説明

乳化型制汗化粧料

【課題】乳化安定性に優れ、べたつき感に寄与する塗布後の乾きの遅さを改善し、優れた制汗効果を持続させることができるとともに、洗浄時の肌からの洗い落ちにも優れた効果を発揮する乳化型制汗化粧料の提供。
【解決手段】(A)制汗成分、(B)HLBが2〜8のグリセリン脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤、(C)HLBが12〜18の非イオン性界面活性剤、(D)高級アルコール、並びに(E)シリコーン油(E1)および/又は脂肪酸エステル油(E2)を含有してなる乳化型制汗化粧料とする。所望により、(F)殺菌成分を含有させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳化型制汗化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、制汗化粧料としては、使い勝手がよく、瞬時に制汗効果を感じることができるエアゾール剤型のものが最も汎用されている。しかしながら、一般的にエアゾール剤型の制汗化粧料は、広範囲に塗布することができるという利点がある反面、霧状に薬剤を噴霧塗布するため、制汗効果の持続性に乏しいという欠点がある。
【0003】
そのため、制汗効果の持続性を高めるべく、肌への付着性に優れるクリームや乳液などの乳化剤型の制汗化粧料の開発もなされている。しかしながら、乳化剤型とすると、肌への付着性に優れる反面、肌上での残留感(被膜感)が際立ち、使用感に劣るといった問題がある。また、塗布後の乾きも遅いためにべたつき感が生じ易くなり、サラサラとした軽い使用感が得られ難いといった問題もある。
【0004】
そこで、クリーム剤型の制汗化粧料において、肌上での残留感(被膜感)を抑え、使用感を高める試みがなされている。具体的には、揮発性シリコーンと、制汗成分と、粘土増粘剤と、不揮発性パラフィン族炭化水素とを含有する制汗剤クリーム組成物(例えば、特許文献1を参照)、シリコーン誘導体である乳化剤を含有する油中水型エマルジョン形態の発汗抑制組成物(例えば、特許文献2を参照)、制汗成分と、特定の架橋型シリコーン化合物と、低級アルコールとを含有する油中水型エマルジョンである制汗剤組成物(例えば、特許文献3を参照)、特定の平均粒子径の酸化亜鉛粉体と、疎水化処理を表面に施した特定の平均粒子径の球状粉体とを含有する制汗・防臭剤用油中水型乳化組成物(例えば、特許文献4を参照)などが提案されている。
【0005】
しかしながら、これら試みによって、べたつき感を改善することはできるものの、シリコーン系の油剤やシリコーン系の界面活性剤が多量に配合されているため、洗浄時の肌からの洗い落ちが極端に悪くなり使用感に劣るといった問題がある。そのため、肌からの洗い落ちを高めるために、シリコーン系の界面活性剤以外の界面活性剤を用いて乳化剤型とすることも考え得るが、これら手段では、肌への付着性に劣るため、十分な使用実感が得られないといった問題がある。加えて、肌への付着性を高めようとすると、塗布後の乾きが遅くなるために、べたつき感が際立つといった問題がある。更には、乳化安定性にも悪影響を及ぼすといった問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−200720号公報
【特許文献2】特表2005−536477号公報
【特許文献3】特開2005−179305号公報
【特許文献4】特開2011−26264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、乳化安定性に優れ、べたつき感に寄与する塗布後の乾きの遅さを改善し、優れた制汗効果を持続させることができるとともに、洗浄時の肌からの洗い落ちにも優れた効果を発揮する乳化型制汗化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は、
〔1〕(A)制汗成分、(B)HLBが2〜8のグリセリン脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤、(C)HLBが12〜18の非イオン性界面活性剤、(D)高級アルコール、並びに(E)シリコーン油(E1)および/又は脂肪酸エステル油(E2)を含有してなる乳化型制汗化粧料、
〔2〕前記(B)成分と前記(C)成分の質量含有比が、(B):(C)=1:0.5〜1:4である前記〔1〕に記載の乳化型制汗化粧料、
〔3〕前記(D)成分が、直鎖飽和型の炭素数12〜22の高級アルコールの群から選ばれる少なくとも2種である前記〔1〕又は〔2〕に記載の乳化型制汗化粧料、
〔4〕前記(E1)成分が、ジメチルシリコーン油、メチルフェニルシリコーン油および環状ジメチルシリコーン油の群から選ばれる少なくとも1種である前記〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の乳化型制汗化粧料、並びに
〔5〕更に、(F)殺菌成分を含有してなる前記〔1〕〜〔4〕の何れかに記載の乳化型制汗化粧料
に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の乳化型制汗化粧料は、乳化安定性に優れるという効果を奏する。また、塗布後の速乾性に優れることから、汗をかいた肌でもべたつき感がなく、サラサラした肌状態が得られるという効果を奏する。更に、本発明の乳化型制汗化粧料は、肌への付着性が良く制汗効果が持続するにもかかわらず、洗浄時には肌からの洗い落ちに優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の乳化型制汗化粧料は、(A)制汗成分、(B)HLBが2〜8のグリセリン脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤、(C)HLBが12〜18の非イオン性界面活性剤、(D)高級アルコール、並びに(E)シリコーン油(E1)および/又は脂肪酸エステル油(E2)を含有してなる。
【0011】
(A)成分の制汗成分としては、皮膚を収斂することにより汗の発生を抑制する薬剤であれば特に限定されないが、例えば、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛などを例示することができる。これら(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。好適な(A)成分としては、制汗効果の観点から、硫酸アルミニウムカリウム、クロルヒドロキシアルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛を用いるのが好ましい。
【0012】
