説明

二つのアミノベンゾアート又はアミノベンズアミド基で置換されたケイ素含有S−トリアジンによるジベンゾイルメタンの光安定化;光保護組成物、新規なケイ素含有S−トリアジン化合物

【課題】ジベンゾイルメタン誘導体を紫外線に対して光安定化させるための方法の提供。
【解決手段】与えられた式を持つ二つのアミノベンゾアート又はアミノベンズアミド基で置換された少なくとも一のケイ素含有s-トリアジンを使用する。また、該s-トリアジンに関する。さらに、ジベンゾイルメタン型紫外線遮蔽剤と該s-トリアジン化合物を含むことを特徴とする、生理学的に許容可能な担体中に少なくとも一の紫外線遮蔽系を含有する組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、二つのアミノベンゾアート又はアミノベンズアミド基で置換された少なくとも一のケイ素含有s-トリアジンにより、少なくとも一のジベンゾイルメタン誘導体を、紫外線に対して光安定化させるための方法に関する。
本発明はまたジベンゾイルメタン誘導体と、二つのアミノベンゾアート又はアミノベンズアミド基で置換されたケイ素含有s-トリアジンとの組合せを含む新規組成物、特に局所使用のための化粧品用組成物に関する。
【0002】
280nmから400nmの範囲の波長を有する光線によりヒトの表皮は褐色となり、特にUV-Bとして知られている280nmから320nmの範囲の波長の光線により、自然なサンタン状態の形成に有害な皮膚火傷となったり紅斑を生じることが知られている。これらの理由と美的理由から、自然のサンタン状態をコントロールし、それによって皮膚の色調をコントロールすることができる手段が常に必要とされている;よって、そのUV-B線は遮蔽しなければならない。
また、320nmから400nmの範囲の波長を有し、皮膚を褐色にする原因であるUV-A線も、皮膚に損傷を誘発する傾向があることが知られており、敏感肌及び/又は絶えず日光にさらされている皮膚の場合は特にしかりである。UV-A線は、特に、皮膚の弾性を喪失させ、シワを出現せしめ、時期尚早の老化に導く原因となる。その光線は紅斑反応の惹起を誘発したり、ある被験者の場合にはその反応を増幅させ、光毒性又は光アレルギー反応の原因にさえなりうる。従って、例えば皮膚本来の弾力性を維持するというような美的及び美容的理由から、益々多くの人々が皮膚へのUV-A線の影響をコントロールすることを望んでいる。よって、UV-A線もまた遮蔽することが望ましい。
【0003】
紫外線に対する皮膚及びケラチン物質の保護を確実にする目的で、UV-A領域に活性があり、かつUV-B領域に活性がある有機遮蔽剤を含有するサンスクリーン組成物が一般に使用されている。そのような遮蔽剤の多くは脂溶性である。
この点に関し、現在、特に有利なUV-A遮蔽剤のファミリーは、ジベンゾイルメタン誘導体、特に4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタンから構成され、これは本質的に良好な吸収力を有している。このようなジベンゾイルメタン誘導体は、UV-A領域に活性のある遮蔽剤として、それ自体よく知られており、特に仏国特許出願公開第2326405号及び仏国特許出願公開第2440933号、並びに欧州特許出願公開第0114607号に記載されている;4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタンは、現在は、ロシュ・ビタミン社(ROCHE VITAMINS)から「パルソール(Parsol)1789」の商品名で市販されている。
【0004】
残念なことに、ジベンゾイルメタン誘導体は紫外線(特にUV-A)に比較的敏感であることが分かっており、すなわちより正確には、この光線の作用下では、程度の差はあれある早さで分解するという好ましくない傾向を有している。よって、ジベンゾイルメタン誘導体が性質上被ることになる紫外線に対する光化学的安定性を実質的に欠いているため、長時間日光にさらされている間、一定の保護を保証できず、紫外線から皮膚を効果的に保護するために、使用者は規則的な短い間隔で繰返し塗布する必要がある。
【0005】
1,3,5-トリアジン誘導体は、UV-B領域に強い活性があるため、日光用化粧品(solar cosmetics)に特に所望されている。それらは特に次の特許:米国特許第4367390号、欧州特許出願公開第0863145号、欧州特許出願公開第0517104号、欧州特許出願公開第0570838号、欧州特許出願公開第0507691号、欧州特許出願公開第0796851号、欧州特許出願公開第0775698号、欧州特許出願公開第0878469号、及び欧州特許出願公開第0933376号に記載されている;特に次のものが知られている:
・2,4,6-トリス[p-(2'-エチルヘキシル-1'-オキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、つまりBASF社から「ユビヌル(Uvinul)T150」の商品名で販売されている「エチルヘキシルトリアゾン」(INCI名);
・2-[(p-(tertブチルアミド)アニリノ]-4,6-ビス-[(p-(2'-エチルヘキシル-1'-オキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、又はシグマ(SIGMA)3V社から「ユバソーブ(UVASORB)HEB」の商品名で販売されている「ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン」(INCI名)。それらは、強力なUV-B吸収力を有し、よって、全紫外線範囲にわたって広範囲の効果的な保護を達成する製品を得るために、上で引用した4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタンと組合せてそれらを使用することができることは非常に有利である。
【0006】
しかしながら、本出願人は、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタンが存在すると、これら1,3,5-トリアジン誘導体のある種のものが、光、すなわち紫外線に対して敏感であり、大きな化学的分解を被るという不具合があることを示した。このような条件下、二つの遮蔽剤を組合せると、皮膚や毛髪に日光に対する保護を長時間にわたり付与することは、もはや不可能となる。
【0007】
本出願人は、驚くべきことに、UV-B領域に活性であり、一方でジベンゾイルメタン誘導体の光化学的安定性(又は光安定性)を実質的に改善可能な、二つのアミノベンゾアート又はアミノベンズアミド基で置換されたケイ素含有s-トリアジン化合物の特定のファミリーを発見した。他方、このような特定のs-トリアジン化合物は、ジベンゾイルメタン誘導体の存在下でさえ、光安定している。
これらの発見が本発明の基礎を形成する。
【0008】
よって、本発明の一態様に従い、我々は、定義が以下に与えられる式(1)の少なくとも一のs-トリアジン化合物をジベンゾイルメタン誘導体と組合せることからなる、紫外線に対する少なくとも一のジベンゾイルメタン誘導体の安定性を改善するための方法をここで提案する。
さらなる態様では、本発明は、少なくとも
(a)ジベンゾイルメタン誘導体タイプの少なくとも一の紫外線遮蔽剤と;
(b)定義が以下に与えられる式(1)の少なくとも一のs-トリアジン化合物;
を含有することを特徴とする、生理学的に許容可能な担体中に少なくとも一の紫外線遮蔽系を含有してなる組成物にも関する。
最後に、本発明は、紫外線に対するジベンゾイルメタン誘導体の安定性を改善するために、生理学的に許容可能な担体中に少なくとも一のジベンゾイルメタン誘導体を含有せしめてなる組成物において、定義が以下に与えられる式(1)のs-トリアジン化合物を使用することにも関する。
本発明の他の特徴、態様及び利点は、以下の詳細な記載により明らかになるであろう。
【0009】
本明細書において、「紫外線を遮蔽する系」なる用語は、単一の紫外線遮蔽有機又は無機化合物、又は複数の紫外線遮蔽有機又は無機化合物の混合物、例えばUV-A遮蔽剤とUV-B遮蔽剤を含む混合物のいずれかで構成される紫外線を遮蔽する薬剤を意味するものである。
「ケイ素含有」なる用語は、少なくとも一のジオルガノシロキサン基又はシラン基をその構造中に含む化合物を意味する。
【0010】
挙げることのできるジベンゾイルメタン誘導体の非限定的例には:
・2-メチルジベンゾイルメタン;
・4-メチルジベンゾイルメタン;
・4-イソプロピルジベンゾイルメタン;
・4-tert-ブチルジベンゾイルメタン;
・2,4-ジメチルジベンゾイルメタン;
・2,5-ジメチルジベンゾイルメタン;
・4,4'-ジイソプロピルジベンゾイルメタン;
・4,4'-ジメトキシジベンゾイルメタン;
・4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン;
・2-メチル-5-イソプロピル-4'-メトキシジベンゾイルメタン;
・2-メチル-5-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン;
・2,4-ジメチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン;
・2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン;
が含まれる。
【0011】
上述のジベンゾイルメタン誘導体の中でも、次の式:

を有し、メルク社(MERCK)から「ユーソレックス(EUSOLEX)8020」の商品名で販売されている4-イソプロピル-ジベンゾイルメタンが特に使用される。
より特定的には、4-(tert-ブチル)-4'メトキシジベンゾイルメタン又はロシュ・ビタミン社から「パルソール1789」の商品名で販売されているブチルメトキシジベンゾイルメタンが特に使用され;この遮蔽剤は次の式:

を有する。
ジベンゾイルメタン誘導体又は誘導体類は、組成物の全重量に対して、好ましくは0.01重量%〜20重量%、より好ましくは0.1重量%〜10重量%、さらに好ましくは0.1重量%〜6重量%の間で変化する量で、本発明の組成物中に存在しうる。
【0012】
本発明の化合物は、次の一般式(1):

[上式中:
・Rは同一でも異なっていてもよく、直鎖状又は分枝状のC-C30アルキル基で、ハロゲン化又は不飽和であってもよいもの、C-C12アリール基、C-C10アルコキシ基、又はトリメチルシリルオキシ基を表し;
・a=0〜3であり;
・D基は次の式(2):

を有するs-トリアジン化合物を示し;
ここで:
・Xは、-O-又はRが水素又はC-Cアルキル基を表す-NR-を表し;
・Rは、不飽和であってもよくケイ素原子を含有可能な直鎖状又は分枝状C-C20アルキル基、1から3の直鎖状又は分枝状C-Cアルキル基で置換されていてもよいC-C20シクロアルキル基、-(CHCHR-O)基、又は-CH-CH(OH)-CH-O-R基を表し;
・Rは水素又はメチルを表し;(C=O)XR基はアミノ基に対してオルト、メタ又はパラ位にあり得;
・Rは、水素又はC-Cアルキル基を表し;
・Rは、水素又はC-Cアルキル基を表し;
・mは、2〜20の整数であり;
・n=0〜2であり;
・Rは同一でも異なっていてもよく、ヒドロキシル基、直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基を表し;同じ芳香環に隣接する二つのRは共同して、アルキリデン基が1又は2の炭素原子を有するジオキシアルキリデン基を形成してもよく;
・Aは、メチレン、-[CH(Si(CH)]-、エチレン、又は次の式(3)、(4)又は(5):

の一つを有する基から選択される2価の基であり;
ここで:
・Zは、ヒドロキシル基又は酸素で置換されていてもよく、場合によってはアミノ基を含有可能な、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC-C10アルキレンジラジカルであり;
・Wは、水素原子、ヒドロキシル基、又は直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC-Cアルキル基を表す]
を有し又はその互変異性体の一つである。
【0013】
式(1)を有する誘導体は、それらの互変異性形態、より特定的には次の式(1'):

[上式中、D'基は次の式(2'):

を有するs-トリアジン化合物を示す]
を有する互変異性形態で使用されてもよいことを記しておく。
【0014】
式-A-(Si)(R)(O)(3−a)/2を有する単位に加えて、オルガノシロキサンは式(R)-(Si)(O)(4−b)/2を有する単位を含んでいてもよく、ここで:
Rは式(1)における場合と同じ意味を有し;
b=1、2又は3である。
【0015】
上で定義した式(2)及び(2')において、アルキル基は直鎖状又は分枝状、飽和又は不飽和であってよく、特にメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-アミル、イソアミル、ネオペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、及びtert-オクチル基から選択される。特に好ましくは、アルキル基はメチル基である。
好ましいs-トリアジン誘導体は、式(2)又は(2')において、次の特徴:
R及びRはメチルである;
a=2である;
XはOである;
はC-C基である;
及びRは水素である;
はH又はOHである;
(C=O)XR基はアミノ基に対してパラ位にある;
Aはプロピル基である;
の少なくとも一、より好ましくはその全てを有するものである。
【0016】
好ましくは、本発明のs-トリアジン化合物は、次の式(1a)、(1b)又は(1c):

[上式中:
・(D)は上述した式(2)を有し;
・Rは同一でも異なっていてもよく、直鎖状又は分枝状のC-C20アルキル基、フェニル、3,3,3-トリフルオロプロピル及びトリメチルシリルオキシから選択され、R基の数の少なくとも80%がメチルであり;
・Rは同一でも異なっていてもよく、直鎖状又は分枝状のC-C20アルキル及びアルケニル又はフェニル基から選択され;
・(B)は同一でも異なっていてもよく、R基及び(D)基から選択され;
・rは0〜200の範囲の整数であり;
・sは0〜50の整数であり、s=0の場合、二つの符号(B)の少なくとも一は(D)を表し;
・uは1〜10の整数であり;
・tは0〜10の整数であり、t+uは3以上であると理解される]
により表され、またその互変異性体である。
式(1a)を有する直鎖状ジオルガノシロキサン類が特に好ましい。
【0017】
本発明の範疇に入る式(1a)又は(1b)を有する直鎖状又は環状のジオルガノシロキサン類は、次の特徴:
・Rはアルキルであり;より好ましくはメチルである;
・Bは好ましくはメチル(式(1a)の直鎖状化合物の場合)である;
の少なくとも一、より好ましくはその全てを有するランダムオリゴマー又はポリマーである。
【0018】
挙げられる式(1)の化合物の特に好ましい例は、次の式(a)から(i):







[上式中、r=8.1である]


を有する化合物及びその互変異性体である。
【0019】
より詳細には、構造(b)を有する次の化合物:2,4-ビス(n-ブチル-4'-ジイルアミノベンゾアート)-6-{[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル-3-イルアミノ}-s-トリアジンが使用される:

【0020】
式(1)のある化合物及びそれらの互変異性体は既知であり、欧州特許出願公開第0841341号に記載されているが、他の化合物は新規であり、本発明のさらなる態様を構成する。
【0021】
式(1)の新規化合物の第1のファミリーは、式(2)において、X基が、Rが上述したものと同じ意味を有するNRを表すものと、その互変異性体により構成される。挙げることのできる前記構造を持つ化合物の例は、次の式(d):

を有する2,4-ビス[(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-4'-ジイルアミノベンズアミド]-6-{[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル-3-イルアミノ}-s-トリアジンである。
【0022】
式(1)の新規化合物の第2のファミリーは、式(2)において、X基がOを表し、(C=O)XR基の少なくとも一がアミノ基に対してオルト位にあり、好ましくは二つの(C=O)XR基がアミノ基に対してオルト位にあるものと、その互変異性体により構成される。
【0023】
式(1)の新規化合物の第3のファミリーは、次の式(1c):
(1c) (D)-Si(R)
[上式中、Rは上に示した意味を有する]
を有するものと、その互変異性体により構成される。
【0024】
挙げることのできる式(1)を有する新規化合物には:
・次の構造(e):

を有する2,4-ビス(メチルトリメチルシリル-4'-ジイルアミノベンゾアート)-6-{[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル-3-イル-アミノ}-s-トリアジン、
・次の構造(f):

を有する2,4-ビス(2-エチルヘキシル-2'-ヒドロキシ-4'-ジイルアミノベンゾアート)-6-{[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル-3-イル-アミノ}-s-トリアジン、
・次の式(g):

[上式中、r=8.1]
を有するランダム誘導体、
が含まれる。
【0025】
式(1)の化合物は、次の反応スキーム:

[上式中、R、R、R、A、n及びaは上で定義された通りであり、Yはハロゲン、特に塩素又は臭素を表す]
に従い得ることができる。
【0026】
試薬は任意の順序で導入することができる;2当量の式(6)の誘導体、続いて1当量の式(7)の誘導体(経路I)、又は1当量の式(7)の誘導体、続いて2当量の式(6)の誘導体(経路II)。
【0027】
上述した反応は、場合によっては、溶媒(例えば:第1工程にはTHF、アセトン/水;第2工程にはトルエン、キシレン又は1,2-ジクロロエタン)の存在下、0℃〜200℃の範囲、特に第1工程では0℃〜20℃、第2工程では50℃〜120℃の温度で、生成される酸(例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム水、トリエチルアミン又はピリジン)を捕捉する塩基の存在下又は不在下で実施されうる。また、上記反応は、溶媒(例えば、トルエン、キシレン又は1,2-ジクロロエタン)の存在下又は不在下、もしくは10%のグラファイトの存在下又は不在下、50℃〜150℃の温度、10〜30分、50〜150ワットの出力の電子レンジにて実施することもできる。
【0028】
aが1〜3に等しく、Rがアルコキシである場合、単量体アルコキシシラン誘導体の重合は、一般的なシリコーン化学の方法を使用して実施することができる。
【0029】
式(6)の安息香酸のアミノ誘導体の調製は、特に仏国特許出願公開第2151503号に記載されている。挙げることのできる本発明の化合物を調製するために特に適切な安息香酸のアミノ誘導体は、4-アミノ安息香酸ブチル及び4-アミノ安息香酸ペンチルである。
【0030】
式(7)のアミン化シリコーン類は、ダウ・コーニング・東レ・シリコーン社(Dow Corning Toray Silicone Co Ltd)から得ることができ、例えばα,ω-ジアミノ構造のもの、例えばBY16-853(粘度:30;NH当量:650)、又はBY16-853B(粘度:80;NH当量:2200)、又はペンダント基構造のもの、例えばBY16-828(粘度:120;NH当量:3500)、又はBY16-850(粘度:1100;NH当量:4000)である。
ゲレスト社(Gelest)から販売されているアミノメチルトリメチルシランは、ビス(トリメチルシリル)メチルアミン(RN134340-00-4)である。
【0031】
本発明の式(1)のトリアジン誘導体は、組成物の全重量に対して好ましくは0.01重量%〜20重量%、より好ましくは0.1重量%〜10重量%、さらに好ましくは0.1重量%〜6重量%の量で、本発明の組成物に存在している。
【0032】
本発明において、式(1)のトリアジン誘導体又は誘導体類は、与えられた組成物中におけるジベンゾイルメタン誘導体の光安定性を実質的にかつ有意に改善するのに十分な量で使用されるであろう。使用される光安定剤のこの最小量は、組成物中に存在するジベンゾイルメタンの出発量及び組成物において使用される化粧品的に許容可能な担体の性質に依存して変わりうる。それは、一般的な光安定性測定試験を使用し、困難なく決定することができる。
【0033】
本発明の組成物は、一般に皮膚への局所適用に適しており、よって、一般的に生理学的に許容可能な媒体、すなわち皮膚及び/又は外皮(毛髪、睫毛、睫毛、爪)と適合性のある媒体を含有する。好ましくは、それは、感じのよい色調、臭い及び感触を有し、使用者がその組成物の使用を躊躇するおそれのある許容できない不快感(ヒリヒリ感、張り感、赤み)を生じさせることのない化粧品的に許容可能な媒体である。
【0034】
本発明の組成物は、親水性又は親油性あるいは常套的な使用下では化粧品用溶媒に不溶性でさえある、UV-A及び/又はUV-B領域に活性のある他の補足的な有機又は無機光保護剤を含有するであろう。
補足的な有機光保護剤は、特にアントラニラート類;ケイ皮酸誘導体;サリチル酸誘導体;ショウノウ誘導体;ベンゾフェノン誘導体;β,β-ジフェニルアクリラート誘導体;ベンゾトリアゾール誘導体;ベンザルマロナート誘導体;ベンゾイミダゾール誘導体;イミダゾリン類;欧州特許出願公開第0669323号及び米国特許第2463264号に記載されているもののようなビス-ベンゾアゾリル誘導体;p-アミノ安息香酸(PABA)誘導体;メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体、例えば米国特許第5237071号、米国特許第5166355号、英国特許第2303549号、独国特許出願公開第19726184号及び欧州特許出願公開第0893119号に記載されているもの;ポリマー性遮蔽剤及びシリコーン性遮蔽剤、例えば国際公開第93/04665号に記載されているもの;二量体のα-アルキルスチレン誘導体、例えば独国特許出願第19855649号に記載されているもの;4,4-ジアリールブタジエン類、例えば欧州特許出願公開第00967200号、独国特許第19746654号、独国特許第19755649号、欧州特許出願公開第1008586号、欧州特許出願公開第1133980号及び欧州特許出願公開第133981号の出願に記載されているもの、及びそれらの混合物から選択される。
【0035】
挙げることのできる捕捉的な有機光保護剤の例は、INCI名で以下に示すものである:
パラ-アミノ安息香酸誘導体
PABA;
エチルPABA;
エチル-ジヒドロキシプロピルPABA;
特にISP社から「エスカロール(ESCALOL)507」の商品名で販売されているエチルヘキシル-ジメチルPABA;
グリセリルPABA;
BASF社から「ユビヌル(UVINUL)P25」の名称で販売されているPEG-25PABA。
【0036】
サリチル酸誘導体
ロナ(Rona)/EMインダストリーズから「ユーソレックスHMS」の商品名で販売されているホモサラート(homosalate);
ハーマン・アンド・レイマー社(HAARMANN and REIMER)から「ネオ・ヘリオパン(NEO HELIOPAN)OS」の商品名で販売されているサリチル酸エチルヘキシル;
スケル社(SCHER)から「ディプサル(DIPSAL)」の商品名で販売されているサリチル酸ジプロピレングリコール;
ハーマン・アンド・レイマー社から「ネオ・ヘリオパンTS」の商品名で販売されているTEAサリチラート。
【0037】
ケイ皮酸誘導体
特にホフマン・ラ・ロシュ社から「パルソールMCX」の商品名で販売されているメトキシケイ皮酸エチルヘキシル;
メトキシケイ皮酸イソプロピル;
ハーマン・アンド・レイマー社から「ネオ・ヘリオパンE1000」の商品名で販売されているメトキシケイ皮酸イソアミル;
シノキサート;
DEAメトキシシンナマート;
メチルケイ皮酸ジイソプロピル;
エチルヘキサノアートジメトキシケイ皮酸グリセリル。
【0038】
β,β'-ジフェニルアクリラート誘導体
特にBASF社から「ユビヌルN539」の商品名で販売されているオクトクリレン(Octocrylene);
特にBASF社から「ユビヌルN35」の商品名で販売されているエトクリレン(Etocrylene)。
【0039】
ベンゾフェノン誘導体
BASF社から「ユビヌル400」の商品名で販売されているベンゾフェノン-1;
BASF社から「ユビヌルD50」の商品名で販売されているベンゾフェノン-2;
BASF社から「ユビヌルM40」の商品名で販売されているベンゾフェノン-3又はオキシベンゾン;
BASF社から「ユビヌルMS40」の商品名で販売されているベンゾフェノン-4;
ベンゾフェノン-5;
ノーケイ社(Norquay)から「ヘリソーブ(Helisorb)11」の商品名で販売されているベンゾフェノン-6;
アメリカン・シアナミド社(American Cyanamid)から「スペクトラ-ソーブ(Spectra-Sorb)UV-24」の商品名で販売されているベンゾフェノン-8;
BASF社から「ユビヌルDS-49」の商品名で販売されているベンゾフェノン-9;
ベンゾフェノン-12;
BASF社から「ユビヌルA+」の商品名で販売されている2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸n-ヘキシル。
【0040】
ベンジリデンショウノウ誘導体
シメックス社(CHIMEX)から「メギゾリル(MEXORYL)SD」の商品名で作製されている3-ベンジリデンショウノウ;
メルク社から「ユーソレックス6300」の商品名で販売されている4-メチルベンジリデンショウノウ;
シメックス社から「メギゾリルSL」の商品名で作製されているベンジリデンショウノウスルホン酸;
シメックス社から「メギゾリルSO」の商品名で作製されているメト硫酸ショウノウベンザルコニウム;
シメックス社から「メギゾリルSX」の商品名で作製されているテレフタリリデンジショウノウスルホン酸;
シメックス社から「メギゾリルSW」の商品名で作製されているポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ。
【0041】
フェニルベンゾイミダゾール誘導体
メルク社から「ユーソレックス232」の商品名で販売されているフェニルベンゾイミダゾールスルホン酸;
ハーマン・アンド・レイマー社から「ネオ・ヘリオパンAP」の商品名で販売されているフェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム。
【0042】
フェニルベンゾトリアゾール誘導体
ロ−ディア・シミー社(RHODIA CHIMIE)から「シラトリゾール(Silatrizole)」の商品名で販売されているドロメトリゾール(Drometrizole)トリシロキサン;
フェアマウント・ケミカル社(FAIRMOUNT CHEMICAL)から「ミキシム(MIXXIM)BB/100」の商品名で固形形態のものとして、もしくはチバ・スペシャルティー・ケミカルズ社(CIBA SPECIALTY CHEMICALS)から「チノソーブM」の商品名で水性分散液における微粒化形態のものとして販売されているメチレンビス-ベンゾトリアゾリル-テトラメチルブチルフェノール。
【0043】
アントラニル誘導体
ハーマン・アンド・レイマー社から「ネオ・ヘリオパンMA」の商品名で販売されているアントラニル酸メンチル。
イミダゾリン誘導体
ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオン酸エチルヘキシル。
ベンザルマロナート誘導体
4'-メトキシベンザルマロン酸ジ-ネオペンチル;
ホフマン・ラ・ロシュ社から「パルソールSLX」の商品名で販売されているポリシリコーン-15などのベンザルマロナート官能基を有するポリオルガノシロキサン。
4,4-ジアリールブタジエン誘導体:
1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン。
ベンゾオキサゾール誘導体:
シグマ3V社から「ユバソーブK2A」の商品名で販売されている2,4-ビス-[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)-イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)-イミノ-1,3,5-トリアジン、
及びそれらの混合物。
【0044】
好ましい補足的な有機光保護剤は:
メトキシケイ皮酸エチルヘキシル;
ホモサラート;
サリチル酸エチルヘキシル;
ブチルメトキシジベンゾイルメタン;
オクトクリレン;
フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸;
ベンゾフェノン-3;
ベンゾフェノン-4;
ベンゾフェノン-5;
2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸n-ヘキシル;
4-メチルベンジリデンショウノウ;
テレフタリリデンジショウノウスルホン酸;
フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム;
メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール;
ドロメトリゾールトリシロキサン;
ポリシリコーン-15;
4'-メトキシベンザルマロン酸ジ-ネオペンチル;
1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン;
及びそれらの混合物;
から選択される。
【0045】
無機光保護剤は、被覆又は非被覆の金属酸化物の顔料又はナノ顔料(平均一次粒径:一般に5nm〜100nm、好ましくは10nm〜50nm)、例えば、酸化チタンのナノ顔料(アモルファス、又はルチル及び/又はアナターゼ型の結晶)、鉄、亜鉛、ジルコニウム又はセリウム、及びそれらの混合物から選択される。また、一般的なコーティング剤には、アルミナ及び/又はステアリン酸アルミニウムが含まれる。このような、被覆又は非被覆の金属酸化物のナノ顔料は、特に、欧州特許出願公開第0518772号及び欧州特許出願公開第0518773号に記載されている。
付加的な光保護剤は、組成物の全重量に対して0.01重量%〜20重量%、好ましくは組成物の全重量に対して0.1重量%〜10重量%の割合で、本発明の組成物に一般に存在する。
【0046】
本発明の組成物は、局所適用に適切な任意の形態、特に水性ゲルの形態、水相に脂肪相(油相とも称される)を分散させて得られるエマルション(O/W)又はその逆のエマルション(W/O)、又はは多相エマルション(例えば、W/O/W又はO/W/O又はO/O/W)の形態であってよい。それらは程度の差はあれ流動的であってよく、白色又は有色のクリーム、軟膏、ミルク、ローション、セラム、ペースト、パウダー、固形スティックの外観を有するものとすることができ、またエアゾールとして包装することもでき、フォーム又はスプレーの形態にすることもできる。これらの組成物は常法により調製される。
【0047】
本発明の特定の実施では、本発明の組成物はエマルションの形態で、その場合、少なくとも一の油相を含む。エマルションの油相の割合は、組成物の全重量に対して1重量%〜80重量%、好ましくは2重量%〜50重量%、さらに好ましくは2重量%〜40重量%であってよい。エマルションの形態の組成物に使用される油相中の脂肪、特に油、及び存在しうる乳化剤及び共乳化剤は、化粧品又は皮膚科学の分野において一般的に使用されているものから選択される。乳化剤及び共乳化剤は、存在する場合、組成物の全重量に対して一般に0.1重量%〜30重量%、好ましくは0.3重量%〜20重量%、さらに好ましくは0.5重量%〜15重量%の範囲の割合で存在する。またエマルションは、乳化剤及び/又は共乳化剤に加えて又はそれらの代わりに、脂質小胞体をさらに含有していてもよい。
【0048】
