説明

乳用動物および乳用生産物の遺伝的プロフィールを改良する方法

本発明は、遺伝的プロフィールの使用を介して所望の乳用形質を改良するための方法を提供するものである。また、遺伝的プロフィールの分析において用いられる複数のマーカーに関して動物の遺伝子型を決定するための方法も提供される。いくつかの実施形態において、遺伝的プロフィールには、無角形質に関連する少なくとも1つのマーカーが含まれる。本発明はまた、動物を、所定の使用について選択するかまたは割り当てるための方法、潜在的な親動物を繁殖について選ぶための方法、および改良された乳用生産物を生産するための方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表の組み込み
本願は、2007年12月19日に出願された米国仮出願第61/014,904号の利益を請求するものであり、この出願は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれるものである。
【0002】
配列表は、「Polled_ProductSEQLIST_final.txt」という名称のファイルに含まれ、このファイルは、29629バイト(28.9キロバイト)(MS−Windows(登録商標) XPで測定した)であり、2008年12月12日に作成されたものであり、(37C.F.R.§1.1.821に従って)本明細書に付随して提示されるものであり、かつ参照することにより本明細書に組み込まれるものである。
【0003】
本発明は、乳用動物の改良された遺伝的プロフィール、改良された遺伝的プロフィールを包含する生産物、およびこれらの生産物を生産する方法に関するものである。より具体的には、本発明は、限定はしないが無角/有角の表現型、生産性、および適応度形質などの形質を含む様々な能力形質に関して、乳牛および単離された精液などの乳用生産物を改良するための方法における、遺伝的マーカーの使用に関するものである。
【背景技術】
【0004】
発明の序論
乳業の将来的な生き残りおよび競争力は、ミルクの生産性(例えば、ミルクの生産量、脂肪の産出量、タンパク質の産出量、脂肪%、タンパク質%、および泌乳の持続性)、健康状態(例えば、体細胞数、乳腺炎の発症数)、繁殖力(例えば、妊娠率、発情の提示、分娩の間隔、および雄牛におけるノンリターン率)、分娩の容易さ(例えば、直接的なおよび母体の分娩の容易さ)、寿命(例えば、生産寿命)、ならびに機能的形態(例えば、乳房の懸垂、適切な足および脚の形状、適切な尻の角度など)を含む様々な形質における継続的な改良に依る。その動物に角があるかないかといったいくつかの特徴は、農場の効率的な運営および動物福祉のために重要であり得る。
【0005】
ゲノミクスは、遺伝的変異の原因となり、かつさらなる直接的で正確な選抜に用いることができる、遺伝子または遺伝子に連鎖している遺伝的マーカーの発見を介して、生産性および適応度形質における、より優れた改良の可能性を提供するものである。生産性および適応度形質に関連する1000個近くのマーカーが報告されている(報告されたQTLの検索可能なデータベースについては、bovineqtlv2.tamu.edu/index.htmlを参照されたい)が、QTLの位置の解明は依然としてほとんどなされておらず、そのため、マーカー利用選抜(MAS)においてこれらのQTLを産業規模で用いることが困難になっている。強力な推定上の、またはよく確認された、原因となる突然変異で完全に特徴付けされているQTLはわずかであり、それらは、14番染色体上のDGAT1(Grisardら、2002;Winterら、2002、Kuhnら、2004)、20番染色体上のGHR(Blottら、2003)、6番染色体上のABCG2(Cohen−Zinderら、2005)またはSPP1(Schnabelら、2005)である。しかし、これらの発見はまれであり、生産性形質についての遺伝的不一致のほんの一部を説明するにすぎず、量的適応度形質を制御するいずれの遺伝子も完全には特徴付けされていない。有角/無角の表現型に関するいくつかの遺伝子検査が開発されている(例えば、US2007134701AおよびUS2005053328A1を参照されたい)。しかし、これらの検査は、乳牛における理想的な予測上の能力よりも低い。好ましい検査方法は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、2007年10月3日に出願された米国仮特許出願第60/977,238号によって提供されている。
【0006】
これらのこれまでの評価は、一般的に、ただ1つの関連する表現型に基づいた選抜を説明するものである。より成功を収める戦略は、ウシゲノム全体にわたる複数のマーカーの使用を採用するものであり、ここでは、有角/無角、生産性、および/または適応度を含む複数の形質に関連するマーカーが同時に選抜に用いられる。
【0007】
世界中でミルクの生産に用いられる牛群は、主に、生産レベルが高いことが知られているホルスタイン種またはホルスタインフリージアン種に由来する。しかし、ホルスタインにおける高い生産レベルはまた、分娩のさらなる困難性および繁殖力のレベルの低減に関連してきている。これらの好ましくない相関が多面的な遺伝子効果によるものなのか、または単純に連鎖する遺伝子によるものなのかは明らかでない。後者が真実である場合、マーカーの知識を用いて、通常は従来の選抜の大きな進歩を可能にするには低すぎる頻度であるいくつかの連鎖する遺伝子から、好ましい対立遺伝子を含有する好ましい組換え体を選抜することが可能であり得る。ホルスタインの遺伝資源は数十年にわたって世界的に販売および輸送されているため、ホルスタイン種は効果的に、比較的中程度の同系交配率に保たれている1つの大きな世界的集団となっている。
【0008】
複数のマーカーが、近縁個体またはその動物自体についての表現型の記録がない状態で動物の遺伝的プロフィールを正確に説明するために、MASにおいて用いられなくてはならない。とりわけ、複数の異なる形質に関連する多くのマーカーに基づいた選抜が好ましい。有角/無角、生産性、および適応度形質についての遺伝的プロフィールに基づいたこのようなマルチマーカー選抜の適用が本明細書において記載される。
【0009】
多くの得られた連鎖しているマーカーは、これらの形質について集団の遺伝的メリットを向上させるため、乳業において価値を生み出すため、および動物福祉を向上させるために、全ゲノム選抜(WGS)(Meuwissenら、Genetics 2001)を含む、マーカー選抜またはマーカー利用選抜の様々な方法において用いることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
【課題を解決するための手段】
【0011】
この節は、本発明の限定的な概要を提供するものである。
【0012】
本発明の様々な実施形態は、動物のゲノムにおける12個以上の位置で動物の遺伝的プロフィールを評価するための方法、およびマーカー利用選抜(MAS)を用いた動物の繁殖方法を提供する。これらの実施形態の様々な態様において、動物の遺伝子型は、本願の表および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも1つのSNPを含有するDNAのセグメント(対立遺伝子)内の位置で評価される。
【0013】
本発明の他の実施形態は、a)1つまたは複数の多型(分析される対立遺伝子がそれぞれ少なくとも1つのSNPを包含するところ)で動物のゲノム配列を分析して、これらの多型のそれぞれで動物の遺伝子型を決定すること、b)それぞれの多型について決定された遺伝子型を分析して、SNPのどの対立遺伝子が存在するかを決定すること、c)前記動物の遺伝的プロフィールを分析すること、およびd)動物を、分析された多型の1つまたは複数でのその遺伝子型に基づいて使用に割り当てることを包含する方法を提供する。
【0014】
本発明の実施形態の様々な態様は、本願において開示される1つまたは複数の多型での、動物の遺伝子型を用いた遺伝的プロフィールに基づいて、動物を使用に割り当てるための方法を提供する。あるいは、本方法は、動物が、所望の表現型と関連しない、望ましくない遺伝的プロフィールを有するために、その動物を特定の使用に割り当てないことを提供する。
【0015】
本発明の他の実施形態は、子を生産するための繁殖において用いるための動物を選抜するための方法を提供する。これらの方法の様々な態様は、a)1つまたは複数の遺伝子座で少なくとも1頭の潜在的な親動物の遺伝子型を決定することであって、分析される遺伝子座の少なくとも1つは、表1および配列表において記載されるSNPのグループから選択されるSNPの対立遺伝子を含有すること、b)少なくとも1頭の動物について1つまたは複数の位置で、決定された遺伝子型を分析して、SNP対立遺伝子のどれが存在するかを決定すること、c)前記動物の遺伝的プロフィールを分析すること、ならびにd)少なくとも1頭の動物を子の生産のための使用に割り当てることを包含する。
【0016】
本発明の他の実施形態は、子孫動物(子動物)を生産するための方法を提供する。本発明のこの実施形態の態様は、本明細書において記載される方法により繁殖のために選抜されている動物を繁殖させて子孫を生産することを包含する方法を提供する。子孫は、純粋に自然な方法によって、またはあらゆる適切な技術的手段の使用を介して生産され得、この技術的手段には、限定はしないが、人工授精、胚移植(ET)、多排卵胚移植(MOET)、インビトロでの受精(IVF)、またはこれらのあらゆる組み合わせが含まれる。
【0017】
本発明の他の実施形態は、改良された遺伝的内容を包含する単離された精液を提供する。好ましくは、改良された遺伝的内容を包含する単離された精液はさらに、本明細書において記載されるような遺伝的プロフィールを包含する。本発明の様々な実施形態はまた、凍結された単離された精液、および、例えばX染色体の自然に生じる頻度よりも大きいといった不平衡な性決定特性を有する単離された精液を包含する。
【0018】
本発明の他の実施形態は、ウシ動物を、その動物の遺伝的プロフィールに従って使用に割り当てるための方法を含み、当該方法は、12個以上の遺伝子座で動物の遺伝子型を決定することであって、それぞれの遺伝子座が、少なくとも2つの対立遺伝子変異体を有する単一ヌクレオチド多型(SNP)を含有し、少なくとも12個のSNPが、表2および配列表において記載されるSNPから選択されること、少なくとも1頭の評価された動物の決定された遺伝子型を分析すること、使用のために動物をその決定された遺伝的プロフィールに基づいて割り当てることを包含し、動物は、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも12個のSNPについて、好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である。
【0019】
本発明の他の実施形態はまた、潜在的な親ウシ動物を、その動物の遺伝的プロフィールに従って使用に割り当てるための方法を含み、当該方法は、a.12個以上の遺伝子座で動物の遺伝子型を決定することであって、それぞれの遺伝子座が、少なくとも2つの対立遺伝子変異体を有する単一ヌクレオチド多型(SNP)を含有し、少なくとも12個のSNPが、表2および配列表において記載されるSNPから選択されること、b.少なくとも1頭の評価された動物の決定された遺伝子型を分析すること、ならびにc.少なくとも1頭の動物をその遺伝子型に基づいて繁殖使用に割り当てることを包含し、動物は、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも12個のSNPについて、好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である。
【0020】
本発明の他の実施形態はまた、a)本明細書において記載される方法に従って繁殖に割り当てられている少なくとも1頭の潜在的な親動物を同定すること、b)(i)自然の繁殖、(ii)人工授精、(iii)インビトロでの受精からなるグループから選択されるプロセスを介して、割り当てられた動物から子を生産すること、およびc)動物から精液/精子または少なくとも1つの卵子を採取し、それを、第二の動物から得た1つもしくは複数の卵子または精液/精子とそれぞれ接触させて、あらゆる手段によって受胎生物を生産することを包含する、ウシ動物から子を生産する方法を含む。本発明のこの実施形態の好ましい態様において、子は無角である。
【0021】
本発明の他の実施形態はまた、ある遺伝的プロフィールを有するウシ生産物を含み、遺伝的プロフィールは単一ヌクレオチド多型(SNP)を包含し、生産物は、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも12個のSNPを包含し、生産物は、表2において記載されるSNPの少なくとも12個で、好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である。
【0022】
本発明の他の実施形態はまた、ある遺伝的プロフィールを有するウシ動物を含み、遺伝的プロフィールは単一ヌクレオチド多型(SNP)を包含し、動物は、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも12個のSNPを包含し、動物は、表2において記載されるSNPの少なくとも12個で、好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である。本発明のこの実施形態の好ましい態様において、ウシ動物は無角である。
