説明

乾燥有機物燃料の製造方法及びその製造装置

【課題】家庭から排出される生ゴミ等の水分量が多く比較的不均一な原材料等であっても、確実に且つ効率よく低コストで発酵乾燥できる乾燥有機物燃料の製造方法及びその製造装置を提供すること。
【解決手段】粉粒体状の有機廃棄物等の水分が含有された有機物原料を、好気性の微生物で発酵乾燥させ、水分が38%以下の粉粒体状に発酵乾燥させる。前記有機物原料を水分調整すると共に加熱殺菌を施し、酵母菌、麹菌、納豆菌等の食用菌を人工的に添加することで粉粒体状に発酵乾燥させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ゴミ、畜産廃棄物、農業副産物等の有機残渣を効率的に乾燥処理することで、化石燃料に代わる低コストのバイオマス燃料等を提供し、地球温暖化防止のための二酸化炭素の削減に大きく貢献できる乾燥有機物燃料の製造方法及びその製造装置と乾燥有機物燃料に関する。
【背景技術】
【0002】
食品工場から大量に排出される有機廃棄物や家庭から排出される生ゴミは、高いコストをかけ、石油によって、火力乾燥されるか、焼却処理をされてきた。また、建築廃材や事務所から大量に発生する紙・布類等も焼却処分を行い、無駄なCOを発生させ、環境を悪化させている。
一方、地球温暖化防止のCO削減のために、今までは焼却処分されていた水分の多い生活生ゴミ等の石油による焼却ができなくなってきている。
そして、限りある化石燃料の枯渇によって、熱エネルギーのコストは高騰している。
【0003】
これに対して、畜糞等も炭化して燃料として使用する技術や、乾燥が十分でないきのこの廃菌床等をボイラーで燃焼させてエネルギーに転換する技術が、過去にもいくつかが存在した。
しかしながら、それらの有機残渣を原料とする燃料を燃焼させる時には、悪臭が発生すること、カロリーが上がらないこと、煙が出ること、灰が出ること、コストが高いこと等多くの問題を残したため、実用化の段階まで至らなかった。
このような実情から、有機残渣の燃料化については、石油を使用せずに有機残渣が含有する多量の水分を短時間且つ低コストで乾燥させること、悪臭を発生させずに燃料として使用できること、今まで以上に高熱量を発生させることの三つが、大きな課題になっている。
【0004】
以上に説明した課題を解決するため、本発明者は、既に微生物を有効利用した高速発酵乾燥法について提案してある(特許文献1参照)。これによれば、石油エネルギーを使用せずに短時間で大量に乾燥できるため、コストの削減になり、しかも簡単な施設で製造できる。
【特許文献1】特開2006−116529号公報(第1頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
乾燥有機物燃料の製造方法及びその製造装置に関して解決しようとする問題点は、特許文献1の乾燥方法にあっては、きのこの廃菌床等の安定的な特定の原材料を乾燥する場合には優れているが、生ゴミ等の水分量が多く比較的不均一な原材料等を、必ずしも効率よく乾燥できない点にある。
そこで、本発明の目的は、家庭から排出される生ゴミ等の水分量が多く比較的不均一な原材料等であっても、確実に且つ効率よく低コストで発酵乾燥できる乾燥有機物燃料の製造方法及びその製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明にかかる乾燥有機物燃料の製造方法の一形態によれば、有機廃棄物等の水分が含有された有機物原料を、好気性の微生物で発酵分解させ、水分が38%以下の粉粒体状に発酵熱により急速乾燥させる。
また、本発明にかかる乾燥有機物燃料の製造方法の一形態によれば、有機廃棄物等の水分が含有された有機物原料を、菌類によって発酵させることで粉粒体状に乾燥させる乾燥有機物燃料の製造方法において、前記有機物原料に加熱殺菌を施し、酵母菌、麹菌、納豆菌等の食用菌を人工的に添加することで粉粒体状に発酵乾燥させることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる乾燥有機物燃料の製造方法の一形態によれば、前記有機物原料を水分調整し、酵母菌、麹菌、納豆菌等の食用菌を人工的に添加することで、20日以内で水分を38%以下の粉粒体状に発酵乾燥させることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる乾燥有機物燃料の製造方法の一形態によれば、前記有機物原料の水分調整は、全体水分を45〜70%に調整し、且つ容量比重を0.3〜0.7にすることを特徴とすることができる。
【0007】
