説明

乳児の睡眠を保全するとともに乳児の適応を回避する方法および装置

PNSを発現させないように、数日または数週間の期間に亘り、乳児のSNS呼吸活性化トーンが維持されるように、好ましくは乳児を僅かに目覚めさせる時点までのみ、睡眠中の乳児を刺激するための装置を開示する。筐体は、電源と、ユーザインタフェースと、すべて予め設定された分散を有する予め設定された分布曲線に基づく連続する休止持続時間、刺激持続時間、および刺激強度を発生させるためのタイミングおよび乱数発生器機能とを有する回路を含む。モータにより往復移動させられる質量体などの少なくとも1つの刺激装置が、回路に電気的に相互接続される。休止持続時間の満了に伴い、刺激装置は、刺激強度で刺激持続時間の間活性化され、次いで、次の連続する休止持続時間の間不活性化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2009年12月7日に出願された米国仮特許出願第61/267,236号明細書および2010年12月7日に出願された米国実用特許出願第12/961,926号明細書の優先権を主張するものであり、かかる出願の両方は、それらの全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、刺激装置に関し、より詳細には、睡眠中に用いるための乳児を刺激する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
乳児突然死(SIDS)は、米国において毎年2,300人を超える死者を出す深刻な問題である。この数年において、SIDSの発生率を低下させるための多くのアプローチが存在することがより理解されるようになってきた。アプローチの1つのカテゴリーは、乳児の睡眠位置と、睡眠中の子供とともにベビーベッド内に存在することが推奨されるまたは推奨されない物品の種類とについて親に助言することである。別の、より事前対応型のアプローチは、乳児に睡眠させるための種々のスキームの開発である。これらは、赤ちゃんを揺らす装置、癒しの音楽を演奏する装置などを含む。それらは、副交感神経系(「PNS」)を刺激することにより特徴付けることが可能である。第3のカテゴリーは、乳児の呼吸を監視し、赤ちゃんおよびその保護者を目覚めさせる何らかの劇的な作用を生じさせることを試みる報知器に関わるものである。これらの装置は、交感(「SNS」)神経系を甚だしく刺激するものと考えることが可能である。
【0004】
「ベビーロッカー」型ソリューションについての1つの見方は、それらのソリューションは、乳児のPNS系を強調させるものであり、PNS系を過度に支配することにより、乳児の睡眠時無呼吸を発生させ、頻繁な乳児突然死を誘発する高いリスクを生じさせる可能性がある。
【0005】
監視−報知−目覚アプローチは、既に無呼吸状態の乳児を扱う際に医療的価値を有するものであるためには刺激が幾分激しいものである必要があるため、不十分なままである。かかるプラクティスは、さらに、かかる監視システムに固有の著しい不便さ、特に、乳児の神経系を早期に成熟させる際に重要な乳児の休止期間を中断させる誤報が多く生じるため、睡眠中の乳児に対して有害である。
【0006】
従来技術には、以下の少なくとも2つの短所があるようである:1)呼吸駆動の交感神経系の重要な信号を抑制する際にベビーロッカーおよびベッド振動器が副交感系の過度の支配を誘発および助長するリスク;2)呼吸活性化トーンの成熟した安定性を達成する高品質な発展的進歩に要求される当座の自律神経系バランスの状態を微妙に保全することの概念的失敗。
【0007】
PNSに支配された深い睡眠を過度に誘発せず、乳児が既に呼吸を停止しているときには激しい機械的刺激に頼らないアプローチが必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本教示は、PNSを過度に発現させないように、ある期間に亘り、乳児のSNS呼吸活性化トーンが維持されるように、好ましくは僅かに目覚めさせる点を決して越えないように、睡眠中の乳児を刺激するステップを含む。実施形態は、乳児の睡眠環境に適度な物理的刺激を適用するためのシステムに動作的に連結された変化する時間間隔を提供するタイマを含むことが可能である。いくつかのバージョンにおいて、時間間隔は擬似ランダムである。タイマの中心および標準偏差は、いくつかのバージョンにおいて、ユーザにより調節可能である。いくつかのバージョンにおいて、擬似ランダムタイミングの特性は、乳児の呼吸数などの要因により動的に変化させることが可能である。いくつかのバージョンにおいて、変化する時間間隔は、恐らくはデータ表の形態で、予め定めることが可能である。
【0009】
刺激の周波数、持続時間、および強度は、乳児の神経系が乳児の通常の休止状態から完全に覚醒した状態の閾値を下回るように維持するものであることが可能である。
【0010】
