説明

二元光開始剤、光硬化型組成物、三次元物品製造へのこれらの使用、および製造方法

本発明は、2種の異なるカチオン性光開始剤を含む光開始剤組成物と、前記光開始剤組成物を含む光硬化型組成物に関する。更には、本発明は光開始剤組成物と光硬化型組成物の使用に関する。更には、本発明は三次元物品を製造するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2種の異なるカチオン性光開始剤を含む光開始剤組成物と、前記光開始剤組成物を含む光硬化型組成物に関する。更には、本発明は光開始剤組成物と光硬化型組成物の使用に関する。更には、本発明は三次元物品を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光硬化型樹脂は、溶剤を必要とせず、水を含有する場合には、エネルギー集約的な水乾燥資源を必要とせず、「グリーン」な溶液と見なされるために、関心が継続している。この分野内において、高速度硬化の後、高靭性で、熱的性質の増大した硬化材料を生じる、安定な光硬化型樹脂組成物を提供することが強い関心を呼びつつある。このような所望の性質は、三次元印刷の用途において特に求められる。
【0003】
液体ベースの固体画像形成、例えばステレオリソグラフィは、光形成型液体を表面に薄層として塗布し、活性な放射に露光する方法である。引き続いて、光形成型液体の新しい薄層が前の液体層または前に固化した区分上に被覆される。次に、この新しい層は、一部を画像のとおりに固化し、新しい硬化された領域の一部と前に硬化された領域の一部の間の接着を誘起するために画像のとおりに露光される。各画像とおりの露光は、すべての層を被覆し、すべての露光を完結したときに、周囲の液体組成物から一体化した光硬化物体を取り出すことができるように、光硬化物体の関連する断面に関する形状のものである。
【0004】
モノマー、オリゴマーまたはプレポリマー中での重合の開始は多くの方法で行われ得る。一つのこのような方法は、放射、例えば紫外線によるものであり、この場合には、重合型組成物が通常「光開始剤」と呼ばれる開始剤を含有することが通常必要である。この方法で使用可能な硬化の化学の主要な2つのタイプがある。フリーラジカルとカチオン性である。カチオン型硬化は多くの利点を有するが、難点は、特に使用される光開始剤に関して、少数の用途においてしか使用されないという結果になっている。最も頻繁に使用されるカチオン性開始剤は、有機ヨードニウムもしくはスルホニウム塩のいすれかである。
【0005】
当業界で使用される光硬化型組成物は、熱的に不安定である傾向がある。当業界で使用される光硬化型組成物の粘度は、UV光が存在しなくとも光開始剤の熱分解により経時的に上昇する。この樹脂を安定化するために大きな努力が払われている。
【0006】
反応性カチオン性光開始剤は、特に25から30℃でも、更に特に高温で使用される場合には樹脂浴中の粘度不安定性の原因になる。ステレオリソグラフィ法では、この樹脂は、光開始剤の光分解に引き金を引き、少量の活性種を生じる、低レベルのUV照射に定期的にかけられる。ヘキサフルオロアンチモン塩またはヨードニウム塩を含有するカチオン性光開始剤は、反応性が高いことにより不安定性の傾向があることが特に知られている。種々のタイプの低塩基性化合物を添加することにより、この配合物を安定化する、いくつかの試みがなされてきた。
【0007】
特許文献1は、カチオン硬化型化合物とフリーラジカル硬化型化合物の混合物と、少なくとも1つの光開始剤を重合のために含む輻射線硬化型組成物を重合することを含んでなるステレオリソグラフィにより三次元物品を製造するための方法を開示し;ここでは、組成物全体の粘度の顕著な増加を遅延もしくは防止するために、ベンジル−N,N−ジメチルアミンを5から5000ppmの濃度でこの組成物と接触させる。
【0008】
特許文献2は、少なくとも1つの活性輻射線硬化型のカチオン重合型化合物、少なくとも1つのカチオン性光開始剤、およびルイス酸とルイス塩基の錯体である、少なくとも1つの安定剤を含む、活性輻射線硬化型組成物を述べている。この安定剤は、貯蔵安定性を改善するために、光硬化型組成物に添加される。
【0009】
特許文献3は、組成物中で限られた溶解性と、組成物のそれと異なる密度を有し、ならびにIA族またはIIA族金属イオンの塩と、水中で3.0以上のpKaを有する弱酸の塩である、光硬化型エポキシ組成物用の安定剤を開示している。
【0010】
このように、光硬化型液体組成物の粘度安定性を更に増加させる必要性が存在する。粘度と熱安定性の改善に現在知られている、安定剤と関連する問題は、これらが樹脂の老化を回避するために消費されるということである。安定剤が全部消費されると、樹脂粘度は劇的に増加し、便利に使用するには高くなりすぎる。更には、アミンは塩基性であり、照射時カチオン性光開始剤により生じる光酸を消費するので、ベンジルN,N−ジメチルアミンなどのアミン安定剤は、光硬化工程の速度を減少させる。活性種を消費することにより、樹脂の光硬化工程の速度は減少する。この理由によって、少量のアミン安定剤のみが添加可能であり、結果として、効率が限定される。
【0011】
スルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩を含有するカチオン性光開始剤が経時的に更に安定であると考えられる。しかしながら、スルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩は低反応性であり、光硬化工程の速度を低下させる。
【0012】
特許文献4、特許文献5、特許文献6、および特許文献7は、少なくとも1つのカチオン性光開始剤を含む、三次元物体の光加工に使用される光硬化型樹脂組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第6,099,787号
【特許文献2】WO03/104296A1
【特許文献3】米国特許5,665,792号
【特許文献4】WO00/63272A1
【特許文献5】WO03/093901A1
【特許文献6】US2006/0231982A1
【特許文献7】EP0848294A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、異なる熱安定性の少なくとも2種のカチオン性光開始剤を輻射線硬化型組成物中に含む光開始剤組成物に関する。これは、液体組成物の熱安定性と硬化樹脂の機械的性能の有利な折衷を提供する。
【0015】
本発明の目的は、先行技術に開示されている光硬化型組成物に付随する問題を克服する光開始剤組成物を提供することである。本発明による光開始剤組成物は、安定剤を必要とせずに光硬化型組成物の熱安定性を改善する。更には、液体樹脂の反応性または最終部品の性能を失わずに粘度安定化が達成される。このように、本発明の光開始剤組成物は、反応性と熱安定性の有利な折衷案を実証する光硬化型組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前述の局面(熱的不安定性と機械的性質の所望の改善)は両方ともこの開示で述べられ
ている配合物により改善され得る。この明細書で開示される光開始剤組成物は、
a)アニオンが式(I)
【0017】
【化1】

【0018】
(式中、n=1から6の整数であり、
=置換もしくは非置換のC1−6−アルキルまたは置換もしくは非置換のアリールもしくはヘテロアリールである)
により定義されるフルオロホスフェートである、スルホニウム塩からなる群から選択される少なくとも1つのカチオン性光開始剤(A);および
b)(A)とは異なる少なくとも1つのカチオン性光開始剤(B)
を含む。
【0019】
(B)に対する(A)の重量比は0.1よりも大きい。
【0020】
好ましくは、(B)に対する(A)の重量比は0.2よりも大きいか、好ましくは0.5よりも大きいか、更に好ましくは1よりも大きいか、最も好ましくは2よりも大きいか、特に5よりも大きい。
【0021】
本発明の好ましい態様によれば、(B)に対する(A)の重量比は、0.1と15の間であるか、好ましくは0.3と15の間であるか、更に好ましくは0.8と12の間であるか、最も好ましくは1と8の間であるか、特に2と10の間であるか、例えば5と10の間である。
上述の式(I)においては、nは1から6の整数、好ましくは4から6の整数であり、最も好ましくはnは6、すなわちヘキサフルオロホスフェート
【0022】
【化2】

【0023】
である。
【0024】
上述の式(I)中のRは、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピルから選択される非置換C1−6−アルキル;またはフェニルまたはナフチルから選択される非置換アリール;またはハロゲン化アリール、好ましくはフッ素化および/または塩素化アリール基、特にペンタフルオロフェニル、ペンタクロロフェニル、テトラフルオロフェニルまたはテトラクロロフェニルから選択される置換アリールである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
カチオン性光開始剤(A)
本発明によるカチオン性光開始剤組成物は、
【0026】
【化3】

【0027】
により定義されるフルオロホスフェートである、スルホニウム塩からなる群から選択される少なくとも1つのカチオン性光開始剤(A)を含む。
式中、
n=1から6の整数であり、
=置換もしくは非置換のC1−6−アルキルまたは置換もしくは非置換のアリールもしくはヘテロアリールであり、好ましくは、Rはメチル、エチル、プロピル、イソプロピルから選択される非置換C1−6−アルキル;またはフェニルまたはナフチルから選択される非置換アリール;またはハロゲン化アリール、好ましくはフッ素化および/または塩素化アリール基、特にペンタフルオロフェニル、ペンタクロロフェニル、テトラフルオロフェニルまたはテトラクロロフェニルから選択される置換アリールである。
好ましくは、Rはアリールであり、nは1から5の整数である。
【0028】
好ましくは、カチオン性光開始剤(A)は、スルホニウムヘキサフルオロホスフェートまたは異なるスルホニウムヘキサフルオロホスフェートの混合物である。
【0029】
本発明の意味内におけるスルホニウム塩は、スルホニウム塩またはオキソスルホニウム塩である。
【0030】
本発明の好ましい態様によれば、カチオン性光開始剤(A)は、式(II)
【0031】
【化4】

【0032】
により表わされる。
式中、
nは1から6の整数、好ましくは4から6の整数であり、最も好ましくはnは6、すなわち、ヘキサフルオロホスフェート
【0033】
【化5】

【0034】
であり;
は置換もしくは非置換のC1−6−アルキル;または置換もしくは非置換のアリールもしくはヘテロアリールであり、好ましくは、Rはメチル、エチル、プロピル、イソプロピルから選択される非置換C1−6−アルキル;またはフェニルまたはナフチルから選択される非置換アリール;またはハロゲン化アリール、好ましくはフッ素化および/または塩素化アリール基、特にペンタフルオロフェニル、ペンタクロロフェニル、テトラフルオロフェニルまたはテトラクロロフェニルから選択される置換アリールであり;
式(II)中の部分
【0035】
【化6】

【0036】
は、好ましくはスルホニウム置換基に対してメタもしくはパラ位で接続され;
、R、R、およびRは、相互に独立にH、−OCH、−OCHCH、メチル、エチル、i−プロピル、−CHCHOH、−CHCHSHであり、好ましくは置換基R、R、R、およびRはイオウ原子の少なくとも1つに対してパラ位にあり、更に好ましくはR、R、R、およびRはHである。好ましくは、Rはアリールであり、nは1から5の整数である。
【0037】
好ましくは、カチオン性光開始剤(A)は式(III)
【0038】
【化7】

【0039】
により表わされ得る。
式中、
、R、およびRは各々相互に独立に非置換もしくは置換のC6−18アリールもしくはヘテロアリールである。
【0040】
6−18アリールは、好ましくはフェニル、ナフチル、アンスリルまたはフェナンスリルから選択される。置換C6−18アリールの例は、置換もしくは非置換のアルキル、好ましくはC1−12−アルキル、アルコキシ、好ましくはC1−6−アルコキシ、アルキキルチオ、好ましくはC1−6−アルコキシ、ハロゲンまたはアルキルチオ、およびこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の基により置換されている、フェニル、ナフチル、アンスリルまたはフェナンスリルである。更に好ましくは、この基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、種々のペンチルもしくはヘキシル異性体、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、スルファニルメチル、スルファニルエチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素またはフェニルチオ、およびこれらの混合物からなる群から選択される群より選択される。
【0041】
好ましいカチオン性光開始剤(A)は、式(IV)
【0042】
【化8】

【0043】
のスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩である。
式中、
、R、R、およびRは、相互に独立にH、−OCH、−OCHCH、メチル、エチル、i−プロピル、−CHCHOH、−CHCHSHであり、好ましくは置換基R、R、R、およびRはイオウ原子の少なくとも1つに対してパラ位にあり、更に好ましくはR、R、R、およびRはHである。
【0044】
更には、カチオン性光開始剤(A)は、1分子中に少なくとも2個のスルホニウム基と、式(I)で定義した各々のフルオロホスフェートアニオンを有するスルホニウム塩を含む基からも選択可能である。
2個のスルホニウム基を含む光開始剤(A)の例は式(V)
【0045】
【化9】

【0046】
で表わされる。
式中、
nは1から6の整数、好ましくは4から6の整数であり、最も好ましくはnは6、すなわち、ヘキサフルオロホスフェート
【0047】
【化10】

【0048】
であり;Rは置換もしくは非置換のC1−6−アルキル;または置換もしくは非置換のアリールもしくはヘテロアリールであり、好ましくは、Rはメチル、エチル、プロピル、イソプロピルから選択される非置換C1−6−アルキル;またはフェニルまたはナフチルから選択される非置換アリール;またはハロゲン化アリール、好ましくはフッ素化および/または塩素化アリール基、特にペンタフルオロフェニル、ペンタクロロフェニル、テ
トラフルオロフェニルまたはテトラクロロフェニルから選択される置換アリールであり;式(V)中の部分
【0049】
【化11】

