乾燥粉末の複数の単位用量を分配するための装置及びこのような装置を含む吸入器
【課題】乾燥粉末の複数の単位用量を分配するための装置を提供する。
【解決手段】第1支持体25a及び第2支持体25bと、第1支持体25a及び第2支持体25bを移動するようになった割り送り機構であって、装置が第1分配状態にあるとき、第1支持体25aが割り送り機構と係合し、第2支持体25bが割り送り機構から係合解除され、装置が第2分配状態にあるとき、第2支持体25bが割り送り機構と係合し、第1支持体25aが割り送り機構から係合解除されるように形成された割り送り機構と、装置を第1分配状態から第2分配状態にするようになった切り換え機構とを含み、切り換え手段は、装置が第1分配状態にあるとき、第2支持体25bを係止し、装置が第2分配状態にあるとき、第1支持体25aを係止する。
【解決手段】第1支持体25a及び第2支持体25bと、第1支持体25a及び第2支持体25bを移動するようになった割り送り機構であって、装置が第1分配状態にあるとき、第1支持体25aが割り送り機構と係合し、第2支持体25bが割り送り機構から係合解除され、装置が第2分配状態にあるとき、第2支持体25bが割り送り機構と係合し、第1支持体25aが割り送り機構から係合解除されるように形成された割り送り機構と、装置を第1分配状態から第2分配状態にするようになった切り換え機構とを含み、切り換え手段は、装置が第1分配状態にあるとき、第2支持体25bを係止し、装置が第2分配状態にあるとき、第1支持体25aを係止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥粉末の複数の単位用量を分配するための装置及びこのような装置を含む吸入器に関する。
【0002】
詳細には、本発明は、乾燥粉末の複数の単位用量を分配するための装置において、
−使用者が吸入を行うためのマウスピースが設けられたケーシングと、
−第1及び第2の支持体であって、これらの支持体は、夫々、二つの搬送体用であり、これらの搬送体は、各々、用量を吸入するためにマウスピースに連結されるようになった、夫々の単位用量用の複数のハウジングを有し、第1及び第2の支持体は、ハウジングをマウスピースに順次連結するため、ケーシング内に移動自在に取り付けられている、第1及び第2の支持体と、
−第1及び第2の支持体と係合し、これらの支持体を移動するようになった割り送り機構であって、割り送り機構及び第1及び第2の支持体は、
装置が第1分配状態にあるとき、第1支持体は、ケーシングに関して移動できるように割り送り機構と係合し、第2支持体は、ケーシングに関して定置であるように割り送り機構から係合解除されており、
次いで、装置が第2分配状態にあるとき、第2支持体は、ケーシングに関して移動できるように割り送り機構と係合し、第1支持体は、ケーシングに関して定置であるように割り送り機構から係合解除されているように形成された、割り送り機構と、
−装置を第1分配状態から第2分配状態にするようになった切り換え手段とを含む、装置に関する。
【背景技術】
【0003】
このような装置は、WO−A−2005/002654から周知である。
【0004】
上掲の文献に開示された装置は、ハウジングとマウスピースとの間に導管を含む。各導管は、使用者の吸入によって単位用量を搬送する空気流用の流路を形成する。装置は、乾燥粉末の各単位用量に対して一つの導管を提供する。使用では、使用者が装置を作動し、乾燥粉末の形態の薬剤の単位用量を一つの導管を通して吸入する。その後、装置を作動するとき、新たな導管を通して新たな単位用量を吸入できる。
【0005】
更に、このような装置は、二つの搬送体の単位用量を連続的に分配できるため、多数の単位用量を分配できる。
【0006】
周知の装置では、装置の構成要素の相対的位置が思わぬ態様で変化し、構成要素の適切な相対的移動をもはや行うことができなくなったとき、装置が故障する。特に、装置を落として構成要素のうちの少なくとも一つの構成要素がずれてしまった場合に故障が起こる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO−A−2005/002654
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の問題点を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のため、第1の特徴によれば、本発明は、装置が第1分配状態にあるとき、切り換え手段が第2支持体を定置位置に係止し、装置が第2分配状態にあるとき、切り換え手段が第1支持体を定置位置に係止するようになった、上述の種類の装置を提供する。
【0010】
従って、切り換え手段は、装置が第1分配状態又は第2分配状態にあるとき、定置の支持体がケーシングに関して移動しないように定置の支持体を積極的に係止し、固定する。これにより、構成要素の相対的位置の予期せぬ変化の危険を低減できる。構成要素の適切な相対的移動を行うことができ、これによってジャミングの危険を低減する。
【0011】
詳細には、切り換え手段は、第1支持体が割り送り機構から係合解除されたとき、第2支持体をその定置位置から解放し、第2支持体を割り送り機構と係合するようになっている。
【0012】
好ましくは、切り換え手段は切り換え機構を含み、この切り換え機構は第1支持体と第2支持体との間に配置され、ケーシング内に移動自在に取り付けられている。
【0013】
一実施例では、切り換え手段は、第1及び第2の支持体の夫々に設けられた第1及び第2の係合部分を含んでいてもよく、切り換え機構は、第1係合区分及び第2係合区分と、係止装置であって、
装置が第1分配状態にあるとき、第2係合区分が第2係合部分と係合し、係止装置は、切り換え機構がケーシングに関して移動しないようにし、
第1支持体が割り送り機構から係合解除されたとき、第1係合区分及び第2係合区分が、夫々、第1及び第2の係合部分と係合し、係止装置は、切り換え機構がケーシングに関して移動できるようにし、
装置が第2分配状態にあるとき、第1係合区分が第1係合部分と係合し、係止装置は、切り換え機構がケーシングに関して移動しないようにする、ように、第1及び第2の支持体と協働するように構成されている係止装置を備える。
【0014】
このような実施例では、係止装置の切り換えは、第2支持体が所望の時期に解放され、装置を第1分配状態から第2分配状態にできるように正確に行われる。
【0015】
第1及び第2の支持体は、夫々、第1及び第2の接触面を含んでいてもよく、係止装置は、第1及び第2の接触面と夫々協働するように切り換え機構に配置された第1当接区分及び第2当接区分を含んでいてもよく、
装置が第1分配状態にあるとき、第1当接区分が第1接触面に当接し、
第1支持体が割り送り機構から係合解除されたとき、第1当接区分及び第2当接区分は、第1及び第2の接触面と当接せず、
装置が第2分配状態にあるとき、第2当接区分が第2接触面に当接する。
【0016】
第1及び第2の支持体は、更に、第1及び第2のノッチを含み、これらのノッチは、夫々、第1及び第2の係合部分と対応して第1及び第2の支持体に配置され、第1及び第2のノッチは、第1支持体が割り送り機構から係合解除されたとき、第1当接区分及び第2当接区分が第1及び第2の接触面と当接した状態から外すようになっている。 好ましくは、切り換え機構は一体に、例えば型成形によって形成された一部品構成要素として形成されている。これにより、製造が容易な更にコンパクトな装置が得られる。
【0017】
この例では、第1及び第2の支持体は重ねられていてもよく、切り換え機構はケーシング内に回転自在に取り付けられていてもよく、切り換え機構は、第1及び第2の支持体と夫々協働する第1側部及び第2側部を有する。
【0018】
また、第1係合区分及び第2係合区分は、第1係合部分及び第2係合部分の各々の歯車歯と噛み合うようになった歯車歯で形成されていてもよく、第1当接区分及び第2当接区分の各々は、第1係合区分及び第2係合区分の夫々に関して角度的にオフセットした表面を含んでいてもよい。
【0019】
詳細には、第1当接区分及び第2当接区分の夫々の表面は、少なくとも部分的に、第1係合区分及び第2係合区分の歯車歯に形成されていてもよい。
【0020】
第1及び第2の支持体は円形形体であってもよく、第1及び第2の支持体はケーシング内に中央軸線を中心として回転自在に取り付けられている。
【0021】
第2の特徴によれば、本発明は、上文中に記載した、乾燥粉末の複数の単位用量を分配するための装置と、二つの搬送体とを含み、これらの搬送体の各々は、夫々の単位用量用の複数のハウジングを有し、二つの搬送体は、夫々、第1及び第2の支持体と関連している、吸入器に関する。
本発明のこの他の目的及び利点は、添付図面を参照して以下の説明を読むことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、乾燥粉末の複数の単位用量を分配するための装置を含む、本発明の一実施例による吸入器の側面図である。
【図2】図2は、図1の吸入器の分解斜視図である。
【図3】図3は、搬送体、アンビル板、及び支持体を形成する空気通路プレートの上面を示す、図1の吸入器の支持体及び搬送体の上面の分解図である。
【図4】図4は、アンビル板の上面の一部を示す、図3の丸で囲った部分IVの拡大詳細図である。
【図5】図5は、搬送体、アンビル板、及び空気通路プレートの下面を示す、図1の吸入器の支持体及び搬送体の下面を示す分解図である。
【図6】図6は、空気通路プレートの下面の一部を示す、図5の丸で囲った部分VIの拡大詳細図である。
【図7】図7は、搬送体及び支持体のアッセンブリ、及び搬送体が支持する乾燥粉末の単位用量の分配プロセスの二つの工程を示す、図1の吸入器の支持体及び搬送体の部分断面斜視図である。
【図8】図8は、搬送体及び支持体のアッセンブリ、及び搬送体が支持する乾燥粉末の単位用量の分配プロセスの二つの工程を示す、図1の吸入器の支持体及び搬送体の部分断面斜視図である。
【図9】図9は、アンビル板と空気通路プレートとの間の界面にある障壁形成エレメントを示す、図2のIX−IX線に沿った、図1の吸入器の支持体及び搬送体の断面図である。
【図10】図10は、アンビル板と空気通路プレートとの間の界面にある障壁形成エレメントの一実施例の拡大図である。
【図11】図11は、アンビル板と空気通路プレートとの間の界面にある障壁形成エレメントの別の実施例の拡大図である。
【図12】図12は、アンビル板と空気通路プレートとの間の界面にある障壁形成エレメントの更に別の実施例の拡大図である。
【図13】図13は、図1の吸入器の作動機構の分解図である。
【図14】図14は、切り換え構成要素の第1側部に設けられた一組の作動特徴を示す、図1の吸入器の切り換え構成要素の斜視図である。
【図15】図15は、図14の切り換え構成要素の第1側部の平面図である。
【図16】図16は、切り換え構成要素の第2側部に設けられた一組の作動特徴を示す、図1の吸入器の切り換え構成要素の斜視図である。
【図17】図17は、図16の切り換え構成要素の第2側部の下面図である。
【図18】図18は、図1の吸入器の第1及び第2の搬送体の夫々の第1及び第2の支持体に関する切り換え構成要素の構成を示す斜視図である。
【図19】図19a及び図19bは、夫々、第1搬送体の最後の単位用量を分配するときの図18の構成の平面図及び下面図であって、夫々、切り換え構成要素の回転を阻止する切り換え構成要素の第1側部及び第2支持体と係合した切り換え構成要素の第2側部を示す図である。
【図20】図20a及び図20bは、夫々、切り換え構成要素を介して第2支持体を移動する第1支持体を示す、第1搬送体の最後の単位用量を分配した後の図18の構成の平面図及び下面図である。
【図21】図21a及び図21bは、夫々、第2搬送体の最初の単位用量を分配するときの図18の構成の平面図及び下面図であって、夫々、切り換え構成要素の回転を阻止する切り換え構成要素の第2側部及び第1支持体と係合した切り換え構成要素の第1側部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付図面では、同様の又は類似のエレメントに同じ参照番号が付してある。
【0024】
図1は吸入器1を示し、使用者は、この吸入器を通して乾燥粉末形態の薬剤の単位用量2を連続的に吸入できる。
【0025】
例示の実施例の吸入器1は、単位用量2を分配するための装置3、及び特に図3及び図5に示す二つの搬送体15を含む。これらの搬送体は、単位用量2を支持し、装置3に取り付けられている。
【0026】
図1では、装置3は、突出形状部分5a及び定半径形状部分5bを持つ輪郭を提供するケーシング5を含む。
【0027】
ケーシング5にはマウスピース6が設けられている。マウスピース6は、ケーシング5と一体成形されているか或いは、別体の構成要素として形成されており、実質的に定半径形状部分5bの第1端に配置される。
【0028】
定半径形状部分5bには、図2に部分的に示すスロット14が設けられている。このスロットは、マウスピース6から、第1端とは反対側の第2端まで延びている。プライムレバー4がスロット14を通ってケーシング5の外に延びている。以下の説明から明らかになるように、プライムレバー4は、中央軸線Aを中心として、定半径形状部分5bに亘って、スロット14によって定められたストロークに沿って回転するように取り付けられている。使用者は、単位用量2のうちの一つの単位用量をマウスピース6を通して吸入できるように、プライムレバー4を動かして装置3の作動準備を行うことができる。
【0029】
装置3は、ケーシング5の一方の側部にウィンドウ7を備えている。このウィンドウ7により、使用者は、分配された単位用量2の数及び/又は未使用のまま残っている単位用量2の数の表示を使用者に提供するカウンターディスプレー8を見ることができる。
【0030】
L字形状マウスピースカバー10がケーシング5に取り付けられていてもよい。マウスピースカバー10は、互いに垂直な中空長部分11及び中空短部分12を含む。長部分11の一端は、図1に示すように、長部分11及び短部分12が、スロット14、プライムレバー4、及びマウスピース6を選択的に覆ったり露呈したりするように、定半径形状部分5bの第2端の近くでケーシング5に回転自在に取り付けられている。作動リブ13が長部分11を中央方向に延びている。作動リブ13の目的は、以下に説明する。
【0031】
図2でわかるように、ケーシング5は二つの半部で形成されている。これらの半部を互いに組み立て、ハウジングを形成する。ケーシング5は、ハウジング内で中央軸線Aに沿って延びる中央シャフト64を含み、この中央シャフト64に装置3の以下の構成要素が取り付けられる。即ち、
−第1支持体25a及び第2支持体25b(これらの支持体は、各々、搬送体15を夫々受け入れる)、
−第1支持体25aと第2支持体25bとの間に配置された、プライムレバー4を含む作動機構60、
−切り換え機構90、及び
−カウンター機構140。
【0032】
図3、図4、図5、及び図6を参照し、搬送体15の一つ及び第1支持体25aを例として説明する。この説明は、説明がなされた搬送体15及び第1支持体25aと同じであるか或いは少なくとも同様の他方の搬送体15及び第2支持体25bにも当てはめることができる。
【0033】
図3及び図5でわかるように、WO−A−2005/002654に記載されているのと同様の搬送体15は、軸線及び中央開口部17を持つ円盤状プレート16から形成されている。プレート16には、このプレート16の上面と下面との間を延びる複数の通穴18が設けられている。これらの通穴18は、乾燥粉末の単位用量の夫々用のハウジングを形成する。例示の実施例では、30個の通穴18が周囲アレイに従って等間隔の位置に配置されている。従って、これらの通穴18は周方向で互いに隣接しており、プレート16の軸線に関して半径方向に延びている。
【0034】
プレート16の一つの位置には、隣接した二つの通穴18間に穴のない部分19が形成されるように通穴18がない部分が設けられている。この穴のない部分19と対応するプレート16の周囲に刻み20が形成されている。
【0035】
