説明

乳化化粧料

【課題】
本発明の乳化化粧料は、リノール酸の安定性だけでなく、みずみずしい使用感とエモリエント効果に優れ、さらに経時安定性に優れる乳化化粧料に関する。
【解決手段】
次の成分(a)〜(f);
(a)リノール酸
(b)ホスファチジルコリン含量が90質量%以上のリン脂質
(c)コレステロール及び/又はフィトステロール
(d)炭素原子数6〜10の分岐脂肪酸と炭素原子数5〜18のアルコールとのモノエステルであり、25℃において液状であるエステル油1種または2種以上
(e)ジブチルヒドロキシトルエン
(f)水
を含有することを特徴とする乳化化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リノール酸を安定に含有する乳化化粧料に関し、さらに詳細には、リノール酸、ホスファチジルコリンの含量が90質量%以上のリン脂質、コレステロール及び/又はフィトステロール、炭素原子数6〜10の分岐脂肪酸と炭素原子数5〜18のアルコールとのモノエステルであり、25℃において液状であるエステル油1種又は2種以上、ジブチルヒドロキシトルエンおよび水を含有し、リノール酸の安定性に優れ、みずみずしい使用感と、エモリエント効果に優れる特徴を有する乳化化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧料にはその使用目的に応じて種々の効能成分が配合されている。なかでも美白効果を訴求する美白化粧料は、古来より「色が白いのは七難隠す」といわれるぐらい重要なアイテムであり、近年では紫外線による肌への影響も問題視されるなど研究が盛んに行われている。美白剤は種類として多数存在しており、リノール酸を美白剤として用いる技術がある(例えば、特許文献1参照)。
さらにリノール酸等と甘草から抽出された油溶性エキスと組み合わせて相乗的に美白効果をあげる技術(例えば、特許文献2参照)やリノール酸等とカバノキ科カバノキ属植物の樹液とを組み合わせて相乗的に美白効果をあげる技術(例えば特許文献3参照)などがある。またリノール酸を安定に配合する技術などもある(例えば、特許文献4参照)。
【0003】
【特許文献1】特開昭63−284109号公報
【特許文献2】特開平05−194176号公報
【特許文献3】特開平09−291021号公報
【特許文献4】特許第2665976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1〜3の技術では、リノール酸は不飽和脂肪酸の一種であることから、リノール酸自身が酸化されるなどリノール酸の安定性に問題となる場合があった。また特許文献4の技術では、リノール酸を安定に配合する技術ではあるが、配合される成分であるリン酸、リン酸塩、脂肪族オキシ多塩基酸及びその塩又はモノエステルにより、使用時の肌へのべたつきを感じる場合や配合される油剤によっては経時においてクリーミングやジブチルヒドロキシトルエンの析出等がおこる場合があるなど経時安定性上問題となる場合があった。
【0005】
すなわち、リノール酸の安定性に優れながらも、べたつき感等のない化粧料として使用性に優れるリノール酸含有化粧料に関する開示はなく、これを開発することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる実情に鑑み、本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、成分(a)リノール酸、成分(b)ホスファチジルコリン含量が90質量%以上のリン脂質、成分(c)コレステロール及び/又はフィトステロール、成分(d)炭素原子数6〜10の分岐脂肪酸と炭素原子数5〜18のアルコールとのモノエステルであり、25℃において液状であるエステル油1種または2種以上、成分(e)ジブチルヒドロキシトルエン、成分(f)水を含有する乳化化粧料とすることにより、リノール酸の安定性に優れ、みずみずしさとエモリエント効果に優れる使用性をもち、さらにクリーミングやジブチルヒドロキシトルエンの析出などの問題のない経時安定性にも優れる乳化化粧料となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、次の成分(a)〜(f);
(a)リノール酸
(b)ホスファチジルコリン含量が90質量%以上のリン脂質
(c)コレステロール及び/又はフィトステロール
(d)炭素原子数6〜10の分岐脂肪酸と炭素原子数5〜18のアルコールとのモノエステルであり、25℃において液状であるエステル油1種または2種以上
(e)ジブチルヒドロキシトルエン
(f)水
を含有することを特徴とする乳化化粧料に関する。
【0008】
また、成分(d)の油剤の含有量が、0.01〜3.0質量%であることを特徴とする乳化化粧料に関する。
【0009】
さらに、25℃における粘度が5000mPa・s以下であることを特徴とする乳化化粧料に関する。
