説明

二値コード読取素子及びハイブリッドコード構造体

【課題】バーコードなどの読み取りのための装置の小型化、コストダウンを実現する。
【解決手段】紙片状ベースと、紙片状ベースに形成され、複数の線分状の受光素子を櫛の歯状に配置した受光領域部と、各受光素子の受光強度に応じた物性変化値を検知する検知部とを有する二値コード読取素子を提供する。受光領域部上にバーコードを印刷などして配置することにより、各受光素子の物性値が、バーコードパターンに応じて変化するので、この変化を検知することにより、バーコードを読み取ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコードなどの二値コードを読み取るための素子及びそのような素子にバーコードを付加したハイブリッドコード構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
バーコードは、JAN(Japan Article Number)コードなどを表現するために広く用いられており、流通業などの効率化などに多大な貢献をしている。バーコードを読み取るためには、発光部より発せられた光をバーコードに反射させ、その反射光を光センサーなどにより電気信号に変換することが通常行なわれる(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−250852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、上記の特許文献1に記載されたバーコードを読み取る装置では、発光部で発せられた光を走査可能とするために、ミラーとモータとから構成される走査駆動部が備えられている。このため、小型化が困難である。また、近年、携帯電話などに実現されてきたように、バーコードをカメラで撮影し、撮影により得られた画像を処理することによりバーコードを読み取ることが行なわれている。しかし、この方法では、カメラという安価でない部品が必要であり、読取装置のコストダウンが困難である。
【0004】
そこで、本発明は、バーコードなどの二値コードを読み取るための素子であって、小型化、コストダウンが実現できる素子及びその素子を用いたハイブリッドコード構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために、紙片状ベースと、紙片状ベースに形成され、複数の線分状の受光素子を櫛の歯状に配置し、各受光素子の受光強度に応じた物性変化値を検知する二値コード読取素子を提供する。このような二値コード読取素子に二値コードが接した状態での読み取りが可能となり、小型化及びコストダウンができ、課題が解決される。
【0006】
また、二値コードは、各素子の受光長に応じて変化する物性値を検知するようになっていてもよい。
【0007】
また、二値コード読取素子には、検知結果を二値化する回路がさらに備わっていてもよい。
【0008】
また、受光素子の縦/横比及び配列間隔は、受光素子の配置された部分に同サイズのバーコードパターンの投射により生じる各バーパターンの遮光の有無を検知可能な程度のものであってもよい。
【0009】
また、二値化する回路の結果から二値コードを算出し、メモリ回路により保持可能となっていてもよい。
【0010】
また、受光素子は太陽電池であってもよいし、受光強度に応じて電気抵抗が変化する素子であってもよい。特に、受光素子として太陽電池が用いられる場合には、その太陽電池で生産された電力により素子の駆動がされるようになっていてもよい。
【0011】
また、送受信用のRFアンテナを有し、このRFアンテナを用いてメモリに保持された二値コードを送信するようになっていてもよい。
【0012】
また、以上のように構成される二値コード読取素子に透明材料上にバーコードを印刷するなどして配置し、ハイブリッドコード構造体としてもよい。
【0013】
また、受光素子を櫛の歯状に配置するかわりに、碁盤目状に配置することにより、二次元コードを読み取ることができるようになっていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