【0023】
本発明の他の実施形態はまた、ウシ生産物の遺伝的プロフィールを決定する方法を含み、a)DNAを含有する生物学的材料のサンプルを採取し、b)12個以上の遺伝子座で生物学的材料の遺伝子型を決定し、それぞれの遺伝子座が少なくとも2つの対立遺伝子変異体を有する単一ヌクレオチド多型(SNP)を含有し、少なくとも12個のSNPが、表2および配列表において記載されるSNPから選択され、かつc)決定された遺伝子型を分析し、前記生物学的材料は、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも12個のSNPについて、好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である。
【0024】
定義
以下の定義は、本発明の全範囲をより容易に理解および評価するために当業者の助けとなるように提供される。とはいえ、以下に提供される定義において指示されるように、提供される定義は、そのような指示のない限り、排他的であることを意図したものではない。さらに、これらの定義は好ましい定義であり、当業者が本発明の様々な例示的な実施形態に焦点を合わせるように、提供されるものである。
【0025】
本明細書において用いる場合、「対立遺伝子関連」という用語は、好ましくは、r>0.2によって具体的に定義される、f(A)およびf(B)の積からのf(A)の非無作為的な偏差を意味し、ここで、rは、適度に多数の動物サンプル(例えば、≧100)から測定され、
【0026】
【数1】

として定義され、この式において、Aは1つの遺伝子座での対立遺伝子を表し、Bは別の遺伝子座での対立遺伝子を表し、f(A)は、AおよびBの両方を有する配偶子の頻度を示し、f(A)はAの頻度であり、f(B)は集団におけるBの頻度である。
【0027】
本明細書において用いる場合、「使用に動物を割り当てる」および「使用への割り当て」という用語は、好ましくは、群の所望の管理目的を達成するために、いかにして動物を群内で用いるか、または動物を群から取り除くかを決定することを意味する。例えば、動物は、繁殖動物としての使用に割り当てられるか、または非繁殖動物として販売に割り当てられる(例えば、肉のために販売することを意図した動物に割り当てられる)。本発明の特定の態様において、動物は、非常に具体的な目的(例えば、有角/無角、生産性、または適応度)を有する繁殖プログラム内でのサブグループにおける使用に割り当てることができる。したがって、繁殖目的のために割り当てられた動物のグループ内においてさえも、より具体的なおよび/または特殊化された繁殖目的を達成するための使用への、より具体的な割り当てが存在し得る。
【0028】
本明細書において用いる場合、「不平衡な性決定特性を有する精液」とは、その精液が卵母細胞の受精に用いられる場合に、あらかじめ決定された性別の子孫を生産する統計的可能性を増大させるように修飾されているか、または処理されている精液を言う。
【0029】
本明細書において用いる場合、「ウシ生産物」という用語は、限定はしないが、ミルク、チーズ、バター、ヨーグルト、アイスクリーム、肉、および革を含む、ウシ細胞に由来する、ウシ細胞から生産される、またはウシ細胞を包含する生産物、ならびに、例えば単離された精液、胚、または他の生殖材料を含む、ウシ生産物の生産において用いられる生物学的材料を言う。
【0030】
本明細書において用いる場合、「単離された精液」という用語は、典型的には人のおよび/または機械的な介入を採用するプロセスの一部として、由来源の動物から物理的に分離された、複数の精子/精液を包含する生物学的材料を言う。単離された精液の例には、限定はしないが、数回分の精液、凍結した数回分の精液、およびIVF手順において用いるために適した精液が含まれ得る。
【0031】
本明細書において用いる場合、「無角」という用語は、好ましくは、角を含み得る種において評価したときにその遺伝子型のために角がない動物の表現型を言う。遺伝的には角がある傾向にあるが角の成長を取り除くかまたは妨げるように処理されている動物は、それらに角がなくても、無角とは見なされない。
【0032】
本明細書において用いる場合、「遺伝的プロフィール」(GP)という用語は、所与の動物についての少なくとも1つの表現型形質の遺伝的マーカーの特徴の複数の対立遺伝子状態を言う。好ましくは、遺伝的プロフィールは、少なくとも5個の遺伝的マーカーの対立遺伝子状態を言う。様々な遺伝的マーカー、所望の対立遺伝子、および遺伝的プロフィールは、表および配列表との組み合わせで以下に特定される。
【0033】
本明細書において用いる場合、「好ましい対立遺伝子」という用語は、所望の特徴に関連する対立遺伝子を言う。この発明の様々な実施形態に関連する具体的な好ましい対立遺伝子のリストは、表1および2で見ることができる。
【0034】
本明細書において用いる場合、「遺伝的マーカー」とい用語は、好ましくは、適切な方法によって測定または検出され得るDNAにおけるあらゆる安定的なおよび遺伝性の変異を言う。遺伝的マーカーは、そうでなければ測定不可能であるかまたは検出が非常に困難な、それ自体以外の具体的な遺伝子型または表現型の存在を検出するために用いることができる。遺伝的マーカーの例には、限定はしないが、単一ヌクレオチド多型(SNP)、制限断片長多型(RFLP)、増幅断片長多型(AFLP)、コピー数変異(CNV)、単純配列反復(SSR、マイクロサテライトとも呼ばれる)、および挿入/欠失が含まれる。
【0035】
本明細書において用いる場合、「動物(単数)」または「動物(複数)」という用語は、好ましくは乳牛または肉牛を言う。
【0036】
本明細書において用いる場合、「適応度」は、好ましくは、限定はしないが 妊娠率(PR)、娘牛の妊娠率(DPR)、生産寿命(PL)、体細胞数(SCC)、および体細胞スコア(SCS)を含む形質を言う。
【0037】
本明細書において用いる場合、PRおよびDPRは、各21日間に妊娠する非妊娠動物のパーセンテージを言う。
【0038】
本明細書において用いる場合、PLは、(淘汰または死亡により)群から雌牛を取り除くまでに全ての泌乳にわたり合計される、各泌乳の月数として分析される。
【0039】
本明細書において用いる場合、体細胞スコアは、SCS=log(SCC/100000)+3という関係を用いて計算することができ、この関係において、SCCは、ミルク1ミリリットル当たりの体細胞である。
【0040】
本明細書において用いる場合、「成長」という用語は、動物のサイズおよび/または体重の増大に関連する様々なパラメータの測定を言う。
【0041】
本明細書において用いる場合、「連鎖不平衡」という用語は、好ましくは、(対立遺伝子関連の上記の定義において用いられるような)AおよびBが同一の染色体上に存在する対立遺伝子関連を意味する。
【0042】
本明細書において用いる場合、「マーカー利用選抜」(MAS)という用語は、好ましくは、血統および表現型のデータとの可能な組み合わせにあるマーカー情報に基づく動物の選抜を言う。
【0043】
本明細書において用いる場合、「自然の繁殖」という用語は、好ましくは、受精プロセスにおいて人の介入を伴うことなく動物を交配させることを意味する。すなわち、人工授精または胚移植などの機械的または技術的方法の使用を伴わないものである。この用語は、親動物の選抜は意味しない。
【0044】
本明細書において用いる場合、「正味のメリット」という用語は、好ましくは、典型的な生産状況における相対的な経済的価値に従って加重され、かつ産業ベースに対する雌牛当たりの寿命経済値として表される、いくつかの一般に測定される形質を含む総合指標を言う。正味のメリットの指標の例には、限定はしないが、アメリカ合衆国における$NMまたはTPI、カナダにおけるLPIなど(これらの指標を計算するための公式は当業者に周知である(例えば、$NMは、USDA/AIPLのウェブサイト:www.aipl.arsusda.gov/reference.htmで見ることができる)が含まれる。
【0045】
本明細書において用いる場合、「ミルクの生産量」という用語は、好ましくは、ミルクの液量、脂肪のパーセント、タンパク質のパーセント、脂肪の産出量、およびタンパク質の産出量を含む、乳用動物の生産性に関する表現型形質を言う。
【0046】
本明細書において用いる場合、「予測される価値」という用語は、好ましくは、動物の遺伝子型および血統に基づいた、動物の育種価または伝達能力の推定を言う。
【0047】
本明細書において用いる場合、「生産性」および「生産量」は、好ましくは、限定はしないが、乳の全産出量、乳脂肪のパーセンテージ、乳脂肪の産出量、乳タンパク質のパーセンテージ、乳タンパク質の産出量、生涯の全生産量、搾乳速度、および泌乳の持続性を含む産出量形質を言う。
【0048】
本明細書において用いる場合、「量的形質」という用語は、それぞれが形質に対する中程度の効果にわずかながら寄与する複数の(2つ以上の、およびしばしば多くの)遺伝子により制御される形質を示すために用いられる。量的形質についての観察は、通常の分布に従うことが多い。
【0049】
本明細書において用いる場合、「量的形質遺伝子座(QTL)」という用語は、量的形質に対する効果を有する多型を含有する遺伝子座を説明するために用いられる。
【0050】
本明細書において用いる場合、「生殖材料」という用語は、限定はしないが精液、精子、卵子、胚、および1つまたは複数の受精卵を含む。
【0051】
本明細書において用いる場合、「単一ヌクレオチド多型」または「SNP」という用語は、集団内において多型である、動物のゲノムにおける位置を言う。すなわち、集団内において、いくつかの個別の動物はその位置で1つのタイプの塩基を有し、一方で、他の動物は別の塩基を有する。例えば、SNPは、いくつかの動物がそのDNA配列において「G」を有し、一方で他の動物は「T」を有する、ゲノムにおける位置を言うことができる。
【0052】
本明細書において用いる場合、「全ゲノム分析」という用語は、好ましくは、高いマーカー密度(すなわち、1センチモルガン当たり少なくとも約1個のマーカー)でゲノム全体をQTLマッピングするプロセス、およびQTLを用いた、集団ワイドな連鎖不平衡におけるマーカーの検出を言う。
【0053】
本明細書において用いる場合、「全ゲノム選別(WGS)」という用語は、好ましくは、ゲノムワイドなマーカー利用選別(MAS)のプロセスを言い、ここでマーカーは、中程度から高い密度で(例えば、1〜5センチモルガン当たり少なくとも約1個のマーカー)ゲノム全体に広がっているか、またはQTL領域において中程度から高い密度であるか、またはQTLに直接的に隣接しているかもしくはQTLの側面にあり、これは、1つもしくは複数の形質を制御する遺伝的変異の重要な部分を説明するものである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明の例示的な実施形態
本発明の様々な実施形態は、乳用動物またはウシ生産物の遺伝的プロフィールを評価するための方法を提供する。本発明の好ましい実施形態において、動物の遺伝子型は、12個以上の位置で(すなわち、12個以上の遺伝的マーカーに関して)評価される。本発明のこれらの実施形態の態様は、単一ヌクレオチド多型(SNP)を含有する10個以上の位置(遺伝子座)で動物のゲノム配列を決定することを包含する方法を提供する。具体的には、本発明は、SNPについての2つ以上の対立遺伝子のどれが、表1および2ならびに配列表において記載されるSNPからなるグループから選択される12個以上のSNPのそれぞれについて存在するかを決定することにより、動物の遺伝子型を評価するための方法を提供する。
【0055】
本発明の様々な実施形態は、ウシ動物を、その動物の遺伝的プロフィールに従って使用に割り当てるための方法を提供し、当該方法は、a)12個以上の遺伝子座で動物の遺伝子型を決定することであって、それぞれの遺伝子座が、少なくとも2つの対立遺伝子変異体を有する単一ヌクレオチド多型(SNP)を含有し、少なくとも12個のSNPが、表2および配列表において記載されるSNPから選択されること、b)少なくとも1頭の評価された動物の決定された遺伝子型を分析すること、c)使用のために動物をその決定された遺伝的プロフィールに基づいて割り当てることを包含し、動物は、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも12個のSNPについて、好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である。
【0056】
この発明の別の実施形態は、部分「a)」が、1つまたは複数のさらなる遺伝子座で動物の遺伝子型を決定することをさらに包含し、これらのさらなる遺伝子座のそれぞれが、少なくとも2つの対立遺伝子変異体を有する少なくとも1つのさらなるSNPを含有し、1つまたは複数のさらなるSNPが、無角形質に関連し、かつ表1および配列表において記載されるSNPから選択され、動物が、これらのさらなるSNPの1つまたは複数についてヘテロ接合型である方法を含む。
【0057】
本発明のこれらの実施形態の別の態様は、部分「a)」が、1つまたは複数のさらなる遺伝子座で動物の遺伝子型を決定することをさらに包含し、それぞれのさらなる遺伝子座が、少なくとも2つの対立遺伝子変異体を有する少なくとも1つのさらなるSNPを含有し、1つまたは複数のさらなるSNPが、無角形質に関連し、かつ表1および配列表において記載されるSNPから選択され、動物が、これらのさらなるSNPの1つまたは複数についてホモ接合型である方法を含む。
【0058】
本発明のこれらの実施形態のさらなる他の別の態様は、動物が、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも約13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、および/または25個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である方法を含む。この発明の好ましい実施形態はまた、動物が無角である方法を含む。
【0059】
本発明の様々な実施形態は、潜在的な親ウシ動物を、その動物の遺伝的プロフィールに従って使用に割り当てるための方法を提供する。これらの実施形態の様々な態様は、a)12個以上の遺伝子座で動物の遺伝子型を決定することであって、それぞれの遺伝子座が、少なくとも2つの対立遺伝子変異体を有する単一ヌクレオチド多型(SNP)を含有し、少なくとも12個のSNPが、表2および配列表において記載されるSNPから選択されること、b)少なくとも1頭の評価された動物の決定された遺伝子型を分析すること、ならびにc)少なくとも1頭の動物をその遺伝子型に基づいて繁殖使用に割り当てることを包含し、動物は、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも12個のSNPについて、好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である。
【0060】
本発明のこれらの実施形態の別の態様は、部分「a)」が、1つまたは複数のさらなる遺伝子座で動物の遺伝子型を決定することをさらに包含し、それぞれのさらなる遺伝子座が、少なくとも2つの対立遺伝子変異体を有する少なくとも1つのさらなるSNPを含有し、1つまたは複数のさらなるSNPが、無角形質に関連し、かつ表1および配列表において記載されるSNPから選択され、動物が、これらのさらなるSNPの1つまたは複数についてヘテロ接合型である方法を含む。
【0061】
この発明のこれらの実施形態の他の態様は、部分「a)」が、1つまたは複数のさらなる遺伝子座で動物の遺伝子型を決定することをさらに包含し、それぞれのさらなる遺伝子座が、少なくとも2つの対立遺伝子変異体を有する少なくとも1つのさらなるSNPを含有し、1つまたは複数のさらなるSNPが、無角形質に関連し、かつ表1および配列表において記載されるSNPから選択され、動物が、これらのさらなるSNPの1つまたは複数についてホモ接合型である方法を含む。
【0062】
本発明のこれらの実施形態のさらに他の態様は、動物が、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、および/または25個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である方法を含む。本発明の好ましい実施形態はまた、動物が無角である方法を含む。
【0063】
本発明の他の実施形態は、a)本明細書において記載されるあらゆる方法に従って繁殖に割り当てられている少なくとも1頭の潜在的な親動物を同定すること、b)(i)自然の繁殖、(ii)人工授精、(iii)インビトロでの受精からなるグループから選択されるプロセスを介して、割り当てられた動物から子を生産すること、およびc)動物から精液/精子または少なくとも1つの卵子を採取し、それを、第二の動物から得た1つもしくは複数の卵子または精液/精子とそれぞれ接触させて、あらゆる手段によって受胎生物を生産することを包含する、ウシ動物から子を生産する方法を提供する。
【0064】
本発明のこれらの実施形態の別の態様は、自然な繁殖を介して子を生産することを包含する方法を含む。
【0065】
本発明のこれらの実施形態の他の態様は、人工授精、胚移植、および/またはインビトロでの受精を介して子孫を生産することを含む方法を含む。
【0066】
本発明の他の実施形態は、ある遺伝的プロフィールを有するウシ生産物を提供し、遺伝的プロフィールは単一ヌクレオチド多型(SNP)を包含し、生産物は、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも12個のSNPを包含し、生産物は、表2において記載されるSNPの少なくとも12個の好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である。
【0067】
本発明のこれらの実施形態の特定の態様は、表1において記載されるSNPから選択される少なくとも1つのSNPについて、無角形質に関連する少なくとも1つの対立遺伝子についてヘテロ接合型であるウシ生産物を含む。
【0068】
本発明のこれらの実施形態の他の態様は、表1において記載されるSNPから選択される少なくとも1つのSNPについて、無角形質に関連する少なくとも1つの対立遺伝子についてホモ接合型であるウシ生産物を含む。
【0069】
本発明のこれらの実施形態のさらに別の態様は、ウシ生産物が、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも約13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、および/または25個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である方法を含む。
【0070】
本発明のこれらの実施形態の好ましい態様は、単離された精液であるウシ生産物を含む。
【0071】
本発明の他の実施形態は、ある遺伝的プロフィールを有する1つまたは複数のウシ動物を提供し、遺伝的プロフィールは単一ヌクレオチド多型(SNP)を包含し、動物は、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも12個のSNPを包含し、動物は、表2において記載されるSNPの少なくとも12個の好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である。
【0072】
本発明のこれらの実施形態の別の態様は、表1において記載されるSNPから選択される少なくとも1つのSNPについて、無角形質に関連する少なくとも1つの対立遺伝子についてヘテロ接合型であるウシ動物を提供する。
【0073】
本発明のこれらの実施形態の他の態様は、表1において記載されるSNPから選択される少なくとも1つのSNPについて、無角形質に関連する少なくとも1つの対立遺伝子についてホモ接合型であるウシ動物を提供する。
【0074】
本発明のこれらの実施形態のさらに他の態様は、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、および/または25個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型であるウシ動物を提供する。
【0075】
本発明のこれらの実施形態の特に好ましい態様は、無角のウシ動物を提供する。
【0076】
本発明の様々な実施形態は、ウシ生産物の遺伝的プロフィールを決定するための方法を提供し、a)DNAを含む生物学的材料のサンプルを採取し、b)12個以上の遺伝子座で生物学的材料の遺伝子型を決定し、それぞれの遺伝子座が少なくとも2つの対立遺伝子変異体を有する単一ヌクレオチド多型(SNP)を含有し、少なくとも12個のSNPが、表2および配列表において記載されるSNPから選択され、かつc)決定された遺伝子型を分析し、前記生物学的材料は、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも12個のSNPについて、好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である。
【0077】
本発明のこれらの実施形態の別の態様は、ステップ「b)」が、1つまたは複数のさらなる遺伝子座で生物学的材料の遺伝子型を決定することをさらに包含し、それぞれのさらなる遺伝子座が、少なくとも2つの対立遺伝子変異体を有する少なくとも1つのさらなるSNPを含有し、(i)さらなるSNPが、表1および配列表において記載されるSNPから選択され、(ii)生物学的材料が、表1において記載される無角形質に関連する少なくとも1つの対立遺伝子についてヘテロ接合型である方法を提供する。
【0078】
本発明のこれらの実施形態の他の態様は、ステップ「b)」が、1つまたは複数のさらなる遺伝子座で生物学的材料の遺伝子型を決定することをさらに包含し、それぞれのさらなる遺伝子座が、少なくとも2つの対立遺伝子変異体を有する少なくとも1つのさらなるSNPを含有し、(i)SNPが、表1および配列表において記載されるSNPから選択され、(ii)生物学的材料が、表1において記載される無角形質に関連する少なくとも1つの対立遺伝子についてホモ接合型である方法を提供する。
【0079】
本発明の好ましい実施形態において、動物の遺伝子型は、表1および/または表2ならびに配列表において記載されるSNPのグループから選択されるSNPについてどの対立遺伝子が存在しているかを決定するために評価される。
【0080】
本発明のあらゆる実施形態において、動物の遺伝子型は、1つまたは複数の形質(表1を参照されたい)に関連することが示されているSNPに関して分析され得、遺伝的プロフィールを計算するために用いられる。例えば、本発明の実施形態は、これらの形質の1つまたは複数に著しく関連すると決定されている10個以上、25個以上、50個以上、100個以上、200個以上、または500個以上、または1000個以上のSNPの遺伝子型決定をするための方法を提供する。これらのSNPの少なくとも2つは、好ましくは、表1および配列表において記載されるSNPからなるグループから選択される。
【0081】
本発明の様々な実施形態はまた、全ゲノム分析および全ゲノム選抜(WGS)(すなわち、ゲノムワイドでのマーカー利用選抜(MAS))の両方を提供する。さらに、本発明のこれらの実施形態のあらゆる態様において、全ゲノム分析を実施するために用いられるマーカーは、表1および配列表において記載されるマーカーからなるグループから選択される1つまたは複数のマーカーを含み得る。
【0082】
本発明のあらゆる実施形態において、SNP遺伝子座でのゲノム配列は、本発明に適合するあらゆる手段により決定され得る。適切な手段は当業者に周知であり、限定はしないが、直接的な配列決定、合成による配列決定、プライマー伸長、マトリクス支援レーザー脱離/イオン化−飛行時間型(MALDI−TOF)質量分析、ポリメラーゼ連鎖反応制限断片長多型、マイクロアレイ/多重アレイシステム(例えば、Illumina Inc.、San Diego、CaliforniaまたはAffymetrix、Santa Clara、Californiaから入手可能なもの)、および対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーションを含む。
【0083】
本発明の他の実施形態は、動物を、有角/無角、生産性、または適応度についてのそれらの予測される価値に従って、その後の使用(例えば、父親動物もしくは母親動物として使用されるか、または肉もしくは乳用の目的で販売される)に割り当てるための方法を提供する。本発明のこの実施形態の様々な態様は、表1および配列表において記載されるSNPからなるSNPのグループから選択される少なくとも1つのSNPについて少なくとも1頭の動物の遺伝子型を決定することを包含する(1つまたは複数のSNPについて動物の遺伝子型を決定するための方法は上記に記載されている)。したがって、使用への動物の割り当ては、その遺伝子型および得られた遺伝的プロフィールに基づいて決定され得る。
【0084】
本発明はまた、行われる唯一の分析が表1および配列表において記載されるSNPの遺伝子型の分析である実施形態を提供する。他の実施形態は、本明細書において開示されるSNPの分析があらゆる他の所望のタイプの遺伝的または表現型の分析(例えば、本発明において開示されるものに限らないあらゆる遺伝的マーカーの分析)と組み合わされる方法を提供する。
【0085】
本発明のこれらの実施形態の様々な態様に従って、1つまたは複数の選択されるSNPについて動物の遺伝子配列が決定されると、この情報は、選択されたSNPについてSNPのどの対立遺伝子が存在するかを決定するために評価される。好ましくは、決定されたSNPの全てについて動物の対立遺伝子の相補体が評価される。次に、遺伝的プロフィールが、以下に記載される具体的な方法に基づいて分析される。最後に、動物は、評価されたSNPの位置の1つまたは複数についてのその遺伝子型に基づいて使用に割り当てられる。好ましくは、割り当ては、動物の遺伝的プロフィールを考慮して行われる。
【0086】
割り当ては、あらゆる適切な基準に基づいて行うことができる。あらゆる遺伝的プロフィールについて、決定は、動物の遺伝的プロフィールが目標価値を超えるかどうかとして行うことができる。この決定は、繁殖または群の管理の目的に依存することが多い。さらに、本発明の他の実施形態は、2つ以上の基準の組み合わせが用いられる方法を提供する。このような基準の組み合わせには、限定はしないが、表現型データ、血統情報、繁殖情報、動物の遺伝的プロフィール、ならびに、兄弟、子、および/または両親から得られる遺伝的プロフィールの情報からなるグループから選択される2つ以上の基準が含まれる。
