説明

乳化組成物、乳化組成物を用いて線維構造を軟化させる方法、および乳化組成物を用いて処理された線維状基材

本発明は、乳化組成物、乳化組成物を使って線維構造を軟化させる方法、および乳化組成物で処理された線維状基材に関する。該組成物は、(A)0.01重量部ないし25.0重量部未満のジオルガノポリシロキサンと、(B)0.01重量部ないし20.0重量部未満の軟化剤と、(C)8.0重量部〜60.0重量部の水と、(D)20.0重量部〜90.0重量部の水溶性一価アルコールまたは水溶性多価アルコールとを備え、乳化組成物の連続相が、1:0.5〜1:10の比の水(C)および水溶性一価アルコールまたは水溶性多価アルコール(D)からなる水溶液であり、成分(C)および成分(D)の総含有量が、乳化組成物の30.0重量部〜98.0重量部の範囲である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水および水溶性アルコールからなる水溶液の連続相を有する、新規な乳化組成物に関する。この新規な乳化組成物は、該水溶液中で乳化した乳化粒子としてのジオルガノポリシロキサンと、軟化剤とを含有していることをさらに特徴とする。この乳化組成物は、何ヶ月間も保存状態におかれても、優れた時間的安定性および均質な外見を維持する。
【0002】
本発明は、線維状基材、特にティッシュペーパーのための、新規な軟化性乳化組成物にも関する。この軟化性乳化組成物は、軟化性乳化組成物を用いて処理した線維状基材に対して、人の皮膚にとって柔らかい肌触りだけではなく、優れた滑らかさ、しっとり感、および心地よい綿毛感をも付与する。さらに、線維状基材の特異的な吸水性は、軟化性乳化組成物による処理後でも保持される。
【0003】
本発明は、上記乳化組成物を使って、線維構造を軟化させる方法、および乳化組成物を用いて処理した線維状基材にも関し、特にティッシュペーパー製品に関連する。本発明の乳化組成物を用いて処理したティッシュペーパーは、効果的な量の軟化剤、ジオルガノポリシロキサン、および水溶性アルコール、特にグリセリンを、乾燥端のティッシュペーパーの網状組織に、乾燥処理を行わずに導入し包含させることによって、人の皮膚にとって高い柔軟性、滑らかさ、しっとり感、および綿毛感を有する。この加工済みティッシュペーパー製品は、線維状の紙の構造からの特異的な吸水性を維持するものであり、この吸水性は処理過程によって損なわれることがない。
【背景技術】
【0004】
ティッシュペーパー製品を軟化させるためには、機能性シリコーンがティッシュ製品に導入される。このような導入においては、軟化剤およびアルコール(例えばグリセリン)もティッシュ製品に導入される。
【0005】
例えば、国際特許出願公開第1996/024719号明細書(「SOFT TISSUE PAPER CONTAINING AN OIL AND A POLYHYDROXY COMPOUND 」、プロクター・アンド・ギャンブル社)には、効果的な量のポリヒドロキシ化合物および油を、湿ったティッシュペーパーの網状組織に導入し包含させることによって、全体的に柔軟性の高い肌触りを有するティッシュペーパーが開示されている。該ティッシュペーパー上への、ポリヒドロキシ化合物の付加および油の付加は、どちらも、乾燥繊維重量を基準として0.01%〜5%で行われる。このポリヒドロキシ化合物および油には、それぞれ、グリセリンおよびポリシロキサン系油が含まれる。
【0006】
日本国の特開平07−145596号公報(「COMPOSITION FOR TREATING WIPING PAPER 」、ダウコーニング・東レシリコーン社)には、特定のジオルガノシロキサンおよび多価アルコールからなり、ティッシュペーパーに、柔軟性、滑らかさ、および柔らかい肌触りを付与するために最適に使用され得る、拭き取り紙処理用組成物が記載されている。この公開公報では、構成物質を、界面活性物質を用いて乳化し、50重量%を超える水を含んだ乳剤を調製することについても言及されている。この処理用組成物は、乾燥処理を実施するとともに、乾いたティッシュペーパーに導入される。また、この組成物の導入量の範囲は、0.2重量%〜5.0重量%である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの軟化性組成物および軟化方法は、柔らかさおよび感触が改善された多数のティッシュペーパー製品に導入される。ただし、該軟化性組成物を用いて処理したティッシュペーパー製品の柔らかさが人の皮膚にとって心地よい感触を日々の使用において与えるには十分でなく、また、加工済みティッシュペーパーの提供する感触が主に柔らかさに関するものであるので、これらの既存技術は必ずしも満足のできるものではない。
【0008】
さらに、本件発明者は、加工済みティッシュ製品の感触が不十分なこと以外に、上記の軟化性組成物および軟化方法の別の問題を見出した。上記問題とは、線維状の紙の構造が有するいくつかの特性(例えば吸水性)が、本質的に、既存の軟化性組成物(例えば水中油型乳剤)または付加グリセリン処理を用いた軟化処理または乾燥処理によって損なわれ得ることである。すなわち、発明者は、既存技術においては、わずかな柔らかさを基材に付与することと引き換えに、線維状基材の有するいくつかの天然の好適な特性が損なわれる可能性があることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上述の問題を解決するために進められ、発明者は、(A)ジオルガノポリシロキサンと、(B)軟化剤と、(C)水と、(D)水溶性一価アルコールまたは水溶性多価アルコールとを備え、乳化組成物の連続相が、1:0.5〜1:10の比の水(C)および水溶性一価アルコールまたは水溶性多価アルコール(D)からなる水溶液であり、成分(C)および成分(D)の総含有量が、乳化組成物の30.0重量部〜98.0重量部の範囲である、新規な乳化組成物を開発した。発明者は、該乳化組成物を含んだ新規な軟化性乳化組成物、乳化組成物を用いて線維構造を軟化させる方法、および乳化組成物を用いて処理した線維状基材、特に乳化組成物を用いて処理したティッシュペーパー製品をさらに開発した。
【0010】
具体的には、本発明は、(A)0.01重量部ないし25.0重量部未満のジオルガノポリシロキサンと、(B)0.01重量部ないし20.0重量部未満の軟化剤と、(C)8.0重量部〜60.0重量部の水と、(D)20.0重量部〜90.0重量部の水溶性一価アルコールまたは水溶性多価アルコールとを備え、乳化組成物の連続相が、1:0.5〜1:10の比の水(C)および水溶性一価アルコールまたは水溶性多価アルコール(D)からなる水溶液であり、成分(C)および成分(D)の総含有量が、乳化組成物の30.0重量部〜98.0重量部の範囲である、乳化組成物に関する。
【0011】
この乳化組成物は、何ヶ月間も保存状態におかれても、優れた時間的安定性および均質な外見を維持する。また、この乳化組成物は、乳化組成物を用いて処理した線維状基材に対して、柔らかい肌触りだけではなく、優れた滑らかさ、しっとり感、および心地よい綿毛感をも付与する。天然の好適な特性(例えば吸水性)は、乳化組成物を用いて線維状基材を処理した後でも保持される。
【0012】
また、この乳化組成物の連続相は、本質的には水性アルコール溶液、好ましくはグリセリン溶液からなるので、乳化組成物を用いて処理したティッシュ製品を製造するための、別の乾燥処理および付加グリセリン処理は、省略してもかまわない。この乳化組成物を使用することによって、ジオルガノポリシロキサンおよびアルコールが、乾燥済のティッシュペーパーの網状組織に乾燥処理を行わずに導入される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上述の目的は、以下の各項目によって実現可能である。
【0014】
{1}
(A)0.01重量部ないし25.0重量部未満のジオルガノポリシロキサンと、
(B)0.01重量部ないし20.0重量部未満の軟化剤と、
(C)8.0重量部〜60.0重量部の水と、
(D)20.0重量部〜90.0重量部の水溶性一価アルコールまたは水溶性多価アルコールとを備え、
