説明

乳化形化粧料

【課題】A領域、B領域の紫外線の防御効果に優れ、該効果が長時間持続する乳化形化粧料を提供する。
【解決手段】以下の(a)〜(c):
(d) 一般式(I)で示される片末端に(メタ)アクリル構造を有するジメチルポリシロキサンと(メタ)アクリレートとを共重合させてなるアクリル−シリコーン系グラフト共重合体で被覆された微粒子金属酸化物
(e) A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤
(f) B領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤
を含有することを特徴とする乳化形化粧料によって課題が解決される。
【化1】


(式中、Rはメチル基又は水素原子を示し、Rはエーテル結合1個又は2個で遮断されていてもよい直鎖状または分岐鎖状の炭素鎖を有する炭素数1〜10の飽和炭化水素基を示し、nは3〜300の数を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乳化型化粧料に関し、さらに詳細には、A領域及びB領域の紫外線の防御効果に優れ、かつ、紫外線防御効果が持続する乳化形化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化粧料、特に夏に使用される化粧料には紫外線に対する高い防御効果と、その防御効果が長時間持続することが求められている。一方、乳化形化粧料は、肌上での延展性に優れる、肌への密着感が良好である等の利点と、水を含有する故のみずみずしい使用感から夏の化粧料として重用されている。紫外線に対する防御効果を乳化形化粧料に付与するためには、320〜400nm波長(A領域)の紫外線を吸収するいわゆるUV−A吸収剤や、290〜320nmの波長(B領域)の紫外線を吸収するいわゆるUV−B吸収剤が使用されてきた。しかしながら、これらの吸収剤の多くは高粘の油剤であり、高い紫外線効果を得るために、高濃度で乳化形化粧料に含有させると、延展性が低下する、みずみずしい使用感が損なわれる等の問題点が生じた。
【0003】
これらの課題を解決するために、100nm以下の平均粒径を有する、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等のいわゆる微粒子金属酸化物が使用されてきた。これらの微粒子金属酸化物の紫外線吸収効果を効率的に発揮させるためには、乳化形化粧料中で微粒子金属酸化物を均一に分散させる必要があり、微粒子金属酸化物に種々の表面処理を行って分散性を向上させる手法がとられている。(例えば、特許文献1、2,3,4参照)
【0004】
しかしながら、微粒子金属酸化物のみで高い紫外線防御効果をあげることは困難であり、微粒子金属酸化物と前述のUV−A吸収剤、UV−B吸収剤を併用することが望まれるが、この場合、従来の表面処理を施した微粒子金属酸化物とUV−A吸収剤、UV−B吸収剤の親和性が充分でないため、経時で分散性が低下し、結果として、紫外線防御効果が長時間持続しないという課題が生じる場合が存した。
【0005】
一方、側鎖にポリシロキサン鎖を有するアクリル重合体で被覆した顔料を乳化形化粧料に含有させると優れた化粧持ちとさっぱりした使用感が得られることは知られていたが(例えば特許文献5,6参照)、これら、側鎖にポリシロキサン鎖を有するアクリル重合体で被覆した微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛とUV−A吸収剤、UV−B吸収剤との親和性が良好で、油相中に両者が均一に存在し、高い紫外線防御効果が得られ、紫外線防御効果の持続性に優れる乳化形化粧料が得られることは知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−301828号公報
【特許文献2】特開2001−58934号公報
【特許文献3】特開2009−191033号公報
【特許文献4】特開2011−93826号公報
【特許文献5】特開平5−339125号公報
【特許文献6】特開2003−48814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、A領域、B領域の紫外線の防御効果に優れ、該効果が長時間持続する乳化形化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような状況に鑑み、本発明者等は、A領域、B領域の紫外線の防御効果に優れ、該効果が長時間持続する乳化形化粧料を求めて鋭意研究した結果、側鎖にポリシロキサン鎖を有するアクリル重合体で被覆した微粒子金属酸化物、A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤及びB領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤を含有する乳化形化粧料が課題を解決することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は以下に示すとおりである。
(1)以下の(a)〜(c):
(a) 一般式(I)で示される片末端に(メタ)アクリル構造を有するジメチルポリシロキサンと(メタ)アクリレートとを共重合させてなるアクリル−シリコーン系グラフト共重合体で被覆された微粒子金属酸化物
(b) A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤
(c) B領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤
を含有することを特徴とする乳化形化粧料。
【化1】

