説明

乗車率予測システム

【課題】 データベース化した過去のデータを参照して同一時期の乗車率を統計的に予測し、更に利用時期の条件によりデータを補正するようにして、正確な乗車率の予測データを迅速に利用者に提供すること。
【解決手段】 各駅の車両内の乗客数を計数する複数の乗客数計数手段1と、各乗客数計数手段1により計数された乗客数に基づいて車両単位の乗車率を算出する乗車率収集センタCPU2と、算出された乗車率データを蓄積するデータベース3と、蓄積された乗車率データに基づいて対象車両の乗車率を予測する乗車率予測CPU4と、予測した結果を放送、表示手段7により乗客に報知して乗客を誘導する乗客案内誘導システム6と、利用者10により入力された対象車両に関する情報に基づいて、乗車率予測CPU4がインターネット9を介して予測した結果を利用者10に提供する乗車率提供サーバ8と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗車率予測システムに関し、さらに詳しくは、電鉄車両等、不特定多数の乗降客が利用する車両に関する各種情報に基づいて当該車両の乗車率(混雑率)を予測して利用者に乗車率に関する有効情報を報知する乗車率予測システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から電鉄車両、その他、不特定多数の利用者が乗降する車両の利用者や、電鉄車両等を利用した旅行斡旋を業とする旅行業者にとって、電鉄車両等の列車ごと、車両号車番号ごと、または時期、季節ごとの乗車率(混雑率)について情報を事前に知ることは、通勤、通学、出張等の移動において混雑時期を回避したり、旅行計画および旅行斡旋を立案する上で非常に重要なことである。また、交通事業者にとっても正確な乗車率を把握することは、運輸計画立案や旅客誘導の点で有効な手段となる。しかし、従来は乗車率(混雑率)を事前に知る手段がなく、旅行業者や交通事業者等に経験的な予測を聞くしかなく、その情報は必ずしも正確なものではなかった。
また、事前に車両の混雑度を報知する従来技術として特許文献1には、停車駅に設置される列車の各車両の重量を検出する手段と、前記各車両の種別を識別する手段および前記各手段から得られる情報を処理して各車両毎の混雑状況を算出する手段を有する車両混雑状況検出システムについて開示されている。
また特許文献2に開示された従来例では、乗車率監視器で抽出された到着駅に到着する前の列車の車両単位の乗車率と、降車率検出器で検出された到着駅での曜日、時刻などに応じたデータに基づく列車到着時の車両単位の降車率とから、乗車直前の乗車率を乗車直前乗車率計算器が計算し、駅のホーム上に車両単位で設置されたビデオカメラからの画像より乗客数を検出する。そしてこの乗客数の各車両の乗車定員に対する比率と、前述の乗車直前乗車率とから出発時乗車率を出発時乗車率計算器で計算して、乗車率表示器は、車両単位で乗車直前乗車率と出発時乗車率を表示する技術について開示されている。
【特許文献1】特開平5−142020号公報
【特許文献2】特開平5−254440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に開示されている従来技術は、検出システムにより得られた車両混雑状況に関する情報を、各車両単位の混雑度を示す情報に変換して乗客に対し表示すると共に、この情報を利用して統計的に処理することが開示されているが、近未来の混雑度の予測を行うことについては言及されていない。
また特許文献2に開示されている従来技術は、車両単位で乗車直前乗車率と出発時乗車率を表示するものであり、より正確に現時点での乗車率を報知することはできるが、直前の情報であるため乗客が必ずしもその情報を有効に活用できるとは限らないといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑み、各車両の毎日の運行状態から得られる各車両の乗車率をデータベース化することにより、過去の乗車率データを参照して同一時期の乗車率を統計的に予測することを可能とし、更に利用時期特有の条件により当該乗車率データを補正するようにして、正確な乗車率の予測データを迅速に利用者に提供することができる乗車率予測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、車両内の乗客数を計数する乗客数計数手段と、該乗客数計数手段により計数された乗客数に基づいて車両単位の乗車率を算出する乗車率算出手段と、該乗車率算出手段により算出された乗車率データを蓄積するデータベースと、該データベースに蓄積された乗車率データに基づいて対象車両の乗車率を予測する乗車率予測手段と、該乗車率予測手段により予測した結果を報知する予測結果報知手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明は、乗車率算出手段により算出された乗車率データを蓄積するデータベースを備え、このデータベースに蓄積された情報に基づいて、利用しようとする電鉄車両の乗車率を事前に予測して利用者に有益な情報として提供するシステムである。