説明

事故渋滞に関する損害額算定システム

【課題】プローブ情報を有効に活用し、道路で発生した事故渋滞に伴う遅延による損害額を的確に算定してユーザへ提示できる事故渋滞に関する損害額算定システムの提供。
【解決手段】各車1が道路を走行することによって生成されたプローブ情報を収集するプローブ手段と、事故渋滞に起因する事故を検知する検知手段5と、検知手段5によって事故が検知されたときに、収集されたプローブ情報を統計的に処理し、事故渋滞に伴って遅延した車1Aの遅延時間を算出する遅延時間算出手段13と、算出された遅延時間に基づいて、車1Aのユーザに対して損害が発生する影響が生じたかどうかを判定する判定手段8と、判定手段8によって車1Aのユーザに対して損害が発生する影響が生じたと判定された場合に、その損害に対する損害額を算定する損害額算定手段9と、損害額算定手段9によって算定された損害額を車1Aのユーザへ連絡する連絡手段10とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通手段の事故渋滞に伴う遅延により、ユーザに支払う損害額を算定して提示する損害額算定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、道路を走行する車等の交通手段に事故が発生すると、事故の当事者を乗せた事故車に後続する他の車が不意に渋滞に巻き込まれ、これらの他の車のユーザが目的地への所望の到着時刻から遅延することがある。この場合、渋滞によって車内で待機させられるユーザに心理的な負担がかかったり、あるいは渋滞に巻き込まれた車のユーザ又はこのユーザが所属する法人が、渋滞に伴う遅延によって必要となったガソリンの消費等による余分な費用を負担する不都合が生じることになる。
【0003】
従って、これらの事故渋滞に伴って発生した余分な費用や精神的な負担等の損害に対して十分な補償が行われることが望ましく、例えば補償の1つとしてその損害に対する損害額を渋滞に巻き込まれたユーザ等が加入する保険会社や渋滞の起因となる事故車の当事者等に請求することが提案されている。特に、米国において「クラスアクション」を含む多数当事者訴訟には車のリコールに伴う事例等の多数の実例が存在するので、今後技術面での問題がクリアされれば、交通手段の事故に伴う渋滞に関する集団訴訟が提起される可能性が十分にある。
【0004】
そのため、事故渋滞に伴う遅延によって発生した損害に対して妥当な損害額がユーザに支払われた場合には、ユーザが抱く不満を解消することができるし、あるいはその損害額を受け得るユーザが客観的な判断材料として予め具体的な金額を知ることができれば、その後の対応について検討することができる。そこで、交通手段の事故渋滞に伴って発生した損害に対する損害額を算定してユーザに提示するシステムの従来技術の1つとして、ユーザの交通手段による目的地までの移動時に、交通網の交通事故、渋滞等に伴う停滞事象により発生する出発地から目的地までの移動区間の遅延に対する損害額を算定し、損害額をユーザに提示するための遅延損害算出システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
具体的には、この遅延損害算出システムにおける損害額の算出は、ユーザが移動区間の移動時に停滞事象が発生しない場合の基準時間と、ユーザが移動区間の移動時に経路上の交通事故、渋滞等の停滞事象が発生し遅延が起きた時の所要時間と、基準時間と所要時間との時間差と、この時間差について遅延に起因するか否かの評価と、遅延時間に対する所定の損害補填基準値とによって損害額を算出してユーザに提示するようにしている。
【0006】
ここで、近年各車には道路を走行することによって生成された各車の位置や速度等のプローブ情報を提供するプローブ手段が設けられており、これらの生成されたプローブ情報は例えば車外の管理センタへ送信される。そして、管理センタは、受信したプローブ情報を解析し、各車が走行する地域の天候等の交通情報を得たり、さらには各車の交通管理や渋滞の予測等を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−69882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献1に開示された従来技術の遅延損害算出システムは、例えば高速道路で発生した事故渋滞に伴う遅延に適用される場合には、基準時間及び所要時間はETC車載器を搭載した各車がインターチェンジのETCゲートを通過する際に読み取った情報に基づいて計算されるので、インターチェンジのETCゲート等の設置施設が位置する区間における基準時間及び所要時間しか算出することしかできない。そのため、高速道路や一般道路の任意の地点間において発生した事故渋滞に伴う遅延に対して適切な評価を行うことができず、汎用性が低いことが懸念されている。
【0009】
また、上述したように道路を走行する各車にはプローブ手段が設けられているが、従来技術の遅延損害算出システムは、プローブ手段によって得られる走行中の個々の車のプローブ情報が有効に活用されていないので、事故が発生したときの個々の車の走行データが事故渋滞に伴う遅延に対する評価に反映され難く、計算される損害額の精度が低い虞がある。このようなことから、高速道路及び一般道路を含む道路において発生した事故渋滞に伴う遅延による損害額を的確に算定し、得られた損害額をユーザへ通知して事故の影響を客観的に評価するシステム、すなわち事故の影響を「見える化」するシステムの実現が要望されている。
【0010】
本発明は、このような従来技術の実情からなされたもので、その目的は、プローブ情報を有効に活用し、道路で発生した事故渋滞に伴う遅延による損害額を的確に算定してユーザへ提示することができる事故渋滞に関する損害額算定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の事故渋滞に関する損害額算定システムは、ユーザが利用する交通手段の事故渋滞に伴う遅延によって発生した損害に対し、前記ユーザに支払う損害額を提示する事故渋滞に関する損害額算定システムにおいて、前記交通手段は道路を走行する複数の車から成り、これらの各車が前記道路を走行することによって生成されたプローブ情報を収集するプローブ手段と、前記事故渋滞に起因する事故を検知する検知手段と、この検知手段によって前記事故が検知されたときに、前記プローブ手段によって収集された前記プローブ情報を統計的に処理し、前記複数の車のうち前記事故渋滞に伴って遅延した車の遅延時間を算出する遅延時間算出手段と、この遅延時間算出手段によって算出された前記遅延時間に基づいて、前記遅延した車の前記ユーザに対して損害が発生する影響が生じたかどうかを判定する判定手段と、この判定手段によって前記遅延した車の前記ユーザに対して損害が発生する影響が生じたと判定された場合に、その損害に対する前記損害額を算定する損害額算定手段と、この損害額算定手段によって算定された前記損害額を前記遅延した車の前記ユーザへ連絡する連絡手段とを備えたことを特徴としている。
【0012】
