、既述のとおり前部サイドフレーム9は前輪4によっても支持されている。
【0041】
なお、本実施形態ではハンドルポスト24が取り付くパワーステアリングユニットはミッションケース31に一体に組み込んでいる(すなわち、パワーステアリングユニットのギアケースをミッションケース31に一体化している。)。
【0042】
例えば図8に示すように、下部連結体36を挟んで左右にはドライブ軸40と作業動力軸41とが振り分けた状態で配置されている。ドライブ軸40は後輪を駆動するもので(整地ロータを設けている場合はこれの駆動も行う。)、ミッションケース31とリアアクスルケース34とに接続されている。敢えて述べるまでもないが、後輪5は前輪4と同じ周速度で回転する。
【0043】
左右の後輪5を別々のドライブ軸で駆動することも可能ではあるが、これは駆動系統が複雑化する問題がある。これに対して、本実施形態のように1本のドライブ軸40で左右の後輪5を駆動すると、駆動系統を簡素化できる。そして、リアアクスルケース34を左右の後ろ向き張り出し部34bが存在する平面視コの字形の形態にすると、左右の後ろ向き張り出し部34bに左右の減速機構が振り分けて配置されるため、スペースを有効利用できると言える。また、図10に示すように、基部34aから整地ロータ駆動軸34dを後ろ向きに突設することも容易に実現できる。
【0044】
作業動力軸41は苗植装置2を駆動するもので(施肥装置を設けている場合はこれも駆動する。)、株間ケース(図示せず)に接続されている。株間ケースはブラケットを介して下部連結体とリアアクスルケースとに固定されており、この株間ケースから植付け駆動軸(PTO軸)と施肥駆動軸とが突出している(いずれも図示せず)。
【0045】
(2).下部連結体の連結構造・シャーシの支持構造
以下、各部位の詳細を説明する。まず、下部連結体36とミッションケース31と連結構造、及び、下部連結体36とリアアクスルケース34との連結構造を説明する。この連結構造は図7(A)、(B)に明瞭に示されている。すなわち、下部連結体36の前端には前支持板44を溶接によって固着してこれをミッションケース31の後面にボルト45で締結し、下部連結体36の後端にはリア支持板46を溶接によって固着しており、これをリアアクスルケース34の前面にボルト47で締結している。
【0046】
支持板44,46は四角形になっているが、必要に応じて任意の形状を選択できる。図9に示すように、下部連結体36の前端には前支持板44の前方に突出する雄型嵌合部36aを設けている一方、ミッションケース31の後面には雄型嵌合部36aがきっちり嵌まる雌型嵌合部(図示せず)が形成されており、これらの雌雄嵌合部の嵌まり合いによって締結強度のアップを図っている。
【0047】
次に、シャーシ22の支持構造を説明する。下部連結体36とミッドフレーム11とは、丸パイプ(丸鋼管)で製造された正面視U型の補強フレーム体(補強体)37で連結されている。例えば、図5に示すように、ミッションケース31は前部サイドフレーム9の上面やミッドフレーム11の上面よりも下方に配置されており、かつ、下部連結体36はミッションケース31の下端部に固定されている。
【0048】
補強フレーム体37は後方に行くに従って高さが低くなるように側面視で前傾姿勢になっており、左右の上端はミッドフレーム11に溶接で固着されている。また、図7(C)に明示するように、補強フレーム体37の底部37aに左右の下向き片48aを有する正面視(或いは背面視)下向き開口コの字形の上ブラケット48を固着している一方、下部連結体36には上ブラケット48が被さるように嵌まり込む下ブラケット49を固着し、上下ブラケット48,49を左右横長のピン50で連結している。
【0049】
既述のように、ミッションケース31の前端と後サポートフレーム26bとはフロントブラケット39を介して連結されている。例えば図5から分かるように、ミッションケース31の前端には、エンジンサポート26の後サポートフレーム26bと連結するための支持部53が一体に設けられており、支持部53にフロントブラケット39が連結されている。
【0050】
(3).リアアクスルケース・リア支柱
