説明

乳化剤及び分散安定剤並びにそれを含有する皮膚外用剤

【課題】高分子乳化剤の安全性と、低分子乳化剤の汎用性を両立した天然由来の高分子乳化剤を利用することで、皮膚刺激性を低減し、かつ、一般的な高分子乳化剤を利用したとき特有の感触上の欠点や剤形上の制限を解消した乳化剤、及び、ナノ乳化粒子を水相へ安定に分散させることができる分散安定剤を提供することである。また、それらを利用した皮膚外用剤を提供することである。
【解決手段】平均分子量500〜10,000のイヌリンに炭素数4〜30のアルキル基を有するグリシジルエーテルを反応させて、前記イヌリン内の水酸基を、構成フルクトース1残基あたり0.001〜1の範囲にある置換度(DS)で置換したアルキルグリセリルエーテル化イヌリンを有効成分として含有する乳化剤及び分散安定剤並びにそれを含有する皮膚外用剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキルグリセリルエーテル化イヌリンを有効成分として含有する乳化剤及び分散安定剤並びにそれを含有する皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高分子乳化剤として、アルキル化セルロースのような天然由来の高分子やアクリル酸共重合体のような合成系高分子などが利用されてきた。これらの高分子乳化剤は、高分子であるため経皮吸収しにくいことから、皮膚に対する刺激性を低減できる。また、低分子乳化剤において懸念される防腐剤の可溶化がほとんど起こらないことから、防腐剤を低減できるので、安全性の面で、従来の低分子乳化剤より非常に優れている。
【0003】
これらの高分子乳化剤に対しては、消費者の天然志向及び植物志向を反映して天然成分を原料とするものが要望されており、例えば、変性セルロースエーテル(特許文献1)や、フラクトオリゴ糖脂肪酸エステル(特許文献2)が利用されている。しかしながら、これらの天然由来の高分子乳化剤は、乳化能があるといわれるものの、乳化剤としては、その機能が十分に発揮されておらず、実質的に増粘ゲル化剤として利用されていることがほとんどである(特許文献3)。そのため、化粧料をはじめとする皮膚外用剤を製造するためには、他の界面活性剤を併用せざるをえず、界面活性剤フリーの製品を製造することが困難であった。化粧水や低粘度の乳液などにおいては、併用する水溶性界面活性剤に由来するべた付き感が発生するという欠点もあった。
【0004】
なお、合成系の高分子乳化剤をはじめとする多くの高分子乳化剤は、高分子由来の粘弾性を持ち合わせているため高分子乳化剤を利用して調製した化粧料は、手乗りが悪く、肌なじみが悪く、更に、べた付きなど感触の点で問題があった。
【0005】
また、平均粒子径が1〜500nmのナノ乳化粒子を水相へ分散させた外観が透明〜半透明のナノエマルションあるいはマイクロエマルションは、一般に、油を多量の界面活性剤で可溶化させた可溶化液に比較し、少ない界面活性剤量で多量の油相を透明〜半透明に乳化分散させることができることから、皮膚外用剤においては外観が透明〜半透明であるローションや美容液等に油を配合する際に好適である。その一方で、これらのナノエマルションあるいはマイクロエマルションを、ローション等に配合した場合、処方中の界面活性剤、グリチルリチン酸ジカリウムやアミノ酸あるいはクエン酸Na等の添加成分で安定性が著しく低下し、系の白濁や沈殿が生じることで製品の品質が大きく低下する問題があった。
【0006】
分子量数千のイヌリンを親油化したアルキルカルバミン酸イヌリンはこれらの課題を解決する高分子乳化剤であるが(特許文献4)、原料であるアルキルカルバミン酸は、実質的にラウリルカルバミン酸イヌリンのみであり、原料バリエーションに乏しく、製品展開をする上で問題がある。また、高濃度のシリコーン油を十分に乳化することが困難である。
【0007】
ところで、エポキシ化アルカンを使用したイヌリン誘導体が知られているが(特許文献5)、導入したアルキル基が短く、そのため、期待される乳化性能が得られていない。また、糖分子の1つの水酸基を(ポリ)グリセリン誘導体で置換した界面活性剤(特許文献6)が知られているが、アルキル基の導入率が高く、十分な乳化能および界面活性能を発揮できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平03−012401号公報
【特許文献2】特開平03−197409号公報
【特許文献3】特開2004−352689号公報
【特許文献4】特開2005−504630号公報
【特許文献5】特開平07−149802号公報
【特許文献6】特開平08−188588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、高分子乳化剤の安全性と、低分子乳化剤の汎用性を両立した天然由来の高分子乳化剤を利用することで、皮膚刺激性を低減し、かつ、一般的な高分子乳化剤を利用したとき特有のべた付きや手乗りの悪さ、皮膚に対するなじみの悪さがない、低分子乳化剤を用いて乳化したときのように感触が良好な皮膚外用剤、より好ましくは、ポリオキシエチレン系界面活性剤を利用しない上記皮膚外用剤を提供することを目的とするものである。
【0010】
また、従来高分子乳化剤を利用すると調製することが困難だった低粘度の皮膚外用剤や、既存のイヌリン系乳化剤では乳化が困難であったシリコーン油を高濃度に配合した皮膚外用剤を提供することである。
【0011】
更に、本発明は、平均粒子径が1〜500nmのナノ乳化粒子を水相へ分散させた外観が透明又は半透明の皮膚外用剤において、特定の分散安定剤を用いることで、皮膚外用剤に含まれる界面活性剤や電解質など影響を受けにくい、安定性に優れる当該ナノ乳化粒子を含む外観が透明又は半透明の皮膚外用剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、上述の事情に鑑み鋭意研究した結果、驚くべきことに、平均分子量500〜10,000のイヌリンに炭素数4〜30のアルキル基を有するグリシジルエーテルを反応させて、前記イヌリン内の水酸基を、構成フルクトース1残基あたり0.001〜1の範囲にある置換度(DS)で置換した化合物は、高分子乳化剤であるにもかかわらず、高分子特有の増粘作用などの感触上の欠点を解消できることを見出した。また、高濃度のシリコーン油を乳化できることを見出した。