また、本発明に係る事故渋滞に関する損害額算定システムは、前記発明において、前記遅延時間算出手段は、前記道路のうち前記事故が発生した時における前記遅延した車の走行地点から前記事故が発生した事故地点まで前記遅延した車が仮に前記事故渋滞に伴って遅延していない場合に推定される速度で走行して経過する標準走行時間を算出する標準走行時間算出手段と、前記走行地点から前記事故地点まで前記遅延した車が実際に走行して経過した実走行時間を算出する実走行時間算出手段とを有し、前記遅延時間は、前記標準走行時間算出手段によって算出された前記標準走行時間と前記実走行時間算出手段によって算出された前記実走行時間との差から算出されたことを特徴としている。
【0013】
また、本発明に係る事故渋滞に関する損害額算定システムは、前記発明において、前記検知手段によって前記事故が検知されたときに、前記プローブ手段によって収集された前記プローブ情報を統計的に処理し、前記複数の車のうち前記事故渋滞に伴って遅延する可能性がある車を割り出す割出手段と、この割出手段によって割り出された前記車の前記ユーザへ前記事故地点を通知する事故地点通知手段とを備えたことを特徴としている。
【0014】
また、本発明に係る事故渋滞に関する損害額算定システムは、前記発明において、前記事故地点通知手段によって前記事故地点が通知された後に、前記事故渋滞が解消したかどうかを判定する事故渋滞解消判定手段と、この事故渋滞解消判定手段によって前記事故渋滞が解消したと判定された場合に、前記事故地点通知手段によって前記事故地点が通知された前記ユーザへ前記事故渋滞が解消したことを通知する事故渋滞解消通知手段とを備えたことを特徴としている。
【0015】
また、本発明に係る事故渋滞に関する損害額算定システムは、前記発明において、前記連絡手段は、前記損害額を表示する表示手段を有し、この表示手段は、前記ユーザが携帯する携帯端末及び前記各車に搭載されたカーナビゲーションのうち少なくとも一方から成ることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の事故渋滞に関する損害額算定システムは、道路を走行する各車のプローブ手段によって提供されるプローブ情報を有効に活用することにより、道路で発生した事故渋滞に伴う遅延による損害額を的確に算定してユーザへ提示することができる。また、道路で発生した事故渋滞に起因する事故毎に損害額を積算し、補償を請求するきっかけを提供することができる。これにより、事故の影響を「見える化」するシステムを実現することができ、事故の抑止に役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る事故渋滞に関する損害額算定システムの一実施形態の概略を説明する図である。
【図2】本発明に係る事故渋滞に関する損害額算定システムの一実施形態の構成を示す図である。
【図3】本実施形態に備えられた連絡手段を示す図であり、(a)図はユーザが携帯するスマートフォンを示す図、(b)図は車に搭載されたカーナビゲーションを示す図である。
【図4】本実施形態における車、車のユーザ、及び各企業等のネットワークを説明する図である。
【図5】本実施形態の動作を説明するフローチャートであり、特に事故地点通知手段及び事故渋滞解消通知手段の動作を説明するフローチャートである。
【図6】本実施形態の動作を説明するフローチャートであり、特に遅延時間算出手段、判定手段、損害額算定手段、及び連絡手段の動作を説明するフローチャートである。
【図7】本実施形態に備えられた遅延時間算出手段による遅延時間の算出を説明する図である。
【図8】本実施形態におけるプローブデータ管理企業に蓄えられた各データの構成を示す図である。
【図9】図8に示す車種毎区間平均走行データ及び事故の影響を受けた車両の一覧を抽出するための各データの具体的な数値を表示する図である。
【図10】図8に示す車種毎区間平均走行データ、事故の影響を受けた車両の一覧、及びガソリン価格から抽出された事故の影響を受けた車両の損害の一覧とユーザデータの具体的な数値を表示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る事故渋滞に関する損害額算定システムを実施するための形態を図に基づいて説明する。まず、図1に基づいて本実施形態の構成の概略を説明し、その後図2に基づいて本実施形態の具体的な構成を説明する。
【0019】
図1は本発明に係る事故渋滞に関する損害額算定システムの一実施形態の概略を説明する図である。
【0020】
本発明に係る事故渋滞に関する損害額算定システムの一実施形態は、図1に示すようにユーザが利用する交通手段、例えば道路を走行する複数の車1と、これらの各車1が道路を走行することによって生成されたプローブ情報を収集する図示しないプローブ手段とを備えている。これらの生成されたプローブ情報は、例えば各車1から離れた位置に設置され、各種の情報を管理する管理センタとしてのプローブデータ管理企業2へ送信される。
【0021】
すなわち、プローブデータ管理企業2は、各車1から離れた位置に設置された基地局3と通信回線網4を介して接続され、各車1が道路を走行することによって各車1の位置、速度、及び現在の日時等のプローブ情報を自動的に受信するようになっている。このプローブデータ管理企業2は、後述するように受信したプローブ情報を統計的に処理し、ユーザが利用する車1の事故渋滞に伴う遅延によって発生した損害に対し、ユーザに支払う損害額を算定して提示するようになっている。そして、損害額を知ったユーザは、後述するように訴訟サービス企業21及び保険会社23等の企業が提供するサービスや裁判所22等の機関を利用して今後の対応を検討することが可能となる。
【0022】
図2は本発明に係る事故渋滞に関する損害額算定システムの一実施形態の構成を示す図、図3は本実施形態に備えられた連絡手段を示す図であり、(a)図はユーザが携帯するスマートフォンを示す図、(b)図は車に搭載されたカーナビゲーションを示す図である。
【0023】
本実施形態は、図1、図2に示すように事故渋滞に起因する事故を検知する検知手段5を備え、この検知手段5は、例えば図示されないが、道路上の特定の場所に設置された監視カメラと、この監視カメラによって撮影された映像を管理する事故管理手段とから構成されている。上述したプローブ手段は、例えば各車1の内部に搭載されてプローブ情報を生成し、基地局3との間で電波を送受信してプローブデータ管理企業2等と通信する通信機能を有する通信モジュール6と、この通信モジュール6から提供された各車1のプローブ情報を収集して蓄えるプローブ情報収集手段7とから成っている。
【0024】
また、本実施形態は、検知手段5によって事故が検知されたときに、プローブ手段によって収集されたプローブ情報を統計的に処理し、複数の車1のうち事故渋滞に伴って遅延した車1Aの遅延時間を算出する後述の遅延時間算出手段13と、この遅延時間算出手段13によって算出された遅延時間に基づいて、遅延した車1Aのユーザに対して損害が発生する影響が生じたかどうかを判定する判定手段8と、この判定手段8によって遅延した車1Aのユーザに対して損害が発生する影響が生じたと判定された場合に、その損害に対する損害額を算定する損害額算定手段9とを備えている。
【0025】