【0050】
は、好ましくはイオウが一方のスルホニウム置換基に対してパラ位にあり、もしくは他方のスルホニウム置換基に対してメタ位にあるように、スルホニウム部分に接続し;
、R、R、R、R、およびRは、相互に独立にH、−OCH、−OCHCH、メチル、エチル、i−プロピル、−CHCHOH、−CHCHSHであり、好ましくは置換基R、R、R、R、R、およびRはイオウ原子の少なくとも1つに対してパラ位にあり、更に好ましくはR、R、R、R、R、およびRはHである。
好ましくは、Rはアリールであり、nは1から5の整数である。
【0051】
2種のスルホニウム基を表わし、特に興味のある光開始剤(A)の例は、式(VI)
【0052】
【化12】

【0053】
により表わされる。
式中、
、R、R、R、R、およびRは、相互に独立にH、−OCH、−OCHCH、メチル、エチル、i−プロピル、−CHCHOH、−CHCHSHであり、好ましくは置換基R、R、R、R、R、およびRはイオウ原子の少なくとも1つに対してパラ位にあり、更に好ましくはR、R、R、R、R、およびRはHである。
【0054】
更に好ましいのは、
【0055】
【化13】

【0056】
を含む混合物により表わされるカチオン性光開始剤(A)である。
式中、
、R、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、相互に独立にH、−OCH、−OCHCH、メチル、エチル、i−プロピル、−CHCHOH、−CHCHSHであり、好ましくは置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R、およびRはイオウ原子の少なくとも1つに対してパラ位にあり、更に好ましくはR、R、R、R、R、R、R、R、R、およびRはHである。
【0057】
特に、式(IV)および(VI)による上述のスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩の混合物を含み、(IV):(VI)の重量比が5:1から1:5、好ましくは5:2から2:5、更に好ましくは5:4から4:5、特に約1:1の間である、カチオン性光開始剤(A)によって、改善された結果が得られた。
【0058】
市販のトリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩(モノおよびビス塩の混合物)は、Cyracure UVI6992(Dow Chemicals)、CPI6992(Aceto Corp)、Esacure1064(Lamberti)、Omnicat432(IGM);トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩(ビス塩のみ):SP−55(Asahi−Denka);変成スルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩;Esacure1187(Lamberti);ビス−[4−ジ(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)スルホニオ]−フェニル]スルフィドビス−ヘキサフルオロホスフェート:SP−150(Asahi−Denka)である。
【0059】
カチオン性光開始剤(B)
第2の必須のカチオン性光開始剤(B)は光開始剤(A)とは異なる。すなわち、光開始剤(B)は式(I)で定義したフルオロホスフェートアニオンを含むスルホニウム塩で
ない。
【0060】
カチオン性光開始剤(B)の例は、式(VII)により示される構造を有するオニウム塩である。このオニウム塩は露光時にルイス酸を遊離する。
本発明の好ましい態様によれば、カチオン性光開始剤(B)は、式(VII)
[RE][MXn+1 (VII)
の構造を有する少なくとも1つのオニウム塩から選択される。
式中、
EはS、P、O、IまたはN≡Nを表わし;
、R、R、およびRは、置換もしくは非置換のC6−18アリールから選択される同一のもしくは異なる有機基を個別に表わし;
a、b、c、およびdは、0から3の整数を個別に表わし、ただし、a+b+c+dは、E=Sならば3、E=Pならば4、E=Oならば3、E=Iならば2、ならびにE=N≡Nならば1であり;
MはB、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Alからなる群から選択される金属またはメタロイドを表わし;
XはF、Cl、Br、置換もしくは非置換のアリールもしくはヘテロアリール基またはこれらの混合物を表わし;ならびに
nはMの原子価数であり、
ただし、オニウム塩は、アニオンは式(I)
【0061】
【化14】

【0062】
(式中、n=1から6であり、
=置換もしくは非置換のC1−6−アルキルまたは置換もしくは非置換のアリールもしくはヘテロアリール)
により定義されるフルオロホスフェートである、スルホニウム塩でないものとする。
【0063】
好ましくは、上述の式(VII)においては、R、R、R、およびRは、置換もしくは非置換のアルキル、好ましくはC1−12−アルキル、アルコキシ、好ましくはC1−6−アルコキシ、アルキキルチオ、好ましくはC1−6−アルコキシ、ハロゲンまたはアルキルチオ、およびこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の基により置換されている、フェニル、ナフチル、アンスリルまたはフェナンスリルから選択される同一のもしくは異なる有機基を個別に表わす。更に好ましくは、この基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、種々のペンチルもしくはヘキシル異性体、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、スルファニルメチル、スルファニルエチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素またはフェニルチオ、およびこれらの混合物からなる群から選択される群より選択される。
【0064】
特に、上述の式(VII)のR、R、R、およびRは、フェニル、トリル、クミル、メトキシフェニル、ヒドロキシエチルフェニル、スルファニルエチルフェニル、ヒドロキシアルキルオキシフェニル、ジフェニルチオエーテルまたはC1−12−アルキルフェニル、およびこれらの混合物から選択される、同一のもしくは異なる有機基を個別に表わす。
【0065】
XはF、Cl、Br、置換もしくは非置換のアリールもしくはヘテロアリール基または
これらの混合物を表わす。
【0066】
Xの例は、ハロゲン化アリール基、好ましくはフッ素化および/または塩素化アリール基、特にペンタフルオロフェニル、ペンタクロロフェニル、テトラフルオロフェニルまたはテトラクロロフェニルである。
【0067】
好ましくは、カチオン性光開始剤(B)は、ヨードニウム塩および/またはヘキサフルオロアンチモネート塩からなる群から選択され得る。
【0068】
カチオン性光開始剤(B)は式(VIII)
【0069】
【化15】

【0070】
により表わされ得る。
式中、R、R、およびRは各々相互に独立に非置換もしくは置換のC6−18アリールもしくはヘテロアリールである。
【0071】
6−18アリールは、好ましくはフェニル、ナフチル、アンスリルまたはフェナンスリルから選択される。置換C6−18アリールの例は、置換もしくは非置換のアルキル、好ましくはC1−12−アルキル、アルコキシ、好ましくはC1−6−アルコキシ、アルキキルチオ、好ましくはC1−6−アルコキシ、ハロゲンまたはアルキルチオ、およびこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の基により置換されている、フェニル、ナフチル、アンスリルまたはフェナンスリルである。更に好ましくは、この基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、種々のペンチルもしくはヘキシル異性体、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、スルファニルメチル、スルファニルエチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素またはフェニルチオ、およびこれらの混合物からなる群から選択される群より選択される。
【0072】
カチオン性光開始剤(B)は、好ましくは式(IX)
【0073】
【化16】

【0074】
のスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩により表わされる。式中、R、R、RおよびRは式(IV)におけるのと同一の意味を有する。
【0075】
更には、カチオン性光開始剤(B)は、少なくとも2個のスルホニウム基を1分子中に有するスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩とヘキサフルオロアンチモネートアニオンを含む群からも選択可能である。2個のスルホニウム基を有し、特に興味のある光開始剤(B)の例は、式(X)
【0076】
【化17】

【0077】
により表わされる。式中、R、R、R、R、R、およびRは式(VI)におけるのと同一の意味を有する。
【0078】
カチオン性光開始剤(B)は、好ましくは
【0079】
【化18】

【0080】
を含む混合物により表わされる。式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、式(IV)および(VI)におけるのと同一の意味を有する。
【0081】
特に、式(IX)および(X)による上述のスルホニウムヘキサフルオロホスフェート
塩の混合物を含み、(IX):(X)の重量比が5:1から1:5、好ましくは5:2から2:5、更に好ましくは5:4から4:5、特に約1:1の間である、カチオン性光開始剤(B)によって、改善された結果が得られた。
【0082】
更には、カチオン性光開始剤(B)はヨードニウム塩から選択可能である。
【0083】
好ましくは、カチオン性光開始剤(B)は、(トリルクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(4−メチルフェニル)(4−(2−メチルプロピル)フェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(4−ヘキシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;ビス(4−ヘキシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;(4−ヘキシルフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;(4−ヘキシルフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ビス(4−オクチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;(4−sec−ブチルフェニル)−(4’−メチルフェニル)−ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;(4−iso−プロピルフェニル)−(4’−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;[4−(2−ヒドロキシテトラデシルオキシ)フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;[4−(2−ヒドロキシドデシルオキシ)フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;ビス(4−オクチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;(4−オクチルフェニル)−フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;(4−オクチルフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ビス(4−デシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;ビス(4−デシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;(4−デシルフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;(4−デシルフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;(2−ヒドロキシドデシルオキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;(2−ヒドロキシドデシルオキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ビス(4−ヘキシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート;(4−ヘキシルフェニル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート;ビス(4−オクチルフェニル)テトラフルオロボレート;(4−オクチルフェニル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート;ビス(4−デシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート;ビス(4−(混合C−C−アルキル)フェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;(4−デシルフェニル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート;(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート;(2−ヒドロキシドデシルオキシフェニル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート;ビフェニレンヨードニウムテトラフルオロボレート;ビフェニレンヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;およびビフェニレンヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートからなる群から選択される少なくとも1つのヨードニウム塩を含む。
【0084】
好ましい態様においては、カチオン性光開始剤(B)は、ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、好ましくは(トリルクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロ−フェニル)ボレートである。
【0085】
市販され、特に興味のあるカチオン性光開始剤(B)の例は、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩(モノおよびビス塩の混合物):Cyracure UVI6976(Dow Chemicals)、CPI6976(Aceto Corp)、Ki78(Adeka);ビス−[4−ジ(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)スルホニオ]−フェニル]スルフィドビス−ヘキサフルオロアンチモネート:SP−170(Asahi−Denka);ヨードニウム塩:ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート:UV1242(Deuteron);ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;UV2257(Deuteron);Omnicat440(IGM);(4−メチルフェニル)(4−(2−メチルプロピル)フェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;Irgacure250(Ciba SC);(トリルクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;rhodorsil2074(Rhodia);チオザンテン塩:10−ビフェニル−4−イル−2−イソプロピル−9−オキソ−9H−チオザンテン−10iumヘキサフルオロホスフェート;Omnicat550(IGM);10−ビフェニル−4−イル−2−イソプロピル−9−オキソ−9H−チオザンテン−10iumヘキサフルオロホスフェートとポリオールとの付加物;Omnicat650(IGM);メタロセン塩;クメニルシクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート;Irgacure261(Ciba SC);ナフタレニルシクロシクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、ベンジルシクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、シクロペンタジエニルカルバゾール鉄(II)ヘキサフルオロホスフェートである。
【0086】
本発明の好ましい態様によれば、カチオン性光開始剤組成物は、式(III)
【0087】
【化19】

