説明

乾燥エマルジョン、その製造方法及びその使用

本発明は、水溶性又は水分散性重合体を含むマトリックスであって疎水性相が分散されたものを含む乾燥エマルジョンにおいて、該乾燥エマルジョンが非ポリアルコキシル化界面活性剤を含み、該マトリックス中に含まれる該水溶性又は水分散性重合体が疎水性単位を含むポリカルボキシレートであることを特徴とする乾燥エマルジョンに関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性又は水分散性重合体を含むマトリックスであって疎水性相が分散されたものを含む乾燥エマルジョンに関する。また、本発明は、該乾燥エマルジョンの製造方法及び該エマルジョンの使用に関するものでもある。
【背景技術】
【0002】
乾燥エマルジョンは、固体マトリックス中に液体疎水性相を分散してなる組成物である。これらのものは、一般的には界面活性剤によって液体疎水性相を分散させた水性相を含むエマルジョンを乾燥させることによって得ることができる。該水性相は、乾燥後にマトリックスの全て又は一部を構成するであろう水溶性又は水分散性化合物を含む。乾燥エマルジョンの形態にある組成物及びそれらの製造方法は、当業者に知られている。乾燥エマルジョンは、一般に粉末状又は顆粒状である。
【0003】
従って、ポリアルコキシル化界面活性剤と親水性単位及び疎水性基又は疎水性グラフトを含む単位を有する重合体を含むマトリックスとを有する乾燥エマルジョンが知られている。このような乾燥エマルジョンは、例えば、特許文献WO00/26280(R98145)、WO02/32563(R00137)及びWO03/006148(R01103)に記載されている。
【0004】
乾燥エマルジョンは、一般に、疎水性相を水性組成物に分散させてなるエマルジョン又は分散液を得るために該水性組成物中に分散させることを目的とするものである。そのため、乾燥エマルジョンは、疎水性相の取り扱い及び/又は輸送及び/又はベクター化及び/又は保護を促進させたり経済的に成り立つようにすることができる。しかして、乾燥エマルジョンは、他の固体化合物と共に処方され且つ最終使用者によって水と接触した状態に置かれ得る。従って、例えば、粉末混合物を製造することが可能となる。例えば、粉末状又は顆粒状の所定の植物保護組成物及び界面活性剤処方物の場合である。また、乾燥エマルジョンは、疎水性相を含む水性処方物を準備する作業者によって水と接触した状態にも置かれ得る。また、外部要因(例えば、尿又は汗などのような水性物質の放出によるpH変化、温度変化、環境の化学組成の変化)により再度分散を開始させること又は再分散の速度を制御することが有利であり得ることにも特に言及しておく。
【0005】
乾燥エマルジョンの品質としては、次のものが挙げられる:水への再分散の容易さ、乾燥及び/又は再分散中に水不混和性疎水性相の合体がないこと、粉末の良好な流動性、操作し易い形態、例えば油状でない形態、再分散に関して乾燥又は乾燥後の液滴の合体又は寸法の制御。
【0006】
上記のうち改善された品質を有することができる新規な乾燥エマルジョンが見出された。
【特許文献1】国際公開第00/26280号パンフレット
【特許文献2】国際公開第02/32563号パンフレット
【特許文献3】国際公開第03/006148号パンフレット
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明は、水溶性又は水分散性重合体を含むマトリックスであって疎水性相が分散されたものを含む乾燥エマルジョンにおいて、
・該乾燥エマルジョンが非ポリアルコキシル化界面活性剤を含み、
・該マットリックス中に含まれる水溶性又は水分散性重合体が疎水性単位を含むポリカルボキシレートであること
を特徴とする乾燥エマルジョンを提案する。
【0008】
また、本発明は、当該エマルジョンの製造方法及びその使用に関するものでもある。
【0009】
また、本発明は、本発明に従う乾燥エマルジョンの使用に特に適した、又はさらには一般のエマルジョンの使用に適した界面活性剤の混合物も提案する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
定義
本特許出願において、用語「水溶性又は水分散性重合体」とは、水中10重量%の濃度及び25℃の温度で、顕微鏡的に相分離を全く示さない重合体を意味する。本特許出願において、該水溶性又は水分散性の質は、該乾燥エマルジョンの製造pH及び/又は再分散中における該乾燥エマルジョンの使用pHで考慮される。
【0011】
本特許出願において、用語「疎水性相」とは、10重量%の濃度及び25℃の温度で水不混和性(顕微鏡的に相分離を形成する)である所定の化合物又は数種の化合物を含む組成物を意味する。本特許出願において、疎水性又は水分散性相の質は、乾燥エマルジョンの製造pH及び/又は再分散中の乾燥エマルジョンの使用pHで考慮される。
【0012】
本特許出願において、特に述べない限り、成分の量及び比率は、固体の重量で与える。
【0013】
乾燥エマルジョンの成分
乾燥エマルジョンは、水溶性又は水分散性重合体を含むマトリックスであって疎水性相が分散されたものを含む。該疎水性相は液体であっても固体であってもよい。これは好ましくは液体である。疎水性相が固体相であるときに、このものを加熱によって液化させ、そして乾燥エマルジョンのエマルジョンの製造中に乳化させることができる。該疎水性相は、有利には0.1〜50μm、好ましくは1〜10μm、例えば1〜5μmの平均寸法(ホリバレーザー散乱粒度計を使用して決定)を有する、マトリックス中の内包物(液体相である場合には液滴)として存在する。平均寸法は、最終用途に従って変更できる。
