説明

乱用が防止された剤形

【課題】アヘン剤、オピオイド、鎮静剤、興奮薬を非経口的乱用から保護する固形剤形の提供。
【解決手段】非経口的乱用のおそれがある1つ以上の有効成分のほかに、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸、イナゴマメ粉、柑橘類ペクチン、蝋様トウモロコシデンプン、アルギン酸ナトリウム、グアー粉、イオタ-カラギーナン、カラヤゴムなどから選ばれる、少なくとも1つの粘度上昇剤を含み、必要最小量の水性液体が添加されたときに、該投与製剤から得られた抽出物に基づき、別の量の水性液体に導入されたときに視覚的に識別可能な状態を保つ好ましくは注射可能なゲルを形成する固形剤形。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非経口的乱用が低減された固形剤形であって、乱用のおそれがある1つ以上の有効成分のほかに、必要最小量の水性液体により抽出すると、好ましくは依然として注射針を通過することができるゲルを形成するが、該ゲルがそれ以上の量の水性液体に導入されたあとでさえも視覚的に識別可能な状態を保つような量の少なくとも1つの粘度上昇剤を含む該剤形に関する。
【0002】
多くの薬学的有効成分には、適切に利用したときには優れた作用があるのに加えて、乱用のおそれもある。すなわち、意図した効果以外の効果を生じさせるために乱用者によって使用されうる。例えば、ひどい痛みから非常にひどい痛みまでと闘うときに非常に有効なアヘン剤は、昏睡あるいは陶酔感の状態を誘発するために乱用者によって頻繁に使われる。
【0003】
乱用のおそれがある有効成分を含む剤形は、乱用的に大量に経口摂取したときでさえも、乱用者が望む結果、すなわち、急激な感情の高ぶりあるいは「興奮」を通常引き起こさない。なぜなら、有効成分の血液レベルはゆっくりにしか増加しないからである。にもかかわらず、望む効果を達成して乱用を可能にするために、乱用者は、該剤形を例えばすりつぶして粉末にし、該剤形の粉砕によって得られた粉末から有効成分を好ましくは必要最小量の好ましくは水性液体により抽出し、結果として得られた溶液を、場合により脱脂綿あるいは紙綿を通してろ過した後に、非経口的に、特に静脈内に投与する。この非経口投与により、特に、望む急激な感情の高ぶりあるいは「興奮」をもたらす有効成分を含む可能な限り最小の注入体積を得るために、可能な限り最小量の水性液体だけが抽出に使われる。このように、非経口投与は、経口投与と比較して、有効成分のレベルの加速度的上昇を起こす傾向を有し、乱用者に望む結果をもたらす。
【0004】
このような形態の乱用を妨げるために、米国特許第4,070,494号(US 4,070,494)では、剤形からの有効成分の抽出を膨潤剤の添加によって妨げることが提案されている。水を添加すると、この薬剤は膨張して、乱用者によって非経口的に投与されうる有効成分含有液体が確実に少量しか得られなくなる。膨潤したこの剤形の大部分は投与することができない。
【0005】
国際公開第95/20947号(WO 95/20947)で開示され、乱用のおそれがある有効成分と1つ以上のゲル形成剤とをおのおの異なった層中に含む多層の錠剤も、非経口的乱用の防止への適切なアプローチに基づく。
【0006】
この先行技術の教示によれば、粘度上昇剤が、その対応するゲルを従来の皮下注射針によっては投与できないような量で添加される。
【0007】
本発明で目的とされたのは、乱用のおそれがこのようなおそれを有する有効成分について少なくとも低減されており、好ましくは、非経口的な、特に静脈内への有効成分の依然として可能ないかなる乱用をも妨げる剤形を提供することである。
【0008】
この目的は、非経口的乱用のおそれが少なくとも低減された本発明による固形剤形であって、乱用のおそれがある1つ以上の有効成分のほかに、必要最小量の水性液体により該剤形から得られた抽出物において、好ましくは依然として注射針を通過することができ、それ以上の量の水性液体に導入されたときに視覚的に識別可能な状態を保つゲルが形成されるような量の少なくとも1つの粘度上昇剤を含む該剤形を提供することにより達成された。
【0009】
本発明の目的のためには、視覚的に識別可能とは、必要最小量の水性液体により剤形から抽出することによって形成された有効成分含有ゲルが、直径0.9mmの皮下注射針でそれ以上の量の水性液体に37℃で導入されるとき、実質的に不溶解性かつ粘着性の状態を保ち、非経口的に、特に静脈内へ安全に投与することができるような方法では容易には分散しえないことを意味する。この物質は、好ましくは少なくとも1分間、より好ましくは少なくとも10分間、視覚的に識別可能な状態を保つ。
【0010】
選択された粘度上昇剤によるゲル粘度の増加とは、これはより困難であるとされてきたが、該ゲルが依然として注射針を通過しうること、あるいは注射されうることを意味する。これはまた、結果として得られた抽出物あるいはゲルが37℃でそれ以上の量の水性液体に導入されたときに、例えば、同様に注射によって血液に導入されたときに、機械的作用によって崩壊してより小さい断片になることはあるが、非経口的に、特に静脈内へ安全に投与することができるような方法では分散しえず、または溶解さえしえない粘着性の大きい糸状物が最初に得られることも意味する。
【0011】
このような抽出物を静脈内に投与したならば、重篤な塞栓症あるいは乱用者の死とさえ関連する血管の障害をほぼおそらくもたらすことになるであろう。
【0012】
本発明の目的のためには、必要最小量の水性液体、好ましくは水により本発明の剤形から得られた抽出物あるいはゲルは、もし、この方法で形成された該ゲルを依然として直径が2mm、好ましくは1.5mm、特に好ましくは0.6mmの皮下注射針を通して吸い上げることができ、そこから射出させて戻すことができるならば、注射針を通過することができるとみなされる。乱用のおそれがある薬学的有効成分は、その使用量およびその製造方法と同様に、当業者に公知であって、本発明による剤形中にそれ自体として、対応する誘導体、特にエステルもしくはエーテルの形で、またはおのおのの場合に生理的に許容される対応化合物、特にその塩もしくは溶媒和物の形で存在していてもよい。本発明による剤形は複数の有効成分の投与にも適している。それは好ましくは単一の有効成分の投与のために使われる。
【0013】
本発明による剤形は、アヘン剤、オピオイド、鎮静剤、好ましくはベンゾジアゼピン、興奮薬、および別の麻薬からなる群より選択される薬学的有効成分の乱用を妨げるのに特に適している。
【0014】