【0087】
どの対立遺伝子が所望の表現型特性と関連するかの決定は、あらゆる適切な手段によって行うことができる。これらの関連を決定するための方法は、当技術分野において周知であり、さらに、これらの方法の使用の態様は、以下の実施例において全体として記載されている。
【0088】
本発明のこの実施形態の様々な態様に従って、動物の使用への割り当ては、所望の遺伝的プロフィールを有する動物についての正の選抜(例えば、所望の遺伝子型を有する動物が選抜される)、望ましくない遺伝的プロフィールを有する動物の負の選抜、またはこれらの方法のあらゆる組み合わせを伴い得る。
【0089】
本発明のこの実施形態の好ましい態様に従って、最小閾値を上回る遺伝的プロフィールを有すると同定された動物またはウシ生産物は、より高い経済的価値を有する動物と一致する使用に割り当てられる。あるいは、最小閾値より低い遺伝的プロフィールを有する動物またはウシ生産物は、より高い遺伝的プロフィールを有するものと同一の使用には割り当てられない。
【0090】
本発明の他の実施形態は、潜在的な親動物を選抜して(すなわち、繁殖への割り当て)、潜在的な子孫における適応度および/または生産性を改良するための方法を提供する。本発明のこの実施形態の様々な態様は、表1および表2ならびに配列表において記載されるSNPからなるSNPのグループから選択されるSNPを用いて、少なくとも1頭の動物の遺伝的プロフィールを決定することを包含する。さらに、動物を潜在的な親動物として使用できるか、およびどのように使用できるかは、その遺伝的プロフィール、血統情報、繁殖情報、表現型情報、子の情報、またはそれらのあらゆる組み合わせに基づくものであり得る。
【0091】
さらに、使用への割り当ての他のタイプと同様に、本発明のこれらの実施形態の様々な態様は、行われる唯一の分析が遺伝的プロフィールを分析することである方法を提供する。これらの実施形態の他の態様は、本明細書において開示される遺伝的プロフィールの分析が、あらゆる他の所望のゲノムまたは表現型の分析(例えば、本発明において開示されるものに限らないあらゆる遺伝的マーカーの分析)と組み合わされる方法を提供する。
【0092】
本発明のこれらの実施形態の様々な態様に従って、1つまたは複数の選択されるSNPの部位で動物の遺伝子配列が決定されると、この情報は、選択されたSNPの少なくとも1つについてSNPのどの対立遺伝子が存在しているかを決定するために評価される。好ましくは、配列決定されたSNPの全てについて動物の対立遺伝子の相補体が評価される。さらに、遺伝的プロフィールを分析するために、動物の対立遺伝子の相補体が分析および評価され、それにより、動物の子の遺伝的メリットまたは表現型の価値が予測される。最後に、動物は、単独の、または1つもしくは複数のさらなる基準と組み合わせた、その遺伝的プロフィールに基づいて、使用に割り当てられる。
【0093】
本発明の他の実施形態は、子動物を生産するための方法を提供する。本発明のこの実施形態の様々な態様に従って、子を生産するために用いられる動物は、本発明のあらゆる実施形態に従って繁殖に割り当てられている動物である。子を生産するために動物を用いることにより、必要な分析を行い得るか、あるいは、子を生産することにより、別のものによって分析されている動物を得ることができる。子は、限定はしないが、(i)自然な繁殖、(ii)人工授精、(iii)インビトロでの受精(IVF)、または(iv)動物から精液/精子および/または少なくとも1つの卵子を採取し、それを、第二の動物から得た1つもしくは複数の卵子または精液/精子とそれぞれ接触させて、あらゆる手段によって受胎生物を生産することを用いることを含む、あらゆる適切な手段によって生産することができる。
【0094】
本発明の他の態様に従って、子は、標準的な人工授精(AI)、インビトロでの受精、多排卵胚移植(MOET)、またはそれらのあらゆる組み合わせの使用を包含するプロセスを介して生産される。
【0095】
本発明の他の実施形態は、動物を繁殖目的に割り当てること、およびその動物から遺伝的材料を採取/単離することを包含する方法を提供し、遺伝的材料は、限定はしないが、精液、精子、卵子、受精卵、血液、組織、血清、DNA、およびRNAを含む。
【0096】
本発明によって提供される方法および情報の最も効率的なおよび効果的な使用は、コンピュータプログラム、および/または本願において開示される配列の全てもしくは一部を包含する電子的にアクセス可能なデータベースを採用するものであることが理解される。したがって、本発明の様々な実施形態は、表1および表2ならびに配列表において記載される少なくとも12個のSNPに対応する配列の全てまたは一部を包含するデータベースを提供する。これらの実施形態の好ましい態様において、データベースは、25個以上、50個以上、100個以上のSNPについての配列を包含し、その少なくとも1つは、表1および配列表において記載されるSNPである。
【0097】
本発明によって提供される方法および情報の効率的な分析および使用は、自動化された遺伝子型決定の使用を採用することがさらに理解される。限定はしないがマイクロアレイの使用を含む、当技術分野において知られているあらゆる適切な方法を、このような遺伝子型決定を実施するために用いることができる。
【0098】
本発明の他の実施形態は、本明細書において記載されるSNP配列データベースの1つまたは複数が、コンピュータが実行可能な1つまたは複数のプログラムによりアクセスされる方法を提供する。このような方法には、限定はしないが、SNPと、表現型形質または他のユーザー定義の形質(例えば、遺伝子発現レベル、タンパク質発現レベル、または化学的プロフィールなどの1つまたは複数の測定基準を用いて測定される形質)との間の関連について分析するためのプログラムによるデータベースの使用、遺伝的プロフィールの計算、および動物を繁殖または販売に割り当てるために用いられるプログラムが含まれる。
【0099】
本発明の他の実施形態は、遺伝的材料を採取すること、および繁殖に割り当てられている動物から得られた遺伝的プロフィールを計算することを包含する方法を提供する。この方法において、動物は、本発明の一部として開示されるあらゆる方法によって繁殖に割り当てられている。
【0100】
本発明の他の実施形態は、1つまたは複数のSNPのどの対立遺伝子がサンプル中に存在するかを決定するための診断キットまたは他の診断装置を提供し、1つまたは複数のSNPは、表1および配列表において記載されるSNPからなるSNPのグループから選択される。本発明のこの実施形態の様々な態様において、キットまたは装置は、SNPに対応する核酸が存在するかどうかについて決定することを容易にするための試薬/機器を提供する。このようなキット/または装置はさらに、SNPのどの対立遺伝子が存在するかを決定することを容易にし得る。本発明のこの実施形態の特定の態様において、キットまたは装置は、(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応を介した)DNA増幅に適した少なくとも1つの核酸オリゴヌクレオチドを包含する。本発明の他の態様において、キットまたは装置は、ストリンジェントな条件下で、表1および配列表において記載される少なくとも10個のSNPの少なくとも1つの対立遺伝子と特異的にハイブリダイズし得る、精製された核酸断片を包含する。
【0101】
本発明のこの実施形態の特に好ましい態様において、キットまたは装置は、1つまたは複数のSNPのどの対立遺伝子がサンプル中に存在するかを決定し得る、少なくとも1つの核酸アレイ(例えば、DNAマイクロアレイ)を包含し、ここで、SNPは、表1および配列表において記載されるSNPからなるSNPのグループから選択される。本発明のこの実施形態の好ましい態様は、10個以上のSNPについてどの対立遺伝子がサンプル中に存在するかを同時に決定し得るDNAマイクロアレイを提供する。好ましくは、DNAマイクロアレイは、25個以上、50個以上、100個以上のSNPについて、どのSNP対立遺伝子がサンプル中に存在するかを決定し得る。このようなアレイを作成するための方法は当業者に知られており、このようなアレイは市販されている(例えば、Affymetrix、Santa Clara、Californiaから)。
【0102】
表において記載されるあらゆるSNPと対立遺伝子関連にある遺伝的マーカーは、当業者に知られているあらゆる適切な手段によって同定することができる。例えば、ゲノムライブラリーを、表において記載されるSNPのあらゆる配列について特異的なプローブを用いてスクリーニングすることができる。この方策において、その配列の少なくとも一部を包含するクローンを同定することができ、そして、最大300キロベースの3’および/または5’フランキング染色体配列を決定することができる。好ましくは最大約70キロベースの3’および/または5’フランキング染色体配列が評価される。この手段によって、表において記載されるSNPと対立遺伝子関連にある遺伝的マーカーが同定される。対立遺伝子関連にあるこれらの代替マーカーは、表1および配列表において記載されるマーカーに代わって、動物を選抜するために用いることができる。
【0103】
本発明の好ましい実施形態において、遺伝的プロフィールは、乳用動物またはウシ生産物から得られる遺伝子型情報に基づいて分析される。遺伝的プロフィールは、上記に記載した全ゲノムの遺伝的分析、SNP発見技術、および候補遺伝子分析から得られる情報を用いることで生じたものである。プロフィールは、形質の関連、効果の推定、および潜在するマーカーの予想される価値を用いることで生じた。
【0104】
本発明の他の実施形態は、改良された遺伝的内容を包含する、単離された精液を提供する。好ましくは、改良された遺伝的内容を包含する単離された精液はさらに、本明細書において記載される改良された遺伝的プロフィールを包含する。本発明の様々な実施形態はまた、凍結された単離された精液、および例えばX染色体の自然に生じる頻度よりも大きいといった不平衡な性決定特性を有する単離された精液を包含する。
【0105】
精子または精液の遺伝的プロフィールが決定される場合、遺伝的プロフィールは、それぞれの対立遺伝子についてホモ接合型のものおよび対立遺伝子の組み合わせについてヘテロ接合型のものを含む、それぞれのSNPについての源動物において存在する全ての対立遺伝子に基づいて決定される。それぞれの個別の精子および受精していない卵は、(二倍体のゲノムとは対照的に)半数体のゲノムしか含んでいないため、本明細書において提供される遺伝的プロフィールの計算は、十分な数の半数体細胞が存在する場合においてのみ、細胞が由来する元である動物の二倍体の遺伝子型を決定するために適用可能である(すなわち、約50個を超える個別の細胞)。
【0106】
他のウシ生産物の遺伝的プロフィールを決定する場合、少なくとも1つのDNAサンプルを生産物から回収しなくてはならない。例えば、ミルクを試験する場合、ミルクが含有する白血球細胞からDNAを回収することができる。ウシの肉生産物を試験する場合、DNAは筋線維から抽出することができる。好ましくは、ウシ生産物の遺伝的プロフィールを評価する場合、少なくとも約50個の個別の細胞から得られるDNAを用いて遺伝的プロフィールを決定する。しかし、DNAの抽出および複製の分野における最近の進歩により、1つの細胞ほどに小さなサンプルから遺伝的内容を決定することが可能になっている(Zhang、2006)。
【0107】
単離された精液を採取し、保存し、凍結し、かつ使用する方法は、当技術分野において周知である。あらゆる適切な技術を、本明細書において記載される遺伝的プロフィールとともに用いることができる。さらに、精子懸濁液におけるX染色体の頻度などの性決定特性を改変するための技術もまた知られている。例えば細胞サイトメトリー、光ダメージ、およびマイクロ流体を含む、性決定特性を改変するための様々な方法が当技術分野において知られている。回収、保存、凍結、および精子懸濁液の性決定特性の改変の方法に関する、参考文献US5135759、US5985216、US6071689、US6149867、US6263745、US6357307、US6372422、US6524860、US6604435、US6617107、US6746873、US6782768、US6819411、US7094527、US7169548、US2002005076A1、US2002096123A1、US2002119558A1、US2002129669A1、US2003157475A1、US2004031071A1、US2004049801A1、US2004050186A1、US2004053243A1、US2004055030A1、US2005003472A1、US2005112541A1、US2005130115A1、US2005214733A1、US2005244805A1、US2005282245A1、US2006067916A1、US2006118167A1、US2006121440A1、US2006141628A1、US2006170912A1、US2006172315A1、US2006229367A1、US2006263829A1、US2006281176A1、US2007026378A1、US2007026379A1、US2007042342A1は、参照することにより本明細書によって組み込まれる。
【実施例】
【0108】