【0013】
また、前記アルキルグリセリルエーテル化イヌリン((A)成分)を、(B)HLB9以下の親油性界面活性剤、高級アルコール、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテルからなる群から選択される1種または2種以上、(C)多価アルコール、(D)25℃で液状の油剤であって(B)成分以外のものと組み合わせることで、乳化安定性、保湿性、感触がより良好でバラエティー豊かな剤形の皮膚外用剤を提供することができることを見出した。
【0014】
更には、前記アルキルグリセリルエーテル化イヌリン((A)成分)は、平均粒子径が1〜500nmのナノ乳化粒子を水相へ分散させた外観が透明又は半透明の皮膚外用剤において、分散安定剤として有用であることを見出した。
【0015】
そして、前記アルキルグリセリルエーテル化イヌリン((A)成分)を分散安定剤として利用することで、平均粒子径が1〜500nmのナノ乳化粒子を安定に分散した皮膚外用剤を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0016】
本発明のアルキルグリセリルエーテル化イヌリンを利用することで、皮膚刺激性を低減し、かつ、一般的な高分子乳化剤の欠点を解消した、低分子乳化剤を用いて乳化したときのように感触が良好な皮膚外用剤や低粘度の皮膚外用剤を提供することができる。また、既存のイヌリン系乳化剤では乳化が困難であったシリコーン油を高濃度に含有した皮膚外用剤を提供することができる。
【0017】
また、本発明のアルキルグリセリルエーテル化イヌリンを前記(B)成分、(C)成分、(D)成分と組み合わせることで、皮膚刺激性が低く、乳化安定性や保湿性がより高く、感触が良好でバラエティー豊かな剤形の皮膚外用剤を供与できる。
【0018】
更に、平均粒子径が1〜500nmのナノ乳化粒子を水相へ分散させた外観が透明又は半透明の皮膚外用剤において、本発明のアルキルグリセリルエーテル化イヌリンを分散安定剤として利用することで、皮膚外用剤に含まれる界面活性剤や電解質など影響を受けにくい、安定性に優れる当該ナノ乳化粒子を含む外観が透明又は半透明の皮膚外用剤を供与できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の(A)成分である本発明のアルキルグリセリルエーテル化イヌリンは、例えば下記の方法で合成される。非プロトン性極性溶媒中でイヌリンとアルキルグリシジルエーテルを塩基性触媒存在下、80℃〜150℃の温度で、1〜5時間反応させることにより、得ることができる。また、例えば反応後は、減圧下で溶媒を留去し、残渣に低沸点溶剤を添加し、洗浄することで、精製できる。所望の置換度を有する誘導体を製造するためには、反応体の化学量論的割合を変えれば十分である。
【0020】
本発明のアルキルグリセリルエーテル化イヌリンは、平均分子量500〜10,000のイヌリンに炭素数4〜30のアルキル基を有するグリシジルエーテルを反応させて、前記イヌリン内の水酸基を、構成フルクトース1残基あたり0.001〜1の範囲にある置換度(DS)で置換したものである。
【0021】
好ましくは、イヌリンの平均分子量が1,000〜5,000で、炭素数8〜22のアルキルグリシジルエーテルを反応させるのが望ましい。
【0022】
イヌリンに対する置換度(DS)は、アルキルグリセリルエーテル基の置換度が各フルクトース単位に対して0.002〜0.8が好ましく、更に好ましくは、0.01〜0.5である。
【0023】
イヌリンに対する置換度(DS)は、単糖に対するアルキルグリセリルエーテル基の等量数として与えられ、その際、普通は、反応に仕込むアルキルグリシジルエーテル量が多ければ多いほど、イヌリン分子の水酸基は置換される。例えば、置換度1とは、単糖に対して1等量数のグリセリルエーテル基が導入されている場合を示している。置換度の測定は、公知のH-NMR法により単糖のプロトンの積分面積値とアルキルグリセリルエーテル基のプロトンの積分面積値との比から求めることができる。
【0024】
本発明のアルキルグリセリルエーテル化イヌリンは、本成分のみでも本発明の効果を達成できるし、本成分のアルキル基及び/又はアルキル置換度が異なる2種以上を用いても本発明の効果を達成できる。
【0025】
本発明のアルキルグリセリルエーテル化イヌリンによる乳化機構の詳細は明らかではないが、油中水型乳化組成物の中で、油界面にアルキル基が配位し、親水基としてのイヌリンが油相の外側に親水層膜を適度に形成することで、既存の高分子乳化剤に見られるような増粘作用を引き起こさず、安定な乳化ができると考えられる。
【0026】
皮膚外用剤における本発明のアルキルグリセリルエーテル化イヌリンの配合量は、皮膚外用剤の用途や形態により異なるが、通常0.1〜40質量%であり、好ましくは0.2〜30質量%であり、更に好ましくは0.5〜10質量%である。この範囲であれば、本発明の効果をより発揮できる。
【0027】
上記(A)成分とともに、以下に説明する(B)、(C)、(D)成分を組合せることにより、より乳化安定性や保湿性が高い、感触が良好でバラエティー豊かな剤形の皮膚外用剤を調製することができる。
【0028】
本発明に使用される(B)成分のHLB9以下の親油性界面活性剤は、通常HLB1〜9であり、好ましくはHLB3〜9である。HLB9以下の親油性界面活性剤としては、リン脂質、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどが好ましく、これらを1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
【0029】
具体的には、リン脂質としては、大豆レシチン、卵黄レシチン、水素添加大豆レシチン、水素添加卵黄レシチンなどのレシチン類、これらのレシチン類を酵素処理によりモノアシル体としたリゾレシチンおよびまたは水素添加リゾレシチン、ヒドロキシル化したヒドロキシレシチンなどを挙げることができる。また、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリンなどのレシチン中のリン脂質分画物もそれぞれ単品およびまたは混合して使用できる。これらの中で特に好ましいのは、大豆レシチン、水素添加大豆レシチンである。