また、本発明にかかる乾燥有機物燃料の製造方法の一形態によれば、発酵槽の床部が木板張り又は網張りで上げ床に設けられた発酵槽を使用することを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる乾燥有機物燃料の製造方法の一形態によれば、前記有機物を連続的に乾燥させるように、平型発酵槽では床部、上面が開放された断面方形のスクープ式発酵槽では床部及び側壁部を、木材、ステンレス鋼等の金網、炭化物、セラミック又はプラスチックのいずれか一又は組合せによる構造材で設け、該構造材と構造材の隙間を接着剤等で埋めないで空気の通路を作り、ロータリー型回転刃又はスクープ式せり上げ刃を備える装置等で前記床部上の有機物の切り返しと移動を同時に行い、有機物を順次供給すると共に移動させて乾燥処理することを特徴とすることができる。
【0008】
また、本発明にかかる乾燥有機物燃料の製造方法の一形態によれば、前記加熱殺菌の方法が蒸気殺菌であることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる乾燥有機物燃料の製造方法の一形態によれば、前記有機物原料に対する水分調整剤又は火力調整剤として、トウモロコシの芯・茎若しくは葉等の乾燥有機物の粉砕物及び/又はプラスチック粉砕物が1〜30%、好ましくは5〜15%混合され、粉粒体状に乾燥されることを特徴とすることができる。
【0009】
また、本発明にかかる乾燥有機物燃料の製造装置の一形態によれば、有機廃棄物等の水分が含有された有機物原料を、発酵槽で菌類によって発酵させることで粉粒体状に乾燥させる乾燥有機物燃料の製造装置において、前記有機物原料を前記発酵槽へ供給して発酵させる前にほぐして均質化すると共に加熱殺菌するために、該有機物原料を混合攪拌するミキサーと、該ミキサー内を加熱する加熱装置とが設けられたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる乾燥有機物燃料の製造装置の一形態によれば、有機廃棄物等の水分が含有された有機物原料を、発酵槽で菌類によって発酵させることで粉粒体状に乾燥させる乾燥有機物燃料の製造装置において、前記発酵槽は、床部が木板張等によって上げ床に設けられた平型発酵槽であって、前記発酵槽内には、木材、ステンレス鋼等の金網、炭化物、セラミック又はプラスチックのいずれか一又は組合せによる床材で設けられた床部と、該床部の前記床材と床材の隙間を接着剤等で埋めないことで形成された空気の通路と、前記床部上の前記有機物の切り返しと移動を同時に行うようにロータリー型回転刃を備える有機物の撹拌移動装置とが設けられ、前記床部の床下に床暖房が施されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる乾燥有機物燃料の一形態によれば、前記の乾燥有機物燃料の製造方法又はその製造装置によって製造されたことを特徴とする。
また、本発明にかかる飼料又は土壌改良材の一形態によれば、前記の乾燥有機物燃料の製造方法又はその製造装置によって製造されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる乾燥有機物燃料の製造方法及びその製造装置によれば、家庭から排出される生ゴミ等の水分量が多く比較的不均一な原材料等であっても、確実に且つ効率よく低コストで発酵乾燥できる特別有利な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の乾燥有機物燃料の製造方法及びその製造装置に係る最良の形態例を以下に詳細に説明する。
有機廃棄物等の水分が含有された有機物を、菌類によって発酵させることで粉粒体状に乾燥させる本発明にかかる乾燥有機物燃料の製造方法及びその製造装置によって、本発明にかかる乾燥有機物燃料が生産される。
本発明の乾燥有機物燃料の製造方法にあっては、有機廃棄物等の水分が含有された有機物原料を、好気性の微生物で発酵分解させ、20日以内で水分が38%以下の粉粒体状に発酵乾燥させる。水分を38%以下にすることで、腐敗発酵に移行せず、悪臭の発生を防止できる。また、短時間の発酵乾燥工程によりエネルギーの損失を最小限に抑えることができる。
【0014】
また、本発明の乾燥有機物燃料の製造方法にあっては、有機物原料に水分調整及び/又は加熱殺菌を施し、酵母菌、麹菌、納豆菌等の食用菌を人工的に添加することで粉粒体状に発酵乾燥させる。この水分調整及び/又は加熱殺菌によって、食用菌が繁殖する条件を好適に整えることができ、効率よく乾燥できる。
有機物原料の水分調整は、全体水分を40〜70%、好ましくは45〜55%に調整することで、発酵条件をより整えることができ、効率よく乾燥できる。なお、有機物原料の水分が適度であって、水分調整が必要でない場合は、そのまま発酵工程へ進めばよい。
【0015】
また、有機物原料の水分が多い場合は、容量比重をモミガラ、ソバガラ、トウモロコシの芯、紙くず、布くず、建築廃材、プラスチックの粉砕物等で軽くなるように調整することにより間隙ができ、空気が適度に入ることにより好気性発酵が促進され、短期間に発酵乾燥が進み燃料としての使用が可能となる。
