説明

乱用薬剤送達のための製剤および方法

溶媒抽出、不正変更、破砕または粉砕に対する抵抗性を特徴とし、薬剤の初期急速放出を行ってから制御可能な薬剤放出の長い期間を提供する、薬剤、特に乱用の薬剤を送達するための製剤および方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口投与用の組成物に関する。本発明は好ましくは、乱用の可能性がある薬剤を送達するための少なくとも一つの乱用しにくい薬剤送達組成物、関連するこれら製剤の製造方法、ならびに本発明の組成物を患者に投与する段階を有する処置を必要とする患者の治療方法を含むものである。
【背景技術】
【0002】
多くの社会で処方薬の乱用が公衆衛生上の問題となっている。乱用されるある一般的な種類の薬物は、オピオイド類である。オピオイド類は、有効性、力価決定の容易さおよび好ましいリスク/利益比があることから、米国において中等度ないし重度の疼痛の管理において有用な主要な種類の鎮痛剤である。
【0003】
オピオイド投与の効果の一つは、そのような薬剤が個人によっては気分および感情を変えて、治療緩解効果から解離した望ましい「幸福」感を与える能力である。この気分変容効果は、一部の個人には極度に楽しいものと認められ、一部のユーザーがその薬剤を違法に用い、オピオイド依存症になる危険性が高いことに関係し得る。
【0004】
オピオイド乱用の3つの基本パターンが米国において確認されている。一つは、薬剤使用を医学的治療の文脈で開始し、最初に医療関係のルートからその薬剤を入手する個人が関与するものである。別のものには、試行的または「娯楽的」薬物使用で薬剤使用を開始し、より強い薬剤使用に進む人が関与する。最後に、医療関係のルートから、または娯楽的薬剤ルートを介して得た薬剤を用いて始めるが、後に組織化された依存投与プログラムから得た経口オピオイドに切り換えるユーザーがいる。
【0005】
経口経路によるオピオイドの乱用は重大である。しかしながら、オピオイド乱用に関する別の重大な問題は、非経口投与による、特に注射による薬剤の乱用であるように思われる。オピオイド作働薬の急速な注射は、皮膚および感覚の暖かい紅潮を生じることが知られている。別称で「ラッシュ」、「キック」または「スリル」と称されるその状態は代表的には約45秒しか続かないが、常習者には極めて快感の強いものであることがわかる。中毒状態の個人は、オピオイドの固体製剤を抽出し、次にそれを注射してそのような状態を得るようになる。オピオイドは、経鼻投与によって乱用されることも知られており、その場合には可能な乱用薬剤を粉砕し、粉末とし、鼻で吸い込む。
【0006】
経口オピオイドの抽出を制止する一部の現在提案されている薬理的方法は、オピオイド拮抗薬、混合オピオイド作働薬−拮抗薬および他の向反医薬と治療的オピオイド作働薬との混合物の1以上を組み込むものである。ほとんどの提案されている系では、薬剤を溶かして作働薬(または混合作働薬−拮抗薬剤)を得る場合には、オピオイド拮抗薬の用量に経口活性はなく、作働薬または混合作働薬−拮抗薬剤の乱用者が望む効果を遮断し、その後にオピオイドを非経口的に投与することになる。しかしながらこれらの場合、医師は向反薬剤の不適切な放出が害を生じる可能性があることを懸念する場合があり、一部の医師は向反剤と一緒に製剤したオピオイドを処方することに難色を示している。
【0007】
例えば、オピオイド拮抗薬をオピオイド製剤に組み込んで乱用を抑えるという手法の欠点は、オピオイド拮抗薬自体が、不利になり得る副作用を有するという点である。例えば、ナロルフィンは、不安、非合理的感情、幻覚、呼吸抑制および縮瞳などの不快な反応を引き起こす。希ではあるがナロキソンで発作が報告されており、術後患者では、肺浮腫および心室細動が高用量で見られている。ナルトレキソンは、治療用量の5倍以下という低い用量で与えた場合に肝細胞損傷を引き起こす可能性を有することが報告されている。ナルメフェンは、通常は良好に耐容されるが、一部の人で吐き気、嘔吐および頻脈を生じさせることが報告されている。これらいずれのオピオイド拮抗薬も少ない用量で、低用量であってもオピオイド常習者において禁断症状をきたす可能性があり、その現象は常習者が麻薬を摂取しているか否かに応じて非常に危険なものとなり得る。
【0008】
オピオイド類と同様に、多くの他の種類の薬剤も乱用されるが、乱用のパターンおよび効果は幾分異なる。
【0009】
WO2005/079760(Euroceltique)には、中性ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル)コポリマーおよび有効成分を含む溶融押出多粒子化徐放製剤が開示されている。その製剤は、不正変更に対して高い抵抗性を示すようにゴム様特性を示すと言われている。
【0010】
US2003/0118641(Boehringer Ingelheim)は、一般に入手可能な家庭用溶媒によって抽出可能なオピオイドの経口製剤の乱用の可能性を低下させる方法であって、治療上有効量のオピオイド化合物、基材形成ポリマーおよびイオン交換樹脂を組み合わせる段階を有する方法に関するものである。強酸性であるイオン交換樹脂が好ましい。
【0011】
WO00/041481(Knoll)は、アクリレートポリマー系の基材中に高い水溶解度を有する活性物質を含む医薬形態に関するものである。
【0012】
US特許出願公開番号2006/0002860(Bartholomaus et al.)は、乱用薬物の文脈で有用な不正変更抵抗性の薬剤製剤に関するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
薬物の乱用を扱う上で多くの組成物、製剤および方法が存在するが、全ての組成物、製剤および方法に、程度の差があるが制限がある。従って、乱用の可能性を有する薬剤の乱用を防止する新規ないしは改善された製剤、組成物および方法を提供することが必要とされている。
【0014】
この背景情報は、出願人が本発明に関連がある可能性のあると考えた一部の情報を知らせることを目的として提供されているものである。上記の情報が本発明に対する先行技術を構成することを承認するものでもなく、そのように解釈すべきでもない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明の要旨
本発明のある好ましい実施形態は、溶媒抽出に対する抵抗性、不正変更、破砕または粉砕に対する抵抗性を特徴とし、ならびに最初に多量の薬剤放出を行ってから、長期間にわたる制御可能な薬剤放出を行うことを特徴とする、薬剤、特には乱用薬剤の送達のための製剤および方法を提供する。
【0016】
本発明のある1例の実施形態は、a)少なくとも一つの乱用関連薬剤、b)少なくとも一つのセルロースエーテルまたはセルロースエステル、およびc)少なくとも一つのアルキルアルクアクリレートポリマー、アルクアクリレートポリマーまたはそれらの組み合わせの溶融加工混合物を含む乱用抑止性薬剤製剤を提供する。この実施形態では、37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤から抽出される薬剤の量は、37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の2倍以下であり;この薬剤製剤は、ヒトに対して1日3、2または1回経口投与するのに有用となるように作られる。
【0017】
本発明の別の1例の実施形態は、a)鎮痛上有効量の少なくとも一つの乱用関連薬剤、b)少なくとも一つのセルロースエーテルまたはセルロースエステルおよびc)少なくとも一つのアルキルアルクアクリレートポリマー、アルクアクリレートポリマーまたはそれらの組み合わせの溶融加工混合物を含むモノリシックな徐放経口製剤を提供する。この実施形態では、37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤から抽出される薬剤の量は、37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の2倍以下であり;この薬剤製剤は、ヒトに対して1日3、2または1回経口投与するのに有用となるような徐放向けに作られる。
【0018】
さらに別の本発明の1例の実施形態は、a)37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤から抽出される薬剤が37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の2倍以下であること、b)前記製剤が「ファーマテスト(PharmaTest)PTB501」硬度計による測定で150ニュートン、好ましくは300ニュートン、より好ましくは450ニュートン、さらに好ましくは500ニュートンの力下に破壊しないこと、ならびにc)前記製剤が、インビトロ溶解試験の最初の1時間で、そして好ましくはインビボでも、一つの薬剤の少なくとも15%および一つの薬剤の45%以下を放出することという特徴のうちの少なくとも2つを特徴とする、薬剤の経口徐放製剤を提供する。
【0019】
別の本発明の1例の実施形態は、乱用の可能性のある薬剤を含む非粉砕溶融押出薬剤製剤を提供する。
【0020】
本発明の1例の実施形態は、少なくとも約5.1mmから約10mmの直径および約5.1mmから約30mmの長さを有する乱用の可能性のある薬剤を含むモノリシックな非粉砕非多粒子化溶融押出薬剤製剤をも提供する。
【0021】
別の本発明の1例の実施形態は、少なくとも一つの治療薬剤を含む製剤を溶融押出する段階、(中間の)粉砕段階や多粒子化段階を行わずに押出物を直接成形して製剤とする段階をさらに有する乱用抵抗性薬剤製剤の製造方法を提供する。
【0022】
さらに別の本発明の1例の実施形態は、乱用の可能性のある薬剤を含むモノリシックな非粉砕溶融押出薬剤製剤を提供し、前記モノリシック製剤は、前記モノリシック製剤をコーヒー粉砕機にて、ステンレス製の刃を有するグラインダー、約150ワットのモーターおよびコーヒー豆約90ミリリットル(すなわち、約3オンス)用の収容量で約60秒間、約20000rpmから約50000rpmで粉砕した前記モノリシック製剤の粉砕形態と実質的に同様の薬剤放出プロファイルを有する。
【0023】
さらに別の本発明の1例の実施形態は、a)少なくとも一つの乱用関連薬剤、b)少なくとも一つの速度変更性の製薬上許容されるポリマー、コポリマーまたはこれらの組み合わせの溶融加工混合物を含む乱用抑止性薬剤製剤を提供する。この実施形態では、37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤から抽出される薬剤の量は、37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の2倍以下であり;この薬剤製剤は、ヒトに対して1日3、2または1回経口投与するのに有用となるように作られる。
【0024】
さらに別の本発明の1例の実施形態は、a)ヒドロコドン(またはヒドロコドン二酒石酸塩5半水和物などの製薬上許容される塩)である少なくとも一つの乱用関連薬剤、b)少なくとも一つのセルロースエーテルまたはセルロースエステルおよびc)少なくとも一つのアクリルポリマー、メタクリルポリマーまたはこれらの組み合わせの溶融加工混合物を含む乱用抑止性薬剤製剤を提供する。この実施形態では、この薬剤製剤は、ヒトに対して1日3、2または1回経口投与するのに有用となるように作られ、前記ヒドロコドンの約90%がインビトロにて、1日3回投与するように作られた場合には約4から6時間で、1日2回投与するように作られた場合には約6から10時間で、1日1回投与するように作られた場合には約16から22時間で放出される。
【0025】
別の本発明の1例の実施形態は、a)少なくとも一つのオピオイド;およびb)少なくとも一つの速度変更性の製薬上許容されるポリマー、コポリマーまたはこれらの組み合わせの溶融加工混合物を含む乱用抑止性薬剤製剤をも提供する。この実施形態では、37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤から抽出される薬剤の量は、37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の約70%から約110%であり;この薬剤製剤は、ヒトに対して1日3、2または1回経口投与するのに有用となるように作られる。この実施形態および他の実施形態は、望ましい薬物動態プロファイルを有する。
【0026】
別の1例の実施形態において本発明は、ヒト患者に対して、上記いずれかの実施形態からの製剤を経口投与する段階を有する、ヒト患者での疼痛を治療する方法を提供する。
【0027】
本発明の以上および他の目的、利点および特徴については、下記でより詳細に説明される本発明の方法およびそれに用いられる組成物についての詳細を読むことで、当業者には明らかになろう。
【0028】
発明の詳細な説明
本発明は、変動可能である記載された特定の方法、プロトコール、動物試験および試薬に限定されるものではない。本明細書で使用されている用語は特定の実施形態のみを説明するためのものであって、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲に限定されるものではないことも理解すべきである。
【0029】
留意すべき点として、本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる場合に、単数形である「一つの」、「ある」および「この」は、文脈が明瞭に別の意味を表していない限りにおいて、複数についての言及を含むものである。そこで例えば、「ある化合物」についての言及は、複数のそのような化合物ならびに当業者には公知のそれの均等物などを包含するものである。同様に、「一つの」(または「1個の」)、「1以上の」および「少なくとも一つの」は、本明細書においては互換的に用いることができる。さらに留意すべき点として、「含む」、「包含する」および「有する」という用語は、互換的に用いることができる。
【0030】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者が共通に理解するものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様または等価である方法および材料を本発明の実施または試験で用いることが可能であるが、ここでは好ましい方法および材料について説明する。本明細書で言及されるいずれの刊行物も、本発明に関連して使用されると考えられるそれら刊行物中で報告されている化学物質、動物、装置、統計解析および方法の説明および開示に関して言及することで本明細書に組み込まれるものとする。本明細書におけるいずれの記載も、本発明が先行発明によりそのような開示を予測することができることを認めるものと解釈すべきではない。
【0031】
商標は、公知の材料についての従来の略称として、この説明において用いられる。当業者には明らかと思われるように、下記の商品名は、下記に示した物質を示すものである。
【0032】
オイドラギット(登録商標):アクリル酸およびメタクリル酸のエステルから誘導されるポリマー;
メトセル(登録商標):メチルまたはメトキシルセルロース
コリコート(登録商標):ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール−グラフトコポリマー
プラスドン(登録商標):ポリビニルピロリドンポリマーまたはコポリマー
ラウログリコール(LAUROGLYCOL)(登録商標):プロピレングリコール・ラウリル酸エステル
スパン(SPAN)(登録商標):ソルビタン脂肪酸エステル類
クレモホル(登録商標):ポリエトキシル化ヒマシ油
ポロキサマー(登録商標):ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類またはポリオキシエチレンポリプロピレングリコール
ツイン(TWEEN)(登録商標):ポリエトキシル化ソルビタンエステル類
クルーセル(登録商標):ヒドロキシプロピルセルロース
コリドン(登録商標):ポリビニルピロリドンホモまたはコポリマー
キシリトール(登録商標):(2,3,4,5)テトラヒドロキシ−ペンタノール
イソマルト(登録商標):6−O−α−D−グルコピラノシド−D−ソルビトール(1,6−GPS)および1−O−α−D−グルコピラノシド−D−マニトール・2水和物(1,1−GPM・2水和物)の等モル組成物
ポリオクス(POLYOX)(登録商標):ポリエチレンオキサイドに基づく水溶性樹脂
キシリット(XYLIT)(登録商標):(2,3,4,5)テトラヒドロキシ−ペンタノール
プルロール・オレイク(PLUROL OLEIQUE)(登録商標):ポリグリセリンのオレイン酸エステル類
ルトロール(登録商標):ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類またはポリオキシエチレンポリプロピレングリコール
エトセル(登録商標):エチルセルロース
プリモジェル(PRIMOJEL)(登録商標):デンプングリコール酸ナトリウム。
【0033】
本発明は、乱用される可能性があり、頻繁に乱用されていることが明らかな医薬活性化合物(「薬剤」)ならびにそれの塩、エステル、プロドラッグおよび他の製薬上許容される均等物のインビボでの徐放を行う改善された固体または固溶体の経口製剤を提供する。
【0034】
「AUC」という用語は、台形法則およびClast/kを用いて計算される濃度時間曲線下の面積を指し、Clastは最終観察濃度であり、kは排出速度定数計算値である。
【0035】
「AUCt」という用語は、台形法則を用いて計算される最終観察濃度に対する濃度時間曲線下の面積を指す。
【0036】
「Cmax」という用語は、本発明の組成物の経口摂取によって生じるそれぞれng/mLおよびμg/mLとして表されるTmaxでの指示された乱用関連薬剤の血漿濃度を指す。具体的に示されていない限り、Cmaxは全体の最大観察濃度を指す。
【0037】
「Cmin」という用語は、5用量連続投与間隔において投与される本発明の製剤の所期の投与間隔内での、例えば12時間ごとまたは必要に応じて投与するのに適しているとラベル表示された製剤の場合には12時間の投与間隔内での最小観察濃度を指す。
【0038】
「ng・hr/mL/mg」という用語は、動物またはヒトに投与される乱用関連薬剤のミリグラム数で割った血液1ミリリットル当たりの測定物質量に時間数を掛けた値を指す。
【0039】
本明細書で使用される場合、「上向き放出速度」という表現は、経時的に増加することで、薬剤が、その製剤が薬剤の約80%を失うまで、一定のままや低下するのではなく、時間に伴って上昇する速度で使用環境にて流体中に溶解する溶解速度を指す。
【0040】
ある好ましい実施形態において本発明は、例えば蒸留エタノール水溶液など(これに限定されるものではない)の一般的な溶媒による製剤からの薬剤の抽出を阻害する製剤を提供する。この製剤は、人が製剤からオピオイドを抽出(意図的にまたは無意識に)する能力を制限して、オピオイドが非経口投与用に容易には濃縮できないようにすることで乱用を抑制する。さらに、これらの乱用抵抗性製剤は、経鼻吸入によって容易に乱用される比較的小さい粒子や粉末形態には容易に破砕できない。このような乱用抵抗性製剤は、オピオイド拮抗薬(ただし、オピオイド拮抗薬を製剤に添加して、さらに乱用を抑制することができる。)の組み込みを必要とするものではない。何らかの特定の理論に拘束されることを望むものではないが、ヒドロキシメチルセルロース類(これに限定されるものではない)、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース類などのアルキルセルロース類の組み込みが、アルコール、特に20%または40%エタノール水溶液での抽出に対する薬剤の抵抗性に寄与していると考えられている。アルキルセルロースは好ましくは、アルキル置換基による少なくとも12%置換、より好ましくはアルキル置換基による少なくとも16%置換、最も好ましくはアルキル置換基による少なくとも19%置換を有する。約40%以下、より好ましくは約30%以下のセルロースのアルキル置換が、本発明の文脈では好ましい。さらに、前記アルキル置換基は、好ましくはCからC、より好ましくはC、CまたはC、最も好ましくはCであり、アルキル置換基が3以上の炭素原子を含む場合には直鎖または分岐であることができる。
【0041】
別の好ましい実施形態では、製剤は、切断、粉砕、微粉化などに抵抗性であっても良い。本発明のこの側面についての簡便な尺度は、「ファーマテストPTB501」硬度計によって測定される「破壊強度」である。本発明の製剤は好ましくは、少なくとも150ニュートン(150N)の破壊強度を有する。より好ましくは、本発明の製剤は、少なくとも300N、さらに好ましくは少なくとも450N、さらに好ましくは少なくとも600Nの破壊強度を有する。
【0042】
本発明による破壊強度は、欧州薬局方1997、143頁、144頁、方法番号2.9.8に発表されている錠剤の破壊強度測定方法に従い、直径10mmおよび幅5mmの錠剤を用いて測定することができる。破壊強度を測定するのに用いられる好ましい装置は、「ツウィック(Zwick)22.5」材料試験器であり、カラムおよびスピンドルを含む構成でFmax=2.5kN、延伸max1150mm、クリアランス・ビハインド(clearancebehind)00mm、および試験速度0.1800mm/分である。測定は、ねじ込みインサートおよびシリンダー(直径10mm)を有する圧力ピストン、力変換器(Fmax 1kN、直径=8mm、クラス0.5から10N、クラス1 2NからISO7500−1、ツウィック総力(gross force)Fmax=1.45kN)を用いて行うことができる。この装置は、ツウィック社(Zwick GmbH & Co. KG, Ulm, Germany)から入手しても良い。
【0043】
いずれか好適な手段を用いて、本発明の組成物を製造することができる。好ましい実施形態では、製剤は好ましくは溶融加工され、より好ましくは溶融押出され、次にいずれの場合も製剤の破砕や粉砕を行わずに直接成形する。そうではあっても、製剤の直接成形錠剤を、ゼラチンコーティングなど(これに限定されるものではない)の嚥下補助剤でコーティングしても良いことが想到される。いずれか特定の理論に拘束されることを望むものではないが、中間の粉砕段階なしで、望ましくない鋭い部分を製剤上に形成しないように直接成形することが、製剤の優れた破壊強度に寄与するものと考えられている。さらに、本発明の製剤の実施形態は、少なくとも2つの溶融加工ポリマーを用いることでさらなる破壊強度を得ても良い。特定の理論に帰するものではないが、第2の溶融加工ポリマーが第一の溶融加工ポリマーと優先的に相互作用して、錠剤形成時に全体としての組成物のガラス転移温度が有利に調節されると考えられている。
【0044】
1実施形態において、製剤にポリマーもしくはコポリマーまたはこれらの組み合わせを用いて、溶融加工、より好ましくは溶融押出直接成形製剤を作ることができる。薬理的に不活性で、製剤の腸溶コーティングまたは除法プロファイルを提供するポリマーも用いることができる。1実施形態において、好適なポリマー/コポリマーには、薬理的に不活性であるオイドラギットL型またはS型などのポリ(メタ)アクリレート等がある。
【0045】
オイドラギット(登録商標)は、本発明での使用に好適で、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルから誘導されるいくつかの好ましいポリマーの商標名である。オイドラギットポリマーの特性は主として、オイドラギットポリマーのモノマーに組み込まれた官能基によって決まる。個々のオイドラギット(登録商標)の等級は、それの中性基、アルカリ性基または酸性基の割合において異なることから、物理化学的特性に関して異なるものである。下記式を有するアンモニオアルキルメタクリレートコポリマーまたはメタクリレートコポリマーを用いることができる。
【0046】
【化1】

