説明

乾式銀塩感光体及びこの乾式銀塩感光体を用いた画像形成方法

【目的】 生保存性に優れ、かつ現像温度に広いラチチュードを有する乾式銀塩感光体を提供する。
【構成】 支持体上の感光層に、少なくとも有機銀塩と、還元剤と、感光性ハロゲン化銀又は感光性ハロゲン化銀形成成分とを含有する乾式銀塩感光体において、前記感光層に下記の化合物(i)、(ii)及び(iii)のうちから選ばれたものを含有する。
(i)〔T+ - 〕Z2(上記式中、T+ は有機色素カチオン残基、X- はカウンターアニオン、Zはハロゲン原子を表わす。)
(ii)オキサジンジオン誘導体の窒素置換ハロゲン化合物(iii)芳香族酸イミド誘導体の窒素置換ハロゲン化合物

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、乾式銀塩感光体及びこの乾式銀塩感光体を用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から知られている感光性ハロゲン化銀を用いた銀塩写真法は、感光性及び諧調性に優れ、最も広く実用化されてきた記録技術である。しかしながら、この方法においては現像、定着、および水洗いなど処理工程に湿式処理法を用いるために、処理に時間と手間がかかり、また処理薬品による人体への影響が懸念されるなど作業性、安全性において多くの問題点がある。
【0003】これに対して、湿式処理をなくした乾式処理写真法が多くの研究がなされており、特公昭43−4921号公報、及び特公昭43−4924号公報などに開示されている。これらは感光性ハロゲン化銀を触媒程度の量用いて、画像形成材として非感光性の有機銀塩を用いることを内容とするものである。有機銀塩が画像形成材として働くのは以下の機構によるとされている。即ち、(1)像露光により感光性ハロゲン化銀から銀核が生成し、これが潜像を形成する。(2)銀核が触媒となり、加熱されることにより有機銀塩と還元剤とが酸化還元反応を起こし、有機銀塩が銀に還元され、これが像となるものである。
【0004】このような乾式銀塩感光体の利用方法の1例として、特開昭55−50246号公報に開示されているマスクとしての使用方法がある。この方法は銀像をマスクとして用いるものである。銀像のマスクを利用する場合よりも更にコントラストの良い重合画像が得られる感光体として、本出願人の提案した特開平3−135564号公報には、還元剤が酸化されてできた光吸収性有機化合物の光吸収性を利用してコントラストの良い画像を形成する感光体が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】乾式銀塩感光体は、湿式処理が不要である点で湿式銀塩感光体よりも優れたものであるため、感光感度及び生保存性(生保存性とは感光体の写真特性が製造直後の状態のまま保存される性質をいう)が湿式銀塩感光体並みあるいはそれ以上に改善されることが従来から望まれていた。
【0006】また、乾式銀塩感光体は現像を加熱により行うため、現像温度に広いラチチュードのあることが望まれていた。
【0007】本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、生保存性に優れ、かつ現像温度に広いラチチュードを有する乾式銀塩感光体、及びこの乾式銀塩感光体を用いた画像形成方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の乾式銀塩感光体は、支持体上の感光層に、少なくとも有機銀塩と、還元剤と、感光性ハロゲン化銀又は感光性ハロゲン化銀形成成分とを含有するもので、前記感光層に下記の化合物(i),(ii)及び(iii)のうちから選ばれたものを含有するものである。
(i)〔T+ - 〕Z2(上記式中、T+ は有機色素カチオン残基、X- はカウンターアニオン、Zはハロゲン原子を表わす。)
(ii)オキサジンジオン誘導体の窒素置換ハロゲン化合物(iii)芳香族酸イミド誘導体の窒素置換ハロゲン化合物また、本発明の画像形成方法は、上記の乾式銀塩感光体に、像露光及び加熱を行なって画像を形成するものである。
【0009】本発明の乾式銀塩感光体は、支持体上の感光層に、有機銀塩と、還元剤と、感光性ハロゲン化銀又は感光性ハロゲン化銀形成成分とを少なくとも含有する。感光層には、更に下記の化合物(i),(ii)及び(iii)のうちから選ばれたものを含有する。
(i)〔T+ - 〕Z2(上記式中、T+ は有機色素カチオン残基、X- はカウンターアニオン、Zはハロゲン原子を表わす。)
(ii)オキサジンジオン誘導体の窒素置換ハロゲン化合物(iii)芳香族酸イミド誘導体の窒素置換ハロゲン化合物上記化合物(i)の有機色素カチオン残基T+ としては、例えばシアニン色素残基、スチリル色素残基、アミノビニール色素残基、アニリン系色素残基、キサンテン系色素残基、フェノオキサジウム色素残基等を挙げることができる。これらの代表的な構造を、下記構造式(1)〜(16)に示すが、これらは本発明を限定するものではない。
【0010】
【化3】


