説明

予備混合アミオダロンの非経口溶液および同溶液を作製するための方法

【課題】活性成分として、注入用蒸留水および約0.4〜12mg/mlの非イオン性界面活性剤の溶液中において、0.2〜6mg/mlの濃度範囲に溶解されたアミオダロンを有する、静脈内投与のための予備混合物非経口溶液が、開示される。
【解決手段】この溶液は、必要に応じて浸透圧調整剤を含み得る。患者への投与前にこの溶液の子爵は必要とされず、そして、パッケージングされた滅菌溶液は、約2.9〜約3.2の範囲内(好ましくは、約3.1)の初期pHを有する。さらに、静脈内投与に適切なアミオダロン溶液の生成のための方法が、さらに開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連した出願)
本願は、2001年3月29日に出願された、米国特許出願第09/822,767号の一部であり、本明細中に参考として明白に援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、一般的に、非経口投与のためアミオダロン(amiodarone)を含有する予備混合(premix)薬学的組成物に関する。特に、組成物、および同組成物を作製するための方法は、向上された保存期間、および希釈された処方物を超える改善されたポリマー容器適合性を提供する。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)
アミオダロン HCl((2−ブチル−3−ベンゾフラニル)[4−[2−(ジエチルアミド)エトキシ]−3,5−ジヨードフェニル]メタノンヒドロクロリド)は、4つのVaughan Williamsクラスすべての電気生理学的特性を保有するクラスIII抗不整脈剤である。この塩酸塩は、デキストロースで希釈後、静脈内投与に適したアンプルで、現在市販されている(CORDARONE(登録商標)IV,Wyeth−Ayerst)。CORDARONE(登録商標)アンプルの各1ミリリットルは、50mgのアミオダロンHCl、20.2mgのベンジルアルコール、100mgのポリソルベート80、および注射用水を含有する。デキストロースでの希釈後の市販製品のpHは、およそ3.8〜4.0である。
【0004】
従来技術製品の1つの不都合は、投与前にデキストロース中に1〜6アンプルを混合させる工程が要求されることである。アミオダロンは、患者の急性心室不整脈を迅速に安定化させるために、緊急状況下で使用され得るので、この希釈工程は、貴重な時間を消費する。混合する工程の他の欠点として、投薬量誤差、針刺し、および/または溶液混入の可能性が挙げられる。
【0005】
従来技術製品の別の欠点は、希釈した処方物の室温での保存期間に限界があることである。一般的に、濃縮物の殺菌容器を開封することによりもたらされる無菌的予防措置の消失に起因して、得られる希釈処方物は、希釈の24時間以内に使用されるか、または廃棄されなければならない。明らかに、製品のこのような廃棄量は、ヘルスケア供給者の費用を増やす。
【0006】
さらなる欠点は、希釈された処方物が、薬剤吸着に起因して、特定のポリマー材料と不適合であることが示されているということである。この現象は、ヘルスケア供給者にとって投薬問題を引き起こすか、もしくは希釈および送達のための特別な材料の容器の使用を要求する。
【0007】
本発明に記載される製品の構成およびアミオダロン処方物は、これらの不都合を克服する。使用準備ができた(ready−to−use)予備混合製品構成は、濃縮物を希釈するのに費やす時間の浪費を防ぎ、混入問題の可能性を回避し、鋭敏な針の使用を減少することを助長し、医療廃棄物の生成を低減し、そして投薬量誤差を排除する。このような利点は、医療関係者が、さらなる調製なしで、必要に応じて、本発明の組成物の調製された容器を単に棚から取って使用し得るという事実に起因する。さらに、新規の予備混合アミオダロン処方物は、向上された保存期間および改善されたポリマー容器材料との適合性を有する。
【0008】