【0014】
乾燥エマルジョンの組成物中に含まれ得る様々な成分を以下に詳細に説明する。
【0015】
疎水性相
疎水性相は、随意に疎水性溶媒中に溶解又は分散された任意の種類の化合物を単独で又は混合物として含むことができる。言うまでもないが、該疎水性相は、単純な疎水性の液体のみからなることができる。該疎水性相は、活性な疎水性化合物であるか、又は疎水性溶媒中に溶解又は分散された活性な疎水性化合物を含む混合物であることができる。
【0016】
疎水性相又は疎水性相に含まれる化合物の例として次のものを与える:
・シリコーン、例えば、MD、MTD又はMQ型のシリコーンオイル及びガムであって、随意に溶媒に溶解され且つ随意にアミン、アルコール、ポリオール等のような基で官能化されたもの。このようなシリコーンは当業者に知られている;
・フレグランス;
・有機油、鉱油又は植物油及びこれらの油の誘導体(該油及び誘導体は水不混和性である);
・水不混和性有機溶媒;
・水不溶性又は水不分散性活性物質であって、随意に溶媒に溶解されたもの;
・溶液、分散液又はエマルジョンとしてのそれらの混合物。
【0017】
農芸化学の分野においては、植物保護活性物質は、α−シアノフェノキシベンジルカルボキシレート又はα−シアノハロフェノキシカルボキシレートの群、芳香族置換基を含むN−メチルカーボネートの群及び活性物質、例えば、アルドリン、アジンホス−メチル、ベンフルラリン、ビフェントリン、クロルホキシム、クロルピリホス、フルクロラリン、フルロキシピル、ジクロルオス、マラチオン、モリネート、パラチオン、ペルメトリン、プロフェノホス、プロピコナゾール、プロチオホス、ピリフェノクス、ブタクロル、メトラクロル、クロリメホス、ジアジノン、フラジホプ−P−ブチル、ヘプトパルギル、メカルバム、プロパルギット、プロスルホカルブ、ブロモホス−エチル、カルボフェノチオン、シハロトリン、ノバルロン、デルタメトリン、ペンジメタリン、フルキンコナゾール、テブコナゾール、アルファメトリン、クロチアニジン、ベタシフルトリン、シフルトリン、ラムダシハロトリン、シハロトリン、フィプロニル、チアクロプリド、イミダクロプリド、フェンメジファム、デスメジファム、アミドスルフロン、エトフメセートから選択できる。植物保護活性物質は、例えば、活性物質の効果を高めるためのアジュバント、消泡剤、固結防止剤及び充填剤(これらのものは水溶性であっても水不溶性であってもよい)から選択される標準的な添加剤の存在下で使用できる。
【0018】
これらの活性物質は、例えば、これらのものを溶解するキシレン、ジベンジルトルエンのような芳香族炭化水素系溶媒、燐酸トリ−n−ブチル(TBP)のようなホスフェート若しくはホスホネート溶媒、鉱油若しくは植物油のような脂肪族炭化水素系溶媒、シクロヘキサノールのようなアルコール、シクロヘキサノンのようなケトン、N,N−ジメチルカプリルアミド−カプラミドのようなアミド、N−メチルピロリドン、N−オクチルピロリドン、N−ドデシルピロリドン若しくはN−シクロヘキシルピロリドンのようなピロリドン又は乳酸アルキルから選択される疎水性溶媒中に溶解できる。
【0019】
疎水性相は、特に、デルタメトリン及び燐酸トリ−n−ブチル(TBP)を含む疎水性相であることができる。しかしながら、このものは、デルタメトリンとTBPの両方を含む疎水性相とは異なってもよい。該疎水性相は、特に、デルタメトリン及びソルベッソ200又は200NDのようなキシレン系溶媒を含む疎水性相であることができる。しかしながら、このものは、デルタメトリン及びソルベッソ200又は200NDのようなキシレン系溶媒の両方を含む疎水性相とは異なってもよい。該疎水性相は、特に、デルタメトリン、ソルベッソ200又は200NDのようなキシレン系溶媒及び燐酸トリ−n−ブチル(TBP)を含む疎水性相であることができる。しかしながら、このものは、デルタメトリン、ソルベッソ200又は200NDのようなキシレン系溶媒及びTBPを含む疎水性相とは異なってもよい。
【0020】
同様に、植物保護処方物の分野に好適な活性物質としては、植物油、鉱油、シリコーン油、シリコーン消泡剤等が挙げられる。
【0021】
化粧品の分野で使用できる活性物質の例としては、例えば、ジメチコーンの部類に属するシリコーンオイル;親油性ビタミン、例えば、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB2、パントテン酸、ビタミンD及びビタミンE;モノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリド;フレグランス;殺菌剤;UV吸収剤、例えば、PABA及びPARA型のアミノベンゾエート誘導体、サリチレート、シンナメート、アントラニレート、ジベンゾイルメタン及びカンファー誘導体並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0022】
老化防止剤を同様に使用できる。特に挙げることのできる薬剤の例としては、レチノイド、α−及びβ−オキシ酸、それらの塩及びそれらのエステル、脂溶性ビタミン、パルミチン酸アスコルビル、セラミド、疑似セラミド、リン脂質、脂肪酸、脂肪アルコール、コレステロール及びステロール並びにそれらの混合物がある。好ましい脂肪酸及び脂肪アルコールとしては、特に、12〜20個の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状アルキル鎖を有するものが挙げられる。このものは、特にリノレン酸であることができる。
