説明

乳化物及び水性化粧料

【課題】本発明は、アルコール類を含む化粧水におけるどのような希釈方法に対しても、良好な経時安定性を持ち、微細かつ均一な乳化粒子を得ることが可能である、特定の組成からなる乳化物、及びこの乳化物を配合した外観上半透明である水性化粧料を提供することを目的とする。
【解決手段】酸化エチレンの平均付加モル数が5,20,40であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を3種含み、これら3種をすべて混合したポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、油剤、グリセリン、水の4成分からなり、かつ、酸化エチレンの平均付加モル数5及び40の混合物と20を特定の重量比率で用いた乳化物において、これが良好な経時安定性を持ち、微細かつ均一な乳化粒子を有すること、また、この乳化物を化粧水で希釈した場合もその経時安定性や乳化粒子に変化がないことを見出し、本発明を完成するに至った。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乳化物及び水性化粧料に関し、更に詳細には、特定の組成からなる乳化物を配合し、使用感や経時安定性上優れた、外観上半透明である水性化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧水に代表される水性化粧料において、油剤や油溶性成分を配合し、油剤特有のしっとりした使用感を持たせたり、油溶性成分による新たな機能性を保持させたりすることは、新しい水性化粧料の開発において有用な方法である。そのため、油剤を配合した外観上半透明である水性化粧料は、スキンケア製品などに幅広く利用されている。
【0003】
通常、油剤を配合した外観上半透明である水性化粧料は、全体量に対し界面活性剤量が少ないことから、油―水界面の界面膜強度が弱く、経時安定性が悪いという問題点がある。この問題に対し、これまでに様々な研究がなされ、特定の界面活性剤を用い、特定の油剤を安定に配合した半透明化粧料を調製する方法(特許文献1〜3参照)が提案されている。これら手法では、非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が汎用されている。また、これらの製造方法は、加温した油剤と界面活性剤に対し、加温した多量の水を添加し、その後冷却するという方法がとられており、全体量が非常に多い状態で乳化を行っている点が特徴である。しかしながら、これら製造方法は製造スケールに制限があり、さらに本来必要とする量以上に界面活性剤を加えている傾向にある。界面活性剤量は化粧料の使用感に大きく影響を与える因子であり、その増加は使用感上べたつきを増す傾向にある。したがって、油剤を配合した水性化粧料を調製する場合には、油剤の配合量に合った界面活性剤量を十分に検討することが重要である。
【0004】
【特許文献1】特開平3−38508号公報
【特許文献2】特開2007−63183号公報
【特許文献3】特開2005−255667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、予め、濃縮エマルションを調製し、該エマルションを化粧水に希釈することによって水性化粧料を得る方法がある。濃縮エマルションを調製する利点としては、乳化に要するエネルギーが少なく、比較的乳化粒子の揃ったエマルションが得られるということが挙げられる。しかしながら、該エマルションを化粧水に希釈する際には、全体の界面活性剤濃度が急激に低下することや、化粧水中に含まれるアルコール類などの溶剤の影響により、エマルションの油―水界面から界面活性剤が外相へと抜け出し、乳化が不安定になりやすいという欠点がある。また、希釈の方法において、化粧水に対して濃縮エマルションを添加し希釈するよりも、濃縮エマルションに対して化粧水を添加し希釈する方が、細かな乳化粒子が得られることが知られている。しかし、化粧水の製造において、濃縮エマルションに化粧水を添加するのは製造上の効率が悪いため、化粧水に濃縮エマルションを添加する方法が現実的である。
【0006】
そこで本発明では、アルコール類を含む化粧水におけるどのような希釈方法に対しても、良好な経時安定性を持ち、微細かつ均一な乳化粒子を得ることが可能である、酸化エチレンの平均付加モル数が5,20,40であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を3種含み、かつ、これら3種を全て混合したポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、油剤、グリセリン、水からなる乳化物、及びこの乳化物を配合した外観上半透明である水性化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、これらの諸問題に対し解決すべく手段を検討した結果、酸化エチレンの平均付加モル数が5,20,40であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を3種含み、かつ、これら3種をすべて混合したポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を用い、また平均付加モル数5及び40の混合物と20を特定の重量比率で用いることで、良好な経時安定性を持ち、微細かつ均一な乳化粒子を有する乳化物が得られること、また、この乳化物を化粧水で希釈した際もその経時安定性や乳化粒子に変化がないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は下記の通りである。
【0009】
(1)次の成分(A)〜(D)からなる乳化物であり、かつ、成分(A)の酸化エチレン平均付加モル数5及び40の混合物と20の重量比率が1:1〜1:16である乳化物。
(A)酸化エチレンの平均付加モル数が5,20,40モルであるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を3種含み、かつ、これら3種を全て混合したポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 15.0〜22.5重量%
(B)油剤 22.5〜33.3重量%
(C)グリセリン 2.5〜25.0重量%
(D)水 25.0〜47.5重量%
(2)(1)からなる乳化物を0.01〜0.5重量%配合した、外観が半透明であることを特徴とする水性化粧料。
(3)成分(B)が、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパンであることを特徴とする(1)記載の乳化物、又は(2)記載の水性化粧料。
(4)加温した成分(A)及び(B)に、加温した成分(C)及び(D)を徐々に添加して乳化することを特徴とした(1)からなる乳化物の製造方法。
【0010】