(A)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、制汗効果の観点から、化粧料中、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.3質量%以上である。また、皮膚刺激の観点から、40質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下である。これらの観点から、(A)成分の含有量は、好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは0.3〜30質量%である。
【0013】
(B)成分のグリセリン脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤としては、HLBが2〜8のものが用いられる。具体的な(B)成分としては、例えば、ミリスチン酸グリセリル(HLB3.5)、パルミチン酸グリセリル(HLB5.0)、モノステアリン酸グリセリル(HLB4.0)、親油型モノステアリン酸グリセリル(HLB3.0)、自己乳化型モノステアリン酸グリセリル(HLB3.0)、モノイソステアリン酸グリセリル(HLB6.0)、オレイン酸グリセリル(HLB2.5)、親油型モノオレイン酸グリセリル(HLB2.5)などを例示することができる。これら(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。好適な(B)成分としては、乳化安定性を高める観点から、モノステアリン酸グリセリル(HLB4.0)、親油型モノステアリン酸グリセリル(HLB3.0)、自己乳化型モノステアリン酸グリセリル(HLB3.0)、親油型モノオレイン酸グリセリル(HLB2.5)を用いるのが好ましい。
【0014】
(B)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、乳化安定性を高める観点から、化粧料中、1質量%以上が好ましく、より好ましくは2.5質量%以上である。また、高温安定性の観点から、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下である。これらの観点から、(B)成分の含有量は、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2.5〜5質量%である。
【0015】
(C)成分の非イオン性界面活性剤としては、HLBが12〜18のものが用いられる。具体的な(C)成分としては、例えば、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル(HLB11.5)、ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル(HLB14.5)、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル(HLB13.5)、ポリオキシエチレン(15)セチルエーテル(HLB15.5)、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル(HLB17.0)、ポリオキシエチレン(23)セチルエーテル(HLB18.0)、ポリオキシエチレン(4)ステアリルエーテル(HLB9.0)、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル(HLB18.0)、ポリオキシエチレン(7)オレイルエーテル(HLB10.5)、ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル(HLB14.5)、ポリオキシエチレン(15)オレイルエーテル(HLB16.0)、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル(HLB17.0)、ポリオキシエチレン(20)オクチルドデシルエーテル(HLB13.0)、ポリオキシエチレン(25)オクチルドデシルエーテル(HLB14.0)などのポリオキシエチレンアルキルエーテル;モノラウリン酸ポリオキシエチレン(6)ソルビタン(HLB13.3)、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(HLB17.0)、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(HLB16.0)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(HLB15.0)などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどを例示することができる。これら(C)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。好適な(C)成分としては、乳化安定性の観点から、ポリオキシエチレン(15)セチルエーテル(HLB15.5)、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル(HLB17)、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル(HLB18)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(HLB15.0)を用いるのが好ましい。尚、上記括弧内に数値のみが記載されているものは、酸化エチレンの付加モル数を表す。
【0016】
(C)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、乳化安定性を高める観点から、化粧料中、1質量%以上が好ましく、より好ましくは2質量%以上である。また、安定性の観点から、10質量%以下が好ましく、より好ましくは8質量%以下である。これらの観点から、(C)成分の含有量は、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%である。
【0017】
本発明においては、乳化安定性を高める観点、並びに洗浄時の肌からの洗い落ちを良好にする観点から、上記した(B)成分と(C)成分の夫々の含有量が、質量含有比、(B):(C)=1:0.5〜1:4を満たす範囲内で調製されることが好ましく、(B):(C)=1:1〜1:3を満たす範囲内で調製されることがより好ましい。
【0018】
(D)成分の高級アルコールとしては、所望の効果を十分に発揮することができるのであれば、直鎖又は分岐鎖、若しくは、飽和又は不飽和の何れの高級アルコールであっても特に限定されないが、例えば、炭素数12〜22の高級アルコールが挙げられる。具体的には、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどの直鎖飽和型の炭素数12〜22の高級アルコール;オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコールなどの直鎖不飽和型の炭素数12〜18の高級アルコール;イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノールなどの分岐鎖飽和型の炭素数18〜20の高級アルコールなどを例示することができる。これら(D)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