刺激のモードは、例えば、筐体とベビーベッドのマットレスなどの筐体に接触するいずれかの物体とに振動を発生させるためモータにより往復移動させられる質量体などの質量体振動手段を含むことが可能である。刺激のモードは、例えば気流、照射、または音であることが可能であり、いずれも、定常的またはパルス状に与えることが可能である。いくつかの実施形態において、多様な刺激発生器を、恐らくは交互にまたはランダムな選択により、用いることが可能である。活性化されたときに乳児を僅かに目覚めさせることが可能な効果を有する限り、他の刺激源を利用してもよい。
【0011】
タイマの休止持続時間の満了に伴い、回路は、ある刺激強度である刺激持続時間の間刺激源を活性化させることが可能である。これにより、乳児は、睡眠中に周期的または散発的に刺激される。刺激強度は、実質的にランダムな強度であってもよい。本方法の一実施形態において、休止持続時間の平均および標準偏差は、乳児の観測された無呼吸状態の悪化により予め設定される。また、休止持続時間の平均および標準偏差は、いくつかのバージョンにおいて、乳児の観測された睡眠サイクル持続時間により予め設定することが可能である。
【0012】
これらの教示は、音声もしくは音声/映像記録手段または乳児の反応を記録するための加速度計の可能性のある使用を含む。いくつかのバージョンは、外部装置がこれらの教示に従う装置からデータを読む、または恐らくはかかる装置の動作を制御することを可能にするためのデータポートを含むことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、睡眠中の乳児がいるベビーベッドに装着された本発明の実施形態の斜視図である。
【図2】図2は、図1の線2−2に略沿った図1の装置の断面図である。
【図3】図3は、図1の装置の分解斜視図であり、装置の筐体、ACアダプタ、およびいくつかの刺激源を示す。
【図4】図4は、使用中の装置の仮想的状況を示すグラフであり、休止持続時間の間の刺激強度および時間を示す。
【図5】図5は、刺激持続時間および休止持続時間ならびに刺激強度のリストを示す図である。
【図6】図6は、予め設定された刺激持続時間分布曲線の例である。
【図7】図7は、予め設定された休止持続時間分布曲線の例である。
【図8】図8は、予め設定された刺激強度分布曲線の例である。
【図9】図9は、代替の質量体振動手段の機能図である。
【図10】図10は、図9の代替の質量体振動手段である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の例示的実施形態を以下で説明する。以下の説明により、これらの実施形態を完全に理解させるとともに実施可能に説明するための具体的な詳細が提供される。当業者は、かかる詳細がなくても本発明を実施し得ることを理解するであろう。他の例において、実施形態の説明を不必要に曖昧にすることを回避するため、周知の構造および機能は、詳細に図示または説明していない。
【0015】
文脈が明らかにそうでないことを要求しない限り、本明細書および請求項を通じて、「〜を備える(comprise)」、「〜を備えている(comprising)」などの単語は、排他的または網羅的な意味でなく包括的な意味で、すなわち、「〜を含むがそれに限定されない(including,but not limited to)」の意味で解釈すべきである。単数形または複数形で用いる単語は、それぞれ複数形または単数形も含む。加えて、本願において用いる「本明細書中(herein)」、「上記(above)」、「下記(below)」、および同様の趣旨の単語は、本願全体に言及するものであり、本願のいずれの特定の部分に言及するものでもない。請求項において2つ以上の項目のリストについて単語「または(or)」が用いられているとき、かかる単語は、下記の解釈のすべて、すなわち、リストにおける項目のいずれか、リストにおける項目のすべて、およびリストにおける項目のいずれかの組み合わせが網羅される。さらに、本明細書中の用語「ランダム」は、所謂乱数発生電子回路またはコンピュータアルゴリズムにより生成されたものなど、真にランダムな数ではない擬似ランダムイベントに言及し得る。
【0016】
図1および図2は、乳児のSNS呼吸活性化トーンまたはバランスが維持されるように、好ましくは乳児20を僅かに目覚めさせる時点までのみ、睡眠中の乳児20を刺激するための装置を示す。
【0017】
図1および図2は、少なくとも1つの中空部分38を内部に有する、好ましくはプラスチック材料製の、筐体30を示す。筐体30をベビーベッド22などの物体に選択的に固定するための取付手段230が含まれてもよい。かかる取付手段230は、少なくとも1つの面ファスナタイプの締結ストラップ、バックルまたは機械的スナップを有するベルト、吸盤、機械的クランプ、他の機械的締結具、接着テープなどであってもよい。
【0018】