以上のような二値コード読取素子及びハイブリッドコード構造体によれば、バーコードなどの読み取り装置などの小型化が実現でき、また、コストダウンを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、実施形態として図を用いて説明する。なお、本発明は、これら実施形態になんら限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施することができる。
【0016】
(実施形態1)
実施形態1として、紙片状ベースと、紙片状ベースに形成され、複数の線分状の受光素子を櫛の歯状に配置し、各受光素子の受光強度に応じた物性変化値を検知する二値コード読取素子について説明する。
【0017】
(実施形態1:構成)
図1(A)は、実施形態1に係る二値コード読取素子の構造を示す機能ブロック図を例示する。二値コード読取素子は、紙片状ベース101と受光領域部102と検知部103とを有する。
【0018】
「紙片状ベース」101は、紙片状の基板である。「紙片」とは紙切れを意味するが、「紙片状」とあるので、必ずしも紙(例えば、ユポ(合成紙))でできている必要はない。例えば、ポリイミド、ポリエステル、PETなどの樹脂が材料となっていてもよい。また、セラミック、金属、炭素繊維などでできていてもよい。ある程度の耐性があり、次に説明する受光領域部のための面が確保できるものであれば何が使用されてもよい。
【0019】
「受光領域部」102は、紙片状ベース101に形成され、複数の線分状の受光素子を櫛の歯状に配置した部である。「線分状」とは、長さと幅を有するが、長さに比べて幅が小さいことを意味する。また、内部に特別な構造を持たず、一様な材料、材質などでできていることをさらに意味していてもよい。「受光素子」とは、受光強度に応じて物性が変化する材料を用いた素子である。「櫛の歯状」とは、櫛の歯のように、多数の線分状の受光素子が平行して並べられていることを意味する。
【0020】
「検知部」103は、紙片状ベースに形成され、各受光素子の受光強度に応じた物性変化値を検知する部である。「各受光素子」とは、受光領域部に櫛の歯状に配置された受光素子それぞれを意味する。「受光強度」とは、受光素子に照射される光の強さをいう。「物性変化値」とは物性の値が変化した結果の値をいい、「物性」とは、物質のマクロ的な力学的、熱的、電気的、磁気的、光学的などの性質をいう。検知部103は、各受光素子の受光強度に応じて、各受光素子の物性のの値の変化を検知する。
【0021】
受光素子としては、様々なものを用いることができる。代表的な例を挙げると、太陽電池がある。太陽電池は、受光強度に応じた電力を生産するので、生産される電力の電圧や電流を測定することにより、物性値変化を検出することができる。太陽電池としては、アモルファス(非晶質)太陽電池を用いると、コストダウンをさらに図ることができる。近年、非晶質太陽電池をフレキシブル基板上に形成する技術が知られている(例えば、http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/map/kagaku04/3/3-2-1b.htm 参照)。この技術を使用すれば、受光領域部に受光素子を直接形成することが可能である。また、受光素子を別のところで作製し、受光領域部に貼り付けるなどしてもよい。
【0022】
受光素子として太陽電池を用いる場合には、この太陽電池により生産された電力により、検知部103などが駆動されるようになっていてもよい。
【0023】
また、受光素子として、硫化カドミウムやセレン化亜鉛その他の受光強度に応じて電気抵抗が変化する材料でできた素子を用いてもよい。この場合、検知部103は、各受光素子に電流を流すなどしておき、受光素子の抵抗の変化により生じる電流の変化を検知する。また、温度により抵抗値が変化するサーミスタ素子が受光素子として用いられてもよい。
【0024】
また、受光により受光面の温度が変化することから、受光素子として、ゼーベック効果やペルチエ効果により起電力を発生する素子を用いてもよい。検知部103は、各受光素子の起電力を電圧や電流の変化などにより検知する。
【0025】
また、受光素子として、受光強度に応じて、硬度が変化する材料を用いることもできる。この場合、検知部103は、各受光素子の一端から超音波などによる振動を加え、他端での振動の伝達量を検知するようになっていてもよい。
【0026】
