説明

乱用防止剤形

本発明は、乱用の可能性のある1種または数種の作用成分に加えて、少なくとも500Nの破壊に対する抵抗性を有する少なくとも1種の合成または天然ポリマーと、任意の生理学的に適合する補助物質とを含有し、変色せずに押出成形により熱成形された乱用の恐れがない剤形に関する。また本発明はそれを製造する方法に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乱用の可能性のある1種又は複数の作用成分(A)に加えて、任意の生理学的に許容されうる補助物質(B)と、少なくとも1種の合成または天然ポリマー(C)と、任意の少なくとも1種のワックス(D)とを含有し、成分(C)および任意に存在する成分(D)が各々少なくとも500Nの破壊強度を示す、変色せずに押出成形によって熱成形された乱用防止剤形に関するとともに、この本発明に係る剤形を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの製薬学的作用成分は、適した適用においてすぐれた活性を有する以外に、乱用の可能性も有する。すなわち、それらは、乱用者によって使用されて、意図された作用以外の作用を生ずることがある。例えば、重度の痛みから極めて重度の痛みを治療する際に大きな作用を発揮するアヘンは、乱用者によって使用されて麻酔または多幸感状態を誘発することが多い。
【0003】
乱用を可能にするためには、錠剤またはカプセルなどの対応する剤形が乱用者によって粉砕され、例えば、乳鉢で砕かれ、好ましくは水性液体を使用して得られた粉末から作用成分を抽出し、得られた溶液を、必要に応じて脱脂綿またはセルロース詰め物でろ過後、非経口的、特に静脈内投与する。経口による乱用投与と比較したこの種類の投与の追加の現象は、作用成分レベルのさらに加速度的な増加であり、乱用者に望ましい作用、すなわち「キック」または「ラッシュ」を与える。このキックは、粉末状剤形が経鼻的に投与される、すなわち鼻から吸われる場合にも得られる。乱用の可能性のある作用成分を含有する放出制御剤形は、不正に多量に経口接種されても、乱用者が望むキックを生じないので、このような剤形も、乱用されるためには粉砕されて抽出される。
【0004】
米国特許第4070494号明細書には、乱用を防止するために剤形に膨潤剤を添加することが提案されている。作用成分を抽出するために水を添加すると、この膨潤剤が膨潤して、ゲルから分離されたろ液にごく少量の作用成分しか含有しないことを保証する。
【0005】
国際公開第95/20947号パンフレットに開示されている多層錠は、同様の非経口乱用防止方法に基づいており、この錠剤は、乱用の可能性のある作用成分および少なくとも1種のゲル形成剤を各々異なる層に含有する。
【0006】
国際公開第03/015531号パンフレットには別の非経口乱用防止方法が開示されている。鎮痛オピオイドおよび嫌悪剤としての染料を含有する剤形がそこに記載されている。剤形への混入によって放出される色が、混入している剤形の使用を乱用者に思いとどませることが意図されている。
【0007】
乱用を困難にするための別の公知の選択肢は、剤形に作用成分のアンタゴニスト、例えば、オピオイドの場合にはナロキソンもしくはナルトレキソン(naltexone)または例えば、トコンなどの、生理学的防御応答を生ずる化合物を添加することに関係する。
【発明の開示】
【0008】
しかしながら、ほとんどの乱用例では、乱用に好適な作用成分を含む剤形を粉砕することが依然として必要であることから、よって、本発明は、乱用を行う可能性のある人が従来利用可能な手段を使用して乱用前に剤形を粉砕するのを困難に又は防止し、これによって、正しく投与された場合には所定の治療効果を保証するが、単なる粉砕では作用成分を乱用に適した剤形に変換することができない、乱用の可能性のある作用成分のための剤形を提供することを目的とする。
【0009】
この目的は、乱用の可能性のある1種又は複数の作用成分(A)に加えて、少なくとも1種の合成または天然ポリマー(C)と、任意の少なくとも1種のワックス(D)とを含有し、成分(C)および任意に存在する成分(D)が各々少なくとも500Nの破壊強度を示す、変色せずに押出成形によって熱成形された本発明に係る乱用防止剤形を提供することによって達成される。
【0010】
上記の最小破壊強度(本願の記載のように測定)を有するポリマーを用いることで、好ましくは、剤形が少なくとも500Nの最小破壊強度を示すような量でポリマーを用いることで、従来の手段を使用して剤形を粉砕することを大幅に困難にするので、その後に続く乱用を大幅に困難に又は防止することができる。
【0011】
粉砕が不十分であると、非経口投与、特に静脈内投与を安全に実施することができないか、または作用成分の抽出が乱用者にとってはあまりにも長く時間がかかるか、または放出が即時的でないので経口服用しても「キック」が生じない。
【0012】
本発明によれば、粉砕は、例えば、乳鉢および乳棒、ハンマー、木槌または他の通常の力を加えることによる粉砕手段など、乱用者が利用できる従来の手段による剤形の粉砕を意味するものとする。
【0013】
従って、本発明に係る剤形は、作用成分、好ましくは、乱用の可能性のある製薬学的作用成分の非経口、鼻腔および/または経口乱用を防止するのに好適である。
【0014】
乱用の可能性のある製薬学的作用成分は、使用される量および製造する方法と同様に、当業者に公知であり、本発明に係る剤形、当然対応する誘導体、特にエステルもしくはエーテルの形態で、または各々の場合において対応する生理学的に許容されうる化合物の形態、特に塩もしくは溶媒和物の形態で存在してもよい。本発明に係る剤形はまた2種以上の製薬学的な作用成分の投与にも好適である。剤形は、好ましくは、1種だけの特定の作用成分を含有する。
【0015】
本発明に係る剤形は、オピオイド、トランキライザー、好ましくは、ベンゾジアゼピン、バルビツール酸塩、覚醒剤および他の麻薬を含む群から選択される製薬学的な作用成分の乱用を防止するのに特に好適である。
【0016】
本発明に係る剤形は、N−{1−[2−(4−エチル−5−オキソ−2−テトラゾリン−1−イル)エチル]−4−メトキシメチル−4−ピペリジル}プロピオンアニリド(アルフェンタニル)、5,5−ジアリルバルビツール酸(アロバルビタール)、アリルプロジン、アルファプロジン、8−クロロ−1−メチル−6−フェニル−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]−ベンゾジアゼピン(アルプラゾラム)、2−ジエチルアミノ)プロピオフェノン(アンフェプラモン)、(±)−a−メチル−フェネチルアミン(アンフェタミン)、2−(a−メチルフェネチルアミノ)−2−フェニルアセトニトリル(アンフェタミニル)、5−エチル−5−イソペンチルバルビツール酸(アモバルビタール)、アニレリジン、アポコデイン、5,5−ジエチルバルビツール酸(バルビタール)、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、7−ブロモ−5−(2−ピリジル)−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(ブロマゼパム)、2−ブロモ−4−(2−クロロフェニル)−9−メチル−6H−チエノ[3,2−f]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ジアゼピン(ブロチゾラム)、17−シクロプロピルメチル−4,5a−エポキシ−7a[(S)−1−ヒドロキシ−1,2,2−トリメチル−プロピル]−6−メトキシ−6,14−エンド−エタノモルフィナン−3−オール(ブプレノルフィン)、5−ブチル−5−エチルバルビツール酸(ブトバルビタール)、ブトルファノール、(7−クロロ−1,3−ジヒドロ−1−メチル−2−オキソ−5−フェニル−2H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−イル)ジメチルカルバメート(カマゼパム)、(1S,2S)−2−アミノ−1−フェニル−1−プロパノール(カチン/D−ノルプソイドエフェドリン)、7−クロロ−N−メチル−5−フェニル−3H−1,4−ベンゾジアゼピン−2−イルアミン4−オキシド(クロルジアゼポキシド)、7−クロロ−1−メチル−5−フェニル−1H−1,5−ベンゾジアゼピン2,4(3H,5H)−ジオン(クロバザム)、5−(2−クロロフェニル)−7−ニトロ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(クロナゼパム)、クロニタゼン、7−クロロ−2,3−ジヒドロ−2−オキソ−5−フェニル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−カルボン酸(クロラゼペート)5−(2−クロロフェニル)−7−エチル−1−メチル−1H−チエノ[2,3−e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン(クロチアゼパム)、10−クロロ−11b−(2−クロロフェニル)−2,3,7,11b−テトラヒドロオキサゾロ−[3,2−d][1,4]ベンゾジアゼピン−6(5H)−オン(クロキサゾラム)、(−)−メチル−[3β−ベンゾイルオキシ−2β(1aH,5aH)−トロパンカルボキシレート](コカイン)、4,5,a−エポキシ−3−メトキシ−17−メチル−7−モルヒナン−6a−オール(コデイン)、5−(1−シクロヘキセニル)−5−エチルバルビツール酸(シクロバルビタール)、シクロルファン(cyclorphan)、シプレノルフィン(cyprenorphine)、7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(デロラゼパム)、デソモルヒネ、デキストロモラミド、(+)−(1−ベンジル−3−ジメチルアミノ−2−メチル−1−フェニルプロピル)プロピオネート(デキストロプロポキシフェン)、デゾシン、ジアンプロミド、ジアモルホン(diamorphone)、7−クロロ−1−メチル−5−フェニル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(ジアゼパム)、4,5a−エポキシ−3−メトキシ−17−メチル−6a−モルヒナンオール(ジヒドロコデイン)、4,5α−エポキシ−17−メチル−3,6a−モルヒナンジオール(ジヒドロモルヒネ)、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチレート(dioxaphetyl