さらに、本実施形態は、損害額算定手段9によって算定された損害額を遅延した車1Aのユーザへ連絡する連絡手段10を備え、この連絡手段10は表示手段を有している。この表示手段は、例えば図3(a)に示すようにユーザが携帯するスマートフォン等の携帯端末、及び図3(b)に示すように各車1に搭載されたカーナビゲーションのうち少なくとも一方から成っている。なお、本実施形態では、連絡手段10はこれらの携帯端末及びカーナビゲーションの両方を有している。また、本実施形態は、車1のユーザに関する情報、例えばユーザの連絡先等の情報を格納するユーザ情報記憶手段14を備えている。
【0026】
前述した遅延時間算出手段13は、例えば道路のうち事故が発生した時における遅延した車1Aの走行地点から事故が発生した事故地点まで遅延した車1Aが仮に事故渋滞に伴って遅延していない場合に推定される速度で走行して経過する標準走行時間を算出する図示しない標準走行時間算出手段と、走行地点から事故地点まで遅延した車1Aが実際に走行して経過した実走行時間を算出する図示しない実走行時間算出手段とを有し、遅延時間は、標準走行時間算出手段によって算出された標準走行時間と実走行時間算出手段によって算出された実走行時間との差から算出されるようになっている。
【0027】
また、本実施形態は、図示されないが、検知手段5によって事故が検知されたときに、プローブ情報収集手段7によって収集されたプローブ情報を統計的に処理し、複数の車1のうち事故渋滞に伴って遅延する可能性がある車1aを割り出す割出手段と、この割出手段によって割り出された車1aのユーザへ事故地点を通知する事故地点通知手段とを備えている。
【0028】
さらに、本実施形態は、図示されないが、事故地点通知手段によって事故地点が通知された後に、事故渋滞が解消したかどうかを判定する事故渋滞解消判定手段と、この事故渋滞解消判定手段によって事故渋滞が解消したと判定された場合に、事故地点通知手段によって事故地点が通知されたユーザへ事故渋滞が解消したことを通知する事故渋滞解消通知手段とを備えている。なお、本実施形態は、道路の接続情報を格納する道路接続情報記憶手段11と、この道路接続情報記憶手段11に格納された接続情報の中から事故地点の道路を特定して取り出す道路特定手段12とを備えている。また、割出手段は、遅延する可能性がある車1aを割り出すことに加え、事故の影響を受ける可能性のある領域、例えば道路の事故地点やその近傍も割り出すようにしている。
【0029】
次に、本実施形態に備えられた各手段を通して関わるビジネス上のプレーヤーについて説明する。
【0030】
図4は、本実施形態における車、車のユーザ、及び各企業等のネットワークを説明する図である。
【0031】
図4に示すように、本実施形態では、各種のサービスを車1のユーザ及びプローブデータ管理企業2に対して提供する企業群が存在しており、このような企業群に含まれる企業として、例えばライン装着やディーラーオプションのナビの付加機能としてサービスを提供する自動車会社25、市販ナビの付加機能としてサービスを提供するナビメーカ26、通信ナビの付加機能としてサービスを提供する携帯キャリア27、及びロードサイドアシスト等の延長としてサービスを提供する保険会社23が含まれている。
【0032】
また、プローブデータ管理企業2に対してサービスを提供する企業として、例えば上述した事故管理手段を備えて道路で発生した事故を管理する図示しない事故管理企業、及び各種の交通情報を提供する交通(事故)情報等提供企業24が存在している。さらに、ユーザに対してサービスを提供する企業や機関として、例えば弁護士等が所属し、ユーザに訴訟に関するアドバイスを行ったり、あるいは代理人として手続きを行う等の訴訟サービスを提供する訴訟サービス企業21、当事者同士で裁判が行われる裁判所22、及び加入した車1のユーザに対して各種の保険サービスを提供する上述した保険会社23が存在している。
【0033】
また、本実施形態では、プローブ情報収集手段7、遅延時間算出手段13、判定手段8、損害額算定手段9、道路接続情報記憶手段11、道路特定手段12、ユーザ情報記憶手段14、割出手段、事故地点通知手段、事故渋滞解消判定手段、及び事故渋滞解消通知手段はプローブデータ管理企業2内に設置されており、各車1及び各企業等の間における情報の交換は携帯キャリア27の通信サービスを受けることによって行われている。すなわち、プローブデータ管理企業2は、生成された各車1の位置、速度、及び現在の日時等のプローブ情報を各車1の通信モジュール6によって受信し、受信したプローブ情報に基づいて上述した事故渋滞に伴う遅延時間の算出、損害が発生する影響が生じたかどうかの判定、及びその損害に対する損害額の算定を自社内で行うようにしている。
【0034】
そして、プローブデータ管理企業2は、算定した損害額をユーザ情報記憶手段14に記憶されたユーザの連絡先を参照して車1Aのユーザが携帯する携帯端末及び車1Aに搭載されたカーナビゲーションへ送信し、これらの携帯端末及びカーナビゲーションの表示画面に当該損害額を表示してユーザに提示している。これにより、損害額を知ったユーザは、弁護士等が所属する訴訟サービス企業21の訴訟サービスを受け、事故の当事者等に対してその損害額に相当する補償を求めて裁判所22で争ったり、あるいは保険会社23等に対してその損害額を請求する等の対応を検討することが可能となる。
【0035】
次に、本実施形態の動作を説明する。まず、事故が発生してから事故渋滞が解消するまでのプローブデータ管理企業の動作を図5に基づいて説明し、その後プローブデータ管理企業から各通知を受けた車の動作を図5に基づいて説明する。
【0036】
図5は本実施形態の動作を説明するフローチャートであり、特に事故地点通知手段及び事故渋滞解消通知手段の動作を説明するフローチャートである。
【0037】
本実施形態では、プローブデータ管理企業2は、プローブ情報収集手段7によって道路を走行する車1のプローブ情報をプローブデータとして定常的に収集している。また、後述するようにプローブ情報収集手段7は、一般道路であれば交差点間の区間の平均移動時間を蓄積し、高速道路等であればIC、PA(パーキングエリア)、SA(サービスエリア)間の区間の平均移動時間を蓄積すると共に、各区間における車種毎の平均消費ガソリンを蓄積している。この際、平均移動時間は、例えば平日と週末や祝日、所謂「5・10日」や月末等、有意な差がある時間帯毎に検索が可能な状態になっているものとする。
【0038】
本実施形態は、図5に示すように道路で事故が発生すると(ステップ(以下、Sと記す)1)、事故を起こした事故車1Bの後方で事故渋滞が生じる。このとき、事故管理企業が道路上に設置している監視カメラの映像を解析することにより、事故の発生を検知して交通(事故)情報等提供企業24へ連絡する。そして、事故発生の連絡を受けた交通(事故)情報等提供企業24は、事故に関する情報を含む交通情報をプローブデータ管理企業2へ通知し、プローブデータ管理企業の道路特定手段12は、事故地点、すなわち事故が発生した道路や位置を特定する(S2)。
【0039】
次に、プローブデータ管理企業2の割出手段は、各車1のプローブ情報を統計的に処理することにより、事故の影響を受ける可能性のある領域、すなわち前述した道路の事故地点やその近傍を割り出すと共に(S3)、複数の車1のうち事故渋滞に伴って遅延する可能性がある車1aを割り出し(S4)、プローブデータ管理企業2の事故地点通知手段が割り出した車1aのカーナビゲーション及びこの車1aのユーザの携帯端末へ事故地点を通知する(S5)。
【0040】
