説明

乾燥リポソーム製剤

【課題】パルミチン酸レチノールとアスタキサンチンが安定に配合された乾燥リポソーム製剤を提供する。
【解決手段】パルミチン酸レチノールとアスタキサンチンとアスコルビン酸及び/又はその塩を含有する乾燥リポソーム製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルミチン酸レチノールとアスタキサンチンを安定に配合した乾燥リポソーム製剤の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
刺激低減を目的としたレチノイド類またはカロチノイド類を含むリポソームが知られている(特許文献1:特開昭62−215513号公報)。α−トコフェロールなどの親油性抗酸化剤を脂質層に加え、アスコルビン酸などの水溶性抗酸化剤を水性相に加えることが有利とされ、また、リポソームを凍結乾燥して脂質粉末とすると、変性することなく長期間保存できるとされている。しかしながら、レチノイド類またはカロチノイド類の安定性は評価されていない。
本発明で用いるパルミチン酸レチノールはニキビ治療やシワ改善を目的として、クリームや乳液などの皮膚外用剤に利用されてきた。パルミチン酸レチノールはレチノールと比べて安定性が高いが、酸素や紫外線により変質する欠点を有する。パルミチン酸レチノールを安定化した製剤技術が望まれている。
水と不混和性のカロチノイドを水と混和させるために、カロチノイドを充填したリポソームが知られている(特許文献2:特表2004−518707号公報)。カロチノイドとしてアスタキサンチンが例示されており、リポソームを凍結乾燥することも記載されている。しかしながら、カロチノイドの安定性は評価されていない。
アスタキサンチン類と抗酸化剤を含有する組成物が知られている(特許文献3:特開平9−143063号公報)。抗酸化剤としてビタミンA類、ビタミンCが例示されている。しかしながら、アスタキサンチン類と抗酸化剤の安定性は評価されていない。
アスタキサンチンは老化防止効果、抗炎症効果、抗酸化効果に優れ、皮膚外用剤に利用されている。しかしながら、アスタキサンチンは熱、光、酸素等により容易に分解され保存時の安定性が悪いという欠点を有し、アスタキサンチンを安定に配合する製剤化技術が求められている。
アスタキサンチンにアスコルビン酸を添加することによりアスタキサンチンの保存安定性が向上すること(特許文献4:特開平6−264055号公報)、アスタキサンチンを脱酸素剤とともに密封し、アスタキサンチンの保存安定性を向上させる技術(特許文献5:特開平8−12896号公報)が知られている。
リポソームの水分散液を噴霧乾燥して製したリポソーム製剤は非常に不安定であり、安定性を向上させるために、糖類を含有させ、イオン濃度を約20mM以下としたリポソームの水分散液を噴霧乾燥して製したリポソーム製剤が知られている(特許文献6:特開昭64−3115号公報)。
【0003】
【特許文献1】特開昭62−215513号公報
【特許文献2】特表2004−518707号公報
【特許文献3】特開平9−143063号公報
【特許文献4】特開平6−264055号公報
【特許文献5】特開平8−12896号公報
【特許文献6】特開昭64−3115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パルミチン酸レチノールとアスタキサンチンが安定に配合された乾燥リポソーム製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の主な構成は、次のとおりである。
(1)パルミチン酸レチノールとアスタキサンチンとアスコルビン酸及び/又はその塩を含有する乾燥リポソーム製剤。
(2)パルミチン酸レチノールの配合量を100重量部としたときに、アスタキサンチンの配合量が1〜10重量部、アスコルビン酸の配合量が40〜200重量部である、(1)に記載の乾燥リポソーム製剤。
(3)さらにスクロースを含有することを特徴とする(1)又は(2)に記載の乾燥リポソーム製剤。
(4)パルミチン酸レチノールとアスタキサンチンを含有するリポソームが分散したアスコルビン酸水溶液を凍結乾燥又は噴霧乾燥して調製したことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の乾燥リポソーム製剤。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の乾燥リポソーム製剤を第一剤とし、水性製剤を第二剤とし、使用時に第一剤と第二剤を混合してリポソーム分散液とすることを特徴とする皮膚外用剤。
