説明

予備の三フッ化窒素を用いるフッ素系のチャンバー洗浄方法

【課題】予備のNFを用いることによって、フッ素セルのオンサイトでの使用の困難性を克服して、安全で、連続的に、規制を遵守する方法でフッ素を与える。
【解決手段】次の工程を有する反応チャンバーの洗浄方法:
(a)目的の基材に材料を堆積させるための反応チャンバーを与える工程;
(b)上記反応チャンバーの内部で、上記目的の基材に上記材料を堆積させる工程;
(c)上記堆積を周期的に中断する工程;
(d)上記反応チャンバーの内部と、フッ素及び窒素の混合物とを接触させて、上記反応チャンバーの上記内部を洗浄する工程;及び
(e)上記フッ素及び窒素の混合物が使用できない場合に、切り替えを行って、上記反応チャンバーの内部と三フッ化窒素とを接触させる工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
半導体、フラットパネルディスプレイ及び光起電セルの製造業では、所望の膜を堆積させる反応チャンバー内で電子デバイスを製造する。これらの堆積物は、通常、非選択的な方法で堆積され、反応チャンバーの内壁に不測の堆積物をもたらす。
【0002】
電子デバイス製造の一貫性を維持するために、この反応チャンバー内壁の意図しない堆積物を、定期的に除去する必要がある。歴史的に、反応チャンバーを周囲温度に冷却し、製造ラインから取り外し、そして酸性の洗浄剤及び塩基性の洗浄剤で処理していた。
【背景技術】
【0003】
ガス状の三フッ化窒素(NF)の採用によって、反応チャンバーを製造ラインから取り外すことなく、プロセス条件を洗浄することは、この産業の進展であった。これは、これらの反応チャンバーの生産性を大幅に向上させ、かつ洗浄操作を単純化した。
【0004】
NFは、反応チャンバーのその場(in−situ)洗浄を行う実際の物質種であるフッ素原子の、ただ単に便利でかつ比較的安全な原料である。その腐食性、毒性及び酸化特性によって輸送できる量が厳しく制限されている元素フッ素とは異なり、NFは、公共の規制された輸送手段で輸送することが出来る。
【0005】
NFは、単に、安全で大量の輸送を与えるために用いられ、そしてNFは、反応チャンバーの洗浄プロセスの間に、反応チャンバーでフッ素原子及び窒素原子に分解される。これは通常は、洗浄する反応チャンバーの上流にあるリモートプラズマチャンバーによって行われる。NFを窒素原子及びフッ素原子に分解し、これらのフッ素原子が、反応チャンバー内壁の意図しない堆積物と反応して、その堆積物を除去する。シリコンに基づく堆積物に関して、これは、SiFのガス状の副生成物をもたらし、これを反応チャンバーから除去し、下流の除去装置で廃棄物として処理する。
【0006】
NFの欠点は、そのコスト及び定期的供給の制限である。電子デバイス製造業への原料及び消耗化学物質の供給業者は、消費の現場(オンサイト(on−site))でフッ素を生成させて、フッ素の大量の輸送を避け、かつフッ素の大量の貯蔵を避けることによって、NFの高いコスト並びにフッ素の輸送及び使用についての規制上の制限を避ける道を模索してきた。
【0007】
フッ素の生成は、通常、フッ化水素(HF)の電気分解によって、2原子のフッ素又はFを形成することによって行われる。HFがFに転換される電解セルは、周知であり、長年用いられてきた。この実績にもかかわらず、オンサイトフッ素電解セルを含むあらゆる製造装置は、定期的なメンテナンス又は不定期の停止にさらされる。それゆえ、多くの反応チャンバーの定期的な洗浄を必要とする電子デバイス製造業者は、洗浄ガスが短時間ですらも入手できない場合の、費用のかかる反応チャンバーの停止を避けるために、安定で一貫性のあるフッ素の供給を必要としている。
【0008】
それゆえ、電子デバイス製造業者は、オンサイトフッ素セルがなんらかの理由で停止する場合に予備の洗浄ガスが入手可能でない限り、容易に輸送され、かつ大量に貯蔵できるNFからFに変更しようとしなかった。不測の事態のための予備を有する様々なオンサイトフッ素セル装置が、この産業で考慮されてきた。これには、定常状態の容量に必要とされるフッ素セルより多くのフッ素セル、オンサイトのフッ素貯蔵量、フッ素又はフッ素生成分子の代替原料及びNF自体が挙げられる。
【0009】
