説明

乳化化粧料

【課題】安定性が良好で塗布後の感触がよい乳化化粧料を提供する。
【解決手段】(A)多価アルコールと、(B)ジェミニ型界面活性剤と、(C)非ジェミニ型のノニオン界面活性剤と、(D)油性成分と、(E)水と、を含有してなる乳化化粧料である。(A)多価アルコール1.0〜20質量%と、(B)ジェミニ型界面活性剤0.01〜10.0質量%と、(C)非ジェミニ型のノニオン界面活性剤0.1〜10.0質量%と、(D)油性成分0.1〜50質量%と、(E)水1.0〜98.79質量%と、を含有してなることが好ましく、(B)ジェミニ型界面活性剤が、レシチンおよび水添レシチンよりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳化化粧料に関し、詳しくは安定性が良好で塗布後の感触がよい乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、皮膚に水分および保湿成分を補給することを目的として化粧水が使用されている。かかる化粧水としては、例えば、角質層に水分・保湿成分を補い皮膚を柔軟にすることを目的とする柔軟化粧水、角質層に水分・保湿成分を補う他に収斂作用や菱分泌抑制作用を有する収斂化粧水などがある。
【0003】
しかしながら、一般的な化粧水は、油性成分の配合量が微量であるため、皮膚に水分および保湿成分を補給するだけであり、皮膚に十分なエモリエント効果を与えることができなかった。
【0004】
そこで、皮膚に十分なエモリエント効果を与えることを目的に油性成分を含んだ化粧水の開発が行われている。例えば、特許文献1には、第1段階として親水性非イオン界面活性剤を水溶性溶媒中に添加し、次にこれに油相を添加して水溶性溶媒中油型エマルションを調整し、第2段階として該エマルションに水を添加することを特徴とする水中油型エマルションが、開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、イソステアリン酸を塩基性アミノ酸で中和し、モノステアリン酸グリセリン、高級アルコールと組み合わせることにより、多量の油剤を安定に配合した液状水中油型化粧料が、開示されている。
【0006】
さらに、特許文献3には、高分子乳化剤、油性成分、水溶性有機溶媒および水を含有する水中油型乳化化粧料が、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】 特開昭51−55783号公報
【特許文献2】 特開2008−88092号公報
【特許文献3】 特開2009−137914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1記載の水中油型エマルションの製造方法は、油性成分と界面活性剤のみを規定しているため、乳化化粧料の安定性が不安定となる場合も多く、その改善が望まれていた。
【0009】
また、特許文献2記載の液状水中油型化粧料は、モノステアリン酸グリセリン、高級アルコールを必須成分としているためできあがった液状水中油型化粧料の感触が悪く、さらに安定性も満足のいくものではなかった。
【0010】
さらに、特許文献3記載の水中油型乳化化粧料は、高分子乳化剤が配合されているため粘度が高くなり、さらにまた感触も悪くなるという問題点があった。
【0011】
そこで本発明の目的は、前記の従来技術の問題を解決し、安定性が良好で塗布後の感触がよい乳化化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、多価アルコール、特定の界面活性剤および油性成分を配合することによって、前記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明の乳化化粧料は、(A)多価アルコールと、(B)ジェミニ型界面活性剤と、(C)非ジェミニ型のノニオン界面活性剤と、(D)油性成分と、(E)水と、を含有してなるものである。
【0014】
また、本発明の乳化化粧料は、前記(A)多価アルコール1.0〜20質量%と、前記(B)ジェミニ型界面活性剤0.01〜10.0質量%と、前記(C)非ジェミニ型のノニオン界面活性剤0.1〜10.0質量%と、前記(D)油性成分0.1〜50質量%と、(E)水1.0〜98.79質量%と、を含有してなることが好ましい。
【0015】
さらに、本発明の乳化化粧料は、前記(B)ジェミニ型界面活性剤が、レシチンおよび水添レシチンよりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0016】
さらにまた、本発明の乳化化粧料は、前記(A)多価アルコールが、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールおよびジグリセリンよりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0017】