【0088】
により表わされるカチオン性光開始剤(A)と式(VIII)
【0089】
【化20】

【0090】
により表わされるカチオン性光開始剤(B)を含む。式中、式(III)または式(VIII)とは独立に、R、R、およびRは、各々相互に独立に非置換もしくは置換のC6−18アリールもしくはヘテロアリールである。特に、R、R、およびRは、上記に定義した式(III)および(VIII)におけるのと同一の意味を有する。
【0091】
本発明による光開始剤組成物は、カチオン重合型組成物、またはカチオンおよびフリーラジカル重合種の両方を含有するハイブリッド組成物のいずれかにおいて使用される。
【0092】
他の随意の化合物
光開始剤組成物は、少なくとも1種のフリーラジカル光開始剤および/または光増感剤
を更に含み得る。
【0093】
フリーラジカル光開始剤は、ラジカル光重合の開始に普通に使用されるものから選択され得る。フリーラジカル光開始剤の例は、ベンゾイン類、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテルなどのベンゾインエーテル、およびベンゾインアセテート;アセトフェノン、例えばアセトフェノン、2,2−ジメトキシアセトフェノン、および1,1−ジクロロアセトフェノン;ベンジルケタール、例えばベンジルジメチルケタールとベンジルジエチルケタール;アントラキノン、例えば2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、および2−アミルアントラキノン;トリフェニルホスフィン;ベンゾイルホスフィンオキシド、例えば2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキシド(Luzirin TPO);ビスアシルホスフィンオキシド;ベンゾフェノン、例えばベンゾフェノンと4,4’−ビス(N、N’−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン;チオキサントンとキサントン;アクリジン誘導体;フェナジン誘導体;キノキサリン誘導体;1−フェニル−1,2−プロパンジオン2−O−ベンゾイルオキシム;4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−プロピル)ケトン(Irgacure(登録商標)2959);1−アミノフェニルケトンまたは1−ヒドロキシフェニルケトン、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシイソプロピルフェニルケトン、フェニル−1−ヒドロキシイソプロピルケトン、および4−イソプロピルフェニル1−ヒドロキシイソプロピルケトンを含む。Genopol BP−I(Rahn)などのポリマー型フリーラジカル光開始剤も使用され得る。
【0094】
好ましくは、フリーラジカル光開始剤はシクロヘキシルフェニルケトンである。更に好ましくは、シクロヘキシルフェニルケトンは1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、例えばIrgacure(登録商標)184である。フリーラジカル光開始剤は1種のフリーラジカル光開始剤または2種以上のフリーラジカル光開始剤を含み得る。
【0095】
少なくとも1つのフリーラジカル光開始剤は、光開始剤組成物の全量を基準として0.1から90重量%の量、好ましくは5から80重量%の、更に好ましくは15から70重量%の、特に20から60重量%の、更に特に25から50重量%の量で光開始剤組成物中に存在し得る。
【0096】
増感剤
増感剤は、通常、開始が起こるのに必須でない。しかしながら、増感剤は、ある条件下で開始剤の性能を大きく増強する。増感剤は、系の吸収特性をシフトさせるためにも添加され得る。これらは、通常、長波長に向かうものであり、レッドシフトと呼ばれる。
増感剤の例は、アントラセン、ペリレン、フェノチアジン、キサントン、チオキサントン、ベンゾフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート(esacure EDB)である。
【0097】
更なる光増感剤は、チオキサントン誘導体:例えば2,4−ジエチルチオキサントン(DETX)、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン(CPTX)、およびイソプロピルチオキサントン(ITX)(Lambson Ltd SPEEDCURE range)、およびアントラセン誘導体:例えば、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン(EDMA)、9−ヒドロキシ−メチル−アントラセン(HMA)(Sigma−Aldrich)、および9,10−ジブトキシアントラセン(Kawasaki Kasei Chemicals LTS Anthracure range)を含む。
【0098】
他の増感剤は、立体障害アミン、特にLambson Chemicals Ltdか
ら入手可能なBEDB、DMB、EDB、およびEHAなどのアミノベンゾエート増感剤と、esacureEDBおよびEHA(Sartomer)である。
【0099】
好ましくは、この光増感剤は、光開始剤組成物の全量を基準として、0.1から90重量%の量、好ましくは5から80重量%の、更に好ましくは15から70重量%の、特に35から60重量%の量で光開始剤組成物中に存在する。
【0100】
加えて、本発明による光開始剤組成物は1種以上の電子供与体成分を含み得る。この電子供与体成分は、好ましくは組成物の全量を基準として、0.1から90重量%の量、更なる好ましくは5から80重量%の、更に好ましくは15から70重量%の、特に35から60重量%の量で光開始剤組成物中に存在する。
【0101】
当業者ならば、光DSCを使用して、選ばれた光開始剤組成物または選択された光硬化型組成物に対して最良の安定性をもたらす好適な電子供与体成分を決めることができる。
【0102】
光硬化型組成物
本発明の更なる態様は光硬化型組成物である。
この光硬化型組成物は、少なくとも本発明による光開始剤組成物を含む。
【0103】
好ましくは、この光硬化型組成物は、この明細書中に述べられている光開始剤組成物を0.1から30重量%の間の、好ましくは0.5と20重量%の間の、更に好ましくは1と10重量%の間の量で含み、重量%は光硬化型組成物の全重量を基準とする。
【0104】
この光硬化型組成物は、好ましくはカチオン硬化型成分を含む。
【0105】
カチオン硬化型成分
好ましくは、このカチオン硬化型成分は、好ましくはエポキシ化合物、オキセタン、テトラヒドロピラン、ラクトン、およびこれらの混合物を含む群から選択される、開環機構により反応するカチオン重合型成分からなる群から選択される。
【0106】
このカチオン硬化型化合物は、環状エーテル化合物、アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルトエステル化合物またビニルエーテル化合物でもあり得る。
【0107】
好ましくは、このカチオン硬化型成分は、2から90重量%の量で、更に好ましくは10から85重量%の、更に好ましくは20から80重量%の量で存在し、重量%は光硬化型組成物の全重量を基準とする。
【0108】
本発明での使用に好適な市販のエポキシ含有化合物の好ましい例は、Uvacure(登録商標)1500(UCB Chemicals Corp.から入手可能な3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート);Epalloy(登録商標)5000(CVC Specialties Chemicals,Inc.から入手可能なエポキシ化水素化ビスフェノールA);Heloxy(登録商標)48(Resolution Performance Products LLCから入手可能なトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル);Heloxy(登録商標)107(Resolution Performance Products LLCから入手可能なシクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル);専有の脂環式エポキシドである、Uvacure(登録商標)1501および1502、専有のポリオールとブレンドされた脂環式エポキシドである、Uvacure(登録商標)1530−1534、(メタ)アクリル不飽和結合を有する専有の脂環式エポキシドである、Uvacure(登録商標)1561およびUvacure(登録商標)1562(すべてUCB Chemicals Corp.から入手可能);すべて3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートである、Cyracure(登録商標)UVR−6100、−6105、−6107、および−6110、Cyracure(登録商標)UVR−6128、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート(すべてDow Chemical Co.から入手可能);Araldite(登録商標)CY179、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキンカルボキシレートおよびAraldite(登録商標)PY284、ジグリシジルヘキサヒドロフタレートポリマー(Huntsman Advanced Materials Americas Inc.から入手可能);Celloxide(登録商標)2021、Celloxide 2021P、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3’,4’−エポキシシクロヘキサン−カルボキシレート、Celloxide 2081、3,−4−エポキシシクロヘキシルメチル3’,4’−エポキシシクロヘキサン−カルボキシレート変成カプロラクトン、Celloxide(登録商標)2083、Celloxide(登録商標)2085、Celloxide(登録商標)2000、Celloxide(登録商標)3000、Epolead(登録商標)GT−300、Epolead(登録商標)GT−302、Epolead(登録商標)GT−400、Epolead(登録商標)401、Epolead(登録商標)403(すべてDaicel Chemical Industries Co.,Ltd.から入手可能);DCA、脂環式エポキシ(Asahi Denka Co.Ltdから入手可能);およびE1、グリシジル基により官能基化された2,2−ジメチロールプロピオン酸の重縮合により得られるエポキシ超分岐ポリマー(Perstorp ABから入手可能)からなる群から選択される。このエポキシ化合物は、1,3−ビス(3−(2,3−エポキシプロポキシ)プロピル)テトラメチルジシロキサンおよび/または2,4,6,8,10−ペンタキス(3−(2,3−エポキシプロポキシ)プロピル)−2,4,6,8,10−ペンタメチルシクロペンタシロキサンなどのエポキシ化環状シランなどのシロキサンベースのエポキシであることもできる。
Erisys GE30、Erisys GE36(CVC Chemicals)などの更なるエポキシ含有化合物が使用可能である。
【0109】
更には、米国特許第5,639,413号に述べられているすべてのエポキシ化シロキサンが本発明での使用に好適である。
【0110】
好ましくは、このカチオン硬化型化合物は脂環式もしくはペル水素化の骨格を有する。特に好ましいのは、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートおよび水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテルからなる群から選択されるエポキシ含有化合物である。
【0111】
このオキセタン化合物は1つ以上のオキセタン基を含有し得る。好ましくは、この化合物は、20個未満の、特に10個未満のオキセタン基を有する。特に好ましい態様においては、このオキセタン化合物は2個のオキセタン基を有する。オキセタン化合物、特に1、2、3、4または5個を有するオキセタン化合物の混合物を使用することも有用であり得る。このオキセタン化合物は、好ましくは、約100以上の、好ましくは約200以上の分子量を有する。一般に、この化合物は、約10,000以下の、好ましくは約5,000以下の分子量を有する。
【0112】
このオキセタン基は、好ましくはフェニル、(オリゴ)−ビス−フェニル、ポリシロキサンもしくはポリエーテル骨格を有する輻射線硬化型オリゴマーである。ポリエーテルの例は、例えばポリ−THF、ポリプロピレングリコール、アルコキシル化トリメチロールプロパン、アルコキシル化ペンタエリスリトールなどである。
【0113】
好ましくは、このオキセタン化合物は、式(1)
【0114】
【化21】

【0115】
の1個以上の基を有する。
式中、
は式(2)
CH−X−R (2)
(式中、XはOまたはSであり、
およびRはこの分子の残りである)
の基である。
【0116】
1個のオキセタン環を有する化合物の例は、式(1)による化合物である。式中、Xは酸素原子またはイオウ原子を表わし、Rは、水素原子;フッ素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの1から6個の炭素原子を有するアルキル基;トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基などの1から6個の炭素原子を有するフルオロアルキル基;フェニル基、ナフチル基などの6から18個の炭素原子を有するアリール基;フリル基;またはチエニル基を表わし、ならびにRは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの1から6個の炭素原子を有するアルキル基;1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基などの2から6個の炭素原子を有するアルケニル基;フェニル基、ナフチル基、アントニル基、フェナンスリル基などの6から18個の炭素原子を有するアリール基;ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、エトキシベンジル基などの置換もしくは非置換のいずれかであり得る、7から18個の炭素原子を有するアラルキル基;フェノキシメチル基、フェノキシエチル基などを含むアリールオキシアルキル基を有する、他の芳香族基を有する基;エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基などの2から6個の炭素原子を有するアルキルカルボニル基;エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基などの2から6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル基;またはエチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基などの2から6個の炭素原子を有するN−アルキルカルバモイル基を表わす。
【0117】
2個のオキセタン環を有するオキセタン化合物は、例えば、式(3)
【0118】
【化22】

【0119】
により表わされる化合物を含む。
式中、
およびR’は上記の式(2)の基を独立に表わし、
は、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などの1から20個の炭素原子を有する線状もしくは分岐のアルキレン基;ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基などの1から120個の炭素原子を有する線状もしくは分岐のポリ(アルキレンオキシ)基;プロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基などの線状もしくは分岐の不飽和炭化水素基;カルボニル基、カルボニル基を含有するアルキレン基、分子鎖の中間にカルボキシル基を含有するアルキレン基、および分子鎖の中間にカルバモイル基を含有するアルキレン基である。また、式(3)の化合物においても、Rは式(4)から(6)
【0120】
【化23】

【0121】
のいずれか1つにより表わされる多価基であり得る。
式中、
、R、R、およびRは、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの1から4個の炭素原子を有するアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などの1から4個の炭素原子を有するアルコキシ基;塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシルオキシル基、カルボキシル基またはカルバモイル基を相互に独立に表わし、
Yは酸素原子、イオウ原子、メチレン基、および式−NH−、−SO−、−SO−、−
C(CF−または−C(CH−により表わされる基を表わし、
10からR17は独立に上記に定義したRからRと同一の意味を有し得、
18およびR20は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの1から4個の炭素原子を有するアルキル基またはフェニル基、ナフチル基などの6から18個の炭素原子を有するアリール基を独立に表わし、
yは0から200の整数を表わし、
19はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの1から4個の炭素原子を有するアルキル基、または
フェニル基、ナフチル基などの6から18個の炭素原子を有するアリール基を表わす。あるいは、R19は式(7)
【0122】
【化24】

【0123】
により表わされる基であり得る。
式中、
21、R22、およびR23は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの1から4個の炭素原子を有するアルキル基、またはフェニル基、ナフチル基などの6から18個の炭素原子を有するアリール基を独立に表わし、
zは0から100の整数である。
【0124】
1つのオキセタン環を分子中に含有する好ましい化合物の例は、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニル−メトキシ)メチルベンゼン、4−フルオロ−[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、4−メトキシ−[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)−エチル]フェニルエーテル、イソブトオキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボミルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボミル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルなどである。使用に好適なオキセタン化合物の他の例は、トリメチレンオキシド、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロロメチルオキセタン、3,3−[1,4−フェニレン−ビス(メチレンオキシメチレン)]−ビス(3−エチルオキセタン)、3−エチル−3−ヒドロキシメチル−オキセタン、およびビス−[(1−エチル(3−オキセタニル)メチル)]エーテルを含む。
【0125】
本発明で使用され得る、2個以上のオキセタン環を有する化合物の例は、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、3,3’−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン)、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変成ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変成ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変成ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変成ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変成水素化ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO−変成水素化ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変成ビスフェノールF(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルなどを含む。
【0126】
上記の化合物のなかで、オキセタン化合物は1−10個の、好ましくは1−4個の、更に好ましくは1個のオキセタン環を化合物中に有するということが好ましい。特に、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エタンおよびトリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルが好ましくは使用される。
【0127】
市販のオキセタン化合物は、Cyracure(登録商標)UVR6000(Dow Chemical Co.から入手可能)とAron Oxetane OXT−101、OXT−121、OXT−211、OXT−212、OXT−221、OXT−610、およびOX−SQ(Toagosei Co.Ltd.から入手可能)を含む。
【0128】
更なる好ましい態様においては、オキセタン化合物
【0129】
【化25】

【0130】
が本発明で使用され得る。
式中、
24は、水素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、およびブチル基などの1−6個の炭素原子を有するアルキル基、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、およびペルフルオロプロピル基などの1−6個の炭素原子を有するフルオロアルキルアルキル基、フェニル基およびナフチル基などの6−18個の炭素原子を有するアリール基、フリル基、またはチエニル基を表わし、
25は、1−4個の炭素原子を有するアルキル基または6−18個の炭素原子を有するアリール基、例えばフェニル基またはナフチル基を表わし;
nは0−200の整数であり;
26は、1−4個の炭素原子を有するアルキル基、6−18個の炭素原子を有するアリール基、例えばフェニル基またはナフチル基、または式(9)
【0131】
【化26】

【0132】
により示される基を表わす。
式中、
27は、1−4個の炭素原子を有するアルキル基、6−18個の炭素原子を有するアリール基、例えばフェニル基またはナフチル基を表わし、
mは0−100の整数である。
【0133】
前述の分子(8)の具体的な例として、
【0134】
【化27】

【0135】
が示される。
【0136】
多官能性環分子
【0137】
【化28】

【0138】
も本発明に使用され得る。
式中、
28は1−4個の炭素原子を有するアルキル基または
トリアルキルシリル基(ここで、各アルキル基は個別に1−12個の炭素原子を有するアルキル基である)、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基またはトリブチルシリル基を表わし、R24は前式(8)で定義したのと同一である。
および、pは1−10の整数である。
【0139】
3個以上のオキセタン環を分子中に有する化合物の具体的な例として、式(12)
【0140】
【化29】