水分率38%まで好気性発酵乾燥させる期間を20日以上かけた場合、微生物の栄養源として原料中のエネルギーが消耗するため、燃料としての発熱量が失われることにより燃料に適さなくなる。微生物の発酵熱を利用してできるだけ早く原料中の水分を外部に排出することが大切である。
そのためには、原料の容量比重を0.3〜0.7に調整すると良く、好ましくは0.4〜0.6にする。容量比重の測定方法は、原料を発酵槽に投入したときのその容量当たりの重量から計算する。
【0016】
本発明にかかる乾燥有機物燃料の蒸気ボイラーによる燃焼試験によれば、乾燥期間が10〜20日の乾燥有機物燃料では蒸気を発生させるための発熱量が十分に高く、30日間以上をかけて乾燥させたものは発熱量が極端に低下するという結果が得られた。さらに、乾燥期間が40〜50日に長期化すると高温燃焼がなされず、有効な蒸気を発生できなかった。また、腐敗菌によって発酵されたものは、乾燥期間が短くても発熱量が極端に低下するという結果が得られた。
【0017】
また、加熱殺菌の方法としては蒸気殺菌によれば、効率的に行うことができる。
さらに、蒸気殺菌を、水分調整等のための混合工程中に同時に行うことで、より効率的に行うことができる。有機物原料が混合される際に攪拌されるため、その原料全体に蒸気の熱エネルギーを当て易いためである。また、蒸気をその原料に直接当てることで水分調整を行うこともできる。過熱蒸気を利用すれば、有機物原料を乾燥できる。
この有機物原料の混合攪拌は、例えばリボン型ミキサー等のミキサーで行われ、有機物原料を発酵槽へ供給して発酵させる前にほぐして均質化できる。また、そのミキサー内を加熱する加熱装置によれば、ミキサー内で混合攪拌される有機物原料を効率よく殺菌できる。
【0018】
有機物原料に対する水分調整剤又は火力調整剤としては、例えば、トウモロコシの芯・茎若しくは葉等の乾燥有機物の粉砕物及び/又はプラスチック粉砕物を1〜30%、好ましくは5〜15%混合させることができる。安価で入手し易い材料で、好適に調整できる。
また、有機物原料の少なくとも一部が粉砕された生ゴミ及び/又はきのこの廃菌床(以下、「きのこの廃培地」ともいう。)である場合は、その原料が菌類の栄養になって好適に発酵乾燥できる。
【0019】
また、発酵槽の床部が木板張り又は網張りで上げ床に設けられた発酵槽を使用することで、空気の供給が好適に行われ、発酵を促進して乾燥時間を短縮できる。
さらに、平型発酵槽では床部、上面が開放された断面方形のスクープ式発酵槽では床部及び側壁部を、木材、ステンレス鋼等の金網、炭化物、セラミック又はプラスチックのいずれか一又は組合せによる構造材で設け、該構造材と構造材の隙間を接着剤等で埋めないで空気の通路を作り、ロータリー型回転刃又はスクープ式せり上げ刃を備える装置等で前記床部上の有機物の切り返しと移動を同時に行い、有機物を順次供給すると共に移動させて乾燥処理する。これによれば、全面からの空気の供給が好適に行われ、前記有機物を連続的に効率よく乾燥できる。
さらにまた、前記床部の床下に床暖房を施すことによって、冬季でも効率よく発酵乾燥ができる。
【0020】
ところで、本発明は、本発明者が既に提案した高速発酵乾燥法(特開2006−116529号公報参照)を基礎とし、その技術を応用して乾燥有機物燃料をさらに効率よく製造するための技術である。
以下に、特開2006−116529号公報で開示された技術内容を、添付図面(図1及び2)に基づいて説明する。図1は本発明にかかる高速発酵乾燥施設の斜視図であり、図2は図1の側面図である。
【0021】
この高速発酵乾燥施設によれば、例えば食品工場から発生する生ゴミ等の有機物の原料(20)を、微生物が繁殖するための適温に調整するなど条件を整えることで、その微生物のエネルギーを最大限に活用して発酵乾燥させることができる。
最適の発酵環境を作るために、原料の厚さを40cm〜80cm位とし、山脈形のように盛る。また、床等の原料が直接触れる部分は、コンクリートにせずに、木材、ステンレス鋼等の金網、木炭、プラスチック、粘土(セラミック)等の材料を用い、多面から空気の吸入が可能な環境にする。好ましくは、床下は中空(15)にして適度な圧の空気を挿入する。
さらに、施設はビニールハウス(10)で太陽熱も利用できる。また、発酵を促進し、より多くの水分を微生物に吸収させ、より短時間で発散させるため、コーンコブミールを添加する。
【0022】
つまり、この技術は、既知技術の欠点を克服しようとするもので、微生物の特性を最大限に応用し、床材(12)にはコンクリートを使用せず、できる限り、床上げ中空式の発酵装置を使用し、下部からも自然的な給気を行い、短時間低コストで発酵乾燥させる技術である。また、その発酵乾燥によって得られた資材(50)を利用することによって、環境破壊を防止することができる技術である。