(6)パルミチン酸レチノールの配合量を100重量部としたときに、アスタキサンチンの配合量が3重量部、アスコルビン酸の配合量が70重量部である、(1)に記載の乾燥リポソーム製剤。
【発明の効果】
【0006】
パルミチン酸レチノールとアスタキサンチンとアスコルビン酸を併用したリポソーム分散液を乾燥して得られた乾燥リポソーム製剤は、保存安定性が向上し、再溶解した場合にパルミチン酸レチノール及びアスタキサンチンの劣化が抑制され再現性が高い。パルミチン酸レチノールの配合量を100重量部としたときに、アスタキサンチンの配合量が1〜10重量部、アスコルビン酸の配合量が40〜200重量部であることが適している。スクロースの添加は、リポソームの凍結乾燥からの保護に寄与することができる。
本願発明の乾燥リポソーム製剤は、パルミチン酸レチノールとアスタキサンチンを含有するリポソームが分散したアスコルビン酸水溶液を凍結乾燥又は噴霧乾燥することにより得られる。
本願発明の乾燥リポソーム製剤は、使用時に水溶液や乳液に分散することにより、初期含有量に近いパルミチン酸レチノールとアスタキサンチンを皮膚に塗布適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に用いるパルミチン酸レチノールはレチノールのパルミチン酸エステルである。パルミチン酸レチノールは淡黄色〜黄赤色の固体または油状の物質で、融点は28〜29℃である。油溶性であり、水には殆ど溶けない。パルミチン酸レチノールは市販品を用いることができる。例えば、DSMニュートリション ジャパン(株)製:ビタミンAパルミテート、理研ビタミン(株)製:理研Aパルミテート1000(E)が挙げられる。
【0008】
本発明に用いるアスタキサンチンは、ザリガニの卵から発見されたカロチノイドであり、カニやエビなどの甲殻類、サケの肉、キンメダイの表皮などに存在する。光沢ある紫赤色板状晶で融点は216℃である。アスタキサンチンは市販品を用いることができる。例えば、富士化学工業(株)製:アスタリールオイル50Fが挙げられる。
【0009】
本発明に用いるアスコルビン酸はビタミンCとも呼ばれる物質で、生体内では酸化還元作用に関与している。また、アスコルビン酸は水溶性の抗酸化剤として多用されている。アスコルビン酸は単斜板状または針状結晶で融点は190〜192℃である。本発明に用いるアスコルビン酸はアルカリ金属塩等の塩として用いることができる。アスコルビン酸及び/又はその塩は市販品を用いることができる。例えば、BASFジャパン(株)製:日本薬局方 アスコルビン酸100mesh、DSMニュートリション ジャパン(株)製:L-アスコルビン酸ナトリウム 結晶(食添)が挙げられる。
【0010】
本発明の乾燥リポソーム製剤は、リポソームの水分散液を調製し、凍結乾燥、噴霧乾燥等の手法により乾燥させたものを意味する。
リポソームの水分散液は、以下の方法により製造できる。一例を具体的に説明すると、リポソームの膜成分物質とパルミチン酸レチノールとアスタキサンチンをエタノールで溶解し、アスコルビン酸、スクロース、pH調整剤等を溶解した水溶液を加え65℃に加温しながら、ホモミキサーで乳化する。この乳化した懸濁液を加圧ろ過し、リポソームの水分散液を製造することができる。
膜成分物質1重量部に対して、パルミチン酸レチノールは0.01〜0.1重量部、アスタキサンチンは0.0005〜0.005重量部、アスコルビン酸は0.02〜0.1重量部配合することが好ましい。リポソームの水分散液を調製する際には、水1重量部に対して、膜成分脂質が0.001〜0.05重量部の割合で懸濁させることが好ましい。
【0011】
上記膜成分物質については、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、卵黄レシチン、大豆レシチン等に代表されるリン脂質の他、糖脂質、ジアルキル型界面活性剤の一種以上の混合物が主体となる。そして、これに膜安定化剤としてコレステロール、コレスタノール等のステロール類を、荷電物質としてジセチルホスフェート、ホスファチジン酸、ガングリオシド、ステアリルアミン等を、更に酸化防止剤としてα−トコフェロール等を加えて膜成分物質を形成させても良い。
【0012】
