説明

乳化液の製造方法

【課題】 使い易さ、洗浄力に優れ、固体粒子の保存安定性が著しく向上する乳化液の製造方法の提供。
【解決手段】 水相に親和性を有するモノマー由来の構成単位の割合が分子中90質量%以上である水溶性高分子化合物(e)を含む乳化液の製造方法であって、液温5〜25℃の範囲内で、界面活性剤(a)と、界面活性剤(a)を乳化させる界面活性剤用乳化剤(b)(但し、水溶性高分子化合物(e)を除く)と、親水性粉体(c)を含有する混合液(1)に、水溶性無機塩(d)及び/又はその水溶液(2)を添加して、混合することにより界面活性剤(a)を乳化させる、乳化液の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定な乳化液を簡易に得る製造方法に関し、特に、洗濯用洗剤、台所用洗剤、住居用洗剤、各種硬質表面等のクリーニング用洗浄剤等の幅広い分野で有用な、液体洗浄剤用乳化液の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤を含有する液体洗浄剤には、洗浄の補助効果を有するアルカリ剤、カルシウム捕捉剤を配合することが望まれている。しかしながら、界面活性剤は、濃厚アルカリ水の様な電解質塩を高濃度で含有する水溶液との相溶性が低く、これらを低粘度で安定に配合することは困難であった。
【0003】
近年、非イオン性界面活性剤を水溶性高分子等の乳化剤存在下、高電解質濃度で乳化することにより、これらの課題を解決する技術が報告されている(特許文献1)。しかし、この乳化液は、塩析され油状となった界面活性剤を含む液滴(油相)と、電解質を高濃度で含有する水溶液相(水相)の比重差による分離を抑制することと、乳化液滴の粒径分布幅を小さくし、低粘度化する観点から、乳化液滴を微細化することが必要である。
【0004】
通常、乳化液の製造法としては、油相・水相に分層した混合液をホモミキサー等のバッチ式の乳化機や、ラインミキサー等の連続式の乳化機を用いて乳化するか、連続相となる水相中に油相を添加し、同様の乳化装置を用いて乳化する方法がある。しかしながら、バッチ式については、生産性の向上を鑑み、バッチサイズを増加させた場合の設備負荷が著しく大きくなることや、カルシウム捕捉剤等の粉体を配合した場合、乳化機の攪拌部位が摩耗しやすい等が課題である。また、処理量が大きくなるにつれ、同じ乳化液滴径とするために必要な処理時間が増加する等の生産性の低下も課題である。
一方、槽外の配管中に設置した連続式の乳化機でも、バッチ式に対してメンテナンス性は改善されるものの、摩耗等の設備負荷や、生産性に課題がある。
【0005】
これらの課題に対し、特許文献1において、プロペラ式の攪拌機を用い、400rpm程度の比較的低速で十分攪拌しながら水中に乳化用高分子と非イオン性界面活性剤とを予め混合分散したものを加え、次いで、水溶性無機塩を加えて混合攪拌することによって乳化する方法が記載されているが、得られる乳化液滴径が大きく、得られた乳化液の粘度が高くなるという課題があった。
従って、液体洗浄剤の使い易さを生かしつつ、高洗浄力を達成し、かつ固体粒子の保存安定性が良好な液体洗浄剤用乳化液が望まれていた。
【特許文献1】特開平6−80998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、使い易さ、洗浄力に優れ、固体粒子の保存安定性が著しく向上する乳化液の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、水相に親和性を有するモノマー由来の構成単位の割合が分子中90質量%以上である水溶性高分子化合物(e)を含む乳化液の製造方法であって、液温5〜25℃の範囲内で、界面活性剤(a)と、界面活性剤(a)を乳化させる界面活性剤用乳化剤(b)(但し、水溶性高分子化合物(e)を除く)と、親水性粉体(c)を含有する混合液(1)に、水溶性無機塩(d)及び/又はその水溶液(2)を添加して、混合することにより界面活性剤(a)を乳化させる、乳化液の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の乳化液の製造方法により、固体ビルダー等の親水性粉体の長期安定性に優れた乳化液を得ることができる。また、一般的な槽攪拌装置のみで、乳化機を用いた場合と同様の微小な液滴径を有した乳化液を製造することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[界面活性剤(a)]
本発明に用いられる界面活性剤(a)は、親水基と疎水基を有し、水溶性無機塩の添加により、その一部又は全てが塩析されるものであればよい。アニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を含有することが洗浄剤用として特に好ましい。
【0010】
