説明

乾燥粉末吸入組成物の製造方法

【課題】薬学的に許容できる粒状担体、第1粒状吸入医薬及び第2粒状吸入医薬を含んでなる乾燥粉末吸入組成物及びそれを製造する方法の提供。
【解決手段】(a)担体を第1粒状吸入医薬の第1部分と混合して第1混合物を形成し;(b)前記第1混合物を第2粒状吸入医薬と混合して第2混合物を形成し;そして(c)前記第2混合物を該第1粒状吸入医薬の第2部分と混合して乾燥粉末吸入組成物を形成する諸工程を含んでなる製造方法であって、第2粒状吸入医薬の該担体に対する重量比が、該第1粒状吸入医薬の該担体に対する重量比よりも小さく、該第1粒状吸入医薬の該第1部分が、重量/重量で、該乾燥粉末吸入組成物中の該第1粒状吸入医薬の全量の半分より少ない方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本願は、2002年8月21日出願の英国特許出願第0219511.3号の優先権を主張するものである。
本発明は、乾燥粉末吸入組成物の製造方法、組成物及びその使用に関する。本発明の組成物は、用量均一性、信頼性及び医薬の分散均一性により特徴付けられる。
【背景技術】
【0002】
粒状担体、第1粒状吸入医薬、及び第2粒状吸入医薬の3成分混合物の製造は、1の医薬が他の医薬に比較して相対的に小さな割合で存在するときに特定の問題が生じる。均質な混合物を製造するのが難しい。加えて、少量の医薬が不活性担体に結合することがあり、その製剤が、例えば、乾燥粉末吸入器(DPI)装置により送り込まれたときに、患者に利用され得る医薬の量に影響を及ぼし得る。そのような装置では、1又はそれを越える活性成分及びラクトースなどの担体を含んでなる組成物の計量された用量が、患者の吸気努力によってもたらされる空気流の中に出される。医薬及び担体がこの空気流中に伴出され、微粒子の医薬だけが肺の深い窪み(その医薬の作用部位である)に入り、不活性賦形剤が口内又は肺の上部域のいずれかに沈積する。
【0003】
高度に強い吸入薬剤の正確な計量は、その組成物中の担体の量に比較した医薬の量が特に少ない(50部の担体に対して薬剤が1部未満)ので、特定の問題を起こすことが多い。このことは、患者に60マイクログラム未満の用量(6マイクログラムもの少なさであり得る)で投与されることが多い、医薬ホルモテロールがよい例である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かくして、用量均一性、信頼性及び組成物中の複数の医薬の分散均一性を与えるために、均質でありかつ適する乾燥粉末吸入器で使用されることができる3成分混合物を製造する方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
用量均一性、信頼性及び医薬の分散均一性により特徴付けられる乾燥粉末製剤が、本明細書に記載されるところの、担体に対する特定比の諸医薬を特定のやり方で混合することにより得られることを見出した。かくして、本発明は、薬学的に許容できる粒状担体、第1粒状吸入医薬、及び第2粒状吸入医薬を含んでなる乾燥粉末吸入組成物を製造する方法であって、該第2医薬の該担体に対する割合が、該第1医薬の該担体に対する割合に比較して小さくなる方法を提供する。この方法は、該担体が該第1粒状吸入医薬の第1部分と混合され、得られる第1混合物が実質的に全ての該第2粒状吸入医薬と混合されて混合物を与える点に特徴がある。該第1粒状吸入医薬の残りの部分は、その第2混合物と混合されて、目的の乾燥粉末吸入組成物を与える。乾燥粉末吸入組成物及び乾燥粉末吸入装置でそれを使用する方法も提供される。本発明は、更に、選ばれた医薬に応答性の状態を治療するために、治療有効量の本発明の組成物を投与する方法を提供する。
即ち、本発明は、乾燥粉末吸入組成物を製造する方法であって、
(a)担体を第1粒状吸入医薬の第1部分と混合して第1混合物を形成し;
(b)前記第1混合物を第2粒状吸入医薬と混合して第2混合物を形成し;そして
(c)前記第2混合物を該第1粒状吸入医薬の第2 部分と混合して乾燥粉末吸入組成物を形成する諸工程
を含んでなる方法であり、その際、工程(c)からの該乾燥粉末吸入組成物において、該第2粒状吸入医薬の該担体に対する重量比が、該第1粒状吸入医薬の該担体に対する重量比よりも小さく、該第1粒状吸入医薬の該第1部分が、重量/重量で、該乾燥粉末吸入組成物中の該第1粒状吸入医薬の全量の半分より少ない方法を提供する。