各通穴18は、プレート16の上面で開放した、特に図7及び図8に示すカップ状挿入体21を受け入れてもよい。各挿入体21は、乾燥粉末の単位用量2の一つを収容するようになっている。乾燥粉末を特に水分や汚染物から保護するため、及び挿入体21及び乾燥粉末を通穴18内に保持するため、上被覆シート22及び下被覆シート23がプレート16の上面及び下面に固定されていてもよい。
【0036】
第1支持体25aは軸線に関して円形形体であり、第1及び第2の部材を有する。これらの部材は、夫々、アンビル板26及び通気板27である。
【0037】
アンビル板26の上面を示す図3でわかるように、アンビル板26は、中央開口部32が設けられた円盤状部分28を含む。円盤状部分28には、搬送体15の通穴18と夫々対応して配置されるようになった連続した通穴29が設けられている。搬送体15と同様に、通穴29は周方向で互いに隣接しており、第1支持体25aの軸線に関して半径方向に延びている。円盤状部分28には、半径方向に延びる半径方向壁30が設けられている。これらの半径方向壁30は、各々、二つの隣接した通穴29間に配置されており、これらの通穴29を分離する。
【0038】
図4では、アンビル板26の円盤状部分28の半径方向壁30の各々に、アンビル板26の上面から突出したリブ31が設けられていることがわかる。各リブ31は矩形断面を有し、半径方向寸法が隣接した通穴29と実質的に一致している。
【0039】
アンビル板26は、更に、アンビル板26の上面を通気板27に取り付けるための固定エレメントを有する。例示の実施例では、通気板27の固定エレメントと協働するため、中央開口部32を取り囲む凹所部分39が円盤状部分28に形成されている。
【0040】
アンビル板26の下面を示す図5でわかるように、アンビル板26は全体に凹状をなしており、アンビル板26の下面に凹所が形成されている。例えば、アンビル板26には、搬送体15をアンビル板26の凹所に収容するように搬送体15の外周を取り囲むようになった環状横壁33が設けられている。詳細には、横壁33は、円盤状部分28の外縁部に対して垂直方向に延びている。
【0041】
横壁33の内側には、例えば第1支持体25aの軸線に向かって突出した歯車歯34で形成された連結部分、及び例えば局所的に配置された、歯車歯がない、平滑部分35で形成された連結解除部分が設けられている。横壁33は、更に、軸線に向かって延びる突出部36を有する。この突出部36は、搬送体15の刻み20に受け入れられるようになっている。
【0042】
横壁33の外側には、例えば歯車歯37によって形成された係合部分が設けられている。この係合部分は、局所的に配置されており、軸線に対して逆方向に突出している。
【0043】
突出部36及び係合部分の連結部分及び連結解除部分の適当な相対的配置は、装置3の以下の説明から明らかになるであろう。
【0044】
アンビル板26は、更に、搬送体15をアンビル板26の下面に取り付けるための固定エレメントを有する。例示の実施例では、下面は、円盤状部分28から垂直方向に延びる取り付けスカート38を含む。この取り付けスカート38は、搬送体15の中央開口部17に嵌着するようになっている。
【0045】
通気板27に関し、通気板27の上面を示す図3でわかるように、通気板27は、中央開口部41が設けられた円盤状部分40を含む。この円盤状部分40には、周方向で互いに隣接した連続した通穴42、44が対をなして設けられている。通穴の各対の通穴42、44は、第1支持体25aの軸線に関して半径方向に延びており、アンビル板26の通穴29の一つと対応して配置されるようになっている。
【0046】
通気板27の下面を示す図5でわかるように、円盤状部分40には連続した通路43及び半径方向壁45が設けられている。これらの通路43及び半径方向壁45は、通気板27の通路43及び半径方向壁45がアンビル板26の通穴29及び半径方向壁30と夫々向き合うように配置されている。通路43は周方向で互いに隣接している。各通路43は、通穴42、44の一つの対間を半径方向に延びており、第1支持体25aの軸線の近くに入口42を形成し、第1支持体25aの軸線から所定距離のところに通路43用の出口44を形成する。半径方向に延びる各半径方向壁45は、二つの隣接した通路43間に配置されており、これらの通路を分離する。
【0047】
通気板27は全体に凹状をなしており、その下面に形成された凹所がアンビル板26を収容するようになっている。アンビル板26は通気板27と搬送体15との間に配置される。例えば、通気板27には、アンビル板26の横壁33を取り囲むようになった環状横壁47が設けられている。詳細には、横壁47は円盤状部分40の外縁部に対して垂直方向に延びる。横壁47には、滑らかな外接触面48及び横壁47の自由縁から局所的に延びるノッチ49が設けられている。
【0048】
例示の実施例では、通気板27をアンビル板26の上面に取り付けるための固定エレメントは、中央開口部41を取り囲む取り付けフランジ50を含む。このフランジ50は、アンビル板26の凹所部分39に嵌着するようになっている。
【0049】
図6では、通気板27の円盤状部分40の各半径方向壁45に溝46が設けられていることがわかる。溝46は、通気板27の下面に形成されている。矩形断面の各溝46は、アンビル板26の対応する半径方向壁30に設けられた突出リブ31を受け入れるようになっている。
【0050】
図7は、上文中に開示したアンビル板26及び通気板27を示す。これらのプレートは、組み立てられて一つの搬送体15が受け入れられる第1支持体25aを形成する。
【0051】
以上から、アンビル板26及び通気板27は、通気板27の下面がアンビル板26の上面と接触し、通気板27の取り付けフランジ50がアンビル板26の凹所部分39に嵌着した状態で互いに固定される。通気板27の横壁47がアンビル板26の横壁33を取り囲む。図2から明らかなように、アンビル板26の係合部分の歯車歯37は、通気板27のノッチ49内に延びている。
【0052】
通気板27の通路43は、アンビル板26の通穴29と夫々連通する。詳細には、各通路43の入口42は、対応する通穴29の一方の側と連通し、出口44は対応する通穴29の反対側と連通する。
【0053】
アンビル板26の通穴29及び通気板27の通路43は、夫々、第1及び第2の導管部分を形成する。これらの導管部分は、搬送体15のハウジングに夫々連結されるようになった複数の導管を形成する。これらの導管は周方向で互いに隣接しており、支持体25に関して半径方向に延びる。アンビル板26の半径方向壁30及び通気板27の半径方向壁45は、夫々、導管間に配置された第1及び第2の分離部分を形成する。
【0054】
搬送体15は、上被覆シート22がアンビル板26の下面と接触し、搬送体15の中央開口部17がアンビル板26の取り付けスカート38に嵌着した状態で第1支持体25a内に取り付けられる。アンビル板26の横壁33が搬送体15の周囲を取り囲み、アンビル板26の突出部36が搬送体15の刻み20に配置され、これによって搬送体15の通穴18及び穴のない部分19を第1支持体25aの導管に関して適切に位置決めする。これに関し、搬送体15の各ハウジングは、第1支持体25aに形成されたそれ自体の導管を有するということは理解されよう。導管は、使用者の吸入によって発生した単位用量を搬送する空気流を通すための流路を形成するようになっている。
【0055】
図7及び図8に関し、一つの挿入体21に収容された乾燥粉末の単位用量2の一つの分配プロセスを開示する。
【0056】
図7では、挿入体21は貯蔵位置にあり、この位置では、搬送体15の通穴18に完全に収容されており、搬送体15の上面と面一である。挿入体21は、第1支持体25aの導管に面している。
【0057】
図8に示すように、挿入体21を下被覆シート23の側から押すことによって、挿入体21を外方に放出位置まで押すことができる。放出位置では、挿入体21は搬送体15の上面から突出しており、アンビル板26の通穴29内に延びている。上被覆シート22を通して外方に破裂するのに使用される挿入体26は、所定位置に固定的に保持されている。これに関し、アンビル板26は、上被覆シート22がいつ潰されるのかを更によく予見するのに使用できる。
【0058】
放出位置では、導管内の挿入体21は通路43の入口42に面する。このように、使用者が装置3のマウスピース6を通して吸入するとき、図8に矢印で示す空気流が通気板27を通して引き込まれる。空気流は、入口42を通って挿入体21に進入し、通路43に入り、次いで出口44を通って出る。かくして、挿入体21内の乾燥粉末の単位用量が空気流によって取り出され、挿入体21から出て第1支持体25aの外に搬送される。
【0059】
乾燥粉末を確実に取り出し、必要な場合に解凝集(deaggregate) する上で適当な導管の寸法及び形状は、WO−A−2005/002654に記載されている。また、WO−A−2005/002654では、使用者が吸入を快適に行うことができるように吸入に利用可能な断面積を全体として増大するため、及び装置の全体としての流れ抵抗を制御するため、挿入体21を迂回する第2流路が設けられている。この第2流路は、ケーシング5の壁によって形成されていてもよい。
【0060】
図9でわかるように、第1支持体25aには、アンビル板26及び通気板27を組み立てたとき、アンビル板26の半径方向壁30に設けられたリブ31が、通気板27の半径方向壁45の溝46内に配置される。
【0061】
従って、アンビル板26の通穴29及び通気板27の通路43の夫々を形成する半径方向壁30、45間の界面に、例えばこれらの半径方向壁30、45がぴったりと合わせられていないために小さな隙間が存在する場合でも、リブ31及び溝46の構成により、二つの隣接した導管間に回り道経路(circuitous path) が形成される。
【0062】
乾燥粉末の第1及び第2の単位用量が、隣接した第1及び第2の導管と夫々連通した状態に置かれている場合、第2の単位用量を取り出すために使用者が吸入により第2導管内に発生した空気流により、第1の単位用量の乾燥粉末が引き出されることなく、第2の単位用量の乾燥粉末が引き出される。これは、アンビル板26及び通気板27の対応する半径方向壁30、45間のリブ31及び溝46の構成により、第1の単位用量2の乾燥粉末が第1導管から隣接した第2導管まで通過しないようにされるためである。
【0063】
こうした情況は、使用者が装置を作動することによって、第1の単位用量2を収容した挿入体21を放出位置に移動し、第1の単位用量2を吸入する前に逸らされるときに生じる。次いで、使用者は、彼が装置を前に作動したことを忘れて装置を再度作動し、これによって第2の単位用量2が入った挿入体21を放出位置に移動する。
【0064】
アンビル板26及び通気板27の二つの向き合った半径方向壁のリブ31及び溝46は、隣接した導管の乾燥粉末に対して障壁を形成し、これによって、前の単位用量を取り出し損ねた場合に、交叉投与(cross-dosing) を制限し、即ち吸入される乾燥粉末の量を制限する。
【0065】
例えば、上文中に説明したリブ及び溝を含む構成等の障壁形成エレメントがないWO−2005/002654に開示された装置では、交叉投与が公称単位用量の150%にのぼり、又はそれ以上であり、即ち前の単位用量の乾燥粉末の50%以上又はそれよりも多くが、次の単位用量の吸入時に吸入されることがわかっている。
【0066】
障壁形成エレメントは、交叉投与を135%又はそれ以下に減少することを目的として使用される。詳細には、障壁形成エレメントにより、交叉投与を115%よりも少なくできる。
【0067】
勿論、障壁形成エレメントは、上文中に説明したリブ及び溝を含む構成に限定されない。例えば、リブ31を通気板27に配置し、溝46をアンビル板26に配置してもよい。
【0068】
また、上文中に説明した実施例では、障壁形成エレメントは、アンビル板26及び通気板27の対応する半径方向壁30、45間にバッフルを形成し、二つの隣接した導管間に回り道経路を提供する。従って、障壁形成エレメントは、アンビル板26及び通気板27の対応する半径方向壁30、45間に、角度をなした又は湾曲した任意の界面を含んでいてもよい。
【0069】
詳細には、障壁形成エレメントは、一つ以上のリブ31及び溝46を含んでいてもよい。
【0070】
例えば、図10に示すように、アンビル板26の半径方向壁30の各々に一つの半径方向リブ131及び一つの半径方向溝146が設けられ、これらが通気板27の対応する半径方向壁45の一つの半径方向溝146及び一つの半径方向リブ131と協働するようになっている。また、図10では、各リブ131は、互いに関して傾斜した向き合った表面の第1対を含み、各溝146は、互いに関して傾斜した向き合った表面の第2対を含む。溝146の向き合った表面の第2対は、対応するリブ131の向き合った表面の第1対に対して相補的である。
【0071】
図11は、障壁形成エレメントの変形例を示す。この変形例では、アンビル板26及び通気板27の対応する半径方向壁30、45間に追加の層52が配置されている。任意の適当なガスケット、又は連続した層や別個の点層の任意の適当なパターンの接着剤を追加の層として使用してもよい。
【0072】
また、図12に示すように、別の変形例では、障壁形成エレメントは、アンビル板26及び通気板27の対応する半径方向壁30、45間の溶接連結部を含んでいてもよい。この実施例では、アンビル板26及び通気板27の半径方向壁30、45自体が熱可塑性プラスチック材料で形成されており、対応する半径方向壁30、45を超音波溶接プロセスによって接合できるように形成されている。例えば、先端部を持つ突出部即ちエネルギ指向器53がリブ231に配置されており、溝246の下面に当接する。超音波振動により生じたアンビル板26及び通気板27の相対的移動により熱可塑性プラスチック材料を溶融し、半径方向壁30、45を溶接する。
【0073】
障壁形成エレメントは、上文中に開示した実施例のうちの一つの実施例で実施してもよく、又はこれらの幾つかを組み合わせてもよい。
【0074】
図2でわかるように、ケーシング5内で第1支持体25a及び第2支持体25bが夫々の搬送体15とともに重ねられており、中央軸線Aと同軸に配置されており、これらの搬送体15の下面が互いに向き合っている。第1支持体25a及び第2支持体25bは、各導管をマウスピース6と連続的に連通し、かくしてハウジングをマウスピース6に順次連結するように、ケーシング5内に中央軸線Aを中心として回転自在に取り付けられている。
【0075】
図13に示す作動機構60は、搬送体15の下面間に配置される。作動機構60は、プライムレバー4を作動する度毎に乾燥粉末の単位用量2の一つが空気流によってマウスピース6の外に運ばれるように、乾燥粉末の単位用量2の一つを露呈するようになっている。
【0076】
詳細には、作動機構60は、各単位用量2を対応する導管に露呈するようになった分配機構と、各導管をマウスピース6と連通した状態に置くようになった割り送り機構とを含む。
【0077】
作動機構60は、分配機構及び割り送り機構を支持する円盤状シャシー61を含む。シャシーはケーシング5に固定されており、ケーシング5のシャフト64に嵌着した中空枢動シャフト65を含む。シャシーの一つの位置にガイド部材71が設けられている。これらのガイド部材71は軸線方向に延びており、その間に半径方向アパーチャを形成する。
【0078】
作動機構60は、更に、プライムレバー4を支持するプライム部材62を含む。プライム部材62は、プライムレバー4を作動したとき、分配機構及び割り送り機構を作動するように、中央軸線Aを中心として回転自在である。
【0079】
適当なプライム部材62の一例がWO−A−2005/002654に開示されている。プライム部材62は、プラスチックで成形した円盤状プレートで形成されており、中央枢動開口部66を有し、この開口部により、シャシー61の枢動シャフト65で回転自在に支持される。
【0080】
例示の実施例では、分配機構は、各搬送体15の各挿入体21をその貯蔵位置から放出位置まで移動するようになっている。この場合も、適当な分配機構の一例は、プライム部材62に取り付けられたプロジャー69、及びプライム部材62に配置されたカム面68、75を含み、プロジャー69を軸線方向に移動するようになっている。この機構は、WO−A−2005/002654に開示されている。