好ましいアニオン性界面活性剤としては、平均炭素数10〜20のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩、平均炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖の高級アルコールにエチレンオキサイドを付加したアルキルエーテル硫酸エステル塩、平均炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニル硫酸エステル塩、分岐鎖アルキル硫酸エステル塩、平均炭素数8〜20の脂肪酸塩等が挙げられる。
【0011】
またこれらのアニオン性界面活性剤の対イオンとしては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム及びアルカノールアミンなどの陽イオン及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。モノメチルジエタノールアミン又はジメチルモノエタノールアミンでも良い。
【0012】
好ましい非イオン性界面活性剤としては日本国特許庁公報「周知・慣用技術集(衣料用粉末洗剤)の3章の1」記載の公知の非イオン性界面活性剤を用いることができる。例えば、炭素数8〜18を有する直鎖もしくは分岐鎖の第1級又は第2級アルコールにエチレンオキシドを平均5〜20モル付加したポリオキシエチレンアルキルエーテル並びに前記アルコールにエチレンオキシドを平均5〜15モル及びプロピレンオキシドを平均1〜5モル付加したポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリエチレンオキシド及び/又はポリプロピレンオキシド型の非イオン性界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、N−ポリオキシエチレンアルキルアミン、蔗糖脂肪酸エステル類、脂肪酸グリセリンモノエステル類、高級脂肪酸アルカノールアミド類、ポリオキシエチレン高級脂肪酸アルカノールアミド類、アミンオキサイド類、アルキルグリコシド類、アルキルグリセリルエーテル類及びN−アルキルグルコンアミド類等が挙げられる。
【0013】
[界面活性剤用乳化剤(b)]
本発明に用いられる界面活性剤用乳化剤(b)は、塩析された界面活性剤を乳化でき、水溶性高分子化合物(e)以外のものであれば特に制限されない。ここで本発明の乳化剤(b)により界面活性剤が乳化していることは次の試験方法により確認することができる。
【0014】
界面活性剤を有効分として20質量%、炭酸カリウムを30質量%、乳化剤(b)を有効分として5質量%、水(バランス)となる組成で蓋付きの透明サンプル瓶に配合する。サンプル瓶の蓋を閉め、室温(25℃)の条件下、手で激しく1分間振った後、室温下に3分間静置する。本発明の乳化剤(b)を用いた場合には、全体が白濁した乳化状態を依然呈しているが、界面活性剤を乳化しない剤を添加した場合には、白濁した状態が薄くなり始め、上層と下層に分相し始める。
【0015】
このような界面活性剤を好適に乳化できる乳化剤(b)としては、水溶性高分子化合物(e)以外の水溶性高分子化合物が乳化安定性に優れ好ましい。ここで「水溶性」とは、25℃のイオン交換水に対し1g/L以上溶解することをいうものとする。
【0016】
好ましい水溶性高分子化合物の重量平均分子量については、安定性の点で、2000〜800万で、より好ましくは2000〜700万、更に好ましくは3000〜600万、特に好ましくは5000〜600万である。ここで、重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定し、ポリエチレングリコール(PEG)換算で平均分子量を決定したものである。
【0017】
さらに、安定性の点で、乳化剤(b)は水溶性無機塩(d)を添加した後の水相中(以下、単に水相と略す)でも溶解していることが好ましく、液滴(主として塩析された界面活性剤(a)を含む)が乳化液中に分散している状態を安定に持続させる機能を有するポリマーが挙げられ、このような機能を有するポリマーであれば好適に使用できる。
【0018】
このような機能を有するポリマーとしては、水相に親和性を有するモノマー由来の構成単位(イ)の割合がポリマー分子中90質量%未満10質量%以上であるポリマーであり、油相に親和性を有するモノマー由来の構成単位(ロ)の割合がポリマー分子中10質量%より大きく90質量%以下であることが好ましい。
【0019】
更に構成単位(イ)と(ロ)の質量比(イ)/(ロ)が、好ましくは90/10より小さく30/70以上、更に好ましくは80/20〜60/40となるポリマーである。
【0020】
例えば水相に親和性を有するモノマー由来の構成単位(イ)は、アニオン性基又はその塩を構成単位中に有するポリマー鎖であることが好ましく、カルボキシ基又はその塩を構成単位中に有するポリマー鎖であることが更に好ましく、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基又はこれらの塩が含まれていても良い。
【0021】