フッ素若しくはNF、又はこの両方を用いて定期的に洗浄することが出来る、この種類の反応チャンバーとしては、以下を用いる反応のチャンバーが挙げられる:化学気相成長(CVD)、プラズマ強化化学気相成長(PECVD)、低圧化学気相成長(LPCVD)、連続化学気相成長(CCVD)、原子層堆積(ALD)及びこれらの反応様式の組合せ及び派生を様々に具現化したもの。これらの反応チャンバーを、フッ素プラズマを用いて洗浄することが出来る。無反応性の圧縮ガスであるNFは、フッ素の便利な原料であるが、F系プロセスは、比較的低いコストを与えると示されている。原子Fは、腐食性があり、毒性があり、かつ強力な酸化剤である。結果として、Fの取扱い性には問題があり、規制が、輸送できるFの量を制限している。無水HFの電気分解によるFのオンサイト生成は、これらの困難の多くを克服する。しかし、Fの製造は、複雑な化学プラントを必要とし、このプラントがメンテナンスを受けるときのために予備を必要とする。ガス状のFの貯蔵は、限定的な予備を与えることが出来るが、これは中断時間が延長した場合に十分ではない。
【0010】
本発明の分野の先行文献としては、特許文献1が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】US2005/0161321
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以下に詳細に記載するように、本発明は、予備のNFを用いることによって、フッ素セルのオンサイトでの使用の困難性を克服して、安全で、連続的に、規制を遵守する方法でフッ素を与える。一方で、これは、フッ素とNFとの電子デバイス製造業者の切替えを促進し、これを複雑にではなく、かつプロセスを変更せずに戻し、そうして信頼性が高く一貫性のある生産及び反応チャンバーの洗浄を維持する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、次の工程を有する反応チャンバーの洗浄方法である:
(a)目的の基材に材料を堆積させるための反応チャンバーを与える工程;
(b)上記反応チャンバーの内部で、上記目的の基材に上記材料を堆積させる工程;
(c)上記堆積を周期的に中断する工程;
(d)上記反応チャンバーの内部と、フッ素及び窒素の混合物とを接触させて、上記反応チャンバーの上記内部を洗浄する工程;及び
(e)上記フッ素及び窒素の混合物が使用できない場合に、切り替えを行って、上記反応チャンバーの内部と三フッ化窒素とを接触させる工程。
【0014】
あるいは、本発明は、反応チャンバーの内部をフッ素を用いて洗浄する方法であり、その改良点は、フッ素及び窒素の混合物を用いること、及び三フッ化窒素を用いる洗浄に切り替えることを含む。
【0015】
好ましくは、アルゴンの希釈剤を、フッ素及び窒素の混合物、並びに三フッ化窒素と共に用いる。好ましくは、窒素の希釈剤を、三フッ化窒素と共に用いる。
【0016】
本発明は、次を具備する、電子デバイス製造用の装置でもある:
(a)反応チャンバー内部の目的物にシリコン含有材料を堆積させるための反応チャンバー;
(b)上記反応チャンバー内部と流通しているフッ素ガス源;
(c)上記反応チャンバー内部と流通している窒素源;
(d)上記反応チャンバー内部と流通している三フッ化窒素源;
(e)上記フッ素源と流通しており、上記窒素源と流通しており、かつ上記反応チャンバー内部と流通している、上記フッ素と窒素とを混合する攪拌器;
(f)上記フッ素源の状態を、異常状態に関して検知できるセンサー;
(g)上記フッ素源、上記窒素源、上記三フッ化窒素源、及び上記反応チャンバー内部と流通しており、かつ上記センサーと信号の連絡があり、上記センサーからの信号の受信に応じて、上記反応チャンバーの流通を、上記フッ素源及び上記窒素源から、三フッ化窒素源へと切り替えることが出来るスイッチ。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】フーリエ変換赤外分光法(FTIR)で測定した、表1のフッ素/窒素/アルゴン(F−1)を用いるTEOS系SiO堆積チャンバーの洗浄サイクル中のSiF濃度を、三フッ化窒素/窒素/アルゴン(NF−1)を用いる同じ洗浄サイクルのSiF濃度と比較したグラフである。これは、予想される副生成物SiFが等しいことを示している。
【図2】フーリエ変換赤外分光法(FTIR)で測定した、表1のフッ素/窒素/アルゴン(F−2)を用いるTEOS系SiO堆積チャンバーの洗浄サイクル中のSiF濃度を、三フッ化窒素/窒素/アルゴン(NF−2)を用いる同じ洗浄サイクルのSiF濃度と比較したグラフである。これは、予想される副生成物SiFが等しいことを示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この開示は、フッ素源としてNFかFかのいずれかを用いても同じとなる反応チャンバーの洗浄方法、すなわちNFとFとを切り替えることが、反応チャンバーにとって、例えばPECVDツールにとって、透過的である(transparent)反応チャンバーの洗浄方法を特定する。