説明

乳酸菌及びビフィズス菌による内毒素結合

【課題】内毒素に媒介される及び/又は関連する疾患の予防又は治療を目的とする組成物を調製するための方法の提供。
【解決手段】疎水性表面特性を有する少なくとも1つの系の乳酸菌及び/又はビフィズス菌の使用法、及びその調製物であって、前記株がラクトバチルスアシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)NCC2463(CNCM−I 2623)、ビフィドバクテリウムビフィダム(Bifidobacterium bifidum)NCC189(CNCM−I−2333)、ビフィドバクテリウムビフィダム(Bifidobacterium bifidum)NCC235(CNCM−I−2335)等である。前記株を生きた形又は不活性化させた形で使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内毒素に媒介される及び/又は関連する疾患の予防又は治療を目的とする食品組成物の調製における、疎水性の乳酸菌及び/又はビフィズス菌の使用に関する。本発明はまた、その調製した組成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
敗血症を誘発させる毒素は、病原細菌、ウイルス、植物、毒液に関連していることが分かっている。よく記述されている細菌毒素には、グラム陰性菌の内毒素やリポ多糖(LPS)がある。これらの分子は、すべてのグラム陰性菌の外膜に遍在する糖脂質であり、グラム陰性敗血症の原因であると考えられている。この種の敗血症は非常に起こりやすい状態であり、しばしば致命的となる。
【0003】
敗血症を治療するいくつかの方法が試みられてきた。例を挙げると、これらには、LPSに対する抗体の使用、腫瘍壊死因子に対する抗体の使用、可溶性TNF受容体の使用、可溶性インターロイキン−1(IL−1)受容体の使用が含まれる。それぞれの方法にはいくらかの有効性があるが、全体的な結果は期待はずれであった。
【0004】
他の研究者によって、LPS/内毒素を結合するタンパク質の設計及び研究が試みられ、これらの実例報告は、Rustici,A.他、Science、1993、259:361〜364、Matsuzaki,K.他、Biochemistry、1993、32:11704〜11710、Hoess,A.他、EMBO J、1993、12:3351〜3356、Elsbach,P.他、Current Opinion in Immunology、1993、5:103〜107に出ている。実際、LPSを血液に導入する際に、リポ多糖結合タンパク質(LBP)と呼ばれるタンパク質に結合することができる。内毒素に媒介される敗血症の治療には、例えば抗LBP抗体を用いてLBPを阻害することが治療的に有用であると提案されている(1990年7月30日出願の国際特許出願PCT/US90/04250)。さらに、いくつかの研究室の研究により、血漿リポタンパク質、特に高密度リポタンパク質(HDL)がLPSを結合して中和させること(Skarnes他、1968、J.Bacteriology、95:2031、Flegel他、1993、Infect.Immunol.、61(12):5140)、及びこれら粒子が血漿中のLPS中和活性を構成する可能性があることが明らかになった。
【0005】
内毒素に媒介される及び/又は関連する疾病のこれまでの処置は遡及的であり(すなわち臨床疾患の発生後)、化学療法による介入に限られていた。このような処置では、予防対策は得られない。
【0006】
したがって、敗血症及び敗血症性ショックの症状を予防又は軽減するために、グラム陰性内毒素(すなわちLPS)を中和するのに効果的な薬剤が当分野で必要とされている。
【0007】
本発明の疎水性の乳酸菌及びビフィズス菌は、内毒素を結合してその影響を寛解/妨げる能力のある、さらなる化合物を提供する。
【発明の要約】
【0008】
したがって、本発明は、内毒素に媒介される及び/又は関連する疾患の予防又は治療を目的とする組成物を調製するための、疎水性表面特性を有する少なくとも1つの株の乳酸菌及び/又はビフィズス菌の使用法に関する。
【0009】
実際、驚くべきことに、乳酸菌とビフィズス菌の一部、特に疎水性表面を有するものが、内毒素を結合する能力を有することが分かった。したがって、これらは、腸由来の内毒素性ショック及び敗血症、細菌移行、壊死性腸炎、炎症性腸疾患、腸管感染症、慢性内毒血症が関連する又は促進する異化性(catabolic)及び全身性炎症の予防に効果的な薬剤として使用可能になる。
【0010】
好ましくは、疎水性の乳酸菌又はビフィズス菌の疎水性率(%H)は少なくとも80、より好ましくは85〜100%Hである。
【0011】
好ましい実施形態では、株は、ラクトバチルス ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス リューテリイ(Lactobacillus reuterii)、ラクトバチルス パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス アニマリス(Lactobacillus animalis)、ラクトバチルス ルミニス(Lactobacillus ruminis)、ラクトバチルス アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス ラームノズス(Lactobacillus rahmnosus)、ラクトバチルス ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス デルブルーキイ亜種 ラクティス(Lactobacillus delbrueckii subs.lactis)、ビフィドバクテリウム ssp.(Bifidobacterium spp.)、ビフィドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム ロングム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム シュードロングム(Bifidobacterium pseudolongum)、ビフィドバクテリウム インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)からなる群から選択される。
【0012】
別の態様では、本発明は、内毒素を結合する能力又はグラム陰性菌と共凝集する能力によって選択した、疎水性表面特性を有する乳酸菌又はビフィズス菌の単離株に関する。
