説明

乳癌を処置するための方法

本開示は、抗プロガストリン抗体を含む組成物を用いて乳癌又は乳癌の再発を処置及び防止する方法に向けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1. 関連出願の相互参照
本願は、仮出願第61/293,612号(2010年1月8日出願)の35 U.S.C. § 119(e)下の利益を主張し、その内容がその全体において参照により本明細書において組み入れられる。
【0002】
2. 配列リスト、表、又はコンピュータプログラムの参照
配列リストを本明細書と同時に提出する。
【0003】
3. 発明の属する技術分野
本開示は、とりわけ、プロガストリンについて特異的な抗体を含む組成物を投与することにより乳癌及びその再発を処置及び防止する方法に向けられる。
【0004】
4. 背景
数十年の基礎及び臨床研究にもかかわらず、乳癌は、主に女性に影響を及ぼす(男性もこの疾患と診断されるが)最も致命的な非伝染性疾患の1つのままである。世界保健機関の国際がん研究機関のGLOBOCANプロジェクトによれば、2008年に乳癌の発生は140万近くであり、同年に45万を超える女性がこの疾患により殺されたと推定された。多くのことが、近年、乳癌が分子レベルでどのように作用するかについて学ばれてきたが、臨床医は、依然として、一世代前の癌専門医が精通してきたであろう治療様式(例えば手術、放射線、ホルモン治療、及び化学療法など)に頼っている。早期診断が、画像テクノロジー及び分子診断における進歩(任意の処置の成功における大きな要因)により可能になった。全てのこれらの処置の効力が長年にわたり改善されてきたが、治癒率における改善及び寿命における増加は漸進的である。分子腫瘍学における革命に起因する新たな標的治療さえ、大半の部分について、適度にだけ転帰を改善してきた。例えば、ハーセプチン(登録商標)は、HER2受容体を標的とし、腫瘍がHER2陽性である乳癌を有する女性の20〜25%だけに効果的である。
【0005】
乳癌患者を管理する最も困難な局面の2つは、転移及び再発である。
【0006】
転移は、乳癌が原発腫瘍から遠隔臓器に広がる場合に生じる。原発腫瘍を切除することはしばしば可能であるが、患者を頻繁に殺してしまうことになるのは転移である。なぜなら、それらは、外科的に処置するには多すぎる、又は、健常宿主組織と絡み合うためである。米国癌協会によれば、2001年及び2002年にステージIIIBの乳癌と最初に診断された患者についての米国における5年生存率は41%であり、ステージIV(即ち、転移性乳癌)ではわずか15%にまで下落した。
【0007】
再発は、それにより、乳癌が、処置に最初は応答し、見かけ上消失した後に戻る現象である。患者及びその家族に与えられた感情的負担とは別に、再発が問題になる。なぜなら、戻った癌が、最初の癌と闘うために効果的であった治療にあまり応答性がないことがあるからである。他の患者については、最初の癌のための前処置が、不可逆的な副作用(例えば心臓又は神経損傷など)を起こしたであろう。そのような患者においては、再発癌と闘うために同じ治療を使用するリスクが大きすぎることがある。これらの状況下では、患者は、同時により大きな死亡のリスクを伴うより少ない処置の選択肢しか有しない。
【0008】
手術、放射線処置、ホルモン治療、化学療法における改善及び標的治療の出現によって乳癌に罹った患者の寿命が増加してきたが、多くのそのような患者は診断から数ヶ月から数年以内に死亡し続けている。緊急の必要性が、従って、乳癌及びその再発に対して効果的な新たな処置について存在する。
【0009】
5. 要約
プロガストリンに特異的に結合する抗体を含む組成物の治療に効果的な量を投与することにより、プロガストリン感受性乳癌のための処置を必要とする患者を処置するための方法を提供する。一部の実施態様において、乳癌は転移性であり、骨、肺、肝臓、又は脳に広がっている。他において、乳癌は原発性乳癌である。多数の実施態様において、組成物の抗体は、プロガストリン感受性乳癌細胞の増殖を低下させる又は細胞死の率を増加させる、乳癌転移の平均数又はサイズを低下させる、あるいは処置された患者においてプロガストリンの血中濃度を低下させるために効果的である。
【0010】
一部の実施態様において、組成物は、手術又は放射線治療の前又は後に、あるいは、乳癌を処置するために効果的な化学療法剤又はホルモン治療剤の投与の前に、それと同時に、又はその後に投与することができる。組成物は、また、プロガストリン以外に対して特異性を有する、乳癌に対して効果的な第2の治療用抗体の前に、それと同時に、又はその後に投与することができる。これらの実施態様の一部において、第2抗体はVEGF又はHER2に対して特異性を有し、ベバシズマブ、トラスツズマブ、及びペルツズマブでありうる。
【0011】
また、プロガストリン感受性乳癌の防止を必要とする患者に、プロガストリン感受性乳癌を防止するために効果的な量で、プロガストリンに特異的に結合する抗体を含む組成物を投与することによりプロガストリン感受性乳癌を防止するための方法を提供する。乳癌は原発性又は転移性でありうる。他の実施態様において、乳癌細胞はBRCA1又はBRCA2遺伝子において変異を含む。
【0012】
多数の実施態様において、組成物の抗体は、プロガストリン感受性乳癌細胞の増殖を低下させる又は細胞死の率を増加させる、あるいは処置された患者においてプロガストリンの血中濃度を低下させるために効果的である。
【0013】
一部の実施態様において、組成物は、プロガストリン感受性乳癌を防止するために効果的な化学療法剤又はホルモン治療剤の投与と同時に又はその後に投与することができる。組成物は、また、プロガストリン以外(例えばHER2など)に対して特異性を有するプロガストリン感受性乳癌を防止するために効果的な第2の治療用抗体と同時に又はその後に投与することができる。
【0014】
また、プロガストリン感受性乳癌の再発の防止を必要とする患者に、プロガストリン感受性乳癌の再発を防止するために効果的な量で、プロガストリンに特異的に結合する抗体を含む組成物を投与することによりプロガストリン感受性乳癌の再発を防止するための方法を提供する。これらの方法の一部において、患者は乳癌のための処置(例えば手術、放射線治療、生物学的治療、免疫療法、ホルモン治療、及び化学療法など)を以前に受けており、その後、乳癌は見かけ上消失した。
【0015】
多数の実施態様において、組成物の抗体は、プロガストリン感受性乳癌細胞の増殖を低下させる又は細胞死の率を増加させる、あるいは処置された患者においてプロガストリンの血中濃度を低下させるために効果的である。他の実施態様において、組成物は、例えば、プロガストリン以外に対して特異性を有する抗体を含む、プロガストリン感受性乳癌を防止するために効果的な第2の治療用薬剤と同時に又はその後に投与することができる。
【0016】
また、プロガストリン感受性乳癌幹細胞の成長の阻害を必要とする患者に、前記プロガストリン感受性乳癌幹細胞を阻害するために効果的な量で、プロガストリンに特異的に結合する抗体を含む組成物を投与することにより患者においてプロガストリン感受性乳癌幹細胞の成長を阻害するための方法を提供する。
【0017】
多数の実施態様において、組成物の抗体は、プロガストリン感受性乳癌幹細胞の増殖を低下させる又は細胞死の率を増加させる、あるいは処置された患者においてプロガストリンの血中濃度を低下させるために効果的である。他の実施態様において、組成物は、プロガストリン感受性乳癌幹細胞の成長を阻害するために効果的な第2の治療用薬剤、例えば、プロガストリン以外に対して特異性を有する抗体と同時に又はその後に投与することができる。
【0018】
また、乳癌のための処置後に患者から得られた第1サンプル(例えば体液又は乳癌の生検など)においてプロガストリンの濃度を決定することにより、及び、次に、第1サンプル中のプロガストリンの濃度を、同じ患者から得られた第2サンプル中のそれと比較することにより、患者においてプロガストリン感受性乳癌のための処置(例えば化学療法、生物学的治療、免疫療法、又は抗体治療など)の効力をモニターするための方法を提供し、そこで、前記第1サンプルと比較した、前記第2サンプル中のプロガストリンの濃度の低下は、処置が効果的であったことを示す。
【0019】
方法の一部の実施態様において、第2サンプルを、患者を乳癌について処置する前、又は処置後(しかし、第1サンプルを得る前)に得る。他の実施態様において、プロガストリンについて特異的な抗体を用いたアッセイ(例えばRIA又はELISAなど)を使用して、第1サンプル中のプロガストリンの濃度を決定する。
【0020】
また、乳癌を有することが疑われる患者から得られたサンプル(例えば体液など)におけるプロガストリンの濃度を決定することにより、及び、次に、サンプル中のプロガストリンの濃度を所定値と比較することにより、患者における乳癌の存在を診断するための方法を提供し、そこで、所定値と比較した、サンプル中のプロガストリンの上昇レベルは、患者における乳癌の存在を示す。一部の実施態様において、所定値は、患者に乳癌が無いことが公知であった時に得られたサンプル値の平均に基づき、他において、所定値は母集団の平均に基づく。
【0021】
この方法の一部の実施態様において、患者は乳癌のために以前に処置されたが、サンプルが得られた時点で寛解になっている。他の実施態様において、この方法は、乳癌の存在を確認するための患者での第2の診断テスト(例えば、血液テスト、医学的画像テスト、又は遺伝子テストを含む)を実施する追加の工程を含む。一部の実施態様において、医学的画像テストはマンモグラムであり、他の実施態様において、遺伝子テストはBRCA1又はBRCA2遺伝子における変異を検出することである。さらに他の実施態様において、プロガストリンについて特異的な抗体を用いたアッセイ(例えばRIA又はELISAなど)を使用して、サンプル中のプロガストリンの濃度を決定する。
【0022】
上の方法における使用のための抗体組成物は、多数の異なる経路(例えば静脈内など)及び異なる方法(例えば注入による又はボーラスによるなど)により投与することができる。抗体の用量は、処置される被験者の性質及び必要性に依存して、広い範囲にわたり変動しうる。用量を、1つの設定において、複数の間隔を空けた設定にわたり投与することができる。
【0023】
異なる型の抗hPG抗体をこの方法において使用してもよい(例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(ヒト化されうる)、ならびにキメラ抗体、IgA1、IgA2、IgD、IgE、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、及びIgMのアイソタイプを有する抗体、及び一本鎖抗体を含む)。一部の他の実施態様において、抗体を、それらの機能又は特徴を有用に変える(例えば、しかし、血清半減期を増加させる)成分に結合させる。さらに他の実施態様において、アミノ酸の変化を、同様の目的、又は他の目的のためにもたらすことができる。プロガストリンについての抗体親和性は、治療効力が維持される限り、広く変動しうる。一部の実施態様において、抗体は、プロガストリンの1つのエピトープだけを認識する。他の実施態様において、プロガストリンの異なるエピトープについて特異的な抗体の混合物を使用することができる。
【0024】
また、患者への抗プロガストリン抗体組成物の投与を促進するためのキットを提供する。一部の実施態様において、キットは、凍結乾燥形態中の又は水溶液としての抗プロガストリン抗体、希釈剤(例えば医薬グレード水又は緩衝液など)、及び抗プロガストリン抗体を投与するためのデバイス(例えばシリンジ及びニードルなど)を含む。他の実施態様において、キットは、加えて、第2の治療用薬剤(例えば、しかし、限定しないが、開示の化学療法剤など)、又はその他を含みうる。
【0025】
転移性結腸直腸癌を処置する方法における使用のための抗体は、プロガストリンについての広範な結合親和性、例えば、約5000nM、又はさらにより高く、例えば、少なくとも約4000nM、3000nM、2000nM、1000nM、900nM、800nM、700nM、600nM、500nM、400nM、300nM、200nM、100nM、90nM、80nM、70nM、60nM、50nM、40nM、30nM、25nM、20nM、15nM、10nM、7nM、6nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM、0.1nM、0.01nM、又は0.001nMを有しうる。
【0026】
開示する方法の特定の実施態様において、本明細書に開示するモノクローナル抗体を使用してもよい(例えば、MAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19、MAb20、MAb21、MAb22、MAb23、又はその他を含む)。
【0027】
開示する方法の他の実施態様において、本明細書に開示するモノクローナル抗体を使用してもよい(例えば、重鎖可変領域(V)を有するモノクローナル抗体を含み、それにおいて、第1CDRは、V CDR1.3、V CDR1.4、V CDR1.8、V CDR1.13、V CDR1.16、V CDR1.19より選択され、第2CDRは、V CDR2.3、V CDR2.4、V CDR2.8、V CDR2.13、V CDR2.16、V CDR2.19より選択され、及び、第3CDRは、V CDR3.3、V CDR3.4、V CDR3.8、V CDR3.13、V CDR3.16、V CDR3.19より選択される)。これらのCDRの特定の配列を以下に記載する。他の有用な抗体は軽鎖領域(V)を有し、それにおいて、第1CDRは、V CDR1.3、V CDR1.4、V CDR1.8、V CDR1.13、V CDR1.16、V CDR1.19より選択され、第2CDRは、V CDR2.3、V CDR2.4、V CDR2.8、V CDR2.13、V CDR2.16、V CDR2.19より選択され、及び、第3CDRは、V CDR3.3、V CDR3.4、V CDR3.8、V CDR3.13、V CDR3.16、V CDR3.19より選択される。これらのCDRの特定の配列も以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、SW480細胞と比べた、3つのヒト転移性乳癌細胞株の間でガストリン遺伝子発現レベルを比較するグラフを提供する。
【図2】図2は、異なる患者からの原発性乳房腫瘍における相対的ガストリン遺伝子発現レベルを比較するグラフを提供する。
【図3】図3は、異なる患者からの転移性乳房腫瘍における相対的ガストリン遺伝子発現レベルを比較するグラフを提供する。
【図4】図4は、健常コントロールと比較した、原発腫瘍が切除された転移性乳癌を伴う患者における血液プロガストリン濃度を示すグラフを提供する。
【図5】図5は、培養中のMDA−MB−231転移性乳癌細胞の成長に対するコントロール及び抗hPGポリクローナル抗体の効果を比較するグラフを提供する。
【図6】図6は、培養中のMDA−MB−231転移性乳癌細胞の成長に対するコントロールならびに抗hPGモノクローナル抗体MAb3及びMAb8の効果を比較するグラフを提供する。
【図7】図7は、培養中のMDA−MB−231転移性乳癌細胞の成長に対するコントロールならびに抗hPGモノクローナル抗体MAb8、MAb13、MAb16、及びMAb19の効果を比較するグラフを提供する。
【図8】図8は、培養中のMCF−7転移性乳癌細胞の成長に対するコントロール及び抗hPGモノクローナル抗体の効果を比較するグラフを提供する。
【図9】図9は、培養中のT47D転移性乳癌細胞の成長に対するコントロール及び抗hPGモノクローナル抗体の効果を比較するグラフを提供する。
【図10】図10は、通常の組織培養条件及び低付着培養条件下での2つの異なる転移性乳癌細胞株の成長に関連するガストリン遺伝子発現の相対量を比較するグラフを提供する。
【図11】図11は、低付着培養条件下でのMCF−7転移性乳癌細胞のスフェロイドとしての成長に対するコントロール及び抗hPGモノクローナル抗体MAb8の効果を比較するグラフを提供する。
【図12】図12は、低付着培養条件下でのMCF−7転移性乳癌細胞のスフェロイドとしての成長に対するコントロール及び抗hPGモノクローナル抗体MAb3の効果を比較するグラフを提供する。
【図13】図13は、ヒトプレプロガストリン(配列番号100)(そこでシグナルペプチド配列に下線が付いている)、成熟ヒトプロガストリン(配列番号101)、及びプロガストリンプロセシングの特定産物(G34(配列番号102)、G34−Gly(配列番号103)、G17(配列番号104)、G17−Gly(配列番号105)、及びCTFP(配列番号106)を含む)のアミノ酸配列を提供する。
【図14A】図14は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図14Aは、マウス抗hPG MAb3のV鎖のポリペプチド配列(配列番号12)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号16)を提供する;
【図14B】図14は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図14Bは、マウス抗hPG MAb3のV鎖のポリペプチド配列(配列番号13)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号17)を提供する;
【図14C】図14は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図14Cは、マウス抗hPG MAb4のV鎖のポリペプチド配列(配列番号14)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号18)を提供する;
【図14D】図14は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図14Dは、マウス抗hPG MAb4のV鎖のポリペプチド配列(配列番号15)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号19)を提供する;
【図14E】図14は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図14Eは、マウス抗hPG MAb8のV鎖のポリペプチド配列(配列番号59)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号67)を提供する;
【図14F】図14は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図14Fは、マウス抗hPG MAb8のV鎖のポリペプチド配列(配列番号63)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号71)を提供する;
【図14G】図14は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図14Gは、マウス抗hPG MAb13のV鎖のポリペプチド配列(配列番号60)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号68)を提供する;
【図14H】図14は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図14Hは、マウス抗hPG MAb13のV鎖のポリペプチド配列(配列番号64)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号72)を提供する;
【図14I】図14は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図14Iは、マウス抗hPG MAb16のV鎖のポリペプチド配列(配列番号61)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号69)を提供する;
【図14J】図14は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図14Jは、マウス抗hPG MAb16のV鎖のポリペプチド配列(配列番号65)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号73)を提供する;
【図14K】図14は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図14Kは、マウス抗hPG MAb19のV鎖のポリペプチド配列(配列番号62)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号70)を提供する;及び
【図14L】図14は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図14Lは、マウス抗hPG MAb19のV鎖のポリペプチド配列(配列番号66)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号74)を提供する;
【図15A】図15は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図15Aは、ヒト化MAb3のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号21);
【図15B】図15は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図15Bは、ヒト化MAb3のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号22);
【図15C】図15は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図15Cは、ヒト化MAb4のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号23);
【図15D】図15は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図15Dは、ヒト化MAb4のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号24);
【図15E】図15は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図15Eは、ヒト化MAb8(a)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号75);
【図15F】図15は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図15Fは、ヒト化MAb8(a)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号76);
【図15G】図15は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図15Gは、ヒト化MAb8(b)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号77);
【図15H】図15は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図15Hは、ヒト化MAb8(b)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号78);
【図15I】図15は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図15Iは、ヒト化MAb8(c)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号79);
【図15J】図15は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図15Jは、ヒト化MAb8(c)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号76);
【図15K】図15は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図15Kは、ヒト化MAb13(a)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号80);
【図15L】図15は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図15Lは、ヒト化MAb13(a)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号81);
【図15M】図15は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図15Mは、ヒト化MAb13(b)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号82);
【図15N】図15は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図15Nは、ヒト化MAb13(b)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号83);
【図15O】図15は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図15Oは、ヒト化MAb16(a)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号84);