本発明は、上記方法であって、該第1粒状吸入医薬の第1部分が、担体の全量の2重量%より少ない方法も提供する。
本発明は、上記方法であって、該第1粒状吸入医薬の第1部分が、該担体上に該第1粒状吸入医薬の単層を創り出すのに十分である方法も提供する。
本発明は、上記方法であって、該担体がラクトースである方法も提供する。
本発明は、上記方法であって、該第1粒状吸入医薬が、抗炎症性ステロイド又は薬学的に許容できるその誘導体である方法も提供する。
本発明は、上記方法であって、該粒状吸入医薬が、ブデソニド又は薬学的に許容できるその誘導体である方法も提供する。
本発明は、上記方法であって、該第2粒状吸入医薬が、気管支拡張薬又は薬学的に許容できるその誘導体である方法も提供する。
本発明は、上記方法であって、該第2粒状吸入医薬が、ホルモテロール又は薬学的に許容できるその誘導体である方法も提供する。
本発明は、上記方法であって、該第1粒状吸入医薬の該第2粒状吸入医薬に対する重量比が、5:1〜100:1である方法も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、担体、並びに第1及び第2粒状医薬を含んでなる乾燥粉末吸入組成物を製造する方法を提供する。本法は、担体が第1医薬の第1部分と混合され、得られる混合物が実質的に全ての第2医薬と混合されて予備混合物を与え、次いで、第1医薬の残りの部分がその予備混合物と混合されて、目的の乾燥粉末吸入組成物を与える点に特徴がある。乾燥粉末組成物及び乾燥粉末吸入装置でそれを使用する方法も提供される。
【0007】
本明細書で言及される特許、公表された出願、及び学術文献は、当業者の知識を構成し、そして、あたかも各々が参照により組み込まれるべきことと格別に及び個別的に示されるかのように、参照によりその全体が同じ程度まで本明細書に組み込まれる。本明細書で引用された文献とこの明細書の具体的な教示の間のいかなる矛盾も、後者に有利になるように解決が図られるものとする。同じく、用語又は語句の当該技術分野で理解されている定義とこの明細書で具体的に教示された用語又は語句の定義の間のいかなる矛盾も、後者に有利になるように解決が図られるものとする。
【0008】
本明細書で使用される技術的及び科学的用語は、他の定義がない限り、本発明が関係する当業者によって広く理解されている意味を有する。本明細書では、当業者に公知の種々の方法及び材料が言及される。薬学の一般原理を記載している標準的な参考論文には、Goodman と Gilman のThe Pharmacological Basis of Therapeutics, 10th EdL., McGraw Hill Companies Inc., New York (2001) が含まれる。
【0009】
当業者に公知であるあらゆる適する材料及び/又は方法が、本発明を実施するに際して用いられ得る。しかしながら、好ましい材料及び方法が記載される。以下の説明及び実施例で言及される材料、試薬等は、他の断りがない限り、商業的供給源から得ることができる。
【0010】
一過的語句においてか請求項においてかに関係なく、本明細書で使用される“含んでなる”という用語は、オープン−エンドの意味を有する。即ち、この用語は、“少なくとも・・・を有する”又は“少なくとも・・・を含む”という語句と同義語であるとして解釈されるべきである。方法の文脈で用いられるときは、“含んでなる”という用語は、その方法が少なくとも記載された工程を含むが、追加の工程を含んでもよいことを意味する。化合物又は組成物の文脈で用いられるときは、“含んでなる”という用語は、その化合物又は組成物が少なくとも記載された特徴又は成分を含むが、追加の特徴又は成分を含んでもよいことを意味する。
【0011】
本明細書で使用される“約”という用語は、「凡そ」、「の域内で」、「大まかに」、又は「その辺りの」を意味する。“約”という用語が数値範囲と接続して用いられるときは、記載された数値の上下の境界を拡張することによってその範囲を変える。一般に、“約”という用語は、記載された値の上下を20%の幅だけ変えるように本明細書で使用される。
【0012】
本明細書で使用される“又は”という用語は、他に特に示されない限り、“及び/又は”の“包含的”意味で使用され、“いずれか/又は”の“排除的”意味では使用されない。