【0141】
に示される化合物が例示可能である。
【0142】
スピロオルトエステルおよびスピロオルトカーボネートなどの更なるラクトンおよびラクトン誘導体が本発明で使用可能である。
【0143】
好適なラクトンの例は、γ−ブチロラクトン、β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトン、D−グルコノ−1,5−ラクトン、1,6−ジオキサスピロ−4,4−ノナン−2,7−ジオン、4−メチル−3−(1−ピロリジニル)−2[5H]−フラノン、(5R)−5−[(1S)−1,2−ジヒドロキシエチル]−3,4−ジヒドロキシフラン−2(5H)−オン、3a,4,5,7a−テトラヒドロ−3,6−ジメチルベンゾフラン−2(3H)−オン、5−メチルペンタノリド、5−プロピルペンタノリド、5−ブチルペンタノリド、5−ペンチルペンタノリド、5−ヘキシルペンタノリド、5−ヘプチルペンタノリド、5−ペンチルペンテ−2−エン−5−オリド、Z−2−ペンテニルペンタン−
5−オリド、5−ペンチルペンタ−2,4−ジエン−5−オリドである。
【0144】
更には、エポキシ樹脂を例えば1,6−ジオキサスピロ−(4,4)−ノナン−2,7−ジオンと共重合することにより作製する場合には、スピロビスラクトンも使用可能である。
【0145】
更には、上記のように、本発明のカチオン硬化型成分は、上述のカチオン硬化型化合物の混合物を含むということが可能である。
【0146】
ラジカル硬化型成分
好ましくは、この光硬化型組成物は、ラジカル硬化型成分を更に含む。
【0147】
このラジカル硬化型成分は、フリーラジカル重合の開始能力があり、ラジカル硬化型官能基を持つ他の化合物との反応に利用可能である開始剤の存在において活性化される、少なくとも1個のラジカル硬化型化合物を含む。
【0148】
フリーラジカル硬化型化合物の例は、(メタ)アクリレート基を有する化合物などの1個以上のエチレン型不飽和基を有する化合物を含む。「(メタ)アクリレート」は、アクリレート、メタクリレートまたはこれらの混合物を指し、1つの化合物中に1個のエチレン型不飽和結合を含有する単官能性モノマーと、1つの化合物中に2個以上の不飽和結合を含有する多官能性モノマーを含む。
【0149】
好ましくは、このラジカル硬化型成分は、単官能性、多官能性もしくはポリ(メタ)アクリレートモノマーからなる群から選択される(メタ)アクリレートである。
【0150】
一つの態様においては、この(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフィン、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ラウリル(メタアクリレート、ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、テトラクロロフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−トリクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタクロロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレートとメチルトリエチレンジグリコール(メタ)アクリレート、およびこれらの混合物などの単官能性モノマーである。
【0151】
市販の単官能性モノマーの例は、SR256(2(2−エトキシエトキシエチルアクリレート)、SR339(2−フェノキシエチルアクリレート)、SR531(環状トリメチロールプロパンフォルマルアクリレート)、SR495B(カプロラクトンアクリレート)、SR535(ジシクロペンタジエニルメタクリレート)、SR506D(イソボルニルアクリレート)、SR423(イソボルニルメタクリレート)、Sartomer
Co.Inc.から入手可能なSR313A、313B、および313D(C12−C14アルキル(メタアクリレート)、およびCiba(登録商標)Ageflex FM6(n−ヘキシル(Ciba Specialty Chemicalsから入手可能なメタアクリレート)を含む。
【0152】
別の態様においては、この(メタ)アクリレートは、2個以上の官能基を有する多官能性もしくはポリ(メタ)アクリレートモノマーである。ポリ(メタ)アクリレートモノマーの例は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジイルジメチレンジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変成トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変成トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変成トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン−変成ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変成ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、EO変成ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変成ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変成水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変成水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変成ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、およびこれらの混合物を含む。
【0153】
次のものは市販のポリ(メタ)アクリレートの例である:Sartomer Co Incから入手可能な、SR295(ペンタエリスリトールテトラアクリレート);SR350(トリメチロールプロパントリメタクリレート);SR351(トリメチロールプロパントリジアクリレート);SR367(テトラメチロールメタンテトラメタクリレート);SR368(トリス(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートトリジアクリレート);SR399(ジペンタエリスリトールペンタジアクリレート);SR444(ペンタエリスリトールトリジアクリレート);SR454(エトキシル化(3)トリメチロールプロパントリジアクリレート);SR833S(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)、およびSR9041(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートエステル)。一つの態様においては、ポリ(メタ)アクリレートは二官能性アクリレート化合物、例えばSR833Sを含む。
【0154】
本発明で使用され得る市販のアクリレートの更なる例は、Kayarad(登録商標)R−526(ヘキサンジオン酸、ビス[2,2−ジメチル−3−[(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]プロピル]エステル)、SR238(ヘキサメチレンジオールジジアクリレート)、SR247(ネオペンチルグリコールジジアクリレート)、SR306(トリプロピレングリコールジジアクリレート)、Kayarad(登録商標)R−551(ビスフェノールAポリエチレングリコールジエーテルジジアクリレート)、Kayarad(登録商標)R−712(2,2’−メチレンビス[p−フェニレンポリ(オキシ−エチレン)オキシ]ジエチルジジアクリレート)、Kayarad(登録商標)R−604(2−プロペン酸、[2−[1,1−ジメチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]エチル]−5−エチル−1,3−ジオキサン−5−イル]−メチルエステル)、Kayarad(登録商標)R−684(ジメチロールトリシクロデカンジジアクリレート)、Kayarad(登録商標)PET−30(ペンタエリスリトールトリジアクリレート)、GPO−303(ポリエチレングリコールジメタアクリレート)、Kayarad(登録商標)THE−330(エトキシル化トリメチロールプロパントリジアクリレート)、DPHA−2H、DPHA−2C、Kayarad(登録商標)D−310(DPHA)、Kayarad(登録商標)D−330(DPHA)、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、DN−0075、DN−2475、Kayarad(登録商標)T−1420(ジトリメチロールプロパンテトラジアクリレート)、Kayarad(登録商標)T−2020(ジトリメチロールプロパンテトラジアクリレート)、TPA−2040、TPA−320、TPA−330、Kayarad(登録商標)RP−1040(ペンタエリスリトールエトキシレートテトラジアクリレート)(Sartomer Co.Inc.から入手可能な);R−011、R−300、R−205(メタクリル酸、亜鉛塩、SR634と同一)(Nippon Kayaku Co.,Ltd.から入手可能な);Aronix M−210、M−220、M−233、M−240、M−215、M−305、M−309、M−310、M−315、M−325、M−400、M−6200、M−6400(Toagosei Chemical Industry Co.Ltd.から入手可能な);ライトアクリレートBP−4EA、BP−4PA、BP−2EA、BP−2PA、DCP−A(Kyoeisha Chemical Industry Co.,Ltd.から入手可能な);New Frontier BPE−4、TEICA、BR−42M、GX−8345(Daichi Kogyo Seiyaku Co.,Ltd.から入手可能な);ASF−400(Nippon Steel Chemical Co.から入手可能な);Ripoxy SP−1506、SP−1507、SP−1509、VR−77、SP−4010、SP−4060(Showa Highpolymer Co.,Ltd.から入手可能な);NK Ester A−BPE−4(Shin−Nakamura Chemical Industry Co.,Ltd.);SA−1002(Mitsubishi Chemical Co.,Ltd.から入手可能な);Viscoat−195、Viscoat−230、Viscoat−260、Viscoat−310、Viscoat−214HP、Viscoat−295、Viscoat−300、Viscoat−360、Viscoat−GPT、Viscoat−400、Viscoat−700、Viscoat−540、Viscoat−3000、Viscoat−3700(Osaka Organic Chemical Industry Co.,Ltd.から入手可能な)を含む。
【0155】
ラジカル硬化型成分は、少なくとも1個の(メタ)アクリレート基、好ましくは少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を含むモノマーを共重合することにより入手可能なコポリマーであるか、もしくは含むことができる。商品例は、Polyfox(登録商標)PF3320、PF3305(Omnova)と、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート(CN307、CN303(Sartomer))のようなアクリレート官能基を含むフッ素化ポリオキセタンオリゴマーである。
【0156】
フルオロ界面活性剤のPolyFox(登録商標)の族は1,000よりも大きい分子量のポリマーを含む。PolyFox(登録商標)ポリマーは、エーテル結合−ポリマー骨格結合と骨格とペルフルオロアルキルペンダント側鎖の間の結合の両方をベースとする。PolyFox(登録商標)フルオロ界面活性剤は、C以下の完全フッ素化炭素鎖長さを含むペルフルオロアルキル出発材料から合成される。現行の製品はCもしくはCFペルフルオロアルキル側鎖構造により製造される。このフッ素化ポリエーテルはアクリレート末端である。オキセタン環は開環されている。
【0157】
PolyFox(登録商標)3320化合物の基本構造は
【0158】
【化30】

【0159】
の通りである(x+yは約20に等しい)。
【0160】
このラジカル硬化型化合物は(超分岐)デンドライト型ポリマーアクリレート化合物でもあり得る。デンドライト型ポリマーアクリレート化合物は、場合によってはエーテルもしくはポリエーテル単位と組み合わせて、エステルもしくはポリエステル単位から実質的に組み立てられて、樹様の非晶質構造を生じる化合物である。密に分岐した骨格と多数の反応性末端基を有することを特徴とするこれらの化合物は、一般に、エステル交換、直接エステル化またはメタ)アクリロイルハライドとの反応を含むアクリレートエステルの製造に好適な種々の方法のいずれかによりヒドロキシ官能性超分岐ポリマーポリオールから製造される。
【0161】
使用に好適なデンドライト型ポリマーアクリレートの例は、デンドライト型ポリエステルアクリレート化合物である。このデンドライト型ポリエステルアクリレート化合物は、好ましくは少なくとも12個の、更に好ましくは少なくとも14個のアクリレート官能基を有する。市販のデンドライト型ポリエステルアクリレートの例は、CN2301とCN2302(Sartomer Co.Inc.から入手可能)を含む。シロキサンアクリレート(Wacker Chemie AG)も入手可能である。
【0162】
好ましい態様においては、このラジカル硬化型化合物は、脂環式構造またはペル水素化構造を有する、(メタ)アクリレートである。好ましくは、このラジカル硬化型化合物は、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートまたは式(13)から(23)
【0163】
【化31】

【0164】
【化32】

【0165】
【化33】

【0166】
により定義される化合物からなる群から選択される。
式中、
1Fは水素原子またはメチルであり、
は直接結合、C−Cアルキレン、−S−、−O−、−SO−、−SO−または−CO−であり、
2FはC−Cアルキル基、非置換もしくは1つ以上のC−Cアルキル基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子により置換されているフェニル基であるか、もしくは式−CH−OR3F(ここで、R3FはC−Cアルキル基またはフェニル基である)の基であり、
は式
【0167】
【化34】