【0013】
さらなる態様では、本発明は、内毒素に媒介される及び/又は関連する疾患を予防又は治療するための、摂取可能な支持体又は薬剤基質と結合した上記特質を有する乳酸菌及び/又はビフィズス菌の少なくとも1つの株を含む、人又はペットの食品組成物を提供する。
【0014】
本発明の組成物は、小腸細菌過増殖を低減させ、またペットで見られる頻繁な障害であり、例えば下痢、栄養失調、腸管の炎症、全身性炎症の発症を引き起こす可能性がある、内毒素の腸から内部環境への漏出を減少させる利点を提示する。
【0015】
最後の態様では、本発明は、摂取可能な支持体又は薬剤基質と結合した疎水性表面特性を有する乳酸菌及び/又はビフィズス菌の少なくとも1つの株を含む組成物を人又は動物に与えるステップを含む、内毒素に媒介される及び/又は関連する疾患を予防又は治療する方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【0016】
以下の説明中で、「NCC」とはNestle Culture Collection(Nestle Research Centre、スイス、ローザンヌ、Vers−chez−les−Blanc)を表す。
【0017】
本発明の第1の目的については、内毒素に媒介される及び/又は関連する疾患の予防又は治療を目的とする組成物を調製するために疎水性表面特性を有する乳酸菌及び/又はビフィズス菌の少なくとも1つの株を使用することが関係している。
【0018】
実際、驚くべきことに、乳酸菌及びビフィズス菌の一部、特に疎水性表面を有するものは、内毒素を結合する能力を有していることが分かった。
【0019】
実際に、本発明による細菌株は、疎水性の細胞壁に内毒素を結合し、その結果、除去されなければ腸管内腔から血液中に移行して炎症性反応、非常に重症な場合には内毒性ショックを引き起こす、グラム陰性菌のこの炎症誘発性産物を除去する能力を有する。
【0020】
本発明による乳酸菌又はビフィズス菌は、その疎水性率(%H)を考慮して、動物による摂取に適した株の中から、A.G.Zavaglia他、Journal of Food protection、第61巻7号、1998、p.865〜873に記載のように選択した。
【0021】
好ましくは、本発明による細菌株は少なくとも80%H、より好ましくは85〜100%Hを有する。
【0022】
表面疎水性の測定は、既に記載されているようにMATH法を使用して行った(Perez,P.F.他、1998、Appl.Environ.Microbiol.、64:21〜26)。手短に述べると、120秒間渦攪拌することによって、2mlの細菌懸濁液(約10CFU/ml、PBS)を0.4mlのキシレンを用いて抽出した。デカンテーションによって相を分離させ、水相のA600を測定した。細胞表面疎水性(%H)を、式H%=[(A0−A)/A0]×100によって計算し、式中A0及びAはそれぞれキシレンで抽出する前及び後の吸光度である。
【0023】
好ましい実施形態では、細菌株は、Lactobacillus johnsonii、Lactobacillus reuterii、Lactobacillus paracasei、Lactobacillus animalis、Lactobacillus ruminis、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus rahmnosus、Lactobacillus fermentum、Lactobacillus delbrueckii subs.lactis、Bifidobacterium spp.、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium pseudolongum、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium adolescentisからなる群から選択される。
【0024】
最も好ましい実施形態では、株は、例えば、Lactobacillus acidophilus NCC2463(CNCM−I 2623)、Bifidobacterium bifidum NCC189(以前はCIDCA536、CNCM−I−2333)、Bifidobacterium bifidum NCC235(以前はCIDCA533、CNCM−I−2335)、Bifidobacterium adolescentis NCC251(CNCM I−2168)、Bifidobacterium lactis(ATCC27536)でよい。
【0025】
本発明に従って選択した様々な株のうち、ブダペスト条約に基づき、Collection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM)、Institut Pasteur、28 rue du Docteur Roux、75724 Paris Cedex 15、フランスに、例えば以下の株、すなわち2001年2月2日にLactobacillus acidophilus NCC2463を受託番号CNCM I−2623で、99年10月12日にBifidobacterium bifidum NCC189とNCC 235をそれぞれ受託番号CNCM−I−2333とCNCM I−2335で寄託した。99年3月15日にBidifobacterium adolescentis NCC 251を受託番号CNCM I−2168で寄託した。
【0026】
Bifidobacterium lactis(Bb12)(ATCC27536)株は、Hansen(Chr.Hansen A/S、10−12 Boege Alle、私書箱407、DK−2970、フアスホルム、デンマーク)から提供された。これは、89%Hの疎水性を有する。
【0027】
本発明による細菌株は、人や動物の健康状態の改善、特に内毒素に関連する人やペットの疾患の予防又は治療を目的とする組成物の調製に使用することができる。この細菌株は、例えば腸由来の内毒素性ショック及び敗血症、細菌移行、壊死性全腸炎、炎症性腸疾患、腸管感染症、慢性内毒血症が関連する又は促進する異化性及び全身性炎症の予防に効果的な薬剤として使用可能になる。の予防に効果的な薬剤として使用することができる。
【0028】
本発明による細菌株は、生きた形で又は不活性化させた形で使用することができる。
【0029】
好ましい実施形態では、乳酸菌株はそれが発酵された増殖培地の存在下で使用する。前記培地は、単独で、或いは例えば押出し成形又は噴霧乾燥した、冷蔵又は常温保存可能の食品と一緒に滅菌することができる。