2000年11月7日にGautierらに発行された米国特許第6,143,778号は、希釈後の非経口送達のためのアミオダロン組成物の濃縮物を開示する。開示された組成物は、活性成分を可溶化し得、そして濃縮された組成物のpHを2.4と3.8との間に維持し得る(Gautierら、第4列、第8〜54行)、生理学的に受容可能な緩衝溶液を必要とする。Gautierらは、「同時に濃縮され、安定で希釈可能な」アミオダロンヒドロクロリド処方物(第1列、第28〜31行、第3列、第34〜39行、および第47〜56行を参照)を開示する。従って、Gautierらは、濃縮物の安定性および予備混合に焦点を当てる。本願発明は、患者への非経口投与の前に、希釈を必要とせず、活性物を可溶化するためにさえ緩衝液を利用せず、予備混合アミオダロンヒドロクロリド処方物を提供する。
【0009】
希釈されたアミオダロン濃縮物(すなわち、予備混合物)に関する論議は、Gautierらによって示されたが、希釈された製品の長期安定性(1年以上)を議論する情報は、与えられていない(第5列、第32〜51行)。希釈形態のアミオダロンの実施例において、Gautierらは、約4のpHレベルを教示する(表の実施例2、4、および6、第6列、第45〜53行)。Gautierらは、希釈された予備混合処方物の長期安定性および容器適合性について、約2.9〜約3.2の限定されたpH範囲、および好ましくは約3.1のpHの重要性を理解できていない。即座の使用または廃棄のために希釈され得る濃縮物の安定性に焦点を当てることにより、Gautierらは、希釈された製品の、可能性のある長期安定性の問題を無視する。つまり、非常に狭いpH範囲外で、薬物分解、粒子形成、分純物形成、および容器不適合の問題が生じ得る。これらの問題点に対処し、解決することにより、本発明の予備混合処方物は、Gautierらの開示した、濃縮物および希釈された予備混合製品の両方と相違する。
【0010】
同様に、1993年8月10日にEhrenpreisらに発行された米国特許第5,234,949号は、酢酸緩衝液中のアミオダロン非経口溶液を教示する。Ehrenpreisらは、3.5〜3.8の範囲の、好ましいpHを開示する(第3列、第53〜54行)。このアプローチは、特許請求される本発明の組成物および方法とは相反する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の概要)
本発明は、静脈内投与および連続注入に適した、新規の準備ができた予備混合アミオダロン処方物、またはその薬学的に受容可能な塩を提供する。約2.9〜約3.2の特定のpH範囲内で、これらの処方物は、向上された保存期間を有し、ポリマー容器材料とより適合性である。従って、本発明は、以下を提供する。
(1)
静脈内投与のための溶液であって、該溶液は、以下:
注入用蒸留水および非イオン性界面活性剤の溶液中において0.2〜6mg/mlの濃度範囲に溶解された、活性成分としてのアミオダロン;および
必要に応じて、浸透圧調整剤、
を含み、ここで、該溶液は、投与前に希釈を必要とせず、そして約2.9〜約3.2の範囲内のpHを有する、溶液。
(2)
前記浸透圧調整剤が、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、アミノ酸(例えば、グリシン)および塩(例えば、塩化ナトリウム)からなる群より選択される、項目1に記載の溶液。
(3)
前記非イオン性界面活性剤の量が、約0.4〜約12mg/mlの範囲内にある、項目1に記載の溶液。
(4)
前記非イオン性界面活性剤が、エトキシル化ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、ポリエトキシル化ヒマシ油、およびポリエチレングリコールヒドロキシステアレート(例えば、SOLUTOL(登録商標)HS−15)からなる群より選択される、項目3に記載の溶液。
(5)
前記非イオン性界面活性剤がポリソルベート80である、項目4に記載の溶液。
(6)
前記非イオン性界面活性剤がポリエチレングリコールヒドロキシステアレートである、項目4に記載の溶液。