【0013】
これ以後、本発明の具体的態様に詳細に言及する。本発明は、これら具体的態様に関連して説明されるが、本発明をそのような具体的態様に限定する意図ではないことが理解されるべきである。逆に、特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲内に含まれるものとして、その代替物、修飾物、及び均等物がカバーされることが意図される。以下の記載において、多数の具体的詳細は、本発明の完全な理解を提供するために記載される。本発明は、これら具体的詳細の幾つか又は全てがなくても実施されることができる。本発明を不必要に理解し難くしないために、周知方法の取り扱いは詳細に説明されない。
【0014】
本発明の一側面は、乾燥粉末吸入組成物を製造する方法であって、第1粒状吸入医薬の第1部分を担体と混合して第1混合物を形成し;その後、該第1混合物を第2粒状吸入医薬と混合して第2混合物を形成し;そして、該第2混合物を該第1粒状吸入医薬の第2部分と混合して乾燥粉末吸入組成物を形成する諸工程を含んでなる方法を提供する。この側面では、該第2粒状吸入医薬の該担体に対する重量比が、該第1粒状吸入医薬の該担体に対する重量比よりも小さい。
【0015】
この側面の1つの態様では、該第1医薬の該第1部分が、該第1医薬の全量の半分より少なく、他の態様では、該第1医薬の該第1部分が、重量/重量で、担体の全量の2%より少ない。
【0016】
理論に拘束されることを望まないが、分散の均一性、信頼性及び用量均一性に寄与する本発明の鍵となる側面は、第1医薬の第1部分が担体と混合されるとその担体上に単層を創り出すことであると考えられる。ある態様では、第1医薬の第1部分は、粒状担体上に第1医薬の単層を創り出すのに十分な量で構成される。
【0017】
担体上に第1医薬の詰まった単層を形成する医薬の量は、次の等式を使用して計算されることができる:
【0018】
【数1】

【0019】
式中、D及びdは、担体及び第1医薬それぞれの体積中央値直径(VMD)である。かくして、約57.5ミクロンのVMDを有する担体と約1.44ミクロンのVMDを有する第1医薬については、Cmin≒0.1%(w/w)である。かくして、例えば、2.15gの第1医薬と47.72gの粒状担体をブレンドするに際し、加えられる第1医薬の第1部分は、約0.04772gである。幾つかの態様では、第1医薬の第1部分は、幾何的混合方法を使用して加えられる。
【0020】
本発明で使用するための粒状担体の代表的な非限定的な例には、ラクトース、グルコース、又はスターチグリコール酸ナトリウム粒子が含まれるが、これらに限定されない。幾つかの態様では、粒状担体はラクトースである。ある場合には、粒状ラクトースは、αラクトース1水和物である。一般に、ラクトースの粒径は、それが空気流中に伴出され得るが肺の中の鍵となる標的部位に沈積しないような粒径であるべきである。従って、幾つかの態様では、40μm未満の平均粒径を有するラクトースは除かれる。粒径は、レーザー光散乱(Sympatec GmbH, Claasthal-Zellerfeld, Germany)を使用して測定されることができる。担体粒子は、約50〜約250μmのVMDを有する。その範囲内では、本発明による所与の組成物の担体粒子は、約50〜約60μm又は約60〜約90μm又は約90〜約150μmのVMDを有する。
【0021】
本明細書で使用される変数についての数値範囲の記載は、本発明がその範囲内の値に等しいいかなる変数でも実施され得ることを伝えることが意図される。かくして、本来的に孤立性の変数については、その変数は、その数値範囲の上下限を含むあらゆる整数に等しい。同じく、本来的に連続する変数については、その変数は、その数値範囲の上下限を含むあらゆる現実の値に等しい。例として、0と2の間の値を有するとして記載される変数は、本来的に孤立性の変数については0、1又は2であることができ、本来的に連続する変数については0.0、0.1、0.01、0.001、又はあらゆる他の現実の値であることができる。
【0022】
