説明

乾燥装置

【課題】液体が付着した板状物を短時間で乾燥することができる乾燥装置を提供する。
【解決手段】板状物に付着した液体を除去して乾燥するための乾燥装置であって、板状物を保持する保持面を有する保持テーブルと、保持テーブルに超音波振動を付与する超音波振動付与手段とを具備し、超音波振動付与手段を作動して保持テーブルに超音波振動を付与し、保持テーブルに保持された板状物に超音波振動を付与することにより、板状物に付着した液体を微粒子にして飛散せしめる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ等の板状物の表面を洗浄した後に乾燥するための乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイスを形成する。このように形成された半導体ウエーハをストリートに沿って切断することによりデバイスが形成された領域を分割して個々の半導体デバイスを製造している。また、サファイア基板の表面に窒化ガリウム系化合物半導体等が積層された光デバイスウエーハもストリートに沿って切断することにより個々の発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスに分割され、電気機器に広く利用されている。
【0003】
上述した半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のストリートに沿った切断は、通常、ダイサーと呼ばれている切削装置によって行われている。この切削装置は、半導体ウエーハ等のウエーハを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハを切削する切削ブレードを備えた切削手段と、チャックテーブルと切削手段とを切削送り方向に相対的に切削送りする切削送り手段と、切削手段によって切削されたウエーハを洗浄する洗浄手段を具備している。この洗浄手段としては、ウエーハを保持し回転可能なスピンナーテーブルと、該スピンナーテーブルに保持されたウエーハに洗浄液を噴射する噴射口を有する切削水噴射ノズルを備えた切削水噴射機構とを具備するスピンナー洗浄装置が用いられている。また、洗浄手段は、スピンナーテーブルに保持されたウエーハにエアーを吹き付けるエアーノズルを備え、洗浄されたウエーハを保持したスピンナーテーブルを高速回転しつつウエーハにエアーを吹き付けることにより洗浄されたウエーハを乾燥している。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−128359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
而して、切削ブレードによって切削されたウエーハの切削溝に侵入した切削水は、スピンナーテーブルを高速回転しても十分に排出することが困難であり、乾燥が不十分となるとともに比較的長い作業時間を要するという問題がある。
【0006】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、液体が付着した板状物を短時間で乾燥することができる乾燥装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、板状物に付着した液体を除去して乾燥するための乾燥装置であって、
板状物を保持する保持面を有する保持テーブルと、
該保持テーブルに超音波振動を付与する超音波振動付与手段と、を具備し、
該超音波振動付与手段を作動して該保持テーブルに超音波振動を付与し、該保持テーブルに保持された板状物に超音波振動を付与することにより、板状物に付着した液体を微粒子にして飛散せしめる、
ことを特徴とする乾燥装置が提供される。
【0008】
上記超音波振動付与手段は、周波数が2.5MHz以上の超音波振動を該保持テーブルに付与する。
上記保持テーブルを回転する回転駆動手段を備えている。
また、上記保持テーブルに保持された板状物にエアーを供給するためのエアー供給機構を備えている。
更に、上記保持テーブルに保持された板状物に洗浄液を供給するための洗浄液供給機構を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明による乾燥装置は、板状物を保持する保持テーブルに超音波振動を付与する超音波振動付与手段を具備し、該超音波振動付与手段を作動して保持テーブルに超音波振動を付与し、保持テーブルに保持された板状物に超音波振動を付与することにより、板状物に付着した液体を微粒子にして飛散せしめるので、液体が付着した板状物を短時間で乾燥することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に従って構成された乾燥装置を装備した切削機の斜視図。