【0030】
また、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、モノステアリン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸テトラグリセリル、モノオレイン酸テトラグリセリル、ペンタステアリン酸テトラグリセリル、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、トリステアリン酸ヘキサグリセリル、ペンタステアリン酸ヘキサグリセリル、ポリリシノレイン酸ヘキサグリセリル、トリステアリン酸デカグリセリル、トリオレイン酸デカグリセリル、ペンタステアリン酸デカグリセリル、ペンタスヒドロキシステアリン酸デカグリセリル、ペンタイソステアリン酸デカグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリル、ヘプタステアリン酸デカグリセリル、ヘプタオレイン酸デカグリセリル、デカステアリン酸デカグリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル、デカオレイン酸デカグリセリル、ポリリシノレイン酸デカグリセリルなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中で特に好ましいのは、モノステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸テトラグリセリル、モノオレイン酸テトラグリセリル、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、トリステアリン酸ヘキサグリセリル、ペンタステアリン酸デカグリセリル、ペンタイソステアリン酸デカグリセリルある。
【0031】
グリセリン脂肪酸エステルとしては、ウンデシレン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリルなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。この中で特に好ましいのは、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリルである。
【0032】
プロピレングリコール脂肪酸エステルとしては、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノパルミチン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコール、モノベヘン酸プロピレングリコールなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。この中で特に好ましいのは、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノパルミチン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコールである。
【0033】
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタンなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。特に好ましいのは、モノステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタンである。
【0034】
また、高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコールなどが挙げられ、これらを1種または2種以上組み合わせて使用することができる。特に好ましいのは、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールである。
【0035】
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、イソステアリン酸などが挙げられる。これらを1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。特に好ましいのは、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸である。
【0036】
アルキルグリセリルエーテルとしては、バチルアルコール、キミルアルコール、セラキラルコール及びそれらの脂肪酸エステルなどが挙げられ、これらを1種または2種以上組み合わせて使用することができる。特に好ましいのは、バチルアルコール、キミルアルコールである。
【0037】
本発明で使用される(C)成分の多価アルコールとしては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、マルチトールなどが挙げられる。特に好ましいのは、1,3−ブチレングリコール、グリセリンである。
【0038】
本発明で使用される(D)成分の25℃で液状の油剤であって(B)成分以外のものとしては、一般に化粧品に使用される油性原料なら何れも好適に使用できる。具体的には、スクワラン、流動パラフィン、α−オレフィンオリゴマー、ポリエチレンなどの炭化水素類、フッ素系油剤、オリーブ油、マカデミアンナッツ油、ホホバ油などの植物油、牛脂などの動物油、トリイソオクタン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、イソオクタン酸セチル、パルミチン酸イソオクチル、カプリル酸プロピレングリコールなどのエステル類などが挙げられる。なお、本発明によれば、従来、既存のイヌリン系乳化剤では乳化が困難であったシリコーン油を高濃度に配合することができる。
【0039】