(7)
前記溶液のpHが約3.1である、項目1に記載の溶液。
(8)
前記溶液のpHが約3.1である、項目2に記載の溶液。
(9)
前記溶液のpHが約3.1である、項目3に記載の溶液。
(10)
前記溶液のpHが約3.1である、項目4に記載の溶液。
(11)
静脈内投与のための溶液であって、該溶液は、以下:
注入用蒸留水および非イオン性界面活性剤の溶液中において0.2〜6mg/mlの濃度範囲に溶解された、活性成分としてのアミオダロン;および
必要に応じて、浸透圧調整剤、
を含み、ここで、該溶液は、滅菌予備混合物である、溶液。
(12)
前記滅菌予備混合物のpHが約2.9〜約3.2の範囲内にある、項目11に記載の溶液。
(13)
前記滅菌予備混合物のpHが約3.1である、項目12に記載の溶液。
(14)
前記滅菌予備混合物が冷蔵されている、項目11に記載の溶液。
(15)
前記滅菌予備混合物が、3〜約10℃の範囲内の温度で維持されている、項目14に記載の溶液。
(16)
静脈内投与のための溶液であって、該溶液は、以下:
注入用蒸留水および非イオン性界面活性剤の溶液中において溶解された、活性成分としてのアミオダロン、
を含み、ここで、該溶液は、投与前に希釈を必要とせず、そして室温にて1年当たり3%未満の経時的な薬物分解を有する、溶液。
(17)
前記溶液のpHが約2.9〜約3.2の範囲内にある、項目16に記載の溶液。
(18)
前記溶液のpHが約3.1である、項目17に記載の溶液。
(19)
静脈内投与のための溶液であって、該溶液は、以下:
注入用蒸留水および非イオン性界面活性剤の溶液中において0.2〜6mg/mlの濃度範囲に溶解された、活性成分としてのアミオダロン;
必要に応じて、浸透圧調整剤、
を含み、ここで、該溶液は、投与前に希釈を必要とせず、そして、室温にて1週間当たり約0.02%(w/v)総不純物未満の総不純物形成速度を有する、溶液。
(20)
前記溶液のpHが約3.1である、項目19に記載の溶液。
(21)
前記浸透圧調整剤が、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、アミノ酸(例えば、グリシン)および塩(例えば、塩化ナトリウム)からなる群より選択される、項目19に記載の溶液。
(22)
前記非イオン性界面活性剤の量が、約0.4〜約12mg/mlの範囲内にある、項目19に記載の溶液。
(23)
前記非イオン性界面活性剤が、エトキシル化ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、ポリエトキシル化ヒマシ油、およびポリエチレングリコールヒドロキシステアレート(例えば、SOLUTOL(登録商標)HS−15)からなる群より選択される、項目22に記載の溶液。
(24)
静脈内投与のための溶液であって、該溶液は、以下:
注入用蒸留水および非イオン性界面活性剤の溶液中において0.2〜6mg/mlの濃度範囲に溶解された、活性成分としてのアミオダロン;および
必要に応じて、浸透圧調整剤、
を含み、ここで、該溶液は、投与前に希釈を必要とせず、そして室温にて約4cm−1のプラスチック表面積対溶液容積の比を有するプラスチック容器中で3%未満の薬物吸着を有する、溶液。
(25)
前記溶液のpHが約3.1である、項目24に記載の溶液。
(26)
静脈内投与のための溶液であって、該溶液は、以下:
注入用蒸留水および約0.4〜12mg/mlの非イオン性界面活性剤の溶液中において、0.2〜6mg/mlの濃度範囲に溶解された、活性成分としてのアミオダロン;および
必要に応じて、浸透圧調整剤、
を含み、ここで、該溶液は、約2.9〜約3.2の範囲内のpHを有する、溶液。
(27)
前記溶液のpHが約3.1である、項目26に記載の溶液。
(28)
前記浸透圧調整剤が、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、アミノ酸(例えば、グリシン)および塩(例えば、塩化ナトリウム)からなる群より選択される、項目27に記載の溶液。
(29)