butyrate)、ジピパノン、(6aR,10aR)−6,6,9−トリメチル−3−ペンチル−6a,7,8,10a−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[c]クロメン−1−オール(ドロナビノール)、エプタゾシン、8−クロロ−6−フェニル−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン(エスタゾラム)、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチル[7−クロロ−5−(2−フルオロフェニル)−2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−カルボキシレート](エチルロフラゼペート)、4,5α−エポキシ−3−エトキシ−17−メチル−7−モルヒネン−6α−オール(エチルモルヒネ)、エトニタゼン、4,5α−エポキシ−7α−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)−6−メトキシ−17−メチル−6,14−エンド−エテノ−モルヒナン−3−オール(エトルフィン)、N−エチル−3−フェニル−8,9,10−トリノルボルナン−2−イルアミン(フェンカンファミン)、7−[2−(α−メチル−フェネチルアミノ)エチル]−テオフィリン)(フェネチリン)、3−(α−メチルフェネチルアミノ)プロピオニトリル(フェンプロポレックス)、N−(1−フェネチル−4−ピペリジル)プロピオンアニリド(フェンタニル)、7−クロロ−5−(2−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(フルジアゼパム)、5−(2−フルオロフェニル)−1−メチル−7−ニトロ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(フルニトラゼパム)、7−クロロ−1−(2−ジエチルアミノエチル)−5−(2−フルオロフェニル)−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(フルラゼパム)、7−クロロ−5−フェニル−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(ハラゼパム)、10−ブロモ−11b−(2−フルオロフェニル)−2,3,7,11b−テトラヒドロ[1,3]オキサゾリル[3,2−d][1,4]ベンゾジアゼピン−6(5H)−オン(ハロキサゾラム)、ヘロイン、4,5α−エポキシ−3−メトキシ−17−メチル−6−モルヒナノン(ヒドロコドン)、4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチル−6−モルヒナノン(ヒドロモルホン)、ヒドロキシペチジン、イソメサドン、ヒドロキシメチルモルヒナン、11−クロロ−8,12b−ジヒドロ−2,8−ジメチル−12b−フェニル−4H−[1,3]オキサジノ[3,2−d][1,4]ベンゾジアゼピン−4,7(6H)−ジオン(ケタゾラム)、1−[4−(3−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−4−ピペリジル]−1−プロパノン(ケトベミドン)、(3S,6S)−6−ジメチルアミノ−4,4−ジフェニルヘプタン−3−イルアセテート(レバセチルメサドール(LAAM))、(−)−6−ジメチル−アミノ−4,4−ジフェノール−3−ヘプタノン(レボメサドン)、(−)−17−メチル−3−モルフィナノール(レボルファノール)、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、6−(2−クロロフェニル)−2−(4−メチル−1−ピペラジニルメチレン)−8−ニトロ−2H−イミダゾ[1,2−a][1,4]−ベンゾジアゼピン−1(4H)−オン(ロプラゾラム)、7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−3−ヒドロキシ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(ロラゼパム)、7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−3−ヒドロキシ−1−メチル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(ロルメタゼパム)、5−(4−クロロフェニル)−2,5−ジヒドロ−3H−イミダゾ[2,1−a]イソインドール−5−オール(マジンドール)、7−クロロ−2,3−ジヒドロ−1−メチル−5−フェニル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン(メダゼパム)、N−(3−クロロプロピル)−α−メチルフェネチルアミン(メフェノレクス)、メペリジン、2−メチル−2−プロピルトリメチレンジカルバメート(メプロバメート)、メプタジノール、メタゾシン、メチルモルヒネ、N,α−ジメチルフェネチルアミン(メタンフェタミン)、(±)−6−ジメチルアミノ−4,4−ジフェニル−3−ヘプタノン(メサドン)、2−メチル−3−o−トルイル−4(3H)−キナゾリノン(メタカロン)、メチル[2−フェニル−2−(2−ピペリジル)アセテート](メチルフェニデート)、5−エチル−1−メチル−5−フェニルバルビツール酸(メチルフェノバルビタール)、3,3−ジエチル−5−メチル−2,4−ピペリジンジオン(メチプリロン)、メトポン、8−クロロ−6−(2−フルオロフェニル)−1−メチル−4H−イミダゾ[1,5−a][1,4]ベンゾジアゼピン(ミダゾラム)、2−(ベンズヒドリルスルフィニル)−アセタミド(モダフィニル)、4,5α−エポキシ−17−メチル−7−モルフィナン−3,6α−ジオール(モルヒネ)、ミロフィン(myrophine)、(±)−trans−3−(1,1−ジメチルヘプチル)−7,8,10,10α−テトラヒドロ−1−ヒドロキシ−6,6−ジメチル−6H−ジベンゾ[−b,d]ピラン−9(6αH)−オン(ナビロン)、ナルブフィン、ナロルフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、1−メチル−7−ニトロ−5−フェニル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(ニメタゼパム)、7−ニトロ−5−フェニル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2−(3H)−オン(ニトラゼパム)、7−クロロ−5−フェニル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(ノルダゼパム)、ノルレボルファノール、6−ジメチルアミノ−4,4−ジフェニル−3−ヘキサノン(ノルメサドン)、ノルモルヒネ、ノルピパノン、ケシ(Papaver somniferum)種に属する植物の浸出物(アヘン)、7−クロロ−3−ヒドロキシ−5−フェニル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(オキサゼパム)、(cis−trans)−10−クロロ−2,3,7,11b−テトラヒドロ−2−メチル−11b−フェニルオキサゾロ[3,2−d][1,4]ベンゾジアゼピン−6−(5H)−オン(オキサゾラム)、4,5α−エポキシ−14−ヒドロキシ−3−メトキシ−17−メチル−6−モルヒナノン(オキシコドン)、オキシモルホン、(Papaver somniferum)種(アツミゲシケシ(setigerum)亜種を含む)に属する植物および植物の一部、パパベレタム、2−イミノ−5−フェニル−4−オキサゾリジノン(ペルノリン(pernoline))、1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−6,11−ジメチル−3−(3−メチル−2−ブテニル)−2,6−メタノ−3−ベンザゾシン−8−オール(ペンタゾシン)、5−エチル−5−(1−メチルブチル)−バルビツール酸(ペントバルビタール)、エチル(1−メチル−4−フェニル−4−ピペリジンカルボキシレート)(ペチジン)、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、フォルコジン、3−メチル−2−フェニルモルホリン(フェンメトラジン)、5−エチル−5−フェニルバルビツール酸(フェノバルビタール)、α,α−ジメチルフェネチルアミン(フェンテルミン)、7−クロロ−5−フェニル−1−(2−プロピニル)−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(ピナゼパム)、α−(2−ピペリジル)ベンズヒドリルアルコール(ピプラドロール)、1’−(3−シアノ−3,3−ジフェニルプロピル)[1,4’−ビピペリジン]−4’−カルボキサミド(ピリトラミド)、7−クロロ−1−(シクロプロピルメチル)−5−フェニル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(プラゼパム)、プロファドール、プロヘプタジン、プロメドール(promedol)、プロペリジン、プロポキシフェン、N−(1−メチル−2−ピペリジノエチル)−N−(2−ピリジル)プロピオンアミド、メチル{3−[4−メトキシカルボニル−4−(N−フェニルプロパンアミ
ド)ピペリジノ]プロパノエート}(レミフェンタニル)、5−sec−ブチル−5−エチルバルビツール酸(セクブタバルビタール)、5−アリル−5−(1−メチルブチル)−バルビツール酸(セコバルビタール)、N−{4−メトキシメチル−1−[2−(2−チエニル)エチル]−4−ピペリジル}−プロピオナニリド(スフェンタニル)、7−クロロ−2−ヒドロキシ−メチル−5−フェニル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(テマゼパム)、7−クロロ−5−(1−シクロヘキセニル)−1−メチル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−2(3H)−オン(テトラゼパム)、エチル(2−ジメチルアミノ−1−フェニル−3−シクロヘキセン−1−カルボキシレート)(チリジン(cisおよびtrans))、トラマドール、8−クロロ−6−(2−クロロフェニル)−1−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン(トリアゾラム)、5−(1−メチルブチル)−5−ビニルバルビツール酸(ビニルビタール)、(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、(1R、2R,4S)−2−(ジメチルアミノ)メチル−4−(p−フルオロベンジルオキシ)−1−(m−メトキシフェニル)シクロヘキサノール、(1R,2R)−3−(2−ジメチルアミノ−メチルシクロヘキシル)フェノール、(1R,2S)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)フェノール、(2R、3R)−1−ジメチルアミノ−3(3−メトキシフェニル)−2−メチル−ペンタン−3−オール、(1RS,3RS,6RS)−6−ジメチルアミノメチル−1−(3−メトキシフェニル)−シクロヘキサン−1,3−ジオール、好ましくは、ラセミ体として、3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)フェニル2−(4−イソブチル−フェニル)−プロピオネート、3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)フェニル2−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イル)−プロピオネート、3−(2−ジメチルアミノ−メチル−シクロヘキ−1−セニル)−フェニル2−(4−イソブチル−フェニル)−プロピオネート、3−(2−ジメチルアミノメチル−シクロヘキ−1−セニル)−フェニル2−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イル)−プロピオネート、(RR−SS)−2−アセトキシ−4−トリフルオロメチル−安息香酸3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−2−ヒドロキシ−4−トリフルオロメチル−安息香酸3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR,SS)−4−クロロ−2−ヒドロキシ−安息香酸3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−2−ヒドロキシ−4−メチル−安息香酸3−(2−ジメチルアミノ−メチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−2−ヒドロキシ−4−メトキシ−安息香酸3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−2−ヒドロキシ−5−ニトロ−安息香酸3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−2’,4’−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−ビフェニル−4−カルボン酸3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステルおよび対応する立体異性体化合物、各場合の対応する誘導体、特にアミド、エステルまたはエーテルおよび各場合に生理学的に許容されうる化合物、特に塩および溶媒和物、特に好ましくは、塩酸塩を含む群から選択されるオピオイド、トランキライザーまたは別の麻薬の乱用を防止するのに極めて特に好適である。