また、本発明の乳化化粧料は、前記(C)非ジェミニ型のノニオン界面活性剤が、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン水添ダイマージオール、モノステアリン酸ポリグリセリル、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノラウリン酸ポリグリセリルおよびモノオレイン酸ポリグリセリルよりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、安定性が良好で塗布後の感触がよい乳化化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の乳化化粧料について具体的に説明する。
本発明の乳化化粧料は、(A)多価アルコールと、(B)ジェミニ型界面活性剤と、(C)非ジェミニ型のノニオン界面活性剤と、(D)油性成分と、(E)水と、を含有してなるものである。これにより、安定性が良好で塗布後の感触がよい乳化化粧料を提供することができる。
【0020】
本発明において、前記(A)多価アルコールとしては、通常化粧料に使用できるものであれば特に限定されないが、例えば、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等を使用することができる。特に、本発明において、前記(A)多価アルコールは、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールおよびジグリセリンよりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコールおよびジプロピレングリコールよりなる群から選ばれる1種以上であることがより好ましい。かかる多価アルコールを配合することにより、より安定性がよくなり、さらに感触もより良好となる。
【0021】
また、本発明において、前記(B)ジェミニ型界面活性剤は、通常の一鎖一親水基型の界面活性剤二分子がスペーサーにより親水基もしくはその近傍で連結された構造を有する界面活性剤であり、かかる構造を有し化粧品に使用できるものであれば特に限定されないが、前記(B)ジェミニ型界面活性剤が、レシチンおよび水添レシチンよりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。前記(B)ジェミニ型界面活性剤として、レシチンおよび水添レシチンよりなる群から選ばれる1種以上を配合することにより、より安定性を良好にすることができる。
【0022】
前記レシチンおよび前記水添レシチンとしては、通常、化粧料で使用できるレシチンおよび水添レシチンであれば特に限定されず、大豆由来、卵黄由来等、その起源は問わない。前記レシチンとしては、例えば、日清オイリオグループ株式会社製のベイシスLP−20(商品名)等、キューピー株式会社製の卵黄レシチンPL−100M(商品名)、卵黄レシチンPC−98N(商品名)等、リポイド社製のPHOSPHOLIPON 90G(商品名)、PHOSPHOLIPON 85G(商品名)、PHOSPHOLIPON 75G(商品名)、PHOSPHOLIPON 50(商品名)、PHOSPHOLIPON 20(商品名)等を挙げることができる。また、前記水添レシチンとしては、例えば、日光ケミカルズ株式会社製のNIKKOL レシノール S−GF(商品名)等、日清オイリオグループ株式会社製のベイシスLP−20H(商品名)、ベイシスLS−60HR(商品名)等、キューピー株式会社製の卵黄レシチンPL−100P(商品名)等、リポイド社製のPHOSPHOLIPON 90H(商品名)、PHOSPHOLIPON 80H(商品名)等を挙げることができる。
【0023】
さらに、本発明において、前記(C)非ジェミニ型のノニオン界面活性剤は、前記(B)ジェミニ型界面活性剤以外のノニオン界面活性剤で、化粧品に使用できるものであれば特に限定されず、例えば、高級脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤、高級脂肪酸ソルビタンエステル型ノニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルアミン型ノニオン界面活性剤、高級アルコールエーテル型ノニオン界面活性剤等を使用することができる。
【0024】
さらにまた、本発明において、前記(C)非ジェミニ型のノニオン界面活性剤は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン水添ダイマージオール、モノステアリン酸ポリグリセリル、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノラウリン酸ポリグリセリルおよびモノオレイン酸ポリグリセリルよりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。これにより、より安定性を良好にすることができる。
【0025】