乳化組成物の連続相が、1:0.5〜1:10の比の水(C)および水溶性一価アルコールまたは水溶性多価アルコール(D)からなる水溶液であり、
成分(C)および成分(D)の総含有量が、乳化組成物の30.0重量部〜98.0重量部の範囲である、乳化組成物。
【0015】
{2}
上記乳化組成物の連続相のグリセリン含有量が30重量部〜90重量部である、項目{1}に記載の乳化組成物。
【0016】
{3}
成分(A)を備えた上記乳化粒子の平均粒径が50nm〜10,000nmである、項目{1}または{2}に記載の乳化組成物。
【0017】
{4}
成分(A)を備えた上記乳化粒子の平均粒径が50nm〜300nmである、項目{1}〜{3}のいずれか一項に記載の乳化組成物。
【0018】
{5}
成分(A)を備えた上記乳化粒子が、分子中のアミノ官能基、ポリオキシアルキレン基、スルホン酸官能基、およびエポキシ官能基からなる群から選択される少なくとも1つの基を有するジオルガノポリシロキサンである、項目{1}〜{4}のいずれか一項に記載の乳化組成物。
【0019】
{6}
(E)0.01重量部ないし20.0重量部未満の保湿剤と、
随意的に(F)防腐剤とをさらに備えた、項目{1}〜{5}のいずれか一項に記載の乳化組成物。
【0020】
{7}
項目{1}〜{6}のいずれか一項に記載の乳化組成物を備えた、線維状基材のための軟化性乳化組成物。
【0021】
{8}
上記線維状基材が、拭き取り繊維、布地、織物、および紙からなる群より選択される、項目{7}に記載の線維状基材のための軟化性乳化組成物。
【0022】
{9}
線維構造を有する基材を、請求項{1}〜{6}のいずれか一項に記載の乳化組成物を用いて処理することによって、線維構造を軟化させる方法。
【0023】
{10}
項目{1}〜{6}のいずれか一項に記載の乳化組成物を用いて処理された線維状基材。
【0024】
{11}
上記線維状基材がティッシュペーパー製品である、項目{10}に記載の線維状基材。
【0025】
本発明の成分、その他の必要に応じて加える成分、乳化組成物そのもの、および乳化組成物の調製物について、以下の記載において具体的に説明する。
【0026】
〔成分(A)〕
成分(A)は、アミノ官能性ポリシロキサン、エポキシ官能性ポリシロキサン、スルホン酸官能性ポリシロキサン、およびポリオキシアルキレン官能性ポリシロキサンなどの、ジオルガノポリシロキサンである。複数の官能基が、ポリシロキサン構造自身に強い軟化性を付与する際に重要な役割を果たす。また、ポリシロキサンの主鎖が非常に高い滑らかさを付与する。さらに、心地よい綿毛感が、成分(A)と成分(D)とを乳化状態において組み合わせることによって実現される。
【0027】
さらに詳細には、上記ジオルガノポリシロキサンは、次の平均的構造式(1)によって表わされる。
【0028】
【化1】

【0029】
ただし、R1 は、一価の非置換炭化水素基、一価のフルオロ置換炭化水素基、一価のアルコキシ置換炭化水素基、または一価のヒドロキシル置換炭化水素基である。この一価の非置換炭化水素基の代表的な例としては、メチル、エチル、プロピル、もしくは類似のアルキル基;フェニル、トリル、キシリル、もしくは類似のアリール基;またはアラルキル基などがあげられる。一価のフルオロ置換炭化水素基の代表的な例としては、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル、または類似のパーフルオロアルキル基などがあげられる。上述の例の内、R1 は、好ましくは一価の非置換炭化水素基、好ましくはアルキル基またはアリール基、特にメチル基またはフェニル基である。シリコン原子に結合した、R1 で表わされた基の一部、特に分子の末端に位置する、R1 で表わされた基の一部を、ヒドロキシル基またはアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、またはプロポキシ基で置き換えてもよい。
【0030】
2 は、R1 以外の官能基であり、ポリシロキサン構造自身に強い軟化性を付与する際に重要な役割を果たす。また、ポリシロキサンの主鎖が非常に高い滑らかさを付与する。この官能基の代表的な例としては、次式(2)で表わされるポリオキシアルキレン基
−R3 −O−(C2 4 O)a (C3 6 O)b 4 (2)
(ただし、R3 は、炭素数が2〜30のアルキレン基である。また、R4 は、水素原子、炭素数が1〜30のアルキル基、または−(OC)−R5 (R5 は、炭素数が1〜30のアルキル基である)で表される有機基から選択される基である。また、1≦a+b≦30である。);メトキシカルボニルプロピル基、エトキシカルボニルプロピル基、または類似のアルコキシカルボニルアルキル基;アセトキシプロピル、プロピオノキシプロピル、または類似のアルキルカルボニルオキシアルキル基;3−アミノプロピル、3−(アミノエチル)アミノプロピル、エタンジアミノ−2−メチルプロピル−またはアルキルアミノカルボニルアルキル−、アルキルカルボニルアミノアルキル−、OH−終端を有するアミノエチルアミイソブチルメチル−[例えば、−CH2 CH(CH3 )CH2 −N(CH2 CH(OH)CH2 OH)−CH2 −NH(CH2 CH(OH)CH2 OH)]または類似のアミノ官能基;エポキシ基;カルボキシル基;グリセリル基;ポリグリセリル基;糖基;多糖基;メルカプト基;カルビノール基;スルホン酸基およびアミド基などがあげられる。特に、好ましいジオルガノポリシロキサンは、アミノ官能基、ポリオキシアルキレン基、スルホン酸官能基、またはエポキシ官能基を有するメチルポリシロキサンである。
【0031】
上記の例の中で、もっとも好ましい基は、−(CH2 d −(NHCH2 CH2 e −NH−R4 、または−Cd 2d−(NHCH(OH)CH(OH))e −NH−CH(OH)CH(OH)(ただし、dの範囲は1〜10、eの範囲は0〜10である)によって表わされるアミノ官能基である。
【0032】
上記式において、「m」および「n」は、好ましくは、0≦m、0≦n、および0≦m+n≦5000という条件を満足する。ただし、n=0のときは、少なくとも1つの「A」がR2 である。「m」の範囲が5〜2000、および「n」の範囲が0〜100であることが好ましい。
【0033】
成分(A)の粘性について特に制限はない。ただし、時間的安定性を改善しつつ乳剤を調製するという視点からは、25℃での成分(A)の粘性の範囲が、好ましくは25℃で5mPas〜1,000,000mPasであることが推奨される。
【0034】
必要に応じて、(A)ジオルガノポリシロキサンは、他のジメチルポリシロキサンと組み合わせられてもよい。このようなジメチルポリシロキサンの代表的な例としては、25℃で0.65mm2 /s〜10,000mm2 /sの粘性を有する、直鎖状ジメチルポリシロキサン、分岐鎖状ジメチルポリシロキサン、揮発性環状ジメチルポリシロキサン;分子の両末端がトリメチルシロキシ基でキャッピングされたジメチルポリシロキサン、分子の両末端がトリメチルシロキシ基でキャッピングされたジメチルフェニルポリシロキサン、分子の両末端がシラノール(OH)基でキャッピングされたジメチルポリシロキサンなどがあげられる。このようなジメチルポリシロキサンは公知の軟化剤であって、下記の成分(B)に含まれてもよい。
【0035】
〔成分(B)〕
成分(B)は軟化剤である。本明細書においては、「軟化剤」という用語は、特定の紙製品を手に持って皮膚をこする使用者が知覚する触覚(人が皮膚で感じる感触)を改善する、任意の化学的な成分を指す。タオル製品が有すれば望ましいと思われる特性ではあるが、柔らかさは、一般のティッシュペーパー製品およびトイレ用ティッシュペーパー製品にとって特に重要な特性である。このような触覚として知覚できる柔らかさは、摩擦、柔軟性、および滑らかさ、さらに、例えばツルツル感、ビロード感、絹のような肌触り、またはフランネルのような肌触りといった感触などの、主観的に表現される要素によって特徴付けられるということができるが、これらに限定されるものではない。適切な素材としては、ティッシュペーパーにツルツル感を付与する素材などがあげられる。
【0036】