先ず、この技術は、生ゴミ等の有機物の石油を使用しない微生物エネルギーの効率的な活用及びロータリー型の撹拌による低コストでの乾燥方法、及び床材や原料の堆積高さ等、腐敗発酵や高温発酵を起こさない善玉微生物群の環境条件の発見という2つの技術から成り立っている。
【0023】
微生物は、増殖の過程で熱エネルギーを発生し、菌糸を張りめぐらせて行く。その過程において、水分を分離し、乾燥を促進させる。それを最も効率的に行う方法として空気を上面と下面の両面から自然的に供給する。
従来の方法も下面から空気を入れていた。しかし、それは強制的に又は集中的に送り込むため、高温菌である枯草菌が増殖し、ブザリウム菌等の悪玉菌と戦う力がない。よって病気を治す力が弱い。従って、床部は床下から床上への空気の流れが自然的になるように制限される材質又は構造とすればよい。
【0024】
中空床は、自然的に空気を供給する方法で木質材等の内部を浸透する空気を利用する。そのために多少の圧力を必要とする。
また、空気を浸透しない材料を使用する場合は、無数の小さな孔や隙間を作る。なお、下面側からの空気を入り易くするため、床材の下面の角について面を大きく取るとよい。材料と材料の間は単に突き合わせても隙間はできるが、0.5mm〜2mm位の隙間を作ることが好ましい。
これによって、最も自然的に表土に順応した酵母菌、麹菌、納豆菌、放線菌等が、コーンコブミールに多く含有する糖分とリグニンを餌及び住家とし、善玉菌の微生物群が増殖する。
【0025】
しかも、一気に四方八方から菌糸が増殖することによって、また、数回の切り返しによって全体が菌糸に占領されて菌が水分を吸収することによって短時間で乾燥物ができる。
発酵乾燥ラインにおける後の1/3は乾燥工程になっており、床材に開けられた空気孔(16)によって換気が十分になされ、急速に乾燥される。但し、空気は50℃以下の空気を利用する。それ以上になると微生物が死滅する。切り返しの発酵作業は1〜3日に一回、乾燥作業は1日に二回を基本とする。
図1及び2の実施例では、中空(15)の高さ間隔を20cm、原料(20)の堆積高さを約50cmに設定した。また、かまぼこ状の原料の幅は約5m、その送り方向の長さは全体で30mとなっている。図2に示すように、前区間(a)の20mは発酵工程となっており、後区間(b)の10mが乾燥工程となっている。なお、後区間(b)の床板部(12)には、直径が5mm程度の空気孔(16)を多数開けてあり、通気性を高めてある。また、下部には温水パイプ(17)を張り巡らせ床温を上げる。
【0026】
床材は金網利用かコンパネの利用か又は薄い木質板を利用する。できれば、表面を炭化した物を利用する。病気の防除の目的から雑菌が増すコンクリートの床や壁を作らない。アルカリ性が強いため、別の悪玉菌が増殖する。なお、床板が木材でも腐敗発酵でないため、腐ることはない。
セラミック板、又はプラスチック板を利用する場合は空気の吸入を図るため、例えば20〜50cm角の平板を利用するとよい。並べる段階で板と板の隙間が自然にできるため、空気の流通が可能である。
【0027】
側壁は基本的に必要がない。発酵原料(材料)をかまぼこ型に盛り上げて堆積させれば、材料の両側が側壁に触れることによる雑菌の侵入を最小限にできる。撹拌機はトラクターに用いられるロータリー型のかき混ぜ装置(30)を用いる。これによって、中高のかまぼこ型の撹拌と、材料の移動が自動的に行われる。
つまり、このロータリー型のかき混ぜ装置(30)によれば、閉ループ状の軌跡(31)のように移動すると共に、図2に示す矢印(32)のように回転刃が回転する。これにより、原料(20)を切り返すと共に、その原料(20)を白抜き矢印の方向へ順次送ることができる。
なお、側壁に材料が触れた場合、その接触面は水分を周囲から吸収し、発散を防止するため、水分過多となる。そのため、悪玉微生物が多数発生してしまう。
以上が、病虫害の対策資材の製造に必要な善玉菌増殖の最適な環境条件である。
また、原料の堆積を厚くするため側壁が必要となって、上面が開放された断面方形のスクープ式発酵槽を用いる場合、その発酵槽の側壁の形態を、前述の床材と同様に設けてもよい。例えば、図4に示すようにスクープ式発酵槽の床部及び側壁部を網張りにすることができる。
【0028】
有機廃棄物とは、農産、畜産、食品産業、家庭から出るゴミ、ホテル・レストラン等から出る植物質及び動物質の廃棄物であって、例えば、きのこの廃培地、もみ殻、麦皮、コーンコブミール、汚泥、バガス、そば殻、豆ガラ、米ぬか、オカラ、果実ジュースの搾りかす、調理で生ずる生ゴミ、牛、羊、豚、鶏、その他の飼養動物の糞等を包含する。
【0029】
上記は、発酵熱を利用する操作を述べたが、所望により発酵を外部からの加熱及びより多い給気下で行って促進させることもでき、加温空気を用いて加熱と給気を同時に行うこともできる。
処理される有機物は必要に応じて水分調整をする。調整材は乾燥物の利用用途によって異なるが、乾燥物の草質材(もみ殻、コーンコブ、わら、そば殻、麦皮等)、米ヌカ、フスマ、乾燥オカラ等で水分調整を行う。水分率は、例えば50〜55%を最適として最高で70%以下にする。また、戻し乾燥物ができる2度目以降は、微生物の発酵基材として、その戻し乾燥物を利用してコストを抑える。