【図2】図1に示す切削機に装備された本発明に従って構成された乾燥装置の一部を破断して示す斜視図。
【図3】図2に示す乾燥装置を構成する保持テーブルおよび超音波振動付与手段の要部を破断して示す説明図。
【図4】図2に示す乾燥装置の保持テーブルを被加工物搬入・搬出位置に位置付けた状態を示す説明図。
【図5】図2に示す乾燥装置の保持テーブルを作業位置に位置付けた状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に従って構成された乾燥装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1には、本発明に従って構成された乾燥装置を装備した切削機の斜視図が示されている。
図1に示す切削機1は、略直方体状の装置ハウジング2を具備している。この装置ハウジング2内には、被加工物を保持するチャックテーブル3が切削送り方向である矢印Xで示す方向(X軸方向)に移動可能に配設されている。チャックテーブル3は、吸着チャック支持台31と、該吸着チャック支持台31上に配設された吸着チャック32を具備しており、該吸着チャック32の上面である保持面上に被加工物を図示しない吸引手段を作動することによって吸引保持するようになっている。また、チャックテーブル3は、図示しない回転機構によって回転可能に構成されている。なお、チャックテーブル3には、被加工物として後述するウエーハをダイシングテープを介して支持する環状のフレームを固定するためのクランプ33が配設されている。このように構成されたチャックテーブル3は、図示しない切削送り手段によって、矢印Xで示す切削送り方向(X軸方向)に移動せしめられるようになっている。
【0013】
図1に示す切削機1は、切削手段としてのスピンドルユニット4を具備している。スピンドルユニット4は、切削送り方向(X軸方向)と直交する矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に沿って配設されている。スピンドルユニット4は、図示しない割り出し送り手段によって割り出し送り方向(Y軸方向)に移動せしめられるとともに、図示しない切り込み送り手段によって図1において矢印Zで示す切り込み送り方向(Z軸方向)に移動せしめられるようになっている。このスピンドルユニット4は、図示しない移動基台に装着され割り出し方向(Y軸方向)および切り込み方向(Z軸方向)に移動調整されるスピンドルハウジング41と、該スピンドルハウジング41に回転自在に支持された回転スピンドル42と、該回転スピンドル42の前端部に装着された切削ブレード43とを具備している。回転スピンドル42は、図示しないサーボモータによって回転せしめられるように構成されている。
【0014】
図示の実施形態における切削機1は、上記チャックテーブル3上に保持された被加工物の表面を撮像し、上記切削ブレード43によって切削すべき領域を検出するための撮像手段5を具備している。この撮像手段5は、顕微鏡やCCDカメラ等の光学手段からなっており、撮像した画像信号を図示しない制御手段に送る。また、切削機1は、撮像手段5によって撮像された画像を表示する表示手段6を具備している。
【0015】
上記装置ハウジング2におけるカセット載置領域11aには、被加工物を収容するカセットを載置するカセット載置テーブル111が配設されている。このカセット載置テーブル111は、図示しない昇降手段によって上下方向に移動可能に構成されている。カセット載置テーブル111上には、被加工物としての半導体ウエーハ10を収容するカセット11が載置される。カセット11に収容される半導体ウエーハ10は、表面に格子状のストリートが形成されており、この格子状のストリートによって区画された複数の矩形領域にIC、LSI等のデバイスが形成されている。このように形成された半導体ウエーハ10は、環状のフレームFに装着されたダイシングテープTの表面に裏面が貼着された状態でカセット11に収容される。
【0016】
また、図示の実施形態における切削機1は、上記カセット載置テーブル111上に載置されたカセット11に収容されている半導体ウエーハ10(環状のフレームFにダイシングテープTを介して支持されている状態)を仮置きテーブル12に搬出するウエーハ搬出・搬入手段13と、仮置きテーブル12に搬出された半導体ウエーハ10を上記チャックテーブル3上に搬送する第1のウエーハ搬送手段14と、チャックテーブル3上で切削加工された半導体ウエーハ10を洗浄および乾燥する洗浄・乾燥装置7と、チャックテーブル3上で切削加工された半導体ウエーハ10を洗浄・乾燥装置7へ搬送する第2のウエーハ搬送手段15を具備している。