このような成分の代表的な例としては、上述のジメチルポリシロキサン、単純なワックス(例えばパラフィンおよび蜜蝋)、油(例えばミネラルオイル)、また、ワセリン、さらに複雑な潤滑剤および四級アンモニウム化合物、フルオロカーボン、炭素数が10〜22の置換アルカン、炭素数が10〜22の置換アルケン、特に脂肪アルコールおよび脂肪酸のエステル誘導体(例えば脂肪酸アミド、脂肪酸縮合物、および脂肪アルコール縮合物)、糖の誘導体(例えばエーテルおよびエステル)、ならびにこれらの混合物などがあげられる。
【0037】
本発明において、好ましい軟化剤は、四級アンモニウム化合物;モノ、ジ、またはトリエステル四級アンモニウム化合物;エステル化ジ四級アンモニウム化合物、またはこれらの混合物である。この四級アンモニウム化合物は、長い(炭素数10〜22)アルキル鎖を有していてもよい。このような四級アンモニウム化合物は、イミダゾリニウム化合物(例えばイミダゾリニウム塩)または複数のイミダゾリニウム化合物の混合物であってもよい。
【0038】
適切な四級アンモニウム化合物の例は、一般式
(R1 4-b −N+ −(R2 b -
で表わされる化合物から選択されてもよい。ただし、R1 は炭素数が1〜6のアルキル基、R2 は炭素数が10〜22のアルキル基、bは1〜3の整数である。他の類似の化合物としては、モノエステル、ジエステル、モンカミド(moncamide)、および上述の単純な四級アンモニウム塩のジアミド誘導体などがあげられる。Xは、四級アンモニウムに対して相溶性を有する任意の陰イオンであればよく、本発明では、例えば酢酸、塩化物、臭化物、硫酸メチル、ギ酸塩、硫酸塩、硝酸塩なども使用可能である。
【0039】
その他の四級アンモニウム化合物としては、周知のジアルキルジメチルアンモニウム塩(例えば、ジ牛脂ジメチル塩化アンモニウム、ジ牛脂ジメチルアンモニウム硫酸メチル、ジ(水素化牛脂)ジメチル塩化アンモニウム)およびトリアルキルメチルアンモニウム塩(例えば、トリ牛脂メチル塩化アンモニウム、トリ牛脂メチルアンモニウム硫酸メチル、トリ(水素化牛脂)メチル塩化アンモニウム)などがあげられる。
【0040】
このような四級アンモニウム化合物の例としては、アルキルトリメチル塩化アンモニウム、ステアリルトリメチル塩化アンモニウム、ラウリルトリメチル塩化アンモニウム、セチルトリメチル塩化アンモニウム、牛脂アルキルトリメチル塩化アンモニウム、ベヘニルトリメチル塩化アンモニウム、オクチルトリメチル水酸化アンモニウム、ドデシルトリメチル水酸化アンモニウム、ステアリルトリメチル臭化アンモニウム、ベヘニルトリメチル臭化アンモニウム、ジステアリルジメチル塩化アンモニウム、ジココイルジメチル塩化アンモニウム、ジオクチルジメチル塩化アンモニウム、ジ(POE)オレイルメチル塩化アンモニウム(2EO)、塩化ベンザルコニウム、アルキル塩化ベンザルコニウム、アルキルジメチル塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ステアリルジメチルベンジル塩化アンモニウム、ラノリン由来四級アンモニウム塩、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピル塩化アンモニウム、塩化セチルピリジニウム、トール油アルキルベンジルヒドロキシエチル塩化イミダゾリニウム、またはベンジルアンモニウム塩などがあげられる。
【0041】
〔成分(C)〕
成分(C)は水である。この水は、ヒトに有害な成分を含有すべきではなく、清潔であるべきである。水の代表的な例としては、水道水、精製水、およびミネラルウォーターなどがあげられる。
【0042】
〔成分(D)〕
成分(D)は、すなわち水溶性一価アルコールまたは水溶性多価アルコールは、室温で水に対して優れた相溶性を有することを特徴とする液体である。この成分は、乳化状態において(A)ジオルガノポリシロキサンと組み合わされることによって、線維状基材に対してしっとり感および心地よい綿毛感を付与する。
【0043】
このような成分(D)は、1つのアルコールまたは複数の水溶性一価アルコールまたは水溶性多価アルコールの混合物であってもよい。好適な水溶性アルコールは、炭素数が2〜8の一価または多価アルコールである。さらに、好ましい成分(D)は、ティッシュペーパー製品の表面上に残存しても、人の皮膚に対する刺激作用を引き起こさないまたは最小の刺激作用しか引き起こさない、低アレルギー性のアルコールまたは複数の低アレルギー性のアルコールの混合物である。
【0044】
このような成分(D)の具体的な例としては、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどの一価の低級アルコール;1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの二価アルコール;ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール;グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、式HO−CH2 (CH(OH))4 −COOHによって表わされるグルコン酸などの類似のポリアルコールがあげられる。
【0045】
ティッシュペーパーを処理するための軟化性乳化剤としてもっとも好適な成分(D)は、グリセリンまたはグリセリンの混合物である。好適なグリセリン含有量は、この乳化組成物中において30重量部〜90重量部である。
【0046】
〔乳剤の連続相〕
本発明の乳化組成物は、乳化組成物の連続相が、1:0.5〜1:10の比の(C)水および(D)水溶性一価アルコールまたは水溶性多価アルコールからなる水溶液であり、成分(C)および成分(D)の総含有量は、乳化組成物の30.0重量部〜98.0重量部の範囲であることを特徴とする。
【0047】
本発明の乳化組成物は水中油型乳剤に類似する乳化状態を有してはいるが、(A)ジオルガノポリシロキサンを備えた乳化粒子は乳化されて、(D)水溶性一価アルコールまたは水溶性多価アルコールに基づく水溶液になる。
【0048】
(B)軟化剤は、水溶液中における溶解度に応じて、水溶液(親水性を有する連続相)中に、乳化粒子(疎水性を有する油性の粒子相)中または上記乳化粒子の界面表面に界面活性物質として分散され得る。いずれにしても、本発明の乳化状態は非常に安定しているので、本乳化組成物は、保存状態におかれても、優れた時間的安定性および均質な外見を何ヶ月間も維持する。
【0049】
(A)ジオルガノポリシロキサン、(B)軟化剤、および(D)水溶性一価アルコールまたは水溶性多価アルコールのそれぞれが有する軟化効果は、この特定の乳化状態においてさらに向上し、柔らかい肌触りだけではなく、人の皮膚にとっての、優れた滑らかさ、しっとり感、および心地よい綿毛感もが、これらの成分で処理された線維状基材において実現される。さらに、(D)水溶性一価アルコールまたは水溶性多価アルコールの含有量が高いので、(C)水の蒸発が加速され、ティッシュの処理過程に乾燥処理を含める必要性がなくなる。この理由によって、線維状基材の特異的な吸水性は、この乳化組成物による処理が行われた後も維持される。
【0050】
軟化性乳化組成物として、もっとも好ましい本乳化組成物の連続相のグリセリン含有量は、乳化組成物の総重量部に対して30重量部〜90重量部である。また、グリセリンが、他の低アレルギー性のアルコールまたはその混合物と組み合わせられてもよい。
【0051】
軟化性乳化組成物として、(C)水および(D)水溶性一価アルコールまたは水溶性多価アルコールの好ましい比は、本乳剤の連続相において、1:0.75〜1:8であり、より好ましい比は1:1〜1:5である。
【0052】
また、軟化性組成物が、大量の成分(D)である水溶性アルコール、特に、エタノール、グリセリン、または類似の低級アルコールを含有するのであれば、このような組成物は、これらのアルコールの含有によって非常に可燃性が高くなる。
【0053】
ただし、本軟化性乳化組成物では、(C)水を含有する水溶液によって引火性が低下し、製造、保存、および輸送中の高い安全性が得られる。このような低い引火性によって、本発明の乳化組成物は、特にティッシュペーパー製品の処理に用いるには使いやすく、安全な軟化性組成物になる。