ここで、手順S3において割り出される事故の影響を受ける可能性のある領域は、例えば事故地点を中心に所定の時間で走行できる範囲と考え、当該近傍は、例えば駐車場等に停車している場合を想定しており、境界の精度は追及しないようにしている。また、所定の時間は、例えば発生した事故の規模を参考にして過去に発生した事故の渋滞解消までの時間を参考にし、算定する。この予測時間の算出には事故の規模や被害の大きさが必要となるが、本実施形態では、巻き込まれた車の台数や交通量等の情報、および、人身事故等の事故の原因の情報から算出されている。
【0041】
さらに、手順S3において事故の影響を受ける可能性のある領域を割り出す際に、車1aの走行の方向を加味することも考えられるが、本実施形態では単純に全方向に道路を探索することとし、手順S5において事故地点の通知を受け取った車1aが、事故地点から継続的に離れている場合には、その通知を携帯端末及びカーナビゲーションで受信しても表示画面に表示しないようにしている。なお、手順S4において事故渋滞に伴って遅延する可能性がある車1aを割り出す際に、後述するプローブデータから手順S2において特定された道路を走行している車1aを抽出するようにしている。
【0042】
次に、手順S5において遅延する可能性がある車1aへ事故地点を通知した後、プローブデータ管理企業2の事故渋滞解消判定手段は、交通情報を参照して事故地点の渋滞状況の観察を行い(S6)、事故渋滞が解消したかどうかを判定する(S7)。このとき、事故渋滞解消判定手段によって事故渋滞が解消していないと判定された場合には、事故地点の渋滞状況を観察し続ける。手順S7において事故渋滞解消判定手段によって事故渋滞が解消したと判定された場合には、プローブデータ管理企業2の事故渋滞解消通知手段は、手順S5において事故地点を通知した車1aへ事故渋滞が解消したことを通知し(S8)、事故が発生してから事故渋滞が解消するまでのプローブデータ管理企業2の動作を終了する。
【0043】
一方、事故渋滞に伴って遅延する可能性がある車1a、すなわち手順S4において割り出された車1aのユーザの携帯端末及びカーナビゲーションがプローブデータ管理企業2から事故地点の通知を受けると(S9)、当該事故地点を事故地点リストに登録し(S10)、事故地点の登録動作を完了する。なお、複数の事故が発生している場合には、これらの事故の事故地点が事故地点リストにそれぞれ登録されることになる。また、車1aのユーザの携帯端末及びカーナビゲーションがプローブデータ管理企業2から事故渋滞が解消した旨の通知を受けると(S11)、手順S10において登録された事故地点リストのうち該当事故のデータに事故渋滞が解消したことを追記し(S12)、事故渋滞解消の追記動作を完了する。
【0044】
次に、手順S10において事故地点が事故地点リストに登録されると、車1aのユーザの携帯端末及びカーナビゲーションは、事故地点リストに登録された事故地点を通過したかどうかの確認処理を起動させる(S13)。そして、車1aのユーザの携帯端末及びカーナビゲーションは、事故地点リストに登録されている事故地点があるかどうかを確認する(S14)。このとき、事故地点リストに登録されている事故地点がないことが確認された場合には、起動された事故地点を通過したかどうかの確認処理を終了する。手順S14において事故地点リストに登録されている事故地点があることが確認された場合には、車1aのユーザの携帯端末及びカーナビゲーションは、事故地点リストに登録された事故地点における事故渋滞が解消した旨の追記の有無を参照することにより、事故渋滞が解消したかどうかを確認する(S15)。
【0045】
車1aのユーザの携帯端末及びカーナビゲーションは、事故渋滞が解消したことを確認すると、事故渋滞が解消した旨の通知の受領をプローブデータ管理企業2へ通知する(S16)。一方、手順S15において車1aのユーザの携帯端末及びカーナビゲーションは、事故渋滞が解消していないことを確認すると、事故地点を通過したかどうかを確認する(S17)。車1aのユーザの携帯端末及びカーナビゲーションは、事故地点を通過したことを確認すると、その旨及び通過した時刻等をプローブデータ管理企業2へ通知し(S18)、事故地点リストに登録された事故地点のうち通過した事故地点を事故地点リストから削除する(S19)。
【0046】
そして、当該事故地点が事故地点リストから削除され、あるいは手順S17において車1aのユーザの携帯端末及びカーナビゲーションが当該事故地点を通過していないことを確認すると、車1aのユーザの携帯端末及びカーナビゲーションは、事故地点リストに登録されたすべての事故地点を調査したかどうかを確認する(S20)。このとき、すべての事故地点を調査したことが確認された場合には、手順S14の動作に戻り、手順S14〜S20の動作を繰り返す。一方、すべての事故地点を調査していないことが確認された場合には、手順S15の動作に戻り、手順S15〜S20の動作を繰り返す。
【0047】
次に、事故渋滞が解消した旨の通知を受信してから損害額がユーザに通知されるまでのプローブデータ管理企業の動作を説明する。その後、事故地点を通過した旨の通知を受信してから損害額がユーザに通知されるまでのプローブデータ管理企業の動作を説明する。
【0048】
図6は本実施形態の動作を説明するフローチャートであり、特に遅延時間算出手段、判定手段、損害額算定手段、及び連絡手段の動作を説明するフローチャートである。
【0049】
図6に示すように、プローブデータ管理企業2は、手順S16において通知された事故渋滞が解消した旨の通知の受領を受信すると(S21)、事故が発生した時刻からの車1aの走行経路を確認し(S22)、車1aが事故地点を迂回したかどうかを確認する(S23)。このとき、プローブデータ管理企業2は、車1aが事故地点を迂回していないことを確認すると、車1aが遅延していないと判断して損害額の算定を行わずに本実施形態の動作を終了する。一方、プローブデータ管理企業2は手順S23において車1aが事故地点を迂回したことを確認すると、プローブデータ管理企業2の遅延時間算出手段13は、車1aが事故渋滞に伴って遅延したと判断してプローブ情報収集手段7によって収集されたプローブ情報を統計的に処理し、車1a、すなわち事故渋滞に伴って遅延した車1Aの遅延時間を算出する。
【0050】
このとき、遅延時間算出手段13は、標準走行時間算出手段によって道路のうち事故が発生した時における遅延した車1Aの走行地点から事故が発生した事故地点まで遅延した車1Aが仮に事故渋滞に伴って遅延していない場合に推定される速度で走行して経過する標準走行時間を算出し(S24)、実走行時間算出手段によって走行地点から事故地点まで遅延した車1Aが実際に走行して経過した実走行時間を算出し、標準走行時間算出手段によって算出された標準走行時間と実走行時間算出手段によって算出された実走行時間との差から遅延時間を算出する(S25)。
【0051】
ここで、本実施形態における標準走行時間及び実走行時間の算出を図7に基づいて説明する。
【0052】
図7は本実施形態に備えられた遅延時間算出手段による遅延時間の算出を説明する図である。なお、図7の縦軸は遅延した各車1Aの事故地点からの距離(km)、図7の横軸は事故が発生してから経過した時間(t)を示している。
【0053】