このようなポリマー鎖は、カルボキシ基又はその塩を有するビニルポリマーの(共)重合体[(共)重合体は、単一重合体又は共重合体のことをいう]が好ましい。モノマーとしては例えば、(メタ)アクリル酸[(メタ)アクリル酸は、アクリル酸、メタクリル酸又はそれらの混合物のことをいう]及びその塩類、スチレンカルボン酸及びその塩類、マレイン酸系モノマー[無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、並びにマレイン酸モノアミド又はそれらの2種類以上からなる混合物]及びその塩類並びにイタコン酸及びその塩類等であり、これらから選ばれる1種以上を用いることができる。
【0022】
スルホン酸基又はその塩を有するポリマー鎖には、スルホン酸基又はその塩を有するビニルモノマーの(共)重合体が好ましい。モノマーとしては例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−アルキル(炭素数1〜4)プロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等のスルホン酸モノマー等が挙げられ、これらから選ばれる1種以上を用いることができる。
【0023】
リン酸基もしくはホスホン酸基又はその塩を有するポリマー鎖には、リン酸基、ホスホン酸基又はその塩を有するビニルモノマーの(共)重合体が好ましい。モノマーとしては例えば、(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜4)リン酸、ビニルホスホン酸等が挙げられる。
【0024】
これらの塩類としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、総炭素数1〜22のアルキルもしくはアルケニルアンモニウム、炭素数1〜22のアルキル若しくはアルケニル置換ピリジニウム、総炭素数1〜22のアルカノールアンモニウム、又は塩基性アミノ酸等が挙げられ、ナトリウム、カリウムの様なアルカリ金属塩が好ましい。
【0025】
油相に親和性を有するモノマー由来の構成単位(ロ)の具体例としては、(ロ1)非イオン性のポリマー鎖、(ロ2)有機基が挙げられる。
【0026】
非イオン性のポリマー鎖としては、下記モノマー群(ロ1-1)〜(ロ1-8)から選ばれるモノマー由来の構成単位を有するポリマー鎖、又は下記ポリマー鎖(ロ1-9)〜(ロ1-11)が好ましく挙げられる。
(ロ1-1):無置換もしくは置換の、炭素数1〜22の飽和もしくは不飽和アルキル基、アリール基またはアラルキル基を有するビニルエーテル類。例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等が好ましい。
(ロ1-2):無置換、あるいは窒素上に炭素数1〜12の飽和もしくは不飽和のアルキル基またはアラルキル基を有する置換(メタ)アクリルアミド類。例えば、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が好ましい。
(ロ1-3):N-ビニル脂肪族アミド類。例えば、N-ビニルピロリドン、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド等が好ましい。
(ロ1-4):無置換もしくは置換の、炭素数1〜22の飽和もしくは不飽和アルキル基またはアラルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類。例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル等が好ましい。
(ロ1-5):アルキレンオキサイド類。例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が好ましい。
(ロ1-6):環状イミノエーテル類。例えば2-メチル-2-オキサゾリン、2-フェニル-2-オキサゾリン等が好ましい。
(ロ1-7):スチレン類。例えば、スチレン、4-エチルスチレン、α−メチルスチレン等が好ましい。
(ロ1-8):ビニルエステル類。例えば、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル等が好ましい。
(ロ1-9):2価アルコールと2価カルボン酸とから成るポリエステル類。例えば、ポリエチレングリコールとテレフタル酸、あるいは1,4-ブタンジオールとコハク酸の重縮合物等が好ましい。
(ロ1-10):ポリアミド類。例えば、N-メチルバレロラクタムの開環重合物が好ましい。
(ロ1-11):ポリウレタン類。例えば、ポリエチレングリコール、ヘキサメチレンジイソシアナート、及びN-メチルージエタノールアミンまたは1,4-ブタンジオールの重付加物等が好ましい。
【0027】
これらの中では、(ロ1-5)のアルキレンオキサイドを重合して得られるアルキレンオキシ基を構成単位とするポリマー鎖が特に好ましい。
【0028】
