説明

乾燥装置

【課題】乾燥装置の乾燥効率を向上させること。
【解決手段】本発明では、被処理物と加熱媒体(8)とを回転するドラム(10)の内部で混合させて被処理物の乾燥処理を行う乾燥装置(1)において、ドラム(10)は、乾燥処理前の被処理物が投入される投入部(15)と、乾燥処理後の被処理物を排出する排出部(16)と、投入部(15)と排出部(16)との間で被処理物と加熱媒体(8)とを混合させながら搬送する処理部(18)と、排出部(16)から投入部(15)に加熱媒体(8)を還流させる還流部(17)とを有し、処理部(18)を回転方向に沿って複数の処理室(27)に分割する隔壁(26)を設けることにした。また、前記隔壁(26)に、加熱媒体(8)の通過が不可能で被処理物の通過が可能な連通孔(28)を形成することにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理物と加熱媒体とを回転するドラムの内部で混合させて被処理物の乾燥処理を行う乾燥装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、食品残渣や汚泥などの被処理物を乾燥させるための装置として、被処理物と加熱媒体とを回転するドラムの内部で混合させ、加熱媒体の熱を利用して被処理物の乾燥処理を行う乾燥装置が用いられている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
従来の乾燥装置は、円筒状のドラムの前端部に被処理物を投入するための投入部を形成するとともに、ドラムの後端部に被処理物と加熱媒体とを分離して被処理物だけを排出するための排出部を形成している。また、乾燥装置は、ドラムの内部外周側に投入部と排出部との間で被処理物を加熱媒体と混合させながら搬送して被処理物の乾燥処理を行うための処理部を形成し、ドラムの内部内周側(回転中心部)に排出部から投入部に向けて加熱媒体を還流させるための還流部を形成している。
【0004】
そして、従来の乾燥装置では、投入部に投入した被処理物を還流部から還流してきた加熱媒体とともに処理部に搬入し、ドラムの回転に伴って処理部の内部で被処理物と加熱媒体とを混合させながら搬送し、排出部で乾燥処理後の被処理物と加熱媒体と分離して被処理物だけを排出するとともに、分離した加熱媒体を還流部を介して投入部へと還流させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−51845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の乾燥装置は、ドラムの回転中心部に形成された還流部の外周に円筒形状の処理部を形成している。
【0007】
そのため、上記従来の乾燥装置は、ドラムを回転させると、被処理物と加熱媒体とが処理部の外周壁(ドラムの内周壁)とともに一旦上昇し、その後、上昇途中において重力の作用によって処理部の下端へ向けて落下する動作が繰返し行われ、円筒形状の処理室の一部分だけで被処理物と加熱媒体との混合が繰返される。
【0008】
この従来の乾燥装置では、さらなる乾燥効率の向上が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明では、被処理物と加熱媒体とを回転するドラムの内部で混合させて被処理物の乾燥処理を行う乾燥装置において、ドラムは、乾燥処理前の被処理物が投入される投入部と、乾燥処理後の被処理物を排出する排出部と、投入部と排出部との間で被処理物と加熱媒体とを混合させながら搬送する処理部と、排出部から投入部に加熱媒体を還流させる還流部とを有し、処理部を回転方向に沿って複数の処理室に分割する隔壁を設けることにした。
【0010】
また、前記隔壁に、加熱媒体の通過が不可能で被処理物の通過が可能な連通孔を形成することにした。
【発明の効果】
【0011】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0012】
すなわち、本発明では、被処理物と加熱媒体とを回転するドラムの内部で混合させて被処理物の乾燥処理を行う乾燥装置において、ドラムは、乾燥処理前の被処理物が投入される投入部と、乾燥処理後の被処理物を排出する排出部と、投入部と排出部との間で被処理物と加熱媒体とを混合させながら搬送する処理部と、排出部から投入部に加熱媒体を還流させる還流部とを有し、処理部を回転方向に沿って複数の処理室に分割する隔壁を設けているために、複数の処理室の内部で被処理物と加熱媒体との混合を行うことができるので、処理部の内部を有効に利用することができ、乾燥装置の乾燥効率を向上させることができる。
【0013】