【0081】
詳細には、分配機構は、プライム部材62に形成された細長いカム部材67を含む。このカム部材67は、細長い開口部70によってプライム部材62の残りの部分から分離されている。これらの開口部を通ってシャシー61の衝合部材71が延びる。カム部材67は周方向に延びており、ある程度の可撓性を提供するようになった輪郭を提供する。カム部材67の二つの両側の各々に中央カム面68が設けられている。また、横カム面75がプライム部材62の両側で、周方向に、細長い開口部70に沿って、カム部材67と向き合って延びている。
【0082】
プロジャー69は互いに同じであり、その間にカム部材67を挟む。各プロジャー69は、カム部材67の中央カム面68と協働するように構成された中央部分に対して垂直方向に延びるアーム73を有する。これらのアーム73は、プライム部材62の細長い開口部70を通って延び、これらのアーム73の端部には、プライム部材62の横カム面75と接触する部分72が設けられている。
【0083】
プライム部材62の細長い開口部70及びシャシー61のガイド部材71は、プロジャー69を回転的に保持するように構成されているが、これらのプロジャー69を積極的に案内する中央カム面68及び横カム面75によって、これらのプロジャー69が装置3の軸線方向に搬送体15に向かって及び搬送体15から遠ざかる方向に移動できるように構成されている。
【0084】
WO−A−2005/002654に説明されているように、作動機構60は、プロジャー69の一方を対応する搬送体15の挿入体21の一つと整合するように構成されている。この際、他のプロジャー69は他方の搬送体15の穴のない部分19に面する。このようにして、分配機構は、一度に一つの搬送体15の一つの単位用量2だけを分配する。
【0085】
次に分配機構の作動を説明する。
【0086】
プライムレバー4をケーシング5のスロット14内でそのストロークに沿ってマウスピース6に近い第1位置からマウスピース6から所定距離の第2位置まで移動することにより、装置3の作動準備を行い、乾燥粉末の単位用量2を対応する導管に露呈する。
【0087】
最初の工程で、使用者がマウスピースカバー10を移動してマウスピース6を露呈するとき、プライムレバー4は第1位置にあり、両プロジャー69はカム部材67の一端の引っ込め位置にあり、中央カム面68と向き合っている。
【0088】
使用者がプライムレバー4をその第2位置まで移動するとき、プライム部材62がシャシー61に対して回転する。カム部材67のカム面68がプロジャー69と夫々係合する。挿入体21の一つと整合したプロジャー69と係合したカム面68は、このプロジャー69を押し出す。その結果、このプロジャー69は、その対応する搬送体15に向かって外方に移動され、搬送体15の通穴18を貫通し、挿入体21を放出位置に押す。この際、穴のない部分19と整合したプロジャー69と係合したカム面68は、その可撓性のため変形する。
【0089】
使用者が単位用量2を吸入した後、使用者は、マウスピースカバー10を回転して戻してもよい。マウスピースカバー10の作動リブ13がプライムレバー4と係合し、このレバーをその第1位置に戻す。プライム部材62の横カム面75がプロジャー69を引っ込める。
【0090】
次に割り送り機構を説明する。
【0091】
例示の実施例では、割り送り機構は、第1支持体25a及び第2支持体25bを連続した作動位置に移動するようになっている。これらの連続した作動位置の各々で、導管の一つがマウスピース6に連結され、その結果、マウスピース6を通る空気流によって、対応する単位用量2を搬送できる。断続的移動機構を提供する適当な割り送り機構の一例がWO−A−2005/002654に開示されている。
【0092】
詳細には、割り送り機構は、中央軸線Aと平行な軸線を中心としてケーシング5内に回転自在に取り付けられたジェネバホイール76を含む。ジェネバホイール76は、プライムレバー4の作動毎にジェネバホイールが120°の角度に亘って回転するようにプライム部材62と協働するようになったペグホイール77を含む。ジェネバホイール76は、更に、ペグホイール77と同軸の二つの歯車78を含む。これらの歯車は、夫々、第1支持体25a及び第2支持体25bの連結部分と協働するようになっている。
【0093】
ペグホイール77の縁部には、三つの長ペグ79及び三つの短ペグ80が60°間隔で交互に配置されている。
【0094】
割り送り機構は、更に、プライム部材62の外縁部に形成された駆動部材81を含む。
【0095】
駆動部材81は、以下のように構成されている。即ち、
−プライムレバー4をその第1位置から第2位置まで移動するとき、上文中に説明したように、放出位置にある挿入体21を分配機構が押し、駆動部材81がジェネバホイール76を回転しない、
−プライムレバー4がその第2位置から第1位置に戻るとき、駆動部材81がジェネバホイール76を回転する。
【0096】
詳細には、駆動部材81は、周方向で、分配機構を含むプライム部材62の一部と隣接して配置されている。
【0097】
駆動部材81には、前縁部分82、前縁部分82に向かって下方に傾斜したラチェット爪83、及び後縁85が設けられたスロット84がこの順で設けられている。
【0098】
次に、割り送り機構の作動を、使用者がプライムレバー4を作動するときのプライムレバー4の移動によって定義される一つのサイクルに関して説明する。以下の説明において、長ペグ79及び短ペグ80に関する「第1」、「第2」、及び「第3」という用語は、一つのサイクルについて使用される。「第1」、「第2」、及び「第3」のペグは、続いて行われるサイクルで変化するということは理解されるべきである。
【0099】
上述のように、プライムレバー4をその第1位置から第2位置まで移動するとき、駆動部材81はジェネバホイール76を回転しない。詳細には、ペグホイール77及び駆動部材81は、プライム部材62の外縁部が第1短ペグ80上を通過し、この第1短ペグ80の両側の隣接した第1及び第2の長ペグ79に当たって摺動し、第2短ペグ80上を通過するときにラチェット爪83が変形するように構成されている。従って、ペグホイール79は回転しない。
【0100】
プライムレバー4がその第2位置から第1位置に戻るとき、前縁部分82が第1短ペグ80の上を通過し、プライム部材62の外縁部が第1及び第2の長ペグ79に当たって摺動し、これによってペグホイール77が回転しないようにする。次いで、ラチェット爪83が第1短ペグ80と係合し、その結果、ペグホイール77が回転駆動され、第2長ペグ79がスロット84に入る。ラチェット爪83が第1短ペグ80から係合解除されると、スロット84の後縁85が第2長ペグ79と係合し、ペグホイール77を回転駆動し続ける。スロット84の後縁85が第2長ペグ79から係合解除されると、プライム部材62の外縁部が第2長ペグ79と隣接した第2短ペグ80上を通過し、第2及び第3の長ペグ79に当接する。
【0101】
割り送り機構により、プライムレバー4が作動される度毎に各搬送体15の一方を一つの単位用量2だけ増大する。
【0102】
各通気板27の連結部分の歯車歯34は、作動位置においてケーシング5に関して連続的に移動するように、ジェネバホイール76の対応する歯車78と係合してもよい。通気板27の歯車歯34の数及び歯車78の数は、ジェネバホイール76の120°の移動角度により支持体25を正確に一導管ピッチ前進するように構成されている。
【0103】
従って、割り送り機構は、各支持体25を次の位置まで連続的に回転する。この次の位置では、導管の一つがマウスピース6と連通し、プロジャー69が新たな挿入体21と整合する。次いで、上文中に説明した単位用量の分配作業を繰り返すことができる。
【0104】
第1支持体25a及び第2支持体25bの両方が同時に駆動されることがないようにするため、割り送り機構は、先ず最初に第1支持体25aを駆動し、この第1支持体25aの単位用量2を全て分配した後に第2支持体25bを駆動する。
【0105】
第1支持体25a及び第2支持体25bは、突出部36の連結部分及び連結解除部分及び第1支持体25a及び第2支持体25bの係合部分を適切に相対的に配置するように形成されている。その結果、装置3は、第1分配状態及び第2分配状態を提供する。
−第1分配状態では、第1支持体25aは、各作動位置でケーシング5に関して移動されるように割り送り機構のジェネバホイール76と係合し、第2支持体25bはケーシング5に関して定置であるように割り送り機構のジェネバホイール76から係合解除されており、
−続く第2分配状態では、第2支持体25bは、各作動位置でケーシング5に関して移動自在であるように割り送り機構のジェネバホイール76と係合し、第1支持体25aは、ケーシング5に関して定置であるように割り送り機構のジェネバホイール76から係合解除されている。
【0106】
これに関し、第1支持体25a及び第2支持体25bのうちの一方の支持体の通気板27の連結部分の歯車歯34がジェネバホイール76の対応する歯車78に面し、第1支持体25a及び第2支持体25bのうちの他方の支持体の通気板27の連結部分の歯車歯34がジェネバホイール76の対応する歯車78と係合する。その結果、その連結解除部分に関し、通気板27がジェネバホイール76の歯車78から係合解除され、そのためジェネバホイール76の回転により支持体25が回転することはない。
【0107】
また、第1支持体25a及び第2支持体25bの各々の連結解除部分及び突出部36は、連結解除部分がジェネバホイール76の歯車78に面したとき、プロジャー69が搬送体15の穴のない部分19に面し、この搬送体15の単位用量を分配できないように配置されている。かくして、装置3の第1分配状態では、割り送り機構が第1支持体25aを駆動するとき、第2支持体25bはケーシング5に関して定置状態のままであり、この第2支持体25bの搬送体15の任意の単位用量とマウスピース6との間に連結部分がない非作動位置にある。次いで、装置3の第2分配状態では、割り送り機構が第2支持体25bを駆動するとき、第1支持体25aはケーシング5に関して定置状態のままであり、この第1支持体25aの搬送体15の任意の単位用量とマウスピース6との間に連結部分がない非作動位置にある。
【0108】
上文中に説明した実施例は、乾燥粉末を一方の搬送体15の各挿入体21から分配し、次いで乾燥粉末を他の他方の搬送体15の各挿入体21から分配するように構成されている。
【0109】
図14、図15、図16、及び図17は、装置3を第1分配状態から第2分配状態にするために設けられた切り換え機構90を示す。
【0110】
例示の実施例では、切り換え機構90は、例えば型成形によって一部品で形成された一体の切り換え構成要素91で形成されている。この構成要素は、軸線に沿ってプレート94から両方向に延びる第1側部92及び第2側部93を有する。
【0111】
図14及び図15では、切り換え構成要素91の第1側部92は、アクスル96と第1係合区分95とを含む。第1係合区分95は、例示の実施例では、円弧に沿って順次配置された第1歯車歯95a、第2歯車歯95b、及び第3歯車歯95cで形成されている。
【0112】
第1歯車歯95aは、アクスル96から半径方向に自由端まで延びている。自由端の端面97は、第1歯車歯95aの半径方向に対して実質的に垂直である。かくして、第1歯車歯95aは、第2歯車歯95b及び第3歯車歯95cに関し、半径方向長さが限定されている。また、第1歯車歯95aの軸線に沿った高さは、第2歯車歯95b及び第3歯車歯95cの高さの約半分である。
【0113】
第2歯車歯95bは、アクスル96から半径方向に自由端まで延びている。この自由端は、プレート94に近い、第1歯車歯95aとほぼ同じ高さの下係合輪郭98、及び上輪郭99を有する。上輪郭99は、互いに関して角度をなした二つの端面を含む。一方の端面即ち第1端面100は、第1歯車歯95aの端面97と実質的に平行であり、この端面97に関してアクスル96に向かってオフセットしており、他方の端面即ち第2端面101は、第2歯車歯95bの半径方向に対して実質的に垂直である。
【0114】
同様に、第3歯車歯95cは、アクスル96から半径方向に自由端まで延びている。この自由端は、プレート94に近い、第1歯車歯95aとほぼ同じ高さの下係合輪郭102、及び上輪郭103を有する。上輪郭103の端面104は、第3歯車歯95cの半径方向に対して実質的に垂直である。
【0115】
切り換え構成要素91の第1側部92は、更に、第1歯車歯95aに対して実質的に垂直に、及びアクスル96に対して接線方向に係合区分95と逆方向に延びるタブ106を含む。タブ106には、第2歯車歯95bの第1端面100と実質的に整合した当接面105が設けられている。
【0116】
図16及び図17では、切り換え構成要素91の第2側部93は、アクスル110及び第2係合区分115を含む。例示の実施例では、第2係合区分115には、第1歯車歯115a、第2歯車歯115b、及び第3歯車歯115cが形成されている。これらの歯車歯は、円弧に沿って順次配置されている。図14及び図16でわかるように、第2側部93の第1歯車歯115a、第2歯車歯115b、及び第3歯車歯115cは、夫々、第1側部92の第1歯車歯95a、第2歯車歯95b、及び第3歯車歯95cと軸線方向で実質的に整合している。
【0117】
第1歯車歯115aは、アクスル110から半径方向に、係合輪郭116を形成する自由端まで延びている。
【0118】
第2歯車歯115bは、アクスル110から半径方向に自由端まで延びている。この自由端には、プレート94に近い、下係合輪郭117及び上係合輪郭118が形成されている。上輪郭118の端面120は、半径方向に対して実質的に垂直であり、これに沿って第3歯車歯115cが延びている。
【0119】
第3歯車歯115cは、アクスル110から半径方向に自由端まで延びている。この自由端には、プレート94に近い下輪郭121及び上輪郭122が形成されている。下輪郭121の端面123は第3歯車歯115cの半径方向に対して実質的に垂直である。上輪郭122の端面125は第3歯車歯115cの半径方向に対して実質的に垂直であり、上輪郭122の端面125は下輪郭121の端面に関してアクスル110に向かってオフセットしており、第2歯車歯115bの上輪郭118の端面120と整合している。
【0120】
切り換え構成要素91の第2側部93は、更に、第3歯車歯115cと隣接してアクスル110から半径方向に延びるタブ129を含む。このタブ129は、第2歯車歯115b及び第3歯車歯115cの上輪郭118、122の端面120、125と実質的に整合した当接面130を提供する。
【0121】
図18でわかるように、切り換え構成要素91は、第1支持体25aと第2支持体25bとの間に配置され、ケーシング5内に、その軸線が中央軸線Aと平行な状態で回転自在に取り付けられている。例えば、図13に示すケーシング135は、切り換え構成要素91を回転自在に支持するため、作動機構のシャシー61と一部品をなして形成されていてもよい。
【0122】
切り換え構成要素91の第1側部92及び第2側部93は、夫々、第1支持体25a及び第2支持体25bと協働する。
【0123】
詳細には、切り換え構成要素91の第1側部92の第1歯車歯95a、第2歯車歯95b、及び第3歯車歯95cは、第1支持体25aの係合部分の歯車歯37と噛み合うようになっている。切り換え構成要素91の第2側部93の第1歯車歯115a、第2歯車歯115b、及び第3歯車歯115cは、第2支持体25bの係合部分の歯車歯37と噛み合うようになっている。
【0124】
第1支持体25aの係合部分は、第1支持体25aの最後の単位用量2が分配された後、及び第1支持体25aが割り送り機構から係合解除されたとき、切り換え構成要素91の第1側部92の係合区分と係合するように構成されており、即ち割り送り機構は、第1支持体25aを移動してその連結部分を係合解除し、その連結解除部分に面する。第1支持体25aの係合部分は、装置が第2分配状態にあるとき、切り換え構成要素91の第1側部92の係合区分と係合したままである。第2支持体25bの係合部分は、第1支持体25aの最後の単位用量2が分配された後、及び第1支持体25aが割り送り機構から係合解除されたとき、切り換え構成要素91の第2側部93の係合区分と係合するように構成されている。第2支持体25bの係合部分は、装置が第1分配状態にあるとき、切り換え構成要素91の第2側部93の係合区分と係合している。