【図15P】図15は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図15Pは、ヒト化MAb16(a)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号85);
【図15Q】図15は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図15Qは、ヒト化MAb16(b)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号86);
【図15R】図15は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図15Rは、ヒト化MAb16(b)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号87);
【図15S】図15は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図15Sは、ヒト化MAb16(c)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号88);
【図15T】図15は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図15Tは、ヒト化MAb16(c)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号89);
【図15U】図15は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図15Uは、ヒト化MAb19(a)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号90);
【図15V】図15は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図15Vは、ヒト化MAb19(a)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号91);
【図15W】図15は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図15Wは、ヒト化MAb19(b)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号92);
【図15X】図15は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図15Xは、ヒト化MAb19(b)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号93);
【図15Y】図15は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図15Yは、ヒト化MAb19(c)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号94);及び
【図15Z】図15は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図15Zは、ヒト化MAb19(c)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号95)。
【0029】
7. 詳細な説明
7.1. 乳癌
女性の乳房の大半の癌は、母乳を産生する腺又は小葉から母乳を運ぶ役割を果たす腺管の内側を覆う細胞中で開始する。そのような乳癌は腺管癌として言及される。他の乳癌は小葉の内側を覆う細胞中で開始し、小葉癌と呼ばれる。少数の乳癌が、乳房を含む他の組織(間質を含む)中で開始し、それは、腺管及び小葉、リンパ管、ならびに血管周囲の脂肪及び結合組織である。
【0030】
ほぼ全ての乳癌が癌腫であり、腺管又は小葉の内側を覆う上皮細胞中で開始する。そのような癌は、腺管癌及び小葉癌としてそれそれ公知である。乳癌は、また、肉腫として開始することができ、それは、乳房の結合組織(筋肉、脂肪、又は血管を含む)中で形成する。
【0031】
特定の型の乳癌は、しかし、必ずしも限定しないが、腺管上皮内癌、非浸潤性小葉癌、浸潤性(又は侵襲性)腺管癌、浸潤性(又は侵襲性)小葉癌を含む。あまり一般的ではない型の乳癌は、炎症性乳癌、トリプルネガティブ乳癌、混合腫瘍、髄様癌、異形成癌、粘液癌、乳頭のパジェット病、管状癌、乳頭癌、腺様嚢胞癌(腺細胞癌)、葉状腫瘍、及び血管肉腫を含む。
【0032】
7.2. 乳癌転移
転移は、癌が広がるプロセスを指す。簡単には、腫瘍細胞は、原発腫瘍を離れ、血液循環又はリンパ系を介して新たな組織部位へ移動し、二次腫瘍を形成する。新たな組織部位の腫瘍は転移性腫瘍として言及され、典型的には、原発腫瘍の供給源を同定する。例えば、他の組織に広がっている乳癌は、二次性の転移性腫瘍の組織部位にもかかわらず、「転移性乳癌」として言及される。乳癌が転移する最も共通の臓器は骨、肺、肝臓、又は脳であるが、しかし、乳癌は他の臓器にも広がりうる。
【0033】
癌細胞は原発腫瘍の近くのリンパ節に頻繁に広がり、それはリンパ節転移又は局所疾患と呼ばれる。
【0034】
任意の特定の演算理論により限定されることを望まないが、転移は、多数の別々のステップ(浸潤及び遊走、脈管内への侵入、循環、血管外遊出及びコロニー形成、増殖及び血管新生を含む)からなると考えられる。浸潤及び遊走の間に、個々の細胞はそれ自体が原発腫瘍から剥離し、隣接する健常組織に浸潤する。これを達成するために、癌細胞は運動性にならなければならず、これを促進する、上皮から間葉への移行と呼ばれる表現型の形質転換を受けると仮定される。Kalluri, R., et al., J. Clin.Invest., 119(6) (2009), 1420-28。そのような細胞は、細胞外マトリックスを分解する酵素を産生し、それにより、原発腫瘍及び周囲の健常組織外への遊走を促進しうる。癌細胞が血管又はリンパ管に遭遇する場合、それは、血管を覆う内皮細胞の間にそれ自体を挿入し、血流又はリンパ系中に侵入する。異常細胞は、次に、循環器系又はリンパ系を介して新たな臓器に又はリンパ節に移動する。癌細胞は、次に、臓器(例えば肝臓、肺、又は他の組織もしくは臓器など)の毛細血管又はリンパ管に留まり、次に、組織空間中へ内皮に侵入することにより血管外遊出しうる。最後に、コロニー形成、増殖、及び血管新生の間に、新生物細胞はその新たな宿主組織中に居を定めて、成長を始める。新たな転移性腫瘍が十分なサイズに達する場合、それは、成長因子(例えばVEGFなど)を分泌し、腫瘍中への新たな血管の成長を刺激し、急速に成長する腫瘍に酸素及び栄養を供給しうる。
【0035】
7.3. 乳癌の再発
乳癌の再発は、乳癌を見かけ上消失させた処置の後での乳癌の戻りとして定義される。戻りの乳癌が最初の癌と同じ場所にある、又はそれに非常に近接している場合(例、同じ乳房における又は乳房切除術の瘢痕の近く)、それは局所再発として公知である。反対側の乳房において見出される癌は、再発ではなく、新たな癌であると考えられる。戻りの乳癌が、最初の癌の場所の近くのリンパ節又は組織において成長する場合、それは局所再発として公知であり、戻りの乳癌が、最初の癌の場所から遠い臓器又は組織に転移した場合、それは遠隔再発として公知である。
【0036】
7.4. 癌幹細胞及び乳癌
固形腫瘍は必ずしも均質な組織ではない。むしろ、一部の腫瘍は、別々の表現型特性及び機能特性を有する複数の異常な細胞型を含む。この点において、そのような腫瘍は異常な臓器に類似する。固形腫瘍を含む細胞の間での1つの重要な違いは、同じ宿主中の新たな部位に、又は同じもしくは異なる種の新たな宿主に移植した場合に新たな腫瘍の形成を開始することが可能である範囲である。この特性を有する細胞は、腫瘍又は癌を開始する細胞、又は、あるいは、腫瘍又は癌幹細胞として公知である。対照的に、腫瘍を構成する他の細胞は、より多くの細胞が使用される場合でさせ、移植後の新たな腫瘍を開始する潜在力はずっと低い。1つの非限定的な例において、癌幹細胞の表現型を有する乳癌細胞株に由来する100倍少ない細胞が、幹細胞の表現型を欠く同じ細胞株からの細胞と比較して、マウスにおいて新たな腫瘍を形成することができた。Gupta, P.B., et al., "Identification of selective inhibitors of cancer stem cells by high-throughput screening," Cell, 13864-659 (2009).また、Filmore, C.M. and C. Kuperwasser, "Human breast cancer cell lines contain stem-like cells that self-renew, give rise to phenotypically diverse progeny and survive chemotherapy," Br. Cancer Res., 10: R25 (2008)を参照のこと。
【0037】
多くの腫瘍において、癌幹細胞は、腫瘍内に存在する全ての生存可能な細胞の比較的小さな割合を構成する。対照的に、腫瘍の塊を構成する腫瘍細胞の大多数が、移植した場合に新たな腫瘍を開始することはできない。しかし、一部の腫瘍において、癌幹細胞が、腫瘍を構成する大多数、又はさらには全ての細胞を構成しうる。本明細書において使用する通り、塊の腫瘍細胞は、そのような細胞の多数が使用されない場合、移植時に新たな腫瘍を開始することができない腫瘍細胞を指す。癌幹細胞は、また、塊の腫瘍細胞とは異なる表現型の特徴を有する(比較的少数の癌幹細胞の移植時に新たな腫瘍を自己再生及び形成する能力、及び蛍光活性化細胞選別(FACS)又は他のアッセイにより検出可能な異なるマーカーの発現を含む)。癌幹細胞と塊の腫瘍細胞の間での他の区別も可能である。
【0038】
操作の任意の特定の演算理論により拘束されることを望まないが、癌幹細胞は、癌幹細胞の状況において、腫瘍を生じるそれらの能力に寄与する、正常幹細胞と特定の特性を共有すると考えられる。特に、癌幹細胞は非対称細胞分裂を受けて、2つの型の娘細胞を産生する。最初のものは未分化のままであり、それ自体を無限に再生することができる、その親の幹細胞の特徴を保持する。他の娘は、前駆細胞と呼ばれ、異常にではあるが、分裂及び分化することが可能であり、多くの固形腫瘍において見出される多くの分化細胞のスペクトラムを生じる。前駆細胞は幹細胞よりも高い速度で増殖し、このように、腫瘍の物理的成長に寄与するのに対し、幹細胞は、新たな前駆体を生成することにより、無限に成長する腫瘍の能力に関与している。
【0039】
これらの特性によって、癌幹細胞は、最終的に、成長する腫瘍を構成する多数の細胞を生じることが許される。このように、新たな動物中に移植した場合、癌幹細胞は、複数の連続移植後でさえ、それらが由来した腫瘍の型を再構成しうる。癌幹細胞は、しかし、正常な幹細胞とは異なり、変化した増殖パターン及び/又は低率のアポトーシスをもたらしうる遺伝子変異及び/又はエピジェネティック変化を持ち、ならびに、腫瘍の塊を構成しうる異常細胞の蓄積を起こす異常分化をもたらす。
【0040】
癌幹細胞は、それらを塊の腫瘍細胞から区別する多数の表現型の特徴に従って同定することができる。最初に、上に記述した通り、癌幹細胞は、新たな宿主中に移植された場合、新たな腫瘍を開始する能力を有する。対照的に、塊の腫瘍細胞は、新たな腫瘍を開始することができない、又は、新たな腫瘍の開始を達成するために、癌幹細胞よりも多くの細胞を要求する。癌幹細胞は、また、特定のマーカーのそれらでの発現又は非発現により同定可能であるのに対し、同じ腫瘍からの塊の腫瘍細胞は、マーカー発現の異なるパターンを有する。癌幹細胞は、また、塊の腫瘍細胞と比較して、無血清の低付着培養条件下で成長し、いわゆるスフェロイドを形成する優先的な能力を有する。塊の腫瘍細胞から癌幹細胞を区別することが可能な他の表現型の違いが可能である。
【0041】
上に記述した通り、癌幹細胞は、また、単独で又は他との組み合わせで、特定のマーカーの発現パターンに従って同定されうる。異なる腫瘍からの癌幹細胞は、しかし、異なるマーカー表現型を示しうる。そのようなマーカーは、細胞内で、又は細胞表面上で発現されるタンパク質を含み、種々の技術(しかし、限定しないが、免疫組織化学、免疫蛍光、及びFACS分析を含む)を使用して検出することができる。マーカーを検出するための他の技術が、また、当業者の知識に従って可能である。マーカーは、また、その活性を癌幹細胞において機能的にアッセイすることができるタンパク質を含む。マーカーの型の非限定的な例は、トランスポータータンパク質(例えば、細胞から物質を輸送する又は細胞中に物質を取り込むものなど)、酵素(例えば解毒酵素など)を含む。
【0042】
乳癌幹細胞を同定するために使用されうる例示的なマーカーは、しかし、限定しないが、CD44、CD24、及びESAを含む。乳癌幹細胞を同定するための有用な他のマーカーも可能である。一部の実施態様において、マーカーの発現の非存在は、癌幹細胞の表現型を示している。本開示の一部の実施態様において、乳癌幹細胞は、FACS、又は当業者が精通している他の技術を使用して、以下のマーカー表現型により同定されうる:CD44(+)/CD24(−)、CD44(+)/CD24(低)、及びCD44(+)/CD24(−)/ESA(+)。他のマーカーの発現、ならびにそれらの組み合わせ及びパターンは、また、これらの癌、ならびに他の型の癌における癌幹細胞を同定するために使用されうる。本開示の他の実施態様において、乳癌幹細胞は、FACS分析を使用し、特定の色素を除外するそれらの優先的能力に従って、いわゆる副集団に選別されたそれらの細胞として同定されうる。そのような色素の1つの非限定的な例は、Hoechst色素33342である。
【0043】
上に記述する通り、癌幹細胞は、また、新たな宿主中への移植後に新たな腫瘍成長を開始するそれらの増加した能力により、塊の腫瘍細胞から区別することができる。このように、癌幹細胞であることが疑われる細胞集団の同一性を確認するための1つの方法は、非ヒトレシピエント動物中への移植後に、腫瘍成長を開始するそれらの能力をテストすることである。
【0044】
腫瘍又は細胞株が癌幹細胞を含むか否かを評価するために有用な移植の方法は、当業者が精通している。非限定的な例として、癌幹細胞を含むことが疑われる腫瘍、又はその一部を、例えば外科的切除などにより単離する。その後、腫瘍組織を刻み、酵素、又は腫瘍を脱凝集し、その構成細胞を放出するために効果的な任意の他の処理を用いて処理する。あるいは、細胞株が分析下にある場合、酵素的又は化学的処理を用いて細胞を解離することだけが必要でありうる。
【0045】
細胞懸濁液を調製した後、細胞を遠心により回収し、癌幹細胞に対応することが公知である亜集団を、当技術分野において公知の方法に従って単離する。上に考察する通り、1つの非限定的な例において、そのような細胞は、特定の抗体及び蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用して検出可能である、癌幹細胞を示しているマーカーの特定のパターンを発現する。他の実施態様において、癌幹細胞を含むことが疑われる亜集団は、他の表現型の特徴(例えば、特定の色素を除外するそれらの能力など)に従って単離することができる。
【0046】
関連する細胞亜集団を単離した後、所定の数のそのような細胞を、次に、レシピエント動物における1つ又は複数の標的組織又は臓器中に移植する。一部の実施態様において、レシピエント動物は、免疫不全マウス(しかし、限定しないが、ヌードマウス、重症複合免疫不全(SCID)を伴うマウス、及び非肥満−糖尿病SCID(NOD−SCID)マウスを含む)である。他の種を、また、当業者の知識に従って使用することができる。
【0047】
細胞を、脂肪パッド(例えば、マウスの乳房脂肪パッドなど)中に、脳、膵臓、もしくは肝臓中に、又は腎臓中(例えば腎被膜中など)に皮下移植することができる。細胞を他の組織及び臓器中にも移植することができる。一部の実施態様において、標的組織又は臓器を選び、分析下の腫瘍が由来する組織又は臓器を複製する。しかし、他の実施態様において、別々の組織又は臓器を選び、それにおいて移植細胞の宿主とする。非限定的な例として、結腸癌幹細胞をNOD−SCIDマウスの腎被膜中に移植し、新たな腫瘍を開始するそれらの能力を評価することができる。
【0048】
移植(当業者が精通する技術を使用してもたらされる)後、細胞を乱されないように放置し、新たな腫瘍が移植部位で成長するか否かを決定する。皮下移植された細胞については、腫瘍成長は、移植部位の目視検査及び触診により評価することができる。腫瘍が成長する場合、そのサイズを、ノギスを使用して、時間を通して測定することができる。内部臓器中に移植した細胞については、動物を移植後の所定の時間に屠殺してもよく、腫瘍が存在するか否か、及び、存在する場合、そのサイズを決定する。あるいは、当業者の知識に従って、非浸潤性の技術を使用して、腫瘍成長を評価することができる。
【0049】
癌幹細胞の表現型は、また、無血清の低付着培養条件下でスフェロイドとして成長する癌幹細胞の優先的な能力により特徴付けられるのに対し、塊の腫瘍細胞は同じ条件下でスフェロイドとして成長することができる可能性は低くなる。スフェロイドは、特定の細胞が脱凝集した懸濁液として播種された後に培養中で成長する際に形成する圧縮した細胞球である。そのようなスフェロイドの形成は、細胞を、一般的には、特定の成長因子(しかし、限定しないが、上皮成長因子(EGF)及び塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を含む)の存在において、及び、哺乳動物細胞が十分に付着しない表面を有する組織培養皿において、無血清培地(例、MammoCult(登録商標)、StemCell Technologies, Inc., Vancouver, Canadaより入手可能)中で成長させる場合に促進される。正常組織からの幹細胞と同様に、癌幹細胞が適切な培養条件下でスフェロイドとして優先的に成長することが発見されている。例えば、Rappa, G., et al., Exp.Cell Res., 314: 2110 (2008);Singh, S.K., et al., Cancer Res., 63:5821 (2003);Fang, D., et al., Cancer Res., 65:9328 (2005)を参照のこと。対照的に、塊の腫瘍細胞は、より高度に分化する傾向があり、同一の培養条件下でスフェロイドを形成する可能性が低くなる。塊の腫瘍細胞がスフェロイドを形成することができる場合、それらは、同様の数の癌幹細胞により形成されるものと比較して、小さく及び/又は数が少ない傾向にある。
【0050】
7.5. 癌幹細胞及び乳癌再発
放射線及び/又は化学療法剤に対して増強した抵抗性を示す癌幹細胞の特性を伴う腫瘍細胞が同定されている。異なる分子機構が、放射線又は化学療法剤に対する癌幹細胞の抵抗性を説明するために提案されている。例えば、特定の癌幹細胞が遺伝毒性傷害後にそれらのDNAをより容易に修復することができうるのに対し、他の癌幹細胞は、高レベルの抗アポトーシスタンパク質又はそのような細胞に入る化学療法剤を除去するために効果的な分子ポンプを発現すると報告されている。Eyler, C.E., and J.N. Rich, J. Clin.Oncol., 26:2839-2845 (2008)。癌幹細胞が前駆細胞よりも遅く増殖することも、また、塊の腫瘍細胞を殺しうる放射線及び毒性化学療法剤への暴露を生き残る幹細胞の比較の能力を説明しうる。
【0051】
操作の任意の特定の演算理論により拘束されることを望まないが、癌幹細胞が放射線及び化学療法に抵抗性であるという観察は、そのような治療を用いて処置された癌患者における再発の現象を説明しうる。Eyler(上記を参照)そのような患者において、処置は最初は効果的であり、診断スキャンにおいて腫瘍の見かけ上の収縮又は消失を起こすが、しかし、腫瘍は、処置を止めていくらかの時間後に再出現する。
【0052】
再発の機構における癌幹細胞の役割に関して、大半の又はさらには全ての塊の腫瘍細胞が治療により殺されるが、放射線又は化学療法の効果に抵抗するそれらの増強した能力のため、多数の生存する生存可能な癌幹細胞が残ると仮定される。治療が終わった後、これらの生存細胞は成長し続け、最初の腫瘍の再形成又は新たな腫瘍の形成を許す。
【0053】
この理論と一致し、化学療法剤を用いた、ヒト乳癌細胞株を用いて移植されたマウスの処置が、癌幹細胞の特徴を有する腫瘍からの細胞について選択し、その割合を濃縮するために効果的であることが報告された。Yu, F., et al., 2007,"let-7 Regulates self renewal and tumorigenicity of breast cancer cells," Cell 131:1109-23。
【0054】
乳癌幹細胞が放射線及び化学療法剤の両方に耐性であるとの観察は、そのような細胞が乳癌の再発に関与していることを示唆する。Phillips, T.M., et al., "The response of CD24-/low/CD44+ breast cancer-initiating cells to radiation," J. Natl.Canc.Inst., 98(24): 1777-1785 (2006), Gupta, P.B., et al., and Filmore, C.M. and C. Kuperwasser(上記を参照)。
【0055】
7.6. 乳癌におけるプロガストリンの役割の理解における進歩
実施例においてさらに詳細に記載する通り、出願者らは、驚くべきことに、ガストリン遺伝子(GAST)が、3つの異なるヒト転移性乳癌細胞株MCF−7細胞、MDA−MB231細胞、及びT47D細胞において、コントロール細胞株と比較して、様々なレベルで発現していることを発見している。インビトロ実験からのデータに関連して、出願者らは、また、驚くべきことに、ガストリン遺伝子がヒト乳癌患者から得られた105個の原発性乳癌の内からの27個で及び25個の転移性乳癌の内の7個で、様々なレベルで発現していることを発見した。
【0056】
なぜなら、プロガストリンはガストリン遺伝子の産物(同じ遺伝子産物から翻訳後にプロセシングされた他のペプチドと共に)であるため、インビトロ及びインビボでのガストリン遺伝子発現試験からのデータは、一部の、しかし、全てではない原発性及び転移性乳癌がプロガストリンタンパク質を分泌することを示唆する。転移性乳癌に関する確認は、原発腫瘍が除去された転移性乳癌と診断された患者の間でのPGの平均血液レベルが、健常コントロールの血液中のものと比較して、より高いという出願者らによる観察から来る。このように、転移性乳癌はPGを分泌し、それは血液中で検出することができる。正常レベルよりも高いPGが、また、原発性乳癌と診断された特定の患者の血液中で検出された。診断テストは、従って、乳癌を有することが疑われる患者における血液PGレベルを、癌を伴わない健常患者における血液PGレベルと比較することにより、患者において乳癌の存在を検出することが可能である。血液の血漿及び/又は血清中のPGのレベルを、本開示の中和性又は非中和性抗体を使用して、技術、例えば、しかし、限定しないが、RIA又はELISAなどを使用して検出することができる。正常レベルよりも高い血液PGに基づく乳癌の仮診断を、次に、他のテスト、例えば医学的画像テスト、例えば、CT又はMRIなどを使用して確認することができる。
【0057】
出願者らは、また、驚くべきことに、特定のヒト転移性乳癌細胞株(例、MCF−7細胞及びMDA−MB−231細胞)の培養における成長が、hPGを特異的に認識するポリクローナル及び/又はモノクローナル抗体を用いた処置により阻害されることを発見している。MDA−MB−231細胞を使用した実験は、抗hPGモノクローナル抗体を使用した阻害効果が用量反応性であること、及び、阻害効果がプロガストリンのN末端及びC末端の両方を認識する抗体により媒介されうることを実証した。対照的に、hPGに対するモノクローナル抗体を用いてT47Dヒト転移性乳癌細胞株を処置することは、そのような細胞の成長に有意に影響を及ぼさなかった。これらの驚くべき発見は、一部の、しかし、全てではないヒト転移性乳癌細胞がPGに感受性であること、及び、そのような細胞の成長が、中和性抗hPG抗体を用いた処置により阻害されうることを意味すると解釈される。
【0058】
PG感受性の乳癌細胞は、その生存及び/又は成長のために、直接的又は間接的に、プロガストリンに少なくとも部分的に依存するものである。操作の任意の特定の演算理論により拘束されることを望まないが、中和性抗PG抗体は、PGに結合し、PG依存性のシグナル伝達を遮断することにより、そのような細胞の生存及び/又は成長を阻害するために効果的であることが仮定される。プロガストリンは、従って、その生存及び/又は成長促進効果を媒介することが防止される。抗PG抗体が乳癌細胞の生存及び/又は成長を阻害する他の機構が存在しうる。しかし、特定の作用機構は、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【0059】
hPGに対する中和性抗体が、特定のヒト転移性乳癌細胞の成長を阻害することができるとの観察に基づき、PG感受性の転移性乳癌を処置する方法が、治療的に効果的な量の中和性hPG抗体を、転移性乳癌のための処置を必要とする患者に投与することにより可能である。
【0060】