【0017】
本発明に係る剤形は、特に、オキシコドン、ヒドロモルヒネ、モルヒネ、トラマドールおよび生理学的に許容されうる誘導体または化合物、好ましくは、塩および溶媒和物、好ましくは、塩酸塩を含む群から選択されるオピオイド作用成分の乱用を防止するのに好適である。
【0018】
本発明に係る剤形は、さらに特に、(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、(2R、3R)−1−ジメチルアミノ−3−(3−メトキシ−フェニル)−2−メチル−ペンタン−3−オール、(1RS,3RS,6RS)−6−ジメチルアミノメチル−1−(3−メトキシ−フェニル)−シクロヘキサン−1,3−ジオール、(1R,2R)−3−(2−ジメチルアミノエチル−シクロヘキシル)−フェノール、生理学的に許容されうる塩、好ましくは、塩酸塩、生理学的に許容されうるエナンチオマー、立体異性体、ジアステレオマーおよびラセミ体ならびに生理学的に許容されうる誘導体、好ましくは、エーテル、エステルまたはアミドを含む群から選択されるオピオイド作用成分の乱用を防止するのに好適である。
【0019】
これらの化合物およびそれらを製造する方法は欧州特許出願公開第693475号明細書または欧州特許出願公開第780369号明細書に記載されている。これらの記載はここに引用することで本明細書の記載の一部をなすものとする。
【0020】
本発明に係る剤形の必要な破壊強度を達成するためには、本願に開示する方法を使用して測定するとき、少なくとも500Nの破壊強度を有する少なくとも1種の合成または天然ポリマー(C)を使用する。ポリアルキレンオキシド、好ましくは、ポリメチレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリレート、それらのコポリマーおよび記載したポリマーの少なくとも2つの混合物を含む群から選択される少なくとも1種のポリマーを好ましくはこの目的に使用する。高分子量熱可塑性ポリアルキレンオキシドが好ましい。レオロジー測定で測定したとき、少なくとも50万、好ましくは少なくとも100万〜150万の分子量を有する高分子量ポリエチレンオキシドが特に好ましい。これらのポリマーは、モデルRVF Brookfield粘度計(viscosimeter)(スピンドルno.2/回転速度2rpm)を使用して5重量%の水溶液で測定するとき、25℃において4500〜17600cPの粘度を有し、記載した粘度計(スピンドルno.1または3/回転速度10rpm)を使用して2重量%の水溶液で測定するとき、400〜4000cPの粘度を有し、記載した粘度計(スピンドルno.2/回転速度2rpm)を使用して1重量%の水溶液で測定するとき、1650〜10000cPの粘度を有する。
【0021】
ポリマーは、好ましくは、粉末形態で使用される。それらは水に可溶性であってもよい。
【0022】
本発明に係る剤形の必要な破壊強度を達成するためには、本願に開示する方法を使用して測定するとき、少なくとも500Nの破壊強度を有する少なくとも1種の天然または合成ワックスを追加として使用することがさらに可能である。少なくとも60℃の軟化点を有するワックスが好ましい。カルナウバワックスおよびミツロウが特に好ましい。カルナウバワックスは極めて特に好ましい。カルナウバワックスは、カルナウバパームの葉から得られ、少なくとも80℃の軟化点を有する天然ワックスである。ワックス成分が追加として使用される場合には、剤形が少なくとも500Nの破壊強度を有する量の少なくとも1種のポリマー(C)と共に使用される。
【0023】
成分(C)は、好ましくは、剤形の総重量に対して20〜99.9重量%、特に好ましくは少なくとも30重量%、極めて特に好ましくは、少なくとも40重量%の量が使用される。
【0024】
使用することができる補助物質(B)は、固体剤形の製剤化に従来的である公知の補助物質である。これらは、好ましくは、ポリエチレングリコールなどの可塑剤、作用成分の放出に影響を与える補助物質、好ましくは、疎水性または親水性、好ましくは、親水性ポリマー、極めて特に好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロースおよび/または抗酸化剤である。好適な抗酸化剤はアスコルビン酸、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、アスコルビン酸の塩、モノチオグリセロール、亜リン酸、ビタミンC、ビタミンEおよびその誘導体、亜硫酸水素ナトリウム、特に好ましくは、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)またはブチルヒドロキシアニソール(BHA)およびα−トコフェロールである。
【0025】
抗酸化剤は、好ましくは、剤形の総重量に対して0.01〜10重量%、好ましくは、0.03〜5重量%の量が使用される。
【0026】
本発明に係る剤形は、それらの硬さにより、例えば、乳鉢および乳棒で粉にすることによって粉砕することができないという点において識別される。これは、経口または非経口、特に静脈内または鼻腔経由の乱用を実質的に阻止する。しかし、本発明に係る剤形の任意の可能な乱用を防止するために、本発明に係る剤形は、好ましい実施態様において、補助物質(B)として乱用を困難または防止するさらに別の物質を含有することができる。
【0027】
乱用の可能性のある1種又は複数の作用成分とは別に、少なくとも1種の硬化ポリマー(C)および必要に応じて少なくとも1種のワックス(D)を含む本発明の乱用防止剤形は、従って、補助物質(B)として以下の成分(a)〜(e)の少なくとも1つを含んでもよい。
(a)鼻腔および/または咽頭を刺激する少なくとも1種の物質、
(b)必要最小量の水性液体の助けにより、剤形から得られる抽出物とゲルを形成する少なくとも1種の粘度上昇剤であって、ゲルは、好ましくは、さらなる量の水性液体に導入されるとき、視覚的に識別可能である粘度上昇剤、
(c)乱用の可能性のある作用成分の各々の少なくとも1種のアンタゴニスト、
(d)少なくとも1種の催吐剤、
(e)嫌悪剤としての少なくとも1種の染料、
(f)少なくとも1種の苦味物質。
【0028】
成分(a)〜(f)は、本発明に係る剤形を乱用防止にするのに追加として各々独立に好適である。従って、成分(a)は、好ましくは、鼻腔、経口および/または非経口、好ましくは、静脈経由の乱用から剤形を防御するのに好適であり、成分(b)は、好ましくは、非経口、特に好ましくは、静脈内および/または鼻腔経由の乱用から防御するのに好適であり、成分(c)は、好ましくは、鼻腔および/または非経口、特に好ましくは、静脈内経由の乱用から防御するのに好適であり、成分(d)は、好ましくは、非経口、特に好ましくは、静脈内および/または経口および/または鼻腔経由の乱用から防御するのに好適であり、成分(e)は経口または非経口経由の乱用に対する視覚的な妨害物として好適であり、成分(f)は経口または鼻腔経由の乱用から防御するのに好適である。上記の成分の少なくとも1つの本発明による併用使用は、本発明に係る剤形の乱用のよりさらに効果的な防止を可能にする。
【0029】
一実施態様において、本発明に係る剤形は、成分(a)〜(f)の2つ以上の組み合わせ、好ましくは、(a)、(b)および必要に応じて(c)および/または(f)および/または(e)または(a)、(b)および必要に応じて(d)および/または(f)および/または(e)を含んでもよい。
【0030】
別の実施態様において、本発明に係る剤形は、成分(a)〜(f)の全てを含んでもよい。
【0031】
本発明に係る剤形が、乱用に対抗するために成分(a)を含む場合には、本発明により考慮されうる鼻腔および/または咽頭を刺激する物質は、鼻腔および/または咽頭経由で投与されると、乱用者にとってあまりにも不快なので、投与を継続したいと思わないもしくは投与を継続することができない身体的な反応、例えば、灼熱感を生ずる、または例えば、鼻分泌物もしくはくしゃみの増加により対応する作用成分の摂取を生理学的にしたくなくなる任意の物質である。従来鼻腔および/または咽頭を刺激するこれらの物質はまた、非経口的、特に静脈内投与されると極めて不快な感覚または場合によっては耐えられない痛みを生じることがあり、乱用者は物質の摂取を継続しなくなくなるまたは継続できない。
【0032】
鼻腔および/または咽頭を刺激する特に好適な物質は、灼熱、掻痒、くしゃみの促し、分泌物形成の増加またはこれらの刺激の少なくとも2つの組み合わせを生ずるものである。従来使用される適当な物質および量は当業者に公知であるかまたは簡単な予備試験によって同定することができる。
【0033】
鼻腔および/または咽頭を刺激する成分(a)の物質は、好ましくは、少なくとも1種のホット物質薬物の1つ以上の成分または1つ以上の植物部分に基づいている。
【0034】
対応するホット物質薬物は当業者に公知であり、例えば、Prof.Dr.Hildebert Wagnerによる「Pharmazeutishe Biologie−Drogen und ihre Inhaltsstoffe」、第2改訂版、Gustav Fisher Verlag,Stuttgart−New York,1982,ページ82以下参照に記載されている。対応する記載はここに引用することで本明細書の記載の一部をなすものとする。
【0035】
剤形単位は、例えば、錠剤またはカプセルなどの別個のまたは分離可能な剤形単位を意味すると考えられる。
【0036】
Allii sativi bulbus(ニンニク)、Asari rhizoma cum herba(アサルム(Asarum)根および葉)、ショウブ(Calami)根茎(ショウブ根)、Capsici fructus(トウガラシ)、Capsici fructus acer(カイエンペッパー)、Curcumae longae rhizoma(ウコン根)、Curcumae xanthorrhizae rhizoma(ジャワウコン根)、Galangae rhizoma(ガランガル根)、Myristicae semen(ナツメグ)、Piperis nigri fructus(コショウ)、Sinapis albae semen(白カラシ種)、Sinapis nigri semen(黒カラシ種)、Zeroariae rhizoma(zeodoary根)およびZingiberis rhizoma(ショウガ根)、特に好ましくは、Capsici fructus(トウガラシ)、Capsici fructus acer(カイエンペッパー)およびPiperis nigri fructus(コショウ)を含む群から選択される少なくとも1種のホット物質薬物の1つ以上の成分を、好ましくは、本発明に係る剤形に成分(a)として添加することができる。
【0037】
ホット物質薬物の成分は、好ましくは、o−メトキシ(メチル)フェノール化合物、酸アミド化合物、からし油もしくはスルフィド化合物であるかまたはそれら由来の化合物を含む。
【0038】
特に好ましくは、ホット物質薬物の少なくとも1つの成分は、好ましくは、非−揮発性からし油に基づいた、特に好ましくは、p−ヒドロキシベンジルからし油、メチルメルカプトからし油またはメチルスルホニルからし油に基づいた、ミリスチシン、エレミシン、イソオイゲノール、β−アサロン、サフロール、ジンジェロール、キサントリゾール、カプサイシノイド、好ましくは、カプサイシン、N−バニリル−9E−オクタデセンアミド、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ノルカプサイシンおよびノモルカプサイシンなどのカプサイシン誘導体、ピペリン、好ましくは、トランス−ピペリン、グルコシノレート、およびこれらの成分由来の化合物を含む群から選択される。