【0054】
さらに、例えば水溶性イオン性界面活性剤、水性芳香剤、水性色素または皮膚軟化薬(例えば水性の植物エキス)などの水溶性成分は、(C)水の中で事前に分散させておき、それから組成物と化合して、本発明の乳化組成物を調製することができる。
【0055】
一方では、(C)水および(D)水溶性アルコールの水溶液の凝固点は、水自身の凝固点に比べて非常に低いので、本乳化組成物は、寒冷な地域でも冬に凍結しにくく、優れた凍結/解凍安定性を提供する。
【0056】
〔乳化粒子〕
本乳化組成物の乳化粒子は、上述の(A)ジオルガノポリシロキサンおよび(A)ジオルガノポリシロキサンに対して相溶性を有する他の疎水性成分を備えている。(B)軟化剤の一部または全体が疎水性であれば、このような(B)軟化剤は、乳化粒子中または界面活性物質としての乳剤界面上に備えられていてもよい。
【0057】
乳剤の粒径について特に制限はないが、本発明の乳化組成物が線維状基材用の軟化性乳化組成物として調製される場合には、該乳化組成物は、レーザ回折/分散法またはコールターカウンター法によって測定すれば、10.0μmを超えない平均的な乳化粒子を有していることが好適である。相分離を起こさずに時間的安定性を何ヶ月間も維持するために、平均粒径は、50nm〜10.0μm(=10,000nm)の範囲内にあるべきである。
【0058】
さらに、本発明の乳化組成物が、ティッシュペーパー製品に用いる軟化性乳化組成物として調製される場合、好ましい平均乳化粒子は、レーザ回折/分散法またはコールターカウンター法によって測定すれば、0.5μm(=500nm)未満、特に0.3μm(=300nm)未満である。
【0059】
もっとも好ましい乳化組成物は、50nm〜300nm、特に約150nmの粒径を有するマイクロ乳剤である。このような好ましいマイクロ乳化組成物は、不透明、半透明、または透明な外見を有し、保存状態におかれても、均質な乳化状態を何ヶ月間も維持するものである。
【0060】
〔乳化過程〕
乳化過程は、標準的な乳剤機械的剪断器具または操作を用いて実施される。例えば、このような混合および乳化は、任意の適した剪断の供給源、例えば高速撹拌機、ホモジナイザー、ソノレーター、マイクロ流動化装置、Turello社のチェンジキャンミキサー、ロスミキサー、エッペンバッハコロイドミル、ホモミックラインミル、動的ミキサー、ロータリーディスク型ミキサー、二軸スクリュー型押し出し機などの装置を使用することによって実施可能である。任意の機械的剪断装置が、製造の各段階において採用可能であり、異なる乳化過程の2つ以上のステップが、望ましい粒径を有する乳化組成物を調製するために採用可能である。必要に応じて、手で混合してもかまわない。
【0061】
乳化過程のための製造ステップに関して特に制限はない。例えば、上述の成分(A)、成分(B)、成分(C)、および成分(D)を備えた本発明の乳化組成物は、以下のステップによって調製可能である。
【0062】
(1)所定の量の(A)ジオルガノポリシロキサン、所定の量の(B)軟化剤、および必要に応じて所定の量の(G)その他の界面活性物質を高速撹拌ミキサーに仕込み、所定の時間撹拌することによって混合する。
【0063】
(2)所定の量の(C)水、必要に応じて(E)保湿剤、(F)防腐剤、および(H)pH値調整剤を高速撹拌ミキサーに仕込み、所定の時間撹拌することによって混合する。このステップでは、所定の量の(C)水を複数回に分けて徐々に添加し、撹拌することによって混合してもよい。
【0064】
(3)所定の量の(D)水溶性一価アルコールまたは水溶性多価アルコールを高速撹拌ミキサーに仕込み、すべての成分が分散し乳化して均質な状態になるまで、所定の時間撹拌することによって混合する。
【0065】
ここで使用する高速撹拌ミキサーの代表的な例としては、ホモミキサー、パドルミキサー、ヘンシェルミキサー、ホモディスパーサー、コロイドミル、減圧混合用撹拌ミキサー、二軸スクリュー押し出し機などがあげられる。ただし、優秀な乳化力を発揮し、安定した乳剤を生成する限り、ミキサーの形式については特に制限はない。
【0066】
ステップ(2)または(3)のいずれかにおいて、(C)水は、(C)水の混合物または成分(C)および成分(D)からなる水溶液と置き換えてもかまわない。このような成分の事前混合は、実施の際には、特定の器具または製造プロセスに合わせて採用可能である。
【0067】
〔成分(G):界面活性物質〕
本発明では、ある成分(B)は、界面活性物質の役割をも果たして、成分(A)および成分(A)に対して相溶性を有する他の疎水性成分を、成分(C)および(D)の水溶液中に乳化させる。すなわち、成分(B)の一部は、軟化剤と界面活性物質との二つの機能を有する。
【0068】
ただし、成分(B)の乳化能は低い、および/または乳剤の時間的安定性を改善しようという場合には、本発明の乳化組成物は、(G)界面活性物質をさらに含有してよい。(G)界面活性物質の好ましい量は、(A)ジオルガノポリシロキサンの0.5重量部〜20.0重量部である。(G)界面活性物質が非イオン性界面活性剤を備えている場合、(G)界面活性物質のより好ましい量は、(A)ジオルガノポリシロキサンの1.0重量部〜10.0重量部である。
【0069】
1種類以上の上述の(G)界面活性物質について、特に制限はない。この界面活性物質の例としては、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、またはこれら二つの組み合わせなどがあげられる。乳化組成物の時間的安定性を改善するという視点からは、1種類以上の(G1)非イオン性界面活性剤を使用することが好適である。
【0070】
乳化組成物を調製する際、通常は、HLBが低い非イオン性界面活性剤が、事前に形成しておいた、成分(A)と成分(A)に対して相溶性を有する他の疎水性成分との混合物にまず添加される。次に、HLBが高い界面活性物質を含有する水溶液が調製され、この水溶液に上述の混合物が混ぜ合わせられる。この組み合わせた成分が混合されて中間体の乳剤を形成し、次に、この粗製の乳剤が乳化されて、乳化組成物が完成する。
【0071】
さらに具体的には、1種類以上の非イオン性界面活性剤(G1)の代表的な例としては、ポリオキシアルキレンエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸ジエステル、ポリオキシアルキレンレシン酸エステル、ポリオキシアルキレン(水素化)ヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンフェニルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグルコシド、ポリオキシアルキレン脂肪酸ビスフェニルエーテル、ポリプロピレングリコール、パーフルオロポリエーテル型界面活性物質、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロック共重合体、およびアルキルポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロック共重合体エーテルなどがあげられる。
【0072】