出願者らにより行われた他の実験は、驚くべきことに、転移性乳癌がPG感受性の乳癌幹細胞を含み、その成長を、中和性抗hPG抗体を用いた処置により阻害することができることを実証した。特に、出願者らは、MDA−MB−231細胞の約95%が表現型マーカーCD44+/CD24−を発現することを見出し、それによって、それらを乳癌幹細胞として同定した(実験は示さず)。なぜなら、MDA−MB−231細胞はPG感受性であり、ほぼ全てのこれらの細胞が乳癌幹細胞マーカーを発現するため、幹細胞はPG感受性である可能性が高い。これと一致して、T47D細胞は、PG感受性ではないことが見出され、CD44+/CD24−を発現する細胞を含まないのに対し(実験は示さず)、MCF−7細胞は、約1.6%のCD44+/CD24−細胞を含むことが報告されたが(Phillips, et al.、上記を参照)、また、抗hPG抗体の成長阻害効果に感受性であることが見出された。
【0061】
特定の乳癌幹細胞がPG感受性であるとの結論を裏付けるのは、MDA−MB−231細胞におけるガストリン遺伝子発現が、細胞を低付着培養条件(癌幹細胞の成長を支持する)下で成長させた場合に増加するとの観察であった。ガストリン遺伝子発現がMCF−7細胞において減少したが、しかし、低付着条件下で成長させた場合、そのような細胞からのPG分泌に対する影響はまだ公知ではない。
【0062】
MCF−7細胞の比較的低い割合がCD44+/CD24−を発現するにもかかわらず、出願者らは、MCF−7細胞を低付着培養条件下で成長させ、スフェロイド形成に対する特異的抗体処置の効果を決定することにより、乳癌幹細胞がPG感受性であるとの考えについてのさらなる裏付けを見出した。実施例において説明する通り、抗hPGモノクローナル抗体を用いた処理によって、コントロールと比較して、スフェロイドの数が低下した。なぜなら、低付着培養条件下でのスフェロイド形成は、癌幹細胞と関連する特性であるため、これらの結果は、MCF−7細胞(MDA−MB−231細胞など)が、PG感受性の乳癌幹細胞を含み、その成長が中和性抗体により阻害されることを示す。
【0063】
この研究上に構築し、出願者らは、また、異なる抗hPGモノクローナル抗体を用いてMCF−7細胞を前処理することの効果をテストし、細胞を、従来の培養条件下で成長させ、その後、抗体を除去し、細胞を低付着条件下で成長し続けることを許し、それによって癌幹細胞の成長について選択する。出願者らは、驚くべきことに、抗hPGモノクローナル抗体を用いて前処理したMCF−7細胞が、抗体が実験の低付着成長期の間に存在しないにもかかわらず、コントロールと比較して、より少ないスフェロイドを形成することを見出した。この結果は、MCF−7細胞が、中和性抗hPG抗体により阻害される乳癌幹細胞を含むこと、及び、そのような幹細胞の成長に対する阻害効果が、抗体の継続的な存在を要求しないことの両方を意味すると解釈される。
【0064】
特定の乳癌がPG感受性癌幹細胞を含む、及び、癌幹細胞が癌再発の現象に関与すると考えられるとの観察に基づき、乳癌の再発を防止する方法が、乳癌の再発の防止を必要とする患者を、乳癌の再発を防止するために効果的な量で中和性抗hPG抗体を用いて処置することにより可能であり、それにおいて乳癌はPG感受性である。出願者らの驚くべき知見は、また、PG感受性の乳癌幹細胞の成長を、そのような細胞を、そのような細胞の成長を阻害するために効果的な中和性抗hPG抗体の量を用いて処理することにより防止する方法についての基礎である。
【0065】
7.7. 抗体
本明細書に開示する方法及びキットにおいて有用な抗体は、ガストリン遺伝子の他の産物を上回りヒトプロガストリンに特異的に結合するものである。図13に例証する通り、ガストリン遺伝子は、101アミノ酸ポリペプチド(プレプロガストリンと呼ばれる)に翻訳され、それは、切断されて、プロガストリン(80アミノ酸ポリペプチド)を生じるシグナル配列(下線)を含む。プロガストリンは、順に、切断されて、34アミノ酸産物(配列において、プロガストリンの残基38−71に対応する)を生成し、それは、次に、グリシン残基を用いてそのカルボキシ末端で伸長されて、グリシン伸長G34(「G34−Gly」)を生成する。この切断の副産物は、6アミノ酸ペプチド(C末端隣接ペプチド、又はCTFPと呼ばれる)であり、それは、配列において、プロガストリンの残基75−80に対応する。G34−Glyは、次に、さらに切断されて、配列において、プロガストリンの残基55−71に対応し、G17−Glyとして言及される17残基ポリペプチドを生成する。G34−Gly及びG17−GlyのC末端グリシンの除去、それに続くC末端アミド化は、それぞれG34及びG17をもたらし、それらの両方がC末端アミド化されている。
【0066】
本明細書において使用する通り、抗体は、それが全長プロガストリンに結合するが、しかし、CTFP、アミド化ガストリン、又はグリシン伸長ガストリンには全く結合しない場合、hPG「について高度に特異的」又はhPGに「高度に特異的に結合する」、及び、それがCTFP及びガストリン遺伝子の他の産物よりも少なくとも約5倍大きなhPGの結合を示す場合(標準的な結合アッセイにおいて測定した通り)、hPG「について特異的」又はhPGに「特異的に結合する」。特定の抗hPG抗体の特異性を評価するために使用することができる特定のELISAアッセイが、実施例12に提供される。
【0067】
そのような高度に特異的及び/又は特異的な抗hPG抗体(本明細書において「抗hPG抗体」として言及される)は、ポリクローナル(「抗hPG PAb」)又はモノクローナル(「抗hPG MAb」)であるが、治療的使用、一部の例において、診断又は他のインビトロでの使用のために、モノクローナル抗体が好ましい。
【0068】
抗hPG抗体により結合されるエピトープは決定的ではない。有用な抗hPG抗体は、hPGのN末端領域、hPGのC末端領域、又はhPGの異なる領域に結合しうる。近年、少なくともモノクローナル抗hPG抗体について、抗hPG抗体を産生するために使用される抗原の選択が重要でありうることが発見されている(国際出願第PCT/EP2010/006329号(2010年10月15日出願)及び米国出願第12/906,041号(2010年10月15日出願)、その開示及び具体的に開示される抗hPG抗体が参照により本明細書において組み入れられる;以下、‘329及び‘041出願としてそれぞれ言及される)。‘329及び‘041出願において開示される通り、hPGに由来する全ての抗原が、生理学的条件下でhPGに特異的に結合するモノクローナル抗体の産生を刺激するわけではない。実際に、ポリクローナル抗hPG抗体を成功裏に産生するために使用されてきた特定の抗原(例えば全長組換えhPG(例、WO08/076454 Singhを参照のこと)及びhPGのC末端の最後の10アミノ酸に対応するペプチド(WO07/135542 Hollande et al.を参照のこと)など)は、モノクローナル抗体の生成に失敗した。‘329及び‘041出願において記述される通り、hPG配列内の抗原性N末端及びC末端配列が同定されており、hPGに特異的に結合するモノクローナル抗体を生成するために使用することができる。興味深いことに、抗原性配列は、それに固有であるhPG配列の領域に限定する必要はない。ガストリン遺伝子の他の産物と共通の配列の領域を有するペプチド抗原(例えば、G17、G34、及びCTFP)は、hPGに結合するだけでなく、しかし、それに特異的に結合するモノクローナル抗体をもたらす。
【0069】
hPGのN末端領域に対応する配列を有するペプチド抗原を使用して入手可能であり及び/又はhPGのN末端領域に結合する抗hPG抗体を、本明細書において「N末端抗PG抗体」として言及する。hPGについて特異的なポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体の両方を得るために適した免疫原を構築するために使用することができるhPGの特定の例示的な抗原性領域は、hPGの残基1〜14:SWKPRSQQPDAPLG(配列番号25)に対応する。N末端抗hPG抗体を得るために有用な例示的な免疫原、ならびに、これらの例示的な免疫原を用いて得られたN末端抗hPGモノクローナル抗体のCDRならびにV及びV配列を以下の表1A及び実施例のセクションに提供する:
【0070】
【表1】



【0071】
hPGのC末端領域に対応する配列を有するペプチド抗原を使用して入手可能であり及び/又はhPGのC末端領域に結合する抗hPG抗体を、本明細書において「C末端抗hPG抗体」として言及する。ポリクローナル及びモノクローナルC末端抗hPG抗体の両方を得るために有用な免疫原を構築するために使用することができる特定の例示的な抗原性領域は、hPGの残基55〜80:QGPWLEEEEEAYGWMDFGRRSAEDEN(配列番号27)に対応する。C末端抗hPG抗体を得るために有用なこの抗原を含む例示的な免疫原、ならびに、これらの例示的な免疫原を用いて得られたC末端抗hPGモノクローナル抗体のCDRならびにV及びV配列を以下の表1B及び実施例のセクションに提供する。
【0072】
【表2】



【0073】
表1A及び1Bに提供する例示的な抗hPGモノクローナル抗体MAb1−MAb23により結合される特定のエピトープは、SPOT技術及びアラニンスキャンを使用してマッピングされた(Laune et al., 2002, J. Immunol. Methods 267: 53-70及びLaune, 1997, J. Biol. Chem. 272: 30937-30944にそれぞれ記載される通り)(‘329出願の実施例6も参照のこと)。
【0074】
SPOT技術において、推定エピトープに及ぶ15のアミノ酸ペプチド配列を生成し、ニトロセルロース膜上にスポットし、それを、次に、テスト抗体でプローブし、抗体により認識される最小エピトープ配列を決定する。アラニンスキャンを使用して、抗体結合のために決定的であるエピトープ内の残基を決定する。推定エピトープ内の各残基が、1つずつ、アラニンに変異しており、アラニン含有ペプチドを、次に、テスト抗体を用いてプローブする。
【0075】
N末端抗hPGモノクローナル抗体MAb1−4及び15−20について、エピトープは少なくとも以下の配列を含む:DAPLG(配列番号28)、PDAPLG(配列番号29)、PRSQQPD(配列番号30)、WKPRSQQPD(配列番号31)、又はWKPRSQQPDAPLG(配列番号32)(以下の表2Aに示す通り)。
【0076】
【表3】

【0077】
C末端抗hPGモノクローナル抗体MAb5−7、9−12、14、及び21−23について、エピトープは少なくとも以下の配列を含む:FGRR(配列番号33)、MDFGR(配列番号34)、AEDEN(配列番号35)、及びGWMDFGRR(配列番号36)(以下の表2Bに示す通り)。
【0078】
【表4】

【0079】
エピトープマッピング実験では、抗hPG MAb2及びMAb4が同じエピトープに結合することが明らかになる;抗hPG MAb1及びMAb3はほぼ同じエピトープに結合する;MAb17、MAb18、MAb19、及びMAb20はほぼ同じエピトープに結合する;MAb15及びMAb16はほぼ同じエピトープに結合する;抗hPG MAb5、MAb6、MAb7、MAb9、及びMAb12は同じエピトープに結合し、抗hPG MAb10とほぼ同じエピトープに結合する;ならびに抗hPG MAb11及びMAb14はほぼ同じエピトープに結合する。
【0080】
本明細書に記載する方法及びキットにおいて有用なN末端抗PG抗体の特定の実施態様は、hPGの残基10〜14(配列番号28)、hPGの残基9〜14(配列番号29)、hPGの残基4〜10(配列番号30)、hPGの残基2〜10(配列番号31)、又はPGの残基2〜14(配列番号32)を含むエピトープに結合する抗体を含む。
【0081】
本明細書に記載する方法及びキットにおいて有用なC末端抗PG抗体の特定の実施態様は、hPGの残基71〜74(配列番号33)、hPGの残基69〜73(配列番号34)、hPGの残基76〜80(配列番号35)、又はhPGの残基67〜74(配列番号36)を含むエピトープに結合する抗体を含む。
【0082】
本明細書に開示する方法及びキットにおいて有用なN末端及びC末端抗hPG抗体は、表1A及び1Bに提供するものに加えて、例示的なMAb1−23を用いた、あるいはN又はC末端エピトープに結合する他の参照抗体を用いた競合結合アッセイにおいて同定することができる(後のセクションにおいてより詳細に記載する通り)。
【0083】
また、‘329及び‘041出願において報告される通り、全ての抗hPG抗体(hPGについて高い程度の特異性及び親和性を示すものでさえ)が、hPGの生物学的活性を中和するわけではない。例えば、抗hPG MAb14は約6pMのKDでhPGに結合するが、それは少なくともテストした濃度では、インビトロアッセイにおいて特定の結腸直腸癌細胞の成長を阻害しなかったのに対し、他の抗hPGモノクローナル抗体(例えば、MAb1−MAb13及びMAb15−MAb23)は様々な程度まで阻害活性を示した。hPGに特異的に結合する非中和性及び中和性抗体の両方が本開示の診断方法のために有用であるが、治療方法のために有用な抗hPG抗体は中和活性を示すはずである。実施例に記載する通り、MAb3及びMAb8は、培養中のMDA−MB−231及びMCF7乳癌細胞の成長を阻害するそれらの能力についてテストした場合、中和活性を有することが実証された。本開示の他の抗体が中和性であるか否かを決定することは、経験的に決定されうる。
【0084】
本明細書において使用する通り、「中和抗hPG抗体」は、非特異的抗体を用いて処理したコントロールサンプルと比較して、抗hPG抗体を用いて処理したテストサンプル中の生きた乳癌細胞の数における統計的に有意な低下をもたらす抗hPG抗体である。任意の特定の抗hPG抗体が中和する能力を評価するための特定のアッセイが、実施例13に記載される。このアッセイにおいて生きた乳癌細胞の数における少なくとも約50%低下を示すそれらの抗hPG抗体は、乳癌を処置する際に特に有用であると考えられるが、このアッセイにおける生きた乳癌細胞の数におけるより低いレベルの中和活性、例えば、40%、30%、20%、15%、又は10%の統計的に有意な低下を示す抗hPG抗体が治療的利益を提供することが期待される。これらのアッセイにおける使用のための例示的な細胞は、しかし、限定しないが、本明細書に記載するPG感受性乳癌細胞株を含む。
【0085】
したがって、一部の実施態様、例えば、治療的な実施態様において、有用な抗hPG抗体は中和性である。本明細書において、ならびに‘329及び‘041出願において開示される通り、抗hPGモノクローナル抗体が中和性である能力は、エピトープ依存的ではない。なぜなら、N末端(例、MAb3)及びC末端(例、MAb8)抗hPGモノクローナル抗体の両方が、乳癌細胞を用いたアッセイにおいて中和活性を示したからである。このように、一部の特定の実施態様において、中和性抗hPG抗体はN末端中和性抗hPG抗体である。他の実施態様において、中和性抗hPG抗体はC末端中和性抗hPG抗体である。
【0086】
任意の特定の抗hPG抗体の親和性は決定的ではない。しかし、一部の使用のために、少なくとも約1μMの親和性を示す抗体が好まれうる。治療的使用のために、少なくとも約90nM、80nM、70nM、60nM、50nM、40nM、30nM、20nM、15nM、10nM、7nM、6nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM、0.1nM、0.01nM、0.001nM又はさらに大きい親和性が望まれうる。表1A及び1Bにおいて同定された抗hPGモノクローナル抗体の測定された親和性は、10−6〜10−12Mの範囲である(以下の表3に記述する通り):
【0087】
【表5】

【0088】
特定の所望の適用のために特に適する親和性を有する抗PGモノクローナル抗体を、これらの間より容易に選択する、あるいは、本明細書に記載する抗hPG抗体の種々の免疫原、相補性決定領域(CDR)配列、可変重鎖(V)及び可変軽鎖(V)配列を使用して生成又は設計することができる。任意の特定の抗PGモノクローナル抗体の親和性は、当技術分野において周知の又は本明細書に記載する技術(例えばELISA、等温滴定熱量測定(ITC)、BIAcore、又は蛍光偏光アッセイなど)を使用して決定することができる。特定のアッセイを実施例14に提供する。
【0089】
表1A及び1Bに記述する通り、多数のhPGについて特異的なN末端及びC末端モノクローナル抗体が同定されており、‘329及び‘041出願に開示する通り、MAb14を除く全てが、特定の結腸直腸癌細胞に対する中和活性を示した。加えて、実施例に記載する通り、MAb3、MAb8、MAb13、MAb16、及びMAb19が、MDA−MB−231乳癌細胞に対する中和活性を示し、MAb3は、MCF7乳癌細胞に対する中和活性を示した。抗体を得るための有用なハイブリドーマのいくつかが、2010年10月6日に、ブダペスト条約に従って、Collection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM)に寄託された。抗hPG MAb1−23を産生するハイブリドーマの指定名称及び寄託されたそれらのハイブリドーマの寄託登録番号を表1A及び1Bに提供する。また、抗体のいくつかについて、それらの可変重鎖(V)、可変軽鎖(V)、V相補性決定領域(CDR)、及びV CDRのアミノ酸配列が決定されている。これらのアミノ酸配列、及び開示を通じてそれらを参照するために使用される省略命名法も表1A及び1Bに提供する。簡単には、マウス重鎖及び軽鎖可変ドメインは、本明細書においてmV及びmVとして言及され、対応するモノクローナル抗体の番号が続く(例えば、抗hPG MAb3の可変軽鎖及び可変重鎖についてそれぞれmV.3及びmV.3)。同様に、ヒト重鎖及び軽鎖可変ドメインは、本明細書においてhV及びhVとして言及され、対応するモノクローナル抗体の番号が続く。3つの可変重鎖CDR及び3つの可変軽鎖CDRは、それぞれV CDR1、2、又は3及びV CDR1、2、又は3として言及され、特定の抗hPGモノクローナル抗体の番号が続く。例えば、MAb3のV CDR1はV CDR1.3と表示され、及び、MAb3のV CDR 1はV CDR1.3と表示される。MAb3のV CDR2はV CDR2.3と表示され、及び、MAb3のV CDR2はV CDR2.3と表示される。
【0090】
ほぼ同じエピトープに結合する抗hPGモノクローナル抗体の対応するCDR及び/又はV及びV鎖を交換して、本明細書に記載する方法及びキットにおいて有用な新たな抗hPGモノクローナル抗体をもたらしうることが期待される。例えば、上に記述する通り、例示的な抗hPGモノクローナル抗体MAb5及びMAb6は同じエピトープに結合する。そのV鎖において、これらの2つの抗体のV CDRの種々の組み合わせ、及び/又は、そのV鎖において、これらの2つの抗体のV CDRの種々の組み合わせを含む抗hPGモノクローナル抗体を設計することができる。可能な種々の組み合わせを例証するための特定の非限定的な例として、そのような抗体は、そのV鎖において、MAb5のCDR1及び2(それぞれV CDR 1.5及びV CDR 2.5)ならびにMAb6のCDR3(V CDR 3.6)、及び、そのV鎖において、MAb6のCDR1(V CDR 1.6)ならびにMAb5のCDR2及び3(それぞれV CDR 2.5及びV CDR 3.5)を含みうる。寄託されているハイブリドーマにより産生される抗体のCDRのアミノ酸配列は、従来の手段を使用して得ることができる。
【0091】
寄託されているハイブリドーマにより産生される抗体のCDRのアミノ酸配列は、従来の手段を使用して得ることができる。例えば、ハイブリドーマ6B5B11C10及び20D2C3G2により産生される抗体の関連配列を以下の通りに決定した。簡単には、全RNAを、製造者の指示に従って使用したRNABee試薬(AMSBioカタログno.CS-104B)を使用して凍結細胞ペレットから単離した。V領域についてのcDNAを、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、それに続くcDNA末端の5’迅速増幅(RACE)を使用してmRNAから調製した。cDNA合成を、定常領域特異的プライマーを使用して行い、その後、第1鎖産物を精製し、末端デオキシヌクレオチドトランスフェラーゼを使用して、cDNAの3’末端にホモポリマーテールを加えた。「テール付き」cDNA配列を、次に、プライマーペア(ホモポリマーテール及びV又はV領域のいずれかについての各々1つのプライマー)をそれぞれ使用したPCRにより増幅した。重鎖及び軽鎖可変領域のPCR産物を、次に、「TA」クローニングベクター(p-GEM-T easy, Promega cat. no A 1360)中にクローン化し、標準的手順を使用して配列決定した。図14A−B(MAb 3)、図14C−D(MAb 4)を参照のこと。
【0092】
同様に、ハイブリドーマ1C10D3B9、2C6C3C7、1B3B4F1、及び1E9D9B61により産生される抗体の関連配列を以下の通りに決定した。全RNAを、製造者の指示に従って使用したRNAqueous(登録商標)−4PCRキット(Ambion cat.No.AM1914)を使用して凍結細胞ペレットから単離した。重鎖V領域のmRNAを、6つの縮重プライマープールのセット(HA〜HF)を使用して増幅し、軽鎖V領域のmRNAを、8つの縮重プライマープールのセットを使用して増幅した(κクラスターについて7つ(KA〜KG)及びλクラスターについて1つ(LA))。可変領域についてのcDNAを、RT−PCRを使用してmRNAから調製した。cDNA合成を、定常領域特異的プライマーを使用して行い、5’マウスシグナル配列についての縮重プライマーのプール及びIgGV、IgκV、及びIgλVの各々についての3’定常領域に対するプライマーを使用したPCRが続いた。(Jones et al., 1991, Rapid PCR cloning of full-length mouse immunoglobulin variable regions, Bio/Technology 9:88-89)重鎖及び軽鎖可変領域のPCR産物を、次に、「TA」クローニングベクター(p-GEM-T easy, Promega cat. no A 1360)中にクローン化し、標準的手順を使用して配列決定した。図14E−F(MAb 8)、14G−H(MAb 13)、14I−J(Mab 16)、及び14K−L(Mab 19)を参照のこと。
【0093】
表1Aを参照して、本明細書に記載する方法及びキットにおいて有用なN末端抗hPG抗体の特定の実施態様は、しかし、限定しないが、以下:
(a)配列において、MAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19、又はMAb20のV CDRに対応するV CDR、及び、配列において、MAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19、又はMAb20のV CDRに対応するV CDRを有する抗体;
(b)配列において、MAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19、又はMAb20のV及びV CDRに対応するV CDR及びV CDRを有する抗体;
(c)抗体、それにおいて:
(i)V CDR 1はQSIVHSNGNTY(「V CDR 1.3」;配列番号4)、QSLVHSSGVTY(「V CDR 1.4」;配列番号10)、QSLLDSDGKTY(「V CDR 1.16」;配列番号50)、及びSQHRTYT(「V CDR 1.19」;配列番号51)より選択される;
(ii)V CDR2はKVS(「V CDR 2.3」及び(「V CDR 2.4」;配列番号5)、LVS(「V CDR 2.16」;配列番号53)、及びVKKDGSH(「V CDR 2.19」;配列番号54)より選択される;
(iii)V CDR3はFQGSHVPFT(「V CDR 3.3」;配列番号6)、SQSTHVPPT(「V CDR 3.4」;配列番号11)、WQGTHSPYT(「V CDR 3.16」;配列番号57)、及びGVGDAIKGQSVFV(「V CDR 3.19」;配列番号58)より選択される;
(iv)V CDR1はGYIFTSYW(「V CDR 1.3」;配列番号1)、GYTFSSSW(「V CDR 1.4」;配列番号7)、GYTFTSYY(「V CDR 1.16」;配列番号39)、及びGYSITSDYA(「V CDR 1.19」;配列番号40)より選択される;
(v)V CDR2はFYPGNSDS(「V CDR 2.3」;配列番号2)、FLPGSGST(「V CDR 2.4」;配列番号8)、INPSNGGT(「V CDR 2.16」;配列番号43)、及びISFSGYT(「V CDR 2.19」;配列番号44)より選択される;及び
(vi)V CDR3はTRRDSPQY(「V CDR 3.3」;配列番号3)、ATDGNYDWFAY(「V CDR 3.4」配列番号9)、TRGGYYPFDY(「V CDR 3.16」;配列番号47)、及びAREVNYGDSYHFDY(「V CDR 3.19」;配列番号48)より選択される;
(d)配列において、MAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19、又はMAb20のVに対応するV、及び、配列において、MAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19、又はMAb20のVに対応するVを有する抗体;及び
(e)配列において、MAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19、又はMAb20のV及びVに対応するV及びVを有する抗体
を含む。
【0094】
表1Bを参照して、本明細書に記載する方法及びキットにおいて有用なC末端抗hPG抗体の特定の実施態様は、しかし、限定しないが、以下:
(a)配列において、MAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb21、MAb22、又はMAb23のV CDRに対応するV CDR、及び、配列において、MAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb21、MAb22、又はMAb23のV CDRに対応するV CDRを有する抗体;
(b)配列において、MAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb21、MAb22、又はMAb23のV及びV CDRに対応するV CDR及びV CDRを有する抗体;
(c)抗体、それにおいて:
(i)V CDR1はKSLRHTKGITF(「V CDR 1.8」;配列番号49)及び QSLLDSDGKTY(「V CDR 1.13」;配列番号50)より選択される;
(ii)V CDR2はQMS(「V CDR 2.8」;配列番号52)及び LVS(「V CDR 2.13」;配列番号53)より選択される;
(iii)V CDR3はAQNLELPLT(「V CDR 3.8」;配列番号55)及び WQGTHFPQT(「V CDR 3.13」;配列番号56)より選択される;
(iv)V CDR1はGFTFTTYA(「V CDR 1.8」;配列番号37)及び GFIFSSYG(「V CDR 1.13」;配列番号38)より選択される;
(v)V CDR2はISSGGTYT(「V CDR 2.8」;配列番号41)及び INTFGDRT(「V CDR 2.13」;配列番号42)より選択される;及び
(vi)V CDR3はATQGNYSLDF(「V CDR 3.8」;配列番号45)及び ARGTGTY(「V CDR 3.13」;配列番号46)より選択される;
(d)配列において、MAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb21、MAb22、又はMAb23のVに対応するV、及び、配列において、MAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb21、MAb22、又はMAb23のVに対応するVを有する抗体;及び
(e)配列において、MAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb21、MAb22、又はMAb23のV及びVに対応するV及びVを有する抗体
を含む。
【0095】
当業者により理解される通り、診断方法において有用な抗hPG抗体は、任意の起源(例えば、哺乳動物(例、ヒト、霊長類、げっ歯類、ヤギ、又はウサギ)、非哺乳動物、又は自然におけるキメラ(1を上回る種に由来する)を含む)でありうる。動物(ヒトを含む)における治療的使用のために適した抗体は、好ましくは、処置されることが意図される同じ種に由来する、あるいは、改変又は設計され、非免疫原性である、又は処置されている動物において低下した免疫原性を有する。ヒトにおける治療的使用のために有用な抗hPG抗体の特定のクラスは、ヒト化抗体のクラスであり、以下により詳細に考察する。本明細書に記載する方法及びキットにおいて有用な抗hPG抗体は、また、任意のアイソタイプ(例えば、IgA(例、IgA1又はIgA2)、IgD、IgE、IgG(例、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4)、又はIgMを含む)でありうる、又はそれに由来しうる。治療的使用のために設計された抗hPG抗体は、好ましくは、IgGアイソタイプである。
【0096】
一部の実施態様において、本明細書に記載する治療的方法のために有用な抗hPG抗体はヒト化される。一般的には、ヒト化抗体は、少なくとも1つの、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、それにおいて、CDR領域の全て又は実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、フレームワーク領域の全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものであり、「CDR移植」として言及することができる。ヒト化抗体は、また、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものを含むことができる。抗体をヒト化するための方法(ヒト化抗体を設計するための方法を含む)は、当技術分野において周知である。例えば、Lefranc et al., 2003, Dev. Comp. Immunol. 27: 55-77;Lefranc et al., 2009, Nucl. Acids Res. 37: D1006-1012;Lefranc, 2008, Mol. Biotechnol. 40: 101-111;Riechmann et al., 1988, Nature 332: 323-7;米国特許第5,530,101号、第5,585,089号、第5,693,761号、第5,693,762号、及び第6,180,370号、Queen et al.;EP239400;PCT公開WO 91/09967;米国特許第5,225,539号;EP592106;EP519596;Padlan, 1991, Mol. Immunol. 28: 489-498;Studnicka et al., 1994, Prot. Eng. 7: 805-814;Roguska et al., 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. 91: 969-973;及び米国特許第5,565,332号(その開示は、その全体において参照により本明細書により組み入れられる)。
【0097】
非ヒト抗hPG抗体のCDRに対応するCDR配列を有する抗体のヒト化バージョン(例として、限定しないが、表1Aに提供する種々のN末端抗hPGモノクローナル抗体及び表1Bに提供する種々のC末端抗hPGモノクローナル抗体を含む)を、これらの周知の方法を使用して得ることができる。選択された抗hPG抗体のヒト化V及びV鎖の計画配列を、表1A及び1Bに提供する。ヒト化抗体の特定の例は、以下:
(a)本明細書に開示される任意の3つのV CDR及び任意の3つのV CDR;(b)配列番号21に対応するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号22に対応するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(c)配列番号23に対応するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号24に対応するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(d)配列番号75、77、及び79からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号76及び78からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(e)配列番号80及び82からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号81及び83からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(f)配列番号84、86、及び88からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号85、87、及び89からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び
(g)配列番号90、92、及び94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号91、93、及び95からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む抗体を含む。
【0098】
当業者により認識される通り、特定の結合特性(例えば、目的の特定のエピトープに結合する能力など)を有する抗hPG抗体は、本明細書に記載する種々の抗原及び免疫原を使用し、目的の参照抗体とhPG結合について競合するそれらの能力を評価して容易に得ることができる。本明細書に記載する抗hPG抗体のいずれかを、そのような競合アッセイにおける参照抗体として利用することができる。目的のビオチン化参照抗hPG抗体を用いてhPG結合について競合する抗体の能力を評価するために有用な特定のアッセイを、実施例15に提供する。
【0099】
参照抗hPG抗体と任意のテスト抗体(種又はアイソタイプと無関係)の間での抗体競合試験を行う際、最初に、参照を、直接的(例えばラジオアイソトープ又はフルオロフォアなど)又は間接的(例えばビオチン(蛍光標識ストレプトアビジンとの結合を介して検出可能)又は酵素(酵素反応を介して検出可能)など)のいずれかで検出可能な標識を用いて標識し、その後の同定を可能にしうる。この場合において、標識参照抗hPG抗体(固定又は増加濃度で)を、既知量のhPGを用いてインキュベートし、hPG:標識抗hPG抗体複合体を形成する。非標識テスト抗体を、次に、複合体に加える。複合標識の強度を測定する。テスト抗体が、重複するエピトープに結合することにより、hPGについて標識参照抗hPG抗体と競合する場合、複合標識の強度は、テスト抗体の非存在において行うコントロール実験と比べて減少する。
【0100】
結合競合アッセイを行うための多数の方法が公知であり、適応して、上に及び実施例15に記載するアッセイと同等の結果をもたらすことができる。
【0101】
抗体は、それが、競合結合アッセイ、及び、具体的には、実施例15の競合結合アッセイにおいて参照抗hPG抗体のhPGへの結合を、少なくとも50%だけ(より高いレベルの低下、例えば60%、70%、80%、90%、又はさらには100%が望まれうる)、テスト抗体濃度の範囲0.01−100μg/ml(例、0.01μg/ml、0.08μg/ml、0.4μg/ml、2μg/ml、10μg/ml、50μg/ml、又は100μg/ml、あるいは記述する範囲内の他の濃度)で低下させる場合、参照抗hPG抗体とhPG結合について競合すると考えられ、このように、参照抗hPG抗体とほぼ同じ又は重複するhPGのエピトープに結合すると考えられる。
【0102】
本開示の抗体は、また、誘導体化し、共有結合的に修飾し、又は他の分子に結合させ、それらの特性を変え、もしくは、その機能を向上させることができる。例えば、しかし、限定しないが、誘導体化抗体は、修飾されている(例、グリコシル化、フコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、ホルミル化、公知の保護/遮断基による誘導体化、細胞リガンド又は他のタンパク質への連結などによる)抗体を含む。あるいは、可変又は定常領域中の特定のアミノ酸を変えて、機能を変化又は改善することができる。1つの非限定的な例において、抗体のFc領域中のアミノ酸残基を変えて、FcRnへのその結合を増加させることにより抗体の血清半減期を増加させてもよい。
【0103】
抗hPGモノクローナル抗体は、検出可能な成分を用いて標識された抗体を含む。そのような標識は、開示の抗hPGモノクローナル抗体に直接的又は間接的に結合させることができる。標識はそれ自体が検出可能であり(例、ラジオアイソトープ標識、アイソトープ標識、又は蛍光標識)、又は、酵素標識の場合において、検出可能である基質化合物又は組成物の化学変化を触媒することができる。検出可能物質の例は、種々の酵素、補欠分子族、蛍光材料、発光材料、生物発光材料、放射性材料、種々の陽電子放射断層撮影を使用した陽電子放出金属、及び非放射性常磁性金属イオンを含む。
【0104】
本明細書に記載する方法及びキットにおいて有用な種々の抗hPG抗体は、全長抗体を用いて例示されてきたが、当業者は、結合フラグメント、あるいは全長抗体又は結合フラグメントから設計される又はそれに由来するサロゲート(surrogates)抗体も使用してもよいことを理解するであろう。適したフラグメント、サロゲートなどは、しかし、限定しないが、Fab’、F(ab’)、Fab、Fv、vIgG、scFvフラグメント及びサロボディ(surrobodies)、rIgG、ジスルフィド安定化Fv抗体(dsFv)、ダイアボディ、トリアボディ、及び単一ドメイン抗体(例えばラクダ化抗体又はナノボディなど)を含む。
【0105】
本開示の抗体は、当業者に公知の任意の方法に従って産生することができる。1つの非限定的な例において、抗体は天然の供給源(抗体、例えば、ヒト、サル、ニワトリ、ヤギ、ウサギ、及びげっ歯類(例、ラット、マウス、及びハムスター)に由来する抗体などを産生することが可能である任意の種を含む)から得ることができる。他の種も可能である。抗体は、また、遺伝子操作又は組換えDNAテクノロジー(例えば、しかし、限定しないが、培養中の酵母細胞、細菌細胞、及び哺乳動物細胞(例えばCHO細胞など)における組換え抗体の発現など)を利用するシステムから生成及び単離されうる。抗体は、また、完全に又は部分的に合成的でありうる。
【0106】
本開示のモノクローナル抗体(MAb)は、ハイブリドーマテクノロジーを通じて産生された抗体に限定されない。モノクローナル抗体は、当技術分野において利用可能な又は公知の任意の手段により、単一クローン(任意の真核生物、原核生物、又はファージのクローンを含む)に由来する。モノクローナル抗体は、当技術分野において公知の多様な技術(ハイブリドーマ、組換え、及びファージディスプレイテクノロジー、又はそれらの組み合わせの使用を含む)を使用して調製することができる。
【0107】
7.8. 乳癌のための処置
乳癌のための処置は、いくつかのカテゴリーに入る。
【0108】
手術を、乳癌が乳房、又は乳房及び腋窩リンパ節に限定される場合に考える。乳癌を処置するために効果的な外科的技術は、しかし、必ずしも限定しないが、乳腺腫瘍摘出術、乳房扇状部分切除術、単純乳房切除術、根治的乳房切除術、及び非定型的乳房切除術を含む。
【0109】
放射線治療を使用し、手術後に残った乳癌細胞を殺してもよい。放射線は身体外の機械により産生されることがあり(外部ビーム放射線治療)、又は、それは、癌細胞の近くの身体において配置された放射性材料により産生されることがある(内部放射線治療又は近接照射療法)。
【0110】
化学療法、ホルモン治療、及び標的治療は、手術、又は手術及び放射線後の補助治療として、あるいは、乳房を越えて遠隔臓器中に広がった転移性乳癌に対する主な治療として使用されうる全身治療の非限定的な例である。そのような治療を、単独で又は互いに組み合わせて使用することができる。補助治療は、手術又は放射線治療で生き残ったであろう癌細胞を殺すために投与されるものである。
【0111】
放射線治療及び/又は手術を使用し、また、転移性乳癌を処置してもよい(例えば、特定部位における少数の転移を処置する、骨折又は肝臓中の妨害物を防止する、あるいは疼痛又は他の症状の軽減を提供するなど)。骨に広がった乳癌転移は、外部ビーム放射線治療及び/又はビスホスホネート、例えばパミドロネート(アレディア)又はゾレドロン酸(ゾメタ)などを、骨を強化するためのカルシウム及びビタミンDと共に用いて処置してもよい。
【0112】
化学療法は、乳癌細胞を殺す、あるいはその成長を減速又は停止させる薬物に頼る。異なる機構を通じて作用する種々の化学療法剤が、乳癌を処置するために利用可能である。化学療法は、全身的に投与された場合、転移性乳癌に対して効果的でありうるが、しかし、また、より限局した様式で投与されうる(例えば脳周囲液中など)。
【0113】
乳癌に対して効果的でありうる例示的な化学療法剤は、以下を含む:葉酸拮抗剤(メトトレキサート及びペメトレキセドを含む);プリン拮抗剤(クラドリビン、クロファラビン、フルダラビン、6メルカプトプリン、ネララビン、ペントスタチンを含む);ピリミジン拮抗剤(カペシタビン、シタラビン、5フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレアを含む);生物学的応答の修飾因子(インターフェロン−アルファを含む);ブレオマイシン;DNAアルキル化剤(ニトロソウレア、カルムスチン、ロムスチンを含む);DNA架橋薬及びアルキル化剤(ベンダムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、メルファラン、ダカルバジン、テモゾロミド、プロカルバジンを含む);アスパラギナーゼ;抗生物質(マイトマイシンを含む);白金錯体(カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンを含む);プロテアソーム阻害剤(ボルテゾミブを含む);紡錘体毒、例えばタキサン(ドセタキセル、パクリタキセルを含む)及びビンカ(ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビンを含む)など;トポイソメラーゼ阻害剤、例えばアントラサイクリン(ダウノルビシン、ダウノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシンを含む)、カンプトテシン(イリノテカン及びトポテカンを含む)、ポドフィロトキシン(エトポシド、テニポシド、及びミトキサントロンを含む)など;チロシンキナーゼ阻害剤、(エルロチニブ(タルセバ)、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、ソラフェニブ、スニチニブを含む)。他の化学療法剤も公知である。
【0114】
特定の化学療法剤、及びその組み合わせは、乳癌に対して効果的であることが公知であり、しかし、限定しないが、以下を含む:CMF(シクロホスファミド、メトトレキサート、及び5フルオロウラシルの組み合わせである);CAF(FAC)(シクロホスファミド、ドキソルビシン、及び5フルオロウラシルの組み合わせである);AC(ドキソルビシン及びシクロホスファミドの組み合わせである);EC(エピルビシン及びシクロホスファミドの組み合わせである);TAC(ドセタキセル、ドキソルビシン、及びシクロホスファミドの組み合わせである);AC→T(ドキソルビシン及びシクロホスファミドの組み合わせであり、パクリタキセル又はドセタキセルが続く)(ハーセプチンを、HER2/neu陽性腫瘍についてパクリタキセル又はドセタキセルと供に与えてもよい);A→CMF(ドキソルビシンの組み合わせであり、CMFが続く);CEF(FEC)(シクロホスファミド、エピルビシン、及び5フルオロウラシルの組み合わせである)(これに、ドセタキセルが続きうる);TC(ドセタキセル及びシクロホスファミドの組み合わせである);TCH(HER2/neu陽性腫瘍についてドセタキセル、カルボプラチン、及びハーセプチンの組み合わせである)。
【0115】
乳癌に対して効果的でありうる他の化学療法剤は、シスプラチン、ビノレルビン、カペシタビン、ペグ化リポソームドキソルビシン、ゲムシタビン、ミトキサントロン、イクサベピロン、及びアルブミン結合パクリタキセル、及びその他を含む。
【0116】
エストロゲンは、乳癌の約3分の2(即ち、エストロゲン受容体(ER陽性癌)及び/又はプロゲステロン受容体(PR陽性癌)を含むもの)の成長を促進する。このように、ER陽性及びPR陽性乳癌を伴う患者において、ホルモン治療は、エストロゲンの効果を遮断する又はエストロゲンレベルを低くすることを求める。このように、ホルモン治療は、合成ホルモン、あるいは、身体の天然ホルモンの産生及び/又は活性を遮断する(そうでなければ、ホルモン感受性乳癌細胞の成長を支持又は促進しうる)ために効果的な他の薬物の投与を伴う。
【0117】
タモキシフェン、トレミフェン、及びラロキシフェンは、選択的エストロゲン受容体修飾因子(SERM)及び乳癌細胞においてエストロゲン受容体と拮抗する抗エストロゲンの例である。フルベストラントは、エストロゲン受容体を除去するように作用し、乳癌がもはやタモキシフェンに応答性ではない場合でさえ効果的でありうる。アロマターゼ阻害剤は、エストロゲン産生を停止することにより作用し、薬物レトロゾール、アナストロゾール、及びエキセメスタンを含む。卵巣切除も使用し、閉経前の女性におけるエストロゲンの主な供給源を除去してもよい。永久的な卵巣切除は、卵巣を外科的に除去することにより行うことができる。卵巣切除は、また、黄体ホルモン放出ホルモン(LHRH)類似体(例えばゴセレリン又はロイプロリドなど)(閉経前の女性において単独で、又はホルモン治療としてのタモキシフェンと使用してもよい)として公知の薬物を用いてもたらしてもよい。酢酸メゲストロールを、癌が他のホルモン処置に応答しない女性において使用してもよい。アンドロゲンの使用も考えてもよい。他のホルモン治療剤も可能である(例えばビカルタミド及びフルタミドなど)。
【0118】
標的治療は、乳癌に関与することが公知である特定の遺伝子又は遺伝子産物に向けられる。標的治療の特定の型は、抗体(例えば、乳癌細胞を直接的又は間接的に殺す、その成長を減速又は停止させるモノクローナル抗体など)の投与を含む抗体治療である。そのような抗体は、種々の別々の機構を通じて機能することができる。例えば、特定の抗体は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)又は他の機構を介した患者の免疫システムによる攻撃のために癌細胞をマークすることができる。他の抗体が結合し、癌細胞が生存又は成長のために要求する抗原の機能を変える又は阻害する。他の機構も可能である。抗体を、また、癌細胞上で発現される対応する抗原への結合後に癌細胞を殺すことが可能である放射性又は化学毒性成分に結合させることができる。
【0119】
乳癌のための標的抗体治療の例は、モノクローナル抗体トラツズマブ及びベバシズマブである。トラツズマブ及び同様の抗体がHER2遺伝子産物を標的とするのに対し、ベバシズマブ及び同様の抗体はVEGFを標的とする。トラツズマブを、HER2陽性癌を伴う女性に、単独で、又は化学療法と組み合わせて、ならびに他の処置と投与してもよい。ベバシズマブは、化学療法薬パクリタキセル、ならびに他と組み合わせてもよい。
【0120】
標的治療の他の型は、小分子薬(例えばラパチニブなど)を含む。トラツズマブにもはや応答しないHER2陽性癌が、ラパチニブ(化学療法薬カペシタビン、ならびに他と与えてもよい)に応答することがある。
【0121】
7.9. 抗PG抗体を使用した治療方法
本開示は、転移性乳癌を処置及び防止し、乳癌の再発を防止し、及び乳癌幹細胞の成長を防止する目的のために、被験者に組成物中で抗PG抗体を投与することを含む治療方法を提供する。特定の実施態様において、抗体はヒトプロガストリン(「hPG」)について特異的であり、他の実施態様において、そのような抗体はモノクローナル抗体である。
【0122】
これらの実施態様の一部によれば、本明細書に開示する抗PG抗体は、組成物中で、転移性乳癌のための処置を必要とする被験者に、治療的に効果的な量で、単剤療法として又は組み合わせ治療として投与される。そのような被験者は、しかし、限定しないが、転移性乳癌と診断された者を含む。これらの方法の特定の実施態様において、抗体は抗hPGモノクローナル抗体である。
【0123】
他の実施態様によれば、本明細書に開示する抗PG抗体は、組成物中で、転移性乳癌の予防を必要とする被験者に、治療的に効果的な量で、単剤療法として又は組み合わせ治療として投与される。そのような被験者は、しかし、限定しないが、原発性乳癌を有すると決定されているが、しかし、それらにおいて癌が遠隔組織又は臓器に広がっていることが知られていない者を含む。これらの方法の特定の実施態様において、抗体は抗hPGモノクローナル抗体である。
【0124】
さらに他の実施態様によれば、本明細書に開示する抗PG抗体は、組成物中で、転移性乳癌の再発についての防止を必要とする被験者に、治療的に効果的な量で、単剤療法として又は組み合わせ治療として投与される。そのような被験者は、しかし、限定しないが、原発性又は転移性乳癌のために以前に処置されたが、その処置後、そのような癌が見かけ上消失した者を含む。これらの方法の特定の実施態様において、抗体は抗hPGモノクローナル抗体である。
【0125】
他の実施態様によれば、本明細書に開示する抗PG抗体は、組成物中で、乳癌幹細胞の成長の阻害を必要とする被験者に、治療的に効果的な量で、単剤療法として又は組み合わせ治療として投与される。そのような被験者は、しかし、限定しないが、乳癌(その成長又は転移はその内での癌幹細胞の存在に少なくとも部分的に起因している)を有する者を含む。他の実施態様は、そのような幹細胞を、そのような細胞の成長を防止又は阻害するために効果的な抗PG抗体組成物の量を用いて接触させることにより、乳癌幹細胞の成長を防止又は阻害する方法を提供する。そのような方法は、インビトロ又はインビボで行うことができる。これらの方法の特定の実施態様において、抗体は抗hPGモノクローナル抗体である。
【0126】
中和性抗PG抗体は、治療的抗体組成物中で主要な活性薬剤になりうるが、非中和性抗PG抗体が、それらの存在が中和性抗体の治療効力を実質的に阻害しない場合、存在しうる。
【0127】
抗PG抗体組成物を投与することができる被験者は、哺乳動物、例えば非霊長類(例、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)又は霊長類(例、サル、チンパンジー、類人猿、又はヒト)でありうる。被験者は、ヒト(例えば成人患者又は小児患者など)でありうる。
【0128】