【0030】
細菌株を、個体が利用できる量が1日あたり約10〜1014cfuに相当するよう用いることができる。この量は、個体の体重に依存し、好ましくは人で10〜1012cfu/日、ペットで10〜1010cfu/日である。
【0031】
別の態様によれば、本発明は、疎水性表面特性を有し、内毒素を結合する又はグラム陰性菌と共凝集する能力を有する乳酸菌又はビフィズス菌の単離株に関する。
【0032】
本発明による細菌株が内毒素を結合する能力は、FITC標識内毒素を用いて容易に測定することができ、ラジオ標識内毒素の細菌細胞への結合を測定すると、この場合、FITCと結合した後には分子が潜在的な改変を受ける可能性があるのに比べて、内毒素の分子構造は改変されていない(実施例参照)。
【0033】
好ましくは、細菌株が、人の腸内に存在する内毒素の量を模倣した溶液から内毒素を取り除く能力を測定する。例えば、グラム陰性菌のリポ多糖の2−ケト−3−デオキシオクタン酸基を検出するマイクロアッセイを用いて、内毒素のレベルを検査した(Karkhanis Y D他、Analytical Chemistry、1978、85:595〜601)。これら溶液から30%より多くの内毒素含有量を取り除く細菌を好んで選択した。このアッセイで試験した疎水性でない細菌は、内毒素の最初の含有量を変えることができなかった(実施例参照)。
【0034】
このような細菌株を上記のように、また特に、例えば腸由来の内毒素性ショック及び敗
血症、細菌移行、壊死性腸炎、炎症性腸疾患、腸管感染症、慢性内毒血症が関連する又は促進する異化性及び全身性炎症の予防に効果的な薬剤として使用することができる。
【0035】
さらなる態様によれば、本発明は、少なくとも1つの乳酸菌及び/又はビフィズス菌の単離株を含む人又はペットの食品組成物に関し、前記株は上記特質を有し、摂取可能な支持体又は薬剤基質と結合している。
【0036】
この株は、上記のように選択されることができる。
【0037】
好ましくは、乳酸菌又はビフィズス菌を通常の食事のサプリメントとして、又は栄養的に完全な人又はペット食品の成分として投与することができる。
【0038】
人又はペット食品組成物は、少なくとも乳酸菌及び/ビフィズス菌の株を、上記のように、個体が利用できる量が1日あたり約10〜1014cfuに相当するよう含むことができる。この量は、個体の体重に依存し、好ましくは人で10〜1012cfu/日、ペットで10〜1010cfu/日である。
【0039】
人の食品は、例えば栄養製剤、特殊調製粉乳、乳を主成分とした製品、乳製品、穀物を主成分とした製品の形にすることができる。このような食品製品又は組成物を調製するためには、例えばその製造中に、上記の細菌株を食品、例えば粉末穀物、粉末乳、ヨーグルトに組み入れることができる。
【0040】
一実施形態では、タンパク質源と本発明による少なくとも1つの細菌株とを含む栄養製剤を調製することができる。タンパク質源として食事タンパク質を用いることが好ましい。この食事タンパク質は任意の適切な食事タンパク質でよい。例えば、動物性タンパク質(例えば乳タンパク質、食肉タンパク質、卵タンパク質)、植物性タンパク質(例えばダイズ、コムギ、イネ、エンドウマメのタンパク質)、遊離アミノ酸の混合物、又はそれらの組合せである。乳タンパク質、例えばカゼイン、乳清タンパク質、及び大豆タンパク質が特に好ましい。この組成物に、炭水化物源及び脂肪源を含めることもできる。
【0041】
栄養製剤が脂肪源を含む場合、脂肪源は、好ましくは栄養製剤のエネルギーの約5%〜約55%、例えばエネルギーの約20%〜約50%を供給する。脂肪源を構成する脂質は、任意の適切な脂肪又は脂肪の混合物でよい。植物性の脂肪が特に適しており、例えばダイズ油、ヤシ油、ココナツ油、ベニバナ油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、キャノーラ油、レシチンなどがある。所望する場合は、動物性の脂肪、例えば乳脂肪を加えてもよい。
【0042】
栄養製剤が炭水化物源を含む場合、炭水化物源は、好ましくは栄養製剤のエネルギーの約40%〜80%を供給する。任意の適切な炭水化物、例えばショ糖、乳糖、ブドウ糖、果糖、コーンシロップ固形物、マルトデキストリン、又はそれらの混合物を使用することができる。
【0043】
所望する場合は食物繊維を加えてもよい。多数種の食物繊維が利用可能である。適切な食物繊維源には、とりわけ、ダイズ、エンドウマメ、カラスムギ、ペクチン、グアーガム、アラビアゴムが含まれる。使用する場合、食物繊維は、好ましくは栄養製剤のエネルギーの約5%までを構成する。充当する指針を満たすために、通常の方法で適切なビタミンやミネラルを栄養製剤に含めることができる。所望する場合は、1種又は複数種の食品用乳化剤、例えばモノ−ジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、レシチン、モノ及びジ−グリセリドを栄養製剤に組み入れることができる。同様に、安定な塩及び安定剤を含めることもできる。
【0044】
栄養製剤は、好ましくは経腸投与が可能であり、例えば粉末、濃縮液、すぐに飲用可能な飲料の形である。
【0045】
栄養製剤を任意の適切な方法で調製することができる。栄養製剤は、食事タンパク質源、炭水化物源、脂肪源を適切な比率で混ぜ合わせることによって調製することができる。乳化剤を使用する場合は混合物に含めてもよい。この段階でビタミン及びミネラルを加えてもよいが、熱分解を避けるために通常は後で加える。親油性ビタミン、乳化剤などがあれば、混合前に脂肪源に溶解させることができる。その後、水、好ましくは逆浸透水を混ぜ入れて液体混合物を形成することができる。水の温度は、成分の分散を補助するために約50℃〜約80℃が便利である。市販の液化剤を用いて液体混合物を形成してもよい。その後この液体混合物を、例えば2段階でホモジナイズする。
【0046】
その後、液体混合物を熱処理して細菌負荷(bacterial load)を減らすことができる。例えば、液体混合物を約80℃〜約150℃の範囲の温度に、約5秒間〜約5分間、急速に加熱することができる。これは、蒸気噴射、オートクレーブ、熱交換器、例えばプレート熱交換器、によって実施することができる。その後この液体混合物を、例えばフラッシュ冷却によって約60℃〜約85℃まで冷却することができる。その後、液体混合物を再度ホモジナイズし、これは例えば1段階目は約7MPa〜約40MPaで、2段階目は約2MPa〜約14MPaの2段階で行うことができる。その後、熱に弱い成分、例えばビタミンやミネラルがあれば、それを加えるためにホモジナイズした混合液をさらに冷却することができる。ホモジナイズした混合物のpH及び固形分をこの段階で都合良く標準化する。