本発明による剤形は、N−{1−[2−(4-エチル-5-オキソ-2−テトラゾリン-1−イル)エチル]−4-メトキシメチル-4−ピペリジル}プロピオンアニリド(アルフェンタニル)、5,5-ジアリルバルビツール酸(アロバルビタール)、アリルプロジン、アルファプロジン、8-クロロ-1−メチル-6−フェニル−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]-ベンゾジアゼピン(アルプラゾラム)、2-ジエチルアミノプロピオフェノン(アンフェプラモン)、(±)-α−メチルフェネチルアミン(アンフェタミン)、2-(α-メチルフェネチルアミノ)-2-フェニルアセトニトリル(アンフェタミニル)、5−エチル-5−イソペンチルバルビツール酸(アモバルビタール)、アニレリジン、アポコデイン、5,5-ジエチルバルビツール酸(バルビタール)、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、7-ブロモ-5−(2-ピリジル)−1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(ブロマゼパム)、2-ブロモ-4−(2-クロロフェニル)−9-メチル−6H−チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン(ブロチゾラム)、17-シクロプロピルメチル-4,5α-エポキシ-7α[(S)−1-ヒドロキシ-1,2,2−トリメチル-プロピル]−6-メトキシ-6,14−エンド−エタノモルフィナン-3−オール(ブプレノルフィン)、5−ブチル-5−エチルバルビツール酸(ブトバルビタール)、ブトルファノール、(7-クロロ-1,3-ジヒドロ-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-ジメチル-カルバマート(カマゼパム)、(1S,2S)−2-アミノ-1−フェニル-1−プロパノール(カチン/D-ノルプソイドエフェドリン)、7-クロロ-N-メチル-5-フェニル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-イルアミン-4-オキシド(クロルジアゼポキシド)、7-クロロ-1−メチル-5−フェニル−1H-1,5-ベンゾジアゼピン-2,4(3H,5H)−ジオン(クロバザム)、5-(2-クロロフェニル)-7-ニトロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(クロナゼパム)、クロニタゼン、7-クロロ-2,3−ジヒドロ-2−オキソ-5−フェニル−1H-1,4−ベンゾジアゼピン-3−カルボン酸(クロラゼパート)、5−(2-クロロフェニル)−7-エチル-1-メチル-1H-チエノ[2,3-e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(クロチアゼパム)、10-クロロ-11b-(2クロロフェニル)-2,3,7,11b-テトラヒドロオキサゾロ[3,2-d][1,4]ベンゾジアゼピン-6(5H)-オン(クロキサゾラム)、(−)−メチル−[3β-ベンゾイルオキシ-2β(1αH,5αH)-トロパンカルボキシラート](コカイン)、4,5α-エポキシ-3−メトキシ-17-メチル-7−モルフィネン−6α−オール(コデイン)、5-(1-シクロヘキセニル)-5-エチルバルビツール酸(シクロバルビタール)、シクロルファン(Cyclorphan)、シプレノルフィン(Cyprenorphin)、7-クロロ-5−(2-クロロフェニル)−1H-1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)-オン(デロラゼパム)、デソモルヒネ、デキストロモルアミド、(+)−(1−ベンジル-3-ジメチルアミノ-2−メチル−l−フェニルプロピル)プロピオナート(デキストロプロポキシフェン)、デゾシン、ジアンプロミド、ジアモルフォン、7-クロロ-1-メチル-5-フェニル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(ダイアゼパム)、4,5α-エポキシ-3−メトキシ-17−メチル−6α−モルフィナノール(ジヒドロコデイン)、4,5α-エポキシ-17-メチル-3,6α−モルフィナンジオール(ジヒドロモルヒネ)、ジメノキサドール、ジメフェタモール(Dimephetamol)、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチラート、ジピパノン、(6aR,10aR)−6,6,9-トリメチル-3-ペンチル-6a,7,8,10a−テトラヒドロ−6H-ベンゾ[c]クローメン-1-オール(ドロナビノール)、エプタゾシン、8-クロロ−6-フェニル-4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン(エスタゾラム)、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチル-[7-クロロ-5−(2-フルオロフェニル)−2,3-ジヒドロ-2−オキソ−1H-1,4ベンゾジアゼピン-3−カルボキシラート](ロフラゼプ酸エチル)、4,5α-エポキシ-3−エトキシ-17-メチル-7−モルフィネン−6α−オール(エチルモルヒネ)、エトニタゼン、4,5α-エポキシ−7α−(1−ヒドロキシ-1−メチルブチル)−6-メトキシ-17-メチル-6,14-エンド-エテノ-モルフィナン-3−オール(エトルフィン)、N-エチル-3−フェニル-8,9,10-トリノルボルナン-2−イルアミン(フェンカムファミン)、7−[2-(α-メチルフェネチルアミノ)エチル]-テオフィリン)(フェネチリン)、3-(α-メチルフェネチルアミノ)プロピオニトリル(フェンプロポレックス)、N-(1-フェネチル-4-ピペリジル)プロピオンアニリド(フェンタニール)、7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-1-メチル-1H-1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)-オン(フルジアゼパム)、5-(2-フルオロフェニル)-1-メチル-7-ニトロ-1H-1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)-オン(フルニトラゼパム)、7-クロロ-1-(2-ジエチルアミノエチル)-5−(2-フルオロフェニル)−1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(フルラゼパム)、7-クロロ-5-フェニル-1−(2,2,2-トリフルオロエチル)−1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(ハラゼパム)、10-ブロモ-11b-(2-フルオロフェニル)-2,3,7,11b-テトラヒドロ[1,3]オキサゾロ[3,2-d][1,4]ベンゾジアゼピン-6(5H)-オン(ハロキサゾラム)、ヘロイン、4,5α-エポキシ-3−メトキシ-17-メチル-6−モルフィナノン(ヒドロコドン)、4,5α-エポキシ-3−ヒドロキシ-17-メチル-6−モルフィナノン(ヒドロモルフォン)、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ヒドロキシメチルモルフィナン、11-クロロ-8,12b−ジヒドロ-2,8−ジメチル−12b-フェニル-4H−[1,3]オキサジノ[3,2-d][1,4]ベンゾジアゼピン-4,7(6H)-ジオン(ケタゾラム)、1−[4-(3-ヒドロキシフェニル)-1-メチル-4-ピペリジル]−1-プロパノン(ケトベミドン)、(3S,6S)−6-ジメチルアミノ-4,4−ジフェニルヘプタン-3−イルアセタート(レバセチルメタドール(Levacetylmethadol)(LAAM))、(−)−6-ジメチルアミノ-4,4−ジフェニル-3−ヘプタノン(レボメタドン(Levomethadon))、(−)−17-メチル-3−モルフィナノール(レボルファノール)、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、6−(2-クロロフェニル)-2−(4-メチル−1−ピペラジニルメチレン)−8-ニトロ-2H-イミダゾ[1,2-a][1,4]−ベンゾジアゼピン-1(4H)-オン(ロプラゾラム)、7-クロロ-5−(2-クロロフェニル)−3-ヒドロキシ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(ロラゼパム)、7-クロロ-5−(2-クロロフェニル)−3-ヒドロキシ-1−メチル−1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(ロルメタゼパム)、5−(4-クロロフェニル)−2,5-ジヒドロ-3H-イミダゾ[2,1-a]イソインドール-5-オール(マジンドール)、7-クロロ-2,3-ジヒドロ-1−メチル-5−フェニル−1H-1,4−ベンゾジアゼピン(メダゼパム)、N−(3-クロロプロピル)−α−メチルフェネチルアミン(メフェノレックス)、メペリジン、2-メチル-2-プロピルトリメチレンジカルバマート(メプロバメート)、メプタジノール、メタゾシン、メチルモルヒネ、N,α−ジメチルフェネチルアミン(メタンフェタミン)、(±)-6-ジメチルアミノ-4,4−ジフェニル-3−ヘプタノン(メタドン)、2−メチル-3−o−トリル−4(3H)−キナゾリノン(メタクワロン)、メチル-[2−フェニル-2−(2-ピペリジル)アセタート](メチルフェニダート)、5-エチル-1−メチル-5−フェニルバルビツール酸(メチルフェノバルビタール)、3,3-ジエチル-5−メチル-2,4−ピペリジンジオン(メチプリロン)、メトポン、8-クロロ-6−(2-フルオロフェニル)−1-メチル-4H-イミダゾ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン(ミダゾラム)、2-(ベンズヒドリルスルフィニル)アセトアミド(モダフィニル)、4,5α-エポキシ-17−メチル-7−モルフィネン-3,6α−ジオール(モルヒネ)、ミロフィン(Myrophin)、(±)−トランス-3-(1,1-ジメチルヘプチル)−7,8,10,10α−テトラヒドロ−1−ヒドロキシ−6,6-ジメチル-6H−ジベンゾ[b,d]ピラン-9(6αH)-オン(ナビロン)、ナルブフェン(Nalbuphen)、ナロルフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、1−メチル-7−ニトロ-5−フェニル−1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(ニメタゼパム)、7-ニトロ-5−フェニル−1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(ニトラゼパム)、7-クロロ-5−フェニル−1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(ノルダゼパム)、ノルレボルファノール、6-ジメチルアミノ-4,4−ジフェニル-3−ヘキサノン(ノルメタドン)、ノルモルヒネ、ノルピパノン、ケシ・ソムニフェルム(Papaver somniferum)種に属する植物からの滲出物(オピウム)、7-クロロ-3-ヒドロキシ-5−フェニル−1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(オキサゼパム)、(シス-トランス)−10-クロロ-2,3,7,11b−テトラヒドロ-2−メチル−11b−フェニルオキサゾロ[3,2-d][1,4]ベンゾジアゼピン-6-(5H)-オン(オキサゾラム)、4,5α-エポキシ-14−ヒドロキシ-3−メトキシ-17−メチル-6−モルフィナノン(オキシコドン)、オキシモルフォン、ケシ・ソムニフェルム種(セチゲルム(setigerum)亜種を含む)(ケシ・ソムニフェルム)に属する植物および植物の部分、パパベレタム、2-イミノ-5−フェニル-4−オキサゾリジノン(ペモリン)、1,2,3,4,5,6-ヘキサヒドロ-6,11−ジメチル-3−(3−メチル-2−ブテニル)-2,6-メタノ-3−ベンザゾシン-8−オール(ペンタゾシン)、5-エチル-5−(1-メチルブチル)−バルビツール酸(ペントバルビタール)、エチル-(1-メチル-4-フェニル-4-ピペリジンカルボキシラート)(ペチジン)、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、フォルコデイン、3−メチル-2−フェニルモルホリン(フェンメトラジン)、5−エチル-5−フェニルバルビツール酸(フェノバルビタール)、α,α−ジメチルフェネチルアミン(フェンテルミン)、7-クロロ-5-フェニル-1−(2-プロピニル)−1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(ピナゼパム)、α−(2-ピペリジル)ベンズヒドリルアルコール(ピプラドロール)、1'−(3-シアノ-3,3-ジフェニルプロピル)[1,4’-ビピペリジン]−4’-カルボキサミド(ピリトラミド)、7-クロロ-1-(シクロプロピルメチル)−5-フェニル−1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(プラゼパム)、プロファドール、プロヘプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロポキシフェン、N-(1-メチル-2-ピペリジノエチル)−N−(2-ピリジル)プロピオンアミド、メチル{3−[4-メトキシカルボニル-4-(N-フェニルプロパンアミド)ピペリジノ]プロパノアート}(レミフェンタニル)、5-sec−ブチル-5−エチルバルビツール酸(セクブタバルビタール)、5-アリル-5−(1-メチルブチル)−バルビツール酸(セコバルビタール)、N−{4−メトキシメチル-1−[2-(2-チエニル)エチル]-4-ピペリジル}プロピオンアニリド(スフェンタニル)、7-クロロ-2−ヒドロキシ−メチル-5−フェニル−1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(テマゼパム)、7-クロロ-5−(1-シクロヘキセニル)−1-メチル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(テトラゼパム)、エチル-(2-ジメチルアミノ−1-フェニル-3−シクロヘキセン−1−カルボキシラート)(チリジン(シス形およびトランス形))、トラマドール、8-クロロ-6−(2-クロロフェニル)−1-メチル−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン(トリアゾラム)、5-(1-メチルブチル)-5-ビニルバルビツール酸(ビニルビタール)、(1R*,2R*)−3−(3-ジメチルアミノ-1-エチル-2-メチル-プロピル)−フェノール、