【0030】
病気を治す善玉菌群は、食用菌群であるが、これは高温菌ではない。そのため、発酵温度が57℃以下になるように、切り返し回数等の作業によって調整する。水分が多過ぎる場合は、アンモニア化成菌が増殖した後に、枯草菌が発生して温度が上昇する。それは堆肥としての効果はあるが、病気を治すことができない。
かつて、作物の病気は農薬等の化学薬品によって処理されてきた。しかし、現在の農地はその多用によって土壌環境が破壊され、病気を抑えることができなくなった。化学農薬の対症療法による農業の限界が見えてきた。そのような現実に直面し、本発明者は、病気における根本的問題解決のため、微生物群による病気の対応に取り組み、ようやくその菌群の培養とその菌群の最も好む環境条件の発見に成功したのである。
【0031】
好ましい水分は45〜55%、温度は35〜57℃、接地材は木材、セラミック材又は炭化物等が好ましく、原料の堆積高さ50〜70cmのかまぼこ型等の菌の好む条件を与えることにより、善玉菌群が活性化する。
それが土壌に還元されたときには、急激に活動を起こし、悪玉菌群を攻撃するのである。そのため、適度な栄養源が必要である。なお、完全発酵物は病気を治す力が弱い。以上の最適条件の基に培養した善玉菌は、今までの常識を打ち破る病気に対する治癒効果がある。そのことが、多くの栽培試験で実証された。
【0032】
更に得られた発酵物は、土壌障害を解決するだけでなく、土壌中に残留するダイオキシンを分解して無害とし、また、残留農薬や化学肥料の有害物も微生物の作用によって浄化する。今、大きな問題となってきた未分解の亜硝酸態窒素が土壌中に残留し、それを吸収した作物等を食べた人畜が健康を大きく損なうことになる。これに対して、本発明に係る資材は、その亜硝酸態窒素を安定した硝酸態窒素に転換して人畜の健康を守るものであり、地球環境を浄化する最も優れた今までになかった資材である。
【0033】
更に、その善玉菌による発酵物は、飼料又は食料として使用できる。その効果は、善玉菌の酵素の作用により健康に育ち、肉質が良くなり、産卵率が向上する。
また、その発酵乾燥物は、畜産の敷料として使用できる。栄養源が少なく、リグニンの多い生ゴミの乾燥物は、特殊な微生物で発酵乾燥させることにより、それ自身も敷料と同時に発酵剤としても機能し、悪臭問題を解決させる。そして、その畜糞も、病気を治す土壌改良資材に転換できる。また、その地域全体もその発酵物を使用することにより、地域全体に善玉菌群が繁殖増大して、今問題化している悪い伝染病から人畜を守ることができる。但し、栄養源の多い生ゴミの発酵物を敷料としてを利用した場合は、発酵温度が急速に上がり、夏場においては飼育環境に合わない。
【0034】
有機質肥料としての使用においては言うまでもなく、作物の増収と品質の向上に大いに役立つ。特に化学肥料の使い過ぎによって残留するリン酸分が、微生物の作用で分解吸収されて同化作用が促進され、丈夫でしっかりした作物が育ち、糖度が上がる。そのため、病気にならないし、病気を治すこともできる。従って、害虫にも犯されにくい。当然、農薬の散布回数も激減する。
【0035】
種菌は、戻し乾燥物のみの使用では菌が退化するため、純粋培養した種菌を必要量毎回添加して菌群を常に活性化させる。
空気(温風)の送入は、ブロアによって行うが、加温は良質の可燃ゴミの乾燥燃料の活用が理想的である。これによれば、地球温暖化防止の意味も含め、資源の有効活用を図ることができる。
【0036】
次に、本発明にかかる有機物の発酵乾燥の形態例について、その作用と効果を含めて、さらに詳細に説明する。
本発明にかかる有機物の発酵乾燥の処理工程で製造される粉粒体状の発酵燃料は、石油の代わりの燃料として有効に利用され、無駄な炭酸ガスの発生を抑え、地球環境を守り、温暖化を防止できる。
【0037】
本発明による燃料が低コストである理由は、先ず、高い水分を含有する食品残渣や生ゴミ等を水分調整剤として活用でき、更に微生物を活性化させる為の貴重な栄養源として用いる点にある。食品残渣や生ゴミは、非常に栄養価が高く水分が多い為に放置すると臭化問題が発生するが、活用すると栄養源として最適である。
また、一方では、林業、木工業から排出される木質類、建築業界の廃材、家庭や事務所から出る布・紙・プラスチック等の水分の少ない廃棄物は単独では発酵する事が出来ないが、水分や栄養の高い食品残渣とのバランスの取れた混合によって発酵が一気に進み分解して粒体が混じった粉末となる。
【0038】
なお、プラスチック類の混合は乾物計算で10〜15%以下にとどめる事が大切である。それ以上であると熱によるプラスチック成分の分解が進み過ぎ、不完全燃焼による有害ガスが大量に発生する。又、適度な混入は有害ガスを抑え、発酵燃料の発熱量を増大させる。好ましくは5〜8%である。プラスチックは5mm以下の粉砕物とした物を使用する。