回路40が少なくとも部分的に筐体30内に収容され、電源50と、ユーザインタフェース60と、タイマ70と、間隔オフセット発生器80とを含む。電源50は、筐体30を通じてアクセス可能であるとともに外部のACアダプタ180(図3)に相互接続しACアダプタ180により再充電されるように適合された、例えば、ACアダプタポート170が電気的に相互接続された充電式バッテリ150であってもよい。装置10を選択的に活性化または不活性化するための、手動スイッチ、電子トグルスイッチなどのスイッチ220が含まれてもよい。
【0019】
間隔オフセット発生器80は、ランダムオフセット間隔発生器100であってもよく、少なくとも各連続する休止持続時間RDn+1は、第1の予め設定されたランダム分布D1および第1の標準偏差V1(図4および図6)により前の休止持続時間RDから変化する。すなわち、タイマ70は、分布D1の平均値を設定し、オフィス間隔発生器100は、各連続する休止持続時間RDn+1(図5)に適用されるプラスまたはマイナスの間隔オフセットIOn+1を決定する。
【0020】
各連続する刺激持続時間SDn+1も、やはりタイマ70および間隔オフセット発生器80により実装される、第2の予め設定されたランダム分布D2および第2の標準偏差V2(図7)により前の刺激持続時間SDから変化してもよい。かかるタイマ70および間隔オフセット発生器80は、タイミング回路、乱数発生器ルーチン、CPU、メモリ、および当該技術において一般的な1組のソフトウェア指令により実現してもよい。
【0021】
代替として、間隔オフセット発生器80は、休止持続時間RDのリストLIであってもよく、それにより、少なくとも各連続する休止持続時間RDn+1は、リストLI(図5)により前の休止持続時間RDから変化する。同様に、各刺激持続時間SDおよび刺激強度SIは、リストLIにより設定される。かかるリストLIは、例えば、製造中に予め設定してもよく、または乳児20の観測された睡眠特性に基づいて一旦配備された回路40のメモリ内にプログラムしてもよい。例えば、間隔オフセット発生器80は、回路と筐体30内に固定された加速度計210とにより決定された、加速度計により導出された無呼吸状態における呼吸数傾向予測の外挿により駆動されてもよい。乳児20の呼吸数は、加速度計の読み取り値または必要に応じて他のセンサの読み取り値に基づいて決定され、乳児20の呼吸数が低下するかまたはその他の乳児20の無呼吸状態への傾向を示すと、間隔オフセット発生器80は、「タイムアウト」するか、またはその他休止持続時間RDが終了したことを回路40に合図する。
【0022】
代替として、タイマ70および間隔オフセット発生器80は、例えば休止持続時間RDについて、所望される平均値D1および分散V1を入力として有する乱数発生ルーチンにおいて組み合わせてもよい。
【0023】
少なくとも1つの刺激源90が回路40に電気的に相互接続されている。かかる刺激源90は、例えば、筐体30とベビーベッドのマットレスなどの筐体30に接触するいずれかの物体とに振動を発生させるためモータ112(図2)により往復移動させられる質量体111などの質量体振動手段110であってもよい。質量体は、例えば、600〜1000グラムであってもよい。モータ112は、質量体111が0.5〜9ヘルツの周波数で振動するように、例えば、1〜5回転毎秒で運転させてもよい。刺激源90は、代替として、質量体111および往復リニアアクチュエータ(図示せず)などを含んでもよい。代替として、刺激源90は、例えば約10CFMの風で、あるいは熱的触覚的刺激を提供する加熱または冷却された空気流で乳児20を刺激するための、ファン121などの送風手段120であってもよい。代替として、刺激源90は、例えば3000〜220,000ルクスの定常的なまたはパルス状の可視光により乳児20を刺激するための、ランプ131などの照射手段130であってもよい。代替として、刺激源90は、30db〜90dbの可聴音により乳児20を刺激するための、スピーカ141などの音発生手段140であってもよい。刺激源90は、筐体30の外部に設け、例えば回路40(図2)に電気的に相互接続された電子アクセサリポート240に刺激源90をプラグ接続することにより、選択的に選定してもよい。多様な刺激源90が回路40に接続される場合、回路40は、回路40のランダム選択機能を介して交互にまたはランダムに選択するなどにより、いずれかの所与の時間にいずれの刺激源90が活性化されるかを変化させることが可能である。活性化されたときに乳児20を僅かに目覚めさせることが可能な効果を有する限り、他の刺激源90を利用してもよい。
【0024】