【0011】
【化4】


【0012】
【化5】


【0013】
【化6】


【0014】
【化7】


【0015】
【化8】


【0016】
【化9】


【0017】
【化10】


【0018】
【化11】


【0019】
【化12】


【0020】
【化13】


【0021】
【化14】


【0022】
【化15】


【0023】
【化16】


【0024】
【化17】


【0025】
【化18】


構造式(1)〜(16)中、a1 ,a2 ,a3 ,a4 は、同一であっても異なっていてもよく、各々、水素原子、アリール基、アルキル基又はアラルキル基を表わし、a1 とa2 、a3 とa4 は互いに結合して置換もしくは無置換の芳香族環を形成していてもよい。
【0026】上記式中、b1 ,b2 ,b3 ,b4 ,b5 ,b6 ,b7 は、同一であっても異なっていてもよく、各々、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、置換もしくは無置換のスチリル基または複素環基を表し、任意に結合して環化合物を形成していてもよい。
【0027】上記式中、a5 ,a6 ,a7 ,a8 ,a9 ,a10,a11,a12は、同一であっても異なっていてもよく、各々、水素原子又はアルキル基を表す。
【0028】上記式中、D1 ,D2 は、各々、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、C(CH3)2 又はN−E3 を表し、E3 は、水素原子、アルキル基、アルコキシアルキル基、アシル基又はアラルキル基を表す。
【0029】上記式中、E1 ,E2 はアルキル基、アルコキシアルキル基、アラルキル基、カルボキシアルキル基、スルホキシアルキル基又はアルケニル基を表す。
【0030】r4 ,r5 ,r6 ,r7 ,r8 ,r9 は、同一であっても異なっていてもよく、各々、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシル基、アリール基又はアルコキシアルキル基を表し、r4 とr5 、r6 とr7 、r8とr9 は各々結合して置換又無置換の芳香族環を形成していてもよい。
【0031】上記式中、E4 ,E5 ,E6 ,E7 はアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、E4 とE5 、E6 とE7 は各々結合して環化合物を形成していてもよい。
【0032】上記式中、A1 ,A2 はアルキル基又はアリール基を表す。
【0033】上記式中、A3 ,A4 は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基を表し、前記b1 ,b2 のいずれかと結合して環化合物を形成していてもよい。
【0034】上記式中、r10,r11,r12,r13は水素原子、アルキル基、ニトロ基又はアミノ基を表す。
【0035】上記式中、Qは酸素原子、硫黄原子又はN−E3 を表す。
【0036】上記式中、m,n,lは0、1、2又は3を表す。
【0037】上記(i)のカウンターアニオンX- としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、過塩素酸塩イオン、ベンゼンスルホン酸塩イオン、P−トルエンスルホン酸塩イオン、メチル硫酸塩イオン、エチル硫酸塩イオン、プロピル硫酸塩イオン、テトラフルオロホウ酸塩イオン、テトラフェニルホウ酸塩イオン、ヘキサフルオロリン酸塩イオン、ベンゼンスリフィン酸塩イオン、酢酸塩イオン、トリフルオロ酢酸塩イオン、プロピオニル酢酸塩イオン、安息香酸塩イオン、シュウ酸塩イオン、コハク酸塩イオン、マロン酸塩イオン、オレイン酸塩イオン、ステアリン酸塩イオン、クエン酸塩イオン、一水素二リン酸塩イオン、二水素一リン酸塩イオン、ペンタクロロスズ酸塩イオン、クロロスルホン酸塩イオン、フルオロスルホン酸塩イオン、トリフルオロメタンスルホン酸塩イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸塩イオン、モリブデン酸塩イオン、タングステン酸塩イオン、チタン酸塩イオン、ジルコン酸塩イオン等の陰イオンを挙げることができ、中でもハロゲンアニオン、とりわけ、臭化物イオン、ヨウ化物イオンが好ましい。
【0038】ハロゲン原子Zとしては、例えばBr,IあるいはClが好ましい。
【0039】化合物(i)の好ましいものを以下に示す。
【0040】
【化19】


【0041】
【化20】


【0042】
【化21】


【0043】
【化22】


【0044】
【化23】


【0045】
【化24】


【0046】
【化25】


【0047】
【化26】


【0048】
【化27】


【0049】
【化28】


【0050】
【化29】


【0051】
【化30】


【0052】
【化31】


【0053】
【化32】


【0054】
【化33】


【0055】
【化34】


【0056】
【化35】


【0057】
【化36】


【0058】
【化37】


【0059】
【化38】


【0060】
【化39】


【0061】
【化40】


【0062】
【化41】


【0063】
【化42】


【0064】
【化43】


【0065】
【化44】


【0066】
【化45】


【0067】
【化46】


【0068】
【化47】


【0069】
【化48】


【0070】
【化49】


【0071】
【化50】


【0072】
【化51】


【0073】
【化52】


【0074】
【化53】


前記化合物(ii)としては、例えば下記一般式(I)のものが好ましい。
【0075】
【化54】


上記一般式(I)中r1 ,r2 ,r3 は同一であっても異なっていてもよく、各々、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシアルコキシル基又はアミノ基を表し、r1 ,r2 ,r3 のいずれか2つが結合して縮合環を形成しても良い。Lはハロゲン原子を表わす。ハロゲン原子Lとしては、例えばBr,IあるいはClが好ましい。
【0076】前記化合物(ii)の好ましいものを以下に示す。
【0077】
【化55】