【0168】
の群から選択される基である。
上記に示した化合物はSartomerから市販されている。
【0169】
このラジカル硬化型化合物はエポキシ官能化された化合物でもあり得る。このようなエポキシ官能化された化合物は、例えば、ジ−もしくはポリエポキシドとエチレン型不飽和カルボン酸の1つ以上の同等物とを反応させることにより周知の手段で入手され得る。このような化合物の例は、UVR−6105と1等量のメタクリル酸との反応生成物である。エポキシおよびフリーラジカル活性官能基を有する市販の化合物は、Daicel Chemical Industries Ltd.,Japanから入手可能なCyclomer M−100、M−101、A−200、およびA−400などの「Cyclomer」シリーズと、UCB Chemical Corp.から入手可能なEbecr
yl−3605および−3700を含む。
【0170】
本発明のラジカル硬化型成分は、上述のラジカル硬化型化合物の混合物を含むことが可能である。
【0171】
一つの態様においては、このラジカル硬化型成分は、2個の官能基と約200−500の範囲内の分子量を有する少なくとも1つのポリ(メタ)アクリレートを含む。この光硬化型組成物は、光硬化型組成物の全重量基準で5重量%以上の、好ましくは15重量%以上の、更に好ましくは25重量%以上の2個の官能基を有するポリ(メタ)アクリレートを含有し得る。別の態様においては、このラジカル硬化型成分は、光硬化型組成物の全重量基準で多くとも約60重量%の、更に好ましくは多くとも約45重量%の、更に好ましくは多くとも約40重量%の2個の官能基を有するポリ(メタ)アクリレートを含む。更に別の態様においては、2個の官能基を有するポリ(メタ)アクリレートは、光硬化型組成物の全重量基準で約5−60重量%の、更に好ましくは約10−40重量%の、更に好ましくは約15−25重量%の範囲で光硬化型組成物中に存在する。
【0172】
別の態様においては、デンドライト型ポリエステルアクリレートが光硬化型組成物の全重量基準で少なくとも1重量%の、好ましくは少なくとも約5重量%の、更に好ましくは少なくとも約10重量%の量で光硬化型組成物中に存在するように、このラジカル硬化型成分は、少なくとも1つの超分岐(デンドライト型)ポリエステルアクリレート化合物を更に含み得る。更に別の態様においては、このデンドライト型ポリエステルアクリレートは、光硬化型組成物の全重量基準で多くとも約40重量%の、好ましくは多くとも約30重量%の、更に好ましくは多くとも約20重量%の量で存在する。更に別の態様においては、このデンドライト型ポリエステルアクリレートは、光硬化型組成物の全重量基準で約0.01−35重量%の、更に好ましくは約0.5−25重量%の、更に好ましくは約1−15重量%の範囲で存在する。
【0173】
更に別の態様においては、このラジカル硬化型成分は、少なくとも1つのエポキシ官能化された化合物を更に含み得る。光硬化型組成物中に存在する場合には、このエポキシ官能化された化合物は、好ましくは光硬化型組成物の全重量基準で約0.01−30重量%の、更に好ましくは約0.5−25重量%の、更に好ましくは約1−20重量%の量で存在する。
【0174】
一般に、このラジカル硬化型成分は、5から80重量%の、好ましくは10から70重量%の量で、特に好ましくは15から60重量%の量で存在し、重量%は光硬化型組成物の全重量を基準とする。
【0175】
好ましくは、この光硬化型組成物は、ブルックフィールド粘度計LVT DVIIにより30℃で測定して、5mPa・sから10Pa・sの、更に好ましくは20mPa・sと5Pa・sの間の、最も好ましくは50mPa・sと1500mPa・sの間の範囲の粘度を有する。
【0176】
好ましい態様によれば、本発明による光硬化型組成物は、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩とトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩の混合物を含み、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩の量は光開始剤組成物の全重量基準で光開始剤組成物中で50重量%に等しいか、もしくはそれ以上である。
【0177】
ラジカル硬化型成分が存在する本発明の好ましい態様によれば、フリーラジカル光開始剤もこの組成物に添加される。
【0178】
靭性付与剤
本発明の光硬化型組成物は、光硬化型組成物の全重量基準で0−40重量%の、好ましくは約0.01−40重量%の1つ以上の靭性付与剤も含み得る。
【0179】
この靭性付与剤は反応性および/または非反応性のコアシェルタイプであり得る。例えば、一つの態様においては、光硬化型組成物に添加され得る靭性付与剤は、架橋エラストマーコアと、反応性基を含有するシェルを有する反応性粒子を含む。この反応性粒子は当業者には既知の方法により製造され得る。この参考文献は、繊維補強プラスチック、構造接着剤、積層プラスチック、およびアニーリングラッカーの製造で有用な反応性粒子を開示する。
【0180】
反応性粒子のコアは、ポリシロキサン、ポリブタジエン、ポリブタジエン−コ−スチレン、アミン末端ポリブタジエン、メタクリレート化ポリブタジエン、アルキルアクリレート、ポリオルガノシロキサン、ゴム、ポリ(エチレングリコール)変成ウレタンアクリレート、ポリウレタンアクリレートポリカーボネート、PTFEまたは他のエラストマー材料から構成され得る。一つの態様においては、架橋コアはポリシロキサンから構成される。別の態様においては、このポリシロキサンコアは、ジアルキルシロキサン繰り返し単位を含み、アルキルがC1−6アルキルである、架橋ポリオルガノシロキサンゴムである。更に別の態様においては、このポリシロキサンコアはジメチルシロキサン繰り返し単位を含む。
【0181】
反応性基を含有するシェルは、ポリ(スチレン−コ−アクリロニトリル)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(カルボキシ官能基化PMMA−コ−スチレン)、ポリスチレン−コ−ブチルアクリレート、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート−コ−マレイン酸無水物)、ポリ(アルキルメタクリレート)、ポリ(スチレン−コ−アクリロニトリル)、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート−コ−スチレン)、ポリ(スチレン−コ−アクリロニトリル)、変成ビニルエステル、エポキシ、PMMA、ポリグリシジルメタクリレート−コ−アクリロニトリル、ポリ(シクロヘキサンジメタノールテレフタレート)、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂、ポリ(メチルメタクリレート−コ−グリシジルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−コ−アクリロニトリル−コ−ジビニルベンゼン)から構成され得る。
【0182】
シェルの反応性基は、エポキシ基、オキセタン基、エチレン型不飽和基、および/またはヒドロキシ基であり得る。一つの態様においては、反応性基は、オキシラン、グリシジルエーテル、脂環式エポキシ、ビニルエステル、ビニルエーテル、アクリレート基、およびこれらの混合物であり得る。
【0183】
この反応性粒子は、好ましくは約0.01−50μmの、更に好ましくは約0.1−5μmの、なお更に好ましくは約0.1から約3μmの平均粒子直径を有する。市販されている反応性粒子の例は、Albidur(登録商標)EP2240、ビスフェノールAエポキシ樹脂中のシリコーン−エポキシ粒子;Albidur(登録商標)VE3320、ビスフェノールAビニルエステル中のシリコーン−ビニルエステル粒子;およびAlbidur(登録商標)EP5340、脂環式エポキシ樹脂中のシリコーン−エポキシ粒子(すべてHanse Chemieから入手可能)を含む。
【0184】
一つの態様においては、この反応性粒子は、例えばエポキシもしくはエチレン型の不飽和基を含有する、反応性粒子と反応性液体媒体の混合物として光硬化型組成物に添加される。例えば、この反応性オルガノシロキサン粒子は、Albidur(登録商標)EP2240に対してはビスフェノールAグリシジルエーテル中に、Albidur(登録商標
)VE3320に対してはビスフェノールAビニルエステル中に、ならびにAlbidur(登録商標)EP5340に対しては脂環式エポキシド中に分散される。
【0185】
光硬化型組成物に添加される反応性粒子の量は、カチオン硬化型成分とラジカル硬化型成分に依って変わり得る。存在する場合には、この光硬化型組成物は、光硬化型組成物の全重量基準で少なくとも約0.5重量%、更に好ましくは少なくとも約1重量%、なお更に好ましくは少なくとも約1.5重量%を含有し得る。別の態様においては、存在する反応性粒子は、光硬化型組成物の全重量基準で多くとも約40重量%、更に好ましくは多くとも約15重量%、なお更に好ましくは多くとも約10重量%である。更に別の態様においては、この反応性粒子は、光硬化型組成物の全重量基準で約0.01−40重量%の、好ましくは約0.5−15重量%の、更に好ましくは約1−5重量%の範囲で存在する。
【0186】
反応性粒子に加えて、もしくはその代わりに光硬化型組成物に添加され得る他の靭性付与剤は、1個以上のヒドロキシル含有化合物を含む。このヒドロキシル含有化合物は、少なくとも1個の、更に好ましくは少なくとも2個の官能基を有し、硬化反応を禁止するいかなる基も含まない。このヒドロキシル含有化合物は脂肪族もしくは芳香族のヒドロキシル含有化合物であり得る。例は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ヒドロキシルおよびヒドロキシル/エポキシ官能基化されたポリブタジエン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリカプロラクトンジオールおよびトリオール、エチレン/ブチレンポリオール、ポリウレタンポリオール、およびモノヒドロキシル官能性モノマーを含む。
【0187】
一つの態様においては、このヒドロキシル含有化合物はポリテトラメチレンエーテルグリコール(「ポリTHF」)である。このポリTHFは、好ましくは約250から約2500の分子量を有し、ヒドロキシ、エポキシもしくはエチレン型の不飽和基により停止され得る。市販のポリTHFは、Polymeg(登録商標)ポリTHF、例えば、公称分子量1000の線状ジオールである、Polymeg(登録商標)1000(Penn Specialty Chemicals)を含む。別の態様においては、このヒドロキシル官能性化合物は、カプロラクトンベースのオリゴエステルまたはポリエステル、例えば、Tone(登録商標)301などのカプロラクトンとのトリメチロールプロパン−トリエステル(Dow Chemical Co.)である。別の態様においては、このヒドロキシ官能性化合物はポリエステル、例えば、k−flex188(Kings Industries)またはSimulsol TOMB(SEPPIC)である。
【0188】
存在する場合には、光硬化型組成物に添加され得るヒドロキシル含有化合物の全量は、一般に、光硬化型組成物の全重量を基準として約0.01−40重量%、好ましくは約0.5−20重量%であり得る。
【0189】
別のタイプの靭性付与剤は、光硬化型組成物のカチオンおよびラジカル硬化型成分と適合性である、オリゴマーまたはポリマーのクラスである。適合性とは、このタイプの靭性付与剤が硬化型モノマーに可溶性であり、室温(20℃)での使用前に貯蔵時に巨視的相分離を時期尚早に生じないということを意味する。
【0190】
好ましいのは、カチオン硬化型成分に溶解し、自己配列構造を形成し、X線または中性子散乱またはSEM(走査型電子顕微鏡)またはTEM(透過型電子顕微鏡)により調べると硬化時に顕微鏡的相分離を呈する適合性のあるブロックコポリマーである。好ましくは、この構造はミセルドメインを有する。
【0191】
このタイプの自己配列ブロックコポリマーは、メチルメタクリレートから構成される、少なくとも1つのブロックを有する1つ以上のブロックコポリマーを含む。好ましいのは
、相互に共有結合された線状鎖の3つのブロックから構成され、顕微鏡的相分離を呈する、ブロックコポリマーである。前記族は、S−B−MとM−B−M−トリブロックコポリマーを含み得る。S−B−Mトリブロックは、特に、ポリスチレン(PS)、1,4−ポリブタジエン(PB)とポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)から構成され、好ましくはシンジオタクチックであり、それに対して、M−B−M−トリブロックは、ポリ(ブチルジアクリレート)またはジエンの中心ブロックとポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)の2つの両側のブロックから構成される対称ブロックコポリマーである。
【0192】
S−B−Mトリブロックに関しては、Mは、好ましくはメチルメタクリレートモノマーから構成されるか、もしくは少なくとも50重量%のメチルメタクリレート、好ましくは少なくとも75重量%のメチルメタクリレートを含む。Mブロックを構成する他のモノマーは、アクリルもしくは非アクリルモノマーであることができ、反応性であり得るか、あり得ない。用語「反応性モノマー」は、化合物の官能基と、もしくはアクリレート含有化合物の化学基と、もしくは硬化剤の化学基と反応する能力のある化学基を意味すると理解される。反応性官能基の非限定的な例は、オキシラン官能基、オキセタン官能基、(メタ)アクリレート官能基、ヒドロキシル官能基、アミン官能基またはカルボキシル官能基である。この反応性モノマーは(メタ)アクリル酸またはこれらの酸を生じるいかなる他の加水分解型モノマーであることもできる。Mブロックを構成することができる他のモノマーの内で、非限定的な例はグリシジルメタクリレートまたはtert−ブチルメタクリレートである。Mは、有利には少なくとも60%までシンジオタクチックPMMAから構成される。S−B−MトリブロックのMブロックは同一であるか、もしくは異なることができる。
【0193】
BのTgは、有利には0℃未満であり、好ましくは−40℃未満である。
【0194】
Nanostrength(登録商標)E20、Nanostrength(登録商標)E21、およびNanostrength(登録商標)E40、Nanostrength(登録商標)A123、Nanostrength(登録商標)A250、およびNanostrength(登録商標)A012の製品がArkema社(France)から入手可能なS−B−Mタイプのトリブロックコポリマーを代表する。
【0195】
M−B−Mトリブロックに関しては、Mは、好ましくはメチルメタクリレートモノマーから構成されるか、もしくは少なくとも50重量%のメチルメタクリレート、好ましくは少なくとも75重量%のメチルメタクリレートを含む。Mブロックを構成する他のモノマーは、アクリルもしくは非アクリルモノマーであることができ、反応性であるか、反応性であり得ない。用語「反応性モノマー」は、カチオン性化合物の官能基と、もしくはアクリレート含有化合物の化学基と、もしくは硬化剤の化学基と反応する能力のある化学基を意味するように理解される。反応性官能基の非限定的な例は、オキシラン官能基、オキセタン官能基、(メタ)アクリレート官能基、ヒドロキシル官能基、アミン官能基またはカルボキシル官能基である。この反応性モノマーは、(メタ)アクリル酸またはこれらの酸を生じるいかなる他の加水分解型モノマーであることもできる。Mブロックを構成することができる他のモノマーの内で、非限定的な例はグリシジルメタクリレートまたはtert−ブチルメタクリレートである。Mは、有利には少なくとも60%までシンジオタクチックPMMAから構成される。M−B−Mトリブロックの2つのMブロックは、同一であるかもしくは異なることができる。これらは、分子量において異なることもできるが、同一のモノマーから構成される。
【0196】
BのTgは、有利には0℃未満であり、好ましくは−40℃未満である。
【0197】
上述のブロック−コポリマーは、好ましくは光硬化型組成物中に光硬化型組成物の全重
量基準で、0.5から20重量%の量で、更に好ましくは1から15重量%の量で、特に1.5から10重量%の量で存在する。
【0198】
本発明の好ましい態様によれば、この光硬化型組成物は、メチルメタクリレートから構成される少なくとも1つのブロックを有する1つ以上のブロックコポリマーを含む靭性付与剤を含有する。
【0199】
他の随意の成分
本発明の光硬化型組成物は、他の成分、例えば安定剤、変成剤、発泡防止剤、レベリング剤、増粘剤、難燃剤、酸化防止剤、顔料、染料、充填剤、3から700ナノメーターの中間の平均粒子サイズを有するナノ充填剤、およびこれらの組み合わせ物も含み得る。
【0200】
使用時の粘度増加を防止するために光硬化型組成物に添加され得る安定剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン(「BHT」)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、ヒンダードアミン、例えばベンジルジメチルアミン(「BDMA」)、およびホウ素錯体を含む。安定剤の他の例は、アンモニア、置換アンモニアまたはIA/IIA族の金属の塩である。使用される場合には、この安定剤は、全重量基準で光硬化型組成物の約0.001%から約5重量%、好ましくは0.001%から2重量%を占める。
【0201】
無機もしくは有機の、粉末化された、フレーク状もしくは繊維状材料を含む充填剤も添加され得る。無機充填剤の例は、雲母、ガラスまたはシリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、ガラスもしくはシリカ泡、ケイ酸ジルコニウム、鉄酸化物、ガラス繊維、アスベスト、珪藻土、ドロマイト、粉末化金属、酸化チタン、パルプ粉末、カオリン、変成カオリン、水和カオリン金属性充填剤、セラミック、および複合材料を含む。有機充填剤の例は、ポリマー化合物、熱可塑性樹脂、コア−シェル、アラミド、ケブラー、ナイロン、架橋ポリスチレン、架橋ポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレンまたはポリプロピレン、架橋ポリエチレン粉末、架橋フェノール系樹脂粉末、架橋尿素樹脂粉末、架橋メラミン樹脂粉末、架橋ポリエステル樹脂粉末、および架橋エポキシ樹脂粉末を含む。無機および有機充填剤の両方は場合によっては種々の化合物−カップリング剤により表面処理可能である。例は、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ベータ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ガンマ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、およびメチルトリエトキシシランを含む。無機および有機充填剤の混合物も使用され得る。
【0202】
好ましい充填剤の更なる例は、ミクロ結晶性シリカ、結晶性シリカ、非晶質シリカ、アルカリアルミノシリケート、長石、ウオラストナイト、アルミナ、アルミニウム水酸化物、ガラス粉末、アルミナ三水和物、表面処理アルミナ三水和物、およびアルミナシリケートである。好ましい充填剤の各々は市販されている。最も好ましい充填剤材料は、雲母、イムシル、ノバサイト、非晶質シリカ、長石、およびアルミナ三水和物などの無機充填剤である。これらの充填剤は、好ましくはUV光に透明であり、入射光を屈折もしくは反射する傾向が小さく、良好な寸法安定性と耐熱性をもたらす。剥離粘土(ナノ粘土)、ナノ雲母、ホウ酸アルミニウムホイスカー、ナノ硫酸バリウム(Nanofine、Solvayから入手可能)、UV硬化型モノマー(NanoresinsからのNanopox and Nanocryl rangeの材料)中に分散したシリカナノ粒子、UV硬化型モノマー(Byk ChemieからのNanobyk)中に分散したアルミナナノ粒子などのナノ充填剤も使用され得る。
【0203】
本発明によるステレオリソグラフィ用の樹脂組成物に使用される充填剤およびナノ充填剤は、カチオンもしくはラジカル重合を妨げないこと、充填SL組成物がステレオリソグラフィ法に好適な比較的低い粘度を有しなければならないという要求も満たさなければな
らない。この充填剤およびナノ充填剤は、所望の性能によって単独でもしくは2つ以上の充填剤の混合物として使用され得る。本発明で使用される充填剤およびナノ充填剤は、中性、酸性もしくは塩基性であり得、若干塩基性が好ましい。充填剤粒子サイズは、用途と所望の樹脂特性によって変わり得る。粒子サイズは50ナノメーターと50マイロメーターの間で変わり得る。ナノ充填剤の粒子サイズは3と500ナノメーターの間で変わり得る。これらのナノ充填剤の良好な分散を確保するために、分散剤が使用され得る。
【0204】
存在する場合には、光硬化型組成物中の充填剤の含量は、一般に、光硬化型組成物の全重量を基準として約0.5重量%から約30重量%である。
【0205】
本発明の光硬化型組成物は、例えば、個々の成分を予備混合し、次にこれらのプレミックスを混合することにより、もしくは攪拌容器などの慣用の器具を用いてすべての成分を一緒に混合することにより既知の方法で作製可能である。一つの態様においては、混合は、光の存在しない状態において、ならびに所望ならば、約30℃から約60℃の範囲の若干高い温度で行われる。
【0206】
一つの態様においては、本発明の光硬化型組成物は、約35−80重量%のカチオン硬化型成分、約15−60重量%のラジカル硬化型成分、約0.1−10重量%の本発明によるカチオン性光開始剤組成物、0−10重量%のフリーラジカル光開始剤、および0−40重量%の靭性付与剤を混合することにより作製される。ここでは、重量%は光硬化型組成物の全重量を基準とする。別の態様においては、この光硬化型組成物は、水素化ビスフェノールエポキシ含有化合物とオキセタン化合物を含む、約45−70重量%のカチオン硬化型成分、2個の官能基を有する少なくとも1つのポリ(メタ)アクリレートを含む25−40重量%以上のラジカル硬化型成分、約0.5−8重量%のカチオン性光開始剤組成物、約0.5−4重量%のフリーラジカル光開始剤、および0−40%の、好ましくは約0.01−40重量%の靭性付与剤を混合することにより製造される。ここでは、重量%は光硬化型組成物の全重量を基準とする。
【0207】
本発明の好ましい態様によれば、この光硬化型組成物は、
a)前に定義したエポキシ含有化合物、好ましくは脂環式エポキシ化合物および/または水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどの水素化芳香族骨格のエポキシ化合物;
b)前に定義した(メタ)アクリレート、好ましくは2個の(メタ)アクリレート基を分子内に有する、更に好ましくは式(13)から(23)により定義した群から選択される(メタ)アクリレート;
c)前に定義したオキセタン;
d)本発明による光開始剤組成物;および
e)場合によっては3個以上の(メタ)アクリレート基を分子内に有する(メタ)アクリレート
を含む液体組成物である。
【0208】
更なる態様によれば、この光硬化型組成物は、少なくともこの明細書中で前に定義したオキセタン、ならびに本発明による光開始剤組成物を含むインクジェット噴射可能な組成物であり、ブルックフィールド粘度計LVT DVIIにより測定して、10から500mPa・sの30℃における粘度を有する。
【0209】
この光硬化型組成物は、活性な光、例えば電子ビーム、X線、UVもしくは可視光の放射により、好ましくは280−650nmの波長範囲の放射により重合可能である。好ましくは、重合は、単色光を照射することにより行われる。特に好適なのは、HeCd、アルゴンイオンまたは窒素の、または金属蒸気のレーザービーム、およびNdYAGレーザ
ーである。この発明は、固体画像形成(ステレオリソグラフィ)法に使用される現存のもしくは開発中の種々のタイプのレーザー、例えば、固体レーザー、アルゴンイオンレーザーなどから、非レーザーベースの放射まで拡張される。当業者ならば、各々選ばれた光源に対して適切な光開始剤を選択すること、および適切ならば増感を行うことが必要であるということに気が付く。重合対象の組成物の中への放射の透過深さと、また操作速度も吸収係数と光開始剤の濃度に直接比例するということが認識された。ステレオリソグラフィにおいては、最高の数の形成性フリーラジカルまたはカチオン性粒子を生じ、重合対象の組成物の中への放射の透過の最大深さを可能とせしめる光開始剤を使用することが好ましい。
【0210】
それゆえ、本発明の更なる態様は、
(a)本発明による光硬化型組成物の第1の層を表面上に形成すること;
(b)この層を画像のとおりに放射に露光して、画像形成された断面を形成すること;
(c)光硬化型組成物の第2の層を前に露光した画像形成された断面中に形成すること;(d)段階(c)からの第2の層を画像のとおりに放射に露光して、更なる画像形成された断面を形成すること;および
(e)三次元物品を作るために段階(c)から(d)を充分な回数繰り返すこと
を含んでなる三次元物品を製造する方法である。
【0211】
段階(b)における照射は上述の光源のいずれによっても実施可能である。放射は、露光領域中で層の実質的な硬化を生じるのに充分な強度のものでなければならない。同様に、段階(d)における放射は、前に露光された画像形成された断面の接着を生じるのに充分な強度のものであるということが望ましい。
【0212】
段階(c)で使用される光硬化型組成物は、段階(a)で使用されるのと同一の光硬化型組成物であり得るか、もしくは段階(a)で使用される光硬化型組成物と異なり得る。
【0213】
製造される三次元物品は、種々の用途、例えば、航空宇宙産業およびインベストメント鋳造業界において、もしくは医療用途に使用可能である。
【0214】
原理的には、本発明の方法を行うのにいかなるステレオリソグラフィ機器も使用され得る。ステレオリソグラフィ装置は種々のメーカーから市販されている。表Iは、3D Systems Corp.(Valencia,Calif.)から入手可能な市販のステレオリソグラフィ装置の例を掲げる。
【0215】
【表1】