(1R,2R,4S)−2-[ジメチルアミノ)メチル-4−(p-フルオロベンジルオキシ)-1−(m-メトキシフェニル)シクロヘキサノールならびに対応する立体異性体化合物およびおのおのの場合に対応するその誘導体、特にエステルまたはエーテル、およびおのおのの場合に生理的に許容されるその化合物、特にその塩および溶媒和物からなる群より選択されるアヘン剤、オピオイド、鎮静剤あるいは別の麻薬の乱用を妨げるのに極めて特に好ましく適している。
【0015】
化合物(1R*,2R*)−3−(3-ジメチルアミノ−l−エチル-2−メチル−プロピル)−フェノールおよび(1R,2R,4S)−2-(ジメチルアミノ)メチル-4−(p-フルオロベンジルオキシ)-1−(m-メトキシフェニル)シクロヘキサノール、その生理的に許容される化合物、特にその塩酸塩、ならびにその製造方法はそれぞれ、例えば、欧州特許出願公開第693475号(EP-A-693475)および欧州特許出願公開第780369号(EP-A-780369)により公知である。その対応する記載はここに参考文献として引用して含め、本開示内容の一部であるとみなされる。
【0016】
ある粘度上昇剤が本発明による剤形での使用に適しているかどうかを確かめるために、まず、粘度上昇剤を含まない剤形と比較して有効成分の放出に対する感知可能な(±5%)影響がないような量の該薬剤を対応する剤形中に配合する。その対応する剤形はさらに粉末にされ、好ましくはすりつぶされて、25℃で10mlの水で抽出される。もし、上述の条件を満たすゲルが引き続き形成されるなら、当該粘度上昇剤は本発明による剤形の製造に適している。
【0017】
好ましくは、11重量%カルボキシメチルセルロースナトリウムを含む微結晶性セルロース(Avicel(登録商標) RC 591)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Blanose(登録商標)、CMC-Na C300P(登録商標)、Frimulsion BLC-5(登録商標)、Tylose C300 P(登録商標))、ポリアクリル酸(Carbopol(登録商標) 980 NF、Carbopol(登録商標) 981)、イナゴマメ粉(Cesagum(登録商標) LA-200、 Cesagum(登録商標) LID/150、 Cesagum(登録商標) LN-1)、ペクチン、好ましくは柑橘類の果実またはリンゴ由来のペクチン(Cesapectin(登録商標) HM Medium Rapid Set)、蝋様トウモロコシデンプン(C*Gel 04201(登録商標))、アルギン酸ナトリウム(Frimulsion ALG(E401)(登録商標))、グアー粉(Frimulsion BM(登録商標)、Polygum 26/1-75(登録商標))、イオタ-カラギーナン(Frimulsion D021(登録商標))、カラヤゴム、ジェランガム(Kelcogel F(登録商標)、Kelcogel LT100(登録商標))、ガラクトマンナン(Meyprogat 150(登録商標))、タラの種の粉(Polygum 43/1(登録商標))、アルギン酸プロピレングリコール(Protanal-Ester SD-LB(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガカント、タラガム(Vidogum SP 200(登録商標))、発酵多糖類ウェランガム(K1A96)、キサンタンガム(Xantural 180(登録商標))などのキサンタンからなる群より選択される1つ以上の粘度上昇剤が本発明による剤形において用いられる。カッコ内で述べた名前は商品名であり、それによってこれらの材料は商業的に知られている。
【0018】
一般に、上述の条件を満たすには、全製剤に対して、0.1〜25重量%、好ましくは0.5〜15重量%、特に好ましくは1〜10重量%の粘度上昇剤で十分である。粘度上昇剤は、剤形当たり、すなわち投与単位当たり5mg以上、特に好ましくは10mg以上の量で本発明による剤形中に存在しているのが好ましい。
【0019】
本発明の特に好ましい実施形態において、使用される粘度上昇剤は、上述の条件のほかに、必要最小量の水性液体により剤形から抽出すると、気泡を囲みいれるゲルも形成するものである。結果として生じるゲルは濁った外観によって識別され、視覚的な警告を潜在的な乱用者に更に提供し、彼/彼女が非経口的に該ゲルを投与するのを思いとどまらせる。
【0020】
有効成分あるいは乱用のおそれがある成分と、粘度上昇剤と、場合により、生理的に許容される助剤物質とを、当業者に公知の従来の方法のとおりに配合して、本発明による剤形を生成してもよい。本発明による剤形を調合するための対応する方法自体は、例えば、クルト・ハー・バウアー(Kurt H. Bauer)、カー・レーマン(K. Lehmann)、ヘルマン・ペー・オスターヴァルト(Hermann P. Osterwald)、ロートガング(Rothgang)、ゲルハルト(Gerhart)による「被膜された薬学的剤形 − 基本、製造技術、生物薬学的側面、試験方法および原料(Coated Pharmaceutical Dosage Forms - Fundamentals, Manufacturing Techniques, Biopharmaceutical Aspects, Test Methods and Raw Materials)」第一版、1998年、メドファーム・サイエンティフィック・パブリッシャーズ(Medpharm Scientific Publishers)によって当業者に公知である。対応する文献の記載はここに参考文献として引用して含め、本開示内容の一部であるとみなされる。
【0021】
驚いたことに、粘度上昇剤の発明的選択により、粘度上昇剤を含まない対応する剤形と比較して、正しく投与された剤形からの有効成分の放出になんら欠陥を生じさせることなく、有効成分と粘度上昇剤とを、互いを空間的に分離させることなく、本発明による剤形において一体化することが可能である。しかしながら、粘度上昇剤と有効成分とを剤形において相互に空間的に分離された配置で一体化することも明らかに可能である。
【0022】
非経口的乱用が防止された本発明による固形剤形は、好ましくは経口または直腸内投与に適し、特に好ましくは経口投与に適している。