シリコーン油としては、ジメチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、シクロメチコンなどが挙げられる。特に好ましくは、ジメチルシリコーン、シクロメチコンである。シリコーン油は、前記全油剤中10〜100質量%を含有することが好ましい。より好ましくは、20〜50質量%である。この範囲において、本発明の皮膚外用剤は感触がより良好になる。
【0040】
本発明において、(A)〜(D)成分の比率(質量比)は、
(A)/(B)=10/90〜95/5が好ましく、より好ましくは、(A)/(B)=20/80〜80/20、さらに好ましくは、(A)/(B)=25/75〜50/50である。
(A)/(C)=1/99〜75/25が好ましく、より好ましくは、(A)/(C)=5/95〜50/50、さらに好ましくは、(A)/(C)=10/90〜20/80である。
(A)/(D)=5/95〜95/5が好ましく、より好ましくは、(A)/(D)=15/85〜80/20、さらに好ましくは、(A)/(D)=20/80〜75/25である。
(A)+(B)/(C)=20/80〜95/5が好ましく、より好ましくは、(A)+(B)/(C)=25/75〜80/20、さらに好ましくは、(A)+(B)/(C)=30/70〜75/25である。
(A)+(B)/(D)=10/90〜95/5が好ましく、より好ましくは、(A)+(B)/(D)=20/80〜85/15、さらに好ましくは、(A)+(B)/(D)=30/70〜70/30である。
この範囲において、皮膚外用剤がより安定に調製できる。
【0041】
本発明のアルキルグリセリルエーテル化イヌリンを含有した皮膚外用剤を調製する際は、パドルミキサー、ホモミキサー、高圧ホモミキサーなどの通常の乳化装置が使用できる。調製法は、予め、アルキルグリセリルエーテル化イヌリンと水溶性原料と水を、50〜80℃で融解混合しておき、ホモミキサーなどで攪拌下、50〜80℃の油性原料を投入する方法、または、予め、アルキルグリセリルエーテル化イヌリンと水溶性原料と水を、50〜80℃で融解混合しておいたものを、ホモミキサーなどで攪拌下、50〜80℃に温めた油性原料中に投入する方法などが挙げられる。
【0042】
更に、本発明の(A)成分であるアルキルグリセリルエーテル化イヌリンは、分散安定剤として利用することができる。本発明における分散安定剤とは、ナノ乳化粒子を水相へ安定に分散させるものである。
【0043】
本発明の(A)成分であるアルキルグリセリルエーテル化イヌリンを分散安定剤として利用した皮膚外用剤には、平均粒子径が1〜500nmのナノ乳化粒子、好ましくは5〜200nm、更に好ましくは10〜100nmのナノ乳化粒子を含むことができる。ナノ乳化粒子とは、室温で液状及び/又は固体の油を含有する油相を、界面活性剤を用いて平均粒子径が1〜500nmの乳化粒子として水相へ分散させたものである。このようなナノ乳化粒子を水相へ分散させたものを、ナノエマルションあるいはマイクロエマルションという。
【0044】
このナノエマルションあるいはマイクロエマルションは、透明又は半透明の外観を持ち、一般に、油を多量の界面活性剤で可溶化させた可溶化液に比較し、少ない界面活性剤量で多量の油相を透明又は半透明に乳化分散させることができる。従って、皮膚外用剤においては、外観が透明又は半透明であるローションや美容液等に油を配合する際に好適である。
【0045】
また、このようなナノエマルションあるいはマイクロエマルションの油相には、活性成分を配合することができるが、このようなナノエマルションあるいはマイクロエマルションは、それらの安定性や経皮吸収性を向上させることが知られている。
【0046】
本発明の外観が透明又は半透明の皮膚外用剤は、それらの一定量を石英セルに入れて測定試料とし、精製水を対照液として分光光度計で波長680nmにおける透過率を測定した場合、その透過率が60%未満で白濁、60〜85%までを半透明、85%を超えた状態を透明とする。
【0047】
これらナノエマルションあるいはマイクロエマルションの油相に配合できる活性成分としては、ビタミンAおよびその誘導体(レチノール、パルミチン酸レチノール、リノール酸レチノール、酢酸レチノール、水添レチノール等の誘導体)、カロチノイド類(カロチン、リコピン、アスタキサンチン、ルテイン等)、ビタミンBおよびその誘導体(ジオクタン酸ピリドキシン、ジパルミチン酸ピリドキシン、トリヘキシルデカン酸ピリドキシン等)、ビタミンCおよびその誘導体(ジパルミチン酸アスコルビルやテトラヘキシルデカン酸アスコルビル等のアスコルビン酸アルキルエステル、3−O−セチルアスコルビン酸等のアスコルビン酸アルキルエーテル等)、ビタミンDおよびその誘導体(エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ジヒドロキシスタナール等)ビタミンEおよびその誘導体(天然ビタミンE、dl−α(β、γ)−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェリル、レチノイン酸トコフェリル等のトコフェロールおよびその誘導体、トコトリエノール等)等の脂溶性ビタミン類のほか、グリチルレチン酸ステアリル、グリチルレチン酸、コエンザイムQ10等の油溶性薬剤を挙げることができる。
【0048】
本発明のアルキルグリセリルエーテル化イヌリンを分散安定剤として利用した、ローションや美容液等の製品中において、ナノエマルションあるいはマイクロエマルションの安定性及び分散性を向上させることができる。すなわち、本発明のアルキルグリセリルエーテル化イヌリンを使用することで、白濁や沈殿が生じることなく安定にナノ乳化粒子を外観が透明又は半透明の皮膚外用剤中に配合することができる。
【0049】
本発明の(A)成分であるアルキルグリセリルエーテル化イヌリンを分散安定剤として利用してナノ乳化粒子を配合する方法は、特に限定されるわけではないが、予め所定量の本発明のアルキルグリセリルエーテル化イヌリンを含むローション等を調製し、そこに所望する量のナノエマルションあるいはマイクロエマルションを添加すれば良い。また、予め、本発明のアルキルグリセリルエーテル化イヌリンとナノエマルションあるいはマイクロエマルションを混合したものを、ローション等の製品に後添することも好適である。