(式中、Rはメチル基又は水素原子を示し、Rはエーテル結合1個又は2個で遮断されていてもよい直鎖状または分岐鎖状の炭素鎖を有する炭素数1〜10の飽和炭化水素基を示し、nは3〜300の数を示す。)
(2)微粒子金属酸化物が微粒子酸化チタン及び/又は微粒子酸化亜鉛であることを特徴とする(1)記載の乳化形化粧料。
(3)A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤がジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル及び/又はt−ブチルメトキシベンゾイルメタンであることを特徴とする(1)または(2)記載の乳化形化粧料。
(4)B領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤がパラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシル、ジメチコジエチルベンザルマロネート、2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2´−エチルヘキシル−1´−オキシ)−1,3,5−トリアジンからなる群から選択される一種または二種以上であることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の乳化形化粧料。
(5)紫外線防御用であることを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載の乳化形化粧料。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、A領域、B領域の紫外線の防御効果に優れ、該効果が長時間持続する乳化形化粧料を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(1) 本発明のアクリル−シリコーン系グラフト共重合体で被覆された微粒子金属酸化物
本発明の乳化形化粧料は必須成分として一般式(I)で示される片末端に(メタ)アクリル構造を有するジメチルポリシロキサンと(メタ)アクリレートとを共重合させてなるアクリル−シリコーン系グラフト共重合体で被覆された微粒子金属酸化物(以下アクリルシリコーン被覆微粒子金属酸化物という)を含有する。
【化2】

(式中、Rはメチル基又は水素原子を示し、Rはエーテル結合1個又は2個で遮断されていてもよい直鎖状または分岐鎖状の炭素鎖を有する炭素数1〜10の飽和炭化水素基を示し、nは3〜300の数を示す)
【0011】
一般式(I)におけるRとしては具体的には、
【0012】
【化3】