【0023】
また同様に、抗脂肪沈着剤、特に、例えばイソブチルメチルキサンチン及びテオフィリン;並びにニキビ止め剤、例えば、レソルシノール、酢酸レソルシニル、過酸化ベンゾイル及び多数の天然化合物を使用することも可能である。
【0024】
また、香味剤、フレグランス、精油及びエッセンスも疎水性活性物質として使用できる。挙げることのできる例としては、ミント、スペアミント、ペパーミント、メントール、バニラ、シナモン、ラウレル、アニス、ユーカリ、タイム、セージ、ニオイヒバ、ナツメグ、柑橘類の果物(レモン、ライム、グレープフルーツ又はオレンジ)又は果物(リンゴ、西洋ナシ、モモ、サクランボ、プラム、イチゴ、ラズベリー、アンズ、パインアップル、ブドウ等)のオイル及び/又はエッセンスが単独で又は混合物として挙げられる。
【0025】
抗菌剤は、チモール、メントール、トリクロサン、4−ヘキシルレソルシノール、フェノール、オイカリプトール、安息香酸、過酸化ベンゾイル及びブチルパラベン並びにそれらの混合物から選択できる。
【0026】
本発明に好適であり且つ塗料の分野で使用できる活性物質の例としては、アルキド樹脂、エポキシ樹脂及びブロックド又は非ブロックドイソシアネートが挙げられる。
【0027】
製紙分野では、特に、アルキルケテンダイマー(AKD)又はアルケニルコハク酸無水物(ASA)のような樹脂が挙げられる。
【0028】
洗剤の分野において、挙げることのできる可能な活性物質には、柔軟剤としてのアミノシリコーン、シリコーン消泡剤、抗菌剤、フレグランス、オイル及びエッセンス等を含む。この側面においては、化粧品分野についての活性物質の文脈において示したこのタイプの化合物のリストを参照することができる。
【0029】
好適な疎水性活性物質のなかでは、
−動物起源又は植物起源の有機油/脂肪/ワックス;
−鉱油/鉱ろう;
−上記油のアルコーリシスによって生じた生成物;
−モノ−、ジ−及びトリグリセリド;
−10〜40個の炭素原子を含有する飽和又は不飽和脂肪酸;このような酸と1〜6個の炭素原子を含有するアルコールとのエステル;
−8〜40個の炭素原子を含有する飽和又は不飽和モノアルコール;
が挙げられ、これらの化合物は、単独で又は混合物として使用される。
【0030】
動物起源の有機油/脂肪/ワックスとしては、特に、マッコウクジラ油、鯨油、アザラシ油、サメ肝油、タラ肝油、ブタ脂肪、ヒツジ脂肪(獣脂)、ペルヒドロスクアレン及び蜜蝋を単独で又は混合物として挙げることができる。
【0031】
植物起源の有機油/脂肪/ワックスの例としては、特に、菜種油、ヒマワリ油、ピーナッツ油、オリーブ油、クルミ油、トウモロコシ油、大豆油、アボガド油、亜麻仁油、大麻油、ブドウ種油、ココナッツ油、パーム油、綿実油、パーム核油、ババス油、ホホバ油、胡麻油、ひまし油、マカダミア油、甘扁桃油、カルナウバ蝋、シアバター、ココアバター及びピーナッツバターを単独で又は混合物として挙げることができる。
【0032】
鉱油/鉱ろうに関しては、特に、ナフテン油、パラフィン油(石油ゼリー)、イソパラフィン油及びパラフィンワックスを単独で又は混合物として挙げることができる。
【0033】
また、上記油のアルコーリシスによって得られた生成物も使用できる。
【0034】
脂肪酸に関して、これらのものは、飽和又は不飽和であり、10〜40個の炭素原子、特に18〜40個の炭素原子を含有し、しかも1個以上の共役又は非共役エチレン系不飽和を含むことができる。該酸は、1個以上のヒドロキシル基を含むことができることに留意すべきである。
【0035】
言及できる飽和脂肪酸の例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸及びベヘン酸が挙げられる。
【0036】
言及できる不飽和脂肪酸の例としては、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノレン酸、リノレン酸、アラキドン酸及びリシノール酸並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0037】
脂肪酸エステルについては、アルコールから誘導される部分が1〜6個の炭素原子を含有する上記酸のエステル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル等のエステルが挙げられる。
【0038】
該疎水性相は水不混和性中間相を含むことができ、該中間相中には該中間相に不混和性又は不溶性の内部相が分散されることを言及しておく。この場合には、該系は、乾燥複合エマルジョンということができる。
【0039】
言うまでもないが、該乾燥エマルジョンが、異なる数種の疎水性相をマトリックスに分散し、2個の内包物からなることを除外するものではない。
【0040】
水溶性又は水分散性重合体
マトリックスの水溶性又は水分散性重合体は、疎水性単位を含むポリカルボキシレートである。
【0041】
有利には、このものは、次の単量体:
(I)モノカルボン酸若しくはポリカルボン酸、又は直鎖状若しくは分岐状のエチレン系不飽和脂肪族環状若しくは芳香族無水物、
(II)式(R2)(R2)C=CH(R3)の単量体
(式中、
−R3は水素原子又はメチル基であり、
−R2は同一でも異なってもよく、水素原子又は直鎖状若しくは分岐状、随意に環状のC2〜C10飽和若しくはエチレン系不飽和脂肪族若しくは芳香族基を表すが、ただし、この場合、2個の基R2は水素原子ではないものとする。)
