説明

乳頭保護部材

【課題】 過酷なスポーツや運動を行うときに、ウエアとの間の繰り返しの擦れにより乳
頭が痛んだり出血したりする事態を有効に防止することができ、しかも使いやすくかつ着
用時の快適性もすぐれている乳頭保護部材を提供することを目的とする。
【解決手段】 「離型性シート(12)/粘着剤層(A)/支持体シート(11)」の層
構成を有する第1積層シート(1)と、「離型性シート(21)/粘着性ゲル体(G)/
離型性シート(22)」の層構成を有する第2積層シート(2)とのキットからなる乳頭
保護部材である。粘着性ゲル体(G)としては、特に好適には、柔軟性と弾力性とを有す
る粘弾性体からなる粘着性セグメント化ウレタンゲルであってかつその内部に形状保持用
の繊維層を有するものが用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過酷なスポーツや運動に際して、ウエアとの間の繰り返しの擦れによる乳頭
の損傷およびそれに伴う痛みや出血を有効に防止しうる乳頭保護部材に関するものである

【背景技術】
【0002】
(擦れによる乳頭からの出血とその対策)
−1−
過酷なスポーツや運動を行うとき、たとえば100キロメートルマラソンや長距離の山
岳トレイルランニングのような過酷なレースに参加したときには、男女を問わず、乳頭(
乳首)がウエア(ユニフォームや下着やブラジャー)と擦れて痛みを生ずるのみならず、
乳頭の皮が剥けて出血に至ることも稀ではない。たとえばマラソンの場合、擦れ防止対策
を講じないと30キロメートルくらい走った段階でウエアの胸部が真っ赤に染まるほど出
血したという体験談も多い。擦れによる乳頭からの出血は、距離が長くなる場合のみなら
ず、走るスピードや走行姿勢にも影響され、またウエアの素材や組織にも影響される。ま
た、バドミントンやテニスのように全身(殊に上半身)の動きが激しいスポーツを行うと
きにも、同様の問題を生じやすい。
【0003】
−2−
女性の場合は、普段着用しているブラジャーに代えて乳頭保護性の良好なもの(たとえ
ば乳房の揺れ防止と共に乳頭の保護にも配慮したスポーツブラジャーと称されるブラジャ
ー)を着用することにより対応可能であると思われるが、過酷なスポーツや運動になると
、そのようなブラジャーの工夫のみでは乳頭の保護性にはおのずから限界がある。一方、
男性の場合はブラジャーを着用することはないので、乳頭擦れによる出血を生じて愕然と
することはむしろ男性の方が多いと言われている。
【0004】
−3−
過酷なスポーツや運動を行うに先だって、靴擦れの防止ないし治療用のような絆創膏や
テープを転用して乳頭を覆うように貼っておくと相応の効果があるとされているが、発汗
やウエアとの間の摩擦によりめくれたりすることが多く、乳頭の擦れの防止効果の点や貼
用状態における快適性の点でなお満足しうるには至っていない。乳頭が接触する個所がガ
ーゼとなる絆創膏にあっても同様の問題点があり、擦れの緩和効果は限定的である。乳頭
部位にワセリンのようなクリーム状物を塗布しておくことも有効であるとは思われるが、
ウエアとの摩擦で拭き取られてしまうので、持続性の点で限界があるようである。
【0005】
(特許文献1)
−1−
特開2000−60897号公報(特許文献1)には、「乳房に貼り付けて用いられる
乳房保護テープ1において、貼用状態で乳頭を覆うトップ当部(トップパッド部)10と
、このトップ当部10から延びると共に少なくともその先端部の片面に粘着剤が付着され
た脇下テープ部11とを備え、前記脇下テープ部11は乳房の脇側下部と乳頭を結ぶ脇下
ラインに沿って当てられて少なくともその先端部が貼着されると共に、貼用状態で弾性的
に伸縮することにより乳房の揺動を抑止することを特徴とする乳房保護テープ。」(請求
項1)が示されている。また、その要約には、「テープ本体101は伸縮性を有し、その
トップパッド部10中央には乳頭パッド102が貼りつけられ、周縁部には粘着剤層10
3が形成される。また、テープ本体101の脇下テープ部11片面の全面にも粘着剤層1
03が形成され、裏面から二枚の台紙104A,Bが添えられている。」との説明がある

【0006】
−2−
この特許文献1には乳頭パッド102がどのようなものかについては説明がないが、同
文献における乳頭パッド102とは、この特許文献1の段落0002、0003、000
6に記載の先行技術に記載のようなパッド、たとえば、実開昭56−134304の全文
明細書に記載の乳首当て用シート3(不織布等の柔軟な布材)、実開昭55−37850
号公報の全文明細書に記載の柔軟シート4(パイルを多数形成した織布やガーゼ等の柔軟
な布材)、実開昭57−9808号公報の全文明細書に記載の緩衝材5(フェルト又は不
織布等)、実開昭57−44113号公報の全文明細書に記載のパッド体5(不織布、あ
るいは合成樹脂発泡体)に類するものと思われる。
【0007】
(特許文献2)
特開2003−290273号公報(特許文献2)には、「粘着面を有するテープ材1
4を覆う離形紙12に窓を設け、この窓にディスク体(薬剤被添加体)11,31を配置
したパッチテスト・テープ。」が示されている。ここでディスク体とは、「液状やクリー
ム状の薬剤を保持する特性を有する濾紙などでなり、概ねボタン形状を有しているもの(
チャンバー形など、その他の形状を採ることもできる)」(段落0002)のことである
。この文献のパッチテスト・テープは、ディスク体11,31に同一または数種類の薬剤
を添加し、人体の皮膚に貼り付けて使用するものである(段落0003)。
【0008】
(特許文献3)
特開2007−31310号公報(特許文献3)には、「粘着性セグメント化ポリウレ
タンゲルからなる支持層1の片面に、この支持層1よりも薄い経皮薬含有用の粘着性セグ
メント化ポリウレタンゲルからなる表面層2が積層一体化された経皮薬貼付用基材であっ
て、表面層2の粘着性セグメント化ポリウレタンゲルが親水性のゲルであり、支持層1の
粘着性セグメント化ポリウレタンゲルが両親媒性又は親油性のゲルであることを特徴とす
る経皮薬貼付用基材。」が示されている。ここで「両親媒性」とは、親水性と疎水性との
間に大差がない場合を言う(段落0047)。支持層1の厚みは0.2〜3mm、表面層
2の厚みは0.01〜0.5mmでかつ支持層1の厚み未満であることが好ましいとして
いる(段落0051)。
【0009】
(特許文献4〜7)
そして、上記の特許文献3の出願人からは、経皮薬貼付用基剤などに関連するものとし
て、セグメント化ポリウレタンを用いた次のような出願もなされている。
1.熱感能性のセグメント化ポリウレタンを用いた経皮吸収製剤(特開平9−1886
18号公報(特許文献4))
2.熱感能性のセグメント化ポリウレタンよりなる経皮吸収製剤用基剤ポリマー(特開
平7−53663号公報(特許文献5))
3.架橋ゼラチン相と未架橋のセグメント化ポリウレタン相が混在する相分離した膜(