大きな反応チャンバーを用いる使用者にとって、例えば非常に大きな反応チャンバーを用いてテレビスクリーンを製造する薄膜トランジスターフラットパネルディスプレイ製造業者にとって、また非常に大きな反応チャンバーを必要とするソーラーパネルを製造する光起電セル製造業者にとって、本発明は特に有用である。これら両方の産業で、比較的従来のものであるNFか、比較的近年のものであるオンサイトで生成するフッ素かのいずれかの、比較的多量の洗浄ガスを用いる。それぞれの例で、大量の洗浄ガスの使用によって、これらの製造業者は、より低コストの洗浄ガスに興味を持つことになる。オンサイトの電解フッ素セル生成は、大量に使用する場合には、従来のNFの使用よりも安価になる。しかし、フッ素のオンサイトの電解フッ素セル生成は、高価でかつ複雑な電子デバイス反応チャンバーを停止させないように、洗浄ガスの連続供給を確保するための予備を必要とする。
【0019】
NFは、プラズマ源によってF原子及びN原子に完全に分解させることが出来るため、オンサイトF生成器のための理想的な予備である。原子のフッ素からNFに切り替えて「透過的な状態」にさせること、並びに使用者、反応チャンバー及び電子デバイス製品の生産にとってプロセス的に等価にすることの本発明者らの重要な構想は、通常の洗浄サイクルの間に、NをFガスに添加することによって、プラズマ源の下流のガス組成を、FかNFかのいずれかを用いても同一とすることである。それゆえ、F原子及びN原子の等価な流量を与える流量及び組成を選択することによって、FとNFとを切り替えることが出来る。洗浄ガスの流量は、通常は質量流量制御器(MFC:mass flow controller)を用いて制御される。MFCの感度は、各洗浄ガスで異なる。例えば、1.0slmのF/Nを供給するように設計されたMFCは、同一の条件の下で、0.5slmのみのNFを供給するであろう。洗浄ガスの熱容量に関連するガス補正因子を用いて、MFCのこれらの異なる感度を明らかにする。洗浄ガスの分子組成は、洗浄ガスの各分子のフッ素原子が、どれくらい反応チャンバーに供給されるかを決定する。各F分子は、2つのフッ素原子を与える。各NF分子は3つのフッ素原子を与える。選択したガス組成は、NF(0.5)及びF/N(1.0)の異なるMFCガス補正因子及びF、N及びNFの化学両論を考慮する必要がある。好ましい組成は、F(75%)/N及びNF(100%)である。
【0020】
低い流量では、F原子の流量が同じであれば洗浄回数は同じである。すなわち、残留物を除去するのに必要な時間は、同じ量のF原子を反応チャンバーに供給する限り、洗浄ガスがF/NかNFかどうかに関わらず同じである。しかし、高い流量では、Nがプラズマ出力を浪費する溜めとなり、過剰な高周波(RF:radio frequency)出力が存在しない場合があるので、洗浄ガスが、F原子とN原子とに完全に分解しない場合がある。
【0021】
以下は、比較の方法を用いるPECVD反応チャンバーからの残渣の除去に関する実験結果である。以下の実験のすべてにおいて、シリコンウェハーに二酸化ケイ素膜を堆積させることによって生成した残渣で、CVDチャンバーの表面をコーティングした。テトラエトキシシリケート(TEOS)を用いて、以下の条件で、PECVDプロセスチャンバーにおいて、膜を堆積させた:TEOS(1000ミリグラム毎分(mgm))、O(1000標準立法センチメートル毎分(sccm))、He(1000sccm)、8.2torr、400℃、280ミル、910ワット(W)。各膜の膜厚を測定したところ、約174〜207ナノメートル(nm)であることが分かった。この膜の屈折率を測定したところ、約1.454〜1.471であることが分かった。膜厚及び屈折率は、反射光測定(reflectometry)技術によって測定した。
【0022】
これらの例を、リモートプラズマ源(MKS Astron−Ex、MKS Instruments、ウィルミントン、マサチューセッツ州、米国)を有するPECVD反応器又はPECVDプロセスチャンバー(Applied Materials、P−5000 DxZ)を用いて処理した。このプロセスチャンバーは、基礎台又は底部電極、高周波(RF)出力源に接続している上部電極、プロセスガス流のためのガス入口及び真空ポンプに接続している出口を有していた。チャンバーの壁を接地し、そして75℃の温度で維持し、そしてチャンバー内部部品、例えばサセプターを、400℃の温度で維持した。TEOS膜を堆積させた後で、200mmのシリコンウェハーを、PECVDチャンバーから取り出し、そしてチャンバーの残渣を洗浄した。
【0023】