【0010】
乳化滴の平均粒子径が300nm以下であることを特徴とする乳化化粧料に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の乳化化粧料は、リノール酸の安定性に優れ、みずみずしい使用感とエモリエント効果に優れ、さらに経時安定性に優れる効果を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の成分(a)のリノール酸は、分子内に2つの二重結合を有する炭素数18の不飽和脂肪酸のひとつであり、本発明の乳化化粧料においては美白効果等を付与する等の目的で配合されるものである。通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されないが、天然品、合成品のいずれであってもよい。天然品としてはサフラワー油やコーン油等の植物油に多く含まれるものである。
【0013】
成分(a)の含有量は、特に限定されないが、0.01〜1質量%(以下、単に「%」と略す)が好ましく、0.03〜0.3%がより好ましい。この範囲内であれば、リノール酸の安定性に優れた乳化化粧料となる。
【0014】
本発明の成分(b)のホスファチジルコリン含量が90質量%以上のリン脂質は、本発明の乳化化粧料において乳化剤等として用いられるものであり、通常、化粧料等に用いられるものであれば特に限定されるものではない。具体的には天然の大豆や卵黄から抽出した大豆レシチン、卵黄レシチン及び/又はこれらを水素添加した水素添加大豆レシチン、水素添加卵黄レシチンや合成リン脂質など、一般にリン脂質として知られるものが挙げられ、これらのリン脂質は必要に応じて一種又は二種以上用いることができる。リン脂質の種類としては、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、およびホスファチジルイノシトールなどが挙げられるが、この中でも本発明ではホスファチジルコリン(以下、PCと略す)含量が90%以上のリン脂質であることが必要である。PC含量が90%未満の場合だと、乳化剤として機能はするが、リノール酸の安定性上好ましくない場合がある。PC含量が90質量%以上のリン脂質としては、例えば、日光ケミカルズ株式会社より提供されるレシノールS−10EX(PC含量95%以上)、株式会社日油より提供されるCOATSOME NC−20(PC含量90%以上)、COATSOME NC−21(PC含量90%以上)等を使用することができる。また成分(a)リン脂質はPC含量が90%であれば、後述する成分(c)のコレステロールやフィトステロールとあらかじめ複合化されたものであっても特に問題なく使用することができる。
【0015】
成分(b)の含有量は、特に限定されないが、0.3〜10%が好ましく、0.5〜3%がより好ましい。この範囲であれば、経時安定性に優れた乳化化粧料を得ることができる。
【0016】
本発明の成分(c)のコレステロール及びフィトステロールは、リノール酸の安定性を向上し、乳化化粧料の経時安定性においても向上するために含有されるものである。既述した成分(b)との混合したものを利用することもできるが、複合化されたものを使用することによって、より経時安定性が向上し、さらにはリノール酸の安定性も向上する。市販されているものとしては、Presome C−I(日本精化株式会社)、Presome CSII−101(日本精化株式会社)、Phytopresome(日本精化株式会社)等がある。
【0017】
成分(c)の含有量は、特に限定されないが、0.01〜3%が好ましく、0.1〜1%がより好ましい。この範囲であれば、リノール酸の安定性に優れた乳化化粧料を得ることができる。
【0018】
本発明の成分(d)は、炭素原子数6〜10の分岐脂肪酸と炭素原子数5〜18のアルコールとのモノエステルであり、25℃で液状のものである。成分(d)は、乳化化粧料においてリノール酸を安定に含有することが可能であり、エモリエント効果に優れた乳化化粧料を得ることができる。さらに成分(d)は、後述する成分(e)の析出を抑制する効果もあることから、乳化化粧料の経時安定性を向上させることができる。このような成分(d)として具体的には、イソオクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシルなどが挙げられ、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
【0019】
これらの成分を使用することで、乳化粒子中にリノール酸を安定に配合することができるため、リノール酸の安定性、経時安定性に優れるものとなる。特に、油剤量が少ない系においては、一般に、乳化粒子中のリノール酸と他の油剤が相溶しなくなり、クリーミングする場合があるなど、経時安定性が損なわれるという問題点があるが、成分(d)を使用すると相溶性が向上し、経時安定性が良い。