随意に、(III)エチレン系不飽和カルボン酸のポリオキシアルキレン化エステルから誘導される単位を含む共重合体である。
【0042】
単量体(I)は、有利には、次式:
(R3)HC=C(R1)−COOX (Ia)
(式中、
−R3は、水素原子又はメチル基であり、
−R1は、水素原子、C1-10炭化水素をベースとする基であって随意に−COOX基を有するもの又は該−COOX基と共に無水基−CO−O−OC−を形成してよい−COOX基であり、
−Xは、水素原子又は陽イオン、例えば、ナトリウム若しくはカリウム陽イオン又はアンモニウム陽イオンである。)
を有する。
【0043】
例えば、単量体(I)は、アクリル酸、メタクリル酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸若しくはクロトン酸又は無水物から、酸の形態又は塩の形態、例えばナトリウム又はカリウム塩の形態で有利に選択される。
【0044】
有利には、単量体(II)は、1−ブテン、イソブチレン、n−1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、n−1−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ブテン、ジイソブチレン(又は2,4,4−トリメチル−1−ペンテン)及び2−メチル−3,3−ジメチル−1−ペンテンから選択される。
【0045】
単量体(III)は、次式:
CH2=C(R3)−C(O)−O−[CH2CH(R4)O]m−[CH(R5)−CH2O]n−R6
(式中、
3は、水素原子又はメチル基であり、
4及びR5は、同一でも異なってもよく、1〜4個の炭素原子を含有する水素原子又はアルキル基を表し、
6は、1〜30個、好ましくは8〜30個の炭素原子を含有するアルキル、アリール、アルキルアリール又はアリールアルキルであり、
nは2〜100、好ましくは6〜100であり、
mは0〜50であるが、
ただし、nはm以上であり、しかもそれらの合計は2〜100、好ましくは6〜100であるものとする。)
に相当し得る。
【0046】
好ましくは、R6が8〜30個の炭素原子を含有するアルキル基又は1〜3個の1−フェニルエチル基で置換されたフェニル基、又はアルキルフェニル基であってそのアルキル基が8〜16個の炭素原子を含有するものである式(III)の単量体が使用される。
【0047】
使用できるこのタイプの単量体のなかでは、欧州特許第705854号、米国特許第4138381号又は米国特許第4384096号に記載されたものが挙げられる。
【0048】
また、該共重合体は、次の単量体:
−ビニル芳香族単量体、例えば、スチレン又はビニルトルエン、
−エチレン系不飽和酸のC1−C20アルキルエステル、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸のメチル、エチル又はブチルエステル、
−エチレン系不飽和酸のビニル又はアリルエステル、例えば、酢酸又はプロピオン酸のビニル又はアリルエステル、
−ハロゲン化ビニル又はハロゲン化ビニリデン、例えば、塩化ビニル又は塩化ビニリデン、
−エチレン系不飽和ニトリル、例えばアクリロニトリル、
−エチレン系不飽和酸のヒドロキシアルキルエステル、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシエチル又はヒドロキシプロピルエステル、
−エチレン系不飽和アミド、例えばアクリルアミド又はメタクリルアミド
から選択される随意の単量体(IV)から誘導される単位を含むこともできる。
【0049】
有利な一つの形態によれば、疎水性単位を含むポリカルボキシレートは、無水マレイン酸又は無水マレイン酸塩とジイソブチレンとから誘導される共重合体である。このような重合体は、ロディア社によって商品名Geropon(商標)EGPM(カルボン酸ナトリウムの形の溶液として)販売されている。
【0050】
該共重合体は、当業者に知られている態様、例えば、フリーラジカル重合によって得ることができることに留意されたい。
【0051】
非ポリアルコキシル化界面活性剤
非ポリアルコキシル化界面活性剤は、非イオン性非ポリアルコキシル化界面活性剤、陰イオン性非ポリアルコキシル化界面活性剤若しくは両性非ポリアルコキシル化界面活性剤又はこれらの界面活性剤の混合物であることができる。
【0052】
言及できる両性非ポリアルコキシル化界面活性剤の例としては、アンホアセテート、アンホジアセテート、ベタイン(カルボキシベタイン、例えば、アルキルベタイン及びアルキルアミドアルキルベタイン)、酸化アミン及びスルタイン(スルホベタイン)並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0053】
言及できる非ポリアルコキシル化界面活性剤の例としては、アルキル硫酸塩、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート及びアルキルホスフェート並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0054】
言及できる非イオン性非ポリアルコキシル化界面活性剤の例としては、次の界面活性剤:
−アルキルポリグルコシド、
−非ポリアルコキシル化ソルビタンエステル、
−脂肪酸、
−それらの混合物
が挙げられる。
【0055】