図4に示すように道路を走行する車1に事故が発生すると、事故車1Bによって後続する車1の走行が妨げられるので、上述したように事故車1Bの後方において事故渋滞が発生する。このとき、事故渋滞に巻き込まれて遅延した車1Aには、例えば図6に示すように3つの走行パターン(1),(2),(3)があり、走行パターン(1)は、遅延した車1Aが渋滞に巻き込まれてもユーザが遅延による心理的負担に耐えて走行経路を変えずに車1Aが事故地点を通過する走行、走行パターン(2)は、ユーザが車1AをSAやPA等に停めて事故渋滞が解消するまで休憩し、事故渋滞が解消した後に車1Aが事故地点を通過する走行、走行パターン(3)は、事故地点を迂回する走行である。なお、走行パターン(2),(3)において車1Aのユーザによる事故渋滞の発生及び解消の判断は、手順S9、S11において車1Aのユーザの携帯端末及びカーナビゲーションの表示画面に表示された事故地点の通知及び事故渋滞が解消した旨の通知に基づいて行われる。
【0054】
例えば、図7に示すように事故渋滞に巻き込まれて遅延した車1Aのうち事故車1Bに後続する車を順次1A1,1A2,1A3,1A4,1A5とし、これらのうち車1A1,1A2,1A3の走行パターンを(1)、車1A4の走行パターンを(2)、車1A5の走行パターンを(3)とすると、各車1A1,1A2,1A3,1A4,1A5の事故地点からの距離(km)と事故が発生してから経過した時間(t)との関係は、後述の各車1A1,1A2,1A3,1A4,1A5のプローブデータ等を参照して実線L1,L2,L3,L4,L5で表される。
【0055】
車1A1,1A2,1A3は、事故渋滞の最後尾に到達した際に走行速度が減少するので、地点B1,B2,B3で各車1A1,1A2,1A3の実線の傾きが減少する。そして、これらの遅延した各車1A1,1A2が事故地点を通過したり、あるいは車1A3の走行中に地点C3で事故渋滞が解消すると、各車1A1,1A2,1A3の走行速度が事故渋滞に巻き込まれる前の走行速度に戻るので、遅延した各車1A1,1A2,1A3の実線の傾きが上昇する。
【0056】
また、各車1A1,1A2,1A3が仮に事故渋滞に伴って遅延していない場合に推定される速度、例えば事故が発生した時(t=0)の速度(以下、初速度と記す)で走行したときの事故地点からの距離(km)と事故が発生してから経過した時間(t)との関係は、破線M1,M2,M3,M4,M5で表わされる。従って、本実施形態では、標準走行時間算出手段によって算出される各車1A1,1A2,1A3,1A4,1A5の標準走行時間は、破線M1,M2,M3,M4,M5と時間軸とが交わる点における時間t1,t2,t3,t4,t5で表されている。
【0057】
一方、実走行時間算出手段によって算出される各車1A1,1A2,1A3の実走行時間は、実線L1,L2,L3と時間軸とが交わる点における時間T1,T2,T3で表されている。ここで、車1A4は、途中の地点B4aにあるSA又はPA等に停まって休憩するので実線L4の傾きがB4aの地点で0となっており、事故渋滞が解消した後に再び走行して実線L4の傾きが上昇する。さらに、車1A5は、事故渋滞の最後尾に到達した際に走行速度が減少するので地点B5aで実線L5の傾きが減少するが、暫くして事故地点を迂回するために途中の地点B5bで走行経路の道路を外れる。
【0058】
そこで、本実施形態では、実走行時間算出手段によって算出される各車1A4,1A5の実走行時間は、実線L4,L5を用いて算出するものではなく、例えば事故が発生した時(t=0)に各車1A4,1A5の近傍にいた車1のうち実際に事故渋滞の中を走行した各車1A4a,1A5aの実走行時間として算出するようにしている。具体的には、各車1A4a,1A5aの事故地点からの距離(km)と事故が発生してから経過した時刻(t)との関係は、二点鎖線L4a,L5aで表され、各車1A4a,1A5aは、事故渋滞の最後尾に到達した際に走行速度が減少するので、地点B4b,B5aで各車1A4a,1A5aの二点鎖線の傾きが減少する。そして、これらの遅延した各車1A4a,1A5aの走行中に地点C4,C5で事故渋滞が解消すると、各車1A4a,1A5aの走行速度が事故渋滞に巻き込まれる前の走行速度に戻るので、遅延した各車1A4a,1A5aの二点鎖線の傾きが上昇する。従って、実走行時間算出手段によって算出される各車1A4a,1A5aの実走行時間、すなわち各車1A4,1A5の実走行時間は、二点鎖線L4a,L5aと時間軸とが交わる点における時間T4,T5で表されている。
【0059】
そして、各車1A1,1A2,1A3,1A4,1A5の遅延時間は、前述した標準走行時間t1,t2,t3,t4,t5と実走行時間T1,T2,T3,T4,T5の差となり、絶対値を取るようにしている。なお、図7には車1A4の遅延時間a1が図示されており、各車1Aが事故渋滞の最後尾に到達した地点B1,B2,B3,B4b,B5a・・・を結ぶことによって表される遅延開始線と各車1Aの走行中に事故渋滞が解消した地点C3,C4,C5・・・を結ぶことによって表される渋滞解消線は、事故地点から離れた地点で交わり、最終的にその地点で事故渋滞が解消されることになる。
【0060】
このようにして図6に示す手順S25において算出される遅延した車1Aの遅延時間は、走行パターン(3)の車1A5の遅延時間に相当し、標準走行時間t5と実走行時間T5との差によって算出される。そして、プローブデータ管理企業2の判定手段8は、算出された車1Aの遅延時間に基づいて、遅延した車1Aのユーザに対して損害が発生する影響が生じたかどうかを判定する。すなわち、標準走行時間t5と実走行時間T5との差が例えば所定の値よりも大きいかどうかを判定する(S26)。
【0061】
プローブデータ管理企業2の判定手段8は、標準走行時間t5と実走行時間T5との差が所定の値よりも大きくないと判定すると、遅延した車1Aのユーザに対して損害が発生する影響が生じていないので、損害額の算定を行わずに本実施形態の動作を終了する。一方、手順S26においてプローブデータ管理企業2の判定手段8は、標準走行時間t5と実走行時間T5との差が所定の値よりも大きいと判定すると、遅延した車1Aのユーザに対して損害が発生する影響が生じているので、プローブデータ管理企業2の損害額算定手段9は、その損害に対する損害額を算定する。
【0062】
具体的には、損害額算定手段9は、まずプローブ情報を統計的に処理することにより、例えば事故が発生した時刻に車1Aと同一車種の車があり、この車が実走行した例があった場合には、その燃料として例えばガソリンの消費量を参照し、事故が発生した時の走行地点から事故地点までの区間において車1Aと同一車種の車が消費する標準的なガソリンの消費量と、当該区間において車1Aと同一車種の車が実際に走行して消費したガソリンの消費量との差を算出する。一方、損害額算定手段9は、事故が発生した時刻に車1Aと同一車種の車があっても、この車が実走行した例がなかった場合には、車1Aに対して参照可能な車種との比率を計算することにより、当該区間において車1Aと同一の車種が消費する標準的なガソリンの消費量と、当該区間において車1Aと同一の車種の車が実際に走行して消費したガソリンの消費量との差を算出する(S27)。
【0063】