特開平7−51555号公報(特許文献6))
4.薬物徐放性基剤等に用いる両親媒性セグメントポリウレタン(特開昭63−108
019号公報(特許文献7))
【0010】
(特許文献8)
特開2005−15457号公報(特許文献8)の請求項1には、「親水性のアルキレ
ンオキサイドのセグメントと疎水性のアルキレンオキサイドのセグメントを有し、セグメ
ントの大半ないし全てが常温で液状である粘着性のポリウレタンゲルからなるゲル層に、
ビタミンが含有されていることを特徴とする化粧用貼付材。」(請求項1)が示されてい
る。そして、この文献の請求項2には、「ゲル層1の片面に不織布2と樹脂フィルム3と
が積層された構成」が示されている(図1、3を参照)。使用時には、裏面に合成樹脂製
のネットを重ねて凹状体に収容した化粧用貼付材に水を加えて吸収させた後、ネットを除
去して化粧用貼付材を肌に貼付する(請求項9、図6、7を参照)。「化粧用貼付材」の
典型例は、図2、4のような貼付型のパック剤シートである。
【0011】
【特許文献1】特開2000−60897号公報
【特許文献2】特開2003−290273号公報
【特許文献3】特開2007−31310号公報
【特許文献4】特開平9−188618号公報
【特許文献5】特開平7−53663号公報
【特許文献6】特開平7−51555号公報
【特許文献7】特開昭63−108019号公報
【特許文献8】特開2005−15457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
(特許文献1)
特許文献1の乳房保護テープは、乳房の揺動を抑止するものであるため本発明とは目的
が相違しており、またその乳首当て用シート3は、パイルを形成した不織布やガーゼ、フ
ェルト、発泡体などである思われ、乳頭と接触する部材についても本発明とは基本的に相
違している。
【0013】
(特許文献2)
特許文献2のパッチテスト・テープは、たとえば、液状やクリーム状の薬剤を保持する
特性を有する濾紙などでできたディスク体を用いるものであり、本発明とは目的、用途、
使い方、乳頭と接触する部材がいずれも相違している。
【0014】
(特許文献3〜7)
特許文献3〜7の経皮薬貼付用基剤は、セグメント化ポリウレタンゲルなどを用いた「
経皮薬貼付用基剤」に関するものであり、経皮吸収製剤とは無関係の本発明とは、目的、
人体への適用部位、使い方が相違している。
【0015】
(特許文献8)
特開2005−15457号公報(特許文献4)の化粧用貼付材は、粘着性のポリウレ
タンゲルからなるゲル層にビタミンを含有させたものであり、本発明とは目的、人体への
適用部位、使い方が相違している。
【0016】
(発明の目的)
上記のように、従来においては、乳頭を効果的に保護する部材の出現に対する潜在的な
要望はあったものの、乳頭を有効に保護する手段については見い出されていなかったもの
と信じられる。本発明は、このような背景下において、特に過酷なスポーツや運動を行う
ときに、ウエアとの間の繰り返しの擦れにより乳頭が痛んだり出血したりする事態を有効
に防止することができ、しかも使いやすくかつ着用時の快適性もすぐれている乳頭保護部
材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の乳頭保護部材の1つは、
第1積層シート(1)と第2積層シート(2)とのキットからなる人体の乳頭を保護す
るための貼付型の部材であって、
前記の第1積層シート(1)は、貼付時の大きさの支持体シート(11)の片面に皮膚
に貼付可能な粘着剤層(A)が設けられると共にその粘着剤層(A)上に離型性シート
(12)が設けられた「支持体シート(11)/粘着剤層(A)/離型性シート(1
2)」の層構成を有すること、および、
前記の第2積層シート(2)は、2枚の離型性シート(21),(22)間に柔軟性お
よび弾力性を有する粘弾性体からなる粘着性ゲル体(G)が挟持された「離型性シート(
21)/粘着性ゲル体(G)/離型性シート(22)」の層構成を有すること、
を特徴とするものである。
【0018】
本発明の乳頭保護部材の他の1つは、
貼付時の大きさの支持体シート(11)の片面に皮膚に貼付可能な粘着剤層(A)が設
けられ、その粘着剤層(A)の中央領域には柔軟性および弾力性を有する粘弾性体からな
る粘着性ゲル体(G)が載置され、さらにその粘着性ゲル体(G)を含む前記の粘着剤層
(A)上の全体には離型性シート(3)が被覆された構造を有すること、
を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
柔軟性および弾力性を有する粘弾性体からなる粘着性ゲル体(G)を用いた本発明の乳
頭保護部材を乳頭部位に貼付すれば、過酷なスポーツや運動を行うときにあっても、ウエ
アとの間の繰り返しの擦れによる乳頭の損傷およびそれに伴う痛みや出血を有効に防止す
ることができる。
【0020】
特に、上記の柔軟性および弾力性を有する粘弾性体からなる粘着性ゲル体(G)が、水
を含有させない状態においても粘着性を示すセグメント化ポリウレタンゲルの層であると
きは、そのセグメント化ポリウレタンゲルの粘着力が水分によって影響を受けない上、そ
の柔軟性、弾力性、粘着性が適度であるため、粘着性ゲル体(G)が乳頭部位を優しく包
み込む作用が確実に発揮される。そのため、運動時の乳頭部位やその周辺部位の自然の動
きをほとんど抑え込まないにもかかわらず、乳頭部位の損傷防止作用が最大限に発揮され
る。
【0021】
そして、上記の粘着性ゲル体(G)(殊に上記の水を含有させない状態においても粘着
性を示すセグメント化ポリウレタンゲルからなる粘着性ゲル体(G))の層内に、そのゲ
ル体(G)の形状保持のための繊維層(F)を配置してあるときは、乳頭部位への着用時
におけるゲル体の耐久性が一段と高まり、ゲル体が変形して貼着部位の周辺側に偏在した
りちぎれたりするような現象が有効に防止される。
【0022】
上記の第1積層シート(1)の離型性シート(12)に、上記の第2積層シート(2)
の粘着性ゲル体(G)の輪郭に見合う切れ込み(c)が設けておくと、その離型性シート
(12)の切れ込み(c)で囲まれた部位(C)を剥離除去したときに当該部位の粘着剤
層(A)が露出されるようになるので、その露出部位の粘着剤層(A)上に粘着性ゲル体
(G)を搭載することが容易となり、使い勝手が好ましいものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下本発明を詳細に説明する。
【0024】
[第1のタイプの乳頭保護部材]
第1のタイプの乳頭保護部材は、第1積層シート(1)と第2積層シート(2)とのキ
ットからなる人体の乳頭を保護するための貼付型の部材であって、着用者(または補助
者)が自身で組み立てて乳頭部位への貼付に供するものである。