アルキレンオキシ基を構成単位とするポリマー鎖の場合、ポリマー鎖(ロ)において、アルキレンオキシ基は、エチレンオキシ基及び/又はプロピレンオキシ基が好ましく、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基は、それぞれホモポリマーでも、ブロック、ランダムのコポリマーでもよい。ポリマー鎖(ロ)の平均重合度は40〜200が好ましく、乳化液の安定性から80〜150が更に好ましい。また、アルキレンオキシ基を構成単位とするポリマー鎖の末端は限定されず、水酸基を有していてもよく、炭化水素基を有して、例えば、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基等のエーテル結合となっていてもよい。炭化水素基としては、好ましくは炭素数1〜12のアルキル基である。更に好ましくは1〜3のアルキル基である。
【0029】
(ロ2)有機基
有機基としては、好ましくは炭素数8〜30、更に好ましくは炭素数12〜22の炭化水素基であり、特に好ましくはこれら炭素数を有する直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基である。このような炭化水素基は、当該炭化水素基を有するモノマーにより導入される。かかるモノマーとしては以下のもの挙げられる。
(ロ2-1):炭素数8〜30、好ましくは炭素数12〜22の飽和もしくは不飽和アルキル基またはアラルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル。例えば、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、ステアリルオキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル等が挙げられる。
(ロ2-2):窒素に結合した飽和もしくは不飽和の炭素数8〜30、好ましくは炭素数12〜22のアルキル基またはアラルキル基を、1又は2個有する置換(メタ)アクリルアミド。例えば、N-ラウリル(メタ)アクリルアミド、N-ジオクチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
(ロ2-3):炭素数8〜30、好ましくは炭素数12〜22の飽和もしくは不飽和アルキル基またはアラルキル基を有するビニルエーテル。例えば、ラウリルビニルエーテル、ミリスチルビニルエーテル、パルミチルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等が挙げられる。
【0030】
乳化剤(b)としては、構成単位(イ)がカルボキシ基又はその塩を構成単位中に有するポリマー鎖であり、構成単位(ロ)が非イオン性のポリマー鎖又は炭素数8〜30の炭化水素基である水溶性高分子化合物が好ましく、構成単位(イ)がカルボキシ基又はその塩を構成単位中に有するポリマー鎖であり、構成単位(ロ)がアルキレンオキシ基を構成単位とするポリマー鎖である水溶性高分子化合物が特に好ましい。
【0031】
乳化剤(b)は、好ましくはブロック型又はグラフト型ポリマーであり、更に好ましくはグラフト型ポリマーである。
【0032】
ブロック型又はグラフト型ポリマーの合成法は特に限定されず、公知の方法を選択できる。なかでも、乳化液を構成する液体の1種類以上を溶媒として、ポリマー鎖中にアゾ基を有するマクロアゾ開始剤を用いてビニル系モノマー等を重合する方法(マクロアゾ開始剤法)、ポリマー鎖の一端に重合性基を有する化合物を使用する方法(マクロモノマー法)、ポリマーの存在下にモノマーを改めてラジカル重合し、新たに生成するポリマー鎖が、連鎖移動反応によって予め共存させたポリマー鎖に連結するようにする方法(連鎖移動法)及びポリマー鎖中の官能基にもう1種のポリマー末端を反応させてグラフト化させる方法が好ましい。
【0033】
乳化剤(b)の好ましい例としては下記のものが挙げられ、その中でも1及び6が特に好ましい。
1.ポリアルキレングリコールとカルボキシ基又はその塩を有するビニルモノマーとのエステル(好ましくはモノエステル)と、カルボキシ基又はその塩を有するビニルモノマーとの共重合体及びその誘導体。
【0034】
この中でもポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルとカルボキシ基又はその塩を有するビニルモノマーとの共重合体が更に好ましく、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸又はその塩との共重合体が特に好ましい。例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸又はその塩との共重合体、ポリ(エチレングリコール/プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸又はその塩との共重合体等が好ましい。
2.反応性不飽和基(ラジカル重合可能な不飽和基)を有するポリアルキレングリコールエーテルとカルボキシ基又はその塩を有するビニルモノマーとの共重合体及びその誘導体。
【0035】
