説明

乾式メタン発酵法

【課題】 従来の乾式メタン発酵法よりも回収エネルギーを増大できるような乾式メタン発酵法を提供することを目的とし、発酵対象物の分解率向上によりバイオガス発生量の増大および処理対象廃棄物の減容化を計る。
【解決手段】 発酵対象物を乾式メタン発酵処理する方法において、発酵対象物が油脂を含有しており、前記油脂の前記発酵対象物の全量に対する割合が3〜15質量%であり、メタン発酵槽からの既発酵物を種汚泥として前記発酵対象物と混合し、該混合物を前記メタン発酵槽に導入し、該メタン発酵槽における全固形物濃度が25%以上であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性廃棄物等のバイオマスをメタン発酵させるための乾式メタン発酵および湿式乾式併用メタン発酵に関する。
【背景技術】
【0002】
有機性廃棄物等のバイオマスからエネルギーを回収する方法として、メタン発酵を利用するものがある。メタン発酵は、固形物の割合(TS濃度)が10%以下であるような液状バイオマスに対して行われる湿式メタン発酵と、固形物が例えば10%以上、より典型的には20%以上と云う高い割合を占める有機性廃棄物等のバイオマスに対して、加水せずに非浸水状態でメタン発酵を行う乾式メタン発酵とが知られている。
【0003】
湿式メタン発酵は歴史もあり、実績も多く、ほぼ完成された技術であるが、次のような問題がある。
【0004】
ア、湿式メタン発酵の際に排出される多量の発酵廃液の処理には初期費用や運用費用などを含め、多大な経費を要する。また、発酵を促進させるために撹拌する必要があり、その撹拌エネルギーも必要となる。
【0005】
イ、固形物の割合が高い場合、湿式メタン発酵を利用するためには水などの液を加えることによって希釈し、スラリー状にする。しかし、この加水のため処理容量が増加するため処理効率が悪くなり、更に、加えた液体は結局廃水として処理しなければならない。
【0006】
ウ、湿式メタン発酵で発生する含水率の高い(約95%)発酵残渣は、それを液肥として利用する以外、脱水装置にて固液分離を行い、液分は廃水処理プラントで処理された後、付近の河川や下水道に放流される。一方、固分すなわち脱水ケーキは堆肥化システムにて堆肥にされ販売されるか、または埋立や焼却にて処分される。稲ワラ等の難分解性有機物を多く含む畜産糞尿等を湿式メタン発酵にて処理する場合(このケースが一番多い)30日程度の発酵期間では分解率に限度があり(40〜45%の分解率が実状)、発酵残渣にはまだ多くの未発酵有機分が存在している。このため前述の脱水ケーキは有機分が豊富なバイオマスである。堆肥化システムは脱水ケーキの有機分を好気性発酵にて、C0とH0に変換するプロセスであり、このプロセスはエネルギー回収に何ら寄与せずむしろ撹拌や切り返し等でエネルギーを消費する。
【0007】
一方、乾式メタン発酵では、発酵対象バイオマスを希釈せずに処理することができるため、処理容量が増加することはなく、発酵残渣の含水率が低く、発酵廃液処理が不要である。このためシステム全体を、扱いやすく、シンプルなものにすることができる。従って、乾式メタン発酵は湿式メタン発酵に比べて初期コストの低減化が計れるという利点がある。しかし、乾式メタン発酵は10数年前にヨーロッパで開発された技術で実績も出てきているが、まだまだ技術開発が必要なこれからの技術であり、種々の提案がなされている。
【0008】
例えば、特許文献1(特開2002−320949号公報)には、アンモニア等によるメタン発酵阻害を防止するために、有機性廃棄物に無機多孔体を混合してこれをメタン発酵槽に導入する乾式メタン発酵法が開示されている。
【0009】
従来、メタン発酵法において、活性汚泥の脱水ケーキ、おから、糞尿等の窒素含有率の高い有機性廃棄物を処理する場合、アンモニア性窒素濃度が高いと、メタン発酵阻害を招くことが知られている。湿式メタン発酵の場合は加水して希釈されるため比較的容易に窒素濃度を低下させることができるが、乾式メタン発酵の場合は、固形物濃度が高く、すなわち有機物濃度が高いため窒素濃度も高くなり、アンモニア性窒素によるメタン発酵阻害の危険性が大きい。このため、乾式メタン発酵の処理対象バイオマスの種類は湿式メタン発酵の場合に比較して限度がある。特許文献1はこのような問題を解決しようとするものである。
【0010】
特許文献2(特開2003−53309号公報)には、有機性固形廃棄物を光照射条件下で、メタン発酵性微生物とともに光合成細菌を若干含有した嫌気性消化汚泥を用いて嫌気性消化処理することが開示されている。特許文献2の発明もアンモニア濃度を低減しようとするものである。
【0011】
特許文献3(特開2004−188392号公報)には、有機性廃棄物を乾式メタン発酵により処理する場合の前処理として、有機性廃棄物に生石灰を投入してアルカリ反応工程を行うことが開示されている。この発明は有機性廃棄物の減容化、可溶化および脱アンモニアを促進しようとするものである。
【0012】