【0020】
成分(d)の含有量は、特に限定されるものではないがリノール酸を安定に含有し、さらにみずみずしい使用感の乳化化粧料とする場合は、0.01〜3%が好ましく、0.1〜2%がより好ましい。この範囲であれば、エモリエント効果が高く、また経時安定性にも優れた乳化化粧料を得ることができる。
【0021】
本発明の成分(e)のジブチルヒドロキシトルエンは、成分(a)の酸化劣化抑制等の目的で含有するものである。
【0022】
成分(e)の含有量は、特に限定されないが、0.001〜0.5%が好ましく、0.01〜0.1%がより好ましい。成分(e)をこの範囲で含有すると、成分(a)の安定性に優れた化粧料を得ることができる。
また、特に限定されないが、成分(a)と成分(e)の含有質量比(a):(e)を1:2〜50:1、さらには2:1〜10:1の範囲とすることによりリノール酸の安定性、経時安定性が著しく向上させることができる。
【0023】
本発明の成分(f)の水は、通常化粧料等に用いられるものであれば特に限定されず、例えば精製水、温泉水、深層水、又は植物等の水蒸気蒸留水等が挙げられる。イオン交換水や蒸留水等の精製水であると、金属イオン等の不純物が少ないため特に好ましい。
【0024】
本発明の成分(f)の含有量は、成分(a)〜(e)の含有量により適宜決められるが、概ね70〜99%である。
【0025】
本発明の乳化化粧料の製造方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、ディスパミキサーで攪拌しながら70℃にて加熱混合しておいた(a)、(b)、(c)、(d)に、あらかじめ70℃にて加熱混合した成分(e)と水を徐々に添加することで乳化し、これを徐々に室温まで冷却する。さらに、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス社製)で高圧処理することによって乳化化粧料を得ることができる。高圧処理することで、乳化滴の平均粒子径を微細にし、低粘度にすることができ、さらにみずみずしい使用感を得ることができ、経時安定性も向上する。マイクロフルイダイザー以外にも高圧処理することが可能な機器を用いることが可能であり、例えば、マントン−ゴーリン型高圧ホモジナイザー、ジェット水流反転型高圧乳化機、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディスク社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、アルティマイザー(スギノマシン社製)、DeBee2000(BEEインターナショナル社製)、超音波乳化機等が挙げられる。これらの高圧分散機を二種以上組み合わせて使うことや複数回処理することもできる。
【0026】
なお、本発明における乳化化粧料における、乳化滴の平均粒子径は、300nm以下とすることによりリノール酸の安定性を向上させることができ、この平均粒子径を250nm以下、さらには100nm以下とすることにより、リノール酸の安定性と経時安定性に特に優れる乳化化粧料とすることが可能となる。平均粒子径の測定には、COULTER N−4型(BECKMAN COULTER社製)等を用いて測定することができる。
【0027】
本発明の乳化化粧料は、粘度値として特に限定されるものではないが、25℃において5000mPa・s以下の低粘度領域でも経時安定性に優れる特徴があり、さらにみずみずしさとエモリエント効果にも優れるものとなる。ここでの粘度値の測定にはブルックフィールド型粘度計を用いることができ、「単一円筒型回転粘度計―ビスメトロン」(芝浦システム社製)を用いて測定できる。
【0028】
リノール酸の安定性評価としては、乳化化粧料中のリノール酸の残存率を測定することにより行った。測定には、高速液体クロマトグラフィー(Waters社製 2695 Separations Module)を用いて測定できる。
【0029】
また、本発明の乳化化粧料は水中油型、油中水型をはじめ水中油中水型、油中水中油型などの多層型も可能であるが、みずみずしい使用感から特に水中油型の乳化化粧料のものが好ましい。
【0030】
本発明の乳化化粧料には、上記必須成分の他に、通常化粧料に用いられる成分として、例えば、粉体、界面活性剤、油剤、水溶性高分子、アルコール類、ゲル化剤、皮膜形成剤、樹脂、紫外線吸収剤、保湿剤、pH調整剤、防腐剤、香料、酸化防止剤、金属封鎖剤、着色剤、美容剤等を本発明の効果を損なわない範囲にて含有することができる。
【0031】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【実施例1】
【0032】
本発明品1〜13及び比較品1〜6:水中油型美容液
