説明

乗車媒体処理装置、自動改札装置、自動精算装置

【課題】判定ロジックに不具合があった場合に、これを確実に判別して運賃の誤収受を防止する。
【解決手段】リーダライタ11が読み取った乗車媒体の情報に基づき、通行可否、精算経路、精算金額の各判定項目について判定する判定ボードAと、判定ボードAとは別の判定ロジックにより通行可否、精算経路、精算金額の各判定項目につき判定する判定ボードBとを設ける。判定ボードAの判定結果と、判定ボードBの判定結果とを判定項目ごとに比較し、それぞれの判定項目についての判定結果がすべて一致する場合は、その一致した通行可否の判定結果に基づき通行許可または通行禁止の処理を行い、判定結果のいずれかが不一致である場合は、係員への案内処理を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動改札装置や自動精算装置などの乗車媒体処理装置に関し、特に、運賃の誤収受を防止するための多重化判定の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動改札装置においては、投入された乗車媒体から読み取った情報に基づいて、通行可否、精算金額、精算経路などの判定を行うための判定ボードが内蔵されている。この判定ボードには、判定プログラムや運賃データなどが格納されたメモリが搭載されているが、メモリが故障したり回路基板上で短絡等の電気的異常が生じると、正確な判定を行うことができなくなり、誤判定が発生する。この場合、自動改札装置の扉が閉じて利用者の通行が禁止されれば、係員対応による処理となるので、運賃が過徴収されるおそれはない。しかしながら、誤判定があっても通行が許可された場合は、利用者自身も誤判定が行なわれたことに気が付かず、運賃の誤収受が行われている可能性がある。
【0003】
そこで、上記問題の対策として、下記の特許文献1には、ハードウェアの一部に発生した不具合による誤判定に基づいて改札処理が行われるのを防止する技術が開示されている。本文献においては、乗車媒体から読取った乗車券情報に対して、メインCPUボードと判定CPUボードとで同じ判定ロジックによる判定処理を実行し、それらの判定結果が一致しなかった場合に、判定結果が異常であると判断し改札処理を中断するようにしている。
【特許文献1】特開2004−185210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、ハードウェアの不具合には対応できるが、2つのボードで同じ判定ロジックにより判定処理を行うため、判定ロジックそのものに不具合があった場合には対応できないという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した問題点に鑑み、判定ロジックに不具合があった場合に、これを確実に判別して運賃の誤収受を防止することができる乗車媒体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る乗車媒体処理装置は、乗車媒体に記録されている情報を読み取る読取手段と、この読取手段が読み取った情報に基づき、互いに異なる判定ロジックにより、乗車媒体の適否、精算経路、精算金額を含む複数の判定項目につき判定する複数の判定手段と、これらの複数の判定手段による判定結果を、それぞれの判定項目ごとに比較する比較手段と、この比較手段による比較結果に基づいて所定の処理を行なう制御手段とを備える。制御手段は、比較手段による比較の結果、それぞれの判定項目についての判定結果がすべて一致する場合は、その一致した乗車媒体適否の判定結果に基づく処理を行ない、比較手段による比較の結果、それぞれの判定項目についての判定結果のいずれかが不一致である場合は、係員への案内処理を行なう。
【0007】
このように、別の判定ロジックを持つ複数の判定手段の判定結果を比較する多重化判定を行なうことにより、判定ロジックの不具合による判定処理が行われた場合は、いずれかの判定項目の判定結果が不一致となり、係員への案内処理が行なわれるので、係員対応によって運賃の誤収受を未然に防止することができる。
【0008】
本発明の実施形態では、比較手段による比較の結果、乗車媒体適否の判定結果が一致しても、精算経路の判定結果と精算金額の判定結果のいずれかが不一致であれば、係員への案内処理を行なう。これによると、乗車媒体適否の判定において複数の判定手段がいずれも乗車媒体を適正と判定しても、精算経路や精算金額の判定結果が異なっておれば係員への案内処理が行なわれるので、係員対応によって運賃の誤収受を未然に防止することができる。
【0009】
本発明の実施形態では、各判定項目ごとに比較手段による比較を行なうか否かを予め設定する比較有無設定手段が設けられる。これによると、比較を行なう判定項目をユーザにおいて選択できるので、運賃誤収受に直接影響しない判定項目については比較を行なわないように設定することで、判定結果の不一致が頻繁に発生することによる機器稼働率の低下を回避することができる。
【0010】
本発明の実施形態では、各判定項目ごとに複数の判定手段のいずれを「主」とし、いずれを「副」とするかを予め設定する主副設定手段が設けられる。これによると、判定結果の不一致が発生した際に、「主」側の判定手段の判定内容に障害要因がある場合は、当該判定項目については他の判定手段を「主」に設定することで、正確な判定を行なうことができる。また、複数の判定手段による判定結果の比較を行わずに、「主」に設定された判定手段の判定結果のみに基づいて処理を行う運用が可能となる。
【0011】