本発明の成分(A)であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、酸化エチレンの平均付加モル数が5,20,40である3種を含み、かつ、これら3種をすべて混合して用い、好ましくは酸化エチレンの平均付加モル数5及び40の混合物と20の重量比率が1:1〜1:16である。また、これらポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、本発明の乳化物に15.0〜22.5重量%配合することが好ましい。15.0重量%未満では、成分(B)である油剤を安定に配合することが困難であり、22.5重量%より多いと使用感上べたつきを増すため好ましくない。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、具体的に日光ケミカルズ(株)製のNIKKOL HCO−5(酸化エチレン付加モル数:5)、HCO−20(酸化エチレン付加モル数:20)、HCO−40(酸化エチレン付加モル数:40)などが挙げられる。
【0011】
本発明の成分(B)である油剤は特に限定されず、化粧料に用いられるすべての油剤を配合することが可能である。例えば、炭化水素、エステル、トリグリセライド、シリコーン、油溶性ビタミン等である。好ましくはエステル油剤であり、さらに好ましくはトリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパンである。また油剤は、本発明の乳化物に22.5〜35.0重量%配合することが好ましい。22.5重量%未満では、油剤特有のしっとりした使用感が得られなかったり、油溶性成分による新たな機能性を発揮させる上で不十分であり、35.0重量%より多いと安定に配合することができなかったり、使用感上べたつきが増すため好ましくない。
【0012】
本発明の成分(C)であるグリセリンは、本発明の乳化物に2.5〜25.0重量%配合することが好ましい。2.5重量%未満の場合や25.0重量%より多い場合は、乳化がうまくいかず、平均乳化粒子径が大きく、また透過率が低くなる傾向にある。また、グリセリンを他の多価アルコール、例えば1,3−ブチレングリコールやジプロピレングリコールで置き換えた場合、乳化はうまくいかない。
【0013】
本発明の成分(A)〜(D)からなる乳化物の製造方法は、加温しよく混合した成分(A)及び(B)に対し、加温しよく混合した成分(C)及び(D)を徐々に添加して乳化することが好ましい。本発明における加温とは約70〜90℃であり、固形成分をすべて溶解した状態をいう。この温度を下回ると、場合によって乳化粒子が大きくなってしまい安定性が悪くなる可能性があり、この温度を超えると、製造上経済的でなくエコロジーの観点からも好ましくない。
【0014】
本発明の乳化物を希釈して得られる水性化粧料は、前記必須成分の他に、通常水性化粧料に用いられる成分、例えば水溶性高分子、薬効成分、キレート剤、エタノール、多価アルコール、防腐剤、pH調整剤、香料、色素、抗酸化剤、紫外線吸収剤、前記以外の油剤、前記以外の界面活性剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択して用いることができる。本発明の水性化粧料とは水に対し可溶な化粧料をいい特には限定されないが、例えば、皮膚の柔軟、保湿を目的とした柔軟性化粧料、過剰な皮脂分泌を抑え、皮膚を引き締めることを目的とした収れん化粧料、汚れを落とす目的とした清浄用化粧料などがある。
【発明の効果】
【0015】
本発明の乳化物は、アルコール類を含む化粧水におけるどのような希釈方法に対しても、良好な経時安定性を持ち、微細かつ均一な乳化粒子を得ることが可能であるので、化粧水に油剤を配合するにあたり、どのような場合にも容易に応用が可能であり、また製造スケールによる制限も受けない。また本発明の乳化物では、界面活性剤の使用量を必要最小限に抑えることが可能であるので、これを希釈して得られる外観上半透明な水性化粧料は、使用感上べたつきを抑えた、水性化粧料として望ましいみずみずしい使用感を実現することができるという利点がある。本発明で外観上半透明とは本発明の乳化物を精製水にて10倍希釈したのち、透過率(600nm)を測定し、その値が20%以上をいう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記実施例において制限されるものではない。実施例に先立ち、本実施例で用いた乳化物の製法、及びその評価方法について述べる。なお、処方中の各成分の含有量は重量%とする。
【0017】
(平均乳化粒子径)
得られた乳化物について、これを精製水にて10倍希釈したのち、大塚電子株式会社製の粒子径測定装置(FPAR−1000)を用いて平均乳化粒子径を測定し(約25℃)、下記の評価基準にて評価した。
◎:100nm未満
○:100nm以上150nm未満
△:150nm以上200nm未満
×:200nm以上
(透過率)
得られた乳化物について、これを精製水にて100倍希釈したのち、島津製作所製の分光光度計(UV−160A)を用いて透過率(600nm、セルの厚さ:10mm、約25℃)を測定し、下記の評価基準にて評価した。
◎:30%以上
○:20%以上30%未満
△:10%以上20%未満
×:10%未満
【実施例】
【0018】
実施例1〜14、比較例1〜12
次の表1〜4に記載した処方で、下記の製法によって乳化物を製造し、その特性を上記した方法で評価した。その結果を併せて表1〜4に記載する。
表中、ポリオキシエチレン(5)硬化ヒマシ油はNIKKOL HCO−5(日光ケミカルズ社製)、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油はNIKKOL HCO−20(日光ケミカルズ社製)、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油はNIKKOL HCO−40(日光ケミカルズ社製)、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油はNIKKOL HCO−60(日光ケミカルズ社製)、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパンはNIKKOL Trialan 308(日光ケミカルズ社製)、ミリスチン酸オクチルドデシルはO.D.M.(高級アルコール工業社製)、グリセリンはグリセリン・RG・コP(日本油脂社製)、1,3−ブチレングリコールは1,3−B.G(ダイセル化学工業社製)、ジプロピレングリコールはDPG−FC(旭硝子社製)をそれぞれ用いた。
(製法)
約80℃に加温し均一に混合した本発明の成分(A)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と成分(B)油剤に、同じく約80℃に加温し均一に混合した本発明の成分(C)グリセリンと成分(D)水を攪拌しながら徐々に添加し、その後30℃まで冷却し、下記の実施例及び比較例の乳化物を得た。
【0019】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の酸化エチレン付加モル数に関して、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油のHLB値である10.5を基準に、付加モル数の異なる4種の最も適切な組み合わせ方法について検討した結果を表1に示した。なお、ポリオキシエチレン(5)硬化ヒマシ油のHLB値は6.0、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油のHLB値は10.5、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油のHLB値は12.5、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油のHLB値は14.0である。
【0020】
【表1】