【0039】
ちなみに、現在、長野県中野市(人口約46,000人)において、年間1.4万t(内生ゴミ5,000t)可燃ゴミが焼却処理されており、kg当り39円の処理料をかけ焼却処分されている。
これを本発明による方法で製造処理した場合、製造コストは20円/kg以下となり、同時にCO削減の為のバイオマス燃料となる。中野市の処理料の半分以下で発酵燃料が生産できることになり、環境問題の解決が計れる事を考えれば生産コストはマイナスのコストとなる。
【0040】
また、腐敗した生ゴミは処理過程で猛烈な臭気を発生し、又それを乾燥して燃焼させる時にも悪臭を発生させる。又キノコの廃培地等も水分の多い物を燃焼させると特有の臭気を発生し、近隣に迷惑をかける。
それらの臭気問題を解決させるために、原料は水分調整と同時に蒸気による殺菌をミキサー内において行い無菌状態にする。
殺菌時間は30〜60分、原料の温度が下降の段階で添加する微生物の適温となった時点にて速やかに種菌を添加させ撹拌して悪臭問題を出さない酵母菌を中心とした麹菌、乳酸菌等の食用の善玉菌群の近純粋培養を開始させる。また、この工程で生産された乾燥有機物燃料の一部を、ミキサーに戻すことで種菌として用いることができる。
【0041】
全体原料の水分は例えば55%に調整し、出来上がり水分は好ましく20%以下とする。35%以上の水分があるとカロリーが下がるだけでなく臭気問題が生まれる。菌糸の回りが速い為、条件をよくすると一日に15cm位の菌糸が回り、乾燥する。その為、前半は発酵行程(a)として一日一回、後半は乾燥行程(b)として一日2回の切り返しが望まれる(図2参照)。
雑菌が混入すると燃焼時に悪臭が出るため、雑菌の侵入しない発酵槽を用いる(図1参照)。そのために発酵槽の床は、コンクリートや地面に接することの無いよう上げ、床式の木板張りにするか、又は床下に空間を設けた長方形の槽を作り、下側からも自然的に空気が吸収出来るよう通気孔を設け、床に接した部分が蒸れることを防止する。
【0042】
これにより、上下両面から善玉菌群の増殖が進み、材料内部まで菌が浸透し、材料中の水分を菌自身が吸収し、水蒸気に変える。同時に発熱し、回りの空気が対流を起こすため、床下の空気も上側に吸い上げられ一気に発酵乾燥が促進する。
また、上側が乾燥し過ぎて発酵が止っても下側からは相変わらず発酵が進み蒸れることが無いために乾燥度は非常に高まる。
さらに、冬期においてはハウス温度が低くなるため、この発酵燃料を使用して床暖房を行う。原料の殺菌処理に用いたボイラーを用いて高圧蒸気による床暖房を行えば、効率よい。
【0043】
一方では廃プラ問題が課題になっているが、選別しやすいものは選別にこしたことはないが、逆に選別することによってエネルギー消費が増大しコスト高となり環境を悪化させて社会的に大きな負担になっている場合が多い。このようなプラスチック類は粉末に加工し、発酵燃料の火力増進剤として一定量添加させ、バイオマス燃料の火力調整剤として利用すると良い。
また、発酵過程や燃焼過程で水分の問題や木質系資材の調整を行うための発酵基材として、トウモロコシの芯・茎・葉等を粉砕圧縮して吸水性・保水性を改善し、微生物の培養に適した資材商品名「プレスコーン」(池田農興製、長野県埴科郡坂城町大字上平305番地44−17号)を使用する。
【0044】
さらに、冬期においてはハウス内の温度が上昇しない為、発酵が思うように進まないゆえに乾燥が遅れ生産量が下がる。そのような問題解決の為、床下に床暖房のパイプを張りめぐらして高圧蒸気又は高温水を流し、床を加温させる。それにより冬期においても一気に乾燥が進む。熱源は、もちろん自ら生産したバイオマス燃料を使用すればよい。
本システムの発酵乾燥機で乾燥仕上げすることにより、素材の内部まで微生物の侵食活動によって目に見えない気孔が浸透し、素材が膨軟化する。また、発酵過程で適度に分解され粉状となる為、粉末燃料としてガス化し易く燃え易くなる。
以上の理由によって、前述の背景技術の欄で示した三つの課題は解決する。
【0045】
つまり、水分調整した生ゴミを人間や作物に無害な低温菌で処理し発酵を行い、腐敗発酵をしない特殊な発酵槽を用いて下側からも同時にて低圧空気を起こし、微生物の活動を活性化させ材料中の水分を大量に吸収し水蒸気として空中に発散させる。それによって化石燃料は使用せず低コストで粉粒体状燃料が出来る。また、微生物の作用で材料深部まで気孔が浸透する為にガス化が促進され、発熱量が上がる。さらにまた、臭気の問題に関しては高温菌によるアンモニア化成菌と異なり悪臭を発生しない為、臭気問題も解決する。
【0046】
そして、本発明によれば、環境公害の発生源になっている各市町村の塵(ゴミ)処理問題を極力低いコストで解決させ、同時に塵全体の適正混合によってゴミ類をバイオマス燃料に転換できる。
よって、石油資源の節約と二酸化炭素排出の削減等により地球の温暖化防止にも役立つ。