このようにして得られたリポソームの水分散液は凍結乾燥、噴霧乾燥等の方法で乾燥リポソーム製剤とすることができる。例えば、凍結乾燥法としては、上記のリポソームの水分散液をバイアル等の容器に小分け充填した後、通常の凍結乾燥操作を行えばよい。凍結乾燥における望ましい操作としては凍結温度が−20〜−80℃、好ましくは−60℃に急速に凍結させること及び10Pa(0.075Torr)以下の減圧条件で水を昇華させることを挙げることができる。また、噴霧乾燥法としては、上記のリポソーム水分散液を噴霧乾燥にて溶媒を除去した後、無菌的に粉末小分け、密封すればよく、噴霧乾燥における望ましい操作としては、入り口温度を110〜200℃、好ましくは120℃〜150℃にすることを挙げることができる。
【0013】
このようにして得られた乾燥リポソーム製剤は、リポソーム構造並びにパルミチン酸レチノール、アスタキサンチンが安定化されているので、使用時に水性製剤に分散して使用することにより、パルミチン酸レチノール、アスタキサンチンの効果を有効に発揮させることができる。特に、パルミチン酸レチノール、アスタキサンチンの保存安定性について、パルミチン酸レチノール、アスタキサンチン、アスコルビン酸(塩)の相乗効果により、顕著に安定性が向上した。
【0014】
乾燥リポソーム製剤を分散させる水性製剤は、水溶液、外相が水溶液である乳化組成物、又は外相が水溶液である分散組成物等であり、例えば、化粧水、O/W乳液、O/Wクリーム、水性ジェル、美容液、パック剤等が挙げられる。また、本発明の乾燥リポソーム製剤を、水分を含まない粉末原料、例えば、マルトース、スクロース等の糖類、アミノ酸、ビタミンC等の薬剤等と予め混合して保管しておき、使用時に水性製剤に分散して使用することもできる。本発明の乾燥リポソーム製剤又は、本発明の乾燥リポソーム製剤を水性製剤に分散して調製したリポソーム分散液は、化粧料、医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤として使用することができる。
【0015】
リポソーム分散液の調製
表1の組成にて、成分1〜4をエタノールに混合溶解した。溶解の際は、65℃に加温し完全に溶解していることを確認した。30%パルミチン酸レチノールは理研ビタミン(株)製:理研Aパルミテート1000(E)を用いた。理研Aパルミテート1000(E)は30%のパルミチン酸レチノールを含有する。5%アスタキサンチンオイルは富士化学工業(株)製:アスタリールオイル50Fを用いた。5%アスタキサンチンオイルは5%(w/w)のアスタキサンチンを含有する。
次に、この溶解液に、表1の成分6〜9を溶解した水溶液を加え、65℃で加温しながら、ホモミキサーで10,000rpm、15分間攪拌して分散させた。その後、ポリカーボネート製メンブランフィルターで高圧下濾過し、実施例1用リポソーム分散液、比較例1〜8用リポソーム分散液を調製した。
【0016】
【表1】

【0017】
乾燥リポソーム製剤の調製
得られた実施例1用リポソーム分散液、比較例1〜8用リポソーム分散液をバイアルに1.75mLずつ小分け充填し半打栓後、あらかじめ棚温度を−60℃に冷却しておいた凍結乾燥器に入れ、通常の凍結乾燥条件により試料を凍結乾燥させた。乾燥後、窒素置換して打栓をし、実施例1、比較例1〜8の乾燥リポソーム製剤とした。乾燥リポソーム製剤の組成(重量%)を表2に示す。実施例1のパルミチン酸レチノール、アスタキサンチン、アスコルビン酸の配合比率は100:3:70である。
【0018】
【表2】

【0019】
保存安定性の評価
実施例1、比較例1〜8の乾燥リポソーム製剤を40℃で3ヶ月保管し、1ヶ月ごとに
乾燥リポソーム製剤各3本ずつを1バイアルあたり5.0mLの水で復水し、パルミチン酸レチノール、アスタキサンチンの濃度と粒子径およびpHを測定した。
パルミチン酸レチノール、アスタキサンチンの濃度測定には、各復水した分散液をエタノールで正確に20倍希釈した溶液を、0.45μm非水系フィルターろ過した液を試料とした。パルミチン酸レチノール濃度測定の場合は、希釈時にあらかじめ一定量の内部標準溶液(酢酸dl-α-トコフェロール/エタノール溶液またはグリチルレチン酸ステリル/エタノール溶液)を正確に添加した。
各々標準溶液を用時調製し、パルミチン酸レチノールの場合は、標準溶液の内部標準に対する面積比から、アスタキサンチンの場合は標準溶液の吸光度から各濃度を算出し、開始時の濃度に対する比率(対開始時%)を求めた。
【0020】
パルミチン酸レチノールの分析条件を以下に示す。
液体クロマトグラフィー分析条件
分析カラム:YMC-Pack,ODS-AQ(AQ-302) 4.6mm Φ × 150mm