特許文献4(特開2002−52398号公報)には、メタン発酵汚泥に繊維を混合した後、炭化することが開示されている。この発明は発酵残渣を効率よく処理して再利用しようとするものである。
【0013】
また、メタン発酵とは全く別に、古くから石炭のガス化が行なわれ、実用もされたが、効率が悪く、石油や天然ガスに市場を奪われていた。しかし、石油危機をきっかけに、改めて石炭のガス化の研究開発が高効率化を目指して世界各地で行なわれている。これらのガス化は高温・高圧の条件下での化学反応によるガス化であり、プラントは複雑でかつ危険性を有し厳密な運転管理を要する。当然のことながらプラントは大規模なものとなり多額の建設コストを要する。
【0014】
低石炭化度炭(亜瀝青炭、褐炭、亜炭)や泥炭のような低品位の石炭は世界的に分布・埋蔵されているが、現状ではあまり有効に活用されていおらず、そのバイオガス化に関しても平成12年度のNEDO国際共同研究提案公募事業で研究が行なわれたが成果が得られていないという実情である。
【特許文献1】特開2002−320949号公報
【特許文献2】特開2003−53309号公報
【特許文献3】特開2004−188392号公報
【特許文献4】特開2002−52398号公報
【特許文献5】特開2003−19491号公報
【特許文献6】特開2002−102828号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
メタン発酵の処理対象となる有機性廃棄物は一般に含水率が高いので、エネルギー密度が非常に小さい。このためメタン発酵をエネルギー回収の観点から実施することは経済的に不利と言われている。ところで、エネルギー回収の観点から乾式メタン発酵と湿式メタン発酵とを比較した場合、乾式メタン発酵は発酵残渣の処理が不要となるため、すなわちエネルギーを大量に消費する廃水処理が不要なため、湿式に比べてより多くのエネルギーを系外(プラント外)に供給できる。
【0016】
しかし、従来の乾式メタン発酵処理においてはエネルギー回収については未だ充分に考慮されていない。
【0017】
本発明は、従来の乾式メタン発酵法よりも回収エネルギーを増大できるような乾式メタン発酵法を提供することを目的とするものである。このために、バイオガス発生量の増大化、発酵対象物の分解率向上による回収エネルギーの増大を計るものである。更に、本発明は分解率向上により処理対象廃棄物の減容化を計るものである。
【0018】
また、メタン発酵の発酵特性を判定する指標としてC/N比(生物分解性炭素量/生物分解性窒素量)があるが、メタン発酵の基質である生物分解性炭素の量が生物分解性窒素に対して適量よりも少な過ぎると、メタンの発生量が少なくなり、逆に炭素の量が適量よりも多過ぎてもメタン発酵が阻害される傾向がある。一般に乾式メタン発酵処理の対象物であるバイオマス(有機廃棄物など)は窒素を多く含んでいるが、本発明は発酵対象物における生物分解性炭素量を、窒素量に関係なく、調整することにより、アンモニア性窒素によるメタン発酵阻害の回避とC/N比の適性化を目的とするものである。
【0019】
本発明者は、バイオマス(有機性廃棄物など)の有機質組成は炭水化物、脂肪、蛋白質で構成されており、それらの保有エネルギーは炭水化物で16kJ/g、脂肪で37kJ/g、蛋白質で17kJ/gであり、脂肪の保有エネルギーは炭水化物および蛋白質の2倍以上であること、また、バイオガス発生量は炭水化物で790ml/g、脂肪で1,250ml/g、蛋白質で704ml/gであり、脂肪は炭水化物および蛋白質の1.5倍以上であることに着目した。
【0020】
油脂は疎水性物質であり、液中では浮上性の油脂固まりを形成する傾向が強く、微生物では分解し難い。このため、従来から油脂はメタン発酵処理が困難であるとみなされてきたが、特許文献5(特開2003−19491号公報)には生ごみ等の有機性廃棄物スラリーを油脂の分散剤として用いて、油脂と混合し、油脂の分散性をよくすることにより、槽内TS濃度3〜7%のメタン発酵槽内で油脂を嫌気性微生物により分解することが提案されている。また、特許文献6(特開2002−102828号公報)には、調質槽において生ごみ等の固形有機性廃棄物と油脂含有廃棄物とを混合し加温して、油脂を可溶化した後に、この液状混合物をメタン発酵槽内においてTS濃度3〜6%程度となるようにしてメタン発酵処理することが提案されている。
【0021】
しかしながら、これらの特許文献5または6に開示されている方法は、油脂を含有する有機性廃棄物を処理することを目的としたもので、油脂を積極的に活用しているものではなく、その処理の仕方は従来の湿式メタン発酵法である。
【0022】
また、本発明は低石炭化度炭(亜瀝青炭、褐炭、亜炭)や泥炭のような低品位の石炭を有効利用し、これらからもバイオガスを得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、乾式メタン発酵法において油脂を積極的に活用することにより本発明の目的が達成されることを見出し、本発明をなしたものである。
【0024】