【0125】
従って、切り換え構成要素91は、第2支持体25bの連結部分の歯車歯34を割り送り機構の対応する歯車78と係合した状態に置くようになっている。この際、割り送り機構の他方の歯車78は、第1支持体25aをその連結解除部分と向き合うように移動し、これによって第1支持体25aを割り送り機構と係合した状態から外す。
【0126】
更に、第2歯車歯95bの第1端面100及び切り換え構成要素91の第1側部92のタブ106の当接面105は、第1支持体25aの接触面48と協働するようになった第1当接区分を形成する。第2歯車歯115b及び第3歯車歯115cの端面120、125及び切り換え構成要素91の第2側部93のタブ129の当接面130は、第2支持体25bの接触面48と協働するようになった第2当接区分を形成する。
【0127】
第1及び第2の側部の当接区分は、対応する第1係合区分95及び第2係合区分115に関して逆の位置に配置されており、これに対し、第1係合区分95及び第2係合区分115は同じ位置に配置されている。このような構成の理由は、切り換え構成要素91の作動の以下の説明から明らかになるであろう。
【0128】
次に、この作動を図19a、図19b、図20a、図20b、図21a、及び図21bに関して説明する。
【0129】
図19aでは、装置が第1分配状態にあり、第1支持体25aが割り送り機構と係合し、ジェネバホイール76の歯車78が第1支持体25aの連結部分と噛み合っているとき、第1支持体25aを矢印で示すように作動位置で連続的に回転すると、第1支持体25aに取り付けられた搬送体15の単位用量が分配される。この際、第2支持体25bは非作動位置に係止される。
【0130】
実際、第1支持体25aが最終作動位置に達するまで、切り換え構成要素91は回転されない。これは、第2歯車歯95bの第1端面100及び第1側部92のタブ106の当接面105が第1支持体25aの接触面48(一点鎖線で示す)に当接するためである。第1歯車歯95aの長さ及び高さが制限されているため、及び第2歯車歯95bの上輪郭の長さが制限されているため、第1歯車歯95a及び第2歯車歯95bは第1支持体25aと干渉しない。
【0131】
図19bでは、この同じ工程で、切り換え構成要素91の第2側部93の第1歯車歯115a及び第2歯車歯115bが、ノッチ49を通して第2支持体25bの係合部分の歯車歯37と噛み合っている。切り換え構成要素91が回転できないため、第2支持体25bもまた回転されないようになっている。
【0132】
図20aでは、第1支持体25aが最終作動位置まで割り送られ、最後の単位用量2が分配された後、割り送り機構は、第1支持体25aが割り送り機構から係合解除されるように第1支持体25aを移動し、連結解除部分35がジェネバホイール76の歯車78と対応する。第1支持体25aを非作動位置まで駆動する。これと同時に、連結解除部分35及び係合部分が適切な位置にあるため、第1支持体25aのノッチ49が切り換え構成要素91の第1側部92の第2歯車歯95bの第1端面100に面し、これによって切り換え構成要素91の回転に対する制限をなくし、切り換え構成要素91は回転できる。
【0133】
この工程で、ノッチ49内に突出した、第1支持体25aの係合部分の歯車歯37が、第1支持体25aの係合部分の経路内に配置された第1歯車歯95aの係合輪郭と噛み合う。この際、第1支持体25aは、割り送り機構によって非作動位置まで連続的に回転され、切り換え構成要素91の第1側部92の係合区分95と噛み合う第1支持体25aの係合部分の歯車歯37が、切り換え構成要素91を矢印で示すように回転する。
【0134】
図20bでは、切り換え構成要素91が自由に回転するため、第2支持体25bの係合部分の歯車歯37と噛み合う切り換え構成要素91の第2側部93の歯車歯115a、115b、及び115cが、この第2支持体25bを矢印で示すように回転し、その連結解除部分を分離し、その連結部分を割り送り機構の対応する歯車78と係合した状態に置く。これによって、第2支持体25bはその非作動位置から分離され、割り送り機構によって第1作動位置まで駆動できる。
【0135】
図21bでは、図20bに示す移動の完了時に装置は第2分配状態にある。切り換え構成要素91の第2側部93の歯車歯115a、115b、及び115cは第2支持体25bの係合部分の歯車歯37から係合解除され、そのため、続いて行われる第2支持体25bの回転移動は、切り換え構成要素91とは独立して行われる。
【0136】
第2支持体25bの次の割り送り時及び続いて行われる全ての割り送り時に切り換え構成要素91は回転しないようにされる。これは、第2歯車歯115b及び第3歯車歯115cの端面120、125、及び切り換え構成要素91の第2側部93のタブ129の当接面130が、一点鎖線で示す第2支持体25bの接触面48と当接するためである。
【0137】
図21aでは、この工程で、切り換え構成要素91の第1側部92の第3歯車歯95cは第1支持体25aの係合部分の歯車歯37と噛み合ったままであり、これによってこの第1支持体25aが回転しないようにする。
【0138】
従って、例示の実施例では、第1及び第2の当接区分は、切り換え構成要素91に係止装置を提供する。この係止装置は、
−装置3が第1分配状態にあるとき、切り換え構成要素91がケーシング5に関して回転しないようにし、そのため、切り換え構成要素91は、第1支持体25aが割り送り機構によってその第1作動位置と最終作動位置との間で連続的に駆動され、その搬送体15の単位用量2を分配するとき、第2支持体25bを係止し、
−第1支持体25aが割り送り機構から係合解除したとき、切り換え構成要素91がケーシング5に関して回転できるようにし、そのため、切り換え構成要素91は第2支持体25bを解放し、第2支持体25bを割り送り機構と係合した状態に置き、
−装置が第2分配状態にあるとき、切り換え構成要素91がケーシング5に関して回転しないようにし、そのため、切り換え構成要素91は、第2支持体25bが割り送り機構によってその第1作動位置と最終作動位置との間で連続的に駆動され、その搬送体15の単位用量2を分配するとき、第1支持体25aを係止する。
【0139】
本発明は、上文中に開示した切り換え機構90に限定されない。未使用の支持体25を確実に係止でき、所定の時期に、第1支持体25aが所定位置にあるときに解放し、駆動される支持体25を切り換えることができる任意の他の適当な切り換え機構90を提供できる。
【0140】
また、本発明は、上文中に開示した装置に限定されない。例えば、装置は、二つ以上の搬送体用の二つ以上の支持体25を含んでいてもよい。支持体は、種類が異なっていてもよく、ケーシングに関して移動可能であってもよい。本発明の多くの特徴は、様々な種類の異なる搬送体を収容するための適当な支持体を持つ装置に適用できる。詳細には、以下に説明する実施例の特徴の多くを、ブリスタパック構造を持つ搬送体又は様々なハウジングアレイを持つ搬送体で使用できる。
【0141】
装置の割り送りは、次の挿入体21を移動してプロジャーと整合することに加え、分配した単位用量2の数及び/又は使用されずに残っている単位用量2の数の視覚的表示を使用者に提供するカウンター機構140を作動する。
【0142】
割り送り機構のジェネバホイール76の歯車78の一つと噛み合う駆動歯車によって駆動される二桁カウンター(unit and tens counter) を提供する適当なカウンター機構140の一例は、WO−A−2005/002654に開示されている。駆動歯車及び二桁カウンターは、カウンターディスプレー8の一の位の表示が9から0になるとき、カウンターディスプレー8の十の位の表示を1だけ割り送りするようになっている。
【符号の説明】
【0143】
1 吸入器
2 単位用量
3 装置
4 プライムレバー
5 ケーシング
6 マウスピース
7 ウィンドウ
8 カウンターディスプレー
10 マウスピースカバー
11 中空長部分
12 中空短部分
14 スロット
15 搬送体
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥粉末の複数の単位用量を分配するための装置及びこのような装置を含む吸入器に関する。
【0002】
詳細には、本発明は、乾燥粉末の複数の単位用量を分配するための装置において、
−使用者が吸入を行うためのマウスピースが設けられたケーシングと、
−第1及び第2の支持体であって、これらの支持体は、夫々、二つの搬送体用であり、これらの搬送体は、各々、用量を吸入するためにマウスピースに連結されるようになった、夫々の単位用量用の複数のハウジングを有し、第1及び第2の支持体は、ハウジングをマウスピースに順次連結するため、ケーシング内に移動自在に取り付けられている、第1及び第2の支持体と、
−第1及び第2の支持体と係合し、これらの支持体を移動するようになった割り送り機構であって、割り送り機構及び第1及び第2の支持体は、
装置が第1分配状態にあるとき、第1支持体は、ケーシングに関して移動できるように割り送り機構と係合し、第2支持体は、ケーシングに関して定置であるように割り送り機構から係合解除されており、
次いで、装置が第2分配状態にあるとき、第2支持体は、ケーシングに関して移動できるように割り送り機構と係合し、第1支持体は、ケーシングに関して定置であるように割り送り機構から係合解除されているように形成された、割り送り機構と、
−装置を第1分配状態から第2分配状態にするようになった切り換え手段とを含む、装置に関する。
【背景技術】
【0003】
このような装置は、WO−A−2005/002654から周知である。
【0004】
上掲の文献に開示された装置は、ハウジングとマウスピースとの間に導管を含む。各導管は、使用者の吸入によって単位用量を搬送する空気流用の流路を形成する。装置は、乾燥粉末の各単位用量に対して一つの導管を提供する。使用では、使用者が装置を作動し、乾燥粉末の形態の薬剤の単位用量を一つの導管を通して吸入する。その後、装置を作動するとき、新たな導管を通して新たな単位用量を吸入できる。
【0005】
更に、このような装置は、二つの搬送体の単位用量を連続的に分配できるため、多数の単位用量を分配できる。
【0006】
周知の装置では、装置の構成要素の相対的位置が思わぬ態様で変化し、構成要素の適切な相対的移動をもはや行うことができなくなったとき、装置が故障する。特に、装置を落として構成要素のうちの少なくとも一つの構成要素がずれてしまった場合に故障が起こる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO−A−2005/002654
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の問題点を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のため、第1の特徴によれば、本発明は、装置が第1分配状態にあるとき、切り換え手段が第2支持体を定置位置に係止し、装置が第2分配状態にあるとき、切り換え手段が第1支持体を定置位置に係止するようになった、上述の種類の装置を提供する。
【0010】
従って、切り換え手段は、装置が第1分配状態又は第2分配状態にあるとき、定置の支持体がケーシングに関して移動しないように定置の支持体を積極的に係止し、固定する。これにより、構成要素の相対的位置の予期せぬ変化の危険を低減できる。構成要素の適切な相対的移動を行うことができ、これによってジャミングの危険を低減する。
【0011】
詳細には、切り換え手段は、第1支持体が割り送り機構から係合解除されたとき、第2支持体をその定置位置から解放し、第2支持体を割り送り機構と係合するようになっている。
【0012】
好ましくは、切り換え手段は切り換え機構を含み、この切り換え機構は第1支持体と第2支持体との間に配置され、ケーシング内に移動自在に取り付けられている。
【0013】
一実施例では、切り換え手段は、第1及び第2の支持体の夫々に設けられた第1及び第2の係合部分を含んでいてもよく、切り換え機構は、第1係合区分及び第2係合区分と、係止装置であって、
装置が第1分配状態にあるとき、第2係合区分が第2係合部分と係合し、係止装置は、切り換え機構がケーシングに関して移動しないようにし、
第1支持体が割り送り機構から係合解除されたとき、第1係合区分及び第2係合区分が、夫々、第1及び第2の係合部分と係合し、係止装置は、切り換え機構がケーシングに関して移動できるようにし、
装置が第2分配状態にあるとき、第1係合区分が第1係合部分と係合し、係止装置は、切り換え機構がケーシングに関して移動しないようにする、ように、第1及び第2の支持体と協働するように構成されている係止装置を備える。
【0014】
このような実施例では、係止装置の切り換えは、第2支持体が所望の時期に解放され、装置を第1分配状態から第2分配状態にできるように正確に行われる。
【0015】
第1及び第2の支持体は、夫々、第1及び第2の接触面を含んでいてもよく、係止装置は、第1及び第2の接触面と夫々協働するように切り換え機構に配置された第1当接区分及び第2当接区分を含んでいてもよく、
装置が第1分配状態にあるとき、第1当接区分が第1接触面に当接し、
第1支持体が割り送り機構から係合解除されたとき、第1当接区分及び第2当接区分は、第1及び第2の接触面と当接せず、
装置が第2分配状態にあるとき、第2当接区分が第2接触面に当接する。
【0016】
第1及び第2の支持体は、更に、第1及び第2のノッチを含み、これらのノッチは、夫々、第1及び第2の係合部分と対応して第1及び第2の支持体に配置され、第1及び第2のノッチは、第1支持体が割り送り機構から係合解除されたとき、第1当接区分及び第2当接区分が第1及び第2の接触面と当接した状態から外すようになっている。 好ましくは、切り換え機構は一体に、例えば型成形によって形成された一部品構成要素として形成されている。これにより、製造が容易な更にコンパクトな装置が得られる。
【0017】
この例では、第1及び第2の支持体は重ねられていてもよく、切り換え機構はケーシング内に回転自在に取り付けられていてもよく、切り換え機構は、第1及び第2の支持体と夫々協働する第1側部及び第2側部を有する。
【0018】
また、第1係合区分及び第2係合区分は、第1係合部分及び第2係合部分の各々の歯車歯と噛み合うようになった歯車歯で形成されていてもよく、第1当接区分及び第2当接区分の各々は、第1係合区分及び第2係合区分の夫々に関して角度的にオフセットした表面を含んでいてもよい。
【0019】
詳細には、第1当接区分及び第2当接区分の夫々の表面は、少なくとも部分的に、第1係合区分及び第2係合区分の歯車歯に形成されていてもよい。
【0020】
第1及び第2の支持体は円形形体であってもよく、第1及び第2の支持体はケーシング内に中央軸線を中心として回転自在に取り付けられている。
【0021】
第2の特徴によれば、本発明は、上文中に記載した、乾燥粉末の複数の単位用量を分配するための装置と、二つの搬送体とを含み、これらの搬送体の各々は、夫々の単位用量用の複数のハウジングを有し、二つの搬送体は、夫々、第1及び第2の支持体と関連している、吸入器に関する。
本発明のこの他の目的及び利点は、添付図面を参照して以下の説明を読むことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、乾燥粉末の複数の単位用量を分配するための装置を含む、本発明の一実施例による吸入器の側面図である。
【図2】図2は、図1の吸入器の分解斜視図である。
【図3】図3は、搬送体、アンビル板、及び支持体を形成する空気通路プレートの上面を示す、図1の吸入器の支持体及び搬送体の上面の分解図である。
【図4】図4は、アンビル板の上面の一部を示す、図3の丸で囲った部分IVの拡大詳細図である。
【図5】図5は、搬送体、アンビル板、及び空気通路プレートの下面を示す、図1の吸入器の支持体及び搬送体の下面を示す分解図である。