転移性乳癌を処置又は防止する、あるいは、乳癌の再発を防止する目的のために、抗PG抗体組成物を、単剤療法として、あるいは転移性乳癌を処置又は防止する、あるいは、乳癌の再発を防止するために効果的な1つ又は複数の一次治療の補助として被験者に単独で投与することができる。
【0129】
このように、本開示の特定の実施態様において、抗hPG抗体組成物は、化学療法の補助として、放射線治療の補助として、生物学的治療の補助として、ホルモン治療の補助として、外科的治療の補助として、あるいは転移性乳癌を処置又は防止するために効果的な他の型の抗体治療の補助として、転移性乳癌を処置又は防止することを必要とする被験者に投与することができる。さらに他の実施態様において、抗hPG抗体組成物は、そのような再発を防止するために効果的な他の治療の補助として、乳癌の再発を防止することを必要とする被験者に投与することができる。
【0130】
補助治療として、抗hPG抗体組成物を、一次治療と同時に、それに連続して、又はそれと別々に投与することができる。
【0131】
抗hPG抗体組成物及び一次治療は、同じ時間に投与される場合、さらには、それぞれの投与が重複する場合、同時に投与されるが、しかし、異なる時間に開始又は終了する。同時投与の非限定的な例は、被験者が転移性乳癌のための化学療法を受けている又は原発性乳房腫瘍の外科的切除を受けているのと同時での抗hPG抗体組成物の投与である。
【0132】
抗hPG抗体組成物及び一次治療は、同じ日に(例えば、同じ診察の間に)、しかし、同時ではなく被験者に投与される場合、連続的に投与される。連続投与は、1、2、3、4、5、6、7、8時間又はそれ以上離して生じうる。一次治療は最初に投与してもよく、抗hPG抗体組成物の投与が続く。代替の実施態様において、抗hPG抗体組成物は最初に投与してもよく、一次治療が続く。
【0133】
抗hPG抗体組成物及び一次治療は、それらが異なる日に被験者に投与される場合、別々に投与される。特定の実施態様において、抗hPG抗体組成物及び一次治療は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、又は1ヶ月又はそれ以上の間隔で投与することができる。連続投与と同様に、抗hPG抗体組成物の投与は、一次治療の別々の投与に先行する又はそれに続くことができる。
【0134】
本開示の特定の他の実施態様において、抗hPG抗体組成物及び一次治療を、連続で又は別々に投与するかを問わず、交互パターンで反復的に投与することができる。
【0135】
特定の実施態様において、一次治療の補助として抗hPG抗体組成物を投与することは、相加よりも大きな、又は相乗な効果をもたらし、治療的利益を提供し、そこでは、いずれの治療も、単独では、陥る許容不可能な副作用を伴わず、治療的に効果的でありうる量で投与することはできない。これらの状況下で、抗hPG抗体組成物及び/又は一次治療は、より低い量で投与することができ、それにより有害作用の可能性又は重症度を低下させる。しかし、相乗効果は、抗hPG抗体組成物を用いた補助治療が治療的に効果的であるために要求されない。
【0136】
7.10. 転移性乳癌の処置の効力をモニターする方法
上に記述する通り、原発性及び/又は転移性乳癌と診断された患者は、上昇したPGの血漿及び/又は血清レベルを有するのに対し、健常個人におけるPGのベースラインレベルは無視できる。原発性及び/又は転移性乳癌を伴う被験者におけるPG血漿及び/又は血清レベルを測定可能であり、転移性乳癌については約25pM又はそれより大きい。この観察に基づき、PGの血漿及び/又は血清レベルを使用して、とりわけ、原発性又は転移性乳癌の処置の有効性をモニターし、原発性又は転移性乳癌の存在を検出及び診断し、抗PG抗体を用いた処置から利益を得うる被験者を選択することができる。
【0137】
このように、本開示は、転移性乳癌のための前のラウンドの治療の有効性を決定するために、乳房転移癌のために処置されている被験者をモニターする方法を提供する。これらの方法は、単独で、又は他(しかし、限定しないが、抗hPG抗体組成物の投与、他の型の抗体を用いた治療、化学療法、放射線治療、ホルモン治療、生物学的治療、及びその他を含む)との組み合わせにおいて使用される転移性乳癌に対する任意の型の治療のために使用することができる。1ラウンドの治療が完了した後、被験者のケアについて責任がある処置チームは、それが、新たなラウンドの処置を投与するかしないかを決定し、他の臨床決定を行うために効果的であるか否かを確認する必要がある。
【0138】
モニタリング方法の一部の実施態様において、1つ又は複数の体液(例えば血液、血漿、血清、又はその他など)におけるPGの濃度は、転移性乳癌のための処置を開始する前に測定し、処置が完了した後に、ある時間に同じ型の体液中で測定されたPGレベルと比較することができる。他の実施態様において、目的の組織(例えば乳癌の生検など)におけるPGレベルを測定する。
【0139】
PG濃度における低下は効力を示している。典型的には、処置後のPC処置における低下の範囲が大きいほど、治療はより有効であった。操作の任意の特定の演算理論により拘束されることを望まないが、患者における転移の数及び/又はサイズが、有効な処置の結果として低下するにつれて、転移により産生されたPGの総量も減退すると考えられる。対照的に、処置が完了した後でのPGレベルにおける低下の欠如又は上昇は、治療が効果的ではなかったことを示しうる。この情報に基づき、処置チームは、新たなラウンドの治療を開始するか否かを決めることができる。
【0140】
1ラウンドの治療が完了し、サンプルをモニタリングのために取るのに適した時間の前までの間隔が、当業者により容易に、考慮下にある治療の型、被験者の性別及び年齢、ならびにその他といった変数に依存して決定される。例示的な間隔は、1ラウンドの治療が完了した後、サンプルを本開示のモニタリング方法における使用のために取る前の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は11週間及び3、4、5、又は6ヶ月を含む。他の間隔も可能である。他の実施態様において、治療の完了後の異なる時間間隔での複数の測定値を取り、次に、グラフ化し、傾向が存在するか否かを決定しうる。非限定的な例において、PGレベルを、1ラウンドの治療が終わった後、最初の6ヶ月にわたり毎週又は毎月決定することができる。他の間隔も可能である。
【0141】
体液中のPG濃度レベルは、当業者が精通する分析技術(例えば、しかし、限定しないが、RIA及びELISAなど)を使用して測定することができる。hPGについて特異的な抗体に頼るアッセイ方法(例えばこれらなど)は、当業者の知識に従って、非中和性又は中和性抗体(例えば本明細書に開示するものなど)を使用して行うことができる。
【0142】
特定の実施態様において、PGレベルは、プロガストリンのN末端を標的化する1つの抗PG抗体及びプロガストリンのC末端を標的化する第2の抗PG抗体を用いたサンドイッチELISA法を使用して測定されうる。そのようなサンドイッチアッセイのために有用な例示的なN及びC末端抗PG抗体を、後のセクションに記載する。そのようなアッセイにおいて、表面(例えば96ウェルプレート中のウェルなど)を調製し、それに、既知量の第1の「捕捉」N末端又はC末端抗PG抗体を結合させる。テストサンプルを次に表面に適用し、インキュベーション期間が続く。表面を次に洗浄し、非結合抗原を除去し、第2「検出」抗PG抗体を含む溶液を適用し、そこで検出抗体がPGの異なるエピトープに結合する(例えば、捕捉抗体がC末端抗PG抗体である場合、N末端抗PG抗体が検出抗体として使用され、及び逆もまた同様である)。PGレベルを次に直接的(例えば、検出抗体が検出可能な標識に結合している場合)又は間接的(検出抗PG抗体に結合する標識二次抗体を通じて)のいずれかで測定する。血漿及び/又は血清PGレベルを測定するための特定のサンドイッチアッセイを、実施例11に提供する。
【0143】
本開示の方法の代替の実施態様において、目的の体液中のPGレベルを低下させる際での被験者への抗hPG抗体組成物の投与の効力をモニターしてもよい。これらの方法において、サンプルを経時的に取り、PG濃度をグラフ化し、傾向を評価してもよい。残留抗hPG抗体が存在する場合、データは、抗体によるPGの隔離に起因するPGレベルにおける低下を示すことがあり、この効果が軽減するにつれて上昇が続き、処置が転移性乳癌を処置するために効果的である場合にはその後の減退が続く。
【0144】
本開示の方法の他の実施態様によれば、約50pM、40pM、30pM、20pM、10pM、5pM、2pM、1pM又はそれ以下の既定の閾値を下回る血液、血清、又は血漿PG濃度は、転移性乳癌を処置するための有効性を示している。有効性を示す他のPG濃度の閾値も可能であり、当業者により容易に決定される。
【0145】
7.11. 乳癌の存在を決定する方法
本開示は、また、いずれの被験者がテストされうるのかの特定の実施態様を提供する。乳癌の存在あるいは処置後の乳癌の再発を検出する目的のために、適切なベースラインと比較して、被験者が体液(例えば血液、血漿、血清、又はその他など)において上昇したPGレベルを有するか否かを決定する。
【0146】
本開示の方法の特定の実施態様において、被験者は、乳癌(原発性又は転移性)が被験者において存在するか否かを決定することが望まれる者でありうる。そのような被験者において、上昇したPGレベル(ベースラインと比べて)は、乳癌が存在することを示す。操作の任意の特定の演算理論により拘束されることを望まないが、被験者における乳癌のサイズ及び/又は範囲が増加するにつれて、全身及び/又は局所PGレベルも被験者において増加すると考えられる。
【0147】
他の実施態様において、被験者は、乳癌が遠隔組織又は臓器に転移したか否かを決定することが望まれる、原発性乳癌のために以前に処置された者でありうる。そのような被験者において、上昇したPGレベル(ベースラインと比べて)は、転移性乳癌が存在することを示す。そのような被験者についても、本開示の方法が、とりわけ、転移性乳癌を防止することが意図される処置が効果的であったか否かを決定するために有用である。操作の任意の特定の演算理論により拘束されることを望まないが、被験者における転移の数及び/又はサイズが増加するにつれて、全身及び/又は局所PGレベルも被験者において増加すると考えられる。
【0148】
さらなる他の実施態様によれば、被験者は、癌が見かけ上消失し、乳癌が再発している又は戻っているか否かを決定することが望まれる、乳癌(原発性又は転移性)のために以前に処置された者でありうる。そのような被験者において、上昇したPGレベル(ベースラインと比べて)は、乳癌が再発したことを示す。操作の任意の特定の演算理論により拘束されることを望まないが、被験者における再発性乳癌のサイズ及び/又は範囲が増加するにつれて、全身及び/又は局所PGレベルも被験者において増加すると考えられる。
【0149】
特定の原発性及び転移性乳癌がPGを分泌し、特定の乳癌細胞がPG感受性であるとの、本明細書に記載する発見の観点から、本開示は、また、抗PG抗体を投与することにより、治療から利益を受けうる被験者を選択する方法を提供する。このように、被験者は、彼らが上昇した血液PGレベル(ベースラインと比べて)を有するか否かを検出するために、ケア提供者によりスクリーニングされうる。一旦、そのような被験者が同定されると、ケア提供者は、被験者における乳癌の存在を確認するために追加のテスト(例えばマンモグラフィーなど)を注文することができる。乳癌が確認された場合、次に、処置(抗hPG抗体の投与を含む)を始めることができる。
【0150】
被験者を選択するための方法の特定の実施態様において、スクリーニングを、被験者のプライマリケア医師による定期的な健康診断の一部として、又は、被験者の大規模集団を対象する公衆衛生への取り組みの一部として実施しうる。他の実施態様において、スクリーニングされる被験者は、乳癌を発生するより高い、次に、平均的なリスクを伴う特定の亜集団のメンバーである。そのような群は、しかし、限定しないが、BRCA1遺伝子、BRCA2遺伝子、又は乳癌の増加リスクに関連する他の遺伝子において変異を有する被験者を含む。他の群は、非悪性乳房異常、例えば腺管上皮内癌(DCIS)又は非浸潤性小葉癌(LCIS)などを伴う被験者、乳癌と診断された一等親血縁者(姉妹、母親、娘)を有する被験者、胸部照射に曝露された被験者、早期初経、遅発閉経、又は高齢での初産を経験した被験者、経口避妊薬を使用した被験者、高い体格指数を有する被験者、又は高脂肪食を有する又はアルコールを摂取する被験者を含む。さらに他の群は、乳癌について以前に診断され、成功裏に処置された被験者を含む。
【0151】
被験者を選択する方法のさらに他の実施態様において、スクリーニングされる被験者は、乳癌の存在を決定的に確定しなかった又は除外しなかった、乳癌についての診断テストの結果を受けた者である。上昇したPGレベルについてのスクリーニングは、ケア提供者により使用される追加情報を提供し、診断の正確性を改善することができる。そのような被験者の1つの非限定的な例は、マンモグラムを読むには不確定な、曖昧な、又は困難な結果を受けている者でありうる。
【0152】
PG濃度を、当業者が精通した技術(例えば、しかし、限定しないが、RIA及びELISAなど)を使用して測定することができる。hPGについて特異的な抗体に頼るアッセイ方法(例えばこれらなど)は、当業者の知識に従って、非中和性又は中和性抗体(例えば本明細書に開示するものなど)を使用して行うことができる。
【0153】
本開示の方法を使用した上昇PGレベルの検出に基づき、処置チームは、次に、乳癌の存在又は処置後の乳癌の再発を確認するための追加試験を試みる、あるいは被験者を処置することに直接進むか否かを決めることができる。
【0154】
異なるベースラインを使用することができ、それに対して、被験者において測定されたPGレベルを比較する。本開示の方法の一部の実施態様において、ベースラインを、先の時間に同じ被験者からサンプリングした目的の体液中のPGレベルを測定することにより確立する。そのようなサンプルを所定の間隔で取り、PGレベルを測定してもよい。非限定的な例において、PGレベルを、処置の終了後、最初の6ヶ月にわたり毎週又は毎月、次に、処置の終了の2周年目まで3ヶ月毎に1回、次に、その後、6ヶ月又は1年毎に測定する。他の所定の間隔も可能である。
【0155】
本開示の方法の他の実施態様において、ベースラインは、乳癌又は乳癌の再発の検出のためのサンプリングを受けた被験者のものと同様の特徴を伴う個人の集団における平均PGレベルから確立することができる。そのような特徴は、しかし、必ずしも限定しないが、性、年齢、原発性乳房腫瘍のステージ、特定の処置へ先の曝露、これらの又は他の因子の組み合わせを含みうる。さらに他の実施態様において、被験者に特異的なベースライン、ならびに集団由来のベースラインの両方を、対象の状態を評価する際に使用することができる。
【0156】
当業者の知識によれば、特定の閾値を超える(ベースラインと比べて)被験者からのサンプル中でのPGレベルは、乳癌又は処置後に再発した乳癌を有する、あるいは、抗hPG抗体を用いた処置から治療的利益を得うる被験者として結論付けられる。処置チームは、次に、乳癌の存在又は再発性乳癌を確認するための確認試験を試みてもよい。そのようなテストの非限定的な例は、探索的手術、画像技術(例えばマンモグラフィー)、及び血液又は他の組織中での乳癌により産生される生物学的因子の存在についてのテストを含む。
【0157】
なぜなら、摂食は、通常、ガストリン合成及び分泌を増加させるため、摂食は、乳癌転移又は再発性乳癌により産生されたPGの正確な測定に干渉しうる血液PGレベルにおける一過性の増加をもたらしうる。この効果を回避するために、特に血漿及び/又は血清中のPGレベルを決定すべき場合、サンプルを、当業者により容易に決定することができる通り、十分な時間にわたる絶食後に被験者から取ることができる。
【0158】
7.12. 医薬的組成物
本開示の方法における使用のための抗hPG抗体は、組成物として製剤化することができる。場合により、組成物は、1つ又は複数の追加の治療用薬剤(例えば、転移性乳癌又は乳癌の再発に対する治療的効力を伴う化学療法剤又は他の抗体など)を含むことができる。組成物は、医薬的に許容可能な担体を通例含む無菌の医薬的組成物の部分として通常供給される。この組成物は、患者にそれを投与する所望の方法に依存して、任意の適した形態でありうる。
【0159】
抗PG抗体は、種々の経路により、典型的には、非経口的に、例えば、皮下、静脈内、腹腔内、又は筋肉内注射を介して被験者に投与することができる。投与は、1つ又は複数のボーラス注射として、あるいは1つ又は複数の注入としてもたらすことができる。他の投与経路が、また、当業者の知識に従って可能である。任意の所与の場合における投与のための最も適した経路は、投与される特定の組成物及び被験者の特徴(例えば年齢又は性など)に依存しうる。
【0160】
医薬的組成物は、用量当たりに開示の抗hPG抗体の所定量を含む単位用量形態で便利に提示することができる。そのような単位は、しかし、限定しないが、5mg〜5g、例えば10mg〜1g、又は20〜50mgを含みうる。開示における使用のための医薬的に許容可能な担体は、例えば、投与経路に依存して、多様な形態を取ることができる。
【0161】
開示の医薬的組成物は、所望の純度を有する抗体を、当技術分野において典型的に用いられる任意の医薬的に許容可能な担体、賦形剤、又は安定剤(それらは全て本明細書において「担体」として言及される)、即ち、緩衝化薬剤、安定化薬剤、保存剤、等張剤、非イオン性界面活性剤、酸化防止剤、及び他の種々の添加剤を混合することにより、凍結乾燥製剤又は水溶液としての保存のために調製することができる。Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th edition (Osol, ed.1980)を参照のこと。そのような添加剤は、用いられる投与量及び濃度でレシピエントに非毒性でなければならない。
【0162】
緩衝化薬剤は、生理的条件に近似する範囲内のpHを維持するために役立つ。それらは約2mM〜約50mMの範囲の濃度で存在することができる。本開示を用いた使用のための適した緩衝化薬剤は、有機酸及び無機酸の両方ならびにその塩、例えばクエン酸緩衝剤(例、クエン酸一ナトリウム−クエン酸二ナトリウム混合物、クエン酸−クエン酸三ナトリウム混合物、クエン酸−クエン酸一ナトリウム混合物など)、コハク酸緩衝剤(例、コハク酸−コハク酸一ナトリウム混合物、コハク酸−水酸化ナトリウム混合物、コハク酸−コハク酸二ナトリウム混合物など)、酒石酸緩衝剤(例、酒石酸−酒石酸ナトリウム混合物、酒石酸−酒石酸カリウム混合物、酒石酸−水酸化ナトリウム混合物など)、フマル酸塩緩衝剤(例、フマル酸−フマル酸一ナトリウム混合物、フマル酸−フマル酸二ナトリウム混合物、フマル酸一ナトリウム−フマル酸二ナトリウム混合物など)、グルコン酸緩衝剤(例、グルコン酸−グルコン酸ナトリウム混合物、グルコン酸−水酸化ナトリウム混合物、グルコン酸−グルコン酸カリウム混合物など)、シュウ酸緩衝剤(例、シュウ酸−シュウ酸ナトリウム混合物、シュウ酸−水酸化ナトリウム混合物、シュウ酸−シュウ酸カリウム混合物など)、乳酸緩衝剤(例、乳酸−乳酸ナトリウム混合物、乳酸−水酸化ナトリウム混合物、乳酸−乳酸カリウム混合物など)、及び酢酸緩衝剤(例、酢酸−酢酸ナトリウム混合物、酢酸−水酸化ナトリウム混合物など)などを含む。加えて、リン酸緩衝剤、ヒスチジン緩衝剤、及びトリメチルアミン塩(例えばTrisなど)を使用することができる。
【0163】
保存剤を加えて、微生物の成長を遅らせることができ、0.2%−1%(w/v)の範囲の量で加えることができる。本開示を用いた使用のための適した保存剤は、フェノール、ベンジルアルコール、メタクレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンザルコニウムハロゲン化物(例、塩化物、臭化物、及びヨウ化物)、塩化ヘキサメトニウム、及びアルキルパラベン(例えばメチル又はプロピルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、及び3ペンタノールなど)を含む。等張剤(時折「安定剤」として公知である)を加えて、本開示の液体組成物の等張性を確実にし、多価糖アルコール、例えば、三価又はそれより高い糖アルコール(例えばグリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、及びマンニトールなど)を含む。安定剤は、機能において、増量剤から添加剤(治療用薬剤を安定化する、又は、変性もしくは容器壁への付着を防止することを助ける)に及びうる広範なカテゴリーの賦形剤を指す。典型的な安定剤は、多価糖アルコール(上に列挙);アミノ酸(例えばアルギニン、リジン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アラニン、オルニチン、L−ロイシン、2フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニンなど)、有機糖又は糖アルコール(例えばラクトース、トレハロース、スタキオース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、ミオイノシトール、ガラクチトール、グリセロールなど)、シクリトール(例えばイノシトールなど)を含む;ポリエチレングリコール;アミノ酸ポリマー;含硫の還元剤(例えば尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、αモノチオグリセロール、及びチオ硫酸ナトリウムなど);低分子量ポリペプチド(例、10残基又はそれより少ないペプチド);タンパク質(例えばヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリンなど);親水性ポリマー(例えばポリビニルピロリドンなど)単糖類(例えばキシロース、マンノース、フルクトース、グルコースなど);二糖類(例えば、ラクトース、マルトース、スクロース)、及び三糖類(例えばラフィノースなど);及び多糖類(例えばデキストランなど)でありうる。安定剤は、0.1〜10,000重量部の活性タンパク質重量の範囲で存在することができる。
【0164】
非イオン性界面活性物質又は界面活性剤(「湿潤剤」としても公知である)を加えて、治療的薬剤を可溶化し、ならびに、撹拌誘導性の凝集に対して治療的タンパク質を保護するのを助けることができ、それは、また、タンパク質の変性を起こすことなく、製剤が剪断面に曝露されることを許す。適した非イオン性界面活性物質は、ポリソルベート(20、80など)、ポリオキサマー(184、188など)、プルロニックポリオール、ポリオキシエチレンソルビタンモノエーテル(Tween(登録商標)20、Tween(登録商標)80など)を含む。非イオン性界面活性物質は、約0.05mg/ml〜約1.0mg/ml、例えば、約0.07mg/ml〜約0.2mg/mlの範囲で存在しうる。界面活性物質は、しかし、抗体に結合する傾向を有し、それらの立体構造を損ないうる。従って、使用した場合、安定化濃度は低く、実験的に識別しなければならない。
【0165】
追加の種々の賦形剤は、キレート剤(例、EDTA)、酸化防止剤(例、アスコルビン酸、メチオニン、ビタミンE)、及び共溶媒を含むことができる。
【0166】
抗hPG抗体は、単独であるいは1つ又は複数の抗hPG抗体単独の混合物として、あるいは乳癌転移又は再発を防止するために有用な他の薬剤(しかし、限定しないが、化学療法剤、ホルモン治療剤、生物学的治療用薬剤、及び抗体治療用薬剤(例、ベバシズマブ)を含む)との混合物又は組み合わせで投与することができる。
【0167】
7.13. 医薬的キット
特定の実施態様において、本発明は、臨床医又は他のユーザーによる使用のための医薬的キットを提供する。医薬的キットは、開示の抗hPG抗体(例、凍結乾燥形態又は水溶液のいずれか)及び以下の1つ又は複数を含むパッケージである:本開示において他に記載する少なくとも第2の治療用薬剤;抗hPG抗体を投与するためのデバイス(例、ニードル及び/又はシリンジ);及び抗体が凍結乾燥又は濃縮形態である場合、抗体を再懸濁又は希釈するための医薬品グレードの水又は緩衝液。キットは、また、抗体組成物を調製する及び/又は組成物を患者に投与するための指示を含みうる。
【0168】
抗hPG抗体組成物の各単位用量は別々にパッケージ化することができる。キットは1つ又は複数の単位用量(例、2単位用量、3単位用量、4単位用量、5単位用量、7単位用量、8単位用量、10単位用量又はそれ以上)を含むことができる。一実施態様において、1つ又は複数の単位用量はシリンジ中に各々収容される。別の実施態様において、1つ又は複数の単位用量は、IVラインに接続するために適したバッグ又は同様の容器中に各々含める。
【0169】
7.14. 効果的な投与量
本開示の中和性抗hPG抗体を含む組成物は、一般的に、少なくとも部分的に所望の結果を達成するために効果的な投与量で、乳癌転移を処置又は防止するあるいは乳癌の再発を防止することを必要とする被験者に投与される。
【0170】
乳癌転移の処置に関して、治療上の利益は、とりわけ、転移性乳癌の任意の寛解、乳癌転移の成長を停止又は減速すること、被験者内でのそのような転移の数及び/又はサイズを低下すること、乳癌転移への血流を低下させること、乳癌転移の代謝を低下させること、乳癌転移癌の重症度を低下させること、転移性乳癌細胞の増殖を阻害すること又はそのアポトーシスを増加させること、被験者における転移性乳癌に関連する症状又は徴候の増悪を停止又は遅延すること、乳癌転移の外科的切除を許すこと(そこで、そのような切除は処置前に可能ではなかったであろう)、転移性乳癌を有する被験者の寿命、快適さ、又は生活の質を増加させること、あるいは、そのような被験者において痛みを低下させることを意味する。転移性乳癌の完全な治癒は、望ましいが、治療上の利益が存在するために要求されない。