すなわち、本発明は、発酵対象物を乾式メタン発酵処理する方法において、発酵対象物が油脂を含有しており、前記油脂の前記発酵対象物の全量に対する割合が3〜15質量%であり、メタン発酵槽からの既発酵物を種汚泥として前記発酵対象物と混合し、該混合物を前記メタン発酵槽に導入し、該メタン発酵槽における全固形物濃度が25%以上であるをことを特徴とする乾式メタン発酵法である。
【0025】
この場合、発酵対象物が油脂および低含水物質を含有しており、全ての発酵対象物と種汚泥とを一度に混合してもよいし、好ましくは油脂を低含水物質と混合して含浸させた後に、油脂含浸低含水物質、他の発酵対象物および種汚泥とを混合するという2段階で行ってもよい。
【0026】
本発明においては、低含水物質としては、含水率が15%以下、好ましくは10%以下の植物性バイオマスや動物性バイオマス、或は低石炭化度炭(例えば、亜瀝青炭)がある。また、廃白土のように既に油脂を含有している低含水物質も利用できる。
【0027】
また、本発明においては発酵対象物が油脂および泥炭を含有していてもよい。泥炭や低石炭化度炭を利用した場合、乾式メタン発酵槽からの発酵残渣を乾燥して、燃料やセメント焼成材とすることにより、より一層効率的にエネルギー回収を計ることができる。
【0028】
また、本発明は、発酵対象物を湿式メタン発酵法と乾式メタン発酵法とを併用して処理する方法であり、主とする発酵対象物を湿式メタン発酵法により処理し、湿式メタン発酵槽からの発酵残渣を脱水して脱水ケーキとし、乾式メタン発酵処理用の発酵対象物が前記脱水ケーキを主としており、更に油脂および低含水物質を含有しており、前記油脂の前記乾式メタン発酵処理用発酵対象物の全量に対する割合が3〜15質量%であり、乾式メタン発酵槽からの既発酵物を種汚泥として前記乾式メタン発酵処理用発酵対象物と混合し、該混合物を前記乾式メタン発酵槽に導入し、該乾式メタン発酵槽における全固形物濃度が25%以上であるをことを特徴とする湿式乾式併用メタン発酵法により、前記目的を達成した。
【0029】
この場合、好ましくは、湿式メタン発酵槽からの発酵残渣の脱離液と乾式メタン発酵槽からの発酵残渣とを混合して液肥とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、乾式メタン発酵法において油脂の特徴を積極的に生かすこと(すなわち、発酵対象物である廃棄物の中にたまたま入っているというものではなく、発酵対象物の全量に対して油脂を3〜15質量%の割合で混入すること)により、バイオガスの発生量を増加させることができ(油脂の保有エネルギー量は脂肪分と同等である)、また、発酵対象物の分解率を向上させることができる。その結果、回収エネルギーの増大を計ることができる。
【0031】
油脂は疎水性であり、液中では浮上性の油脂固まりを形成して微生物に分解され難いが、本発明は湿式メタン発酵ではなく、メタン発酵槽における全固形物濃度を25%以上とした乾式メタン発酵をベースにしており、発酵対象物をよく混合すれば、油脂が固まったりせず、発酵対象物を効率よく処理できるとともに廃水処理も不要となる。この場合、油脂は含水率がゼロであるので、水分を増加させることなく、発酵対象物に添加することができる。
【0032】
更に、本発明によれば、乾式メタン発酵法における分解率を向上できるので、乾式メタン発酵槽からの廃棄物を減容化することができる。
【0033】
本発明では油脂を積極的に活用するが、油脂は窒素濃度がゼロであるので、乾式メタン発酵法におけるトータル有機炭素とトータル窒素との割合の調整が行い易く、従って、それらを適切な割合とすることによりアンモニア性窒素によるメタン発酵阻害を回避して、円滑にメタン発酵を行うことができ、安定した運転ができる乾式メタン発酵システムを提供できる。本発明を活用することにより、乾式メタン発酵の普及が計られ、結果として温暖化ガス削減(CO問題)に貢献できる。
【0034】
本発明によれば、発酵対象物が油脂および低含水物質を含有しており、全ての発酵対象物と種汚泥とを一度に混合してもよい。しかし、油脂を低含水物質と混合して含浸させた後に、油脂含浸低含水物質、他の発酵対象物および種汚泥とを混合するという2段階で行うと、油脂は低含水物質に含浸された状態で他の発酵対象物や種汚泥を混合され、従って、メタン発酵槽内において油脂が全体的に均一に分散した状態となるので、高い生分解性が得られ、好ましい。
【0035】
バイオマスとしての油脂(菜種や大豆等の植物油、廃棄された料理用油等)の活用としては、従来はバイオディーゼル油が一般的であったが、本発明の油脂の活用の仕方はバイオディーゼル油の生産・利用の仕方に比べると、簡単で容易であり、バイオマスエネルギー利用拡大に貢献できる。
【0036】
また、本発明によれば、低石炭化度炭(亜瀝青炭、褐炭、亜炭)や泥炭と言う低品位の石炭が有効活用でき、バイオガス(メタンガス)を得ることができる。この場合、従来の石炭のガス化のように大規模なプラントは不要であり、本発明によるプラントはシンプルで危険性はほとんど無く、運転管理も容易であり、プラントの建設費は安価なものとなる。