カラム槽温度:40℃
溶離液: メタノール: 水 = 95 : 5
溶離液流量:1.0 mL/min 試料注入量:5μL
検出器:UV 280nm
【0021】
アスタキサンチンの分析条件を以下に示す。
吸光度法分析条件
測定波長: 478.0nm
対照セル: エタノール
【0022】
粒子径の測定には、各復水した分散液を水で20倍希釈した液を試料とし、NICOMP 380ZLS(Particle Sizing Systems社)を用いて、動的光錯乱法(volume weighted Gaussian distribution法)にて粒子径平均を測定した。
pHは、各復水した分散液を直接測定した。
【0023】
色安定性の評価は、5℃3ヶ月保管品を基準として、40℃3ヶ月保管品の色の変化を評価した。色の変化がなく、色安定性に問題がないものを「○」、色が若干変化した物を「△」、色が変化し、安定性に問題があるものを「×」と評価した。
【0024】
乾燥リポソーム製剤の復水後の組成(重量%)および保存安定性評価結果を表3に示す。
【0025】
【表3】

【0026】
パルミチン酸レチノール、アスタキサンチンはそれぞれ単体で凍結乾燥リポソームに配合すると安定性が極めて低い。比較例1に示すように、パルミチン酸レチノールを単体で配合した凍結乾燥リポソームにおいて、40℃3ヶ月保管後には、パルミチン酸レチノールの濃度が56.6%に低下する。また、比較例2に示すように、アスタキサンチンを単独で配合した凍結乾燥リポソームにおいて、40℃3ヶ月保管後には、アスタキサンチンの濃度が85.4%に低下する。
そして、シワ改善効果に優れるとされるパルミチン酸レチノールと老化防止効果に優れるとされるアスタキサンチンを同時に凍結乾燥リポソーム製剤に配合したところ(比較例3)、パルミチン酸レチノールの40℃3ヶ月保管後の残存量は67.2%となり、パルミチン酸レチノールを単独で配合したもの(56.6%)と比べて安定性が向上したが、アスタキサンチンについては、40℃3ヶ月保管後の残存量が69.3%となり、アスタキサンチンを単独で配合したもの(85.4%)と比べて、安定性が大きく低下した。パルミチン酸レチノール、アスタキサンチンそれぞれ単体で凍結乾燥リポソームに配合したとき、安定性が低い問題を有するが、それらを共存させたとき、特にアスタキサンチンの安定性が低下する問題が生じた。
【0027】
パルミチン酸レチノール、アスタキサンチンそれぞれとアスコルビン酸を凍結乾燥リポソームに配合するとパルミチン酸レチノール、アスタキサンチンの安定性が向上する。比較例4に示したようにパルミチン酸レチノールにアスコルビン酸を共存させると40℃3ヶ月保管後のパルミチン酸レチノールの残存量は85.5%となり、安定性が向上する。しかしながら、40℃3ヶ月保管において、色が変化する問題が生じた。比較例5に示したようにアスタキサンチンにアスコルビン酸を共存させると40℃3ヶ月保管後のアスタキサンチンの残存量は93.2%に顕著に向上する。
パルミチン酸レチノールとアスタキサンチンを共存させた比較例3について、アスタキサンチンの安定性が低下する問題が生じたが、パルミチン酸レチノールとアスタキサンチンとアスコルビン酸の3種類を凍結乾燥リポソームに配合したところ、パルミチン酸レチノール、アスタキサンチンのいずれについても安定性が顕著に向上した凍結乾燥リポソーム製剤が得られることがわかった(実施例1)。実施例1に示したように、40℃3ヶ月保管後のパルミチン酸レチノールの残存量は90.2%、アスタキサンチンの残存量は94.4%となり、極めて高い安定性を示した。比較例3の知見から実施例1のアスタキサンチンの安定性が低下するであろうとの予想に反して、アスタキサンチンの安定性は、比較例5のアスタキサンチンとアスコルビン酸を配合したときの40℃3ヶ月保管後のアスタキサンチン残存量93.2%から、実施例1では、さらにパルミチン酸レチノールを配合することにより、アスタキサンチンの残存量が94.4%に向上した。また、パルミチン酸レチノールについても、比較例4のパルミチン酸レチノールとアスコルビン酸を配合したときの40℃3ヶ月保管後のパルミチン酸レチノール残存量85.5%から、実施例1では、90.2%に向上した。そして、実施例1の凍結乾燥リポソームは色安定性に優れている。
【0028】