【図6】図6は、空気通路プレートの下面の一部を示す、図5の丸で囲った部分VIの拡大詳細図である。
【図7】図7は、搬送体及び支持体のアッセンブリ、及び搬送体が支持する乾燥粉末の単位用量の分配プロセスの二つの工程を示す、図1の吸入器の支持体及び搬送体の部分断面斜視図である。
【図8】図8は、搬送体及び支持体のアッセンブリ、及び搬送体が支持する乾燥粉末の単位用量の分配プロセスの二つの工程を示す、図1の吸入器の支持体及び搬送体の部分断面斜視図である。
【図9】図9は、アンビル板と空気通路プレートとの間の界面にある障壁形成エレメントを示す、図2のIX−IX線に沿った、図1の吸入器の支持体及び搬送体の断面図である。
【図10】図10は、アンビル板と空気通路プレートとの間の界面にある障壁形成エレメントの一実施例の拡大図である。
【図11】図11は、アンビル板と空気通路プレートとの間の界面にある障壁形成エレメントの別の実施例の拡大図である。
【図12】図12は、アンビル板と空気通路プレートとの間の界面にある障壁形成エレメントの更に別の実施例の拡大図である。
【図13】図13は、図1の吸入器の作動機構の分解図である。
【図14】図14は、切り換え構成要素の第1側部に設けられた一組の作動特徴を示す、図1の吸入器の切り換え構成要素の斜視図である。
【図15】図15は、図14の切り換え構成要素の第1側部の平面図である。
【図16】図16は、切り換え構成要素の第2側部に設けられた一組の作動特徴を示す、図1の吸入器の切り換え構成要素の斜視図である。
【図17】図17は、図16の切り換え構成要素の第2側部の下面図である。
【図18】図18は、図1の吸入器の第1及び第2の搬送体の夫々の第1及び第2の支持体に関する切り換え構成要素の構成を示す斜視図である。
【図19】図19a及び図19bは、夫々、第1搬送体の最後の単位用量を分配するときの図18の構成の平面図及び下面図であって、夫々、切り換え構成要素の回転を阻止する切り換え構成要素の第1側部及び第2支持体と係合した切り換え構成要素の第2側部を示す図である。
【図20】図20a及び図20bは、夫々、切り換え構成要素を介して第2支持体を移動する第1支持体を示す、第1搬送体の最後の単位用量を分配した後の図18の構成の平面図及び下面図である。
【図21】図21a及び図21bは、夫々、第2搬送体の最初の単位用量を分配するときの図18の構成の平面図及び下面図であって、夫々、切り換え構成要素の回転を阻止する切り換え構成要素の第2側部及び第1支持体と係合した切り換え構成要素の第1側部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付図面では、同様の又は類似のエレメントに同じ参照番号が付してある。
【0024】
図1は吸入器1を示し、使用者は、この吸入器を通して乾燥粉末形態の薬剤の単位用量2を連続的に吸入できる。
【0025】
例示の実施例の吸入器1は、単位用量2を分配するための装置3、及び特に図3及び図5に示す二つの搬送体15を含む。これらの搬送体は、単位用量2を支持し、装置3に取り付けられている。
【0026】
図1では、装置3は、突出形状部分5a及び定半径形状部分5bを持つ輪郭を提供するケーシング5を含む。
【0027】
ケーシング5にはマウスピース6が設けられている。マウスピース6は、ケーシング5と一体成形されているか或いは、別体の構成要素として形成されており、実質的に定半径形状部分5bの第1端に配置される。
【0028】
定半径形状部分5bには、図2に部分的に示すスロット14が設けられている。このスロットは、マウスピース6から、第1端とは反対側の第2端まで延びている。プライムレバー4がスロット14を通ってケーシング5の外に延びている。以下の説明から明らかになるように、プライムレバー4は、中央軸線Aを中心として、定半径形状部分5bに亘って、スロット14によって定められたストロークに沿って回転するように取り付けられている。使用者は、単位用量2のうちの一つの単位用量をマウスピース6を通して吸入できるように、プライムレバー4を動かして装置3の作動準備を行うことができる。
【0029】
装置3は、ケーシング5の一方の側部にウィンドウ7を備えている。このウィンドウ7により、使用者は、分配された単位用量2の数及び/又は未使用のまま残っている単位用量2の数の表示を使用者に提供するカウンターディスプレー8を見ることができる。
【0030】
L字形状マウスピースカバー10がケーシング5に取り付けられていてもよい。マウスピースカバー10は、互いに垂直な中空長部分11及び中空短部分12を含む。長部分11の一端は、図1に示すように、長部分11及び短部分12が、スロット14、プライムレバー4、及びマウスピース6を選択的に覆ったり露呈したりするように、定半径形状部分5bの第2端の近くでケーシング5に回転自在に取り付けられている。作動リブ13が長部分11を中央方向に延びている。作動リブ13の目的は、以下に説明する。
【0031】
図2でわかるように、ケーシング5は二つの半部で形成されている。これらの半部を互いに組み立て、ハウジングを形成する。ケーシング5は、ハウジング内で中央軸線Aに沿って延びる中央シャフト64を含み、この中央シャフト64に装置3の以下の構成要素が取り付けられる。即ち、
−第1支持体25a及び第2支持体25b(これらの支持体は、各々、搬送体15を夫々受け入れる)、
−第1支持体25aと第2支持体25bとの間に配置された、プライムレバー4を含む作動機構60、
−切り換え機構90、及び
−カウンター機構140。
【0032】
図3、図4、図5、及び図6を参照し、搬送体15の一つ及び第1支持体25aを例として説明する。この説明は、説明がなされた搬送体15及び第1支持体25aと同じであるか或いは少なくとも同様の他方の搬送体15及び第2支持体25bにも当てはめることができる。
【0033】
図3及び図5でわかるように、WO−A−2005/002654に記載されているのと同様の搬送体15は、軸線及び中央開口部17を持つ円盤状プレート16から形成されている。プレート16には、このプレート16の上面と下面との間を延びる複数の通穴18が設けられている。これらの通穴18は、乾燥粉末の単位用量の夫々用のハウジングを形成する。例示の実施例では、30個の通穴18が周囲アレイに従って等間隔の位置に配置されている。従って、これらの通穴18は周方向で互いに隣接しており、プレート16の軸線に関して半径方向に延びている。
【0034】
プレート16の一つの位置には、隣接した二つの通穴18間に穴のない部分19が形成されるように通穴18がない部分が設けられている。この穴のない部分19と対応するプレート16の周囲に刻み20が形成されている。
【0035】
各通穴18は、プレート16の上面で開放した、特に図7及び図8に示すカップ状挿入体21を受け入れてもよい。各挿入体21は、乾燥粉末の単位用量2の一つを収容するようになっている。乾燥粉末を特に水分や汚染物から保護するため、及び挿入体21及び乾燥粉末を通穴18内に保持するため、上被覆シート22及び下被覆シート23がプレート16の上面及び下面に固定されていてもよい。
【0036】
第1支持体25aは軸線に関して円形形体であり、第1及び第2の部材を有する。これらの部材は、夫々、アンビル板26及び通気板27である。
【0037】
アンビル板26の上面を示す図3でわかるように、アンビル板26は、中央開口部32が設けられた円盤状部分28を含む。円盤状部分28には、搬送体15の通穴18と夫々対応して配置されるようになった連続した通穴29が設けられている。搬送体15と同様に、通穴29は周方向で互いに隣接しており、第1支持体25aの軸線に関して半径方向に延びている。円盤状部分28には、半径方向に延びる半径方向壁30が設けられている。これらの半径方向壁30は、各々、二つの隣接した通穴29間に配置されており、これらの通穴29を分離する。
【0038】
図4では、アンビル板26の円盤状部分28の半径方向壁30の各々に、アンビル板26の上面から突出したリブ31が設けられていることがわかる。各リブ31は矩形断面を有し、半径方向寸法が隣接した通穴29と実質的に一致している。
【0039】
アンビル板26は、更に、アンビル板26の上面を通気板27に取り付けるための固定エレメントを有する。例示の実施例では、通気板27の固定エレメントと協働するため、中央開口部32を取り囲む凹所部分39が円盤状部分28に形成されている。
【0040】
アンビル板26の下面を示す図5でわかるように、アンビル板26は全体に凹状をなしており、アンビル板26の下面に凹所が形成されている。例えば、アンビル板26には、搬送体15をアンビル板26の凹所に収容するように搬送体15の外周を取り囲むようになった環状横壁33が設けられている。詳細には、横壁33は、円盤状部分28の外縁部に対して垂直方向に延びている。
【0041】
横壁33の内側には、例えば第1支持体25aの軸線に向かって突出した歯車歯34で形成された連結部分、及び例えば局所的に配置された、歯車歯がない、平滑部分35で形成された連結解除部分が設けられている。横壁33は、更に、軸線に向かって延びる突出部36を有する。この突出部36は、搬送体15の刻み20に受け入れられるようになっている。
【0042】
横壁33の外側には、例えば歯車歯37によって形成された係合部分が設けられている。この係合部分は、局所的に配置されており、軸線に対して逆方向に突出している。
【0043】
突出部36及び係合部分の連結部分及び連結解除部分の適当な相対的配置は、装置3の以下の説明から明らかになるであろう。
【0044】
アンビル板26は、更に、搬送体15をアンビル板26の下面に取り付けるための固定エレメントを有する。例示の実施例では、下面は、円盤状部分28から垂直方向に延びる取り付けスカート38を含む。この取り付けスカート38は、搬送体15の中央開口部17に嵌着するようになっている。
【0045】
通気板27に関し、通気板27の上面を示す図3でわかるように、通気板27は、中央開口部41が設けられた円盤状部分40を含む。この円盤状部分40には、周方向で互いに隣接した連続した通穴42、44が対をなして設けられている。通穴の各対の通穴42、44は、第1支持体25aの軸線に関して半径方向に延びており、アンビル板26の通穴29の一つと対応して配置されるようになっている。
【0046】
通気板27の下面を示す図5でわかるように、円盤状部分40には連続した通路43及び半径方向壁45が設けられている。これらの通路43及び半径方向壁45は、通気板27の通路43及び半径方向壁45がアンビル板26の通穴29及び半径方向壁30と夫々向き合うように配置されている。通路43は周方向で互いに隣接している。各通路43は、通穴42、44の一つの対間を半径方向に延びており、第1支持体25aの軸線の近くに入口42を形成し、第1支持体25aの軸線から所定距離のところに通路43用の出口44を形成する。半径方向に延びる各半径方向壁45は、二つの隣接した通路43間に配置されており、これらの通路を分離する。
【0047】
通気板27は全体に凹状をなしており、その下面に形成された凹所がアンビル板26を収容するようになっている。アンビル板26は通気板27と搬送体15との間に配置される。例えば、通気板27には、アンビル板26の横壁33を取り囲むようになった環状横壁47が設けられている。詳細には、横壁47は円盤状部分40の外縁部に対して垂直方向に延びる。横壁47には、滑らかな外接触面48及び横壁47の自由縁から局所的に延びるノッチ49が設けられている。
【0048】
例示の実施例では、通気板27をアンビル板26の上面に取り付けるための固定エレメントは、中央開口部41を取り囲む取り付けフランジ50を含む。このフランジ50は、アンビル板26の凹所部分39に嵌着するようになっている。
【0049】
図6では、通気板27の円盤状部分40の各半径方向壁45に溝46が設けられていることがわかる。溝46は、通気板27の下面に形成されている。矩形断面の各溝46は、アンビル板26の対応する半径方向壁30に設けられた突出リブ31を受け入れるようになっている。
【0050】
図7は、上文中に開示したアンビル板26及び通気板27を示す。これらのプレートは、組み立てられて一つの搬送体15が受け入れられる第1支持体25aを形成する。
【0051】
以上から、アンビル板26及び通気板27は、通気板27の下面がアンビル板26の上面と接触し、通気板27の取り付けフランジ50がアンビル板26の凹所部分39に嵌着した状態で互いに固定される。通気板27の横壁47がアンビル板26の横壁33を取り囲む。図2から明らかなように、アンビル板26の係合部分の歯車歯37は、通気板27のノッチ49内に延びている。
【0052】
通気板27の通路43は、アンビル板26の通穴29と夫々連通する。詳細には、各通路43の入口42は、対応する通穴29の一方の側と連通し、出口44は対応する通穴29の反対側と連通する。
【0053】
アンビル板26の通穴29及び通気板27の通路43は、夫々、第1及び第2の導管部分を形成する。これらの導管部分は、搬送体15のハウジングに夫々連結されるようになった複数の導管を形成する。これらの導管は周方向で互いに隣接しており、支持体25に関して半径方向に延びる。アンビル板26の半径方向壁30及び通気板27の半径方向壁45は、夫々、導管間に配置された第1及び第2の分離部分を形成する。
【0054】
搬送体15は、上被覆シート22がアンビル板26の下面と接触し、搬送体15の中央開口部17がアンビル板26の取り付けスカート38に嵌着した状態で第1支持体25a内に取り付けられる。アンビル板26の横壁33が搬送体15の周囲を取り囲み、アンビル板26の突出部36が搬送体15の刻み20に配置され、これによって搬送体15の通穴18及び穴のない部分19を第1支持体25aの導管に関して適切に位置決めする。これに関し、搬送体15の各ハウジングは、第1支持体25aに形成されたそれ自体の導管を有するということは理解されよう。導管は、使用者の吸入によって発生した単位用量を搬送する空気流を通すための流路を形成するようになっている。
【0055】
図7及び図8に関し、一つの挿入体21に収容された乾燥粉末の単位用量2の一つの分配プロセスを開示する。
【0056】
図7では、挿入体21は貯蔵位置にあり、この位置では、搬送体15の通穴18に完全に収容されており、搬送体15の上面と面一である。挿入体21は、第1支持体25aの導管に面している。
【0057】
図8に示すように、挿入体21を下被覆シート23の側から押すことによって、挿入体21を外方に放出位置まで押すことができる。放出位置では、挿入体21は搬送体15の上面から突出しており、アンビル板26の通穴29内に延びている。上被覆シート22を通して外方に破裂するのに使用される挿入体26は、所定位置に固定的に保持されている。これに関し、アンビル板26は、上被覆シート22がいつ潰されるのかを更によく予見するのに使用できる。
【0058】
放出位置では、導管内の挿入体21は通路43の入口42に面する。このように、使用者が装置3のマウスピース6を通して吸入するとき、図8に矢印で示す空気流が通気板27を通して引き込まれる。空気流は、入口42を通って挿入体21に進入し、通路43に入り、次いで出口44を通って出る。かくして、挿入体21内の乾燥粉末の単位用量が空気流によって取り出され、挿入体21から出て第1支持体25aの外に搬送される。
【0059】
乾燥粉末を確実に取り出し、必要な場合に解凝集(deaggregate) する上で適当な導管の寸法及び形状は、WO−A−2005/002654に記載されている。また、WO−A−2005/002654では、使用者が吸入を快適に行うことができるように吸入に利用可能な断面積を全体として増大するため、及び装置の全体としての流れ抵抗を制御するため、挿入体21を迂回する第2流路が設けられている。この第2流路は、ケーシング5の壁によって形成されていてもよい。
【0060】
図9でわかるように、第1支持体25aには、アンビル板26及び通気板27を組み立てたとき、アンビル板26の半径方向壁30に設けられたリブ31が、通気板27の半径方向壁45の溝46内に配置される。
【0061】