【0050】
本発明の(A)成分であるアルキルグリセリルエーテル化イヌリンを分散安定剤として利用した平均粒子径が1〜500nmのナノ乳化粒子を含む皮膚外用剤における、本発明のアルキルグリセリルエーテル化イヌリンの配合量は、皮膚外用剤の最終組成中で0.05〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは、0.1〜2.0質量%、さらに好ましくは、0.5〜2.0質量%である。
【0051】
本発明の皮膚外用剤においては、通常化粧料に用いられる各種の成分、例えば、紫外線吸収剤、無機粉体、保湿剤、pH調整剤、中和剤、酸化防止剤、防腐剤、抗菌剤、活性成分、薬剤、抽出液、香料、色素等を配合できる。例えば、紫外線吸収剤としては、ジベンゾイルメタン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、安息香酸系化合物、サリチル酸系化合物、メトキシケイ皮酸系化合物などが挙げられる。無機粉体としては、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、マイカなどが挙げられる。保湿剤としては、アミノ酸などのNMF成分、水溶性コラーゲン、エラスチン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウムなどを挙げることができる。pH調整剤、中和剤としては、乳酸、クエン酸、エデト酸ナトリウムなどが挙げられる。酸化防止剤としては、α−トコフェロール、没食子酸などが挙げられる。防腐剤、抗菌剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、ソルビン酸などが挙げられる。活性成分としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、テトライソパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、エラグ酸、レシノールなどの美白剤、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、セラミドなどの肌荒れ防止剤、レチノール及びそれらの誘導体、ビタミンA酸及びそれらの誘導体などの抗老化剤や各種ビタミン類やその誘導体などを挙げることができる。
【0052】
本発明に使用できる界面活性剤としては、POEソルビタンモノオレート、POEソルビタンモノステアレートなどのPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレートなどのPOEソルビット脂肪酸エステル類、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレートなどのPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEモノオレート、POEモノイソステアレートなどのPOE脂肪酸エステル類、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEステアリルエーテルなどのPOEアルキルエーテル類、POE・POPセチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテルなどのPOE・POPアルキルエーテル類、ショ糖脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステルなどのノニオン界面活性剤、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウムなどの脂肪酸セッケン類、ラウリル硫酸ナトリウム、POEラウリル硫酸ナトリウムなどの硫酸エステル類、ラウロイルサルコシンナトリウム、ココイル−N−メチルタウリンナトリウム、ラウリルグルタミン酸ナトリウムなどのアシル化アミノ酸塩類、モノラウリルリン酸ナトリウムなどのリン酸エステル塩などのアニオン界面活性剤、第4級アンモニウム塩などのカチオン界面活性剤などであるが、これらを1種または2種以上を組み合わせることができる。しかし、本発明品は天然由来乳化剤であるので、天然由来成分のみからなる化粧料を調製する場合は、ポリオキシエチレン型界面活性剤は配合しないことがより望ましい。
【0053】
本発明にかかる皮膚外用剤の使用用途は特に限定されるものではないが、例えば、ローション、乳液、クリーム、ファンデーション、口紅、クレンジングフォーム、クレンジングクリーム、シャンプー、ヘアリンス、リップクリーム、ヘアスプレー、ムース、日焼け止めまたは日焼け用クリーム、アイライナー、マスカラ、毛髪または爪の手入れ、マッサージクリーム、ボディーメーキャップ製剤等、または、軟膏などの皮膚治療薬などの種々の製品に応用することが可能である。
【0054】
なお、本発明の(A)成分でもあるアルキルグリセリルエーテル化イヌリンは、乳化剤として、また、ナノ乳化粒子の分散安定化剤として利用できるほか、可溶化剤、粉体の分散剤、ゲル化剤として利用できる
【0055】
また、(A)成分のアルキルグリセリルエーテル化イヌリンは、他の界面活性剤との相互作用が少ないので、乳化破壊を起こすことなく油を処方中に配合することができる。例えば、一般にシャンプーに油に配合する場合は、起泡力の低下を抑制する目的で、予め油を乳化して添加する方法が知られているが、そうした場合であっても、シャンプー中の界面活性剤による乳化破壊のために泡立ちが低下することが多い。本発明の(A)成分のアルキルグリセリルエーテル化イヌリンを使用して得た乳化物を利用することで、油を配合しても泡立ちに影響しないシャンプーを調製することができる。具体的には、予め本発明の(A)成分のアルキルグリセリルエーテル化イヌリンを用いて油を乳化物として、それをシャンプーに配合するか、本品を配合したシャンプーに油を配合することで調製することができる。
【実施例1】
【0056】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0057】
(実施例1)
【0058】