【0047】
粉末の栄養製剤の製造が望まれる場合は、ホモジナイズした混合物を適切な乾燥装置、例えば噴霧乾燥機や凍結乾燥機に移して粉末にする。この粉末は、5重量%未満の含水率を有するべきである。
【0048】
液体製剤の製造が望まれる場合は、ホモジナイズした混合物を好ましくは無菌的に適切な容器に充填する。容器への無菌的充填は、ホモジナイズした混合物を予熱し(例えば約75〜85℃に)、その後ホモジナイズした混合物に蒸気を注入して温度を約140〜160℃、例えば約150℃に上げることによって行うことができる。その後、ホモジナイズした混合物を、例えばフラッシュ冷却により約75〜85℃の温度まで冷却することができる。その後、ホモジナイズした混合物をホモジナイズし、室温程度にまでさらに冷却し、容器に充填することができる。このような性質の無菌的充填を実施するのに適した装置が市販されている。液体製剤は、約10〜約14重量%の固形物含量を有するすぐに摂食できる製剤の形、又は濃縮物の形、通常は約20〜約26重量%の固形物含量でよい。便利で味のよい、すぐに飲用できる飲料の形の製剤を提供できるように、液体製剤に香料を添加することができる。
【0049】
別の実施形態では、本発明による細菌株を用いて通常の食品製品を補強することができる。例えば、発酵乳、ヨーグルト、フレッシュチーズ、レンネット凝固させた乳、菓子バー、朝食用の穀物フレーク又はバー、飲料、粉末乳、ダイズベースの製品、乳を含まない発酵製品、臨床栄養のための栄養サプリメントである。
【0050】
さらなる実施形態では、栄養的に完全なペット食品組成物を調製することができる。これは、粉末、ドライな形、セミモイスト又はウェット、冷蔵又は常温保存可能のペット食品製品にすることができる。また、ペットの食餌サプリメント又は薬剤組成物にすることもできる。これらペット食品は、従来のように製造することができる。細菌株以外には、これらペット食品はデンプン源、タンパク質源、脂質源から1種又は複数種を含むことができる。
【0051】
適切なデンプン源は、例えば、穀物やマメ科植物例えばトウモロコシ、イネ、コムギ、オオムギ、カラスムギ、ダイズ、及びこれらの混合物である。適切なタンパク質源は、任意の適切な動物性又は植物性タンパク質源、例えば肉及びミール、家禽類ミール、魚ミール、ダイズタンパク質濃縮物、乳タンパク質、グルテンなどから選択することができる。高齢の動物向けには、タンパク質源は上質なタンパク質を含むことが好ましい。適切な脂質源には、肉、動物性脂肪、植物性脂肪が含まれる。さらに、他の様々な成分、例えば砂糖、塩、香辛料、調味料、ビタミン、ミネラル、香料剤、脂肪なども、必要に応じてペット食品に組み込むことができる。
【0052】
ドライペット食品には、押出し調理が適切なプロセスであるが、焼成や他の適切な方法を使用することもできる。押出し調理を行う場合、ドライペット食品は通常粗挽き穀物(kibble)の形で提供される。プレバイオティックを使用する場合、プロセスを行う前にプレバイオティックをドライペット食品の他の成分と一緒に混ぜることができる。適切なプロセスはヨーロッパ特許出願第0850569号に記載されており、その開示を参照として組み込む。プロバイオティック(probiotic)微生物を使用する場合、その生物をドライペット食品にコーティングする又は充填することが最も良い。適切なプロセスはヨーロッパ特許出願第0862863号に記載されており、その開示を参照として組み込む。
【0053】
ウェットな食品には、米国特許第4,781,939号及び5,132,137に記載のプロセスを使用して擬似肉製品を製造することができる。これら特許の開示を参照として組み込む。チャンク(chunk)タイプの製品を製造する他の方法、例えばスチームオーブンでの調理を用いることもできる。或いは、適切な肉材料を乳状にして肉乳状液を製造し、適切なゲル化剤を加え、肉乳状液を加熱してから缶又は他の容器に充填することによって、ローフ(loaf)タイプの製品を製造することができる。
【0054】
ペット食品中のプレバイオティックの量は、好ましくは約20重量%、特に約10重量%である。例えば、このプレバイオティックはペット食品の約0.1〜約5重量%を占めることができる。プレバイオティックとしてチコリを使用するペット食品では、餌混合物の約0.5重量%〜約10重量%、より好ましくは約1重量%〜約5重量%を占めるようにチコリを含めることができる。
【0055】
プロバイオティック微生物を使用する場合、ペット食品は、好ましくはペット食品1グラムあたり約10〜約1010個のプロバイオティック微生物細胞、より好ましくはペット食品1グラムあたり約10〜約10個のプロバイオティック微生物細胞を含む。このペット食品に、混合物の約0.5重量%〜約20重量%、好ましくは約1重量%〜約6重量%、例えば約3重量%〜約6重量%のプロバイオティック微生物を含めることができる。
【0056】
このペット食品は、他の活性成分、例えば長鎖脂肪酸を含むことができる。適切な長鎖脂肪酸には、αリノール酸、γリノール酸、リノール酸、エイコサペンタン酸、ドコサヘキサン酸が含まれる。適切なエイコサペンタン酸源及びドコサヘキサン酸源は魚油である。適切なγリノール酸源はルリヂサ油、クロスグリ種子油、メマツヨイグサ油である。適切なリノール酸源はベニバナ油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、ダイズ油である。必要な場合は、ペット食品にミネラルやビタミンを補充して栄養的に完全にすることができる。
【0057】
さらに、所望する場合は、細菌株を例えば糖基質、脂肪基質、多糖類基質のカプセルに入れることができる。
【0058】
有益な効果を得るためにペットに消費させるべきペット食品の量は、ペットの大きさ、ペットの種類、ペットの年齢に依存する。しかし、通常は、乳酸菌又はビフィズス菌の少なくとも1つの株を毎日10〜1014cfuの量を与える量のペット食品で十分である。好ましくは、例えば犬で約10〜1010cfu/日、猫で10〜1010cfu/日を投与する。
【0059】
本発明による組成物は、特にグラム陰性菌、内毒素を生成する細菌、例えばHelicobacter spp、Salmonella spp、に関連する感染症、及び小腸細菌異常増殖(SIBO)の予防又は治療を特に目的とする。これらはすべて臨床的に下痢、腸管性又は全身性炎症症状、異化作用及び栄養失調として現れる可能性がある。