表1〜表4に示す組成の微細乳化化粧料を下記製造方法により調製し、「粘度値」、「リノール酸の安定性」、「経時安定性(クリーミング)」、「経時安定性(析出)」、「みずみずしさ」、「エモリエント効果」の各項目について、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表1〜表4に示した。なお、表で成分No.4の水素添加大豆リン脂質・コレステロール複合物における、水素添加大豆リン脂質のPC純度は90%である。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
【表3】

【0036】
【表4】

【0037】
(本発明品1〜16,18及び比較品1〜6の製造方法)
A.成分(1)〜(11)を加熱混合し、70℃に保った。
B.60℃に加熱した成分(12)をAに加え、乳化する。
C.Bを室温まで冷却する。
D.Cをマイクロフルイダイザーによって高圧処理(処理圧200)し、美容液を得た。
【0038】
(本発明品17の製造方法)
A.成分(1)〜(11)を加熱混合し、70℃に保った。
B.60℃に加熱した成分(12)をAに加え、乳化する。
C.Bを室温まで冷却し、美容液を得た。
【0039】
〔粘度値〕
本発明品1〜18及び比較品1〜6の水中油型美容液の25℃における粘度値を、ブルックフィールド型粘度計として単一円筒型回転粘度計―ビスメトロン(芝浦システム社製)で測定した。
【0040】
〔リノール酸の安定性〕
本発明品1〜18及び比較品1〜6の水中油型美容液中におけるリノール酸の含有量を、高速液体クロマトグラフィー(Waters社製 2695 Separations Module)にて測定した。測定は製造直後(30℃)の検出量を基準とし、40℃1ヶ月後のものと比較して、検出量から残存率を算出した。
判定基準:
[残存率] :[判定]
95%以上 : ◎
90%以上〜95%未満 : ○
85%以上〜90%未満 : △
85%未満 : ×
【0041】
〔経時安定性(クリーミング)〕
本発明品1〜18及び比較品1〜6の水中油型美容液を50℃の恒温槽に3ヶ月保管し、目視により観察し、経時安定性を評価した。
判定基準:
[保管によるクリーミングの状態] :[評点]
3ヶ月でもクリーミングが認められない : ◎
2ヶ月ではクリーミングが認められない : ○
1ヶ月ではクリーミングが認められない : △
1ヶ月以内でクリーミングが認められる : ×
【0042】
〔経時安定性(析出)〕
本発明品1〜18及び比較品1〜6の水中油型美容液を50℃の恒温槽に3ヶ月保管し、目視により観察し、経時安定性を評価した。
判定基準:
[保管による析出の状態] :[評点]
3ヶ月でも析出が認められない : ◎
2ヶ月では析出が認められない : ○
1ヶ月では析出が認められない : △
1ヶ月以内で析出が認められる : ×
【0043】
〔官能評価〕
化粧品評価専門パネル20名に、前記本発明品1〜13及び比較品1〜6の水中油型美容液を使用してもらい、「みずみずしさ」、「エモリエント効果」のそれぞれの項目について、各自が以下の評価基準に従って5段階評価し化粧水毎に評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
評価基準:
[評価結果] :[評点]
非常に良好 : 5点
良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
判定基準:
[評点の平均点] :[判定]
4.5以上 : ◎
3.5以上〜4.5未満 : ○
1.5以上〜3.5未満 : △
1.5未満 : ×
【0044】
表1〜表4の結果から明らかなように、本発明の本発明品1〜18の水中油型美容液は、「リノール酸の安定性」、「経時安定性(クリーミング)」、「経時安定性(析出)」、「みずみずしさ」、「エモリエント効果」の全ての項目に優れた液状化粧料であった。
これに対して、成分(b)のPCの含量が低い比較品1では、「経時安定性(クリーミング)」が著しく劣っており、「リノール酸安定性」、「みずみずしさ」も良好ではなかった。また、成分(c)を含有しない比較品2では、「リノール酸の安定性」、「経時安定性(クリーミング)」が良好ではなかった。成分(d)の代わりに、異なる油種を含有させた比較品3〜6では、すべての項目において良好でなかった。
【実施例2】
【0045】
水中油型美容液
(成分) (%)
1.リノール酸 0.1
2.水素添加大豆リン脂質(PC純度95%以上) 1.2
3.コレステロール 0.3
4.グリセリン 4.0
5.1,3−ブチレングリコール 16.0
6.イソオクタン酸セチル 0.5
7.イソノナン酸イソトリデシル 1.0
8.ジブチルヒドロキシトルエン 0.02
9.カルボキシビニルポリマー 0.1
10.クエン酸 0.1
11.クエン酸ナトリウム 0.1
