説明

予備滅菌可能な支持システムの中でデュアルチャンバシステムを充填するための方法ならびに予備滅菌可能な支持システム

予備滅菌可能な支持システム(1)の中でデュアルチャンバシステム(3)を充填するための方法が提案される。この方法は、以下の段階、すなわち、少なくとも1つの洗浄された、シリコン処理がなされかつ滅菌されたデュアルチャンバシステム(3)をマガジン(9)に備えることであって、デュアルチャンバシステムは、2つのチャンバ(5,5´)を互いに分離する各々の分離要素(7)を有し、マガジン(9)は、少なくとも1つのデュアルチャンバシステム(3)を収容し、閉鎖要素(13)によって密閉された容器(11)に設けられており、容器(11)をクリーンルームへ入れること、容器(11)を開け、かつ少なくとも1つのデュアルチャンバシステム(3)の第1のチャンバ(5)を充填すること、第1のチャンバ(5)を充填すること、第1のチャンバ(5)を閉じること、少なくとも1つのデュアルチャンバシステム(3)の第2のチャンバ(5´)を充填すること、第2のチャンバ(5´)を閉じること、およびクリーンルームから取り出すこと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予備滅菌可能な支持システムの中でデュアルチャンバシステムを充填するための方法ならびに予備滅菌可能な支持システムに関する。
【背景技術】
【0002】
予備滅菌可能な支持システムおよび支持システムを充填するための方法は知られている。知られた支持システムは、通常は、洗浄された、シリコン処理がなされかつ滅菌された複数のシリンジを有する。これらのシリンジは、洗浄およびシリコン処理段階後にマガジンに据えられることができる。マガジン−ネストとも呼ばれる−は、続いて容器に入れられる。容器は、次に、閉鎖要素、好ましくはガス透過性の膜フィルムで密閉され、適切な滅菌法で滅菌される。ここでは、エチレンオキサイドガス処理が、しばしば用いられる。閉鎖要素がガス透過可能に形成されていることによって、滅菌ガスが容器の内部に浸入し、容器の中味をも、従って、洗浄されかつシリコン処理されたシリンジと、シリンジを有するマガジンとを滅菌することができる。容器は、滅菌段階後に、再度開かれる必要はなく、今の形で直接顧客に引き渡され、あるいは充填ラインに供給されることができる。つまりは、ガス透過性の閉鎖要素は、閉鎖要素が滅菌ガスを透過させるが、容器を、細菌、ウィルスおよびバクテリアに対し密にかつ滅菌状態で閉じるように、濾過作用を有する。容器が閉じられている限りは、従って、容器の中味の滅菌が保証されている。典型的には、シリンジあるいは容器によって囲まれる他の中空体に薬の中味を充填するための充填設備を操作する顧客において、容器が開けられる。中空体は充填されて閉じられる。続いて、容器も再度閉じられ、最終顧客に運ばれることができる。当然ながら、充填されかつ閉じられた中空体は、容器から取り出され、他の包装単位で、最終顧客に引き渡される。前記予備滅菌可能な支持システムおよび支持システムを充填するための方法で最も重要であるのは、規格化された充填ラインとの関連で使用可能な標準化された包装形態が使用されることである。従って、充填される中空体は、充填前には、容器から取り出される必要はない。このことによって、面倒な作業段階が省略される。更に好都合であるのは、複数の中空体が、既に小分けに包装された形態で、共に滅菌されることができ、その後、直ぐに発送または再加工がなされ、面倒な中間段階、例えば、予備滅菌された更なる包装単位への詰め替えまたは再包装が必要ないことである。充填を行なう製剤会社の側では、クリーンルーム、または中空体を準備するための作業段階が省略される。何故ならば、中空体が、充填の用意ができた状態で引き渡されるからである。
【0003】
中空体の製造および/または準備は、充填を伴うインライン処理としてもなされることができるのは、熱風トンネルが、滅菌装置と、充填がなされるクリーンルームとの間に設けられているときである。
【0004】
しかしながら、知られた予備滅菌可能な支持システムおよび支持システムの充填方法は、シングルチャンバシステム、従って、シングルチャンバシリンジ、シングルチャンバ・カープルまたはバイアルのためにのみデザインされている。デュアルチャンバシステム、例えば、デュアルチャンバシリンジまたはデュアルチャンバ・カープルを充填するために、面倒な方法および支持装置は、依然として必要である。
【発明の概要】
【0005】
従って、本発明の目的は、予備滅菌可能な支持システムの中で少なくとも1つのデュアルチャンバシステムを充填するための方法を提供することである。