即ち、本発明が従来技術と大きく異なる点は、当日の乗車率を取得するのみならず、近未来の乗車率を予測して利用者に供するものである。
請求項2は、前記乗車率予測手段は、前記対象車両の乗車率を補正する乗車率補正手段を備え、前記対象車両に関する入力情報を取得後、取得した入力情報に該当する乗車率データを前記データベースから検索し、該検索した乗車率データを前記乗車率補正手段により補正し、該補正乗車率を前記乗車率報知手段により報知することを特徴とする。
利用者が利用しようとする時期の乗車率データをデータベースから検索して乗車率を予測するが、データベースに蓄積されているデータはあくまでも過去のデータに過ぎない。そこで本発明では、データベースから検索した乗車率データを補正して、利用しようとする時期の条件に近づけてデータの確度を高めるものである。
【0005】
請求項3は、前記乗車率予測手段は、前記対象車両に関する入力情報を取得後、取得した入力情報が入力当日の情報である場合、前記乗車率算出手段により算出された現在乗車率データを前記乗車率補正手段により補正し、該補正乗車率を前記乗車率報知手段により報知することを特徴とする。
利用者が利用する時期は明日以降の近未来とは限らない。即ち、当日の場合もありうる。このような場合、データベースに記憶された過去の乗車率データより、当日の乗車率データを利用した方が正確に予測することができる。従って、本発明では利用する時期が当日の場合は、当日の乗車率データを補正して利用するものである。
請求項4は、前記対象車両に関する入力情報は、前記対象車両の車両名、当該対象車両に連結される車両号車番号、前記対象車両が運行する区間、乗車する時期、当該時期に該当する曜日、及び乗車する時期の天候予測のデータのうちの少なくとも一つを含んでいることを特徴とする。
利用者が利用する対象車両を特定する情報は、多いほど予測結果の正確性が増す。通常は列車名、車両号車番号、区間、時期、天候予測等である。従って、本発明はこれらの情報のうち少なくとも一つを含んでいる。
【0006】
請求項5は、前記乗車率予測手段は、前記乗車する時期、当該時期に該当する曜日、及び乗車する時期の天候予測と同一時期における過去のデータに基づいて算出された値を補正係数として利用することを特徴とする。
乗車率を補正するためには、乗車率に補正係数を乗じる。その補正係数は、主として天候と曜日により左右される。例えば、天候が晴れの場合は雨の場合に比べて乗車率が上昇するはずである。従って、同じ時期であっても天候により変化する補正係数を乗じて補正する必要がある。
請求項6は、前記乗客数計数手段は、前記車両のドアーから乗降する乗客数を計数し、前記車両のドアーが閉鎖された時点で前記車両のドアーから乗車した人数から降車した人数を減じて乗降数を算出し、予め乗車済みの人数と前記乗降数を加算して乗客数を算出することを特徴とする。
車両の乗客数は、ドアーから乗車した人数から降車した人数を減じて乗降数を算出し、ドアーが閉鎖された時点で予め乗車済みの人数と乗降数とを加算することにより求めることができる。
請求項7は、前記乗客数計数手段は、前記車両が終着駅に達した時点で前記乗客数をゼロに設定することを特徴とする。
乗客数を正確に算出するためには、予め乗客数をゼロに設定して開始することが必要である。そのため、例えば、車両が終着駅に到着して折り返す場合は、一旦乗客を全員降車させてから改めて乗車させるため、その終着駅で乗客数をゼロに設定する必要がある。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、乗車率算出手段により算出された乗車率データを蓄積するデータベースを備え、このデータベースに蓄積された情報に基づいて、利用しようとする車両の乗車率を事前に予測するので、利用者は車両の混雑具合を事前に知ることができ、旅行の計画、或いは運行計画を事前に立てることができる。