リモートプラズマ洗浄実験を、Astron−Exリモートプラズマ源(MKS Corporation)を取り付けたPECVD(Applied Materials、P−5000 DxZ)を用いて実行した。二酸化ケイ素膜を堆積させた後、シリコンウェハーをPECVDチャンバーから取り出し、そしてチャンバーの残渣を洗浄した。このプロセスを繰り返した。反応器を減圧にした後、プロセスガスをAstron−Exリモートプラズマ発生器に導入する。そして、チャンバーの圧力を安定化させ、RF出力を適用することによって、このリモートプラズマ源のスイッチを入れた。この強力なプラズマがプロセスガスの分子を壊し、接続している金属チューブを通って、そしてシャワーヘッド部を通ってチャンバーへと下流に流れ、そしてチャンバー表面の残渣と反応すると考えられる。反応物質種と残渣との反応によって形成されるこの揮発性の化合物は、減圧ポートを通って反応器から除去される。表1に与えた様々なプロセスレシピ及びパラメーターを用いて、各堆積の後で、プロセスチャンバーを約200〜260秒間洗浄した。
【0024】
【表1】

【0025】
この例のチャンバー洗浄プロセスを、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)によってポンプ排出部で監視した。このプロセス解析を用いて、チャンバー洗浄の副生成物を同定し、プロセス放出物を測定し、洗浄回数を決めた。プロセスポンプの下流で、HgCdTe検出器及び加熱した0.01mのガスセルを用いる抽出FTIR分光法(MKS Multigas、Model 2010)によって、放出物の測定を行った。このプロセスを、プロセスポンプの排出部で1/4インチの管継手(compression fitting)からサンプリングした。興味のあるガスは、結果的にNポンプのパージ(50〜70slm)によって希釈される。プロセス排出物を、金属のダイアフラムポンプを用いてポンプ排出部から抜き出した。サンプリングラインは、約100℃にヒートトレースされた1/8インチのステンレス鋼管であった。サンプルガスを、FTIRセルにポンプで入れた後、換気排出口に戻した。このガスセルの温度及び圧力を、150℃及び1.0気圧にそれぞれ制御した。報告した濃度を、測定の間に温度及び圧力に関して補正した。吸光度スペクトルを、8〜64回のスキャンにわたって平均化した0.5cm−1分解能で収集した。
【実施例】
【0026】
例1:NF系プロセスとF系プロセスの同等性の検証
洗浄ガスNF−1の原子組成は、洗浄ガスF−1の原子組成と同じである(表1)。同様に、洗浄剤NF−2とF−2が同じである。プラズマ源が完全にプロセスガスを解離する場合(NF、F及びN)、これらのプロセスの原子組成は区別がつかない。二酸化シリコン残渣の主要なエッチング剤は、フッ素原子と考えられているので、洗浄プロセスNF−1及びNF−2は、洗浄プロセスF−1及びF−2とそれぞれ同一であると予想される。洗浄プロセスNF−1及びF−1に関して、FTIRで測定されたSiF洗浄副生成物の濃度プロファイルを図1に示す。洗浄プロセスNF−2及びF−2に関して、FTIRで測定されたSiFの濃度プロファイルを図2に示す。
【0027】
両方の例において、洗浄を時間0.00で開始する。二酸化ケイ素の残渣を、SiFとして揮発させるにしたがって、その濃度が高まる。全ての二酸化ケイ素残渣がチャンバーから除去されたら、SiF濃度が基準線レベルに戻る。洗浄NF−1及びF−1に関するSiF洗浄副生成物のプロファイル(図1)は区別できず、洗浄回数及びSiF放出量(表2)が同じであることを示す。これらの洗浄プロセスは、同一の原子組成(フッ素原子流量417sccm、窒素原子流量1667sccm)を有する。同様に、洗浄NF−2及びF−2に関するSiFプロファイル(図2)は区別できず、洗浄回数及びSiF放出量(表2)が同じであることを示す。これらの洗浄プロセスは、同一の原子組成(フッ素原子流量842sccm、窒素原子流量3367sccm)を有する。
【0028】
【表2】

【0029】
SiFのプロファイル(図1及び2)を積分することは、SiF放出体積量を計算することを可能にする。SiF放出量は、洗浄の効果の基準となる。残渣をSiFとして揮発するので、同一のSiF放出量は、同等の量の二酸化ケイ素残渣がチャンバーから除去されたということを裏付ける。全ての洗浄プロセスに関するSiF放出量を、表2に要約する。同じフッ素原子処理量に関して、NF洗浄(NF−1及びNF−2)は、F洗浄(F−1及びF−2)と同じ量の残渣を除去する。
【0030】
例2:洗浄ガスの透過的な供給