図1(B)は、図1(A)に例示された二値コード読取素子の断面方向104での断面を例示する。紙片状ベース101の上に、受光領域部102と検知部103が配置され、その上に、保護面105が形成されている。この保護面105は、少なくとも受光領域部102においては、光を透過することができるようになっている。
【0027】
図2は、二値コード読取素子の別の構成を例示する。この例では、図2(A)に例示されるように、検知部103が、受光領域部102の下層に配置されている。図2(B)は、断面方向201での断面を例示する。受光領域部102の下層に検知部103が配置されている。図2(B)に示されるように、検知部103は、紙片状ベース202に含まれて構成されていてもよい。符号203は、保護面である。
【0028】
このように、検知部103を受光領域部102の下層に配置することにより、二値コード読取素子の面積を小さくすることができ、さらなる小型化を実現することができる。
【0029】
図3は、二値コード読取素子の別の構成を例示する。この例では、図3(A)に例示されるように、検知部103が、受光領域部102の受光素子の線分方向の位置に配置されている。このように配置することにより、検知部103が、各受光素子の電気的な物性変化値を読み取るための配線の引き回しを簡素化することができる。
【0030】
(実施形態1:二値コードの読み取りについて)
図4は、本実施形態に係る二値コード読取素子による二値コードの読み取りを説明する。図4(A)に示されるように、細い線分401とそれに平行して並んでいる同じ長さの線分が、受光領域部102に配置された受光素子を示している。また、受光素子よりも長さが短い矩形402とそれに平行して並んでいる矩形が、バーコードのバーパターンによる遮光、すなわち、受光がされない領域を表わしている。なお、バーコードパターンの長さは、受光素子よりも短いことは本質ではなく、受光素子と同じであったり、受光素子よりも長くてもよい。
【0031】
図4(A)のように、受光領域部102に配置された受光素子の上に光の照射と遮光とによるバーコードパターンが形成され、光が照射された領域の受光素子と遮光された領域の受光素子とで物性の値に変化が生じることになる。検知部103は、このような物性の値の変化を検知する。すなわち、図4(A)のような状態の各受光素子の物性値を順に検知することにより、図4(B)に示されるように、遮光の領域にある受光素子と遮光されていない領域の受光素子とで物性値が異なることになる。この異なりを検知部103が検知することにより、バーコードパターンによるバーコードの現すコード値を読み取ることができる。
【0032】
(実施形態1:主な効果)
本実施形態により、バーコードなどの二値コードを接した状態で読み取ることが可能となり、小型化及びコストダウンができる。
【0033】
(実施形態2)
実施形態2として、各受光素子の受光長に応じて変化する物性値を検知する二値コード読取素子について説明する。
【0034】
(実施形態2:構成)
本実施形態は、実施形態1の二値コード読取素子の検知部を、各受光素子の受光長に応じて変化する物性値を検知するように構成した二値コード読取素子である。「受光長に応じて」とは、受光素子の光が照射される部分の面積に応じて、ということである。受光素子は、幅よりも長さの方が大きいので、通常、光が照射される面積は、光が照射される部分の長さに比例する。そこで、「受光長」という言葉を用いた。もちろん、受光素子の左半分に光が照射され、右半分に光が照射されない場合、光が照射されている部分の幅を受光長と定義することも可能である。
【0035】
図5は、本実施形態における検知部の検知の様子の例を示す。図5(A)において、線分501及びこれに平行して配置されている線分が受光素子であるとする。また、受光素子よりも幅が大きいものが、バーコードのバーパターンによる遮光を示す。ただし、この場合におけるバーコードは、通常のバーコードとは異なり、バーの長さにより情報を表現しているとする。バー502は他のバー503よりも短いため、その下の受光素子501に光が照射される部分の長さである受光長は大きくなる。一方、バー503の下の受光素子の受光長は小さくなる。検知部103は、受光素子の物性の値を順に検出することにより、図5(B)のように変化する物性値を検知することになる。このような物性値の変化を検知することにより、バーコードパターンが示す情報を読み取ることができる。
【0036】
(実施形態2:主な効果)