また請求項2では、データベースから検索した乗車率データを補正して、利用者にその結果を報知するので、利用者は可能な限りの正確な乗車率データを取得することができる。
また請求項3では、利用する時期が当日の場合は、当日の乗車率データを補正して利用者に報知するので、利用者はより正確な乗車率データを取得することができる。
また請求項4では、利用対象車両に関する入力情報が、車両名、車両号車番号、区間、時期、天候予測等のうち少なくとも一つを含んでいるので、乗車率データの予測を正確に行うことができる。
また請求項5では、同じ時期であっても天候あるいは曜日により変化する補正係数を乗じて乗車率データを補正するので、同じ時期の乗車率データを利用時期の条件に合うように補正することができる。
また請求項6では、ドアーから乗車した人数から降車した人数を減じて乗降数を算出し、ドアーが閉鎖された時点で予め乗車済みの人数と乗降数とを加算することにより乗客数を算出するので、車両内に乗車している乗客数を正確に把握することができる。
また請求項7では、乗客数計数手段は、車両が終着駅に達した時点で乗客数をゼロに設定するので、乗客数の積算値が始発から終着駅までの数とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の実施形態に係る乗車率予測システムの構成図である。本実施形態では電鉄車両を例にとり説明する。この乗車率予測システム100は、各駅のホームに停車している電鉄車両内の乗客数を計数する複数の乗客数計数手段1と、各乗客数計数手段1により計数された乗客数に基づいて車両単位の乗車率を算出する乗車率収集センタCPU(乗車率算出手段)2と、この乗車率収集センタCPU2により算出された乗車率データを蓄積するデータベース(以下、DBと記す)3と、このDB3に蓄積された乗車率データに基づいて利用者がこれから利用しようとしている車両(以下、対象車両と記す)の乗車率を予測する乗車率予測CPU(乗車率予測手段)4と、この乗車率予測CPU4により予測した結果を放送、表示手段7により乗客に報知して乗客を誘導する乗客案内誘導システム(予測結果報知手段)6と、これから利用しようとする人(以下、利用者と記す)10により入力された対象車両に関する情報に基づいて、乗車率予測CPU4がインターネット9を介して予測した結果を利用者10に提供する乗車率提供サーバ(予測結果報知手段)8と、を備えて構成される。尚、乗客数計数手段1は各駅A〜Xに設置され、その手段は、例えば車両の重量や画像解析といった公知の技術による手段でも構わない。また、乗車率予測CPU4と旅客案内誘導システム6及び乗車率提供サーバ8は内部バス5により接続される。
【0009】
次に本発明の乗車率予測システム100の動作について説明する。各駅A〜Xから列車が入線するたびに各車両の車両内の乗客数データが乗車率収集センタCPU2に入力される。乗車率収集センタCPU2では各車両内の乗客数データから乗車率を計算し、DB3に蓄積していく。DB3内のデータベース構造は後述するが、各列車の車両ごとに区間単位に蓄積される。また、これらの動作とは別に、例えば利用者10がインターネット9を介して乗車率提供サーバ8にアクセスして、利用する列車の乗車率のデータを要求する場合について説明すると、利用者10は自分が利用する列車名、利用日時、区間等の情報を入力する。乗車率提供サーバ8はそれらの情報を取得すると、バス5を介して乗車率予測CPU4に送信する。乗車率予測CPU4はそのデータに基づいて過去の同一時期の乗車率データをDB3から検索する。そして検索された乗車率データを利用日時の補正係数により補正して乗車率提供サーバ8に送信する。それにより、利用者10は対象列車の乗車率を予測することができる。
また、交通事業者がこのシステムを利用する場合は、乗客案内誘導システム6により報知対象の列車に関する情報を入力してバス5を介して乗車率予測CPU4に送信する。乗車率予測CPU4はそのデータに基づいて過去の同一時期の乗車率データをDB3から検索する。そして検索された乗車率データを利用日時の補正係数により補正して乗客案内誘導システム6に送信する。それにより、その情報が駅舎内に設置されたスピーカや表示手段により乗客に報知される。また、報知対象の列車に関する情報が当日の場合は、乗車率収集センタCPU2により算出された当日の乗車率データを補正することにより報知される。そのときの情報ルートはルート11によりDB3をバイパスして、乗車率収集センタCPU2から直接取得される。