【0060】
最後の態様によれば、本発明は、摂取可能な支持体又は薬剤基質と結合した疎水性表面特性を有する乳酸菌及び/又はビフィズス菌の少なくとも1つの株を含む組成物を人又は動物に与えるステップを含む、内毒素に媒介される及び/又は関連する疾患を予防又は治療する方法を提供する。
【0061】
本方法は、特にグラム陰性菌(内毒素を生成する細菌例えばHelicobacter spp、Salmonella spp)に関連する感染症、及び小腸細菌異常増殖(SIBO)の予防又は治療を特に目的とする。これらはすべて臨床的に下痢、腸管性又は全身性炎症症状、異化作用及び栄養失調として現れる可能性がある。
【0062】
以下の実施例は例示の目的で示したものにすぎず、本出願の主題を限定するものと理解するべきでない。別段の指定がない限り、すべての割合は重量パーセントで示す。実施例の後に図の簡単な説明を示す。
【実施例1】
【0063】
本発明による疎水性乳酸菌株の選択
疎水性細菌の選択は、まず有機(疎水性)相と水相間に分配する細菌細胞の%に基づいて行った。表面疎水性の測定は、既に記載されているようにMATH法を使用して行った(Perez,P.F.他、1998、Appl.Environ.Microbiol.、64:21〜26)。手短に述べると、120秒間渦攪拌することによって、2mlの細菌懸濁液(約10CFU/ml、PBS)を0.4mlのキシレンを用いて抽出した。デカンテーションによって相を分離させ、水相のA600を測定した。細胞表面疎水性(%H)を、式H%=[(A0−A)/A0]×100によって計算し、式中A0及びAはそれぞれキシレンで抽出する前及び後の吸光度である。
【0064】
次いで、人の腸内に存在する内毒素の量を模倣した溶液から乳酸菌又はビフィズス菌が内毒素を取り除く能力によって選択した。グラム陰性菌のリポ多糖の2−ケト−3−デオキシオクタン酸基を検出するマイクロアッセイを用いて、内毒素のレベルを検査した(Karkhanis Y D他、Analytical Chemistry、1978、85:595〜601)。
【0065】
これら溶液から30%より多くの内毒素含量を取り除く細菌を選択した。このアッセイで試験した疎水性でない細菌は、内毒素の最初の濃度を変えることができなかった。
【実施例2】
【0066】
内毒素捕捉剤としての乳酸菌のin−vitro効果
80%Hより高い細菌及びいくつかの疎水性でない「陰性」対照を選択し、大腸菌由来のLPSと様々な表面特性を有する乳酸菌との間の相互作用を調査し、蛍光標識内毒素との相互作用は流動細胞分析法を用いて実施した。
【0067】
材料及び方法
細菌株及び増殖条件
Lactobacillus acidophilus NCC2463株(CNCM I−2623)はNestecコレクション(スイス、ローザンヌ)からのものであった。Bifidobacterium bifidum NCC189株(以前はCIDCA536、I−2333)及びBifidobacterium infantis NCC200株(以前はCIDCA538、(CNCM I−2334))はCentro de Investigacion y Desarrollo en Criotecnologia de Alimentos(アルゼンチン、ラプラタ)のコレクションからのものであった。10%(体積/体積)のグリセロールで保存した凍結懸濁液(−80℃)を、実験の前に一度MRSブロスで再活性化させた。すべての培養は、37℃の嫌気的条件で行った(BBL GasPak Plus)。
【0068】
FITC−LPS結合
リポ多糖及びFITC標識リポ多糖は、Escherichia coli血清型0111:B4(Skelly,R.R他、1979、Infect.Immun.、23:287〜293)由来であり、Sigmaから購入した。1000μl/mlを含む原液を蒸留水中で調製し、適切に希釈した。
【0069】
細菌培養物をPBSで3回洗浄し、懸濁液を10CFU/mlに標準化した。400μlを様々な量のFITC−LPS又はLPSと混合し、反応混合物中の濃度範囲0〜50μg/mlを得た。4℃又は37℃で30分間のインキュベートを実施し、その後、細胞をPBSで2回洗浄し、4℃で30分の間に1%(体積/体積)パラホルムアルデヒドで固定した。青緑励起光(FACScan(商標))を用いて流動細胞分析を行った。
【0070】
表面疎水性
表面疎水性の測定は、既に記載されているようにMATH法を使用して行った(Perez,P.F.他、1998、Appl.Environ.Microbiol.、64:21〜26)。手短に述べると、120秒間渦攪拌することによって、2mlの細菌懸濁液(約10CFU/ml、PBS)を0.4mlのキシレンを用いて抽出した。デカンテーションによって相を分離させ、水相のA600を測定した。細胞表面疎水性(%H)を、式H%=[(A0−A)/A0]×100によって計算し、式中A0及びAはそれぞれキシレンで抽出する前及び後の吸光度である。
【0071】
結果
調査中の株の表面疎水性を表1に示す。値は、Lactobacillus acidophilus NCC2463株(CNCM I−2623)及びBifidobacterium bifidum NCC189株(CNCM I−2333)でそれぞれ93及び96%であったが、Bifidobacterium infantis NCC200株(CNCM I−2334)は疎水性ではなく、約3%の値を示した。

【表1】



【0072】
NCC189株を50μg/mlのFITC標識LPSと一緒にインキュベートすることにより、細菌集団は明らかに蛍光領域に移行する。グラフの右側に位置する事象(マーカーM1)は、ゲートした集団の90%を表す(図1B)。FITC−LPSなしでインキュベートした懸濁液では、2%の事象のみが異なった結合能力の所に位置する。
【0073】
表2(下記)は、FITC−LPS結合性が用量依存性であることを示す。NCC200株では5及び15%のFITC(+)細胞が見受けられた。一方、NCC189株では約95%のFITC(+)細胞を示す。約10μg/mlのFITC−LPSで飽和が起こる。脂質結合剤であるアルブミンを添加すると、調査中のすべての株でFITC(+)比が明らかに減少する(図2)。しかし、CIDCA536株では、0.4%のアルブミン及び50μg/mlのFITC−LPSの存在下で約30%のFITC(+)細胞を示す(図2C)。この株ではさらに、10%のFITC(+)細胞が3%ものアルブミン濃度を有することが分かった。二価の陽イオン(0.9mMのCa2+及び0.5mMのMg2+)は、結合性を改変させなかった(データ示さず)。