使用に際して、例えば、筐体30が睡眠中の乳児20の付近に支持されるとともに、質量体111が乳児20の長手方向軸心に対して直角または平行な方向に振動するように編成された状態で、タイマ70と間隔オフセット発生器80とにより次の休止持続時間RDが決定される。休止持続時間RDの満了に伴い、回路40は、刺激強度SIで刺激持続時間SDの間刺激源90を活性化させ、次の連続する休止持続時間SDn+1を決定し、装置10が不活性化されるまで処理を繰り返す。このように、乳児20は、睡眠中に周期的に刺激され、各連続する休止持続時間RDn+1は、間隔オフセット発生器80により変化する。刺激強度SIは、実質的にランダムな強度であってもよく、少なくとも各連続する刺激強度SIn+1は、第3の予め設定されたランダム分布D3および第3の標準偏差V3(図8)により実質的にランダムなレベルだけ前の刺激強度SIから変化する。本方法の一実施形態において、休止持続時間RDの平均および標準偏差は、乳児20の観測された無呼吸状態の悪化により調節される。代替として、休止持続時間RDの平均および標準偏差は、乳児20の観測された睡眠サイクル持続時間により調節される。
【0025】
一実施形態(図示せず)において、刺激源90は、刺激強度SIに関連付けられた周波数で乳児20に接触するカム駆動式プランジャであり、かかる実施形態における筐体30は、プランジャの伸張および収縮を可能にする柔軟な部分またはソックスを有する。
【0026】
回路40は、さらに、いつ刺激源90が活性化されたかに関わらず乳児の反応を記録するための、または特定の刺激強度SIもしくは刺激持続時間SDが過度であり乳児20を完全に目覚めさせてしまうかを検出するための音声もしくは音声/映像または加速度計データ記録手段190を含んでもよい。次いで、例えば回路40または医療専門家が、最大のSIおよび/またはSDを決定してもよい。回路40は、さらに、回路40に電気的に相互接続されるとともに、記録手段190により前に記録されたデータを外部装置(図示せず)が読むことを可能にするための筐体を通じてアクセス可能なデータポート200を含む。かかるデータは、医療専門家により決定された例えばランダム分布D1、D2、D3および標準偏差V1、V2、V3を改変するために用いてもよい。同様に、医療専門家により評価される同様のデータを提供するための心拍数および呼吸監視手段(図示せず)が含まれてもよい。
【0027】
回路40は、装置10を遠隔操作できるように、所謂「スマートフォン」などの遠隔装置(図示せず)に送信を行うための、送信および制御手段(図示せず)を含んでもよい。これにより、音声もしくは音声/映像記録手段190または心拍数および呼吸監視手段により記録された刺激源90に対する乳児の反応を、遠隔装置を通じて例えば親または医師に遠隔送信してもよい。さらに、遠隔装置は、揺りかご構造(図示せず)を形成するため乳児の両側に配置された2つの装置10など、1つ以上の装置10を制御してもよい。かかる構成における装置10の各々は、遠隔装置により制御され、各装置10は、例えば乳児の適応を防止するためのストラテジの一部として、ある場合は互いに同相で、他の場合は異なる位相で、各々時として独立して、乳児20を刺激してもよい。各装置10は、例えば、他の装置10と独立して刺激持続時間SDを開始させてもよい。遠隔装置または「マスタ」装置と指定された装置10の1つのいずれかにより、多くの装置10のかかる刺激プログラムを制御してもよい。各装置10は、当該技術において既知であるように無線で、または乳児20に絡まるリスクを低下させるように乳児20の上方に持ち上げられたもしくは例えば乳児のマットレスの下に位置決めされたケーブル編成(図示せず)を通じて、その他の装置10と通信してもよい。
【0028】
さらに、回路40は、回路40におけるロジックが刺激持続時間SD中の筐体30の共振が最大となる質量体111の振動周波数を決定し得るように、加速度計210を含んでもよい。また、回路40は、乳児20の移動を検出するための赤外線運動センサ(図示せず)などの運動感知装置に電気的に接続されてもよい。かかる運動は、例えば、乳児20が睡眠から目覚めたことを示すかもしれず、かかる場合、回路40は、各刺激源90の刺激強度を低下させるか、または刺激源90を不活性化させてもよい。代替として、運動感知装置は、呼吸数検出器、心拍数検出器、またはそれらの組み合わせなどであってもよい。かかる呼吸数検出器または心拍数検出器は、例えば、乳児の胸部付近の乳児の衣服に一時的に取付可能なセンサディスク(図示せず)の形態であってもよく、かかるセンサディスクは、加速度計もしくは運動センサ、温度センサ、マイクロフォン、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0029】
刺激持続時間SDは、10〜60秒、好ましくは乳児の公称睡眠サイクル持続時間の1/3〜2/3の休止持続時間RDの間の平均値を有することが可能である。装置10は、乳児の存在が安全な環境に収容されているが、それはたまたまにすぎず、かかる環境は、そうでなければ知的活動および各種の刺激を含むことを、乳児の心理に暗示するようにプログラムまたは設定することが可能である。
【0030】