乾燥エマルジョンは、単独の非ポリアルコキシル化界面活性剤として、ロディア社が販売する界面活性剤Alkamuls S80のようなソルビタンエステルを含む乾燥エマルジョンであることができる。しかしながら、このものは、別の界面活性剤を含む乾燥エマルジョンであることもできる。このものは、特に、単独の非ポリアルコキシル化界面活性剤として、ロディア社が販売する界面活性剤Alkamuls S80のようなソルビタンエステルを含む乾燥エマルジョンとは異なってよい。該乾燥エマルジョンは、単独の非ポリアルコキシル化界面活性剤としてロディア社が販売する界面活性剤Alkamuls S80のようなソルビタンエステル及び、活性物質の溶媒として、ソルベッソ200若しくは200NDのようなキシレン系溶媒又は燐酸トリ−n−ブチル(TBP)或いはこれらの溶媒の混合物を含む乾燥エマルジョンであることができる。しかしながら、このものは、単独の非ポリアルコキシル化界面活性剤としてロディア社が販売する界面活性剤Alkamuls S80のようなソルビタンエステル及び活性物質の溶媒としてソルベッソ200若しくは200NDのようなキシレン系溶媒又は燐酸トリ−n−ブチル(TBP)或いはこれらの溶媒の混合物を含む乾燥エマルジョンとは異なっていてよい。
【0056】
有利な一つの形態によれば、該非ポリアルコキシル化界面活性剤は、
・C8−C30、好ましくはC16−C22脂肪酸から誘導されるソルビタンエステル、又は
・C8−C30、好ましくはC16−C22脂肪酸から誘導されるソルビタンエステルと、C8−C30、好ましくはC16−C22脂肪酸若しくは該脂肪酸の塩との混合物
である。
【0057】
好ましくは、該ソルビタンエステルと脂肪酸との混合物は、固形物として、該脂肪酸又はその塩を2%〜20重量%含む。
【0058】
ソルビタンエステルと脂肪酸との混合物は、疎水性相の乳化を制御すること、特に水性相に分散された疎水性相を含むエマルジョンの液滴の寸法を制御することを可能にする界面活性剤(界面活性剤組成物又は界面活性剤「ブレンド」)である。従って、本発明は、この界面活性剤(この界面活性剤組成物又は界面活性剤「ブレンド」)自体、特に、ソルビタンエステル及び脂肪酸又はその塩を、必要に応じて水と共に、20%以上又は30%以上又は50%以上又は75%以上の固形分濃度で含む混合物に関するものでもある。また、本発明は、この界面活性剤(並びに疎水性相及び水性相)を含む、乾燥していても乾燥していなくてもよいエマルジョンに関するものでもあり、又は該界面活性剤のエマルジョンへの使用に関するものでもある。
【0059】
成分の量
有利には、疎水性相とマトリックスとの重量比は、50%〜80%の間である。
有利には、非ポリアルコキシル化界面活性剤と疎水性相との重量比は、0.003〜0.3の間、好ましくは0.01〜0.06の間である。
有利には、非ポリアルコキシル化界面活性剤とマトリックスとの重量比は、0.006〜0.6の間、好ましくは0.02〜1.2の間である。
有利には、マトリックスは、水溶性又は水分散性重合体を少なくとも90重量%含む。
【0060】
他の化合物
乾燥エマルジョンは、その製造中に有用であり得る又はその特性若しくは用途を改変するのに有用であり得る他の成分を含むことができる。
【0061】
これらのものは、特に、マトリックス中に含まれ且つ水性相中に処方可能な活性成分(即ち、例えば液体処方物への使用中に機能する成分)であることができる。
【0062】
また、これらのものは、消泡剤、WO03/055584(R01186)に記載されたような糖類、又はWO03/006148(R01103)に記載されたような、IIA、IVA、VA、VIII、IB及びIIIBの族からの元素のうち少なくとも1種を含む錯化剤であって水への再分散中に疎水性相の放出をさらに容易に制御することを可能にするものであることもできる。
【0063】
乾燥エマルジョンは、随意に、残留水を含んでいてよい。含水量は、有利には10重量%未満、さらに好ましくは3%未満である。
【0064】
方法
本発明に従う乾燥エマルジョンは、次の工程:
(a)疎水性相が液体の形態で水に分散した水性相を含むエマルジョンを、必要に応じて該疎水性相をその融点を超えて加熱することによって製造し、ここで、該エマルジョンは、マトリックスの水溶性又は水分散性共重合体及び非ポリアルコキシル化界面活性剤を含むものとし、
(b)水を除去して乾燥エマルジョンを得、
(c)随意に、該乾燥エマルジョンを粉末又は顆粒に成形し、
(d)該乾燥エマルジョンを回収すること
を含む方法に従って製造できる。
【0065】
工程(a)エマルジョンの製造
該方法の第1工程中に、疎水性相を水性相中に分散してなるエマルジョンを製造する。該疎水性相は、この工程中においては液体の形態にある。必要であれば、このものをこの目的で加熱する。該エマルジョンは、水溶性又は水分散性重合体及び界面活性剤を含む。
【0066】
エマルジョンを製造するための方法をどれでも使用することができる。これらの方法は当業者に知られている。該方法は、例えば、「Encyclopedia of Emulsion Technology」,第1〜3巻,Paul Becher,Marcel Dekker 社,1983に記載されており、しかも本発明において使用できる。
【0067】
従って、直接相乳化方法を使用できる。この方法は、水及び水溶性又は水分散性重合体を含めて乳化剤を含有する混合物を製造し、次いで疎水性相を液体の形態で撹拌しつつ導入することからなることが簡単に想起される。
【0068】