反応性不飽和基を有するポリアルキレングリコールエーテルと(メタ)アクリル酸又はその塩及び/又はマレイン酸系モノマーとの共重合体が好ましい。例えば、ポリエチレングリコールアリルエーテルとマレイン酸(又はその塩)との共重合体が挙げられる。
3.ポリアルキレングリコールにカルボキシ基を有するモノマー又はその塩をグラフトした共重合体及びその誘導体。
【0036】
例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリ(エチレングリコール/プロピレングリコール)中でアクリル酸とマレイン酸又はそれらの塩とをラジカル重合して得られるグラフトポリマーが好ましく挙げられる。
【0037】
前記、1.〜3.において誘導体としては、たとえば、ポリアルキレンオキシ基の末端にメトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基等の炭化水素基を有してエーテル結合を形成しているものが挙げられる。炭化水素基としては、好ましくは炭素数1〜12のアルキル基であり、更に好ましくは1〜3のアルキル基である。
4.ポリアルキレングリコールマクロアゾ開始剤を使用したカルボキシ基又はその塩を有するビニルモノマーの(共)重合体。
【0038】
好ましくは(メタ)アクリル酸又はその塩をラジカル重合して得られるブロックポリマーが挙げられる。
5.カルボキシ基又はその塩を有するビニルモノマーの重合体と、末端に水酸基を有するポリアルキレングリコールを脱水反応によって連結して得られるグラフトポリマー。
【0039】
好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸又はその塩と、末端に水酸基を有するポリエチレングリコールを脱水反応によって連結して得られるグラフトポリマーが挙げられる。
6.カルボキシ基又はその塩を有するビニルモノマーと、炭素数8〜30の炭化水素基を有するビニルモノマーとの共重合体。
【0040】
(メタ)アクリル酸又はその塩と炭素数8〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体が、好ましく挙げられる。
【0041】
前記 1.〜6.については、更に構成単位(イ)の一部を、スルホン酸基を有するビニルモノマー類、例えばスチレンスルホン酸および/又はその塩、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸および/又はその塩、より好ましくは(メタ)アリルスルホン酸および/又はその塩等のスルホン酸基に置換えてもよいし、構成単位(ロ)の一部を前記(ロ1-1)〜(ロ1-3)、(ロ1-7)、(ロ1-8)から選ばれるモノマー由来の構成単位を有するポリマー鎖に置換えてもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、カチオン基を有するビニルモノマー類、好ましくは塩化2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム、塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチルジメチルエチルアンモニウム、塩化3-((メタ)アクリルアミド)プロピルトリメチルアンモニウム、塩化ジアリルジメチルアンモニウム等を更に共重合させたものでもよい。
【0042】
[親水性粉体(c)]
本発明に用いられる親水性粉体(c)は、粒子自体が親水性であるもののみならず、何らかの処理にて粒子表面が親水性を有する場合も含まれる。この親水性粉体(c)は、混合液(1)中で粒子状として存在する様に用いられるものであればよく、混合液(1)に難溶或いは溶解度以上に添加した場合に水相中に分散する性質のものが好ましい。
【0043】
親水性粉体(c)の粒子径に関しては、乳化液に懸濁させた際の沈降を抑制する観点から、2次凝集した粒径として20μm以下が好ましい。また、乳化液滴を有効に微小化するという観点から、1μm以上が好ましい。
【0044】
好ましい親水性粉体(c)としては、洗浄剤として使用する場合を考えると、トリポリリン酸塩やゼオライト等の無機キレート剤を用いることもできる。この際の無機キレート剤は、カルシウム捕捉量200〜600CaCO3mg/g、且つカルシウム安定度定数2〜10である分子量1000以下のキレート剤が好ましい。
【0045】
[水溶性無機塩(d)]
本発明に用いられる水溶性無機塩(d)は、水溶液に溶解した界面活性剤(a)を塩析できるものであれば特に制限はないが、アルカリ金属の硫酸塩、アルカリ金属の炭酸塩、及びアンモニウムもしくはアルキルアンモニウムの塩化物もしくは臭化物等が好ましい。乳化液を洗浄剤として使用する場合を考えると、洗浄性能の面でアルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の珪酸塩が好ましく、アルカリ金属としてはナトリウム、カリウムが好ましい。
【0046】
[水溶性高分子化合物(e)]