既述のように、シャーシ22の後端部を形成するリアフレーム13は左右2本のリア支柱14によって支持されており、左右のリア支柱14は、リアアクスルケース34の左右の後ろ向き張り出し部34bに跨がって固定されたステー35に固定されている。例えば図10に示すように、リア支柱14は、リアアクスルケース34の左右の後ろ向き張り出し部34bよりも内側においてステー35に固定されており、かつ、左右の後部サイドフレーム10より内側でリアフレーム13を支持している。
【0051】
リア支柱14は角パイプ(角鋼管)を使用しており、リアフレーム13及びステー35は丸パイプ(丸鋼管)を使用している。例えば図10から理解できるように、リア支柱14の上端面にはリアフレーム13に下方から嵌まる凹部が形成されており、下端面にはステー35に上方から嵌まる円弧状の凹部が形成されている。上下両端とも溶接されている。
【0052】
また、例えば図5から理解できるように、リア支柱14は側面視において鉛直線に対してやや前傾姿勢になっており、リアアクスルケース34の後ろ向き張り出し部34bは、基部34aから後端に行くに従って低くなるように水平に対してやや傾斜している。リアフレーム13及びステー35は角パイプや型鋼であっても良いが、本実施形態のように丸パイプを使用すると、リアアクスルケース34やリア支柱14が傾斜している場合でも、リア支柱14の姿勢の設定を容易に行える利点がある(リア支柱14はどのような姿勢にしても、リア支柱13とステー35に密着させ得る。)。
【0053】
例えば図11から明瞭に把握できるように、リアアクスルケース34は、基部34a及び後ろ向き張り出し部34bを有するメインケース71と、メインケース71に左右外側からボルト73の群で重ね固定したサイドケース72とで構成されている。従って、サイドケース72も基部34aの一部と後ろ向き張り出し部34bの一部とを有している。基部34a及び後ろ向き張り出し部34bの内部にはギア群が配置されるが、図11ではこれは省略している。サイドケース72には軸受け穴72bが空いており、軸受け穴72bに装着した軸受けで後ろ車軸34cが支持されている(後ろ車軸34cは、メインケース71の後ろ向き張り出し部34bに設けた軸受けによっても支持されている。)。
【0054】
既述のとおり、ステー35はリアアクスルケース34の左右後ろ向き張り出し部34bに差し渡した状態で固定されている。他方、リアアクスルケース34の後ろ向き張り出し部34bはメインケース71とサイドケース72とで構成されているが、本実施形態では、ステー35はステー用ブラケット74を用いてサイドケース72に固定されている。すなわち、図11に示すように、左右の外ケース72の上面には2個のタップ穴72aが前後に並んで形成されており、このタップ穴72aに上方からねじ込んだボルト75でステー用ブラケット74が締結されている。
【0055】
ステー用ブラケット74は筒部74aを有しており、この筒部74aにステー35がガタ付き無しの状態で挿入されている。ステー35は筒部74aに溶接等で固定することも可能であるが、筒部74aにガタのない状態で差し込んだだけでもよい。このように、ステー35を筒部74aに差し込んだだけにしておくことにより、リアアクスルケース34の取付け姿勢(側面視姿勢)に誤差があっても、この誤差を吸収できるため、部材加工の手間を抑制できる。
【0056】
ステー用ブラケット74のボルト穴とボルト75との間には、若干のクリアランスを設けている。このため、リアアクスルケース34等の部材の加工誤差や組み立て誤差を吸収して走行機体1を組み立てることができる。
【0057】
(4).リンク機構・油圧シリンダ
例えば図1や図12から理解できるように、リンク機構3はトップリンク77とロアリンク78を有し、両リンク77、78の後端に第1ピン79及び第2ピン80でヒッチ81が相対回動可能に連結されている。苗植装置2はヒッチ81に連結されている。
【0058】
トップリンク77とロアリンク78は、それぞれリア支柱14に上下回動可能に連結されている。ロアリンク78には中間リンク82がその後端部を中心に回動するように連結されており、中間リンク82の前端はロアリンク78の前端部に突設されたアーム83により支持されている。