本発明の実施形態では、比較手段による比較の結果、乗車媒体適否の判定結果が乗車媒体不適正で一致し、かつ、精算経路の判定結果と精算金額の判定結果のいずれかが不一致であれば、乗車媒体適否の判定項目について主副設定手段により「主」に設定されている判定手段の判定結果に基づいて処理を行なう。複数の判定手段がいずれも乗車媒体を不適正と判定した場合は、精算経路や精算金額の判定結果に不一致があっても、結果的にその乗車媒体に対して運賃の収受を行なわず、通行禁止や乗車媒体返却などの処理を行なうため、運賃誤収受の問題は生じない。したがって、上記のようにすることで係員対応が不要となり、機器の稼働率低下を回避することができる。
【0012】
本発明の実施形態では、制御手段が判定結果の不一致情報を収集し、当該不一致情報を上位装置へ出力する。これによると、不一致情報を解析することで、判定手段における判定ロジックの不具合要因を追求することが可能となる。
【0013】
次に、本発明に係る自動改札装置は、乗車媒体に記録されている情報を読み取る読取手段と、この読取手段が読み取った情報に基づき、互いに異なる判定ロジックにより、通行可否、精算経路、精算金額を含む複数の判定項目につき判定する複数の判定手段と、これらの複数の判定手段による判定結果を、それぞれの判定項目ごとに比較する比較手段と、この比較手段による比較結果に基づいて所定の処理を行なう制御手段と、各判定項目ごとに比較手段による比較を行なうか否かを予め設定する比較有無設定手段と、各判定項目ごとに複数の判定手段のいずれを「主」とし、いずれを「副」とするかを予め設定する主副設定手段とを備える。比較手段は、比較有無設定手段により比較を行なうと設定された通行可否を含む判定項目につき判定結果を比較する。制御手段は、比較手段による比較の結果、それぞれの判定項目についての判定結果がすべて一致する場合は、その一致した通行可否の判定結果に基づく処理を行なう。また、制御手段は、比較手段による比較の結果、それぞれの判定項目についての判定結果のいずれかが不一致である場合は、通行可否の判定結果がすべて通行不可であれば、通行可否の判定項目について主副設定手段により「主」に設定されている判定手段の判定結果に基づく処理を行ない、通行可否の判定結果の少なくとも一つが通行不可でなければ、係員への案内処理を行なう。
【0014】
このように、別の判定ロジックを持つ複数の判定手段の判定結果を比較する多重化判定を行なうことで、判定ロジックの不具合による判定処理が行われた場合は、いずれかの判定項目の判定結果が不一致となり、係員への案内処理が行なわれるので、係員対応によって運賃の誤収受を未然に防止することができる。また、比較を行なう判定項目をユーザにおいて選択できるので、運賃誤収受に直接影響しない判定項目については比較を行なわないように設定することで、判定結果の不一致が頻繁に発生することによる機器稼働率の低下を回避することができる。また、判定結果の不一致が発生した際に、「主」側の判定手段の判定内容に障害要因がある場合は、当該判定項目については他の判定手段を「主」に設定することで、正確な判定を行なうことができる。また、複数の判定手段による判定結果の比較を行わずに、「主」に設定された判定手段の判定結果のみに基づいて処理を行う運用が可能となる。また、通行可否の判定結果がすべて通行不可であって、精算経路や精算金額の判定結果が不一致の場合は、「主」側の判定手段の判定結果に基づく処理が行なわれるので、係員対応が不要となって機器の稼働率低下を回避することができる。
【0015】
本発明に係る自動精算装置は、乗車媒体に記録されている情報を読み取る読取手段と、この読取手段が読み取った情報に基づき、互いに異なる判定ロジックにより、精算可否、精算経路、精算金額を含む複数の判定項目につき判定する複数の判定手段と、これらの複数の判定手段による判定結果を、それぞれの判定項目ごとに比較する比較手段と、この比較手段による比較結果に基づいて所定の処理を行なう制御手段と、各判定項目ごとに比較手段による比較を行なうか否かを予め設定する比較有無設定手段と、各判定項目ごとに複数の判定手段のいずれを「主」とし、いずれを「副」とするかを予め設定する主副設定手段とを備える。比較手段は、比較有無設定手段により比較を行なうと設定された精算可否を含む判定項目につき判定結果を比較する。制御手段は、比較手段による比較の結果、それぞれの判定項目についての判定結果がすべて一致する場合は、その一致した精算可否の判定結果に基づく処理を行なう。また、制御手段は、比較手段による比較の結果、それぞれの判定項目についての判定結果のいずれかが不一致である場合は、精算可否の判定結果がすべて精算不可であれば、精算可否の判定項目について主副設定手段により「主」に設定されている判定手段の判定結果に基づく処理を行ない、精算可否の判定結果の少なくとも一つが精算不可でなければ、係員への案内処理を行なう。
【0016】
このように、別の判定ロジックを持つ複数の判定手段の判定結果を比較する多重化判定を行なうことで、判定ロジックの不具合による判定処理が行われた場合は、いずれかの判定項目の判定結果が不一致となり、係員への案内処理が行なわれるので、係員対応によって運賃の誤収受を未然に防止することができる。また、比較を行なう判定項目をユーザにおいて選択できるので、運賃誤収受に直接影響しない判定項目については比較を行なわないように設定することで、判定結果の不一致が頻繁に発生することによる機器稼働率の低下を回避することができる。