【0171】
転移性乳癌の腫瘍サイズ、数、及び代謝を、種々のスキャン技術(しかし、限定しないが、CT、MRI、機能的MRI、SPECT、及びPETを含む)、ならびに当業者に公知の他の方法を使用して測定することができる。
【0172】
治療上の利益は、また、1つ又は複数のサロゲートエンドポイントと相関しうる。例として、限定しないが、転移性乳癌による特定のタンパク質又は他の因子(例えばプロガストリン又は癌胎児性抗原(CEA)など)の産生は、被験者において経時的に測定することができ、因子のレベルにおける低下は治療上の利益を示している。
【0173】
乳癌転移の防止に関しては、効果的な投与量は、転移性乳癌を少なくとも部分的に防止するために効果的なものであり、とりわけ、乳癌転移の非存在、乳癌転移の成長を遅延、停止、又は減速すること、最終的に生じうる任意の乳癌転移の数及び/又はサイズを低下させること、ならびに、転移性乳癌細胞が原発腫瘍から広がることができる機構段階のいずれかの阻害又はその干渉により証明される。乳癌転移の完全な防止は、望ましいが、有効であるためには要求されない。
【0174】
乳癌の再発の防止に関しては、効果的な投与量は、乳癌の再発を少なくとも部分的に防止するために効果的なものであり、とりわけ、乳癌の再発の非存在、乳癌の寛解を維持すること、あるいは、最初の乳癌が検出不可能になった又は見かけ上消失した処置後の被験者において、乳癌の再出現又は再成長、あるいは新たな乳房腫瘍の成長を遅延、停止、又は減速させることにより証明される。乳癌の再発を防止するための効力は、また、とりわけ、乳癌幹細胞の死滅、乳癌幹細胞の成長又は増殖を遅延、停止、阻害、又は減速させること、乳癌幹細胞のアポトーシスを増加させること、あるいは乳癌の形成又は成長に寄与することが可能ではない細胞への乳癌幹細胞の分化を起こすことにより証明される。本明細書において他に記載する通り、乳癌幹細胞は、そのような細胞に特徴的な1つ又は複数の表現型特質(しかし、限定しないが、特定の細胞マーカーの発現、低付着培養条件下でスフェロイドとして成長する能力、及び移植後に新たな腫瘍成長を開始する能力を含む)を有するとして同定可能である。乳癌の再発の完全な防止は、望ましいが、有効であるためには要求されない。
【0175】
全てのプロガストリンを結合することは、治療的効力を達成するために必ずしも要求されない。むしろ、腫瘍内のプロガストリンの濃度を、全身的に、特に体液(例えば腹水、胸水、脳脊髄液、リンパ液、血液、血漿、血清、又は他の場所からの液体など)において低下させることも効果的でありうる。
【0176】
当業者の知識によれば、抗hPG抗体組成物の用量を、患者において滴定し、投与後の所定の時間での目的の組織又は体液中での遊離hPG濃度を低下させるようにすることができる(少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90、又は100%、あるいは約5%−10%、約10%−15%、約15%−20%、約20%−25%、約25%−30%、約30%−35%、約35%−40%、約40%−45%、約45%−50%、約50%−55%、約55%−60%、約60%−65%、約65%−70%、約70%−75%、約75%−80%、約80%−85%、約85%−90%、又は約90%−95%又は先行する値のいずれかの間の範囲での遊離hPG濃度におけるパーセンテージ低下)。
【0177】
投与される抗hPG抗体の量は、処置される被験者のサイズ及び体重、投与の形態、経路、及び部位、治療計画(例、第2の治療用薬剤が使用されているか否か)、処置されている特定の被験者の年齢及び状態、処置前の前記被験者の血液中で検出されたPGのレベル、抗PG抗体を用いて処理されている被験者の感受性を含む種々の要因に依存しうる。適切な投与量は、当業者により容易に決定されることができる。最終的には、臨床医が、使用される適切な投与量を決定する。この投与量は、しばしば、適宜、反復することができる。副作用が発生した場合、投与量の量及び/又は頻度を、通常の臨床診療に従って、変える又は低下させることができる。適当な投与量及び処置計画は、本開示の方法又は当業者に公知の他の方法を使用して、治療の進行をモニターすることにより確立することができる。
【0178】
効果的な投与量を、最初にインビトロアッセイから推定することができる。例えば、動物における使用のための初回用量を製剤化し、インビトロで測定されたプロガストリンについての抗体の結合親和性である又はそれを上回る抗hPG抗体の循環血液又は血清濃度を達成してもよい。特定の抗体のバイオアベイラビリティを考慮に入れた、そのような循環血液又は血清中濃度を達成するための投与量の算出は、十分に当業者の能力内である。ガイダンスについては、読者はパート1を参照のこと:General Principles in "Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics," 11th Ed., Hardman, J.G., et al., Eds., McGraw-Hill Professional、及びその中で引用される参考文献。初回投与量は、また、インビボのデータ(例えば動物モデルなど)から推定することができる。当業者は、そのような情報を定期的に適応して、ヒトへの投与のために適した投与量を決定することができる。
【0179】
特定の実施態様において、静脈内用量を、処置の数日から数週間前に数回個人の血清又は血漿PG濃度を測定し、飽和しうる抗PG抗体の量(即ち、PGの全てに結合するために十分でありうる量)を算出することにより個々の被験者について決定してもよい。当業者により理解される通り、PGの所与の血清又は血漿中濃度について飽和を達成するために必要な任意の特定の抗体の量は、特定の抗体の親和定数に部分的に依存する。目的の特定の抗PG抗体についての飽和量を算出するための方法は周知である。
【0180】
飽和を保証するために、算出された飽和量より大きい量を投与してもよく、例えば、算出された飽和量よりも少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、又はさらには10倍大きい量を投与してもよい。静脈内以外の投与様式のために、量を、当技術分野において周知の通りに、薬物動態及びバイオアベイラビリティに基づいて適応することができる。
【0181】
抗hPG抗体組成物の効果的な用量は、約0.001mg/kg〜約250mg/kg/単回(例、ボーラス)投与、複数投与又は連続(例、注入)投与の範囲でありうる、あるいは、再発を防止することが求められる癌の型、投与経路、ならびに被験者の年齢、体重、及び状態に依存する本明細書における任意の効果的な範囲又は値でありうる。特定の実施態様において、各用量は約0.1mg/kg〜約0.5mg/kg;約0.25mg/kg〜約0.75mg/kg;約0.5mg/kg〜約1mg/kg;約2mg/kg;約1.5mg/kg〜約2.5mg/kg;約2mg/kg〜約3mg/kg;約2.5mg/kg〜約3.5mg/kg;約3mg/kg〜約4mg/kg;約3.5mg/kg〜約4.5mg/kg;約4mg/kg〜約5mg/kg;約5mg/kg〜約7mg/kg;約6mg/kg〜約8mg/kg;約7mg/kg〜約9mg/kg;約8mg/kg〜約10mg/kg;約10mg/kg〜約15mg/kg;約12.5mg/kg〜約17.5mg/kg;約15mg/kg〜約20mg/kg;約17.5mg/kg〜約22.5mg/kg;約20mg/kg〜約25mg/kg;約22.5mg/kg〜約27.5mg/kg;約25mg/kg〜約30mg/kg;約30mg/kg〜約40mg/kg;約35mg/kg〜約45mg/kg;約40mg/kg〜約50mg/kg;約45mg/kg〜約55mg/kg;約50mg/kg〜約60mg/kg;約55mg/kg〜約65mg/kg;約60mg/kg〜約70mg/kg;約65mg/kg〜約75mg/kg;約70mg/kg〜約80mg/kg;約75mg/kg〜約85mg/kg;約80mg/kg〜約90mg/kg;約85mg/kg〜約95mg/kg;約90mg/kg〜約100mg/kg;約95mg/kg〜約105mg/kg;約100mg/kg〜約150mg/kg;約125mg/kg〜約175mg/kg;約150mg/kg〜約200mg/kg;約175mg/kg〜約225mg/kg;約200mg/kg〜約250mg/kg。他の投与量の範囲も可能である。
【0182】
投与の量、頻度、及び持続時間は、種々の要因(例えば患者の年齢、体重、及び疾患の状態など)に依存する。このように、非限定的な例において、投与のための治療計画は、1日又はそれ以上、2日又はそれ以上、3日又はそれ以上、4日又はそれ以上、5日又はそれ以上、6日又はそれ以上、1週間又はそれ以上、2週間から無制限にわたり、2週間〜6ヶ月間、3ヶ月間〜5年間、6ヶ月間〜1又は2年間、8ヶ月間〜18ヶ月間などにわたり継続することができる。場合により、治療計画は、反復投与(例、1日1回、1日2回、2日、3日、5日、1週間、2週間、又は1ヶ月毎)を提供する。反復投与は同じ用量で又は異なる用量でありうる。投与は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回又はそれ以上反復することができる。抗hPG抗体の治療的に効果的な量は、単回用量として又は治療計画の経過にわたり(例、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年又はそれより長い経過にわたり)投与することができる。
実施例1:転移性乳癌細胞株におけるガストリン遺伝子の発現
8. 実施例
【0183】
この実施例では、転移性乳癌細胞株におけるガストリン(GAST)遺伝子の発現を記載する。
【0184】
A. 方法
GAST mRNAの発現を、MCF−7、MDA−MB−231、及びT47D細胞株からのRNA調製物からの定量的RT−PCRを使用して定量化した。データを、SW480細胞株(高レベルのガストリンmRNAを発現することが公知である原発性結腸直腸癌細胞株)において見出されたmRNA発現レベルとの比較で表現する。
【0185】
MCF−7細胞はヒト転移性乳癌細胞株である。それらは、元は、乳房の腺癌と診断された患者の胸水に由来した。MDA−MB−231細胞はヒト転移性乳癌細胞株である。それらは、元は、乳房の腺癌と診断された患者の胸水に由来した。T47D細胞はヒト転移性乳癌細胞株である。それらは、元は、乳房の侵襲性腺管癌と診断された患者の胸水に由来した。
【0186】
B. 結果
定量的RT−PCRにより測定されたガストリン遺伝子発現レベルを図1に示す。テストした全て3つの転移性乳癌細胞株は、SW480細胞における発現と比較して、およそ同じレベル又はそれ以下のレベルでガストリン遺伝子を発現した。翻訳後プロセシングを通じて、ガストリン遺伝子産物はプロガストリンに変換されうる。
【0187】
実施例2:患者から外科的に除去された原発性及び転移性乳房腫瘍におけるガストリン遺伝子の発現
この実施例では、患者から外科的に除去された原発性及び転移性乳癌におけるガストリン(GAST)遺伝子の発現を記載する。
【0188】
A. 方法
原発性及び転移性乳癌を、適用可能な倫理ガイドラインに従って、異なる患者から外科的に切除した。RNAを癌サンプルから調製し、ガストリンmRNAを定量的RT−PCRにより測定した。臨床サンプルにおけるガストリンmRNAの発現を、MCF−7細胞における発現のレベルと比べて標準化した。
【0189】
B. 結果
合計105個の原発性乳癌及び25個の転移性乳癌を、ガストリン遺伝子の発現についてテストした。プロガストリンmRNAが、テストした27個の原発腫瘍(図2)において及びテストした7個の転移性腫瘍(図3)において検出可能であった。このように、ガストリン遺伝子は、原発性及び転移性の両方の乳癌のサブセットにおいて発現し、発現のレベルは、ガストリン遺伝子の発現が検出可能である癌の間で変動する。
【0190】
実施例3:乳癌患者における血液血漿プロガストリン濃度
この実施例では、原発性及び転移性乳癌を伴う患者におけるプロガストリンの血液血漿レベルの定量化を記載する。
【0191】
A. 方法
血液血漿プロガストリン濃度を、健常個人(コントロールとして)において、及び原発腫瘍が外科的に除去されている転移性乳癌を伴う42人の患者において、及び原発性乳癌を伴う3人の患者において測定した。合計104個の健常コントロールサンプルが血液バンクから得られた。
【0192】
血漿又は血清プロガストリンレベルの定量化は、以下に机上に記載するものと同様のプロガストリン特異的サンドイッチELISA技術を使用して実施した。
【0193】
Nunc MaxiSORP 96ウェルプレートのウェルを、以下の通りに第1プロガストリン特異的抗体を用いてコーティングする。プロガストリンのカルボキシ末端領域について特異的な抗プロガストリンポリクローナル抗体を、MilliQ水中の50mM,pH 9.6炭酸/重炭酸ナトリウム緩衝液の溶液中に、濃度3μg/mlまで希釈する。合計100μlの抗体溶液を、次に、96ウェルプレートの各ウェルに加えて、4℃で一晩インキュベートする。結合後、抗体溶液をウェルから除去し、それらを次に、100μl洗浄緩衝液(1×PBS/0.1% Tween-20)を用いて3回洗浄する。合計100μlのブロッキング緩衝液(1×PBS/0.1% Tween-20/0.1% BSA)を次に各ウェルに加えて、22℃で2時間にわたりインキュベートする。ブロッキング緩衝液を次に除去し、ウェルを、洗浄緩衝液を用いて3回洗浄する。患者から単離された血漿又は血清サンプルを、ウェルに、容積100μl中の希釈系列(典型的には1:1、1:2、1:5、及び1:10希釈)において加えて、次に、22℃で2時間にわたりインキュベートする。血漿又は血清サンプルを2重で分析する。
【0194】
アッセイは、また、2つの標準曲線を含む。第1の標準曲線を、組換えプロガストリンの希釈物を使用して、最終量1ng、0.5ng、0.25ng、0.1ng、0.05ng、0.01ng、及び0ng/ウェルに調製する。第2の標準曲線は、陰性コントロールとしての役割を果たし、テストサンプルと同じ希釈で(即ち、1:1、1:2、及び1:10)、ブロッキング緩衝液中に希釈したプロガストリン陰性ヒト血清から調製する。あるいは、血漿サンプルをアッセイしている場合、第2の標準曲線は、陰性コントロールとしての役割を果たし、テストサンプルと同じ希釈で(即ち、1:1、1:2、及び1:10)、ブロッキング緩衝液中に希釈したプロガストリン陰性ヒト血漿から調製する。
【0195】
血漿又は血清サンプルを用いたインキュベーションが完了した後、ウェル内容物を除去し、洗浄緩衝液(100μl/ウェル)を用いて3回洗浄し、その後、第1抗体に結合したプロガストリンを、プロガストリンについて特異的な第2抗体を使用して、以下の通りに検出する。
【0196】
プロガストリンのアミノ末端領域について特異的なビオチン共役抗プロガストリンポリクローナル又はモノクローナル抗体を、ブロッキング緩衝液中で、濃度0.1〜10μg/mlまで、抗体に依存して希釈する。合計100μlの抗体溶液を次に各ウェルに加えて、22℃で1時間にわたりインキュベートする。
【0197】
第2抗体結合が完了した後、プレートを、洗浄緩衝液(100μl/ウェル)を用いて3回洗浄し、その後、100μlのストレプトアビジン−HRP溶液(ブロッキング緩衝液中25ng/ml)を各ウェルに加えて、22℃で1時間にわたりインキュベートする。ストレプトアビジン−HRP溶液を用いたインキュベーションが完了した後、プレートを、洗浄緩衝液(100μl/ウェル)を用いて3回洗浄する。その後、Pierce SuperSignal ELISA Femto Maximum Sensitivity Chemiluminescent Substrateキットを使用して調製した100μlの化学発光基質を1ウェル当たりに加え、暗所に室温で5分間にわたりインキュベートし、ルミノメーターで読み込む。
【0198】
ルミノメーターの読み取りに基づき、線形回帰分析を使用して、標準曲線データに対応する線の等式を導く。この等式を使用して、種々の患者サンプル中でのプロガストリンの濃度を次に算出する。
【0199】
B. 結果
図4のボックスプロットは、健常コントロールと比較した、転移性乳癌を有する乳癌患者における25パーセンタイル、中央値、及び75パーセンタイル血液血漿プロガストリン濃度を示す。ウィスカーは、血液血漿プロガストリン濃度の5及び95パーセンタイルを示す。このデータは、原発性乳癌腫瘍を除去した転移性乳癌を伴う患者が、健常個人と比較して、より高い血液血漿プロガストリン濃度の中央値を有したことを実証する。データの統計分析が表4に含まれる。
【0200】
転移を伴わない原発性乳癌と診断された3人の患者において、プロガストリンレベルが45.7pM、97.3pM、及び667.7pMと決定され、プロガストリンレベルが、また、原発性乳癌を伴う特定の患者において上昇していることを実証する。
【0201】
【表6】

【0202】
実施例4:培養中のMDA−MB−231転移性乳癌細胞の成長に対する抗プロガストリンポリクローナル抗体の効果
この実施例では、培養中のMDA−MB−231細胞の成長に対する抗プロガストリンポリクローナル抗体の効果を記載する。
【0203】
A. 方法
MDA−MB−231細胞を、6ウェルプレート中に、RPMI培地+10%FBS中に播種し(50,000個細胞/ウェル)、1日にわたりインキュベートし、次に、一晩、血清飢餓させた。3重で、培地を、次に、48時間にわたり1日2回、0.5%Pannexin Hを添加したRPMI培地(2μg/mlのコントロール抗体又は抗プロガストリンポリクローナル抗体を含む)を用いて交換した。コントロール抗体はポリクローナルウサギ抗ヒトIgG(Affinity BioReagents Ref #SA1-600、2μg/ml)であった。実験を2重で行い、技術者は、処理溶液の内容物に関して盲検化された。実験の終了時、各ウェルからの細胞を3回カウントした。
【0204】
B. 結果
結果(図5に示す)を、実験の終了時での平均細胞数/ウェル−実験の開始時に播種した細胞数として算出した。データの統計分析が表5に含まれる。この実験の結果は、抗プロガストリンポリクローナル抗体が、コントロールポリクローナル抗体と比較して、インビトロでMDA−MB−231転移性乳癌細胞の成長を低下させるために効果的であることを実証する。
【0205】
【表7】

【0206】
実施例5:培養中のMDA−MB−231転移性乳癌細胞の成長に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体の効果
この実施例では、培養中のMDA−MB−231細胞の成長に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体の効果を記載する。
【0207】
A. 方法
MAb3及びMAb8を用いた第1実験において、MDA−MB−231細胞を、6ウェルプレート中に(50,000-150,000個細胞/ウェル)、RPMI培地+10% FBS中に播種し、8時間にわたりインキュベートし、次に、一晩血清飢餓させた。播種後24時間目に開始し(時間「T0」)、培地を48時間にわたり1日2回、0.5%Pannexin Hを添加したRPMI培地(1−10μg/mlの抗hPGモノクローナル抗体又はコントロールモノクローナル抗体(マウス抗ヒトIgG1)を含む)を用いて交換した。T0に、細胞の数を各実験について3つのウェル中でカウントした。48時間後、各ウェル中に生存している細胞の数を盲検様式で4回カウントした。T0での細胞数を48時間での細胞数から引き、データを、コントロール抗体を用いた処理で生き残った細胞の数と比べたパーセンテージとして標準化した。
【0208】
第2実験において、MDA−MB−231細胞を6ウェルプレート中に播種し(100,000個細胞/ウェル)、上の通りにMAb8、MAb13、MAb16、及びMAb19(10μg/ml)を用いて処理した。
【0209】
B. 結果
実験の結果(図6及び図7に示す)は、5つの異なる抗hPG抗体MAb3、MAb8、MAb13、MAb16、及びMAb19が、コントロールモノクローナル抗体と比較して、インビトロでのMDA−MB−231転移性乳癌細胞の成長を阻害するために効果的であることを実証する。MAb8の阻害効果は用量反応性であった。MAb8及びMAb13がhPGのC末端エピトープを認識するのに対し、MAb3、MAb 16、及びMAb19は、各々、N末端エピトープを認識し、抗体中和活性が、標的エピトープがプロガストリンタンパク質のN末端又はC末端に位置づけられるか否かに依存していないことを実証する。
【0210】
実施例6:培養中のMCF−7転移性乳癌細胞の成長に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体の効果
この実施例では、培養中のMCF−7細胞の成長に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体の効果を記載する。
【0211】
A. 方法
MCF−7細胞を6ウェルプレート中に播種し(100,000個細胞/ウェル)、10%ウシ胎児血清を含むDMEM中で8時間にわたり成長させた。細胞を一晩血清飢餓させ(播種後24時間目に開始する(時間T0))、細胞を、48時間にわたり12時間毎に、0.5% PanexinHの存在において、1μg/mlのコントロールモノクローナル抗体(マウス抗ヒトIgG1、Calbiochem Ref #411451)を用いて、又は1μg/mlの抗hPG MAb3を用いて処理した(示す通り)。コントロールMAb処理細胞及び抗hPG MAb処理細胞の両方における生細胞の数を、48時間目にカウントした。処理の開始時(T0)での細胞数を、48時間目に測定したテスト及びコントロール細胞数から引いた。技術者は、処理溶液の内容物に関して盲検化された。
【0212】
B. 結果
結果(図8に示す)を、実験の終了時での平均細胞数/ウェル−実験の開始時に播種した細胞数として算出した。データの統計分析が表6に含まれる。この実験の結果は、抗プロガストリンモノクローナル抗体が、コントロール抗体と比較して、インビトロでMCF−7転移性乳癌細胞の成長を低下させるために効果的であることを実証する。
【0213】
【表8】

【0214】
実施例7:培養中のT47D転移性乳癌細胞の成長に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体の効果
この実施例では、培養中のT47D細胞の成長に対する抗PGモノクローナル抗体の効果を記載する。
【0215】
A. 方法
T47D細胞を6ウェルプレート中に播種し(50,000個細胞/ウェル)、10%ウシ胎児血清を含むRPMI中で8時間にわたり成長させた。細胞を一晩血清飢餓させ(播種後24時間目に開始する(時間T0))、細胞を、48時間にわたり12時間毎に、0.5% PanexinHの存在において、1μg/mlのコントロールモノクローナル抗体(マウス抗ヒトIgG1、Calbiochem Ref #411451)を用いて、又は1μg/mlの抗hPG MAb3を用いて処理した(示す通り)。コントロールMAb処理細胞及び抗hPG MAb処理細胞の両方における生細胞の数を、48時間目にカウントした。処理の開始時(T0)での細胞数を、48時間目に測定したテスト及びコントロール細胞数から引いた。技術者は、処理溶液の内容物に関して盲検化された。
【0216】
B. 結果
結果(図9に示す)を、実験の終了時での平均細胞数/ウェル−実験の開始時に播種した細胞数として算出した。データの統計分析が表7に含まれる。この実験において、統計的な有意差は、コントロール抗体と比較して、抗プロガストリンモノクローナル抗体MAb3を用いた処理により、インビトロでのT47D細胞成長に対する効果において見出されなかった。
【0217】
【表9】

【0218】
実施例8:転移性乳癌細胞株におけるガストリン遺伝子の発現に対する低付着培養条件の効果
この実施例では、MDA−MB−231及びMCF7細胞株におけるガストリン遺伝子発現に対する、従来の組織培養条件及び低付着条件下での成長の効果を比較する。
【0219】
A. 方法
MDA−MB−231及びMCF7細胞を従来の低付着培養条件下で成長させた。実験の開始時、30,000個の細胞を、従来の超低付着性75cm2フラスコ(Corning)において、MammoCult Proliferationサプリメント(StemCell # 05622)、5μg/mlインシュリン、0.5μg/mlヒドロコルチゾン、100U/mlペニシリン、及び100U/mlストレプトマイシンを伴うMammoCult Medium(StemCell #05621)中で成長させた。回収後、細胞を、RNA抽出前に、Accumax(Sigma)中で、37℃で45分間にわたり解離させ、その後、全RNAを標準的技術に従って抽出した。ガストリンmRNAを、定量的RT−PCRを使用して定量化した。データを、MDA−MB−435細胞(検出閾値をちょうど上回るガストリン遺伝子レベルを発現する)において決定したガストリンmRNAレベルと比較して表現する。
【0220】
B. 結果
結果を図10に示す。MDA−MB−231細胞において、低付着培養条件下での成長は、従来の組織培養条件下での成長と比較して、そのような細胞におけるガストリンmRNAの量を増加させる。MCF7細胞において、ガストリン遺伝子発現は、従来の条件下で成長させた同じ型の細胞と比較して、低付着条件下で成長させた細胞において低下した。
【0221】
実施例9:低付着培養条件下でのスフェロイドとしての転移性乳癌細胞の成長に対する抗hPGモノクローナル抗体の効果