【表2】



【0074】
Bifidobacterium bifidum NCC189株(以前はCIDCA536、CNCM I−2333)に対するFITC−LPSの結合性は、増殖期に強く依存していた(図3)。定常期に収集した細菌が示すFITC(+)細胞の割合は高い。これらの値は誘導期に劇的に低下し、増殖中に次第に回復する。4℃及び37℃での結合性に差は見られなかった。
【0075】
要約すると、疎水性が高い株は、NCC189株では約95%に達するFITC(+)細胞を示す。疎水性でない株NCC200は、5%より高い値に達することはない。これらの結果は、LPSの結合性は表面疎水性と関連していることを示す。
【0076】
結果から、疎水性細菌がFITC標識内毒素を結合して蛍光を発することが明確に示された。10μg/mlの内毒素濃度では、流動細胞法で検出すると90%より多くの疎水性細胞培養が蛍光を発した。対照的に、同様の内毒素濃度で、疎水性でない細菌は10%未満しか陽性にならなかった。
【0077】
30〜90μg/mlの濃度範囲で内毒素を含む培地に疎水性培養物を導入した場合、1mlあたり10〜10個の細菌濃度である細菌培養物は、存在する内毒素の少なくとも20%を取り除いた。このデータは、ラジオ標識内毒素を用いて確認した。
【実施例3】
【0078】
ヒト免疫担当細胞における実験
疎水性系の培養システム中に存在する内毒素で誘発させたヒト免疫担当細胞の炎症誘発活性の抑止を、疎水性でない細菌と比較して調査した。
【0079】
疎水性のBifidobacterium bifidum NCC189(CNCM I−2333)と、疎水性でないBifidobacterium infantis NCC200(CNCM I−2334)を、KDO方法(実施例1参照)で測定した、既定量の内毒素を含む溶液中でインキュベートした(図4)。
【0080】
細菌懸濁液と一緒にインキュベートした後に存在する内毒素は、疎水性株によって明確に減少したが、疎水性でない株では変化は観察されなかった。
【実施例4】
【0081】
疎水性細菌の機能調査
材料及び方法
洗浄した細菌をDMEM−高グルコース(AMIMED)に再懸濁し、最終濃度2.5μl/mlのEscherichia coli O111:B4のLPS(Sigma)と一緒にプレインキュベートした。遠心分離後、200μlの上清又は再懸濁細菌ペレットを用いてHT−29上皮細胞を刺激した。
【0082】
37℃で20時間培養した後、ELISA法を用いてHT−29細胞培養上清中のIL−8の存在を観察した。
【0083】
結果
結果を図5に示す。LPS溶液を疎水性細菌と一緒にプレインキュベートした場合、LPSの炎症誘発活性は有意に低下する。遠心分離の後、(LPS刺激はsCD14の存在に依存するので、ヒト乳の存在下で)ヒト上皮細胞培養物に加える上清は、疎水性細菌と一緒にプレインキュベートしていない上清に比べて有意に減少する。
【実施例5】
【0084】
特殊調製粉乳
特殊調製粉乳を得るために、本発明者らは、100mlの調製物に以下の混合物を含む混合物を調製する。すなわち、0.5〜5%、好ましくは2%のペプチド、0.2〜10%、好ましくは4%の脂肪、1〜25%、好ましくは8%のレバンでない炭水化物(65%乳糖、20%マルトデキストリン、15%デンプンを含む)、以下の株、すなわちLactobacillus acidophilus NCC2463(CNCM I−2623)、Bifidobacterium bifidum NCC189(CNCM I−2333)、Bifidobacterium bifidum CNCM I−2335、Bidifobacterium adolescentis CNCM I−2168を少なくとも10cfu/ml、ならびに毎日の必要量を満たすために微量のビタミンやオリゴ要素、及び0.01〜2%、好ましくは0.3%のミネラル、並びに50〜90%、好ましくは75%の水。
【実施例6】
【0085】
本発明による疎水性乳酸菌の乳製品における使用法
発酵させたヨーグルト様乳製品を製造するために、本発明によるBifidobacterium bifidum(CNCM I−2333)、Lactobacillus acidophillus NCC2463(CNCM I−2623)、Bifidobacterium bifidum NCC235(CNCM I−2335)、Bifidobacterium adolescentis NCC251(CNCM I−2168)の1つ又は複数の株を使用することができる。
【0086】
製造するために、2.8%の脂肪を含み2%のスキムミルク脱脂粉乳及び6%のショ糖を補充した乳製品1lを調製し、96℃で30分間低温殺菌してその後42℃まで温度を下げる。Streptococcus thermophilusの非濃厚化株(non−thickening strain)株及びLactobacillus bulgaricusの非粘性株(non−viscous strain)を、10%の還元粉乳及び0.1%の市販の酵母抽出物を含む無菌MSK培養培地中で再活性化させる。
【0087】
1つ又は複数の株の前培養も、10%の還元粉乳及び0.1%の市販の酵母抽出物を含む培地中で、1%のショ糖を用いて再活性化させた。その後、低温殺菌した乳製品に、再活性化させた前培養物各1%を接種し、この乳製品を、pH4.5の値に達するまで32℃で発酵させた。このようにして発酵させた乳のヨーグルト様製品を製造し、4℃で保管した。
【実施例7】
【0088】
ドライドッグフード
餌混合物は、約58重量%のトウモロコシ、約5.5重量%のトウモロコシグルテン、約22%のチキンミール、約2.5%の乾燥チコリ、犬に対する相当量が約10〜1010cfu/日となるようなLactobacillus acidophilus NCC2463(CNCM−I 2623))株の発酵乳から構成され、残りは塩、ビタミン、ミネラルから構成される。
【0089】
餌混合物をプリコンディショナーに供給し、湿らせた。その後、湿らせた餌を押出し調理器に供給し、ゼラチン状にした。押出し成形機を出ていくゼラチン状にした基質を金型に通して押し出す。押出物を犬に与えるのに適切な小片に切り、約110℃で約20分間乾燥させ、冷却してペレットを形成する。
【0090】