以下の実施例は、本発明の全体的な実施形態を実証するために含まれるものである。以下の実施例において開示される技術が、本発明の実施において良好に機能することが本発明者らによって発見された技術を代表するものであり、したがって、本発明の実施についての好ましい様式を構成すると考えられ得るということは、当業者に理解されよう。しかし、当業者には、本開示に照らして、開示される具体的な実施形態において多くの変更が行われ得ること、そして本発明から逸脱することなく同様のまたは類似の結果が依然として得られることが理解される。
【0109】
本明細書において開示され特許請求の範囲に記載される全ての組成物および方法は、本開示に照らして、不必要な実験を行うことなく実施および実行することができる。本発明の組成物および方法は好ましい実施形態の観点から記載されているが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく変形が適用され得ることは当業者に明らかである。
【0110】
(実施例1)
遺伝的マーカーと表現型の形質またはプロフィールとの間の関連の決定
遺伝子の潜在する量的形質(量的形質遺伝子座:QTL)をゲノムワイドで同時に発見およびファインマッピングするためには、ゲノム全体を密に網羅する遺伝的マーカーが必要である。この実施例において記載されるように、全ゲノムの密度−範囲マーカーマップを、ウシゲノムにおける位置がこれまでに推定されているマイクロサテライトおよび単一ヌクレオチド多型(SNP)マーカーから、ならびに、ヒト配列およびヒト/ウシ比較マップとの相同性に基づいてウシゲノムにおいて位置が推定されているSNPマーカーから構築した。CRIMAPソフトウェアの拡張として、新たな連鎖マッピングソフトウェアパッケージが開発され(Greenら、Washington University School of Medicine、St.Louis、1990)、それにより、純血の家畜集団においてゲノムワイドな、密集したマーカーのより効率的なマッピングが可能になった(LiuおよびGrosz Abstract C014;Grapesら.Abstract W244;2006 Proceedings of the XIV Plant and Animal Genome Conference、www.intl−pag.org)。新たな連鎖マッピングツールは、大きな血統の分配、染色体の配置および2点連鎖分析の自動化、ならびに完全な染色体内へのサブマップの統合を介して効率を向上させるための、CRIMAPにおいてプログラムされる基本的なマッピング原理を基礎とするものである。得られた全ゲノム発見マップ(WGDM)は、2.18個マーカー/cMの平均マップ密度で、6966個のマーカーおよび3290センチモルガン(cM)のマップ長を含むものであった。マーカー間の平均ギャップは0.47cMであり、最大のギャップは7.8cMであった。このマップは、乳牛の生産性および適応度における変異に寄与するQTLの全ゲノム分析およびファインマッピングの基礎をもたらすものであった。
【0111】
集団の発見およびマッピング
集団の発見およびマッピングのためのシステムは多くの形態を採り得る。集団ワイドなマーカー/QTL関連を決定するための最も効果的な戦略は、非遺伝的効果を明らかにすることを可能にしかつ測定される個体の血統に関する情報を含む設計において採取される、目的の表現型測定を有する個体の大きくかつ遺伝的に多様性のあるサンプルを含む。本実施例において、グランドドーターデザイン(Wellerら、1990)に従った異系交配した集団を、QTLを発見およびマッピングするために用い、ホルスタイン種から得られる集団は、それぞれが平均6.1頭の遺伝子型決定された息子を有する529頭の父親動物を有しており、それぞれの息子は、平均4216頭の娘をミルクデータと共に有する。DNAサンプルを、複数の父親動物および祖父動物のファミリーに相当する、約3200頭のホルスタイン雄牛、および他の乳用種から得られた約350頭の雄牛から採取した。
【0112】
表現型の分析
評価される乳用形質には、ミルクの産出量(「MILK」)(ポンド)、脂肪の産出量(「FAT」)(ポンド)、脂肪のパーセンテージ(「FATPCT」)(パーセント)、生産寿命(「PL」)(月)、体細胞スコア(「SCS」)(Log)、娘牛の妊娠率(「DPR」)(パーセント)、タンパク質の産出量(「PROT」)(ポンド)、タンパク質のパーセンテージ(「PROTPCT」)(パーセント)、および正味のメリット(「NM」)(ドル)、ならびに、例えば遺伝的プロフィールにおける複数の形質の組み合わせなどの、従来の形質が含まれる。個別の表現型は雄の動物では測定し得ないため、これらの形質は性により制限されるものである。逆に、PTA(予測される伝達能力)として定義されるこれらの形質の遺伝的メリットを、全ての血縁動物の表現型を用いて推定した。ほとんどの乳用雄牛は、適度に多数の娘(例えば>50頭)を用いて後代検定を行い、それらのPTAの推定は全体として、個別の雌牛の表現型データよりも正確であるか、またはずっとはるかに正確である。アメリカ合衆国のホルスタイン集団の従来の乳用形質についての遺伝的評価は、USDAによって3ヶ月ごとに実施する。形質、遺伝的評価の手順、および評価において用いられる遺伝的パラメータの詳細な説明は、USDA AIPLのウェブサイト(www.aipl.arsusda.gov)において見ることができる。この実施例において評価される乳用形質が独立しておらず、FATおよびPROTがそれぞれ、MILKおよびFATPCTと、MILKおよびPROTPCTとの複合形質であることに注意することが重要である。NMは、タンパク質の産出量、脂肪の産出量、生産寿命、体細胞スコア、娘牛の妊娠、分娩の困難性、およびいくつかのタイプの形質に基づいて計算される指標形質である。タンパク質の産出量および脂肪の産出量は共に、NMの50%超を占め、ミルクの産出量、脂肪含有量、およびタンパク質含有量の価値は、タンパク質の産出量および脂肪の産出量を介して説明される。
【0113】
後代検定データを有する全ての雄牛のPTAデータを、2007年2月にAIPLサイトで公開されたUSDAの評価からダウンロードした。PTAデータは、2つのモデル、
ij=s+PTAdij[方程式4]
=μ+β(SPTA)+PTAd[方程式5]
を用いて分析し、
この式において、y(yij)はi番目の雄牛のPTAであり(i番目の父親動物のj番目の息子牛のPTA)、sはi番目の父親動物の効果であり、(SPTA)は全サンプルのi番目の雄牛の父親動物のPTAであり、μは集団平均値であり、PTAd(PTAdij)は残りの雄牛のPTAである。
【0114】
方程式4は、父親動物モデルとして見なされるものであり、ここで、父親動物は、固定因子として一致させたものである。全てのアメリカ合衆国のホルスタインの後代検定した雄牛の中で、著しく多数の父親動物が、非常に少数の後代検定した息子牛しか有さず(例えば、何頭かは1頭の息子を有する)、これらのケースにおいて父親動物を固定因子として一致させることが望ましくないことは明らかである。アメリカ合衆国のホルスタイン群が、ここ数十年で従来の乳用形質において安定的で迅速な遺伝的進歩をしてきたことは周知であり、このことは、雄牛の誕生年を一致させることによって父親動物の効果が部分的に説明され得ることを示唆している。10頭未満の後代検定された息子牛を有する父親動物では、父親動物は、方程式4において、息子牛の誕生年と置き換えた。方程式5は、SPTAモデルとして見なされるものであり、ここで、父親動物のPTAは共変量として一致させられる。残りのPTA(PTAdまたはPTAdij)は、線形回帰を用いて推定した。
【0115】
(実施例2)
子孫の形質を改良するための単一ヌクレオチド多型および遺伝的プロフィールの使用
選択された形質について、集団の平均的な遺伝的メリットを改良するために、その形質に顕著に関連するマーカーの1つまたは複数を、繁殖動物の選抜において用いることができる。それぞれの発見された遺伝子座のケースにおいて、好ましいQTL対立遺伝子との集団ワイドな連鎖不平衡(LD)におけるマーカー対立遺伝子(または複数のマーカー対立遺伝子のハプロタイプ)を有する動物を使用すると、繁殖において用いられる動物の育種価が増大し、その集団におけるそのQTL対立遺伝子の頻度が経時的に増大し、それにより、その形質についての集団の平均的な遺伝的メリットが増大する。この増大した遺伝的メリットは、価値の完全な実現のために、市販用集団に広げることができる。
【0116】
さらに、例えば、遺伝的プロフィールを用いて子孫の形質を改良するような場合には、複数のマーカーを同時に用いることができる。このケースにおいて、複数のマーカーが測定され、関連する形質の価値およびその形質に対するそのマーカーの推定される効果に従って加重される。好ましい遺伝的プロフィールの開発により、複数の形質およびマーカーを同時に含めることが可能となり、それにより、選抜プロセスの複数のパラメータが最適化される。
【0117】
例えば、DNA試験プログラムスキームは、所与の集団における無角の対立遺伝子の頻度または精液生産物を、本明細書において記載されるような雄牛をスクリーニングするためのDNAマーカーの使用を介して、大きく変更し得るものであった。後代検定プログラム内の雄牛から得られた精液を試験すると、有角/無角の遺伝子座での雄牛の遺伝子型が同定される。この知識は精液生産物の市場での値打ちに影響するため、この情報により価値が生み出される。典型的には、後代検定プログラムは、プログラムにエントリーさせるための候補として若年の雄牛を選抜するために、近縁個体の血統情報および能力を用いる。しかし、有角/無角のマーカーの情報を加えることにより、若い雄牛をスクリーニングして無角のマーカー/対立遺伝子を有する(またはこれらについてホモ接合型の)動物を同定することができた。動物の次の世代を生み出すためにこれらの動物を用いると、より自然に無角の動物が生じる(無角が優性であるため)だけではなく、親の次の世代が最終的には選抜される元となる集団における、無角の対立遺伝子の頻度も増大する。
【0118】
さらに、潜在的な雄牛の母親およびそれらの雄の子孫から得られたDNAサンプルを、表1から得られるマーカーを用いてスクリーニングすることができ、好ましい遺伝子型を有する雄牛の母親の候補を、試験される雄牛と交配するために接触させることができる。過剰排卵および胚移植(ET)を採用すると、雄牛の母親当たり、交尾当たり5〜10頭の子孫の組を生産することができた。そして、マーカーは再び、後代検定プログラムのための候補として無角の雄の子孫を選抜するために、またはさらなる雄牛の母親として雌の子孫を選抜するために用いることができた。
【0119】
育種価の推定および遺伝的核(GN)における選抜のためのSNPの使用における最初のステップは、GNにおける種畜または他の市販用集団における種畜として選抜するための候補となる全ての子孫からのDNAの採取である。1つの方法は、生後すぐに、わずかな耳組織、毛のサンプル、または血液を、それぞれの子牛から、標識された(バーコードを付けられた)管内に取ることである。別の方法は、繁殖に利用可能な雄牛から得られた精液を直接的に試験することである。この組織から抽出されるDNAを用いて、表1において記載される有角/無角のマーカーを含む、基本的に非限定的な数のSNPマーカーをアッセイすることができ、その結果は、動物が繁殖年齢に達する前の選抜決定に含まれ得る。
【0120】
本明細書において記載されるマーカーは、経済的関連の表現型形質に関連するマーカーと組み合わせて、繁殖スキームにおいて用いることができる。有益なQTL対立遺伝子との集団ワイドなLDにあると決定されたマーカー(またはマーカーハプロタイプ)を選抜決定に組み込むための1つの方法は、従来の量的遺伝学および選抜指標の理論に基づくものである(FalconerおよびMackay、1996;DekkersおよびChakraborty、2001)。選抜に標的化された集団におけるマーカーの効果を推定するために、目的の形質についての表現型測定を有する動物のランダムなサンプルを、固定された効果または共変量(対立遺伝子のコピー数に対する表現型の回帰)として一致させたマーカーを有する混合動物モデルを用いて分析することができる。マーカーの効果を一致させるいずれかの方法から得られる結果は、対立遺伝子置換の効果を導き出すために用いることができ、当該効果はマーカーの育種価を導き出す。
【0121】
あるいは、表現型形質に関連するマーカーの組は、遺伝的プロフィールを生じさせるために用いることができ、あらかじめ決定された閾値を越える遺伝的プロフィールを有する雄牛の母親の候補は、特定の雄牛と交配するために接触させることができた。さらに、遺伝的プロフィールと、関連するマーカーと、表現型データと、血統情報と、他の歴史的能力のパラメータとの組み合わせを、同時に用いることができる。
【0122】
過剰排卵および胚移植(ET)を採用すると、雄牛母親当たり、交尾当たり5〜10頭の子孫の組を生産することができた。そして、マーカーの組は再び、後代検定プログラムのための候補として最良の雄の子孫を選抜するために用いることができた。ゲノムワイドなマーカーを用いると、マーカーの選抜の精度は0.85にまで達し得ると推定された(Meuwissenら、2001)。このさらなる精度は、後代検定プログラムに投入する候補の遺伝的メリットを大きく向上させるために用いることができ、それにより、市販可能な後代検定した雄牛を成功裏に等級付けする可能性が増大する。この情報はまた、試験される若年の雄牛候補の数を減少させることによってプログラムのコストを低減させる一方で、成功裏の等級付けの数を同一に維持するために用いることができた。この上ないことに、非常に正確なGeneticプロフィール(遺伝的プロフィール)を用いて、後代検定を全く行う必要なく、若年の父親動物から得られる精液を直接的に市販することができた。若年動物は今や4.5から5歳ではなく思春期から市販され得るため、世代間隔は半分強も低減し得、利益率は68.3%も増大し得た(Schrootenら、2004)。後代検定の必要性の推定では、人工授精産業のための遺伝的改良のコストは大いに向上する(Schaeffer、2006)。