【0006】
本発明の基礎になる目的は、請求項1に記載の特徴を有する方法によって解決される。
【0007】
この方法は、以下の段階を有することを特徴とする。少なくとも1つの洗浄された、シリコン処理がなされかつ滅菌されたデュアルチャンバシステムがマガジンに備えられ、デュアルチャンバシステムは、2つのチャンバを互いに分離する各々の分離要素を有し、マガジンは、好ましくは1つのデュアルチャンバシステム、好ましくは多くのこのようなシステムを収容し、閉鎖要素によって密閉された容器に設けられている。密閉された容器は、クリーンルームへ入れられる。そこで、容器は開けられ、少なくとも1つのデュアルチャンバシステムの第1のチャンバが充填される。この第1のチャンバが閉じられ、少なくとも1つのデュアルチャンバシステムの第2のチャンバが充填される。第2のチャンバも閉じられ、液剤が充填されたデュアルチャンバシステムが、クリーンルームから取り出される。標準化された予備滅菌可能な支持システムを使用することによって、製剤会社は、中空体の面倒な準備から取り除かれる。規格化された充填ラインの使用も可能である。
【0008】
本発明の基礎になる目的は、請求項2に記載の特徴を有する方法によって解決される。
【0009】
この方法は、以下の段階を有することを特徴とする。2つのチャンバを互いに分離する分離要素を有し、少なくとも1つの洗浄された、シリコン処理がなされかつ滅菌されたデュアルチャンバシステムが準備される。マガジンは、少なくとも1つのデュアルチャンバシステム、好ましくは多くのこのようなシステムを有する。マガジンは、閉鎖要素によって密閉された容器に設けられている。容器は、クリーンルームへ入れられる。容器は開けられ、かつ少なくとも1つのデュアルチャンバシステムの第1のチャンバが充填される。容器は、ガス透過性の閉鎖要素で閉じられる。少なくとも1つのデュアルチャンバシステムの第1のチャンバに含まれている物質が凍結乾燥されてなる方法段階が続く。ここでは、溶媒蒸気は、容器のガス透過性の閉鎖要素を通って昇華する。凍結乾燥後に、容器が開かれ、かつ少なくとも1つのデュアルチャンバシステムの第1のチャンバが閉じられる。少なくとも1つのデュアルチャンバシステムの第2のチャンバが充填されかつ閉じられる。液剤が充填された少なくとも1つのデュアルチャンバシステムがクリーンルームから取り出される。
【0010】
少なくとも1つのデュアルチャンバシステムを収容するマガジンが、プラスチックを含み、好ましくはプラスチックからなることを特徴とする方法も好ましい。このことによって、マガジンは非常に軽量であり、従って、操作が容易である。マガジンは、更に、1回の使用のための製品として形成されていることが可能である。それ故に、マガジンは、使用後に、廃棄される。従って、知られた支持システムでは通常である重量のあるメタルマガジンが省略される。メタルマガジンは、一方では、操作が難しく、他方では、メタルマガジンを滅菌状態に保つために、費用をかけて加圧滅菌器で処理される。これに対し、本発明に係わる支持システムでは、新たな引渡しのたびに、新たなプラスチックマガジンが供給される。このプラスチックマガジンは、まさしく1つのデュアルチャンバシステムにあるいは特に1回分のデュアルチャンバシステムに割り当てられており、使用後に廃棄される。このことは、面倒な作業段階の省略のほかに、デュアルチャンバシステムの、滅菌に関して上手く再現可能な操作が可能であること、特にこのことをもたらす。
【0011】
容器がプラスチックを含み、好ましくはプラスチックで構成されてなる方法も好ましい。ここでも、容器が1回使用され、その使用後には廃棄されることが言及されることは好ましい。各々の回分のデュアルチャンバシステムには、1つの容器が明らかに割り当てられている。それ故に、ここでも、複数の回分の滅菌が、非常に高い再現性をもって保証されている。
【0012】
更に、容器のための閉鎖要素が、ガス透過可能であることを特徴とする方法は好ましい。このことは、一方では、容器を充填ステーションで供給する際に用いる閉鎖要素を表わしている。この閉鎖要素がガス透過可能であることは好ましい。それ故に、容器は、既に閉じた状態で、製造者の側で予備滅菌されることができる。つまりは、閉鎖要素が、滅菌ガスが透過可能に形成されているが、細菌、ウィルスまたはバクテリアは透過不可能であることが意図される。他方では、可能な場合には凍結乾燥がなされる前に容器を閉じるために用いられる閉鎖要素が表わされる。この閉鎖要素がガス透過可能であることは好ましい。その目的は、凍結乾燥の際に放たれる溶媒蒸気が、閉鎖要素を通って昇華し、かくして、容器によって囲まれる空間から離れることができるためである。2つの閉鎖要素が、ガス透過性の膜フィルムとして形成されていることは好ましい。