また、各家庭においても必要以上の煩わしい選別作業の必要もなくなり集荷、物流に対するコストも大幅に節減できる。
今までは、大きな物流コストとエネルギーをかけ焼却処分されていたゴミ類が、低コストで処理できた上に有価燃料に転換できるため、行政の財政削減に大きく貢献する。
【0047】
また、本バイオマス燃料は粉末(又は小粒状)であるために自動供給が可能で火力が安定する。微生物の侵食作用によって素材が膨軟化する為、非常に燃え易くなり、完全燃焼する。その為に焼却灰が激減する。木質及び生ゴミ主体の発酵燃料の良質な焼却灰は最高の土壌改良剤となり土壌に還元出来る。
なお、粉末燃料を物流問題や他の理由により、ペレット又は固形化して使用することに対しても、何ら問題は無い。
【0048】
本システムの趣旨は、環境問題を解決する為、総ての無駄を削減する「地域循環型社会」の確立である。本発明は食品会社等の一企業においても有効に活用出来るが、行政単位において民間の活力を利用することで、各地域・地域において地域興しを兼ねた本システムの実施が好ましい。
【0049】
以下、長野県中野市が行政として本システムを取り入れた場合(仮定)の最良の形態例を試算してみる。
平成17年、14,000tの焼却ゴミが発生し、内生活生ゴミ26%、古紙19%、プラスチック類が13%、布類5%、その他(雑誌紙・草木類)37%の構成比の塵類が、55億円の建設費をかけて作った償却設備に運び込まれて処理された。
全体水分が35%のため、そのままでは発酵はしにくいが、上記塵類に含まれない食品廃棄物及び畜産廃棄物の水分80%以上の産業廃棄物を利用する事により全体水分を55%に調整できる。
【0050】
中野市の場合、焼却処理されている一般廃棄物と産業廃棄物を粉砕し、プールして燃料化を考えた場合、水分調整及び栄養的にも全体バランスが取れるため、年間14,000t発生する焼却ゴミから10,000t以上のバイオマス燃料が生産される。
また、この試算によれば、燃料化に必要な設備資金は焼却設備の1/8以下である。さらに、製造処理に関するコストは1/2以下となる。
【0051】
なお、焼却灰を再利用する必要の無い場合は、下水汚泥を水分調整剤として使用できる。それを行政機関の一つであるゴミ焼却場自身で石油の代替燃料として使用し、バイオマス燃料に転換出来ない可燃ゴミの燃焼処理に利用し、その焼却灰は最終処分場へ運ぶ。その一連のシステムの確立により最終処分場の利用期間は著しく延命する。
本発明における主なポイントは、第一に可燃物を微生物によって処理すること、第二に原材料を加熱殺菌処理すること、第三に発酵槽は木板張り又は網張りで中空床上げ式になっていること、第四に床暖房方式であることの四大ポイント等によって成立している。
【0052】
次に、図3に基づいて、本発明にかかる乾燥有機物燃料の製造装置システムについて説明する。図3は、本発明にかかる乾燥有機物燃料の製造装置システムのブロック図である。
このシステムによれば、先ず、有機物原料を、発酵工程に供給する前に粉砕機とミキサーによって調整する。ミキサーでは、複数の原料を混合することで水分調整を行うことができる。水分調整の原料としては、本製造装置システムによって生産された乾燥有機物燃料の一部を戻して使用することもできる。これによれば、水分量の多い有機物原料にも好適に対応できる。
なお、粉粒体状の有機物原料や調整原料が供給される場合は、粉砕機(又は破砕工程)を特に必要としない。また、単一の有機物原料を発酵させる場合、ミキサーによって、混合する必要は無いが、その原料をほぐして均質化することができる。
【0053】
また、有機物原料を加熱殺菌する加熱装置としては、蒸気を発生させるボイラーを用いることができる。蒸気殺菌は、その後の食用菌類による発酵を良好に行うために適した殺菌方法である。
さらに、図3に示すように、本形態例のボイラーは、ミキサー内に蒸気を供給してその内部を加熱する加熱装置として設けられていると共に、平型発酵槽の床暖房の熱源としても用いられる。従って、ボイラーを効率よく利用できる。
そのボイラーの燃料としては、本製造装置システムによって生産された乾燥有機物燃料を使用でき、極めて効率のよい製造プラントになっている。
【0054】
本発明は、有機物原料の容量をなるべく減らさないで、より多くの乾燥有機物燃料を得ることを目的とする技術である。従って、一般的な生ゴミの減量化とは反対の考え方であり、生ゴミを固体燃料として最大限に活用できる方法になっている。
なお、有機物原料の一部としては汚泥のような流動性がある物も含まれる。本発明では、そのような流動性のある有機物原料を適宜混合することで、水分調整をして、燃料化できる技術にもなっている。
【0055】
以上、本発明につき好適な実施例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明にかかる有機物の発酵乾燥施設の形態例を示す斜視図である。