次に、損害額算定手段9は、算出されたガソリンの消費量に対するガソリン代を事故当時購入可能な標準的なガソリンの価格から算出し(S28)、さらに標準走行時間t5と実走行時間T5との差に対応した車1Aのユーザの心理的負担に相当する慰謝料の額を算出してこれらのガソリン代と慰謝料の額を損害額として算定する(S29)。そして、プローブデータ管理企業2は、ユーザ情報記憶手段14に記憶された車1Aのユーザの連絡先を参照して算定された損害額を無線通信で車1Aのユーザの携帯端末及びカーナビゲーションへ送信してユーザに通知し(S30)、本実施形態の動作を終了する。
【0064】
一方、プローブデータ管理企業2は、手順S18において通知された事故地点を通過した旨の通知を受信すると(S31)、プローブデータ管理企業2の遅延時間算出手段13は、事故が発生した時刻からの車1Aの走行経路を確認し、プローブ情報収集手段7によって収集されたプローブ情報を統計的に処理することにより、車1Aの遅延時間を算出するために図7に示すように事故が発生してからの経過時間と走行距離を算出する(S32)。
【0065】
すなわち、遅延時間算出手段13は、標準走行時間算出手段によって道路のうち事故が発生した時における遅延した車1Aの走行地点から事故が発生した事故地点まで遅延した車1Aが仮に事故渋滞に伴って遅延していない場合に推定される速度で走行して経過する標準走行時間を算出し(S33)、実走行時間算出手段によって走行地点から事故地点まで遅延した車1Aが実際に走行して経過した実走行時間を算出し、標準走行時間算出手段によって算出された標準走行時間と実走行時間算出手段によって算出された実走行時間との差から車1Aが走行パターン(1)のときの遅延時間を算出すると共に(S34)、車1Aが走行パターン(2)のときの遅延時間を算出する(S35)。
【0066】
具体的には、手順S34において算出される車1Aの遅延時間は、図7に示す走行パターン(1)の車1A1,1A2,1A3の遅延時間のうち、例えば車1A3の遅延時間に相当し、標準走行時間t3と実走行時間T3との差によって算出される。また、手順S35において算出される車1Aの遅延時間は、車1A4の遅延時間に相当し、標準走行時間t4と実走行時間T4との差によって算出される。そして、プローブデータ管理企業2の判定手段8は、手順S34、S35において算出された遅延時間のうち小さい方の遅延時間に基づいて、遅延した車1Aのユーザに対して損害が発生する影響が生じたかどうかを判定する。すなわち、標準走行時間t3と実走行時間T3との差、及び標準走行時間t4と実走行時間T4との差のうち小さい方の差が所定の値よりも大きいかどうかを判定する(S36)。
【0067】
プローブデータ管理企業2の判定手段8は、標準走行時間t3と実走行時間T3との差、及び標準走行時間t4と実走行時間T4との差のうち小さい方の差が所定の値よりも大きくないと判定すると、遅延した車1Aのユーザに対して損害が発生する影響が生じていないので、損害額の算定を行わずに本実施形態の動作を終了する。一方、手順S36においてプローブデータ管理企業2の判定手段8は、標準走行時間t3と実走行時間T3との差、及び標準走行時間t4と実走行時間T4との差のうち小さい方の差が所定の値よりも大きいと判定すると、遅延した車1Aのユーザに対して損害が発生する影響が生じているので、プローブデータ管理企業2の損害額算定手段9は、その損害に対する損害額を算定する。
【0068】
このとき、手順S36において標準走行時間t3と実走行時間T3との差が、標準走行時間t4と実走行時間T4との差よりも小さい場合には、損害額算定手段9は、まずプローブ情報を統計的に処理することにより、例えば事故が発生した時の走行地点から事故地点までの区間において車1Aと同一車種の車が消費する標準的なガソリンの消費量と、当該区間において車1Aが実際に走行して消費したガソリンの消費量との差を算出する。
【0069】
一方、標準走行時間t3と実走行時間T3との差が、標準走行時間t4と実走行時間T4との差よりも大きい場合には、損害額算定手段9は、プローブ情報を統計的に処理することにより、例えば事故が発生した時刻に車1Aと同一車種の車があり、この車が実走行した例があった場合には、そのガソリンの消費量を参照して当該区間において車1Aと同一車種の車が消費する標準的なガソリンの消費量と、当該区間において車1Aと同一車種の車が実際に走行して消費したガソリンの消費量との差を算出する。また、損害額算定手段9は、事故が発生した時刻に車1Aと同一車種の車があっても、この車が実走行した例がなかった場合には、車1Aに対して参照可能な車種との比率を計算することにより、当該区間において車1Aと同一の車種が消費する標準的なガソリンの消費量と、当該区間において車1Aと同一の車種が実際に走行して消費したガソリンの消費量との差を算出する(S37)。
【0070】
次に、損害額算定手段9は、算出されたガソリンの消費量に相当するガソリン代を事故当時購入可能な標準的なガソリン価格から算出し(S38)、さらに標準走行時間t3と実走行時間T3との差、及び標準走行時間t4と実走行時間T4との差のうち小さい方の差に対応した車1Aのユーザの心理的負担に相当する慰謝料の額を算出してこれらのガソリン代と慰謝料の額を損害額として算定する(S39)。そして、プローブデータ管理企業2は、ユーザ情報記憶手段14に記憶された車1Aのユーザの連絡先を参照して算定された損害額を無線通信で車1Aのユーザの携帯端末及びカーナビゲーションへ送信してユーザに通知し(S40)、本実施形態の動作を終了する。
【0071】
次に、本実施形態におけるプローブデータ管理企業のデータ処理について図8〜10に基づいて説明する。
【0072】
図8は本実施形態におけるプローブデータ管理企業に蓄えられた各データの構成を示す図、図9は図8に示す車種毎区間平均走行データ及び事故の影響を受けた車両の一覧を抽出するための各データの具体的な数値を表示する図、図10は図8に示す車種毎区間平均走行データ、事故の影響を受けた車両の一覧、及びガソリン価格から抽出された事故の影響を受けた車両の損害の一覧とユーザデータの具体的な数値を表示する図である。
【0073】
図8に示すように、プローブデータ管理企業2のプローブ情報収集手段7は、各車1の通信モジュール6から収集したプローブ情報をプローブデータとして蓄えている。このプローブデータは、例えば図9の表1に示すように車1に対して一定の時間間隔で記録された緯度、経度、及び消費ガソリンから構成されている。また、プローブデータ管理企業2の道路特定手段12は、交通(事故)情報等提供企業24から得た交通情報のうち地図データと上述のプローブデータをマップマッチング処理することにより、車1が走行する道路と位置を特定して車1の走行データを抽出する。この走行データは、例えば図9の表2に示すように同一の車IDに対して一定の時間間隔で記録された緯度、経度、消費ガソリン、特定した道路ID、及び距離程から構成されている。
【0074】
また、プローブデータ管理企業2は、蓄えたプローブデータ、交通情報、及びユーザ情報記憶手段14に格納されたユーザの連絡先等の情報に基づいて車両データ、ガソリン価格、及びユーザデータを抽出しており、車両データは、例えば図9の表3に示すように各車IDにおける車種ID及び所有者IDから構成されている。さらに、ガソリン価格は、例えば図10の表10に示すように各GS(ガソリンスタンド)のIDに対して一定の時間間隔で記録されたガソリンの種別及び価格から構成され、ユーザデータは、例えば図10の表12に示すように各ユーザIDに対して車ID、住所、電話番号、Eメール、及び好みの連絡手段から構成されている。