【0017】
次に、上記洗浄・乾燥装置7について、図2乃至図5を参照して説明する。
図示の実施形態における洗浄・乾燥装置7は、図2に示すように保持テーブル機構70を具備している。保持テーブル機構70は、保持テーブル71と、該保持テーブル71を回転駆動する回転駆動手段としての電動モータ72と、該電動モータ72を上下方向に移動可能に支持する支持手段73を具備している。保持テーブル71は、図3に示すように円形状のテーブル本体711と、該テーブル本体711の下面に連続して形成された軸部712とからなっており、ステンレス鋼等の金属材によって一体的に形成されている。テーブル本体711の上面には円形の嵌合凹部711aが設けられている。この嵌合凹部711aには、底面の外周部に環状の載置棚711bが設けられている。また、テーブル本体711および軸部712には嵌合凹部331aに開口する吸引通路711cが設けられており、この吸引通路711cは図示しない吸引手段に連通されている。テーブル本体711に設けられた嵌合凹部711aに無数の吸引孔を備えたポーラスなセラミックス等からなる多孔性部材によって形成された吸着チャック713が嵌合され、環状の載置棚711b上に載置される。このように構成された保持テーブル71は、吸着チャック713の上面である保持面にウエーハ等板状物を載置し、図示しない吸引手段を作動することにより、吸着チャック713上にウエーハを吸引保持する。
【0018】
図3を参照して説明を続けると、図示の実施形態における洗浄・乾燥装置7は、上記保持テーブル71に超音波振動を付与する超音波振動付与手段8を具備している。この超音波振動付与手段8は、保持テーブル71に配設された超音波振動子81aおよび81bと、該超音波振動子81aおよび81bに交流電力を印加する電力供給手段82とからなっている。超音波振動子81aおよび81bは、テーブル本体711の外周部に形成された環状の溝711d内に配設される。この超音波振動子81aおよび81bは、それぞれ圧電体811と、該圧電体811の両側分極面にそれぞれ装着された2枚の電極板812、813とからなっており、それぞれ半環状形に形成されている。圧電体811は、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)、リチウムナイオベート(LiNbO3)、リチウムタンタレート(LiTaO3)等の圧電セラミックスによって形成されている。このように構成された超音波振動子81aおよび81bは、それぞれ電極板812、813が絶縁体ボンドによってテーブル本体711に装着されている。このようにしてテーブル本体711に装着された超音波振動子81aおよび81bは、それぞれ電極板812、813が導線814、815を介して軸部712の外周面に絶縁体ボンドを介して配設された環状の電極端子816、817に接続されている。なお、環状の電極端子816、817の外周にはスリップリング818、819が装着され、このスリップリング818、819が電力供給手段82に接続される。
【0019】
上述した超音波振動子81aおよび81bに所定周波数の交流電力を印加する交流電力供給手段82は、交流電源821と、電力調整手段としての電圧調整手段822と、交流電力の周波数を調整する周波数調整手段823と、上記電圧調整手段822および周波数調整手段823を制御する制御手段824を具備している。
【0020】
図3に示す超音波振動付与手段8は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
超音波振動付与手段8を構成する電力供給手段82は、制御手段824によって電圧調整手段822および周波数変換手段823を制御し、交流電力の電圧を所定の電圧(例えば、75V)に制御するとともに、交流電力の周波数を2.5MHz以上の周波数に変換する。このようにして所定の電圧で所定周波数に制御された交流電力は、スリップリング818、819、環状の電極端子816、817、導線814、815を介して超音波振動子81aおよび81bのそれぞれの電極板812、813に印加される。この結果、超音波振動子81aおよび81bは径方向および軸方向に繰り返し変位して超音波振動する。この超音波振動は、保持テーブル71の円形状のテーブル本体711に伝達され、テーブル本体711が径方向および軸方向に超音波振動する。
【0021】