表1の通り、各種アルキルグリセリルエーテル化イヌリンを合成し、表2に記載の乳化組成物を調製して乳化性能を評価した。乳化性能の判定は、乳化粒子径が小さく油浮きが生じない良好な乳化状態を◎、油浮きが生じない良好な乳化状態を○、油相が分離したものを×とした。
【0059】
その結果、表1に示す通り、本発明のアルキルグリセリルエーテル化イヌリンは、乳化性能が優れることが確認された。
【表1】

【表2】

(調製方法)
A、Bを80℃に加温した。AにBを添加し、ホモミキサーにて乳化し(5,000rpm、2分間)、24時間後の乳化状態を観察した。
【0060】
(実施例2)
【0061】
表3に、乳化剤としてアルキルグリセリルエーテル化イヌリンを利用した皮膚外用剤を示す。乳化直後の皮膚外用剤の乳化状態の評価は、実施例1と同じ基準で評価した。また、安定性については、以下の基準で評価した。
◎:乳化粒子径が変化せず、分離ともになし
○:乳化粒子径に若干変化がみられるが、分離していない
△:乳化粒子径が変化し、やや分離している
×:分離している
【0062】
その結果、本発明の皮膚外用剤は、感触が良好で、低粘度であり、更にはシリコーン油を安定に乳化できることが確認された。
【表3】

(調製方法)
A、Bをそれぞれ80℃に加温溶解する。BにAを添加し、ホモミキサーを用いて乳化した後、Cを添加する。
【0063】
(実施例3)
【0064】
表4に示す実施例1の誘導体No.4、もしくはNo.8配合の本発明の皮膚外用剤を調製し、保湿試験を行った。測定方法は、22℃、相対湿度45%に調整した恒温・恒湿室で15分間待機したボランティア男女12名(25〜38歳)の前腕部内側に、本発明品と比較品をそれぞれ3mg/cm塗布して、経時の塗布部位の皮膚コンダクタンスを、SKICON 200により保湿効果を評価した。安定性については実施例2と同じ基準で評価した。
【0065】
その結果、表5に示すように、本発明品の塗布による皮膚コンダクタンス(平均値)は、比較品に対して、有意に上昇することが示された。すなわち、本発明品の保湿効果が確認された。
【表4】

(調製方法)
A、Bをそれぞれ70℃に加温溶解する。BにAを徐々に添加し、ホモミキサーを用いて5,000rpmで5分間攪拌30℃まで冷却した。
【表5】

【0066】
(実施例4)
【0067】
実施例3で調製した表4のアルキルグリセリルエーテル化イヌリン配合の乳化組成物について、ボランティア男女12名を用いて官能評価を行った。
評価方法は、本発明品または比較品を適量とり、塗布したときの感触を5段階で評価した。(感触の評価)
5:非常に好ましい、4:好ましい、3:どちらともいえない、2:好ましくない、1:非常に好ましくない
【0068】
その結果、本発明品は比較品に比べ、ベタつかず、手乗りや肌なじみが良好で、しっとり感を付与した。したがって、本発明品は、感触の良好な化粧料を提供できることが示された。
【表6】

【0069】
(実施例5)
【0070】
表7に、透明又は半透明のローション又は美容液を示す。APV処理をした直後の製剤の状態の評価は、分離せず均一な状態ものを「良好」、分離して不均一なものを「分離」とした。透明性については、美容液を分光光度計で680nmにおける透過率により評価した。安定性については、実施例2と同じ基準で評価した。
【0071】
その結果、本発明の皮膚外用剤は、透明又は半透明で安定であり、感触が良好であることが確認された。また、敏感肌のパネル10名に対して1日あたり2回の使用をして皮膚刺激の有無を申告させたが、皮膚刺激を訴えた者はなかった。
【表7】

(調製方法)
A、Bをそれぞれ70℃に加温溶解する。BにAを添加し、ホモミキサーを用いて乳化する。続いて、これをAPV用いて、700bar、70℃で3回パースする。
【0072】
(実施例6)
【0073】
表8に実施例1の誘導体とリン脂質を併用した製剤(美容液)を示す。安定性については、実施例2と同じ基準で評価した。
【表8】

(調製方法)
常法に従い、調製した。
【0074】
(実施例7)
【0075】
ナノ乳化粒子を含む皮膚外用剤は、予めナノエマルションあるいはマイクロエマルションを添加する方法にて調製しておき、それを本発明のアルキルグリセリルエーテル化イヌリンを含むローションに配合することで調製した。
【0076】
<ナノエマルションの調製>
マカデミアンナッツ油8質量部とδ―トコフェロール1.5質量部、およびβ−カロチン0.5質量部を秤取り、パドルミキサーを用いて70℃で融解・混合し、攪拌しながら30℃まで放冷することで均一な油相を調製した。その後、油相20重量部と水素添加大豆レシチン5重量部を秤取り、パドルミキサーを用いて70℃で融解・混合し、ナノ乳化粒子を得た。調製したナノ乳化粒子を70℃に保温したまま、ホモミキサーを用いて、75質量部の水相(精製水20質量部とグリセリン80質量部の混合物)に、5000rpmで攪拌しながら添加し、その後、同条件で10分間攪拌することで予備乳化物とした。その予備乳化物を、高圧ホモジナイザー(APV)を用いて、700bar、70℃で3パス処理を行い、その後、パドルミキサーで攪拌下、30℃まで放冷することで、平均乳化粒子径が59.0nmのナノエマルションを得た。
【0077】
<ナノエマルションを配合したローションの調製>
上記のナノエマルションを配合したローションを利用して、表9に示すローションの安定性を実施例2と同じ基準で確認した。透明性についてはローションを分光光度計で680nmにおける透過率により評価し、安定性については実施例2と同じ基準で評価した。調製直後のローションの状態(室温)については以下の基準で評価した。
良好:分離せず均一
分離:分離して不均一
【0078】
その結果、アルキルグリセリルエーテル化イヌリンを利用したナノ乳化粒子を含む皮膚外用剤は、透明又は半透明で安定であり、感触が良好であることが確認された。このことは、本発明のアルキルグリセリルエーテル化イヌリンは、ナノエマルションあるいはマイクロエマルションの安定性及び分散性を向上させることを示している。
【表9】

(調製方法)
【0079】
パドルミキサーを用いて、ナノエマルション以外の全成分を室温で混合し、均一透明液とした。そこへ、ナノエマルションを添加し、室温で10分間混合することでローションを得た。