【0021】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の酸化エチレン付加モル数に関して、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油のHLB値である10.5を基準に、平均付加モル数5及び40の混合物と20との最も適切な重量比率について検討した結果を表2に示した。なお、ポリオキシエチレン(5)硬化ヒマシ油のHLB値は6.0、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油のHLB値は10.5、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油のHLB値は12.5である。
【0022】
【表2】

【0023】
ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油のHLB値である10.5を基準に、油剤としてトリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパンを用いた場合について、最も適切な油剤の配合比率の範囲について検討した結果を表3に示した。なお、ポリオキシエチレン(5)硬化ヒマシ油のHLB値は6.0、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油のHLB値は10.5、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油のHLB値は12.5である。
【0024】
【表3】

【0025】
ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油のHLB値である10.5を基準に、最も適切なグリセリンの配合比率の範囲について、また、グリセリンを1,3−ブチレングリコールもしくはジプロピレングリコールで置き換えた場合について検討した結果を表4に示した。なお、ポリオキシエチレン(5)硬化ヒマシ油のHLB値は6.0、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油のHLB値は10.5、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油のHLB値は12.5である。
【0026】
【表4】

【0027】
実施例6と比較例3の乳化物に関して、水に乳化物を加えて希釈した場合と、乳化物に水を加えて希釈した場合、また化粧水により似せた状態として、10%エタノール水溶液で同様に二通り希釈を行った場合における、その平均乳化粒子径と透過率について調べた結果を表5に示した。なお、表中のAは水又は10%エタノール水溶液に乳化物を加えて希釈した場合、Bは乳化物に水又は10%エタノール水溶液を加えて希釈した場合である。平均乳化粒子径及び透過率は、前述の方法により測定した。
【0028】
水での希釈において、実施例6と比較例3は共にA・B間で大きな差は見受けられなかったが、10%エタノール水溶液での希釈では、実施例4はA・B間で差がないものの、比較例3のAにおいて平均乳化粒子径が大きくなる傾向が見られた。
【0029】
【表5】

