説明

乱丁検査システム

【課題】丁合駒ごとに配置される複数の乱丁検査装置に対し、最小限の数のライン制御ユニット30を配した乱丁検査システムにおいて作業効率を向上させる。
【解決手段】乱丁検査システムは、乱丁検査装置20、丁合駒10ごとの撮像部21、これらと接続する1つ、あるいは最小限の数のライン制御ユニット30およびこれらと接続しないコード情報管理装置40で構成する。
検査者は複数情報を備えるQRコードを印刷したシート50、もしくはPC装置で作成したQRコード画像を取り込んで再生可能な携帯型端末51を持ち備え、検査中に、乱丁検査装置20が異常等を検知すると、丁合装置を停止させ、その異常状態に対応するための操作項目に該当するQRコード画像を、対象となる丁合駒の撮像部に読み取らせ、そのQRコード画像データをライン制御ユニット30へ送信することで対象駒装置への作動指示及びQRコード情報の管理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は,帳票等を丁合する際に乱丁を検査し、制御する乱丁検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
製本中での乱丁、落丁等(本明細書においては乱丁と総称する)の検査装置として、CCDカメラを用いた乱丁検査装置が知られている。
例えば、図1に示すように、中綴じ機械においては、丁合駒3A〜3Fごとにストックされた帳票は、各丁合駒3A〜3Fの帳票取出機構(図示せず)によって1枚ずつ取り出され、搬送装置(ギャザリングチェーン)1に配置された鞍2上に順に載置され、丁合束5として形成されて下流の中綴じ機4に搬送される。
ここで、該丁合駒3A〜3Fごとに乱丁検査用のCCDカメラ6a〜6fが配置されており、鞍2上に載置された帳票画像を撮影し、その撮像画像をコントローラ7A〜7Cに出力するように構成されている。
該コントローラ7A〜7Cは、その撮影画像と予め登録されている基準画像とを比較して折丁の画像異常の有無を検出し、その画像異常の検出信号と、CCDカメラ6a〜6fの撮像を行うタイミング及び搬送装置(ギャザリングチェーン)1の折丁送り量とによって、どの丁合駒で異常が起きたかを検知するとともに、異常が起きた丁合束を特定する信号を中綴じ機4及び排出機14に出力する異常信号出力手段を有している。
そして、該異常信号を受信した中綴じ機4は、異常が起きた丁合束に対する中綴じを行うことなく下流へ搬送し、下流側の排出機14は、該異常丁合束を機外Aへ排出するように構成されている。
【0003】
最近では、検査装置のコストダウンのため、このようなコントローラ1台により複数のCCDカメラに対応するものが出現している。(特許文献1、2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−191662号公報
【特許文献2】特開2001−246870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、1台又は少数のコントローラで多数のカメラ装置を管理することは、結果的には両者の配置距離が遠くなり、たとえば検査者(丁合装置の操作者)が丁合装置に異常を見つけ、丁合装置の設定値を変更するときには、コントローラと丁合駒間を行ったり来たりする必要があり、検査者にとって大きな作業負担になる。特に、頁数の多い横型の丁合機・製本機では、全長が非常に長くなるので、その負担は非常に大きい。
また検査担当者名が検査記録に残らないため、どの検査者がどういう理由で設定値を変更するなどの操作をしたかが、その操作履歴から明らかにできないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、本発明は、複数の丁合駒装置からなる丁合装置において、前記丁合駒装置から1部ずつ取り出された印刷物の画像を検査画像として撮像し、該検査画像と予め記憶された基準画像とを比較して乱丁を検査し、前記丁合駒装置における丁合を制御する乱丁検査システムであって、
前記乱丁検査システムからオフラインとされ、少なくとも、操作者及び操作内容を特定する操作コード情報を出力するコード情報管理装置と、
前記コード情報管理装置から出力された、少なくとも前記操作コード情報が入力されたコード表示媒体と、