【0047】
2007 US薬局方によれば、オイドラギットは、USP30/NF25に従って、
メタクリル酸コポリマー、A型NF=オイドラギットL−100
メタクリル酸コポリマー、B型NF=オイドラギットS−100
メタクリル酸メタクリル酸コポリマー、C型NF=オイドラギットL−100−55(少量の洗剤を含む)
アンモニオメタクリレートコポリマー、A型NF=オイドラギットRL−100(顆粒)
アンモニオメタクリレートコポリマー、A型NF=オイドラギットRL−PO(粉末)
アンモニオメタクリレートコポリマー、B型NF=オイドラギットRS−100(顆粒)
アンモニオメタクリレートコポリマー、B型NF=オイドラギットRS−PO(粉末)
ポリアクリレート分散液30%欧州薬局方=オイドラギットNE30D(=30%水系分散液)
塩基性ブチル化メタクリレートコポリマー欧州薬局方=オイドラギットE−100
と定義され、
前記官能基は4級アンモニウム(トリメチルアンモニオエチルメタクリレート)部分すなわちR=COOCHCH(CHCl[オイドラギット(登録商標)(RLまたはRS)として市販]を有するか、その官能基はカルボン酸すなわちR=COOH[オイドラギット(登録商標)(L)として市販]である。官能基がカルボン酸部分である場合、オイドラギット(登録商標)(L)ポリマーは胃で耐性であり、腸で溶解性である。従って、オイドラギット(登録商標)(L)を用いる製剤は、胃液に対して耐性であり、結腸で活性薬剤を放出する。官能基がトリメチルアンモニオエチルメタクリレート部分である場合、オイドラギット(登録商標)(RLまたはRS)ポリマーは、不溶性、浸透性、分散性およびpH依存性である。従って、これらのオイドラギット(登録商標)(RLまたはRS)ポリマーは、徐放製剤用の遅延薬剤放出に用いることができる。オイドラギット(登録商標)は、固体(オイドラギット(登録商標)L100/S100/L−100−55、オイドラギット(登録商標)EPO、オイドラギット(登録商標)RLPO、オイドラギットRSPO)、顆粒(オイドラギット(登録商標)E100、オイドラギット(登録商標)RL100/RS100)、分散液(L30D−55/FS30D30%、オイドラギット(登録商標)NE30D/40D30%/40%ポリマー含有量、オイドラギット(登録商標)RL30DRS30D30%)および有機溶液(オイドラギット(登録商標)L12.5、オイドラギット(登録商標)E12.5、オイドラギット(登録商標)RL12.5/RS12.5−12.5%有機溶液)などの各種形態で販売されている。
【0048】
少なくとも2つの溶融加工ポリマーを用いる場合、一方は好ましくはセルロース誘導体であり、より好ましくはヒドロキシアルキルセルロース誘導体、適宜にヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、それとは独立に他方のポリマーは、好ましくは(メタ)アクリレートポリマー(いずれか好適なオイドラギットポリマーなど)である。(メタ)アクリレートポリマーの中では、本発明の文脈において好ましいポリマーはオイドラギットLおよびオイドラギットRSである。本発明の文脈における一つのより好ましいポリマーはオイドラギットRLである。オイドラギットポリマー類は組み合わせて用いることが可能であり、オイドラギットRSおよびRLの混合物が好ましい。
【0049】
医師処方の医薬を服用する時にかなりの量のアルコール飲料を飲む(不適切ではあるが)人は、胃に含まれる胃液の組成がかなり変わっている可能性があり、極端な場合にはその胃液は40%ものアルコールを含む可能性がある。有利には、本発明の乱用抑止性製剤の実施形態は、少なくとも一つの乱用関連薬剤、少なくとも一つのセルロースエーテルまたはセルロースエステルおよび少なくとも一つの(メタ)アクリルポリマーの溶融加工混合物を含んでいても良く、37℃で1時間以内に製剤から20%エタノール水溶液もしくは40%エタノール水溶液またはその両方によって抽出される薬剤の量は、37℃もしくは25℃またはその両方で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の2倍以下である。40%エタノールによる抽出に対する抵抗性は、個人が意図的に乱用関連薬剤を含む医薬から乱用関連薬剤を抽出しようとする状況で有利である。
【0050】
20%または40%エタノール水溶液または0.01N塩酸それぞれによる抽出のプロトコールについては、下記の実験の部に記載している。より好ましい実施形態では、製剤から20%または40%エタノール水溶液によって抽出される薬剤の量は、1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の1.5倍以下である。さらに好ましい実施形態では、製剤から20%または40%エタノール水溶液によって抽出される薬剤の量は、1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量以下である。さらに好ましい実施形態では、製剤から20%または40%エタノール水溶液によって抽出される薬剤の量は、1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の0.9倍以下である。
【0051】
本発明は、イソプロピルアルコール、ウォッカなどの蒸留アルコール、ホワイトビネガー、水およびエタノール水溶液(例:20%エタノール)などの一般に入手可能な家庭の抽出溶媒を用いた溶媒抽出によって抽出が行われる場合、製剤から薬剤の抽出を妨害する少なくとも一つの乱用関連薬剤の除法製剤をも提供する。その製剤は溶媒抽出に対して非常に抵抗性であるが、胃液などの水溶液中ではなおも十分な薬剤放出を提供する。この製剤を破砕または粉砕しても、胃液などの水溶液中で十分な薬剤放出が生じる。幸運なことに、本発明のある種の好ましい実施形態では、上記で挙げた家庭の溶媒1種類または2種類または3種類または3種類超約81g(3オンス)に入れた時間(すなわち、0時間)から1時間で放出される乱用関連薬剤の量は、通常のヒトが飲み込む場合と同じ時間にわたって放出される量より多いのが15%以下であり、1時間より長く約4時間までの量が、通常のヒトが飲み込む場合と同じ時間にわたって放出される量より多いのが15%以下であり、またはその両方である。
【0052】
本発明の例示的な好ましい組成物は、下記のものを含む。
【0053】
本発明において単独または組み合わせて使用可能なセルロースエーテルおよびセルロースエステルは、50000から1250000ダルトンの範囲の好ましい分子量を有する。セルロースエーテルは好ましくは、アルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース類またはこれらからの混合物から選択され、例えばエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(NF)、ヒドロキシエチルセルロース(NF)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(USP)またはこれらの組み合わせがある。有用なセルロースエステル類には、酢酸セルロース(NF)、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびこれらの混合物があるが、これらに限定されるものではない。最も好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのノニオン系ポリマーを用いることができる。
【0054】
セルロースの無水グルコース単位に対する置換基の量は、その環に結合した置換基の平均数によって呼ぶことができ、これはセルロース化学者には「置換度」(D.S.)として知られる概念である。各単位上の3つ全ての利用可能な位置が置換されている場合、D.S.は3と称され、各環上の平均2個が反応する場合は、D.S.は2と称される等である。
【0055】
好ましい実施形態において、セルロースエーテルは、アルキル置換度1.3から2.0およびヒドロキシアルキルモル置換率0.85以下を有する。
【0056】
好ましい実施形態において、アルキル置換はメチルである。さらに、好ましいヒドロキシアルキル置換はヒドロキシプロピルである。メトキシ置換およびヒドロキシプロポキシ置換の異なる置換度を有するこれらの種類のポリマーについては、「ヒプロメロース(Hypromellose)」という名称で薬局方、例えばUSPにまとめて挙げてある。
【0057】
メチルセルロースは、商品名メトセルAで入手可能である。メトセルAは、メチル(またはメトキシル)D.S.1.64から1.92を有する。これらの種類のポリマーについては、「メチルセルロース」という名称で薬局方、例えばUSPに挙げてある。
【0058】
特に好ましいセルロースエーテルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、商品名メトセルE(メチルD.S.約1.9、ヒドロキシプロピルモル置換約0.23)、メトセルF(メチルD.S.約1.8、ヒドロキシプロピルモル置換約0.13)およびメトセルK(メチルD.S.約1.4、ヒドロキシプロピルモル置換約0.21)下で入手可能である。メトセルFおよびメトセルKが、本発明で使用するのに好ましいヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0059】
アクリルポリマーは好適には、アクリル酸および/またはアルクアクリル酸および/またはアルキル(アルク)アクリレートのモノマーを含むホモポリマーおよびコポリマー(それらの用語は、2個より多い異なる反復単位を有するポリマーを含む)などがある。本明細書で使用される場合、「アルキル(アルク)アクリレート」という用語は、通常はそれぞれ相当するアクリル酸またはアルクアクリル酸から形成される相当するアクリレートまたはアルクアクリレートエステルを指す。すなわち、「アルキル(アルク)アクリレート」という用語は、アルキルアルクアクリレートまたはアルキルアクリレートを指す。
【0060】
好ましくは、アルキル(アルク)アクリレートは(C−C22)アルキル((C−C10)アルク)アクリレートである。アルキル(アルク)アクリレートのC−C22アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、イソ−プロピル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ベヘニルおよびそれらの異性体などがある。このアルキル基は、直鎖または分岐鎖であることができる。好ましくは、(C−C22)アルキル基は、上記で定義の(C−C)アルキル基、より好ましくは上記で定義の(C−C)アルキル基を表す。アルキル(アルク)アクリレートのアルク基のC1−10アルク基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルおよびこれらの異性体などがある。このアルク基は、直鎖または分岐鎖であることができる。好ましくは(C−C10)アルク基は、上記で定義の(C−C)アルク基、より好ましくは上記で定義の(C−C)アルク基を表す。
【0061】
好ましくは、アルキル(アルク)アクリレートは、(C−C)アルキル((C−C)アルク)アクリレート、最も好ましくは(C−C)アルキル(メタ)アクリレートである。(C−C)アルキル(メタ)アクリレートという用語が、(C−C)アルキルアクリレートまたは(C−C)アルキルメタクリレートのいずれかを指すことは明らかであろう。(C−C)アルキル(メタ)アクリレートの例には、メチルメタクリレート(MMA)、エチルメタクリレート(EMA)、n−プロピルメタクリレート(PMA)、イソプロピルメタクリレート(IPMA)、n−ブチルメタクリレート(BMA)、イソブチルメタクリレート(IBMA)、tert−ブチルメタクリレート(TBMA)、メチルアクリレート(MA)、エチルアクリレート(EA)、n−プロピルアクリレート(PA)、n−ブチルアクリレート(BA)、イソプロピルアクリレート(IPA)、イソブチルアクリレート(IBA)およびこれらの組み合わせなどがある。
【0062】
好ましくは、アルクアクリル酸モノマーは、(C−C10)アルクアクリル酸である。(C−C10)アルクアクリル酸の例には、メタクリル酸、エタクリル酸、n−プロパクリル酸、イソ−プロパクリル酸、n−ブタクリル酸、イソ−ブタクリル酸、tert−ブタクリル酸、ペンタクリル酸、ヘキサクリル酸、ヘプタクリル酸およびそれらの異性体などがある。好ましくは(C−C10)アルクアクリル酸は、(C−C)アルクアクリル酸、最も好ましくはメタクリル酸である。
【0063】
ある種の実施形態において、アルキル基はアリール基によって置換されていても良い。本明細書で使用される場合、「アルキル」基は、直鎖、分岐または環状の飽和もしくは不飽和脂肪族炭化水素を指す。そのアルキル基は1から16個の炭素を有し、未置換であるかハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシカルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオおよびチオアルキルから選択される1以上の基によって置換されていても良い。「ヒドロキシ」基は、OH基を指す。「アルコキシ」基は、−O−アルキル基を指し、アルキルは上記で定義の通りである。「チオ」基は−SH基を指す。「チオアルキル」基は−SR基を指し、Rは上記で定義のアルキルである。「アミノ」基は−NH基を指す。「アルキルアミノ」基は、−NHR基を指し、Rは上記で定義のアルキルである。「ジアルキルアミノ」基は、−NRR′基を指し、RおよびR′はいずれも上記で定義の通りである。「アミド」基は−CONHを指す。「アルキルアミド」基は、−CONHR基を指し、Rは上記で定義のアルキルである。「ジアルキルアミド」基は、−CONRR′基を指し、RおよびR′は上記で定義の通りである。「ニトロ」基はNO基を指す。「カルボキシル」基はCOOH基を指す。
【0064】
ある種の実施形態において、アルキル基はアリール基によって置換されていても良い。本明細書で使用される場合、「アリール」には、炭素芳香環および複素芳香環の両方が含まれ、単環式および縮合多環式の両方があり、その芳香環は5員環または6員環であることができる。代表的な単環式アリール基には、フェニル、フラニル、ピロリル、チエニル、ピリジニル、ピリミジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリルなどがあるが、これらに限定されるものではない。縮合多環式アリール基は、縮合環系中の1以上の環として5員もしくは6員の芳香族もしくはヘテロ芳香族環を含む芳香族基である。代表的な縮合多環アリール基には、ナフタレン、アントラセン、インドリジン、インドール、イソインドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキザリン、1,8−ナフチリジン、プテリジン、カルバゾール、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジンおよびアズレンなどがある。さらに、本明細書で使用される場合、アリール基にはアリールアルキル基も含まれる。さらに、本明細書で使用される場合「アリールアルキル」は、ベンジルなどの部分を指し、この場合に芳香族はアルキル基に連結している。
【0065】
好ましくは、アクリルポリマーは、アクリルコポリマーである。好ましくはアクリルコポリマーは、本明細書において前記で定義のアルキル(アルク)アクリレートおよび/またはアクリル酸および/またはアルクアクリル酸から誘導されるモノマーを含む。最も好ましくは、アクリルコポリマーは、アルキル(アルク)アクリレートから誘導されるモノマー、すなわち本明細書において前記で定義の共重合可能なアルキルアクリレートおよびアルキルアルクアクリレートモノマーを含む。特に好ましいアクリルコポリマーには、(C−C)アルキルアクリレートモノマーおよび共重合可能な(C−C)アルキル(C−C)アルクアクリレートコモノマーなどがあり、特にはメチルメタクリレートから形成されるコポリマーおよびメチルアクリレートおよび/またはエチルアクリレートおよび/またはn−ブチルアクリレートの共重合可能なコモノマーである。
【0066】
好ましくは、(メタ)アクリルポリマーはイオン系(メタ)アクリルポリマーであり、特にはカチオン系(メタ)アクリルポリマーである。イオン系(メタ)アクリルポリマーは、イオン性基を有する(メタ)アクリル酸モノマーを中性(メタ)アクリル酸モノマーと共重合させることで製造される。そのイオン性基は好ましくは、4級アンモニウム基である。
【0067】
(メタ)アクリルポリマーは通常は水不溶性であるが、水溶液および消化液中では膨潤性で浸透性である。カチオン性基の中性(メタ)アクリル酸エステルに対するモル比によって、製剤の水浸透性の制御が可能である。好ましい実施形態では、(メタ)アクリルポリマーはコポリマーまたはコポリマーの混合物であり、この場合にカチオン性基の中性(メタ)アクリル酸エステルに対するモル比は、平均で約1:20から1:35の範囲である。この比は、適切な市販のカチオン系(メタ)アクリルポリマーを選択するかまたはカチオン系(メタ)アクリルポリマーを好適な量の中性(メタ)アクリルポリマーと混合することで調節することができる。
【0068】
好適な(メタ)アクリルポリマーは、オイドラギット、好ましくはオイドラギットRLおよびオイドラギットRSの商標名下にローム・ファーマ(RohmPharma)から市販されている。オイドラギットRLおよびオイドラギットRSは、4級アンモニウム基の含有率が低いアクリル酸およびメタクリル酸エステルのコポリマーであり、アンモニウム基の残りの中性(メタ)アクリル酸エステルに対するモル比はオイドラギットRLで1:20、オイドラギットRSで1:40である。平均分子量は約150000である。
【0069】
(メタ)アクリルポリマー以外に、さらに別の製薬上許容されるポリマーを本発明の製剤に組み込んで、その製剤の特性を調節したり、ないしはそれの製造の容易さを改善することができる。これらのポリマーは、
N−ビニルラクタム類、特にはポリビニルピロリドン(PVP)のホモポリマー、
N−ビニルラクタムおよびそれと共重合可能な1以上のコモノマーのコポリマー、このコモノマーは窒素含有モノマーおよび酸素含有モノマーから選択され、特にはN−ビニルピロリドンおよびカルボン酸ビニルのコポリマー、好ましい例としてN−ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマーまたはN−ビニルピロリドンとプロピオン酸ビニルのコポリマーがある;
ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール−グラフトコポリマー(例えばBASF社(BASFAG, Ludwigshafen, Germany)からコリコート(Kollicoat(登録商標))IRとして入手可能);
ポリエチレンオキサイドおよびポリプロピレンオキサイドおよびエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドのコポリマーなどの高分子量ポリアルキレンオキサイド類;
ポリアクリルアミド類;
酢酸ビニルおよびクロトン酸のコポリマー、部分加水分解ポリ酢酸ビニル(部分ケン化「ポリビニルアルコール」とも称される)などの酢酸ビニルポリマー類;
ポリビニルアルコール;
ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)およびポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバレレート)などのポリ(ヒドロキシ酸)類;
またはこれらの1以上の混合物を含む群から選択することができる。
【0070】
「乱用関連薬剤」は、生理的に有効な成分であり、その配布が規制当局の制限を受けるいずれのものも意味することを意図する。本発明の文脈で有用に製剤可能な乱用の薬剤はには、シュードエフェドリン、抗鬱薬、強い刺激剤、ダイエット薬、ステロイド類および非ステロイド系抗炎症剤などがあるが、これらに限定されるものではない。強刺激剤の範疇では、メタンフェタミンが乱用の薬剤として現在一般の関心を引いている薬剤である。現時点では、アトロピン、ヒヨスチアミン、フェノバルビタール、スコポラミンなどの乱用の可能性について若干の懸念もある。別の主要な種類の乱用関連薬剤には、鎮痛剤、特にはオピオイド類がある。
【0071】
「オピオイド」という用語は、作働薬であるか、拮抗薬であるか、混合作働薬−拮抗薬であるかは問わず、エンケファリン類、エンドルフィ類およびダイノルフィン類などの内因性オピオイドペプチドによって結合した1以上の受容体部位と反応する物質を意味する。オピオイド類には、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン、デソモルヒネ、デキストロモルアミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、酪酸ジオキサフェチル(dioxaphetyl)、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアムブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボフェナシルモルファン、レボルファノール、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メサドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン(myrophine)、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ(nicomorphine)、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、パプブレツム(papvretum)、ペンタゾシン、フェナドキソン(phenadoxone)、フェナゾシン、フェノモルファン(phenomorphan)、レミフェンタニル、ピミノジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジンおよびトラマドールならびに塩および混合物などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0072】
一部の好ましい実施形態では、本発明の製剤は、少なくとも一つの別の治療薬剤を含む。さらに好ましい実施形態では、この別の治療薬は非ステロイド系非オピオイド系鎮痛剤からなる群(これらに限定されるものではない。)から選択することができ、さらにアセトアミノフェン、アスピリン、フェンタニル、イブプロフェン、インドメタシン、ケトロラク、ナプロキセン、フェナセチン、ピロキシカム、スフェンタニル、スリンダクおよびインターフェロン−αからなる群から選択しても良い。特に好ましいものは、米国食品医薬品局など(例えば)の適切な国家または地域の規制当局の権限下に公衆に対して固定用量の組み合わせとして販売されている薬剤の組み合わせである。そのような薬剤には、ヒドロコドンとアセトアミノフェンの(固定用量)組み合わせまたはヒドロコドンとイブプロフェンの(固定用量)組み合わせなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0073】
乱用関連薬剤は好ましくは、好ましくはセルロースエーテルまたはセルロースエステル、および一つのアクリルまたはメタクリルポリマーならびに製剤の他の適宜の成分によって形成される基材を通じて均等に分散している。この説明は、基材相中に代表的には直径1μm未満の小さい粒子を有する系をも包含するものである。これらの系は好ましくは、熱分析(DSC)またはX線回折分析(WAXS)によって明らかな、結晶状態または微結晶状態で活性オピオイド成分はあまり多く含まない。薬剤の総量の少なくとも98%(重量基準)が、好ましくは非晶質状態で存在する。本発明による製剤中に例えばアセトアミノフェンなどの別の非乱用関連薬剤活性成分がさらに存在する場合、この別の薬剤活性成分は、その製剤に包埋された結晶状態であっても良い。
【0074】
成分の分散液が、系が化学的または物理的に均一であるまたは一つの熱力学的相を通じて実質的に均質であるかその相からなるようなものである場合、そのような分散液は「固溶体」と称される。乱用関連活性成分の固溶体が好ましい。
【0075】
製剤は、糖アルコール類またはそれの誘導体、マルトデキストリン類;製薬上許容される界面活性剤、流動調節剤、崩壊剤、増量剤および潤滑剤から選択される1以上の添加剤を含むこともできる。有用な糖アルコール類の例としては、マニトール、ソルビトール、キシリトールがあり、有用な糖アルコール誘導体には、イソマルト、水素化濃縮パラチノースおよび同種および異種の両方の他のものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0076】
製薬上許容される界面活性剤は、好ましくは製薬上許容されるノニオン系界面活性剤である。界面活性剤の組み込みは、水溶性の低い有効成分を含む基材に、さらには製剤の濡れ性を高めるために特に好ましい。界面活性剤は、製剤から放出される有効成分の即時乳化を生じさせ、消化管の水系流体中での有効成分の沈澱を防ぐことができる。
【0077】