【0078】
【化56】


【0079】
【化57】


【0080】
【化58】


【0081】
【化59】


【0082】
【化60】


【0083】
【化61】


【0084】
【化62】


【0085】
【化63】


前記化合物(iii)としては、下記一般式(II)のものが好ましい。
【0086】
【化64】


上記一般式(II)中、Rは置換又は無置換の芳香族環を形成する有機残基を表わし、Mはハロゲン原子を表わす。ハロゲン原子Mとしては、例えばBr,IあるいはClが好ましい。
【0087】上記一般式(II)の中でも、フタルイミド誘導体の窒素置換ハロゲン化合物あるいはナフタルイミド誘導体の窒素置換ハロゲン化合物が好ましい。
【0088】前記化合物(iii)の好ましいものを以下に示す。
【0089】
【化65】


【0090】
【化66】


【0091】
【化67】


【0092】
【化68】


【0093】
【化69】


【0094】
【化70】


【0095】
【化71】


【0096】
【化72】


有機銀塩としては、炭素数12〜24個のものが好ましい。炭素数12〜24個の有機銀塩は室内光下で着色等の不都合な変化を受け難い。好ましい有機銀塩としては、例えばベンゾトリアゾール銀、ベヘン酸銀、ステアリン酸銀、パルミチン酸銀、ミリスチン酸銀、ラウリン酸銀、オレイン酸銀、またはヒドロキシステアリン酸銀等を挙げることができる。そのうち特にベヘン酸銀が有効である。
【0097】還元剤は、乾式銀塩感光体が像露光及び熱現像されたときに、上記有機銀塩を還元して銀を生成しうるものである。還元剤としてはハイドロキノン、メチルハイドロキノン、クロロハイドロキノン、メチルヒドロキシナフタレン、N,N’−ジエチル−p−フェニレンジアミン、アミノフェノール、アスコルビン酸、1−フェニル−3−ピラゾリドン等を挙げることができ、また、これらの他に、2,2’−メチレンビス(6−ターシャリーブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−ターシャリーブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−ターシャリーブチル−3−メチルフェノール)等、更には特開昭46−6074号公報に記載のビスナフトール系還元性化合物、あるいは特公昭53−9735号公報に記載の4−ベンゼンスルホンアミドフェノール系化合物、あるいは特開平2−210352号、特開平3−135564号に記載の化合物等が好ましい。
【0098】感光性ハロゲン化銀としては、例えば塩化銀、臭化銀、沃化銀、沃臭化銀、沃塩化銀、沃塩臭化銀を挙げることができる。感光性ハロゲン化銀は、特に微細な粒子状のものが有効である。微細な粒子状のハロゲン化銀を調製する方法として有機銀塩をハロゲン化銀形成成分、例えば臭化アンモニウム、臭化リチウム、塩化ナトリウム、N−ブロムコハク酸イミド等によりハロゲン化する方法などを挙げることができる。
【0099】感光層には必要に応じバインダーを含有する。バインダーとしては、疎水性もしくは親水性のポリマーが好ましく、透明もしくは半透明であることができる。具体的には、ポリビニルブチラール、セルロースアセテートブチレート、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、酢酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ゼラチン等を挙げることができる。
【0100】感光層は単一層で構成してもよいが、有機銀塩、還元剤及び感光性ハロゲン化銀(あるいは感光性ハロゲン化銀形成成分)を含有する第1感光層と、前記の化合物(i),(ii)及び(iii)のうちから選ばれたものを含有する第2感光層とを積層した多層構成としてもよい。
【0101】感光層を多層構成とした場合、支持体側から第1感光層及び第2感光層の順で積層してもよいし、その逆でもよい。ただし、像露光工程において光の照射される側から第1感光層及び第2感光層の順に積層するとよい。
【0102】前記化合物(i)の含有量は、感光層が一層構成の場合、有機銀塩1モルに対して1×10-4モル〜5×10-1モル、更には5×10-4モル〜1×10-1モル、特に1×10-4モル〜1×10-2モルが好ましい。前記化合物(ii)及び(iii)の含有量は、感光層が一層構成の場合、有機銀塩1モルに対し1×10-4モル〜5×10-1モル、更には5×10-4モル〜5×10-1モル、特に1×10-3モル〜1×10-1モルが好ましい。
【0103】感光層が多層構成の場合、前記化合物(i),(ii)及び(iii)の含有量は、一律に、有機銀塩1モルに対し5×10-4モル〜10モル、更には5×10-3モル〜0.5モル、特に5×10-2モル〜0.5モルが好ましい。
【0104】有機銀塩、還元剤及び感光性ハロゲン化銀の含有量は、感光層の層構成にかかわりなく、以下の通りである。
【0105】有機銀塩の含有量は、0.3g/m2 〜30g/m2 、特に0.7g/m2 〜15g/m2 、更には1.2g/m2 〜8g/m2 が好ましい。
【0106】感光性ハロゲン化銀の含有量は、有機銀塩1モルに対し0.001モル〜0.50モル、更には0.01モル〜0.30モルが好ましい。感光性ハロゲン化銀形成成分の含有量も、感光性ハロゲン化銀と同様である。
【0107】還元剤の含有量は、有機銀塩1モルに対して0.05モル〜3モル、更には0.2モル〜1.3モルが好ましい。
【0108】感光層が一層構成の場合、必要に応じて含有するバインダーの量は、有機銀塩1重量部に対し0.1重量部〜10重量部、更には0.5重量部〜4重量部が好ましい。
【0109】感光層が多層構成の場合、第1感光層に必要に応じて含有するバインダーの量は、感光層が一層構成の場合と同様である。また、第2感光層には、前記(i),(ii)又は(iii)の化合物1重量部に対して0.1重量部〜100重量部、更には0.5重量部〜50重量部のバインダーを含有する。第1感光層又は第2感光層に含有するバインダーも、前述したバインダーと同様である。