【0023】
本発明による剤形として直腸内投与用を意図する場合には、好ましくは坐薬の形が想定される。
【0024】
もし、本発明による剤形として経口投与用を意図するならば、好ましくは錠剤、カプセル剤あるいは経口浸透治療システム(oralen osmotischen therapeutischen Systems, oral osmotic therapeutic system)(OROS)の形態が想定される。
【0025】
経口浸透治療システムと適当な材料とその製造方法とはそれ自体、例えば、米国特許第4,612,008号(US 4,612,008)、米国特許第4,765,989号(US 4,765,989)および米国特許第4,783,337号(US 4,783,337)により当業者に公知である。対応する記載はここに参考文献として引用して含め、本開示内容の一部であるとみなされる。当該経口浸透治療システムは、好ましくは、一または二室系(Ein- oder Zweikammersystem, single or twin chamber system)の形を想定してもよく、おのおのの場合に一層あるいは多層構造を有してもよい。これらのシステムで、プッシュ層、すなわち、膨張することによって浸透圧を引き起こす層であり、これによって、上に重なった層を該システムから追い出す層は、好ましくは少なくとも一部において、本発明に従って使われる粘度上昇剤からなる。
【0026】
本発明の更に好ましい実施形態において、本発明による経口投与可能な剤形は、おのおのの場合に有効成分と粘度上昇剤との完全な混合物を含み、好ましくはカプセル剤に入れられた、または、加圧成型して錠剤とされた、好ましくは微小錠剤(Mikrotabletten, microtablets)、マイクロカプセル、微小ペレット剤(Mikropellets, micropellets)、顆粒剤、回転楕円体、ビーズまたはペレット剤の形の多粒子形態(multipartikulaerer Form, multiparticulate form)を想定する。該多粒子形態は、好ましくは0.1〜3mmまでの範囲の、特に好ましくは0.5〜2mmまでの範囲の大きさを有する。
【0027】
本発明による剤形は、好ましくは、少なくとも一部において遅延放出製剤として粘度上昇剤と混合された1つ以上の有効成分も含んでいてよい。遅延放出は、当業者に公知の従来の材料と方法、例えば、有効成分を遅延放出マトリクスに埋め込むことによって、あるいは1つ以上の遅延放出被膜を塗布することによって達成してもよい。
【0028】
有効成分の遅延放出は、好ましくは、マトリックス材料として適当な量の1つ以上の上述の粘度上昇剤を意図的に選択することによって達成してもよい。当業者は、単純な予備的試験によって、特定の望ましい放出に適した薬剤およびその量を決定してもよい。その際、もちろん、上記のとおり、結果として得られる剤形の乱用が試みられようとしたときはゲルの形成が確実に起こらなければならない。いずれにせよ、遅延放出助剤物質および同様に更に任意的に存在してもよい助剤物質がゲル形成を妨げないこと、あるいは形成されるゲルの安定度を害しないことが保証されなくてはならない。
【0029】
本発明による剤形は、もし、経口投与用を意図するなら、胃液に対して抵抗性の被膜を含んでいてもよく、放出環境のpHの値に応じて溶解する。
【0030】
この被膜により、正しく投与されたときに本発明による剤形が溶けないで胃を通過し、有効成分が腸においてのみ確実に放出されることが可能である。胃液に対して抵抗性の被膜は好ましくは5〜7.5のpHの値で溶解する。
【0031】
有効成分を制御放出するための、ならびに胃液に対して抵抗性の被膜を塗布するための対応する材料および方法は、例えば、クルト・ハー・バウアー(Kurt H. Bauer)、カー・レーマン(K. Lehmann)、ヘルマン・ペー・オスターヴァルト(Hermann P. Osterwald)、ロートガング(Rothgang)、ゲルハルト(Gerhart)による「被膜された薬学的剤形 − 基本、製造技術、生物薬学的側面、試験方法および原料(Coated Pharmaceutical Dosage Forms - Fundamentals, Manufacturing Techniques, Biopharmaceutical Aspects, Test Methods and Raw Materials)」第一版、1998年、メドファーム・サイエンティフィック・パブリッシャーズ(Medpharm Scientific Publishers)によって当業者に公知である。対応する文献の記載はここに参考文献として引用して含め、本開示内容の一部であるとみなされる。更に好ましい実施形態において、本発明による剤形は、遅延放出形態としてだけではなく、非遅延放出形態としても有効成分を含む。速やかに放出される有効成分と組み合わせることで、素早い鎮痛のための初期投与量を達成することができる。その後、遅延放出形態からの遅い放出により、作用の急降下はいずれも妨げられる。
【0032】
本発明を以下、例を参照して説明する。これらの説明は単に例示のために示されるだけであり、本発明の一般概念を限定しない。
【0033】
例:
例1
錠剤当たり以下の組成を有するマトリクス錠剤(Matrixtabletten, Matrix tablets)
【0034】
【表1】

【0035】
を錠剤1000個というバッチサイズ中にて次の方法で生産した:すべての成分を量り分け、Quadro Comil U10篩い分け機中で0.813mmという篩の大きさを用いて篩い分け、コンテナミキサー(Bohle LM 40)中で15分±15秒の間、回転速度20±1rpmにて混合し、Korsch EKOエキセンプレスによりプレスして、直径10mm、曲率半径8mmおよび平均錠剤重量310mgの両凸の錠剤を形成させた。
【0036】
試験管内での放出は、紫外線分光測定法により検出しながら、Ph. Eur.パドル法を使い75rpmにてpH6.8の緩衝液900ml中でPh. Eur.により37℃において測定した。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」)80mgを含むがキサンタンは添加されていない対応する錠剤との比較と共に、次の表に示す。
【0037】
【表2】

【0038】
キサンタンを含む錠剤の1つを粉末にし、水10mlとともに振盪した。粘着性の濁った懸濁液が形成された。懸濁液の粗い固形成分が沈殿したらすぐに、形成されていたゲルを、直径0.9mmの注射針を有する注射器中に吸い上げた。吸い上げたゲルを37℃で水に注入した。該注射針の直径を有し、水と混ざらない糸状物が明らかに識別可能な状態を保った。該糸状物は撹拌により破壊することができたが、溶解することはできず、糸状物の断片が肉眼で見える状態を保った。もし、このような抽出物を血管に注射したならば、血管妨害が起こるであろう。
【0039】
例2(非常に乏しい注射針通過特性に関する比較例?)