好ましい添加剤をいくつか挙げると、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、例えばポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ステアリルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、例えばポリオキシエチレン(2)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(3)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(4)ノニルフェニルエーテルまたはポリオキシエチレン(3)オクチルフェニルエーテル;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、例えばPEG−200モノラウレート、PEG−200ジラウレート、PEG−300ジラウレート、PEG−400ジラウレート、PEG−300ジステアレートまたはPEG−300ジオレエート;アルキレングリコール脂肪酸モノエステル、例えばプロピレングリコールモノおよびジラウレート(ラウログリコール(Lauroglycl;登録商標);ショ糖脂肪酸エステル、例えばショ糖モノステアレート、ショ糖ジステアレート、ショ糖モノラウレートまたはショ糖ジラウレート;ソルビタンモノラウレート(スパン(登録商標)20)、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート(スパン(登録商標)40)またはソルビタンステアレートなどのソルビタン脂肪酸モノおよびジエステル類、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、例えばポリオキシエチレングリセリン・トリリシノレートまたはポリオキシル35ヒマシ油(クレモフォル(登録商標)EL;BASF社)またはポリエチレングリコール40水素化ヒマシ油(クレモホル(登録商標)RH40)またはポリエチレングリコール60水素化ヒマシ油(クレモホル(登録商標)RH60)などのポリオキシエチレングリセリンオキシステアレート;またはポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーとも称されるエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドのブロックコポリマーまたはプルロニク(登録商標)F68、プルロニク(登録商標)F127、ポロキサマー(登録商標)124、ポロキサマー(登録商標)188、ポロキサマー(登録商標)237、ポロキサマー(登録商標)388またはポロキサマー(登録商標)407(BASF Wyandotte Corp.)などのポリオキシエチレンポリプロピレングリコール;またはポリオキシエチレン(20)ソルビタンのモノ脂肪酸エステル類、例えばポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(ツイン(登録商標)80)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(ツイン(登録商標)60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート(ツイン(登録商標)40)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(ツイン(登録商標)20)などならびにこれらの2、3、4、5またはそれ以上の混合物などがある。
【0078】
各種の他の添加剤を溶融物で含有させることができ、例えばコロイド状シリカなどの流動調節剤;潤滑剤、充填剤、崩壊剤、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、ラジカル捕捉剤もしくは細菌攻撃に対する安定剤などの安定剤がある。
【0079】
本発明の製剤は、加熱プレス使用などの好適な溶融プロセスで得ることができ、好ましくは溶融押出によって製造される。薬剤の均一な分布および十分な分散度を得るために、薬剤含有溶融物を、十分な滞留時間で溶融押出機の加熱バレル中に入れておくことができる。溶融は液体状態またはゴム状態への転移で起こり、そこで、一つの成分が他の成分中に均一に包埋され得る。溶融では通常、セルロースエーテル/エステルまたは(メタ)アクリルポリマーの軟化点を超える加熱が行われる。溶融物の製造は、多様な方法で行うことができる。
【0080】
通常、溶融温度は、70から250℃、好ましくは80から180℃、最も好ましくは100から140℃の範囲である。
【0081】
溶融プロセスで溶融押出を行う場合、溶融および/または混合をそれに関して通常用いられる装置で行うことができる。特に好適なものは、押出機および混錬機である。好適な押出機には、単軸押出機、インターメッシュ型軸押出機および多軸押出機などがあり、好ましくは共回転またはまたは逆回転であることができ、混錬ディスクを搭載していても良い2軸押出機である。作業温度も押出機の種類または使用される押出機内の構成の種類によって決まることは明らかであろう。押出機中の成分を溶融、混合および溶解させるのに必要なエネルギーの一部は、加熱要素によって得ることができる。しかしながら、押出機中での材料の摩擦および剪断によっても、かなりの量のエネルギーが混合物に与えられ、成分の均質な溶融物を形成する上で役立ち得る。
【0082】
別の実施形態では本発明は、(a)攪拌を行う場合も行わない場合も、37℃で1時間以内にエタノール系溶媒、例えば40%または20%エタノール水溶液またはその両方によって製剤から抽出される薬剤が37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の2倍以下であること、(b)前記製剤が妨害に対して抵抗性で、「ファーマテストPTB501」硬度計による測定で300ニュートン、好ましくは600ニュートン、より好ましくは1200ニュートンの力下に破壊しないこと、ならびに(c)前記製剤が、初期時間インビトロ溶解試験の、および適宜にインビボ(すなわち、動物またはヒトの消化管で)でも、30分、最初の1時間または最初の2時間で、薬剤の少なくとも15%、より好ましくは39%、適宜に24%、およびその薬剤の45%以下、より好ましくは38%以下、適宜に34%以下を放出することという特徴のうちの少なくとも2つを特徴とする、薬剤の経口徐放製剤を提供する。特定の理論によって拘束されることを望むものではないが、製剤からの薬剤の高い初期放出速度は製剤中の薬剤負荷量を高くすることで行われると考えられている。本発明の一部の実施形態におけるアセトアミノフェンなどの単一有効成分についての薬剤負荷量は、重量基準で約60%、70%、75%、80%、85%を超えるものであることができる。アセトアミノフェンの薬剤負荷量は、80%に制限することができる。
【0083】
この製剤の好ましい実施形態は、モノリシック形態または固溶体である。「モノリシック」という用語は、「単一」および「石」を意味する語源に由来するものである。モノリシック形態または固体は好ましくは、5mmを超える少なくとも一つの寸法を有する。本発明のモノリシック実施形態では、乱用関連薬剤は好ましくは、単一の固体または単一の固溶体、要素に含まれる。モノリシック固体または固溶体は、他の材料で上塗りされていても良く、他の材料と組み合わせても良い。これらの他の材料は好ましくは、乱用関連薬剤をあまり多く含まず、これらの材料は好ましくはインビボまたはインビトロでの乱用関連薬剤の溶解や分散の速度にあまり影響しない。ほぼ最初の1時間後の乱用関連薬剤または乱用関連薬剤のインビトロおよび/またはインビボの放出速度は、好ましくは少なくとも約6、8、10、12または16時間にわたって実質的に一定である。従って、本発明の実施形態は、乱用関連薬剤の一気放出を行うことで、患者または動物の血中でその薬剤の治療レベルを迅速に得ることができるようにし、少なくとも約8、12または24時間にわたって治療量の提供を維持するように調節可能な単一相薬剤製剤を提供する。さらに、その薬剤製剤は好ましくは、ヒトまたは動物に対して1日1回、2回または3回繰り返し投与するのに好適である。
【0084】
有利には、本発明の製剤の好ましい実施形態は、製剤中に組み込まれた実質的に乱用関連薬剤全量を放出する。例えば本発明の製剤は、約16時間以内、適宜に12または9時間以内でインビトロ溶解試験で薬剤の90%、好ましくは95%を超える量を送達するよう作ることができる。累積血中濃度またはAUCは、薬剤の90%が製剤から放出される時間から直接知ることはできないが、薬剤を吸収して患者の(動物の)血液系に送ることができる消化管の部分に乱用関連薬剤の実質的に全量または全量を薬剤製剤が放出する場合には、乱用関連薬剤1mg当たりのAUCを高くすることができる。
【0085】
さらに別の好ましい実施形態では本発明は、乱用抵抗性薬剤製剤の製造方法を提供し、この方法は、少なくとも一つの治療薬剤を含む製剤を溶融押出する段階を有し、さらに(中間の)粉砕段階を行わずに押出物を直接成形して製剤とする段階を有する。溶融押出物は好ましくはセルロース誘導体を含み、好ましくはオイドラギットポリマーも含む。好ましいオイドラギットポリマーには、オイドラギットLまたはオイドラギットRSまたはその両方があり、特に好ましいものは、オイドラギットRLまたはオイドラギットRLとオイドラギットRSの組み合わせである。
【0086】
溶融物はペースト状から粘稠性の範囲のものであることができる。溶融物を固化させる前に、溶融物を視覚的に望ましい形状に成形しても良い。簡便には、押出物の成形は、好ましくは表面上の互いに一致する凹部を有する2個の反対方向に回転するローラーを有するカレンダーによって行っても良い。広範囲の錠剤形態を、各種形態の凹部を有するローラーを用いることで得ることができる。あるいは、固化する前(「ホットカット」)または固化した後に(「コールドカット」)押出物を切断して小片とするまたは押出物をダイス射出プロセスにおいて用いることができる。加熱プレスを用いる溶融プロセスでもカレンダー加工しても良い。
【0087】
形成された溶融物は、乱用の可能性のある薬剤をほとんど含まない材料で上塗りしても良い。例えば、乱用の薬剤を含むモノリシック製剤は、カラーコート、嚥下助剤または製薬上許容される材料の別の層で上塗りすることができる。モノリシック形態の上に層化させた材料は好ましくは、製剤からの有効成分の放出速度をほとんど変えない。
【0088】
哺乳動物によるそのような製剤の摂取を促進するため、製剤に適切な形状を与えることが有利である。従って、楽に飲み込むことができる大きい錠剤は、好ましくは丸い形ではなく細長い形のものである。
【0089】
製剤上のフィルムコートはさらに、それを飲み込む上で楽になるようにするものである。フィルムコートはさらに、味を改善し、優れた見た目を与える。望ましい場合は、フィルムコートは腸溶コートであることができる。フィルムコートは通常、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびアクリレートまたはメタクリレートコポリマーなどのポリマーフィルム形成性材料を含む。フィルム形成性ポリマー以外に、フィルムコートはさらに可塑剤(例:ポリエチレングリコール)、界面活性剤(例:ツイン(登録商標)型)、適宜に顔料(例:二酸化チタンまたは酸化鉄類)を含むことができる。フィルムコーティングは、粘着防止剤としてタルクを含むこともできる。フィルムコートは通常、製剤の約5重量%未満を占める。
【0090】
1実施形態において本発明は、a)少なくとも一つの乱用関連薬剤、b)少なくとも一つのセルロースエーテルまたはセルロースエステル、およびc)少なくとも一つのアルキルアルクアクリレートポリマー、アルクアクリレートポリマーまたはこれらの組み合わせの溶融加工混合物を含む乱用抑止性薬剤製剤を提供する。この実施形態において、37℃で1時間以内に製剤から40%エタノール水溶液によって抽出される薬剤の量は、37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の2倍以下であり、薬剤製剤は、ヒトに1日3、2または1回経口投与する上で有用なように作られる。
【0091】
好ましくはこの実施形態では、セルロースエーテルは、アルキル置換度1.3から2.0およびヒドロキシアルキルモル置換率0.85以下を有する。より好ましくは、このアルキル置換はメチルである。最も好ましくは、ヒドロキシアルキル置換はヒドロキシプロピルである。この実施形態の別の態様では、好ましくはセルロースエーテルはヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0092】
この実施形態のさらに別の態様では、アルキルアルクアクリレートまたはアルクアクリレートポリマーは、(C−C22)アルキル((C−C10)アルク)アクリレートまたは(C−C10)アルクアクリレートのモノマー単位を有する。より好ましくは、アルクアクリレートポリマーはアクリルポリマーまたはメタクリルポリマーである。やはりより好ましくは、アルクアクリレートポリマーはイオン性アクリルポリマーまたはイオン性メタクリルポリマーである。やはりより好ましくは、アルクアクリレートポリマーはカチオン性アクリルポリマーまたはカチオン性メタクリルポリマーである。最も好ましくは、アルクアクリレートポリマーは、アクリルポリマーと4級アンモニウム基を含むメタクリルポリマーエステルのコポリマーである。最も好ましい実施形態では、アルクアクリレートポリマーは、カチオン性基の中性エステルに対するモル比が平均で約1:20から1:35の範囲のものであるコポリマーまたはコポリマーの混合物である。
【0093】
この実施形態の1態様では、乱用関連薬剤は、アトロピン、ヒヨスチアミン、フェノバルビタールおよびスコポラミンの塩、エステル、プロドラッグおよびこれらの混合物からなる群から選択される。別の態様では、乱用関連薬剤は鎮痛剤であり、さらに別の態様では乱用関連薬剤はオピオイドである。オピオイドは、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン、デソモルヒネ、デキストロモルアミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、酪酸ジオキサフェチル、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアムブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボフェナシルモルファン、レボルファノール、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メサドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、パプブレツム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェナゾシン、フェノモルファン、レミフェンタニル、ピミノジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジンおよびトラマドールならびにこれらのおよび塩、エステル、プロドラッグおよび混合物からなる群から選択することができる。別の態様において乱用関連薬剤は、シュードエフェドリン、抗鬱薬、強い刺激剤、ダイエット薬および非ステロイド系抗炎症剤、これらの塩、エステル、プロドラッグおよび混合物からなる群から選択される。好ましくは前記強刺激剤は、メタンフェタミンまたはアンフェタミンである。上記で言及した製剤はさらに、少なくとも一つの別の薬剤を含む。1態様において、さらなる治療薬剤は、非ステロイド系非オピオイドの鎮痛薬からなる群から選択され、さらにはアセトアミノフェン、アスピリン、フェンタニル、イブプロフェン、インドメタシン、ケトロラク、ナプロキセン、フェナセチン、ピロキシカム、スフェンタニル、スリンダクおよびインターフェロン−αからなる群から選択されても良い。
【0094】
これらの製剤において、乱用関連薬剤は好ましくは、固溶体の状態で製剤中に分散されている。1態様において、これら全ての製剤はさらに、独立に界面活性剤、流動調節剤、崩壊剤、増量剤、潤滑剤、発泡剤、着色剤、香味剤およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つの添加剤をさらに含むことができる。
【0095】
本発明の1実施形態において、11%および47%の乱用関連薬剤が、37℃で2時間以内に0.01N塩酸中に放出される。別の実施形態では、20%未満の乱用関連薬剤が、37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液中に放出される。
【0096】
別の実施形態では本発明は、モノリシック徐放経口製剤を提供する。この薬剤製剤は、a)鎮痛上有効量の少なくとも一つの乱用関連薬剤、b)少なくとも一つのセルロースエーテルまたはセルロースエステル、およびc)少なくとも一つのアルキルアルクアクリレートポリマー、アルクアクリレートポリマーまたはこれらの組み合わせの溶融加工混合物を含む。この製剤において、37℃で1時間以内に製剤から40%エタノール水溶液によって抽出される薬剤の量は、37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の2倍以下であり、薬剤製剤は、ヒトに1日3、2または1回経口投与する上で有用なように徐放用に作られる。さらに好ましくはこの実施形態では、セルロースエーテルは、アルキル置換度1.3から2.0およびヒドロキシアルキルモル置換率0.85以下を有する。別の態様では、そのアルキル置換はメチルである。別の態様では、ヒドロキシアルキル置換はヒドロキシプロピルである。好ましくはセルロースエーテルはヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0097】
この実施形態のさらに別の態様では、アルクアクリレートポリマーはアクリルポリマーまたはメタクリルポリマーである。好ましくは、アルクアクリレートポリマーはイオン性アクリルポリマーまたはイオン性メタクリルポリマーである。より好ましくは、アルクアクリレートポリマーは、カチオン性アクリルポリマーまたはカチオン性メタクリルポリマーである。最も好ましくは、アルクアクリレートポリマーは、アクリルポリマーと4級アンモニウム基を含むメタクリルポリマーエステルのコポリマーである。やはりより好ましくは、アクリルポリマーまたはメタクリルポリマーは、カチオン性基の中性エステルに対するモル比が平均で約1:20から1:35の範囲のものであるコポリマーまたはコポリマーの混合物である。
【0098】
この実施形態の別の態様において、乱用関連薬剤は、アトロピン、ヒヨスチアミン、フェノバルビタールおよびスコポラミンの塩、エステル、プロドラッグおよびこれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、乱用関連薬剤は鎮痛剤である。より好ましくは乱用関連薬剤はオピオイドである。最も好ましくはオピオイドはヒドロコドン、これの塩およびエステルである。やはり前述したように、オピオイドは、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン、デソモルヒネ、デキストロモルアミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、酪酸ジオキサフェチル、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアムブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボフェナシルモルファン、レボルファノール、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メサドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、パプブレツム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェナゾシン、フェノモルファン、レミフェンタニル、ピミノジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジンおよびトラマドールならびにこれらのおよび塩、エステル、プロドラッグおよび混合物からなる群から選択される。さらに乱用関連薬剤は、シュードエフェドリン、抗鬱薬、強い刺激剤、ダイエット薬および非ステロイド系抗炎症剤、これらの塩、エステル、プロドラッグおよび混合物からなる群から選択される。好ましくは前記強刺激剤は、メタンフェタミンまたはアンフェタミンである。前記製剤の別の実施形態は、少なくとも一つの別の薬剤を提供する。この実施形態において、さらなる治療薬剤は、非ステロイド系非オピオイドの鎮痛薬からなる群から選択され、さらにはアセトアミノフェン、アスピリン、フェンタニル、イブプロフェン、インドメタシン、ケトロラク、ナプロキセン、フェナセチン、ピロキシカム、スフェンタニル、スリンダクおよびインターフェロン−αからなる群から選択されても良い。好ましくは、乱用関連薬剤は好ましくは、固溶体の状態で製剤中に分散されている。別の実施形態において、製剤はさらに、界面活性剤、流動調節剤、崩壊剤、増量剤、潤滑剤、発泡剤、着色剤、香味剤からなる群から選択される少なくとも一つの添加剤をさらに含む。この実施形態の1態様において、11%および47%の乱用関連薬剤が、37℃で2時間以内に0.01N塩酸中に放出される。別の態様では、前記製剤は、20%未満の乱用関連薬剤が37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液中に放出される製剤も提供する。
【0099】
本発明の別の実施形態は、a)37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤から抽出される薬剤が37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の2倍以下であること、b)製剤が「ファーマテストPTB501」硬度計による測定で150ニュートン、好ましくは300ニュートン、より好ましくは450ニュートン、さらに好ましくは500ニュートンの力下に破壊しないこと、およびc)製剤が、インビトロの溶解試験での最初の1時間で、好ましくはインビボでも一つの薬剤の少なくとも15%、その一つの薬剤の45%以下を放出することという特徴のうちの少なくとも2つを特徴とする薬剤の経口徐放製剤を提供する。好ましくは、この実施形態では、製剤は経鼻投与によって吸い込むことはできず、すなわちコーヒー粉砕器(本明細書で上記にて定義)60秒間処理した場合に、材料は吸い込むには不快なものであり、水とともに飲み込んだ場合または20%エタノール水溶液もしくは40%エタノール水溶液またはその両方とともに飲み込んだ場合と比較して、40%より速く乱用関連薬剤を放出せず、より好ましくは約30%以下の速さであり、さらに好ましくは約20%未満の速さである。やはり好ましくは、この薬剤はオピオイド、アンフェタミンまたはメタンフェタミンである。より好ましくは、この製剤は、a)少なくとも一つの乱用関連薬剤、b)少なくとも一つのセルロースエーテルまたはセルロースエステルおよびc)少なくとも一つのアルキルアルクアクリレートポリマー、アルクアクリレートポリマーまたはこれらの組み合わせの溶融加工混合物によって製造される乱用抑止性薬剤製剤を含む。この製剤では、37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤から抽出される薬剤の量は、37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の2倍以下であり、薬剤製剤は、ヒトに1日3、2または1回経口投与する上で有用なように作られる。この実施形態では好ましくは、セルロースエーテルは、アルキル置換度1.3から2.0およびヒドロキシアルキルモル置換率0.85以下を有する。より好ましくは、このアルキル置換はメチルである。さらに好ましくは、ヒドロキシアルキル置換はヒドロキシプロピルである。最も好ましくはセルロースエーテルはヒドロキシプロピルメチルセルロースである。さらに、この実施形態では、アルキルアルクアクリレートまたはアルクアクリレートポリマーは、(C−C22)アルキル((C−C10)アルク)アクリレートまたは(C−C10)アルクアクリレートのモノマー単位を有する。好ましくは、アルクアクリレートポリマーはアクリルポリマーまたはメタクリルポリマーである。より好ましくは、アルクアクリレートポリマーはイオン性アクリルポリマーまたはイオン性メタクリルポリマーである。さらに好ましくは、アルクアクリレートポリマーはカチオン性アクリルポリマーまたはカチオン性メタクリルポリマーである。最も好ましくは、アルクアクリレートポリマーは、アクリルポリマーと4級アンモニウム基を含むメタクリルポリマーエステルのコポリマーである。この最も好ましい実施形態では、さらに、アルクアクリレートポリマーは、カチオン性基の中性エステルに対するモル比が平均で約1:20から1:35の範囲のものであるコポリマーまたはコポリマーの混合物である。
【0100】
本発明のさらに別の実施形態は、乱用の可能性のある薬剤を含む非粉砕溶融押出薬剤製剤を提供する。この好ましい実施形態では、製剤は経鼻投与によって吸い込むことはできない。やはり好ましくは、薬剤はオピオイド、アンフェタミンまたはメタンフェタミンである。最も好ましくは、製剤は、(中間の)粉砕段階を行わずに溶融押出物から製剤に直接成形する。やはりより好ましくは、製剤は、(中間の)多粒子化段階を行わずに溶融押出物から製剤に直接成形する。最も好ましくは製剤は、カレンダー加工のプロセスによって溶融押出物から製剤に直接成形する。
【0101】