【0013】
少なくとも1つのデュアルチャンバシステムの第1のチャンバの充填およびガス透過性の閉鎖要素による閉鎖後に、容器が、まず、クリーンルームから取り出され、このクリーンルームの外側に設けられている凍結乾燥装置に入れてなる方法も好ましい。そこでは、凍結乾燥がなされる。凍結乾燥の終わりに、容器が、装置から取り出され、同様にクリーンルームに入れられる。この方法がこの段階分拡張されるとき、薬の中味の無菌充填を、凍結乾燥から完全に分離することが可能である。凍結乾燥は、最早、無菌でなされる必要はない。このことは、可能である。何故ならば、容器は、以下のガス透過性の閉鎖要素、すなわち、昇華された溶媒蒸気を、凍結乾燥工程中に、容器の内部から外側へ透過させるが、細菌、ウィルスまたはバクテリアの、容器への浸入を阻止する閉鎖要素を有するからである。従って、冷凍乾燥機の中の環境が無菌でなくても、容器の内部は無菌のままである。かようにして、凍結乾燥機のための面倒な洗浄および消毒段階が省略することができ、凍結乾燥機は、クリーンルームの内側に設けられている必要がない。
【0014】
この関連で、凍結乾燥装置自体が、滅菌および/または無菌でないことを特徴とする方法は、好ましい。上述のごとく、このことは、ガスが透過可能であるが、ウィルス、バクテリアおよび細菌が透過可能でない閉鎖要素によって容器を閉じることによって、可能である。
【0015】
請求された方法に関し他の好都合な実施の形態は、複数の従属請求項から生じる。
【0016】
更に、本発明の目的は、少なくとも1つのデュアルチャンバシステムのための予備滅菌可能な支持システムを提供することである。
【0017】
この目的は、請求項12に記載の特徴を有する予備滅菌可能な支持システムによって解決される。支持システムは、2つのチャンバを互いに分離する各々の分離要素を有する、少なくとも1つの洗浄された、シリコン処理がなされかつ滅菌されたデュアルチャンバシステムを備える。更に、予備滅菌可能な支持システムは、少なくとも1つのデュアルチャンバシステムを収容するために用いられるマガジンを有する。支持システムは容器も有する。少なくとも1つのデュアルチャンバシステム収容するマガジンは、容器に設けられることができ、容器は、閉鎖要素で密閉されることができる。かくして、少なくとも1つの洗浄された、シリコン処理がなされかつ滅菌されたデュアルチャンバシステムを有するマガジンが設けられていてなる閉じられた容器が生じる。容器全体の内部が滅菌されることは、特に好ましい。密閉によって、デュアルチャンバシステムを備えたこのような予備滅菌可能な支持システムは、在庫として製造および貯蔵されることができる。中味は滅菌のままである。
【0018】
予備滅菌可能な支持システムも好ましい。マガジンはプラスチックを含み、好ましくはプラスチックからなる。この場合、マガジンは、特に軽量であり、更に、予備滅菌可能な支持システムの使用後に廃棄可能である。それ故に、面倒な洗浄または加圧滅菌器による処理段階が省略される。更に、各々の回分のデュアルチャンバシステムが、まさしく1つのマガジンに割り当てられている。それ故に、滅菌に関して上手く再現可能な操作が可能である。
【0019】
容器がプラスチックを含み、好ましくはプラスチックからなることを特徴とする予備滅菌可能な支持システムも好ましい。この場合でも、容器は、1回の使用のために意図される。それ故に、各々の回分のデュアルチャンバシステムが、まさしく1つの容器に割り当てられている。このことも、滅菌に関する操作の再現性を高める。
【0020】
更に、容器のための閉鎖要素がガス透過可能であってなる予備滅菌可能な支持システムが好ましい。この場合には、マガジンおよび少なくとも1つのデュアルチャンバシステムを備えた容器を、製造者側で閉じ、続いて滅菌するのは、滅菌のために定められたガスが、ガス透過性の閉鎖要素を通って、容器の内部に入り込むことによってである。滅菌後に、容器を開ける必要は最早ない。容器は、即座に、例えば充填ラインに運ばれることができる。容器が、既に滅菌中に、最終的に閉じられていることによって、後続の開閉によっては、細菌を含む物質が外から容器の内部に入り込むことはない。ここでは、ガス透過性の、という用語は、閉鎖要素が、ガスおよび蒸気を透過するが、細菌、ウィルスまたはバクテリアが、容器の内部に浸入することを阻止することを表わす。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】予備滅菌可能な支持システムの略図を示す。