【0216】
最も好ましくは、本発明の光硬化型組成物から三次元物品を製造するためのステレオリソグラフィ法は、第1の層を形成するために組成物の表面を準備し、次に三次元物品の第1の層および各々の連続する層をZephyr(登録商標)リコーター(3D Systems Corp.,Valencia,Calif)またはこの同等品により再被覆することを含む。
【0217】
液体ベースの固体画像形成法において、本発明による光硬化型組成物を急速に硬化して、高グリーン強度、靭性、寸法精度、および最小の歪を有する、医療用途において使用される物品が製造される。
【0218】
本発明の光硬化型組成物は、三次元物品を製造するのに、好ましくはステレオリソグラフィ法で使用されるが、敏感な電子部品の中への水分もしくは酸素の侵入に対するコーティング、カプセル、バリア層または三次元インクジェット印刷または他の迅速プロトタイピング法においても使用され得る。
【0219】
それゆえ、本発明の更なる態様は、
(a’)本発明による光硬化型組成物の液滴を基材上の標的化された場所に塗布する段階;
(b’)液滴を電磁的な放射に露光して、露光領域において液滴を露光する段階;
(c’)三次元物品を作るために、段階(a’)および(b’)を充分な回数繰り返す段階;
を含んでなる、インクジェット印刷により三次元物品を製造するための方法である。
【0220】
インクジェット印刷においては、光硬化型組成物の連続した液滴を、例えば圧電型インクジェット印刷ヘッドなどのインキジェット印刷ヘッドを用いて基材上の標的化された場所において塗布し、液滴を電磁的な放射に露光して、この組成物を硬化し、所望の形状の三次元物品に作ることにより照射する。一般に、この液滴は、コンピュータファイル、例えばCADファイルに保存される、所望の形状にしたがって堆積される。強靭な堆積物を製造するためには、ほぼ500mPa・sの樹脂粘度を有する光硬化型組成物を使用することが望ましい。しかしながら、Novajet(Spectra)などの市販のプリンターヘッドを用いる、最良なインクジェット印刷性に対して、最高の安定なプリンターヘ
ッド温度運転を得るためには、光硬化型組成物の粘度は、80℃で、好ましくは70℃で、更に好ましくは50℃で30mPa・s以下でなければならない。これらの温度条件下では配合樹脂は安定であり、インクジェット印刷前にプリンターヘッド中で重合しないということが極めて重要である。この発明で述べられている光開始剤組成物は、必要とされる安定なインキジェットプリンターヘッド性能に極めてよく適合するように選択可能である。好ましくは、このような光開始剤組成物を希釈剤であるオキセタンと合体して、好結果をもたらし安定なインクジェット印刷を行うために許容し得るレベルまで粘度を低下させる。エポキシおよびオキセタン成分の、場合によってはポリオールの極めて単純な配合物でもインクジェット噴射された強靭で硬い堆積物を形成するのに有用であることが判る。
【0221】
本発明の方法の好ましい態様によれば、基材は、好ましくは紙、テキスタイル、タイル、印刷版、壁紙、プラスチック、粉末、ペースト、または液体である反応性樹脂または液体である既に部分硬化した樹脂からなる群から選択される。
【0222】
好ましくは、この光硬化型組成物は、ピクセルごと、ラインごと、層ごとに電磁的な放射に露光される。
【0223】
好ましくは、使用される電磁的な放射は、UV光、マイクロウエーブ放射または可視光である。
【0224】
前述した電磁的な放射の同一光源が使用可能である。特に、280から650nmの波長範囲内の放射が好ましい。
【0225】
以降の段階で使用される光硬化型組成物は、前の段階で使用される光硬化型組成物と異なり得る。
【0226】
あるいは、本発明の光硬化型組成物を粉末上に堆積することが可能である。粉末を基材の上に薄層として塗布し、光硬化型組成物を所望の場所で所望のパターンで粉末上にインクジェット堆積し得る。次に、光硬化型組成物を電磁的な放射に露光することにより、このパターンを硬化し得る。次に、粉末の更なる層を第1の層の頂部上に配置し、この工程を繰り返して、三次元物品を作る。三次元物品を作った後いかなる粉末も除去し得る。液体光硬化型組成物が進入しなかった粉末を除去した後、三次元物品に対して最終加熱および/または放射硬化を加える。この光硬化型組成物は、好ましくは粉末と完全に一体化されて、元の粉末粒子の間に実質的にボイドが残らず、高強度の部品を特にもたらす。
【0227】
別の態様においては、この粉末を光硬化型組成物と反応させることができるか、もしくはそれ自身との反応が光硬化型組成物により促進される反応性成分を含有する。この粉末は、有機金属ポリマー、オリゴマーまたはモノマーを含有し得る。例は、ポリアクリル酸、ポリ(アクリロニトリル−コ−ブタジエン、ポリ(アリルアミン)、アクリレート官能基含有ポリアクリル樹脂、ポリブタジエン、エポキシ官能基化ブタジエン、ポリ(グリシジル(メタクリレート)、ポリTHF、ポリカプロラクトンジオール、HEMA、HEA、スチレン−マレイン酸無水物などのマレイン酸無水物ポリマー、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリ(4−ビニルフェノール)、コポリマー/これらの化合物のブレンド、およびエポキシ、ビニルエーテル、アクリレート/メタクリレート、ヒドロキシ、アミンまたはビニルの部分によりキャップされた、これらの化合物のいずれかを含む。この粉末は、有機もしくは無機充填剤、顔料、ナノ粒子、染料、および/または界面活性剤を更に含有し得る。
【0228】
他の態様においては、この粉末は、好ましくは熱可塑性粉末、例えば、PMMA、BU
TVAR、ポリカーボネート、PEEKなどである。
【0229】
一つの態様においては、本発明の光硬化型組成物から製造される三次元物品は、インベストメント鋳造においてファウンドリーパターンとして使用される。インベストメント鋳造においては、部品を鋳造することができる金型の製造に本発明の光硬化型組成物から製造される使い捨てファウンドリーパターンが使用される。金型中でキャストされる金属のタイプに依って詳細が異なる、周知の方法により、金型をファウンドリーパターンの周りに作る。一般に、ならびにインベストメント鋳造法を示すのに鉄合金の鋳造を使用して、ファウンドリーパターンを耐火性スラリー、例えば水性セラミックスラリーにより被覆、すなわち埋め込み、過剰な水を排除して、被膜を形成し、次に被膜を微細セラミック砂によりスタッコ仕上げする。この段階を、通常、第1の被膜が乾燥した後数回繰り返す(10から20層はまれではない)。次に、この埋め込まれたファウンドリーパターンをセラミックバックアップ材料の硬化する粗スラリーにより充填されている、開放端金属容器中に置く。次に、セラミック中に埋め込まれたファウンドリーパターンを炉またはオートクレーブの中に入れ、ファウンドリーパターンをメルトもしくは得られる金型からバーンアウトさせる。ファウンドリーパターン(それゆえ、キャビティ)は、以降のキャスト操作により生じる部品の収縮または機械加工を補償するために若干大きいことが許容されるが、ファウンドリーパターンを取り出すことによって、形状と寸法が最終部品に対応するキャビティが金型中に残る。溶融金属を金型キャビティの中に導入し、冷却により固化する。固化後、セラミック金型を破壊除去して、完成部品を取り出す。主として、金属鋳造物を考えているが、固化するいかなる液体材料、例えばプラスチックもしくはセラミック組成物もこの方法で鋳造され得る。
【0230】
ステレオリソグラフィで作製したファウンドリーパターンにより製造される金型中で感受性合金が鋳造可能である。更には、複雑なファウンドリーパターンを正確に製造することができる。最終的に、ファウンドリーパターンは低灰分含量(<0.05%)を有し、この精度と剛性を経時的に維持し、キャスト反応性金属に理想的であるということが判った。
【0231】
光開始剤組成物の使用
この明細書中で述べられる光開始剤組成物は、光開始剤として使用され得る。
【0232】
好ましくは、これは、グリーン強度および/または熱安定性を増加させるために、光硬化型組成物中で使用される。
【0233】
本発明の光硬化型組成物および/またはカチオン性光開始剤組成物が使用され得る他の用途は、接着剤、フォトレジストのような光画像形成可能なコーティングなどの被覆剤、または光学繊維またはレンズ用コーティング、発光ダイオード用の封止などの封止剤、塗料、インキまたはワニスまたは硬化時に安定な機械的性質を有する保存安定性の光硬化型組成物が所望される、任意の他の用途、工程または方法におけるものである。更には、本発明の光硬化型組成物および/またはカチオン性光開始剤組成物は、ステレオリソグラフィ法、インキジェット印刷法、迅速プロトタイピング法、ソルダーマスク法、および迅速製造法で使用される。
【0234】
迅速製造
迅速製造は、エネルギーおよび/または材料を空間中の特定の点まで順次送達して、部品を製造することにより固体物体を製造するための方法である。現行のやり方は、コンピュータを援用して作り出された数学モデルを用いてコンピュータにより製造工程を制御することである。平行的なバッチ製造で行われる迅速製造は、レーザーアブレーションまたはダイカストなどの代替の製造法と比較して、速度およびコストオーバーヘッドにおいて大きな利点をもたらす。
【0235】
グリーン強度/グリーンモデル
この明細書中で使用される用語「グリーンモデル」は、層形成、光硬化を用いるステレオリソグラフィ法により初期的に形成され、通常、層が完全に硬化されていない三次元物品を意味する。これによって、更に硬化される場合、一緒に接着することにより、連続層の良好な接着を行うことが可能となる。
【0236】
用語「グリーン強度」は、弾性率、歪、強度、硬度、および層−層接着を含む、グリーンモデルの機械的性能の性質に対する一般的な用語である。例えば、グリーン強度は、曲げ弾性率(ASTM D790)を測定することにより示され得る。低グリーン強度を有する物品は、それ自身の重量下で変形されか、もしくは硬化時に垂れ下がりか、もしくは潰れを生じ得る。
【0237】
グリーンモデルはイソプロパノール中で洗浄され、乾燥される。乾燥されたグリーンモデルは、後硬化装置(PCA(登録商標)、3D Systems)中でUV放射により約60−90分間後硬化される。「後硬化」は、グリーンモデルを反応させて、部分硬化層を更に硬化する工程である。グリーンモデルは、熱、活性放射またはこの両方に暴露することにより後硬化され得る。
【実施例】
【0238】
使用原材料
【0239】
【表2】