本実施形態により、バーの長さの違いにより情報を表現するバーコードを読み取ることができる。
【0037】
(実施形態3)
実施形態3として、検知された各受光素子の物性値に応じて受光素子での検知結果を二値化する回路を備えた二値コード読取素子について説明する。
【0038】
(実施形態3:構成)
図6は、実施形態3に係る二値コード読取素子の機能ブロック図を例示する。二値コード読取素子は、紙片状ベース101と、受光領域部102と、検知部103と、二値化回路601と、を有する。したがって、本実施形態に係る二値コード読取素子は、実施形態1または2に係る二値コード読取素子が、さらに二値化回路601を備えた構成となっている。
【0039】
なお、二値化回路601は、図2(A)において、検知部103が受光領域部102の下層に配置されているように、受光領域部102の下層に配置されていてもよい。
【0040】
「二値化回路」601は、検知部103により検知された各受光素子の物性値に応じて受光素子での検知結果を二値化する回路である。例えば、受光素子が太陽電池などである場合には、受光素子ごとの電圧や起電力を測定し、所定の閾値とコンパレータを用いて比較することにより二値化を行なう。
【0041】
図7は、二値化の処理を説明する図である。図7(A)のように、受光領域部102に配置された受光素子の上に光の照射と遮光とによるバーコードパターンが形成され、光が照射された領域の受光素子と遮光された領域の受光素子とで物性の値に変化が生じることになる。図7(B)は、検知部103による、光の照射と遮光とに応じた各受光素子の物性値の検知をした結果である。二値化回路601は、このような物性値の検知の結果を二値化し、例えば、図7(C)に示したような1と0の列を生成する。例えば、受光素子の物性値が閾値を越えていれば1という値を生成し、そうでなければ、0という値を生成する。
【0042】
なお、受光素子が太陽電池であれば、受光素子で生産された電力により、二値化回路601が駆動するようになっていてもよい。
【0043】
(実施形態3:主な効果)
本実施形態により、二値コード読取素子の内部で各受光素子の物性値が二値化されるので、バーコードなどの読み取りのための素子を小型化することができる。
【0044】
(実施形態4)
実施形態4として、受光素子の縦/横比及び配列間隔は、バーコードのバーパターンの遮光の有無を検知可能な程度のものである二値コード読取素子について説明する。
【0045】
(実施形態4:構成)
本実施形態に係る二値コード読取素子は、実施形態3に係る二値コード読取素子と同じである。ただし、本実施形態では、線分状の受光素子の縦/横比及び配列間隔が、受光領域部102に対して、同サイズのバーコードパターンの投射により生じる各バーパターンの遮光の有無を検知可能な程度の縦/横比及び配列間隔であることを特徴としている。
【0046】
例えば、JANコードで用いられるバーコードにおいては、バーやスペースの幅はモジュールが単位となって定められている。モジュールの幅は、基本的には0.33mmであるが、基本のサイズから80%から200%の範囲が認められている。そこで、本実施形態では、例えば、0.33mmを基本の幅とするバーコードを読み取ることができるように、受光素子の縦/横比及び配列間隔を定める。具体的には、染谷・シャノンの標本定理により、一つのモジュールの幅の2本以上の受光素子が含まれるように、受光素子の幅と配列間隔とを設定する。また、受光素子があまりに長いと、バーコードのバーで遮光されない部分が発生するのでバーコードのバーの有無を充分に検知できなくなり、また、受光素子の長さが短いと、受光強度に応じた物性変化値の検出が困難となるので、この点を考慮して受光素子の長さを決定する。
【0047】
(実施形態4:主な効果)
本実施形態により、バーコードの読取が可能となり、バーコードの読取素子の小型化、コストダウンなどが実現できる。
【0048】
(実施形態5)
実施形態4として、二値コードを算出して保持することが可能な二値コード読取素子について説明する。
【0049】
(実施形態5:構成)
図8は、実施形態5に係る二値コード読取素子の機能ブロック図を例示する。二値コード読取素子は、紙片状ベース101と、受光領域部102と、検知部103と、二値化回路601と、二値コード算出回路801と、二値コード保持メモリ回路802と、を有する。したがって、本実施形態に係る二値コード読取素子は、実施形態3または4に係る二値コード読取素子が、さらに二値コード算出回路801と、二値コード保持メモリ回路802と、を有する。