本発明の別の実施形態は、少なくとも約5.1mmから約10mmの直径および約5.1mmから約30mmの長さを有する乱用の可能性のある薬剤を含むモノリシックな非粉砕非多粒子化溶融押出薬剤製剤を提供する。この実施形態では好ましくは、製剤は、(中間の)粉砕段階を行わずに溶融押出物から製剤に直接成形する。さらに好ましくは、製剤は、(中間の)多粒子化段階を行わずに溶融押出物から製剤に直接成形する。上記の実施形態において最も好ましくは製剤は、カレンダー加工のプロセスによって溶融押出物から製剤に直接成形する。やはり上記のように好ましくは、この製剤は、a)少なくとも一つの乱用関連薬剤、b)少なくとも一つのセルロースエーテルまたはセルロースエステルおよびc)少なくとも一つのアルキルアルクアクリレートポリマー、アルクアクリレートポリマーまたはこれらの組み合わせの溶融加工混合物によって製造される乱用抑止性薬剤製剤を含む。この実施形態では、37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤から抽出される薬剤の量は、37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の2倍以下であり、薬剤製剤は、ヒトに1日3、2または1回経口投与する上で有用なように作られる。好ましくはこの実施形態では、セルロースエーテルは、アルキル置換度1.3から2.0およびヒドロキシアルキルモル置換率0.85以下を有する。やはり好ましくは、このアルキル置換はメチルである。さらに好ましくは、ヒドロキシアルキル置換はヒドロキシプロピルである。最も好ましくはセルロースエーテルはヒドロキシプロピルメチルセルロースである。やはりこの実施形態でも、アルキルアルクアクリレートまたはアルクアクリレートポリマーは、(C−C22)アルキル((C−C10)アルク)アクリレートまたは(C−C10)アルクアクリレートのモノマー単位を有する。好ましくは、アルクアクリレートポリマーはアクリルポリマーまたはメタクリルポリマーである。より好ましくは、アルクアクリレートポリマーはイオン性アクリルポリマーまたはイオン性メタクリルポリマーである。最も好ましくは、アルクアクリレートポリマーはカチオン性アクリルポリマーまたはカチオン性メタクリルポリマーである。この最も好ましい実施形態では、アルクアクリレートポリマーは、アクリルポリマーと4級アンモニウム基を含むメタクリルポリマーエステルのコポリマーである。やはり好ましくはこの実施形態では、アルクアクリレートポリマーは、カチオン性基の中性エステルに対するモル比が平均で約1:20から1:35の範囲のものであるコポリマーまたはコポリマーの混合物である。
【0102】
本発明は、少なくとも一つの治療薬剤を有する製剤を溶融押出する段階ならびに(中間の)粉砕段階や多粒子化段階を行わずに溶融押出物から製剤に直接成形する段階を有する方法によって形成される乱用抑止性薬剤製剤について記載する別の実施形態を提供する。この実施形態では好ましくは、前記治療薬剤はa)少なくとも一つの乱用関連薬剤、b)少なくとも一つのセルロースエーテルまたはセルロースエステルおよびc)少なくとも一つのアルキルアルクアクリレートポリマー、アルクアクリレートポリマーまたはこれらの組み合わせを有する乱用抑止性薬剤を含む。この実施形態では、37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤から抽出される薬剤の量は、37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の2倍以下であり、薬剤製剤は、ヒトに1日3、2または1回経口投与する上で有用なように作られる。この製剤において、セルロースエーテルは、アルキル置換度1.3から2.0およびヒドロキシアルキルモル置換率0.85以下を有する。好ましくは、このアルキル置換はメチルである。より好ましくは、ヒドロキシアルキル置換はヒドロキシプロピルである。および、最も好ましくはセルロースエーテルはヒドロキシプロピルメチルセルロースである。やはりこの実施形態でも、アルキルアルクアクリレートまたはアルクアクリレートポリマーは、(C−C22)アルキル((C−C10)アルク)アクリレートまたは(C−C10)アルクアクリレートのモノマー単位を有する。より好ましくは、アルクアクリレートポリマーはアクリルポリマーまたはメタクリルポリマーである。やはりより好ましくは、アルクアクリレートポリマーはイオン性アクリルポリマーまたはイオン性メタクリルポリマーである。さらに好ましくは、アルクアクリレートポリマーはカチオン性アクリルポリマーまたはカチオン性メタクリルポリマーである。および、最も好ましくは、アルクアクリレートポリマーは、アクリルポリマーと4級アンモニウム基を含むメタクリルポリマーエステルのコポリマーである。この好ましい実施形態では、アルクアクリレートポリマーは、カチオン性基の中性エステルに対するモル比が平均で約1:20から1:35の範囲のものであるコポリマーまたはコポリマーの混合物である。
【0103】
本発明の別の実施形態は、少なくとも一つの治療薬剤を含む製剤を溶融押出する段階ならびに(中間の)粉砕段階や多粒子化段階を行わずに溶融押出物から製剤に直接成形する段階を有する乱用抑止性薬剤製剤の製造方法を提供する。この方法では好ましくは、溶融押出物はセルロース誘導体を含む。より好ましくは、このセルロース誘導体は、市販のオイドラギットポリマーを含む。さらに好ましくは、溶融押出物はオイドラギット(登録商標)Lもしくはオイドラギット(登録商標)RSまたはその両方を含む。最も好ましくは、溶融押出物は、オイドラギット(登録商標)RLまたはオイドラギット(登録商標)RSとオイドラギット(登録商標)RLの両方を含む混合物を含む。
【0104】
別の実施形態において、溶融押出物は、a)少なくとも一つの乱用関連薬剤、b)少なくとも一つのセルロースエーテルまたはセルロースエステルおよびc)少なくとも一つのアルキルアルクアクリレートポリマー、アルクアクリレートポリマーまたはこれらの組み合わせを有する乱用抑止性薬剤を含む。この実施形態では、37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤から抽出される薬剤の量は、37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の2倍以下であり、薬剤製剤は、ヒトに1日3、2または1回経口投与する上で有用なように作られる。好ましくはこの製剤において、セルロースエーテルは、アルキル置換度1.3から2.0およびヒドロキシアルキルモル置換率0.85以下を有する。より好ましくは、そのアルキル置換はメチルである。さらに好ましくは、ヒドロキシアルキル置換はヒドロキシプロピルである。最も好ましくはセルロースエーテルはヒドロキシプロピルメチルセルロースである。やはり上記のように、この実施形態では、アルキルアルクアクリレートまたはアルクアクリレートポリマーは、(C−C22)アルキル((C−C10)アルク)アクリレートまたは(C−C10)アルクアクリレートのモノマー単位を有する。好ましくは、アルクアクリレートポリマーはアクリルポリマーまたはメタクリルポリマーである。より好ましくは、アルクアクリレートポリマーはイオン性アクリルポリマーまたはイオン性メタクリルポリマーである。そして最も好ましくは、アルクアクリレートポリマーはカチオン性アクリルポリマーまたはカチオン性メタクリルポリマーである。この最も好ましい実施形態では、アルクアクリレートポリマーは、アクリルポリマーと4級アンモニウム基を含むメタクリルポリマーエステルのコポリマーである。やはりこの最も好ましい実施形態では、アルクアクリレートポリマーは、カチオン性基の中性エステルに対するモル比が平均で約1:20から1:35の範囲のものであるコポリマーまたはコポリマーの混合物である。
【0105】
本発明のさらに別の実施形態は、乱用の可能性のある薬剤を含むモノリシックな非粉砕溶融押出薬剤製剤を提供し、このモノリシック製剤は、前記モノリシック製剤をコーヒー粉砕機にて、約60秒間、約20000rpmから約50000rpmで粉砕した前記モノリシック製剤の粉砕形態と実質的に同様の薬剤放出プロファイルを有する。好ましくはこの実施形態において、溶融押出物は、a)少なくとも一つの乱用関連薬剤、b)少なくとも一つのセルロースエーテルまたはセルロースエステルおよびc)少なくとも一つのアルキルアルクアクリレートポリマー、アルクアクリレートポリマーまたはこれらの組み合わせを有する乱用抑止性薬剤を含む。この製剤では、37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤から抽出される薬剤の量は、37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の2倍以下であり、薬剤製剤は、ヒトに1日3、2または1回経口投与する上で有用なように作られる。好ましくは、セルロースエーテルは、アルキル置換度1.3から2.0およびヒドロキシアルキルモル置換率0.85以下を有する。より好ましくは、そのアルキル置換はメチルである。やはり好ましくは、ヒドロキシアルキル置換はヒドロキシプロピルである。最も好ましくはセルロースエーテルはヒドロキシプロピルメチルセルロースである。さらに、この実施形態では、アルキルアルクアクリレートまたはアルクアクリレートポリマーは、(C−C22)アルキル((C−C10)アルク)アクリレートまたは(C−C10)アルクアクリレートのモノマー単位を有する。好ましくは、アルクアクリレートポリマーはアクリルポリマーまたはメタクリルポリマーである。より好ましくは、アルクアクリレートポリマーはイオン性アクリルポリマーまたはイオン性メタクリルポリマーである。さらに好ましくは、アルクアクリレートポリマーはカチオン性アクリルポリマーまたはカチオン性メタクリルポリマーである。最も好ましくは、アルクアクリレートポリマーは、アクリルポリマーと4級アンモニウム基を含むメタクリルポリマーエステルのコポリマーである。この最も好ましい実施形態では、アルクアクリレートポリマーは、カチオン性基の中性エステルに対するモル比が平均で約1:20から1:35の範囲のものであるコポリマーまたはコポリマーの混合物である。さらにある種の好ましい実施形態では、薬剤製剤は、乱用関連薬剤から誘導される遺伝毒性化合物またはその製剤に含まれる別の活性医薬成分を0.5%を超えて含まない。例えば、ポリエチレンオキサイドが一部のオピオイドを酸化して、遺伝毒性となり得るN−オキサイド誘導体を形成することが認められている。従って、ポリエチレンオキサイドまたは他のポリマーまたはオピオイド、他の乱用関連薬剤または酸化可能な非乱用関連薬剤のかなりの酸化を引き起こす物質を含む本発明の実施形態では、本発明の製剤は好ましくは、遺伝毒性となり得る誘導体の蓄積を防止するのに十分な量の酸化防止剤を含み、製剤に組み込まれた薬剤の総重量として遺伝毒性化合物を、重量基準で好ましくは1%未満、より好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.3%未満、さらに好ましくは0.1%未満、最も好ましくは0.05%未満とする。
【0106】
本発明の別の実施形態は、a)少なくとも一つの乱用関連薬剤、b)少なくとも一つの速度変更性の製薬上許容されるポリマー、コポリマーまたはこれらの組み合わせの溶融加工混合物を含む乱用抑止性薬剤製剤を提供する。この実施形態では、37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤から抽出される薬剤の量は、37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の2倍以下であり、薬剤製剤は、ヒトに1日3、2または1回経口投与する上で有用なように作られる。好ましくは、速度変更性ポリマーは、セルロースエーテルまたはセルロースエステルポリマーである。別の実施形態では、速度変更性ポリマーは、N−ビニルラクタム類、窒素含有モノマー類、酸素含有モノマー類、ビニルアルコール、エチレングリコール、アルキレンオキサイド類、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アクリルアミド、酢酸ビニル、ヒドロキシ酸のモノマーのホモポリマー、コポリマーまたは組み合わせからなる群から選択される。さらに別の実施形態では、速度変更性ポリマーは、過酸化水素ポリビニルピロリドンポリマーである。別の好ましい実施形態では、速度変更性ポリマー、コポリマーまたはそれらの組み合わせは、少なくとも一つのアルキルアルクアクリレートポリマー、アルクアクリレートポリマーまたはこれらの組み合わせを含む。より好ましくは、セルロースエーテルは、アルキル置換度1.3から2.0およびヒドロキシアルキルモル置換率0.85以下を有する。やはりより好ましくは、このアルキル置換はメチルである。さらに好ましくは、ヒドロキシアルキル置換はヒドロキシプロピルである。最も好ましくはセルロースエーテルはヒドロキシプロピルメチルセルロースである。別の実施形態では、アルキルアルクアクリレートまたはアルクアクリレートポリマーは、(C−C22)アルキル((C−C10)アルク)アクリレートまたは(C−C10)アルクアクリレートのモノマー単位を有する。より好ましくは、アルクアクリレートポリマーはアクリルポリマーまたはメタクリルポリマーである。さらに好ましくは、アルクアクリレートポリマーはイオン性アクリルポリマーまたはイオン性メタクリルポリマーである。最も好ましくは、アルクアクリレートポリマーはカチオン性アクリルポリマーまたはカチオン性メタクリルポリマーである。さらに、最も好ましい実施形態では、アルクアクリレートポリマーは、アクリルポリマーと4級アンモニウム基を含むメタクリルポリマーエステルのコポリマーである。この最も好ましい実施形態では、アルクアクリレートポリマーは、カチオン性基の中性エステルに対するモル比が平均で約1:20から1:35の範囲のものであるコポリマーまたはコポリマーの混合物である。速度変更性ポリマーは、徐放製薬上許容されるポリマーの基材を形成する上で有用となり得る。
【0107】
本発明の別の実施形態は、a)少なくとも一つの乱用関連薬剤であって、ヒドロコドンであるもの;b)少なくとも一つの粘度変更剤、およびc)少なくとも一つの徐放ポリマー、コポリマーまたはこれらの組み合わせの溶融加工混合物を含む乱用抑止性薬剤製剤を提供する。この実施形態において、0.01N塩酸で37℃にて薬1時間で、製剤から30%を超えるヒドロコドンが抽出され、前記薬剤製剤はヒトに1日3、2または1回経口投与する上で有用なように作られる。この実施形態では、粘度変更剤は、徐放製剤に用いられるポリマー溶融物の粘度またはガラス転移温度を変えるのに用いることができる製薬上許容されるポリマーである。ある好ましい実施形態において、粘度変更剤はセルロースエーテルまたはセルロースエステルである。別の好ましい実施形態において、前記徐放ポリマー、コポリマーまたはこれらの組み合わせは、少なくとも一つのアルキルアルクアクリレートポリマー、アルクアクリレートポリマーまたはこれらの組み合わせを含む。やはり、好ましくはこの実施形態において、セルロースエーテルは、アルキル置換度1.3から2.0およびヒドロキシアルキルモル置換率0.85以下を有する。より好ましい実施形態では、このアルキル置換はメチルである。別の好ましい実施形態では、ヒドロキシアルキル置換はヒドロキシプロピルである。最も好ましくはセルロースエーテルはヒドロキシプロピルメチルセルロースである。やはり本発明の別の実施形態では、アルキルアルクアクリレートまたはアルクアクリレートポリマーは、(C−C22)アルキル((C−C10)アルク)アクリレートまたは(C−C10)アルクアクリレートのモノマー単位を有する。好ましくは、アルクアクリレートポリマーはアクリルポリマーまたはメタクリルポリマーである。さらに好ましくは、アルクアクリレートポリマーはイオン性アクリルポリマーまたはイオン性メタクリルポリマーである。より好ましくは、アルクアクリレートポリマーはカチオン性アクリルポリマーまたはカチオン性メタクリルポリマーである。最も好ましくは、アルクアクリレートポリマーは、アクリルポリマーと4級アンモニウム基を含むメタクリルポリマーエステルのコポリマーである。この最も好ましい実施形態では、アルクアクリレートポリマーは、カチオン性基の中性エステルに対するモル比が平均で約1:20から1:35の範囲のものであるコポリマーまたはコポリマーの混合物である。
【0108】
本発明の別の実施形態は、a)ヒドロコドンまたはヒドロコドン二酒石酸塩ペンタ半水和物である少なくとも一つの乱用関連薬剤、b)少なくとも一つのセルロースエーテルまたはセルロースエステル、およびc)少なくとも一つのアクリルポリマー、メタクリルポリマーまたはこれらの組み合わせの溶融加工混合物を含む乱用抑止性薬剤製剤を提供する。この実施形態では、前記薬剤製剤はヒトに1日3、2または1回経口投与する上で有用なように作られ、約90%のヒドロコドンが、インビトロにて、1日3回投与するように作られた場合には約4から6時間で、1日2回投与するように作られた場合には約6から10時間で、1日1回投与するように作られた場合には約16から22時間で放出される。本発明の1態様において、0.01N塩酸中37℃で約1時間で、製剤から30%を超えるヒドロコドンが抽出される。この製剤の別の態様において、0.01N塩酸中37℃で約1時間で、製剤から30%未満のヒドロコドンが抽出される。
【0109】
本発明の別の実施形態は、a)オピオイドである少なくとも一つの乱用関連薬剤;およびb)少なくとも一つの速度変更性の製薬上許容されるポリマー、コポリマーまたはこれらの組み合わせの溶融加工混合物を含む乱用抑止性薬剤製剤を提供する。この実施形態において、37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤から抽出される薬剤の量は、37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の約70%から約110%であり、前記薬剤製剤はヒトに1日3、2または1回経口投与する上で有用なように作られている。別の態様において、37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤から抽出される薬剤の量は、37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の約70%から約100%である。さらに別の態様において、37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤から抽出される薬剤の量は、37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の約70%から約90%である。さらに別の好ましい態様において、37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤から抽出される薬剤の量は、37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の約75%から約90%である。好ましくは、この実施形態において、乱用関連薬剤はさらに、非オピオイド系鎮痛薬を含む。非オピオイド系鎮痛薬は非ステロイド系鎮痛薬であることもでき、さらにアセトアミノフェン、アスピリン、フェンタニル、イブプロフェン、インドメタシン、ケトロラク、ナプロキセン、フェナセチン、ピロキシカム、スフェンタニル、スリンダクおよびインターフェロン−αからなる群から選択されても良い。別の実施形態では、非オピオイド系鎮痛薬は、好ましくはアセトアミノフェンまたはイブプロフェンである。さらに、この実施形態では、最も好ましくは、前記オピオイドヒドロコドンまたはそれの塩もしくはエステルである。
【0110】
本発明の製剤は好ましくは、USPII型装置でインビトロにて好適な水系媒体に曝露された場合に、乱用薬の二相放出速度を与えるよう作られる。二相のインビトロ放出速度の各相は、より好ましくはゼロレベルである、または、ヒトに対して8時間ごとに投与(すなわち、1日3回)するのに好適なように製剤を作った場合に少なくとも約4時間、ヒトに対して12時間ごとに投与(すなわち、1日2回)するのに好適なように製剤を作った場合に少なくとも約7時間、およびヒトに対して24時間ごとに投与(すなわち、1日1回)するのに好適なように製剤を作った場合に少なくとも約16時間、にわたり上昇する。
【0111】
本発明の製剤は好ましくは、インビトロ、特にはヒトに対して12時間ごとに投与(すなわち、1日2回)するのに好適なように製剤を作った場合に約1時間以内に少なくとも30から45%のオピオイドを放出する。同様に、この製剤は好ましくは、USP II型装置でインビトロでまたは健常な北米人もしくは西ヨーロッパ人の群に投与した場合、特に必要に応じて12時間ごとにヒトに投与するのに好適なもしくはそれを意図して製剤を作る場合にインビボ(平均に関して)での、両方において、約6時間から約9または約10時間以内に製剤からオピオイドの少なくとも90%を放出する。しかしながら、製剤を、必要に応じてヒトに対して24時間ごとに投与するのに好適なようにまたはそれを意図して製剤を作った場合に、この製剤は好ましくは、(USP II型装置で)インビトロでまたは健常な北米人もしくは西ヨーロッパ人の群に投与した後にインビボで観察した後に、特に必要に応じて24時間ごとにヒトに投与するのに好適なもしくはそれを意図して製剤を作る場合に、約15時間から約20時間以内に製剤からオピオイドの少なくとも90%を放出する。
【0112】
本発明の製剤は好ましくは、乱用関連薬剤の比較的完全な送達を提供する。1実施形態において、本発明の製剤は、USP II型装置に入れた後に約6時間または7時間から約9時間または10時間以内にオピオイドの少なくとも95%を放出する。本発明の製剤は、約12時間未満以内に、適宜に約10時間から約11時間以内に、オピオイドの少なくとも99%を送達するものであっても良い。
【0113】
本発明の製剤はやはり好ましくは、比較的急速な鎮痛開始を提供し、これはヒトにおける中等度ないし中等度に強い疼痛の治療において好ましい。従って、この製剤は好ましくは、投与から最初の1時間以内に約0.22から約0.51、投与から2時間以内に約1.07から約1.76、投与から3時間以内に約2.06から約3.08、および投与から4時間以内に約3.12から約4.44の乱用関連薬剤のAUCを提供するように作られ、この場合にAUCは、少なくとも15名の健常北米人または西ヨーロッパ人の群で認められる平均値として求められる。AUCの値は、ng・h/血漿mL/ヒドロコドンmgの単位で測定される。/ヒドロコドンmgの値は、塩および水和の重量を無視しており、参照のためにヒドロコドン部分の重量のみに言及しており、ヒドロコドン二酒石酸塩5半水和物15mgは、遊離ヒドロコドン9.08mgに等しい。1時間以内でのヒドロコドンの濃度も、約0.70から約1.21ng/血漿mL/ヒドロコドンmgである。2時間以内でのヒドロコドンの濃度は、約0.91から約1.30ng/血漿mL/ヒドロコドンmgである。3時間以内でのヒドロコドンの濃度は、約0.99から約1.35ng/血漿mL/ヒドロコドンmgである。4時間でのヒドロコドンの濃度は、約1.07から約1.43ng/血漿mL/ヒドロコドンmgである。
【0114】
本発明の製剤はヒドロコドンを含むことができ、この場合には好ましくは、約12時間にわたる中等度ないし中等度に強い疼痛の治療に好適な単一用量後に約0.4ng/mL/mgから約1.9ng/mL/mg、より好ましくは約0.6ng/mL/mgから約1.4ng/mL/mg、適宜に約0.6ng/mL/mgから約1.0ng/mL/mgのヒドロコドンのCmaxを特徴とする、少なくとも10名の健常な北米または西ヨーロッパの住人の正常群での平均血漿プロファイルを与えるように作られる。本発明の製剤がヒドロコドンを含む場合、この製剤は好ましくは、約12時間にわたる中等度ないし中等度に強い疼痛の治療に好適な単一用量後に約0.6ng/mL/mgから約1.4ng/mL/mgのヒドロコドンのCminを特徴とする血漿プロファイルも与える。さらに、本発明の製剤は、ヒドロコドンを含む実施形態において、患者の血漿のヒドロコドンへの望ましい総曝露を生じさせることができる。例えば、本発明の製剤は、約7.0ng・hr/mL/mg、または適宜に約9.1ng・hr/mL/mgのヒドロコドンの最小AUCから約19.9ng・hr/mL/mgまたは適宜に約26.2ng・hr/mL/mgのヒドロコドンの最大AUCが得られるように作ることができる。
【0115】
別の実施形態において、本発明は、ヒト患者における疼痛治療方法を提供し、この方法は、上記の実施形態または下記に提供される実施例のいずれかに記載の製剤を前記ヒト患者に経口投与する。
【0116】
下記の実施例は、本発明をさらに説明する上で役立つものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。これらの実施例において、「UpM」または「rpm」は、毎分の回転数を指し、「h」は時間を指す。各種製剤組成物の実施例における「ヒドロコドン」という用語は、ヒドロコドン二酒石酸塩5半水和物を指し、これは下記の製剤組成物例の全てにおいて原料として用いられている。
【0117】
実施例I:HClおよびエタノール水溶液での溶解
下記は、HClおよび20%エタノール水溶液でのある種の組成物の溶解速度を調べる方法の例についての説明である。同様の方法を、40%エタノール水溶液での溶解速度を調べるのに用いることができる。
【0118】
(i)方法の説明:0.01N HClでの溶解
装置:USP溶解装置II(羽根)
回転速度:50rpm
媒体:0.01N HCl
媒体容量:900mL
温度:37℃
サンプリング時間:1/2/3/4/6/8時間
サンプル容量:10mL(容量の交換なし)
サンプル調製:そのまま使用
分析最終操作:UV検出、波長280nm。
【0119】
(ii)方法の説明:20または40%エタノール水溶液での溶解
装置:USP溶解装置II(羽根)
回転速度:50rpm
媒体:20または40%エタノール水溶液
媒体容量:500mL
温度:37℃
サンプリング時間:15/30/45/60/90/120/180/240/360/420/480分
サンプル容量:10mL(容量の交換なし)
サンプル調製:20%または40%エタノール水溶液で1+1希釈
分析最終操作:UV検出、波長280nm。
【0120】
(実施例II)
特定の製剤の各種組成について、下記のセクションで説明する。
【0121】
(i)特定の検討した製剤1から6の組成を表1にまとめてある。これらの製剤は、乱用される薬剤を含まず、これらは概念の実証として提供されたものである。
【0122】
【表1】