【0025】
(第1積層シート(1))
−1−
第1積層シート(1)は、貼付時の大きさの支持体シート(11)の片面に皮膚に貼付
可能な粘着剤層(A)が設けられると共にその粘着剤層(A)上に離型性シート(12)
が設けられた層構成を有するもの、すなわち、「支持体シート(11)/粘着剤層(A)
/離型性シート(12)」の層構成を有するものである(層形成の順序は問わない)。図1
は第1積層シート(1)の一例を示した平面図、図2は図1の第1積層シート(1)の底
面図、図3は図1の第1積層シート(1)のX−X断面図(厚みは誇張して描いてある)
である。
【0026】
−2−
この第1積層シート(1)にあっては、1枚の離型性シート(12)上に、貼付時の大
きさを有する粘着剤層(A)付き支持体シート(11)の1個または複数個が、その粘着
剤層(A)側が離型性シート(12)側になるように貼着された構成を有する(図3を参
照)。図1の平面図には、1枚の離型性シート(12)上に粘着剤層(A)付き支持体シ
ート(11)が6個貼着された層構成を例示してある。なお、第1積層シート(1)の作
製にあたっては、未だ個々の単位に分かれていない「支持体シート(11)/粘着剤層
(A)/離型性シート(12)」の積層体を準備してから、粘着剤層(A)付き支持体シ
ート(11)の個々の単位に合わせたハーフカットを行い、ついで余分な部分を剥離除去
して、個々の粘着剤層(A)付き支持体シート(11)を残すようにするのが通常である

【0027】
−3−
個々の単位としたときの粘着剤層(A)付き支持体シート(11)の大きさは、後述の
第2積層シート(2)の粘着性ゲル体(G)の大きさよりも大きくして、搭載した粘着性
ゲル体(G)の周辺に粘着剤層(A)が露出するようにする。
【0028】
−4−
1.一方、離型性シート(12)については、図2の底面図のように、上記の個々の粘
着剤層(A)付き支持体シート(11)に対応する領域(破線で示してある領域)内の中
央領域のみを剥離除去できるように、切れ込み(c)を設けておくことが特に好ましい。
そのような工夫により、離型性シート(12)の切れ込み(c)で囲まれた部位(C)は
容易に剥離除去できるので、その部位(C)の露出した粘着剤層(A)上に後述の第2積
層シート(2)から取り外した粘着性ゲル体(G)の1単位を搭載することができるよう
になる。
2.なお、上記の切れ込み(c)の一部が離型性シート(12)の外周にまで達するよ
うにしておくと(図2を参照)、上記の切れ込み(c)で囲まれた部位(C)の剥離除去
操作が一段と容易になる。
3.ただし、そのような切れ込み(c)を設けずに、離型性シート(12)から1個の
粘着剤層(A)付き支持体シート(11)を取り外して、その粘着剤層(A)の中央部位
に目測にて1単位の粘着性ゲル体(G)を搭載することも可能である。
【0029】
−支持体シート(11)−
1. 上記の支持体シート(11)としては、織布、不織布、プラスチックスフィルム
やシート、セルロース系シート、発泡シート、紙、ポリエチレンコート紙、金属箔または
金属箔ラミネート物をはじめとする種々のシート状物が用いられる。通常の絆創膏用の支
持体シートは、多くの場合この目的の支持体シートとして用いることができる。支持体シ
ート(11)は、乳頭部位に適用するものであるので、柔軟性を有するかストレッチ性
(伸縮性)を有するものであることが好ましい。支持体シート(11)の皺防止やその取
り扱いを容易にするため、支持体シート(11)の外面側に予め微粘着フィルムの如き保
護シートないしキャリアシートを被覆しておくことも必要に応じてなされる。
【0030】
2.支持体シート(11)の形状は、図1には正方形の場合を示してあるが、矩形(正
方形や長方形)、菱形、円形、長円形、楕円形などの基本形状とすることができる。この
場合、本発明の保護部材が乳頭を覆うように乳頭部位に貼着するものであることを考慮し
て、それらの基本形状に切れ込みや切り欠きを設けた形や、それらの基本形状を有する中
央部から複数本の足が延びたような形(十字形、X形、星形、放射形、花びら形状など)
とすることもできる。図9は、支持体シート(11)が花びら形状であるときの一例を示
した平面図である。
【0031】
3.支持体シート(11)の外面(乳頭部位への貼付時にウエア側となる面)は、乳頭
に加わる負担を減ずるために、ウエアとの間で滑り性を有することが好ましく、そのため
に材質を考慮したり、滑り性付与加工をしたものを用いることが好ましい。また、支持体
シート(11)を荒い目のものとして、使用時にはその目から上記の粘着性ゲル体(G)
が滲み出るようにしてウエアと粘着させることにより、ウエアの動きを乳頭部位の動きと
一致させて、乳頭のダメージをなくすようにすることもできる。
【0032】
−粘着剤層(A)−
粘着剤層(つまり感圧性接着剤層)(A)は、溶剤型や水系(水溶液タイプやエマルジ
ョンタイプ)の粘着剤を用いて形成された層である。粘着剤の主成分(粘着主要素)とし
ては、天然ゴム、再生ゴム、合成ゴム(スチレン−ブタジエンゴム、イソブチレンゴム、
イソプレンゴム等)、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブ
ロック共重合体、ポリイソブチレン、アクリル共重合体、シリコーン樹脂などが例示され
る。粘着力、タック、凝集力のバランスをとるために、粘着主要素には、もし必要なら、
粘着付与剤樹脂(ロジン、エステルガム、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、スチレン系樹脂
、アルキルフェノール系樹脂、テルペンフェノール系樹脂等)、軟化剤、可塑剤、ポリブ
テン、液状粘着付与剤樹脂、ポリイソブチレン低重合物、ポリビニルイソブチルエーテル
低重合物、ラノリン、解重合ゴム、プロセスオイル、加硫オイル等)、充填剤、老化防止
剤、安定剤、着色剤などを配合することもできる。粘着剤層(A)の厚みについては、1
0μm前後から300μm程度までとすることが多いが、所期の粘着力が得られる限りに
おいて特に限定はない。
【0033】
−離型性シート(12)−
上記の離型性シート(12)としては、各種のプラスチックスフィルムやセルロース系
フィルム、各種の紙(クラフト紙、グラシン紙、パーチメント紙、ポリエチレンラミネー
ト紙、金属箔ラミネート紙)などのシート基材を剥離剤で処理したものを用いることがで
きる(ただし、シート基材自体が剥離性を有する素材でできているときは、剥離剤による
処理をするまでもない)。剥離剤としては、シリコーン系剥離剤のほか、長鎖アルキルア
クリレート共重合体、長鎖アルキルビニルエステル共重合体、長鎖アルキルビニルエーテ
ル共重合体、長鎖アルキルアクリルアマイド共重合体、マレイン酸の長鎖アルキル誘導体
の共重合体、長鎖アルキルアリルエステル共重合体、各種ポリマーの長鎖アルキルエステ