【図2】本発明に係わる方法でデュアルチャンバシステムの第1のチャンバを充填する段階の略図を示す。
【図3】前記方法でデュアルチャンバシステムの第1のチャンバを閉じる工程の略図を示す。
【図4】前記方法でデュアルチャンバシステムの第2のチャンバを充填する工程の略図を示す。
【図5】前記方法でデュアルチャンバシステムの第2のチャンバを閉じる工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明を詳述する。
【0023】
図1は、予備滅菌可能な支持システムの実施の形態を略示する。予備滅菌可能な支持システム1は、分離要素7によって互いに分けられている2つのチャンバ5,5´を有する、少なくとも1つの洗浄された、シリコン処理がなされかつ滅菌されたデュアルチャンバシステム3を具備する。複数のデュアルチャンバシステム3は、マガジン9によって収容される。マガジン自体は、容器11に設けられていてもよい。容器は、閉鎖要素13によって密閉されている。
【0024】
容器11は、プラスチックを有することが可能であり、プラスチックからなることは好ましい。マガジン9もプラスチックを有することが可能であり、プラスチックからなることは好ましい。かようにして、2つの要素は、一回の使用のために定められている。それ故に、各々の回分のデュアルチャンバシステム3には、夫々1つのマガジン9および1つの容器11が割り当てられている。
【0025】
容器11のための閉鎖要素13が、ガス透過可能に形成されていることは好ましい。それ故に、完全装備されかつ密閉された容器11を、閉じた状態で滅菌することができるのは、容器を、滅菌のために決められたガスまたは滅菌のために決められた蒸気を含む雰囲気の中へ入れることによってである。ガスまたは蒸気は、閉鎖要素13を通って、容器11の内部に浸入することができ、かくして、特に容器の内部空間、ならびに、内部空間に含まれるデュアルチャンバシステム3およびマガジン9も滅菌することができる。
【0026】
今や、種々の方法を、図2ないし5を参照して詳述する。
【0027】
まず、予備滅菌可能な支持システム1を準備し、クリーンルームに入れる。次に、デュアルチャンバシステム3が出し入れが可能であるように、閉鎖要素13を除去する。
【0028】
図2は、デュアルチャンバシステム3の第1のチャンバ5の充填の段階を示す。同一のおよび機能的に同一の要素には、同一の参照符号が付されている。それ故に、この点で、前の記述を参照するよう指摘しておく。分注装置15が設けられている。この分注装置によって、作用物質および/または補助物質の第1の溶液L1を、デュアルチャンバシステム3の第1のチャンバ5に入れることができる。
【0029】
デュアルチャンバシステム3の第1のチャンバ5の充填後に、図1に示すように、第1のチャンバを閉じることができる。同一のおよび機能的に同一の要素には、同一の参照符号が付されている。それ故に、この点で、前の記述を参照するよう指摘しておく。第1の閉鎖装置17が設けられており、この第1の閉鎖装置によって、夫々1つの閉鎖手段19を用いて、デュアルチャンバシステム3の第1のチャンバ5が閉じられる。閉鎖手段19は、フランジ付きキャップ、不正開封防止用閉鎖手段、取付可能な針を有する閉鎖手段、あるいは取り付けられた針を有する閉鎖手段であってもよい。基本的には、他のタイプの閉鎖手段を使用することができる。デュアルチャンバシステム3の第1のチャンバ5が閉鎖手段19によって密に閉じられることのみが最も重要である。
【0030】
デュアルチャンバシステム3の第1のチャンバ5を充填直後に閉じる代わりに、溶液L1の中にある作用物質および/または補助物質のための凍結乾燥段階を挿入させることも可能である。この目的のために、容器11は、デュアルチャンバシステム3の第1のチャンバ5の充填後に、ガス透過性の閉鎖要素で、好ましくはガス透過性の膜フィルムで閉じられる。かようにして密閉された容器11を、凍結乾燥装置に入れることができる。第1のチャンバ5に含まれる溶媒が、ガス透過性の閉鎖要素を通って昇華する。それ故に、デュアルチャンバシステム3に存在している作用物質および/または補助物質は、凍結乾燥される。容器11がガス透過性の閉鎖要素13によって衛生的に密閉されているので、凍結乾燥装置をクリーンルームの外に設けることも可能である。従って、容器11を、クリーンルームから取り出し、外部の凍結乾燥装置に入れることができる。凍結乾燥装置自体は、滅菌および/または無菌である必要がない。何故ならば、細菌、ウィルスまたはバクテリアが、閉鎖要素13を通って、容器11の内部に達しないからである。かくして、特にデュアルチャンバシステム3は、凍結乾燥が非滅菌および/または非無菌環境で行なわれるとしても、滅菌または無菌であり続ける。凍結乾燥後に、容器11を、再度、クリーンルームに入れることができる。このクリーンルームでは、更なる方法段階が行なわれる。