1種類以上のイオン性界面活性剤(G2)の例としては、陰イオン性界面活性物質、陽イオン性界面活性物質、または両性を有する界面活性物質などがあげられる。陰イオン性界面活性物質の例としては、飽和または不飽和脂肪酸塩(例えば、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、およびリノール酸ナトリウムなど)、長鎖アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸(例えば、ヘキシルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、およびドデシルベンゼンスルホン酸など)およびこれらの塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、スルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸エステル塩、ポリオキシアルキレン修飾ジメチルポリシロキサンのスルホコハク酸エステルのアルカリ金属塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、長鎖アルカンスルホン酸塩、長鎖アルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエチル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸、長鎖アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、アシルグルタミン酸塩、アシルスルホン酸塩、長鎖アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、長鎖α−オレフィンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸塩、長鎖アルカンスルホン酸塩、長鎖アルキルまたはアルケニルスルホン酸塩、長鎖アルキルアミドスルホン酸塩、長鎖アルキルまたはアルケニルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N−アシルアミノ酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルアルキルエーテルカルボキシの酸塩、アミドエーテルカルボン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、アラニン誘導体、グリシン誘導体、またはアルギニン誘導体などがあげられる。上述の物質の例としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;トリエタノールアミン塩などのアルカノールアミン塩、さらにアンモニウム塩などがあげられるが、ナトリウム塩が好適である。
【0073】
両性界面活性物質(G3)の例としては、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、ホスファチジールイノシトール、ホスファチジールセリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、スフィンゴミエリン、カルジオリピンなどのリン脂質、またはこれらの化合物の水素付加物などがあげられる。もっとも好適な例は、水素化されたダイズ豆のレシチン、卵黄のレシチン、菜種のレシチンなどの水素化された天然のレシチンである。
【0074】
〔(E)保湿用添加物〕
本発明の乳化組成物で処理された線維状基材の滑らかさおよびしっとり感を改善するために、この乳化組成物は、好ましくは、(E)1種類以上の保湿用添加物を備えている。このような場合、この成分は、「皮膚軟化薬」と呼ばれる。保湿用添加物は、水蒸気(水分)を大気から引きつけて、処理済み基材の表面に運ぶ能力を有する。こうすることによって、滑らかさおよびしっとり感が生まれ、乾きが軽減される。
【0075】
このような成分(E)の例としては、尿素、乳酸ナトリウム、多糖類、糖類の異性体、ソルビトール、尿素、ナトリウムPCA、植物エキス、およびその他の同様な生物活性を有する物質である。好ましい成分(E)は、乳酸ナトリウム、天然の野菜エキス、海藻エキス、および薬草剤である。中でも、アロエベラのエキス(抽出物)および乳酸ナトリウムが特に好適である。
【0076】
その他の植物エキスおよびその他の生物活性を有する物質の例としては、以下のものがあげられる。すなわち、アシタバのエキス、アボカドのエキス、ヤマアジサイのエキス、アルテアのエキス、ウサギギク属のエキス、アロエエキス、アンズのエキス、アンズの種子のエキス、イチョウのエキス、ウイキョウの果実のエキス、ウコンの根のエキス、ウーロン茶のエキス、ノイバラのエキス、エキネシアアングスティフォリアの葉のエキス、コガネバナの根のエキス、キハダのエキス、黄連のエキス、オオムギの種子のエキス、セイヨウオトギリソウのエキス、オドリコソウのエキス、クレソンのエキス、オレンジのエキス、乾燥させた海水、海藻のエキス、加水分解済みエラスチン、加水分解済みコムギの微粉、加水分解済み絹、カモミールのエキス、ニンジンのエキス、茵陳蒿のエキス、甘草のエキス、カルカデのエキス、カキョクのエキス、キーウィのエキス、キナのエキス、キュウリのエキス、グアノシン、クチナシのエキス、クマザサのエキス、クララのエキス、クルミのエキス、グレープフルーツのエキス、クレマチスビタルバの葉のエキス、クロレラのエキス、マグワの根のエキス、ゲンチアナ・ルテアのエキス、紅茶のエキス、酵母のエキス、ゴボウのエキス、発酵済み米糠のエキス、コメ胚芽油、コンフリーのエキス、コラーゲン、コケモモのエキス、サイシンのエキス、ミシマサイコのエキス、ヘソ(umbilical) のエキス、サルビアのエキス、シャボンソウのエキス、ササのエキス、サンザシの果実のエキス、サンショウのエキス、シイタケのエキス、地黄のエキス、シコンのエキス、シソのエキス、フユボダイジュの花のエキス、セイヨウナツユキソウのエキス、シャクヤクのエキス、ショウブカラムス属の根のエキス、シラカバのエキス、ツクシのエキス、ヘデラヘリックスのエキス、セイヨウサンザシのエキス、セイヨウニワトコのエキス、セイヨウノコギリソウのエキス、ペパーミントの葉のエキス、セージのエキス、ゼニアオイのエキス、センキュウの根のエキス、センブリのエキス、ダイズ豆のエキス、ナツメの果実のエキス、タイムのエキス、茶のエキス、ユーゲニア属チョウジの花のエキス、チガヤのエキス、ウンシュウミカンのエキス、アンジェリカルートのエキス、キンセンカのエキス、モモの種子のエキス、ダイダイの皮のエキス、ドクダミのエキス、トマトのエキス、ナットウのエキス、ニンジンのエキス、ニンニクのエキス、ロサカニナの果実のエキス、ハイビスカスのエキス、ジャノヒゲのエキス、オオハスのエキス、パセリのエキス、蜂蜜、マンサクのエキス、パリエタリアのエキス、クロバナヒキオコシのエキス、ビサボロール、ビワのエキス、フキタンポポの花のエキス、フキノトウのエキス、マツホドのエキス、ナギイカダのエキス、ブドウのエキス、プロポリス、ヘチマの果実のエキス、紅花の花のエキス、ペパーミントのエキス、ボダイジュのエキス、ボタンの根のエキス、ホップのエキス、ヨーロッパアカマツの球果のエキス、セイヨウトチノキのエキス、ミズバショウのエキス、ムクロジの皮のエキス、セイヨウヤマハッカのエキス、モモのエキス、ヤグルマギクの花のエキス、ユーカリのエキス、ユキノシタのエキス、ユズのエキス、ヨクイニンのエキス、ヨモギのエキス、ラベンダーのエキス、リンゴのエキス、レタスのエキス、レモンのエキス、レンゲのエキス、バラのエキス、ローズマリーのエキス、ローマンカモミールのエキス、およびロイアルゼリーのエキスである。
【0077】
〔(F)防腐剤〕
成分(F)は、通常、乳化組成物に添加され、本発明の乳剤に添加可能な防腐剤である。成分(F)の代表的な例としては、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノールを含めた(F1)消毒薬の一群、および安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、p−クロロメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、トリクロサン、感光性成分、フェノキシエタノール、メチルイソチアゾリゾンを含めた(F2)抗菌薬の一群などがあげられる。
【0078】
これらの化合物は、乳化組成物の腐敗を防止するために十分な量で使用されるべきである。
【0079】
〔必要に応じて加える成分〕
乳化組成物は、下記の、(H)pH値調整剤、(J)芳香、(K)抗酸化剤、(L)水溶性重合体、もしくはその他の(M)生物活性を有する成分、またはこれらの薬剤の少なくとも1種類を、乳化組成物の特性に無害な範囲内でさらに含有していてもよい。
【0080】
通常、乳剤に添加され、本発明の乳化組成物に添加可能な(H)pH値調整剤の代表的な例としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl−リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウムなどがあげられる。