【0013】
等が例示される。
【0014】
一般式(I)の片末端に(メタ)アクリル構造を有するジメチルポリシロキサンと共重合させる(メタ)アクリレートとしては、具体的にはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が例示できる。
【0015】
本発明の、アクリルシリコーン被覆微粒子金属酸化物の被覆に用いるアクリル−シリコーン系グラフト共重合体は前述の一般式(I)で示される片末端に(メタ)アクリル構造を有するジメチルポリシロキサンと前述の(メタ)アクリレートとをラジカル重合等の常法により共重合させることにより得られる。また、市販品も存在するので、これらを入手して使用することも可能である。かかる市販品としては、具体的にはKP−541、KP−543、KP−545(いずれも信越化学工業株式会社製)等が例示できる。
【0016】
本発明の、アクリルシリコーン被覆微粒子金属酸化物における微粒子とは、一次粒子径(電子顕微鏡観察による。)が約10〜80nmの範囲にあるものを指す。本発明のアクリルシリコーン被覆微粒子金属酸化物における微粒子金属酸化物としては、具体的には、微粒子二酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化ジルコニウム、微粒子酸化セリウム等が好適に例示される。これらの微粒子金属酸化物は、その表面が、シリカ、アルミナ等の無機化合物或いは、脂肪酸金属石鹸、シリコーン等の有機化合物により被覆されていても良い。微粒子金属酸化物の中では紫外線吸収効果にすぐれることから、微粒子二酸化チタン、微粒子酸化亜鉛が特に好ましい。
【0017】
本発明のアクリルシリコーン被覆微粒子金属酸化物における微粒子金属酸化物は該当する金属の塩を気相中で熱分解する等の常法により調製することが可能であるが、多くの市販品も存在するので、市販品をそのまま用いることもできる。このような市販品としては、具体的には、微粒子二酸化チタンとして、「MTY−110M3S」(テイカ(株)製)、「MTY−02」(テイカ(株)製)、「MT−100TV」(テイカ(株)製)、「MT−500HSA」(テイカ(株)製)、「MT−100T」(テイカ(株)製)、「MT−01」(テイカ(株)製)、「MT−10EX」(テイカ(株)製)、「MT−05」(テイカ(株)製)、「MT−100Z」(テイカ(株)製)、「MT−150EX」(テイカ(株)製)、「MT−100AQ」(テイカ(株)製)、「MT−100WP」(テイカ(株)製)、「MT−100SA」(テイカ(株)製)、「MT−500B」(テイカ(株)製)、「MT−500SA」(テイカ(株)製、「MT−600B」(テイカ(株)製)、「MT−500SAS」(テイカ(株)製)、)「タイペークCR−50」(石原産業(株)製)、「タイペークTTO−M−1」(石原産業(株)製)「タイペークTTO−V4」(石原産業(株)製)、「ST−455」(チタン工業(株)製)、「STT−65C−S」(チタン工業(株)製)、「STT−30EHS」(チタン工業(株)製)、「バイエルチタンR−KB−1」(バイエル社製)等が挙げられる。
また、微粒子酸化亜鉛として、「MZ−300」(テイカ(株)製)、「MZY−303S」(テイカ(株)製)、「MZ−306X」(テイカ(株)製)、「MZ−500」(テイカ(株)製)、「MZY−505S」(テイカ(株)製)、「MZ−506X」(テイカ(株)製)、「MZ−510HPSX」(テイカ(株)製)、「WSX−MZ−700」(テイカ(株)製)、「SANT−UFZO−450」(三好化成(株)製)、「SANT−UFZO−500」(三好化成(株)製)、「FZO−50」(石原産業(株)製)、「マックスライトZS−032」(昭和電工(株)製)、「マックスライトZS−032D」(昭和電工(株)製)等が挙げられる。
【0018】
本発明のアクリルシリコーン被覆微粒子金属酸化物における、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体の被覆量はアクリルシリコーン被覆微粒子金属酸化物の0.5〜15質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。下限値以下では、乳化形化粧料中での分散安定性が維持できず、結果として、紫外線に対する防御効果を長時間維持できない場合があり、好ましくない。また、上限値以上では、アクリルシリコーン被覆微粒子金属酸化物同志の凝集が起こり、均一な分散が得にくく、充分な紫外線防御効果が得られない場合があり、好ましくない。
【0019】
本発明のアクリルシリコーン被覆微粒子金属酸化物は、例えば、特開平5−339125号公報記載の方法等により調製することができる。
【0020】
以下に本発明のアクリルシリコーン被覆微粒子金属酸化物の製造例を示す。
<製造例1>アクリルシリコーン被覆微粒子二酸化チタンの製造例その1
微粒子二酸化チタン(「タイペークTTO−M−2」 石原産業(株)製)95g、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体のイソプロパノール溶液(「シリコーンKP541 信越化学工業(株)製」8.3g及びイソプロパノール200mlを1Lビーカーにとり、ディスパーを用いて攪拌混合を行った。
この混合物を1Lなす型フラスコに移し、ロータリーエバポレーターを用いて、イソプロパノールを留去し、アクリルシリコーン被覆微粒子二酸化チタン1を得た。
【0021】
<製造例2>アクリルシリコーン被覆微粒子二酸化チタンの製造例その2
製造例1における微粒子二酸化チタンを「MT−100T」(テイカ(株)製)に替え、製造例1と同様の操作を行って、アクリルシリコーン被覆微粒子二酸化チタン2を得た。
【0022】
<製造例3>アクリルシリコーン被覆微粒子酸化亜鉛の製造例その1
製造例1における微粒子二酸化チタンを微粒子酸化亜鉛「マックスライトZS−032」(昭和電工(株)製)に替え、製造例1と同様の操作を行って、アクリルシリコーン被覆微粒子酸化亜鉛1を得た。
【0023】
<製造例4>アクリルシリコーン被覆微粒子酸化亜鉛の製造例その2
製造例1における微粒子二酸化チタンを微粒子酸化亜鉛「FZO50」(石原産業(株)製)に替え、製造例1と同様の操作を行って、アクリルシリコーン被覆微粒子酸化亜鉛2を得た。
【0024】
本発明の乳化形化粧料におけるアクリルシリコーン被覆微粒子金属酸化物の含有量は、は乳化形化粧料全体に対して0.5〜30.0質量%であることが好ましく、1.0〜20.0質量%であることがより好ましい。含有量が下限値以下では紫外線に対する防御効果が不十分な場合があり、また、上限値以上では、含有量を増加させても紫外線に対する防御効果が頭打ちになり、乳化形化粧料を肌上に塗布する際に延展性が低下する等の使用性が低下する場合があり好ましくない。
【0025】
本発明において、アクリルシリコーン被覆微粒子金属酸化物を乳化形化粧料に含有せしめる場合、乳化形化粧料を構成する他成分と直接混合するより、予めアクリルシリコーン被覆微粒子金属酸化物を油剤中に分散させてペーストとなし、該ペーストと乳化形化粧料を構成する他成分と混合する工程をとることが好ましい。このような工程をとることにより、アクリルシリコーン被覆微粒子金属酸化物を乳化形化粧料中により均一に含有させることが可能となる。
【0026】
以下、アクリルシリコーン被覆微粒子金属酸化物の油剤分散ペーストの製造例を示す。
<製造例5>
50gの製造例2のアクリルシリコーン被覆微粒子二酸化チタン2、デカメチルシクロペンタシロキサン46g、セスキイソステアリン酸ソルビタン4gをコボールミル(神鋼パンテック(株)製)にとり、4時間混合粉砕を行い、アクリルシリコーン被覆微粒子二酸化チタンペースト1を得た。
【0027】
<製造例6>
製造例5におけるアクリルシリコーン被覆微粒子二酸化チタン2を製造例3のアクリルシリコーン被覆微粒子酸化亜鉛1に替え、製造例5と同様の操作を行って、アクリルシリコーン被覆微粒子酸化亜鉛ペースト1を得た。
【0028】
(2) 本発明のA領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤
本発明の乳化形化粧料は必須成分としてA領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤(以下UV−A吸収剤という)を含有する。このようなUV−A吸収剤としては、具体的には、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、ビス(レスルシニル)トリアジン、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t−ブチルメトキシベンゾイルメタン等の化合物があげられる。この内でも、紫外線吸収能に優れることから、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t−ブチルメトキシベンゾイルメタンが特に好ましい。これらの化合物には市販品が存在するので、市販品をそのまま用いることができる。具体的な市販品としては「ユビナールAプラス グラニュラー」(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル BASF社製)、「パルソール1789」(t−ブチルメトキシベンゾイルメタン DSM社製)が例示できる。
【0029】
これらUV−A吸収剤の含有量は乳化形化粧料全量に対して0.01〜5.0質量%であることが好ましく、0.1〜3.0質量%であることがより好ましい。含有量が下限値以下では、A領域の紫外線に対する防御効果が不十分な場合があり、また、上限値以上では、含有量を増加させてもA領域の紫外線に対する防御効果が頭打ちになり、乳化形化粧料を塗布する際に伸びが重くなるなどの使用性の低下が生じる場合があり好ましくない。
【0030】
(3)本発明のB領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤
本発明の乳化形化粧料は必須成分としてB領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤(以下UV−B吸収剤という)を含有する。このようなUV−B吸収剤としては、具体的には、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシル、ジメチコジエチルベンザルマロネート、2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2´−エチルヘキシル−1´−オキシ)−1,3,5−トリアジン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル等の化合物があげられる。これらの化合物には市販品が存在するので、市販品をそのまま用いることができる。具体的な市販品としては、「ユビナールMC80」(パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル BASF社製)、「ユビナールT150」(2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2´−エチルヘキシル−1´−オキシ)−1,3,5−トリアジン BASF社製)、「ユビナールM40」(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン BASF社製)、「パルソールSLX」(ジメチコジエチルベンザルマロネート DSM社製)、「パルソール340」(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシル DSM社製)、「パルソールHMS」(サリチル酸ホモメンチル DSM社製)、「パルソールEMS」(サリチル酸オクチル DSM社製)が例示できる。
【0031】
これらUV−B吸収剤の含有量は乳化形化粧料全量に対して0.1〜10.0質量%であることが好ましく、0.5〜7.0質量%であることがより好ましい。含有量が下限値以下では、B領域の紫外線に対する防御効果が不十分な場合があり、また、上限値以上では、含有量を増加させてもB領域の紫外線に対する防御効果が頭打ちになり、乳化形化粧料を塗布する際に伸びが重くなるなどの使用性の低下が生じる場合があり好ましくない。
【0032】
(4) 本発明の乳化形化粧料
本発明の乳化形化粧料は、前記、アクリルシリコーン被覆微粒子金属酸化物、UV−A吸収剤及びUV−B吸収剤を必須成分として含有することを特徴とする。
【0033】
さらに、本発明の乳化形化粧料は上記必須成分以外に通常化粧料で使用される任意成分を発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。かかる任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、表面処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面処理されていても良い、酸化コバルト、群青、紺青、酸化亜鉛の無機顔料類、表面処理されていても良い、酸化鉄二酸化チタン焼結体等の複合顔料、表面処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。
【0034】
本発明の乳化形化粧料は前記必須成分と任意成分とを常法にしたがって処理することにより得られる。また、本発明の乳化形化粧料は紫外線防御効果が長時間持続するため、紫外線防御用化粧料、いわゆる、サンスクリーンとして有用である。
【実施例】
【0035】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明が以下の実施例に限定されるものではない。
【0036】
<実施例1〜4、比較例1,2>
表1に示す処方に従って、本発明の乳化形化粧料である、油中水形のサンスクリーン化粧料及び比較例の油中水形のサンスクリーン化粧料を調製した。すなわち、成分(イ)を75℃に加熱し、攪拌混合した。次に、成分(イ)に成分(ロ)を添加し、加熱を続けながら、ディスパーを用いて5000rpmで4分間攪拌し、成分(イ)に成分(ロ)を均一に分散させた。さらに、成分(ハ)を75℃に加熱、攪拌混合し、75℃を保ちながら、成分(イ)と成分(ロ)の混合物に成分(ハ)を攪拌下、添加し乳化を行った。その後、室温まで冷却し、油中水形のサンスクリーン化粧料を得た。なお表1中の数字は質量%を表す。
【0037】
【表1】