前記複数の丁合駒装置のそれぞれに配置され、前記検査画像および前記コード表示媒体を撮像する撮像部と、前記撮像部からの検査画像情報と予め記憶された基準画像情報とから乱丁検査情報を出力するとともに、前記撮像部からの前記操作コード情報を設定情報として出力する乱丁検査装置と、
丁合装置および複数の前記乱丁検査装置に接続し、入力された前記乱丁検査情報および前記設定情報を表示する表示部と、前記設定情報および前記検査情報に基づき、前記丁合装置および前記乱丁検査装置を制御する制御手段を有するライン制御ユニットと、
を備え、前記ライン制御ユニットによって前記乱丁検査装置からの前記乱丁検査情報に基づき前記丁合装置が停止される際に、運転を再開するために必要な操作コード情報が表示されたコード表示媒体が選択され、該選択されたコード表示媒体が乱丁の発生した丁合駒装置に対応する前記撮像部に被写されることによって、前記乱丁検査装置から前記操作コード情報に対応する前記設定情報が前記ライン制御ユニットに出力されることを特徴とする乱丁検査システムとした。
【0007】
このように構成したことにより、検査者(丁合装置の操作者)は、乱丁発生により丁合駒装置が停止した際に、予め所有しているコード表示媒体の中から、その丁合駒装置の運転を再開するために必要な操作コード情報が入力されているコード表示媒体を適宜選択し、それを当該停止されている丁合駒装置に配置された丁合検査装置の撮像部で撮像することにより、選択した操作コード情報に基づき、停止されていた丁合装置の運転を再開することができる。したがって、検査者は、乱丁が発生して停止した丁合駒装置を点検すると、遠方のライン制御ユニットにアクセスすることなく、乱丁が発生した当該丁合駒装置の場所から丁合装置の運転を再開する指示等を行うことができるので、作業効率が極めて良い。
【0008】
また本発明は、前記コード情報管理装置は、前記コード表示媒体を印刷する印刷装置を備えることを特徴とする構成とした。
【0009】
このように構成したことにより、コード表示媒体を適宜、簡単に準備することができ、検査者の作業を容易にすることができる。
【0010】
また本発明は、前記コード表示媒体は、コード情報を表示する表示部を有する携帯型端末機であり、前記携帯型端末機は、前記コード情報管理装置が出力する少なくとも前記操作コード情報を入力して前記表示部に表示するように構成されていることを特徴とする乱丁検査制御システムとした。
【0011】
このように構成したことにより、前記コード情報管理装置が出力するコード情報を検査者が所有する携帯型端末機に容易に取り込むことができ、しかも取り込んだそのコード情報を携帯型端末機の表示部に表示することも容易なので、検査者の作業が容易になる。
【0012】
さらに本発明は、前記ライン制御ユニットは、携帯型メモリを有し、時刻情報、各丁合駒装置の稼働情報、前記検査情報、前記設定情報、及び前記操作コード情報を前記携帯型メモリに丁合管理情報として記憶するものであり、
前記コード情報管理装置は、前記携帯型メモリに記憶された前記丁合管理情報を読み出し、前記多数の丁合駒装置における前記丁合管理情報を管理するものであることを特徴とする乱丁検査制御システムとした。
【0013】
このように構成したことにより、そのような運転操作を選択した操作者名等はライン制御ユニットに操作履歴として記録されるので、その後の分析処理などに有効に活用することができる。
また、比較的大きな情報処理負担となる丁合管理情報の情報管理を、それぞれのライン制御ユニットによって行うことなく、オフラインのコード情報管理装置で行うことができるので、乱丁検査制御システム全体を比較的安価に構築することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、このように構成したことにより、乱丁検査制御システムにおける検査者の作業負担が軽減される。また、丁合管理情報の情報管理を精確に行うことができるとともに、該システムを安価に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来例における中綴じ製本ラインでの乱丁検査システムの構成図。
【図2】本発明における乱丁検査制御システムの構成図。
【図3】本発明における乱丁検査装置とライン制御ユニットとのブロック図。
【図4】本発明における乱丁検査装置と丁合制御装置とのブロック図。