【0110】感光層の厚みは0.1μm〜50μm、更には1μm〜30μm、特に2μm〜20μmが好ましい。感光層を多層構成とする場合も、感光層全体の厚みを上記範囲とするのがよい。多層構成の感光層において、前記の化合物(i),(ii)または(iii)を含有する第2感光層の厚みは、0.01μm〜30μm、更には0.1μm〜10μmが好ましい。
【0111】本発明の感光層は、構成成分の溶解した塗布液を、支持体上に塗布乾燥して形成される。前記の化合物(i),(ii)または(iii)は、有機銀塩やハロゲン化銀を合成する際に添加してもよいし、有機銀塩、還元剤及び感光性ハロゲン化銀を分散する際に添加してもよい。
【0112】また、有機銀塩、還元剤及び感光性ハロゲン化銀の溶解した塗布液を、支持体上に塗布乾燥して塗膜を形成し、その後この塗膜の形成された支持体を、前記の化合物(i),(ii)または(iii)の溶解した溶液中に浸漬することにより、感光層を形成することもできる。
【0113】支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、酢酸セルロース、合成紙、ポリエチレン等の合成樹脂フィルムが被覆された紙、アート紙、写真用バライタ紙、アルミニウム、ガラス板、または金属蒸着膜を有する合成樹脂フィルム等を挙げることができる。
【0114】本発明においては、感光層あるいは第1感光層に、画像の色調性、画像形成後の安定性を改善するために、有機酸、色調剤、カブリ防止剤、着色防止剤、現像促進剤、帯電防止剤、増感色素、紫外線吸収剤、イラジエーション防止染料蛍光増白剤あるいはフィルター染料等を含有させてもよい。
【0115】有機酸としては、特に有機銀塩と同一もしくは類似の脂肪酸が好ましく、単独もしくは組み合わせて含有させるのが好ましい。それらの脂肪酸の使用量は、有機銀塩に対して25モル%〜200モル%であり、特に好ましくは30モル%〜120モル%である。
【0116】色調剤としては米国特許第3080254号公報に記載のフタラジノンもしくはその誘導体、特開昭46−6074号公報に記載の乾式イミド類又は特開昭50−32927号公報に記載のフタラジンジオン化合物等を使用することができる。
【0117】カブリ防止剤としては、特公昭47−11113号公報に記載の水銀化合物、特公昭55−42375号公報に記載の1,2,4−トリアゾール化合物、特開昭57−30828号公報に記載のテトラゾール化合物、特開昭57−138630号公報に記載の安息香酸類及び特開昭57−147627号公報に記載のスルホニルチオ基を有する化合物、特開昭58−107534号公報に記載の二塩基酸類を挙げることができる。特に、本発明に用いられるカブリ防止剤としては、特開昭58−107534号公報に記載されている二塩基酸類が好ましい。
【0118】帯電防止剤としては、例えば含フッ素系界面活性剤が好ましい。
【0119】増感色素としては、例えばシアニン色素、メロシアニン色素などを挙げることができる。
【0120】本発明の乾式銀塩感光体は、像露光及び加熱(熱現像)により、像露光された部分で有機銀塩と還元剤とが酸化還元反応し、その反応によって生成される金属銀による黒化像を形成するものである。
【0121】また、本発明の乾式銀塩感光体は、上記の酸化還元反応によって生成される酸化体(還元剤の酸化されたもの)の光吸収性を利用して、重合部分と未重合部分とで構成されるパターン(以下、重合・未重合パターンという)を形成することができる。即ち、本発明による感光層(感光層が多層構成の場合は、第1感光層)に重合性ポリマー前駆体及び光重合開始剤を含有し、像露光、加熱(熱現像)及び重合露光により重合・未重合パターンを形成することができる。このように重合・未重合パターンが形成されるのは、酸化体の生成した部分では酸化体による光吸収により重合が進行せず、酸化体の生成されなかった部分では重合が進行するためである。
【0122】また、上記の酸化体が化学的重合禁止能を有する場合にも、酸化体が光吸収性を有する場合と同様にして重合・未重合パターンを形成することができる。酸化体が化学的重合禁止能を有する場合には、重合開始剤として光重合開始剤以外に熱重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤として熱重合開始剤を用いた場合には、像露光及び加熱(熱現像)により、像露光しなかった部分の重合が進行して重合・未重合パターンが形成される。
【0123】更に、本発明の乾式銀塩感光体は、酸化還元反応によって生成したラジカルを利用して、重合・未重合パターンを形成することができる。即ち、本発明による感光層(感光層が多層構成の場合は、第1感光層)に重合ポリマー前駆体を含有し、酸化還元反応によって発生したラジカルにより、像露光した部分の重合が進行して重合・未重合パターンが形成される。
【0124】酸化還元反応により、光吸収性の酸化体を生成するか、化学的重合禁止能の酸化体を生成するか、あるいはラジカルを発生するかは使用する還元剤の種類による。
【0125】重合性ポリマー前駆体及び重合開始剤は、感光層中に含有してもよいが、感光層とは別に重合性ポリマー前駆体及び重合開始剤を含有する重合層を設けてもよい。感光層と重合層とは、支持体側から重合層、感光層の順、あるいは支持体側から感光層、重合層の順に積層してもよいし、または支持体を間に挟んで支持体の片面の感光層を設け、他面に重合層を設けるようにしてもよい。
【0126】重合性ポリマー前駆体としては、一分子中に反応性ビニル基を少なくとも1個もつ化合物が利用でき、例えば、反応性ビニル基含有単量体、反応性ビニル基含有オリゴマー及び反応性ビニル基含有ポリマーからなる群より選択した1種以上を用いることができる。
【0127】これら化合物の反応性ビニル基としては、スチレン系ビニル基、アクリル酸系ビニル基、メタクリル酸ビニル基、アリル系ビニル基、ビニルエーテル等の他に酢酸ビニル等のエステル系ビニル基等重合反応性を有する置換もしくは非置換ビニル基を挙げることができる。