【0123】
別の実施例において、牛の集中したまたは分散した遺伝的核(GN)集団を、遺伝的プロフィールに基づいて後代検定または直接的な販売において用いるための若年の雄牛を生産するために維持することができた。1000頭の雌牛のGN群は、毎年約3000頭の子孫を生産すると予想され得、雌の上位10〜15%は、多排卵および胚移植(MOET)スキームにおいてETドナーとして用いられると見なされた。しかし、マーカーは、MOETスキームおよびインビトロでの胚生産の有効性を変化させ得た。これまでに、MOET核スキームは、過剰な遺伝獲得量の観点から有望であることが判明しているが、若年動物の限られた情報と共に核群を操作するコストの採用の広さは限られている。しかし、マーカー情報および/または遺伝的プロフィールを用いると、若年動物はこれまでよりもはるかに正確に選抜され得、その結果、世代間隔および遺伝的応答の上昇率が大きく低減する。これは、MOET核群スキームにおいてとりわけ当てはまり、それは、これまでは、完全血縁個体の育種価は同一であったが、マーカー情報を用いると、最良の完全血縁個体が生涯の早いうちに同定され得るためである。マーカー情報および/または遺伝的プロフィールはまた、限られた同系交配に役立ち、それは、血統情報にかかる、さらには個別のマーカー情報にかかる選抜圧がより小さいためである。初期の研究(Meuwissenおよびvan Arendonk、1992)により、マーカーが核群シナリオにおいて採用された場合にはさらなる遺伝獲得量の平均が最大26%であるが、通常の後代検定における利益はずっと少ないことが見出された。
【0124】
MASと共に、雌の選抜はまた、とりわけマーカーが十分な量の遺伝的変異を説明する場合に、遺伝的改良の重要な源となり得た。さらなる効率が、移植の前に胚をマーカー試験することにより得られた(Bredbacka、2001)。これにより、胚に対して重要な選抜を生じさせることが可能となり、それにより、移植およびレシピエントのコストの前に、劣性のマーカープロフィールを有する胚が不要となり得た。これはまた、核群のコスト効率を増大させ、それは、胚の事前の選抜により、より小さい核群と等しい進歩が可能となるためである。あるいは、これにより、雄牛を後代検定に投入する前に事前に選抜するためのさらなる機会、および従来の後代検定よりも最大31%速いと予測される遺伝的応答の速度が提示される(Schrootenら、2004)。
【0125】
育種価の推定およびGNにおける選抜のための遺伝的プロフィールの使用における最初のステップは、GNにおける種畜または他の市販用集団における種畜として選抜するための候補となる全ての子孫からのDNAの採取である(本実施例において、3000頭の子孫が毎年GNにおいて生産される)。1つの方法は、生後すぐに、わずかな耳組織、毛のサンプル、または血液を、それぞれの子牛から、標識された(バーコードを付けられた)管内に取ることである。この組織から抽出されるDNAを用いて、多くのSNPマーカーをアッセイすることができる。そして、動物の遺伝的プロフィールが計算され得、その結果は、動物が繁殖年齢に達する前の選抜決定において用いられる。
【0126】
有益なQTL対立遺伝子との集団ワイドなLDにあると決定されたマーカー(またはマーカーハプロタイプ)を選抜決定に組み込むための1つの方法(実施例1を参照)は、従来の量的遺伝学および選抜指標の理論に基づくものである(FalconerおよびMackay、1996;DekkersおよびChakraborty、2001)。選抜に標的化された集団におけるマーカーの効果を推定するために、目的の形質についての表現型測定を有する動物のランダムなサンプルを、固定された効果または共変量(対立遺伝子のコピー数に対する表現型の回帰)として一致させたマーカーを有する混合動物モデルを用いて分析することができる。マーカーの効果を一致させるいずれかの方法から得られる結果は、対立遺伝子置換の効果を導き出すために用いることができ、当該効果はマーカーの育種価を導き出し、前記マーカーは、
α=q[a+d(q−p)][方程式6]
α=−p[a+d(q−p)][方程式7]
α=a+d(q−p)[方程式8]
A1A1=2(α)[方程式9]
A1A2=(α)+(α)[方程式10]
A2A2=2(α)[方程式11]
(この式において、αおよびαはそれぞれ対立遺伝子1および2の平均効果であり、αは対立遺伝子置換の平均効果であり、pおよびqはそれぞれ対立遺伝子1および2の集団における頻度であり、aおよびdはそれぞれ相乗効果および優性効果であり、gA1A1、gA1A2、およびgA2A2はそれぞれマーカーの遺伝子型A1A1、A1A2、およびA2A2を有する動物についての(マーカー)育種価である。動物についての全形質育種価は、考慮されるそれぞれのマーカー(またはハプロタイプ)についての育種価および残りの多遺伝子育種価の合計である)
EBVij=Σg+U[方程式12]
(この式において、EBVijはi番目の動物についての推定形質育種価であり、Σgはj=1からn(nは、検討中のマーカー(ハプロタイプ)の全数である)から合計されるマーカー育種価であり、Uはマーカーの1つまたは複数の遺伝子型を一致させた後のi番目の動物についての多遺伝子育種価である)
である。
【0127】
これらの方法は、遺伝的プロフィールを含む複数の形質についての選抜候補について育種価を推定するために容易に広げることができる。複数のマーカー(ハプロタイプ)から得られる情報を含むそれぞれの形質についての育種価は全て、選抜プロフィールの理論、およびそれぞれの形質の相対的な重要性を設定する特定の繁殖目的の背景内にある。他の方法もまた、マーカーとQTLとの間の組換えの原因であるランダムなモデルを含む複数の形質についての育種価の推定におけるマーカー情報の最適化(例えば、FernandoおよびGrossman、1989)および全ゲノム選抜における全ての発見されたマーカー情報の潜在的な包含(Meuwissenら、Genetics、2001)のために存在する。これらの方法の全てを介して、有益なQTL対立遺伝子との集団ワイドなLDにあると決定されている、本明細書において報告されるマーカーを用いて、選抜のより優れた精度、遺伝的改良のより優れた速度、および乳産業におけるより優れた価値の蓄積をもたらすことができる。
【0128】
(実施例3)
SNPの同定
核酸配列は、表1または2および配列表において記載される多型を含みかつ/または前記多型に隣接する少なくとも20個の連続したヌクレオチドを包含する場合、本発明の実施形態のSNPを包含する。あるいは、SNPは、連続したヌクレオチドのより短い配列がウシゲノムにおいて固有である場合に、表1または2および配列表において記載される多型を含むかまたは前記多型に隣接している、より短い一続きの連続したヌクレオチドによって同定することができる。SNPの部位は、通常、多型部位を含有するコンセンサス配列、多型部位の位置、および多型部位での様々な対立遺伝子によって特徴付けされる。「コンセンサス配列」は、アラインされた配列のクラスターのそれぞれのヌクレオチド位置で共通であるように構築されたDNA配列を意味する。
【0129】
このようなSNPは、多型を含むかまたはそれに隣接している動物DNAのセグメントのいずれかの鎖における同一数のヌクレオチドの配列と、少なくとも90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の、またはさらに好ましくはいくつかの対立遺伝子について少なくとも98%の配列同一性を有する、および多くの場合に少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を有する。動物DNAのこのようなセグメントの1つの鎖のヌクレオチド配列は、配列番号1から配列番号46からなるグループにおける配列において見ることができる。多型の本質によって、少なくともいくつかの対立遺伝子について、多型部位自体では同一性は存在しないことが理解される。したがって、配列同一性は、多型配列を除いた配列について決定することができる。それぞれの遺伝子座における多型は、配列表において記載されている。
【0130】
以下に、互いに適合する公のウシSNPの例を示す。それぞれの配列から得られる41個の塩基(中央に多型部位を有する)が互いに完全に適合するため(適合長さ=41、同一性=100%)、SNPss38333809はss38333810と同一であることが決定された。
【0131】
【表1】

【0132】
それぞれの配列から得られる41個の塩基(中央に多型部位を有する)が互いに1つの塩基を除いた全ての塩基で適合するため(適合長さ=41、同一性=97%)、SNPss38333809はss38334335と同一であることが決定された。
【0133】
【表2】

【0134】
(実施例4)
生産形質の定量化および遺伝的評価
生産形質の定量化は、雌牛のミルクを測定すること、および各搾乳時の、または特定の時間間隔のみにおけるミルク組成を測定することによって行うことができる。USDA産出量評価において、ミルクの生産量のデータは、ICARにより認可された方法を用いて、乳牛群改良協会(DHIA)により採取される。遺伝的評価には、既知の父親動物を有し、1960年以降に最初の分娩をし、誕生年である1950年から血統を有する、全ての雌牛が含まれる。305日よりも短い泌乳は305日に伸ばされる。全ての記録は、分娩の年齢、分娩の月、1日当たりの搾乳回数、これまでの空胎日数、およびヘテロ接合型の不一致の効果について事前に調整される。遺伝的評価は、単一形質BLUP再現性モデルを用いて行われる。このモデルには、管理グループの固定された効果(群×年×季節+登録状態)、分娩回数×年齢、および同系交配、ならびに父親動物の相互作用による永続的な環境および群のランダムな効果が含まれる。PTAが推定され、1年に4回発行される(2月、5月、8月、および11月)。PTAは、5年の段階的な基礎に対して、すなわちその年に誕生した全ての雌牛の平均からの差異マイナス5年間として計算される。雄牛のPTAが発行され、妥当な泌乳記録を有する少なくとも10頭の娘牛を有する雄牛について娘牛のパフォーマンスを推定する。
【0135】
(実施例5)
乳牛における有角/無角の表現型に関するマーカーの同定
未知である、ボース・タウルス(Bos taurus)における無角の突然変異は、Georgesら(1993)によって、マイクロサテライトマーカーを用いて、ウシ1番染色体(BTA01)の近位末端に位置付けされた。無角の遺伝子座をファインマッピングするためのより最近の試みには、さらなるマイクロサテライトマーカーマッピング(Schmutzら、1995;Brennemanら、1996;Harliziusら、1997;Drogemullerら、2005)および無角の領域のBACに基づいた物理的マップの作成(Wunderlichら、2006)が含まれている。これらの引用される源からの、無角の領域の最も近位の遺伝子であるATP50および最も遠位の遺伝子であるKRTAP8の位置は、公のウシゲノムアセンブリバージョン3.1(www.hgsc.bcm.tmc.edu/projects/bovine/)上のそれぞれ約0.6Mbおよび3.9Mbに対応する。
【0136】
この研究の目的は、無角および有角のホルスタインの発見パネル上のBTA01の近位末端の標的領域を配列決定することにより、無角形質に関連する単一ヌクレオチド多型(SNP)を同定することであった。
【0137】
集団の発見およびマッピング
全てのDNAサンプルは、製造者の手順に従ってQiagen Biosprint(Qiagen Inc.、Valencia、CA)を用いて精子から抽出した。24頭のホルスタイン雄牛を多型発見パネルとして用いた。24からなるセットにおいて、動物のペアは、その動物の報告された表現型に基づいて無角と予想される母親動物を用いて、有角の父親動物および無角の息子牛として直接的に関連付けられる。12頭の無角の息子牛から得られた精液サンプルは、無角雌を用いることによって無角形質について特別に繁殖している、2つの酪農業者から得た。産業的なえり抜きの遺伝的特徴を組み込むために、最良の父親動物をこれらの無角雌と繁殖させる。したがって、無角/有角形質と調和すると同定されるあらゆる多型は、12頭の有角雄牛において1つの対立遺伝子についてホモ接合型であり、12頭の無角の雄牛においてヘテロ接合型である(またはまれに第二の対立遺伝子についてホモ接合型である)。(無角の対立遺伝子の対立遺伝子頻度が0.1であるとすると、この集団においてホモ接合型の無角の息子牛が見られる可能性は10%であると計算され得る)。
【0138】
PCR