なお、上述したように構成された保持テーブル71は、軸部712が図2に示す電動モータ72の駆動軸721に伝動連結される。従って、電動モータ72を駆動することにより、保持テーブル71は所定の方向に回転せしめられる。
【0022】
上記支持手段73は、複数本(図示の実施形態においては3本)の支持脚731と、該支持脚731をそれぞれ連結し電動モータ72に取り付けられた複数本(図示の実施形態においては3本)のエアシリンダ732とからなっている。このように構成された支持手段73は、エアシリンダ732を作動することにより、電動モータ72および保持テーブル71を図4に示す上方位置である被加工物搬入・搬出位置と、図5に示す下方位置である作業位置に位置付ける。
【0023】
図2を参照して説明を続けると、図示の実施形態における洗浄・乾燥装置7は、上記スピンナーテーブル機構70を包囲して配設された水受け手段74を具備している。この水受け手段74は、洗浄液受け容器741と、該洗浄液受け容器741を支持する3本(図2には2本が示されている)の支持脚742と、上記保持テーブル71の軸部712に装着されたカバー部材743とを具備している。洗浄液受け容器741は、図4および図5に示すように円筒状の外側壁741aと底壁741bと内側壁741cとからなっている。底壁741bの中央部には上記電動モータ72の駆動軸721が挿通する穴741dが設けられおり、この穴741dの周縁から上方に突出する内側壁741cが形成されている。また、図2に示すように底壁741bには排液口741eが設けられており、この排液口741eにドレンホース744が接続されている。上記カバー部材743は、円盤状に形成されており、その外周縁から下方に突出するカバー部743aを備えている。このように構成されたカバー部材743は、電動モータ72および保持テーブル71が図5に示す作業位置に位置付けられると、カバー部743aが上記洗浄液受け容器741を構成する内側壁741cの外側に隙間をもって重合するように位置付けられる。
【0024】
図示の実施形態における洗浄・乾燥装置7は、上記保持テーブル71に保持された加工後の被加工物である半導体ウエーハ10に洗浄液を供給するための洗浄液供給機構75を具備している。洗浄液供給機構75は、保持テーブル71に保持されたウエーハに向けて洗浄液を供給する洗浄液噴射ノズル751と、該洗浄液噴射ノズル751を揺動せしめる正転・逆転可能な電動モータ752を備えている。洗浄液噴射ノズル751は、水平に延び先端部が下方に屈曲され先端に噴射口751aを備えたノズル部751bと、該ノズル部751bの基端から下方に延びる支持部751cとからなっており、支持部751cが上記収容容器741を構成する底壁741bに設けられた図示しない挿通穴を挿通して配設されている。上記洗浄液噴射ノズル751の支持部751cが挿通する図示しない挿通穴の周縁には、支持部751cとの間をシールするシール部材(図示せず)が装着されている。
【0025】
図2、図4および図5を参照して説明を続けると、図示の実施形態における洗浄・乾燥装置7は、上記保持テーブル71に保持された加工後の被加工物である半導体ウエーハ10にエアーを供給するためのエアー供給機構76を具備している。エアー供給機構76は、スピンナーテーブル711に保持された洗浄後の被加工物である半導体ウエーハ10に向けてエアーを噴出するエアーノズル761と、該エアーノズル761を揺動せしめるための正転・逆転可能な電動モータ762を備えており、該エアーノズル761が図示しないエアー供給手段に接続されている。エアーノズル761は、水平に延び先端部が下方に屈曲され先端に噴射口761aを備えたノズル部761bと、該ノズル部761bの基端から下方に延びる支持部761cとからなっており、支持部761cが上記洗浄液受け容器741を構成する底壁741bに設けられた図示しない挿通穴を挿通して配設されている。なお、エアーノズル761の支持部761cが挿通する図示しない挿通穴の周縁には、支持部761cとの間をシールするシール部材(図示せず)が装着されている。
【0026】
次に、上述したように構成された洗浄・乾燥装置7を装備した切削機1の作用について説明する。
カセット載置テーブル111上に載置されたカセット11の所定位置に収容されている半導体ウエーハ10(環状のフレームFにダイシングテープTを介して支持されている状態)は、図示しない昇降手段によってカセット載置テーブル111が上下動することにより搬出位置に位置付けられる。次に、ウエーハ搬出・搬入手段13が進退作動して搬出位置に位置付けられた半導体ウエーハ10を仮置きテーブル12上に搬出する。仮置きテーブル12に搬出された半導体ウエーハ10は、第1のウエーハ搬送手段14の旋回動作によって上記チャックテーブル3上に搬送される。
