説明

乳母車および前ガードのカバー部材

【課題】前ガードを利用して乳母車の商品価値を高めるように工夫する。
【解決手段】乳母車の前ガードのカバー部材10は、全体が上方領域Aと下方領域Bとからなり、上方領域Aを前ガードに巻き付けた状態で下方領域Bが前ガードから垂れ下がる長さを有している。カバー部材10は、小物を入れるポケット12,14と、上方領域Aを前ガードに巻き付けた状態で固定する第1の雌雄ボタン26,28と、下方領域Bを上方領域A上に重ねて巻き付けた状態を固定する第2の雌雄ボタン26,30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、前ガードを有する乳母車に関し、特にこの前ガードを利用して商品価値を高めるように工夫した乳母車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乳母車の座席の前方に位置する前ガードを有する乳母車は、例えば特開平8−120508号公報(特許文献1)や特開平9−202241号公報(特許文献2)に開示されている。
【0003】
前ガードは、乳母車の座席の両側に配置される一対の手摺の前方端間を連結するように延びている。乳母車に乗せられる乳幼児が小さいときには、前ガードが子供の胴回りを保護する。前ガードは、通常、手摺に対して着脱可能に設けられていて、乳幼児が成長して大きくなったときには、手摺から取り外せるように構成されている。
【特許文献1】特開平8−120508号公報
【特許文献2】特開平9−202241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の目的は、前ガードを利用して乳母車の商品価値を高めるように工夫することである。
【0005】
この発明の他の目的は、前ガードに巻き付けられて乳母車の商品価値を高めるカバー部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従ったカバー部材は、乳母車の座席の両側に配置される一対の手摺の前方端間を連結するように延びる前ガードに巻き付けられるものであって、全体が上方領域と下方領域とからなり、上方領域を前ガードに巻き付けた状態で下方領域が前ガードから垂れ下がる長さを有している。このカバー部材は、小物を入れるためのポケットと、上方領域の巻き付け状態を固定する第1の固定手段と、下方領域を上方領域上に重ねて巻き付けた状態を固定する第2の固定手段とを備える。
【0007】
上記構成のカバー部材によれば、上方領域のみを前ガードに巻き付け、前ガードの下方空間を遮蔽するように下方領域を前ガードから垂れ下がるようにすることができるので、座席内の乳幼児に対する防寒、防風、防塵に寄与できる。また、前ガードからの垂れ下がりが不要なときには、下方領域を上方領域上に重ねて巻きつけることができるので、その存在が邪魔になることは無い。
【0008】
さらに、ポケットを有しているので、その中に乳幼児を喜ばすための飾り物やおもちゃ等の小物を収容させておき、適宜その小物を取り出して使用することができる。
【0009】
一つの実施形態では、ポケットは、カバー部材の外面に設けられた幅方向に延びるスリットと、このスリットを開口としてカバー部材の内面に配置された袋とを有する。
【0010】
好ましくは、ポケットの内面に面ファスナーが取付けられており、ポケット内に、面ファスナーに離脱可能に接続された吊り下げ飾りを有する。
【0011】
一つの実施形態では、第1および第2の固定手段は、それぞれ、雌雄の留めボタンである。
【0012】
この発明に従った乳母車は、座席の両側に配置される一対の手摺と、一対の手摺の前方端間を連結するように延びる前ガードと、前ガードに巻き付けられるカバー部材とを備える。カバー部材は、全体が上方領域と下方領域とからなり、上方領域を前ガードに巻き付けた状態で下方領域が前ガードから垂れ下がる長さを有している。カバー部材は、小物を入れるためのポケットと、上方領域の巻き付け状態を固定する第1の固定手段と、下方領域を上方領域上に重ねて巻き付けた状態を固定する第2の固定手段とを備える。
【0013】
上記構成の乳母車によれば、カバー部材を備えることによりその商品価値が高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図7は、この発明の一実施形態の乳母車を示している。図示する乳母車1は、座席の両側に配置される一対の手摺2と、一対の手摺2の前方端間を連結するように幅方向に延びる前ガード3と、前ガード3に巻き付けられるカバー部材10と、一対の手摺2の後方端から上方に延びている逆U字形状の押棒4と、座席の上部空間を覆う幌5とを備えている。
【0015】
図1および図2はカバー部材10を示し、図3および図4は、カバー部材10が前ガード3に取付けられている状態を示している。
【0016】
カバー部材10は、全体が上方領域Aと、下方領域Bとからなる長方形形状を有している。図3は、上方領域Aを前ガード3に巻き付けた状態で下方領域Bが前ガード3から垂れ下がっている状態を示し、図4は、下方領域Bを上方領域A上に重ねて巻き付けた状態を示している。カバー部材10の材質は、例えば布製である。
【0017】
図3に示すように、前ガード3の下方空間を遮蔽するように下方領域Bを前ガード3から垂れ下がるようにすれば、座席内の乳幼児に対する防寒、防風、防塵に寄与できる。また、前ガード3からの垂れ下がりが不要なときには、下方領域Bを上方領域A上に重ねて巻きつけることができるので、その存在が邪魔になることは無い。
【0018】