前記非イオン性界面活性剤が、エトキシル化ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、ポリエトキシル化ヒマシ油、およびポリエチレングリコールヒドロキシステアレート(例えば、SOLUTOL(登録商標)HS−15)からなる群より選択される、項目27に記載の溶液。
(30)
静脈内投与のための溶液であって、該溶液は、以下:
注入用蒸留水および非イオン性界面活性剤の溶液中において0.2〜6mg/mlの濃度範囲に溶解された、活性成分としてのアミオダロン;および
必要に応じて、浸透圧調整剤、
を含み、ここで、該溶液は、投与前に希釈を必要とせず、そして室温にてプラスチック容器中での最小限の不溶性粒子形成を有する、溶液。
(31)
前記溶液のpHが約3.1である、項目30に記載の溶液。
(32)
静脈内投与に適切なアミオダロン溶液を生成するための方法であって、該方法は、以下の工程:
(1)活性成分として、有効量のアミオダロン溶液を提供する工程;
(2)水溶液を作製するために、水/界面活性剤溶液中に該活性成分を溶解する工程;
(3)該水溶液を希釈しそして冷却する工程;
(4)適切なpH調整剤を用いて、該水溶液のpHを、約2.9〜約3.2の範囲内の初期pHに調整する工程;
(5)該水溶液を、活性成分最終濃度にまでさらに希釈する工程;および
(6)適切な溶液に該溶液を充填する工程、
を包含する、方法。
(33)
浸透圧調整剤を前記溶液中に混合する工程をさらに包含する、項目32に記載の方法。
(34)
前記浸透圧調整剤が、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、アミノ酸、無機塩、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、項目33に記載の方法。
(35)
前記充填する工程の前か後のいずれかに、適切な任意の滅菌法によって前記溶液を滅菌する工程をさらに包含する、項目32に記載の方法。
(36)
前記溶液のpHが約3.1に調整されている、項目32に記載の方法。
【0012】
本発明の1つの局面において、活性成分としてアミオダロンを含有する、静脈内投与のための非経口溶液が提供される。活性成分は、注射用水および約0.4〜12mg/mlの非イオン性界面活性剤の溶液に、0.2〜6mg/mlの範囲の濃度に可溶化され、ここで、この溶液は投与前の希釈を必要とせず、そして約2.9〜約3.2の範囲内のpHを有する。必要に応じて、浸透圧調整剤もまたこの溶液に添加され得る。
【0013】
さらに他の局面において、室温で、この溶液は、1年当たり3%未満の薬物分解および、3%未満(溶液体積に対するプラスチック表面積の比がおよそ4cm−1としたときの、最小の不溶性粒子形成)の、ポリマー材料容器による吸着に起因する薬物損失、および0.02%(w/v)総不純物/週未満の総不純物形成の割合を示す。
【0014】
静脈内投与に適したアミオダロン溶液を生成するための方法において、本発明は、活性成分として有効量のアミオダロン溶液を提供する工程を開示する。活性成分は、水/界面活性剤溶液中で可溶化され、次いで、予備混合溶液を希釈する前に冷却される。必要に応じて、浸透圧調整剤がこの時点で溶液に添加され得る。次いで、pHは、適切なpH調整剤で、約2.9〜約3.2の範囲内に、最も好ましくは約3.1に調整される。次いで、予備混合物は、さらに注射用水で最終活性成分濃度まで希釈される。次いで、適切な容器は、さらなる希釈なしで直接患者に投与され得る、最終溶液で満たされる。
【0015】
本発明の他の利点および局面は、添付の図面および特許請求の範囲と併せて、以下の発明の詳細な説明を読解することにより、明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、ガラス容器中で25℃において、希釈されたCORDARONE(登録商標)製品(pH=3.9)および予備混合アミオダロン処方物(pH=3.0)について、総不純物形成の割合を比較した概略図である。