【0037】
油脂と低含水物質とを混合したものを発酵補助材料として予め準備しておくことが好ましい。例えば、亜瀝青炭(低石炭化度炭の一種)と油脂との混合物を発酵補助材料として分配できるように用意しておくことが好ましい。このようにすると、多数のメタンガスプラントにそれぞれが必要とする分量の発酵補助材料を簡単に供給することできる。従って、小規模なメタンガスプラントを、メタン発酵処理の対象となるバイオマスが発生する各地に分散配置することができ、しかも各メタンガスプラントでは発生したバイオマスと発酵補助材料とを種汚泥と共に発酵槽に投入するだけでよいので、手間が掛からず、効率よくプラントを操業することができる。また、メタンガスプラントが各地に分散配置されているのでエネルギーセキュリティの観点からも効果が有る。
【0038】
生ごみや下水処理場の脱水汚泥等の有機性廃棄物と低品位の石炭とを協働して発酵させることにより、廃棄物の処理と低品位の石炭の活用を同時に行うことができる。
【0039】
含水率が15%以下の低含水率の低品位の石炭は粉砕が容易で、かつ粉砕に要するエネルギーも他のバイオマスに比較して小さい。また、低品位の石炭は比重が大きいので乾式メタン発酵槽の容量を小さくすることができる。
【0040】
また、本発明において低品位の石炭を利用した場合、発酵残渣を乾燥すると、発熱量が大きい燃料やセメント焼成材を得ることができる。これは石炭の未発酵分に固定炭素が多く含まれているためと思慮される。
【0041】
更に、本発明において低品位の石炭を利用した場合、硫化水素(HS)濃度が非常に低いバイオガスを得られる。
【0042】
本発明によれば、湿式メタン発酵法と乾式メタン発酵法とを併用することにより、発酵対象バイオマスを非常に効率的に処理することができ、湿式メタン発酵槽からの発酵残渣を乾式メタン発酵において利用するため、湿式メタン発酵法のみの場合に必要である廃水処理プラントおよび脱水ケーキの堆肥化プラントが不要であり、従って、設備をコンパクトなものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
本発明は、発酵対象物を乾式メタン発酵処理する方法である。本発明における発酵対象物はメタン菌により発酵できるバイオマスであれば特に限定されない。発酵対象物のうち主となる処理対象バイオマスとしては、例えば、下水処理場で発生する汚泥の脱水ケーキ、食品工場等の排水処理プラントで発生する活性汚泥の脱水ケーキ、湿式メタン発酵プラントの発酵残渣の脱水ケーキ等がある。一般に、これらの脱水ケーキは窒素濃度が高い難分解性の有機性廃棄物であるが、本発明の方法により効率よく分解可能である。
【0044】
本発明における発酵対象物は油脂を含有しており、油脂の発酵対象物の全量に対する割合が3〜15質量%である。油脂の割合が多過ぎても少な過ぎても、メタン発酵槽における発酵が上手くいかない。本発明で使用する油脂としては、例えば、菜種や大豆などの油脂植物から得られる植物性油脂、魚油等の動物性油脂、使用済みテンプラ油等の廃食用油、レストラン街等の廃水に設けられるグリーストラップの油脂スカム、レストラン厨房の排気フードに発生する飛散油脂のドレン、食用油精製工程で生成する副産物の油滓、鉱物油を改質して食用油脂と同等の性状にしたもの等がある。
【0045】
本発明においては、メタン発酵槽からの既発酵物を種汚泥として返送して、全部の発酵対象物と混合して、メタン発酵槽に導入する。なお、メタン発酵槽における全固形物濃度が25%以上となるように予め各発酵対象物および種汚泥の割合を決める。この場合、発酵対象物として低含水物質を含めると全固形物濃度を調整し易い。また、必要ならば加水してもよい。全発酵対象物と種汚泥との割合は1:3〜8程度が好ましい。
【0046】
低含水物質としては、メタン発酵が可能な有機成分を含んでおり、含水率が15%以下、好ましくは10%以下の植物性バイオマスや動物性バイオマス、或は低石炭化度炭(例えば、亜瀝青炭)がある。また、廃白土のように既に油脂を含有している低含水物質も利用できる。
【0047】
具体的には、例えば、もみがら、乾燥した芝の刈りカス、オフィス等から排出されるシュレッダ紙、米ぬかや麦ふすま等穀物精製工程での副産物、トウモロコシの穂軸、包葉を乾燥したもの、煎定枝チップを乾燥したもの、稲ワラ、麦ワラ等を乾燥したもの、バガスを乾燥したもの、乾式メタン発酵の発酵残渣を乾燥したもの、ススキ、ヨシ等草本類を乾燥したもの等である。これらの低含水物質は必要に応じて、発酵可能となる適性サイズに粉砕して、或は既に粉砕状態にあるものでも発酵可能となる適性サイズになるように更に細かく粉砕して使用すればよい。例えば、もみがら、トウモロコシの穂軸、包葉を乾燥したもの、稲ワラ、麦ワラ等を乾燥したもの等は粉砕して使用することが好ましい。
【0048】