従って、アンビル板26の通穴29及び通気板27の通路43の夫々を形成する半径方向壁30、45間の界面に、例えばこれらの半径方向壁30、45がぴったりと合わせられていないために小さな隙間が存在する場合でも、リブ31及び溝46の構成により、二つの隣接した導管間に回り道経路(circuitous path) が形成される。
【0062】
乾燥粉末の第1及び第2の単位用量が、隣接した第1及び第2の導管と夫々連通した状態に置かれている場合、第2の単位用量を取り出すために使用者が吸入により第2導管内に発生した空気流により、第1の単位用量の乾燥粉末が引き出されることなく、第2の単位用量の乾燥粉末が引き出される。これは、アンビル板26及び通気板27の対応する半径方向壁30、45間のリブ31及び溝46の構成により、第1の単位用量2の乾燥粉末が第1導管から隣接した第2導管まで通過しないようにされるためである。
【0063】
こうした情況は、使用者が装置を作動することによって、第1の単位用量2を収容した挿入体21を放出位置に移動し、第1の単位用量2を吸入する前に逸らされるときに生じる。次いで、使用者は、彼が装置を前に作動したことを忘れて装置を再度作動し、これによって第2の単位用量2が入った挿入体21を放出位置に移動する。
【0064】
アンビル板26及び通気板27の二つの向き合った半径方向壁のリブ31及び溝46は、隣接した導管の乾燥粉末に対して障壁を形成し、これによって、前の単位用量を取り出し損ねた場合に、交叉投与(cross-dosing) を制限し、即ち吸入される乾燥粉末の量を制限する。
【0065】
例えば、上文中に説明したリブ及び溝を含む構成等の障壁形成エレメントがないWO−2005/002654に開示された装置では、交叉投与が公称単位用量の150%にのぼり、又はそれ以上であり、即ち前の単位用量の乾燥粉末の50%以上又はそれよりも多くが、次の単位用量の吸入時に吸入されることがわかっている。
【0066】
障壁形成エレメントは、交叉投与を135%又はそれ以下に減少することを目的として使用される。詳細には、障壁形成エレメントにより、交叉投与を115%よりも少なくできる。
【0067】
勿論、障壁形成エレメントは、上文中に説明したリブ及び溝を含む構成に限定されない。例えば、リブ31を通気板27に配置し、溝46をアンビル板26に配置してもよい。
【0068】
また、上文中に説明した実施例では、障壁形成エレメントは、アンビル板26及び通気板27の対応する半径方向壁30、45間にバッフルを形成し、二つの隣接した導管間に回り道経路を提供する。従って、障壁形成エレメントは、アンビル板26及び通気板27の対応する半径方向壁30、45間に、角度をなした又は湾曲した任意の界面を含んでいてもよい。
【0069】
詳細には、障壁形成エレメントは、一つ以上のリブ31及び溝46を含んでいてもよい。
【0070】
例えば、図10に示すように、アンビル板26の半径方向壁30の各々に一つの半径方向リブ131及び一つの半径方向溝146が設けられ、これらが通気板27の対応する半径方向壁45の一つの半径方向溝146及び一つの半径方向リブ131と協働するようになっている。また、図10では、各リブ131は、互いに関して傾斜した向き合った表面の第1対を含み、各溝146は、互いに関して傾斜した向き合った表面の第2対を含む。溝146の向き合った表面の第2対は、対応するリブ131の向き合った表面の第1対に対して相補的である。
【0071】
図11は、障壁形成エレメントの変形例を示す。この変形例では、アンビル板26及び通気板27の対応する半径方向壁30、45間に追加の層52が配置されている。任意の適当なガスケット、又は連続した層や別個の点層の任意の適当なパターンの接着剤を追加の層として使用してもよい。
【0072】
また、図12に示すように、別の変形例では、障壁形成エレメントは、アンビル板26及び通気板27の対応する半径方向壁30、45間の溶接連結部を含んでいてもよい。この実施例では、アンビル板26及び通気板27の半径方向壁30、45自体が熱可塑性プラスチック材料で形成されており、対応する半径方向壁30、45を超音波溶接プロセスによって接合できるように形成されている。例えば、先端部を持つ突出部即ちエネルギ指向器53がリブ231に配置されており、溝246の下面に当接する。超音波振動により生じたアンビル板26及び通気板27の相対的移動により熱可塑性プラスチック材料を溶融し、半径方向壁30、45を溶接する。
【0073】
障壁形成エレメントは、上文中に開示した実施例のうちの一つの実施例で実施してもよく、又はこれらの幾つかを組み合わせてもよい。
【0074】
図2でわかるように、ケーシング5内で第1支持体25a及び第2支持体25bが夫々の搬送体15とともに重ねられており、中央軸線Aと同軸に配置されており、これらの搬送体15の下面が互いに向き合っている。第1支持体25a及び第2支持体25bは、各導管をマウスピース6と連続的に連通し、かくしてハウジングをマウスピース6に順次連結するように、ケーシング5内に中央軸線Aを中心として回転自在に取り付けられている。
【0075】
図13に示す作動機構60は、搬送体15の下面間に配置される。作動機構60は、プライムレバー4を作動する度毎に乾燥粉末の単位用量2の一つが空気流によってマウスピース6の外に運ばれるように、乾燥粉末の単位用量2の一つを露呈するようになっている。
【0076】
詳細には、作動機構60は、各単位用量2を対応する導管に露呈するようになった分配機構と、各導管をマウスピース6と連通した状態に置くようになった割り送り機構とを含む。
【0077】
作動機構60は、分配機構及び割り送り機構を支持する円盤状シャシー61を含む。シャシーはケーシング5に固定されており、ケーシング5のシャフト64に嵌着した中空枢動シャフト65を含む。シャシーの一つの位置にガイド部材71が設けられている。これらのガイド部材71は軸線方向に延びており、その間に半径方向アパーチャを形成する。
【0078】
作動機構60は、更に、プライムレバー4を支持するプライム部材62を含む。プライム部材62は、プライムレバー4を作動したとき、分配機構及び割り送り機構を作動するように、中央軸線Aを中心として回転自在である。
【0079】
適当なプライム部材62の一例がWO−A−2005/002654に開示されている。プライム部材62は、プラスチックで成形した円盤状プレートで形成されており、中央枢動開口部66を有し、この開口部により、シャシー61の枢動シャフト65で回転自在に支持される。
【0080】
例示の実施例では、分配機構は、各搬送体15の各挿入体21をその貯蔵位置から放出位置まで移動するようになっている。この場合も、適当な分配機構の一例は、プライム部材62に取り付けられたプロジャー69、及びプライム部材62に配置されたカム面68、75を含み、プロジャー69を軸線方向に移動するようになっている。この機構は、WO−A−2005/002654に開示されている。
【0081】
詳細には、分配機構は、プライム部材62に形成された細長いカム部材67を含む。このカム部材67は、細長い開口部70によってプライム部材62の残りの部分から分離されている。これらの開口部を通ってシャシー61の衝合部材71が延びる。カム部材67は周方向に延びており、ある程度の可撓性を提供するようになった輪郭を提供する。カム部材67の二つの両側の各々に中央カム面68が設けられている。また、横カム面75がプライム部材62の両側で、周方向に、細長い開口部70に沿って、カム部材67と向き合って延びている。
【0082】
プロジャー69は互いに同じであり、その間にカム部材67を挟む。各プロジャー69は、カム部材67の中央カム面68と協働するように構成された中央部分に対して垂直方向に延びるアーム73を有する。これらのアーム73は、プライム部材62の細長い開口部70を通って延び、これらのアーム73の端部には、プライム部材62の横カム面75と接触する部分72が設けられている。
【0083】
プライム部材62の細長い開口部70及びシャシー61のガイド部材71は、プロジャー69を回転的に保持するように構成されているが、これらのプロジャー69を積極的に案内する中央カム面68及び横カム面75によって、これらのプロジャー69が装置3の軸線方向に搬送体15に向かって及び搬送体15から遠ざかる方向に移動できるように構成されている。
【0084】
WO−A−2005/002654に説明されているように、作動機構60は、プロジャー69の一方を対応する搬送体15の挿入体21の一つと整合するように構成されている。この際、他のプロジャー69は他方の搬送体15の穴のない部分19に面する。このようにして、分配機構は、一度に一つの搬送体15の一つの単位用量2だけを分配する。
【0085】
次に分配機構の作動を説明する。
【0086】
プライムレバー4をケーシング5のスロット14内でそのストロークに沿ってマウスピース6に近い第1位置からマウスピース6から所定距離の第2位置まで移動することにより、装置3の作動準備を行い、乾燥粉末の単位用量2を対応する導管に露呈する。
【0087】
最初の工程で、使用者がマウスピースカバー10を移動してマウスピース6を露呈するとき、プライムレバー4は第1位置にあり、両プロジャー69はカム部材67の一端の引っ込め位置にあり、中央カム面68と向き合っている。
【0088】
使用者がプライムレバー4をその第2位置まで移動するとき、プライム部材62がシャシー61に対して回転する。カム部材67のカム面68がプロジャー69と夫々係合する。挿入体21の一つと整合したプロジャー69と係合したカム面68は、このプロジャー69を押し出す。その結果、このプロジャー69は、その対応する搬送体15に向かって外方に移動され、搬送体15の通穴18を貫通し、挿入体21を放出位置に押す。この際、穴のない部分19と整合したプロジャー69と係合したカム面68は、その可撓性のため変形する。
【0089】
使用者が単位用量2を吸入した後、使用者は、マウスピースカバー10を回転して戻してもよい。マウスピースカバー10の作動リブ13がプライムレバー4と係合し、このレバーをその第1位置に戻す。プライム部材62の横カム面75がプロジャー69を引っ込める。
【0090】
次に割り送り機構を説明する。
【0091】
例示の実施例では、割り送り機構は、第1支持体25a及び第2支持体25bを連続した作動位置に移動するようになっている。これらの連続した作動位置の各々で、導管の一つがマウスピース6に連結され、その結果、マウスピース6を通る空気流によって、対応する単位用量2を搬送できる。断続的移動機構を提供する適当な割り送り機構の一例がWO−A−2005/002654に開示されている。
【0092】
詳細には、割り送り機構は、中央軸線Aと平行な軸線を中心としてケーシング5内に回転自在に取り付けられたジェネバホイール76を含む。ジェネバホイール76は、プライムレバー4の作動毎にジェネバホイールが120°の角度に亘って回転するようにプライム部材62と協働するようになったペグホイール77を含む。ジェネバホイール76は、更に、ペグホイール77と同軸の二つの歯車78を含む。これらの歯車は、夫々、第1支持体25a及び第2支持体25bの連結部分と協働するようになっている。
【0093】
ペグホイール77の縁部には、三つの長ペグ79及び三つの短ペグ80が60°間隔で交互に配置されている。
【0094】
割り送り機構は、更に、プライム部材62の外縁部に形成された駆動部材81を含む。
【0095】
駆動部材81は、以下のように構成されている。即ち、
−プライムレバー4をその第1位置から第2位置まで移動するとき、上文中に説明したように、放出位置にある挿入体21を分配機構が押し、駆動部材81がジェネバホイール76を回転しない、
−プライムレバー4がその第2位置から第1位置に戻るとき、駆動部材81がジェネバホイール76を回転する。
【0096】
詳細には、駆動部材81は、周方向で、分配機構を含むプライム部材62の一部と隣接して配置されている。
【0097】
駆動部材81には、前縁部分82、前縁部分82に向かって下方に傾斜したラチェット爪83、及び後縁85が設けられたスロット84がこの順で設けられている。
【0098】
次に、割り送り機構の作動を、使用者がプライムレバー4を作動するときのプライムレバー4の移動によって定義される一つのサイクルに関して説明する。以下の説明において、長ペグ79及び短ペグ80に関する「第1」、「第2」、及び「第3」という用語は、一つのサイクルについて使用される。「第1」、「第2」、及び「第3」のペグは、続いて行われるサイクルで変化するということは理解されるべきである。
【0099】
上述のように、プライムレバー4をその第1位置から第2位置まで移動するとき、駆動部材81はジェネバホイール76を回転しない。詳細には、ペグホイール77及び駆動部材81は、プライム部材62の外縁部が第1短ペグ80上を通過し、この第1短ペグ80の両側の隣接した第1及び第2の長ペグ79に当たって摺動し、第2短ペグ80上を通過するときにラチェット爪83が変形するように構成されている。従って、ペグホイール79は回転しない。
【0100】
プライムレバー4がその第2位置から第1位置に戻るとき、前縁部分82が第1短ペグ80の上を通過し、プライム部材62の外縁部が第1及び第2の長ペグ79に当たって摺動し、これによってペグホイール77が回転しないようにする。次いで、ラチェット爪83が第1短ペグ80と係合し、その結果、ペグホイール77が回転駆動され、第2長ペグ79がスロット84に入る。ラチェット爪83が第1短ペグ80から係合解除されると、スロット84の後縁85が第2長ペグ79と係合し、ペグホイール77を回転駆動し続ける。スロット84の後縁85が第2長ペグ79から係合解除されると、プライム部材62の外縁部が第2長ペグ79と隣接した第2短ペグ80上を通過し、第2及び第3の長ペグ79に当接する。
【0101】
割り送り機構により、プライムレバー4が作動される度毎に各搬送体15の一方を一つの単位用量2だけ増大する。
【0102】
各通気板27の連結部分の歯車歯34は、作動位置においてケーシング5に関して連続的に移動するように、ジェネバホイール76の対応する歯車78と係合してもよい。通気板27の歯車歯34の数及び歯車78の数は、ジェネバホイール76の120°の移動角度により支持体25を正確に一導管ピッチ前進するように構成されている。
【0103】
従って、割り送り機構は、各支持体25を次の位置まで連続的に回転する。この次の位置では、導管の一つがマウスピース6と連通し、プロジャー69が新たな挿入体21と整合する。次いで、上文中に説明した単位用量の分配作業を繰り返すことができる。
【0104】
第1支持体25a及び第2支持体25bの両方が同時に駆動されることがないようにするため、割り送り機構は、先ず最初に第1支持体25aを駆動し、この第1支持体25aの単位用量2を全て分配した後に第2支持体25bを駆動する。
【0105】
第1支持体25a及び第2支持体25bは、突出部36の連結部分及び連結解除部分及び第1支持体25a及び第2支持体25bの係合部分を適切に相対的に配置するように形成されている。その結果、装置3は、第1分配状態及び第2分配状態を提供する。
−第1分配状態では、第1支持体25aは、各作動位置でケーシング5に関して移動されるように割り送り機構のジェネバホイール76と係合し、第2支持体25bはケーシング5に関して定置であるように割り送り機構のジェネバホイール76から係合解除されており、
−続く第2分配状態では、第2支持体25bは、各作動位置でケーシング5に関して移動自在であるように割り送り機構のジェネバホイール76と係合し、第1支持体25aは、ケーシング5に関して定置であるように割り送り機構のジェネバホイール76から係合解除されている。
【0106】
これに関し、第1支持体25a及び第2支持体25bのうちの一方の支持体の通気板27の連結部分の歯車歯34がジェネバホイール76の対応する歯車78に面し、第1支持体25a及び第2支持体25bのうちの他方の支持体の通気板27の連結部分の歯車歯34がジェネバホイール76の対応する歯車78と係合する。その結果、その連結解除部分に関し、通気板27がジェネバホイール76の歯車78から係合解除され、そのためジェネバホイール76の回転により支持体25が回転することはない。