以上の通り本実施形態は、乗車率収集CPU2により算出された乗車率データを蓄積するDB3を備え、このDB3に蓄積された情報に基づいて、利用しようとする列車の乗車率を事前に予測して利用者に提供するシステムである。即ち、本実施形態が従来技術と大きく異なる点は、当日の乗車率を取得するのみならず、近未来の乗車率を予測して事前に利用者に供するものである。これにより、利用者は車両の混雑具合を事前に知ることができ、旅行の計画、或いは運行計画を事前に立てることができる。
【0010】
図2は本発明の実施形態に係る乗客数計数手段1を利用した乗車率予測システムの構成例の一部を示す図である。同じ構成要素には同じ参照番号を付して説明する。この乗車率予測システム200は、各車両のドアーに備えられたカメラ20と、カメラ20により撮影された画像データを画像処理する画像処理CPU21と、画像処理CPU21により画像処理されたデータに基づいて人数を計数する人数計数CPU22と、そのデータを無線により送信するアンテナ23と、を備えて乗客数計数手段1を構成する。そしてアンテナ23から送信されたデータはアンテナ24により受信されて、乗車率収集センタCPU2により乗車率データが算出される。尚、カメラ20は車内に取り付けても良いし、プラットホーム側に取り付けても良い。また人数計数CPU22と乗車率収集センタCPU2とは有線により接続されても構わない。
【0011】
図3は本発明の乗客数計数手段1の人数計数CPU22の動作を説明するフローチャートである。まずCPU内の積算カウンタNをクリアする(S11)。次に車両のドアーが開放されたか否かを検知し(S12)、ドアーが開放されると(S12でYESのルート)、車両から降車する人数をカウントしてその値をAとする(S13)。次に同じドアーから乗車する人数をカウントしてその値をBとする(S14)。この動作がドアーが閉鎖されるまで継続する(S15)。尚、このフローチャートでは降車する人数のカウントが先で、乗車する人数のカウントが後のように書かれているが、実際は、逆の場合や順序が適宜入れ替わる場合も発生する。一つの方法として画像処理により降車と乗車の人数を個別にカウントして記憶しておき、ドアーが閉鎖された時点で計算する方法がある。そしてステップS15でドアーが閉鎖されると(S15でYESのルート)、カウントを停止してカウント値Bからカウント値Aを減じてその値をnとする(S16)。そして積算カウンタの値NとしてN=N+nを計算する(S17)。そして駅に停車するたびに終着駅か否かをチェックして(S18)、終着駅でなければ(S18でNOのルート)、ステップS21に戻って動作を繰り返し、積算カウンタNに積算していく。ステップS18で終着駅であると(S18でYESのルート)、ステップS11に戻って積算カウンタNをクリアして繰り返す。
ここで、更に理解を深めるために具体的に説明すると、例えば、最初の駅でドアーが開放して車両から降車する人数が0(A=0)で、乗車する人数が10人(B=10)とする。そしてドアーが閉鎖されるとこのときのnは、n=B−A=10−0=10となる。そして積算カウンタNの値は、N=N+n=0+10=10となる。次の駅では降車人数が2人(A=2)、乗車人数が5人(B=5)とすると、n=5−2=3となり、その結果、N=10+3=13と積算される。
【0012】
図4は本発明の乗車率予測の動作を説明するためのフローチャートである。図4(a)は対象車両を利用する日が当日以外の場合であり、図4(b)は対象車両を利用する日が当日の場合である。まず図4(a)の場合について図1を参照して説明する。利用者10がインターネット9を介して乗車率提供サーバ8にアクセスして、自分が利用する列車名、利用日時、区間等の対象車両に関する情報を入力する。乗車率提供サーバ8はそれらの情報を取得すると(S1)、バス5を介して乗車率予測CPU4に送信する。乗車率予測CPU4はそのデータに基づいて過去の同一時期の乗車率データをDB3から検索する(S2)。そして検索された乗車率データを利用日時の補正係数により補正して(S3)、乗車率提供サーバ8に送信すると、乗車率提供サーバ8はインターネット9を介して利用者10にそのデータを送信する(S4)。