12.水酸化ナトリウム 適量
13.グリシルグリシン 0.05
14.ヒドロキシプロリン 0.02
15.精製水 残量
16.香料 0.1
【0046】
(製造方法)
A:成分(1)〜(9)を70℃にて加熱溶解する。
B:成分(10)〜(15)を70℃にて加熱後、Aに添加し乳化する。
C:Bを室温まで冷却後、成分(16)を添加する。
D:Cをマイクロフルイダイザーによって高圧処理(処理圧180)し、水中油型美容液を得た。
【0047】
実施例2の水中油型美容液は、リノール酸の安定性、経時安定性に優れており、使用感はみずみずしく、エモリエント効果も高いものであった。また、粘度値は2500mPa・s、平均粒子径は300nm以下であった。
【実施例3】
【0048】
水中油型美容液
(成分) (%)
1.リノール酸 0.1
2.水素添加大豆リン脂質(PC純度90%以上) 2.8
3.コレステロール 0.7
4.イソオクタン酸セチル 3.0
5.セスキオレイン酸ソルビタン 1.5
6.メチルポリシロキサン 2.0
7.ビタミンE 0.01
8.ジブチルヒドロキシトルエン 0.3
9.グリセリン 3.0
10.1,3−ブチレングリコール 15.0
11.1,2−ペンタンジオール 2.0
12.キサンタンガム 0.05
13.リン酸 0.1
14.リン酸一水素ナトリウム 0.1
15.テアニン 0.05
16.精製水 残量
【0049】
(製造方法)
A:成分(1)〜(11)を70℃にて加熱溶解する。
B:成分(12)〜(16)を70℃にて加熱後、Aに添加し乳化する。
C:Bを室温まで冷却する。
D:Cをマイクロフルイダイザーによって高圧処理(処理圧200)し、美容液を得た。
【0050】
実施例3の水中油型美容液は、リノール酸の安定性、経時安定性に優れており、使用感はみずみずしく、エモリエント効果も高いものであった。また、粘度値は800mPa・s、平均粒子径は300nm以下であった。
【実施例4】
【0051】
水中油型乳液
(成分) (%)
1.リノール酸 0.1
2.水素添加大豆リン脂質(PC純度95%以上) 2.4
3.コレステロール 0.6
4.大豆リゾリン脂質 0.4
5.イソオクタン酸セチル 1.7
6.スクワラン 0.5
7.モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 2.0
8.流動パラフィン 0.5
9.ホホバ油 1.0
10.ジブチルヒドロキシトルエン 0.1
11.1,2−ペンタンジオール 2.0
12.グリセリン 10.0
13.アクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体(*1) 0.15
14.カルボキシビニルポリマー 0.1
15.水酸化ナトリウム 適量
16.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
17.ヒアルロン酸 0.01
18.精製水 残量
(*1)ペミュレンTR−2(NOVEON社製)
【0052】
(製造方法)
A:成分(1)〜(12)を70℃にて加熱溶解する。
B:成分(13)〜(18)を70℃にて加熱後、Aに添加し乳化する。
C:Bを室温まで冷却する。
D:Cをマイクロフルイダイザーによって高圧処理(処理圧200)し、水中油型乳液を得た。
【0053】
実施例4の水中油型乳液は、リノール酸の安定性、経時安定性に優れており、使用感はみずみずしく、エモリエント効果も高いものであった。また、粘度値は5000mPa・s、平均粒子径は300nm以下であった。
【実施例5】
【0054】
油中水中油型乳液
(成分) (%)
1.リノール酸 0.3
2.水素添加大豆リン脂質(PC純度95%)以上 4.0
3.コレステロール 1.0
4.イソオクタン酸セチル 1.0
5.イソステアリン酸 3.0
6.グリセリン 6.5
7.1,3−ブチレングリコール 10.5
8.ジブチルヒドロキシトルエン 0.1
9.精製水 残量
10.エタノール 5.0
11.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
12.塩化ナトリウム 1.0
13.PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 4.0
14.デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0
15.ジメチルポリシロキサン 5.0
16.香料 適量
(*2)KF−6028(信越化学工業社製)
【0055】
(製造方法)
A:成分(1)〜(8)を70℃にて加熱溶解する。
B:成分(9)〜(12)を70℃にて加熱溶解後、Aに添加し乳化する。
C:Bを室温まで冷却する。
D:Cをマイクロフルイダイザーによって高圧処理(処理圧200)する。