ル化物、各種ポリマーの長鎖アルキルカルバメート、ポリエチレンイミン誘導体などが例
示できる。
【0034】
(第2積層シート(2))
−1−
第2積層シート(2)は、2枚の離型性シート(21),(22)間に柔軟性および弾
力性を有する粘弾性体からなる粘着性ゲル体(G)が挟持された層構成を有するもの、す
なわち、「離型性シート(21)/粘着性ゲル体(G)/離型性シート(22)」の層構
成を有するものである。図4は第2積層シート(2)の一例を示した平面図、図5は図4
の第2積層シート(2)の底面図、図6は図4の第1積層シート(1)のY−Y断面図(
厚みは誇張して描いてある)である。
【0035】
−2−
2枚の離型性シート(21),(22)間に挟持される粘着性ゲル体(G)の数は、1
個でもよく複数個であってもよい。図4〜5には、2枚の離型性シート(21),(22
)間に粘着性ゲル体(G)を6個挟持した場合を例示してある。
【0036】
−3−
2枚の離型性シート(21),(22)間に複数個の粘着性ゲル体(G)を配置すると
きには、それらの粘着性ゲル層(G)の配置の形や間隔は、先に述べた第1積層シート(
1)における離型性シート(12)上への粘着剤層(A)付きの支持体シート(11)の
配置の形や間隔に対応させる必要はなく、任意に設計しうる。このときの粘着性ゲル層(
G)の数も、第1積層シート(1)における粘着剤層(A)付きの支持体シート(11)
の数に必ずしも合わせる必要はないが、通常は同数とすることが多いであろう。
【0037】
−離型性シート(21),(22)−
1.上記の離型性シート(21),(22)としては、上述の第1積層シート(1)に
おける離型性シート(12)に関して述べたものと同様のものを用いることができる。
【0038】
2.離型性シート(21)と離型性シート(22)とは、同種のものであっても異種の
ものであってもよい。離型性シート(21)と粘着性ゲル体(G)との間の剥離性と、離
型性シート(22)と粘着性ゲル体(G)との間の剥離性とは、同程度であってもよいが
、若干相違している方が使い勝手がよいことが多い。なお、粘着性ゲル体(G)の剥離性
は、離型性シート(21),(22)の剥離角度によっても相違するので、絶対的な剥離
強度はそれほど重要ではない。要するに、最初に剥離する側の離型性シートを粘着性ゲル
体(G)から円滑に剥離することができ、ついで残った方の離型性シートを粘着性ゲル体
(G)から円滑に剥離できのであれば、何ら差し支えない。
【0039】
−粘着性ゲル体(G)−
1.粘着性ゲル体(G)としては、柔軟性および弾力性を有する粘弾性体からゲルであ
れば、天然高分子、合成高分子、半合成高分子、シリコーン系高分子をベースとする種々
のゲルを用いることができる。含水状態において粘弾性および粘着性を発現するハイドロ
ゲル(ヒドロゲル)はその一例であり、無水または含水の如何にかかわらず弾性および粘
着性を発現するゲルはその一例である。
【0040】
2.上記のうちのハイドロゲルの代表例はアクリル系の粘着性ゲルであり、このゲルは
ポリマー分子と分散媒(水を主とする分散媒)とからなる。ただし、乳頭部への貼付中に
水が失われて粘着力が低下することを免れないので、そのような粘着力の低下を生じない
比較的短時間の使用が前提となる。このゲルはコストの点で有利である。
【0041】
3.上記のうち無水または含水の如何にかかわらず粘弾性および粘着性を発現するゲル
の代表例は次に述べるセグメント化ウレタン系の粘着性ゲルであり、本発明の目的にはこ
のゲルを用いることが特に好ましい。この粘着性セグメント化ウレタンゲルは、「親水性
のアルキレンオキサイドのセグメントと疎水性のアルキレンオキサイドのセグメントとを
有し、セグメントの大半ないし全てが常温で液状である粘着性のセグメント化ウレタンゲ
ルであり、[背景技術]の項で述べた特許文献3(特開2007−31310号公報)を
はじめとするいくつかの文献に記載されたものであって、市場から入手することができる
。この粘着性セグメント化ウレタンゲルのコストは、ハイドロゲルである上記のアクリル
系の粘着性ゲルよりは割高であるものの、本発明の目的に用いたときにすぐれた機能を発
揮することを考慮すると、リーズナブルな範囲にある。
【0042】
4.この粘着性セグメント化ウレタンゲルは、分子鎖、結節点、液状セグメント、ダン
グリング鎖(ペンダントのようなぶら下がり鎖))からなる「水分や他の分散媒を含まな
い1成分ゲル」であって、ブリードアウト成分を含んでいないので経時的に極めて安定で
ある。そのため、粘着力が水分に左右されず、臭気もなく、水で洗うことにより繰り返し
使用が可能であり、カビ抵抗性もすぐれている。ただし、洗剤成分はゲル体の内部に移行
してしまうので、洗剤で洗って繰り返し使用することは避けるべきであるが、本発明の乳
頭保護部材の目的にはそのような使い方(洗剤で洗うような使い方)は想定されない。
【0043】
5.上記の各種の粘着性ゲルは、乳頭と接触する部位に用いるゲルとしての「素質」を
有しているということができるが、それらの中でも上記の粘着性セグメント化ウレタンゲ
ルからなる粘着性ゲル体(G)は、乳頭と直接接触して乳頭の保護を図る層として他の粘
着性ゲルに比し明らかに適している。すなわち、粘着性セグメント化ポリウレタンゲルは
、アクリル系の粘着性ハイドロゲル、シリコーン系の粘着性ゲルはもとより、他のウレタ
ン系の粘着性ゲルに比しても、本発明の目的には有意にすぐれているので、それを使用す
ることが推奨される。
【0044】
(粘着性ゲル体(G)における繊維層(F))
−1−
上記の第2積層シート(2)の個所で説明した粘着性ゲル体(G)(殊に粘着性セグメ
ント化ウレタンゲルからなる粘着性ゲル体(G)が最適である)は、本発明の乳頭保護部
材において乳頭と直接接触するゲル体としての適性を有しているが、過酷でかつ長時間に
わたるスポーツや運動中に、その粘着性ゲル体(G)が変形して乳頭の保護性がしだいに
低下することを充分には防止できないことがある。すなわち、ゲル体のクリープ(cre
ep)による外方側への偏り現象やちぎれ現象である。また、そのような激しいスポーツ
や運動は多大の発汗を伴うのが通例であるので、乳頭と接触する粘着性ゲル体(G)が汗
により乳頭部位からずれてしまったり、乳頭周辺部位に蒸れによる不快感を与えたりする
ことを充分には防止できないことがある。
【0045】
−2−
1.この問題点に対処すべく、本発明においては、上記の第2積層シート(2)におけ
る粘着性セグメント化ウレタンゲルからなる粘着性ゲル体(G)(殊に粘着性セグメント
化ウレタンゲルからなる粘着性ゲル体(G))内に、該ゲル体(G)の形状保持のための
繊維層(F)を配置しておくことが特に望ましい。図8は、繊維層(F)入りの粘着性ゲ
ル体(G)の一例を示した説明図である(ゲルは繊維層(F)の目を通して厚み方向にも
連続している)。