【0081】
通常、毎日使用する線維状基材に添加され、本発明の乳化組成物に添加可能な(J)芳香は、処理済み基材にある芳香や香りを付与または不快臭を隠すために使用される。通常ティッシュペーパー製品に添加される従来の芳香であれば、芳香の種類については特に制限はない。この成分の例としては、生物活性を有する成分として先述した各種エキス;各種植物の花、種子、葉、および根から得られるエキス;海藻から抽出される芳香;動物の各体部または分泌腺から抽出される芳香(例えば、麝香および精子油)、または人工的に合成される芳香(例えば、メントール、麝香、酢酸エチル、またはバニラ)。
【0082】
通常、乳剤に添加され、本発明の乳化組成物に添加可能な(K)抗酸化剤の代表的な例としては、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、フィチン酸、カロテノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、またはサポニンなどがあげられる。この薬剤は、乳剤中の成分を酸化しないように保護するために十分な量で添加されるべきである。
【0083】
(L)水溶性が高い分子の重合体および水で膨潤可能なミネラル粘土は、これら重合体およびミネラル粘土(クレイ)で処理済み線維状基材の粘性を増加させ、時間的安定性を改善し、使用感を強化するために使用される。好適には、水溶性重合体および水で膨潤可能なミネラル粘土は、水中で溶解または分散し、一様な水溶液または分散液を形成する。この形成された溶液または分散液は、他の成分と混合される。水溶性重合体は、両性であっても、陽イオン性であっても、陰イオン性であっても、または非イオン性であってもよい。水溶性重合体と水で膨潤可能するミネラル粘土とを一緒に使用してもかまわない。あるいは、2つ以上の水溶性重合体を組み合わせて使用してもかまわない。
【0084】
(M)他の生物活性を有する成分の例としては、デオキシリボ核酸、ムコ多糖、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解された卵殻膜、およびその他の生体高分子;グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、フェニルアラニン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸塩、シスチン、システイン、メチオニン、トリプトファン、およびその他のアミノ酸;エストラジオール、エテニルエストラジオール、およびその他のホルモン;スフィンゴ脂質、セラミド、コレステロール、コレステロール誘導体、リン脂質、およびその他の油性成分;ε−アミノカプロン酸、グリチルリジン酸、リゾチーム塩化物、グアイアズレン、ヒドロコルチゾン、アラントイン、トラネキサム酸、アズレン、およびその他の抗炎症薬;ビタミンA、B2 、B6 、C、D、およびE、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド、ビタミンCエステル、およびその他のビタミンなどがあげられる。
【0085】
〔各成分の好ましい分量〕
上記乳化組成物は、好ましくは、0.01重量部から25.0重量部未満の(A)ジオルガノポリシロキサン、0.01重量部から20.0重量部未満の(B)軟化剤、8.0重量部〜60.0重量部の水(C)、および20.0重量部〜90.0重量部の水溶性一価アルコールまたは水溶性多価アルコール(D)を備えている。また、乳化組成物の連続相は、1:0.5〜1:10の比の水(C)と水溶性一価アルコールまたは水溶性多価アルコール(D)とからなる水溶液であって、成分(C)および成分(D)の総含有量は、乳化組成物の30.0重量部〜98.0重量部の範囲である。
【0086】
軟化性乳化組成物としては、本乳化組成物のもっとも好ましい連続相のグリセリン含有量は、乳化組成物の総重量部に対して30重量部〜90重量部である。グリセリンは、その他の低アレルギー性のアルコールまたはこれらのアルコールの混合物と組み合わせられてもよい。
【0087】
好ましくは、成分(A)の含有量の範囲は4重量部〜10重量部であり、成分(B)の含有量の範囲は0.5重量部〜10重量部であり、成分(C)の含有量の範囲は10重量部〜40重量部であり、成分(D)の含有量の範囲は35重量部〜85重量部であり、成分(E)の含有量の範囲は9重量部〜20重量部であり、成分(F)の含有量の範囲は0.05重量部〜0.10重量部であり、成分(G)の含有量の範囲は0.2重量部〜2.5重量部であり、成分(H)の含有量の範囲は0.01重量部〜0.3重量部である。
【0088】
〔線維状基材〕
本発明の乳化組成物は、線維状基材のための軟化性乳化組成物として使用可能であり、線維構造に適応可能である。本乳化組成物で処理された本発明の線維状基材は、日々の使用において、柔らかく心地よい感触を提供する。
【0089】
ここで使用する「線維構造」とは、1以上の繊維を備えた構造を意味している。また、ここで使用する「繊維」とは、見かけ上の長さが見かけ上の幅を大幅に超える、つまり直径に対する長さの比が少なくとも約10である、細長い微粒子を意味している。
【0090】
ここで使用する「繊維状の基材」とは、線維構造を有する基材を意味し、代表的な例としては、拭き取り繊維、布地、織物、および紙を含めた代表的な線維状基材の一群があげられる。特に好ましい基材は、ティッシュペーパー製品に用いる紙であり、好ましい繊維は、紙作製用の繊維である。
【0091】
本発明は、例えば、天然の繊維または合成繊維、または任意のその他の適した繊維、およびこれらの任意の組み合わせなどの種々の繊維の使用についても説明する。本発明において有用な天然の繊維としては、動物繊維、鉱物線維、植物繊維、およびこれらの混合物などがあげられる。動物繊維は、例えば、羊毛、絹、およびこれらの混合物からなる群より選択されればよい。合成繊維としては、例えば、セルロース(「レーヨン」と称されることが多い);セルロース誘導体(例えばエステル、エーテル、または亜硝酸の誘導体);ポリオレフィン(ポリエチレンおよびポリプロピレンを含める);ポリエステル(ポリエチレンテレフタラートを含める);ポリアミド(「ナイロン」と称されることが多い);アクリル製品;非セルロース質の高分子炭水化物(例えば澱粉、キチン、およびキチン誘導体(例えばキトサン));およびこれらの混合物などがあげられる。
【0092】
植物繊維は、例えば、木材、綿、綿くず、アマ、サイザル麻、アバカ、アサ、ヘスペルアロエ、ジュート、竹、バガス、葛、トウモロコシ、モロコシ、糸瓜、リュウゼツラン、ヘチマ、およびこれらの混合物からなる群より選択される植物に由来するものであってもよい。
【0093】
木部繊維は、木材パルプと称されることが多く、化学パルプ(例えばクラフト紙パルプ(硫酸パルプ)および亜硫酸パルプ)、さらに、機械および半化学パルプ(例えば、砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミメカニカルパルプ(CMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、中性セミケミカルサルファイトパルプ(NSCS))を含む。
【0094】
上記木材パルプ繊維は、短くてもよく(広葉樹繊維に典型的に見られる)、長くてもよい(軟木繊維に典型的に見られる)。短い繊維の例としては、アカシア、ユーカリ、カエデ、オーク、アスペン、カバノキ、コットンウッド、アルダー、タモ、サクランボ、ニレ、ヒッコリー、ポプラ、ガム、クルミ、ワタリバッタ、シカモア、ブナ、キササゲ、サッサフラス、メリナ、ネムノキ、ラブラ、およびモクレンからなる群より選択される線維供給源に由来する繊維などがあげられるが、これらの例に限定されるものではない。
【0095】
また、本発明の繊維は、上記カテゴリーのうちの任意のまたはすべてのカテゴリー、さらにその他の非線維性の素材(例えば、最初の紙の製作を容易にするために使用された賦形剤および粘着性)を含有していもよい、リサイクル紙に由来するものも含む。