別の好適な方法は、相−逆乳化である。このルートによれば、疎水性相と乳化剤とを混合させ、そして、他の成分、例えば、水溶性又は水分散性重合体を含有してよい水を滴下で撹拌しつつ導入する。導入した水の所定量及びそれを超えたところで、エマルジョンの逆転が生じる。続いて、水中油型直接エマルジョンが得られる。得られたエマルジョンを次いで分散相内における好適な体積分率を得るように水で希釈する。
【0069】
最後に、エマルジョンは、Manton Gaulin及びマイクロフルイダイザーミル(Microfluidics)のようなコロイドミルを使用することによって製造できる。
【0070】
水性相中に分散した疎水性相の液滴の平均寸法は、一般に、0.1μm〜50μm、多くの場合1〜10マイクロメートル、好ましくは0.2〜5マイクロメートルである(粒子の容積に対して表す;ホリバレーザー散乱粒度計を使用して測定)。
【0071】
乳化は、室温の範囲の温度で実施できるが、それよりも低い温度や高い温度も想定できる。
【0072】
乾燥前におけるエマルジョン中に存在する水の量は、5%〜99重量%、好ましくは20%〜70重量%の間であることができる。一般に、好ましくは少量の水が使用される。該水はその後取り除かなければならないからである。水の量を制御することは、粘度を管理する手段となり得る。
【0073】
工程(b)、(c)及び(d):乾燥、成形
エマルジョンから水を除去し且つ乾燥エマルジョンを得るために使用される方法は、当業者に知られている任意の手段によって実行できる。
この操作は、該混合物の様々な構成成分がそれらの分解温度よりも低い温度にさらされるように行う。
【0074】
本発明の第1の態様によれば、オーブン乾燥が想定できる。好ましくは、この乾燥は、薄層で行う。より具体的には、該乾燥を実行する温度は、100℃以下、好ましくは30℃〜90℃、好ましくは50℃〜90℃である。
【0075】
本発明の別の特定の態様によれば、混合物の(又はエマルジョンの)迅速な乾燥が実行される。Duprat(商標)ドラムを使用した流動床中での噴霧乾燥又は凍結乾燥(凍結昇華)がこの側面では好適である。
【0076】
例えばNiro機械を使用した噴霧乾燥又は例えばAeromatic機械を使用した流動床中での噴霧乾燥は、任意の既知の機械、例えばノズル又はタービンで実行される噴射と加温ガスの流れとを組み合わせたスプレー塔において通常の態様で実行できる。カラムの頂部での加温ガス(一般に空気)の入口温度は、好ましくは50℃〜250℃であり、出口温度は、好ましくは、得られた顆粒の構成成分の分解温度未満である。
【0077】
Duprat(商標)ドラムを使用して実施される混合物(又はエマルジョン)を乾燥させるための操作の場合又は、例えば、削り取ることによって乾燥支持体から分離される乾燥フィルムを迅速に得るための任意の手段の場合には、随意に摩砕され得る粒子が得られる。必要ならば、これらの粒子は、顆粒を得るように、その後の成形、例えば凝集工程に付され得る。
【0078】
固結防止剤のような添加剤をこの乾燥工程中に顆粒に取り入れることができることに留意すべきである。
【0079】
例えば、特に、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、シリカ、ベントナイト、酸化チタン、タルク、水和アルミナ及びスルホアルミン酸カルシウムから選択される充填剤を使用することが勧められる。
【0080】
好ましくは、乾燥は、外部水性相の少なくとも90重量%、好ましくは90%〜95重量%が除去されるように実行される。水の残留量は、好ましくは3重量%未満である。
【0081】
使用
乾燥エマルジョンは、
−植物保護処方物、
−柔軟剤の処方、フレグランスのベクター化、消泡剤又はシリコーンの処方、例えば繊維上への付着のためのランドリーケア処方物、例えば洗濯物洗浄用の粉末又はタブレット、
−粉末又はタブレットの形の自動食器洗浄器用処方物、
−化粧用処方物、
−家事用ワイプ、
−スキンケア用ワイプ、
−乳児用ワイプ、
−パンツ用裏地、
−メークアップリムービング用ワイプ、
−バスソルト処方物、
−建築用及び/又は公共施設の材料用の処方物、例えば、セメント凝固遅延剤又はセメント凝固促進剤の処方用の処方物、
−表面被覆用処方物、例えば塗料、
−固体状のシリコーンオイル、例えば消泡剤の処方
に使用できる。
【0082】
詳細に説明すると、該乾燥エマルジョンは、植物保護処方物に使用でき、その疎水性相は、植物保護活性化合物又は疎水性溶媒中に溶解若しくは分散された植物保護活性疎水性化合物を含む混合物である。該乾燥エマルジョンは、随意に、他の植物保護材料(植物保護材料の組合せ)と共に、例えば肥料と組み合わせて使用できる。該乾燥エマルジョン及び肥料は、特に、同一の容器内で水と混合できる。
【0083】
本発明の他の詳細又は利点は、以下の実施例に照らせば明らかになるかもしれない。該実施例は本発明を限定するものではない。
【0084】
疎水性相がメトラクロルである乾燥エマルジョンは、メトラクロル、界面活性剤、水及び重合体(ロディア社が販売するGeropon(商標)EGPM)を含むエマルジョンを調製し、次いで乾燥させることによって製造される。該エマルジョン及び乾燥エマルジョンの組成(成分及び量)を以下の表に与える。
【実施例】
【0085】
手順
(a)エマルジョンの製造
−重合体を、随意に消泡剤と共に秤量し、
−撹拌を500rpmでフレームパドルを使用して開始し、
−水の全て又は一部を添加し、
−メトラクロルと界面活性剤の混合物を添加し、
−得られた混合物を均質化させ、そして2NのHCl(滴下)で酸性化させ、