エマルションは、単独で又は混合物として使用される両性、アニオン性、カチオン性又は非イオン性乳化剤から選択される少なくとも一の乳化剤を一般に含む。乳化剤は作製されるエマルション(W/O又はO/W)の連続相に応じて適切に選択される。エマルションが多相エマルションである場合、一般に一次エマルション中に乳化剤を含み、また一次エマルションが導入される外相に乳化剤を含む。
【0049】
W/Oエマルションの調製に使用可能な乳化剤としては、例えば、アルキルエステル又はソルビタンエーテル、グリセロール又は糖類;シリコーン性界面活性剤、例えばダウ・コーニング社(Dow Corning)からDC5225C及びDC3225Cの商品名で販売されているシクロメチコーンとジメチコーンコポリオールの混合物等のジメチコーンコポリオール類、並びにダウ・コーニング社から「ダウ・コーニング5200フォーミュレーション・エイド」の商品名で販売されているラウリルメチコーンコポリオール等のアルキル-ジメチコーンコポリオール、ゴールドシュミット社(Goldschmidt)からアビル(Abil)EM90(登録商標)の商品名で販売されているセチルジメチコーンコポリオール、及びゴールドシュミット社からアビルWE09(登録商標)の商品名で販売されているポリグリセリル-4-イソステアラート/セチルジメチコーンコポリオール/ラウリン酸ヘキシルの混合物を挙げることができる。それに一又は複数の共乳化剤を添加することもまたでき、該共乳化剤は、有利には、ポリオール及び分枝状鎖を持つ脂肪酸のエステル、特にグリセロール及び/又はソルビタンと分枝状鎖を持つ脂肪酸のエステル、例えばポリグリセリルイソステアラート、例えばゴールドシュミット社からイソラン(Isolan)GI34の商品名で販売されている製品、ソルビタンイソステアラート、例えばICI社からアルラセル(Arlacel)987の商品名で販売されている製品、ソルビタンイソステアラート及びグリセロール、例えばICI社からアルラセル986の名称で販売されている製品、及びそれらの混合物を含む群から選択されうる。
【0050】
O/Wエマルションの調製に適切な乳化剤の例としては、例えば非イオン性乳化剤、例えばオキシアルキレン化(より詳細にはポリオキシエチレン化)されたポリオールと脂肪酸のエステル、中でもポリエチレングリコールステアラート類、例えばPEG-100ステアラート、PEG-50ステアラート及びPEG-40ステアラート;例えば20〜100のOEを含有するオキシアルキレン化されたソルビタンと脂肪酸のエステル、例えばユニケマ社(Uniqema)からトゥイーン(Tween)20又はトゥイーン60の商品名で販売されているもの;オキシアルキレン化(オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化)脂肪アルコールのエーテル;アルコキシル化又は非アルコキシル化糖エステル、例えばスクロースステアラート、及びPEG-20メチルグルコースセスキステアラート;ソルビタンエステル、例えばユニケマ社からスパン(Span)40の名称で販売されているパルミチン酸ソルビタン;二塩基酸と脂肪アルコールのエステル、例えば酒石酸ジミリスチル;これらの乳化剤の混合物、例えばユニケマ社からアルラセル165の商品名で、またセピック社(SEPPIC)からシムルソール(SIMULSOL)165の商品名で販売されているステアリン酸グリセリルとPEG-100ステアラートの混合物(CTFA名:ステアリン酸グリセリル/PEG-100ステアラート);又はサソール社(SASOL)からコスマコール(COSMACOL)PSEの商品名で販売されている酒石酸ジミリスチル、セテアリルアルコール、パレス(Pareth)-7及びPEG-25ラウレス-25の混合物(CTFA名;酒石酸ジミリスチル/セテアリルアルコール/12−15パレス7/PPG25 ラウレス25)を挙げることができる。
【0051】
前記乳化剤に、共乳化剤、例えば8〜26の炭素原子を有する脂肪アルコール類、中でもセチルアルコール、ステアリルアルコール及びそれらの混合物(セテアリルアルコール)、例えばオクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、又はオレイルアルコール、又は脂肪酸を添加してもよい。
乳化界面活性剤を用いないか又は組成物の全重量に対して0.5%未満しか含めないエマルションを、該エマルションを安定化し得る適切な化合物、例えば両親媒性ポリマー、電解質を使用して調製することもできる。
【0052】
本発明の組成物がエマルションの形態である場合、少なくとも一の油、特に化粧品用油を含む少なくとも一の油相を含む。「油」なる用語は、周囲温度(25℃)で液体である脂肪を意味する。
本発明の組成物に使用可能な油の例は、動物由来の炭化水素含有油、例えばペルヒドロスクアレン(又はスクアラン);植物由来の炭化水素含有油、例えばカプリル/カプリン酸トリグリセリド、例えばステアリネリーズ・デュボア社(Stearineries Dubois)から販売されているもの、又はダイナミット・ノーベル社(Dynamit Nobel)からミグリオール(Miglyol)810、812及び818の商品名で販売されているもの、又は植物由来の油、例えばヒマワリ、トウモロコシ、大豆、ゴード、グレープシード、ゴマ、ヘーゼルナッツ、アプリコット、マカダミアナッツ、アララ、コリアンダー、ヒマシ、アボカド、ホホバの油、シアバター油;合成油;シリコーン油、例えば周囲温度で液状又はペースト状で、直鎖状又は環状のシリコーン鎖を有する揮発性又は非揮発性のポリメチルシロキサン類(PDMS);フッ化油、例えば部分的に炭化水素化された及び/又はシリコーン性の油、例えば特開平2-295912号公報に記載されているもの;エーテル、例えばジカプリリルエーテル(CTFA名:ジカプリリルエーテル);及びC12-C15脂肪アルコールのベンゾアート(ファインテックス社(FINETEX)のフィンソルブ(Finsolv)TN);アリールアルキルベンゾアート誘導体、例えば安息香酸2-フェニルエチル(ISP社のX-Tend226);アミド油、例えばN-ラウロイルサルコシン酸イソプロピル(味の素のエルデュー(ELDEW)SL-205)、及びそれらの混合物である。
油相は、例えば脂肪アルコール(セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール)、脂肪酸(ステアリン酸)、及びロウ(パラフィン、ポリエチレンロウ、カルナウバロウ、ミツロウ)から選択される一又は複数の脂肪をさらに含有していてもよい。
【0053】
本発明の組成物は、親水性有機溶媒、親油性有機溶媒、両親媒性溶媒、またはこれらの混合物から構成される群から選択され得る一又は複数の有機溶媒をさらに含有していてもよい。
挙げることのできる親水性有機溶媒の例は、例えば、1〜8の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状の一価アルコール、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール又はイソブタノール;6〜80のエチレンオキシドを有するポリエチレングリコール;ポリオール、例えばプロピレングリコール、イソプレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール又はソルビトール;アルキル基が1〜5の炭素原子を含むモノ-又はジ-アルキルイソソルビド、例えばジメチルイソソルビド;グリコールエーテル、例えばジエチレングリコールモノ-メチル又はモノ-エチルエーテル、及びプロピレングリコールエーテル、例えばジプロピレングリコールメチルエーテルである。
挙げることのできる両親媒性有機溶媒の例には、ポリプロピレングリコール(PPG)誘導体、例えばポリプロピレングリコールと脂肪酸のエステル、PPGと脂肪アルコール、例えばPPG-23オレイルエーテル及びPPG-36オレアートが含まれる。
挙げることのできる親油性有機溶媒の例は、脂肪エステル、例えばアジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル又は安息香酸アルキルである。
【0054】
また本発明の組成物は、柔軟剤、保湿剤、不透明化剤、安定剤、エモリエント剤、シリコーン類、消泡剤、香料、防腐剤、アニオン性、カチオン性、非イオン性、双性イオン性又は両性の界面活性剤、フィラー、ポリマー類、噴霧剤、アルカリ性化又は酸性化剤、又は化粧品及び/又は皮膚科学の分野において通常使用されている任意の他の成分から選択される一般的な化粧品用アジュバントをさらに含有することができる。
【0055】
挙げることのできる親水性増粘剤には、カルボキシビニルポリマー、例えばカルボポール(カルボマー)及びペミュレン(Pemulen)(アクリラート/アクリル酸C10-C30アルキルのコポリマー);セルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース;多糖類、特にガム類、例えばキサンタンガム;及びそれらの混合物が含まれる。
挙げることのできる親油性増粘剤には、変性クレー類、例えばヘクトライト及びその誘導体、特にベントーン(Bentone)の商品名で販売されている製品が含まれる。
【0056】
挙げることのできる防腐剤には、パラベン(Parabens)(登録商標)とも称されるパラヒドロキシ安息香酸エステル(特にメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン)、フェノキシエタノール、ホルモル遊離促進物質(formol liberator)、例えばイミダゾリジニル尿素又はジアゾリジニル尿素、クロルヘキシジンジグルコナート、安息香酸ナトリウム、カプリリルグリコール、ヨードプロピニルブチルカルバマート、ペンチレングリコール、アルキルトリメチルアンモニウムブロミド、例えばミリスチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTFA名:臭化ミリトリモニウム)、ドデシル-トリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシル-トリメチルアンモニウムブロミド、及びそれらの混合物、例えばFEFケミカルズからセトリミド(Cetrimide)(登録商標)の商品名で販売されている混合物が含まれる。防腐剤は、組成物の全重量に対して0.001重量%〜10重量%、特に0.1重量%〜5重量%、さらには0.2重量%〜3重量%の量で、本発明の組成物に存在していてよい。
【0057】
挙げることができる本発明の組成物に使用され得るフィラーの例としては、例えば、顔料;シリカパウダー;タルク;ポリアミド粒子、特にアトケム社(Atochem)よりオルガソール(ORGASOL)の商品名で販売されているもの;ポリエチレンパウダー;天然有機物質のパウダー、例えばデンプンパウダー、特に架橋した又は架橋していないトウモロコシ、小麦又は米のデンプンのパウダー、例えばナショナル・スターチ社(National Starch)からドライ-フロ(DRY-FLO)の商品名で販売されているコハク酸オクテニル無水物で架橋されたデンプンパウダー;アクリルコポリマーをベースにしたミクロスフィア、例えばダウ・コーニング社からポリトラップ(POLYTRAP)の商品名で販売されているエチレングリコールジメタクリラート/メタクリル酸ラウリルのコポリマーから形成されたもの;ポリメチルメタクリラートパウダー、例えばマツモト社(Matsumoto)からマイクロパール(MICROPEARL)M100の商品名で販売されているもの;膨張パウダー、例えば中空ミクロスフィア、特にケマノルド・プラスト社(Kemanord Plast)からエクスパンセル(EXPANCEL)の商品名で、又はマツモト社からマイクロパール(MICROPEARL)F80EDの商品名で販売されているミクロスフィア;シリコーン樹脂のマイクロビーズ、例えば東芝シリコーン社(Toshiba Silicone)からトスパール(TOSPEARL)の商品名で販売されているもの;ポリウレタンパウダー、例えばヘキサメチレンジイソシアナート/トリメチロールヘキシルラクトンコポリマーで、例えば東芝ピグメント(Toshiba Pigment)からプラスチック・パウダー(Plastic Powder)D-400の商品名で販売されているもの(CTFA名:HDI/トリメチロールヘキシルラクトンの架橋ポリマー);及びそれらの混合物を挙げることができる。これらのフィラーが存在する場合、それらは、組成物の全重量に対して0.001重量%〜20重量%、好ましくは0.1重量%〜10重量%、さらに好ましくは1重量%〜5重量%の量で存在してよい。
【0058】
明らかに、当業者であれば、本発明の組合せに固有の有利な特性が、考慮される添加物によって損なわれないか、実質的に損なわれないように留意して、上述した任意の補足的な化合物及び/又はその量を選択するであろう。
【0059】
本発明の組成物は、特に顔、首、目の輪郭、ボディのためのスキンケア製品;又は皮膚のメークアップ製品、例えば着色製品(特にファンデーション)、アイシャドウ、ほほ紅、アイライナー、コンシーラ、ボディのメークアップ製品、日光保護製品、又は皮膚のクレンジング製品を構成しうる。好ましくは、本発明の組成物は日光保護製品である。
組成物は、一般的にはすすがれないが、クレンジング製品、特に発泡製品を構成する場合は、すすがれてもよい。
【0060】
また本発明は、上述した組成物をケラチン物質に適用することを特徴とする、例えば皮膚、睫毛、眉毛、爪又は粘膜等のケラチン物質の美容処理方法を提供する。
【0061】
本発明の組成物は、加圧装置の使用により、微小粒子の形態で皮膚又は毛髪に適用されるように、本発明においてはスプレー可能な流動状ローションの形態であってよい。本発明の装置は当業者によく知られており、非エアゾールポンプ又はアトマイザー、噴霧剤を含有するエアゾール容器、及び噴霧剤として圧縮空気を使用するエアゾールポンプを含む。後者は、米国特許第4077441号及び米国特許第4850517号(本明細書の内容の一体部分を形成)に記載されている。
【0062】
本発明においてエアゾール形態に包装された組成物は、一般に一般的な噴霧剤、例えばヒドロフッ化化合物、ジクロロジフルオロメタン、ジフルオロエタン、ジメチルエーテル、イソブタン、n-ブタン、プロパン、又はトリクロロフルオロメタンを含む。それらは、組成物の全重量に対して、好ましくは15重量%〜50重量%の量で存在する。
本発明を、非限定的な例示として与えられる以下の実施例を参照して記載する。実施例において、特に示さない限りは、量は重量パーセントとして表されている。
【実施例】
【0063】
合成例
実施例1:2,4-ビス(エチル-4'-ジイルアミノベンゾアート)-6-{[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル-3-イルアミノ}-s-トリアジンの調製:

第1工程:2,4-ジクロロ-6-{[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル-3-イルアミノ}-s-トリアジンの調製:
1-アミノ-[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]-3-プロパン(41.7g、0.149mol)と120mlの水中に重炭酸ナトリウムが入った溶液(11.4g、0.135mol)を、pHが3〜6.5になるように、250mlのアセトンに塩化シアヌリル(25g、0.135mol)が入った溶液に、0℃で滴下して加えた。導入後、pHは6.5であった。ついで、10℃で1時間30分攪拌し続け、研究室の温度で放置した。形成された沈殿物を濾過し、水で洗浄し、ドレインし、乾燥させた。白色パウダー形態で55.2g(収率95%)の予期された誘導体が得られた(融点:59℃)。
第2工程:実施例1の誘導体の調製:
20mlのトルエンに、上述した生成物(2.1g、0.005mol)とパラ-アミノ安息香酸エチル(1.65g、0.01mol)の混合物が入った懸濁液を、還流下で1時間30分加熱した。それを冷却し、得られた樹脂に温ヘプタンを添加した。粉砕、濾過、乾燥後、白色パウダー形態で、2.3g(収率:67%)の実施例1の誘導体が得られた:
融点:106−108℃
UV(エタノール):λmax=311nm;E1%=1147。
【0064】
実施例2:2,4-ビス(n-ブチル-4'-ジイルアミノベンゾアート)-6-{[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル-3-イルアミノ}-s-トリアジンの調製:

実施例1の第1工程の生成物(16.74g、0.0391mol)、パラ-アミノ安息香酸ブチル(15g、0.0776mol)及び炭酸カリウム(5.36g、0.0388mol)の混合物を、窒素をバブリングさせつつ、170mlのトルエン中に懸濁状態で溶解させ、1時間20分、還流下で加熱した。その反応混合物を冷却し、150mlのジクロロメタンを添加した。無機物を濾過した。濾液を重炭酸水、ついで水で2回洗浄した。有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させた後、白色パウダーが得られた。1:15のEtOAc/ヘプタンの混合物から再結晶させた後、白色パウダーの形態で、20.1g(収率:69%)の実施例2の誘導体が得られた。
融点:110−111℃
UV(エタノール):λmax=310nm;E1%=1020。
【0065】
実施例3:2,4-ビス(n-ペンチル-4'-ジイルアミノベンゾアート)-6-{[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル-3-イルアミノ}-s-トリアジンの調製:

15mlのトルエンに、実施例1の第1工程の生成物(1g、2.3×10−3mol)、パラ-アミノ安息香酸n-ペンチル(0.97g、4.6×10−3mol)及び重炭酸ナトリウム(0.39g、4.6×10−3mol)の混合物が入ったものを、150ワットの出力のCEMディスカバー(Discover)電子レンジで115℃の温度まで20分加熱した。その反応混合物にジクロロメタンを添加し、塩化ナトリウムの飽和溶液、ついで水で2回洗浄した。有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させた後、透明な油が得られた。シリカカラム(溶離液:ヘプタン/EtOAc 85:15)での精製後、白色パウダーの形態で、実施例3の誘導体のフラクション(0.9g;収率:50%)を回収した。
UV(エタノール):λmax=312nm;E1%=1008。
【0066】
実施例4:2,4-ビス[(1,3,3,3-テトラメチルブチル)-4'-ジイルアミノベンズアミド]-6-{[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル-3-イルアミノ}-s-トリアジンの調製:

第1工程:4-ニトロ-N-(tert-オクチル)ベンズアミドの調製:
260mlのジクロロメタンに、tert-オクチルアミン(51.7g、0.4mol)及びトリエチルアミン(61.2ml、0.44mol)が入ったものを反応器に入れた。70℃まで加熱した後、塩化4-ニトロベンゾイル(77.9g、0.42mol)を、50分以上かけて少しずつ添加した。還流下で4時間加熱した。反応混合物を氷冷水に注ぎ;ジクロロメタンで抽出し、乾燥させ、溶媒を蒸発させた。得られたベージュ色の沈殿物をイソプロピルエーテルとエタノール(比10:1)の混合物から再結晶させた。真空下で乾燥させた後、オフホワイト色のパウダーの形態で、84.6g(収率:76%)の4-ニトロ-N-(tert-オクチル)ベンズアミドが得られ、そのまま次の工程で使用した。
【0067】
第2工程:4-アミノ-N-(tert-オクチル)ベンズアミドの調製:
200mlの酢酸エチルに溶解させた4-ニトロ-N-(tert-オクチル)ベンズアミド(30g、0.108mol)を、1時間15分、70−75℃の温度下、触媒として50%の水(水素圧:8−10bar)を持つ木炭に担持された4.8gのパラジウム10%の存在下、500mlの水素添加装置(hydrogenator)中で水素化させた。濾過し、溶媒を濃縮し、真空乾燥させた後、淡黄色のパウダーの形態で、20.4g(収率:76%)の4-アミノ-N-(tert-オクチル)ベンズアミドが得られ、そのまま次の工程で使用した。
第3工程:実施例4の誘導体の調製:
10mlのドライトルエンに、実施例1の第1工程の生成物(1g、2.3×10−3mol)、先の工程の生成物(1.16g、4.6×10−3mol)及び重炭酸ナトリウム(0.39g、4.6×10−3mol)の混合物が入ったものを、150ワットの出力のCEMディスカバー電子レンジにおいて115℃の温度まで20分加熱した。その反応混合物にジクロロメタンを添加し、塩化ナトリウムの飽和溶液、ついで水で2回洗浄した。有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させた後、淡黄色の油が得られた。シリカカラム(溶離液:ヘプタン/EtOAc 70:30)での精製後、白色フレークの形態で、実施例3の誘導体のフラクション(0.9g;収率:45%)を回収した。
UV(エタノール):λmax=302nm;E1%=775。
【0068】
実施例5:2,4-ビス(メチルトリメチルシリル-4'-ジイルアミノベンゾアート)-6-{[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル-3-イルアミノ}-s-トリアジンの調製:

第1工程:メチルトリメチルシリル-4-アミノベンゾアートの調製:
クロロメチルトリメチルシリル(38.5g、0.314mol)を、反応器において350mlのDMF中のパラ-アミノ安息香酸のカリウム塩(50g、0.285mol)の不均質混合物に80℃で滴下して加えた。それを還流下で3時間加熱した。冷却後、塩を濾過し、DMFを蒸発させた。残留物をジクロロメタンに溶解させ、乾燥させ、溶媒を蒸発させた。得られた油を蒸留により精製した。0.6mbarの真空下、189℃で蒸留されたフラクションを回収した。油は結晶化で除去した。白色パウダーの形態で、50.4g(収率:79%)の実施例5の誘導体が得られ、そのまま次の工程で使用した。
第2工程:実施例5の誘導体の調製:
40mlのトルエンに、実施例1の第1工程の生成物(2.1g、4.9×10−3mol)及び先の工程の誘導体(2.19g、9.8×10−3mol)の混合物が入ったものを、窒素をバブリングしながら、5時間、還流下にて加熱した。それを冷却し、溶媒を蒸発させた。残留物をジクロロメタンに溶解させ、乾燥させ、溶媒を蒸発させた。淡黄色のガムの形態で3g(収率:76%)の実施例5の誘導体が得られた:
UV(エタノール):λmax=311nm;E1%=907。
【0069】
実施例6:2,4-ビス(2-エチルヘキシル-2'-ヒドロキシ-4'-ジイルアミノベンゾアート)-6-{[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル-3-イルアミノ}-s-トリアジンの調製:

10mlのトルエンに、2-ヒドロキシ-4-アミノ安息香酸2-エチルヘキシル(1.4g、5.57×10−3mol)及び実施例1の第1工程の生成物(1.19g、2.78×10−3mol)の混合物が入ったものを、窒素をバブリングしながら、5時間、還流下にて加熱した。それを冷却し、溶媒を蒸発させた。残留物をシリカカラム(溶離液:ヘプタン/EtOAc 9:1)でクロマトグラフィーにかけた。白色ペーストの形態で、1.58g(収率:64%)の実施例6の誘導体のフラクションが得られた:
UV(エタノール):λ=300nm; E1%=480
λmax=325nm;E1%=709。
【0070】
実施例7:R=ブチル、X=O、n=0、B=A、W=H、Z=CH、R=CH、s=0、r=8.1である式(1a)のランダム誘導体の調製:

第1工程:2,4-ビス(n-ブチル-4'-ジイルアミノベンゾアート)-6-クロロ-s-トリアジンの調製:
50mlの水に入った炭酸カリウム溶液(40.68g、0.295mol)とパラ-アミノ安息香酸n-ブチル(113.94g、0.59mol)を同時に、pHが3〜6.5になるように、500mlのジオキサンと50mlの水に塩化シアヌリル(54.36g、0.295mol)が入った溶液に、5℃で滴下して加えた。それを1時間30分、5℃で保持した。一置換s-トリアジンに相当する沈殿物が媒体中に形成された。それを徐々に70℃まで加熱し、2当量の炭酸カリウム(40.68g、0.295mol)を50mlの水に添加した。ついで、70℃で5時間攪拌し続けた。その反応混合物を冷却し、濾過した。形成された沈殿物を水で洗浄し、ドレインし、乾燥させた。ジオキサン/水から再結晶させ、真空乾燥させた後、52.5g(収率:36%)の2,4-ビス(n-ブチル-4'-ジイルアミノベンゾアート)-6-クロロ-s-トリアジンが、真空乾燥後、白色パウダーの形態で、第1の再結晶化から得られた。
第2工程:実施例7の誘導体の調製:
40mlのトルエンに、先の生成物(2g、4×10−3mol)、アミノプロピル終結ポリジメチルシロキサン(ゲレスト社のDMS-A-11)(2.13g、2×10−3mol)、及びピリジン(0.32ml、4×10−3mol)の混合物が入ったものを、窒素をバブリングしながら、5時間、70℃まで加熱した。それを冷却し、ジクロロメタンを添加し、有機相を水で3回洗浄した。有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させた後、褐色の油が得られた。温エタノール中でのカーボンブラックでの処理及びセライトでの濾過後、ライトブラウン色のガムの形態で、3.3g(収率:70%)の実施例7の誘導体が得られた:
UV(エタノール):λmax=311nm;E1%=916。
【0071】
実施例8:4-{[4-(ブトキシ-カルボニル)フェニル]アミノ}-6-({3-[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピル}アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ}安息香酸ブチルの調製:

実施例7の第1工程の生成物(20g、0.04mol)及びアミノプロピルジエトキシメチルシラン(15.37g、0.08mol)の不均質混合物を、窒素をバブリングしながら徐々に70℃まで加熱した。1時間後、それを冷却し、ジクロロメタンを添加し、有機相を水で3回洗浄した。有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させた後、ヘプタンから再結晶化させ、21g(収率:80%)の実施例8の誘導体の白色固形物が得られた:
UV(エタノール):λmax=311nm;E1%=1197。
【0072】
実施例9:R=n-ブチル、X=O、n=0、W=H、a=1、b=2、R=CH、Z=CHである、D5+MMを用いて実施例(8)の誘導体を重合させることにより得られる式(1a)のランダム誘導体の調製:

実施例8の生成物(1g、1.53×10−3mol)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)(0.57g、1.53×10−3mol)、ヘキサメチルジシロキサン(MM)(0.062g、0.38×10−3mol)及び濃塩酸(0.1ml)の不均質混合物を、10mlのトルエン及び1mlの水の混合物中で、窒素をバブリングさせながら激しく攪拌した。それを70℃まで徐々に加熱し、この温度で2時間放置した。周囲温度まで冷却し、水で希釈した後、全媒体を濾過した。得られた沈殿物を水で洗浄し、乾燥させた。0.56gの実施例9の誘導体の白色パウダーが得られた:
UV(エタノール):λmax=311nm;E1%=892。
【0073】
処方例
次の水中油型エマルションを製造した:量は各組成物の全重量に対する重量パーセントとして表す。

作業方式:
その成分の全てを含む水相(B相)を、水浴にて80℃まで加熱した。その成分の全てを含む脂肪相(A相)を、水浴にて80℃まで加熱した。ローター-ステーター式攪拌機(モリツ社(Moritz)から販売されている装置)を使用し、AをB中に乳化させた。C相を導入し、穏やかに攪拌しつつ、放置し周囲温度まで戻した。トリエタノールアミンを導入し、pHを、製造の終わりに所望値に調整した。
【0074】
測定方法
各処方物について、3つの試験用サンプルと3つの参照用サンプルを調製した。スパチェラを使用し、2mg/cmの処方物をポリメチルメタクリラートプレート上に付着させた。
9.68・10−3W/cmのUV-Aフラックスと5.76・10−4W/cmのUV-Bフラックスを有するキセノンランプを備えたサンテストヘラウス(SUN TEST HERAUS)に試験用プレートを37分暴露した。
参照用プレートは、同じ期間、同じ温度(38−40℃)で暗所に保持した。
この期間の終わりに、50gのメタノールに各プレートを浸漬することにより、フィルターを抽出し、正しい抽出が行われるように、それらを15分間、超音波にかけた。得られた溶液を、HPLC及びUV分光光度法により分析した。
各試験用処方物に対して、暴露後の残留4-tertブチル-4'-メトキシ-ジベンゾイルメタンの量を、その暴露されていない光学密度(OD)に対する暴露されたサンプルにおけるその光学密度(OD)の比として得た。ブチル-メトキシ-ジベンゾイルメタンに相当する吸光度最大値を使用した:λmax=358nm
【0075】
得られた結果を次の表にまとめる:

式(1)の化合物(すなわち、2,4-ビス(n-ブチル-4'-ジイルアミノベンゾアート)-6-{[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル-3-イルアミノ}-s-トリアジン)と組合せて、4-tertブチル-4'-メトキシ-ジベンゾイルメタンを含む本発明の処方物1及び2は、4-tertブチル-4'-メトキシ-ジベンゾイルメタンを単独で含む処方物3よりも、大幅に光安定であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一のジベンゾイルメタン誘導体を紫外線に対して光安定化させるための方法において、次の一般式(1):

[上式中:
・Rは同一でも異なっていてもよく、直鎖状又は分枝状C-C30アルキル基で、ハロゲン化されていても又は不飽和であってもよいもの、C-C12アリール基、C-C10アルコキシ基、又はトリメチルシリルオキシ基を表し;
・a=0〜3であり;
・D基は次の式(2):