【0096】
ティッシュペーパー製品の場合、線維状基材の製造プロセスは、公知の湿式紙製作プロセスおよび乾式紙製作プロセスを備えていてもよい。このようなプロセスは、通常、線維組成物(湿式プロセスでは、線維スラリーと称されることが多い)を調製する湿式または乾式のステップと、次に、初期の線維構造(つまり初期の線維性網状組織)が形成されるように、複数の繊維を形成ワイヤーまたはベルト上に積層するステップと、線維構造が形成されるように、繊維を相互に乾燥および/または結合させるステップと、および/または、完成した線維構造が形成されるように、線維構造をさらに処理するステップとを含む。
【0097】
このようなティッシュペーパーの好ましい例としては、従来の圧縮ティッシュペーパーおよび/またはフェルト圧縮ティッシュペーパー;模様入りティッシュペーパー;嵩高い非圧縮ティッシュペーパー;クレープティッシュペーパーおよび非クレープティッシュペーパーなどがあげられる。これらのティッシュペーパーは、均質的な構造、および/または単層または多層からなる構造を有していてもよい。また、これらのティッシュペーパーから製造するティッシュペーパー製品は、一重構造または多重構造を有していてもよい。
【0098】
〔軟化方法および製造手順〕
製造手順においては、独創的な乳化組成物を線維状基材に導入する、任意の公知の方法が使用可能である。例えば、このような導入方法としては、噴霧、スロット押し出し成型、およびグラビア印刷などがあげられる。その他の方法としては、乳化組成物を形成ワイヤーまたは布地またはベルト上に積層し、次にこれを、初期の線維性網状組織および/または乾燥線維構造および/またはティッシュペーパー製品に接触させる方法などがあげられる。また、独創的な本乳化組成物は、線維構造の形成プロセス中に、紙製造機に供給するスラリータンクにも添加可能である。
【0099】
本発明の乳化組成物を線維構造に導入する適切なプロセスの好ましい例としては、線維構造が巻き取られてロール上の紙を形成する前に線維構造上に噴霧することによって導入するプロセス、線維構造上に押し出すことによって導入するプロセス、線維構造および/またはティッシュペーパー製品上に印刷することによって導入するプロセスなどがあげられる。本発明の乳化組成物は、初期の線維性網状組織および/または乾燥済み線維構造および/またはティッシュペーパー製品に導入されてもよい。
【0100】
本発明の乳化組成物は、紙製造機における製造中またはその後に、初期の線維性網状組織および/または線維構造および/またはティッシュペーパー製品に導入されてもよい。すなわち、乳剤は、湿った状態で(つまり最終的な乾燥プロセスに先立って)または乾燥した状態で(つまり最終的な乾燥プロセス後に)のいずれかで導入されればよい。
【0101】
好ましくは、本発明の乳化組成物は、初期の線維性網状組織が形成された後に導入されてもよい。典型的なプロセスでは、初期の線維性網状組織が形成され、その後、自由水の排出に起因する(A)ジオルガノポリシロキサンまたは(A)ジオルガノポリシロキサンの混合物の損失を軽減するために、陽イオン性のシリコーン重合体の導入の前に脱水される。
【0102】
本明細書にて記載される、本発明の乳化組成物の導入方法は、乾燥または湿った初期の線維性網状組織および/または線維構造および/またはティッシュペーパー製品に対して使用可能である。非常に単純な導入方法の代表的な例としては、乾燥させたティッシュペーパー製品を本発明の乳化組成物に数分間浸漬することによる方法があげられる。
【0103】
〔産業上の利用可能性〕
本発明の乳化組成物は、線維製品の生産のために有用であり、乳化組成物で処理された製品に、柔らかく心地よい感触を付与する。本発明の乳化組成物は、特に、優れた柔軟性、滑らかさ、しっとり感、人の皮膚にとって心地よい綿毛感、および吸水性を有する、ティッシュペーパー製品、衛生的な線維製品(つまり衛生的な拭き取り繊維および衛生的なティッシュペーパー)、清浄用湿式拭き取り繊維、医療用および/または美容用紙タオル、美容用パフ、女性が使用する衛生製品、紙オムツ、使い捨てオムツ、下着、上質のリネン、紙ナプキンの生産のために有用である。
【0104】
本発明の線維状基材は、また、布、織物、詰め物、医学素材、台所用素材、乳幼児に関連した製品、老人介護製品、ペット用品、家具、建築資材および/または内装具、文房具、および美容品のための、その他の素材としても使用可能である。本発明の線維状基材が前述の分野において使用される場合、人および/または動物は、日々の使用において、このような製品の持つ柔らかく心地よい感触を感じ、優れた機能的特性を見出す。
【0105】
各実施例
本発明を、実際的な例および比較例を参照しながらさらに詳細に説明する。ただし、これらの例が本発明の技術的範囲を限定するものであると解釈するべきではない。
【0106】
〔乳化粒子の平均粒径〕
乳化粒子の平均粒径を、レーザ回折法によってサブミクロンサイズの粒子を測定するサブミクロン粒子分析機(Malvern Instruments Co. Ltd.社製、Mastersizer 2000)を用いて測定した。
【0107】
〔オルガノポリシロキサンの粘性〕
オルガノポリシロキサンの粘性を、Brookfield Engineering Laboratories社の回転式粘性計測器(登録商標:Brookfield DV−III ultra型)を用いて、測定温度25℃で測定した。
【0108】
〔乳化組成物の外見〕
乳化組成物の外見を、目で観察して評価した。以下の判断基準を使用した。
◎ 完全に透明
○ 多少濁ってはいるが透明(つまり半透明またはわずかに不透明)
△ 一様性が幾分欠けていて、幾分濁って乳白色をしている
【0109】
〔時間的安定性〕
乳化組成物を、室温および40℃で、サーモスタット内に静置した状態で保管し、それから乳剤の外見を、調製直後およびサーモスタット内に1ヶ月保存した後に観察した。評価の判断基準を以下に示す。
◎ 一年を超えても、油相の分離は観察されなかった
○ わずかな油相の分離が観察された
△ 油相の分離が明瞭に観察された
【0110】
〔乳剤で処理済みのティッシュペーパーの手触り試験者グループ試験〕
巻き戻しプロセス中または切断/折り畳みプロセスの前に、コーティング機または噴霧機によって、ブランクのティッシュに対しティッシュ軟化乳剤をコーティングまたは噴霧した。
【0111】
手触り試験者グループは、製品の官能検査の専門家であり、十分な訓練を受けた10人の従業員で構成され、グループには女性が含まれている。試験者グループによる試験の方法は、提示された試料を程度(柔らかさ、ローション感、および綿毛感など)の高いものの順に同時にランク付けする、ランク付け試験である。試験者は、感覚的な差異を感じ取って、3つまたは4つの試料を一つの群とする各群中の試料をランク付けする。得点が高ければ品質が優れていることになる。処理したティッシュは、2週間後に最高の品質に到達するので、この2週間が経過した後に、試験者グループによる試験を実施する必要がある。
【0112】
〔試験者グループによる試験方法〕
アンケートにおいて、試験者(10人の被検者)に対して3つの試料を提示する。試験者は、柔らかさ、ローション感、および綿毛感の質によって、「非常に良い」には4点、「良い」には3点、「普通」には2点、および「不可」には1点とランク付けするよう依頼を受ける。つぎに、すべての評価結果の平均ランクを、「手触り」試験の結果として、表4〜表6に記録する。実施例および比較例の一連の「手触り」試験の結果を、下記の表4〜表6に示す。これらの結果は、比較例の乳剤で処理される線維状基材と比較すると、実施例の乳剤が、この実施例の乳剤で処理される線維状基材に対して、柔らかい肌触りだけではなく、優れた滑らかさ、しっとり感、および心地よい綿毛感をも付与することを示している。
【0113】
参考として、ティッシュペーパーの柔らかさ、ローション感、および綿毛感の質に間して、3つの未加工の試験者グループによる試験結果を下記の表1〜表3に示す。表1〜表3中、ティッシュペーパー(1)は、本発明の乳剤で処理したティッシュペーパー製品(実施例7に相当)であり、ティッシュペーパー(2)は、市販のティッシュペーパー製品(対象とする参照物)であり、ティッシュペーパー(3)は、いかなる乳剤でも処理していない、そのままのティッシュペーパー基材(ブランク)である。