【0123】
本発明の1実施形態において、粉砕、多粒子化または粉末化した成分の混合物を、共回転二軸押出機に送り込むことができる。ある好ましい実施形態では、成分の均質な粉末状混合物を、共回転2軸押出機(スクリュー直径18mm)に送り込んだ。押出は、スクリュー回転速度114rpmおよびスループット1.5kg/時で、134℃にて行った(押出機ダイス一時セクションでの溶融温度)。やや色のくすんだ押出物を得て、このび押出物をカレンダーに送って、重量約910mgの細長い錠剤を形成した。これらの錠剤を冷却して室温、すなわち約25℃とした。
【0124】
錠剤の溶解挙動を、上記で示したプロトコールに従って、0.01N HClおよび20%エタノール水溶液中で行った。
【0125】
0.01N塩酸(図1)中で、製剤1は、8時間後に約95%の有効成分が放出されて、有効成分の最も速い放出を示した(留意すべき点として、6時間および8時間の値が高い変動性を示した。)。製剤2および6は、最初の2時間では約20%有効成分という速い初期放出を示し、その後は次の6時間にわたって別の25%有効成分の相対的に遅いほぼ直線性の放出を示した。製剤2および6についての総放出有効成分総パーセントは、それぞれ47%および44%であった。製剤3および5は、全8時間にわたり、それぞれ33%および36%の有効成分のほぼ線形の放出を示した。有効成分の最も遅い放出は、製剤4(唯一の基材成分としてオイドラギットRS−PO)で認められ、8時間後に放出された薬剤はわずか13%であった。
【0126】
20%エタノール水溶液中での放出プロファイルを図2に示してある。製剤1、2および4は急速に溶解し、最初の45分以内に有効成分全量を放出した。製剤6でのように基材にクルーセルEFを加えることで、遅くはなったが、約7時間後には有効成分がやはり全量放出された。2つのメトセルK100Mを含む押出物(製剤3および5)は、間違いなく有効成分の最も遅い放出を示した20%エタノール水溶液中で8時間後、製剤3は薬剤の42%を放出し、製剤5は46%を放出した。
【0127】
(ii)特定の他の調べた製剤7から9の組成を表2にまとめてある。
【0128】
【表2】