【0050】
なお、二値コード算出回路801と二値コード保持メモリ回路802は、図2(A)において、検知部103が受光領域部102の下層に配置されているように、受光領域部102の下層に配置されていてもよい。
【0051】
「二値コード算出回路」801は、二値化回路601により二値化された値から二値コードを算出する。すなわち、二値化回路601が生成する0と1との値の列から、二値コードを算出する。例えば、JANコードであれば、奇数パリティの場合、0110001という0と1の値の列に対して5という二値コードを構成する値を算出する。なお、受光素子の配置間隔とバーコードのモジュールの幅と同じでない場合もあるので、00111100000011に対して5を算出するなどの場合もある。モジュールがいくつの0と1とで構成されるかは、バーコードのレフトガードバーやライトガードバーの部分などで判断される。
【0052】
「二値コード保持メモリ回路」802は、算出された二値コードを保持する。すなわち、二値コード算出回路801により算出された二値コードを保持するメモリ回路である。メモリは、電源が供給されなくなっても値を保持するものが望ましい。例えば、強誘電体メモリ(例えば、
http://jp.fujitsu.com/group/labs/downloads/business/activities/activities-1/fujitsu-labs-semicon-004.pdf 参照。)を用いて二値コード保持メモリ回路が構成されるとよい。
【0053】
また、受光素子が太陽電池である場合には、受光素子により生産される電力で二値コード算出回路801と二値コード保持メモリ回路が駆動されるようになっていてもよい。
【0054】
(実施形態5:処理の流れ)
図9は、本実施形態に係る二値コード読取素子による動作の処理を説明するフローチャートを例示する。
【0055】
受光領域部102に光が照射されると、ステップS901において、各受光素子の物性変化値の検知が検知部103により行なわれる。続いて、ステップS902において、検知部103による検知の結果を二値化することが、二値化回路601により行なわれる。そして、ステップS903により、二値コード算出回路801により、二値コードが算出され、この二値コードが、ステップS904において、二値コード保持メモリ回路802により保持される。
【0056】
なお、二値コード保持メモリ回路802に無条件に二値コードが保持されるのではなく、保持の命令を取得した後に保持されるようになっていてもよい。すなわち、二値コード保持メモリ回路802に、二値コード算出回路801により算出された二値コードを保持するかどうかの命令を取得する部があってもよい。このような命令は、後の実施形態で説明するように、二値コード読取素子がRFアンテナを有し、このRFアンテナを介して受信される電波に搬送されて取得されるようになっていてもよい。
【0057】
(実施形態5:主な効果)
本実施形態により、受光領域部102の受光素子の物性値変化として読み取られた情報を、二値コードとしてメモリに保持することが可能である。これにより、二値コード読取素子の製造後に、バーコードなどが表わす二値コードの値を保持して記憶させることができる。すなわち、二値コード読取素子の製造工程と、二値コードを保持させる工程とを分離することができる。結果として、例えば、二値コード読取素子を大量に生産することができ、コストダウンを実現することができる。
【0058】
(実施形態6)
実施形態6として、RFアンテナと、このRFアンテナを用いて、保持された二値コードを送信する送信回路と、を有する二値コード読取素子について説明する。
【0059】
(実施形態6:構成)
図10は、実施形態6に係る二値コード読取素子の機能ブロック図を例示する。二値コード読取素子は、紙片状ベース101と、受光領域部102と、検知部103と、二値化回路601と、二値コード算出回路801と、二値コード保持メモリ回路802と、RFアンテナ1001と、送信回路1002と、を有する。したがって、本実施形態に係る二値コード読取素子は、実施形態5に係る二値コード読取素子が、さらにRFアンテナ1001と、送信回路1002と、を有する構成となっている。