【0114】
【表1】

【0115】
【表2】

【0116】
【表3】

【0117】
〔吸水性〕
下記のジオルガノポリシロキサン(A2)を除くすべての調合物で処理した紙の吸水高さ、つまり毛管上昇は、GB(中国規格、GB/T20808−2006)に合格した。試験対象のティッシュの吸水高さ、つまり毛管上昇は、クレム(Klemm)法では100秒以内に水面上30mmを超えなければならない。
【0118】
ピペットから処理済みティッシュの表面上に、体積が0.01mlの水滴を落とし、開始から水滴がティッシュによって吸収されるまでの時間を記録する、別の吸水性試験法もある。下記のジオルガノポリシロキサン(A2)を除いた調合物については、時間に明らかな差異がなかった。
【0119】
〔(A)ジオルガノポリシロキサン〕
ジオルガノポリシロキサン(A1):ジメチルシロキサン、OH末端を有するW/アミノエチルアミノイソブチルメチル(−CH2 CH(CH3 )CH2 −N(CH2 CH(OH)CH2 OH)−CH2 −NH(CH2 CH(OH)CH2 OH))ジメトキシシラン、炭素数13〜15のアルコールおよびグリシドール、3,000mPas、25℃。
【0120】
ジオルガノポリシロキサン(A2):ジメチルシロキサン、(エタンジアミノ−2−メチルプロピル)メトキシメチルシリル))オキシおよび炭素数13〜15のアルコキシ末端、2,000mPas、25℃。
【0121】
ジオルガノポリシロキサン(A3):ジメチル、メチル(3−アミノプロピル)シロキサン、3−アミノプロピルエトキシメチルシロキシ末端、1,500mPas、25℃。
【0122】
ジオルガノポリシロキサン(A4):ジメチル、メチル(プロピル(ポリ(EO)(PO))ヒドロキシ)シロキサン、トリメチルシロキシ−末端を有する、2,000mPas、25℃。
【0123】
〔(B)軟化剤〕
軟化剤SA200(B1):牛脂アミドアミン(四級イミダゾリン化合物)を有する脂肪酸/イミダゾリジン化合物。
【0124】
軟化剤N100(B2):ポリアミド樹脂とポリ(オキシエチレン)モノステアレート(C1225(OCH2 CH2 23OH)との混合物、20重量部の水溶液。
【0125】
〔(E)保湿剤〕
アロエエキス(E1):アロエから得られる水性エキス。
【0126】
酸ナトリウム(E2):乳酸ナトリウムの水性ゾル(60重量部)。
【0127】
〔(F)防腐剤〕
Kathon(登録商標) LX(F):5−クロロ−2−メチル−3(2H)−イソチアゾロンの1.5%水溶液(メチルイソチアゾロン系防腐剤)
【0128】
〔(G)界面活性物質〕
非イオン性界面活性剤(G1):C1225(OCH2 CH2 23OH
非イオン性界面活性剤(G2):C1225(OCH2 CH2 4 OH
非イオン性界面活性剤(G3):C1225(OCH2 CH2 3 OH
非イオン性界面活性剤(G4):α−(炭素数12〜14のsec−アルキル)ω−ヒドロキシポリ(EO)
【0129】
〔(H)pH値調整剤〕
実施例では、酢酸(H1)、クエン酸(H2)、およびリン酸(H3)を使用した。
【0130】
〔実施例および比較例の調製手順〕
ポット内で(B)軟化剤を少量の水と混合し、均質になるまで高剪断ミキサーで分散させた。それから、(A)ジオルガノポリシロキサン、(G)界面活性物質、および(H)pH値調整剤を上記の系に仕込み、均質になるまで高剪断ミキサーで分散させた。転相水(inversion water)を上記の系に徐々に仕込み、この系を相反転(乳化)が起きるまで混合した。希釈水およびグリセリン(D)を上記の系に仕込み、均質になるまで高剪断ミキサーによって分散させた。必要に応じてKathon(登録商標) LX(F)および(E)保湿剤を上記の系に仕込み、均質な乳化組成物が得られるまで混合した。
【0131】
前述の成分の割合を、すべての例について表4〜表6に示す。
【0132】
各乳剤の平均粒径、外見、および時間的安定性を同表4〜表6に示す。
【0133】
各乳剤で処理したティッシュペーパーについて、手触り試験者グループによる試験の結果を同表4〜表6に示す。
【0134】
比較例1〜13と比較すると、実施例1〜8の乳化組成物は、何ヶ月間も保存状態におかれても、優れた時間的安定性および均質な外見を維持する。また、実施例の乳化組成物は、乳化組成物で処理された線維状基材に対して、柔らかい肌触りだけではなく、優れた滑らかさ、しっとり感、および心地よい綿毛感をも付与する。
【0135】
【表4】

【0136】
【表5】

【0137】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)0.01重量部ないし25.0重量部未満のジオルガノポリシロキサンと、
(B)0.01重量部ないし20.0重量部未満の軟化剤と、
(C)8.0重量部〜60.0重量部の水と、
(D)20.0重量部〜90.0重量部の水溶性一価アルコールまたは水溶性多価アルコールとを備え、
乳化組成物の連続相が、1:0.5〜1:10の比の水(C)および水溶性一価アルコールまたは水溶性多価アルコール(D)からなる水溶液であり、
成分(C)および成分(D)の総含有量が、乳化組成物の30.0重量部〜98.0重量部の範囲である、乳化組成物。
【請求項2】
上記乳化組成物の連続相のグリセリン含有量が30重量部〜90重量部である、請求項1に記載の乳化組成物。
【請求項3】
成分(A)を備えた上記乳化粒子の平均粒径が50nm〜10,000nmである、請求項1または2に記載の乳化組成物。
【請求項4】
成分(A)を備えた上記乳化粒子の平均粒径が50nm〜300nmである、請求項3に記載の乳化組成物。
【請求項5】
(E)0.01重量部ないし20.0重量部未満の保湿剤と、
随意的に(F)防腐剤とをさらに備えた、請求項1または2に記載の乳化組成物。
【請求項6】
成分(A)を備えた上記乳化粒子が、アミノ官能基、ポリオキシアルキレン基、スルホン酸官能基、およびエポキシ官能基からなる群から選択される少なくとも1つの基を分子中に有するジオルガノポリシロキサンである、請求項1または2に記載の乳化組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の乳化組成物を備えた、線維状基材のための軟化性乳化組成物。
【請求項8】
上記線維状基材が、拭き取り繊維、布地、織物、および紙からなる群より選択される、請求項7に記載の線維状基材のための軟化性乳化組成物。
【請求項9】
線維構造を有する基材を、請求項1〜6のいずれか一項に記載の乳化組成物を用いて処理することによって、線維構造を軟化させる方法。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の乳化組成物を用いて処理された線維状基材。
【請求項11】
上記線維状基材がティッシュペーパー製品である、請求項10に記載の線維状基材。

【公表番号】特表2011−528731(P2011−528731A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519015(P2011−519015)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【国際出願番号】PCT/CN2009/072806
【国際公開番号】WO2010/009661
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(511020139)ダウ コーニング(シャンハイ)カンパニー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING(SHANGHAI)CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】448 East Rong Le Road,Songjiang District,Shanghai 201613
【Fターム(参考)】