【0031】
当然ながら、容器を取り出して新たに入れることが省略されるように、凍結乾燥装置をクリーンルーム自体に設けることも可能である。凍結乾燥装置自体も、ここでは、滅菌および/または無菌であらねばならないことは明らかである。
【0032】
凍結乾燥中に、デュアルチャンバシステム3が容器に組み込まれており、妨害放射線または妨害の他の影響に対し確実に保護される。
【0033】
このような凍結乾燥段階が、デュアルチャンバシステム3の第1のチャンバ5の充填と、この第1のチャンバの閉鎖との間で挿入されているとき、容器11が、必要な場合にはクリーンルームへ再度入れられた後に、デュアルチャンバシステム3が出し入れが可能なように、新たに開かれねばならないことは明らかである。デュアルチャンバシステムの第1のチャンバ5の閉鎖後に、第2のチャンバ5´が充填される。このことは、マガジン9が裏返されるとき、特に容易な方法で可能である。この場合、デュアルチャンバシステムが、マガジン9の方向づけと無関係に、しっかりとマガジンに保持されるように、マガジン9が、デュアルチャンバシステム3を囲んでいることが提案されている。かようにして、デュアルチャンバシステム3が、マガジン9の裏返しの際にも、マガジンから滑り出ないことが保証されている。マガジン9の裏返し後に、マガジンが、再度、容器11に入れられることは好ましい。今や、容器11の開口部を通して、デュアルチャンバシステム3の第2のチャンバ5´が、出し入れ可能である。
【0034】
図4は、少なくとも1つのデュアルチャンバシステム3の第2のチャンバ5´の充填工程を略示する。同一のおよび機能的に同一の要素には、同一の参照符号が付されている。それ故に、この点で、前の記述を参照するよう指摘しておく。ここでも、分注装置15が同様に設けられている。分注装置によって、第2の媒体L2が、デュアルチャンバシステム3の第2のチャンバ5´に入れられる。第2の媒体L2は,他の作用物質および/または補助物質の第1の溶液であってもよい。しかしながら、好ましくは純粋な溶媒または溶媒混合物であってもよい。
【0035】
デュアルチャンバシステム3の第2のチャンバ5´の充填後に、この第2のチャンバも閉じることできる。
【0036】
図5は、デュアルチャンバシステム3の第2のチャンバ5´の閉鎖の段階を略示する。同一のおよび機能的に同一の要素には、同一の参照符号が付されている。それ故に、この点で、前の記述を参照するよう指摘しておく。第2のチャンバ5´は、第2の閉鎖装置21と、ここでは例えばプラグ23としてデザインされている閉鎖要素とによって、閉じられる。このプラグが、デュアルチャンバシステム3の中で移動可能であることは好ましい。それ故に、圧縮力は、プラグを介して、第2のチャンバ5´へおよび最後には分離要素7へ伝達可能である。圧縮力は、デュアルチャンバシステム3を作動させる。プラグ23がねじ込みプラグとしてデザインされていることは好ましい。かくして、プラグは、プランジャ要素として作用することができる。図示しないプランジャ・ロッドを、雄ねじによって、ねじ込みプラグ23の雌ねじと係合させることができる。かくして、圧縮力を、非常に簡単な方法で、第2のチャンバ5´へ従ってまた分離要素7へ間接的に伝達することができる。圧縮力は、デュアルチャンバシステム3を作動させる。
【0037】
第2のチャンバ5´の閉鎖後に、容器11を、再度閉じ、かつクリーンルームから取り出すことができる。容器11の閉鎖を省略し、容器11を、開いた状態で、クリーンルームから取り出すか、あるいは、マガジン9のみをまたは個々のデュアルチャンバシステム3さえもクリーンルームから取り出すことも可能である。つまりは、デュアルチャンバシステム3の2つのチャンバ5,5´が密に閉じられているので、デュアルチャンバシステム3を滅菌および/または無菌の環境で引き続き保つ必要はない。
【0038】