【0060】
なお、送信回路1002が受光領域部102の下層に配置されていてもよい。
【0061】
「RFアンテナ」1001は、送受信用のアンテナである。「アンテナ」とあるので、送受信は電波を用いて行なわれる。なお、図10では、RFアンテナ1001は、紙片状ベースの上に配置されているが、紙片状ベースの外側に配置されていてもよい。また、受光領域部102に配置された受光素子が導体である場合には、受光素子をRFアンテナとして用いるようになっていてもよい。
【0062】
「送信回路」1002は、RFアンテナ1001を用いて二値コード保持メモリ回路802に保持された二値コードを、外部から受信したRF信号に応じて送信する。「RF信号」とは、Radio Frequency信号の略である。RF信号は、例えば、所定の情報が変調された電波信号である。所定の情報には、例えば、二値コード保持メモリ回路802に保持された二値コードを応答せよという命令がある。送信回路は、このような命令を取得すると、二値コード保持メモリ回路802に保持された二値コードを読み出し、変調を行なうことにより、その二値コードを電波に搬送してRFアンテナ1001を用いて送信し、命令に対して応答を行なう。
【0063】
二値コード保持メモリ回路802、送信回路1002が動作するための電力は、主にRFアンテナ1001により受信された電波により発生する起電力を用いることが想定される。もし、受光領域部102に配置される受光素子が太陽電池のように電力を生産する素子であれば、受光素子で生産された電力を用いるようにしてもよい。
【0064】
(実施形態6:主な効果)
本実施形態により、従来は光学的な手段で読み取られていたバーコードを、無線手段により読み取ることができる。
【0065】
(実施形態7)
実施形態7として、以上の実施形態で説明した二値コード読取素子の受光領域部に透明材料上に印刷されたバーコードを配置したハイブリッドコード構造体について説明する。
【0066】
(実施形態7:構成)
実施形態7に係るハイブリッドコード構造体は、実施形態1から6に係る二値コード読取素子の受光領域部に、透明材料上に印刷されたバーコードを配置した構造となっている。
【0067】
例えば、図1(B)において、保護面105のうち、少なくとも受光領域部102の上の部分が透明な材料となっている。そして本実施形態では、さらに保護面105にバーコードを印刷したものとなっている。あるいは、バーコードを透明材料上に印刷したシールが保護面105となっていたり、保護面105の上にそのようなシールを貼り付けたりしてもよい。
【0068】
保護面105にバーコードを印刷することにより、本実施形態に係るハイブリッド構造体を大量に製造することができる。これによりコストダウンが実現できる。また、実施形態5のように、二値コード読取素子が二値コード保持メモリを備えることにより、二値コード読取素子の製造後にバーコードの表わす二値コード値を保持させることができ、二値コード読取素子の製造工程、ハイブリッドコード構造体の製造工程、二値コード保持メモリ回路への二値コード値の保持の工程に製造工程を分けることができ、分業が可能となる。
【0069】
また、実施形態6のように、二値コード読取素子がRFアンテナと送信回路とを有することにより、ハイブリッドコード構造体を、従来の光学的手段によるバーコード読取装置で読み取り、一方で、無線手段による問合せに応じて二値コード値を応答させることも行なえる。結果として、流通業でのさらなる作業効率化を実現することができる。
【0070】
(実施形態7:主な効果)
本実施形態により、光学的手段でも無線手段でも同じ二値コード値を読み取ることができるハイブリッドコード構造体を提供することができる。
【0071】
(その他の実施形態)
以上説明した実施形態では、バーコードとしては、バーが一次元に配列され、一方向だけに情報を持たせているものを想定して説明を行なった。しかし、そのようなバーコードに限定されることはない。例えば、JIS X 0510で規格されているような、縦と横との二方向に情報を持たせることにより、表現できる情報量を増加させた二次元コードであってもよい。
【0072】
上記の実施形態では、受光領域部には、複数の線分状の受光素子が櫛の歯状に配置されていた。二次元コードを扱うようにするためには、この点を改め、受光素子を碁盤目状に配置する。
【0073】