【図2】図1の発酵乾燥施設の側面図である。
【図3】本発明にかかる乾燥有機物燃料の製造装置システムのブロック図である。
【図4】本発明にかかる有機物の発酵乾燥施設の他の形態例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
10 ビニールハウス
12 床板部
15 中空
20 原料
30 ロータリー型のかき混ぜ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機廃棄物等の水分が含有された有機物原料を、好気性の微生物で発酵分解させ、水分が38%以下の粉粒体状に発酵熱により急速乾燥させることを特徴とする乾燥有機物燃料の製造方法。
【請求項2】
有機廃棄物等の水分が含有された有機物原料を、菌類によって発酵させることで粉粒体状に乾燥させる乾燥有機物燃料の製造方法において、
前記有機物原料に加熱殺菌を施し、酵母菌、麹菌、納豆菌等の食用菌を人工的に添加することで粉粒体状に発酵乾燥させることを特徴とする乾燥有機物燃料の製造方法。
【請求項3】
前記有機物原料を水分調整し、酵母菌、麹菌、納豆菌等の食用菌を人工的に添加することで、20日以内で水分を38%以下の粉粒体状に発酵乾燥させることを特徴とする請求項1又は2記載の乾燥有機物燃料の製造方法。
【請求項4】
前記有機物原料の水分調整は、全体水分を45〜70%に調整し、且つ容量比重を0.3〜0.7にすることを特徴とする請求項3記載の乾燥有機物燃料の製造方法。
【請求項5】
発酵槽の床部が木板張り又は網張りで上げ床に設けられた発酵槽を使用することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の乾燥有機物燃料の製造方法。
【請求項6】
前記有機物を連続的に乾燥させるように、平型発酵槽では床部、上面が開放された断面方形のスクープ式発酵槽では床部及び側壁部を、木材、ステンレス鋼等の金網、炭化物、セラミック又はプラスチックのいずれか一又は組合せによる構造材で設け、該構造材と構造材の隙間を接着剤等で埋めないで空気の通路を作り、ロータリー型回転刃又はスクープ式せり上げ刃を備える装置等で前記床部上の有機物の切り返しと移動を同時に行い、有機物を順次供給すると共に移動させて乾燥処理することを特徴とする請求項5記載の乾燥有機物燃料の製造方法。
【請求項7】
前記加熱殺菌の方法が蒸気殺菌であることを特徴とする請求項2、3、4、5又は6記載の乾燥有機物燃料の製造方法。
【請求項8】
前記有機物原料に対する水分調整剤又は火力調整剤として、トウモロコシの芯・茎若しくは葉等の乾燥有機物の粉砕物及び/又はプラスチック粉砕物が1〜30%混合され、粉粒体状に乾燥されることを特徴とする請求項2、3、4、5、6又は7記載の乾燥有機物燃料の製造方法。
【請求項9】
有機廃棄物等の水分が含有された有機物原料を、発酵槽で菌類によって発酵させることで粉粒体状に乾燥させる乾燥有機物燃料の製造装置において、
前記有機物原料を前記発酵槽へ供給して発酵させる前にほぐして均質化すると共に加熱殺菌するために、該有機物原料を混合攪拌するミキサーと、該ミキサー内を加熱する加熱装置とが設けられたことを特徴とする乾燥有機物燃料の製造装置。
【請求項10】
有機廃棄物等の水分が含有された有機物原料を、発酵槽で菌類によって発酵させることで粉粒体状に乾燥させる乾燥有機物燃料の製造装置において、
前記発酵槽は、床部が木板張等によって上げ床に設けられた平型発酵槽であって、
前記発酵槽内には、木材、ステンレス鋼等の金網、炭化物、セラミック又はプラスチックのいずれか一又は組合せによる床材で設けられた床部と、該床部の前記床材と床材の隙間を接着剤等で埋めないことで形成された空気の通路と、前記床部上の前記有機物の切り返しと移動を同時に行うようにロータリー型回転刃を備える有機物の撹拌移動装置とが設けられ、
前記床部の床下に床暖房が施されていることを特徴とする乾燥有機物燃料の製造装置。
【請求項11】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の乾燥有機物燃料の製造方法又はその製造装置によって製造されたことを特徴とする乾燥有機物燃料。
【請求項12】
請求項1、2、3、4、5、6、7、9又は10記載の乾燥有機物燃料の製造方法又はその製造装置によって製造されたことを特徴とする飼料又は土壌改良材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−62531(P2009−62531A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−208275(P2008−208275)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【出願人】(000209832)
【Fターム(参考)】