【0128】かかる条件を満たす重合性ポリマー前駆体の具体例としては、例えばスチレン、メトキシスチレン、ジメチルアミノスチレン、ヒドロキシスチレン、アミノスチレン、カルボキシスチレン、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリルアミド、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、シアヌル酸トリアクリレート、シアヌル酸トリメタクリレート、1,1,1−トリメチロールプロパントリアクリレート、1,1,1−トリメチロールプロパントリメタクリレート、シアヌル酸トリ(エチルアクリレート)、1,1,1−トリメチロールプロパントリ(エチルアクリレート)、シアヌル酸トリ(エチルビニルエーテル)、1,1,1−トリメチロールプロパンと3倍モルのトルエンジイソシアネートとの反応物とヒドロキシエチルアクリレートとの縮合物、エチレンテトラアクリルアミド、プロピレンテトラアクリルアミド等を挙げることができる。これらの重合性ポリマー前駆体は単独にもしくは複数種組み合わせて使用する。
【0129】光重合開始剤としては、例えばカルボニル化合物、イオウ化合物、ハロゲン化合物、レドックス系重合開始剤等を挙げることができる。
【0130】カルボニル化合物としては、例えばベンジル、4,4’−ジメトキシベンジル、ジアセチル、カンファーキノン等のジケトン類;例えば4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;例えばアセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン等のアセトフェノン類;例えばベンゾイルアルキルエーテル類;例えば2−シクロロチオキサントン、2,5−ジエチルチオキサントン、チオキサントン−3−カルボン酸−β−メトキシエチルエステル類のチオキサントン類;ジアルキルアミノ基を有するカルコン類及びスチリルケトン類;3,3’−カルボニルビス(7−メトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)等のクマリン類等を挙げることができる。
【0131】イオウ化合物としては、ジベンゾチアゾリルスルフィド、デシルフェニルスリフィド等のジスルフィド類等を挙げることができる。
【0132】ハロゲン化合物としては、例えば四臭化水素、キノリンスルホニルクロライド、トリハロメチル基を含有するS−トリアジン類等を挙げることができる。
【0133】また以上に述べた光重合開始剤において、2種以上を組合せてより効率のよい光重合反応を得ることができる。このような光重合開始剤の組合せとしては、ジアルキルアミノ基を有するカルコンとスチリルスチリルケトン類との組み合せ、クマリン類とトリハロメチル基を有するS−トリアジン類もしくはカンファーキノンとの組合せ等を挙げることができる。これらの重合開始剤もその2種以上を併用したり、上述の化合物と組合せて用いてもよい。
【0134】熱重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物等を挙げることができる。
【0135】また、本発明の乾式銀塩感光体に、重合性ポリマー前駆体と共に熱拡散性色素を含有して、重合・未重合パターンを形成した後、本発明の乾式銀塩感光体と記録紙とを重ねて加熱することにより、未重合部分から熱拡散性色素を拡散させて記録紙に画像を形成することもできる。
【0136】熱拡散性色素としては、例えば特開平3−163454号公報に記載の化合物等を使用することができる。
【0137】更に、重合・未重合パターンを形成した後、重合部と未重合部とをピールアパートにより分離してもよいし、あるいはエッチングにより未重合部を除去してもよい。
【0138】重合性ポリマー前駆体及び重合開始剤を本発明の乾式銀塩感光体に含有する場合、重合開始剤は還元剤1モルに対して0.01モル〜10モル、更には0.5モルから3.0モル含有するのが好ましい。また、重合開始剤は重合性ポリマー前駆体100重量部に対して0.1重量部〜30重量部、更には0.5重量部〜10重量部とするのがよい。
【0139】感光層とは別に重合層を設ける場合、重合層の厚みは0.1μm〜50μm、更には1μm〜30μm、特に2μm〜20μmが好ましい。
【0140】像露光工程で用いる光源としては、例えばLED、ガスレーザ、半導体レーザー、Xeランプ、Wランプ、太陽光等が好ましい。像露光の光は、波長400nm〜900nmの光を含むものが好ましい。
【0141】熱現像工程で用いる加熱手段としては、例えばホットプレイト、ヒートロールあるいはサーマルヘッド等を使用することができる。熱現像工程での加熱条件は、加熱温度80℃〜160℃で加熱時間1秒〜3分間、更には加熱温度90℃〜140℃で加熱時間3秒〜90秒とすることが好ましい。
【0142】重合露光により、本発明の乾式銀塩感光体に重合・未重合パターンを形成する場合、重合露光に用いる光源としては、例えばハロゲンランプ、キセノンランプ、ダクグステンランプ、水銀灯、蛍光灯、レーザー等が好ましい。重合露光の光は300nm〜600nmの光を含むものが好ましい。
【0143】像露光工程及び重合露光工程で用いる光の波長は同じであっても異なっていても良い。尚、同一波長の光を用いても、通常感光性ハロゲン化銀は光重合開始剤よりも十分に高い感光感度を有するので、上記露光工程において光重合が起きない程度の強度の光で十分な潜像書き込みが行なえる。例えば、像露光工程では、感光体の面上で概ね1mJ/cm2 までの光で露光を行ない、重合露光工程では感光体の面上で概ね500mJ/cm2 までの光で露光を行なうとよい。
【0144】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明する。尚、以下に示す配合割合は、重量基準である。
【0145】<実施例1〜5、比較例1>測定A下記の組成によりなる分散液(a)をホモミキサーを用いて安全光下で調製した。
【0146】
ポリビニルブチラール 4.0部 ベヘン酸銀 2.5部 ベヘン酸 1.5部 ホモフタル酸 0.6部 臭化銀 0.6部 フタラジノン 0.5部 2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)
2.4部 キシレン 30部 n−ブタノール 30部上記の臭化銀結晶は、面指数{100}の立方晶であって、その結晶の1辺の長さが0.07μmであった。
【0147】この分散液(a)に、下記構造式の色素0.03部をジメチルホルムアミド(DMF)5.0部に溶かしたものを添加して分散液(b)を得た。
【0148】
【化73】