また、判定結果の不一致が発生した際に、「主」側の判定手段の判定内容に障害要因がある場合は、当該判定項目については他の判定手段を「主」に設定することで、正確な判定を行なうことができる。また、複数の判定手段による判定結果の比較を行わずに、「主」に設定された判定手段の判定結果のみに基づいて処理を行う運用が可能となる。また、精算可否の判定結果がすべて精算不可であって、精算経路や精算金額の判定結果が不一致の場合は、「主」側の判定手段の判定結果に基づく処理が行なわれるので、係員対応が不要となって機器の稼働率低下を回避することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、判定ロジックに不具合がある場合は、複数の判定手段の判定結果が不一致となって係員への案内処理が行なわれるので、係員対応によって運賃の誤収受を未然に防止することができ、判定処理の信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を自動改札装置に適用した場合の実施形態につき、図を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る自動改札装置1のブロック図である。10は装置全体の動作を制御する制御部であって、CPU、メモリ、インターフェイスなどから構成される。11は、磁気券や非接触ICカード等からなる乗車媒体に記録されている情報を読み取り、また、乗車媒体に所定の情報を書き込むリーダライタである。乗車媒体には、切符、定期券、プリペイドカードなど各種のものが含まれる。12は自動改札装置1に投入された乗車媒体を搬送する券搬送部、13は自動改札装置1に設けられている扉(図示省略)を開閉する扉開閉部、14は乗客に対して案内表示を行なう表示部である。100は自動改札装置1に接続されている上位装置であって、例えば駅の係員室に設置される。この上位装置100は、更に、センターに設置されている図示しないホスト装置に接続される。
【0019】
自動改札装置1には、図示するような2つの判定ボードA,Bが内蔵されている。判定ボードAには、判定プログラムPa、運賃データDa、判定出力データXaが格納されるメモリ(図示省略)が搭載されている。判定ボードBには、判定プログラムPb、運賃データDb、判定出力データXbが格納されるメモリ(図示省略)が搭載されている。判定ボードAは例えばA社製であり、判定ボードBは例えばB社製である。このため、判定プログラムPaと運賃データDaはA社独自のものであり、判定プログラムPbと運賃データDbはB社独自のものとなっている。したがって、判定ボードAで判定を行なう場合の判定ロジックは、判定ボードBで判定を行なう場合の判定ロジックと異なっている。判定ボードAでは、リーダライタ11で乗車媒体が読み取られるごとに、判定プログラムPaに従って、後述するいくつかの判定項目について判定を行い、その判定結果を判定出力データXaとして出力する。これと並行して、判定ボードBでは、判定プログラムPbに従って同様の判定を行い、その判定結果を判定出力データXbとして出力する。
【0020】
判定プログラムPa,Pbにより判定される判定項目には、「通行可否」「精算経路」「精算金額」「書込みデータ」「一件明細データ」「通過情報データ」「制御用データ」がある。「通行可否」は、投入された乗車媒体の適否に応じて通行を許可するか禁止するかを判定する項目である。「精算経路」は精算対象となる乗車経路を判定する項目、「精算金額」は精算経路の運賃を判定する項目である。「書込みデータ」は、乗車媒体に対しての書込みの有無や、書込みデータを判定する項目である。「一件明細データ」は、乗車媒体(主にICカード)の乗車履歴を管理するための一件明細データを判定する項目である。「通過情報データ」は、乗車媒体がどの駅の改札装置を通過したかを示す通過情報データを判定する項目である。「制御用データ」は、扉開閉や画面表示などに用いる制御用データを判定する項目である。
【0021】
図2は、上述した各判定項目について、所定の設定を行うための設定テーブル15の一例を示している。この設定テーブル15は、制御部10に備わるメモリ(図示省略)の所定領域に設けられる。この設定テーブル15においては、それぞれの判定項目ごとに、判定ボードAでの判定結果と判定ボードBでの判定結果との比較(以下ではこの比較のことを「突合」という。)を行なうか否かの設定と、判定ボードAおよび判定ボードBのいずれを「主」とし、いずれを「副」とするかの設定が行われる。この設定のための操作は、上位装置100において行なうこともできるし、自動改札装置1に設けられた係員用の操作部(図示省略)において行なうこともできる。突合をする判定項目については、突合入/切設定は「入」に設定され、突合をしない判定項目については、突合入/切設定は「切」に設定される。図2の例では、「通行可否」「精算経路」「精算金額」「書込みデータ」「一件明細データ」について突合が行なわれ、「通過情報データ」「制御用データ」については突合が行なわれないようになっている。また、判定ボードの主副設定は、「主」と「副」の設定により行われ、図2の例では、全ての判定項目について判定ボードAが「主」に設定され、判定ボードBが「副」に設定されている。図3は、突合入/切設定と主副設定を変更する場合の例であるが、これについては後で説明する。
【0022】
以上において、リーダライタ11は本発明における読取手段の一実施形態を構成し、判定ボードA,Bは本発明における判定手段の一実施形態を構成し、制御部10は本発明における比較手段および制御手段の一実施形態を構成し、設定テーブル15は本発明における比較有無設定手段および主副設定手段の一実施形態を構成している。
【0023】
ところで、判定ボードAに搭載された判定プログラムPaと判定ボードBに搭載された判定プログラムPbは、判定ロジック(プログラムの中身)が異なるだけで基本仕様は同じであるから、各判定項目に対して最終的に出力される判定結果は、本来同じになるはずである。例えば、有効区間が京都−大阪である定期券で京都駅から乗車し神戸駅で降車する場合、判定プログラムPaで判定した精算金額(乗り越し料金)と、判定プログラムPbで判定した精算金額とは一致するはずであり、一致しない場合はいずれか(もしくは両方)の判定プログラムに不具合があることになる。そこで、本実施形態では、突合が「入」に設定された判定項目のそれぞれについて、判定ボードAでの判定結果と、判定ボードBでの判定結果とを突合する多重化判定を行い、判定結果の一致・不一致に応じて所定の処理を行なうようにしている。以下、多重化判定の詳細を具体例に基づいて説明する。