【図5】本発明における乱丁検査制御システムの全体構成図。
【図6】本発明における乱丁検査制御システムの操作フロー図。
【図7】本発明におけるコード表示媒体の作成フロー図。
【図8】本発明において携帯型端末機を使用する場合のフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本件発明の実施の形態例を、丁合装置に応用した例を用いて、以下に説明する。
丁合装置10は、図2に示すように、それぞれに折丁収納手段11を有した複数の丁合駒装置10−1〜10−nを有しており、また、水平方向に延びた回転軸13、当該回転軸13を回転駆動する駆動部16、折り丁収納手段11を支持する折り丁載台12、各折り丁収納手段11に対応して当該回転軸13に配設された複数のドラム14、搬送ライン17(ギャザリングチェーン)及び該搬送ライン状に設けられた鞍(図示せず)とから構成されている。
回転軸13が回転駆動されると、各丁合駒10−1〜10−nの折り丁載台12に載置された折り丁が、ドラム14の爪にて1部ずつ引き出されて搬送ライン17の鞍上に落下する。
落下した折り丁は、搬送されるに従い各丁合駒から順に上積みされて、丁合装置10終端において当該複数の折り丁全てがページ順に積層された丁合束が形成される。
【0017】
各丁合駒に配置された乱丁検査装置20−1〜20−nは、折り丁や、操作者がかざしたコード表示媒体、具体的には図2に示すような、QR(登録商標)コード情報が印刷されたシート50あるいはQRコード情報を表示するための表示部を有する携帯型端末機51を撮像するCCDカメラなどからなる撮像手段(撮像部)21と、当該乱丁検査装置の制御を行う検査側制御部22をそれぞれ有している。
さらに、撮像手段(撮像部)21は、撮像対象に対応させて、折丁の撮像画像処理を行う丁合画像処理部21aと、QRコード情報の撮像画像処理を行うQRコード読取画像処理部21bとを有している。
また、検査側制御部22は、図3に示すように、丁合装置10に設置されたスターター15からのスタート信号31を受け、ドラム14の1回転毎にカウントアップするカウンター22a、それぞれの乱丁検査装置20における検査情報を記憶する検査情報記憶手段22b、丁合装置10やその各丁合駒に固有な機器識別情報を特定コード情報としてEEPROMなどに予め書込記憶した機器情報記憶手段22c、および予め機器情報記憶手段22cに記憶させた基準画像と丁合画像処理部21aからの折丁画像とをライン制御ユニット30からの設定情報に基づいて対比し、乱丁となる折丁画像を特定して検査情報記憶手段22bに保存記憶させるとともに、その検査情報をネットワーク(I/O)を介して後述するライン制御ユニット30に出力する駒制御手段22dを有している。さらに、この駒制御手段22dは、QRコード読取画像処理部21bによって撮像画像処理が行われたQRコード情報を、ネットワーク(I/O)を介してライン制御ユニット30に出力する。
【0018】
さらに本システムでは、ネットワーク(I/O)を介して複数の乱丁検査装置20―1〜nを制御するために、各検査側制御部22とは別個に、ライン制御ユニット30が設けられている。該ライン制御ユニット30は、1台で、あるいは最小限の台数でシステム全体の制御をするように構成されている。
該ライン制御ユニット30は、各丁合駒に共通する標準時刻を供給する標準時刻供給手段30b(タイムサーバ30b−1及び電波時計30b−2)、各丁合駒装置毎の検査側制御部22等へ各種設定情報を入力する入力操作手段30d、該入力操作手段30dによる入力操作や各乱丁検査装置20の稼働状態等を表示する表示手段30c、乱丁検査装置からのQRコード情報を復元するQRコード制御手段30e、及び該QRコード制御手段30eにより復元された操作情報および各乱丁検査装置20−1〜nからの検査情報を集計し分析するエラー集計・分析手段30f、該エラー集計・分析手段30fによって集計・分析された丁合管理情報を記憶し、オフラインに持ち出すことができる携帯型メモリ30g、およびスターター15からのスタート信号31、エンコーダー32からのパルス信号及び入力操作手段30dからの入力信号等を受けてライン制御ユニット30を制御するメイン制御手段30aを有している。