【0046】
2.この繊維層(F)は、合成繊維、半合成繊維、動植物由来の天然繊維、無機繊維、
鉱物繊維をはじめとする種々のものがあげられ、その形状は、単繊維、単繊維の種々の形
のカール体、単繊維を丸めたものや単繊維を毛玉状にしたもの、一方向への繊維引き揃え
体、そのような一方向への繊維引き揃え体の異なる方向への積み重ね体、繊維絡合体、糸
、不織布、織布、ネット状物、割裂フィルム状物、立体編み織り物、中空糸など、種々の
形態をとりうる。
【0047】
3.そして、繊維層(F)として好適なものは、合成繊維、半合成繊維、天然繊維など
の繊維から作られた不織布である。この不織布としては、短繊維を用いた不織布も使用可
能ではあるが、長繊維を用いたスパンボンド法、フラッシュ紡糸法、メルトブロー法のよ
うな紡糸直結型のウエブ形成法により得られる不織布が特に好適である。そのような不織
布としては、目付けが1平方メートル当り10g以下のものから数100gのものまで市
販されているが、それらの中でも目付けが1平方メートル当り5g程度から50g程度ま
での比較的薄手のものの方が、その不織布の目の間にも確実に粘着性ゲル体(G)が存在
するようになるので、本発明の目的には好ましいということができる。
【0048】
4.上記の繊維層(F)は、粘着性ゲル体(G)の層厚の中間位置に層方向に1層また
は複層に存在させるほか、粘着性ゲル体(G)内の離型性シート(21)や離型性シート
(22)に近い方の位置やそれらのシートの表面または表面側の位置に層方向に存在させ
てもよい。表面に位置させた場合でも、その繊維層(F)の目の間に粘着性ゲル体(G)
が侵入するのが通常である。(なお、その繊維層(F)として粘着性ゲル体(G)が侵入
しないような目の細かいものを用いると共に、その繊維層(F)が直接乳頭に接触するよ
うな使い方はすべきではない)。
【0049】
(粘着性ゲル体(G)に対する補助材料の内添)
上記の粘着性ゲル体(G)中には、装着感の向上や吸汗性ないし通汗性の付与のために
、絹粉をはじめとする繊維状または粒子状の補助材料の適当量を内添しておくこともでき
る。
【0050】
(第1のタイプの乳頭保護部材の使い方)
−1−
上述の第1積層シート(1)と第2積層シート(2)とのキットからなる第1のタイプ
の乳頭保護部材は、典型的には次のようにして人体の乳頭部位に適用される。
1.「支持体シート(11)/粘着剤層(A)/離型性シート(12)」の層構成を有
する第1積層シート(1)から、離型性シート(12)の必要部を剥離除去して、その部
分の粘着剤層(A)を露出させる。
2.「離型性シート(21)/粘着性ゲル体(G)/離型性シート(22)」の層構成
を有する第2積層シート(2)から、離型性シート(21)または離型性シート(22)
の必要部を剥離して、粘着性ゲル体(G)を露出させる。
3.ついで、第1積層シート(1)における露出した粘着剤層(A)上に、第2積層シ
ート(2)から取り上げた粘着性ゲル体(G)を搭載し、その状態で粘着性ゲル体(G)
側が乳頭側になるようにして、乳頭部位に貼付する。
【0051】
−2−
この使い方は、第1積層シート(1)と第2積層シート(2)とを用いて着用者(また
は補助者)が自身で準備して行うものである。
・この使い方の利点の1つは、スポーツや運度に際して、途中で新しいものに取り替え
ることができる点にある。
・この使い方の利点の他の1つは、何らかの事情で乳頭保護部材から粘着性ゲル体(G
)が脱落したり、乳頭保護部材から粘着性ゲル体(G)のみを取り替えたいときに、粘着
性ゲル体(G)のみを容易に取り替えることができる点にある。この場合の取り替えは、
再貼付時の粘着剤層(A)の粘着力が許容限度以下にならないうちに行うことになる。
【0052】
[第2のタイプの乳頭保護部材]
第2のタイプの乳頭保護部材は、
・貼付時の大きさの支持体シート(11)の片面に皮膚に貼付可能な粘着剤層(A)
が設けられ、
・その粘着剤層(A)の中央領域には柔軟性および弾力性を有する粘弾性体からなる粘
着性ゲル体(G)が載置され、
・さらにその粘着性ゲル体(G)を含む前記の粘着剤層(A)上の全体には離型性シー
ト(3)が被覆された構造を有すること、
を特徴とするものである。
【0053】
図7は、この第2のタイプの乳頭保護部材の一例を示した断面図である。
この第2のタイプの乳頭保護部材は、上述の「(第1のタイプの乳頭保護部材の使い方
)」の個所で述べた貼付前の準備を着用者に任せずに、予め製品製造の段階で行ったもの
に相当し、「離型性シート(3)/粘着性ゲル体(G)/粘着剤層(A)/支持体シート
(11)」の層構成がすでに完成しているものである。そのため、着用者は、この第2の
タイプの乳頭保護部材から離型性シート(3)を剥離除去するだけで、直ちに乳頭部位に
貼付することができる。
【0054】
この層構成においては、離型性シート(3)は粘着剤層(A)付きの支持体シート
(11)とほぼ同一の大きさにするかそれよりも大きくすると共に、それら両シートに挟
まれた粘着性ゲル体(G)は両シートの中央領域に位置するようにして、離型性シート
(3)を剥離除去したときに粘着性ゲル体(G)の周辺に支持体シート(11)上の粘
着剤層(A)が存在するようにする。なお、粘着剤層(A)付きの支持体シート(11
)の複数個を、1枚の離型性シート(3)上に載せた形態とすることもできる。
【0055】
ここで、上記の離型性シート(3)は、先に述べた第1の乳頭保護部材における離型性
シート(21),(22)のいずれかを利用しててもよく、別途準備した他の離型性シー
トを用いてもよい。
【実施例】
【0056】
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。
【0057】
(実施例)
−第1積層シート(1)の準備−
1.剥離紙でできた離型性シート(12)の離型面上にアクリル系の粘着剤層(A)を
設け、さらにその上から支持体シート(11)を貼着することにより、積層シートを作製
した。ついで、この積層シートの支持体シート(11)を格子状にハーフカットしてから
、その格子の部分を剥離除去することにより、その支持体シート(11)を50mm×5
0mmの大きさの所定数の正方形の片となした。
【0058】
2.一方、その積層シートの離型性シート(12)側の面からは、個々の片となった支
持体シート(11)の中央領域になる部位に、1辺が20mmの正方形となる切れ込み
(c)を設けた。なお、上記の切れ込み(c)の一部は、離型性シート(12)の外周に
まで達するようにして、上記の切れ込み(c)で囲まれた部位(C)の剥離除去操作が容
易になるようにした。
【0059】
これにより、図1に平面図、図2に底面図、図3に図1のX−X断面図を示した第1積
層シート(1)が作製された。
【0060】
−第2積層シート(2)の準備−