錠剤当たり以下の組成を有するマトリクス錠剤
【0040】
【表3】

【0041】
を例1で述べたとおりに生産し、その放出特性を調べた。
【0042】
【表4】

【0043】
これらの錠剤の1つを粉末にし、水10mlとともに振盪した。気泡を囲みいれた粘着性の濁った懸濁液が形成され、その粘度は例1の場合よりも大きかった。懸濁液の粗い固形成分が沈殿したらすぐに、形成されていたゲルを、直径0.9mmの注射針を有する注射器中に吸い上げた。吸い上げたゲルを37℃で水に注入した。該注射針の直径を有し、水と混ざらない糸状物が明らかに識別可能であった。該糸状物は撹拌により破壊することができたが、溶解することはできず、糸状物の断片が肉眼で見える状態を保った。もし、このようなゲルを血管に注射したならば、血管妨害が起こるであろう。
【0044】
例3
錠剤当たり以下の組成を有するマトリクス錠剤
【0045】
【表5】

【0046】
を例1で述べたとおりに生産した。
【0047】
これらの錠剤の1つを粉末にし、水10mlとともに振盪した。気泡を囲みいれた粘着性の濁った懸濁液が形成され、その粘度は例1の場合よりも高かった。懸濁液の粗い固形成分が沈殿したらすぐに、形成されていたゲルを、直径0.9mmの注射針を有する注射器中に吸い上げた。吸い上げたゲルを37℃で水に注入した。該注射針の直径を有し、水と混ざらない明らかに識別可能な糸状物が見えた。該糸状物は撹拌により破壊することができたが、溶解することはできず、糸状物の断片が肉眼で見える状態を保った。もし、このようなゲルを血管に注射したならば、血管妨害が起こるであろう。
【0048】
例4〜7
錠剤当たり以下の組成を有するマトリクス錠剤
【0049】
【表6】

【0050】
を例1で述べたとおりに生産した。
【0051】
これらの錠剤おのおのの1つを粉末にし、水10mlとともに振盪した。気泡を囲みいれた粘着性の濁った懸濁液が形成された。懸濁液の粗い固形成分が沈殿したらすぐに、直径0.9mmの注射針を有する注射器中に吸い上げた。吸い上げたゲルを37℃で水に注入した。該注射針の直径を有し、水と混ざらない明らかに目に見える糸状物が識別可能な状態を保った。該糸状物は撹拌により破壊することができたが、溶解することはできず、糸状物の断片が肉眼で見える状態を保った。もし、このようなゲルを血管に注射したならば、血管妨害が起こるであろう。
【0052】
例8〜13
錠剤当たり以下の組成を有するマトリクス錠剤
【0053】
【表7】

【0054】
これらの錠剤おのおのの1つを粉末にし、水10mlとともに振盪した。気泡を囲みいれた粘着性の濁った懸濁液が形成された。懸濁液の粗い固形成分が沈殿したらすぐに、直径0.9mmの注射針を有する注射器中に吸い上げた。吸い上げたゲルを37℃で水に注入した。該注射針の直径を有し、水と混ざらない明らかに目に見える糸状物が識別可能な状態を保った。該糸状物は撹拌により破壊することができたが、溶解することはできず、糸状物の断片が肉眼で見える状態を保った。もし、このようなゲルを血管に注射したならば、血管妨害が起こるであろう。
【0055】
例14〜18
錠剤当たり単なる粉末混合物からなる以下の組成を有する錠剤
【0056】
【表8】

【0057】
これらの錠剤おのおのの1つを粉末にし、水10mlとともに振盪した。気泡を囲みいれた粘着性の濁った懸濁液が形成された。懸濁液の粗い固形成分が沈殿したらすぐに、直径0.9mmの注射針を有する注射器中に吸い上げた。吸い上げたゲルを37℃で水に注入した。該注射針の直径を有し、水と混ざらない明らかに目に見える糸状物が識別可能な状態を保った。該糸状物は撹拌により破壊することができたが、溶解することはできず、糸状物の断片が肉眼で見える状態を保った。もし、このようなゲルを血管に注射したならば、血管妨害が起こるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非経口的乱用が防止された固形剤形であって、乱用のおそれがある1つ以上の有効成分のほかに、25℃で10mlの水により該剤形から得られた水性抽出物が、依然として直径0.9mmの注射針を通過することができそれ以上の量の水性液体に導入されたときに視覚的に識別可能な状態を保つゲルを形成するような量の少なくとも1つの粘度上昇剤を含み、該粘度上昇剤の前記量が剤形当たり、すなわち投与単位当たり5mg以上の量であることを特徴とする該剤形。
【請求項2】
該有効成分がアヘン剤、オピオイド、鎮静剤、興奮薬、およびこれら以外の乱用のおそれがある麻薬からなる群より選択される薬学的有効成分であることを特徴とする請求項1に係る剤形。
【請求項3】
該鎮静剤がベンゾジアゼピンであることを特徴とする請求項2に係る剤形。
【請求項4】
該有効成分が、N−{1−[2−(4-エチル-5-オキソ-2−テトラゾリン-1−イル)エチル]−4-メトキシメチル-4−ピペリジル}プロピオンアニリド(アルフェンタニル)、5,5-ジアリルバルビツール酸(アロバルビタール)、アリルプロジン、アルファプロジン、8-クロロ-1−メチル-6−フェニル−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]-ベンゾジアゼピン(アルプラゾラム)、2-ジエチルアミノプロピオフェノン(アンフェプラモン)、(±)-α−メチルフェネチルアミン(アンフェタミン)、2-(α-メチルフェネチルアミノ)-2-フェニルアセトニトリル(アンフェタミニル)、5−エチル-5−イソペンチルバルビツール酸(アモバルビタール)、アニレリジン、アポコデイン、5,5-ジエチルバルビツール酸(バルビタール)、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、7-ブロモ-5−(2-ピリジル)−1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(ブロマゼパム)、2-ブロモ-4−(2-クロロフェニル)−9-メチル−6H−チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン(ブロチゾラム)、17-シクロプロピルメチル-4,5α-エポキシ-7α[(S)−1-ヒドロキシ-1,2,2−トリメチル-プロピル]−6-メトキシ-6,14−エンド−エタノモルフィナン-3−オール(ブプレノルフィン)、5−ブチル-5−エチルバルビツール酸(ブトバルビタール)、ブトルファノール、(7-クロロ-1,3-ジヒドロ-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-ジメチル-カルバマート(カマゼパム)、(1S,2S)−2-アミノ-1−フェニル-1−プロパノール(カチン/D-ノルプソイドエフェドリン)、7-クロロ-N-メチル-5-フェニル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-イルアミン-4-オキシド(クロルジアゼポキシド)、7-クロロ-1−メチル-5−フェニル−1H-1,5-ベンゾジアゼピン-2,4(3H,5H)−ジオン(クロバザム)、5-(2-クロロフェニル)-7-ニトロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(クロナゼパム)、クロニタゼン、7-クロロ-2,3−ジヒドロ-2−オキソ-5−フェニル−1H-1,4−ベンゾジアゼピン-3−カルボン酸(クロラゼパート)、5−(2-クロロフェニル)−7-エチル-1-メチル-1H-チエノ[2,3-e][1,4]ジアゼピン-2(3H)-オン(クロチアゼパム)、10-クロロ-11b-(2クロロフェニル)-2,3,7,11b-テトラヒドロオキサゾロ[3,2-d][1,4]ベンゾジアゼピン-6(5H)-オン(クロキサゾラム)、(−)−メチル−[3β-ベンゾイルオキシ-2β(1αH,5αH)-トロパンカルボキシラート](コカイン)、4,5α-エポキシ-3−メトキシ-17-メチル-7−モルフィネン−6α−オール(コデイン)、5-(1-シクロヘキセニル)-5-エチルバルビツール酸(シクロバルビタール)、シクロルファン、シプレノルフィン、7-クロロ-5−(2-クロロフェニル)−1H-1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)-オン(デロラゼパム)、デソモルヒネ、デキストロモルアミド、(+)−(1−ベンジル-3-ジメチルアミノ-2−メチル−l−フェニルプロピル)プロピオナート(デキストロプロポキシフェン)、デゾシン、ジアンプロミド、ジアモルフォン、7-クロロ-1-メチル-5-フェニル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(ダイアゼパム)、4,5α-エポキシ-3−メトキシ-17−メチル−6α−モルフィナノール(ジヒドロコデイン)、4,5α-エポキシ-17-メチル-3,6α−モルフィナンジオール(ジヒドロモルヒネ)、ジメノキサドール、ジメフェタモール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチラート、ジピパノン、(6aR,10aR)−6,6,9-トリメチル-3-ペンチル-6a,7,8,10a−テトラヒドロ−6H-ベンゾ[c]クローメン-1-オール(ドロナビノール)、エプタゾシン、8-クロロ−6-フェニル-4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン(エスタゾラム)、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチル-[7-クロロ-5−(2-フルオロフェニル)−2,3-ジヒドロ-2−オキソ−1H-1,4ベンゾジアゼピン-3−カルボキシラート](ロフラゼプ酸エチル)、4,5α-エポキシ-3−エトキシ-17-メチル-7−モルフィネン−6α−オール(エチルモルヒネ)、エトニタゼン、4,5α-エポキシ−7α−(1−ヒドロキシ-1−メチルブチル)−6-メトキシ-17-メチル-6,14-エンド-エテノ-モルフィナン-3−オール(エトルフィン)、N-エチル-3−フェニル-8,9,10-トリノルボルナン-2−イルアミン(フェンカムファミン)、7−[2-(α-メチルフェネチルアミノ)エチル]-テオフィリン)(フェネチリン)、3-(α-メチルフェネチルアミノ)プロピオニトリル(フェンプロポレックス)、N-(1-フェネチル-4-ピペリジル)プロピオンアニリド(フェンタニール)、7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-1-メチル-1H-1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)-オン(フルジアゼパム)、5-(2-フルオロフェニル)-1-メチル-7-ニトロ-1H-1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)-オン(フルニトラゼパム)、7-クロロ-1-(2-ジエチルアミノエチル)-5−(2-フルオロフェニル)−1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(フルラゼパム)、7-クロロ-5-フェニル-1−(2,2,2-トリフルオロエチル)−1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(ハラゼパム)、10-ブロモ-11b-(2-フルオロフェニル)-2,3,7,11b-テトラヒドロ[1,3]オキサゾロ[3,2-d][1,4]ベンゾジアゼピン-6(5H)-オン(ハロキサゾラム)、ヘロイン、4,5α-エポキシ-3−メトキシ-17-メチル-6−モルフィナノン(ヒドロコドン)、4,5α-エポキシ-3−ヒドロキシ-17-メチル-6−モルフィナノン(ヒドロモルフォン)、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ヒドロキシメチルモルフィナン、11-クロロ-8,12b−ジヒドロ-2,8−ジメチル−12b-フェニル-4H−[1,3]オキサジノ[3,2-d][1,4]ベンゾジアゼピン-4,7(6H)-ジオン(ケタゾラム)、1−[4-(3-ヒドロキシフェニル)-1-メチル-4-ピペリジル]−1-プロパノン(ケトベミドン)、(3S,6S)−6-ジメチルアミノ-4,4−ジフェニルヘプタン-3−イルアセタート(レバセチルメタドール(LAAM))、(−)−6-ジメチルアミノ-4,4−ジフェニル-3−ヘプタノン(レボメタドン)、(−)−17-メチル-3−モルフィナノール(レボルファノール)、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、6−(2-クロロフェニル)-2−(4-メチル−1−ピペラジニルメチレン)−8-ニトロ-2H-イミダゾ[1,2-a][1,4]−ベンゾジアゼピン-1(4H)-オン(ロプラゾラム)、7-クロロ-5−(2-クロロフェニル)−3-ヒドロキシ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(ロラゼパム)、7-クロロ-5−(2-クロロフェニル)−3-ヒドロキシ-1−メチル−1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(ロルメタゼパム)、5−(4-クロロフェニル)−2,5-ジヒドロ-3H-イミダゾ[2,1-a]イソインドール-5-オール(マジンドール)、7-クロロ-2,3-ジヒドロ-1−メチル-5−フェニル−1H-1,4−ベンゾジアゼピン(メダゼパム)、N−(3-クロロプロピル)−α−メチルフェネチルアミン(メフェノレックス)、メペリジン、2-メチル-2-プロピルトリメチレンジカルバマート(メプロバメート)、メプタジノール、メタゾシン、メチルモルヒネ、N,α−ジメチルフェネチルアミン(メタンフェタミン)、(±)-6-ジメチルアミノ-4,4−ジフェニル-3−ヘプタノン(メタドン)、2−メチル-3−o−トリル−4(3H)−キナゾリノン(メタクワロン)、メチル-[2−フェニル-2−(2-ピペリジル)アセタート](メチルフェニダート)、5-エチル-1−メチル-5−フェニルバルビツール酸(メチルフェノバルビタール)、3,3-ジエチル-5−メチル-2,4−ピペリジンジオン(メチプリロン)、メトポン、8-クロロ-6−(2-フルオロフェニル)−1-メチル-4H-イミダゾ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン(ミダゾラム)、2-(ベンズヒドリルスルフィニル)アセトアミド(モダフィニル)、4,5α-エポキシ-17−メチル-7−モルフィネン-3,6α−ジオール(モルヒネ)、ミロフィン、(±)−トランス-3-(1,1-ジメチルヘプチル)−7,8,10,10α−テトラヒドロ−1−ヒドロキシ−6,6-ジメチル-6H−ジベンゾ[b,d]ピラン-9(6αH)-オン(ナビロン)、ナルブフェン、ナロルフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、1−メチル-7−ニトロ-5−フェニル−1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(ニメタゼパム)、7-ニトロ-5−フェニル−1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(ニトラゼパム)、7-