さらに、該メイン制御手段30aは、前記設定情報および検査情報に基づき、丁合装置および乱丁検査装置を制御するものであり、乱丁発生によって丁合装置にエラーが発生して乱丁検査装置から乱丁検査情報(検査情報)が入力された場合に丁合装置全体を自動停止したり、入力操作手段30dによる設定情報に基づき、乱丁検査装置に対し設定情報を出力したり、丁合装置におけるストップスイッチを操作者が操作した場合に丁合装置全体を強制停止したりする機能を備えている。
【0019】
スターター15は、ドラム14の一回転毎にスタート信号31を発生させるものであり、各検査側制御部22におけるカウンター22aは、メイン制御手段30aを通して供給される該スタート信号31をカウントアップする。したがって、このカウンター22aのカウント数により、各丁合駒における折り丁の特定が可能となる。
エンコーダー32はドラム14の回転に同期してパルス信号を発生するものであり、該パルス信号により、折り丁収納手段11に対するドラム14上に設けられた爪の基準位置(回転角度位置)が設定される。
【0020】
各乱丁検査装置20における検査結果は、検査判定結果(OK、又はNG)、測定相関値、測定濃度値、測定濃度偏差値、検査カウント、検査日時、被検査画像付帯情報(被検査画像が添付されているか否か)等が検査情報として検査情報記憶手段22bの携帯型メモリに記憶され、該検査情報に対応させた被検査画像も併せて記憶される。
しかしながら、検査情報記憶手段22bに携帯型メモリが用いられることから、記憶容量の最大値には限界がある。一方、被検査画像を記憶するには比較的大きな記憶容量を必要とする。
そのため、各検査側制御部22における駒制御手段22dは、図4に示すように、被検査画像と基準画像との相関値を検出する相関値検出手段22d−1、検出された該相関値が所定数に区分された相関値の如何なる区分に相当するかを判定する相関値区分判定手段22d−2、及び被検査画像を前記検査情報記憶手段22bに記憶すべきか否かを決定する記憶保持決定手段22d−3を有しており、これら手段によって、基準画像との相関値が所定の相関値以下となる被検査画像が選択され、選択された被検査画像のみが検査情報記憶手段22bに検査情報として保存記憶される。
【0021】
駒制御手段22dは、さらに稼働情報作成手段22d−4を有しており、該稼働情報作成手段22d−4により、カウンター22aからのカウント情報、機器情報記憶手段22cからの丁合駒特定情報、及びライン制御ユニット30側からの標準時刻等に基づいて稼働情報が作成される。
該稼働情報は、検査情報に関連づけられて当該被検査画像と共に検査情報記憶手段22bの携帯型メモリに保存記憶される。
該稼働情報のうち、判定結果、検査カウンタ値、被検査画像特定情報等の検査時に特定される項目以外の情報、例えば、丁合機ラインナンバーや丁合駒ナンバー等の機器情報は、ライン制御ユニット30の入力操作部30dを操作して、対応する乱丁検査装置20−1〜20−nのそれぞれの機器情報記憶手段22cに記憶させておき、それらが検査情報記憶手段22bの携帯型メモリへの検査情報の書込時に適宜読み出されて使用される。
また該稼働情報のうち検査日時は、タイムサーバ30b―1や電波時計30b−2等の標準時刻供給手段からの時刻信号が、同様にライン制御ユニット30を通じて各乱丁検査装置20−1〜nに共通して供給されるので、その信号を用いて作成される。
したがって、各携帯型メモリ22b−1に保存記憶される稼働情報は、全て同一の標準時刻が用いられて作成されることとなる。
さらに、これら稼働情報や検査情報(乱丁検査情報)は、丁合装置全体を制御するために必要な制御情報として、駒制御手段22dからネットワーク(I/O)を介してライン制御ユニット30に出力される。
【0022】
さらに、本発明の乱丁検査システムは、図5に示すように、各丁合駒に設けられる乱丁検査装置20−1〜nがライン制御ユニット30とネットワークを介してオンラインで接続されている一方、これらとはオフラインとなるコード情報管理装置40が別途、設けられている。
該コード情報管理装置40は、乱丁検査装置20やライン制御ユニット30の携帯型メモリに記憶されている各種の丁合管理情報を読み込んでそれらをオフラインで管理する機能と、撮像手段21によって撮像されるコード表示媒体へQRコード情報を入力するための機能を有している。
【0023】
このうち、オフラインで管理する機能としては、乱丁検査装置20−1〜nにおける検査情報記憶手段22bに使用される携帯型メモリや、ライン制御ユニット30に使用される携帯型メモリ30gが挿入されることでそれら携帯型メモリからデータ読取する携帯型メモリ読取手段46、そのデータ読取された検査情報をデータ整理して丁合管理情報として記憶する丁合管理情報管理手段47、それら丁合管理情報の表示手段42、およびCPUへの入力操作手段43を有している。
【0024】
また、撮像手段21によって撮像されるコード表示媒体50、51へQRコード情報を入力するための機能としては、QRコード情報を予め登録・記憶しておくQRコード情報記憶手段41、そのQRコード情報記憶手段41から読取されたQRコード情報を表示する表示手段42、CPUへの入力操作手段43、操作コード情報(操作者を特定するコード情報及び操作内容を特定するコード情報)を、各丁合駒装置の操作履歴等の丁合駒情報(検査者ID、設定値、解除、その他の設定項目)として管理するQRコード情報管理手段44、コード表示媒体50、51に入力するQRコード情報を作成するためのQRコード作成手段45を有している。
さらに、QRコード作成手段45によって作成されたQRコード情報をコード表示媒体50、51に入力する印刷装置48を有している。
【0025】
以上のように構成された、本発明の乱丁検査システムの動作について、以下説明する。
乱丁検査装置20は、本発明の乱丁検査システムの主要部であって、その撮像手段21は丁合画像処理部21aとQRコード読取画像処理部21bとによって構成され、常時は丁合画像処理部21aのカメラ装置で乱丁を監視しており、乱丁が発生した場合には、その検査情報がネットワーク(I/O)を介してライン制御ユニット30に出力され、該ライン制御ユニット30により、丁合装置が自動的に停止される。
このように、乱丁によりエラーとなって丁合装置が自動停止され、あるいはストップスイッチにより丁合装置10が強制停止された場合に、運転を再開するためには、操作者が、乱丁が発生した丁合駒装置(これを10−mとする)の乱丁状態を確認した上で、必要に応じてその丁合駒装置10―mにおける乱丁検査装置20―mの検査レベルの再設定をおこなうとともに、運転再開の指示が必要となる。
【0026】
そこで、操作者は、当該丁合駒装置10−mの運転再開の指示のために必要とするQRコード情報が印刷されたコード表示媒体50、51を選択し、停止している丁合駒装置10―mに配置されている乱丁検査装置20−mの撮像部に撮像させる。
コード表示媒体50、51には、QRコードによって、操作者ID(識別番号)、丁合装置10の主電源のON,OF指令信号、自動停止の条件を設定する信号(例えば、丁合検査装置が連続して何枚の乱丁を検出したら自動停止信号を出力するかを設定するもので、その枚数を条件として設定する信号等)、丁合駒装置のエラーを解除する信号、あるいは当該乱丁検査装置20―mの検査情報記憶手段における記憶を0リセットする信号等が入力されている。このコード表示媒体50、51に入力されるQRコード情報には、上記のように、少なくとも、操作者を特定したり操作内容を特定する操作コード情報が含まれる。
したがって、操作者が、乱丁検査装置20の設定値などの変更をするときは、変更する内容に相当する操作コード情報と各自のID情報に該当する操作コード情報がQRコード情報として表示されているコード表示媒体50、51を選択し、それを、対象となる丁合駒装置における撮像手段21に読み込ませる(被写させる)。
【0027】
選択されたコード表示媒体50、51に入力(印刷)されているQRコード画像が撮像手段21で被写されると、該撮像手段21の画像処理部は、被写画像の変更を検知して割り込み信号を出力し、画像処理モードを丁合画像モードからQRコード読取画像モードに切り替える。
被写されたQRコード情報は、QRコード読取画像処理部21bによって画像処理され、駒制御手段22dのQRコード判定手段22d−5(図4)により、その画像が乱丁検査装置20の認めるQRコード情報であるか否かを判定し、当該乱丁検査装置によって認められたQRコード情報であると判定された場合には、そのQRコード情報はライン制御ユニット30 のQRコード制御手段30eおよびエラー集計・分析手段30fへ送られる。ここで、認識できるQRコードか否かの判定は、予めQRコード判定手段22d−5に記憶されたQRコード標準との比較によってQRコード情報かどうかが判断される。