含水率の低い低石炭化度炭として、例えば亜瀝青炭、褐炭、亜炭がある。これを微粉炭化して使用する。また、本発明では、含水率は高いが、泥炭も使用できる。低石炭化度炭や泥炭は、無煙炭のように根源植物がほぼ完全に石炭化しているものではなく、有機分を含んでいるので、本発明においては低石炭化度炭や泥炭の有機分であるバイオマスをメタン発酵させてバイオガスを発生させる。そして、残渣を乾燥して燃料やセメント焼成材として活用することが好ましい。
【0049】
低含水物質は1種類だけでもよいが、複数種類を混合して使用してもよい。また、主となる処理対象バイオマスと油脂と低含水物質と種汚泥とを全て一緒に混合してもよいし、油脂を低含水物質に含浸させてから、この油脂含浸低含水物質と主となる処理対象バイオマスと種汚泥とを混合してもよい。
【0050】
油脂がすでに含浸されている低含水率の物質を使用してもよい。例えば、食用油の精製工程の中で脱色用に使用される活性白土の廃棄物(廃白土)、油脂植物(落花生等)を乾燥し粉砕したもの等が挙げられる。
【0051】
また、油脂を含浸させるため、または、水分調整をするために、含水率が15%以下の物質を本発明の発酵対象物として使用してもよい。このような物質としては、例えば、おがくず、有機性廃棄物の炭化物(木炭等)、間伐材、流木等の木本類を乾燥したもの、建築廃材の木質部を粉砕したもの等がある。
【0052】
以下、図面に示した実施例に基づいて詳細に説明する。
【0053】
図1は本発明の方法の一実施例を示す工程図である。この実施例において発酵対象物10のうちの主たる処理対象バイオマス11は活性汚泥ケーキである。発酵対象物10のうちの油脂12として廃テンプラ油を用いた。発酵対象物10のうちの低含水物質13としてシュレッダー紙を用いた。まず、油脂12と低含水物質13とを含浸・混合装置1において混合し、低含水物質(シュレッダー紙)13に油脂(廃テンプラ油)12を含浸させる。次に、油脂を含浸した低含水物質と、活性汚泥ケーキ11と、メタン発酵槽からの既発酵物である種汚泥とを混合装置2において混合する。この混合物を乾式メタン発酵槽3に導入し、メタン菌による嫌気性消化によりバイオガス(主成分はメタンCH)を発生させる。なお、メタン発酵槽3における全固形物濃度が25%以上となるように、各発酵対象物10(11、12、13)の割合および種汚泥との割合は選定しておく。
【0054】
乾式メタン発酵槽3で発生したバイオガスは、バイオガス貯蔵・供給システム4において、ガスホルダーに貯蔵され、ブロア等にて増圧され、脱硫装置にてHS(硫化水素)を除去してコ・ジェネレーションシステム5に供給される。そして、コ・ジェネレーションシステム5において、バイオガスを燃料として、ガスエンジンや燃料電池にて電力を発生させ、同時に発生する排熱をメタン発酵槽3の加温用および乾燥装置6の加熱用の熱エネルギーとして供給する。
【0055】
一方、乾式メタン発酵槽3からの既発酵物は大部分が種汚泥として混合装置2に返送され、種汚泥として返送されなかった分(残渣)は乾燥装置6により乾燥され、焼却処分または埋立処分される。なお、低含水物質13としてもみがら等を使用した場合は、乾燥装置6により適切な含水率にまで乾燥され、堆肥として使用してもよい。
【0056】
図2は本発明の方法の別の実施例を示す工程図である。この実施例において発酵対象物10のうちの主たる処理対象バイオマス11として生ごみを用いた。発酵対象物10のうちの油脂12として食用油を用いた。発酵対象物10のうちの低含水物質13として低石炭化度炭(亜瀝青炭)を用いた。まず、亜瀝青炭を粉砕装置7により発酵可能となる適性サイズに微粉末化する。次に、生ごみ11と食用油12と微粉炭化した微粉亜瀝青炭13とを含浸・混合装置1において混合する。これらの混合物(11、12、13)と、メタン発酵槽からの既発酵物である種汚泥とを混合装置2において混合する。この混合物を乾式メタン発酵槽3に導入し、メタン菌による嫌気性消化によりバイオガス(主成分はメタンCH)を発生させる。
【0057】
乾式メタン発酵槽3で発生したバイオガスは、バイオガス貯蔵・供給システム4において、ガスホルダーに貯蔵され、ブロア等にて増圧され、コ・ジェネレーションシステム5に供給される。なお、本発明の方法により得られたバイオガスは硫化水素の濃度が低いが、脱硫装置にてHS(硫化水素)を除去した後にコ・ジェネレーションシステム5に供給することが好ましい。そして、コ・ジェネレーションシステム5において、バイオガスを燃料として、ガスエンジンや燃料電池にて電力を発生させ、同時に発生する排熱をメタン発酵槽3の加温用および乾燥装置6の加熱用の熱エネルギーとして供給する。
【0058】
一方、乾式メタン発酵槽3からの既発酵物は主に種汚泥として混合装置2に返送され、残渣は乾燥装置6により、適切な含水率になるまで乾燥して、燃料またはセメント焼成材として活用する。
【0059】
また、図2に示した実施例では亜瀝青炭を使用したが、これに代えて乾燥した泥炭を使用してもよい。
【0060】