PCRプライマーは、遺伝子をコードする領域、およびその領域内の標的遺伝子から平均70bpのフランキング配列を含む調節エレメント(非翻訳領域、推定プロモーター)を標的化するようにデザインした。最適なプライマーアニーリング温度は、95℃で15分間、94℃で45秒間を35サイクル、12個のサンプルウェル全体にわたる55℃で開始し66℃までの勾配温度で45秒間、72℃で45秒間、および72℃で10分間の、勾配PCR熱サイクル条件を用いることによって得た。最適なアニーリング温度が見つかったら、それぞれのプライマーセットを、95℃で15分間の後に、94℃で45秒間を35サイクル、最適なアニーリング温度で45秒間、および72℃で45秒間、そして72℃で10分間の最後の伸長ステップという標準的な熱サイクル条件を用いて、配列決定のために増幅した。10マイクロリットルのPCR容量についての濃度(勾配および標準)は、1マイクロリットルのゲノムDNA、0.5マイクロモル濃度のそれぞれのプライマー(フォワードおよびリバース)、1×SIGMA JumpStart PCR Mix(Sigma−Aldrich Co.、St.Louis、MO)当たり5ナノグラムであった。
【0139】
推定調節エレメントの予測
オンラインの資料であるWWW Promoter Scan(www−bimas.cit.nih.gov/molbio/proscan/)を用いて、標的遺伝子のイントロン、およびプロモーターおよび転写因子結合部位などの予測された調節エレメントについての遺伝子間配列をスキャンした。同定された推定調節エレメントが、遺伝子をコードする領域ならびにプライマーのデザインおよび標的多型の発見のための調節領域(UTR)に含まれていた。
【0140】
配列決定
配列決定を以下に記載した方法を用いて行い、全ての配列決定は、フォワード方向およびリバース方向の両方で行った。10マイクロリットルの標準的なPCRを実施し、そのうち5マイクロリットルは、増幅の確認のために、アガロースゲル電気泳動によって視覚化し、残りの5マイクロリットルは、製造者の手順に従ってEXO−SAP−IT PCR Product Clean−up(USB corporation、Cleaveland、OH)を用いて精製した。精製されたPCR産物の直接的な配列決定は、フォワードおよびリバースの両方で、7マイクロリットルの精製PCR産物と、2マイクロリットルの10マイクロモル濃度のプライマーとからなる、9マイクロリットルの反応容量において実施し、ABI3730x1自動シーケンサー(Applied Biosystems、Foster City、CA)で解像した。フォワードおよびリバースの配列はそれぞれのDNAサンプルについて作成した。配列の形跡のアラインメントおよび多型の検出は、最新バージョンのPhred/Phrap(Ewingら、1998、EwingおよびGreen、1998)ならびにConsed(Gordonら、1998)を用いて実施した。
【0141】
上記に記載した配列決定の試みを介して発見されたSNPを遺伝子型の適合について分析し、SNPが、有角/無角の表現型に関連している/その表現型の原因であるかどうかを予想した。予想される遺伝子型プロフィールは、a)1つの対立遺伝子についてホモ接合型の全ての父親動物、および他の対立遺伝子についてホモ接合型(または場合によってはヘテロ接合型)である全ての息子牛である。表1において列挙されるこれらのSNPは、予測される遺伝子型プロフィールと100%の適合性を示し、したがって、有角/無角の表現型との関連を示した。
【0142】
(実施例6)
改良された遺伝的プロフィールの開発
マーカーセットに含めるために選抜された32個のマーカーは、実施例1において記載したゲノムスキャン実験の結果の分析に由来するものであった。記述子「アンカーマーカー」は、そのQTL領域内に同様に存在する他のマーカーと比較してそのQTL領域を最もよく表した、QTL領域内のマーカーを表すマーカーを規定するために用いた。アンカーマーカーは、観察された最大F統計値が>1であったマーカーの最初の選抜によって同定した。遺伝子座の周りの複数のマーカーがこの基準に一致する場合、他のいずれのマーカーも新たなアンカーマーカーの5センチモルガン内に存在し得ないというさらなる規定に従って、観察されたF統計値が最大であったマーカーをアンカーとして選抜した。
【0143】
62個のアンカーマーカーのリストを、次に、対立遺伝子頻度によって分類し、30%未満の少ない対立遺伝子頻度を有するマーカーを排除した(このスクリーニングの背後にある論拠は、サンプル数が少ないことにより偏った効果推定を有し得るマーカーを取り除くことであった)。得られた32個のマーカーは以下の表2に含まれる。
【0144】
これらの結果に基づいて、表2において記載される好ましい対立遺伝子を有する動物は、適応度および生産性形質を含む、改良された遺伝的特徴および表現型特徴を有すると予想される。表1において記載される無角の表現型に関連する対立遺伝子と組み合わせて表2において記載される好ましい対立遺伝子を有する動物は、適応度、生産性、および無角形質を含む、とりわけ価値のある遺伝的特徴および表現型特徴を有すると予想される。
【0145】
(実施例7)
雄牛の遺伝的プロフィールの決定
遺伝的材料のサンプルは、代表的なDNAを含有するあらゆる生物学的源から得ることができるが、好ましい方法は典型的には、血液、精液、毛、または唾液の使用を採用する。サンプルが得られたら、遺伝子型決定の標準的な方法を用いて、表1および2において列挙されるマーカーでのサンプルの対立遺伝子を決定する。表2の「好ましい」という欄において見られる対立遺伝子をより多く有するサンプルは、「好ましい」という欄において見られる対立遺伝子をより少なく有するサンプルと比較して、優れた遺伝的および/または表現型パフォーマンスを示す。雄牛の遺伝的プロフィールが、表2において記載される好ましい方向にある少なくとも12個の対立遺伝子についてホモ接合型である場合、それは繁殖目的に選抜される。
【0146】
(実施例8)
ウシ生産物の遺伝的プロフィールの決定
DNAを包含する生産物の代表的なサンプルを、生産物から抽出する。例えば、ミルクまたは乳製品を試験する場合、DNAは、それが含有する白血球細胞から回収することができる。ウシの肉生産物を試験する場合、DNAは筋線維から抽出することができる。高濃度の細胞および/またはDNAを包含するサンプルでは、遺伝子型決定の標準的な方法を用いて、表1および2において列挙されるマーカーでのサンプルの対立遺伝子を決定する。好ましくは、ウシ生産物の遺伝的プロフィールを評価する場合、少なくとも約50個の個別の細胞から得られるDNAを用いて遺伝的プロフィールを決定する。しかし、DNAの抽出および複製の分野における最近の進歩により、1つの細胞ほどに小さなサンプルから遺伝的内容を決定することが可能になっている。
【0147】
(実施例9)
雄牛の精液の遺伝的プロフィールの決定
精液が半数体の細胞を含有するとしても、これらの細胞は依然として、多くの細胞を遺伝子型決定することにより遺伝的プロフィールを生じさせるために用いることができる。最初のステップは、十分に多くの数の精子細胞(例えば、>100万個細胞)を含有する1回分の精液またはサンプルを得ることである。第二のステップは、1回分の精液(すなわち、多くの精子細胞のプール)からDNAを抽出することである。抽出されたDNAは次に、表1および配列表において列挙されるマーカーを遺伝子型決定するために用いられる。これらの遺伝子型決定の結果は、親動物のDNAの両方の鎖についての情報を含む。したがって、遺伝子型決定のデータは、上記に記載したように遺伝的プロフィールを決定するために用いることができる。
【0148】
参考文献
上記および以下の両方における、本願において引用される参考文献は、参照することにより本明細書に具体的に組み込まれる。
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【0149】
【表3−1】

【0150】
【表3−2】

【0151】
【表3−3】

【0152】
【表3−4】

【0153】
表の説明
表1は、本明細書において記載される無角/有角の表現型に関連するSNPの配列番号、およびそれぞれのSNPの対立遺伝子を無角または有角に対応するように提供するものである。
【0154】
表2は、生産性および適応度形質などの経済的に重要な形質に関する遺伝的プロフィールの構築において有用なSNPの配列番号を提供するものである。
【0155】
【表4】

【0156】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウシ動物を、その動物の遺伝的プロフィールに従って使用に割り当てるための方法であって、
a.12個以上の遺伝子座で動物の遺伝子型を決定することであって、それぞれの遺伝子座が、少なくとも2つの対立遺伝子変異体を有する単一ヌクレオチド多型(SNP)を含有し、少なくとも12個のSNPが、表2および配列表において記載されるSNPから選択されること、
b.少なくとも1頭の評価された動物の決定された遺伝子型を分析すること、ならびに
c.使用のために動物をその決定された遺伝的プロフィールに基づいて割り当てること
を包含し、
前記動物が、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも12個のSNPについて、好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である方法。
【請求項2】
部分「a.」が、1つまたは複数のさらなる遺伝子座で動物の遺伝子型を決定することをさらに包含し、これらの遺伝子座のそれぞれが、少なくとも2つの対立遺伝子変異体を有する少なくとも1つのさらなるSNPを含有し、1つまたは複数のさらなるSNPの少なくとも1つが、無角形質に関連し、かつ表1および配列表において記載されるSNPから選択され、前記動物が、これらのさらなるSNPの1つまたは複数についてヘテロ接合型である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
部分「a.」が、1つまたは複数のさらなる遺伝子座で動物の遺伝子型を決定することをさらに包含し、これらの遺伝子座のそれぞれが、少なくとも2つの対立遺伝子変異体を有する少なくとも1つのさらなるSNPを含有し、1つまたは複数のさらなるSNPの少なくとも1つが、無角形質に関連し、かつ表1および配列表において記載されるSNPから選択され、前記動物が、これらのさらなるSNPの1つまたは複数についてホモ接合型である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記動物が、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも13個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項1、2、または3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記動物が、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも14個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項1、2、または3のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記動物が、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも15個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項1、2、または3のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記動物が、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも16個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項1、2、または3のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記動物が、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも18個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項1、2、または3のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記動物が、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも20個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項1、2、または3のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記動物が無角である、請求項1、2、または3のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
潜在的な親ウシ動物を、その動物の遺伝的プロフィールに従って使用に割り当てるための方法であって、
a.12個以上の遺伝子座で動物の遺伝子型を決定することであって、それぞれの遺伝子座が、少なくとも2つの対立遺伝子変異体を有する単一ヌクレオチド多型(SNP)を含有し、少なくとも12個のSNPが、表2および配列表において記載されるSNPから選択されること、
b.少なくとも1頭の評価された動物の決定された遺伝子型を分析すること、ならびに
c.少なくとも1頭の動物をその遺伝子型に基づいて繁殖使用に割り当てること
を包含し、