次に、QRコード制御手段30eは、その受けたQRコード情報を操作項目として復元し、その制御信号はメイン制御手段30aを介して乱丁検査装置20―mや丁合装置10に出力されると共に、丁合装置10をQRコードで操作した検査者(ID番号)およびその操作した設定項目、操作に及んだ原因等の操作情報を丁合駒ごとに読み取り、エラー集計・分析手段30fにより、QRコード画像で送られた全ての設定項目情報を集計し、そのエラーがどの様な原因によるものかが要因分析される。
これにより丁合駒装置ごとの特徴を掴み、乱丁検査装置の検査設定値をベストな状態で設定することができる。
そして、前記のエラー集計及び分析結果は携帯型メモリ30gに記憶され、後で説明するコード情報管理装置40において使用される。
【0028】
つぎに、操作者が選択するためのコード表示媒体50,51の作成例をいくつか説明する。
コード表示媒体50、51は、オフラインで設けられたコード情報管理装置40を用いて作成する場合には、図5に示すQRコード作成手段45により、複数のQRコードに所定の設定項目、少なくとも上記した操作情報をそれぞれ登録してQRコード画像データを作成し、これを携帯型端末機51に読込み記憶させ、そのQRコード画像を携帯型端末のディスプレイに表示可能にし、QRコード情報を表示する携帯型端末51とする。
あるいは、前記作成したQRコード画像を表示手段42に表示し、その画像を付設されている印刷装置48を用いて印刷し、QRコードシート50を作成する。
あるいは、設定項目のQRコード画像データをPCから出力して携帯端末51の付設メモリに入力し、その付設メモリを携帯端末51に戻して使用する。
またシート等に印刷された、或いは表示手段42に表示されたQRコードを携帯端末機に付属されたカメラで撮影し、画像データとして取り込むことができる。
各画像データには、操作項目名が付けられ保存される。また専用ソフトを使用して電話番号などに各項目を割り当てることも可能である。汎用で販売している専用の携帯端末機を使用すれば、より簡単に入力できる。
この携帯型端末に取り込んだ画像データを携帯型端末のディスプレイ上に再生することで、その再生画像を、QRコードシート50と同様に機能させることができる。
【0029】
オフラインとされたコード情報管理装置40では、QRコード画像によって操作された各丁合駒装置の設定情報や操作情報を、携帯型メモリ読込手段46によって携帯型メモリ30gから読み込んで、QRコード情報記憶手段41に記憶させる。
この設定情報や操作情報は、QRコード情報管理手段44によって各丁合駒の操作履歴等の丁合駒情報(前記したように、検査者ID、設定値、解除、その他の設定項目)として管理される。
この丁合駒情報は、付設の表示手段42で確認でき、また入力操作手段43によって、情報検索事項の入出力、追加的記録項目(メモ)の入出力操作を行うことができる。
なお、この携帯型メモリ30gに記憶された丁合駒情報は、ライン制御ユニット30の表示装置30c又はコード情報管理装置40の表示手段42によっても、表示させることができる。
【0030】
次に、本発明の検査システムの操作フローについて図6を用いて説明する。
操作者は、丁合駒装置における乱丁を処理するために必要な操作情報(操作コード情報)が入力されているコード表示媒体50,51を選択し、それを当該丁合駒装置が対応する丁合検査装置20の撮像手段21に被写する。(スタート)
S1:撮像手段21は、被写体がQRコード画像であるかを認識できたかどうか、(Y)のとき割込み信号によりQRコード画像処理(S6)を行う。
S2:S1で(N)のとき丁合検査を開始する。開始できないときはQRコード画像処理を行う。
S3:撮像画像と予め準備してある基準画像信号とのマッチング処理を行う。
S4:マッチング処理の結果、一致率が所定値以下のときはエラー処理(S5)を行う。所定値以下でないときは次のQRコード画像の処理を繰り返す。
S6: 検出された割り込み画像(つまりQR画像)を乱丁検査対象としない処理を行う。
S7:乱丁検査装置が許可するQRコードであるか否かを判定し、許可できるときは操作項目として処理する 。