【0024】
図4に示すような鉄道路線において、金額チャージが可能なICカードからなる定期券に対して、M駅に設置された自動改札装置1で判定処理を行なう場合を例に挙げる。ここでは、簡単のために、判定項目のうち「通行可否」「精算経路」「精算金額」の3項目につき判定を行なうものとする。すなわち、前述の設定テーブル15において、上記の3項目に対して突合が「入」に設定されているものとする。実際には、3項目だけでなく、他の項目についても判定を行なってもよいことは勿論である。「通行可否」は乗車媒体の適否で判定し、乗車媒体が適正であれば通行可と判定し、乗車媒体が不適正(例えば、残額不足や有効期限切れなど)であれば通行不可と判定する。「精算経路」と「精算金額」は、定期券から読み取った有効区間や経由駅等のデータに基づいて判定する。
【0025】
図5は、M駅での判定処理の各種パターンを示した表である。図5の「読取データ」は、リーダライタ11が乗車媒体から読み取った情報であり、この読取データに基づいて、判定ボードA,Bで判定プログラムPa,Pbおよび運賃データDa,Dbを用いて各項目ごとに判定が行なわれる。「最終処理」は制御部10により行なわれる処理である。
【0026】
図5において、(1)のケースは、有効区間がF駅−M駅(N駅経由)の定期券(残額なし)でF駅から乗車し、M駅で降車する例である。この場合は、定期券の有効区間内での乗降となるから、精算は発生しない。判定ボードAでは、「通行可否」については通行可と判定し、「精算経路」については問題とせず、「精算金額」については0円と判定する。一方、判定ボードBでも、「通行可否」については通行可と判定し、「精算経路」については問題とせず、「精算金額」については0円と判定する。したがって、判定ボードAでの判定結果と判定ボードBでの判定結果とを突合させると、3つの判定項目のすべてについて判定結果は一致する。この場合、制御部10は、一致した通行可否の判定結果、すなわち「通行可」の判定結果に基づく処理を行う。具体的には、表示部14に通行可のメッセージを表示し、扉開閉部13により扉を開けて乗客の通行を許可する。
【0027】
図5の(2)のケースは、有効区間がF駅−N駅の定期券(残額なし)でF駅から乗車し、M駅で降車する例である。この場合は、N駅−M駅間が定期券の有効区間外となるので精算が発生するが、定期券の残額がないため、精算金額の引き去りができない。判定ボードAでは、「通行可否」については区間外残額不足のため通行不可と判定し、「精算経路」についてはN駅→M駅と判定し、「精算金額」については150円と判定する。一方、判定ボードBでも、「通行可否」については区間外残額不足のため通行不可と判定し、「精算経路」についてはN駅→M駅と判定し、「精算金額」については150円と判定する。したがって、判定ボードAでの判定結果と判定ボードBでの判定結果とを突合させると、3つの判定項目のすべてについて判定結果は一致する。この場合、制御部10は、一致した通行可否の判定結果、すなわち「通行不可」の判定結果に基づく処理を行う。具体的には、表示部14に残額不足で通行不可のメッセージを表示し、扉開閉部13により扉を閉じて乗客の通行を禁止する。この場合、乗客は、構内に設置されている金額チャージ装置で定期券に金額チャージを行なうか、あるいは定期券を自動精算装置に投入して精算を行うことにより、自動改札装置の通行が可能となる。
【0028】
図5の(3)のケースは、有効区間がC駅−F駅(H駅経由)の定期券(残額なし)でC駅から乗車し、M駅で降車する例である。この場合は、H駅経由でM駅まで乗車するのであれば、定期券の有効区間内の乗降となるから、精算は発生しない。一方、H駅を経由しないで(D駅経由で)M駅まで乗車するのであれば、C駅−F駅間が定期券の有効区間外となるので、精算が発生するが、定期券の残額がないため、精算金額の引き去りができない。判定ボードAでは、「通行可否」については有効区間内の乗降として通行可と判定し、「精算経路」については問題とせず、「精算金額」については0円と判定する。一方、判定ボードBでは、C駅−F駅間を有効区間外として区間外残額不足のため通行不可と判定し、「精算経路」についてはC駅→F駅と判定し、「精算金額」については200円と判定する。したがって、判定ボードAでの判定結果と判定ボードBでの判定結果とを突合させると、3つの判定項目のすべてについて判定結果は一致しない。この場合、制御部10は、駅の係員への案内処理を行なう。具体的には、表示部14に、異常が発生したので係員室へ行くように案内するメッセージを表示し、扉開閉部13により扉を閉じて乗客の通行を禁止する。これと並行して、制御部10は、判定不一致が発生したことを判定結果とともに上位装置100へ通知する。係員室に設置されている上位装置100のモニタには、判定結果の詳細が表示される。係員は、判定内容を確認した上で、乗客に対して所定の対応(例えば、乗車媒体に対する通行許可処理)を行なう。
【0029】
