説明

乳脂肪分処理剤

【課題】店舗等から発生する大量の乳脂肪分を低コストで且つ容易に処理することができる乳脂肪分処理剤を提供する。
【解決手段】粉末状の処理剤から成り、ソフトクリームやシェイク等に加工された乳脂肪分S(ソフトリラン)との混合により当該乳脂肪分Sを凝固して所定の粘度を有したゲル状のものとし得る乳脂肪分処理剤であって、例えばアクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物を主成分として二酸化ケイ素を添加して得られる高分子吸収剤Fから成るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトクリームやシェイク等の乳脂肪分を処理するための乳脂肪分処理剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ソフトクリームやシェイク等に加工された乳脂肪分(所謂ソフトリラン)は、通常、液体の状態であるため、特に店舗等から生じる乳脂肪分を大量に廃棄するには、産業廃棄物として処分する必要がある。すなわち、乳脂肪分を配水管に投棄してしまうと、配水管の詰まりの原因となって社会的な問題となってしまうことから、通常は、店舗等から生じた乳脂肪分を配水管に投棄することが禁止されており、産業廃棄物の処理場で処分することが義務づけられているのが実情である。尚、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、産業廃棄物として処分するには、指定業者による廃棄手続きや処理場までの搬送に伴う多額の費用及び処分場での特殊な処理が必要とされることから、処理コストが嵩んでしまうという問題があった。然るに、本出願人は、ソフトクリームやシェイク等に加工された乳脂肪分(ソフトリラン)が液体の状態であるため産業廃棄物として処分する必要があることに着目し、当該乳脂肪分を「水分の少ない固形状態」として一般廃棄物扱いとし、廃棄に伴うコストを低減させることを検討するに至った。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、店舗等から発生する大量の乳脂肪分を低コストで且つ容易に処理することができる乳脂肪分処理剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、粉末状の処理剤から成り、乳脂肪分との混合により当該乳脂肪分を凝固して所定の粘度を有したゲル状のものとし得ることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の乳脂肪分処理剤において、前記粉末状の処理剤は、アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物で構成される高分子吸収剤から成ることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の乳脂肪分処理剤において、前記粉末状の処理剤は、アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物を主成分として二酸化ケイ素を添加して得られる高分子吸収剤から成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、粉末状の処理剤から成り、乳脂肪分との混合により当該乳脂肪分を凝固して所定の粘度を有したゲル状のものとし得るので、店舗等から発生する大量の乳脂肪分を低コストで且つ容易に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る乳脂肪分処理剤による乳脂肪分の処理工程(処理剤の投入工程)を示す模式図
【図2】同乳脂肪分処理剤による乳脂肪分の処理工程(処理剤の乳脂肪分に対する拡散工程)を示す模式図
【図3】同乳脂肪分処理剤による乳脂肪分の処理後の状態を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る乳脂肪分処理剤は、例えばレストランや食料品売り場などの店舗から大量に発生する乳脂肪分(所謂ソフトリラン)を処理するためのものである。なお、本実施形態に係る処理対象は、ソフトクリームやシェイク等の食料品に加工された乳脂肪分から成り、水分を大量に含んだ液体の状態とされたものである。
【0011】
本乳脂肪分処理剤は、微細な粒で構成される粉末状の処理剤から成り、所謂高分子吸収剤と称されるものから成る。具体的には、本乳脂肪分処理剤は、アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物を主成分(例えば85重量%以上含有)として二酸化ケイ素を添加(例えば0.5重量%以下含有)して得られる高分子吸収剤から成るものである。なお、本乳脂肪分処理剤は、アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物及び二酸化ケイ素の他、水を10重量%以下含有するものである。