【0107】
また、第1支持体25a及び第2支持体25bの各々の連結解除部分及び突出部36は、連結解除部分がジェネバホイール76の歯車78に面したとき、プロジャー69が搬送体15の穴のない部分19に面し、この搬送体15の単位用量を分配できないように配置されている。かくして、装置3の第1分配状態では、割り送り機構が第1支持体25aを駆動するとき、第2支持体25bはケーシング5に関して定置状態のままであり、この第2支持体25bの搬送体15の任意の単位用量とマウスピース6との間に連結部分がない非作動位置にある。次いで、装置3の第2分配状態では、割り送り機構が第2支持体25bを駆動するとき、第1支持体25aはケーシング5に関して定置状態のままであり、この第1支持体25aの搬送体15の任意の単位用量とマウスピース6との間に連結部分がない非作動位置にある。
【0108】
上文中に説明した実施例は、乾燥粉末を一方の搬送体15の各挿入体21から分配し、次いで乾燥粉末を他の他方の搬送体15の各挿入体21から分配するように構成されている。
【0109】
図14、図15、図16、及び図17は、装置3を第1分配状態から第2分配状態にするために設けられた切り換え機構90を示す。
【0110】
例示の実施例では、切り換え機構90は、例えば型成形によって一部品で形成された一体の切り換え構成要素91で形成されている。この構成要素は、軸線に沿ってプレート94から両方向に延びる第1側部92及び第2側部93を有する。
【0111】
図14及び図15では、切り換え構成要素91の第1側部92は、アクスル96と第1係合区分95とを含む。第1係合区分95は、例示の実施例では、円弧に沿って順次配置された第1歯車歯95a、第2歯車歯95b、及び第3歯車歯95cで形成されている。
【0112】
第1歯車歯95aは、アクスル96から半径方向に自由端まで延びている。自由端の端面97は、第1歯車歯95aの半径方向に対して実質的に垂直である。かくして、第1歯車歯95aは、第2歯車歯95b及び第3歯車歯95cに関し、半径方向長さが限定されている。また、第1歯車歯95aの軸線に沿った高さは、第2歯車歯95b及び第3歯車歯95cの高さの約半分である。
【0113】
第2歯車歯95bは、アクスル96から半径方向に自由端まで延びている。この自由端は、プレート94に近い、第1歯車歯95aとほぼ同じ高さの下係合輪郭98、及び上輪郭99を有する。上輪郭99は、互いに関して角度をなした二つの端面を含む。一方の端面即ち第1端面100は、第1歯車歯95aの端面97と実質的に平行であり、この端面97に関してアクスル96に向かってオフセットしており、他方の端面即ち第2端面101は、第2歯車歯95bの半径方向に対して実質的に垂直である。
【0114】
同様に、第3歯車歯95cは、アクスル96から半径方向に自由端まで延びている。この自由端は、プレート94に近い、第1歯車歯95aとほぼ同じ高さの下係合輪郭102、及び上輪郭103を有する。上輪郭103の端面104は、第3歯車歯95cの半径方向に対して実質的に垂直である。
【0115】
切り換え構成要素91の第1側部92は、更に、第1歯車歯95aに対して実質的に垂直に、及びアクスル96に対して接線方向に係合区分95と逆方向に延びるタブ106を含む。タブ106には、第2歯車歯95bの第1端面100と実質的に整合した当接面105が設けられている。
【0116】
図16及び図17では、切り換え構成要素91の第2側部93は、アクスル110及び第2係合区分115を含む。例示の実施例では、第2係合区分115には、第1歯車歯115a、第2歯車歯115b、及び第3歯車歯115cが形成されている。これらの歯車歯は、円弧に沿って順次配置されている。図14及び図16でわかるように、第2側部93の第1歯車歯115a、第2歯車歯115b、及び第3歯車歯115cは、夫々、第1側部92の第1歯車歯95a、第2歯車歯95b、及び第3歯車歯95cと軸線方向で実質的に整合している。
【0117】
第1歯車歯115aは、アクスル110から半径方向に、係合輪郭116を形成する自由端まで延びている。
【0118】
第2歯車歯115bは、アクスル110から半径方向に自由端まで延びている。この自由端には、プレート94に近い、下係合輪郭117及び上係合輪郭118が形成されている。上輪郭118の端面120は、半径方向に対して実質的に垂直であり、これに沿って第3歯車歯115cが延びている。
【0119】
第3歯車歯115cは、アクスル110から半径方向に自由端まで延びている。この自由端には、プレート94に近い下輪郭121及び上輪郭122が形成されている。下輪郭121の端面123は第3歯車歯115cの半径方向に対して実質的に垂直である。上輪郭122の端面125は第3歯車歯115cの半径方向に対して実質的に垂直であり、上輪郭122の端面125は下輪郭121の端面に関してアクスル110に向かってオフセットしており、第2歯車歯115bの上輪郭118の端面120と整合している。
【0120】
切り換え構成要素91の第2側部93は、更に、第3歯車歯115cと隣接してアクスル110から半径方向に延びるタブ129を含む。このタブ129は、第2歯車歯115b及び第3歯車歯115cの上輪郭118、122の端面120、125と実質的に整合した当接面130を提供する。
【0121】
図18でわかるように、切り換え構成要素91は、第1支持体25aと第2支持体25bとの間に配置され、ケーシング5内に、その軸線が中央軸線Aと平行な状態で回転自在に取り付けられている。例えば、図13に示すケーシング135は、切り換え構成要素91を回転自在に支持するため、作動機構のシャシー61と一部品をなして形成されていてもよい。
【0122】
切り換え構成要素91の第1側部92及び第2側部93は、夫々、第1支持体25a及び第2支持体25bと協働する。
【0123】
詳細には、切り換え構成要素91の第1側部92の第1歯車歯95a、第2歯車歯95b、及び第3歯車歯95cは、第1支持体25aの係合部分の歯車歯37と噛み合うようになっている。切り換え構成要素91の第2側部93の第1歯車歯115a、第2歯車歯115b、及び第3歯車歯115cは、第2支持体25bの係合部分の歯車歯37と噛み合うようになっている。
【0124】
第1支持体25aの係合部分は、第1支持体25aの最後の単位用量2が分配された後、及び第1支持体25aが割り送り機構から係合解除されたとき、切り換え構成要素91の第1側部92の係合区分と係合するように構成されており、即ち割り送り機構は、第1支持体25aを移動してその連結部分を係合解除し、その連結解除部分に面する。第1支持体25aの係合部分は、装置が第2分配状態にあるとき、切り換え構成要素91の第1側部92の係合区分と係合したままである。第2支持体25bの係合部分は、第1支持体25aの最後の単位用量2が分配された後、及び第1支持体25aが割り送り機構から係合解除されたとき、切り換え構成要素91の第2側部93の係合区分と係合するように構成されている。第2支持体25bの係合部分は、装置が第1分配状態にあるとき、切り換え構成要素91の第2側部93の係合区分と係合している。
【0125】
従って、切り換え構成要素91は、第2支持体25bの連結部分の歯車歯34を割り送り機構の対応する歯車78と係合した状態に置くようになっている。この際、割り送り機構の他方の歯車78は、第1支持体25aをその連結解除部分と向き合うように移動し、これによって第1支持体25aを割り送り機構と係合した状態から外す。
【0126】
更に、第2歯車歯95bの第1端面100及び切り換え構成要素91の第1側部92のタブ106の当接面105は、第1支持体25aの接触面48と協働するようになった第1当接区分を形成する。第2歯車歯115b及び第3歯車歯115cの端面120、125及び切り換え構成要素91の第2側部93のタブ129の当接面130は、第2支持体25bの接触面48と協働するようになった第2当接区分を形成する。
【0127】
第1及び第2の側部の当接区分は、対応する第1係合区分95及び第2係合区分115に関して逆の位置に配置されており、これに対し、第1係合区分95及び第2係合区分115は同じ位置に配置されている。このような構成の理由は、切り換え構成要素91の作動の以下の説明から明らかになるであろう。
【0128】
次に、この作動を図19a、図19b、図20a、図20b、図21a、及び図21bに関して説明する。
【0129】
図19aでは、装置が第1分配状態にあり、第1支持体25aが割り送り機構と係合し、ジェネバホイール76の歯車78が第1支持体25aの連結部分と噛み合っているとき、第1支持体25aを矢印で示すように作動位置で連続的に回転すると、第1支持体25aに取り付けられた搬送体15の単位用量が分配される。この際、第2支持体25bは非作動位置に係止される。
【0130】
実際、第1支持体25aが最終作動位置に達するまで、切り換え構成要素91は回転されない。これは、第2歯車歯95bの第1端面100及び第1側部92のタブ106の当接面105が第1支持体25aの接触面48(一点鎖線で示す)に当接するためである。第1歯車歯95aの長さ及び高さが制限されているため、及び第2歯車歯95bの上輪郭の長さが制限されているため、第1歯車歯95a及び第2歯車歯95bは第1支持体25aと干渉しない。
【0131】
図19bでは、この同じ工程で、切り換え構成要素91の第2側部93の第1歯車歯115a及び第2歯車歯115bが、ノッチ49を通して第2支持体25bの係合部分の歯車歯37と噛み合っている。切り換え構成要素91が回転できないため、第2支持体25bもまた回転されないようになっている。
【0132】
図20aでは、第1支持体25aが最終作動位置まで割り送られ、最後の単位用量2が分配された後、割り送り機構は、第1支持体25aが割り送り機構から係合解除されるように第1支持体25aを移動し、連結解除部分35がジェネバホイール76の歯車78と対応する。第1支持体25aを非作動位置まで駆動する。これと同時に、連結解除部分35及び係合部分が適切な位置にあるため、第1支持体25aのノッチ49が切り換え構成要素91の第1側部92の第2歯車歯95bの第1端面100に面し、これによって切り換え構成要素91の回転に対する制限をなくし、切り換え構成要素91は回転できる。
【0133】
この工程で、ノッチ49内に突出した、第1支持体25aの係合部分の歯車歯37が、第1支持体25aの係合部分の経路内に配置された第1歯車歯95aの係合輪郭と噛み合う。この際、第1支持体25aは、割り送り機構によって非作動位置まで連続的に回転され、切り換え構成要素91の第1側部92の係合区分95と噛み合う第1支持体25aの係合部分の歯車歯37が、切り換え構成要素91を矢印で示すように回転する。
【0134】
図20bでは、切り換え構成要素91が自由に回転するため、第2支持体25bの係合部分の歯車歯37と噛み合う切り換え構成要素91の第2側部93の歯車歯115a、115b、及び115cが、この第2支持体25bを矢印で示すように回転し、その連結解除部分を分離し、その連結部分を割り送り機構の対応する歯車78と係合した状態に置く。これによって、第2支持体25bはその非作動位置から分離され、割り送り機構によって第1作動位置まで駆動できる。
【0135】
図21bでは、図20bに示す移動の完了時に装置は第2分配状態にある。切り換え構成要素91の第2側部93の歯車歯115a、115b、及び115cは第2支持体25bの係合部分の歯車歯37から係合解除され、そのため、続いて行われる第2支持体25bの回転移動は、切り換え構成要素91とは独立して行われる。
【0136】
第2支持体25bの次の割り送り時及び続いて行われる全ての割り送り時に切り換え構成要素91は回転しないようにされる。これは、第2歯車歯115b及び第3歯車歯115cの端面120、125、及び切り換え構成要素91の第2側部93のタブ129の当接面130が、一点鎖線で示す第2支持体25bの接触面48と当接するためである。
【0137】
図21aでは、この工程で、切り換え構成要素91の第1側部92の第3歯車歯95cは第1支持体25aの係合部分の歯車歯37と噛み合ったままであり、これによってこの第1支持体25aが回転しないようにする。
【0138】
従って、例示の実施例では、第1及び第2の当接区分は、切り換え構成要素91に係止装置を提供する。この係止装置は、
−装置3が第1分配状態にあるとき、切り換え構成要素91がケーシング5に関して回転しないようにし、そのため、切り換え構成要素91は、第1支持体25aが割り送り機構によってその第1作動位置と最終作動位置との間で連続的に駆動され、その搬送体15の単位用量2を分配するとき、第2支持体25bを係止し、
−第1支持体25aが割り送り機構から係合解除したとき、切り換え構成要素91がケーシング5に関して回転できるようにし、そのため、切り換え構成要素91は第2支持体25bを解放し、第2支持体25bを割り送り機構と係合した状態に置き、
−装置が第2分配状態にあるとき、切り換え構成要素91がケーシング5に関して回転しないようにし、そのため、切り換え構成要素91は、第2支持体25bが割り送り機構によってその第1作動位置と最終作動位置との間で連続的に駆動され、その搬送体15の単位用量2を分配するとき、第1支持体25aを係止する。
【0139】
本発明は、上文中に開示した切り換え機構90に限定されない。未使用の支持体25を確実に係止でき、所定の時期に、第1支持体25aが所定位置にあるときに解放し、駆動される支持体25を切り換えることができる任意の他の適当な切り換え機構90を提供できる。
【0140】
また、本発明は、上文中に開示した装置に限定されない。例えば、装置は、二つ以上の搬送体用の二つ以上の支持体25を含んでいてもよい。支持体は、種類が異なっていてもよく、ケーシングに関して移動可能であってもよい。本発明の多くの特徴は、様々な種類の異なる搬送体を収容するための適当な支持体を持つ装置に適用できる。詳細には、以下に説明する実施例の特徴の多くを、ブリスタパック構造を持つ搬送体又は様々なハウジングアレイを持つ搬送体で使用できる。
【0141】
装置の割り送りは、次の挿入体21を移動してプロジャーと整合することに加え、分配した単位用量2の数及び/又は使用されずに残っている単位用量2の数の視覚的表示を使用者に提供するカウンター機構140を作動する。
【0142】
割り送り機構のジェネバホイール76の歯車78の一つと噛み合う駆動歯車によって駆動される二桁カウンター(unit and tens counter) を提供する適当なカウンター機構140の一例は、WO−A−2005/002654に開示されている。駆動歯車及び二桁カウンターは、カウンターディスプレー8の一の位の表示が9から0になるとき、カウンターディスプレー8の十の位の表示を1だけ割り送りするようになっている。
【符号の説明】
【0143】
1 吸入器
2 単位用量
3 装置
4 プライムレバー
5 ケーシング
6 マウスピース
7 ウィンドウ
8 カウンターディスプレー
10 マウスピースカバー
11 中空長部分
12 中空短部分
14 スロット
15 搬送体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥粉末の複数の単位用量(2)を分配するための装置(3)であって、
−使用者が吸入を行うためのマウスピース(6)が設けられたケーシング(5)と、
−第1支持体(25a)及び第2支持体(25b)であって、これらの支持体は、二つの搬送体(15)それぞれのためのものであり、これらの搬送体は、各々、用量を吸入するために前記マウスピースに連結されるようになった、夫々の単位用量(2)用の複数のハウジングを有し、前記第1支持体(25a)及び前記第2支持体(25b)は、前記ハウジングを前記マウスピースに順次連結するため、前記ケーシング(5)内に移動自在に取り付けられている、第1支持体(25a)及び第2支持体(25b)と、