このドライドッグフードはペットの健康状態を改善することができ、特に、内毒素に関連するペットの疾患を予防する。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】FITC−LPSとの結合性を示すBifidobacterium bifidum NCC189株(以前はCIDCA536、CNCM I−2333)のヒストグラムプロットを示す図である。A:FITC−LPSなしの対照。B:50μl/mlのFITC−LPSと一緒にインキュベーションしたもの。少なくとも16000事象を分析した。
【図2】乳酸菌及びビフィズス菌のFITC−LPSとの結合性に対するアルブミンの影響を示す図である。A:Bifidobacterium bifidum NCC200株(以前はCIDCA538、CNCM I−2334)。B:Lactobacillus acidophilus NCC2463株(CNCM I−2623)。C:Bifidobacterium bifidum NCC189株(以前はCIDCA536、CNCM I−2333)。
【図3】Bifidobacterium bifidum NCC189株(以前はCIDCA536、CNCM I−2333)の増殖及びFITC−LPS結合の時間変化(kinetics)を示す図である。値は、2つの個別実験の平均である。
【図4】リポ多糖中の2−ケト−3−デオキシオクトン酸(KDO)を測定するマイクロアッセイを用いて検出した、ビフィズス菌株によるLPSとの結合性を示す図である。溶液の初期濃度は100μg/mlであった。バーは、溶液を疎水性ビフィズス菌株NCC189及びNCC251(CNCM I−2168)と一緒にインキュベートした後の最終濃度を、疎水性でないビフィズス菌株(NCC200(CNCM I−2334))と比較したものを表す。
【図5】疎水性細菌を用いてHT−29ヒト上皮細胞上でプレインキュベートしたLPS溶液の炎症誘発活性(IL−8(ng/mL))を示す図である。対照試料DMEM、2%ヒト乳(HM)、LPS(2.5μg/ml)を単独で、Bifidobacterium bifidum NCC189株(1.5e8 cfu/ml)を単独で用いて背景刺激性活性を試験した。LPS+ヒト乳(sCD14源)試験溶液を、Bifidobacterium bifidum NCC189株(1.5e8 cfu/ml)でプレインキュベートした2.5μg/mlのLPS+2%HMと比較した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内毒素に媒介される及び/又は関連する疾患の予防又は治療を目的とする組成物を調製するための、疎水性表面特性を有する少なくとも1つの株の乳酸菌及び/又はビフィズス菌の使用。
【請求項2】
乳酸菌又はビフィズス菌の疎水性率(%H)が少なくとも80、より好ましくは85〜100%である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
乳酸菌及びビフィズス菌が内毒素を結合する能力又はグラム陰性菌と共凝集する能力を有する、請求項1又は請求項2に記載の使用。
【請求項4】
乳酸菌株又はビフィズス菌株が、ラクトバチルス ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス リューテリイ(Lactobacillus reuterii)、ラクトバチルス パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス アニマリス(Lactobacillusanimalis)、ラクトバチルス ルミニス(Lactobacillus ruminis)、ラクトバチルス アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス ラームノズス(Lactobacillus rahmnosus)、ラクトバチルス ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス デルブルーキイ亜種ラクティス(Lactobacillus delbrueckii subs.lactis)、ビフィドバクテリウム spp.(Bifidobacterium spp.)、ビフィドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム ロングム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム シュードロングム(Bifidobacterium pseudolongum)、ビフィドバクテリウム インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)からなる群から選択される、請求項1から請求項3までのいずれかに記載の使用。
【請求項5】
前記株がラクトバチルス アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) NCC2463(CNCM−I 2623)、ビフィドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum) NCC189(CNCM−I−2333)、ビフィドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum) NCC235(CNCM−I−2335)、ビフィドバクテリウム アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis) NCC251(CNCM−I−2168)、ビフィドバクテリウム ラクティス(Bifidobacterium lactis)(ATCC27536)である、請求項1から請求項4までのいずれかに記載の使用。
【請求項6】
個体が利用可能な量が1日あたり約10〜1014cfuとなるように乳酸菌を用いる、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の使用。
【請求項7】
内毒素を結合する能力又はグラム陰性菌と共凝集する能力を対象として選択した、疎水性表面特性を有する乳酸菌又はビフィズス菌の単離された株。
【請求項8】
乳酸菌又はビフィズス菌が、腸管の内毒素含量に類似した濃度の溶液から少なくとも30%の内毒素を結合する請求項7に記載の株。
【請求項9】