【0039】
本発明に係る剤形は、剤形単位の総重量に対して、各々の場合において、好ましくは、0.01〜30重量%、特に好ましくは、0.1〜0.5重量%の量の対応するホット物質薬物の植物を含有してもよい。
【0040】
対応するホット物質薬物の1つ以上の成分を使用する場合には、本発明に係る剤形単位における量は、好ましくは、剤形単位の総重量に対して0.001〜0.005重量%の量である。
【0041】
本発明に係る剤形の乱用を防止する別の選択肢は、必要最小量の水性液体の助けにより、剤形から得られる抽出物とゲルを形成し、ゲルは、安全に投与することが実質的に不可能であり、好ましくは、さらなる量の水性液体に導入されるとき、視覚的に識別可能である少なくとも1種の粘度上昇剤をさらに別の乱用防止成分(b)として添加することにある。
【0042】
本発明の目的のために、実質的に識別可能は、必要最小量の水性液体の助けにより形成される作用成分−含有ゲルは、好ましくは、皮下注射針の助けにより、37℃においてさらなる量の水性液体に導入されると、実質的に不溶性で、粘着性となり、非経口、特に静脈内に安全に投与できる方法では容易に分散することができないことを意味する。物質は、好ましくは、少なくとも1分、好ましくは、少なくとも10分視覚的に識別可能になる。
【0043】
抽出物の粘性の増加は、針の通過または注射をさらに困難にしまたは場合によっては不可能にする。ゲルが視覚的に識別可能である場合には、これは、さらなる量の水性液体への導入、例えば、注射による血液への導入時に得られるゲルは、最初は、粘着性の大きい糸状の形態であるが、小さい断片に破壊し、非経口、特に静脈内に安全に投与できるような方法では分散することができないまたは場合によって溶解することができないことを意味する。少なくとも1つの必要に応じて存在する成分(a)〜(e)との組み合わせにおいて、これは、追加として、不快な灼熱感、吐き気、悪臭および/または視覚的な抑止を生ずる。
【0044】
このようなゲルの静脈内投与は、乱用者の健康への重篤な害に関連する、血管の閉塞を生ずる可能性が高いと思われる。
【0045】
粘度上昇剤が成分(b)として本発明に係る剤形に使用するのに好適であるかどうかを証明するために、作用成分を粘度上昇剤と混合し、10mlの水に25℃において懸濁する。これが、上記の条件を満たすゲルを形成する場合には、対応する粘度上昇剤は、本発明に係る剤形の乱用を防止または回避するのに好適である。
【0046】
成分(b)を本発明に係る剤形に添加する場合には、11重量%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する微結晶性セルロース(Avicel(登録商標)RC591)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Blanose(登録商標)、CMC−Na C300P(登録商標)、Frimulsion BLC−5(登録商標)、Tylose C300P(登録商標))、ポリアクリル酸(Carbopol(登録商標)980NF、Carbopol(登録商標)981)、イナゴマメ粉末(Cesagum(登録商標)LA−200、Cesagum(登録商標)LID/150、Cesagum(登録商標)LN−1)、柑橘類またはリンゴのペクチン(Cesapectin(登録商標)HM Medium Rapid Set)、ろう状のトウモロコシデンプン(C*Gel04201(登録商標))、アルギン酸ナトリウム(Frimulsion ALG(E401)(登録商標))、グァー粉末(Frimulsion BM(登録商標)、Polygum26/1−75(登録商標))、イオタ型カラギーン(Frimulsion D021(登録商標))、カラヤゴム、ゲラン(gellan)ゴム(Kelcogel F(登録商標)、Kekcogel LT100(登録商標)、ガラクトマンナン(Meyprogat150(登録商標))、タラ(tara)ビーン粉末(Polygum43/1(登録商標))、プロピレングリコールアルギネート(Protanal−Ester SD−LB(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガカント、タラ(tara)ゴム(Vidogum SP200(登録商標))、発酵多糖ウェラン(welan)ゴム(K1A96)、キサンタンゴム(Xantural180(登録商標))を含む群から選択される1つ以上の粘度上昇剤を使用する。キサンタン(Xanthan)は特に好ましい。かっこ内に記載されている名称は、物質が市場で知られている商品名である。一般に、0.1〜20重量%、特に好ましくは、0.1〜15重量%の粘度上昇剤は、上記の条件を満たすのに十分である。
【0047】
成分(b)の粘度上昇剤は、提供される場合には、好ましくは、剤形単位あたり、すなわち投与単位あたり≧5mgの量が本発明に係る剤形に存在する。
【0048】
本発明の特に好ましい実施態様において、成分(b)として使用される粘度上昇剤は、必要最小量の水性液体を用いて剤形から抽出時に、気泡を封入したゲルを形成するものである。得られるゲルは不透明な外観で識別され、乱用の可能性のある者に追加の視覚的な警告を与え、ゲルを非傾向的に投与する気をなくす。
【0049】
成分(c)も、必要に応じて、最小必要量の水性液体の助けにより、ゲルを形成する追加の粘度上昇剤として作用することができる。
【0050】
粘度上昇剤および他の成分を本発明に係る剤形中で互いに空間的に離れた配列で製剤化することも可能である。
【0051】
乱用を阻止および防止するために、本発明に係る剤形は、さらに、成分(c)、すなわち、好ましくは、本発明の剤形の残りの成分から空間的に離れており、適切に使用される場合には、任意の作用を発揮しない、乱用の可能性のある作用成分の1つ以上のアンタゴニストを含むことができる。
【0052】
作用成分の乱用を防止するのに好適なアンタゴニストは当業者に公知であり、本発明に係る剤形中で、対応する誘導体、特にエステルもしくはエーテルの形態または各々の場合において、生理学的に許容されうる化合物の形態、特に塩もしくは溶媒和物の形態で存在しうる。
【0053】
剤形に存在する作用成分がオピオイドである場合には、使用されるアンタゴニストは、好ましくは、各々の場合において必要に応じて対応する生理学的に許容されうる化合物、特に塩基、塩または溶媒和物の形態のナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、ナリド(nalid)、ナルメクソン(nalmexone)、ナロルフィン、ナルフィン(naluphine)を含む群から選択される。対応するアンタゴニストは、成分(c)が提供される場合は、剤形あたり、すなわち投与単位あたり、好ましくは、≧1mgの量、特に好ましくは、3〜100mgの量、極めて特に好ましくは、5〜50mgの量が使用される。
【0054】
本発明に係る剤形が作用成分として覚醒剤を含む場合には、アンタゴニストは、好ましくは、神経遮断薬であり、好ましくは、ハロペリドール、プロメタジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、レボメプロマジン、チオリダジン、ペラジン、クロルプロマジン、クロルプロチキシン(chlorprothixine)、ズクロペンチキソール、フルペンチキソール、プロチペンジル、ゾテピン、ベンペリドール、ピパンペロン、メルペロンおよびブロムペリドールからなる群から選択される少なくとも1つの化合物である。
【0055】
本発明に係る剤形は、好ましくは、当業者に公知の従来の治療量、特に好ましくは、投与単位あたり従来の用量の2〜4倍の量のこれらのアンタゴニストを含む。
【0056】
本発明に係る剤形の乱用を阻止および防止する組み合わせが成分(d)を含む場合には、好ましくは、本発明に係る剤形の他の成分から空間的に離れた配置で存在し、適切に使用される場合には、生体内で作用を発揮することが意図されていない少なくとも1種の催吐剤を含むことができる。
【0057】
作用成分の乱用を防止するのに好適な催吐剤は、当業者に公知であり、本発明に係る剤形中で、対応する誘導体、特にエステルもしくはエーテルの形態または各々の場合において、生理学的に許容されうる化合物の形態、特に塩もしくは溶媒和物の形態で存在しうる。
【0058】
トコンの一種または複数の成分、好ましくは、成分エメチンに基づいている催吐剤は、好ましくは、例えば、Prof.Dr.Hildebert Wagnerによる「Pharmazeutishe Biologie−Drogen und ihre Inhaltsstoffe」、第2改訂版、Gustav Fisher Verlag,Stuttgart−New York,1982に記載されているように、本発明に係る剤形において考慮することができる。この文献の記載はここに引用することで本明細書の記載の一部をなすものとする。
【0059】
本発明に係る剤形は、剤形、すなわち投与単位あたり、好ましくは、≧3mg、特に好ましくは、≧10mgおよび極めて特に好ましくは、≧20mgの量の催吐性エメチンを成分(d)として含むことができる。
【0060】
アポモルヒネも同様に、投与単位あたり好ましくは、≧3mg、特に好ましくは、≧5mg、および極めて特に好ましくは、≧7mgの量が、本発明による乱用防止の際の催吐剤として好ましくは使用することができる。
【0061】
本発明に係る剤形がさらに別の乱用防止補助物質として成分(e)を含有する場合には、このような染料の使用は、特に非経口、好ましくは、静脈内投与のために作用成分を抽出しようとすると、強烈な発色の対応する水溶液を生じ、発色は乱用の可能性のある者に対する抑止物として作用することができる。従来、作用成分の水性抽出によって開始される経口経由による乱用もこの発色によって防止することができる。必要な抑止に必要な好適な染料および量は国際公開第03/015531号パンフレットに見出すことができ、この記載はここに引用することで本明細書の記載の一部をなすものとする。
【0062】
本発明に係る剤形がさらに別の乱用防止補助物質として成分(f)を含有する場合には、少なくとも1種の苦味物質のこの添加および結果として生じる剤形の風味の劣悪化は追加として経口および/または鼻腔経由の乱用を防止する。
【0063】
好適な苦味物質および使用に有効な量は米国特許出願公開第2003/0064099号明細書に見出すことができ、この記載はここに引用することで本明細書の記載の一部をなすものとする。好適な苦味物質は、好ましくは、芳香油、好ましくは、ハッカ油、ユーカリ油、苦扁桃油、メントール、果実の芳香物質、好ましくは、レモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツの芳香物質またはその混合物および/または安息香酸デナトニウム(Bitrex(登録商標))である。安息香酸デナトニウムが特に好ましい。
【0064】
本発明による固体剤形は、経口、膣または直腸、好ましくは、経口摂取されるのに好適である。剤形は、好ましくは、フィルム形態でない。本発明に係る剤形は、好ましくは、経口投与のために、必要に応じてカプセルに充填されまたは錠剤に圧縮された、好ましくは、マイクロタブレット、マイクロカプセル、マイクロペレット、顆粒、スフェロイド、ビーズまたはペレットの形態の多粒子形態を取ってもよい。多粒子形態は、好ましくは、0.1〜3mmの範囲、特に好ましくは、0.5〜2mmの範囲のサイズまたはサイズ分布を有する。望ましい剤形に応じて、従来の補助物質(B)も必要に応じて剤形の製剤化に使用される。
【0065】