−前記第1支持体(25a)及び前記第2支持体(25b)と係合し、これらの支持体を移動させるようになった割り送り機構(76、81)であって、前記割り送り機構(76、81)及び前記第1支持体(25a)及び前記第2支持体(25b)は、装置が第1分配状態にあるときに、前記第1支持体(25a)が前記ケーシング(5)に関して移動できるように前記割り送り機構(76、81)と係合し、前記第2支持体(25b)が前記ケーシング(5)に関して定置であるように前記割り送り機構(76、81)から係合解除されており、次いで、装置が第2分配状態にあるときに、前記第2支持体(25b)が前記ケーシング(5)に関して移動できるように前記割り送り機構(76、81)と係合し、前記第1支持体(25a)が、前記ケーシング(5)に関して定置であるように前記割り送り機構(76、81)から係合解除されるように形成された、割り送り機構(76、81)と、
−前記装置(3)を前記第1分配状態から前記第2分配状態にするようになった切り換え手段(90)と、
を含む、装置(3)において、
前記切り換え手段(90)は、前記装置(3)が前記第1分配状態にあるときに、前記第2支持体(25b)を定置位置に係止し、前記装置(3)が第2分配状態にあるときに、前記第1支持体(25a)を定置位置に係止するようになっている、ことを特徴とする装置(3)。
【請求項2】
請求項1に記載の装置(3)において、
前記切り換え手段(90)は、前記第1支持体(25a)が前記割り送り機構(76、81)から係合解除されたとき、前記第2支持体(25b)をその定置位置から解放し、前記第2支持体(25b)を前記割り送り機構(76、81)と係合させるようになっている、装置(3)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置(3)において、
前記切り換え手段は切り換え機構(90)を含み、この切り換え機構(90)は前記第1支持体(25a)と前記第2支持体(25b)との間に配置され、前記ケーシング(5)内に移動自在に取り付けられている、装置(3)。
【請求項4】
請求項3に記載の装置(3)において、
前記切り換え手段は、前記第1支持体(25a)及び前記第2支持体(25b)の夫々に設けられた第1及び第2の係合部分(37)を含み、
前記切り換え機構(90)は、第1係合区分(95)及び第2係合区分(115)と、係止装置(100、105、120、125、130)であって、
前記装置(3)が前記第1分配状態にあるとき、前記第2係合区分(115)が前記第2係合部分(37)と係合し、前記係止装置は前記切り換え機構(90)が前記ケーシング(5)に関して移動しないようにし、
前記第1支持体(25a)が前記割り送り機構(76、81)から係合解除されたとき、前記第1係合区分(95)及び前記第2係合区分(115)が、夫々、前記第1及び第2の係合部分(37)と係合し、前記係止装置は、前記切り換え機構(90)が前記ケーシング(5)に関して移動できるようにし、
前記装置(3)が前記第2分配状態にあるとき、前記第1係合区分(95)が前記第1係合部分(37)と係合し、前記係止装置は、前記切り換え機構(90)が前記ケーシング(5)に関して移動しないようにする
ように、前記第1支持体(25a)及び前記第2支持体(25b)と協働するように構成されている、係止装置(100、105、120、125、130)と
を備える、装置(3)。
【請求項5】
請求項4に記載の装置(3)において、
前記第1支持体(25a)及び前記第2支持体(25b)は、夫々、第1及び第2の接触面(48)を含み、前記係止装置は、前記第1及び第2の接触面(48)と夫々協働するように前記切り換え機構(90)に配置された第1当接区分(100、105)及び第2当接区分(120、125、130)を含み、
前記装置(3)が前記第1分配状態にあるとき、前記第1当接区分(100、105)が前記第1接触面(48)に当接し、
前記第1支持体(25a)が前記割り送り機構(76、81)から係合解除されたとき、前記第1当接区分(100、105)及び前記第2当接区分(120、125、130)は、前記第1及び第2の接触面(48)と当接せず、
前記装置(3)が前記第2分配状態にあるとき、前記第2当接区分(120、125、130)が前記第2接触面(48)に当接する、装置(3)。
【請求項6】
請求項5に記載の装置(3)において、
前記第1支持体(25a)及び前記第2支持体(25b)は、更に、第1及び第2のノッチ(49)を含み、これらのノッチは、夫々、前記第1及び第2の係合部分(37)と対応して配置され、前記第1及び第2のノッチ(49)は、前記第1支持体(25a)が前記割り送り機構(76、81)から係合解除されたとき、前記第1当接区分(100、105)及び前記第2当接区分(120、125、130)が前記第1及び第2の接触面(48)と当接した状態から外すようになっている、装置(3)。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の装置(3)において、
前記切り換え機構(90)は一体に形成されている、装置(3)。
【請求項8】
請求項7に記載の装置(3)において、
前記第1支持体(25a)及び前記第2支持体(25b)は重ねられており、前記切り換え機構(90)は前記ケーシング(5)内に回転自在に取り付けられており、前記切り換え機構(90)は、前記第1支持体(25a)及び前記第2支持体(25b)と夫々協働する第1側部(92)及び第2側部(93)を有する、装置(3)。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の装置(3)において、
前記第1係合区分(95)及び前記第2係合区分(115)は、前記第1係合部分及び前記第2係合部分の各々の歯車歯(37)と噛み合うようになった歯車歯で形成されており、前記第1当接区分(100、105)及び前記第2当接区分(120、125、130)の各々は、前記第1係合区分(95)及び前記第2係合区分(115)の夫々に関して角度的にオフセットした表面を含む、装置(3)。
【請求項10】
請求項9に記載の装置(3)において、
前記第1当接区分(100、105)及び前記第2当接区分(120、125、130)の夫々の表面は、少なくとも部分的に、前記第1係合区分(95)及び前記第2係合区分(115)の前記歯車歯に形成されている、装置(3)。
【請求項11】
請求項1乃至10のうちのいずれか一項に記載の装置(3)において、
前記第1支持体(25a)及び前記第2支持体(25b)は円形形体であり、前記第1支持体(25a)及び前記第2支持体(25b)は前記ケーシング(5)内に中央軸線(A)を中心として回転自在に取り付けられている、装置(3)。
【請求項12】
吸入器(1)において、
請求項1乃至11のうちのいずれか一項に記載の乾燥粉末の複数の単位用量を分配するための装置(3)と、二つの搬送体(15)とを含み、これらの搬送体の各々は、夫々の単位用量用の複数のハウジングを有し、前記二つの搬送体(15)は、夫々、前記第1支持体(25a)及び前記第2支持体(25b)と関連している、吸入器(1)。
【請求項1】
乾燥粉末の複数の単位用量(2)を分配するための装置(3)であって、
−使用者が吸入を行うためのマウスピース(6)が設けられたケーシング(5)と、
−第1支持体(25a)及び第2支持体(25b)であって、これらの支持体は、二つの搬送体(15)それぞれのためのものであり、これらの搬送体は、各々、用量を吸入するために前記マウスピースに連結されるようになった、夫々の単位用量(2)用の複数のハウジングを有し、前記第1支持体(25a)及び前記第2支持体(25b)は、前記ハウジングを前記マウスピースに順次連結するため、前記ケーシング(5)内に移動自在に取り付けられている、第1支持体(25a)及び第2支持体(25b)と、
−前記第1支持体(25a)及び前記第2支持体(25b)と係合し、これらの支持体を移動させるようになった割り送り機構(76、81)であって、前記割り送り機構(76、81)及び前記第1支持体(25a)及び前記第2支持体(25b)は、装置が第1分配状態にあるときに、前記第1支持体(25a)が前記ケーシング(5)に関して移動できるように前記割り送り機構(76、81)と係合し、前記第2支持体(25b)が前記ケーシング(5)に関して定置であるように前記割り送り機構(76、81)から係合解除されており、次いで、装置が第2分配状態にあるときに、前記第2支持体(25b)が前記ケーシング(5)に関して移動できるように前記割り送り機構(76、81)と係合し、前記第1支持体(25a)が、前記ケーシング(5)に関して定置であるように前記割り送り機構(76、81)から係合解除されるように形成された、割り送り機構(76、81)と、
−前記装置(3)を前記第1分配状態から前記第2分配状態にするようになった切り換え手段(90)と、
を含む、装置(3)において、
前記切り換え手段(90)は、前記装置(3)が前記第1分配状態にあるときに、前記第2支持体(25b)を定置位置に係止し、前記装置(3)が第2分配状態にあるときに、前記第1支持体(25a)を定置位置に係止するようになっている、ことを特徴とする装置(3)。
【請求項2】
請求項1に記載の装置(3)において、
前記切り換え手段(90)は、前記第1支持体(25a)が前記割り送り機構(76、81)から係合解除されたとき、前記第2支持体(25b)をその定置位置から解放し、前記第2支持体(25b)を前記割り送り機構(76、81)と係合させるようになっている、装置(3)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置(3)において、
前記切り換え手段は切り換え機構(90)を含み、この切り換え機構(90)は前記第1支持体(25a)と前記第2支持体(25b)との間に配置され、前記ケーシング(5)内に移動自在に取り付けられている、装置(3)。
【請求項4】
請求項3に記載の装置(3)において、
前記切り換え手段は、前記第1支持体(25a)及び前記第2支持体(25b)の夫々に設けられた第1及び第2の係合部分(37)を含み、
前記切り換え機構(90)は、第1係合区分(95)及び第2係合区分(115)と、係止装置(100、105、120、125、130)であって、
前記装置(3)が前記第1分配状態にあるとき、前記第2係合区分(115)が前記第2係合部分(37)と係合し、前記係止装置は前記切り換え機構(90)が前記ケーシング(5)に関して移動しないようにし、
前記第1支持体(25a)が前記割り送り機構(76、81)から係合解除されたとき、前記第1係合区分(95)及び前記第2係合区分(115)が、夫々、前記第1及び第2の係合部分(37)と係合し、前記係止装置は、前記切り換え機構(90)が前記ケーシング(5)に関して移動できるようにし、
前記装置(3)が前記第2分配状態にあるとき、前記第1係合区分(95)が前記第1係合部分(37)と係合し、前記係止装置は、前記切り換え機構(90)が前記ケーシング(5)に関して移動しないようにする
ように、前記第1支持体(25a)及び前記第2支持体(25b)と協働するように構成されている、係止装置(100、105、120、125、130)と
を備える、装置(3)。
【請求項5】
請求項4に記載の装置(3)において、
前記第1支持体(25a)及び前記第2支持体(25b)は、夫々、第1及び第2の接触面(48)を含み、前記係止装置は、前記第1及び第2の接触面(48)と夫々協働するように前記切り換え機構(90)に配置された第1当接区分(100、105)及び第2当接区分(120、125、130)を含み、
前記装置(3)が前記第1分配状態にあるとき、前記第1当接区分(100、105)が前記第1接触面(48)に当接し、
前記第1支持体(25a)が前記割り送り機構(76、81)から係合解除されたとき、前記第1当接区分(100、105)及び前記第2当接区分(120、125、130)は、前記第1及び第2の接触面(48)と当接せず、
前記装置(3)が前記第2分配状態にあるとき、前記第2当接区分(120、125、130)が前記第2接触面(48)に当接する、装置(3)。
【請求項6】
請求項5に記載の装置(3)において、
前記第1支持体(25a)及び前記第2支持体(25b)は、更に、第1及び第2のノッチ(49)を含み、これらのノッチは、夫々、前記第1及び第2の係合部分(37)と対応して配置され、前記第1及び第2のノッチ(49)は、前記第1支持体(25a)が前記割り送り機構(76、81)から係合解除されたとき、前記第1当接区分(100、105)及び前記第2当接区分(120、125、130)が前記第1及び第2の接触面(48)と当接した状態から外すようになっている、装置(3)。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の装置(3)において、
前記切り換え機構(90)は一体に形成されている、装置(3)。
【請求項8】
請求項7に記載の装置(3)において、
前記第1支持体(25a)及び前記第2支持体(25b)は重ねられており、前記切り換え機構(90)は前記ケーシング(5)内に回転自在に取り付けられており、前記切り換え機構(90)は、前記第1支持体(25a)及び前記第2支持体(25b)と夫々協働する第1側部(92)及び第2側部(93)を有する、装置(3)。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の装置(3)において、
前記第1係合区分(95)及び前記第2係合区分(115)は、前記第1係合部分及び前記第2係合部分の各々の歯車歯(37)と噛み合うようになった歯車歯で形成されており、前記第1当接区分(100、105)及び前記第2当接区分(120、125、130)の各々は、前記第1係合区分(95)及び前記第2係合区分(115)の夫々に関して角度的にオフセットした表面を含む、装置(3)。
【請求項10】
請求項9に記載の装置(3)において、
前記第1当接区分(100、105)及び前記第2当接区分(120、125、130)の夫々の表面は、少なくとも部分的に、前記第1係合区分(95)及び前記第2係合区分(115)の前記歯車歯に形成されている、装置(3)。
【請求項11】
請求項1乃至10のうちのいずれか一項に記載の装置(3)において、
前記第1支持体(25a)及び前記第2支持体(25b)は円形形体であり、前記第1支持体(25a)及び前記第2支持体(25b)は前記ケーシング(5)内に中央軸線(A)を中心として回転自在に取り付けられている、装置(3)。
【請求項12】
吸入器(1)において、
請求項1乃至11のうちのいずれか一項に記載の乾燥粉末の複数の単位用量を分配するための装置(3)と、二つの搬送体(15)とを含み、これらの搬送体の各々は、夫々の単位用量用の複数のハウジングを有し、前記二つの搬送体(15)は、夫々、前記第1支持体(25a)及び前記第2支持体(25b)と関連している、吸入器(1)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
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【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2011−147774(P2011−147774A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−4626(P2011−4626)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(597014501)ファイザー・リミテッド (107)
【氏名又は名称原語表記】Pfizer Limited
【住所又は居所原語表記】Ramsgate Road, Sandwich, Kent, England
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4626(P2011−4626)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(597014501)ファイザー・リミテッド (107)
【氏名又は名称原語表記】Pfizer Limited
【住所又は居所原語表記】Ramsgate Road, Sandwich, Kent, England
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