【0019】
好適な(D)成分としては、肌への付着性を高める観点から、直鎖飽和型の炭素数12〜22高級アルコールの群から選ばれる少なくとも2種を用いることが好ましく、中でも、直鎖飽和型の炭素数16〜22高級アルコールの群から選ばれる少なくとも2種を用いることがより好ましく、セチルアルコールとステアリルアルコールとを併用することが最も好ましい。
【0020】
(D)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、肌への付着性を高める観点から、化粧料中、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは3質量%以上である。また、高温安定性の観点から、10質量%以下が好ましく、より好ましくは8質量%以下である。これらの観点から、(D)成分の含有量は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは3〜8質量%である。
【0021】
(E)成分のシリコーン油(E1)としては、例えば、メチルポリシロキサン、平均重合度が650〜7000である高重合メチルポリシロキサンなどのジメチルシリコーン油;メチルフェニルポリシロキサンなどのメチルフェニルシリコーン油;メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどの環状ジメチルシリコーン油;アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体などのアミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーンなどの変性シリコーン;メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチコノールなどを例示することができる。これら(E1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
【0022】
好適な(E1)成分としては、塗布後の乾きの速さを良好とする観点から、ジメチルシリコーン油、メチルフェニルシリコーン油および環状ジメチルシリコーン油の群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0023】
また、(E)成分の脂肪酸エステル油(E2)としては、例えば、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸イソステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸セトステアリル、2−エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸ヘキシル、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル(1)、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル(2)、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステルなどを例示することができる。これら(E2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
【0024】
好適な(E2)成分としては、べたつき感を抑える観点から、イソノナン酸イソノニル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル(1)を用いることが好ましい。
【0025】
(E)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、乳化安定性を高める観点から、化粧料中、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.02質量%以上である。また、使用感の観点から、5質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以下である。これらの観点から、(E)成分の含有量は、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.02〜1質量%である。
【0026】
本発明の乳化型制汗化粧料には、(F)殺菌成分を含有させることもできる。用いられる(F)成分としては、皮膚常在菌を殺菌・除菌することにより、汗や皮脂の分解を抑制する薬剤であれば特に限定されないが、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化リゾチウム、ハロカルバン、トリクロロカルバニリド、塩酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、フェノールスルホン酸アルミニウム、トリクロサン、グルコン酸クロルヘキシジンなどを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。好適な(F)成分としては、殺菌・除菌効果の観点から、塩化ベンザルコニウム、塩化リゾチウム、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサンを用いるのが好ましい。
【0027】
(F)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、殺菌・除菌効果の観点から、化粧料中、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上である。また、安全性の観点から、3質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以下である。これらの観点から、(F)成分の含有量は、好ましくは0.01〜3質量%、より好ましくは0.1〜1質量%である。
【0028】
本発明の乳化型制汗化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記した成分の他に通常化粧品に用いられる成分、例えば、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、ワセリン、l−メントール、l−メンチルグリセリルエーテル、乳酸メンチル、低級アルコール、タルク、無水ケイ酸、オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウム、メチルシロキサン網状重合体、植物エキス、キレート剤、酸化防止剤、香料などを目的に応じて適宜配合することができる。