【0030】
(実施例15)
配合成分 配合量(重量%)
(1) トリポリりん酸ナトリウム 0.2
(2) 水酸化カリウム 0.02
(3) 1,3−ブチレングリコール 0.6
(4) カルボキシビニルポリマー 0.5
(5) ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
(6) エタノール 7.0
(7) パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(8) 実施例1の乳化物 0.5
(9) 水 残 量
【0031】
上記実施例15の化粧水は、半透明な外観を有し、使用感上のべたつきはなく、非常にみずみずしい使用感であり、かつ、油剤特有のしっとりした使用感も有していた。また、経時的な透過率の変化もなく、5℃、室温、40℃における経時安定性はいずれも良好であった。
【0032】
(実施例16)
配合成分 配合量(重量%)
(1) トリポリりん酸ナトリウム 0.1
(2) クエン酸 0.05
(3) クエン酸ナトリウム 0.2
(4) ジプロピレングリコール 9.0
(5) キサンタンガム 0.02
(6) グリセリン 5.0
(7) エタノール 4.0
(8) パラオキシ安息香酸メチル 0.2
(9) ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.2
(10)香料 0.02
(11)実施例2の乳化物 0.2
(12)水 残 量
【0033】
上記実施例16の化粧水は、半透明な外観を有し、使用感上のべたつきはなく、非常にみずみずしい使用感であった。また、経時的な透過率の変化もなく、5℃、室温、40℃における経時安定性はいずれも良好であった。
【0034】
(実施例17)
配合成分 配合量(重量%)
(1) メタリン酸ナトリウム 0.05
(2) クエン酸 0.05
(3) クエン酸ナトリウム 0.15
(4) 1,3−ブチレングリコール 3.0
(5) セルロースガム 0.01
(6) グリセリン 3.0
(7) グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
(8) アロエエキス 0.01
(9) エタノール 7.0
(10)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(11)実施例3の乳化物 0.1
(12)水 残 量
【0035】
上記実施例17の化粧水は、透明〜半透明な外観を有し、使用感上のべたつきはなく、非常にみずみずしい使用感であった。また、経時的な透過率の変化もなく、5℃、室温、40℃における経時安定性はいずれも良好であった。
【0036】
(実施例18)
配合成分 配合量(重量%)
(1) EDTA−2Na 0.05
(2) クエン酸 0.01
(3) 1,3−ブチレングリコール 2.0
(4) グリセリン 1.0
(5) ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
(6) ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.1
(7) 香料 0.03
(8) 酢酸トコフェロール 0.001
(9) エタノール 7.0
(10)パラオキシ安息香酸メチル 0.15
(11)実施例4の乳化物 0.01
(12)水 残 量
【0037】
上記実施例18の化粧水は、透明〜半透明な外観を有し、使用感上のべたつきはなく、非常にみずみずしくさっぱりとした使用感であった。また、経時的な透過率の変化もなく、5℃、室温、40℃における経時安定性はいずれも良好であった。
【0038】
(比較例13)乳化物
成分 配合量(重量%)
(1) ポリオキシエチレン(5)硬化ヒマシ油 4.0
(2) ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 12.5
(3) ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 8.5
(4) トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン 33.3
(5) グリセリン 16.7
(6) 精製水 25.0
【0039】
上記比較例13の乳化物を、実施例18の配合成分(11)と置き換えて配合した場合、その化粧水は透明〜半透明な外観を有し、外観上良好であったが、界面活性剤の配合量が多いため使用感上べたつきが強く、水性化粧料に望まれる使用感として好ましくなかった。
【0040】
(比較例14)乳化物
成分 配合量(重量%)
(1) ポリオキシエチレン(5)硬化ヒマシ油 1.8
(2) ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 11.1
(3) ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 3.8
(4) トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン 20.0
(5) グリセリン 6.3
(6) 精製水 57.0
【0041】
上記比較例14の乳化物を、実施例18の配合成分(11)と置き換えて配合した場合、その化粧水は透明〜半透明な外観を有し、外観上良好であったが、油剤の配合量が少ないため使用感上しっとり感に欠け、油剤配合の水性化粧料に望まれる使用感として好ましくなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(D)からなり、かつ、成分(A)の酸化エチレン平均付加モル数5及び40の混合物と20の重量比率が1:1〜1:16である乳化物。
(A)酸化エチレンの平均付加モル数が5,20,40モルであるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を3種含み、かつ、これら3種を全て混合したポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 15.0〜22.5重量%
(B)油剤 22.5〜33.3重量%
(C)グリセリン 2.5〜25.0重量%
(D)水 25.0〜47.5重量%
【請求項2】
請求項1記載の乳化物を0.01〜0.5重量%配合した、外観が半透明であることを特徴とする水性化粧料。
【請求項3】
請求項1記載の成分(B)が、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパンであることを特徴とする請求項1記載の乳化物あるいは請求項2記載の水性化粧料。
【請求項4】
請求項1記載の加温した成分(A)及び(B)に、加温した成分(C)及び(D)を徐々に添加して乳化することを特徴とした請求項1記載の乳化物の製造方法。

【公開番号】特開2011−190222(P2011−190222A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58778(P2010−58778)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(592262543)日本メナード化粧品株式会社 (223)
【Fターム(参考)】