図2に示すように、カバー部材10は、小物を入れるためのポケットを有している。ポケットの形態はどのようなものであってもよいが、図示した実施形態のポケットは、カバー部材10の外面に設けられた幅方向に延びるスリット12と、このスリット12を開口としてカバー部材10の内面に配置された袋14とを備える。袋14内には、例えば乳幼児を喜ばすためのおもちゃや飾り、あるいは母親等が使用するハンカチやガーゼ等の小物が入れられている。
【0019】
図示した実施形態では、ポケットの内面、すなわち袋14の内面には、幅方向に延びる帯状の面ファスナー16が取付けられている。そして、袋14内には、面ファスナー16に離脱可能に接続された吊り下げ飾り18、22が収容されている。一方の吊り下げ飾り18は星形吊り下げ飾りであり、紐19と、面ファスナー16に接着する面ファスナー20とを備える。他方の吊り下げ飾り22は錨形吊り下げ飾りであり、紐23と、面ファスナー16に接着する面ファスナー24とを備える。
【0020】
カバー部材10は、図3に示す上方領域の巻き付け状態を固定する第1の固定手段と、図4に示すように下方領域Bを上方領域A上に重ねて巻き付けた状態を固定する第2の固定手段とを備える。第1および第2固定手段としては、特定のものに限られず、ボタン、面ファスナー、紐等を採用することができる。図示した実施形態では、第1および第2の固定手段は、それぞれ、雌雄の留めボタンで構成されている。
【0021】
具体的には、カバー部材10のほぼ中央部分の両側部の表面および裏面には、雄ボタン26が取付けられている。カバー部材10の上方端部分の両側部の表面には、雌ボタン28が取付けられている。カバー部材10の下方端部分の両側部の裏面には、雌ボタン30が取付けられている。雄ボタン26および雌ボタン28は第1の固定手段を構成し、それらを係合させることにより上方領域Aの巻き付け状態を固定できる。雄ボタン26および雌ボタン30は第2の固定手段を構成し、それらを係合させることにより下方領域の巻き付け状態を固定できる。
【0022】
図5は、カバー部材10を前ガード3から取り外して、乳母車1の押棒4の中央部分に巻き付けている状態を示している。図5に示す状態では、星形吊り下げ飾り18が、面ファスナー16との接続状態を保ったままでスリット12から外に取り出されている。
【0023】
図6は、ポケットから取り出した錨形吊り下げ飾り22を幌5の前方端に接続して吊り下げている状態を示している。
【0024】
以上のように、この発明によれば、工夫を凝らしたカバー部材を備えることにより、乳母車の商品価値を高めることができる。
【0025】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
この発明は、前ガードを備える乳母車に有利に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態であるカバー部材を示す斜視図である。
【図2】カバー部材の正面図である。
【図3】カバー部材の上方領域を前ガードに巻き付けた状態を示す図解的断面図である。
【図4】カバー部材の下方領域を前ガードに巻き付けた状態を示す図解的断面図である。
【図5】カバー部材を押棒に取付けた状態を示す斜視図である。
【図6】錨形吊り下げ飾りを幌に取付けた状態の斜視図である。
【図7】この発明の一実施形態である乳母車を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1 乳母車、2 手摺、3 前ガード、10 カバー部材、12 スリット、14 袋、16 面ファスナー、18 星形吊り下げ飾り、19 紐、20 面ファスナー、22 錨形吊り下げ飾り、23 紐、24 面ファスナー、26 雄ボタン、28 雌ボタン、30 雌ボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳母車の座席の両側に配置される一対の手摺の前方端間を連結するように延びる前ガードに巻き付けられるカバー部材であって、
全体が上方領域と下方領域とからなり、上方領域を前記前ガードに巻き付けた状態で下方領域が前ガードから垂れ下がる長さを有し、
小物を入れるためのポケットと、前記上方領域の巻き付け状態を固定する第1の固定手段と、前記下方領域を前記上方領域上に重ねて巻き付けた状態を固定する第2の固定手段とを備える、乳母車の前ガードのカバー部材。
【請求項2】
前記ポケットは、前記カバー部材の外面に設けられた幅方向に延びるスリットと、このスリットを開口としてカバー部材の内面に配置された袋とを有する、請求項1に記載の乳母車の前ガードのカバー部材。
【請求項3】
前記ポケットの内面に面ファスナーが取付けられており、
前記ポケット内に、前記面ファスナーに離脱可能に接続された吊り下げ飾りを有する、請求項1または2に記載の乳母車の前ガードのカバー部材。
【請求項4】
前記第1および第2の固定手段は、それぞれ、雌雄の留めボタンである、請求項1〜3のいずれかに記載の乳母車の前ガードのカバー部材。
【請求項5】
乳母車の座席の両側に配置される一対の手摺と、
前記一対の手摺の前方端間を連結するように延びる前ガードと、
前記前ガードに巻き付けられるカバー部材とを備え、
前記カバー部材は、全体が上方領域と下方領域とからなり、上方領域を前記前ガードに巻き付けた状態で下方領域が前ガードから垂れ下がる長さを有し、
前記カバー部材は、小物を入れるためのポケットと、前記上方領域の巻き付け状態を固定する第1の固定手段と、前記下方領域を前記上方領域上に重ねて巻き付けた状態を固定する第2の固定手段とを備える、乳母車。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−195216(P2008−195216A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−32178(P2007−32178)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(390006231)アップリカ育児研究会アップリカ▲葛▼西株式会社 (97)
【Fターム(参考)】