【0059】
油圧シリンダ30の基端部は、下部連結体36に固定したブラケット84に左右横長のピンで連結されており、このため油圧シリンダ30はその後端を中心にして上下に回動する。油圧シリンダ30が伸縮することでリンク機構3が駆動され、これによって苗植装置2が昇降する。
【0060】
更に、リンク機構3を詳述する。トップリンク77は角パイプ又はチャンネル材から成っていて基本的には直線状の形態であり、その前端に上支持筒85を固着し、この上支持筒85を左右リア支柱14に固着された上支持筒86に嵌め込んでいる。従って、トップリンク77はその前端を中心に上下回動するようにリア支柱14に連結されている。上支持筒86には第3ピン87が嵌まっている。
【0061】
ロアリンク78は前端部が1本に集合して後ろ向きに分岐した略Y形になっており、前端には下支持筒88を固着し、これをリア支柱14に固着した下支持筒88に嵌め込んでいる。従って、ロアリンク78もその前端を中心に上下回動するようにリア支柱14に連結されている。下支持筒88には第4ピン89が嵌まっている。
【0062】
ロアリンク78には、既述の中間リンク82がその後端部を中心にして回動するように第5ピン90で連結されている。中間リンク82は正面視で下向き開口コの字形になっており、その前端部に左右横長で中空の第6ピン91が挿通している。他方、ロアリンク78の前端部には既述の左右アーム83が上向きに突設されており、左右アーム83で第6ピン91を下方から支持している。
【0063】
他方、油圧シリンダ30におけるピストンロッド30aの先端には例えば図5に示すように板状の丸穴付きフック92が固着されており、フック92と中間リンク82とが図13に示す第6ピン91で連結されている。従って、油圧シリンダ30が伸びるとリンク装置3は下向きに回動して苗植装置2は下降し、油圧シリンダ30が縮むとリンク装置3は上向きに回動して苗植装置2は上昇する。
【0064】
(5).まとめ
以上の構成において、リンク装置3を構成するトップリンク77及びロアリンク78の前端部は左右リア支柱14に上下の支持筒86,88で連結されており、いわば、リア支柱14にトップリンク77とロアリンク78とを直接に連結したのと同様の態様になっているため、連結構造が簡単になっている。
【0065】
そして、リア支柱14はステー35を介してリアアクスルケース34の後ろ向き張り出し部34bに支持されているため、左右のリア支柱14はリアフレーム13を安定的に支え得る最小限度の左右間隔に設定することができるのであり、その結果、トップリンク77に設けた上軸受け筒85やロアリンク78に設けた下軸受け筒88は、その長さをできるだけ短かくして高い耐曲げ強度を確保できる。
【0066】
また、左右の後ろ向き張り出し部34bがステー35で連結されているため、ステー35はリアアクスルケース34の補強部材としても機能しており、このためリアアクスルケース34の堅牢性もアップしており、その結果、走行機体1の全体的な堅牢性もアップさせることができる。
【0067】
さて、リアアクスルケース34はメインケース71とサイドケース72とで構成されているが、後ろ車軸34cはサイドケース72に設けた軸受けで支持されているので、仮にステー35がメインケース71に固定されていると、走行機体の荷重はメインケース71をサイドケース72に対して下向きにずらすような外力として作用することになる。換言すると、走行機体1の荷重がメインケース71とサイドケース72とを分離させるような外力(せん断力)として作用することになる。
【0068】
これに対して本実施形態のようにサイドケース72にステー35を固定すると、走行機体1の荷重はサイドケース72を介して後ろ車軸34cに伝わるため、いわば、左右の後輪で走行機体1を支持するのに近い状態になり、このため、リアアクスルケース34に作用する負担を軽減してその耐久性をアップできる。
【0069】
(6).変形例