本発明の1つのモードは、乳児の平均睡眠サイクル持続時間の半分もの可変間隔周波数(SD+RD)で睡眠中の乳児20に非侵襲的刺激のプログラムされた差動モードの方法を行い、刺激は、以下のプログラムされた変化形により行われる:i.)質量体振動手段110による周波数0.5〜14Hzの律動的な側方向の寝具表面を振動させる物理的運動;ii.)送風手段120による肌への空気流/蒸発冷却;iii.)照射手段130によるイベント周波数0.5〜9Hzの照明;およびiv.)音発生手段140による聴覚的および音響的な衝撃的刺激。これらの刺激の変化可能な組み合わせは、睡眠中の乳児20に対して固有の重要性を有するとはこれまで比較的評価されておらず、一般に保護者の優しい扱いにより意図せずして発生するような刺激に近似する物理的エネルギーのみを通常必要とする。かかる刺激の通常および追加のモードは、さらに、以下の範囲内で定義される:a.)目覚めを生じさせない9Hzを下回る運動速度を有する、略50mm未満のランダムベクトルの往復的な側方向の寝具表面の動き;b.)例えば保護者により吐き出されるのと同程度の、乳児の肌への気流速度;c.)定常光については120,000ルクス程度またはパルス光については220,000ルクス程度の光強度;およびd.)90デシベル程度の音圧。装置10は、さらに、そのプログラムされた刺激の差動モードを以下の改変により変化させてもよい:a.)刺激の間の期間(RD);b.)刺激の波形パターンおよび時間(SD);およびc.)刺激のエネルギー(SI)。これらは、すべて、可能性のある乳児の適応に事前に対応する手段として、タイミングおよび強さについて明らかにランダム化させる。それにより、本方法を定義する上記パラメータのすべてにおいて、装置10は、速度、振幅、およびエネルギーが変化する1つ以上のプログラムされた差動刺激を、変化可能な時間において睡眠中の乳児20に送達するように機能する。
【0031】
本発明の一実施形態において、質量体振動手段110は、質量体111に固定されたモータ112(図9および図10)により往復移動させられる質量体111の形態を取り、質量体111は、繊維ガラスまたは他の好適に弾力性の材料などの2つの弾力性隔離器113により筐体30のベースの垂直上方に保持される。モータ112は、例えば、0.5〜5振動毎秒で運転させてもよい。2つの弾力性繊維ガラス隔離器113は、各々、モータの反転時にモータ112が質量体111を戻らせるのを助けるバネとして部分的に作用する。
【0032】
本発明の特定の形態を図示および説明してきたが、本発明の要旨から逸脱することなく様々な修正を行うことが可能であることが明らかである。例えば、筐体30は、ベビーベッドのマットレスまたはベビーベッド22自体に組み込んでもよい。本装置および方法は、さらに、大人および年長者の生活/睡眠品質改善および不安軽減に適用され、人間の機能の保証、睡眠の研究および制御、大人の睡眠の補助、子供を保護する品質の保証、ならびに動物の世話などの分野に適用される。さらに、質量体振動手段110は、質量体111を往復させるためのいずれかの好適で比較的静かな機械的手段であってもよい。そのため、本発明は、付帯の請求項による限定を除き、限定されることを意図するものではない。
【0033】
本明細書中で提供される教示は、必ずしも本明細書に記載のシステムでなく、他のシステムに適用することが可能である。上記の様々な実施形態の要素および作用を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することが可能である。添付の出願書類に列記されたものを含め、上記の特許、出願、および他の文献のすべては、参照により本明細書に組み込まれる。必要な場合、上記の様々な文献のシステム、機能、および概念を用いるように本発明の態様を修正し、本発明のさらなる実施形態を提供することが可能である。
【0034】
上記の詳細な説明に照らして、これらのおよび他の変更を本発明に行うことが可能である。上記の記載は、本発明のある実施形態を詳細に説明するとともに考えられる最良の形態を説明するものであるが、上記が文章としてどれほど詳細なものであるかに関わらず、本発明は、多くの方法で実施することが可能である。本システムの詳細は、本明細書中で開示された本発明に包含されながらも、その実装の詳細において著しく変化し得る。
【0035】
本発明のある特長または態様を説明するときに用いられる特定の用語は、その用語が関連付けられた本発明のいずれかの具体的な特徴、特長、または態様に制限されるように本明細書中で再定義されることを示唆するものと取るべきではない。一般に、後続の請求項において用いられる用語は、上記の詳細な説明セクションがかかる用語を明示的に定義しない限り、本発明を明細書において開示された具体的な実施形態に限定するものと解釈すべきではない。そのため、本発明の実際の範囲は、開示された実施形態のみでなく、本発明を実施または実装するすべての均等な方法も包含する。
【0036】