こうして得た分散液(b)15.2部に、前記の化合物(i−3)を0.008部添加して分散液(c)を作成し、この分散液(c)をポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上に乾燥厚みが10μmとなるように塗布して感光層を形成した。更に、この感光層上に厚み2μmのポリビニルアルコールの保護層を形成して本発明の乾式銀塩感光体を作成した(実施例1)。
【0149】化合物(i−3)0.008部にかえて、前記の化合物(i−19),(i−34),(ii−3)及び(iii−2)を、それぞれ表1に示す添加量で添加し、その他は実施例1と同様にして実施例2〜5の乾式銀塩感光体を作成した。
【0150】
【表1】


こうして得た実施例1〜5の各乾式銀塩感光体に対して、25℃、60%RHの環境下で像露光及び熱現像を行い、露光部と未露光部の光学濃度を測定した。このとき、同じ組成の感光体を複数用意して、各感光体に対して熱現像温度を変えて熱現像を行った。結果を表2に示した。
【0151】像露光は、波長680nmの半導体レーザーを有するポリゴンスキャン型露光機を用いて行った。半導体レーザーのエネルギーは感光体面上で30μJ/cm2 であった。また、半導体レーザーの走査スピードは1.67×10-7sec./dotであった。
【0152】熱現像は、表2に示すように、115℃、120℃、125℃、130℃及び135℃の各温度で行った。熱現像時間は、いずれの場合も10秒間とした。
【0153】光学濃度の測定は、ナルミ製の光学濃度計STD−TRを用いて行った。
【0154】また比較のために、前記の化合物(i),(ii)及び(iii)のいずれも添加せず、その他は実施例1〜5と同様にして乾式銀塩感光体を作成し、この乾式銀塩感光体についても実施例1〜5と同様に評価した(比較例1)。
【0155】
【表2】