前記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、例えば、日光ケミカルズ株式会社製のNIKKOL HCO−20(商品名)、NIKKOL HCO−30(商品名)、NIKKOL HCO−40(商品名)、NIKKOL HCO−50(商品名)、NIKKOL HCO−60(商品名)、NIKKOL HCO−80(商品名)等、日本エマルジョン株式会社製のEMALEX HC−20(商品名)、EMALEX HC−30(商品名)、EMALEX HC−40(商品名)、EMALEX HC−50(商品名)、EMALEX HC−60(商品名)、EMALEX HC−80(商品名)等が挙げられ、前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテルとしては、例えば、日光ケミカルズ株式会社製のNIKKOL PEN−4612(商品名)、NIKKOL PEN−4620(商品名)、NIKKOL PEN−4630(商品名)等、日油株式会社製のユニルーブ50MT−2200B(商品名)、20MT−2000B(商品名)等が挙げられ、前記ポリオキシエチレン水添ダイマージオールとしては、例えば、日本エマルジョン株式会社製のEMALEX DIAL−20(商品名)、EMALEX DIAL−30(商品名)、EMALEX DIAL−40(商品名)、EMALEX DIAL−60(商品名)等が挙げられる。
【0026】
また、前記モノステアリン酸ポリグリセリルとして、例えば、日光ケミカルズ株式会社製のNIKKOL Decaglyn 1−SV(商品名)、NIKKOL Decaglyn 1−50SV(商品名)、NIKKOL Hexaglyn 1−SV(商品名)等、阪本薬品工業株式会社製のSフェイス S−1001P(商品名)等が挙げられ、前記モノイソステアリン酸ポリグリセリルとして、例えば、日光ケミカルズ株式会社製のNIKKOL Decaglyn 1−ISV(商品名)等、阪本薬品工業株式会社製のSフェイス IS−201P(商品名)、Sフェイス IS−401P(商品名)、Sフェイス IS−601P(商品名)、Sフェイス IS−1001P(商品名)等が挙げられ、前記モノミリスチン酸デカグリセリルとして、例えば、日光ケミカルズ株式会社製のNIKKOL Decaglyn 1−M(商品名)、NIKKOL Hexaglyn 1−M(商品名)等、阪本薬品工業株式会社製のSフェイス M−1001(商品名)等が挙げられ、前記モノラウリン酸ポリグリセリルとして、例えば、日光ケミカルズ株式会社製のNIKKOL Decaglyn 1−L(商品名)、NIKKOL Hexaglyn 1−L(商品名)等、阪本薬品工業株式会社製のSフェイス L−401(商品名)、Sフェイス L−601(商品名)、Sフェイス L−1001(商品名)等が挙げられ、前記モノオレイン酸ポリグリセリルとして、例えば、日光ケミカルズ株式会社製のNIKKOL Decaglyn 1−OV(商品名)、NIKKOL Hexaglyn 1−OV(商品名)等、阪本薬品工業株式会社製のSフェイス O−201P(商品名)、Sフェイス O−401P(商品名)、Sフェイス O−601P(商品名)、Sフェイス O−1001P(商品名)等が挙げられる。
【0027】
また、本発明において、前記(D)油性成分としては、通常、化粧料で使用できる油性成分であれば特に限定されないが、例えば、炭化水素油、合成エステル油、液状油脂、シリコーン油等が挙げられ、一種または二種以上の油性成分を使用することができる。
【0028】
前記炭化水素系油分としては、例えば、イソドデカン、イソヘキサデカン、イソパラフィン、パラフィン、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、セレシン等を挙げることができる。また、前記合成エステル油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、パルミチン酸2−エチルヘキシル、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等を挙げることができる。
【0029】
さらに、前記液体油脂としては、例えば、アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボガド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヒマワリ油、アルモンド油、ナタネ油、ゴマ油、大豆油、落花生油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等を挙げることができる。さらにまた、前記シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状シリコーン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーンを挙げることができる。