図5の(4)のケースは、有効区間がC駅−M駅(H駅経由)の定期券(残額なし)でC駅から乗車し、M駅で降車する例である。この例では、定期券の有効期限が切れているものとする。この場合は、乗車媒体を定期券として使用することができないので、H駅経由でM駅まで乗車した場合でも、C駅−H駅−M駅間で精算が発生するが、定期券の残額がないため、精算金額の引き去りができない。一方、H駅を経由しないで(F駅経由で)M駅まで乗車した場合は、C駅−F駅−M駅間で精算が発生するが、やはり定期券の残額がないため、精算金額の引き去りができない。判定ボードAでは、「通行可否」については定期券が有効期限切れのため通行不可と判定し、「精算経路」についてはC駅→H駅→M駅と判定し、「精算金額」については200円と判定する。一方、判定ボードBでは、「通行可否」については区間外残額不足のため通行不可と判定し、「精算経路」についてはC駅→F駅→M駅と判定し、「精算金額」については220円と判定する。したがって、判定ボードAでの判定結果と判定ボードBでの判定結果とを突合させると、「通行可否」については判定結果が通行不可で一致し、「精算経路」と「精算金額」については判定結果が一致しない。この場合、制御部10は、「通行可否」について「主」に設定されている判定ボードAの判定結果に基づいて処理を行なう。すなわち、表示部14に、有効期限切れのため通行不可のメッセージを表示し、扉開閉部13により扉を閉じて乗客の通行を禁止する。この場合、乗客は、構内に設置されている金額チャージ装置で定期券に金額チャージを行なうことにより、自動改札装置の通行が可能となる。
【0030】
図5の(5)のケースは、有効区間がC駅−H駅(G駅経由)の定期券(残額800円)でC駅から乗車し、M駅で降車する例である。この場合は、H駅−M駅間で精算が発生するが、定期券の残額が800円あるので、精算金額の引き去りが可能である。判定ボードAでは、「通行可否」については通行可と判定し、「精算経路」についてはH駅→M駅と判定し、「精算金額」については180円と判定する。一方、判定ボードBでも、「通行可否」については通行可と判定し、「精算経路」についてはH駅→M駅と判定するが、「精算金額」については150円と判定する。したがって、判定ボードAでの判定結果と判定ボードBでの判定結果とを突合させると、「通行可否」と「精算経路」については判定結果が一致し、「精算金額」については判定結果が一致しない。この場合、制御部10は、(3)のケースと同様に、係員への案内処理を行なう。
【0031】
図5の(6)のケースは、有効区間がB駅−J駅(D駅経由)の定期券(残額800円)でB駅から乗車し、M駅で降車する例である。この場合は、H駅経由でM駅まで乗車するのであれば、C駅−H駅−M駅間が定期券の有効区間外となるので、精算が発生するが、定期券の残額が800円あるので、精算金額の引き去りが可能である。また、F駅経由でM駅まで乗車するのであれば、D駅−F駅−M駅間が定期券の有効区間外となるので、精算が発生するが、定期券の残額が800円あるので、精算金額の引き去りが可能である。判定ボードAでは、「通行可否」については通行可と判定し、「精算経路」についてはC駅→H駅→M駅と判定し、「精算金額」については200円と判定する。一方、判定ボードBでは、「通行可否」については通行可と判定し、「精算経路」についてはD駅→F駅→M駅と判定し、「精算金額」については200円と判定する。したがって、判定ボードAでの判定結果と判定ボードBでの判定結果とを突合させると、「通行可否」と「精算金額」については判定結果が一致し、「精算経路」については判定結果が一致しない。この場合も、制御部10は、(3)のケースと同様に、係員への案内処理を行なう。
【0032】
図5の(7)のケースは、(5)のケースで精算金額の判定結果が一致した場合の例である。判定ボードAでは、「通行可否」については通行可と判定し、「精算経路」についてはH駅→M駅と判定し、「精算金額」については150円と判定する。一方、判定ボードBでも、「通行可否」については通行可と判定し、「精算経路」についてはH駅→M駅と判定し、「精算金額」については150円と判定する。したがって、判定ボードAでの判定結果と判定ボードBでの判定結果とを突合させると、3つの判定項目のすべてについて判定結果は一致する。この場合、制御部10は、一致した通行可否の判定結果、すなわち「通行可」の判定結果に基づく処理を行う。具体的には、表示部14に通行可のメッセージを表示し、扉開閉部13により扉を開けて乗客の通行を許可する。また、定期券の残額800円から精算金額150円を引き去って運賃を収受し、定期券の残額を650円に書き換える処理を行なう。表示部14には、書き換え後の残額も表示される。
【0033】
図6は、制御部10と判定ボードA、Bのそれぞれにおける処理手順を示すフローチャートである。制御部10では、リーダライタ11が乗車媒体に記録されている情報を読み取ると(ステップS1)、設定テーブル15(図2)を参照して、突合を行う判定項目があるかどうかを確認する(ステップS2)。突合項目がある場合、すなわち突合「入」に設定されている判定項目が1つでもある場合は(ステップS2:YES)、リーダライタ11で読み取られた読取データを判定ボードAと判定ボードBのそれぞれへ送信する(ステップS3)。
【0034】
判定ボードAでは、制御部10から受け取ったデータに基づいて、判定プログラムPaおよび運賃データDaにより、突合「入」に設定されている判定項目について判定処理を行なう(ステップS4)。そして、その判定結果を判定出力データXaとして一旦メモリに格納した後、この判定出力データXaを制御部10へ送信する(ステップS5)。また、判定ボードBでも、制御部10から受け取ったデータに基づいて、判定プログラムPbおよび運賃データDbにより、突合「入」に設定されている判定項目について判定処理を行なう(ステップS6)。そして、その判定結果を判定出力データXbとして一旦メモリに格納した後、この判定出力データXbを制御部10へ送信する(ステップS7)。
【0035】
制御部10は、判定ボードAから送られてきた判定結果(判定出力データXa)と、判定ボードBから送られてきた判定結果(判定出力データXb)とを突合する(ステップS8)。突合の結果、判定ボードAの判定結果と判定ボードBの判定結果とが、それぞれの判定項目についてすべて一致する場合は(ステップS9:YES)、「主」に設定されている判定ボードAの判定結果に基づいて、通常のOK(通行可)/NG(通行不可)の処理を行なう(ステップS10)。図5の(1),(2),(7)のケースが、この場合に相当する。