本発明による固体の乱用防止剤形は、好ましくは、押出成形物の結果として生ずる観察可能な任意の変色を伴わない押出成形機による熱成形によって製造される。
【0066】
この熱成形による変色の程度を検討するために、剤形を構成する出発要素の混合物の色を、例えば、着色顔料または本質的に着色している成分(例えば、α−トコフェロール)などの色−提供成分を添加しないで測定する。次いで、この組成物を本発明により熱成形し、押出成形物の冷却を含む全ての工程段階を不活性ガス雰囲気下で実施する。比較として、同じ組成物を、不活性ガス雰囲気を使用しないで同じ工程で製造する。出発組成物から本発明により製造される剤形および比較として製造される剤形の色を測定する。測定は、Munsell Color Company Baltimore,Maryland,USA社製の「Munsell Book of Color」,1996年版の助けにより実施する。本発明により熱成形される剤形の色は識別番号N9.5の色を有するが、最大限でも識別番号5Y9/1の色を有する場合には、熱成形は「変色なし」であると分類される。Munsell Book of Colorにより測定するとき、剤形が識別番号5Y9/2以上の色を有する場合には、熱成形は「変色あり」であると分類される。
【0067】
驚くべきことに、製造工程全体が不活性ガス雰囲気下、好ましくは、熱成形のための押出成形機の助けにより窒素雰囲気下で実施される場合には、本発明に係る剤形は、上記の分類により分類される変色を示さない。
【0068】
従って、本発明は、(z)成分(A)、(B)、(C)および任意に存在する成分(D)を混合するとともに、任意に存在する(a)〜(f)を同時混合するかまたは必要であれば成分(c)および任意の(D)の添加と共に別個に混合する工程と、(y)得られた混合物を、少なくとも成分(C)の軟化点まで押出成形機において加熱し、力を加えることによって押出成形機のアウトレット開口部を介して押出成形する工程と、(x)静止したプラスチック押出成形物をシンギュレートし(singulated)、剤形に成形する工程と、又は(w)冷却され且つ任意に再加熱されたシンギュレートされた押出成形物を剤形に成形する工程とを含み、工程(y)及び(x)並びに任意の工程(z)及び(w)が不活性ガス雰囲気、好ましくは、窒素雰囲気下で実施される、本発明に係る乱用防止剤形を製造する方法も提供する。
【0069】
工程(z)による成分の混合も押出成形機内で進行してもよい。
【0070】
成分(A)、(B)、(C)および任意の(D)、並びに任意に存在するさらに別の成分(a)〜(f)、並びに必要に応じて成分(C)および任意に存在する成分(D)の混合も、必要に応じて、当業者に既知のミキサー内で進行してもよい。ミキサーは、例えば、ロールミキサー、振とうミキサー、剪断ミキサーまたはコンパルソリーミキサーであってもよい。
【0071】
残りの成分とブレンドする前に、成分(C)および任意に存在する成分(D)に、好ましくは、本発明により、抗酸化剤を提供する。これは、2つの成分、(C)および抗酸化剤を混合することによって、好ましくは、揮発性の高い溶媒に抗酸化剤を溶解または懸濁し、この溶液または懸濁液に成分(C)および任意に存在する成分(D)を混合し、好ましくは、不活性ガス雰囲気下において乾燥することによって溶媒を除去することによっても進行することができる。
【0072】
乱用を防止または阻止するさらに別の補助物質と共にサブユニットを含有する本発明に係る剤形は、(z)による混合物を同時押出成形または別個に押出成形することによって製造することができる。
【0073】
任意の事象において、少なくとも成分(C)の軟化点まで押出成形機において加熱した、好ましくは、融解した混合物を、少なくとも1つの穴を有するダイを介して押出成形機から押出成形する。
【0074】
本発明の方法は、好ましくは、従来の押出成形機、特に好ましくは、1つまたは2つのスクリューを備えることができるスクリュー押出成形機を使用して実施される。
【0075】
押出成形機は、好ましくは、少なくとも2つの温度ゾーンを含み、供給ゾーンおよび必要に応じて混合ゾーンの下流の、少なくとも第1のゾーンに進行する成分(c)の軟化点に混合物を加熱する。混合物のスループットは、好ましくは、2.0kg〜8.0kg/hourである。
【0076】
少なくとも成分(C)の軟化点に加熱後、融解した混合物はスクリューの助けにより搬送され、さらにホモジナイズされ、押出成形機のダイから現れる直前に、5bar、好ましくは、少なくとも10barの最小圧力を示すように圧縮またはコンパクト化され、ダイが含む穴の数に応じて、押出成形された帯としてダイから押出成形される。ダイの形状または穴の形状は自由に選択可能である。ダイまたは穴は、従って、丸、長楕円または卵形の断面を示してもよく、丸の断面は、好ましくは、0.1mm〜15mmの径を有し、長楕円の断面は、好ましくは、最大縦長さ21mmおよび横長さ10mmを有する。好ましくは、ダイまたは穴は丸の断面を有する。本発明により使用される押出成形機のケーシングは加熱されてもまたは冷却されてもよい。対応する温度制御、すなわち加熱または冷却は、押出成形される混合物が、少なくとも成分(C)の軟化温度に対応する平均温度(生成物温度)を示し、処理される予定の乱用の可能性のある作用成分が損傷される可能性のある温度より上昇しないようにアレンジされる。好ましくは、押出成形される混合物の温度は180℃以下、好ましくは、150℃以下であるが、少なくとも成分(C)の軟化温度に調節される。
【0077】
融解した混合物の押出成形および押出成形された帯状物の必要に応じた冷却後、押出成形物は、好ましくは、粉砕される。この粉砕は、好ましくは、リボルビングまたは回転式ナイフ、ウォータージェットカッター、ワイヤー、刃またはレーザーカッターの助けによって押出成形物を切断することによって実施することができる。
【0078】
不活性ガス雰囲気は、必要に応じてシンギュレートした押出成形物の中間もしくは最終保存または本発明に係る剤形の最終的な形状には必要ない。
【0079】
シンギュレートした押出成形物は、剤形に最終的な形状を与えるために、従来の方法でペレット化してもまたは錠剤にプレス−成形してもよい。しかし、押出成形された帯状物をシンギュレートしないで、外側スリーブに向かい合う窪みを含む反対に回転するカレンダーロールの助けにより、最終形状、好ましくは、錠剤に成形し、従来の方法によってシンギュレートすることも可能である。
【0080】
必要に応じてシンギュレートした押出成形物をすぐに最終形状に成形するのではなく、保存のために冷却する場合には、保存期間後、不活性ガス雰囲気、好ましくは、窒素雰囲気を提供するべきであり、可塑化および最終的な形状化をして剤形を生じるまで、保存されていた押出成形物の加熱中維持するべきである。
【0081】
少なくとも可塑化した混合物への押出成形機内における力の適用は、押出成形機内の搬送装置の回転速度およびその形状を制御することによってならびに可塑化した混合物を押出成形するのに必要な圧力を、好ましくは、押出成形の直前に押出成形機内に集結するようにアウトレット開口部の寸法を決めることによって調節される。各特定の組成物にとって、少なくとも500Nの破壊強度を有する剤形を生ずるのに必要な押出成形パラメーターは簡単な予備試験によって確立することができる。
【0082】
さらに別の好ましい実施態様において、本発明に係る剤形は錠剤、カプセルの形態を取り、または好ましくは、少なくとも1つのさらに別の乱用防止成分(a)〜(f)も存在する場合には、経口浸透圧治療薬システム(oral osmotic therapeutic system)(OROS)の形態である。
【0083】
成分(c)および/または(d)および/または(f)が本発明に係る剤形に存在する場合には、適切に投与される場合には、成分は、患者または作用成分の有効性を損なう作用を実質的に生じないような方法で製剤化され、またはそのような低用量で存在することを確実にするように注意を払わなければならない。
【0084】
本発明に係る剤形が成分(d)および/または(f)を含有する場合には、剤形は、適切に経口投与される場合には、負の作用を生じないように選択されなければならない。しかし、剤形の意図されている用量が乱用時において超える場合には、悪心または嘔吐傾向または悪臭を生じる。適切な経口投与時において患者が耐えることができる成分(d)および/または(f)の特定の量は、簡単な予備試験によって当業者が決定することができる。
【0085】
しかし、本発明に係る剤形が実質的に粉砕できないという事実に関係なく、成分(c)および/または(d)および/または(f)を含有する剤形がプロテクションと共に提供される場合には、これらの成分は、好ましくは、乱用により投与されると、乱用者に強烈な負の作用を生ずるのに十分に高い用量が使用されるべきである。これは、好ましくは、少なくとも作用成分を成分(c)および/または(d)および/または(f)から空間的に分離することによって達成され、作用成分は少なくとも1つのサブユニット(X)に存在し、成分(c)および/または(d)は少なくとも1つのサブユニット(Y)に存在し、剤形が適切に投与される場合には、成分(c)、(d)および(f)は摂取時および/または生体に作用を発揮せず、製剤の残りの成分、特に成分(C)および必要に応じて(D)は同一である。
【0086】
本発明に係る剤形が成分(c)および(d)または(f)の少なくとも2つを含む場合には、これらは各々同じまたは異なるサブユニット(Y)に存在してもよい。好ましくは、存在する場合には、成分(c)および(d)および(f)は全て1つの同じサブユニット(Y)に存在する。
【0087】
本発明の目的のために、サブユニットは固体製剤であり、各々の場合において、当業者に公知の従来の補助物質とは別に、作用成分、少なくとも1種のポリマー(C)および必要に応じて存在する成分(D)および必要に応じて、必要に応じて存在する成分(a)および/または(b)および/または(e)の少なくとも1つ、または各々の場合において、少なくとも1つのポリマー(C)および必要に応じて(D)およびアンタゴニストおよび/または催吐剤および/または成分(e)および/または成分(f)および必要に応じて、必要に応じて存在する成分(a)および/または(b)の少なくとも1つを含有する。サブユニットの各々が上記の方法により製剤化されることを確実にするように注意が払われるべきである。
【0088】
本発明に係る剤形のサブユニット(X)および(Y)において作用成分を成分(c)または(d)または(f)から分離した製剤の実質的な利点は、適切に投与される場合には、成分(c)および/または(d)および/または(f)は摂取時および/または生体内でほとんど放出されないまたは患者もしくは治療の成功を損なう影響を発揮しない程度の少量しか放出されない、または患者の生体を通過時に、十分に吸収されて有効にならない位置において遊離されるということである。剤形は適切に投与される場合には、成分(c)および/または(d)および/または(f)の好ましくはほとんどが患者の生体内に放出されない、または患者に気づかれない。
【0089】
上記の条件は使用する特定の成分(c)、(d)および/または(f)およびサブユニットまたは剤形の製剤化の関数として変化することがあることを当業者は理解している。特定の剤形の最適の製剤化は、単純な予備試験によって決定することができる。重要なことは、各サブユニットがポリマー(C)および必要に応じて成分(D)を含有し、上記の方法で製剤化されているということである。
【0090】
予想に反して、乱用者が、作用成分を乱用する目的のために、成分(c)および/または(e)および/または(d)および/または(f)をサブユニット(Y)に含む本発明によるこのような剤形の粉砕に成功し、好適な抽出剤で抽出される粉末を入手した場合には、作用成分だけでなく、特定の成分(c)および/または(e)および/または(f)および/または(d)が、作用成分から容易に分離することができない形態で得られ、いじられた剤形が特に経口および/または非経口投与によって投与されると、摂取時および/または生体内で、成分(c)および/または(d)および/または(f)に対応する追加の負の作用が合わさった作用を乱用者に発揮するか、または作用成分を抽出しようとすると、発色が抑止物として作用し、従って剤形の乱用を防止する。