図3は本発明の方法の更に別の実施例を示す工程図である。この実施例が図1に示した方法と異なっている点は、図1の実施例では発酵対象物として油脂12と低含水物質13とを使用したが、図3の実施例においては低含水物質13として既に油脂を含んでいる廃白土を使用している点である。従って、含浸・混合装置は不要であり、混合装置2に直接に、主たる処理対象バイオマス(活性汚泥ケーキ)11と、廃白土13と種汚泥とを供給し混合している。また、種汚泥として混合装置2に返送されなかった、乾式メタン発酵槽3からの発酵残査は、乾燥装置6により適切な含水率にまで乾燥され、堆肥として使用する。その他の点は図1に示した実施例と同様である。
【0061】
図4は本発明の湿式乾式併用メタン発酵法の一実施例を示す工程図である。この実施例における乾式メタン発酵法に関しては図1に関して説明した方法と同様であり、低含水物質13としてもみがらが使用され、粉砕装置8により粉砕されてから含浸・混合装置1に供給され、油脂12と混合されて、油脂を含浸する点、および乾式メタン発酵槽3からの発酵残渣が堆肥として使用する点が図1の実施例と異なっているだけである。
【0062】
一方、湿式メタン発酵法に関しては基本的には従来の方法と類似であり、発酵対象物としては従来から湿式メタン発酵により処理されているバイオマスであれば特に限定されない。図示した実施例では処理対象バイオマス20として畜産糞尿を用いた。まず、異物分別・破砕装置21において畜産糞尿に混入している石ころ等異物を除去し、処理適性サイズに破砕する。次に、湿式メタン発酵の適性含水率にするため、水を注入し薄める(加水22)。この加水した畜産糞尿20を湿式メタン発酵槽23に導入し、メタン菌の嫌気性消化によりバイオガス(主成分はメタンCH)を発生させる。湿式メタン発酵槽23からの発酵残査は、脱水装置24により固液分離される。脱水装置24からの脱離液は廃水処理システム25により放流適性水質まで浄化され、一部は加水22用の水として使用され、残りは放流される。他方、脱水装置24からの固形分すなわち脱水ケーキは乾式メタン発酵の主たる処理対象バイオマスとして利用され、乾式メタン発酵の混合装置2へ供給される。
【0063】
湿式メタン発酵槽23で発生したバイオガスは、バイオガス貯蔵・供給システム4に送られる。バイオガス貯蔵・供給システムは、湿式および乾式両メタン発酵槽23、3で発生したバイオガスをガスホルダーに貯蔵し、ブロア等にて増圧し、脱硫装置にてHS(硫化水素)を除去して、コ・ジェネレーションシステム5に供給する。そして、コ・ジェネレーションシステム5において、バイオガスを燃料として、ガスエンジンや燃料電池にて電力を発生させ、同時に発生する排熱を湿式および乾式両発酵槽23、3の加温用および乾燥装置6の加熱用の熱エネルギーとして供給する。
【0064】
図5は本発明の湿式乾式併用メタン発酵法の別の実施例を示す工程図である。この実施例は図4に示した実施例と基本的には同じであるが、湿式メタン発酵槽23からの発酵残渣が脱水装置24により固液分離された後、その脱離液が乾式メタン発酵槽3からの発酵残渣とともに混合装置9に供給・混合されて液肥とされる点が異なっている。
【実施例1】
【0065】
発酵対象物として、活性汚泥ケーキ100g(含水率85%)、廃テンプラ油15g(含水率0%)、粉砕したもみがら15g(含水率10%)、芝刈りカス15g(含水率10%)、シュレッダー紙15g(含水率5%)を用いた。各発酵対象物のVS(揮発性固形分:固形分中で強熱(600℃)によって無くなる量で、固形分中の有機成分の指標である)を予め測定したところ、活性汚泥ケーキ100gでは12.8g、廃テンプラ油15gでは15.0g、もみがら15gでは10.1g、芝刈りカス15gでは12.2g、シュレッダー紙15gでは13.5gであり、全発酵対象物160g中のVSは63.6gであった。
【0066】
粉砕したもみがら、芝刈りカスおよびシュレッダー紙を廃テンプラ油とよく混合して、廃テンプラ油をこれら低含水物質に含浸させた。この油脂含浸低含水物質と活性汚泥ケーキと種汚泥749g(含水率70%)をミキサーにてよく混合してから2Lのガラス瓶に詰めた。ガラス瓶への合計投入量は909gで、その全体の含水率は67.5%であった。これをインキュベータ(57℃に設定)に14日間設置した。
【0067】
ガラス瓶の重量を毎日または2日毎に電子天秤にて計測した。初期重量と終了(14日後)重量の差に0.9を乗じた値をVS分解量とした(すなわち、発生バイオガス中には水分も含まれているので、水分を0.1と想定し、測定減量値に0.9を乗じた値を実際のVS分解量とした)。この結果、終了時には最初の重量よりも56.2g減量していた。従って、メタン菌による分解率は(0.9×減量値/VS)であり、この実施例では0.795であり、7割以上で約8割近くも有機分が高効率で分解されたことが確認できた。
【0068】
また、適宜ガスバッグで発生するガスを補集してガスクロマトグラフィーでガス分析を行った。メタンガス濃度も良好であった。
【実施例2】
【0069】
発酵対象物は実施例1と同じものを同じ分量で用いた。種汚泥も実施例1と同じ分量とした。
【0070】