を有するs-トリアジン化合物を示し;
ここで:
・Xは、-O-又はRが水素又はC-Cアルキル基を表す-NR-を表し;
・Rは、不飽和であってもよくケイ素原子を含有可能な直鎖状又は分枝状C-C20アルキル基、1から3の直鎖状又は分枝状C-Cアルキル基で置換されていてもよいC-C20シクロアルキル基、-(CHCHR-O)基、又は-CH-CH(OH)-CH-O-R基を表し;
・Rは水素又はメチルを表し;(C=O)XR基はアミノ基に対してオルト、メタ又はパラ位にあり得;
・Rは、水素又はC-Cアルキル基を表し;
・Rは、水素又はC-Cアルキル基を表し;
・mは、2〜20の整数であり;
・n=0〜2であり;
・Rは同一でも異なっていてもよく、ヒドロキシル基、直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基を表し;同じ芳香環に隣接する二つのRは共同して、アルキリデン基が1又は2の炭素原子を有するジオキシアルキリデン基を形成してもよく;
・Aは、メチレン、-[CH(Si(CH)]-、エチレン、又は次の式(3)、(4)又は(5):

の一つを有する基から選択される2価の基であり;
ここで:
・Zは、ヒドロキシル基又は酸素で置換されていてもよく、場合によってはアミノ基を含有可能な、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC-C10アルキレンジラジカルであり;
・Wは、水素原子、ヒドロキシル基、又は直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC-Cアルキル基を表す]
を有する少なくとも一の化合物、又はその互変異性体の一つを、前記ジベンゾイルメタン誘導体と組合せることからなることを特徴とする方法。
【請求項2】
式(1)の互変異性体が、次の構造:

[上式中、D'基は次の式(2'):

(上式中、R、a、R、R、X、n及びAは、請求項1に記載の意味を有する)
を有するs-トリアジン化合物を示す]
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(1)を有する化合物又はそれらの互変異性体が、式(2)又は(2')において、次の特徴:
R又はRはメチルである;
a=2である;
XはOである;
はC-C基である;
及びRは水素である;
はH又はOHである;
(C=O)XR基はアミノ基に対してパラ位にある;
Aはプロピル基である;
の少なくとも一、より好ましくは全てを有するものである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
式(1)を有する化合物又はその互変異性体が、式(R)-(Si)(O)(4−b)/2の単位をさらに含み、ここで、Rは請求項1と同じ意味を有し、b=1、2又は3である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
式(1)を有する化合物又はそれらの互変異性体が、次の式(1a)、(1b)又は(1c):

[上式中:
・(D)は請求項1及び2に記載の式(2)又は(2')を有し;
・Rは同一でも異なっていてもよく、直鎖状又は分枝状のC-C20アルキル基、フェニル、3,3,3-トリフルオロプロピル及びトリメチルシリルオキシから選択され、R基の数の少なくとも80%がメチルであり;
・Rは同一でも異なっていてもよく、直鎖状又は分枝状のC-C20アルキル及びアルケニル又はフェニル基から選択され;
・(B)は同一でも異なっていてもよく、R基及び(D)基から選択され;
・rは0〜200の範囲の整数であり;
・sは0〜50の範囲の整数であり、s=0の場合、二つの符号(B)の少なくとも一は(D)を表し;
・uは1〜10の整数であり;
・tは0〜10の整数であり、t+uは3以上であると理解される]
を有する化合物から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
式(1)を有する化合物が、式(1a)を有するものから選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
式(1a)又は(1b)を有する化合物が、次の特徴:
・Rはアルキル、より好ましくはメチルである;
・Bは好ましくはメチルである;
の少なくとも一、より好ましくは全てを有するランダムオリゴマー又はポリマーである、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
式(1)を有する化合物が、次の式(a)から(i):







[上式中、r=8.1である]


を有する化合物、又はその互変異性体から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
式(1)を有する化合物が、構造(b):

を有する2,4-ビス(n-ブチル-4'-ジイルアミノベンゾアート)-6-{[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル-3-イルアミノ}-s-トリアジンである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ジベンゾイルメタン誘導体が、
・2-メチルジベンゾイルメタン;
・4-メチルジベンゾイルメタン;
・4-イソプロピルジベンゾイルメタン;
・4-tert-ブチルジベンゾイルメタン;
・2,4-ジメチルジベンゾイルメタン;
・2,5-ジメチルジベンゾイルメタン;
・4,4'-ジイソプロピルジベンゾイルメタン;
・4,4'-ジメトキシジベンゾイルメタン;
・4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン;
・2-メチル-5-イソプロピル-4'-メトキシジベンゾイルメタン;
・2-メチル-5-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン;
・2,4-ジメチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン;
・2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン;
から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ジベンゾイルメタン誘導体が、4-(tert-ブチル)4'-メトキシジベンゾイルメタン又はブチルメトキシジベンゾイルメタンである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
生理学的に許容可能な担体中に少なくとも一の遮蔽系を含有してなる組成物において、(a)請求項1から11のいずれか一項に記載の少なくとも一のジベンゾイルメタン型紫外線遮蔽剤と;
(b)請求項1から11のいずれか一項に記載の式(1)を有する少なくとも一の化合物又はその互変異性体の一つ;
を含有することを特徴とする組成物。
【請求項13】
ジベンゾイルメタン誘導体が、組成物の全重量に対して0.01重量%〜20重量%、より好ましくは0.1重量%〜10重量%、さらにより好ましくは0.1重量%〜6重量%の量で存在している、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
式(1)を有する化合物が、組成物の全重量に対して0.01重量%〜20重量%、より好ましくは0.1重量%〜10重量%、さらにより好ましくは0.1重量%〜6重量%の量で存在している、請求項12又は13に記載の組成物。
【請求項15】
スキンケア製品、皮膚のメークアップ製品、日光保護製品、又は皮膚のクレンジング製品を構成することを特徴とする、請求項12から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
日光保護製品を構成することを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
ケラチン物質の美容処理方法において、請求項12から16のいずれか一項に記載の化粧品用組成物をケラチン物質に適用することを特徴とする方法。
【請求項18】
紫外線照射に対するジベンゾイルメタン誘導体の安定性を改善するための、請求項1から17のいずれか一項に記載の少なくとも一のジベンゾイルメタン誘導体を生理学的に許容可能な担体中に含有せしめてなる組成物における、請求項1から17のいずれか一項に記載の式(1)を有する少なくとも一の化合物又はその互変異性体の一つの使用。
【請求項19】
次の式(1):

[上式中、D基は次の式(2):

(上式中、R、R、R、n、a及びAは、請求項1から6のいずれか一項に記載のものと同じ意味を有し、Xは、Rが水素又はC-Cアルキル基を表す-NR-を表す)
を有するs-トリアジン化合物を示す]
を有するケイ素含有s-トリアジン化合物又はその互変異性体の一つ。
【請求項20】
次の構造(d):

を有する2,4-ビス[(1,1,3,3-テトラメチルブチル)4'-ジイルアミノベンズアミド]-6-{[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル-3-イルアミノ}-s-トリアジン化合物。
【請求項21】
次の式(1):

[上式中、D基は次の式(2):

(上式中、R、R、R、n、a及びAは、請求項1から6のいずれか一項に記載のものと同じ意味を有し、XはOを表し、(C=O)XR基の少なくとも一がアミノ基に対してオルト位にある)
を有するs-トリアジン化合物を示す]
を有するケイ素含有s-トリアジン化合物又はその互変異性体の一つ。
【請求項22】
次の式(1c):
(1c) (D)-Si(R)
[上式中、D基は次の式(2):

(上式中、X、R、R、R、n、a及びAは、請求項1から6のいずれか一項に記載のものと同じ意味を有し、Rは同一でも異なっていてもよく、直鎖状又は分枝状のC-C20アルキル及びアルケニル又はフェニル基から選択される)
を有するs-トリアジン化合物を示す]
を有するケイ素含有s-トリアジン化合物又はその互変異性体の一つ。
【請求項23】
次の構造(e):

を有する2,4-ビス(メチルトリメチルシリル-4'-ジイルアミノベンゾアート)-6-{[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル-3-イル-アミノ}-s-トリアジン化合物。
【請求項24】
次の構造(f):

を有する2,4-ビス(2-エチルヘキシル-2'-ヒドロキシ-4'-ジイルアミノベンゾアート)-6-{[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル-3-イルアミノ}-s-トリアジン化合物。
【請求項25】
次の式(g):

[上式中、r=8.1]
を有するs-トリアジン化合物。

【公開番号】特開2013−6847(P2013−6847A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−182061(P2012−182061)
【出願日】平成24年8月21日(2012.8.21)
【分割の表示】特願2008−514030(P2008−514030)の分割
【原出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】