【0080】
(実施例8)
乳液
流動パラフィン 1.0質量%
トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン 0.5
パルミチン酸エチルヘキシル 2.0
ジメチコン 3.0
モノステアリン酸グリセリル 0.2
モノイソステアリン酸グリセリル 0.2
ジステアリン酸グリセリル 0.1
モノステアリン酸ポリグリセリル−2 0.2
モノステアリン酸ポリグリセリル−4 0.2
モノオレイン酸ポリグリセリル−6 0.1
ステアリルアルコール 0.5
ベヘニルアルコール 0.5
実施例1の誘導体No.4 1.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
グリセリン 5.0
ビオサッカリドガム−1 0.3
キサンタンガム 0.1
防腐剤 適量
精製水 残余
(調製方法)
常法に従い、調製した。
【0081】
(実施例9)
保湿クリーム1
スクワラン 3.0質量%
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 2.0
イソオクタン酸セチル 5.0
ジメチコン6mm/s 6.0
ステアリン酸グリセリル 0.5
トリステアリン酸ポリグリセリル−6 1.0
セチルアルコール 0.8
ステアリルアルコール 0.5
ベヘニルアルコール 1.0
実施例1の誘導体No.8 3.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
グリセリン 5.0
ヒドロキシエチルセルロース 0.3
キサンタンガム 0.1
カルボマー 0.1
水酸化ナトリウム 適量
防腐剤 適量
精製水 残余
(調製方法)
常法に従い、調製した。
【0082】
(実施例10)
保湿クリーム2
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 6.0質量%
2−エチルヘキサン酸セチル 4.0
スクワラン 3.0
ホホバ油 2.0
シクロペンタシロキサン 3.0
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 1.0
ジメチコン6mm/s 1.0
トリ2−エチルヘキサン酸ピリドキシン 0.3
水添レチノール 0.1
モノステアリン酸グリセリル 0.5
モノステアリン酸ソルビタン 0.2
トリオレイン酸ソルビタン 0.2
モノオレイン酸ソルビタン 0.1
パルミチン酸 0.5
ステアリン酸 2.8
イソステアリン酸 0.5
バチルアルコール 0.3
キミルアルコール 0.2
実施例1の誘導体No.8 1.5
実施例1の誘導体No.9 1.5
1,3−ブチレングリコール 7.0
ジプロピレングリコール 3.0
カルボマー 0.2
アルギニン 適量
防腐剤 適量
精製水 残余
(調製方法)
常法に従い、調製した。
【0083】
(実施例11)
美白クリーム1
α−オレフィンオリゴマー 10.0質量%
トリイソオクタン酸グリセリル 8.0
シクロペンタシロキサン 5.0
テトラヘキシルデカン酸アスコルビル 1.0
大豆レシチン 0.2
水素添加大豆レシチン 0.3
モノステアリン酸ソルビタン 1.0
モノステアリン酸プロピレングリコール 0.5
セチルアルコール 1.2
ステアリルアルコール 2.5
バチルアルコール 0.8
実施例1の誘導体No.4 3.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
グリセリン 3.0
カルボマー 0.1
キサンタンガム 0.1
クエン酸 適量
クエン酸Na 適量
水酸化カリウム 適量
防腐剤 適量
精製水 残余
(調製方法)
常法に従い、調製した。
【0084】
(実施例12)
美白クリーム2
パルミチン酸エチルヘキシル 5.0質量%
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 8.5
マカデミアンナッツ油 3.0
ジメチコン350mm/s 0.3
レチノイン酸トコフェリル 0.05
モノステアリン酸グリセリル 0.5
モノステアリン酸プロピレングリコール 0.5
ステアリルアルコール 1.8
パルミチン酸 0.3
バチルアルコール 0.3
実施例1の誘導体No.5 2.5
キサンタンガム 0.1
カルボマー 0.2
ヒドロキシエチルセルロース 0.1
1,3−ブチレングリコール 5.0
グリセリン 5.0
リン酸アルコルビルMg 2.0
クエン酸 適量
クエン酸Na 適量
アルギニン 適量
防腐剤 適量
精製水 残余
(調製方法)
常法に従い、調製した。
【0085】
(実施例13)
シリコーン高濃度配合したクリーム
シクロペンタシロキサン 8.0質量%
ジメチコン350mm/s 7.0
モノステアリン酸ポリグリセリル−4 0.5
モノオレイン酸ポリグリセリル−6 0.3
ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル−10 0.2
ステアリルアルコール 2.0
ベヘニルアルコール 1.5
実施例1の誘導体No.5 2.0
1,3−ブチレングリコール 7.0
グリセリン 5.0
ヒドロキシエチルセルロース 0.2
キサンタンガム 0.3
カルボマー 0.1
EDTA−2Na 適量
水酸化ナトリウム 適量
防腐剤 適量
精製水 残余
(調製方法)
常法に従い、調製した。
【0086】
(実施例14)
日焼け止めクリーム(SPF40/UVA+++)
流動パラフィン 3.0質量%
トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン 2.0
酸化チタン(シリコーン処理品) 5.0
酸化亜鉛(シリコーン処理品) 5.0
ジメチコン6mm/s 3.0
パルミチン酸エチルヘキシル 2.0
モノステアリン酸ポリグリセリル−4 1.0
ステアリルアルコール 1.6
ベヘニルアルコール 1.8
酸化弟二鉄(赤色) 適量
酸化弟二鉄(黄色) 適量
実施例1の誘導体No.6 2.0
1,3−ブチレングリコール 7.0
グリセリン 5.0