この開示は、フッ素源としてNFかFかのいずれかを用いても同じとなるチャンバーの洗浄方法、すなわち、NFとFとを切り替えることが、PECVDツールにとって透過的であるチャンバーの洗浄方法を特定する。NFは、プラズマ源によってフッ素原子及び窒素原子に完全に解離することが出来るため、オンサイトF生成器のための理想的な予備である。NをFガスに添加することによって、プラズマ源の下流のガス組成が、FかNFかのいずれかを用いても同一となる。それゆえ、F原子及びN原子の等価な流量を与える流量及び組成を選択することによって、FとNFとを切り替えることが出来る。この組成は、NF(0.5)及びF/N(1.0)の異なるMFCガス補正因子及び洗浄ガスF及びNFの化学両論を考慮する必要がある。好ましい組成は、F(75%)/N及びNF(100%)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程を含む反応チャンバーの洗浄方法:
(a)目的の基材に材料を堆積させるための反応チャンバーを与える工程;
(b)前記反応チャンバーの内部で前記目的の基材に前記材料を堆積させる工程;
(c)前記堆積を周期的に止める工程;
(d)前記反応チャンバーの内部を、フッ素及び窒素の混合体と接触させて、前記反応チャンバーの内部を洗浄する工程;及び
(e)前記フッ素及び窒素の混合体が使用できない場合、前記反応チャンバーの内部を三フッ化窒素と接触させることに切り替える工程。
【請求項2】
前記三フッ化窒素に、窒素の希釈剤が添加されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フッ素及び窒素の混合体、並びに前記三フッ化窒素に、アルゴンの希釈剤が添加されている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記フッ素及び窒素の混合体が、75体積%のフッ素を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記三フッ化窒素が、100%の三フッ化窒素である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記目的の基材を、前記反応チャンバーから取り出した後、前記フッ素及び窒素の混合体を接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記目的の基材を、前記反応チャンバーから取り出した後、前記三フッ化窒素を接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
反応チャンバー内部をフッ素で洗浄する方法において、その改良点が、フッ素及び窒素の混合体を用いること、及びその洗浄を三フッ化窒素の使用に切り替えることを含む方法。
【請求項9】
前記フッ素及び窒素の混合体が、75体積%のフッ素を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記三フッ化窒素が、100%の三フッ化窒素である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記所望のフッ素及び窒素の混合体が使用できないときに、前記切り替えを行う、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記堆積が、フラットパネルディスプレイの生産プロセスである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記堆積が、光起電セルの生産プロセスである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
次を具備する電子デバイス製造用装置:
(a)前記反応チャンバーの内部の目的物にケイ素含有材料を堆積させるための反応チャンバー;
(b)前記反応チャンバーの内部と流通しているフッ素ガス源;
(c)前記反応チャンバーの内部と流通している窒素源;
(d)前記反応チャンバーの内部と流通している三フッ化窒素源;
(e)前記フッ素源と流通しており、前記窒素源と流通しており、かつ前記反応チャンバーの内部と流通している、前記フッ素と窒素とを混合するための攪拌器;
(f)前記フッ素源の状態を、異常事態に関して検知することができるセンサー;及び
(g)前記フッ素源、前記窒素源、前記三フッ化窒素源及び前記反応チャンバー内部と流通しており、かつ前記センサーとの信号の連絡があり、前記センサーからの信号の受信に応じて、前記反応チャンバーの流通を、前記フッ素源及び前記窒素源から、前記三フッ化窒素源へと切り替えることができるスイッチ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−175108(P2012−175108A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−33059(P2012−33059)
【出願日】平成24年2月17日(2012.2.17)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】