実施例2では実施例1と異なって油脂を低含水物質(粉砕したもみがら、芝刈りカス、シュレッダー紙)に含浸させずに、活性汚泥ケーキ、廃テンプラ油、粉砕したもみがら、芝刈りカス、シュレッダー紙および種汚泥に油脂を直接混合した。そして、この混合物を実施例1と同じく2Lのガラス瓶に詰め、これをインキュベータ(57℃に設定)に14日間設置した。
【0071】
初期重量と終了(14日後)重量の差は55.5gであり、初期の全発酵対象物160g中のVSは実施例1と同じく63.6gであるので、分解率は0.785である。実施例2のように油脂を直接に発酵対象物に混合しても、高効率で発酵対象物中の有機分が分解されたことが確認できた。
〔比較例〕
実施例1および実施例2と比較するために発酵対象物しとて油脂を使用しないものを調べた。実施例1、2における油脂15gの代わりに、各低含水物質の分量を5gづつ増加した。すなわち、発酵対象物として、活性汚泥ケーキ100g(含水率85%)、粉砕したもみがら20g(含水率10%)、芝刈りカス20g(含水率10%)、シュレッダー紙20g(含水率5%)を用いた。各発酵対象物のVSを予め測定したところ、活性汚泥ケーキ100gでは12.8g、もみがら20gでは13.5g、芝刈りカス20gでは16.2g、シュレッダー紙20gでは18.1gであり、全発酵対象物160g中のVSは60.6gであった。
【0072】
これら発酵対象物(活性汚泥ケーキ、粉砕したもみがら、芝刈りカス、シュレッダー紙)と種汚泥749g(含水率70%)をミキサーにてよく混合してから2Lのガラス瓶に詰めた。ガラス瓶への合計投入量は909gで、その全体の含水率は67.5%であった。実施例1と同じく、これをインキュベータ(57℃に設定)に14日間設置した。
【0073】
初期重量と終了(14日後)重量の差は40.4gであり、初期の全発酵対象物160g中のVSは60.6gであったので、分解率は0.6である。
【0074】
従って、油脂を使用しなかったこの比較例では発酵対象物の分解が実施例1や実施例2に比較して低いことが確認できた。
【実施例3】
【0075】
発酵対象物として、生ごみ100g(含水率80%)、食用油15g(含水率0%)、亜瀝青炭50g(含水率5%)を用いた。各発酵対象物のVS(揮発性固形分:固形分中で強熱(600℃)によって無くなる量で、固形分中の有機成分の指標である)を予め測定したところ、生ごみ100gでは18.0g、食用油15gでは15.0g、亜瀝青炭50gでは23.8gであり、全発酵対象物165g中のVSは56.8gであった。
【0076】
これらの生ごみ、食用油および微粉炭化した亜瀝青炭をよく混合した後、これらと種汚泥852g(含水率67%)とをミキサーにてよく混合してから2Lのガラス瓶に詰めた。ガラス瓶への合計投入量は1017gで、その全体の含水率は64.2%であった。これをインキュベータ(57℃に設定)に14日間設置した。
【0077】
ガラス瓶の重量を毎日または2日毎に電子天秤にて計測した。初期重量と終了(14日後)重量の差に0.9を乗じた値をVS分解量とした。この結果、終了時には最初の重量よりも36.0g減量していた。従って、メタン菌による分解率は(0.9×減量値/VS)であり、この実施例では0.570であり、約6割近くも有機分が高効率で分解されたことが確認できた。
【0078】
また、適宜ガスバッグで発生するガスを補集してガスクロマトグラフィーでガス分析を行った。メタンガス濃度も良好であった。また、硫化水素濃度は非常に低いものであった。
【実施例4】
【0079】
実施例3では亜瀝青炭自体がメタン発酵している可能性があるので、比較するために亜瀝青炭の代わりに木炭50g(含水率10%)を使用して調べた。その他の発酵対象物(生ごみおよび食用油)は実施例3と同じものを同じ分量で用いた。種汚泥も実施例3と同じ分量とした。
【0080】
各発酵対象物のVSは生ごみ100gでは18.0g、食用油15gでは15.0g、木炭50gでは0gであり、全発酵対象物165g中のVSは33.0gであった。
【0081】
これら発酵対象物(生ごみ、食用油、木炭)と種汚泥852g(含水率67%)とをミキサーにてよく混合してから2Lのガラス瓶に詰めた。ガラス瓶への合計投入量は1017gで、その全体の含水率は64.5%であった。実施例3と同じく、これをインキュベータ(57℃に設定)に14日間設置した。
初期重量と終了(14日後)重量の差は25.8gであった。
【0082】
亜瀝青炭を使用した実施例3では、14日間で36.0g減量していたが、木炭を使用した実施例4では25.8gしか減量していない。実施例3と実施例4においては、生ごみ、食用油および種汚泥については同じものを同じ分量使用したので、両者における減量の差は亜瀝青炭がメタン発酵可能な有機成分を含んでいたことを示している。
【0083】
また、実施例4では初期の全発酵対象物165g中のVSは33.0gであったので、メタン菌による分解率は(0.9×減量値/VS)であり、この実施例4では0.703であり、約7割近くも有機分が高効率で分解されたことが確認できた。木炭はメタン発酵可能な有機成分を殆ど含んでいないので、他の発酵対象物(生ごみ、食用油)が油脂を使用したことにより効率よく分解されていることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の方法の一実施例を示す工程図である。