さて、圃場にしても路上にしても凹凸が存在しており、このため、例えば1つの車輪が浮いた状態で走行するというように4つの車輪の支持状態(接地抵抗)がアンバランスになり、このため、走行車体1は自分の重量によって前後長手の軸心回りにねじられるような力を受けることがある。この点、実施形態のように補強フレーム37を設けると、シャーシとミッションケース31とジョイント36とリアアクスルケース34とリア支柱27との全体で構成される構造体の剛性が格段に高くなるため、ねじりに対する抵抗力も格段に向上できる。
【0070】
更に、図14に示す変形例では、ねじりに対する剛性を一層向上できるように補強機能を講じている。すなわちこの変形例では、補強フレーム37の左右両側部とを前後長手の補強ステー94で連結することにより、ねじりに対する剛性アップを図っている(当然ながら曲げに対する強度もアップしている。)。
【0071】
更に述べると、a)補強フレーム56と左右の補強ステー94とリアアクスルケース53とで平面視略四角形の枠組みを構成している点、及び、b)補強ステー94は、側面視で後ろに行くほど下がるように傾斜していると共に、リアアクスルケース53のギア支軸の並び方向の延長線上に延びているため、リアアクスルケース34と補強ステー94と補強フレーム56とジョイント56とが立体トラス構造を構成している点とが相まって、ねじりに対する剛性が格段にアップしている。
【0072】
更に、補強ステー73を設けたことにより、リアアクスルケース34とリア支柱14とリアフレーム13と後部サイドフレーム10とミドルフレーム11と補強フレーム37とから成る構造体の剛性も格段にアップしており、これも走行車体1のねじり強度アップに大きく貢献している。
【0073】
補強ステー94は角形鋼管を使用しており、その前端部には外向き開口コの字形の前部補助ブラケット95を溶接している(図14は各部材を分離して描いているが、実際には、補強ステー84は補助ブラケット95に溶接されている。)。一方、補強フレーム37の左右両側部には平面視略L形の支持ブラケット96を溶接しており、前部補助ブラケット95と支持ブラケット96とを複数本のボルト97及びナット98で締結している。
【0074】
また、補強ステー94の後端には側面視扇形の後部補助ブラケット99が溶接されており、後部補助ブラケット99をリアアクスルケース34の前部の側面にボルト100で固定している。リアアクスルケース34を構成するサイドケース72の前部側面には、ボルト100がねじ込まれる受け座101を設けている。受け座101は前後に1対ずつ形成されており、より高い強度を要する場合は後部補助ブラケット99を4つの受け座101に締結したらよい(この場合は補強ステー94も太いものを使用するのが好ましい。)。支持ブラケット96は後部のみに側板96aを設けているが、前後両端に側板96aを設けてもよい。
【0075】
走行車体1に作用するねじり力は、車体重量と左右車輪間の間隔と前後車輪間の間隔とに比例しており、一般には、走行車体1が例えば6条植以下の場合には補強ステー94を設けなくとも必要な強度は確保でき、8条植や10条植えの場合に補強ステー94を使用したらよいと言える。これを逆に見ると、走行車体1の基本的な骨組みは植え付け条数の異なる機種(例えば4〜8条植、6〜10条植)で共用して(ジョイント36を交換することで走行車体1の長さの違いに対応できる)、必要に応じて補強ステー94を使用したらよいことを意味しており、このため、植付け条数が異なる複数機種を用意するにおいて機種群の全体としての製造コストを抑制することができる。
【0076】
本実施形態では、リアアクスルケース34を構成する左右のサイドケース72がリア支柱支持用のステー35で連結されていると共に、サイドケース72と補強フレーム37とが補強ステー94で連結されているため、いわば、a)左右リア支柱14とステー35とリアフレーム13とで構成された構造体と、b)左右の後部サイドフレーム10とミッドフレーム11とからなる構造体と、c)左右の補強ステー94と補強フレーム37とから成る構造体との三者が組合わさって複合トラス構造を構成しているのと同じ状態になっており、このため、リアアクスルケース34に作用するねじり力を著しく低減して走行車体1は高い剛性が確保されている。この点は、本実施形態の利点の一つである。