【0036】
これに対して、突合の結果、判定ボードAの判定結果と判定ボードBの判定結果とが、いずれかの判定項目について不一致である場合は(ステップS9:NO)、次に、通行可否の判定結果が判定ボードAと判定ボードBとで共にNG(通行不可)か否かを確認する(ステップS11)。通行可否に関して双方の判定結果が共にNGである場合は(ステップS11:YES)、「主」に設定されている判定ボードAの判定結果に基づいて、通常のNG(通行不可)の処理を行なう(ステップS12)。図5の(4)のケースが、この場合に相当する。その後、制御部10は、不一致項目に対する判定結果(不一致情報)をログデータとして収集し、これを上位装置100へ出力する(ステップS13)。通行可否に関して双方の判定結果が共にNGでない場合、すなわち少なくとも一方の判定結果がNGでない場合は(ステップS11:NO)、前述した係員への案内処理を行なう(ステップS14)。図5の(3),(5),(6)のケースが、この場合に相当する。その後、制御部10は、不一致項目に対する判定結果(不一致情報)をログデータとして収集し、これを上位装置100へ出力する(ステップS15)。
【0037】
ステップS2において、突合項目がない場合、すなわち突合「入」に設定されている判定項目が1つもない場合は(ステップS2:NO)、制御部10は、リーダライタ11で読み取られた読取データを「主」に設定されている判定ボードAへ送信する(ステップS16)。判定ボードAでは、制御部10から受け取ったデータに基づいて、判定プログラムPaおよび運賃データDaにより、各判定項目について判定処理を行なう(ステップS17)。そして、その判定結果を判定出力データXaとして一旦メモリに格納した後、この判定出力データXaを制御部10へ送信する(ステップS18)。制御部10は、「主」に設定されている判定ボードAの判定結果に基づいて、通常のOK(通行可)/NG(通行不可)の処理を行なう(ステップS19)。
【0038】
上述した実施形態によれば、互いに異なる判定ロジックを持つ2つの判定ボードA,Bの判定結果を突合する多重化判定により、判定ロジックに不具合があった場合は、図5の(3),(5),(6)のケースのように、いずれかの判定項目の判定結果が不一致となり、係員への案内処理が行なわれる。このため、乗客が気づかないまま乗車媒体から運賃が過徴収されるような事態は発生せず、係員対応によって運賃の誤収受を未然に防止することができる。但し、判定結果に不一致があっても、通行可否の判定結果が通行不可で一致する場合は、図5の(4)のケースのように、「主」側の判定ボードAの判定結果に基づく通常のNG処理を行ない、係員への案内処理は行なわない。これは、双方の判定結果が共に通行不可であれば、結果的にその乗車媒体に対して運賃の収受を行なわず、通行禁止処理を行なうので、運賃誤収受の問題が生じないからである。また、このようにすることで係員対応が不要となり、機器の稼働率低下を回避することができる。
【0039】
また、上述した実施形態によれば、設定テーブル15において、各判定項目ごとに突合を行なうか否かを予め設定できるようになっているので、突合項目をユーザにおいて選択することができる。このため、運賃誤収受に直接影響しない判定項目(例えば一件明細データ)については突合を行なわないように設定することで、判定結果の不一致が頻繁に発生することによる機器稼働率の低下を回避することができる。
【0040】
また、上述した実施形態によれば、設定テーブル15において、判定ボードA,Bの主副を予め設定できるようになっているので、判定結果の不一致が発生した際に、「主」側の判定ボードAの判定内容に障害要因がある場合は、当該判定項目については判定ボードBを「主」に設定することで、正確な判定を行なうことができる。例えば、図2において、「書込みデータ」につき、判定ボードAと判定ボードBとの間で判定結果に不一致が生じ、その障害要因が判定ボードA側にあることが判明した場合は、図3(a)のように、「書込みデータ」の判定項目について、判定ボードAを「副」、判定ボードBを「主」に切り換え、かつ、当該項目の突合入/切設定を「切」に切り換える。これにより、「書込みデータ」の判定に関しては、常に障害要因のない判定ボードBの判定結果が採用されるので、信頼性の高い判定を行なうことができる。一方、障害要因が判定ボードB側にあることが判明した場合は、図3(b)のように、「書込みデータ」の判定項目について、判定ボードA,Bの主副はそのままとし、当該項目の突合入/切設定を「切」に切り換える。これにより、「書込みデータ」の判定に関しては、常に障害要因のない判定ボードAの判定結果が採用されるので、信頼性の高い判定を行なうことができる。また、このように判定ボードA,Bの主副を設定できるようにしたことにより、全判定項目につき判定ボードA,Bによる多重化判定を行わずに、「主」側に設定された一方の判定ボードの判定結果のみに基づいて処理を行う運用が可能となる。
【0041】
さらに、上述した実施形態によれば、判定結果の不一致があった場合に、制御部10が不一致情報を収集し、この不一致情報を上位装置100へ出力するようにしているので、収集された不一致情報を解析することで、判定ボードA,Bにおける判定プログラムPa,Pbや運賃データDa,Dbの不具合要因を追求することが可能となる。
【0042】