【0075】
そして、プローブデータ管理企業2は、走行データから区間(道路ID)毎の平均走行データを抽出すると共に、車1の車種毎の消費ガソリンを算出するために便宜的に走行データ及び車両データに基づいて車1の車種の区間(道路ID)毎の平均走行データを抽出する。上述した区間(道路ID)毎の平均走行データは、例えば図9の表4に示すように一定の時間間隔で記録された道路ID、距離、及び走行時間から構成されており、車1の車種の区間(道路ID)毎の平均走行データは、例えば図9の表5に示すように同一の車種IDに対して一定の時間間隔で記録された道路ID、距離、消費ガソリン、及び走行時間から構成されている。なお、平均走行データに平日・休日の違いや時刻による違い等を反映させる場合には、同一の車種IDに対してさらに各状況に基づく記録が行われる。
【0076】
一方、プローブデータ管理企業2の遅延時間算出手段13は、プローブ情報収集手段7によって収集されたプローブ情報及び道路特定手段12によって特定された道路を含む交通情報に基づいて道路で発生した各事故の事故データを抽出する。この事故データは、例えば図9の表8に示すように各事故IDにおいて事故が発生した日時、道路ID、距離程、及び当事者IDから構成されている。また、遅延時間算出手段13は、上述した図9の表1に示すプローブデータから図9の表6に示すように各事故が発生した日時に道路を走行する車1のプローブデータを取り出し、道路特定手段12は、交通(事故)情報等提供企業24から得た交通情報のうち地図データと取り出したプローブデータをマップマッチング処理することにより、図9の表7に示すように各事故が発生した日時に当該道路を走行する車1の走行データを抽出する。
【0077】
遅延時間算出手段13は、取得した事故データ及び走行データを参照し、上述した図6に示す手順S24、S25、S33、S34、S35において事故渋滞に伴って遅延した車1Aの各走行パターン(1),(2),(3)に対応する標準走行時間と実走行時間との差から遅延時間を算出し、算出した遅延時間に基づいて判定手段8によって判定された事故の影響を受けた車両の一覧を抽出する。この事故の影響を受けた車両の一覧は、例えば図9の表9に示すように同一の事故IDに対して当該事故の影響を受けた車ID、遅延時間、及び走行データへのポインタから構成されている。
【0078】
プローブデータ管理企業2の損害額算定手段9は、抽出したこれら図9、図10の表5に示す車1の車種の区間(道路ID)毎の平均走行データ、図9、図10の表9に示す事故の影響を受けた車両の一覧、及び図10の表10に示すガソリン価格に基づいて車1Aのユーザに対する損害等を表わす事故の影響を受けた車両の損害の一覧を抽出する。この事故の影響を受けた車両の損害の一覧は、例えば図10の表11に示すように同一の事故IDに対して当該事故の影響を受けた車ID、遅延時間、走行データへのポインタ、無駄に消費したガソリンの量、無駄に消費したガソリン価格、及び心理的負担から構成されている。
【0079】
プローブデータ管理企業2の損害額算定手段9は、抽出した図10の表11に示す事故の影響を受けた車両の損害の一覧に基づき、無駄に消費したガソリンの量に無駄に消費したガソリンの価格を乗じて算出されたガソリン代と心理的負担に相当する額を損害額として算定する。そして、プローブデータ管理企業2は、図10の表12に示すユーザデータを参照することにより、損害額を各車1Aのユーザの好みの連絡手段で各ユーザの携帯端末及びカーナビゲーションへ送信して損害額の連絡処理を行う。
【0080】
このように構成した本実施形態によれば、プローブデータ管理企業2のプローブ情報収集手段7が道路を走行する各車1の通信モジュール6から各車1のプローブ情報を収集して蓄えているので、プローブデータ管理企業2が事故管理企業から交通(事故)情報等提供企業24を介して道路で事故が発生した旨の連絡を受けると、図6に示す手順S24、S25、S33、S34、S35において遅延時間算出手段13がプローブ情報を統計的に処理して事故渋滞に伴って遅延した車1Aの遅延時間を算出することにより、図9、図10の表9に示す事故の影響を受けた車両の一覧において具体的な数値で表された遅延時間に基づいて当該事故に対する各車1Aの遅延状況を客観的に評価することができる。
【0081】
従って、プローブデータ管理企業2の判定手段8は、図6に示す手順S26、S36において各車1Aの遅延時間に基づき、遅延した車1Aのユーザに対して損害が発生する影響が生じたと判定した場合に、手順S27、S28、S29、S37、S38、S39において損害額算定手段9がその損害に対する損害額を算定することにより、高速道路や一般道路に限らず道路で発生した事故渋滞に伴う遅延に対して適切な評価を行うことができる。そして、プローブデータ管理企業2は、算定された損害額を遅延した車1Aのユーザの携帯端末及びカーナビゲーションへ送信し、図3に示すようにこれらの携帯端末及びカーナビゲーションの表示画面に表示された損害額、すなわち消費したガソリンの価格と心理的負担に相当する額を確認することにより、ユーザが事故渋滞に伴う遅延に対する妥当な損害額を知ることができる。このように、プローブデータ管理企業2は、道路を走行する各車1の通信モジュール6からプローブ情報収集手段7によって収集したプローブ情報を有効に活用することにより、道路で発生した事故渋滞に伴う遅延による損害額を的確に算定してユーザへ提示することができる。また、道路で発生した事故渋滞に起因する事故毎に損害額を積算し、補償を請求するきっかけを提供することができる。これにより、事故の影響を「見える化」するシステムを実現することができ、事故の抑止に役立てることができる。
【0082】
また、本実施形態は、図6に示す手順S24、S33において遅延時間算出手段13は、標準走行時間算出手段によって道路のうち事故が発生した時における遅延した車1Aの走行地点から事故地点まで車1Aが仮に事故渋滞に伴って遅延していない場合に推定される速度で走行して経過する標準走行時間を算出すると共に、手順S25、S34、S35において実走行時間算出手段によって走行地点から事故地点まで車1Aが実際に走行して経過した実走行時間を算出することにより、算出したこれらの標準走行時間と実走行時間との差から遅延した車1Aの走行パターン(1),(2),(3)に応じた遅延時間を高精度で求めることができる。これにより、各車1Aの走行状態を考慮して算定された損害額をユーザに提示することができ、損害額に対する信頼性を高めることができる。
【0083】
また、本実施形態は、図5に示す手順S3、S4においてプローブデータ管理企業2の割出手段は、各車1のプローブ情報を統計的に処理することにより、事故の影響を受ける可能性のある領域、すなわち前述した道路の事故地点やその近傍を割り出すと共に、複数の車1のうち事故渋滞に伴って遅延する可能性がある車1aを割り出し、手順S5においてプローブデータ管理企業2の事故地点通知手段が、この割り出した車1aのユーザの携帯端末及びカーナビゲーションへ事故地点を通知することにより、遅延する可能性がある車1aのユーザが事故渋滞に巻き込まれる前に事故地点を知ることができるので、車1aのユーザが走行経路を変更することによって事故渋滞を回避することができる。これにより、事故渋滞に巻き込まれる車1aの台数が減少するので、道路で発生した事故渋滞を緩和することができる。