【0077】
なお、補強ステー73は丸パイプのような他の断面形状の部材を使用しても良いし、補強フレーム56及びリアアクスルケース53に対する補強ステー94の固定構造は任意に設定できる。補強ステー94は、補強フレーム37に固定することに代えて又はこれに加えてミドルフレーム25に固定してもよい。
【0078】
(7).その他
本実施形態は以上の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば適用対象は乗用型田植機に限るものではなく、他の作業機にも適用できる。上記の実施形態において、苗植装置を他の作業装置や運搬台車に付け替えることも可能である。また、駆動手段はエンジンに代えてモータを使用することも可能である。
【0079】
ステーとリア支柱の固定は溶接でなくともよく、ブラケットを設けてボルト、ナットで締結しても良い。ステーのリアアクスルケースへの固定方法もステー用ブラケットを用いるものに限定されることはなく、様々な方法を採用できる。ステーは必ずしもパイプ製である必要はなく、型鋼製や板金製を採用するなど様々な態様を選択できる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本願発明は田植機等の乗用型農作業機に具体化して有用性を発揮する。従って、産業上の利用できる。
【符号の説明】
【0081】
1 走行機体
2 作業装置の一例としての苗植装置
3 リンク装置
4 前輪
5 後輪
9,10 サイドフレーム
13 リアフレーム
14 リア支柱
22 シャーシ
23 車体カバー
25 エンジン
30 昇降用の油圧シリンダ
31 ミッションケース
34 リアアクスルケース
34a リアアクスルケースの基部
34b リアアクスルケースの後ろ向き張り出し部
35 ステー
36 下部連結体
71 メインケース
72 サイドケース
77 トップリンク
78 ロアリンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフレーム材で構成されたシャーシの後部下方に、駆動源からの動力を後輪に伝達するためのリアアクスルケースが配置されており、前記シャーシの後部がリア支柱を介して前記リアアクスルケースで支持されている、という走行機体を備えており、
前記リアアクスルケースは、基部と左右の後ろ向き張り出し部とを有して平面視略コの字状の形態を成しており、前記左右の後ろ向き張り出し部で後輪が支持されていると共に、前記後ろ向き張り出し部には左右横長のステーが掛け渡して固定されており、前記ステーで前記リア支柱を支持している、
乗用型農作業機。
【請求項2】
前記リアアクスルケースの前方には、走行変速機構を内蔵すると共に左右のフロントアクスルを設けたミッションケースが配置されており、前記フロントアクスルには前輪が取付けられて、前記ミッションケースと前記リアアクスルケースとは連結体で連結されており、前記ミッションケース及びリアアクスルケースが走行機体の構造体として機能している、
請求項1に記載した乗用型農作業機。
【請求項3】
前記ステーは、前記左右後ろ向き張り出し部の上面にボルトで固定されている、
請求項1又は2に記載した乗用型農作業機。
【請求項4】
前記リアアクスルケースは、平面視コの字形のメインケースとこれに左右外側から重なったサイドケースとで構成されており、このため前記左右のサイドケースはそれぞれ前記基部の一部と後ろ向き張り出し部の一部とを構成しており、かつ、前記ステーは前記サイドケースに固定されている、
請求項1〜3のうちのいずれに記載した乗用型農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−162135(P2011−162135A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29363(P2010−29363)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】