図11は、受光素子が碁盤目状に配置された受光領域部102を例示する。図11において、受光素子1101は正方形をしているが、任意の二次元形状が可能である。例えば、三角形、矩形、六角形などの形状をしていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上開示された二値コード読取素子及びハイブリッドコード構造体は、バーコードなどの読取のための装置の小型化、コストダウンなどが実現でき、産業上有用である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】実施形態1に係る二値コード読取素子の構造等を示す機能ブロック図と断面図
【図2】実施形態1に係る二値コード読取素子の構造等を示す機能ブロック図と断面図
【図3】実施形態1に係る二値コード読取素子の構造等を機能ブロック図
【図4】二値コード読取素子による二値コードの読み取りの説明図
【図5】検知部の検知の様子の一例図
【図6】実施形態3に係る二値コード読取素子の機能ブロック図
【図7】二値化の処理の説明図
【図8】実施形態5に係る二値コード読取素子の機能ブロック図
【図9】二値コード読取素子による動作の処理を説明するフローチャート
【図10】実施形態6に係る二値コード読取素子の機能ブロック図
【図11】受光素子が碁盤目状に配置された受光領域部の一例図
【符号の説明】
【0076】
101 紙片状ベース
102 受光領域部
103 検知部
104 断面方向
105 保護面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙片状ベースと、
紙片状ベースに形成され、複数の線分状の受光素子を櫛の歯状に配置した受光領域部と、
紙片状ベースに形成され、各受光素子の受光強度に応じた物性変化値を検知する検知部と、
を有する二値コード読取素子。
【請求項2】
検知部は、各受光素子の受光長に応じて変化する物性値を検知する請求項1に記載の二値コード読取素子。
【請求項3】
検知部により検知された各受光素子の物性値に応じて受光素子での検知結果を二値化する二値化回路を有する請求項1または2に記載の二値コード読取素子。
【請求項4】
線分状の受光素子の縦/横比及び配列間隔は、受光領域部に対して、同サイズのバーコードパターンの投射により生じる各バーパターンの遮光の有無を検知可能な程度の縦/横比及び配列間隔である請求項1から3のいずれか一に記載の二値コード読取素子。
【請求項5】
二値化回路により二値化された値から二値コードを算出する二値コード算出回路と、
算出された二値コードを保持する二値コード保持メモリ回路と、
を有する請求項3または4に記載の二値コード読取素子。
【請求項6】
前記受光素子は、太陽電池である請求項1から5のいずれか一に記載の二値コード読取素子。
【請求項7】
前記受光素子は、受光強度に応じて電気抵抗が変化する素子である請求項1から5のいずれか一に記載の二値コード読取素子。
【請求項8】
二値化回路、二値コード算出回路は、受光素子である太陽電池にて生産された電力によって駆動される請求項6のうち、請求項5に従属する部分に記載の二値コード読取素子。
【請求項9】
送受信用のRFアンテナと、
このRFアンテナを用いて二値コード保持メモリ回路に保持された二値コードを外部から受信したRF信号に応じて送信するための送信回路と、
を有する請求項5から8のいずれか一に記載の二値コード読取素子。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一に記載の二値コード読取素子の受光領域部に透明材料上に印刷されたバーコードを配置したハイブリッドコード構造体。
【請求項11】
受光領域部の櫛の歯状受光素子に代えて碁盤目状受光素子とし、バーコードに代えて二次元コードとして請求項10に記載のハイブリッドコード構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−115149(P2007−115149A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−307911(P2005−307911)
【出願日】平成17年10月22日(2005.10.22)
【出願人】(500440603)株式会社テレミディック (10)
【Fターム(参考)】