このように利用者が利用しようとする時期の乗車率データをDB3から検索して乗車率を予測するが、DB3に蓄積されているデータはあくまでも過去のデータに過ぎない。そこで本実施形態では、DB3から検索した乗車率データを補正して、利用しようとする時期の条件にデータの確度を高めるものである。これにより、利用者は可能な限り正確な乗車率データを取得することができる。
つぎに図4(b)の場合について図1を参照して説明する。利用者10がインターネット9を介して乗車率提供サーバ8にアクセスして、自分が利用する列車名、利用日時、区間等の利用対象車両に関する情報を入力する。乗車率提供サーバ8はそれらの情報を取得すると(S21)、バス5を介して乗車率予測CPU4に送信する。乗車率予測CPU4はそのデータに基づいて当日の情報であることを認識して、乗車率収集センタCPU2から現在乗車率データを取得する(S22)。そして取得した乗車率データを利用日時の補正係数により補正して(S23)、乗車率提供サーバ8に送信すると、乗車率提供サーバ8はインターネット9を介して利用者10にそのデータを送信する(S24)。
このように利用者が利用する時期は近未来とは限らない。即ち、当日の場合もありうる。このような場合、DB3に記憶された過去の乗車率データより、当日の乗車率データを利用した方が正確に予測することができる。従って、本実施形態では利用する時期が当日の場合は、当日の乗車率データを補正して利用するものである。これにより、利用者はより正確な乗車率データを取得することができる。
【0013】
図5は本発明のDB3に蓄積されるデータの構造を示すデータベース構造例を示す図である。この例では、縦軸に列車名と車両の号車番号を示し、横軸に各列車の区間を示している。そして縦横の交点には各列車の号車番号に対する各区間ごとの乗車率が蓄積されている。例えば時刻9時におけるA列車の1両目では、区間が駅AからBでは「80%」、区間が駅BからCでは「100%」、区間が駅CからDでは「60%」となることが記録されている。同様にしてA列車の2両目、3両目のデータが記録されている。また他の領域にはB列車のデータが同様にして記録されている。そしてこれらのデータは各時刻ごとに終電まで全て記録される。尚、各時刻ごとの乗車率は更に細かく分けて記録しても構わない。そして、1時間単位に記録する場合は、その平均値を計算して記録するようにしても良い。
【0014】
図6は本発明の乗車率予測CPU4が乗車率を補正する場合の補正係数について説明する図である。縦軸に天候を示し、横軸にある時期(この例では1ヶ月単位)と各時期の曜日を示す。また、特異日として祭日と入学式の時期(4月1日)が示されている。この図から明らかなように、9月の日曜日でも天候により補正係数が変化している。例えば、晴れの日は符号32のように「1.7」であるが雨の日は符号34のように「1.0」となり、同じ曜日であるにもかかわらず、晴れの日の方が乗車率が高くなることを示している。また同じ天候であっても曜日が異なれば補正係数が異なる。例えば、晴れの日でも日曜日と火曜日では約2倍係数が異なることがわかる。即ち、火曜日の方が乗車率が低くなることを示している。また、曜日に関係なく特異日には一般的に乗車率が高くなることを示している。
このように乗車率を補正するためには、乗車率に補正係数を乗じることにより求める。その補正係数は、主として天候と曜日により左右される。例えば、天候が晴れの場合は雨の場合に比べて乗車率が上昇するはずである。従って、同じ時期であっても天候により変化する補正係数を乗じて補正する必要がある。これにより同じ時期の乗車率データを利用時期の条件に合うように補正することができる。
【0015】
図7は図5、図6のデータに基づいて乗車率予測CPU4が実際に乗車率を計算する一例を説明する図である。例1では、利用者の入力情報として利用対象列車「A列車の1両目」、日付「9月1日」、曜日「日曜日」、時刻「9時」、天候は自動的に予測データとして「晴れ」、区間「駅AからB」が入力されたとする。乗車率予測CPU4はこの情報に基づいて図5から「A列車の1両目」と区間「駅AからB」の交点30「80%」を乗車率データとして検索する。さらに図6から日付「9月1日」、曜日「日曜日」、天候「晴れ」の交点32「1.7」が補正係数として導かれる。その結果、「80×1.7=136%」が補正乗車率として算出される。
例2では、利用者の入力情報として利用対象列車「B列車の2両目」、日付「9月2日」、曜日「月曜日」、時刻「9時」、天候は自動的に予測データとして「雨」、区間「駅CからD」が入力されたとする。乗車率予測CPU4はこの情報に基づいて図5から「B列車の2両目」と区間「駅CからD」の交点31「48%」を乗車率データとして検索する。そして図6から日付「9月2日」、曜日「月曜日」、天候「雨」の交点33「0.5」が補正係数として導かれる。その結果、「48×0.5=24%」が補正乗車率として算出される。