例示される方法及び組成物において、第1医薬はステロイドであり、第2医薬は気管支拡張薬である。当業者は、本明細書に詳記されるように、担体を逐次的様式で2又はそれを越える医薬と混合するという発見が、例示された活性物質に限定される必要がなく、一定の感銘を与える特性を、得られる組成物に与えるということを理解するであろう。このことから、幾つかの態様では、第1医薬は抗炎症性である。意図されるステロイドはブデソニドである。幾つかの態様では、第2医薬は、気管支拡張薬、特に、ホルモテロール又は薬学的に許容できるその塩などの長期間作用性の気管支拡張薬である。
【0023】
第1医薬の第2医薬に対する重量基準の割合は、関係する医薬の相対的強さに依存し、そして一般に当業者には知られているであろう。しかしながら、幾つかの態様では、これら割合は、約5:1〜約100:1の範囲であることができる。他の態様では、第1医薬の担体に対する割合は、約10:1〜約1:10,000であろう。
【0024】
本発明のある側面は、乾燥粉末吸入組成物であって、担体を第1粒状吸入医薬の第1部分と混合して第1混合物を形成し;次いで、該第1混合物を第2粒状吸入医薬と混合して第2混合物を形成し;そして、該第2混合物を該第1粒状吸入医薬の第2部分と混合して乾燥粉末吸入組成物を形成する諸工程を含んでなる方法により製造された組成物を提供する。この側面では、第2粒状吸入医薬の担体に対する重量比は、第1粒状吸入医薬の該担体に対する重量比よりも小さい。
【0025】
この側面の幾つかの態様では、第1医薬はブデソニドであり、そして、他の態様では、第2医薬はホルモテロールである。更なる他の態様では、第2医薬はフマル酸ホルモテロール2水和物である。
【0026】
本発明による組成物は、希釈剤、賦形剤、界面活性剤、及びフレーバー付与剤を含む担体などのあらゆる周知の薬学的に許容できる医薬的に不活性な部分を有する薬学的に許容できるビヒクル中に配合されることができる(Remington's Pharmaceutical Sciences 18th Ed., Gennaro, Mack Publishing Co., Easton, PA 1990 及び Remington: The Science and Practice of Pharmacy Lippincott, Williams & Wilkins, 1995 を参照のこと)。本発明の組成物を生成させるのに用いられる薬学的に許容できる担体/ビヒクルのタイプは、哺乳動物への該組成物の投与の様式に依存して変動するであろうが、概して、薬学的に許容できる担体は、生理学的に不活性で無毒である。
【0027】
本明細書で使用される“医薬”又は“活性成分”という用語は、乾燥粉末形態での吸入療法に適切な活性な薬品を囲い込むことが意図される。代表的な非限定的例には、気管支拡張薬(例えば、エピネフリン、メタロプロテレノール、テルブタリン、アルブテロール等)、抗コリン作働薬(例えば、イプラトロピウムブロミド)、キサンチン類(例えば、ジフィリン、アミノフィリン)、吸入用コルチコステロイド類(例えば、フルニソリド、ベクロメタゾン、ブデソニド等)、又はβ−2アドレナリン作働性レセプターアゴニスト(例えば、サルメテロール及びホルモテロール)が含まれる。
【0028】
医薬は、いかなる異性体形態でも異性体形態の混合物でも、例えば、純粋なエナンチオマー、特にそのR,R−エナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ体又はその混合物でもよい(例えば、ホルモテロール)。薬学的に許容できる誘導体には、薬学的に許容できる塩、特に、塩酸、臭化水素酸、硫酸又はリン酸などの無機酸との酸付加塩が含まれる。塩は、酢酸、スクシン酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸又は安息香酸などの有機酸との塩であってもよい。その活性成分及び薬学的に許容できるその誘導体は、溶媒和物、特に水和物の形態で存在してもよい。
【0029】
本発明で使用するための活性成分の形態は、フマル酸ホルモテロール、特にフマル酸ホルモテロール2水和物であり、そのラセミ体が便利である。ホルモテロール、その塩及びその水和物、及び上記のその水和物塩は、公知の方法により、例えば、米国特許第3,994,974号又は米国特許第5,684,199号に記載されている通りに調製されることができる。
【0030】