【0029】
また、本発明の乳化型制汗化粧料は、例えば、乳液状、クリーム状、ワックス状などの剤型に適用することができ、製造方法としては、前記各構成成分を混合し、公知の方法、例えば、ホモミキサーを用いた転相乳化法などにより乳化することにより製造することができる。また、混合と乳化は別々に行っても同時に行ってもよい。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、配合量は、特記しない限り「質量%」を表す。
【0031】
(試料の調製1)
表1〜表4に記した組成に従い、実施例1〜10および比較例1〜10の制汗化粧料を乳化剤型にそれぞれ調製し、下記評価に供した。結果をそれぞれ表1〜表4に併記する。尚、表中の括弧内に数値のみが記載されているものは、酸化エチレンの付加モル数を表す。
【0032】
(試験例1:乳化安定性の評価)
各実施例および各比較例で得られた乳化型制汗化粧料を、50mL容の透明ガラス容器にそれぞれ封入し、40℃の恒温槽に夫々4週間保存したときの乳化系の状態を目視観察して以下の評価基準に従って評価した。
【0033】
<乳化安定性の評価基準>
◎:製造直後の乳化状態を維持している
○:乳化状態は維持しているが、表面に僅かな分離(離水)が認められる
△:乳化状態は維持しておらず、表面に明らかな液体の離液、液動化が認められる
×:分離している
【0034】
(試験例2:塗布後の評価)
官能評価パネル20名により、気温30±1℃、湿度55〜65%の条件下で10分間順化してもらい、肌上に汗をかいてもらった。次いで、気温23±1℃、湿度55〜65%の条件下で各実施例および各比較例で得られた乳化型制汗化粧料を、実際に前腕内側部に直接塗布してもらい、塗布10分後の「乾燥性」および「べたつき感」について、以下の評価基準に従って官能評価した。
【0035】
<乾燥性の評価基準>
◎:20名中16名以上が乾きの遅さはなく、乾燥性に優れると回答
○:20名中11〜15名が乾きの遅さはなく、乾燥性に優れると回答
△:20名中6〜10名が乾きの遅さはなく、乾燥性に優れると回答
×:20名中5名以下が乾きの遅さはなく、乾燥性に優れると回答
【0036】
<べたつき感の評価基準>
◎:20名中16名以上がべたつき感はなく、サラサラした肌状態であると回答
○:20名中11〜15名がべたつき感はなく、サラサラした肌状態であると回答
△:20名中6〜10名がべたつき感はなく、サラサラした肌状態であると回答
×:20名中5名以下がべたつき感はなく、サラサラした肌状態であると回答
【0037】
(試験例3:制汗効果の評価)
同評価パネルにより、試験例2の評価5時間後の「肌への付着性」および「制汗効果の持続」について、以下の評価基準に従って官能評価した。
【0038】
<付着性の評価基準>
◎:20名中16名以上が化粧料の肌への付着性が良いと回答
○:20名中11〜15名が化粧料の肌への付着性が良いと回答
△:20名中6〜10名が化粧料の肌への付着性が良いと回答
×:20名中5名以下が化粧料の肌への付着性が良いと回答
【0039】
<制汗効果の持続の評価基準>
◎:20名中16名以上が制汗効果が持続していると回答
○:20名中11〜15名が制汗効果が持続していると回答
△:20名中6〜10名が制汗効果が持続していると回答
×:20名中5名以下が制汗効果が持続していると回答
【0040】
(試験例4:洗い落ちの評価)
同評価パネルにより、試験例3の評価後、塗布部をぬるま湯で洗い流してもらい、指先や手の平からの洗い落ちを下記の評価基準に従って官能評価した。
【0041】
<美肌の評価基準>
◎:20名中16名以上が肌からの洗い落ちに優れると回答
○:20名中11〜15名が肌からの洗い落ちに優れると回答
△:20名中6〜10名が肌からの洗い落ちに優れると回答
×:20名中5名以下が肌からの洗い落ちに優れると回答
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】
【表4】

【0046】
表1〜表4に示された結果から、各実施例で得られた乳化型制汗化粧料は、各比較例で得られたものと対比して、優れた乳化安定性を有し、塗布後の速乾性に優れることから、汗をかいた肌でもべたつき感がなく、サラサラした肌状態であることが分かる。また、肌への付着性に優れることから、制汗効果が持続していることが分かる。更には、肌への付着性が良いにもかかわらず、洗浄時には肌からの洗い落ちが良好であることも分かる。
【0047】
これに対し、本発明の必須構成成分を充足しない比較例1〜5では、乳化安定性に劣るために、乾燥性が悪くべたつき感が際立ち、本発明の特有の効果を十分に発揮させることができないことが分かる。また、実施例1の(B)成分を同HLBを有する(B)成分以外の非イオン性界面活性剤へ置き換えた比較例6〜9、並びに実施例1の(C)成分を(B)成分と同HLBを有する(B)成分以外の非イオン性界面活性剤へ置き換えた比較例10では、乳化安定性に著しく劣り、分離が生じて剤としてなし得ないものとなるため、本発明の特有の効果を発揮させることすらできないものであることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)制汗成分、(B)HLBが2〜8のグリセリン脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤、(C)HLBが12〜18の非イオン性界面活性剤、(D)高級アルコール、並びに(E)シリコーン油(E1)および/又は脂肪酸エステル油(E2)を含有してなる乳化型制汗化粧料。
【請求項2】
前記(B)成分と前記(C)成分の質量含有比が、(B):(C)=1:0.5〜1:4である請求項1に記載の乳化型制汗化粧料。
【請求項3】
前記(D)成分が、直鎖飽和型の炭素数12〜22の高級アルコールの群から選ばれる少なくとも2種である請求項1又は2に記載の乳化型制汗化粧料。
【請求項4】
前記(E1)成分が、ジメチルシリコーン油、メチルフェニルシリコーン油および環状ジメチルシリコーン油の群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3の何れかに記載の乳化型制汗化粧料。
【請求項5】
更に、(F)殺菌成分を含有してなる請求項1〜4の何れかに記載の乳化型制汗化粧料。

【公開番号】特開2013−75870(P2013−75870A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217525(P2011−217525)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】