本発明に用いられる水溶性高分子化合物(e)は、水相に親和性を有するモノマー由来の構成単位(イ)の割合が分子中90質量%以上の水溶性高分子化合物である。構成単位(イ)以外の他の構成単位については特に限定はされないが、油相(塩析された界面活性剤相)に対して親油性を有するモノマー由来の構成単位(ロ)が挙げられる。
【0047】
ここで示す構成単位(イ)及び(ロ)については、上記乳化剤(b)の説明で示したものと同様の物が用いられる。構成単位(イ)及び(ロ)の質量比は、90/10以上が好ましく、特に100/0(すなわち構成単位(ロ)を含まないもの)が好ましい。
【0048】
また、高分子化合物(e)の重量平均分子量は、固体ビルダー等の親水性粉体の長期安定性の観点から、3000〜700万が好ましく、より好ましくは4000〜600万、更に好ましくは5000〜500万である。ここで、重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定し、ポリエチレングリコール(PEG)換算で平均分子量を決定したものである。
【0049】
高分子化合物(e)の好ましい例としては、カルボキシ基又はその塩を有するビニルモノマー及び/又はスルホン酸基又はその塩を有するビニルモノマーの(共)重合体、例えばアクリル酸及び/又はその塩、メタクリル酸及び/又はその塩、スチレンスルホン酸及び/又はその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び/又はその塩、(メタ)アリルスルホン酸及び/又はその塩の(共)重合体が挙げられる。
【0050】
本発明では、乳化剤(b)と共に高分子化合物(e)を併用することで、固体粒子を含む場合の乳化液の長期安定性を著しく向上させることができる。その理由は明らかではないが、乳化剤(b)と高分子化合物(e)を併用すると、低剪断速度条件での粘度が高くなる一方で、高剪断速度条件での粘度はあまり上昇しないことから、高分子化合物(e)を配合することで何らかの構造粘性が発現していることが示唆され、これが沈降防止に寄与しているものと考えられる。高分子化合物(e)は水相側に存在すると予想されるので、これが複数の固体粒子の表面に架橋するような形態で吸着し、そのため構造粘性を発現させているものと予想される。
【0051】
[乳化液の製造方法]
本発明においては、水溶性高分子化合物(e)を含む乳化液を製造する際に、液温5〜25℃の範囲内で、界面活性剤(a)と、乳化剤(b)と、親水性粉体(c)を含有する混合液(1)に、水溶性無機塩(d)及び/又はその水溶液(2)(以下、水溶液等(2)という)を添加して、混合することにより界面活性剤(a)を乳化させた乳化液を得る。
【0052】
本来、高分子含有溶液などの混合においては、粘度低減や効率化のために加熱して行うのが通例であったところ、本発明における混合においては、5〜25℃の温度範囲で行うことで、経時安定性が優れるという意外な効果が得られる。
【0053】
本発明において、混合液(1)と水溶液等(2)の混合時の温度は、固体粒子の保存安定性及び工業的に水冷媒にて冷却できる温度という観点から、5〜25℃であり、5〜20℃が好ましく、10〜20℃が更に好ましい。また、高分子化合物(e)の添加順序は、どこで添加しても構わないが、特に混合液(1)に、水溶液等(2)を添加し、界面活性剤(a)を乳化させた後、水溶性高分子化合物(e)を添加することが好ましい。
【0054】
混合液(1)中の界面活性剤(a)の含有量は、洗浄剤として用いるという観点から、乳化液全量に対し5〜80質量%が好ましく、10〜60質量%が更に好ましく、20〜60質量%が特に好ましい。混合液(1)中の乳化剤(b)の含有量は、乳化物の安定性の観点から、乳化液全量に対し0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜8質量%がより好ましく、0.5〜5質量%が更に好ましい。混合液(1)中の親水性粉体(c)の含有量は、微小な液滴径を有する乳化液を効率的に得、また増粘を抑制する観点から、乳化液全量に対し5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%が更に好ましい。
【0055】
水溶液等(2)中の水溶性無機塩(d)の含有量は、乳化物の安定性の観点から、油相の組成や界面活性剤(a)の種類にもよるが、乳化液全量に対し4〜50質量%が好ましく、5〜32質量%が更に好ましく、6〜20質量%が特に好ましい。
【0056】
高分子化合物(e)の乳化液中の含有量は、安定性、溶解性の点で、0.01〜10質量%が好ましく、0.3〜7質量%がより好ましく、0.5〜5質量%が更に好ましい。また、乳化剤(b)と高分子化合物(e)の質量比は、安定性の点で、(b)/(e)=5/95〜95/5が好ましく、10/90〜90/10がより好ましく、20/80〜80/20が更に好ましい。
【0057】