【0129】
錠剤の溶解挙動を、上記で示したプロトコールに従って、0.01N HClおよび40%エタノール水溶液で調べた。
【0130】
さらに、下記の表3および図3で示したように、ヒドロコドンの0.1N HCl中での溶解速度を、約480分間にわたり、各種製剤7、8および9で測定した。
【0131】
【表3】

【0132】
さらに、下記の表4および図4に示したように、0.1N HCl中でのアセトアミノフェン(APAP)の溶解速度を、約480分間にわたり、各種製剤7、8および9で測定した。
【0133】
【表4】

【0134】
さらに、下記の表5および図5に示したように、40%エタノール水溶液中でのヒドロコドンの溶解速度を、約480分間にわたり各種製剤7、8および9で測定した。
【0135】
【表5】

【0136】
下記の表6および図6に示したように、40%エタノール水溶液中でのアセトアミノフェン(APAP)の溶解速度を、約480分間にわたり各種製剤7、8および9で測定した。
【0137】
【表6】

【0138】
各種製剤7、8および9の表3から6に示した薬剤放出プロファイルは、ヒドロコドンが40%エタノール水溶液中で相対的にゆっくり放出されることを示している(0.01N HClと比較して、8時間後に約10%少ない薬剤が放出される。)。さらに、これら製剤におけるAPAPの薬剤放出は、0.01N HClと比較して40%エタノール水溶液での方が速い。
【0139】
(iii)製剤31の組成を表7にまとめてある。
【0140】
【表7】

【0141】
下記の表8および図16に示したように、0.01N HCl中のヒドロコドンの溶解速度を、製造直後および25℃/60%相対湿度、40℃/75%相対湿度および60℃乾燥でそれぞれ1ヶ月保存した後に、約480分間にわたり製剤31で測定した。
【0142】
下記の表8および図16に示したように、0.01N HCl中のヒドロコドンの溶解速度を、約480分間にわたり各種製剤31−34で測定した。
【0143】
【表8】

【0144】
下記の表9および図17に示したように、0.01N HCl中のアセトアミノフェンの溶解速度を、製造直後および25℃/60%相対湿度、40℃/75%相対湿度および60℃乾燥でそれぞれ1ヶ月保存した後に、約480分間にわたり製剤31で測定した。
【0145】
【表9】

【0146】
(iv)特定の他の調べた製剤32から37の組成を表10にまとめてある。
【0147】
【表10】

【0148】
錠剤の溶解挙動を、上記で示したプロトコールに従って、0.01N HClおよび20%エタノール水溶液で調べた。
【0149】
さらに、下記の表11および図14で示したように、ヒドロコドンの20%エタノール水溶液中での溶解速度を、約480分間にわたり、各種製剤32から37で測定した。
【0150】
【表11】

【0151】
下記の表12および図15に示したように、ヒドロコドンの0.01N HCl中での溶解速度を、約480分間にわたり、各種製剤32から37で測定した。
【0152】
【表12】

【0153】
上記の実験に基づいて、20%エタノール水溶液中にて、(i)製剤32錠剤が非常にゆっくり溶解し、(ii)製剤33錠剤が部分的にゲル状コーティングを形成し、残りの部分が未変化であり、(iii)製剤34錠剤が羽根の底部に小さい錠剤コアを形成し、(iv)製剤35錠剤が周囲に透明な綿毛部分を有する実質的に未変化の錠剤コアを有しており、(v)製剤36錠剤が8時間後に約80%未変化の錠剤を有しており、(vi)製剤37において、錠剤3、4、6が5時間後に溶解し、錠剤5が6時間後に溶解し、錠剤2が7時間後に溶解し、8時間後に少量の錠剤1が残ることが肉眼で観察された。さらに、上記の実験に基づいて、0.01N HCl中で、(i)製剤32が8時間後に、綿毛化のある約90%の未変化錠剤を有し、(ii)製剤33が8時間後に、綿毛化のある約90%の未変化錠剤を有し、(iii)製剤34が8時間後に、綿毛化のある約90%の未変化錠剤を有し、(iv)製剤35が8時間後に、綿毛化のある約90%の未変化錠剤を有し、(v)製剤36が8時間後に、約80%の未変化錠剤を有し、その状態の外側の層が綿毛化して非常にざらついており、(vi)製剤37が8時間後に実質的に未変化であることが肉眼で観察された。上記の実験に基づいた試験の特徴的結果から、下記の表13および14に示したように、曲げ強度ならびに破壊強度が得られた。
【0154】
【表13】

【0155】
【表14】

【0156】
(v)製剤32、34および36の錠剤の溶解挙動を、上記で示したものと実質的に同様のプロトコールに従って、0.01N HCl+5%NaCl、0.05Mリン酸緩衝液pH6.78/50rpm、0.01N HCl+0.9%NaCl/50rpmおよび0.01N HCl/200rpmで調べた。
【0157】
さらに、下記の表15および図18で示したように、アセトアミノフェンの0.01N HCl+5%NaCl中での溶解速度を、約480分間にわたり、各種製剤32、34および36で測定した。
【0158】
【表15】

【0159】
さらに、下記の表16および図19で示したように、アセトアミノフェンの0.05Mリン酸緩衝液pH6.78/50rpm中での溶解速度を、約480分間にわたり、各種製剤32、34および36で測定した。
【0160】
【表16】

【0161】
さらに、下記の表17および図20で示したように、アセトアミノフェンの0.01N HCl+0.9%NaCl/50rpm中での溶解速度を、約480分間にわたり、各種製剤32、34および36で測定した。
【0162】
【表17】

【0163】
下記の表18および図21で示したように、アセトアミノフェンの0.01N HCl/200rpm中での溶解速度を、約480分間にわたり、各種製剤32、34および36で測定した。
【0164】
【表18】

【0165】
(vi)特定の他の調べた製剤38から40の組成を表19にまとめてある。
【0166】
【表19】

【0167】
製剤38、39および40の錠剤の溶解挙動を、上記で提供のプロトコールに従って、0.01N HClおよび40%エタノール水溶液中で調べた。
【0168】
下記の表20および図22で示したように、ヒドロコドンの0.01N HCl中での溶解速度を、約480分間にわたり、各種製剤38、39および40で測定した。
【0169】
【表20】

【0170】
下記の表21および図23で示したように、アセトアミノフェン(APAP)の0.01N HCl中での溶解速度を、約480分間にわたり、各種製剤38、39および40で測定した。
【0171】
【表21】

【0172】
下記の表22および図24で示したように、ヒドロコドンの40%エタノール水溶液中での溶解速度を、約480分間にわたり、各種製剤38、39および40で測定した。
【0173】
【表22】

【0174】
下記の表23および図25で示したように、アセトアミノフェン(APAP)の40%エタノール水溶液中での溶解速度を、約480分間にわたり、各種製剤38、39および40で測定した。
【0175】
【表23】

【0176】
実施例III
錠剤の破壊強度の測定方法
直径約5.1mmから約10mmで、長さ約5.1mmから約30mmの楕円形錠剤を、錠剤ホルダーに平らに入れて、継ぎ目を上に向けるようにし(楔から離して)、すなわち継ぎ目に対して破壊強度を測定する。図7に示したように、楔形シリンダーを錠剤の長い辺に対して垂直に押して、錠剤が破壊するまで一定速度で錠剤中に進入させる。錠剤を破壊するのに必要な力を記録する。加えることができる最大の力は500ニュートンである。
【0177】
測定に用いる装置は、「ファーマテストPTB501」硬度計、Fmax=500N、延伸max40mm、全身速度約3mm/sである。測定は、図8に描いた寸法を有する楔形先端を持つ円柱(直径14mm)を用いて行った(装置はいずれも、PharmaTest Apparatebau, Hainburg, Germanyからのものである。)。
【0178】
特定の調べた製剤10から18の下記の組成は、多様な強度を有する各種製剤を説明するためのものである。
【0179】
I.150Nより大きい破壊強度を有する錠剤
【0180】
【表24】

【0181】
製剤10の破壊強度は約190Nであるが、製剤11の破壊強度は約250Nである。
【0182】
II.300Nより大きい破壊強度を有する錠剤
【0183】
【表25】

【0184】
製剤12の破壊強度は約339Nであるが、製剤13の破壊強度は約410Nである。
【0185】
III.450Nより大きい破壊強度を有する錠剤
【0186】
【表26】

【0187】
製剤14の破壊強度は約454Nであるが、製剤15の破壊強度は約484Nである。
【0188】
IV.500Nより大きい破壊強度を有する錠剤
【0189】
【表27】

【0190】
製剤16、17および18の破壊強度は約500Nより大きい。
【0191】
実施例IV
特定の調べた製剤19から22の下記の組成は、ヒドロコドンについての一定の放出プロファイルを有する各種製剤を説明するためのものであり、37℃で0.01N HCl中1時間後に30%未満のヒドロコドンである。
【0192】
37℃で0.01N HCl中1時間後に30%未満のヒドロコドンを放出する錠剤
例示的な実施形態で、40%エタノール水溶液および0.01N HCl中での完全形態の錠剤および破砕した錠剤の各種製剤に関して放出プロファイルが提供される。下記の実施例に示したように、完全形態の状態についてのある好ましい実施形態では、40%エタノール水溶液中での最初の1時間以内での薬剤放出は、0.01N HCl中で放出される量の2倍以下である。完全形態の錠剤におけるより好ましい実施形態では、40%エタノール水溶液中での最初の1時間以内での薬剤放出は、0.01N HCl中で放出される量の1.5倍以下である。完全形態の錠剤における最も好ましい実施形態では、40%エタノール水溶液中での最初の1時間以内の薬剤放出は、0.01N HCl中で放出される量の0.90以下である。
【0193】
破砕錠剤の別の好ましい実施形態では、40%エタノール水溶液中での最初の1時間以内での薬剤放出は、0.01N HCl中で放出される量の3倍以下である。この実施形態では、完全放出は、40%アルコール水溶液で約3時間以降に起こる。破砕錠剤のより好ましい実施形態では、40%エタノール水溶液中での最初の1時間以内での薬剤放出は、0.01N HCl中で放出される量の2.5倍以下である。この実施形態では、完全放出は、40%アルコール水溶液で約8時間以降に起こる。破砕錠剤の最も好ましい実施形態では、40%エタノール水溶液中での最初の1時間以内での薬剤放出は、0.01N HCl中で放出される量の2倍以下である。この実施形態では、完全放出は、40%アルコール水溶液で約8時間以降に起こる。
【0194】
完全形態の錠剤
a)表24に示した、製剤19についての0.01N HCl中での放出の2倍以下の、37℃の40%エタノール中1時間後の放出
【0195】
【表28】

【0196】
b)表25に示した、製剤20についての0.01N HCl中での放出の1.5倍以下の、37℃の40%エタノール中1時間後の放出
【0197】
【表29】

【0198】
2.破砕錠剤
a)やはり表26に示した、製剤21についての0.01N HCl中での放出の3倍以下の、37℃の40%エタノール中1時間後の放出
【0199】
【表30】

【0200】
b)表27に示した、製剤22についての0.01N HCl中での放出の2.5倍以下の、37℃の40%エタノール中1時間後の放出
【0201】
【表31】

【0202】
実施例V
特定の調べた製剤23から25の下記の組成は、ヒドロコドンについての一定の放出プロファイルを有する各種製剤を説明するためのものであり、37℃で0.01N HCl中1時間後に30%未満のヒドロコドンが放出される。
【0203】
37℃で0.01N HCl中1時間後に30%より多くのヒドロコドンを放出する錠剤
例示的な実施形態で、40%エタノール水溶液および0.01N HCl中での完全形態の錠剤および破砕した錠剤の各種製剤に関して放出プロファイルが提供される。下記の実施例に示したように、完全形態の状態についてのある好ましい実施形態では、40%エタノール水溶液中での最初の1時間以内での薬剤放出は、0.01N HCl中で放出される量の1.5倍以下である。完全形態の状態についてのより好ましい実施形態では、40%エタノール水溶液中での最初の1時間以内での薬剤放出は、0.01N HCl中で放出される量の0.90以下である。
【0204】
破砕錠剤の別の好ましい実施形態では、40%エタノール水溶液中での最初の1時間以内での薬剤放出は、0.01N HCl中で放出される量の2倍以下である。
【0205】
1.完全形態の錠剤
a)表28に示した、製剤23についての0.01N HCl中での放出の1.5倍以下の、37℃の40%エタノール中1時間後の放出
【0206】
【表32】

【0207】
b)表29に示した、製剤24についての0.01N HCl中での放出の0.9倍以下の、37℃の40%エタノール中1時間後の放出
【0208】
【表33】

【0209】
2.破砕錠剤
a)表30に示した、製剤25についての0.01N HCl中での放出の2倍以下の、37℃の40%エタノール中1時間後の放出
【0210】
【表34】

【0211】
実施例VI
製剤(製剤26、27、28および29)の薬物動態分析
一連の探求的試験を行って、クルツら(Cruz et al.、米国特許出願公開2005/0158382)の実施例4に開示の製剤と同様の対照1の製剤と比較して、本発明の製剤(製剤26から29)の生物学的同等性を評価した。雄ミニ豚での経口用量投与後の4つの本発明の実施形態、一つのカプセル製剤および対照1製剤のPKプロファイルの比較を示してあり、図12および13にも示してある。これら製剤のPKプロファイルを、肝機能が正常なヒトで投与した場合のALZAからの対照1製剤のPKプロファイルとも比較する。そのヒトデータは、別の試験から収集したものである。
【0212】
これらの試験で用いた6頭の雄ゲッチンゲン(Gottingen)ミニ豚(11から15kg;Ellegard, Denmark)について、無作為的に下記で言及する製剤を経口投与した。動物を終夜絶食させてから投与を行ったが、飲料水は自由に摂取させ、通常投与から12時間経ったら飼料も摂取させた。ミニ豚は、試験中、囲いの中で個別に飼育した。錠剤の経口投与には、投薬銃を用い、次に水50mLを用いた。用量投与の前に、各動物から採血を行った。製剤26から29を下記で表31に示してある。
【0213】
【表35】

【0214】
カリウム−ETDA血液検体を、用量投与から約0、0.5、1.0、1.5、2、3、4、6、8、12、24、32、48および72時間で各動物から抜き取った。採血したら、検体は約4℃で遠心した。得られた血漿検体について、液体クロマトグラフィー−質量分析法を用いてアセトアミノフェン、ヒドロコドンおよびヒドロモルフォンについてのアッセイを行った。
【0215】
観察
全ての製剤についてアセトアミノフェン血漿時間プロファイルを確立することができ。ヒドロコドンは、製剤27および28の投与後のみに検出した。投与後の全ての動物で鎮静の徴候が認められた。
【0216】
アセトアミノフェンプロファイル
製剤26(5.8時間)および製剤27(5.9時間)の製剤の場合に認められた半減期は類似していた。製剤27の場合、認められたt1/2(半減期)は4.9時間であった。それに対して、製剤29および対照1および対照2では、製剤はそれぞれ3.5時間、3.6時間および3.5時間の類似の半減期を示したことから、他の3つの製剤より短かった。ヒト対照1データと比較した場合、3つの製剤(26、27および28)の半減期は若干長かったが、製剤29、対照2および対照1の場合、製剤はより短い半減期を有している。
【0217】
図12および13に示したように、ミニ豚での最高Cmaxは、対照1製剤で認められた。対照1製剤で2頭のミニ豚で認められたCmaxは、ヒトで認められたものの3倍高い。製剤26、27、28および29;対照2および対照1製剤でのミニ豚におけるCmaxは、対照1製剤でのヒトの場合に認められたものよりほぼ2から3倍高かった。
【0218】
製剤26、27、28および29;対照2および対照1製剤でのミニ豚におけるAUCは、ヒトの場合に認められたものより約4倍高かった。ミニ豚で最も高いAUCは、製剤29で認められた。製剤27でのAUC(±sem)は、87567(±4504)ng・h/mL、製剤28では98100(±9759)ng・h/mL、製剤26では101433(±13053)ng・h/mL、製剤29では120000(±4450)ng・h/mLであった。
【0219】
いずれの動物においても、用量投与から48時間後にはアセトアミノフェンは血漿では全く定量されなかった。血漿中のアセトアミノフェンレベルが用量投与から60時間後まで定量可能であった1名の被験者を除き、ヒトでも同様の現象が認められた。
【0220】
ヒドロコドンおよびヒドロモルフォンプロファイル
ヒドロコドンは、用量投与から36時間後まで、全てのヒト検体で定量可能であった。それに対して、ミニ豚の場合には、3つの異なる製剤(製剤27および28および対照2)を投与した動物2頭を除き、血漿中でLOQ(1.2ng/mL)を超えてヒドロコドンは定量できなかった。
【0221】
製剤28の場合、ヒドロコドンレベルは動物1頭で用量投与から8時間後まで定量できたが、別の動物での製剤27の場合、ヒドロコドンレベルは用量投与から3時間後まで定量することができた。対照2製剤では、ヒドロコドンレベルは、用量投与から2時間から4時間の間でのみ観察された。1頭の動物のみが、異なる日に、製剤27および対照2製剤の2つの異なる製剤でヒドロコドンレベルを示した。
【0222】
ヒトおよびミニ豚のいずれの血漿検体でも、ヒドロモルフォンは認められなかった。これらの所見は、ヒトと比較した生物種特異的なヒドロコドン代謝を示している。アセトアミノフェンおよびヒドロコドン血漿レベルに関する動物間変動が認められた。
【0223】
実施例VII
製剤30の薬物動態分析
これらの試験で用いた6頭の雄ゲッチンゲンミニ豚(11から15kg;Eilegard, Denmark)について、製剤30を経口投与した(表32参照)。動物を終夜絶食させてから投与を行ったが、飲料水は自由に摂取させ、通常投与から12時間経ったら飼料も摂取させた。ミニ豚は、試験中、囲いの中で個別に飼育した。錠剤の経口投与には、投薬銃を用い、次に水50mLを用いた。用量投与の前に、各動物から採血を行った。カリウム−ETDA血液検体を、薬剤投与から約0、0.5、1.0、1.5、2、3、4、6、8、12、24、32、48および72時間で各動物から抜き取った。採血したら、検体は約4℃で遠心した。得られた血漿検体について、図9に示したように、液体クロマトグラフィー−質量分析法を用いてアセトアミノフェンについてのアッセイを行った。
【0224】
【表36】