特に、隔壁に加熱媒体の通過が不可能で被処理物の通過が可能な連通孔を形成した場合には、被処理物と加熱媒体との接触頻度が増大して乾燥装置の乾燥効率をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る乾燥装置を示す側面図。
【図2】同側面断面図。
【図3】同正面断面図。
【図4】動作説明図。
【図5】隔壁を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る乾燥装置の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1〜図3に示すように、乾燥装置1は、基台2の上部に被処理物を乾燥させるための乾燥処理機構3を配設し、乾燥処理機構3の前側に熱風を乾燥処理機構3へ供給するための熱風供給機構4と乾燥処理前の被処理物を乾燥処理機構3へ投入するための被処理物投入機構5とを配設する一方、乾燥処理機構3の後側に乾燥処理後の被処理物を回収するための回収機構6と乾燥処理時に発生した蒸気を排出するための排気機構7とを配設している。
【0017】
そして、乾燥装置1は、乾燥処理前の被処理物を被処理物投入機構5から乾燥処理機構3へ投入するとともに、熱風供給機構4から乾燥処理機構3へ熱風を供給し、乾燥処理機構3の内部で被処理物を乾燥処理し、乾燥処理後の被処理物を回収機構6で回収するとともに、乾燥処理時に発生した蒸気を排気機構7で外部に排出する。
【0018】
乾燥処理機構3では、熱風供給機構4から供給される熱風を用いて直接的に被処理物を乾燥させるだけでなく、金属塊やセラミックボールなどの加熱媒体8を熱風で加熱し、被処理物を加熱媒体8と混合させて接触させることで被処理物を乾燥させるようにしている。
【0019】
この乾燥処理機構3は、基台2の上部に回転駆動機構9を設け、回転駆動機構9に前後方向に伸延する円筒状のドラム10を接続している。
【0020】
回転駆動機構9は、基台2の上部に左右一対の支持輪11,11を前後に間隔をあけて転動自在に取付け、支持輪11,11の上部にドラム10を載置している。また、回転駆動機構9は、基台2の上部に駆動モーター12を取付け、駆動モーター12をドラム10の外周部に駆動ベルト13を介して連動連結している。
【0021】
ドラム10は、円筒状のドラム本体14の前端部に乾燥処理前の被処理物が投入される投入部15を形成する一方、ドラム本体14の後端部に乾燥処理後の被処理物を排出する排出部16を形成し、ドラム本体14の内部中央側に排出部16から投入部15に加熱媒体8を還流させる還流部17を形成するとともに、ドラム本体14の内部外周側に投入部15と排出部16との間で被処理物と加熱媒体8とを混合させながら搬送する処理部18を形成している。
【0022】
投入部15は、ドラム本体14の前端中央部に円形状の開口19を形成するとともに、開口19の内側外周部に搬送翼20を取付け、被処理物投入機構5の投入ホッパー21の先端部を開口19からドラム本体14の内部に挿通させている。
【0023】
排出部16は、ドラム本体14の後端外周部に加熱媒体8よりも小さい複数の円形状の排出孔22を形成し、乾燥処理後の固体状の被処理物を排出孔22から下方の回収機構6へと落下させ、乾燥処理時に発生した気体状の蒸気を排出孔22から上方の排気機構7へと排出させる。この排出部16では、排出孔22を加熱媒体8よりも小さく形成することで、被処理物だけを落下させて、被処理物と加熱媒体8とを分離している。
【0024】
還流部17は、ドラム本体14の回転中心軸上に搬送スパイラル翼23を配置して搬送スパイラル翼23の基端部(後端部)をドラム本体14の後端部に取付けるとともに、搬送スパイラル翼23の先端部(前端部)を投入部15に連通させている。また、還流部17は、搬送スパイラル翼23の周囲に前後に伸延する円筒状の還流筒体24を配置して還流筒体24の基端部(後端部)をドラム本体14の後端部に取付け、還流筒体24の後端部に還流樋25を形成している。搬送スパイラル翼23及び還流筒体24は、ドラム本体14を回転駆動機構9で回転させると、それに伴って回転する。これにより、排出部16で被処理物と分離した加熱媒体8は、還流樋25によって搬送スパイラル翼23に送られ、搬送スパイラル翼23によって投入部15へと送られる。
【0025】
処理部18は、還流筒体24の外周壁とドラム本体14の内周壁との間に前後に伸延する円筒形状の空間として形成される。
【0026】
この処理部18は、還流筒体24の外周壁とドラム本体14の内周壁との間にドラム10の回転方向(円周方向)に等間隔をあけて複数枚(ここでは、4枚)の前後に伸延する矩形板状の隔壁26を取付けている。これにより、処理部18は、ドラム10の回転方向に沿って複数個(ここでは、4個)の処理室27に分割されている。