【0091】
作用成分が、好ましくは、異なるサブユニットにおける製剤化によって成分(c)、(d)および/または(e)から空間的に分離されている本発明に係る剤形は多数の異なる方法で製剤化することができ、成分(c)および/または(d)の放出の上記の条件が満たされる限り、対応するサブユニットは各々、互いに対して任意の望ましい空間的配置で本発明に係る剤形内に存在することができる。
【0092】
適切な投与時においては乱用防止および作用成分の放出も製剤の性質によって妨害されず、ポリマー(C)および必要に応じて(D)が製剤に含まれ、必要な硬度を達成するために製剤化が上記の方法により実施される限り、必要に応じて存在してもよい成分(a)および/または(b)は、好ましくは、本発明に係る剤形内において特定のサブユニット(X)および(Y)においてならびにサブユニット(X)および(Y)に対応する個々のサブユニットの形態で製剤化することができることを当業者は理解している。
【0093】
本発明に係る剤形の好ましい実施態様において、サブユニット(X)および(Y)は多粒子形態で存在し、マイクロタブレット、マイクロカプセル、マイクロペレット、顆粒、スフェロイド、ビーズまたはペレットが好ましく、機械的な選択によってサブユニット(X)を(Y)から分離することが不可能であるように、同じ形態、すなわち形状がサブユニット(X)およびサブユニット(Y)に選択される。多粒子形態は、好ましくは、0.1〜3mm、好ましくは、0.5〜2mmの範囲のサイズである。
【0094】
多粒子形態におけるサブユニット(X)および(Y)も、好ましくは、カプセルに充填されてもまたは錠剤に圧縮されてもよく、各々の場合において最終的な製剤化は、サブユニット(X)および(Y)も得られる剤形に保持されるように進行する。
【0095】
同一の形状の多粒子サブユニット(X)および(Y)は、乱用者が単純な選別によって互いを分離できないように、互いに視覚的に識別可能であるべきではない。これは、例えば、この識別機能とは別に、例えば1つ以上の作用成分の放出制御または胃液に抵抗する仕上げの特定のサブユニットへの提供などのさらに別の機能を組み入れることができる同一のコーティングの適用によって達成することができる。
【0096】
多粒子サブユニットはまた、製薬学的に安全な懸濁媒体のスラリーまたは懸濁液のような経口剤形として製剤化することもできる。
【0097】
本発明のさらに別の好ましい実施態様において、サブユニット(X)および(Y)は、各々の場合において、互いに対する層状に配列される。
【0098】
層状のサブユニット(X)および(Y)は、好ましくは、本発明に係る剤形において互いに対して垂直または水平に本発明の目的のために配列され、各々の場合において、1つ以上の層状サブユニット(X)および1つ以上の層状サブユニット(Y)は、好ましい層配列(X)−(Y)または(X)−(Y)−(X)とは別に、必要に応じて成分(a)および/または(b)を含有する層と組み合わせて任意の望ましい層配列を考慮することができるように剤形に存在することができる。
【0099】
本発明による別の好ましい剤形は、サブユニット(Y)が、サブユニット(X)によって完全に取り囲まれているコアを形成ものであり、分離層(Z)がこの層の間に存在してもよい。このような構造は、好ましくは、上記の多粒子形態にも好適であり、サブユニット(X)および(Y)ならびに本発明による硬度要件を満足しなければならない必要に応じて存在する分離層(Z)は1つの同じ多粒子形態に製剤化される。本発明に係る剤形のさらに別の好ましい実施態様において、サブユニット(X)はサブユニット(Y)によって取り囲まれるコアを形成し、後者は、コアから剤形の表面に至る少なくとも1つの通路を含む。
【0100】
本発明に係る剤形は、サブユニット(X)の1つの層とサブユニット(Y)の1つの層の間に、各々の場合において、サブユニット(X)を空間的に(Y)から分離する働きをする1つ以上の、好ましくは、1つの必要に応じて膨潤性の分離層(Z)を含むことができる。
【0101】
本発明に係る剤形が層状サブユニット(X)および(Y)ならびに必要に応じて存在する分離層(Z)を少なくとも部分的に垂直または水平の配列で含む場合には、剤形は、好ましくは、錠剤、同時押出剤(coextrudate)またはラミネートの形態を取る。
【0102】
特に好ましい実施態様において、サブユニット(Y)の自由表面の全体および必要に応じてサブユニット(X)の自由表面の少なくとも一部および必要に応じて、必要に応じて存在する分離層(Z)の自由表面の少なくとも一部は、成分(c)および/または(e)および/または(d)および/または(f)の放出を防止する少なくとも1つのバリヤー層(Z’)でコーティングすることができる。バリヤー層(Z’)も、本発明による硬度条件を満たさなければならない。
【0103】
本発明に係る剤形の別の特に好ましい実施態様は、垂直または水平の配列のサブユニット(X)および(Y)の層ならびにその間に配列されている少なくとも1つのプッシュ層(p)、および必要に応じて分離層(Z)を含み、剤形において、サブユニット(X)および(Y)からなる層構造の自由表面の全体、プッシュ層および必要に応じて存在する分離層(Z)に、放出媒体、すなわち従来的に生理的液体は透過性であるが、作用成分および成分(c)および/または(d)および/または(f)は実質的に不透過性である半透性コーティング(E)が提供され、このコーティング(E)はサブユニット(X)の領域に作用成分を放出するための少なくとも1つの開口部を含む。
【0104】
対応する剤形は、それを製造するのに好適な材料および方法と同様に、特に米国特許第4612008号明細書、米国特許第4765989号明細書および米国特許第4783337号明細書により、例えば経口浸透圧治療薬システム(oral osmotic therapeutic system)(OROS))の名称で当業者に公知である。この記載はここに引用することにより本明細書の記載の一部をなすものとする。
【0105】
さらに別の好ましい実施態様において、本発明に係る剤形のサブユニット(X)は錠剤の形態であり、そのエッジ面および必要に応じて2つの主要面の一方は、成分(c)および/または(d)および/または(f)を含有するバリヤー層(Z’)で被覆されている。
【0106】
本発明に係る剤形を製剤化する際に使用されるサブユニット(X)または(Y)および必要に応じて存在する分離層(Z)および/またはバリヤー層(Z’)の補助物質は、本発明に係る剤形における配列、投与様式の関数として、および特定の作用成分、必要に応じて存在する成分(a)および/または(b)および/または(e)および成分(c)および/または(d)および/または(f)の関数として変わることを当業者は理解している。必要な特性を有する物質は、各々の場合において、当業者に公知である。
【0107】
本発明に係る剤形のサブユニット(Y)からの成分(c)および/または(d)および/または(f)の放出が被覆、好ましくは、バリヤー層の助けによって防止される場合には、サブユニットは、少なくとも1つのポリマー(C)および必要に応じて(D)を含有して、本発明に係る剤形の硬度条件を満たす限り、当業者に公知の従来の材料からなってもよい。
【0108】
成分(c)および/または(d)および/または(f)の放出を防止するために対応するバリヤー層(Z’)が提供されていない場合には、サブユニットの材料は、サブユニット(Y)からの特定の成分(c)および/または(d)の放出が実質的に排除されるように選択されるべきである。バリヤー層を製造するのに好適であると以下に記載する材料を、好ましくは、本発明の目的に使用することができる。
【0109】
好ましい材料は、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、グルカン、スクレログルカン、マンナン、キサンタン、好ましくは、20:80のモル比のポリ[ビス(p−カルボキシフェノキシ)プロパンとセバシン酸のコポリマー(Polifeprosan20(登録商標)の名称で市販されている)、カルボキシメチルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、(メタ)アクリル酸およびそのエステルに基づいたポリマー、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ハロゲン化ポリビニル、ポリグリコリド、ポリシロキサンおよびポリウレタンならびにそれらのコポリマーを含む群から選択されるものである。
【0110】
特に好適な材料は、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、セルロースアセテート、(低、中または高分子量の)セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、カルボキシメチルセルロース、セルローストリアセテート、セルロース硫酸ナトリウム、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリイソブチルメタクリレート、ポリヘキシルメタクリレート、ポリイソデシルメタクリレート、ポリラウリルメタクリレート、ポリフェニルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリイソプロピルアクリレート、ポリイソブチルアクリレート、ポリオクタデシルアクリレート、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリビニルアセテートおよびポリ塩化ビニルを含む群から選択することができる。
【0111】
特に好適なコポリマーは、ブチルメタクリレートとイソブチルメタクリレートのコポリマー、メチルビニルエーテルと高分子量マレイン酸のコポリマー、メチルビニルエーテルとマレイン酸モノエチルエステルのコポリマー、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸のコポリマーおよびビニルアルコールとビニルアセテートのコポリマーを含む群から選択することができる。
【0112】
バリヤー層を製剤化するのに特に好適なさらに別の材料は、デンプン-充填(starch−filled)ポリカプロラクトン(国際公開第98/20073号パンフレット)、脂肪族ポリエステルアミド(独国特許出願公開第19753534号明細書、独国特許出願公開第19800698号明細書、欧州特許出願公開第0820698号明細書)、脂肪族および芳香族ポリエステルウレタン(独国特許出願公開第19822979号明細書)、ポリヒドロキシアルカノエート、特にポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、カゼイン(独国特許出願公開第4309528号明細書)、ポリラクチドおよびコポリラクチド(欧州特許出願公開第0980894号明細書)である。これら記載はここに引用することにより本明細書の記載の一部をなすものとする。
【0113】
上記の材料は、必要に応じて、好ましくは、グリセリルモノステアレート、半合成トリグリセリド誘導体、半合成グリセリド、ハロゲン化ヒマシ油、グリセリルパルミトステアレート、グリセリルベヘネート、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、タルク、安息香酸ナトリウム、ホウ酸およびコロイド状シリカ、脂肪酸、置換トリグリセリド、グリセリド、ポリオキシアルキレングリコールおよびそれらの誘導体を含む群から選択される、当業者に公知のさらに別の従来の補助物質をブレンドすることができる。
【0114】