S8:操作項目として処理された操作信号が、エラー解除のQRコード操作信号か、丁合検査装置10の設定を変更するQRコード操作信号かを判定する。
S9:S8でエラー解除の操作信号と判定された場合は、エラー解除処理を行う。
S10:S8で設定変更の操作信号と判定された場合は、その設定変更の情報を取得し、設定変更処理(S11)を行う。
S12:エラー解除処理(S9)及び設定更新処理(S11)の処理結果が検査担当者IDなどを付加されて、携帯型メモリ30gに記憶される。
なお、S8で、エラー解除のQRコード操作信号と、丁合検査装置10の設定を変更するQRコード操作信号の両方を判定した場合には、その信号に基づいてS9およびS12の処理が共に行われる。
【0031】
次に、QRコードシートあるいはカード51の作成フローについて、図7を用いて説明する。
P:PCによりQRコード画像およびQRコードとして記録させるQRコード操作項目(操作パラメータ)等を設定する。
S10:前記PCにより作成したQRコード画像に基づき、必要な各操作項目を選択する。
S11:前記でQRコードを選択後、シート/カードにQRコードを印刷する。
S12:撮像手段21によりQRコードを被写し、ライン制御ユニット30およびコード情報管理装置40の表示装置に表示する。
【0032】
次に、携帯型端末機51におけるQRコード情報の作成フローについて、図8を用いて説明する。
P:予めコード情報管理装置40のQRコード作成手段45(アプリケーション)により、QRコード操作項目(操作パラメータ)のリストを作成する。
S20:作成手段45により作成したリストの中から、必要な操作項目を選択する。
S21:(1)QRコード情報管理装置のQRコード作成手段により、携帯端末の付設メモリにQRコード情報を入力し記憶したあと、携帯型端末に差し込んで使用する (S24)、又は、(2)必要なQRコード画像を、前記図7で作成したQRコードシート/カードから選択し、携帯端末のカメラにより通常の写真撮影と同様に撮像する。
S22:取り込んだQRコード画像がライン制御ユニットまたはQRコード情報管理装置の表示装置に表示可能かを確認する。
S23:N→再度表示確認し、撮像QRコード使用不可であれば、再度、撮影。
S24:QRコード画像が表示可能に表示された場合には、当該携帯型端末はコード表示媒体51として使用可能となる。
【0033】
このように、乱丁検査装置20−1〜nにはライン制御ユニット30がオンラインで接続され、その乱丁検査装置20―1〜nにおける各撮像手段21から入力されるQRコード画像で操作する設定項目によって管理されるので、操作者が物理的に遠方にあるライン制御ユニットにアクセスすることを必要としないので、作業負担が格別に小さくなる。つまり、丁合駒装置ごとの撮像手段(カメラ装置)でQRコードを読ませるだけで、乱丁検知装置への操作指示が出来るので、これまでのように、検査者が乱丁検査装置20とライン制御ユニット30との比較的長い移動距離を行ったり来たりすることがなくなり、作業効率が向上する。
【0034】
その他、本乱丁検査システムは、次のような作用効果を有している。
(1)既存の乱丁検査システムでも、ライン制御ユニット30での制御システムの設計変更、および乱丁検査装置20における画像処理部での設計変更を導入するだけでよいので、少ないコストで実現可能である。
(2)ID(操作者識別番号)、丁合駒装置、操作項目等の履歴により、誰がどのような原因で操作したか、などの要因分析が容易にできる。
(3)携帯型端末機を使用すると、多くのQRコードを記憶することができるので、操作指示項目を多岐にわたって設けることができる。また操作項目に該当するQRコードの選択は、直接端末機の入力キーから入力できるので利便性がよく、誤って他のQRコードをカメラ装置に読み取らせることがない。
(4) 丁合駒装置の撮像装置からQRコードを読み取り入力すると、その丁合駒装置を対象にして自動的に検査情報を送信することができるので、操作履歴が間違えることなく記憶され、問題発生後の原因究明がしやすい。
【0035】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術思想の範囲で様々な変形が可能である。変形例としては、例えば以下のものがある。