以上説明した実施形態においては、乗車媒体処理装置として自動改札装置1を例に挙げたが、本発明は自動改札装置だけでなく、自動精算装置にも適用することができる。図7は、本発明の実施形態に係る自動精算装置2のブロック図である。図7において、図1と同一または対応するブロックには同一符号を付してある。20は装置全体の動作を制御する制御部であって、CPU、メモリ、インターフェイスなどから構成される。21は、磁気券や非接触ICカード等からなる乗車媒体に記録されている情報を読み取り、また、乗車媒体に所定の情報を書き込むリーダライタである。乗車媒体には、切符、定期券、プリペイドカードなど各種のものが含まれる。22は自動精算装置2に投入された貨幣(硬貨および紙幣)を処理する貨幣処理部、23は精算券を発行する発券部、24は精算金額などを表示する表示部である。
【0043】
以上において、リーダライタ21は本発明における読取手段の一実施形態を構成し、判定ボードA,Bは本発明における判定手段の一実施形態を構成し、制御部20は本発明における比較手段および制御手段の一実施形態を構成している。
【0044】
制御部20には、図2に示した設定テーブル15と同様の設定テーブルが設けられている。この設定テーブルは、本発明における比較有無設定手段および主副設定手段の一実施形態を構成する。自動精算装置2の場合は、図2、図3、図5、図6における「通行可否」が「精算可否」に置き換わるだけで、判定方法は自動改札装置1の場合と変わりがない。乗車媒体が適正で精算可と判定された場合は、精算が実行されて精算券が発行され、乗車媒体が不適正で精算不可と判定された場合は、精算は実行されず投入された乗車媒体が返却される。したがって、本発明を自動精算装置2に適用した場合も、前述の自動改札装置1の場合と同様の効果が得られる。
【0045】
本発明では、以上述べた実施形態以外に、以下のような実施形態を採用することができる。
【0046】
本発明では、異なる判定ロジックを持つ2つの独立した判定ボードA,Bを用いるのが前提であるから、前掲の特許文献1のような同じ判定ロジックを持つ判定ボードを用いても意味はない。そこで、それぞれの判定ボードA,Bにメーカを識別するためのベンダIDを付与しておき、判定ボードA,Bが装着された際に各ベンダIDを読み取って比較し、同じベンダIDの判定ボードが装着されている場合は、異常を報知するようにしてもよい。
【0047】
本発明のような多重化判定は、路線が複雑な場合に特に有効であるが、路線が単純な場合は必ずしも多重化判定を行なう必要はない。そこで、2つの判定ボードA,Bを装着可能な仕様を備えるも、判定ボードを2つ装着して多重化判定を行なうか、判定ボードを1つだけ装着して単独判定を行なうかをユーザ側で設定できるようにしてもよい。
【0048】
運賃改定や消費税率の改定などが行なわれた場合は、ホスト装置からそれぞれの自動改札装置1、自動精算装置2に新運賃データや新判定プログラムが送信され、各判定ボードA,Bの運賃データDa,Dbと判定プログラムPa,Pbが書き換えられるが、双方の判定ボードA,Bにデータやプログラムがダウンロードされないと、両ボードの判定結果の不一致が異常に増大し、混乱が生じる。そこで、双方の判定ボードA,Bにデータやプログラムがダウンロードされたか否かを判別し、一方にしかダウンロードされていない場合は装置を起動させず、双方にダウンロードされている場合に装置を起動させるようにしてもよい。
【0049】
本発明は、2つの判定ボードA,Bを用いる場合に限らず、3つ以上の判定ボードを用いて多重化判定を行なう場合にも適用することができる。図8は、判定ボードA,B,Cを搭載した自動改札装置1のブロック図、図9は、判定ボードA,B,Cを搭載した自動精算装置2のブロック図である。各図において、図1および図7と同一部分には同一符号を付してある。Pc,Dc,Xcは、ぞれぞれ判定ボードCにおける判定プログラム、運賃データ、判定出力データである。図8、図9の実施形態においても、判定ボードA,B,Cのそれぞれの判定結果がすべて一致するか否かにより、前述の2つの判定ボードA,Bを用いた場合と同様の処理を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態に係る自動改札装置のブロック図である。
【図2】設定テーブルの例である。
【図3】設定を変更する場合の例である。
【図4】鉄道路線の例である。
【図5】判定処理の各種パターンを示した表である。
【図6】制御部と判定ボードにおける処理手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係る自動精算装置のブロック図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る自動改札装置のブロック図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る自動精算装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0051】
1 自動改札装置
2 自動精算装置
10,20 制御部
11,21 リーダライタ
15 設定テーブル
100 上位装置
A,B 判定ボード
Pa,Pb 判定プログラム
Da,Db 運賃データ
Xa,Xb 判定出力データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗車媒体に記録されている情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段が読み取った情報に基づき、互いに異なる判定ロジックにより、乗車媒体の適否、精算経路、精算金額を含む複数の判定項目につき判定する複数の判定手段と、
前記複数の判定手段による判定結果を、それぞれの判定項目ごとに比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果に基づいて所定の処理を行なう制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記比較手段による比較の結果、それぞれの判定項目についての判定結果がすべて一致する場合は、その一致した乗車媒体適否の判定結果に基づく処理を行ない、