この実施例では、そのような細胞を低付着培養条件下で成長させた場合でのMCF−7転移性乳癌細胞株のスフェロイドとしての成長に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体の効果を記載する。
【0222】
A. 方法
MCF−7細胞を、低付着培養プレート(500個細胞/ウェル)において、500μlの無血清Mammocult培地中に播種した。プレーティング後10日間にわたり毎日、抗hPGモノクローナル抗体(MAb8)又はコントロールモノクローナル抗体を毎日2回培養培地中に加えた(3μg/ml)。実験の終了時、抗hPG抗体及びコントロール抗体の存在において形成したスフェロイドの数をカウントした。実験を盲検様式で行った。
【0223】
B. 結果
結果を図11に示し、それらは、低付着培養におけるスフェロイドとしてのMCF−7転移性乳癌細胞の成長が、非特異的コントロール抗体を用いた処理と比較して、抗hPGモノクローナル抗体MAb8を用いた処理により低下したことを実証する。
【0224】
実施例10:低付着培養条件下でのスフェロイドとしての転移性乳癌細胞の成長に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体を用いた前処理の効果
この実施例では、低付着培養条件下で成長させた場合でのMCF−7転移性乳癌細胞株のスフェロイドとしての成長に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体を使用した前処理の効果を記載する。
【0225】
A. 方法
細胞を、最初に、従来の付着性培養において、48時間にわたり、抗hPGモノクローナル抗体(MAb3)又はコントロールモノクローナル抗体の存在において成長させた。処理の終了時、500個細胞/ウェルを低付着24ウェルプレートにおいて500μlの無血清Mammocult培地中に蒔き、さらなる抗体処理を伴わず11日間にわたり成長させた。実験の終了時、1ウェル当たりの球の数をカウントした。
【0226】
B. 結果
結果を図12に示し、それらは、抗hPGモノクローナル抗体MAb3を用いたMCF−7転移性乳癌細胞の前処理が、さらなる抗体処理を伴わずに低付着条件下で後に培養した場合にそのような細胞により形成されるスフェロイドの数を低下させるために効果的であったことを実証する。なぜなら、低付着条件下での培養は乳癌幹細胞の成長について選択するため、これらの結果は、PGに対する中和性抗体が、乳癌細胞の集団においてそのような幹細胞の数を低下させるために効果的であることを示す。さらに、特異的抗体を用いた前処理が、乳癌幹細胞の数を効果的に低下させたとの観察は、乳房腫瘍を抗hPG中和性抗体に曝露させることが、抗体がもはや存在しない後でさえ、幹細胞の腫瘍形成の低下に対して持続的な効果を有しうることを示唆する。
【0227】
実施例11:血漿又は血清PGレベルの定量化
PGの血漿及び/又は血清レベルは、以下のアッセイを使用して便利に決定することができる。96ウェルマイクロタイタープレートを、0.5〜10μg/mlのC末端抗hPG抗体、例えば、ウサギC末端抗hPGポリクローナル抗体、又はC末端抗hPG抗体(本明細書に記載する)を用いてコーティングし、次に、一晩インキュベートする。プレートを、次に、PBS−Tween(0.05%)中で3回洗浄し、PBS−Tween(0.05%)中の2%(w/v)脱脂乾燥ミルクを用いてブロックする。別々に、テストサンプル、コントロールサンプル(ブランク又はPG陰性血漿又は血清サンプル)、及び約5pM(0.5×10−11M)〜約0.1nM(1×10−10M)のhPG参照基準(PG陰性血漿又は血清中で希釈した凍結乾燥hPG)を適切な希釈剤(例、PBS−Tween 0.05%)中で調製する。サンプルを、コーティングしたプレート上で2〜4時間にわたり37℃で、又は、あるいは、12〜16時間21℃でインキュベートする。インキュベーション後、プレートを、PBS−Tween(0.05%)を用いて3回洗浄し、0.001〜0.1μg/mlのN末端抗hPG抗体、例えば、ポリクローナルN末端抗hPG抗体又はN末端モノクローナル抗hPG抗体(本明細書に記載する)を用いてインキュベートし、21℃で30分間にわたり西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)(Nakane et al., 1974, J. Histochem. Cytochem. 22(12): 1084-1091を参照のこと)に結合させる。プレートを次にPBS−Tween(0.05%)中で3回洗浄し、HRP基質を21℃で15分間にわたり加える。反応を、100μlの0.5M硫酸を加えることにより停止させ、光学密度測定値を405nmで取る。テストサンプルhPGレベルを、hPG参照基準に由来する測定値から構築された標準曲線との比較により決定する。
【0228】
実施例12:抗hPG抗体の特異性を評価するためのELISAアッセイ
抗hPG抗体の特異性を、以下の通りにELISAアッセイを使用して便利に決定することができる。96ウェルプレートを、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の適切な濃度のテストポリペプチド(例、25及び50ngの組換えヒトPG、ならびに50及び250ngのCTFP又は他のガストリン由来の遺伝子産物)を用いて4℃で一晩インキュベートした。その後、ウェルを、洗浄溶液(PBS及び0.1%Tween-20)を用いて3回洗浄し、次に1ウェル当たり100μlのブロッキング溶液(PBS、0.1%Tween-20、0.1%ウシ血清アルブミン又はカゼイン加水分解物)を用いて22℃で2時間にわたりインキュベートした。ブロッキング後、ウェルを3回洗浄し、アッセイする抗体(テスト抗体)を加える。100μlのPBS中のテスト抗体(0.3〜1ng/mL)及び0.1%Tween-20を各ウェルに加える。プレートを次に22℃で2時間にわたりインキュベートし、その後、テスト抗体溶液を捨て、洗浄工程(3×100μlの洗浄溶液、上に記述する通り)後、二次抗体、西洋ワサビペルオキシダーゼに結合させたヤギ抗マウスIgG(Fc)抗体を含むブロッキング溶液を用いて置換する。二次抗体を用いた1時間のインキュベーション後、100μlの基質溶液(例、Fast OPD、又はO−フェニレンジアミン二塩酸塩、Sigma-Aldrich Co.から入手可能、製造者の指示に従って調製した)を各ウェルに加え、暗所で、22℃で20分間にわたりインキュベートした。反応は、50μlの4N硫酸を加えることにより停止させ、触媒された基質の量を、492nmでの光学密度(OD)を測定することにより決定する。基質変換は、抗原に結合した一次(テスト)抗体の量に比例する。実験を2重で実行し、OD測定値を抗原濃度の関数としてプロットする。テスト抗体は、測定されたODがhPGについて0.2〜1.5の間であり、CTFP又は他のガストリン遺伝子由来ペプチドのいずれかを用いて、バックグラウンドを上回る統計的に有意なシグナルがない場合、PGについて特異的であるとスコア化される(ここで、バックグラウンドはPBSだけを含むコントロールウェルからの平均シグナルである)。
【0229】
実施例13:抗hPG抗体の中和性抗体を評価するためのアッセイ
特異的な抗hPG抗体が中和性であるか否かを評価するための特定のテストを、以下の通りに実行することができる。乳癌細胞を6ウェルプレート中に約50,000〜100,000個細胞/ウェルで播種する。細胞を、次に、テスト抗hPG抗体又はコントロール抗体を用いて、約10μg/mlの抗体濃度で48時間にわたり12時間間隔で処理する。テスト抗体は、テスト抗体を用いて処理した細胞の数が、コントロールの非特異的抗体を用いて処理した細胞の数と比較して、生存細胞の数における少なくとも10%の統計的に有意な低下を示す場合(両側マンホイットニー検定(差は、p<0.05の場合に有意と考えられる)を使用する)、アッセイにおいて中和性であるとして定義される。全細胞数は、処理期間の開始時での細胞数について補正され、T0として言及される。このアッセイにおける使用のための例示的な乳癌細胞は、しかし、限定しないが、MDA−MB−231細胞及びMCF7細胞を含む。
【0230】
実施例14:抗hPG抗体の親和性を評価するためのアッセイ
抗hPG抗体の親和性定数は、Proteon Technique(BioRad)を使用して、Nahshol et al., 2008, Analytical Biochemistry 383: 52-60(その全体において参照により本明細書により組み入れられる)に従って測定することができる。簡単には、マウス抗PG抗体について、抗マウスIgG抗体(50μg/ml)を最初にセンサーチップ上にコーティングし、抗体の注射後にチップにより検出されたシグナルが10,000〜11,500応答単位(RU)の間に入ることを確認する。目的のマウス抗hPG抗体(テスト抗体)を次に注射する(30μg/mlの典型的な濃度で)。テスト抗体が十分に結合する場合、少なくとも500RUの追加シグナルが観察される。テスト抗体とhPGの間での結合の時間経過を、次に、hPGの変動濃度、例えば、200nM、100nM、50nM、25nM、及び12.5nMを注射し、結合のレベルを検出することにより得る。典型的には、いくつかのチャンネルが、単一の実験において並行して複数の抗体をテストするために利用可能であり、hPGの異なる濃度で並行して単一のテスト抗体の結合をアッセイすることを可能にする。1つのチャネルを、非特異的結合についてのコントロールとして、hPGに特異的ではないマウスモノクローナル抗体を用いて注射すべきである。別のチャネルを、バックグラウンドシグナルについてのベースラインとして、希釈緩衝液単独を用いて注射すべきである。一般的に、結合は、非特異的マウス抗体を用いて注射したチャネルにおいて検出可能ではない。この設定において高レベルの結合を示す抗体は、hPGによる捕捉モノクローナル抗体の飽和をもたらしうるが、より低いhPG濃度(50nM、25nM、12.5nM、6.25nM、及び3.125nM)に対してテストすることができ、より洗練された測定を許す。
【0231】
親和性定数(K)を、解離定数(k)と結合定数(k)の間の比率として算出する。実験値は、結合測定値に基づく実験曲線及び理論上のプロファイルの間での統計的に関連する類似性を分析することにより検証することができる。
【0232】
非マウス抗hPG抗体の親和性定数は、抗hPGテスト抗体の起源の種について特異的なIgGを使用して同様のフォーマットにおいて評価することができる。
【0233】
実施例15:参照抗hPG抗体を用いた競合的結合を評価するためのアッセイ
目的の抗体(テスト抗体)が、hPG結合について、ビオチン化参照抗hPG抗体と競合するか否かを評価するための特定のアッセイを、以下の通りに実施することができる。96ウェルプレートを、捕捉抗hPG抗体(ビオチン化参照抗hPG抗体により認識されるエピトープとは異なるhPGのN又はC末端領域を認識するポリクローナル又はモノクローナル抗体)を用いて、1〜10μg/mlの範囲内で選ばれる濃度で、4℃で一晩コーティングする(0.1〜1μg/ウェル)。22℃で2時間にわたるブロッキングバッファー(PBS中の0.1% Tween-20、0.1%BSA)を用いたブロッキング後、組換えhPGを、10pM〜1nM(10〜1000pg/ウェル)の間の範囲の濃度で加え、22℃で2時間にわたりインキュベートする。その後、ビオチン化参照抗hPG抗体(又はビオチン化参照抗hPG抗体を含む混合物)を、増加濃度の非標識テスト抗体濃度と共に加え、22℃で1時間にわたりインキュベートする。非結合抗体を除去するための洗浄後、結合した標識参照抗hPG抗体の検出を、混合物を、50ng/mlのストレプトアビジン(steptavidin)−HRPと22℃で1時間にわたりインキュベートすることにより実施し、西洋ワサビペルオキシダーゼ用の蛍光基質とのインキュベーション、及び、次に、ルミノメーターにおける相対的な光単位(RLU)の定量化が続く。アッセイを2重で実施した。
【0234】
参照抗hPG抗体と競合する抗体は、hPGへの参照抗体の結合を阻害する。実質的に同一のエピトープに、又は重複するエピトープと参照抗体として結合する抗体は、結合した参照抗hPG抗体の量を有意に低下させる(例えば、少なくとも50%)(観察されたRLUにおける低下により証明される通り)。
【0235】
高いコントロール値が、標識した参照抗体を、テスト抗体を伴わず、組換えhPGとインキュベートすることにより行われるコントロール実験から得られる。低いコントロール値は、過剰濃度の非標識参照抗体(非標識参照抗体は、このように、hPGへの結合について標識抗体と競合する)の存在において、標識された参照抗体を、組換えhPGを用いてインキュベートすることにより行われるコントロール実験から得られる。参照抗hPG抗体と競合するテスト抗体の能力は、次に、標識した参照抗体を、増加濃度の非標識テスト抗体の存在において組換えhPGとインキュベートすることにより決定される。
【0236】
テストアッセイにおいて、テスト抗体の存在における観察されたRLUにおける有意な低下は、テスト抗体が、参照抗hPG抗体と実質的に同じエピトープを認識することを示す。
【0237】
結合の阻害は阻害定数又はKとして表現することができ、以下の式に従って算出される:
=IC50/(1+([参照抗hPG Ab濃度] / KD参照抗hPG Ab))
式中、 「IC50」は、参照抗体の結合における50%低下をもたらすテスト抗体の濃度であり、KD参照抗hPG Abは参照抗hPG抗体の解離定数(hPGについてのその親和性の測定値)である。参照抗hPG抗体(例えば、本明細書に記載する抗hPG抗体の1つ)と競合する有用なテスト抗体は、典型的には、本明細書に記載するアッセイ条件下で10pM〜100nMの範囲のKsを有する。
【0238】
本願において引用する全ての刊行物、特許、特許出願、及び他の文書が、各々の個々の刊行物、特許、特許出願、又は他の文書が全ての目的のために参照により組み入れられることが個々に示される場合と同じ程度まで、全ての目的のためにそれらの全体において参照により本明細書により組み入れられる。
【0239】
種々の特定の実施態様が例証及び記載されているが、種々の変化を、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく作ることができることが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳癌のための処置を必要とする患者に、プロガストリンに特異的に結合する抗体を含む組成物の治療に効果的な量を投与する工程を含む、乳癌を処置するための方法。
【請求項2】
乳癌が原発性乳癌である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
乳癌が転移性乳癌である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
抗プロガストリン抗体組成物を投与する工程が、乳房腫瘍の外科的切除の前にもたらされる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
抗プロガストリン抗体組成物を投与する工程が、乳房腫瘍の外科的切除の後にもたらされる、請求項1記載の方法。
【請求項6】
抗プロガストリン抗体組成物を投与する工程が、乳癌のための放射線治療の線量の投与の前にもたらされる、請求項1記載の方法。
【請求項7】
抗プロガストリン抗体組成物を投与する工程が、乳癌のための放射線治療の線量の投与の後にもたらされる、請求項1記載の方法。
【請求項8】
抗プロガストリン抗体組成物を投与する工程が、乳癌を処置するための化学療法剤の投与の前にもたらされる、請求項1記載の方法。
【請求項9】
抗プロガストリン抗体組成物を投与する工程が、乳癌を処置するための化学療法剤の投与と同時にもたらされる、請求項1記載の方法。
【請求項10】
抗プロガストリン抗体組成物を投与する工程が、乳癌を処置するための化学療法剤の投与の後にもたらされる、請求項1記載の方法。
【請求項11】
化学療法剤が、葉酸拮抗剤、プリン拮抗剤、ピリミジン拮抗剤、DNAアルキル化剤、DNA架橋薬、抗生物質、白金錯体、プロテアソーム阻害剤、有糸分裂紡錘体毒、トポイソメラーゼ阻害剤、及びチロシンキナーゼ阻害剤からなる化学療法剤の群の中より選択される、請求項8〜10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
抗プロガストリン抗体組成物を投与する工程が、乳癌を処置するためのホルモン治療剤の投与の前にもたらされる、請求項1記載の方法。
【請求項13】
抗プロガストリン抗体組成物を投与する工程が、乳癌を処置するためのホルモン治療剤の投与と同時にもたらされる、請求項1記載の方法。
【請求項14】
抗プロガストリン抗体組成物を投与する工程が、乳癌を処置するためのホルモン治療剤の投与の後にもたらされる、請求項1記載の方法。
【請求項15】
ホルモン治療剤が、ビカルタミド、フルタミド、フルベストラント、酢酸リュープロリド、酢酸メゲストロール、タモキシフェン、ラロキシフェン、アナストロゾール、エキセメスタン、及びレトロゾールからなる群の中より選択される、請求項12〜14のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
抗プロガストリン抗体組成物を投与する工程が、プロガストリン以外に対する特異性を有する第2の治療用抗体の投与の前にもたらされる、請求項1記載の方法。
【請求項17】
抗プロガストリン抗体組成物を投与する工程が、プロガストリン以外に対する特異性を有する第2の治療用抗体の投与と同時にもたらされる、請求項1記載の方法。
【請求項18】
抗プロガストリン抗体組成物を投与する工程が、プロガストリン以外に対する特異性を有する第2の治療用抗体の投与の後にもたらされる、請求項1記載の方法。
【請求項19】
第2の抗体が、パニツムマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、及びトラスツズマブからなるモノクローナル抗体の群の中より選択される、請求項16〜18のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
第2の抗体が、EGFR、VEGF、及びHER2からなる群の中より選択される抗原に特異的に結合する、請求項16〜18のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
抗プロガストリン抗体が、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、ラクダ化抗体、IgA1抗体、IgA2抗体、IgD抗体、IgE抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、IgG4抗体、及びIgM抗体からなる群の中より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項22】
抗体を成分に結合させる、請求項1記載の方法。
【請求項23】
成分が非タンパク質性である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
成分が抗体の血清半減期を増加させるために効果的である、請求項22記載の方法。
【請求項25】
抗体を変えて、FcRnへのその結合を増加させる、請求項1記載の方法。
【請求項26】
抗体が、少なくとも約0.001nM〜少なくとも約5000nMのプロガストリン結合親和性を有する、請求項1記載の方法。
【請求項27】
組成物が、プロガストリンの別々のエピトープに対する特異性を有する複数の抗体を含む、請求項1記載の方法。
【請求項28】
プロガストリン特異的抗体が、MAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19、MAb20、MAb21、MAb22、及びMAb23からなる群の中より選択されるモノクローナル抗体である、請求項1記載の方法。
【請求項29】
モノクローナル抗体がヒト化されている、請求項28記載の方法。
【請求項30】
プロガストリン特異的抗体が重鎖可変領域(V)を含むモノクローナル抗体であり、相補性決定領域1(CDR1)がV CDR 1.3、V CDR 1.4、V CDR 1.8、V CDR 1.13、V CDR 1.16、V CDR 1.19より選択され、CDR2がV CDR 2.3、V CDR 2.4、V CDR 2.8、V CDR 2.13、V CDR 2.16、V CDR 2.19より選択され、CDR3がV CDR 3.3、V CDR 3.4、V CDR 3.8、V CDR 3.13、V CDR 3.16、V CDR 3.19より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項31】
プロガストリン特異的抗体が軽鎖可変領域(V)を含むモノクローナル抗体であり、相補性決定領域1(CDR1)がV CDR 1.3、V CDR 1.4、V CDR 1.8、V CDR 1.13、V CDR 1.16、V CDR 1.19より選択され、CDR2がV CDR 2.3、V CDR 2.4、V CDR 2.8、V CDR 2.13、V CDR 2.16、V CDR 2.19より選択され、CDR3がV CDR 3.3、V CDR 3.4、V CDR 3.8、V CDR 3.13、V CDR 3.16、V CDR 3.19より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項32】
抗体が、プロガストリン感受性の乳癌細胞の増殖を低下させることが可能である、請求項1記載の方法。
【請求項33】
抗体が、プロガストリン感受性の乳癌細胞の細胞死の率を増加させることが可能である、請求項1記載の方法。
【請求項34】
処置が、処置された被験者において乳癌転移の平均数を低下させるために効果的である、請求項1記載の方法。
【請求項35】
処置が、処置された被験者において乳癌転移の平均サイズを低下させるために効果的である、請求項1記載の方法。
【請求項36】
処置が、処置された被験者においてプロガストリンの血中濃度を低下させるために効果的である、請求項1記載の方法。
【請求項37】
抗体組成物が、非経口投与、髄腔内投与、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、腹腔内投与、注入投与、及びボーラス投与からなる群の中より選択される投与様式により投与される、請求項1記載の方法。
【請求項38】
抗プロガストリン抗体が約0.001mg/kg〜約250mg/kgの用量で投与される、請求項1記載の方法。
【請求項39】
抗プロガストリン抗体の用量を、複数の時間的に間隔を空けた投与にわたり投与する、請求項38記載の方法。
【請求項40】
抗プロガストリン抗体の単位用量及び希釈剤を含む、乳癌を処置するためのキット。
【請求項41】
抗プロガストリン抗体を乳癌のための処置を必要とする患者に投与するための指示をさらに含む、請求項40記載のキット。
【請求項42】
乳癌の防止を必要とする患者に、乳癌を防止するために効果的な量で、プロガストリンに特異的に結合する抗体を含む組成物を投与する工程を含む、乳癌を防止するための方法。
【請求項43】
防止される乳癌が原発性乳癌である、請求項42記載の方法。
【請求項44】
防止される乳癌が転移性乳癌である、請求項42記載の方法。
【請求項45】
抗プロガストリン抗体組成物を投与する工程が、乳癌の防止のために効果的な第2の薬剤の投与と同時に、又はその後にもたらされる、請求項42記載の方法。
【請求項46】
第2の薬剤が、乳癌を防止するために効果的な化学療法剤である、請求項45記載の方法。
【請求項47】
化学療法剤が、葉酸拮抗剤、プリン拮抗剤、ピリミジン拮抗剤、DNAアルキル化剤、DNA架橋薬、抗生物質、白金錯体、プロテアソーム阻害剤、有糸分裂紡錘体毒、トポイソメラーゼ阻害剤、及びチロシンキナーゼ阻害剤からなる化学療法剤の群の中より選択される、請求項46のいずれか一項記載の方法。
【請求項48】
第2の薬剤が、乳癌を防止するために効果的であるホルモン治療剤である、請求項45記載の方法。
【請求項49】
ホルモン治療剤が、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、アナストロゾール、エキセメスタン、及びレトロゾールからなる群の中より選択される、請求項48のいずれか一項記載の方法。
【請求項50】
患者が、乳癌の増加リスクに関連するBRCA1遺伝子又はBRCA2遺伝子における変異を有する、請求項42記載の方法。
【請求項51】
第2の薬剤が、プロガストリン以外に対する特異性を有する治療用抗体である、請求項42記載の方法。
【請求項52】
治療用抗体がトラスツズマブである、請求項51記載の方法。
【請求項53】
治療用抗体がHER2に特異的に結合する、請求項51記載の方法。
【請求項54】
抗プロガストリン抗体が、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、ラクダ化抗体、IgA1抗体、IgA2抗体、IgD抗体、IgE抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、IgG4抗体、及びIgM抗体からなる群の中より選択される、請求項42記載の方法。
【請求項55】
抗体を成分に結合させる、請求項42記載の方法。
【請求項56】
成分が非タンパク質性である、請求項55記載の方法。
【請求項57】
成分が抗体の血清半減期を増加させるために効果的である、請求項55記載の方法。
【請求項58】
抗体を変えて、FcRnへのその結合を増加させる、請求項42記載の方法。
【請求項59】
抗体が、少なくとも約0.001nM〜少なくとも約5000nMのプロガストリン結合親和性を有する、請求項42記載の方法。