【0030】
さらにまた、本発明において、前記(E)水としては、通常、化粧料で使用できる水であれば特に限定されないが、例えば、一般的に使用されている精製水、純水、超純水等を使用することができる。
【0031】
また、本発明の乳化化粧料は、前記(A)多価アルコール1.0〜20質量%と、前記(B)ジェミニ型界面活性剤0.01〜10.0質量%と、前記(C)非ジェミニ型のノニオン界面活性剤0.1〜10.0質量%と、前記(D)油性成分0.1〜50質量%と、(E)水1.0〜98.79質量%と、を含有してなることが好ましく、前記(A)多価アルコール5.0〜10質量%と、前記(B)ジェミニ型界面活性剤0.1〜5.0質量%と、前記(C)非ジェミニ型のノニオン界面活性剤1.0〜7.0質量%と、前記(D)油性成分1.0〜30質量%と、(E)水48.0〜92.9質量%と、を含有してなることがより好ましい。(A)多価アルコールと、前記(B)ジェミニ型界面活性剤と、前記(C)非ジェミニ型のノニオン界面活性剤と、前記(D)油性成分と、(E)水との配合量を上記の範囲とすることにより、より安定性が良好で塗布後の感触がよりよい乳化化粧料を提供することができる。
【0032】
さらに、本発明の乳化化粧料に使用できる成分としては本発明の効果を損なわない質的、量的範囲で上記以外の任意の成分を配合することができ、化粧料に通常配合される成分、例えば、上記以外の界面活性剤、保湿剤、酸化防止剤、防腐剤、香料、各種ビタミン剤、着色剤、増粘剤、紫外線吸収剤、薬効成分等を配合することができる。
【0033】
また、本発明において、乳化化粧料の製造方法としては、前記(A)多価アルコールと、前記(B)ジェミニ型界面活性剤と、前記(C)非ジェミニ型のノニオン界面活性剤と、前記(D)油性成分と、前記(E)水と、を均一に乳化できれば、特に限定されないが、例えば、特開昭51−55783号公報記載の方法で乳化することが好ましい。具体的には、前記(A)多価アルコールと、前記(B)ジェミニ型界面活性剤と、前記(C)非ジェミニ型のノニオン界面活性剤と、前記(E)水の一部を混合した後に、前記(D)油性成分を加え、その後、前記(E)水の残部を添加して乳化する方法が挙げられる。
【0034】
さらに、本発明において、乳化化粧料の製造方法では乳化後に高圧ホモジナイーザーで処理することが好ましい。処理圧は、特に限定されないが、50MPa〜200MPaで処理することが好ましく、100MPa〜150MPaで処理することがさらに好ましい。さらにまた、処理回数は、特に限定されないが、1パス〜10パスで処理することが好ましく、1パス〜3パスで処理することがさらに好ましい。乳化後に高圧ホモジナイーザーで処理することで、より乳化粒子が均一になり、乳化安定性をよりよくすることができる。
【0035】
かかる高圧ホモジナイーザーとしては、例えば、吉田機械興業社製のNM2−L100−D(商品名)、NM2−L200−D(商品名)等、株式会社パウレック製のマイクロフルイダイザーM−110P(商品名)等を使用することができる。
【実施例】
【0036】
次に本発明を実施例および比較例を挙げて、より具体的に説明する。なお、以下において配合量は質量%である。
【0037】
(実施例1、比較例1〜4の乳化化粧料の作製)
実施例1の乳化化粧料を下記の表1に示す配合処方に従って、次の手順で作製した。超純水の一部にレシチンを溶解し、グリセリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.)、1,3−ブチレングリコールを均一に溶解した。これに、スクワラン、オリーブ油、フェノキシエタノールを混合溶解した油相を徐々に添加しながら、T.K.ホモミクサーMARK II 2.5型(プライミクス株式会社製)を用いて5000rpmで均一にした。これに、超純水の残部にエタノール、プロデュウ500(味の素株式会社製)を加えて溶解したものを徐々に添加して、T.K.ホモミクサーMARK II 2.5型(プライミクス株式会社製)を用いて5000rpmで均一にして、乳化化粧料を作製した。比較例1〜4の乳化化粧料は、実施例1の乳化化粧料と同様の手順で、下記の表1に示す配合処方に従い各乳化化粧料を作製した。得られた乳化化粧料につき、下記評価試験を行った。
【0038】
(安定性試験1)
得られた各乳化化粧料を3時間、室温で静置し、分離の有無で安定性を評価した。評価は以下の基準に従い行った。得られた結果を表1に併記する。
◎:分離が見られず、安定。
×1:乳化できない。
×2:二層に分離。
【0039】
(感触試験)
20代〜30代の女性10名の右腕前腕に0.1gを塗布し、感触を評価した。評価は以下の基準に従い行った。得られた結果を表1に併記する。
◎:極めて良好な感触。
○:良好な感触。
○△:やや良好な感触
×:悪い感触。
【0040】
【表1】

【0041】