ラクトバチルス ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス リューテリイ(Lactobacillus reuterii)、ラクトバチルス パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス アニマリス(Lactobacillus animalis)、ラクトバチルス ルミニス(Lactobacillus ruminis)、ラクトバチルス アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス ラームノズス(Lactobacillus rahmnosus)、ラクトバチルス ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス デルブルーキイ亜種 ラクティス(Lactobacillus delbrueckii subs.lactis)、ビフィドバクテリウム spp.(Bifidobacterium spp.)、ビフィドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム ロングム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム シュードロングム(Bifidobacterium pseudolongum)、ビフィドバクテリウム インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)からなる群から選択される、請求項7又は請求項8に記載の株。
【請求項10】
ラクトバチルス アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) NCC2463(CNCM−I 2623)、ビフィドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum) NCC189(CNCM−I−2333)、ビフィドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum) NCC235(CNCM−I−2335)、ビフィドバクテリウム アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis) NCC251(CNCM−I−2168)、ビフィドバクテリウム ラクティス(Bifidobacterium lactis)(ATCC27536)である、請求項7から請求項9までのいずれかに記載の株。
【請求項11】
摂取可能な支持体又は薬剤基質と結合した、請求項7から10までの一項に記載の乳酸菌及び/又はビフィズス菌の少なくとも1つの株を含む、人又はペットの食品組成物。
【請求項12】
前記株を生きた形又は不活性化させた形で使用する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
乳酸菌株が、ラクトバチルス ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス リューテニイ(Lactobacillus reuterii)、ラクトバチルス パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス アニマリス(Lactobacillus animalis)、ラクトバチルス ルミニス(Lactobacillus ruminis)、ラクトバチルス アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス ラームノズス(Lactobacillus rahmnosus)、ラクトバチルス ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス デルブルーキイ亜種ラクティス(Lactobacillus delbrueckii subs.lactis)、ビフィドバクテリウム spp.(Bifidobacterium spp.)、ビフィドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム ロングム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム シュードロングム(Bifidobacterium pseudolongum)、ビフィドバクテリウム インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)からなる群から選択される、請求項11又は請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記株がラクトバチルス アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) NCC2463(CNCM−I 2623)、ビフィドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum) NCC189(CNCM−I−2333)、ビフィドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum) NCC235(CNCM−I−2335)、ビフィドバクテリウム アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis) NCC251(CNCM−I−2168)、ビフィドバクテリウム ラクティス(Bifidobacterium lactis)(ATCC27536)である、請求項11から請求項13までのいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
個体が利用できる乳酸菌の量が1日あたり10〜1014cfuに対応する、請求項11から請求項14までのいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
内毒素に媒介される及び/又は関連する疾患を軽減、予防、又は治療する請求項11から請求項15までのいずれかに記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−246483(P2011−246483A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−158962(P2011−158962)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【分割の表示】特願2002−562367(P2002−562367)の分割
【原出願日】平成14年2月1日(2002.2.1)
【出願人】(590002013)ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー (31)
【Fターム(参考)】