1.厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤
で処理した離型性シート(22)の離型処理面側に、厚みが1mmの粘着性ゲル体(G)
の層を設けた積層シートを準備した。この積層シートの粘着性ゲル体(G)の層を格子状
にハーフカットしてからその格子の部分を剥離除去することにより、その粘着性ゲル体
(G)の層を20mm×20mmの大きさの所定数の正方形の片となした。
【0061】
2.ついで、その個々の片となった粘着性ゲル体(G)側の上から、厚み50μmのポ
リエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で処理した離型性シート
(21)の離型処理面側を被覆した。
【0062】
3.これにより、図4に平面図、図5に底面図、図6に図4のY−Y断面図を示した第
2積層シート(2)が作製された。
【0063】
[試験例]
下記のような模擬試験および実際の装着試験を行った。
【0064】
[模擬試験1]
次の条件にて模擬試験を行った。試験および観察は、淀川サンセイ株式会社の温湿度調
整機能を備えた測定室において24時間かけて発明者自身が行った。
【0065】
(乳頭代替物)
乳頭の代替として種々のものを検討したが、ポリエチレン製の2層間に気泡を粒状に封
じ込めた緩衝材が、その形状、大きさ、感触、観察のしやすさ、擦傷のしやすさの度合い
などを総合判断すると乳頭代替品として最適であることが判明したので、川上産業株式会
社の「プチプチ(登録商標)」のうち、2層品で、粒の径が10mm、粒の高さが3.3
mmのシートから1粒単位に切り出した気泡品を使用した。
【0066】
(ウエア代替物)
通常のスポーツ用のウエアでは乳首との擦れの度合いを観察するのに長時間を要するた
め、ウエア代替物として、繊維径2μmの超極細繊維製のクロス(東レ株式会社製の「ト
レシー(登録商標);メガネ拭き用やスキンケア用の布として市販されているもの)を促
進試験のために用いた。
【0067】
(粘着性ゲル体(G))
粘着性ゲル体(G)として、次のものを準備した。
(G1):親水性のアルキレンオキサイドのセグメントと疎水性のアルキレンオキサイ
ドのセグメントを有し、セグメントの大部分が常温で液状である粘着性セグメント化ウレ
タンゲルからなる厚みが1mmの粘着性ゲル体であって、その層厚の中ほどに層方向に、
該ゲル体の形状保持のための繊維層(F)の一例としてのスパンボンド法不織布(目付け
は1平方メートル当り10g)を1層配置したもの。
(G0):上記の(G1)において繊維層(F)を有しないもの。
(Gh):厚みが1mmの粘着性を有するアクリル系のハイドロゲルからなる粘着性ゲ
ル体であって、その層厚の中ほどに層方向に、該ゲル体の形状保持のための繊維層(F)
の一例としてのスパンボンド法不織布(目付けは1平方メートル当り10g)を1層配置
したもの。
【0068】
(試験方法と結果)
上記の乳頭代替物(気泡品)の1粒を透明なアクリル板上に両面接着テープを用いて貼
り付け、その上から上記のウエア代替物(超極細繊維製のクロス)を指に巻き付けて摩擦
する試験を行った後、その乳頭代替物の表面を100倍の倍率で写真撮影し、キズの有無
またはキズの度合いを調べた。
【0069】
・試験前の気泡品には、キズはほとんど認められなかった。
・往復100回の摩擦を行った後の観察においては、気泡品には摩擦によるキズと思わ
れる曇りが確認された。
・往復500回の摩擦を行った後の観察においては、気泡品には摩擦による多数のキズ
が認められた。
・気泡品を新しいものと取り替えて、このような摩擦試験を別の機会に数回追試したが
、毎回ほぼ同様の結果が得られた。
【0070】
上記の試験から、過酷なスポーツや運動を長時間行ったり頻繁に行ったときには、ウエ
アとの摩擦によって人体の乳頭部が多かれ少なかれダメージを受けることが確認できる。
【0071】
[模擬試験2]
上記の模擬試験1を受けて、次の試験を行った。
【0072】
−1−
40mm×40mmの大きさの皮膚貼着用テープ(全方向に伸縮性を有するポリエステ
ル編布の片面に皮膚貼着用の粘着剤層を設けたもの)を準備し、その粘着剤層側の面の中
央部に、20mm×20mmの大きさの厚み1mmの粘着性ゲル体(G)を貼り付けた。
(なお、この試験においては40mm×40mmの大きさの皮膚貼着用テープを用いてい
るが、人体に適用するときはもう少し大きい方がベターである。)
【0073】
−2−
ついで、上記の模擬試験1と同様にしてアクリル板上に貼り付けた乳頭代替物(気泡品
)を準備し、その気泡品の上から、上記で準備した粘着性ゲル体(G)付き皮膚貼着用テ
ープをその粘着性ゲル体(G)側が気泡品を覆うように貼り付けた。
【0074】
−3−
この状態で、模擬試験1の場合と同様にして、ウエア代替物(超極細繊維製のクロス)
を指に巻き付けて粘着性ゲル体(G)付き皮膚貼着用テープの外面側から100回および
500回摩擦する試験を行った後、該テープを剥ぎ取って乳頭代替物の表面を100倍の
倍率で写真撮影し、キズの有無または度合いを調べたが、100回摩擦および500回摩
擦のいずれの場合も何ら異常は認められなかった。
【0075】
−4−
なお、この摩擦試験において、皮膚貼着用テープの外面側を100倍の倍率で写真撮影
して観察したところ、100回摩擦後においては皮膚貼着用テープ(ポリエステル編布)
の編み目に粘着性ゲル体(G)が浸透しつつある状態が観察され、500回摩擦後にはそ
の編み目への粘着性ゲル体(G)の浸透状態が明らかに観察されると共に指触によっても
粘着性ゲル体(G)による粘着性が確認できた。
【0076】
−5−
このように皮膚貼着用テープ(ポリエステル編布)の編み目に粘着性ゲル体(G)の浸
透するという事実は、実際に乳頭に貼着したときにも、ウエア側に粘着性ゲル体(G)が
浸透してウエアとの間で粘着力を発揮し、ウエアが上下左右に揺れて乳頭部が擦れる現象
が緩和されるであろうことを示している。
【0077】
−6−
すなわち、本発明における「支持体シート(11)/粘着剤層(A)/粘着性ゲル体(
G)」における支持体シート(11)を選択することにより、支持体シート(11)が上
記編布のようにその編み目から粘着性ゲル体(G)が浸透するような場合には、ウエアと
の間で粘着力を発揮するという効果が奏され、一方、支持体シート(11)が粘着性ゲル
体(G)の浸透を妨げるものであるときは、今度はウエアとの間で滑りを生ずるため、ウ
エアの動きが乳頭部に影響を与えることが少なく、いずれの場合も乳頭保護の目的を達成
しうるようになるのである。
【0078】
[模擬試験3]
粘着性ゲル体(G)の種類による違いを調べるべく、次の試験を行った。
【0079】
−1−
粘着性ゲル体(G)として、次のものを準備した。
・先に述べた粘着性セグメント化ウレタンゲルからなる粘着性ゲル体(G1)(その層
厚の中ほどに層方向に繊維層(F)を1層配置したもの)