−この混合物を500rpmで15分間撹拌し、
−必要に応じて水の残余を添加し、
−該混合物を30分間にわたり撹拌し、
−その粒度(ホリバ)を時間の関数として測定する。
(b)乾燥
−該生成物を75℃のオーブン内のプレート上で一晩乾燥させ、
−このものを粗く挽き、
−その粒度を再分散(50mLの水道水中に1gの粉末を電磁攪拌器によって500rpmで5分間室温で)中に測定する。
【0086】
【表1】

【0087】
乾燥前のエマルジョン:
−メトラクロル/乾燥:63.7%
−乾燥抽出物:34.9%
−界面活性剤/(メトラクロル+界面活性剤):6.8%
−界面活性剤/重合体:13.2%。
該エマルジョンは粗大である。このものは、その後乾燥しない。
【0088】
【表2】

【0089】
乾燥前のエマルジョン
−乾燥抽出物:34.9%
−界面活性剤/(メトラクロル+界面活性剤):3%
−界面活性剤/(界面活性剤+乾燥重合体):6.0%
【0090】
乾燥前の粒度:
D10=0.54μm
D50=1.30μm
D90=3.35μm
(D90−D10)/D50=2.16
該エマルジョンは、その後乾燥しない。
【0091】
【表3】

【0092】
乾燥前のエマルジョン
−乾燥抽出物:35.3%
−界面活性剤/(メトラクロル+界面活性剤):3%
−界面活性剤/(界面活性剤+乾燥重合体):6.0%
【0093】
乾燥前の粒度:
D10=0.228μm
バイポピュラス(bipopulous) 21.156μm
D50=0.329μm
バイポピュラス 28.625μm
D90=0.453μm
バイポピュラス 38.645μm
(D90−D10)/D50=0.684
バイポピュラス 0.611
該エマルジョンは、その後乾燥しない。
【0094】
【表4】

【0095】
乾燥前のエマルジョン
−乾燥抽出物:35.3%
−界面活性剤/(メトラクロル+界面活性剤):3%
−界面活性剤/(界面活性剤+乾燥重合体):6.0%
【0096】
乾燥前の粒度:
D10=0.233μm
D50=0.303μm
D90=0.42μm
(D90−D10)/D50=0.617
該エマルジョンは、その後乾燥しない。
【0097】
【表5】

【0098】
乾燥前のエマルジョン
−乾燥抽出物:36.4
該エマルジョンは粗大であった。このエマルジョンはその後乾燥しない。
【0099】
【表6】

【0100】
乾燥前のエマルジョン
−乾燥抽出物:35.3%
−界面活性剤/(メトラクロル+界面活性剤):3%
−界面活性剤/(界面活性剤+乾燥重合体):6.0%
【0101】
乾燥前の粒度:
D10=0.124μm
D50=0.168μm
D90=0.226μm
(D90−D10)/D50=0.607
【0102】
再分散後の粒度:
D10=0.258μm
D50=0.396μm
D90=0.591μm
(D90−D10)/D50=0.841
【0103】
乾燥前及び再分散後の粒度は注目に値する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性又は水分散性重合体を含むマトリックスであって疎水性相が分散されたものを含む乾燥エマルジョンにおいて、
・該乾燥エマルジョンが非ポリアルコキシル化界面活性剤を含み、
・該マットリックス中に含まれる水溶性又は水分散性重合体が疎水性単位を含むポリカルボキシレートであること
を特徴とする乾燥エマルジョン。
【請求項2】
疎水性相が液体疎水性相又は固体疎水性相であることを特徴とする、請求項1に記載の乾燥エマルジョン。
【請求項3】
疎水性相が活性な疎水性化合物、又は疎水性溶媒中に溶解され若しくは分散された活性な疎水性化合物を含む混合物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の乾燥エマルジョン。
【請求項4】
疎水性単位を含むポリカルボキシレートが、次の単量体:
(I)モノカルボン酸若しくはポリカルボン酸、又は直鎖状若しくは分岐状のエチレン系不飽和脂肪族環状若しくは芳香族無水物、
(II)式(R2)(R2)C=CH(R3)の単量体
(式中、
・R3は水素原子又はメチル基であり、
・R2は同一でも異なってもよく、水素原子又は直鎖状若しくは分岐状、随意に環状のC2〜C10飽和若しくはエチレン系不飽和脂肪族若しくは芳香族基を表すが、ただし、この場合、2個の基R2は水素原子ではないものとする。)
随意に、(III)エチレン系不飽和カルボン酸のポリオキシアルキレン化エステル
から誘導される単位を含む共重合体であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の乾燥エマルジョン。
【請求項5】
単量体(I)が次式:
(R3)HC=C(R1)−COOX (Ia)
(式中、
・R3は、水素原子又はメチル基であり、
・R1は、水素原子、C1〜C10炭化水素をベースとする基であって随意に−COOX基を有するもの又は該−COOX基と共に無水基−CO−O−OC−を形成してよい−COOX基を有するものであり、
・Xは、水素原子又は陽イオンである。)
を有することを特徴とする、請求項4に記載の乾燥エマルジョン。
【請求項6】
単量体(I)が、アクリル酸、メタクリル酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸若しくはクロトン酸又は無水物から選択されることを特徴とする、請求項5に記載の乾燥エマルジョン。
【請求項7】