結局、本発明に係わる製造法および本発明に係わる予備滅菌可能な支持システムが、デュアルチャンバシステムの充填のための知られた方法および装置に比較して好都合であることが明らかになる。本発明によれば、製剤会社にとって、標準化された包装を、規格化された充填ライン上で直接用いることが可能である。ここでは、凍結乾燥のために定められた製品も、予備滅菌可能なシステムのために設計されているプラントで、充填することができる。知られた方法では、凍結乾燥に供されることが意図される物質との関連でデュアルチャンバシステムを充填するために、まさしくそのために、重くかつ高価な金属製のマガジンが用いられる。これらのマガジンは、再使用され、従って、費用をかけて加圧滅菌器で処理されねばならない。この場合、かようなマガジンの代わりに、標準化された包装形態が、全充填工程中に用いられる。この包装形態は、好ましくは只一回の使用に供され、その後で廃棄される。本発明に係わる支持システムを、ガス透過可能に、しかし細菌、ウィルスまたはバクテリアを通さないように密閉することができるので、充填領域および凍結乾燥領域を互いに分散的に設けることが可能である。このことは、更に、非滅菌環境の中で結乾燥を行なうことを可能にする。従って、本発明に係わる支持システムの中味は、いつでも滅菌状態のままである。知られた方法では、更に、凍結乾燥の段階の前に、デュアルチャンバシステム3の各々のチャンバ5,5´を、いわゆる凍結乾燥閉鎖手段(Lyo-Verschluss)で閉じることが必要である。このことによって、第1のチャンバ5の閉鎖手段の選択が制限されている。これに対し、本方法では、各々の任意の閉鎖システムを選択することが可能である。このことは、容器11自体が、ガス透過性の閉鎖要素13によって閉じられることによって達成される。それ故に、デュアルチャンバシステム3の第1のチャンバ5の個々の閉鎖が、凍結乾燥工程にとっては不要である。凍結乾燥機の半自動式の、自動式のまたは手動の負荷および無負荷の最中に、衛生的に閉じられた容器のみが処理されるので、ここでも、知られた方法よりも著しく低い汚染の危険性しか生じない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予備滅菌可能な支持システム(1)の中でデュアルチャンバシステム(3)を充填するための方法において、
以下の段階、すなわち、
-少なくとも1つの洗浄された、シリコン処理がなされかつ滅菌されたデュアルチャンバシステム(3)をマガジン(9)に備えることであって、前記デュアルチャンバシステムは、2つのチャンバ(5,5´)を互いに分離する各々の分離要素(7)を有し、前記マガジン(9)は、前記少なくとも1つのデュアルチャンバシステム(3)を収容し、閉鎖要素(13)によって密閉された容器(11)に設けられており、
-前記容器(11)をクリーンルームへ入れること、
-前記容器(11)を開け、かつ前記少なくとも1つのデュアルチャンバシステム(3)の第1のチャンバ(5)を充填すること、
-前記少なくとも1つのデュアルチャンバシステム(3)の前記第1のチャンバ(5)を閉じること、
-前記少なくとも1つのデュアルチャンバシステム(3)の第2のチャンバ(5´)を充填すること、
-前記少なくとも1つのデュアルチャンバシステム(3)の前記第2のチャンバ(5´)を閉じること、
-前記クリーンルームから取り出すこと、を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
予備滅菌可能な支持システム(1)の中でデュアルチャンバシステム(3)を充填するための方法において、
以下の段階、すなわち、
-少なくとも1つの洗浄された、シリコン処理がなされかつ滅菌されたデュアルチャンバシステム(3)をマガジン(9)に備えることであって、前記デュアルチャンバシステムは、2つのチャンバ(5,5´)を互いに分離する各々の分離要素(7)を有し、前記マガジン(9)は、前記少なくとも1つのデュアルチャンバシステム(3)を収容し、閉鎖要素(13)によって密閉された容器(11)に設けられており、
-前記容器(11)をクリーンルームへ入れること、
-前記容器(11)を開け、かつ前記少なくとも1つのデュアルチャンバシステム(3)の第1のチャンバ(5)を充填すること、
−前記容器(11)をガス透過性の閉鎖要素(13)で閉じること、
−前記少なくとも1つのデュアルチャンバシステム(3)の前記第1のチャンバ(5)に含まれている溶液(L1)を凍結乾燥すること、
−前記容器(11)を開け、かつ前記少なくとも1つのデュアルチャンバシステム(3)の前記第1のチャンバ(5)を閉じること、
−前記少なくとも1つのデュアルチャンバシステム(3)の第2のチャンバ(5´)を充填すること、
-前記少なくとも1つのデュアルチャンバシステム(3)の前記第2のチャンバ(5´)を閉じること、