【図2】図2は、プラスチック容器中で25℃において、希釈されたCORDARONE(登録商標)製品(pH=3.9)および予備混合アミオダロン処方物(pH=3.0)について、5ヶ月〜1年間の期間にわたるアミオダロン活性分解の割合を比較した概略図である。
【図3】図3は、希釈されたCORDARONE(登録商標)製品(pH=3.9)および予備混合アミオダロン処方物(pH=3.0)について、プラスチック容器中で5ヶ月〜1年の期間後、25℃での薬物吸着の割合を比較した概略図である。
【図4】図4は、プラスチック容器中での、希釈されたCORDARONE(登録商標)製品(pH=3.9)および予備混合アミオダロン処方物(pH=3.0および2.5)について、1〜2ヶ月の期間後および4〜5ヶ月の期間後の粒子数(USP 788)を比較した概略図である
【発明を実施するための形態】
【0017】
(詳細な説明)
本発明は、多くの異なる形態での実施形態が可能であるが、本開示は、本発明の好ましい実施形態を詳細に掲載する。本開示は、本発明の原理の例とみなされるべきであり、本発明の広範な局面を例示された実施形態に限定することを意図しない。
【0018】
本発明に従って、活性成分として置換されたベンゾフランの薬物を含有する、予備混合非経口処方物が提供される。活性成分は、以下の構造式を有する:
【0019】
【化1】

【0020】
ここでRは、アルキル置換基、アリール置換基、アルコキシ置換基、アリールオキシ置換基またはハロゲン置換基から選択される、1つ以上の基を示し;Rは、アルキル置換基、アリール置換基、アルコキシ置換基、アリールキシ置換基またはハロゲン置換基を示し、Xは、フェニル環上の1つ以上のヨウ素置換基または臭素置換基を含み;Rは、N,N−ジメチルアミノまたはN,N−ジエチルアミノのようなジアルキルアミノ基を示し;Rはまた、1−モルホリニル、1−ピペラジニル(piperazinyl)、または1−ピペラジニル(piperadinyl)のような、1−置換複素環であり得る。
【0021】
アミオダロンおよび/または1つ以上のその薬学的に受容可能な塩は、本発明における使用に好ましい。アミオダロンは、以下の構造式:
【0022】
【化2】

【0023】
を有する。
【0024】
適切なアミオダロンは、フランスのISOCHEMによって販売されている。アミオダロンの好ましい濃度は、約0.2〜6mg/mlである。この処方物はまた、およそ0.4〜12mg/mlの非イオン性界面活性剤(例えば、エトキシル化ポリソルベート(例えば、ポリソルベート 80)、酸化エチレン/酸化プロピレン共重合体、ポリエトキシ化ヒマシ油、および/またはPEG−660 12−ヒドロキシステアレートのようなポリエチレングリコールヒドロキシステアレート)を含有する。非イオン性界面活性剤は、好ましくは、ポリソルベート80(TWEEN80(登録商標))またはポリエチレングリコールヒドロキシステアレート(SOLUTOL(登録商標)HS−15)のいずれかである。この溶液はまた、必要に応じて、浸透圧調整剤(例えば、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、グリシンのようなアミノ酸、または塩化ナトリウムのような塩)を含有し得る。この溶液は、好ましくは約2.9〜約3.2の範囲内のpHを有し、約3.1の初期pHが溶液の最適pHである。非経口処方物は特に安定で、低い薬剤分解の割合(図1および2を参照のこと)、ポリマー容器材料への最小の薬物吸着(図3を参照のこと)、および最小の粒子形成(図4を参照のこと)を示すので、この初期pH範囲は好ましい。
【0025】
本発明はまた、静脈内投与に適したアミオダロン溶液を生成するための方法を提供する。この方法は、以下の工程を包含する:(1)アミオダロン溶液の有効成分注釈を提供する工程;(2)注射用水を提供する工程;(3)TWEEN80(登録商標)およびSOLUTOL(登録商標)HS−15のような非イオン性界面活性剤を提供する工程;(4)有効量の非イオン界面活性剤を加熱した注射用水と混合する工程;(5)加熱された水/界面活性剤溶液中の有効量の活性成分を可溶化する工程;(6)この溶液を冷却および希釈する工程;(7)適切なpH調整剤で、この溶液の初期pHをおよそ2.9〜およそ3.2の範囲内に調整する工程;(8)注射用水で、この溶液を最終活性成分濃度まで希釈する工程;(9)適切な容器をこの溶液で満たす工程。pHは、初期pHからわずかに変化し得るが、提示された範囲内に維持するべきである。