【0027】
チャックテーブル3上に半導体ウエーハ10が載置されたならば、図示しない吸引手段が作動して半導体ウエーハ10をチャックテーブル3上に吸引保持する。また、半導体ウエーハ10をダイシングテープTを介して支持する環状のフレームFは、上記クランプ33によって固定される。このようにして半導体ウエーハ10を吸引保持したチャックテーブル3は、撮像手段5の直下まで移動せしめられる。チャックテーブル3が撮像手段5の直下に位置付けられると、撮像手段5によって半導体ウエーハ10に形成されているストリートを検出するとともに、スピンドルユニット4を割り出し方向である矢印Y方向に移動調整してストリートと切削ブレード43との精密位置合わせ作業を実施する(アライメント工程)。
【0028】
上述したようにアライメント工程が実施されたならば、切削ブレード43を矢印Zで示す方向に所定量切り込み送りし、所定の方向に回転させつつ半導体ウエーハ10を吸引保持したチャックテーブル3を切削送り方向である矢印Xで示す方向に所定の切削送り速度で切削送りする。この結果、チャックテーブル3上に保持された半導体ウエーハ10は切削ブレード43により所定のストリートに沿って切断される(切削工程)。このようにして、半導体ウエーハ10を所定のストリートに沿って切断したら、スピンドルユニット4を矢印Yで示す方向にストリートの間隔だけ割り出し送りし、上記切削工程を実施する。そして、半導体ウエーハ10の所定方向に延在するストリートの全てに沿って切削工程を実施したならば、チャックテーブル3を90度回転させて、半導体ウエーハ10の所定方向と直交する方向に延在するストリートに沿って上記切削工程を実行する。この結果、半導体ウエーハ10は、表面に格子状に形成された全てのストリートに沿って切断され、個々のデバイスに分割される。なお、分割された個々のデバイスは、ダイシングテープTの作用によってバラバラにはならず、環状のフレームFに支持されたウエーハの状態が維持されている。
【0029】
上述したように半導体ウエーハ10のストリートに沿って切削工程が終了したら、半導体ウエーハ10を保持したチャックテーブル3は最初に半導体ウエーハ10を吸引保持した位置に戻される。そして、半導体ウエーハ10の吸引保持を解除する。このように吸引保持が解除されたチャックテーブル3上の半導体ウエーハ10は、第2のウエーハ搬送手段15によって洗浄・乾燥装置7の保持テーブル71上に搬送される。そして、図示しない吸引手段を作動することにより、半導体ウエーハ10を保持テーブル71上に吸引保持する。このとき洗浄液噴射ノズル751は、図2および図4に示すように保持テーブル71の上方から離隔した待機位置に位置付けられている。
【0030】
加工後の半導体ウエーハ10が洗浄・乾燥装置7の保持テーブル71上に保持されたならば、加工後の半導体ウエーハ10を洗浄する洗浄工程を実行する。即ち、保持テーブル71を図5に示す作業位置に位置付けるとともに、洗浄液供給機構75の電動モータ752を作動して洗浄液噴射ノズル751のノズル部751aを保持テーブル71上に保持された半導体ウエーハ10の回転中心上方に位置付ける。そして、保持テーブル71を例えば300〜1000rpmの回転速度で回転しつつ図示しない洗浄液供給手段を作動して0.2Mpaの洗浄液を洗浄液噴射ノズル751に供給する。なお、洗浄液噴射ノズル751を構成するノズル部751bの噴射口751aから噴射される洗浄液の噴射量は、図示の実施形態においては2リットル/分に設定されている。そして、洗浄液供給機構75の電動モータ752を作動して洗浄液噴射ノズル751を揺動し、ノズル部751aを半導体ウエーハ10の回転中心から外周に向けて移動せしめる(洗浄工程)。この結果、半導体ウエーハ10の表面は、洗浄液噴射ノズル751を構成するノズル部751bの噴射口751aから噴射される洗浄液によってスピンナー洗浄される。なお、洗浄工程が終了したならば、洗浄液噴射ノズル751を待機位置に位置付ける。
【0031】
なお、上述した洗浄工程において、超音波振動付与手段8を構成する電力供給手段82によって例えば電圧が75Vで周波数が2.5MHzの高周波電力を超音波振動子81aおよび81bのそれぞれの電極板812、813に印加することにより、上述したように保持テーブル71のテーブル本体711を径方向および軸方向に超音波振動せしめることが望ましい。このように保持テーブル71のテーブル本体711が超音波振動することにより、保持テーブル71上に保持された切削後の半導体ウエーハ10が超音波振動するため、半導体ウエーハ10に形成された切削溝に侵入した切削屑が微粒子となって浮上するので、洗浄が促進される。