表1から明らかなように、(A)多価アルコールと、(B)ジェミニ型界面活性剤と、(C)非ジェミニ型のノニオン界面活性剤と、(D)油性成分と、(E)水と、を含有してなる実施例1の乳化化粧料は、安定性および感触ともに良好であった。これに対し、比較例1の乳化化粧料は、油性成分を配合していないために、乳化そのものができず、感触もエモリエント感が全く感じられなかった。また、比較例2の乳化化粧料は、多価アルコールを配合していないために、すぐに2層に分離し、感触も保湿感が不足していた。さらに、比較例3の乳化化粧料は、レシチンが配合されていないために、すぐに2層に分離し、感触もエモリエント感が不足していた。さらにまた、比較例4の乳化化粧料は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.)が配合されていないために、すぐに2層に分離し、感触も油性感が強くなり良好でなかった。
【0042】
(実施例2〜4の乳化化粧料の作製)
実施例2の乳化化粧料を下記の表2に示す配合処方に従って、次の手順で作製した。超純水の一部にレシチンを溶解し、グリセリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.)、1,3−ブチレングリコールを均一に溶解した。これに、スクワラン、オリーブ油、フェノキシエタノールを混合溶解した油相を徐々に添加しながら、T.K.ホモミクサーMARK II 2.5型(プライミクス株式会社製)を用いて5000rpmで均一にした。これに、超純水の残部にエタノール、プロデュウ500(味の素株式会社製)を加えて溶解したものを徐々に添加して、T.K.ホモミクサーMARK II 2.5型(プライミクス株式会社製)を用いて5000rpmで均一にした。その後、吉田機械興業社製のNM2−L200−Dを用いて、100MPa、1パスで処理して、乳化化粧料を作製した。実施例3および4の乳化化粧料は、実施例2の乳化化粧料と同様の手順で、下記の表2に示す配合処方に従い各乳化化粧料を作製した。得られた乳化化粧料につき、下記安定性試験2および上記感触試験を行った。得られた結果を表2に併記する。
【0043】
(安定性試験2)
得られた各乳化化粧料を1ヶ月間、45℃インキュベーターに保管し、分離の有無で安定性を評価した。評価は以下の基準に従い行った。
◎:分離が見られず、安定。
×:二層に分離。
【0044】
【表2】

【0045】
表2から明らかなように、(A)多価アルコールと、(B)ジェミニ型界面活性剤と、(C)非ジェミニ型のノニオン界面活性剤と、(D)油性成分と、(E)水と、を含有してなる実施例2〜4の乳化化粧料は、安定性および感触ともに良好であった。
【0046】
(実施例5〜18の乳化化粧料の作製)
実施例5の乳化化粧料を下記の表3に示す配合処方に従って、次の手順で作製した。超純水の一部にレシチンを溶解し、グリセリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.)、1,3−ブチレングリコールを均一に溶解した。これに、スクワラン、オリーブ油、ホホバ油、ホホバアルコール、フェノキシエタノールを混合溶解した油相を徐々に添加しながら、T.K.ホモミクサーMARK II 2.5型(プライミクス株式会社製)を用いて5000rpmで均一にした。これに、超純水の残部にエタノール、プロデュウ500(味の素株式会社製)、セージエキスを加えて溶解したものを徐々に添加して、T.K.ホモミクサーMARK II 2.5型(プライミクス株式会社製)を用いて5000rpmで均一にした。その後、吉田機械興業社製のNM2−L200−Dを用いて、100MPa、1パスで処理して、乳化化粧料を作製した。実施例6〜18の乳化化粧料は、実施例5の乳化化粧料と同様の手順で、下記の表3〜6に示す配合処方に従い各乳化化粧料を作製した。得られた乳化化粧料につき、上記安定性試験2および上記感触試験を行った。得られた結果を表3〜6に併記する。
【0047】
【表3】

【0048】
表3から明らかなように、(A)多価アルコールと、(B)ジェミニ型界面活性剤と、(C)非ジェミニ型のノニオン界面活性剤と、(D)油性成分と、(E)水と、を含有してなる実施例5〜8の乳化化粧料は、安定性および感触ともに良好であった。また、実施例7の乳化化粧料は、油性成分が50質量%配合されているため、少しエモリエント感が強い感じであった。さらに、実施例8の乳化化粧料は、油性成分が0.01質量%配合されているため、少しエモリエント感が弱い感じであった。
【0049】
【表4】

【0050】
表4から明らかなように、(A)多価アルコールと、(B)ジェミニ型界面活性剤と、(C)非ジェミニ型のノニオン界面活性剤と、(D)油性成分と、(E)水と、を含有してなる実施例9〜12の乳化化粧料は、安定性および感触ともに良好であった。また、実施例9の乳化化粧料は、多価アルコールが1.0質量%配合されているため、少し保湿感が弱い感じであった。さらに、実施例11および12の乳化化粧料は、多価アルコールがそれぞれ15質量%、20質量%配合されているため、少し保湿感が強い感じであった。
【0051】
【表5】

【0052】