本発明の組成物の製剤は、単位投薬形態で存在することが便利であり、慣用的な製剤技術によって調製されることができる。そのような技術には、本発明の化合物及び薬学的に許容できる担体若しくは賦形剤を混合する工程が含まれる。一般に、製剤は、活性成分を微粉砕された固体担体と均一によく混合してから、必要なら、別々の投薬単位の製品を調製することにより製造される。
【0031】
本乾燥粉末組成物は、計量され、そして、カプセルの中に、例えば、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルの中に、そのカプセルが単位用量の活性成分を含有するように充填されることができる。
【0032】
本乾燥粉末が単位用量の活性成分を含有するカプセル内にあるときは、本組成物の全量は、カプセルのサイズ及びそのカプセルがそれで使用される吸入装置の特徴に依存するであろう。しかしながら、カプセル当たりの乾燥粉末の代表的で特徴的な全充填重量は、1〜25mgであり、例えば、5、10、15又は20mgである。
【0033】
また、本発明による乾燥粉末組成物は、複数用量乾燥粉末吸入器(MDPI)、例えば、WO92/10229で例示される種類のもの、の溜めの中に充填されることができる。
【0034】
本発明の別の側面は、吸入器と本発明による組成物とを含んでなる乾燥粉末吸入器を提供する。
本発明の別の側面は、本発明の組成物の複数用量乾燥粉末吸入器からの吸入を含んでなる、粒状医薬の投与方法を提供する。
【0035】
本発明の更に別の側面は、選ばれた医薬に応答性の状態を治療するために、本明細書に記載された方法により製造された治療有効量の組成物を投与する方法を提供する。状態の非限定的な例には、慢性閉塞性肺疾患、喘息、後天性アレルギー反応、又は肺の炎症が含まれる。
【0036】
“治療有効量”という用語は、求められる治療結果を達成するのに有効な投薬量での治療を表すために使用される。更には、当業者は、本発明の組成物の治療有効量が、微妙な調整により及び/又は1種を越える本発明の組成物の投与により、又は本発明の組成物を別の化合物又は組成物と一緒に投与することにより、減らされても増やされてもよいことが分かるであろう。従って、本発明は、投与/治療を、所与の哺乳動物にとって特異的な特定の必要条件に合せる方法を提供する。
【0037】
以下の実施例は、本発明の一定の好ましい態様を更に例示することが意図されており、本発明を限定するものではない。当業者は、日常的な実験手段を使用することにより、ここに記載する具体的な物質及び操作の多数の均等物を認識するか又は確認するであろう。
【実施例】
【0038】
実施例1
【0039】
【表1】

【0040】
工程1
0.5%重量%のブデソニドを用いてラクトース結晶上にブデソニドの単層が形成された。必要な量のラクトースとブデソニド(表1を参照)が別々のステンレススチール容器の中に出された。半分のラクトースが蓋のあるステンレススチール混合容器の中に入れられた。1キロ/2キロバッチには4リッター容器が使われ、2.5キロ/バッチには8リッターと10リッターの両方の容器が使われた。ブデソニドのあらゆる凝集塊がスパチラで崩され、その活性成分がラクトース床の上に一様に分布するように徐々に加えられた。残りのラクトースがその混合容器の中に加えられた。次いで、その混合容器は、TURBULATMミキサー(TURBULATM, Glen Creston, New Jersey, USA)上に23又は32rpmで10分間載せられた。
【0041】
工程2
工程1からの予備ブレンド物にホルモテロールが加えられた。必要な量のホルモテロール(表Iを参照)がステンレススチールビーカーの中に計量された。そのホルモテロールは、スパチラであらゆる凝集塊が崩された後、混合容器の中に加えられた。これは、ブレンド物の上に一様な分布が確実にできるだけの時間をとりながらスパチラで加えられた。次いで、その容器は、再度 TURBULATM ミキサー上に46rpmで40分間載せ
られた。
【0042】
工程3
ブデソニドの残りがブレンド物に加えられた。ブデソニドはステンレススチールビーカーの中に出された。工程2からの予備ブレンド物の半分が、アエロマチックフィルダーpma1造粒器(Nivo Pharma. Systems (Nivo Inc.) Columbia, Maryland, US)の3リッ