以上、電鉄車両について説明したが、電鉄車両に限らず、不特定多数の利用者が乗降する他の車両、例えばバス、船舶等にも適応可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る乗車率予測システムの構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る乗客数計数手段1を利用した乗車率予測システムの構成例の一部を示す図である。
【図3】本発明の乗客数計数手段1の人数計数CPU22の動作を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の乗車率予測の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明のDB3に蓄積されるデータの構造を示すデータベース構造例を示す図である。
【図6】本発明の乗車率予測CPU4が乗車率を補正する場合の補正係数について説明する図である。
【図7】図5、図6のデータに基づいて乗車率予測CPU4が実際に乗車率を計算する一例を説明する図である。
【符号の説明】
【0017】
1 乗客数計数手段、2 乗車率収集センタCPU、3 データベース、4 乗車率予測CPU、6 乗客案内誘導システム、7 放送、表示手段、9 インターネット、8 乗車率提供サーバ、10 利用者、100 乗車率予測システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内の乗客数を計数する乗客数計数手段と、該乗客数計数手段により計数された乗客数に基づいて車両単位の乗車率を算出する乗車率算出手段と、該乗車率算出手段により算出された乗車率データを蓄積するデータベースと、該データベースに蓄積された乗車率データに基づいて対象車両の乗車率を予測する乗車率予測手段と、該乗車率予測手段により予測した結果を報知する予測結果報知手段と、を備えたことを特徴とする乗車率予測システム。
【請求項2】
前記乗車率予測手段は、前記対象車両の乗車率を補正する乗車率補正手段を備え、前記対象車両に関する入力情報を取得後、取得した入力情報に該当する乗車率データを前記データベースから検索し、該検索した乗車率データを前記乗車率補正手段により補正し、該補正乗車率を前記乗車率報知手段により報知することを特徴とする請求項1に記載の乗車率予測システム。
【請求項3】
前記乗車率予測手段は、前記対象車両に関する入力情報を取得後、取得した入力情報が入力当日の情報である場合、前記乗車率算出手段により算出された現在乗車率データを前記乗車率補正手段により補正し、該補正乗車率を前記乗車率報知手段により報知することを特徴とする請求項1に記載の乗車率予測システム。
【請求項4】
前記対象車両に関する入力情報は、前記対象車両の車両名、当該対象車両に連結される車両号車番号、前記対象車両が運行する区間、乗車する時期、当該時期に該当する曜日、及び乗車する時期の天候予測のデータのうちの少なくとも一つを含んでいることを特徴とする請求項1、2または3に記載の乗車率予測システム。
【請求項5】
前記乗車率予測手段は、前記乗車する時期、当該時期に該当する曜日、及び乗車する時期の天候予測と同一時期における過去のデータに基づいて算出された値を補正係数として利用することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の乗車率予測システム。
【請求項6】
前記乗客数計数手段は、前記車両のドアーから乗降する乗客数を計数し、前記車両のドアーが閉鎖された時点で前記車両のドアーから乗車した人数から降車した人数を減じて乗降数を算出し、予め乗車済みの人数と前記乗降数を加算して乗客数を算出することを特徴とする請求項1に記載の乗車率予測システム。
【請求項7】
前記乗客数計数手段は、前記車両が終着駅に達した時点で前記乗客数をゼロに設定することを特徴とする請求項1または6に記載の乗車率予測システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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