【0026】
「注射用水」によって、添加物質を含有しない、蒸留または逆浸透により精製された、透明な、無色で、無臭の水を意味する(Physician’s Desk Referenceを参照のこと)。注射用水は代表的に、非経口溶液を調製するための溶媒としての使用のために意図される。将来開発される方法を含め、このような標準を合理的に達成する他の方法が、この定義下に含まれることが意図される。
【0027】
必要に応じて、この方法はまた、浸透圧調整剤(例えば、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、アミノ酸、無機塩)およびこれらの浸透調整剤の任意の組み合わせを溶液に混合する工程を包含し得る。さらに、この方法はまた、熱、放射、高エネルギー電子線殺菌もしくは低エネルギー電子線殺菌、を含む、任意の適切な殺菌法によって、または濾過膜殺菌の使用によって満たす工程の前または後のいずれかに溶液を殺菌する工程をも包含し得る。現在、Christineに対する米国特許第4,695,337号、ならびに共にChristineらに対する米国特許第4,761,197号および同第4,964,944号(それぞれ、本発明の指定代理人が指定された)に記載された工程と類似した、無菌充填工程を介して、殺菌が達成され、維持される。これらの参考文献のそれぞれの開示は、本明細書に参考として援用される。当業者に公知の他の最終殺菌工程もまた、適用可能であり得る。
【0028】
開示された方法を室温で使用して調製される場合、本発明の予備混合溶液は、1年当たり3%未満の薬物分解および、3%(溶液体積に対するプラスチック表面積の比がおよそ4cm−1としたときの、最小の不溶性粒子形成)未満の、ポリマー材料容器による吸着に起因する薬物損失、および0.02%(w/v)総不純物/週未満の総不純物形成の割合を示す。これらの驚くべき結果は、投与前の希釈を必要とする、現在市販される製品を上回る、飛躍的な改善である。
【0029】
以下は、本発明の非限定的な実施例であり、本発明の範囲を狭めるように解釈されるべきではない。
【実施例】
【0030】
(実施例:アミオダロン予備混合処方物の調製)
20−Lのジャケット付きタンクリアクタに、6Lの蒸留した脱イオン水を加える。これに54gのTween80を加え、混合物を55℃にした。27gのアミオダロンヒドロクロリドをこの混合物に加え、溶解するまで攪拌する。次いで、この混合物を30℃まで冷却し、そして681gの無水デキストロースを加え、溶解するまで攪拌する。次いで、この混合物を好ましくは13.5Lに希釈し、1Nの水酸化ナトリウムおよび/または1Nの塩酸で溶液のpHを3.0に調整する。溶液は次いで、蒸留した脱イオン水で15Lに希釈され得る。これは、およそ1.8mg/mLの薬物濃度およびpH=3.0を有する溶液を提供する。
【0031】
上記に記載さるように調整されたアミオダロン処方物は、希釈後の現在市販されるCORDARONE(登録商標)製品より、より安定であることが見出された。図1は、25℃において、新規の予備混合アミオダロン処方物(pH=3.0)に対する、希釈されたCORDARONE(登録商標)製品(pH=3.9)中の総不純物形成の割合を示す。両処方物を、ガラス容器中で保存した。これらの条件下で、CORDARONE(登録商標)製品および本発明者らの新規アミオダロン予備混合物中の総不純物形成の割合は、それぞれおよそ0.142%(w/v)および0.016%(w/v)の総不純物/週であることが見出される。図2は、プラスチック容器中で25℃において、混合後に希釈されたCORDARONE(登録商標)製品(pH=3.9)および本発明の予備混合アミオダロン処方物(pH=3.0)について、5ヶ月〜1年の期間におよぶアミオダロン活性分解の割合を示す。その結果、新規の予備混合アミオダロン処方物は、同じ条件下で保存された、現在販売されている混合後のCORDARONE(登録商標)製品より、有意に化学的に安定である。