* 1)「ユビナールAプラス グラニュラー」(BASF社製)
* 2)「パルソール1789」(DSM社製)
* 3)「ソフトシェードDH」(味の素(株)製)
* 4)「チノソーブM」(Ciba社製)
* 5)「ユビナールMC80」(BASF社製)
* 6)「パルソールSLX」(DSM社製)
* 7)「パルソール340」(DSM社製)
* 8)「ユビナールT150」(BASF社製)
【0038】
<試験例1>SPF値の測定
ISO24444の方法により実施例1〜4、比較例1〜2のサンスクリーン化粧料を塗布した場合のSPF値を測定した。結果を表2に示す。
【0039】
<試験例2>PFA値の評価
JCiA1995PFAの試験方法により実施例1〜4、比較例1〜2のサンスクリーン化粧料を塗布した場合のPFA値を評価した。結果を表2に示す。
【0040】
<試験例3>紫外線防御効果の持続性評価
実施例1〜4、比較例1〜2のサンスクリーン化粧料を塗布したパネラーを、30℃、相対湿度80%の恒温室に2時間滞在させ負荷試験を行った。その後、試験例1及び2の方法でSPF値及びPFA値を測定した。負荷試験後の測定値の負荷試験前の塗布直後の測定値に対する割合、すなわち、維持率を算出した。維持率が100%に近いほど紫外線防御効果が持続していることを意味する。結果を表2に示す。
【0041】
【表2】


表2から明らかなように、本発明の乳化形化粧料はA領域及びB領域の紫外線に対する防御効果が高く、かつ、その効果が長時間維持されている。また、UV−A吸収剤としてジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t−ブチルメトキシベンゾイルメタンを用いた場合は、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールを用いた場合の半分の含有量で同等のA領域の紫外線の防御効果を得ており、UV−A吸収剤としてジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t−ブチルメトキシベンゾイルメタンが好ましいこともわかる。
【0042】
<実施例5〜8、比較例3〜4>
表3に示す処方に従って、本発明の乳化形化粧料である、水中油形のサンスクリーン化粧料及び比較例の水中油形のサンスクリーン化粧料を調製した。すなわち、成分(イ)を75℃に加熱し、攪拌混合した。次に、成分(イ)に成分(ロ)を添加し、加熱を続けながら、ディスパーを用いて5000rpmで4分間攪拌し、成分(イ)に成分(ロ)を均一に分散させた。さらに、成分(ハ)を75℃に加熱、攪拌混合し、75℃を保ちながら、成分(イ)と成分(ロ)の混合物に成分(ハ)を攪拌下、添加し乳化を行った。その後、室温まで冷却し、水中油形のサンスクリーン化粧料を得た。なお表3中の数字は質量%を表す。また、実施例5〜8及び比較例3〜4のサンスクリーン化粧料について、試験例1〜3と同様に、塗布直後のSPF値及びPFA値の測定、負荷試験後のSPF値及びPFA値の測定を行い、SPF値及びPFA値の維持率を算出した。結果を表4に示す。
【0043】
【表3】