表2中の数値、例えば1.82/0.16は左上の数値1.82が露光部の光学濃度を示し、右下の数値0.16が未露光部の光学濃度(かぶり濃度)を示す。
【0156】表2からわかるように、熱現像温度が120℃以下の場合には、比較例1の感光体と実施例1〜5の感光体とでは光学濃度に差がない。しかし、熱現像温度が125℃以上になると、比較例1の感光体ではかぶり濃度が高くなるのに対し、実施例1〜5の感光体では光学濃度にあまり変化がなく熱現像ラチチュードが広いことがわかる。
【0157】測定(B)次に、実施例1〜5及び比較例1のそれぞれの乾式銀塩感光体を新たに作成し、これらの感光体を50℃、60%RHの恒温恒湿槽に48時間放置した後、測定(A)の場合と同様に像露光及び熱現像を行い、同様の評価を行った。評価結果を表3に示した。
【0158】
【表3】


表3からわかるように、実施例1〜5の感光体は、高温高湿下で長時間保存した後も、光学濃度にあまり変化がなく生保存性に優れると共に、広い熱現像ラチチュードを有する。
【0159】<実施例6>実施例1で用いた還元剤2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)2.4部の代わりに、4,4’−メチレンビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)2.4部を用い、その他は実施例1と同様にして、本発明の乾式銀塩感光体を得た。
【0160】こうして得た乾式銀塩感光体に対して、実施例1の測定(B)と同様に高温高湿下に置いた後、像露光を行い、その後130℃で10秒間熱現像を行ったところ、像露光部の光吸収ピーク波長が410nmの良好な画像が形成された。
【0161】次に、ピールアパートフィルム(日東電工製、商品名ネオトロック)を用意し、このピールアパートフィルムの一方の支持体を銅板とし、他方の支持体(剥離シート)上に、前述したように画像の形成された本実施例の感光体を重ねた。こうして、銅板、レジスト層、剥離シート及び感光体の順に積層された積層体に、感光体側から超高圧水銀灯で5秒間一様に光照射を行った。その後、銅板と剥離シートを分離したところ、レジスト層の重合した部分のみが銅板に残った。レジスト層の重合した部分は、半導体レーザーにより像露光されなかった部分に対応するものであった。銅板上に残った重合部分による画像は鮮明で、解像性に優れたものであった。
【0162】<実施例7>実施例1で調製した分散液(c)のうち、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)2.4部の代わりに、2.6−ジクロロ−4−アミノフェノール1.0部とジペンタエリスリトールヘキサアクリレート5.0部とを加え、その他は実施例1と同様にして分散液(d)を調製した。
【0163】この分散液(d)を用いてPETフィルム上に乾燥膜厚5μmになるように感光層を塗布し、更に感光層上に厚み2μmのポリビニルアルコールの保護層を設け本発明の乾式銀塩感光体を得た。
【0164】この感光体に対して、実施例1の測定(B)と同様に高温高湿下に置いた後、像露光を行い、更に100℃で30秒間熱現像を行った。その後、この感光体を、保護層を水洗除去してエタノール浴に浸漬した。その結果、感光層の像露光されなかった部分が除去され、像露光部が重合像としてPETフィルム上に残った。
【0165】<実施例8>実施例7と同じ乾式銀塩感光体を用い、熱現像温度を105℃とし、その他は実施例7と同様にして像露光、熱現像及びエッチングを行ったところ、実施例7と同様にPETフィルム上に重合像が形成された。
【0166】<実施例9>実施例7と同じ乾式銀塩感光体を用い、熱現像温度を110℃とし、その他は実施例7と同様にして像露光、熱現像及びエッチングを行ったところ、実施例7と同様にPETフィルム上に重合像が形成された。
【0167】<比較例2>前記の化合物(i−3)を添加せず、その他は実施例7と同様にして乾式銀塩感光体を作成した。この感光体を複数用意して、各感光体に対して、熱現像温度を100℃、105℃、110℃と変えて熱現像を行った。像露光及びエッチングは実施例7と同様にした。その結果、熱現像温度が100℃のときは、重合像が形成されたが、105℃及び110℃のときは重合像が形成されなかった。
【0168】<実施例10〜12、比較例3>メチルエチルケトン100部に、ポリビニルブチラール10部を溶解し、更に前記の化合物(ii−3)を4.0部分散して分散液(e)を作成した。この分散液(e)をPETフィルム上に乾燥厚みが3μmとなるように塗布して第2感光層を形成した。更に、この第2感光層上に、実施例1で用いた分散液(b)を、乾燥厚みが10μmとなるように塗布して第1感光層を形成した。最後に、第1感光層上に厚み2μmのポリビニルアルコールの保護層を形成して本発明の乾式銀塩感光体を作成した(実施例10)。
【0169】化合物(ii−3)4.0部にかえて、前記の化合物(iii−4)及び(iii−7)を、それぞれ表4に示す添加量で添加し、その他は実施例10と同様にして実施例11及び12の乾式銀塩感光体を作成した。
【0170】
【表4】