・先に述べたアクリル系のハイドロゲル(つまり含水ゲル)からなる粘着性ゲル体(G
h)(その層厚の中ほどに層方向に繊維層(F)を1層配置したもの)
【0080】
−2−
これらの粘着性ゲル体(G)を、保護フィルムを剥がして裸の状態にしてから、先の模
擬試験2のようにアクリル板上に貼り付けた乳頭代替物(気泡品)の上から貼付し、淀川
サンセイ株式会社の測定室内に夕方17時から翌日の16時まで23時間放置して、水分
量の減少による粘着力と乳頭部への影響を観察した。測定室の温湿度は最初は23℃)、
65%RHであるが、その後はドライ(30%RH)になるように設定した。
【0081】
−3−
1.粘着性セグメント化ウレタンゲルからなる粘着性ゲル体(G1)については、試験
開始時の状態と23時間放置後の状態において、100倍の顕微鏡写真では特に差異はな
く、また乳頭代替物(気泡品)からの剥離も見られない上、指触による粘着力についても
これというほどの差は認められなかった。
2.一方、アクリル系のハイドロゲルからなる粘着性ゲル体(Gh)については、試験
開始時の100倍の顕微鏡写真と23時間放置後の100倍の顕微鏡写真とを対比すると
、後者の方が水分が飛んで枯れた状態になっており、また乳頭代替物(気泡品)からの部
分剥離が認められ、指触による粘着力についても試験開始時の粘着性が試験終了時には大
きく低下していることが確認された。
3.たとえば屋外でスポーツや運度を行うときには、外気温や日光照射の影響によりゲ
ル体(G)の水分含有量に変化を生ずることが想定されるが、上記1と2との差は、粘着
性セグメント化ウレタンゲルからなる粘着性ゲル体(G1)の方が環境変化による悪影響
が格段に小さいことを示している。
【0082】
[模擬試験4]
−1−
上記の粘着性セグメント化ウレタンゲルからなる粘着性ゲル体(G1)を、先の模擬試
験2のようにアクリル板上に貼り付けた乳頭代替物(気泡品)の上から貼付し、さらにそ
の上から皮膚貼着用テープ(厚みが90μmのポリエチレンフィルム製の高粘着皮膚用テ
ープ、エンボス品)貼り付けた。なお、このテープは、模擬試験2において用いた伸縮性
を有する編布の片面に皮膚貼着用の粘着剤層を設けたものとは異なり、外面側は滑り性を
有しかつ耐水性を有するものである。
【0083】
−2−
1.この状態で、模擬試験1の場合と同様にして、ウエア代替物(超極細繊維製のクロ
ス)を指に巻き付けて粘着性ゲル体(G)付き皮膚貼着用テープの外面側から100回お
よび500回摩擦する試験を行った後、該テープを剥ぎ取って乳頭代替物の表面を100
倍の倍率で写真撮影し、キズの有無またはキズの度合いを調べた。
2.試験前のテープはエンボス品であるので、テープの外表面にはエンボス模様が見ら
れたが、100回摩擦後にはエンボス模様が若干ではあるが潰れており、また500回摩
擦後にはエンボス模様がさらに潰れて外表面が100回摩擦後のものよりもフラットにな
っていた。
3.しかしながら、100回摩擦後および500回摩擦後のいずれの場合も、乳頭代替
物にはダメージが全く認められなかった。
【0084】
[模擬試験1〜4の総括]
1.模擬試験1のように、乳頭部(気泡品からなる乳頭代替物)を保護する対策を講じ
ないときには、ウエアとの摩擦による乳頭部へのダメージが発生することがわかる。
【0085】
2.模擬試験2のように、伸縮性を有する編布の片面に皮膚貼着用の粘着剤層を設ける
と共にその粘着剤層側の面の中央部に粘着性ゲル体(G)を貼り付けたものを準備し、そ
れを乳頭部に貼り付けたときは、乳頭部へのダメージが回避されることが確認された。編
み物のように伸縮性を有するものや、織物のうち目の粗いものを粘着性ゲル体(G)の基
材シートとして用いたときは、基材シートの目からにじみ出たゲルがウエアと軽く粘着し
て、ウエアの上下左右への揺れを緩和する作用が発現するものと理解される。すなわち、
ウエアの動きと乳頭部の動きとが相違するときに、乳頭部に対するウエアの擦れ作用が大
きくなるために乳頭部へのダメージが大きくなるものと考えられるが、乳頭部の動きとウ
エアの動きとが同じであれば、擦れ作用は生じ難くなるのである。
【0086】
3.模擬試験3のように、粘着性ゲル体(G)としての「粘着性セグメント化ウレタン
ゲルからなる粘着性ゲル体(G1)」と「アクリル系のハイドロゲルからなる粘着性ゲル
体(Gh)」とを対比したときは、後者が水分の影響を受けて乳頭部の擦れの防止効果が
低減することがあるのに対し、前者においてはそのような水分の影響を受けがたいために
環境や条件の変化にほとんど影響されずに乳頭部の保護を確実に達成することができるこ
とがわかる。
【0087】
4.模擬試験4のように、皮膚貼着用テープとしてフィルム製のものを用いたときには
、乳頭保護部材の皮膚貼着用テープとウエアとの間で滑りを生じ、スポーツ時のウエアの
動きが乳頭部にダメージを与えるおそれが著減するものと理解される。すなわち、ウエア
の動きと乳頭部の動きと相違しても、ウエアの動きは乳頭部に影響を与えるところが少な
いのである。
【0088】
[実際の装着試験]
下記の乳頭保護部材を準備した。乳頭保護手段をとらなかった場合を「ブランク」と称
することにする。
−織布製の支持体シート1を用いた乳頭保護部材−
「ポリエステル繊維糸でできた織布の片面に皮膚貼着用の粘着剤層を設けたもの」の粘
着剤層側の面の中央部に粘着性ゲル体(G)を貼り付けたもの(「織布製の支持体/粘着
剤層/粘着性ゲル体(G)」の層構成のもの)。
−編布製の支持体シート2を用いた乳頭保護部材−
上記の模擬試験2の「伸縮性を有する編布の片面に皮膚貼着用の粘着剤層を設けたもの
」の粘着剤層側の面の中央部に粘着性ゲル体(G)を貼り付けたもの(「編布製の支持体
/粘着剤層/粘着性ゲル体(G)」の層構成のもの)。
−フィルム製の支持体シート3を用いた乳頭保護部材−
上記の模擬試験4の「ポリエチレンフィルム製の高粘着皮膚用テープの片面に皮膚貼着
用の粘着剤層を設けたもの」の粘着剤層側の面の中央部に粘着性ゲル体(G)を貼り付け
たもの(「フィルム製の支持体/粘着剤層/粘着性ゲル体(G)」の層構成のもの)。
【0089】
上記の粘着性ゲル体(G)としては、次のものを用いた。
(G1):親水性のアルキレンオキサイドのセグメントと疎水性のアルキレンオキサイ
ドのセグメントを有し、セグメントの大部分が常温で液状である粘着性セグメント化ウレ
タンゲルからなる厚み1mmの粘着性ゲル層(G)であって、その層厚の中間位置に目付
けが1平方メートル当り10gのスパンボンド法不織布からなる形状保持用の繊維層
(F)を有するもの。
(G0):上記の(G1)と同じ粘着性ゲル体ではあるが、形状保持用の繊維層(F)
を有しないもの。
(Gh):アクリル系のハイドロゲルの層(厚みは1mm)からなる粘着性ゲル層
(G)であって、その層厚の中間位置に目付けが1平方メートル当り10gのスパンボン