【請求項60】
組成物が、プロガストリンの別々のエピトープに対する特異性を有する複数の抗体を含む、請求項42記載の方法。
【請求項61】
プロガストリン特異的抗体が、MAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19、MAb20、MAb21、MAb22、及びMAb23からなる群の中より選択されるモノクローナル抗体である、請求項42記載の方法。
【請求項62】
モノクローナル抗体がヒト化されている、請求項61記載の方法。
【請求項63】
プロガストリン特異的抗体が重鎖可変領域(V)を含むモノクローナル抗体であり、相補性決定領域1(CDR1)がV CDR 1.3、V CDR 1.4、V CDR 1.8、V CDR 1.13、V CDR 1.16、V CDR 1.19より選択され、CDR2がV CDR 2.3、V CDR 2.4、V CDR 2.8、V CDR 2.13、V CDR 2.16、V CDR 2.19より選択され、CDR3がV CDR 3.3、V CDR 3.4、V CDR 3.8、V CDR 3.13、V CDR 3.16、V CDR 3.19より選択される、請求項42記載の方法。
【請求項64】
プロガストリン特異的抗体が軽鎖可変領域(V)を含むモノクローナル抗体であり、相補性決定領域1(CDR1)がV CDR 1.3、V CDR 1.4、V CDR 1.8、V CDR 1.13、V CDR 1.16、V CDR 1.19より選択され、CDR2がV CDR 2.3、V CDR 2.4、V CDR 2.8、V CDR 2.13、V CDR 2.16、V CDR 2.19より選択され、CDR3がV CDR 3.3、V CDR 3.4、V CDR 3.8、V CDR 3.13、V CDR 3.16、V CDR 3.19より選択される、請求項42記載の方法。
【請求項65】
抗体が、プロガストリン感受性の乳癌細胞の増殖を低下させることが可能である、請求項42記載の方法。
【請求項66】
抗体が、プロガストリン感受性の乳癌細胞の細胞死の率を増加させることが可能である、請求項42記載の方法。
【請求項67】
処置が、処置された被験者においてプロガストリンの血中濃度を低下させるために効果的である、請求項42記載の方法。
【請求項68】
抗体組成物が、非経口投与、髄腔内投与、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、腹腔内投与、注入投与、及びボーラス投与からなる群の中より選択される投与様式により投与される、請求項42記載の方法。
【請求項69】
抗プロガストリン抗体が約0.001mg/kg〜約250mg/kgの用量で投与される、請求項42記載の方法。
【請求項70】
抗プロガストリン抗体の用量を、複数の時間的に間隔を空けた投与にわたり投与する、請求項69記載の方法。
【請求項71】
乳癌の再発を防止するために効果的な量で、プロガストリンに特異的に結合する抗体を含む組成物を、乳癌の再発の防止を必要とする患者に投与する工程を含み、該乳癌がプロガストリン感受性である、乳癌の再発を防止するための方法。
【請求項72】
抗プロガストリン抗体組成物を投与する工程が、乳癌の再発の防止のために効果的な第2の薬剤の投与と同時に、又はその後にもたらされる、請求項71記載の方法。
【請求項73】
第2の薬剤が、プロガストリン以外に対して特異性を有する治療用抗体である、請求項72記載の方法。
【請求項74】
抗プロガストリン抗体が、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、ラクダ化抗体、IgA1抗体、IgA2抗体、IgD抗体、IgE抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、IgG4抗体、及びIgM抗体からなる群の中より選択される、請求項71記載の方法。
【請求項75】
抗体を成分に結合させる、請求項71記載の方法。
【請求項76】
成分が非タンパク質性である、請求項75記載の方法。
【請求項77】
成分が抗体の血清半減期を増加させるために効果的である、請求項75記載の方法。
【請求項78】
抗体を変えて、FcRnへのその結合を増加させる、請求項71記載の方法。
【請求項79】
抗体が、少なくとも約0.001nM〜少なくとも約5000nMのプロガストリン結合親和性を有する、請求項71記載の方法。
【請求項80】
組成物が、プロガストリンの別々のエピトープに対する特異性を有する複数の抗体を含む、請求項71記載の方法。
【請求項81】
プロガストリン特異的抗体が、MAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19、MAb20、MAb21、MAb22、及びMAb23からなる群の中より選択されるモノクローナル抗体である、請求項71記載の方法。
【請求項82】
モノクローナル抗体がヒト化されている、請求項81記載の方法。
【請求項83】
プロガストリン特異的抗体が重鎖可変領域(V)を含むモノクローナル抗体であり、相補性決定領域1(CDR1)がV CDR 1.3、V CDR 1.4、V CDR 1.8、V CDR 1.13、V CDR 1.16、V CDR 1.19より選択され、CDR2がV CDR 2.3、V CDR 2.4、V CDR 2.8、V CDR 2.13、V CDR 2.16、V CDR 2.19より選択され、CDR3がV CDR 3.3、V CDR 3.4、V CDR 3.8、V CDR 3.13、V CDR 3.16、V CDR 3.19より選択される、請求項71記載の方法。
【請求項84】
プロガストリン特異的抗体が軽鎖可変領域(V)を含むモノクローナル抗体であり、相補性決定領域1(CDR1)がV CDR 1.3、V CDR 1.4、V CDR 1.8、V CDR 1.13、V CDR 1.16、V CDR 1.19より選択され、CDR2がV CDR 2.3、V CDR 2.4、V CDR 2.8、V CDR 2.13、V CDR 2.16、V CDR 2.19より選択され、CDR3がV CDR 3.3、V CDR 3.4、V CDR 3.8、V CDR 3.13、V CDR 3.16、V CDR 3.19より選択される、請求項71記載の方法。
【請求項85】
抗体が、プロガストリン感受性の乳癌細胞の増殖を阻害することが可能である、請求項71記載の方法。
【請求項86】
抗体が、プロガストリン感受性の乳癌細胞の細胞死の率を増加させることが可能である、請求項71記載の方法。
【請求項87】
抗体の投与が、処置された被験者においてプロガストリンの血中濃度を低下させるために効果的である、請求項71記載の方法。
【請求項88】
抗体組成物が、非経口投与、髄腔内投与、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、腹腔内投与、注入投与、及びボーラス投与からなる群の中より選択される投与様式により投与される、請求項71記載の方法。
【請求項89】
抗プロガストリン抗体が約0.001mg/kg〜約250mg/kgの用量で投与される、請求項71記載の方法。
【請求項90】
抗プロガストリン抗体の用量を、複数の時間的に間隔を空けた投与にわたり投与する、請求項89記載の方法。
【請求項91】
患者が乳癌のための処置を以前に受けており、該処置の後に、該乳癌が見かけ上消失した、請求項71記載の方法。
【請求項92】
処置が、手術、放射線治療、生物学的治療、免疫療法、ホルモン治療、及び化学療法からなる群の中より選択された、請求項91記載の方法。
【請求項93】
乳癌幹細胞の成長の阻害を必要とする患者に、該乳癌幹細胞を阻害するために効果的な量で、プロガストリンに特異的に結合する抗体を含む組成物を投与する工程を含み、乳癌幹細胞がプロガストリン感受性である、患者において乳癌幹細胞の成長を阻害するための方法。
【請求項94】
抗プロガストリン抗体組成物を投与する工程が、乳癌幹細胞の成長を阻害するために効果的な第2の薬剤の投与と同時に又はその後にもたらされる、請求項93記載の方法。
【請求項95】
第2の薬剤が、プロガストリン以外に対して特異性を有する治療用抗体である、請求項94記載の方法。
【請求項96】
抗プロガストリン抗体が、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、ラクダ化抗体、IgA1抗体、IgA2抗体、IgD抗体、IgE抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、IgG4抗体、及びIgM抗体からなる群の中より選択される、請求項93記載の方法。
【請求項97】
抗体を成分に結合させる、請求項93記載の方法。
【請求項98】
成分が非タンパク質性である、請求項97記載の方法。
【請求項99】
成分が抗体の血清半減期を増加させるために効果的である、請求項97記載の方法。
【請求項100】
抗体を変えて、FcRnへのその結合を増加させる、請求項93記載の方法。
【請求項101】
抗体が、少なくとも約0.001nM〜少なくとも約5000nMのプロガストリン結合親和性を有する、請求項93記載の方法。
【請求項102】
組成物が、プロガストリンの別々のエピトープに対する特異性を有する複数の抗体を含む、請求項93記載の方法。
【請求項103】
プロガストリン特異的抗体が、MAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19、MAb20、MAb21、MAb22、及びMAb23からなる群の中より選択されるモノクローナル抗体である、請求項93記載の方法。
【請求項104】
モノクローナル抗体がヒト化されている、請求項103記載の方法。
【請求項105】
プロガストリン特異的抗体が重鎖可変領域(V)を含むモノクローナル抗体であり、相補性決定領域1(CDR1)がV CDR 1.3、V CDR 1.4、V CDR 1.8、V CDR 1.13、V CDR 1.16、V CDR 1.19より選択され、CDR2がV CDR 2.3、V CDR 2.4、V CDR 2.8、V CDR 2.13、V CDR 2.16、V CDR 2.19より選択され、CDR3がV CDR 3.3、V CDR 3.4、V CDR 3.8、V CDR 3.13、V CDR 3.16、V CDR 3.19より選択される、請求項93記載の方法。
【請求項106】
プロガストリン特異的抗体が軽鎖可変領域(V)を含むモノクローナル抗体であり、相補性決定領域1(CDR1)がV CDR 1.3、V CDR 1.4、V CDR 1.8、V CDR 1.13、V CDR 1.16、V CDR 1.19より選択され、CDR2がV CDR 2.3、V CDR 2.4、V CDR 2.8、V CDR 2.13、V CDR 2.16、V CDR 2.19より選択され、CDR3がV CDR 3.3、V CDR 3.4、V CDR 3.8、V CDR 3.13、V CDR 3.16、V CDR 3.19より選択される、請求項93記載の方法。
【請求項107】
抗体の投与が、処置された被験者においてプロガストリンの血中濃度を低下させるために効果的である、請求項93記載の方法。
【請求項108】
抗体組成物が、非経口投与、髄腔内投与、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、腹腔内投与、注入投与、及びボーラス投与からなる群の中より選択される投与様式により投与される、請求項93記載の方法。
【請求項109】
抗プロガストリン抗体が約0.001mg/kg〜約250mg/kgの用量で投与される、請求項93記載の方法。
【請求項110】
抗プロガストリン抗体の用量を、複数の時間的に間隔を空けた投与にわたり投与する、請求項109記載の方法。
【請求項111】
患者において乳癌のための処置の効力をモニターするための方法であって、工程:(i)乳癌のための処置前に患者から得られた第1サンプルにおいてプロガストリンの濃度を決定すること、及び、(ii)該第1サンプル中のプロガストリンの濃度を、乳癌のための処置後に同じ患者から得られた第2サンプル中のそれと比較すること、ここで、該第1サンプルと比較した、該第2サンプル中のプロガストリンの濃度における低下は、処置が効果的であったことを示す、
を含む、方法。
【請求項112】
サンプルが体液から得られる、請求項111記載の方法。
【請求項113】
体液が、血液、血清、及び血漿からなる群の中より選択される、請求項112記載の方法。
【請求項114】
サンプルが乳房腫瘍の生検として得られる、請求項111記載の方法。
【請求項115】
乳癌のための処置が、手術、放射線治療、化学療法、生物学的治療、免疫療法、ホルモン治療、及び抗体治療からなる群の中より選択される、請求項111記載の方法。
【請求項116】
第1サンプルにおいてプロガストリンの濃度を決定する工程が、プロガストリンに特異的に結合する抗体を用いたアッセイを使用してもたらされる、請求項111記載の方法。
【請求項117】
抗体が非中和性である、請求項116記載の方法。
【請求項118】
抗体が、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、ラクダ化抗体、IgA1抗体、IgA2抗体、IgD抗体、IgE抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、IgG4抗体、及びIgM抗体からなる群の中より選択される、請求項116記載の方法。
【請求項119】
抗体が、少なくとも約0.001nM〜少なくとも約5000nMのプロガストリン結合親和性を有する、請求項116記載の方法。
【請求項120】
組成物が、プロガストリンの別々のエピトープに対して特異性を有する複数の抗体を含む、請求項116記載の方法。
【請求項121】
プロガストリン特異的抗体が、MAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19、MAb20、MAb21、MAb22、及びMAb23からなる群の中より選択されるモノクローナル抗体である、請求項116記載の方法。
【請求項122】
プロガストリン特異的抗体が重鎖可変領域(V)を含むモノクローナル抗体であり、相補性決定領域1(CDR1)がV CDR 1.3、V CDR 1.4、V CDR 1.8、V CDR 1.13、V CDR 1.16、V CDR 1.19より選択され、CDR2がV CDR 2.3、V CDR 2.4、V CDR 2.8、V CDR 2.13、V CDR 2.16、V CDR 2.19より選択され、CDR3がV CDR 3.3、V CDR 3.4、V CDR 3.8、V CDR 3.13、V CDR 3.16、V CDR 3.19より選択される、請求項116記載の方法。
【請求項123】
プロガストリン特異的抗体が軽鎖可変領域(V)を含むモノクローナル抗体であり、相補性決定領域1(CDR1)がV CDR 1.3、V CDR 1.4、V CDR 1.8、V CDR 1.13、V CDR 1.16、V CDR 1.19より選択され、CDR2がV CDR 2.3、V CDR 2.4、V CDR 2.8、V CDR 2.13、V CDR 2.16、V CDR 2.19より選択され、CDR3がV CDR 3.3、V CDR 3.4、V CDR 3.8、V CDR 3.13、V CDR 3.16、V CDR 3.19より選択される、請求項116記載の方法。
【請求項124】
アッセイがラジオイムノアッセイ(RIA)又は酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)である、請求項116記載の方法。
【請求項125】
患者において乳癌の存在を診断するための方法であって、工程:(i)乳癌を有することが疑われる患者から得られたサンプルにおけるプロガストリンの濃度を決定すること、及び、(ii)該サンプル中のプロガストリンの濃度を所定値と比較すること、ここで、所定値と比較した、サンプル中のプロガストリンの上昇レベルは、該患者における乳癌の存在を示す、
を含む、方法。
【請求項126】
サンプルが体液から得られる、請求項125記載の方法。
【請求項127】
体液が、血液、血清、及び血漿からなる群の中より選択される、請求項126記載の方法。
【請求項128】
サンプルにおいてプロガストリンの濃度を決定する工程が、プロガストリンに特異的に結合する抗体を用いたアッセイを使用してもたらされる、請求項125記載の方法。
【請求項129】
抗体が非中和性である、請求項128記載の方法。
【請求項130】
抗プロガストリン抗体が、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、ラクダ化抗体、IgA1抗体、IgA2抗体、IgD抗体、IgE抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、IgG4抗体、及びIgM抗体からなる群の中より選択される、請求項128記載の方法。
【請求項131】
抗体が、少なくとも約0.001nM〜少なくとも約5000nMのプロガストリン結合親和性を有する、請求項128記載の方法。
【請求項132】
組成物が、プロガストリンの別々のエピトープに対する特異性を有する複数の抗体を含む、請求項128記載の方法。
【請求項133】
プロガストリン特異的抗体が、MAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19、MAb20、MAb21、MAb22、及びMAb23からなる群の中より選択されるモノクローナル抗体である、請求項128記載の方法。
【請求項134】
プロガストリン特異的抗体が重鎖可変領域(V)を含むモノクローナル抗体であり、相補性決定領域1(CDR1)がV CDR 1.3、V CDR 1.4、V CDR 1.8、V CDR 1.13、V CDR 1.16、V CDR 1.19より選択され、CDR2がV CDR 2.3、V CDR 2.4、V CDR 2.8、V CDR 2.13、V CDR 2.16、V CDR 2.19より選択され、CDR3がV CDR 3.3、V CDR 3.4、V CDR 3.8、V CDR 3.13、V CDR 3.16、V CDR 3.19より選択される、請求項128記載の方法。
【請求項135】
プロガストリン特異的抗体が軽鎖可変領域(V)を含むモノクローナル抗体であり、相補性決定領域1(CDR1)がV CDR 1.3、V CDR 1.4、V CDR 1.8、V CDR 1.13、V CDR 1.16、V CDR 1.19より選択され、CDR2がV CDR 2.3、V CDR 2.4、V CDR 2.8、V CDR 2.13、V CDR 2.16、V CDR 2.19より選択され、CDR3がV CDR 3.3、V CDR 3.4、V CDR 3.8、V CDR 3.13、V CDR 3.16、V CDR 3.19より選択される、請求項128記載の方法。
【請求項136】
アッセイがラジオイムノアッセイ(RIA)又は酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)である、請求項128記載の方法。
【請求項137】
方法が、乳癌の存在を確認するために被験者で診断的テストを実施する工程をさらに含む、請求項125記載の方法。
【請求項138】
診断テストが、乳癌を検出するための探索的手術、乳癌を検出するための医学的画像テスト、患者から得られたサンプルにおける乳癌の存在を示す因子の存在についてのテスト、及び乳癌を発生する傾向を検出するための遺伝子テストからなる群の中より選択される、請求項137記載の方法。
【請求項139】
医学的画像テストがマンモグラムである、請求項138記載の方法。
【請求項140】
乳癌を発生する傾向を検出するための遺伝子テストが、BRCA1遺伝子又はBRCA2遺伝子における変異を検出するための遺伝子テストである、請求項138記載の方法。
【請求項141】
患者が乳癌のために以前に処置されたが、サンプルが得られた時点で寛解になっている、請求項125記載の方法。
【請求項142】
癌が、以前に処置に供されていた同じ乳房において再発する、請求項141記載の方法。
【請求項143】
癌が、以前に処置に供されていた乳房から反対側の乳房において再発する、請求項141記載の方法。
【請求項144】
所定値が、乳癌のないヒトの集団から得られた同じ型のサンプルにおける平均プロガストリン濃度に基づく、請求項125記載の方法。
【請求項145】
所定値が、患者に乳癌がなかった時点で患者から得られた同じ型のサンプルにおける過去の平均プロガストリン濃度に基づく、請求項125記載の方法。

【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【図14F】
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【図14G】
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【図14H】
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【図14I】
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【図14J】
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【図14K】
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【図14L】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図15E】
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【図15F】
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【図15G】
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【図15H】
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【図15I】
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【図15J】
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【図15K】
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【図15L】
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【図15M】
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【図15N】
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【図15O】
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【図15P】
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【図15Q】
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【図15R】
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【図15S】
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【図15T】
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【図15U】
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【図15V】
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【図15W】
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【図15X】
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【図15Y】
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【図15Z】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2013−516438(P2013−516438A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547494(P2012−547494)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000048
【国際公開番号】WO2011/083090
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(512097880)
【氏名又は名称原語表記】BIOREALITES
【出願人】(591100596)アンスティチュ ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル (59)
【出願人】(595040744)サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク (88)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
【Fターム(参考)】