本発明に係る剤形が分離層(Z’)を含む場合には、この層は、被覆されていないサブユニット(Y)のように、好ましくは、バリヤー層について上記した材料からなってもよい。特定のサブユニットからの作用成分の放出または成分(c)および/または(d)の放出は、分離層の厚さによって制御することができることを当業者は理解している。
【0115】
本発明に係る剤形は作用成分の放出制御を示す。それは、好ましくは、患者への1日2回投与に好適である。
【0116】
本発明に係る剤形は、少なくとも部分的に放出制御剤形の1種又は複数の作用成分を含むことができ、放出制御は、例えば放出制御マトリックスに作用成分を包埋することによってまたは1種又は複数の放出制御コーティングを適用することによって、当業者に公知の従来の材料および方法の助けにより達成することができる。しかし、作用成分の放出は、上記の条件が各々の場合において満たされるように、例えば、剤形の適切な投与時においては、作用成分は、必要に応じて存在する成分(c)および/または(d)が妨害作用を発揮する前に実質的に完全に放出されるように制御されなければならない。放出制御を生じる物質の添加は、必要な硬度を妨害してはいけない。
【0117】
本発明に係る剤形からの放出制御は、好ましくは、作用成分をマトリックスに包埋することによって達成される。マトリックス材料として作用する補助物質は作用成分放出を制御する。マトリックス材料は、例えば、作用成分の放出が主に拡散によって進行する親水性のゲル−形成材料または作用成分の放出がマトリックスの孔からの拡散によって主に進行する疎水性材料であってもよい。
【0118】
当業者に公知である生理学的に許容されうる疎水性材料をマトリックス材料として使用することができる。ポリマー、特に好ましくは、セルロースエーテル、セルロースエステルおよび/またはアクリル樹脂は、好ましくは、親水性マトリックス材料として使用される。エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリ(メタ)アクリル酸および/または塩、アミドまたはエステルなどのその誘導体は、マトリックス材料として極めて特に好ましく使用される。
【0119】
疎水性ポリマー、ワックス、脂肪、長鎖脂肪酸、脂肪アルコールまたは対応するエステルもしくはエーテルまたはそれらの混合物などの疎水性材料から製造されるマトリックス材料も好ましい。C12〜C30脂肪酸および/またはC12〜C30脂肪アルコールのモノ−またはジグリセリドおよび/またはワックスまたはそれらの混合物は、疎水性材料として特にこのましく使用される。
【0120】
上記の親水性および疎水性材料の混合物をマトリックス材料として使用することも可能である。
【0121】
本発明により必要な少なくとも500Nの破壊強度を達成する働きをする成分(C)および必要に応じて存在する成分(D)は、追加のマトリックス材料として必要に応じて作用することもできる。
【0122】
本発明に係る剤形が経口投与に意図されている場合には、それは、好ましくは、胃液に抵抗性で、放出環境のpH値の関数として溶解するコーティングを含んでもよい。このコーティングによって、本発明に係る剤形が溶解しない状態で胃を通過して、作用成分が腸においてだけ放出されることを確実にすることができる。胃液に抵抗性のコーティングは、好ましくは、5〜7.5のpH値において溶解する。
【0123】
作用成分の放出制御および胃液に抵抗性のコーティングの適用の対応する材料および方法は、例えばKurt H.Bauer,K.Lehmann,Hermann P.Osterwald,Rothgang,Gerhartによる「Coated Pharmaceutical Dosage Forms−Fundamentals,Manufacturing Techniques,Biopharmaceutical Aspects,Test Methods and Raw Materials」,第1版,1998,Medpharm Scientific Publishersにより、当業者に公知である。この文献はここに引用することにより本明細書の記載の一部をなすものとする。
【0124】
(破壊強度を測定する方法)
ポリマーが成分(C)または(D)として使用することができるかどうかを証明するために、少なくともポリマーの軟化点に対応する温度において150Nの力を使用してポリマーを圧縮して、直径10mmおよび高さ5mmの錠剤を形成し、ポリマーのDSCダイアグラムの助けにより測定する。この方法で製造した錠剤を使用して、ヨーロッパ薬局方1997、ページ143〜144、方法番号2.9.8に公開されている錠剤の破壊強度を測定するための装置を用いて破壊強度を測定する。測定に使用する装置は「Zwick Z2.5」物質テスターであり、最大けん引(maximum draw)が1150mmの場合にFmax=2.5kNであり、1カラムおよび1スピンドル、100mmの後部空間(clearance behind)および0.1〜800mm/minの間で調節可能な試験速度、ならびにtestControlソフトウェアを用いて設定されるべきである。測定は、ねじ込み式挿入の圧力ピストンおよびシリンダー(径10mm)、力変換機、Fmax.1kN、径=8mm、クラス0.5から10N,クラス1から2N、ISO7500−1に対応を使用して、製造業者の試験証明書M、DIN55350−18に対応(Zwick gorss force Fmax=1.45kN)(全ての装置はZwick GmbH&Co.KG,Ulm,ドイツ製)を用いて実施され、テスターはオーダー番号BTC−FR2.5TH、力変換機はオーダー番号BTC−LC0050N.P01、センタリング装置はオーダー番号BO70000S06である。
【0125】
図1に、錠剤の破壊強度の測定、特に測定前および測定中の、本発明の目的に使用される錠剤(4)調節装置(6)を示す。このために、錠剤(4)は、各々の場合において、測定対象の錠剤を収容し、センタリングするのに必要な空間(5)が確立されたら、上方および下方圧力プレートでしっかり固定される(示していない)2つの2−パートクランピング装置の助けにより力適用装置(示していない)の上方圧力プレート(1)および下方圧力プレート(3)の間に保持される。空間(5)は、取り付けられている圧力プレート上で各々の場合において水平方向に外側または内側に2−パートクランピング装置を移動することによって確立することができる。
【0126】
特定の負荷における破壊に抵抗性であると考えられる錠剤は、破壊しなかったものだけでなく、力の作用下でプラスチック変形に耐えることができるものを含む。
【0127】
本発明に係る剤形の場合には、破壊強度は記載の方法により測定され、錠剤以外の剤形も試験される。
【0128】
以下の実施例は、例によって本発明を例示しており、本発明の一般的な概念を限定するものではない。
【実施例】
【0129】
(実施例1)
【表1】

【0130】
記載されている量のBHTをエタノール(96%)に溶解し、7.7%(質量/質量)エタノール溶液を得た。これを、150gのポリエチレンオキシドと高速ミキサーで30分混合し、次いで残りの量のポリエチレンオキシドを添加し、撹拌をさらに30分継続した。組成物を40℃において12時間乾燥した。
【0131】
さらに別の成分全てを添加し、自由−落下ミキサーで15分混合した。粉末混合物を押出成形機に分配した。Leistritz(Nurnberg)製造のスピンドル径18mmのモデルMicro27GL40Dダブルスクリュー押出成形機を使用して押出成形を実施した。平滑末端を有するスクリューを使用し、スクリューの末端の六角ソケットはキャップで閉じた。使用するダイは、径8mmの加熱可能な丸型ダイである。工程全体をN2雰囲気下で実施した。
【0132】
以下のパラメーターを押出成形のために選択した。
スクリュー速度:100rpm、
スループット: 4kg/h、
生成物温度: 125℃、
ケーシング温度:120℃。
【0133】
依然として温度の高い押出成形物を窒素雰囲気下で冷却した。冷却した帯状物を2平面錠剤にシンギュレートした。500Nの力を与えたとき、錠剤は破壊しなかった。錠剤は、ハンマーを使用してもまたは乳鉢および乳棒によっても粉砕できなかった。
【0134】
シンギュレートした10錠の錠剤の冷却した帯状物の色は、Munsell Book of Colourを使用してN9.5であると判定され、本発明による方法によって製造した剤形は、押出成形機による熱成形による任意の変色を示さなかった。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】錠剤の破壊強度の測定、特に測定前および測定中の、本発明の目的に使用される錠剤調節装置を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乱用の可能性のある1種又は複数の作用成分(A)と、任意の生理学的に許容されうる補助物質(B)と、少なくとも1種の合成または天然ポリマー(C)と、任意の少なくとも1種のワックス(D)とを含有し、成分(C)および任意に存在する成分(D)が少なくとも500Nの破壊強度を示すことを特徴とする、変色せずに押出成形によって熱成形された乱用防止剤形。
【請求項2】
錠剤形態であることを特徴とする請求項1に記載の剤形。
【請求項3】
必要に応じて錠剤に圧縮されたまたはカプセルにパッケージングされた、マルチパーティクル形態、好ましくは、マイクロタブレット、マイクロペレット、顆粒、スフェロイド、ビーズまたはペレットの形態であることを特徴とする請求項1に記載の剤形。
【請求項4】
ポリマー(C)として、ポリエチレンオキシド、ポリメチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリレート、それらのコポリマーおよび混合物を含む群から選択される少なくとも1種のポリマー、好ましくは、ポリエチレンオキシドを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項5】
ポリエチレンオキシド(C)が少なくとも50万の分子量を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項6】
ポリエチレンオキシド(C)の分子量が少なくとも100万であることを特徴とする請求項5に記載の剤形。
【請求項7】
ポリエチレンオキシド(C)の分子量が100〜150万であることを特徴とする請求項6に記載の剤形。
【請求項8】
ワックス(D)として、軟化点が少なくとも60℃の少なくとも1種の天然、半合成または合成ワックスを含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項9】
ワックス(D)がカルナウバワックスまたはミツロウであることを特徴とする請求項8に記載の剤形。
【請求項10】
成分(C)および任意の(D)は、剤形が少なくとも500Nの破壊強度を有するような量で存在することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項11】
作用成分(A)が、オピオイド、トランキライザー、覚醒剤、バルビツール酸塩およびさらに麻薬を含む群から選択される少なくとも1種の作用成分であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項12】
(a)鼻腔および/または咽頭を刺激する少なくとも1種の物質、
(b)必要最小量の水性液体の助けにより、剤形から得られる抽出物とゲルを形成する少なくとも1種の粘度上昇剤であって、ゲルは、好ましくは、さらなる量の水性液体に導入されるとき、視覚的に識別可能である粘度上昇剤、
(c)乱用の可能性のある作用成分の少なくとも1種のアンタゴニスト、
(d)少なくとも1種の催吐剤、
(e)嫌悪剤としての少なくとも1種の染料、
(f)少なくとも1種の苦味物質
の少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項13】