ド法不織布からなる形状保持用の繊維層(F)を有するもの。
【0090】
−装着試験−
実際の装着試験は次のようにして行った。
上記の支持体シート1,2,3を用いた乳頭保護部材について、それぞれ上記の粘着性
ゲル体(G1)、(G0)、(Gh)を用いたものを準備しておいた。
各被験者については、その一方の乳頭部位にはそのようにして準備した乳頭保護部材を
装着し、他方の乳頭部位には何も装着しない状態(ブランク)として、ブランクとの差の
有無を調べた。
また、乳頭保護部材同士の間の優劣を見るために、一方の乳頭部位と他方の乳頭部位と
に別々の粘着性ゲル体(G)を装着した場合について、それらの間の差の有無を調べた。
(なお、乳頭部位に創傷保護用の市販の絆創膏を装着したときは、発汗が著しいときは
絆創膏がめくれてしまうことが判明していたので、そのような比較試験は行わなかっ
た。)
【0091】
−評価基準と評価結果−
延べ35名の被験者(同一人の場合も多数含む)が長時間でかつ著しい発汗を伴うスポ
ーツや運動を行ったとき(マラソン大会への参加、長距離の山岳トレイルランニング、長
時間のテニス訓練など)を行った場合についてのダメージの度合い、違和感や不快感の度
合いについての評価結果は次の如くであった。
なお、上記のブランクにおいても何ら異常がない場合は、乳頭部に影響を与えるほどの
運動量または激しさではないので、評価には供していない。
評価は、一方の乳頭と他方の乳頭とにおけるダメージの有無および度合いの相対評価と
し、次のように判定した。
E=e Eとeに優劣なし
E≧e Eとeは同等かEの方がやや良い
E>e Eの方がeよりも良い
E>>e Eの方がeよりも明らかに良い
E>>>e Eの方がeよりも格段に良い
運動条件や天候、気温はいろいろであり、被験者による個人差もあるので、被験者各人
の申告をまとめて総合判定している。
【0092】
支持体シート1の場合で条件が過酷 支持体シート1の場合で条件がやや過酷
(G1) >>> ブランク (G1) >>> ブランク
(G0) > ブランク (G1) >> (Gh)
(Gh) >>> ブランク (Gh) >> (G0)
(G1) >>> (G0) (G1) >> (G0)
(G1) >> (Gh) (G0) > ブランク
(Gh) > (G0)
支持体シート2の場合で条件が過酷 支持体シート2の場合で条件がやや過酷
(G0) >> ブランク (G1) >> (Gh)
(Gh) >>> ブランク (Gh) >>> (G0)
(G1) >> (Gh)
支持体シート3の場合で条件が過酷 支持体シート3の場合で条件がやや過酷
(G1) >>> ブランク (G1) >>> ブランク
(G1) >> (Gh) (G1) > (Gh)
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の乳頭保護部材は、過酷なスポーツや運動を行うときに乳頭部位に貼付すること
により、ウエアとの間の繰り返しの擦れにより乳頭が痛んだり出血したりする事態を効果
的に防止する目的に使用しうる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】第1積層シート(1)の一例を示した平面図である。
【図2】図1の第1積層シート(1)の底面図である。
【図3】図1の第1積層シート(1)のX−X断面図である。
【図4】第2積層シート(2)の一例を示した平面図である。
【図5】図4の第2積層シート(2)の底面図である。
【図6】図4の第2積層シート(2)のY−Y断面図である。
【図7】第2のタイプの乳頭保護部材の一例を示した断面図である。
【図8】繊維層(F)入りの粘着性ゲル体(G)の一例を示した説明図である。
【図9】支持体シート(11)が花びら形状であるときの一例を示した平面図である。
【符号の説明】
【0095】
(1)…第1積層シート、
(11)…支持体シート、(A)…粘着剤層、(12)…離型性シート、
(A)…粘着剤層、(c)…切れ込み、(C)…(c)で囲まれた部位、
(2)…第2積層シート、
(21)…離型性シート、(G)…粘着性ゲル層、(22)…離型性シート、
(3)…離型性シート、
(F)…繊維層



【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1積層シート(1)と第2積層シート(2)とのキットからなる人体の乳頭を保護す
るための貼付型の部材であって、
前記の第1積層シート(1)は、貼付時の大きさの支持体シート(11)の片面に皮膚
に貼付可能な粘着剤層(A)が設けられると共にその粘着剤層(A)上に離型性シート
(12)が設けられた「支持体シート(11)/粘着剤層(A)/離型性シート(1
2)」の層構成を有すること、および、
前記の第2積層シート(2)は、2枚の離型性シート(21),(22)間に柔軟性お
よび弾力性を有する粘弾性体からなる粘着性ゲル体(G)が挟持された「離型性シート
(21)/粘着性ゲル体(G)/離型性シート(22)」の層構成を有すること、
を特徴とする乳頭保護部材。
【請求項2】
前記の第1積層シート(1)の離型性シート(12)に、前記の第2積層シート(2)
の粘着性ゲル体(G)の輪郭に見合う切れ込み(c)が設けられており、
もって、その離型性シート(12)の切れ込み(c)で囲まれた部位(C)を剥離除去
したときに当該部位の粘着剤層(A)が露出されるようにされていること、
を特徴とする請求項1記載の乳頭保護部材。
【請求項3】
前記の第2積層シート(2)における柔軟性および弾力性を有する粘弾性体からなる粘
着性ゲル体(G)が、水を含有させない状態においても粘着性を示すセグメント化ポリウ
レタンゲルのゲル体であること、
を特徴とする請求項1記載の乳頭保護部材。
【請求項4】
前記の粘着性ゲル体(G)内に、該ゲル体(G)の形状保持のための繊維層(F)を配
置してあること、
を特徴とする請求項1または3記載の乳頭保護部材。
【請求項5】
貼付時の大きさの支持体シート(11)の片面に皮膚に貼付可能な粘着剤層(A)が設
けられ、その粘着剤層(A)の中央領域には柔軟性および弾力性を有する粘弾性体からな
る粘着性ゲル体(G)が載置され、さらにその粘着性ゲル体(G)を含む前記の粘着剤層
(A)上の全体には離型性シート(3)が被覆された構造を有すること、
を特徴とする乳頭保護部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−196277(P2012−196277A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61512(P2011−61512)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(591056097)淀川ヒューテック株式会社 (25)
【Fターム(参考)】