【図2】本発明の方法の別の実施例を示す工程図である。
【図3】本発明の方法の更に別の実施例を示す工程図である。
【図4】本発明の湿式乾式併用メタン発酵法の一実施例を示す工程図である。
【図5】本発明の湿式乾式併用メタン発酵法の別の実施例を示す工程図である。
【符号の説明】
【0085】
1 含浸・混合装置
2 混合装置
3 乾式メタン発酵槽
4 バイオガス貯蔵・供給システム
5 コ・ジェネレーションシステム
6 乾燥装置
7 微粉炭化装置
11 主たる処理対象バイオマス
12 油脂
13 低含水物質
20 湿式メタン発酵法における処理対象バイオマス
23 湿式メタン発酵槽
24 脱水装置
25 廃水処理システム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
発酵対象物を乾式メタン発酵処理する方法において、発酵対象物が油脂を含有しており、前記油脂の前記発酵対象物の全量に対する割合が3〜15質量%であり、メタン発酵槽からの既発酵物を種汚泥として前記発酵対象物と混合し、該混合物を前記メタン発酵槽に導入し、該メタン発酵槽における全固形物濃度が25%以上であることを特徴とする乾式メタン発酵法。
【請求項2】
発酵対象物を乾式メタン発酵処理する方法において、発酵対象物が油脂および低含水物質を含有しており、前記油脂の前記発酵対象物の全量に対する割合が3〜15質量%であり、全発酵対象物とメタン発酵槽からの既発酵物とを混合し、該混合物を前記メタン発酵槽に導入し、該メタン発酵槽における全固形物濃度が25%以上であることを特徴とする乾式メタン発酵法。
【請求項3】
発酵対象物を乾式メタン発酵処理する方法において、発酵対象物が油脂および低含水物質を含有しており、前記油脂の前記発酵対象物の全量に対する割合が3〜15質量%であり、前記油脂を前記低含水物質に含浸させた後に、該油脂含浸低含水物質、他の発酵対象物およびメタン発酵槽からの既発酵物とを混合して、該混合物を前記メタン発酵槽に導入し、該メタン発酵槽における全固形物濃度が25%以上であることを特徴とする乾式メタン発酵法。
【請求項4】
発酵対象物を乾式メタン発酵処理する方法において、発酵対象物が油脂および低石炭化度炭を含有しており、前記油脂の前記発酵対象物の全量に対する割合が3〜15質量%であり、前記発酵対象物およびメタン発酵槽からの既発酵物とを混合して、該混合物をメタン発酵槽に導入し、該メタン発酵槽における全固形物濃度が25%以上であることを特徴とする乾式メタン発酵法。
【請求項5】
発酵対象物を乾式メタン発酵処理する方法において、発酵対象物が油脂および泥炭を含有しており、前記油脂の前記発酵対象物の全量に対する割合が3〜15質量%であり、前記発酵対象物およびメタン発酵槽からの既発酵物とを混合して、該混合物をメタン発酵槽に導入し、該メタン発酵槽における全固形物濃度が25%以上であることを特徴とする乾式メタン発酵法。
【請求項6】
乾式メタン発酵槽からの発酵残渣を乾燥して、燃料とすることを特徴とする請求項4または請求項5記載の乾式メタン発酵法。
【請求項7】
乾式メタン発酵槽からの発酵残渣を乾燥して、セメント焼成材とすることを特徴とする請求項4または請求項5記載の乾式メタン発酵法。
【請求項8】
発酵対象物を湿式メタン発酵法と乾式メタン発酵法とを併用して処理する方法であり、主とする発酵対象物を湿式メタン発酵法により処理し、湿式メタン発酵槽からの発酵残渣を脱水して脱水ケーキとし、乾式メタン発酵処理用の発酵対象物が前記脱水ケーキを主としており、更に油脂および低含水物質を含有しており、前記油脂の前記乾式メタン発酵処理用発酵対象物の全量に対する割合が3〜15質量%であり、乾式メタン発酵槽からの既発酵物を種汚泥として前記乾式メタン発酵処理用発酵対象物と混合し、該混合物を前記乾式メタン発酵槽に導入し、該乾式メタン発酵槽における全固形物濃度が25%以上であることを特徴とする湿式乾式併用メタン発酵法。
【請求項9】
湿式メタン発酵槽からの発酵残渣の脱離液と乾式メタン発酵槽からの発酵残渣とを混合して液肥とすることを特徴とする請求項8記載の湿式乾式併用メタン発酵法。
【請求項10】
油脂と低含水物質とを混合したものからなることを特徴とする乾式メタン発酵処理用発酵補助材料。
【請求項11】
前記低含水物質が亜瀝青炭であることを特徴とする請求項10記載の乾式メタン発酵処理用発酵補助材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−38057(P2007−38057A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−222507(P2005−222507)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(505290623)
【Fターム(参考)】