クロロ-5−フェニル−1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(ノルダゼパム)、ノルレボルファノール、6-ジメチルアミノ-4,4−ジフェニル-3−ヘキサノン(ノルメタドン)、ノルモルヒネ、ノルピパノン、ケシ・ソムニフェルム種に属する植物からの滲出物(オピウム)、7-クロロ-3-ヒドロキシ-5−フェニル−1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(オキサゼパム)、(シス-トランス)−10-クロロ-2,3,7,11b−テトラヒドロ-2−メチル−11b−フェニルオキサゾロ[3,2-d][1,4]ベンゾジアゼピン-6-(5H)-オン(オキサゾラム)、4,5α-エポキシ-14−ヒドロキシ-3−メトキシ-17−メチル-6−モルフィナノン(オキシコドン)、オキシモルフォン、ケシ・ソムニフェルム種(セチゲルム(setigerum)亜種を含む)(ケシ・ソムニフェルム)に属する植物および植物の部分、パパベレタム、2-イミノ-5−フェニル-4−オキサゾリジノン(ペモリン)、1,2,3,4,5,6-ヘキサヒドロ-6,11−ジメチル-3−(3−メチル-2−ブテニル)-2,6-メタノ-3−ベンザゾシン-8−オール(ペンタゾシン)、5-エチル-5−(1-メチルブチル)−バルビツール酸(ペントバルビタール)、エチル-(1-メチル-4-フェニル-4-ピペリジンカルボキシラート)(ペチジン)、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、フォルコデイン、3−メチル-2−フェニルモルホリン(フェンメトラジン)、5−エチル-5−フェニルバルビツール酸(フェノバルビタール)、α,α−ジメチルフェネチルアミン(フェンテルミン)、7-クロロ-5-フェニル-1−(2-プロピニル)−1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(ピナゼパム)、α−(2-ピペリジル)ベンズヒドリルアルコール(ピプラドロール)、1'−(3-シアノ-3,3-ジフェニルプロピル)[1,4’-ビピペリジン]−4’-カルボキサミド(ピリトラミド)、7-クロロ-1-(シクロプロピルメチル)−5-フェニル−1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(プラゼパム)、プロファドール、プロヘプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロポキシフェン、N-(1-メチル-2-ピペリジノエチル)−N−(2-ピリジル)プロピオンアミド、メチル{3−[4-メトキシカルボニル-4-(N-フェニルプロパンアミド)ピペリジノ]プロパノアート}(レミフェンタニル)、5-sec−ブチル-5−エチルバルビツール酸(セクブタバルビタール)、5-アリル-5−(1-メチルブチル)−バルビツール酸(セコバルビタール)、N−{4−メトキシメチル-1−[2-(2-チエニル)エチル]-4-ピペリジル}プロピオンアニリド(スフェンタニル)、7-クロロ-2−ヒドロキシ−メチル-5−フェニル−1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(テマゼパム)、7-クロロ-5−(1-シクロヘキセニル)−1-メチル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(テトラゼパム)、エチル-(2-ジメチルアミノ−1-フェニル-3−シクロヘキセン−1−カルボキシラート)(チリジン(シス形およびトランス形))、トラマドール、8-クロロ-6−(2-クロロフェニル)−1-メチル−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン(トリアゾラム)、5-(1-メチルブチル)-5-ビニルバルビツール酸(ビニルビタール)、(1R*,2R*)−3−(3-ジメチルアミノ-1-エチル-2-メチル-プロピル)−フェノール、(1R,2R,4S)−2-[ジメチルアミノ)メチル-4−(p-フルオロベンジルオキシ)-1−(m-メトキシフェニル)シクロヘキサノールならびにおのおの
の場合に対応する立体異性体化合物およびおのおのの場合に対応するそのエステルまたはエーテル、およびおのおのの場合に対応する生理的に許容されるその塩および溶媒和物からなる群より選択されるアヘン剤、オピオイド、鎮静剤あるいはこれら以外の乱用のおそれがある麻薬であることを特徴する請求項2または3に係る剤形。
【請求項5】
アンフェタミン、ノルプソイドエフェドリン、メチルフェニダートならびにおのおのの場合に対応する生理的に許容されるその塩および溶媒和物からなる群より選択される興奮剤を含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に係る剤形。
【請求項6】
11重量%カルボキシメチルセルロースナトリウムを含む微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸、イナゴマメ粉、柑橘類ペクチン、蝋様トウモロコシデンプン、アルギン酸ナトリウム、グアー粉、イオタ-カラギーナン、カラヤゴム、ジェランガム、ガラクトマンナン、タラの種の粉、アルギン酸プロピレングリコール、リンゴペクチン、レモン皮ペクチン、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガカント、タラガム、発酵多糖類ウェランガムおよびキサンタンガムからなる群より選択される1つ以上の粘度上昇剤を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に係る剤形。
【請求項7】
剤形当たり、すなわち投与単位当たり10mg以上の量の粘度上昇剤を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に係る剤形。
【請求項8】
経口投与のための請求項1〜7のいずれか一項に係る剤形。
【請求項9】
錠剤、カプセル剤あるいは経口浸透治療システム(OROS)の形態であることを特徴とする請求項8に係る剤形。
【請求項10】
多粒子形態であることを特徴とする請求項8に係る剤形。
【請求項11】
該多粒子形態がカプセル剤に入れられた、または、加圧成型して錠剤とされた多粒子形態であることを特徴とする請求項10に係る剤形。
【請求項12】
該多粒子形態が微小錠剤、マイクロカプセル、微小ペレット剤、顆粒剤、回転楕円体、ビーズまたはペレット剤の形の多粒子形態であることを特徴とする請求項10または11に係る剤形。
【請求項13】
少なくとも1つの有効成分を少なくとも部分的に制御放出形態として含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に係る剤形。
【請求項14】
胃液に対して抵抗性の被膜を含むことを特徴とする請求項8〜13のいずれか一項に係る剤形。

【公開番号】特開2011−251982(P2011−251982A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156717(P2011−156717)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【分割の表示】特願2004−512714(P2004−512714)の分割
【原出願日】平成15年6月16日(2003.6.16)
【出願人】(502231188)グリューネンタ−ル・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (7)
【Fターム(参考)】