【0225】
観察:アセトアミノフェン血漿時間プロファイルを全ての動物で確立した。
【0226】
製剤30の場合に認められた見かけの最終半減期(t1/2)は5.2時間であった。Cmaxは7025ng/mLであり、AUCは106000ng・h/mLであることが認められた。
【0227】
ミニ豚についての製剤30、対照1および対照2製剤で認められた薬物動態パラメータの比較を図10および11に示してある。
【0228】
実施例VIII
特定の例示的な乱用抑止性製剤を、遅延剤およびエタノールに不溶もしくは難溶のポリマーの組み合わせに基づいて製剤した。下記で表32に挙げた製剤は、乱用薬剤の抽出をより困難にすることで、乱用関連薬剤(例:オピオイド類)の乱用を阻止する。これは、製剤を破砕および/または粉砕した後であっても製剤の徐放特性を維持することで行われ、好ましくは媒体とは無関係である。下記の実施例およびそれらに類似の実施形態では、コーヒー粉砕機での破砕または粉砕の放出速度(上記で定義の通り)については、好ましくはあまり高い速度で薬剤を放出するものではなく、例えば0.01N HClまたは20%もしくは40%エタノール水溶液中、特には水系媒体または家庭用溶媒中に入れてから1から4時間にわたって測定して、完全状態の製剤と比べて、40%未満だけ速く、より好ましくは約30%未満だけ速く、さらに好ましくは約20%未満だけ速い。
【0229】
特定の例示的な好ましい実施形態では、乱用抑止性製剤の成分には下記のものなどがある。
【0230】
1.例えばUSP/NFまたは欧州局方などの薬局方によるオイドラギットRSまたはRL(アンモニオメタクリレートコポリマーB型またはA型)、
2.カテゴリーIからIIIのポリマー(EtOHでの溶解度が低く、下記でさらに定義する。)
【0231】
いずれか好適な質量比を用いることができるが、ある好ましい比には、オイドラギット(RS、RL)/ポリマー(IからIII)0.6から1.4:1、より好ましくは0.8から1.2:1、適宜に約1:1などがある。
【0232】
(a)本発明の特定の製剤の組成(重量%)を下記によって定義する。
1.活性医薬成分:70%以下、
2.ポリマーA:オイドラギット(RS、RL):20から80%(A+Bの合計)
ポリマーB:下記リストからのカテゴリーIからIIIのポリマー
3.他の賦形剤:0から25%。
【0233】
(b)成形:特定の実施形態では、錠剤の好ましい成形方法はカレンダー加工であるが、ポリマー溶融物の直接成形(例えば、射出成形)など(それに限定されるものではない)の好適な方法も使用可能である。他方、粉砕および打錠は、家庭用溶媒(本明細書で定義)または他の水溶液に曝露した時に、製剤の徐放プロファイルを実質的に壊す不正変更(すなわち破砕または粉砕)を受けやすくなる錠剤を生じる傾向があることから、錠剤成形の好まし別法とはならない。
【0234】
(c)特定のポリマーを、下記のカテゴリーに基づいて各種製剤で用い、カテゴリーIは最も好ましいポリマーを反映し、カテゴリーIIは好ましいポリマーを反映し、カテゴリーIIIは本発明の文脈で有用な別のポリマーを反映し、カテゴリーIVは使用可能であるが、ただし追加の賦形剤としてであるポリマーを反映している。
【0235】
一部の好ましい製剤は、エタノール水溶液中での溶解度、および溶融押出プロセスでの基材ポリマーとして用いるのに必要となり得るポリマーの熱可塑性に基づいたものである。これらの中では、ノニオン系ポリマーが好ましかった。
【0236】
(d)エタノール水溶液での溶解度は、下記の基準に基づいたものであった。
カテゴリー:溶解度
I:HO/EtOH(80/20)中<3重量%、
II:20%エタノール水溶液中3重量%から6重量%、
III:20%エタノール水溶液中6重量%から10重量%、
IV:20%エタノール水溶液中>10重量%。
【0237】
最も好ましい実施形態では、好ましいポリマーは溶解度が20%エタノール水溶液で6重量%未満の熱可塑材でなければならない。
【0238】
特定の乱用抑止性製剤の例を下記の表33に示してある。
【0239】
【表37】



【0240】
実施例IX
ヒドでの対照1と比較した製剤45製剤の相対生物学的利用能
この試験において、目的は、試験製剤製剤である製剤45および基準対照1の相対的生物学的利用能を比較することにあった。
【0241】
製剤45は、下記に示しようにヒト臨床試験用の錠剤製剤として製造した。アセトアミノフェン1.8kg、ヒドロコドン二酒石酸塩5半水和物54.0g、オイドラギット(登録商標)RL378.0g、メトセル(登録商標)K100 180.0g、メトセル(登録商標)K100M 180.0g、キシリトール378.0gおよびコロイド状シリカ29.9g(種類:アエロジル(登録商標)200)を含む均一粉末混合物を、6バレル二軸押出機(スクリュー直径18mm)に供給速度1.5kg/hで供給した。スクリューの回転速度は94rpmであり、溶融温度は140℃であった。ダイスで押出機に残った白色の均質溶融物を、2本の逆回転するローラーを有するカレンダーによって直接成形して細長い錠剤とした。室温で冷却した後、錠剤を高撹拌下にコンテナー(container)攪拌機で面取りして、カレンダー加工で生じた錠剤上の継ぎ目を除去した。最終的な錠剤は、各錠剤の500mg(アセトアミノフェン)および15mg(ヒドロコドン二酒石酸塩5半水和物)の薬剤内容量に応じて833mgの平均錠剤重量を有していた。
【0242】
以下のパラメータで試験を計画した。
【0243】
ヒト被験者16名での単回投与絶食非盲検2期交差試験を下記の計画で実施した。
【0244】
製剤45:(錠剤1個、ヒドロコドン二酒石酸塩15mg/アセトアミノフェン500mg)
対照1:(錠剤1個、ヒドロコドン二酒石酸塩15mg/アセトアミノフェン500mg)
試験第1日の投与から0、0.25、0.5、0.75、1、2、3、4、6、8、10、12、16、24、36および48時間で、採血を行った。
【0245】
図26および27ならびに下記の表34に示すように、予備的薬物動態指標は製剤45と対照1について下記の通りである。
【0246】
製剤45と対照1のいずれも、ヒドロコドンに関して同様のCmaxおよびAUC値を有している。しかしながら、アセトアミノフェンの場合、Cmaxは約61%低く、AUCは約23%低い。製剤45と対照1のいずれも、アセトアミノフェンについて同様のAUCを有する。アセトアミノフェンに関して、製剤45における見かけのt1/2は薬2倍長いが、Tmaxは比較的変動が小さい。
【0247】
特定の理論に帰するものではないが、そのt1/2値は製剤45からの放出が遅いことに基づくものである可能性があり、tmax値は、製剤45が二相性ではないことに基づくものである可能性がある。
【0248】
【表38】