表5から明らかなように、(A)多価アルコールと、(B)ジェミニ型界面活性剤と、(C)非ジェミニ型のノニオン界面活性剤と、(D)油性成分と、(E)水と、を含有してなる実施例13〜15の乳化化粧料は、安定性および感触ともに良好であった。また、実施例15の乳化化粧料は、レシチンが10質量%配合されているため、少し保湿感が強い感じであった。
【0053】
【表6】

【0054】
表6から明らかなように、(A)多価アルコールと、(B)ジェミニ型界面活性剤と、(C)非ジェミニ型のノニオン界面活性剤と、(D)油性成分と、(E)水と、を含有してなる実施例16〜18の乳化化粧料は、安定性および感触ともに良好であった。また、実施例16の乳化化粧料は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.)が10質量%配合されているため、少しエモリエント感が強い感じであった。
【0055】
(実施例19および20の乳化化粧料の作製)
実施例19の乳化化粧料を下記の表7に示す配合処方に従って、次の手順で作製した。超純水の一部にレシチンを溶解し、グリセリン、EMALEX DIAL−60(日本エマルジョン社製、ポリオキシエチレン水添ダイマージオール(60E.O.))、1,3−ブチレングリコールを均一に溶解した。これに、スクワラン、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ホホバ油、ホホバアルコール、フェノキシエタノールを混合溶解した油相を徐々に添加しながら、T.K.ホモミクサーMARK II 2.5型(プライミクス株式会社製)を用いて5000rpmで均一にした。これに、超純水の残部にエタノール、プロデュウ500(味の素株式会社製)、セージエキスを加えて溶解したものを徐々に添加して、T.K.ホモミクサーMARK II 2.5型(プライミクス株式会社製)を用いて5000rpmで均一にした。その後、吉田機械興業社製のNM2−L200−Dを用いて、150MPa、1パスで処理して、乳化化粧料を作製した。実施例20の乳化化粧料は、EMALEX DIAL−60をNIKKOL PEN−4630(日光ケミカルズ社製、POE(30)POP(6)デシルテトラデシルエーテル)に変更した以外は、実施例19の乳化化粧料と同様の手順で、下記の表7に示す配合処方に従い各乳化化粧料を作製した。得られた乳化化粧料につき、上記安定性試験2および上記感触試験を行った。得られた結果を表7に併記する。
【0056】
【表7】

【0057】
表7から明らかなように、(A)多価アルコールと、(B)ジェミニ型界面活性剤と、(C)非ジェミニ型のノニオン界面活性剤と、(D)油性成分と、(E)水と、を含有してなる実施例19および実施例20の乳化化粧料は、安定性および感触ともに良好であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)多価アルコールと、(B)ジェミニ型界面活性剤と、(C)非ジェミニ型のノニオン界面活性剤と、(D)油性成分と、(E)水と、を含有してなることを特徴とする乳化化粧料。
【請求項2】
前記(A)多価アルコール1.0〜20質量%と、前記(B)ジェミニ型界面活性剤0.01〜10.0質量%と、前記(C)非ジェミニ型のノニオン界面活性剤0.1〜10.0質量%と、前記(D)油性成分0.1〜50質量%と、(E)水1.0〜98.79質量%と、を含有してなる請求項1記載の乳化化粧料。
【請求項3】
前記(B)ジェミニ型界面活性剤が、レシチンおよび水添レシチンよりなる群から選ばれる1種以上である請求項1または2記載の乳化化粧料。
【請求項4】
前記(A)多価アルコールが、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールおよびジグリセリンよりなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の乳化化粧料。
【請求項5】
前記(C)非ジェミニ型のノニオン界面活性剤が、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン水添ダイマージオール、モノステアリン酸ポリグリセリル、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノラウリン酸ポリグリセリルおよびモノオレイン酸ポリグリセリルよりなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の乳化化粧料。

【公開番号】特開2013−6818(P2013−6818A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153304(P2011−153304)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(508001073)株式会社シーエスラボ (4)
【Fターム(参考)】