【0032】
上述した洗浄工程を実施したならば、洗浄後の半導体ウエーハ10を乾燥する乾燥工程を実行する。
即ち、超音波振動付与手段8を構成する電力供給手段82によって例えば電圧が75Vで周波数が2.5MHzの高周波電力を超音波振動子81aおよび81bのそれぞれの電極板812、813に印加することにより、上述したように保持テーブル71のテーブル本体711を径方向および軸方向に超音波振動せしめる。この結果、保持テーブル71上に保持された洗浄後の半導体ウエーハ10が超音波振動するため、半導体ウエーハ10に付着している洗浄液が微粒子となって飛散するので、半導体ウエーハ10を短時間で乾燥することができる。このとき、保持テーブル71を例えば3000rpmの回転速度で例えば15秒程度回転しつつ、エアー供給機構76の電動モータ762を作動してエアーノズル761のノズル部761bをスピンナーテーブル711に保持された洗浄後の半導体ウエーハ10の中央部上方に位置付け、図示しないエアー供給手段を作動して半導体ウエーハ10の表面にエアーノズル761を構成するノズル部761bの噴射口761aから例えば200ミリリットル/秒のエアーを供給しつつエアーノズル761のノズル部761bを所要角度範囲で揺動せしめることが望ましい。この結果、保持テーブル71上に保持された洗浄後の半導体ウエーハ10を短時間で確実に乾燥することができる。
【0033】
以上のようにして、洗浄された半導体ウエーハ10に対して上述した乾燥工程を実施したならば、保持テーブル71の回転を停止するとともに、エアー供給機構76のエアーノズル761を待機位置に位置付ける。そして、保持テーブル71を図4に示す被加工物搬入・搬出位置に位置付けるとともに、保持テーブル71に保持されている半導体ウエーハ10の吸引保持を解除する。次に、保持テーブル71上において吸引保持が解除された加工後の半導体ウエーハ10は、第1のウエーハ搬送手段14によって仮置きテーブル12に搬送される。仮置きテーブル12に搬送された加工後の半導体ウエーハ10は、ウエーハ搬出・搬入手段13によってカセット11の所定位置に収納される。
【符号の説明】
【0034】
1:切削機
2:装置ハウジング
3:チャックテーブル
4:スピンドルユニット
42:回転スピンドル
43:切削ブレード
5:撮像手段
6:表示手段
7:洗浄・乾燥装置
70:保持テーブル機構
71:保持テーブル
72:電動モータ
74:水受け手段
75:洗浄液供給機構
751:洗浄液噴射ノズル
76:エアー供給機構
761:エアーノズル
8:超音波振動付与手段
81a、81b:超音波振動子
82:交流電力供給手段
10:半導体ウエーハ
11:カセット
12:仮置きテーブル
13:ウエーハ搬出・搬入手段
14:第1のウエーハ搬送手段
15:第2のウエーハ搬送手段
F:環状のフレーム
T:ダイシングテープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状物に付着した液体を除去して乾燥するための乾燥装置であって、
板状物を保持する保持面を有する保持テーブルと、
該保持テーブルに超音波振動を付与する超音波振動付与手段と、を具備し、
該超音波振動付与手段を作動して該保持テーブルに超音波振動を付与し、該保持テーブルに保持された板状物に超音波振動を付与することにより、板状物に付着した液体を微粒子にして飛散せしめる、
ことを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
該超音波振動付与手段は、周波数が2.5MHz以上の超音波振動を該保持テーブルに付与する、請求項1記載の乾燥装置。
【請求項3】
該保持テーブルを回転する回転駆動手段を備えている、請求項1又は2記載の乾燥装置。
【請求項4】
該保持テーブルに保持された板状物にエアーを供給するためのエアー供給機構を備えている、請求項1から3のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項5】
該保持テーブルに保持された板状物に洗浄液を供給するための洗浄液供給機構を備えている、請求項1から4のいずれかに記載の乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−84655(P2013−84655A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221786(P2011−221786)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】