【0240】
組成物および固体試料の製造
段階1:組成物の作製
均質な組成物を得るまで成分を20℃で攪拌することにより、次の実施例で述べる組成物を作製する。
【0241】
少なくとも2種のカチオン性光開始剤を組成物に個別に添加することができるか、もしくは前に混合した成分の残りに添加する前に別々に混合することができる。
【0242】
段階2:試料の作製
後硬化装置(3D Systems)内でシリコン金型中で90分間UV放射することにより硬化される試料についてカチオン硬化型系上の機械的性質を求める。
【0243】
SLA−7000(3D Systems)を用いて加工し、試料の完全硬化を確保するために後硬化装置(PCA(登録商標),3D Systems)中で90分間後硬化した試料について、ハイブリッド組成物(ラジカルおよびカチオン硬化型組成物)の機械的性質を評価する。
【0244】
SLA−350(3D Systems)を用いて、グリーン曲げ弾性率用の試料を加
工する。グリーン試料を溶剤を使用せず、拭いて清浄化し、後硬化装置中で完全硬化にかけない。
【0245】
試験手順
感光速度
いわゆる窓ガラス上でこの組成物の感光性を求める。この測定においては、異なるレーザーエネルギーを用いて単一層の試験試料を作製し、層厚を測定する。使用される放射エネルギーの対数に対する層厚をグラフ上でプロットすることによって、「作業曲線」が得られる。この曲線の勾配をDp(ミル(25.4μm)の透過深さ)と呼ぶ。曲線が×軸を通るエネルギー値をEc(mJ/cmの臨界エネルギー)と呼ぶ。記述する各実施例に対して、本発明者らは、0.10mm層を完全に重合するのに必要とされるエネルギー(mJ/cmでのE4)を示すことを選んだ。
【0246】
機械的試験
完全硬化された部品の機械的試験をISO標準にしたがって行う。試験の前に試料を23℃および50%RHで3−5日コンディショニングする。
【0247】
【表3】

【0248】
グリーン強度
グリーン試料について加工後10分および60分に曲げ弾性率を1mmのたわみで測定することによりグリーン強度を求める。グリーン試験試料は6.25×2.6×70mmの棒である。たわみ試験時の支持体の間の距離は40mmであり、たわみ試験時のクロスヘッド速度は10mm/分である。
【0249】
粘度
ブルックフィールド粘度計LVT DVII(スピンドルSC4−21またはスピンドルSC4−18)を30℃で用いて液体混合物の粘度を求める。
【0250】
組成物の熱安定性
粘度を30℃で経時的に追跡することにより、光硬化型組成物の熱安定性を求めることができる。実用的な理由によって、多くの用途においては、組成物の粘度は長期間安定状態を保つこと、活性種が混合物中に存在するならば、粘度増加はできる限り遅いということが望ましい。
【0251】
組成物の熱安定性は、この組成物を65℃において長時間貯蔵した時の1時間当りのセンチポイズ(mPa・s/h)での粘度増加として定義される。粘度を30℃で定期的に測定する。貯蔵期間は1時間から960時間まで変わることができる。
【0252】
カチオン性光開始剤の熱安定性の定義方法
カチオン硬化型組成物CCをカチオン性光開始剤の熱安定性を求めるための参照として使用する。カチオン型硬化型組成物CCにおける熱安定性によって、本発明によるカチオン性光開始剤を(A)または(B)と分類する。
【0253】
【表4】

【0254】
90から99.9重量%のカチオン硬化型組成物CCと、0.01から10重量%のカチオン性光開始剤を含有する組成物を65℃で貯蔵し、粘度を30℃で定期的に測定する。
【0255】
これらの条件下で、熱安定性光開始剤(A)は、カチオン硬化型組成物CCに0.40mPa・s/時以下の熱安定性を65℃で144時間の貯蔵時間にわたってもたらすとして定義される。低熱安定性の光開始剤(B)は、カチオン硬化型組成物CCに0.40mPa・s/時以上の熱安定性を65℃で144時間の貯蔵時間にわたってもたらすとして定義される。
【0256】
一般に、カチオン性光開始剤(A)および(B)の混合物を含有する組成物を考える場合には、相乗効果が起こらないということを考慮して、(A)および(B)を含有する組成物の予期される熱安定性(T.S.calc.)を式Flにより計算することができる。
(式Fl)T.S.calc.=Xa/100*T.S.a+Xb/100*T.S.b

T.S.a:(A)を含有する光硬化型組成物の熱安定性
T.S.b:(B)を含有する光硬化型組成物の熱安定性

Xa=光硬化型組成物中の光開始剤(A)の重量%/(光硬化型組成物中の光開始剤(A)の重量%+光開始剤(B)の重量%)*100
Xb=光硬化型組成物中の光開始剤(B)の重量%/(光硬化型組成物中の光開始剤(A)の重量%+光開始剤(B)の重量%)*100
定義によりXb+Xa=100。
【0257】
(A)および(B)を含む光開始剤組成物を含有する光硬化型組成物は、理想的な混合が予測するよりも熱安定性が大きいこと、および相乗効果が観察されることが実証される。
【0258】
機械的性質は、(A)と(B)を含む光開始剤組成物を使用することにより著しく影響を受けないということを実証することができる。性質の全体のバランスの改善が観察されるということも実証することができる。
【0259】
シリーズ1:カチオン硬化型組成物
【0260】
【表5】

【0261】
【表6】

【0262】
【表7】

【0263】
表2および3では、Xa>50である場合には、良好な機械的性能と熱安定性の折衷値が達成されている。
【0264】
【表8】

【0265】
シリーズ2:ハイブリッドカチオン性/フリーラジカル組成物
【0266】
【表9】

【0267】
【表10】

【0268】
【表11】

【0269】
【表12】

【0270】
シリーズ3/ハイブリッド組成物におけるグリーン強度の改善
ある態様においては、本発明のカチオン性光開始剤混合物を使用することにより、10分におけるグリーン強度を180%増加させることができるということが観察された。
【0271】
【表13】

【0272】
シリーズ4/ハイブリッド組成物における機械的性質(耐衝撃性)の改善
【0273】
【表14】

【0274】
シリーズ5/インクジェット印刷法に好適な光硬化型組成物
【0275】
【表15】

【0276】
次の方法に基づくタック試験を用いて、これらの樹脂の相対的な硬化速度を評価した。
【0277】
0.5mlの樹脂を55mmの直径のアルミニウム皿に入れ、12インチの距離でUV(10秒、400WHgランプ)に露光する。
【0278】
コットンウールバッドの表面への付着性を観察することにより判定される、UV露光スタート後の表面の非粘着化時間を記録する。240秒以上の時間を記録しなかった。
【0279】
表10は、光硬化速度に及ぼす濃度およびカチオン性光開始剤のタイプの影響を示す。明白であるように、比較例45および46は、硬化速度の僅かな差異のみを示す。スルホニウムヘキサフルオロホスフェートUVI6992を使用する比較例47および48に対しては、硬化速度への濃度依存性は高い。10重量%のカチオン性光開始剤(A)(UVI6992)[実施例48]は、5重量%の光開始剤(B)(UVI6976)[実施例45]と類似の硬化速度を示す。しかしながら、カチオン性光開始剤(A)(UVI6992)とカチオン性光開始剤(B)(UVI6976)の混合物を含む本発明による光硬化型組成物を与える実施例49および50は、カチオン性光開始剤(A)および(B)のいずれかよりも高い硬化速度を示す。
【0280】
光硬化型組成物の安定性
実施例49および50によれば、特に、安定なインクジェット印刷に対する条件を70℃で得たならば、インクジェットの詰まりを起こさずに長時間再現性のあるインクジェット印刷を容易に開始することができる。
【0281】
UVI6976とUVI6992の両方を含む配合物49および50をインクジェット印刷性について試験した。インクジェット印刷性の要求条件は、
インクジェット印刷温度における粘度:1−30mPas、
プリンターヘッド貯槽で使用される通常の温度:60−70℃、
表面張力:<45ダイン/cm
好適なプリンターヘッドはSpectra Novajetである。
【0282】
インクジェットされた試料の作製
Jetlab(登録商標)(Microfab Technologies Inc,Plano,Texas)中に搭載されている50mmの単一ノズルインクジェット素子MJ−SF−01−50を用い、貯槽を70℃で保持して、組成物49をインクジェット噴射した。サテライトを形成せずに安定なインクジェット印刷を得るまで、ピーク電圧、および立ち上がり時間、ドウエル時間、および立下り時間を調整した。既知の時間で分液
される流体の量を秤量することにより、各液滴の重量を測定し、液滴サイズを重量測定から推定する。較正された目盛線を顕微鏡中で用いて、ガラススライド上に堆積された単一液滴のサイズを測定した。
【0283】
実施例49による組成物の粘度/mPa・s
【0284】
【表16】