【0249】
実施例IXでの試験に関して、別の薬物動態の詳細を図26から33に示してある。図26には、製剤45および対照1についての平均ヒドロコドン濃度−時間プロファイルを示してある。図27には、製剤45および対照1についての平均アセトアミノフェン濃度−時間プロファイルを示してある。図28AおよびBには、製剤45および対照1それぞれについての個々の被験者におけるヒドロコドン濃度−時間プロファイルを示してある。図29AおよびBには、製剤45および対照1それぞれについての個々の被験者におけるアセトアミノフェン濃度−時間プロファイルを示してある。図30AおよびBには、製剤45および対照1におけるそれぞれ期間1および2についての平均ヒドロコドン濃度−時間プロファイルを示してある。図31AおよびBには、製剤45および対照1におけるそれぞれ期間1および2についての平均アセトアミノフェン濃度−時間プロファイルを示してある。図32AおよびBには、インビトロ製剤45、インビトロ対照1についての平均ヒドロコドンおよびアセトアミノフェン濃度、インビボ対照1濃度および製剤45についてのインビトロ−インビボ濃度予測を示してある。
図33AおよびBには、製剤45および対照1についての平均ヒドロコドンおよびアセトアミノフェンインビトロ溶解プロファイルを示してある。図26には、製剤45および対照1についての平均ヒドロコドン濃度−時間プロファイルを描いてある。
【0250】
以上の詳細な説明および添付の実施例は説明のためのものに過ぎず、添付の特許請求の範囲およびそれの均等物によってのみ定義される本発明の範囲を限定するものではない。開示の実施形態に対する各種の変更および修正は、当業者には明らかであり、本発明の一部である。化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、製剤および/または本発明の使用方法に関係するものなど(それらに限定されるものではない)のそのような変更および修正は、本発明の精神および範囲を逸脱しない限りにおいて行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0251】
【図1】0.01M塩酸中での各種薬剤製剤1から6の溶解速度を描いた図である。
【図2】20%エタノール水溶液中での各種薬剤製剤1から6の溶解速度を描いた図である。
【図3】0.01M塩酸中でのヒドロコドンの各種薬剤製剤7から9の溶解速度を描いた図である。
【図4】0.01M塩酸中でのアセトアミノフェン(APAP;パラセタモールとも称される)の各種薬剤製剤7から9の溶解速度を描いた図である。
【図5】40%エタノール水溶液中でのヒドロコドンの各種薬剤製剤7から9の溶解速度を描いた図である。
【図6】40%エタノール水溶液中でのアセトアミノフェン(APAP)の各種薬剤製剤7から9の溶解速度を描いた図である。
【図7】錠剤の破壊強度測定に用いられる力変換器および錠剤を有する錠剤ホルダーの1例を描いた図である。
【図8】錠剤の高度測定のために「ファーマテストPTB501」を実施する上で有用な一定の寸法例を有する楔形先端を有するシリンダーを描いた図である。
【図9A】アセトアミノフェン(APAP)の化学構造を示す。
【図9B】雄ミニブタ(Goettingen)での本発明の製剤(30)の経口用量投与後のこの製剤(30)のいくつかの実施形態についての半減期、Cmax、TmaxおよびAUCを描いた図である。
【図9C】雄ミニブタ(Goettingen)における本発明の製剤の1実施形態の経口用量投与後のアセトアミノフェンの平均(±SEM)血漿濃度を描いた図である。
【図10】(A)雄ミニブタ(Goettingen)での本発明の製剤の特定の実施形態(製剤26、27、28、29、30)、対照1および対照2ならびにヒトでの対照1製剤についての半減期、Cmax、TmaxおよびAUCを描いた図であり、(B)雄ミニブタ(Goettingen)での本発明の製剤の特定の実施形態(製剤26、27、28、29、30)、対照1および対照2ならびにヒトでの対照1製剤の経口用量投与後のアセトアミノフェンの平均(±SEM)血漿濃度を描いた図である。
【図11】雄ミニブタ(Goettingen)での本発明の製剤の特定の実施形態(製剤26、27、28、29および30)、対照1および対照2ならびにヒトでの対照1製剤の経口用量投与後のアセトアミノフェンの平均(±SEM)血漿濃度を描いた図である。
【図12】(A)雄ミニブタ(Goettingen)での本発明の製剤の特定の実施形態(製剤26、27、28および29)、対照1および対照2ならびに対照1製剤についての半減期、Cmax、TmaxおよびAUCを描いた図であり;(B)は、雄ミニブタ(Goettingen)での本発明の製剤の特定の実施形態(製剤26、27、28および29)、対照1および対照2ならびに対照1製剤についての経口用量投与後のアセトアミノフェンの平均(±SEM)血漿濃度を描いた図である。
【図13A】ヒドロコドンの化学構造を描いた図である。
【図13B】雄ミニブタ(Goettingen)での本発明の製剤の特定の実施形態(製剤26、27、28および29)、対照1および対照2ならびに対照1製剤についての半減期、Cmax、TmaxおよびAUCを描いた図である。
【図13C】雄ミニブタ(Goettingen)での本発明の製剤の特定の実施形態(製剤26、27、28および29)、対照1および対照2ならびに対照1製剤についての経口用量投与後のヒドロコドンの平均(±SEM)血漿濃度を描いた図である。
【図14】20%エタノール水溶液中のヒドロコドンに関しての各種薬剤製剤32から37の溶解速度を描いた図である。
【図15】0.01N塩酸中のヒドロコドンに関しての各種薬剤製剤32から37の溶解速度を描いた図である。
【図16】製造直後ならびにそれぞれ25℃/60%相対湿度、40℃/75%相対湿度および60℃で乾燥にて1ヶ月間保存した後の0.01N塩酸中でのヒドロコドンに関しての薬剤製剤31の溶解速度を描いた図である。
【図17】製造直後ならびにそれぞれ25℃/60%相対湿度、40℃/75%相対湿度および60℃で乾燥にて1ヶ月間保存した後の0.01N塩酸中でのアセトアミノフェン(APAP)に関しての薬剤製剤31の溶解速度を描いた図である。
【図18】0.01N塩酸+5%NaCl中のアセトアミノフェン(APAP)に関しての各種薬剤製剤32、34および36の溶解速度を描いた図である。
【図19】0.05Mリン酸緩衝液pH6.78中のアセトアミノフェン(APAP)に関しての各種薬剤製剤32、34および36の溶解速度を描いた図である。
【図20】0.01N HClおよび0.09%NaCl中のアセトアミノフェン(APAP)に関しての各種薬剤製剤32、34および36の溶解速度を描いた図である。
【図21】0.01N HCl中のアセトアミノフェン(APAP)に関しての各種薬剤製剤32、34および36の溶解速度を描いた図である。
【図22】0.01N HCl中のヒドロコドンに関しての各種薬剤製剤38から40の溶解速度を描いた図である。
【図23】0.01N HCl中のアセトアミノフェン(APAP)に関しての各種薬剤製剤38から40の溶解速度を描いた図である。
【図24】40%エタノール水溶液中のヒドロコドンに関しての各種薬剤製剤38から40の溶解速度を描いた図である。
【図25】40%エタノール水溶液中のアセトアミノフェン(APAP)に関しての各種薬剤製剤38から40の溶解速度を描いた図である。
【図26】
【図27】製剤45および対照1についての平均アセトアミノフェン濃度−時間プロファイルを描いた図である。
【図28】AおよびBは、それぞれ製剤45および対照1についての個々の被験者に関するヒドロコドン濃度−時間プロファイルを描いた図である。
【図29】AおよびBは、それぞれ製剤45および対照1についての個々の被験者に関するアセトアミノフェン濃度−時間プロファイルを描いた図である。
【図30】AおよびBは、それぞれ製剤45および対照1についての期間1および期間2に関する平均ヒドロコドン濃度−時間プロファイルを描いた図である。
【図31】AおよびBは、製剤45および対照1についてのそれぞれ期間1および期間2よる平均アセトアミノフェン濃度−時間プロファイルを描いた図である。
【図32】AおよびBは、インビトロ製剤45、インビトロ対照1についての平均ヒドロコドンおよびアセトアミノフェン濃度、インビボ対照1濃度および製剤45についてのインビトロ−インビボ濃度予測を描いた図である。
【図33】AおよびBは、製剤45および対照1についての平均ヒドロコドンおよびアセトアミノフェンインビトロ溶解プロファイルを描いた図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融加工混合物を含み、この溶融加工混合物は、
a)少なくとも一つの乱用関連薬剤、
b)少なくとも一つのセルロースエーテルまたはセルロースエステル、および
c)少なくとも一つのアルキルアルクアクリレートポリマー、アルクアクリレートポリマーまたはこれらの組み合わせ
を含み、
37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤からインビトロ抽出される薬剤の量は、37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の2倍以下であり;
前記薬剤製剤は、ヒトに対して1日3、2または1回経口投与するのに有用となるように作られる
乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項2】
前記セルロースエーテルがヒドロキシプロピルメチルセルロースである請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記アルキルアルクアクリレートまたは前記アルクアクリレートポリマーが、(C−C22)アルキル((C−C10)アルク)アクリレートまたは(C−C10)アルクアクリレートのモノマー単位を有する請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
前記アルクアクリレートポリマーがアクリルポリマーまたはメタクリルポリマーである請求項1に記載の製剤。
【請求項5】
前記アルクアクリレートポリマーがイオン性アクリルポリマーまたはイオン性メタクリルポリマーである請求項1に記載の製剤。
【請求項6】
前記アルクアクリレートポリマーがカチオン性アクリルポリマーまたはカチオン性メタクリルポリマーである請求項1に記載の製剤。
【請求項7】
前記アルクアクリレートポリマーが、アクリルポリマーおよび4級アンモニウム基を有するメタクリルポリマーエステルのコポリマーである請求項1に記載の製剤。
【請求項8】
前記乱用関連薬剤が、アトロピン、ヒヨスチアミン、フェノバルビタール、スコポラミンの塩、エステル、プロドラッグおよびこれらの混合物からなる群から選択される請求項1に記載の製剤。
【請求項9】
前記乱用関連薬剤が鎮痛薬である請求項1に記載の製剤。
【請求項10】
前記乱用関連薬剤がオピオイドである請求項1に記載の製剤。
【請求項11】
前記オピオイドが、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン、デソモルヒネ、デキストロモルアミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、酪酸ジオキサフェチル、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアムブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボフェナシルモルファン、レボルファノール、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メサドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、パプブレツム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェナゾシン、フェノモルファン、レミフェンタニル、ピミノジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジンおよびトラマドールならびにこれらの塩、エステル、プロドラッグおよび混合物からなる群から選択される請求項10に記載の製剤。
【請求項12】
少なくとも一つの別の薬剤をさらに含む請求項8から11のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項13】
前記乱用関連薬剤が、固溶体の状態で前記製剤中に分散している請求項1に記載の製剤。
【請求項14】
前記乱用関連薬剤の11%から47%が0.01N塩酸中にて37℃で2時間以内にインビトロで放出される請求項1に記載の製剤。
【請求項15】
前記乱用関連薬剤の20%未満が20%エタノール水溶液中にて37℃で1時間以内にインビトロで放出される請求項1に記載の製剤。
【請求項16】
前記製剤がモノリシックである請求項1に記載の製剤。
【請求項17】
溶融加工混合物を含み、この溶融加工混合物は、
a)鎮痛上有効量の少なくとも一つの乱用関連薬剤、
b)少なくとも一つのセルロースエーテルまたはセルロースエステルおよび
c)少なくとも一つのアルキルアルクアクリレートポリマー、アルクアクリレートポリマーまたはこれらの組み合わせ
を含み、
37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤からインビトロ抽出される薬剤の量は、37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の2倍以下であり;
前記薬剤製剤は、ヒトに対して1日3、2または1回経口投与するのに有用となるような徐放向けに作られる
モノリシックな徐放経口製剤。
【請求項18】
前記セルロースエーテルがヒドロキシプロピルメチルセルロースである請求項17に記載の製剤。
【請求項19】
前記アルクアクリレートポリマーがアクリルポリマーまたはメタクリルポリマーである請求項17に記載の製剤。
【請求項20】
前記アルクアクリレートポリマーがイオン性アクリルポリマーまたはイオン性メタクリルポリマーである請求項17に記載の製剤。
【請求項21】
前記アルクアクリレートポリマーがカチオン性アクリルポリマーまたはカチオン性メタクリルポリマーである請求項17に記載の製剤。
【請求項22】
前記アルクアクリレートポリマーが、アクリルポリマーおよび4級アンモニウム基を含むメタクリルポリマーエステルのコポリマーである請求項17に記載の製剤。
【請求項23】
前記乱用関連薬剤が鎮痛薬である請求項17に記載の製剤。
【請求項24】
前記乱用関連薬剤がオピオイドである請求項17に記載の製剤。
【請求項25】
少なくとも一つの別の薬剤をさらに含む請求項23から24のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項26】
前記乱用関連薬剤が、固溶体の状態で前記製剤中に分散している請求項17に記載の製剤。
【請求項27】
前記乱用関連薬剤の11%から47%が0.01N塩酸中にて37℃で2時間以内にインビトロで放出される請求項17に記載の製剤。
【請求項28】
前記乱用関連薬剤の20%未満が20%エタノール水溶液中にて37℃で1時間以内にインビトロで放出される請求項17に記載の製剤。
【請求項29】
a)インビトロで37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤から抽出される薬剤がインビトロで37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の2倍以下であること、
b)前記製剤が「ファーマテストPTB501」硬度計による測定で150ニュートン、好ましくは300ニュートン、より好ましくは450ニュートン、さらに好ましくは500ニュートンの力下に破壊しないこと、ならびに
c)前記製剤が、インビトロ溶解試験の最初の1時間で、そして好ましくはインビボでも、一つの薬剤の少なくとも15%および一つの薬剤の45%以下を放出すること
という特徴のうちの少なくとも2つを特徴とする薬剤の経口徐放製剤。
【請求項30】
前記製剤が経鼻投与で吸入できない請求項29に記載の経口徐放製剤。
【請求項31】
前記薬剤がオピオイド、アンフェタミンまたはメタンフェタミンである請求項29に記載の経口徐放製剤。
【請求項32】
前記製剤が、
a)少なくとも一つの乱用関連薬剤、
b)少なくとも一つのセルロースエーテルまたはセルロースエステル、および
c)少なくとも一つのアルキルアルクアクリレートポリマー、アルクアクリレートポリマーまたはこれらの組み合わせ
の溶融加工混合物によって製造される乱用抑止性薬剤を含み、
37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤から抽出される薬剤の量が、37℃で1時間以内にインビトロで0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の2倍以下であり;
前記薬剤製剤が、ヒトに対して1日3、2または1回経口投与するのに有用となるように作られる
請求項29に記載の経口徐放製剤。
【請求項33】
前記セルロースエーテルがヒドロキシプロピルメチルセルロースである請求項32に記載の経口徐放製剤。
【請求項34】
前記アルキルアルクアクリレートまたは前記アルクアクリレートポリマーが、(C−C22)アルキル((C−C10)アルク)アクリレートまたは(C−C10)アルクアクリレートのモノマー単位を有する請求項32に記載の経口徐放製剤。
【請求項35】
前記アルクアクリレートポリマーがアクリルポリマーまたはメタクリルポリマーである請求項32に記載の経口徐放製剤。
【請求項36】
前記アルクアクリレートポリマーがイオン性アクリルポリマーまたはイオン性メタクリルポリマーである請求項32に記載の経口徐放製剤。
【請求項37】
前記アルクアクリレートポリマーがカチオン性アクリルポリマーまたはカチオン性メタクリルポリマーである請求項32に記載の経口徐放製剤。
【請求項38】
前記アルクアクリレートポリマーが、アクリルポリマーおよび4級アンモニウム基を有するメタクリルポリマーエステルのコポリマーである請求項32に記載の経口徐放製剤。
【請求項39】
前記アルクアクリレートポリマーがコポリマーまたはコポリマーの混合物であり、カチオン性基の中性エステルに対するモル比が、平均で約1:20から1:35の範囲である請求項32に記載の経口徐放製剤。
【請求項40】
乱用の可能性のある薬剤を含む非粉砕溶融押出薬剤製剤。
【請求項41】
前記製剤が経鼻投与を介して吸入できない請求項40に記載の製剤。
【請求項42】
前記薬剤がオピオイド、アンフェタミンまたはメタンフェタミンである請求項40に記載の製剤。
【請求項43】
前記製剤が、(中間の)粉砕段階を行わずに前記溶融押出物から直接成形されて製剤とされる請求項40に記載の製剤。
【請求項44】
前記製剤が、(中間の)多粒子化段階を行わずに前記溶融押出物から直接成形されて製剤とされる請求項40に記載の製剤。
【請求項45】
前記製剤が、カレンダー処理の工程によって前記溶融押出物から直接成形されて製剤とされる請求項40に記載の製剤。
【請求項46】
直径が約少なくとも5.1mmから約10mmの直径および約5.1mmから約30mmの長さを有する乱用の可能性のある薬剤を含む、モノリシックで非粉砕非多粒子化の溶融押出薬剤製剤。
【請求項47】
前記製剤が、(中間の)粉砕段階を行わずに前記溶融押出物から直接成形されて製剤とされる請求項46に記載の製剤。
【請求項48】
前記製剤が、(中間の)多粒子化段階を行わずに前記溶融押出物から直接成形されて製剤とされる請求項46に記載の製剤。
【請求項49】
前記製剤が、カレンダー処理の工程によって前記溶融押出物から直接成形されて製剤とされる請求項46から48のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項50】
前記製剤が、
a)少なくとも一つの乱用関連薬剤、
b)少なくとも一つのセルロースエーテルまたはセルロースエステル、および
c)少なくとも一つのアルキルアルクアクリレートポリマー、アルクアクリレートポリマーまたはこれらの組み合わせ
の溶融加工混合物によって製造される乱用抑止性薬剤を含み、
37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤からインビトロ抽出される薬剤の量は、37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の2倍以下であり;
前記薬剤製剤は、ヒトに対して1日3、2または1回経口投与するのに有用となるように作られる請求項46に記載の製剤。
【請求項51】
前記アルクアクリレートポリマーが、アクリルポリマーおよび4級アンモニウム基を含むメタクリルポリマーエステルのコポリマーである請求項50に記載の製剤。
【請求項52】
少なくとも一つの治療薬剤を含む製剤を溶融押出する段階、(中間の)粉砕段階または多粒子化段階を行わずに前記押出物を直接成形して製剤とする段階を有する方法によって形成される乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項53】
前記治療薬剤が、
a)少なくとも一つの乱用関連薬剤、
b)少なくとも一つのセルロースエーテルまたはセルロースエステル、および
c)少なくとも一つのアルキルアルクアクリレートポリマー、アルクアクリレートポリマーまたはこれらの組み合わせ
を有する乱用抑止性薬剤を含み、
37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤からインビトロ抽出される薬剤の量が、37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の2倍以下であり;
前記薬剤製剤が、ヒトに対して1日3、2または1回経口投与するのに有用となるように作られる請求項52に記載の製剤。
【請求項54】
少なくとも一つの治療薬剤を含む製剤を溶融押出する段階、さらに(中間の)粉砕段階または多粒子化段階を行わずに前記押出物を直接成形して製剤とする段階を有する、乱用抵抗性薬剤製剤の製造方法。
【請求項55】
前記溶融押出物が、
a)少なくとも一つの乱用関連薬剤、
b)少なくとも一つのセルロースエーテルまたはセルロースエステル、および
c)少なくとも一つのアルキルアルクアクリレートポリマー、アルクアクリレートポリマーまたはこれらの組み合わせ
を有する乱用抑止性薬剤を含み、
37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤からインビトロ抽出される薬剤の量が、37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の2倍以下であり;
前記薬剤製剤が、ヒトに対して1日3、2または1回経口投与するのに有用となるように作られる請求項54に記載の方法。
【請求項56】
乱用の可能性のある薬剤を含むモノリシックな非粉砕溶融押出薬剤製剤であって、前記モノリシック製剤は、前記モノリシック製剤をコーヒー粉砕機にて約60秒間、約20000rpmから約50000rpmで粉砕した前記モノリシック製剤の粉砕形態と実質的に同様の薬剤放出プロファイルを有する溶融押出薬剤製剤。
【請求項57】
前記溶融押出物が、
a)少なくとも一つの乱用関連薬剤、
b)少なくとも一つのセルロースエーテルまたはセルロースエステル、および
c)少なくとも一つのアルキルアルクアクリレートポリマー、アルクアクリレートポリマーまたはこれらの組み合わせ
を有する乱用抑止性薬剤を含み、
37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤からインビトロ抽出される薬剤の量は、37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の2倍以下であり;
前記薬剤製剤は、ヒトに対して1日3、2または1回経口投与するのに有用となるように作られる
請求項56に記載の溶融押出薬剤製剤。
【請求項58】
前記薬剤製剤が、製造ならびに25℃/60%相対湿度もしくは40℃/75%相対湿度またはその両方で最低6ヶ月間の保存後に、遺伝毒性化合物を0.5%を超えて含まない請求項57に記載の溶融押出薬剤製剤。
【請求項59】
前記製剤がポリエチレンオキサイドおよび酸化防止剤を含む請求項58に記載の溶融押出薬剤製剤。
【請求項60】
前記遺伝毒性化合物がN−オキサイドまたはオピオイドである請求項58に記載の溶融押出薬剤製剤。
【請求項61】
少なくとも一つの乱用関連薬剤、および
少なくとも一つの速度変更性の製薬上許容されるポリマー、コポリマーまたはこれらの組み合わせ
の溶融加工混合物を含む乱用抑止性薬剤製剤であって、
37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤から抽出される薬剤の量は、37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の2倍以下であり、
前記薬剤製剤は、ヒトに1日3、2または1回経口投与する上で有用なように作られる乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項62】
前記ポリマーが、セルロースエーテルまたはセルロースエステルポリマーである請求項61に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項63】
前記ポリマーが、N−ビニルラクタム類、窒素含有モノマー類、酸素含有モノマー類、ビニルアルコール、エチレングリコール、アルキレンオキサイド類、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アクリルアミド、酢酸ビニル、ヒドロキシ酸のモノマーのホモポリマー、コポリマーまたは組み合わせからなる群から選択される請求項61に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項64】
前記ポリマーが、過酸化水素ポリビニルピロリドンポリマーである請求項61に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項65】
前記ポリマー、コポリマーまたはこれらの組み合わせが、少なくとも一つのアルキルアルクアクリレートポリマー、アルクアクリレートポリマーまたはこれらの組み合わせを含む請求項61に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項66】
前記セルロースエーテルが、アルキル置換度1.3から2.0およびヒドロキシアルキルモル置換率0.85以下を有する請求項62に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項67】
前記アルキル置換がメチルである請求項66に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項68】
前記ヒドロキシアルキル置換がヒドロキシプロピルである請求項67に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項69】
前記セルロースエーテルがヒドロキシプロピルメチルセルロースである請求項62に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項70】
前記アルキルアルクアクリレートまたは前記アルクアクリレートポリマーが、(C−C22)アルキル((C−C10)アルク)アクリレートまたは(C−C10)アルクアクリレートのモノマー単位を有する請求項61に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項71】
前記アルクアクリレートポリマーがアクリルポリマーまたはメタクリルポリマーである請求項61に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項72】
前記アルクアクリレートポリマーがイオン性アクリルポリマーまたはイオン性メタクリルポリマーである請求項61に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項73】
前記アルクアクリレートポリマーがカチオン性アクリルポリマーまたはカチオン性メタクリルポリマーである請求項61に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項74】
前記アルクアクリレートポリマーが、アクリルポリマーと4級アンモニウム基を含むメタクリルポリマーエステルのコポリマーである請求項61に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項75】
前記アルクアクリレートポリマーが、カチオン性基の中性エステルに対するモル比が平均で約1:20から1:35の範囲のものであるコポリマーまたはコポリマーの混合物である請求項61に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項76】
a)ヒドロコドンである少なくとも一つの乱用関連薬剤、
b)少なくとも一つのセルロースエーテルまたはセルロースエステル、および
c)少なくとも一つのアクリルポリマー、メタクリルポリマーまたはこれらの組み合わせの溶融加工混合物を含む乱用抑止性薬剤製剤であって、
前記薬剤製剤がヒトに1日3、2または1回経口投与する上で有用なように作られ、
前記ヒドロコドンの約90%が、インビトロにて1日3回投与するように作られた場合には約4から6時間で、1日2回投与するように作られた場合には約6から10時間で、1日1回投与するように作られた場合には約16から22時間で放出される乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項77】
前記ヒドロコドンの30%を超える量が、0.01N塩酸中37℃で約1時間で前記製剤から抽出される請求項76に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項78】
前記ヒドロコドンの約12%から約25%が、0.01N塩酸中37℃で約1時間で前記製剤から抽出される請求項76に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項79】
少なくとも一つのオピオイド、および
少なくとも一つの速度変更性の製薬上許容されるポリマー、コポリマーまたはこれらの組み合わせ
の溶融加工混合物を含み、
37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤から抽出される薬剤の量は、37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の約70%から約110%であり、
前記薬剤製剤はヒトに1日3、2または1回経口投与する上で有用なように作られている
乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項80】
37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤から溶出される薬剤の量が、37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の約70%から約100%である請求項79に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項81】
37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤から抽出される薬剤の量が、37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の約70%から約90%である請求項79に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項82】
37℃で1時間以内に40%エタノール水溶液によって製剤から抽出される薬剤の量が、37℃で1時間以内に0.01N塩酸によって抽出される薬剤の量の約75%から約90%である請求項79に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項83】
前記乱用関連薬剤がさらに、非オピオイド系鎮痛薬を含む請求項79に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項84】
前記非オピオイド系鎮痛薬がアセトアミノフェンまたはイブプロフェンである請求項79に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項85】
前記オピオイドがヒドロコドンもしくはオキシコドンまたはこれらの製薬上許容される塩もしくはエステルである請求項79に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項86】
前記オピオイドがヒドロコドンであり、ヒト患者に投与した場合に、前記製剤が単回投与後に約0.6ng/mL/mgから約1.4ng/mL/mgのヒドロコドンのCmaxを特徴とする血漿プロファイルを生じる請求項79に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項87】
前記オピオイドがヒドロコドンであり、ヒト患者に投与した場合に、前記製剤が単回投与後に約0.4ng/mL/mgから約1.9ng/mL/mgのヒドロコドンのCmaxを特徴とする血漿プロファイルを生じる請求項79に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項88】
前記オピオイドがヒドロコドンであり、ヒト患者に投与した場合に、前記製剤が単回投与後に約0.6ng/mL/mgから約1.0ng/mL/mgのヒドロコドンのCmaxを特徴とする血漿プロファイルを生じる請求項79に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項89】
前記オピオイドがヒドロコドンであり、ヒト患者に投与した場合に、前記製剤が単回投与後に約0.4ng/mL/mgもしくは適宜に0.6ng/mL/mgから約1.4ng/mL/mgのヒドロコドンのCminを特徴とする血漿プロファイルを生じる請求項79に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項90】
前記オピオイドがヒドロコドンであり、ヒト患者に投与した場合に、前記製剤が約7.0ng・hr/mL/mgのヒドロコドンの最小AUCから約26.2ng・hr/mL/mgのヒドロコドンの最大AUCを生じる請求項79に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項91】
前記オピオイドがヒドロコドンであり、ヒト患者に投与した場合に、前記製剤が約9.1ng・hr/mL/mgのヒドロコドンの最小AUCから約19.9ng・hr/mL/mgのヒドロコドンの最大AUCを生じる請求項79に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項92】
前記製剤の前記インビトロ放出速度が二相放出プロファイルを有し、前記インビトロ放出速度の各相がゼロレベルであるか上昇する請求項79に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項93】
前記オピオイドの少なくとも30から45%が約1時間以内に前記製剤からインビトロで放出される請求項79に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項94】
前記オピオイドの少なくとも90%が約6時間から約10時間以内に前記製剤から放出される請求項79に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項95】
前記オピオイドの少なくとも90%が約15時間から約20時間以内に前記製剤から放出される請求項79に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項96】
前記オピオイドの少なくとも90%が約6時間から約9時間以内に前記製剤から放出される請求項79に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項97】
前記オピオイドの少なくとも95%が約6時間から約10時間以内に前記製剤から放出され、
前記オピオイドの少なくとも95%が約7時間から約9時間以内に前記製剤から放出される請求項79に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項98】
前記オピオイドの少なくとも99%が約10時間から約11時間以内に前記製剤から放出される請求項79に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項99】
前記オピオイドの少なくとも99%が約12時間未満以内に前記製剤から放出される請求項79に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項100】
1時間での前記AUCが0.22から約0.51ng・hr/mL/mgである請求項79に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項101】
2時間での前記AUCが1.07から約1.76ng・hr/mL/mgである請求項79に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項102】
3時間での前記AUCが2.06から約3.08ng・hr/mL/mgである請求項79に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項103】
4時間での前記AUCが3.12から約4.44ng・hr/mL/mgである請求項79に記載の乱用抑止性薬剤製剤。
【請求項104】
ヒト患者に対して、請求項1から103のいずれか1項に記載の製剤を経口投与する段階を有する、ヒト患者での疼痛の治療方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公表番号】特表2009−523833(P2009−523833A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551574(P2008−551574)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/060864
【国際公開番号】WO2007/085024
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(502104228)アボット ゲーエムベーハー ウント カンパニー カーゲー (89)
【Fターム(参考)】