* 1)「ユビナールAプラス グラニュラー」(BASF社製)
* 2)「パルソール1789」(DSM社製)
* 3)「ソフトシェードDH」(味の素(株)製)
* 4)「チノソーブM」(Ciba社製)
* 5)「ユビナールMC80」(BASF社製)
* 6)「パルソールSLX」(DSM社製)
* 7)「パルソール340」(DSM社製)
* 8)「ユビナールT150」(BASF社製)
【0044】
【表4】


表3の結果から水中油剤形においても本発明の乳化形化粧料がA領域及びB領域の紫外線に対する防御効果が高く、かつ、その効果が長時間維持されることが証明された。また、UV−A吸収剤としてジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t−ブチルメトキシベンゾイルメタンを用いた場合は、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールを用いた場合の半分の含有量で同等のA領域の紫外線の防御効果を得ており、UV−A吸収剤としてジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t−ブチルメトキシベンゾイルメタンが好ましいこともわかる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は化粧料等に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)〜(c):
(a) 一般式(I)で示される片末端に(メタ)アクリル構造を有するジメチルポリシロキサンと(メタ)アクリレートとを共重合させてなるアクリル−シリコーン系グラフト共重合体で被覆された微粒子金属酸化物
(b) A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤
(c) B領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤
を含有することを特徴とする乳化形化粧料。
【化1】


(式中、Rはメチル基又は水素原子を示し、Rはエーテル結合1個又は2個で遮断されていてもよい直鎖状または分岐鎖状の炭素鎖を有する炭素数1〜10の飽和炭化水素基を示し、nは3〜300の数を示す)
【請求項2】
微粒子金属酸化物が微粒子酸化チタン及び/又は微粒子酸化亜鉛であることを特徴とする請求項1記載の乳化形化粧料。
【請求項3】
A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤がジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル及び/又はt−ブチルメトキシベンゾイルメタンであることを特徴とする請求項1又は2記載の乳化形化粧料。
【請求項4】
B領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤がパラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシル、ジメチコジエチルベンザルマロネート、2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2´−エチルヘキシル−1´−オキシ)−1,3,5−トリアジンからなる群から選択される一種または二種以上であることを特徴とする請求項1〜3何れか一項記載の乳化形化粧料。
【請求項5】
紫外線防御用であることを特徴とする請求項1〜4いずれか一項記載の乳化形化粧料。

【公開番号】特開2013−28558(P2013−28558A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165198(P2011−165198)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】