また、混合液(1)中には水を含有させても良く、ハンドリングの点から、乳化液全量に対し5〜80質量%配合することが、粘度の調整等ができるので好ましい。また、混合液(1)には、水溶液等(2)の一部を配合させてもよい。
混合液(1)と水溶液等(2)の配合割合は、乳化液配合時の増粘を抑制する観点から、質量比で、(1)/(2)=50/50〜90/10が好ましい。
【0058】
本発明において、混合液(1)と水溶液等(2)の混合・乳化の態様については、(i)混合液(1)及び水溶液等(2)の一部を予め混合槽に仕込み、残部の水溶液等(2)を断続的に分割添加または連続添加(例えば滴下)する方法、(ii)混合液(1)を予め混合槽に仕込み、全部の水溶液等(2)を断続的に分割添加または連続添加(例えば滴下)する方法、などがある。又、断続的に分割添加または連続添加(例えば滴下)するいずれの場合も、水,界面活性剤(a)、乳化剤(b)のいずれか1種以上を補充しても構わない。
【0059】
また混合液(1)が水を含有する場合には、固体状の水溶性無機塩(d)を添加し、溶解させることで界面活性剤(a)を塩析させることもできる。この場合の水溶性無機塩(d)の配合量は、上述した水溶液等(2)の固形分換算量となり、水溶液等(2)として添加する場合に準じて用いることができる。
【0060】
また、本発明の乳化液には、粘度調整、ゲル化抑制の観点から、水溶性有機溶剤を配合しても良い。水溶性有機溶剤としては、エタノール、プロパノール等の低級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類等が挙げられる。水溶性有機溶剤はどこで添加しても構わないが、混合液(1)に添加することが好ましい。
【0061】
本発明における混合手段は、バッチ式、連続式、セミバッチ式、及びそれらを組み合わせた一般公知な混合手段を用いることができる。特に、攪拌装置を有した槽型の攪拌機が好ましい。特に、親水性粉体(c)を効率的に分散できる攪拌装置が好ましく、設備負荷を低減する観点から、パドル型、プロペラ型、タービン型、ディスパー型等の一般的に使用される攪拌翼を有した配合槽が好ましい。ホモミキサー等の高周速タイプの攪拌装置においても本発明の製造方法においては、より短時間での製造が可能になる。また、乳化液の粘度が高くなる場合には、それに対して好適なリボン型、アンカー型、門型等の攪拌翼が好ましい。乳化液の粘度が低い場合、攪拌によって渦の発生が強い場合、渦を抑制する邪魔板等を設置することが好ましい。また、槽内の混合状態を高めるために、外部循環等を行っても良い。外部循環部にスタティックミキサ等の固定型分散器を配することもできる。更には攪拌翼を用いずとも外部循環部の固定型分散器、又は循環用の遠心ポンプなどのシェアのみで混合、乳化を行なうこともできる。
【0062】
攪拌条件に関しては、必要とする液滴径の微小化の度合いによって異なるが、特に液滴径の微小化が必要な場合、乳化が進行する電解質濃度における攪拌時間を長くする、攪拌翼の周速を速くする、水溶性無機塩(d)及び/又はそれを含有する水溶液等(2)の添加速度を遅くする等により液滴径の微小化が可能であり、これらの攪拌条件により所望の液滴径に制御することが可能である。攪拌周速としては、配合槽の大きさや攪拌翼の直径等によって異なるが、乳化液のレオロジー的な物性などを考慮して0.5m/sから25m/s程度の範囲から選ばれる。
【0063】
本発明の方法で得られる乳化液の乳化液滴の平均粒径は、0.1〜10μmが好ましい。また、乳化液の粘度は100〜3000mPa・sが好ましい。尚、この乳化液滴の平均粒径及び粘度は、以下の実施例に記載した方法により測定される値である。
【実施例】
【0064】
以下の実施例においては、表1に示す各成分を表1に示すような組成となるように用いて液体洗浄剤用の乳化液を製造した。また、乳化液滴径の平均粒径、乳化液の粘度及び長期保存安定性は以下の方法で測定した。
【0065】
【表1】

【0066】
*1 アニオン性界面活性剤;ルナックL−55、花王(株)製
*2 非イオン性界面活性剤;炭素数12〜14の2級アルコールにエチレンオキサイド(EO)を平均7モル付加させたもの
*3 乳化用ポリマー;ポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(EO平均付加モル数90)/メタクリル酸=50/50(質量比)共重合体(重量平均分子量5万;GPCによる測定、ポリエチレングリコール換算)
*4 ゼオライト;ゼオビルダー社製A型ゼオライト(メジアン径2.8μm)
*5 ポリアクリル酸;重量平均分子量1.5万;GPCによる測定、ポリエチレングリコール換算
<乳化液滴径の平均粒径の測定方法>
8.2mLの遠沈管に49%炭酸カリウム水溶液9gと、得られた乳化液1gを入れ、軽く攪拌して分散させた後、乳化液滴とゼオライトを遠心分離(高速遠心機CR−22G、800rpm、5分、20℃雰囲気下、日立(株)製)した。上層の乳化液滴を49%炭酸カリウム水溶液で希釈し、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(LA910、バッチセル使用;(株)堀場製作所製)にて体積基準の粒径分布及び平均粒径の測定を行った。