【0285】
70℃におけるインキジェットパルスパラメーター
【0286】
【表17】

【0287】
本発明によるインクジェット印刷法の例−2層試料の製造
単一圧電型インクジェット印刷プリンターヘッドMJ−SF−0l−50(Microfab Technologies Inc,Plano,Texas、USA)を用いて、この試料をアルミニウムシート上に堆積した。
【0288】
【表18】

【0289】
プリンターヘッドを70℃まで加熱し、
プリンターヘッド走査速度:20mm/秒、
液滴密度:0.25mmの線間隔で150液滴/mm
のパラメーターを用いて、インクジェット印刷を行った。
【0290】
2本の重複する液滴の線(1cm)を0.25mmの線間隔で堆積した。
【0291】
インクジェットされた線を4WのUVAランプ下120mJ/cmの硬化エネルギーでUV硬化した。2層堆積物に対しては、第2の層を硬化された第1の層上に堆積し、次にこの堆積物を同一条件下で硬化した。
【0292】
硬い、引っ掻き抵抗性の堆積物を得、液滴の重なりと、融合は極めて良好であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)アニオンが式(I)
【化1】

(式中、n=1から6の整数であり、
=置換もしくは非置換のC1−6−アルキルまたは置換もしくは非置換のアリールもしくはヘテロアリール)
により定義されるフルオロホスフェートである、スルホニウム塩からなる群から選択される少なくとも1つのカチオン性光開始剤(A);および
b)(A)とは異なる少なくとも1つのカチオン性光開始剤(B)
を含み、(B)に対する(A)の重量比が0.1よりも大きいことを特徴とする、光開始剤組成物。
【請求項2】
カチオン性光開始剤(B)が式(VII)
[RE][MXn+1 (VII)
(式中、
EはS、P、O、IまたはN≡Nを表わし;
、R、R、およびRは、置換もしくは非置換のC6−18アリールから選択される同一のもしくは異なる有機基を個別に表わし;
a、b、c、およびdは、0から3の整数を個別に表わし、ただし、a+b+c+dは、E=Sならば3、E=Pならば4、E=Oならば3、E=Iならば2、ならびにE=N≡Nならば1であり;
MはB、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Alからなる群から選択される金属またはメタロイドを表わし;
XはF、Cl、Br、置換もしくは非置換のアリールもしくはヘテロアリール基またはこれらの混合物を表わし;ならびに
nはMの原子価数であり、
ただし、オニウム塩は、アニオンが式(I)
【化2】

(式中、n=1から6であり、
=置換もしくは非置換のC1−6−アルキルまたは置換もしくは非置換のアリールもしくはヘテロアリール)
により定義されるフルオロホスフェートである、スルホニウム塩でないものとする)
の構造を有する少なくとも1つのオニウム塩から選択されることを特徴とする請求項1に記載の光開始剤組成物。
【請求項3】
、R、R、およびRが、置換もしくは非置換のC1−12−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキルチオ、ハロゲンまたはアリールチオ、およびこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の基、好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、種々のペンチルもしくはヘキシル異性体、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、スルファニルメチル、スルファニルエチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素またはフェニルチオ、およびこれらの混合物からなる群から選択される基より置換されている、フェニル、ナフチル
、アンスリルまたはフェナンスリルまたは置換C6−18アリールから選択される、同一のもしくは異なる有機基を個別に表わすことを特徴とする、請求項2に記載の光開始剤組成物。
【請求項4】
カチオン性光開始剤(B)がヨードニウム塩および/またはヘキサフルオロアンチモネート塩からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1−3の少なくともいずれかに記載の光開始剤組成物。
【請求項5】
(B)に対する(A)の重量比が0.2よりも大きいか、好ましくは0.5よりも大きいか、更に好ましくは1よりも大きいか、最も好ましくは2よりも大きいか、特に5よりも大きいことを特徴とする、請求項1−4の少なくともいずれかに記載の光開始剤組成物。
【請求項6】
(B)に対する(A)の重量比が0.1と15の間であるか、好ましくは0.3と15の間であるか、更に好ましくは0.8と12の間であるか、最も好ましくは1と8の間であるか、特に2と10の間であるか、例えば5と10の間であるかことを特徴とする、請求項1から4の少なくともいずれかに記載の光開始剤組成物。
【請求項7】
カチオン性光開始剤(A)が式(III)
【化3】

(式中、R、R、およびRは各々相互に独立に非置換もしくは置換のC6−18アリールである)
により表わされることを特徴とする、請求項1−6の少なくともいずれかに記載の光開始剤組成物。
【請求項8】
カチオン性光開始剤(B)が式(VIII)
【化4】

(式中、R、R、およびRは各々相互に独立に非置換もしくは置換のC6−18アリールである)
により表わされることを特徴とする、請求項1−7の少なくともいずれかに記載の光開始剤組成物。
【請求項9】
カチオン性光開始剤(A)が
【化5】

(式中、
、R、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、相互に独立にH、−OCH、−OCHCH、メチル、エチル、i−プロピル、−CHCHOH、−CHCHSHであり、好ましくは置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R、およびRはイオウ原子の少なくとも1つに対してパラ位にあり、更に好ましくはR、R、R、R、R、R、R、R、R、およびRはHである)
を含む混合物により表わされることを特徴とする、請求項1−8の少なくともいずれかに記載の光開始剤組成物。
【請求項10】
カチオン性光開始剤(B)が
【化6】

(式中、
、R、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、相互に独立にH、−OCH、−OCHCH、メチル、エチル、i−プロピル、−CHCHOH、−CHCHSHであり、好ましくは置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R、およびRはイオウ原子の少なくとも1つに対してパラ位にあり、更に好ましくはR、R、R、R、R、R、R、R、R、およびRはHである)
を含む混合物により表わされることを特徴とする、請求項1−9の少なくともいずれかに記載の光開始剤組成物。
【請求項11】
カチオン性光開始剤(B)が(4−メチルフェニル)(4−(2−メチルプロピル)フェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(4−ヘキシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;ビス(4−ヘキシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;(4−ヘキシルフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;(4−ヘキシルフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ビス(4−オクチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;(4−sec−ブチルフェニル)−(4’−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;(4−イソ−プロピルフェニル)−(4’−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;[4−(2−ヒドロキシテトラデシルオキシ)フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;[4−(2−ヒドロキシドデシルオキシ)フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;ビス(4−オクチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;(4−オクチルフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;(4−オクチルフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ビス(4−デシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;ビス(4−デシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;(4−デシルフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;(4−デシルフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;(4−オクチルオキシフェニ
ル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;(2−ヒドロキシドデシルオキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;(2−ヒドロキシドデシルオキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;ビス(4−ヘキシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート;(4−ヘキシルフェニル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート;ビス(4−オクチルフェニル)テトラフルオロボレート;(4−オクチルフェニル)フェニル−ヨードニウムテトラフルオロボレート;ビス(4−デシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート;ビス(4−(混合C−C−アルキル)フェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;(4−デシルフェニル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート;(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート;(2−ヒドロキシドデシルオキシフェニル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート;ビフェニレンヨードニウムテトラフルオロボレート;ビフェニレンヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;およびビフェニレンヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートからなる群から選択される少なくとも1つのヨードニウム塩を含むことを特徴とする、請求項1−10の少なくともいずれかに記載の光開始剤組成物。
【請求項12】
カチオン性光開始剤(B)がヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、好ましくは(トリルクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートであることを特徴とする、請求項1−11の少なくともいずれかに記載の光開始剤組成物。
【請求項13】
少なくとも1つのフリーラジカル光開始剤および/または光増感剤を更に含むことを特徴とする、請求項1−12の少なくともいずれかに記載の光開始剤組成物。
【請求項14】
組成物の全量基準で0.1から90重量%の量で、好ましくは5から80重量%の、更に好ましくは15から70重量%の、特に20から60重量%の、更に特に25から50重量%の量で、少なくとも1つのフリーラジカル光開始剤を含むことを特徴とする、請求項1−13の少なくともいずれかに記載の光開始剤組成物。
【請求項15】
光開始剤組成物が光開始剤組成物の全量基準で0.1から90重量%の量で、好ましくは5から80重量%の量、更に好ましくは15から70重量%の、特に35から60重量%の量で少なくとも1つの光増感剤を含むことを特徴とする、請求項1−14の少なくともいずれかに記載の光開始剤組成物。
【請求項16】
請求項1−15の少なくともいずれかに記載の光開始剤組成物を含む光硬化型組成物。
【請求項17】
カチオン硬化型成分を含むことを特徴とする、請求項16に記載の光硬化型組成物。
【請求項18】
カチオン硬化型成分が開環機構により反応するカチオン重合型成分からなる群、好ましくはエポキシ化合物、オキセタン、テトラヒドロピラン、ラクトン、およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項17に記載の光硬化型組成物。
【請求項19】
カチオン硬化型成分が2から90重量%の、好ましくは10から85重量%の、更に好ましくは20から80重量%の量で存在し、重量によるパーセントが光硬化型組成物の全重量基準であることを特徴とする、請求項16−18の少なくともいずれかに記載の光硬化型組成物。
【請求項20】
ラジカル硬化型成分を更に含むことを特徴とする、請求項16−19の少なくともいずれかに記載の光硬化型組成物。
【請求項21】
ラジカル硬化型成分が好ましくは単官能性、多官能性もしくはポリ(メタ)アクリレートモノマー光開始剤からなる群から選択される(メタ)アクリレートであることを特徴とする、請求項16−20の少なくともいずれかに記載の光硬化型組成物。
【請求項22】
ラジカル硬化型成分が5から80重量%の、更に好ましくは10から70重量%の、特に好ましくは15から60重量%の量で存在し、重量によるパーセントが光硬化型組成物の全重量基準であることを特徴とする、請求項16−21の少なくともいずれかに記載の光硬化型組成物。
【請求項23】
0.1と30重量%の間の、好ましくは0.5と20重量%の間の、更に好ましくは1と10重量%の間の量で請求項1−15に記載の光開始剤組成物を含み、重量によるパーセントが光硬化型組成物の全重量基準であることを特徴とする、請求項16−22の少なくともいずれかに記載の光硬化型組成物。
【請求項24】
光硬化型組成物がブルックフィールド粘度計LVT DVIIにより30℃で測定して、5mPa・sから10Pa・sの、更に好ましくは20mPa・sと5Pa・sの間の、最も好ましくは50mPa・sと1500mPa・sの間の範囲の粘度を有する、請求項16−23の少なくともいずれかに記載の光硬化型組成物。
【請求項25】
メチルメタクリレートから構成される少なくとも1つのブロックを有する1つ以上のブロックコポリマーを含む靭性付与剤を更に含有することを特徴とする、請求項16−24の少なくともいずれかに記載の光硬化型組成物。
【請求項26】
(a)請求項16−25の少なくともいずれかに記載の光硬化型組成物の第1の層を表面上に形成すること;
(b)層を画像のとおりに露光して、画像形成された断面を形成すること;
(c)光硬化型組成物の第2の層を前に露光した画像形成された断面中に形成すること;(d)段階(c)からの第2の層を画像のとおりに露光して、更なる画像形成された断面を形成すること;および
(e)段階(c)から(d)を充分な回数繰り返して、三次元物品を作ること
を含んでなる、三次元物品を製造するための方法。
【請求項27】
(a’)請求項16−25の少なくともいずれかに記載の光硬化型組成物の液滴を基材上の標的とされた位置に塗布する段階;
(b’)液滴を電磁的放射に露光して、露光領域中の液滴を硬化する段階;
(c’)段階(a’)および(b’)を充分な回数繰り返して、三次元物品を作る段階
を含んでなる、インクジェット印刷により三次元物品を製造するための方法。
【請求項28】
基材が紙、テキスタイル、タイル、印刷版、壁紙、プラスチック、粉末、ペーストまたは液体または液体である既に部分硬化した樹脂である反応性樹脂からなる群から選択されることを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
光硬化型組成物がピクセルごと、ラインごと、層ごとに電磁的放射に露光されることを特徴とする、請求項27もしくは28に記載の方法。
【請求項30】
使用される電磁的放射がUV光、マイクロウエーブ放射または可視光であることを特徴とする、少なくとも請求項27から29に記載の方法。
【請求項31】
以降の段階において使用される光硬化型組成物が前の段階において使用される光硬化型
組成物と異なることを特徴とする、少なくとも請求項27から30に記載の方法。
【請求項32】
シーラント、接着剤、塗料、コーティングにおける、もしくはステレオリソグラフィ法、インキジェット印刷法、迅速プロトタイピング法、ソルダーマスク法または迅速製造法における光硬化型組成物における、請求項1−16に記載の光開始剤組成物または請求項17−25に記載の光硬化型組成物の使用。
【請求項33】
グリーン強度および/または熱安定性の増大のために光硬化型組成物における請求項1−16に記載の光開始剤組成物の使用。

【公表番号】特表2010−523801(P2010−523801A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503172(P2010−503172)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/059708
【国際公開番号】WO2008/127930
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(509282365)ハンツマン・アドバンスド・マテリアルズ・アメリカズ・エルエルシー (7)
【Fターム(参考)】