【0084】
また、本実施形態は、プローブデータ管理企業2の事故渋滞解消判定手段は、手順S6において交通情報を参照して事故地点の渋滞状況の観察を行い、手順S7において事故渋滞が解消したと判定すると、プローブデータ管理企業2の事故渋滞解消通知手段は、手順S8において事故地点を通知した車1aへ事故渋滞が解消したことを通知することにより、車1aのユーザが事故地点で発生した事故渋滞が解消したことを予め知ることができるので、ユーザが安心して目的の走行経路における走行を継続することができ、ユーザが事故渋滞に遭遇することなく事故地点を通過することができる。このように、道路を走行する車1のユーザに対して事故渋滞に関する情報を迅速に提供することができるので、車1の走行における快適性及び円滑性を向上させることができる。
【0085】
また、本実施形態は、プローブデータ管理企業2は、図6に示す手順S28,S29,S38,S39において損害額算定手段9によって算定された損害額を事故渋滞に伴って遅延した車1Aのユーザが携帯する携帯端末及びカーナビゲーションへ送信することにより、ユーザがこれらの携帯端末及びカーナビゲーションの表示画面を見て損害額を確認することができる。これにより、カーナビゲーションによって車1Aの運転中に損害額を早期に知ることができ、また携帯端末によって損害額を事後的に知ることができるので、ユーザに対する高い利便性を確保することができる。
【0086】
なお、上述した本実施形態では、図7に示すように事故渋滞に伴って遅延した車1Aの遅延時間は標準走行時間と実走行時間との差、例えば車1A4の遅延時間a1は標準走行時間t4と実走行時間T4との差から算出された場合について説明したが、この場合に限らず、遅延した車1Aの遅延時間は、事故が発生した時における遅延した車1Aの走行地点から車1Aの走行中に事故渋滞が解消する事故渋滞解消地点まで車1Aが実際に走行して経過した時間と、事故が発生した時における車1Aの走行地点から事故渋滞解消地点まで車1Aが仮に事故渋滞に伴って遅延していない場合に推定される速度で走行して経過する時間との差から算出されていても良い。この場合には、例えば車1A4の遅延時間a2は、事故が発生した時(t=0)における車1A4の走行地点から事故渋滞解消地点C4まで車1A4が実際に走行して経過した時間、すなわち事故が発生した時(t=0)における車1A4の近傍の車1A4aの走行地点から事故渋滞解消地点C4まで車1A4aが実際に走行して経過した時間と、事故が発生した時(t=0)における車1A4aの走行地点から事故渋滞解消地点C4まで車1A4aが初速度で走行して経過する時間との差から算出される。
【符号の説明】
【0087】
1 車
1A 遅延した車
1B 事故車
1a 遅延する可能性がある車
2 プローブデータ管理企業(管理センタ)
5 検知手段
6 通信モジュール
7 プローブ情報収集手段
8 判定手段
9 損害額算定手段
10 連絡手段
11 道路接続情報記憶手段
12 道路特定手段
13 遅延時間算出手段
14 ユーザ情報記憶手段
21 訴訟サービス企業
22 裁判所
23 保険会社
24 交通(事故)情報等提供企業
25 自動車会社
26 ナビメーカ
27 携帯キャリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが利用する交通手段の事故渋滞に伴う遅延によって発生した損害に対し、前記ユーザに支払う損害額を算定して提示する事故渋滞に関する損害額算定システムにおいて、
前記交通手段は道路を走行する複数の車から成り、
これらの各車が前記道路を走行することによって生成されたプローブ情報を収集するプローブ手段と、
前記事故渋滞に起因する事故を検知する検知手段と、
この検知手段によって前記事故が検知されたときに、前記プローブ手段によって収集された前記プローブ情報を統計的に処理し、前記複数の車のうち前記事故渋滞に伴って遅延した車の遅延時間を算出する遅延時間算出手段と、
この遅延時間算出手段によって算出された前記遅延時間に基づいて、前記遅延した車の前記ユーザに対して損害が発生する影響が生じたかどうかを判定する判定手段と、
この判定手段によって前記遅延した車の前記ユーザに対して損害が発生する影響が生じたと判定された場合に、その損害に対する前記損害額を算定する損害額算定手段と、
この損害額算定手段によって算定された前記損害額を前記遅延した車の前記ユーザへ連絡する連絡手段とを備えたことを特徴とする事故渋滞に関する損害額算定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の事故渋滞に関する損害額算定システムにおいて、
前記遅延時間算出手段は、
前記道路のうち前記事故が発生した時における前記遅延した車の走行地点から前記事故が発生した事故地点まで前記遅延した車が仮に前記事故渋滞に伴って遅延していない場合に推定される速度で走行して経過する標準走行時間を算出する標準走行時間算出手段と、
前記走行地点から前記事故地点まで前記遅延した車が実際に走行して経過した実走行時間を算出する実走行時間算出手段とを有し、
前記遅延時間は、前記標準走行時間算出手段によって算出された前記標準走行時間と前記実走行時間算出手段によって算出された前記実走行時間との差から算出されたことを特徴とする事故渋滞に関する損害額算定システム。
【請求項3】
請求項2に記載の事故渋滞に関する損害額算定システムにおいて、
前記検知手段によって前記事故が検知されたときに、前記プローブ手段によって収集された前記プローブ情報を統計的に処理し、前記複数の車のうち前記事故渋滞に伴って遅延する可能性がある車を割り出す割出手段と、
この割出手段によって割り出された前記車の前記ユーザへ前記事故地点を通知する事故地点通知手段とを備えたことを特徴とする事故渋滞に関する損害額算定システム。
【請求項4】
請求項3に記載の事故渋滞に関する損害額算定システムにおいて、
前記事故地点通知手段によって前記事故地点が通知された後に、前記事故渋滞が解消したかどうかを判定する事故渋滞解消判定手段と、
この事故渋滞解消判定手段によって前記事故渋滞が解消したと判定された場合に、前記事故地点通知手段によって前記事故地点が通知された前記ユーザへ前記事故渋滞が解消したことを通知する事故渋滞解消通知手段とを備えたことを特徴とする事故渋滞に関する損害額算定システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の事故渋滞に関する損害額算定システムにおいて、
前記連絡手段は、前記損害額を表示する表示手段を有し、
この表示手段は、前記ユーザが携帯する携帯端末及び前記各車に搭載されたカーナビゲーションのうち少なくとも一方から成ることを特徴とする事故渋滞に関する損害額算定システム。

【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−20493(P2013−20493A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153968(P2011−153968)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】