【0027】
隔壁26には、被処理物の通過が可能で加熱媒体8の通過が不可能な大きさの連通孔28を多数形成し、隣接する処理室27の間で被処理物だけが移動できるようにしている。
【0028】
また、各処理室27には、ドラム本体14の外周壁に搬送翼29を取付けており、各処理室27ごとに被処理物と加熱媒体8とを混合させながら投入部15から排出部16へと搬送できるようにしている。
【0029】
乾燥装置1は、以上に説明したように構成している。そして、乾燥装置1において、被処理物投入機構5から開口19を介してドラム10の内部の投入部15に投入された被処理物は、投入部15から複数個(ここでは、4個)の処理室27に分散されて搬送される。また、還流部17から還流した加熱媒体8も投入部15から複数個(ここでは、4個)の処理室27に分散されて搬送される。その後、各処理室27の内部で被処理物と加熱媒体8とが混合されながら投入部15から排出部16へと搬送される。その際に、処理部18が隔壁26で複数の処理室27に分割されているために、図4に示すように、各処理室27の内部で被処理物と加熱媒体8との混合が連続して行われ、しかも、ドラム10の回転途中において混合方向が変化するため、従来よりもドラム10の内部において被処理物と加熱媒体8とが占有する体積を増大させることができるとともに、被処理物と加熱媒体8との接触頻度を増大させることができるので、乾燥装置1の乾燥効率を向上させることができる。
【0030】
以上に説明したように、上記乾燥装置1では、ドラム10に処理部18を回転方向に沿って複数の処理室27に分割する隔壁26を設けた構成となっている。
【0031】
そのため、上記構成の乾燥装置1では、複数の処理室27の内部で被処理物と加熱媒体8との混合を行うことができるので、処理部18の内部を有効に利用することができ、乾燥装置1の乾燥効率を向上させることができる。
【0032】
また、上記乾燥装置1では、隔壁26に加熱媒体8の通過が不可能で被処理物の通過が可能な連通孔28を形成した構成となっている。
【0033】
そのため、上記構成の乾燥装置1では、被処理物と加熱媒体8との接触頻度が増大して乾燥装置1の乾燥効率をより一層向上させることができる。
【0034】
隔壁26は、図5(a)に示すように、処理部18を回転方向に沿って複数個の処理室27に分割する場合に限られず、図5(b)に示すように、処理部18を回転方向だけでなく伸延方向(前後方向)に沿って複数個の処理室27,27に分割するようにしてもよく、さらに、図5(c)に示すように、伸延方向で処理室27,27を円周方向にずらして分割するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 乾燥装置 2 基台
3 乾燥処理機構 4 熱風供給機構
5 被処理物投入機構 6 回収機構
7 排気機構 8 加熱媒体
9 回転駆動機構 10 ドラム
11 支持輪 12 駆動モーター
13 駆動ベルト 14 ドラム本体
15 投入部 16 排出部
17 還流部 18 処理部
19 開口 20 搬送翼
21 投入ホッパー 22 排出孔
23 搬送スパイラル翼 24 還流筒体
25 還流樋 26 隔壁
27 処理室 28 連通孔
29 搬送翼

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物と加熱媒体とを回転するドラムの内部で混合させて被処理物の乾燥処理を行う乾燥装置において、
ドラムは、
乾燥処理前の被処理物が投入される投入部と、
乾燥処理後の被処理物を排出する排出部と、
投入部と排出部との間で被処理物と加熱媒体とを混合させながら搬送する処理部と、
排出部から投入部に加熱媒体を還流させる還流部と、
を有し、
処理部を回転方向に沿って複数の処理室に分割する隔壁を設けたことを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
前記隔壁に、加熱媒体の通過が不可能で被処理物の通過が可能な連通孔を形成したことを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−108683(P2013−108683A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254574(P2011−254574)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(596091978)株式会社西村鐵工所 (9)
【Fターム(参考)】