成分(a)の刺激物質が灼熱、掻痒、くしゃみの促し、分泌物形成の増加またはこれらの刺激の少なくとも2つの組み合わせを生ずることを特徴とする請求項12に記載の剤形。
【請求項14】
成分(a)の刺激物質が、少なくとも1種のホット物質薬物の1つ以上の成分に基づいていることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の剤形。
【請求項15】
ホット物質薬物が、Allii sativi bulbus(ニンニク)、Asari rhizoma cum herba(アサルム(Asarum)根および葉)、ショウブ(Calami)根茎(ショウブ根)、Capsici fructus(トウガラシ)、Capsici fructus acer(カイエンペッパー)、Curcumae longae rhizoma(ウコン根)、Curcumae xanthorrhizae rhizoma(ジャワウコン根)、Galangae rhizoma(ガランガル根)、Myristicae semen(ナツメグ)、Piperis nigri fructus(コショウ)、Sinapis albae semen(白カラシ種)、Sinapis nigri semen(黒カラシ種)、Zeroariae rhizoma(zeodoary根)およびZingiberis rhizoma(ショウガ根)を含む群から選択される少なくとも1種の薬物であり、特に好ましくは、Capsici fructus(トウガラシ)、Capsici fructus acer(カイエンペッパー)およびPiperis nigri fructus(コショウ)を含む群から選択される少なくとも1種の薬物であることを特徴とする請求項14に記載の剤形。
【請求項16】
ホット物質薬物の成分が、o−メトキシ(メチル)フェノール化合物、酸アミド化合物、からし油もしくはスルフィド化合物であるかまたはこのような化合物由来であることを特徴とする請求項14または請求項15に記載の剤形。
【請求項17】
ホット物質薬物の成分が、好ましくは、非−揮発性からし油に基づいた、特に好ましくは、p−ヒドロキシベンジルからし油、メチルメルカプトからし油またはメチルスルホニルからし油に基づいた、ミリスチシン、エレミシン、イソオイゲノール、β−アサロン、サフロール、ジンジェロール、キサントリゾール、カプサイシノイドを含む群から選択される少なくとも1つの成分であり、好ましくは、カプサイシン、ピペリンであり、好ましくは、トランス−ピペリン、グルコシノレートおよびこれらの成分由来の化合物であることを特徴とする請求項14〜16のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項18】
成分(b)が、11重量%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する微結晶性セルロース(Avicel(登録商標)RC591)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Blanose(登録商標)、CMC−Na C300P(登録商標)、Frimulsion BLC−5(登録商標)、Tylose C300P(登録商標))、ポリアクリル酸(Carbopol(登録商標)980NF、Carbopol(登録商標)981、イナゴマメ粉末(Cesagum(登録商標)LA−200、Cesagum(登録商標)LID/150、Cesagum(登録商標)LN−1)、柑橘類またはリンゴのペクチン(Cesapectin(登録商標)HM Medium Rapid Set)、ろう状のトウモロコシデンプン(C*Gel04201(登録商標))、アルギン酸ナトリウム(Frimulsion ALG(E401)(登録商標))、グァー粉末(Frimulsion BM(登録商標)、Polygum26/1−75(登録商標))、イオタ型カラギーン(Frimulsion D021(登録商標))、カラヤゴム、ゲラン(gellan)ゴム(Kelcogel F(登録商標)、Kekcogel LT100(登録商標)、ガラクトマンナン(Meyprogat150(登録商標))、タラ(tara)ビーン粉末(Polygum 43/1(登録商標))、プロピレングリコールアルギネート(Protanal−Ester SD−LB(登録商標))、リンゴペクチン、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガカント、タラ(tara)ゴム(Vidogum SP200(登録商標))、発酵多糖ウェラン(welan)ゴム(K1A96)、キサンタンゴム(Xantural180(登録商標))を含む群から選択される少なくとも1種の粘度上昇剤であることを特徴とする請求項12〜17のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項19】
成分(c)が、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、ナリド(nalid)、ナルメクソン(nalmexone)、ナロルフィン、ナルフィン(naluphine)および対応する生理学的に許容されうる化合物、特に塩基、塩または溶媒和物を含む群から選択される少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストであることを特徴とする請求項請求項12〜18のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項20】
使用される成分(c)が、好ましくは、ハロペリドール、プロメタジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、レボメプロマジン、チオリダジン、ペラジン、クロルプロマジン、クロルプロチキシン(chlorprothixine)、ズクロペンチキソール、フルペンチキソール、プロチペンジル、ゾテピン、ベンペリドール、ピパンペロン、メルペロンおよびブロムペリドールを含む群から選択される、刺激物質アンタゴニストとしての少なくとも1種の神経遮断剤であることを特徴とする請求項12〜18のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項21】
成分(d)の催吐剤が、トコンの1種又は複数の成分、好ましくは、成分エメチンに基づいているおよび/またはアポモルヒネであることを特徴とする請求項12〜20のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項22】
成分(e)が少なくとも1種の生理学的に許容されうる染料であることを特徴とする請求項12〜21のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項23】
成分(f)が、芳香油、好ましくは、ハッカ油、ユーカリ油、苦扁桃油、メントールおよびそれらの混合物、好ましくは、レモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツおよび少なくとも2種の成分を含む混合物の果実の芳香物質、安息香酸デナトニウムおよび少なくとも2種の成分を含むその混合物を含む群から選択される少なくとも1種の苦味物質であることを特徴とする請求項12〜22のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項24】
作用成分(A)は、好ましくは、直接接触しないで、成分(c)および/または(d)および/または(f)から空間的に分離されており、作用成分(A)は、好ましくは、少なくとも1つのサブユニット(X)に存在し、成分(c)および/または(d)および/または(f)は少なくとも1つのサブユニット(Y)に存在し、剤形が適切に投与されると、サブユニット(Y)の成分(c)および/または(d)および/または(f)は生体内および/または服用時に作用を発揮しないことを特徴とする請求項請求項12〜23のいずれか1項に記載の剤形
【請求項25】
少なくとも部分的に放出制御剤形の少なくとも1種の作用成分を含有することを特徴とする請求項1〜24のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項26】
乱用の可能性のある作用成分(A)の各々が放出制御マトリックスに存在することを特徴とする請求項25に記載の剤形。
【請求項27】
成分(C)および/または必要に応じて存在する成分(D)も放出制御マトリックス材料として作用することを特徴とする請求項26に記載の剤形。
【請求項28】
(z)成分(A)、(B)、(C)および任意に存在する成分(D)を混合するとともに、任意に存在する(a)〜(f)を同時混合するかまたは必要であれば成分(c)および任意の(D)の添加と共に別個に混合する工程と、
(y)得られた混合物を、少なくとも成分(C)の軟化点まで押出成形機において加熱し、力を加えることによってアウトレット開口部を介して押出成形する工程と、
(x)静止したプラスチック押出成形物をシンギュレートし、剤形に成形する工程と、
(w)冷却され、任意に再加熱されたシンギュレートされた押出成形物を剤形に成形する工程と
を含み、工程(y)及び(x)並びに任意に工程(z)及び(w)が不活性ガス雰囲気下で実施されることを特徴とする請求項1〜27のいずれか1項に記載の剤形を製造する方法。
【請求項29】
(z)における成分の混合が、不活性ガス雰囲気下で押出成形機内でも進行することを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
(z)による混合物が、同時押出成形されるかまたは別個に押出成形されることを特徴とする請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
(z)による混合物が、少なくとも1つの穴を有するダイで押出成形されることを特徴とする請求項28〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
押出成形物をチョッピングによってシンギュレートすることを特徴とする請求項請求項28〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
押出成形物が帯の形態であり、形づくられて、外側のスリーブに向かい合う窪みを含む反対に回転するカレンダーロールの助けによりシンギュレートされることを特徴とする請求項28〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
シンギュレート可能な押出成形物を錠剤にペレット化または圧縮することを特徴とする請求項28〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
窒素を使用して不活性ガス雰囲気とすることを特徴とする請求項28〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
請求項28〜35のいずれか1項に記載の方法によって得られる請求項1〜27のいずれか1項に記載の剤形。

【図1】
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【公表番号】特表2007−501201(P2007−501201A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522320(P2006−522320)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008792
【国際公開番号】WO2005/016313
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(502231188)グリューネンタ−ル・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (7)
【Fターム(参考)】