-前記クリーンルームから取り出すこと、を有することを特徴とする方法。
【請求項3】
前記マガジン(9)はプラスチックを含み、好ましくはプラスチックからなることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記容器(11)はプラスチックを含み、好ましくはプラスチックからなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記容器(11)のための前記閉鎖要素(13)は、ガス透過可能であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのデュアルチャンバシステム(3)の前記第1のチャンバ(5)の充填およびガス透過性の閉鎖要素(13)による閉鎖後に、前記容器(11)を前記クリーンルームから取り出し、このクリーンルームの外側に設けられておりかつ凍結乾燥がなされる凍結乾燥装置に入れること、および前記容器(11)を、凍結乾燥後に、前記装置から取り外し、かつ改めて任意の或るクリーンルームに入れることを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記凍結乾燥装置自体は、滅菌および/または無菌でないことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記マガジン(9)を、前記少なくとも1つのデュアルチャンバシステム(3)の前記第1のチャンバ(5)の閉鎖後におよび前記第2のチャンバ(5´)の充填前に、裏返すことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのデュアルチャンバシステム(3)の前記第1のチャンバ(5)は、フランジ付きキャップ、不正開封防止の閉鎖手段、取付可能な針を有する閉鎖手段、あるいは取り付けられた針を有する閉鎖手段で閉鎖可能であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのデュアルチャンバシステム(3)の前記第2のチャンバ(5´)は、プラグ(23)で閉鎖可能であることを特徴とする1ないし9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのデュアルチャンバシステムの前記第2のチャンバ(5´)は、ねじ込みプラグ(23)で閉鎖可能であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
-前記2つのチャンバ(5,5´)を互いに分離する分離要素(7)を有する、少なくとも1つの洗浄された、シリコン処理がなされかつ滅菌されたデュアルチャンバシステム(3)と、
-前記少なくとも1つのデュアルチャンバシステム(3)を収容するマガジン(9)と、
-容器(11)と、を具備し、
前記少なくとも1つのデュアルチャンバシステム(3)を有する前記マガジン(9)は、前記容器(11)に設けられることができ、前記容器(11)は、閉鎖要素(13)で密閉されることができてなる予備滅菌可能な支持システム。
【請求項13】
前記マガジン(9)はプラスチックを含み、好ましくはプラスチックからなることを特徴とする請求項12に記載の予備滅菌可能な支持システム。
【請求項14】
前記容器(11)はプラスチックを含み、好ましくはプラスチックからなることを特徴とする請求項12または13に記載の予備滅菌可能な支持システム。
【請求項15】
前記容器(11)のための前記閉鎖要素(13)は、ガス透過可能であることを特徴とする請求項12ないし14のいずれか1項に記載の予備滅菌可能な支持システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2011−524314(P2011−524314A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513939(P2011−513939)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004308
【国際公開番号】WO2009/153014
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(503299192)アーツナイミッテル・ゲーエムベーハー・アポテーカー・フェッター・ウント・コンパニー・ラフェンスブルク (19)
【氏名又は名称原語表記】Arzneimittel Gmbh Apotheker Vetter & Co. Ravensburg
【Fターム(参考)】