【0032】
本発明に適したプラスチック容器は、GALAXYTM、INTRAVIATM、およびVIAFLEXTMの商標名で、本願の指定代理人によって市場に出されたものを含む。これらの容器は、Johnstonらに対する米国特許第4,686,125号、Johnstonらに対する同第4,692,361号、Schmidtに対する同第4,779,997号、Laurinらに対する同第5,849843号、Rosenbaumらに対する同第5,998,019号、Rosenbaumらに対する同第6,168,862号、Schmidtらに対するDes.324,556において開示される。これらの特許のそれぞれは、本明細書中に参考として援用される。さらに、ヨーロッパ出願公開番号第EP 0902144.9は、代替の容器を例示する。しかしながら、ほとんどのプラスチック容器は、同様の結果を生ずることが企図される。
【0033】
記載されたように調製されたアミオダロン処方物はまた、現在市販される希釈されたCORDARONE(登録商標)製品と比較して、ポリマー容器材料とより適合性であることが見出された。図3は、25℃でプラスチック容器中での5ヶ月〜1年の保存期間後の、吸着に起因するアミオダロンの損失割合を示す。薬物濃度、ポリソルベート80の濃度、容器構成、および溶液体積は、両方の処方物について実質的に同一であった。これらの条件下で、CORDARONE(登録商標)製品(pH=3.9)および新規アミオダロン予備混合処方物(pH=3.0)についての薬物吸着の割合は、それぞれおよそ4.3%および1.6%であることが見出される。その結果、新規の予備混合アミオダロン処方物では、有意に少ない、ポリマー材料に結合する薬物が観察される。
【0034】
上記に掲載されたように調製されたアミオダロン処方物はまた、現在市販される混合後のCORDARONE(登録商標)製品と比較し、一定時間にわたるより少ない粒子状物質を形成した。図4は、市販される混合後のCORDARONE(登録商標)製品(pH=3.9)および新規の予備混合アミオダロン処方物(pH=3.0および2.5)について、25℃でプラスチック容器中において、1〜2ヶ月および4〜5ヶ月の期間後の、光遮蔽型粒子計数試験(light obscuration particle count test)(USP788)により測定された5μm粒子の数を示す。総不溶性粒子数は、本発明について最少であり、好ましくは一定時間にわたり、150未満の粒子、より好ましくは100未満の粒子、最も好ましくは50未満の粒子を形成する。最少の粒子数は、本発明について、より好ましいpH範囲(pH=2.9〜3.2)で観察された。同様の傾向が、2μmおよび10μmの粒子サイズのチャネルにおいて観察された。
【0035】
特定の実施形態を例証し、掲載してきたが、多数の改変が、本発明の精神から有意に逸脱せずに、想起され、保護範囲は、添付する特許請求の範囲よってのみ制限される。
【0036】
本発明の理解をさらに容易にするために、4つの図面が本明細書に添付される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−102404(P2009−102404A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17366(P2009−17366)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【分割の表示】特願2002−576874(P2002−576874)の分割
【原出願日】平成14年3月28日(2002.3.28)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【Fターム(参考)】