こうして得た実施例10〜12の各乾式銀塩感光体に対して、半導体レーザーのエネルギーを感光体面で20μJ/cm2 とした以外は、実施例1の測定(A)と同様にして像露光及び熱現像を行ない、実施例1と同様の評価を行った。結果を表5に示した。
【0171】また、比較のために、比較例1で用いた感光体についても実施例10〜12と同様に像露光及び熱現像を行い、評価した(比較例3)。
【0172】
【表5】


表5からわかるように、実施例10〜12の感光体は熱現像温度を変えても光学濃度にあまり変化がなく広い熱現像ラチチュードを有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 支持体上の感光層に、少なくとも有機銀塩と、還元剤と、感光性ハロゲン化銀又は感光性ハロゲン化銀形成成分とを含有する乾式銀塩感光体において、前記感光層に下記の化合物(i)、(ii)及び(iii)のうちから選ばれたものを含有することを特徴とする乾式銀塩感光体。
(i)〔T+ - 〕Z2(上記式中、T+ は有機色素カチオン残基、X- はカウンターアニオン、Zはハロゲン原子を表わす。)
(ii)オキサジンジオン誘導体の窒素置換ハロゲン化合物(iii)芳香族酸イミド誘導体の窒素置換ハロゲン化合物
【請求項2】 前記有機色素カチオン残基T+ が、シアニン色素残基、スチリル色素残基、アミノビニール色素残基、アニリン系色素残基、キサンテン系色素残基及びフェノオキサジウム色素残基のうちから選ばれたものである請求項1記載の乾式銀塩感光体。
【請求項3】 前記カウンターアニオンX- が、ハロゲンアニオンである請求項1記載の乾式銀塩感光体。
【請求項4】 前記ハロゲン原子Zが、Br,IあるいはClである請求項1記載の乾式銀塩感光体。
【請求項5】 前記化合物(ii)が、下記一般式(I)である請求項1記載の乾式銀塩感光体。
【化1】


〔上記一般式(I)中r1 ,r2 ,r3 は同一であっても異なっていてもよく、各々、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシアルコキシル基又はアミノ基を表し、r1 ,r2 ,r3 のいずれか2つが結合して縮合環を形成しても良い。Lはハロゲン原子を表わす〕
【請求項6】 前記ハロゲン原子Lが、Br,IあるいはClである請求項5記載の乾式銀塩感光体。
【請求項7】 前記化合物(iii)が、下記一般式(II)である請求項1記載の乾式銀塩感光体。
【化2】


〔上記一般式(II)中、Rは置換又は無置換の芳香族環を形成する有機残基を表わし、Mはハロゲン原子を表わす〕
【請求項8】 前記一般式(II)が、フタルイミド誘導体の窒素置換ハロゲン化合物あるいはナフタルイミド誘導体の窒素置換ハロゲン化合物である請求項7記載の乾式銀塩感光体。
【請求項9】 前記ハロゲン原子MがBr,IあるいはClである請求項7記載の乾式銀塩感光体。
【請求項10】 前記感光層が、(a)前記有機銀塩、(b)還元剤及び(c)感光性ハロゲン化銀又は感光性ハロゲン化銀形成成分を含有する第1感光層と、(e)前記化合物(i),(ii)及び(iii)のうちから選ばれたものを含有する第2感光層とを積層したものである請求項1記載の乾式銀塩感光体。
【請求項11】 前記感光層が単一層である請求項1記載の乾式銀塩感光体。
【請求項12】 前記感光層に、重合性ポリマー前駆体及び重合開始剤を含有する請求項1記載の乾式銀塩感光体。
【請求項13】 前記感光層と、重合性ポリマー前駆体及び重合開始剤を含有する重合層とを有する請求項1記載の乾式銀塩感光体。
【請求項14】 請求項1記載の乾式銀塩感光体に、像露光及び加熱を行うことを特徴とする画像形成方法。
【請求項15】 請求項12又は13記載の乾式銀塩感光体に、像露光及び加熱を行うことを特徴とする画像形成方法。
【請求項16】 前記加熱後、更に重合露光を行う請求項15記載の画像形成方法。

【公開番号】特開平6−208191
【公開日】平成6年(1994)7月26日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−287971
【出願日】平成5年(1993)11月17日
【出願人】(000103862)オリエンタル写真工業株式会社 (3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)