前記比較手段による比較の結果、それぞれの判定項目についての判定結果のいずれかが不一致である場合は、係員への案内処理を行なうことを特徴とする乗車媒体処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の乗車媒体処理装置において、
前記制御手段は、前記比較手段による比較の結果、乗車媒体適否の判定結果が一致しても、精算経路の判定結果と精算金額の判定結果のいずれかが不一致であれば、係員への案内処理を行なうことを特徴とする乗車媒体処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の乗車媒体処理装置において、
前記各判定項目ごとに前記比較手段による比較を行なうか否かを予め設定する比較有無設定手段を設けたことを特徴とする乗車媒体処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の乗車媒体処理装置において、
前記各判定項目ごとに前記複数の判定手段のいずれを「主」とし、いずれを「副」とするかを予め設定する主副設定手段を設けたことを特徴とする乗車媒体処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の乗車媒体処理装置において、
前記制御手段は、前記比較手段による比較の結果、乗車媒体適否の判定結果が乗車媒体不適正で一致し、かつ、精算経路の判定結果と精算金額の判定結果のいずれかが不一致であれば、乗車媒体適否の判定項目について前記主副設定手段により「主」に設定されている判定手段の判定結果に基づいて処理を行なうことを特徴とする乗車媒体処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の乗車媒体処理装置において、
前記制御手段は、判定結果の不一致情報を収集し、当該不一致情報を上位装置へ出力することを特徴とする乗車媒体処理装置。
【請求項7】
乗車媒体に記録されている情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段が読み取った情報に基づき、互いに異なる判定ロジックにより、通行可否、精算経路、精算金額を含む複数の判定項目につき判定する複数の判定手段と、
前記複数の判定手段による判定結果を、それぞれの判定項目ごとに比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果に基づいて所定の処理を行なう制御手段と、
前記各判定項目ごとに比較手段による比較を行なうか否かを予め設定する比較有無設定手段と、
前記各判定項目ごとに複数の判定手段のいずれを「主」とし、いずれを「副」とするかを予め設定する主副設定手段とを備え、
前記比較手段は、前記比較有無設定手段により比較を行なうと設定された通行可否を含む判定項目につき前記判定結果を比較し、
前記制御手段は、
前記比較手段による比較の結果、それぞれの判定項目についての判定結果がすべて一致する場合は、その一致した通行可否の判定結果に基づく処理を行ない、
前記比較手段による比較の結果、それぞれの判定項目についての判定結果のいずれかが不一致である場合は、通行可否の判定結果がすべて通行不可であれば、通行可否の判定項目について前記主副設定手段により「主」に設定されている判定手段の判定結果に基づく処理を行ない、通行可否の判定結果の少なくとも一つが通行不可でなければ、係員への案内処理を行なうことを特徴とする自動改札装置。
【請求項8】
乗車媒体に記録されている情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段が読み取った情報に基づき、互いに異なる判定ロジックにより、精算可否、精算経路、精算金額を含む複数の判定項目につき判定する複数の判定手段と、
前記複数の判定手段による判定結果を、それぞれの判定項目ごとに比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果に基づいて所定の処理を行なう制御手段と、
前記各判定項目ごとに比較手段による比較を行なうか否かを予め設定する比較有無設定手段と、
前記各判定項目ごとに複数の判定手段のいずれを「主」とし、いずれを「副」とするかを予め設定する主副設定手段とを備え、
前記比較手段は、前記比較有無設定手段により比較を行なうと設定された精算可否を含む判定項目につき前記判定結果を比較し、
前記制御手段は、
前記比較手段による比較の結果、それぞれの判定項目についての判定結果がすべて一致する場合は、その一致した精算可否の判定結果に基づく処理を行ない、
前記比較手段による比較の結果、それぞれの判定項目についての判定結果のいずれかが不一致である場合は、精算可否の判定結果がすべて精算不可であれば、精算可否の判定項目について前記主副設定手段により「主」に設定されている判定手段の判定結果に基づく処理を行ない、精算可否の判定結果の少なくとも一つが精算不可でなければ、係員への案内処理を行なうことを特徴とする自動精算装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−4019(P2008−4019A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−175417(P2006−175417)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(391039173)株式会社ジェイアール西日本テクノス (26)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】