【0067】
<乳化液の粘度の測定方法>
200mLビーカーに乳化液200gを満たし、東京計器(株)製B型粘度計により、No.3のローターを用いて60r/minの速度条件(20℃)において粘度を測定した。
【0068】
<長期保存安定性の測定方法>
内径15mm、高さ120mmの平底試験管に得られた乳化液を10g入れ、上部をシリコーンキャップで密封し、50℃雰囲気下で1ヶ月保存した。その後、乳化液の入った平底試験管をタービスキャン(溶液安定性評価装置、MA2000;英弘精機(株))にてサンプル高さ方向の反射率を測定し、次式にて乳化液中の粉体希薄層幅[%]を定量し、以下の基準で評価した。
【0069】
粉体希薄層幅[%]=(乳化液面[mm]−粉体相の上面[mm])/乳化液面[mm]×100
・評価基準
○:保存後の粉体希薄層幅が、5%未満である。
×:保存後の粉体希薄層幅が、5%以上である。
【0070】
実施例1
4枚ピッチドパドルを2段で設置した20Lの配合槽を用い、表1の組成で12.6kgを液温20℃にて配合した。まず、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、プロピレングリコール、エチレングリコール、乳化用ポリマー、49%炭酸カリウム水溶液(炭酸カリウム純分で1.6%)、イオン交換水を仕込み、周速2m/sで攪拌、混合し、ゼオライトを投入・分散させた。その後、残りの49%炭酸カリウム水溶液(炭酸カリウム純分で14.2%)を0.52kg一括して投入後、約120分攪拌した。その後、残り3.12kgを一括して投入した後、ポリアクリル酸と50%クエン酸水溶液を添加し、5分混合した。得られた液体洗浄剤用乳化液中の乳化液滴の平均粒径は0.8μm、粘度は640mPa・sであり、50℃,1ヶ月保存後の安定性は○であった。
【0071】
比較例1
液温を30℃にて配合した以外は、実施例1と同様の配合及び操作を行った。得られた液体洗浄剤用乳化液中の乳化液滴の平均粒径は0.8μm、粘度は390mPa・sであり、50℃,1ヶ月保存後の安定性は×であった。
【0072】
実施例2
実施例1の攪拌翼と配合槽を用い、表1の組成で12.6kgを液温20℃にて配合した。まず、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、プロピレングリコール、エチレングリコール、乳化用ポリマー、49%炭酸カリウム水溶液(炭酸カリウム純分で1.6%)、イオン交換水、ポリアクリル酸を仕込み、周速2m/sで攪拌、混合し、ゼオライトを投入・分散させた。その後、残りの49%炭酸カリウム水溶液(炭酸カリウム純分で14.2%)を0.61kg一括して投入後、約120分攪拌した。その後、残り3.03kgを一括して投入した後、50%クエン酸水溶液を添加し、5分混合した。得られた液体洗浄剤用乳化液中の乳化液滴の平均粒径は1.1μm、粘度は650mPa・sであり、50℃,1ヶ月保存後の安定性は○であった。
【0073】
比較例2
液温を30℃にて配合した以外は、実施例2と同様の配合及び操作を行った。得られた液体洗浄剤用乳化液中の乳化液滴の平均粒径は1.1μm、粘度は540mPa・sであり、50℃,1ヶ月保存後の安定性は×であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水相に親和性を有するモノマー由来の構成単位の割合が分子中90質量%以上である水溶性高分子化合物(e)を含む乳化液の製造方法であって、液温5〜25℃の範囲内で、界面活性剤(a)と、界面活性剤(a)を乳化させる界面活性剤用乳化剤(b)(但し、水溶性高分子化合物(e)を除く)と、親水性粉体(c)を含有する混合液(1)に、水溶性無機塩(d)及び/又はその水溶液(2)を添加して、混合することにより界面活性剤(a)を乳化させる、乳化液の製造方法。
【請求項2】
混合液(1)が、さらに、水を含有する請求項1記載の乳化液の製造方法。
【請求項3】
界面活性剤(a)が、アニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1又は2記載の乳化液の製造方法。
【請求項4】
混合液(1)に、水溶性無機塩(d)及び/又はその水溶液(2)を添加し、界面活性剤(a)を乳化させた後、水溶性高分子化合物(e)を添加する、請求項1〜3いずれかに記載の乳化液の製造方法。
【請求項5】
混合する手段が、槽型攪拌機である請求項1〜4いずれかに記載の乳化液の製造方法。
【請求項6】
製造される乳化液が洗浄剤用乳化液である請求項1〜5いずれかに記載の乳化液の製造方法。

【公開番号】特開2006−182930(P2006−182930A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378735(P2004−378735)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】