本発明の実施形態の上記の詳細な説明は、網羅的であるか、または上で開示された厳密な形態もしくは本開示において言及された特定の使用分野に本発明を限定することを意図するものではない。本発明の具体的な実施形態および本発明のための例を例示目的で上で説明したが、当業者が認識するであろうように、本発明の範囲内で様々な均等な修正が可能である。また、本明細書中で提供される本発明の教示は、必ずしも上記のシステムでなく、他のシステムに適用することが可能である。上記の様々な実施形態の要素および作用を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することが可能である。
【0037】
添付の出願書類に列記されたものを含め、上記の特許、出願、および他の文献のすべては、参照により本明細書に組み込まれる。必要な場合、上記の様々な文献のシステム、機能、および概念を用いるように本発明の態様を修正し、本発明のさらなる実施形態を提供することが可能である。
【0038】
上記の「詳細な説明」に照らして、本発明に変更を行うことが可能である。上記の記載は、本発明のある実施形態を詳細に説明するとともに考えられる最良の形態を説明するものであるが、上記が文章としてどれほど詳細なものであるかに関わらず、本発明は、多くの方法で実施することが可能である。このため、実装の詳細は、本明細書中で開示された本発明に包含されながらも、著しく変化し得る。上述のように、本発明のある特長または態様を説明するときに用いられる特定の用語は、その用語が関連付けられた本発明のいずれかの具体的な特徴、特長、または態様に制限されるように本明細書中で再定義されることを示唆するものと取るべきではない。
【0039】
一般に、後続の請求項において用いられる用語は、上記の詳細な説明セクションがかかる用語を明示的に定義しない限り、本発明を明細書において開示された具体的な実施形態に限定するものと解釈すべきではない。そのため、本発明の実際の範囲は、開示された実施形態のみでなく、請求項に基づいて本発明を実施または実装するすべての均等な方法も包含する。
【0040】
本発明のいくつかの態様を以下でいくつかの請求項の形態で提示するが、発明者は、いずれの数の請求項の形態における本発明の様々な態様も考慮している。そのため、発明者は、本発明の他の態様についての追加の請求項の形態を追求するため、出願後にかかる追加の請求項を追加する権利を保有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠中の乳児を刺激するための装置であって:
少なくともユーザインタフェース、タイマ、および間隔オフセット発生器を有する回路と;
前記回路に動作的に連結された刺激源と;を備え、
前記タイマおよび前記間隔オフセット発生器により決定された休止持続時間の満了に伴い、前記回路は、ある刺激強度で刺激持続時間の間前記刺激源を一時的に活性化させ、次いで、前記乳児が睡眠している間に前記乳児を繰り返し周期的に刺激し、各連続する休止持続時間は、前記間隔オフセット発生器により決定されることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、少なくとも1つの中空部分を内部に有する筐体をさらに含み、前記回路は、少なくとも部分的に前記筐体内に収容されていることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、前記間隔オフセット発生器はランダムオフセット間隔発生器であり、各連続する休止持続時間は、第1の予め設定されたランダム分布および第1の標準偏差により実質的にランダムな間隔だけ前の休止持続時間から変化することを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、少なくとも各連続する刺激持続時間も、第2の予め設定されたランダム分布および第2の標準偏差により実質的にランダムな間隔だけ前の刺激持続時間から変化することを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項3に記載の装置において、少なくとも各連続する刺激持続時間も、第2の予め設定されたランダム分布および第2の標準偏差により実質的にランダムな間隔だけ前の刺激持続時間から変化することを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置において、前記間隔オフセット発生器は、予め設定されたオフセット間隔のリストであり、少なくとも各連続する休止持続時間は、予め設定されたオフセット間隔の前記リストにより次の連続するオフセット間隔だけ前の休止持続時間から変化することを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、前記刺激強度は、実質的にランダムな強度であり、少なくとも各連続する刺激強度は、第3の予め設定されたランダム分布および第