ターボールの中に加えられた。続けて、ブデソニドが、そのボール中で確実に一様な分布をするように注意して加えられた。残りの予備ブレンド物が加えられた。その粉末は、1500rpmの造粒器速度と600rpmのチョッパー速度で15分間混合された。そのブレンド物は、ミキサーから出されて二重ポリエチレン袋に入れられた。そのブレンド物は、250ミクロン篩アッセンブリーの中に注がれ、Retsch 篩振盪器を使用して0.65mmの大きさに篩分けされた。
【0043】
そのブレンド物の異なる諸スポットからのサンプルが、ブデソニド及びホルモテロールの両方についての均質性分析のために採取された。全てのブレンド物が、薬剤の含有量の相対標準偏差(RSD)<5%で、目標に近い薬剤を含有していることが分かった(表2)。
【0044】
【表2】

【0045】
ブレンド物の薬剤含有量が均質であることが分かった後、それは、WO92/10229に開示されたものに基づくDPI装置である、IVAXTM複数用量DPI(MDPI)の中に充填された。
【0046】
次いで、その製剤を含有した吸入器は、送り込まれる用量及び微粒子用量の均一性を含む、European Pharmacopoeia (2001) で決められた条件下で、薬学的性能について試験された。駆動当たりの薬剤量(DPA)が、臨界流コントローラーモデルTPK、高速ポンプ及び流量計(Copley Scientific, Nottingham, U.K.)が接続された用量単位サンプリングユニットを使用して測定され、微粒子用量(FPD)及び微粒子画分(FPF)が、やはり Copley Scientific からの5段階液体インピンジャーMSLを使用して測定された。
【0047】
その組成物は、WO92/10229の装置で使用されたとき、両方の医薬についてのラベルクレームに近い平均DPAと、両方の医薬の微粒子の良好な割合で、優れた用量均一性と信頼性をもたらした(表3及び4)。
【0048】
【表3】

【0049】
【表4】

【0050】
均等物
特許請求される発明が、その具体的態様に言及されながら詳細に説明されてきたが、本発明の精神や範囲から逸脱することなく、種々の変更及び修飾が特許請求される発明になし得ることが当業者には明らかであろう。従って、例えば、当業者は、日常的な実験手段を使用することにより、ここに記載された具体的な物質及び操作の多数の均等物を認識するか又は確認することができるであろう。そのような均等物は、この発明の範囲内であると考えられ、従って、特許請求の範囲の請求項によってカバーされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入組成物であって:
(a)担体を第1粒状吸入医薬の第1部分と混合して第1混合物を形成し;
(b)前記第1混合物を第2粒状吸入医薬と混合して第2混合物を形成し;そして
(c)前記第2混合物を該第1粒状吸入医薬の第2部分と混合して乾燥粉末吸入組成物を形成する諸工程
を含んでなる方法であって、その際、工程(c)からの該乾燥粉末吸入組成物において、該第2粒状吸入医薬の該担体に対する重量比が、該第1粒状吸入医薬の該担体に対する重量比よりも小さく、該第1粒状吸入医薬の該第1部分が、重量/重量で、該乾燥粉末吸入組成物中の該第1粒状吸入医薬の全量の半分より少ない方法、により製造された組成物。
【請求項2】
請求項1の乾燥粉末吸入組成物であって、該第1粒状吸入医薬が、ブデソニド又は薬学的に許容できるその誘導体である組成物。
【請求項3】
請求項1の乾燥粉末吸入組成物であって、該第2粒状吸入医薬が、フマル酸ホルモテロール2水和物である組成物。
【請求項4】
請求項1〜3の組成物を含んでなるMDPI。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項の乾燥粉末吸入組成物であって、MDPIに入れられた組成物。

【公開番号】特開2011−63621(P2011−63621A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264262(P2010−264262)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【分割の表示】特願2004−531169(P2004−531169)の分割
【原出願日】平成15年8月21日(2003.8.21)
【出願人】(508008555)ノートン・ヘルスケアー リミテッド (10)
【Fターム(参考)】