ヒドロキシエチルセルロース 0.2
キサンタンガム 0.3
EDTA−2Na 適量
アルギニン 適量
防腐剤 適量
精製水 残余
(調製方法)
常法に従い、調製した。
【0087】
(実施例15)
ファンデーションクリーム
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 7.5質量%
サリチル酸エチルヘキシル 5.0
酸化チタン 8.0
酸化亜鉛 5.0
ジメチコン6mm/s 4.0
フェニルメチルシリコーン 3.0
トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン 2.0
パルミチン酸エチルヘキシル 5.0
モノステアリン酸ポリグリセリル−2 0.8
ステアリルアルコール 1.4
ベヘニルアルコール 1.6
実施例1の誘導体No.7 2.0
1,3−ブチレングリコール 7.0
グリセリン 5.0
ヒドロキシエチルセルロース 0.2
キサンタンガム 0.3
EDTA−2Na 適量
アルギニン 適量
防腐剤 適量
精製水 残余
(調製方法)
常法に従い、調製した。
【0088】
(実施例16)
マッサージクリーム
ミネラルオイル 20.0質量%
スクワラン 20.0
マカデミアンナッツ油 5.0
ホホバ油 5.0
酢酸トコフェロール 0.1
モノステアリン酸グリセリル 0.5
モノステアリン酸プロピレングリコール 0.2
モノパルミチン酸プロピレングリコール 0.2
モノオレイン酸プロピレングリコール 0.1
ステアリルアルコール 1.2
ベヘニルアルコール 0.8
バチルアルコール 0.3
実施例1の誘導体No.5 3.5
キサンタンガム 0.1
カルボマー 0.2
1,3−ブチレングリコール 5.0
グリセリン 5.0
クエン酸 適量
クエン酸Na 適量
アルギニン 適量
防腐剤 適量
精製水 残余
(調製方法)
常法に従い、調製した。
【0089】
(実施例17)
クレンジングクリーム
ミネラルオイル 20.0質量%
スクワラン 10.0
イソノナン酸イソノニル 10.0
ミリスチン酸イソプロピル 5.0
パルミチン酸エチルヘキシル 5.0
酢酸トコフェロール 0.1
モノステアリン酸グリセリル 0.5
モノステアリン酸プロピレングリコール 0.2
ステアリルアルコール 2.4
パルミチン酸 0.3
バチルアルコール 0.5
実施例1の誘導体No.8 3.0
キサンタンガム 0.1
カルボマー 0.1
1,3−ブチレングリコール 3.0
グリセリン 3.0
クエン酸 適量
クエン酸Na 適量
アルギニン 適量
防腐剤 適量
精製水 残余
(調製方法)
常法に従い、調製した。
【0090】
実施例6〜17の皮膚外用剤について、実施例3の保湿試験及び実施例4の官能評価を行うことによって、いずれも保湿効果が確認され、また感触が非常に良好であることを確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均分子量500〜10,000のイヌリンに炭素数4〜30のアルキル基を有するグリシジルエーテルを反応させて、前記イヌリン内の水酸基を、構成フルクトース1残基あたり0.001〜1の範囲にある置換度(DS)で置換することを特徴とするアルキルグリセリルエーテル化イヌリンを有効成分として含有する乳化剤。
【請求項2】
平均分子量500〜10,000のイヌリンに炭素数4〜30のアルキル基を有するグリシジルエーテルを反応させて、前記イヌリン内の水酸基を、構成フルクトース1残基あたり0.001〜1の範囲にある置換度(DS)で置換することを特徴とするアルキルグリセリルエーテル化イヌリンを有効成分として含有する分散安定剤。
【請求項3】
前記アルキルグリセリルエーテル化イヌリンを含有する皮膚外用剤。
【請求項4】
次の成分(A)〜(D)を含有する皮膚外用剤。
(A)前記アルキルグリセリルエーテル化イヌリン
(B)HLB9以下の親油性界面活性剤、高級アルコール、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテルからなる群から選択される1種または2種以上
(C)多価アルコール
(D)25℃で液状の油剤であって(B)成分以外のもの
【請求項5】
前記成分(B)の親油性界面活性剤が、リン脂質、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択される1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項4に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
前記成分(D)がシリコーン油の1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
前記成分(D)のシリコーン油が、前記の全油剤中10〜100質量%であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項8】
ポリオキシエチレン型界面活性剤を含まないことを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項9】
平均粒子径が1〜500nmのナノ乳化粒子を含むことを特徴とする請求項3〜8のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項10】
外観が透明又は半透明であることを特徴とする請求項9に記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2011−46701(P2011−46701A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171411(P2010−171411)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000226437)日光ケミカルズ株式会社 (60)
【出願人】(000228729)日本サーファクタント工業株式会社 (44)
【出願人】(301068114)株式会社コスモステクニカルセンター (57)
【Fターム(参考)】