3の標準偏差により実質的にランダムなレベルだけ前の刺激強度から変化することを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、前記刺激源は質量体振動手段であり、前記乳児は触覚的振動により刺激されることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項2に記載の装置において、前記刺激源は前記筐体に収容された質量体振動手段であり、前記乳児は触覚的振動により刺激されることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置において、前記刺激源は送風手段であり、前記乳児は風により刺激されることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置において、前記刺激源は照射手段であり、前記乳児は可視光により刺激されることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置において、前記刺激源は音発生手段であり、前記乳児は音により刺激されることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置において、前記回路は、前記刺激源が活性化されたときに前記乳児の反応を記録するための音声または音声/映像記録手段をさらに含み、前記回路は、前記音声/映像記録に電子的にアクセスするための前記回路に電気的に相互接続されたデータポートをさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項8に記載の装置において、前記回路は加速度計をさらに含み、前記回路は、前記装置の共振が最大となる質量体の振動周波数を決定し得ることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項1に記載の装置において、前記回路は加速度計をさらに含み、前記加速度計は、乳児の呼吸数を測定するように適合されており、前記回路は、それに応じて前記間隔オフセット発生器を調節することを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項1に記載の装置において、前記回路は、前記乳児の心拍数を測定するように適合された心拍数センサをさらに含み、前記回路は、それに応じて前記間隔オフセット発生器を調節することを特徴とする装置。
【請求項17】
睡眠中の乳児を周期的に刺激するための方法であって:
a)ユーザインタフェース、タイマ、および間隔オフセット発生器を有する回路と、前記回路に動作的に連結された刺激源とを有する回路を提供するステップと;
b)前記回路が前記睡眠中の乳児の付近に支持されるように指令するステップと;
c)前記タイマおよび前記間隔オフセット発生器により次の休止持続時間を決定するステップと;
d)前記休止持続時間の満了に伴い、刺激持続時間の間前記刺激源を活性化させるステップと;
e)前記乳児が目覚めるまでステップc)から繰り返すステップと;を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、ステップd)は、前記休止持続時間の満了に伴い、擬似ランダム刺激持続時間の間前記刺激源を活性化させるステップであることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法において、ステップd)は、前記休止持続時間の満了に伴い、擬似ランダム刺激強度で擬似ランダム刺激持続時間の間前記刺激源を活性化させるステップであることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項17に記載の方法において、前記休止持続時間の平均および標準偏差は、前記乳児の観測された無呼吸状態の悪化により調節されることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項17に記載の方法において、前記休止持続時間の平均および標準偏差は、前記乳児の観測された睡眠サイクル持続時間により調節されることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−512764(P2013−512764A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543207(P2012−543207)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/059319
【国際公開番号】WO2011/071938
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(512148584)
【氏名又は名称原語表記】SHINNICK,Mark
【Fターム(参考)】