(1)上述した実施形態では、検査情報記憶手段22bの記憶手段として携帯型メモリが用いられているが、携帯型とすることなく、基準画像などの必要最小限の検査画像を記憶することとし、丁合管理情報として必要な検査情報はライン制御ユニット30に出力し、その携帯型メモリ30gに記憶するように構成することもできる。
【0036】
(2)上記の実施形態例では、乱丁発生等による丁合装置10の停止中における作業として説明したが、丁合装置の停止中に限ることなく、運転中においても設定変更が必要になる場合には、必要なコード表示媒体50,51を被写させることで、丁合検査装置の設定を変更することができる。
【0037】
(3)上記の実施形態例では、コード情報として周知のQRコード(登録商標)を用いたが、該QRコードに限ることなく他の情報コードを用いることができる。
【符号の説明】
【0038】
10 丁合装置
10−1〜n 丁合駒装置
20 乱丁検査装置
21 撮像手段(撮像装置)
21a 丁合画像処理部
21b QRコード情報読取画像処理部
22b 検査情報記憶手段
22d 駒制御手段
30 ライン制御ユニット
30g 携帯型メモリ
40 コード情報管理装置
41 QRコード情報記憶手段
42 表示手段
45 QRコード作成手段
48 印刷装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の丁合駒装置からなる丁合装置において、前記丁合駒装置から1部ずつ取り出された印刷物の画像を検査画像として撮像し、該検査画像と予め記憶された基準画像とを比較して乱丁を検査し、前記丁合駒装置における丁合を制御する乱丁検査システムであって、
前記乱丁検査システムからオフラインとされ、少なくとも、操作者及び操作内容を特定する操作コード情報を出力するコード情報管理装置と、
前記コード情報管理装置から出力された、少なくとも前記操作コード情報が入力されたコード表示媒体と、
前記複数の丁合駒装置のそれぞれに配置され、前記検査画像および前記コード表示媒体を撮像する撮像部と、前記撮像部からの検査画像情報と予め記憶された基準画像情報とから乱丁検査情報を出力するとともに、前記撮像部からの前記操作コード情報を設定情報として出力する乱丁検査装置と、
丁合装置および複数の前記乱丁検査装置に接続し、入力された前記乱丁検査情報および前記設定情報を表示する表示部と、前記設定情報および前記検査情報に基づき、前記丁合装置および前記乱丁検査装置を制御する制御手段を有するライン制御ユニットと、
を備え、前記ライン制御ユニットによって前記乱丁検査装置からの前記乱丁検査情報に基づき前記丁合装置が停止される際に、運転を再開するために必要な操作コード情報が表示されたコード表示媒体が選択され、該選択されたコード表示媒体が乱丁の発生した丁合駒装置に対応する前記撮像部に被写されることによって、前記乱丁検査装置から前記操作コード情報に対応する前記設定情報が前記ライン制御ユニットに出力されることを特徴とする乱丁検査システム。
【請求項2】
請求項1において、 前記コード情報管理装置は、前記コード表示媒体を印刷する印刷装置を備えることを特徴とする乱丁検査制御システム。
【請求項3】
請求項1において、前記コード表示媒体は、コード情報を表示する表示部を有する携帯型端末機であり、前記携帯型端末機は、前記コード情報管理装置が出力する少なくとも前記操作コード情報を入力して前記表示部に表示するように構成されていることを特徴とする乱丁検査制御システム。
【請求項4】
請求項1〜3において、前記ライン制御ユニットは、携帯型メモリを有し、時刻情報、各丁合駒装置の稼働情報、前記検査情報、前記設定情報、及び前記操作コード情報を前記携帯型メモリに丁合管理情報として記憶するものであり、
前記コード情報管理装置は、前記携帯型メモリに記憶された前記丁合管理情報を読み出し、前記多数の丁合駒装置における前記丁合管理情報を管理するものであることを特徴とする乱丁検査制御システム。


【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−66503(P2012−66503A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213758(P2010−213758)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)