単量体(II)は、1−ブテン、イソブチレン、n−1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、n−1−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ブテン、ジイソブチレン及び2−メチル−3,3−ジメチル−1−ペンテンから選択されることを特徴とする、請求項4〜6のいずれかに記載の乾燥エマルジョン。
【請求項8】
疎水性単位を含むポリカルボキシレートが無水マレイン酸又は無水マレイン酸塩及びジイソブチレンから誘導される共重合体であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の乾燥エマルジョン。
【請求項9】
非ポリアルコキシル化界面活性剤が、非イオン性非ポリアルコキシル化界面活性剤、陰イオン性非ポリアルコキシル化界面活性剤若しくは両性非ポリアルコキシル化界面活性剤又はこれらの界面活性剤の混合物であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の乾燥エマルジョン。
【請求項10】
非イオン性非ポリアルコキシル化界面活性剤が次の界面活性剤:
・アルキルポリグルコシド、
・非ポリアルコキシル化ソルビタンエステル、
・脂肪酸、
・それらの混合物
から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の乾燥エマルジョン。
【請求項11】
非ポリアルコキシル化界面活性剤が、
・C8−C30、好ましくはC16−C22脂肪酸から誘導されるソルビタンエステル、又は
・C8−C30、好ましくはC16−C22脂肪酸から誘導されるソルビタンエステルと、C8−C30、好ましくはC16−C22脂肪酸若しくは該脂肪酸の塩との混合物
であることを特徴とする、請求項9に記載の乾燥エマルジョン。
【請求項12】
ソルビタンエステルと脂肪酸との混合物が、固形物として、該脂肪酸又はその塩を2重量%〜20重量%含むことを特徴とする、請求項11に記載の乾燥エマルジョン。
【請求項13】
疎水性相とマトリックスとの重量比が50%〜80%の間であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の乾燥エマルジョン。
【請求項14】
非ポリアルコキシル化界面活性剤と疎水性相との重量比が、0.003〜0.3の間、好ましくは0.01〜0.06の間であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の乾燥エマルジョン。
【請求項15】
非ポリアルコキシル化界面活性剤とマトリックスとの重量比が、0.006〜0.6の間、好ましくは0.02〜1.2の間であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の乾燥エマルジョン。
【請求項16】
マトリックスが水溶性又は水分散性重合体を少なくとも90重量%含むことを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の乾燥エマルジョン。
【請求項17】
次の工程:
(a)疎水性相が液体の形態で水に分散した水性相を含むエマルジョンを、必要に応じて該疎水性相をその融点を超えて加熱することによって製造し、ここで、該エマルジョンは、マトリックスの水溶性又は水分散性共重合体及び非ポリアルコキシル化界面活性剤を含むものとし、
(b)水を除去して乾燥エマルジョンを得、
(c)随意に、該乾燥エマルジョンを粉末又は顆粒に成形し、
(d)該乾燥エマルジョンを回収すること
を含む、請求項1〜16のいずれかに記載の乾燥エマルジョンの製造方法。
【請求項18】
前記工程(b)中に、エマルジョンの薄膜蒸発、乾燥凍結又は噴射によって水を除去することを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
水性相と疎水性相との重量割合が5%〜99%であることを特徴とする、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1〜16のいずれかに記載の乾燥エマルジョン又は請求項17〜19のいずれかに記載の方法によって製造された乾燥エマルジョンの、植物保護処方物、ランドリーケア処方物、食器洗浄器用処方物、化粧用処方物、家事用ワイプ、スキンケア用ワイプ、乳児用ワイプ、パンツ用裏地、建築用及び/又は公共施設材料用の処方物、表面被覆用処方物、例えば塗料への使用。
【請求項21】
請求項20に記載の乾燥エマルジョンの、疎水性相が植物保護活性化合物か又は疎水性溶媒中に溶解若しくは分散された植物保護活性疎水性化合物を含む混合物である植物保護処方物への使用であって、該乾燥エマルジョンが随意に肥料と併用される使用。
【請求項22】
肥料との併用にあたり、乾燥エマルジョンと肥料とが同一の容器内で水と混合される、請求項21に記載の使用。

【公表番号】特表2008−520794(P2008−520794A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−542042(P2007−542042)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【国際出願番号】PCT/FR2005/002897
【国際公開番号】WO2006/053999
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【Fターム(参考)】