E:成分(13)〜(16)を均一混合する。
F:EにDを分散し、油中水中油型乳液を得た。
【0056】
実施例5の油中水中油型乳液は、リノール酸を最内相にて安定化しているため、リノール酸の安定性、経時安定性に優れており、エモリエント効果も高いものであった。また、粘度値は3800mPa・s、平均粒子径は300nm以下であった。
【実施例6】
【0057】
油中水中油型美容液
(成分) (%)
1.リノール酸 0.1
2.水素添加大豆リン脂質(PC純度90%以上) 1.5
3.コレステロール 0.3
4.イソオクタン酸セチル 0.5
5.オリーブ油 1.0
6.グリセリン 5.0
7.1,3−ブチレングリコール 3.0
8.ジブチルヒドロキシトルエン 0.05
9.精製水 残量
10.エタノール 5.0
11.パラオキシ安息香酸エチル 0.1
12.ラウリルポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 1.0
13.セチルジメチコンコポリオール 0.5
14.デカメチルシクロペンタシロキサン 8.0
15.ジメチルポリシロキサン 5.0
16.ジカプリン酸プロピレングリコール 5.0
17.香料 適量
【0058】
(製造方法)
A:成分(1)〜(8)を70℃にて加熱溶解する。
B:成分(9)〜(11)を70℃にて加熱後、Aに添加し乳化する。
C:Bを室温まで冷却する。
D:Cをマイクロフルイダイザーによって高圧処理(処理圧200)する。
E:成分(12)〜(17)を均一混合する。
F:EにDを分散し、油中水中油美容液を得た。
【0059】
実施例6の水中油型乳液は、リノール酸を最内相にて安定化しているため、リノール酸の安定性、経時安定性に優れており、使用感はみずみずしく、エモリエント効果も高いものであった。また、粘度値は3100mPa・s、平均粒子径は300nm以下であった。
【実施例7】
【0060】
油中水中油型クリーム
(成分) (%)
1.リノール酸 1.0
2.水素添加大豆リン脂質(PC純度90%以上) 5.0
3.フィトステロール 1.5
4.イソオクタン酸セチル 1.0
5.ジブチルヒドロキシトルエン 0.5
6.グリセリン 15.0
7.1,3−ブチレングリコール 15.0
8.トリオクタン酸グリセリル 7.0
9.精製水 残量
10.エタノール 6.0
11.パラオキシ安息香酸エチル 0.1
12.乳酸ナトリウム 3.0
13.PEG−3ジメチコン 2.0
14.セチルジメチコンコポリオール 0.5
15.デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0
16.ジメチルポリシロキサン 5.0
17.ジカプリン酸プロピレングリコール 5.0
18.香料 適量
【0061】
(製造方法)
A:成分(1)〜(8)を70℃にて加熱溶解する。
B:成分(9)〜(12)を70℃にて加熱後、Aに添加し乳化する。
C:Bを室温まで冷却する。
D:Cをマイクロフルイダイザーによって高圧処理(処理圧200)する。
E:成分(13)〜(18)を均一に混合する。
F:EにDを分散し、油中水中油型クリームを得た。
【0062】
実施例4の水中油型乳液は、リノール酸を最内相にて安定化しているため、リノール酸の安定性、経時安定性に優れており、使用感はみずみずしく、エモリエント効果も高いものであった。また、粘度値は12000mPa・s、平均粒子径は300nm以下であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)〜(f);
(a)リノール酸
(b)ホスファチジルコリン含量が90質量%以上のリン脂質
(c)コレステロール及び/又はフィトステロール
(d)炭素原子数6〜10の分岐脂肪酸と炭素原子数5〜18のアルコールとのモノエステルであり、25℃において液状であるエステル油1種または2種以上
(e)ジブチルヒドロキシトルエン
(f)水
を含有することを特徴とする乳化化粧料。
【請求項2】
成分(d)の含有量が、0.01〜3.0質量%であることを特徴とする請求項1記載の乳化化粧料。
【請求項3】
25℃における粘度が5000mPa・s以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の乳化化粧料。
【請求項4】
乳化滴の平均粒子径が300nm以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れかの項記載の乳化化粧料。

【公開番号】特開2010−248178(P2010−248178A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66349(P2010−66349)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】