前記動物が、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも12個のSNPについて、好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である方法。
【請求項12】
部分「a.」が、1つまたは複数のさらなる遺伝子座で動物の遺伝子型を決定することをさらに包含し、これらの遺伝子座のそれぞれが、少なくとも2つの対立遺伝子変異体を有する少なくとも1つのさらなるSNPを含有し、1つまたは複数のさらなるSNPの少なくとも1つが、無角形質に関連し、かつ表1および配列表において記載されるSNPから選択され、前記動物が、これらのさらなるSNPの1つまたは複数についてヘテロ接合型である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
部分「a.」が、1つまたは複数のさらなる遺伝子座で動物の遺伝子型を決定することをさらに包含し、これらの遺伝子座のそれぞれが、少なくとも2つの対立遺伝子変異体を有する少なくとも1つのさらなるSNPを含有し、1つまたは複数のさらなるSNPの少なくとも1つが、無角形質に関連し、かつ表1および配列表において記載されるSNPから選択され、前記動物が、これらのさらなるSNPの1つまたは複数についてホモ接合型である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記動物が、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも13個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項11、12、または13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記動物が、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも14個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項11、12、または13のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記動物が、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも15個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項11、12、または13のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記動物が、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも16個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項11、12、または13のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記動物が、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも18個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項11、12、または13のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記動物が、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも20個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項11、12、または13のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記潜在的な親ウシ動物が無角である、請求項11、12、または13のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
ウシ動物から子を生産する方法であって、
a)請求項1から10のいずれかに記載の方法に従って繁殖に割り当てられている少なくとも1頭の潜在的な親動物を同定すること、
b)i)自然の繁殖、
ii)人工授精、
iii)インビトロでの受精、および
iv)動物から精液/精子または少なくとも1つの卵子を採取し、それを、第二の動物から得た1つもしくは複数の卵子または精液/精子とそれぞれ接触させて、あらゆる手段によって受胎生物を生産すること
からなるグループから選択されるプロセスを介して、割り当てられた動物から子を生産すること
を包含する方法。
【請求項22】
自然の繁殖を介して子を生産することを包含する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
人工授精、胚移植、および/またはインビトロでの受精を介して子孫を生産することを包含する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
単一ヌクレオチド多型(SNP)を包含する遺伝的プロフィールを有するウシ生産物であって、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも12個のSNPを包含し、表2において記載されるSNPの少なくとも12個の好ましい対立遺伝子についてホモ接合型であるウシ生産物。
【請求項25】
表1において記載されるSNPから選択される少なくとも1つのSNPについて、無角形質に関連する少なくとも1つの対立遺伝子についてヘテロ接合型である、請求項24に記載のウシ生産物。
【請求項26】
表1において記載されるSNPから選択される少なくとも1つのSNPについて、無角形質に関連する少なくとも1つの対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項24に記載のウシ生産物。
【請求項27】
表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも13個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項24、25、または26のいずれかに記載のウシ生産物。
【請求項28】
表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも14個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項24、25、または26のいずれかに記載のウシ生産物。
【請求項29】
表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも15個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項24、25、または26のいずれかに記載のウシ生産物。
【請求項30】
表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも16個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項24、25、または26のいずれかに記載のウシ生産物。
【請求項31】
表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも18個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項24、25、または26のいずれかに記載のウシ生産物。
【請求項32】
表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも20個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項24、25、または26のいずれかに記載のウシ生産物。
【請求項33】
単離された精液である、請求項24から32のいずれかに記載のウシ生産物。
【請求項34】
単一ヌクレオチド多型(SNP)を包含する遺伝的プロフィールを有するウシ動物であって、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも12個のSNPを包含し、表2において記載されるSNPの少なくとも12個の好ましい対立遺伝子についてホモ接合型であるウシ動物。
【請求項35】
表1において記載されるSNPから選択される少なくとも1つのSNPについて、無角形質に関連する少なくとも1つの対立遺伝子についてヘテロ接合型である、請求項34に記載のウシ動物。
【請求項36】
表1において記載されるSNPから選択される少なくとも1つのSNPについて、無角形質に関連する少なくとも1つの対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項34に記載のウシ動物。
【請求項37】
表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも13個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項34、35、または36のいずれかに記載のウシ動物。
【請求項38】
表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも14個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項34、35、または36のいずれかに記載のウシ動物。
【請求項39】
表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも15個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項34、35、または36のいずれかに記載のウシ動物。
【請求項40】
表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも16個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項34、35、または36のいずれかに記載のウシ動物。
【請求項41】
表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも18個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項34、35、または36のいずれかに記載のウシ動物。
【請求項42】
表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも20個のSNPのそれぞれで好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項34、35、または36のいずれかに記載のウシ動物。
【請求項43】
無角である、請求項34、35、または36のいずれかに記載のウシ動物。
【請求項44】
ウシ生産物の遺伝的プロフィールを決定する方法であって、
a.DNAを含有する生物学的材料のサンプルを提供し、
b.12個以上の遺伝子座で生物学的材料の遺伝子型を決定し、それぞれの遺伝子座が、少なくとも2つの対立遺伝子変異体を有する単一ヌクレオチド多型(SNP)を含有し、少なくとも12個のSNPが、表2および配列表において記載されるSNPから選択され、かつ
c.決定された遺伝子型を分析し、
前記生物学的材料が、表2および配列表において記載されるSNPから選択される少なくとも12個のSNPについて、好ましい対立遺伝子についてホモ接合型である方法。
【請求項45】
ステップ「b.」が、1つまたは複数のさらなる遺伝子座で生物学的材料の遺伝子型を決定することをさらに包含し、それぞれのさらなる遺伝子座が、少なくとも2つの対立遺伝子変異体を有する少なくとも1つのさらなるSNPを含有し、1つまたは複数の前記さらなるSNPの少なくとも1つが、表1および配列表において記載されるSNPから選択され、前記生物学的材料が、表1において記載される無角形質に関連する少なくとも1つの対立遺伝子についてヘテロ接合型である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
ステップ「b.」が、1つまたは複数のさらなる遺伝子座で生物学的材料の遺伝子型を決定することをさらに包含し、それぞれのさらなる遺伝子座が、少なくとも2つの対立遺伝子変異体を有する少なくとも1つのさらなるSNPを含有し、1つまたは複数の前記さらなるSNPの少なくとも1つが、表1および配列表において記載されるSNPから選択され、前記生物学的材料が、表1において記載される無角形質に関連する少なくとも1つの対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項44に記載の方法。


【公表番号】特表2011−505872(P2011−505872A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539677(P2010−539677)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/086811
【国際公開番号】WO2009/085689
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】