【0012】
このような乳脂肪分処理剤は、廃棄対象としての乳脂肪分との混合により当該乳脂肪分を凝固して所定の粘度を有したゲル状のものとし得るものである。より具体的には、本乳脂肪分処理剤は、廃棄対象としての乳脂肪分に含まれる水分を吸収することによりゲル状化させ、所定の粘度(粘性)を有した廃棄物(処理物)とし得るのである。かかる乳脂肪分処理剤は、他の産業分野において汎用的に用いられている高分子吸収剤から成るため、比較的容易に得ることができるものである。
【0013】
次に、本実施形態に係る乳脂肪分処理剤による乳脂肪分の処理工程について説明する。
まず、図1に示すように、例えばゴミ箱等の収容容器2にゴミ袋等の収容袋3を開口させつつ収容させるとともに、その収容袋3内に廃棄対象の乳脂肪分Sを投入しておく。そして、本乳脂肪分処理剤を収容した収容手段1(ナイロン袋など)を開封し、乳脂肪分Sが収容された収容袋3内に乳脂肪分処理剤Fを所定量投入する。このとき、本乳脂肪分処理剤が粉末状であるため、投入すべき量の加減を容易に調整することができる。
【0014】
次に、図2に示すように、乳脂肪分処理剤F及び乳脂肪分Sが収容された収容袋3の口を縛って内部を密閉状態とするとともに、作業者が所定時間(例えば2分程度)継続して手で揉み込んで(同図中矢印方向に揉み込んで)混合させることにより乳脂肪分処理剤Fを乳脂肪分Sに拡散させる。かかる拡散工程が終了した後、そのまま所定時間(例えば4〜5時間程度)だけ静置しておくことにより、図3に示すように、収容袋3内で乳脂肪分Sが凝固して所定の粘度を有したゲル状の処理物Tとなる。
【0015】
而して、収容袋3内には、所定の粘度を有したゲル状の処理物Tが密閉状態で収容されていることから、乳脂肪分Sを「水分の少ない固形状態」として一般廃棄物扱いとし、そのまま廃棄することができる。なお、本実施形態においては、作業者が手作業で拡散作業を行うものとしているが、乳脂肪分処理剤Fを乳脂肪分Sに拡散させるための機器或いは装置を用いることにより、乳脂肪分の大量処理をより一層容易なものとしてもよい。
【0016】
本実施形態によれば、粉末状の処理剤から成り、乳脂肪分との混合により当該乳脂肪分を凝固して所定の粘度を有したゲル状のものとし得るので、産業廃棄物として処理する必要があるのに代えて一般廃棄物扱いとさせることができ、レストランや食料品売り場などの店舗等から発生する大量の乳脂肪分(ソフトクリームやシェイク等に加工された乳脂肪分)を低コストで且つ容易に処理することができる。
【0017】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、粉末状の処理剤から成り、乳脂肪分との混合により当該乳脂肪分を凝固して所定の粘度を有したゲル状のものとし得る乳脂肪分処理剤であれば足り、例えばアクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物とは異なる他の組成から成るものとしてもよい。また、二酸化ケイ素を添加して成るものとしているが、防臭剤など他の添加剤を添加したものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0018】
粉末状の処理剤から成り、乳脂肪分との混合により当該乳脂肪分を凝固して所定の粘度を有したゲル状のものとし得る乳脂肪分処理剤であれば種々組成物から成るもの或いは種々添加物が添加されたものとしてもよい。
【符号の説明】
【0019】
1 収容手段
2 収容容器
3 収容袋
S 乳脂肪分
F 乳脂肪分処理剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末状の処理剤から成り、乳脂肪分との混合により当該乳脂肪分を凝固して所定の粘度を有したゲル状のものとし得ることを特徴とする乳脂肪分処理剤。
【請求項2】
前記粉末状の処理剤は、アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物で構成される高分子吸収剤から成ることを特徴とする請求項1記載の乳脂肪分処理剤。
【請求項3】
前記粉末状の処理剤は、アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物を主成分として二酸化ケイ素を添加して得られる高分子吸収剤から成ることを特徴とする請求項2記載の乳脂肪分処理剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−170875(P2012−170875A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34738(P2011−34738)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(501393586)ナックフィーディング株式会社 (12)
【Fターム(参考)】