安定剤として知られているα−トコフェロールの効果も検討した。比較例6でパルミチン酸レチノールとα−トコフェロールを凍結乾燥リポソームに配合した。比較例6のパルミチン酸レチノールの40℃3ヶ月保管後の残存量は60.8%であり、パルミチン酸レチノール単独で配合した比較例1(パルミチン酸レチノール残存量56.6%)と比べて安定性が向上した。しかしながら、パルミチン酸レチノール、アスコルビン酸、α−トコフェロールを凍結乾燥リポソームに配合した比較例7では、40℃3ヶ月保管のパルミチン酸レチノールの残存量が83.1%であり、パルミチン酸レチノールとアスコルビン酸を配合した比較例4のパルミチン酸レチノールの残存量85.5%と比べて、安定性が低下した。α−トコフェロールはアスコルビン酸のパルミチン酸レチノールの安定化効果を阻害する。
【0029】
[処方例1]
第1剤
実施例1で調製したパルミチン酸レチノールとアスタキサンチンとアスコルビン酸を含有する凍結乾燥リポソーム 0.09g
第2剤
下記組成の化粧水 0.91g
成分 質量%
グリセリン 2.0
1,2−ペンタンジオール 5.0
トリメチルグリシン 0.5
ヒアルロン酸ナトリウム 0.0001
クエン酸ナトリウム 適量
クエン酸 適量
精製水 残余
使用法
使用時に第1剤を第2剤に溶解する。
【0030】
[処方例2]
第1剤
実施例1で調製したパルミチン酸レチノールとアスタキサンチンとアスコルビン酸を含有する凍結乾燥リポソーム 0.03g
第2剤
下記組成の乳液 0.97g
成分 質量%
グリセリン 5.0
ジプロピレングリコール 10.0
ヒアルロン酸ナトリウム 0.0001
キサンタンガム 0.1
スクワラン 5.0
ジメチコン 1.0
ホホバ油 1.0
ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル) 1.0
ステアリン酸ソルビタン 0.2
ヤシ油脂肪酸スクロース 0.1
PEG−60水添ヒマシ油 0.5
カルボマーK 0.05
精製水 残余
使用法
使用時に第1剤を第2剤に溶解する。
【0031】
[処方例3]
第1剤
実施例1で調製したパルミチン酸レチノールとアスタキサンチンとアスコルビン酸を含有する凍結乾燥リポソーム 0.09g
第2剤
下記組成の美容液 0.91g
成分 質量%
グリセリン 8.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
ジプロピレングリコール 5.0
ヒアルロン酸ナトリウム 0.001
スクレロチウムガム 0.01
ジメチコン 1.0
マカデミアナッツ油 0.5
マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル 0.5
水添レシチン 0.5
ステアリン酸ポリグリセリル-10 0.5
エタノール 5.0
精製水 残余
使用法
使用時に第1剤を第2剤に溶解する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルミチン酸レチノールとアスタキサンチンとアスコルビン酸及び/又はその塩を含有する乾燥リポソーム製剤。
【請求項2】
パルミチン酸レチノールの配合量を100重量部としたときに、アスタキサンチンの配合量が1〜10重量部、アスコルビン酸の配合量が40〜200重量部である、請求項1に記載の乾燥リポソーム製剤。
【請求項3】
さらにスクロースを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の乾燥リポソーム製剤。
【請求項4】
パルミチン酸レチノールとアスタキサンチンを含有するリポソームが分散したアスコルビン酸水溶液を凍結乾燥又は噴霧乾燥して調製したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の乾燥リポソーム製剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の乾燥リポソーム製剤を第一剤とし、水性製剤を第二剤とし、使用時に第一剤と第二剤を混合してリポソーム分散液とすることを特徴とする皮膚外用剤。


【公開番号】特開2010−13419(P2010−13419A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176986(P2008−176986)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(593106918)株式会社ファンケル (310)
【出願人】(390010205)第一ファインケミカル株式会社 (23)
【Fターム(参考)】